JP2017072253A - 変速装置および変速機構部を有する電気機械装置、並びに、変速装置を備える移動体およびロボット - Google Patents

変速装置および変速機構部を有する電気機械装置、並びに、変速装置を備える移動体およびロボット Download PDF

Info

Publication number
JP2017072253A
JP2017072253A JP2016215758A JP2016215758A JP2017072253A JP 2017072253 A JP2017072253 A JP 2017072253A JP 2016215758 A JP2016215758 A JP 2016215758A JP 2016215758 A JP2016215758 A JP 2016215758A JP 2017072253 A JP2017072253 A JP 2017072253A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gear
regeneration
rotation
transmission
control
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016215758A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6260914B2 (ja
Inventor
竹内 啓佐敏
Kesatoshi Takeuchi
啓佐敏 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Godo Kaisha IP Bridge 1
Original Assignee
Godo Kaisha IP Bridge 1
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Godo Kaisha IP Bridge 1 filed Critical Godo Kaisha IP Bridge 1
Priority to JP2016215758A priority Critical patent/JP6260914B2/ja
Publication of JP2017072253A publication Critical patent/JP2017072253A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6260914B2 publication Critical patent/JP6260914B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manipulator (AREA)
  • Structure Of Transmissions (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Abstract

【課題】ディファレンシャル機構を用いた変速装置を小型化、高剛性化する。【解決手段】仮想的な第1の軸心を中心として互いに対向配置された第1,第2のギアと、第1の軸心と直交する仮想的な第2の軸心を中心として第1,第2のギアと噛合配置された少なくとも1つの第3のギアと、第2の軸心に沿い、第3のギアを回動自在に支持する支持軸と、第1の軸心に沿い、第1のギアに接続された第1の回転軸と、第1の軸心に沿い、第2のギアの中央部の貫通孔を介して支持軸に接続された第2の回転軸とを備える。支持軸と第3のギアとの間の軸受け部、および、出力軸とされる回転軸と、ケーシングと、の間の軸受け部は、ローラーベアリングで構成される。【選択図】図1

Description

本発明は、変速装置および変速機構部を有する電気機械装置、並びに、変速装置を備える移動体およびロボットに関する。
従来技術の変速装置として、ディファレンシャル機構を用いて、変速装置の入力に対する出力の回転速度を無段階に増減変速する例が開示されている(特許文献1参照)。従来のディファレンシャル機構は、ドライブギアと、このドライブギアに噛合してその回転軸心と平行な軸心周りに回転させられるリングギアと、リングギアの一側にその回転軸心と直交するように設けられた軸に回動自在に取り付けられる二つで一対の第1,第2サイドギアと、この一対の第1,第2サイドギアに噛合する二つで一対の第3,第4サイドギアとを備えている。ドライブギアはエンジンのクランク軸に、第3サイドギアはクランク軸と平行な補機駆動装置の入力軸に、第4サイドギアは制動ユニットの制動軸に、それぞれ連結されている。
特開平7−42709号公報
ここで、変速装置の出力軸に対応する負荷の入力軸に対して垂直な軸方向のサイズを小型化したい、という要望がある。この要望に対して、従来技術の場合には、負荷としての補機駆動装置の入力軸に垂直な軸方向、すなわち、第1,第2サイドギアが取り付けたれた軸の方向に沿ってリングギア及びリングギアに噛合するドライブギアを備えるため、負荷の入力軸に垂直な軸方向の小型化が十分ではない。また、変速装置を有する電気機械装置の組み込まれる装置がロボットの場合、そのアームは様々な方向を向くため、アームを駆動するためのモーターとアームとの間に設けられる変速装置は、あらゆる方向の荷重負荷に耐えられる高剛性を備えることが望ましい。
本発明は、ディファレンシャル機構を用いた変速装置の小型化、特に、変速装置の出力軸に垂直な方向の小型化や高剛性化が可能な技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、変速装置が提供される。この変速装置は、仮想的な第1の軸心の周りにそれぞれ回転するように互いに対向配置された第1のギアおよび第2のギアと;前記第1の軸心と直交する仮想的な第2の軸心を中心として前記第1のギアおよび第2のギアと噛合するように配置された少なくとも1つの第3のギアと;前記第2の軸心に沿って配置され、前記第3のギアを回動自在に支持する支持軸と;前記第1の軸心に沿って配置され、前記第1のギアに接続された第1の回転軸と;前記第1の軸心に沿って配置され、前記第2のギアの中央部に設けられた貫通孔を介して前記支持軸に接続された第2の回転軸と;を備える。前記支持軸と前記第3のギアとの間の軸受け部としてクロスローラーベアリングが設けられており、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸のうち前記出力軸とされる回転軸と、前記第1のギア、前記第2のギアおよび前記第3のギアを少なくとも収容するケーシングと、の間の軸受け部としてクロスローラーベアリングが設けられている。この形態の変速装置によれば、変速機構部の入力軸あるいは出力軸となる第1と第2の回転軸を第1の軸心に沿って配置することができるので、変速装置の出力軸に垂直な方向の小型化が可能である。また、変速制御機構部に含まれる第1の電気機械機構部の第1のローターが第2のギアと一体的に形成される構成の場合には、第1の電気機械機構部を変速機構部と一体的に構成することが可能であり、第2のギアと第1のローターとを接続用のギアを介して接続する場合に比べて、より装置の小型化が可能である。また、出力軸としての回転軸と収容体との間の軸受け部として、および、支持軸と第3のギアとの間の軸受け部として、クロスローラーベアリングが設けられているので、出力軸に加わる荷重負荷に対する剛性を高めることが可能である。
(2)上記形態の変速装置において、さらに、前記第2のギアに対して接続用のギアを介して接続されるかまたは前記第2のギアと一体に形成された第1のローターと、前記第1のローターの円筒状の外周面に沿って配置された第1のステーターと、を備える第1の電気機械機構部を備え、前記第1の電気機械機構部は、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸のうち、一方を入力軸とし、他方を出力軸として、前記第1のローターの回転に応じて前記第2のギアの回転を変化させることにより、前記入力軸の回転に対する前記出力軸の回転を変化させるようにしてもよい。この形態の変速装置によれば、第1の電気機械機構によって、入力軸の回転に対する出力軸の回転を容易に変化させることができる。
(3)上記形態の変速装置において、さらに、前記第1のギアに一体に形成された第2のローターと、前記第2のローターの円筒状の外周面に沿って配置された第2のステーターと、を有する第2の電気機械機構部を備え、前記第2の電気機械機構部は、前記第1の回転軸を入力軸とし、前記第2の回転軸を出力軸として、前記第2のローターの回転に応じて、前記第1の回転軸を介して前記第1のギアに伝達される回転を変化させることにより、前記入力軸の回転に対する前記出力軸の回転の変化を前記第1の電気機械機構部による変化に加えてさらに変化させるようにしてもよい。この形態の変速装置によれば、第2の電気機械機構部によって、入力軸である第1の回転軸を介して第1のギアに伝達される回転を変化させることができるので、第1の電気機械機構部による入力軸に対する出力軸の回転の変化に加えてさらに変化させることができる。
(4)上記形態の変速装置において、さらに、前記第1のステーターに配置された電磁コイルを駆動して前記第1のローターを回転させることにより、前記第2のギアの回転を制御する駆動制御部と、前記第2のギアの回転を減速させる際に、前記電磁コイルからのエネルギーの回生を行う回生制御部と、を備え、前記回生制御部は、前記電磁コイルに生じる誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間を設定して回生を実行する第1の回生モードと、前記電磁コイルに生じる誘起電圧の極大点を中心とした第2の回生区間を設定して回生を実行する第2の回生モードと、を有し、前記第1の回生モードで回生されるエネルギー量が前記第2の回生モードで回生されるエネルギー量以下となるように前記第1の回生区間の幅と第2の回生区間の幅とを設定するようにしてもよい。この形態の変速装置によれば、回生エネルギー量が小さいときは、電磁コイルに生じる誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間で回生を行い、回生エネルギー量が大きいときは、電磁コイルに生じる誘起電圧の極大点を中心とした第2の回生区間で回生を実行する。これにより、回生エネルギー量に対する回生エネルギーの変化を滑らかに調整することでき、回生動作を滑らかに実行することができる。この結果、無段階で連続的かつ滑らかに変速動作を実現することが可能であり、これに伴って無段階で連続的かつ滑らかにトルクの伝達量を変化させることが可能である。
(5)上記形態の変速装置において、前記回生制御部は、前記第1又は第2の回生区間の幅が所定の第1の値以下となる場合には、前記第1の回生モードによる回生を実行し、前記第1又は第2の回生区間の幅が前記第1の値よりも大きな所定の第2の値以上となる場合には、前記第2の回生モードによる回生を実行するようにしてもよい。この形態の変速装置によれば、回生区間が短く回生するエネルギー量が小さいときは、電磁コイルに生じる誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間で回生を行い、回生区間が長く回生エネルギー量が大きいときは、電磁コイルに生じる誘起電圧の極大点を中心とした第2の回生区間で回生を行うので、回生時において滑らかに動作させることができる。
(6)上記形態の変速装置において、前記回生制御部は、回生されるエネルギー量が増大してゆく際に前記第1の回生モードから前記第2の回生モードへの切り換えを行うとともに、前記切り換えの前における前記第1の回生区間の幅よりも、前記切り換えの後の前記第2の回生区間の幅を小さく設定するようにしてもよい。この形態の変速装置によれば、第1の回生モードから第2の回生モードへの切り換えるときに、切り換え前後の回生エネルギーの変化を少なくすることができるので、回生時において滑らかに動作させることができる。
(7)上記形態の変速装置において、前記回生制御部は、回生されるエネルギー量が減少してゆく際に前記第2の回生モードから前記第1の回生モードへの切り換えを行うとともに、前記切り換えの前における前記第2の回生区間の幅よりも、前記切り換えの後の前記第1の回生区間の幅を大きく設定するようにしてもよい。この変速装置によれば、第2の回生モードから第1の回生モードへの切り換えるときに、切り換え前後の回生エネルギーの変化を少なくすることができるので、回生時において滑らかに動作させることができる。
(8)上記形態の変速装置において、前記回生制御部は、前記第1の回生モードと前記第2の回生モードの切り換え時において、切り換え前の回生されるエネルギー量と切り換え後の回生されるエネルギー量とが同じ値となって連続するように、切り換え後の第1の回生区間の幅又は第2の回生区間の幅を設定するようにしてもよい。この形態の変速装置によれば、第1の回生モードと前記第2の回生モードの切り換え時において、切り換え前後の回生されるエネルギー量が同じ値となるように、切り換えるので、切り換え前後の回生エネルギー量が連続し、回生時において滑らかに動作させることができる。
(9)上記形態の変速装置において、前記第2のギアの回転の減速の開始時には、前記第1の回生モードでの回生が実行されるようにしてもよい。この変速装置によれば、減速の開始時において、回生エネルギー量に対する回生エネルギーの変化の割合を小さくすることができるので、減速の開始動作を滑らかにすることができる。
(10)上記形態の変速装置において、さらに、前記第2のギアの回転の減速の終了時には、前記第1の回生モードでの回生が実行されるようにしてもよい。この形態の変速装置によれば、減速の終了時において、回生エネルギー量に対する回生エネルギーの変化の割合を小さくすることができるので、減速の終了動作を滑らかにすることができる。
(11)本発明の他の形態によれば、電気機械装置が提供される。この形態の電気機械装置は、変速機構部と、第1の電気機械機構部と、第2の電気機械機構部と、を備える。変速機構部は、仮想的な第1の軸心の周りにそれぞれ回転するように互いに対向配置された第1のギアおよび第2のギアと;前記第1の軸心と直交する仮想的な第2の軸心を中心として前記第1のギアおよび第2のギアと噛合するように配置された少なくとも1つの第3のギアと;前記第2の軸心に沿って配置され、前記第3のギアを回動自在に支持する支持軸と;前記第1の軸心に沿って配置され、前記第1のギアに接続された第1の回転軸と;前記第1の軸心に沿って配置され、前記第2のギアの中央部に設けられた貫通孔を介して前記支持軸に接続された第2の回転軸と;を備える。前記第1の電気機械機構部は、前記第2のギアに対して接続用のギアを介して接続されるかまたは前記第2のギアと一体に形成された第1のローターと;前記第1のローターの円筒状の外周面に沿って配置された第1のステーターと;を備える。前記第2の電気機械機構部は、前記第1のギアに一体に形成された第2のローターと;前記第2のローターの円筒状の外周面に沿って配置された第2のステーターと;を備える。前記第1の電気機械機構部は、前記第1のローターの回転に応じて前記第2のギアの回転を変化させることにより、前記第1の回転軸の回転と前記第2の回転軸の回転との関係を変化させ、前記第2の電気機械機構部は、前記第2のローターを回転させることにより前記第1のギアおよび前記第1の回転軸を回転させ、あるいは、前記第1の回転軸の回転に応じて前記第3のギアおよび前記第1のギアを介して前記第2のローターに発生する回転のエネルギーを回生する。前記支持軸と前記第3のギアとの間の軸受け部としてクロスローラーベアリングが設けられており、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸のうち前記出力軸とされる回転軸と、前記変速機構部および前記第2の電気機械機構部を少なくとも収容する収容体と、の間の軸受け部としてクロスローラーベアリングが設けられている。この形態の電気機械装置によれば、変速機構部の入力軸あるいは出力軸となる第1と第2の回転軸を第1の軸心に沿って配置することができるので、変速機構部の出力軸に垂直な方向の小型化が可能である。また、第1の電気機械機構部の第1のローターが第2のギアと一体的に形成される構成の場合には、第1の電気機械機構部を変速機構部と一体的に構成することが可能であり、第2のギアと第1のローターとを接続用のギアを介して接続する場合に比べて、より装置の小型化が可能である。第2の電樹機械機構部の第2のローターが第1のギアと一体に形成されているので、第2の電気機械機構部のローターを第1の回転軸に接続する構成とする場合に比べて、より装置の小型化が可能である。また、出力軸としての第1の回転軸とケーシングとの間の軸受け部として、および、支持軸と第3のギアとの間の軸受け部として、クロスローラーベアリングが設けられているので、出力軸に加わる荷重負荷に対する剛性を高めることが可能である。
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、変速装置の他、電気機械装置、移動体、ロボット等様々な形態で実現することができる。
第1参考形態としての変速装置を示す概略断面図である。 変速装置の変速機構部を拡大して示す概略斜視図である。 変速装置の変速制御機構部の動作を制御する制御部について示すブロック図である。 制御部に含まれるドライバー回路の内部構成を示す説明図である。 制御部に含まれる駆動制御部の内部構成と動作を示す説明図である。 センサー出力波形と駆動信号波形の対応関係を示す説明図である。 駆動制御部のPWM部の内部構成の一例を示すブロック図である。 モーター正転時のPWM部の動作を示すタイミングチャートである。 モーター逆転時のPWM部の動作を示すタイミングチャートである。 励磁区間設定部の内部構成と動作を示す説明図である。 符号化部の動作とタイミングチャートを示す説明図である。 変速制御機構部の駆動波形を示す説明図である。 制御部に含まれる回生制御部と整流回路の内部構成を示す説明図である。 A相PWM制御部における回生区間設定部の内部構成を示す説明図である。 回生区間の幅が大きいときに実行される回生モードにおけるエネルギーの回生パターンを示す説明図である。 回生区間の幅が小さいときのエネルギーの回生パターンを示す説明図である。 EPWMの値と回生エネルギーの回収率のバリエーションを示す説明図である。 EPWMの値と回生エネルギーの回収率のバリエーションを示す説明図である。 EPWMの値と回生エネルギーの回収率のバリエーションを示す説明図である。 EPWMの値と回生エネルギーの回収率のバリエーションを示す説明図である。 変速機構部の各ギアの回転数の関係を示す説明図である。 第2参考形態としての変速装置を示す概略断面図である。 第2参考形態における変速機構部の各ギアの回転数の関係を示す説明図である。 第3参考形態としての変速装置を示す概略断面図である。 第4参考形態としての変速装置を示す概略断面である。 第5参考形態としての変速装置を示す概略断面図である。 第6参考形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。 第7参考形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。 第8参考形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。 第9参考形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。 第10参考形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。 第11参考形態としての発電装置を示す概略断面図である。 変速機構部を構成する第1,第2のサイドギアの変形例を示す概略断面図である。 変速機構部を構成する第1,第2のサイドギアの変形例を示す概略断面図である。 第1実施形態としての変速装置を示す概略断面図である。 クロスローラーベアリングの構成を示す説明図である。 第2実施形態としての変速装置を示す概略断面図である。 第3実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。 第4実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。 第5実施形態としての発電装置を示す概略断面図である。 本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した移動体の一例である電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。 本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用したロボットの一例を示す説明図である。 本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した双腕7軸ロボットの一例を示す説明図である。 本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した垂直多関節ロボットの一例を示す説明図である。 発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した双腕キャスター付ロボットの一例を示す説明図である。 本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した鉄道車両を示す説明図である。
以下の説明では、本発明の実施形態の説明を容易にするため、まず、前提となる参考形態について説明し、その後で本発明の実施形態について説明することとする。
A.第1参考形態:
A1.変速装置の構成:
図1は、第1参考形態としての変速装置を示す概略断面図である。この変速装置10は、ケーシング20に収容されており、変速機構部30と、変速制御機構部40と、駆動部からの出力を変速機構部30に伝達する入力軸12と、変速機構部30からの出力を被駆動部へ伝達する出力軸14と、を備えている。入力軸12と出力軸14は同一軸心Sx上に設けられている。図2は、変速機構部30を拡大して示す概略斜視図である。
変速機構部30は、ディファレンシャル機構を利用して構成されている。具体的には、変速機構部30は、軸心Sxと直交するように設けられた軸心Syのピニオン軸310の両側に回動自在に取り付けられた二つで一対の第1,第2のサイドギア320,330と、この一対の第1,第2のサイドギア320,330のギア歯320t,330tに噛合するギア歯340t,350tを有し、軸心Sxを中心とする二つで一対の第3,第4のサイドギア340,350と、を備えている。対向する第1,第2のサイドギア320,330と、ピニオン軸310との間には、第1,第2のサイドギア320,330がピニオン軸310の軸心Syを中心に回動自在とするための軸受け部312が配置されている。軸受け部312は、例えば、ボールベアリングによって構成することができる。4つのサイドギア320〜350は、例えば、かさ歯車で構成されている。第3のサイドギア340には、入力軸12が固定接続または一体に形成されている。なお、以下では、「固定接続または一体に形成されている」なる記載を、簡単に「一体的に形成されている」と記載することとする。第4のサイドギア350には、その中央に出力軸14を挿通させるための貫通孔352が形成されている。貫通孔352に挿通された出力軸14は、ピニオン軸310の中点で一体的に形成されている。なお、第3,第4のサイドギア340,350が本発明の第1,第2のギアに相当し、第1,第2のサイドギア320,330が本発明の少なくとも一つの第3のギアに相当する。なお、少なくとも一つの第3のギアとして第1,第2のサイドギア320,330の2つのかさ歯のギアで説明したが、1個のギアで構成することも、また、3個以上の複数のギアで構成することも可能である。ただし、1個のギアよりも複数のギアの方が構造的に安定である。また、かさ歯以外にも、ハイポイドギアも用いることで、より安定した動力伝達を実現することができる。
変速制御機構部40は、ラジアルギャップ型のモーターであり、ローター410と、ステーター420と、を備えている。ローター410は、第4のサイドギア350と一体的に形成された略円筒形状を有しており、その中央部には、第4のサイドギア350と同様に、出力軸14を挿通させるための貫通孔411を有している。ローター410の貫通孔411の壁面と、出力軸14との間には、出力軸14とローター410とを互いに独立して回転させるための軸受け部412が配置されている。この軸受け部412も、例えばボールベアリングで構成することができる。
ローター410の外周面には、永久磁石(ローター磁石)413が円筒形に配列されている。永久磁石413の磁束の方向は、放射方向である。なお、永久磁石413の裏側の面(ローター410の側壁側の面)には、磁力効率を向上させるための磁石バックヨーク415が配置されている。
ローター410を覆うケーシング20の内周面には、ステーター420としての電磁コイル(以下、「電磁コイル420」とも呼ぶ)が、ローター410の永久磁石413と間隔を有しつつ対向するように円筒形に配列されている。即ち、変速制御機構部40では、ステーターとしての電磁コイル420が、軸心Sxを中心としてローター410及びこれに接続された第4のサイドギア350を回転させる。なお、電磁コイル420とケーシング20との間にも、磁力効率を向上させるためのコイルバックヨーク428が配置されている。
ケーシング20には、永久磁石413の位置を検出する位置検出部416と、位置検出部416を実装した回路基板417が設けられている。位置検出部416は、例えば、ホール素子と温度補償回路と増幅器回路とを内蔵したアナログ出力又はデジタル出力可能なホールICによって構成され、永久磁石413の周回軌道の位置に対応するように配置されている。
回路基板417には、位置検出部416だけでなく、電磁コイル420とも電気的に接続されている。回路基板417は、外部に設けられた制御部(不図示)と導電線を介して電気的に接続されており、位置検出部416が出力する検出信号を制御部に送信する。また、回路基板417は、制御部からの制御信号に従って、電磁コイル420に電力を供給して磁界を発生させ、ローター410を回転させる。また、回路基板417は、制御部からの制御信号に従って、ローター410の回転に応じて電磁コイル420に発生した誘起電力を出力し、ローター410の回転を制動させる。
変速制御機構部40は、変速機構部30の第4のサイドギア350が、上記したように、変速制御機構部40のローター410に一体的に形成されているので、ローター410の回転に応じて変速機構部30の第4のサイドギア350の回転を制御することができる。
ケーシング20と入力軸12との間、および、ケーシング20と出力軸14との間には、入力軸12および出力軸14を回動可能に支持するための軸受け部22が配置されている。軸受け部22も例えばボールベアリングを用いて構成することができる。
変速機構部30の概略動作を、図2を用いて説明する。駆動部から入力軸12を介して伝達される回転に伴って、第3のサイドギア340が、破線の矢印で図示する方向に回転する場合を想定して説明する。以下、入力側から見た回転方向で右回りの回転の方向を「時計回り」あるいは「正転」、左回りの回転の方向を「反時計回り」あるいは「逆転」とも呼ぶ。なお、第1と第2のサイドギア320,330のギア歯320t,330tの歯数ms1,ms2は同じであり、第3と第4のサイドギア340,350のギア歯340t、350tの端数ms3,ms4も同じであるとする。
変速機構部30は、変速制御機構部40に接続されている制御ギアとしての第4のサイドギア350の回転(「制御回転」とも呼ぶ)と、入力ギアとしての第3のサイドギア340の回転(「入力回転」とも呼ぶ)との差に応じて、出力ギアとしての第1,第2のサイドギア320,330はそれぞれピニオン軸310の軸心Syを中心とする回転(「自転」と呼ぶ)と、出力軸14の軸心Sxを中心として第3,第4のサイドギア340,350の回りを周回する時計周りの回転(「公転」と呼ぶ)とが発生し、この公転が出力回転として出力軸14を介して被駆動部へ伝達される。すなわち、制御ギアとしての第4のサイドギア350の回転を制御することにより、出力軸14を介して被駆動部へ伝達される出力回転の回転数が制御されることになる。なお、入力回転と出力回転と制御回転との関係については、後で詳述する。
A2.変速装置の制御部の構成:
図3は、変速装置の変速制御機構部の動作を制御する制御部について示すブロック図である。この制御部200は、上述したように、変速制御機構部40の回路基板417に接続されており、変速制御機構部40の動作を制御する。
制御部200は、CPU210と、駆動制御部220と、回生制御部230と、ドライバー回路240と、整流回路250と、を備えている。2つの制御部220,230は、バス212を介してCPU210と接続されている。
駆動制御部220は、変速制御機構部40の位置検出部416に含まれる磁気センサー、本例では、2相の磁気センサー416A,416Bから供給される信号に基づいて、ドライバー回路240を介して電磁コイル420、本例では、2相の電磁コイル420A,420Bに磁界を発生させることにより、変速制御機構部40のローター410の回転、すなわち、制御ギアとしての第4のサイドギア350の回転を駆動する。
また、回生制御部230は、2相の電磁コイル420A,420Bから出力された誘起電力を、整流回路250を介して受け取って、変速制御機構部40から電力を回生し、変速制御機構部40のローター410の回転、すなわち、制御ギアとしての第4のサイドギア350の回転を制動する。なお、駆動制御部220とドライバー回路240とをまとめて「駆動回路」とも呼ぶ。また、回生制御部230と整流回路250とをまとめて「回生回路」とも呼ぶ。また、駆動制御部220を「駆動信号生成回路」とも呼ぶ。
(1)変速制御機構部の駆動回路の構成および動作
図4は、ドライバー回路240(図3)に含まれるA相ドライバー回路240AとB相ドライバー回路240Bの構成を示している。A相ドライバー回路240Aは、A相電磁コイル420Aに、交流の駆動信号DRVA1,DRVA2を供給するためのH型ブリッジ回路である。なお、駆動信号を示すブロックの端子部分に付されている白丸は、負論理であり信号が反転していることを示している。また、符号IA1,IA2が付された矢印は、A1駆動信号DRVA1とA2駆動信号DRVA2によって流れる電流方向をそれぞれ示している。B相ドライバー回路240Bの構成もA相ドライバー回路240Aの構成と同じである。なお、信号を反転させる負論理をなくし、H側のPチャネルMOS−FETを、L側と同様のNチャネルMOS−FETに変更すれば、周波数特性に優れた駆動を実現することもできる。
図5は、駆動制御部220(図3)の内部構成と動作を示す説明図である。駆動制御部220は、基本クロック生成回路510と、1/N分周器520と、PWM部530と、正逆方向指示値レジスタ540と、乗算器550と、符号化部560と、AD変換部570と、電圧指令値レジスタ580と、励磁区間設定部590とを備えている。なお、駆動制御部220は、A相用の駆動信号とB相用の駆動信号の両方を生成する回路であり、基本クロック生成回路510、1/N分周器520、および、正逆方向指示値レジスタ540は、A相とB相とで共通で用いられている。A相用とB相用とでそれぞれに存在するその他の構成要素は、図5(A)では図示の便宜上、A相用の回路構成のみとして描かれているが、B相用についても、A相用と同じ構成要素が駆動制御部220内に設けられている。以下の説明では、A相を例に説明することとする。
基本クロック生成回路510は、所定の周波数を有するクロック信号PCLを発生する回路であり、例えばPLL回路を含む周波数シンセサイザで構成される。1/N分周器520は、クロック信号PCLの1/Nの周波数を有するクロック信号SDCを発生する。Nの値は所定の一定値に設定される。このNの値は、予めCPU210によって1/N分周器520に設定される。PWM部530は、クロック信号PCL,SDCと、乗算器550から供給される乗算値Maと、正逆方向指示値レジスタ540から供給される正逆方向指示値RIと、符号化部560から供給される正負符号信号Paと、励磁区間設定部590から供給される励磁区間信号Eaとに応じて、駆動信号DRVA1,DRVA2(図5)を生成する。この動作については後述する。
正逆方向指示値レジスタ540内には、モーターの回転方向を示す値RIがCPU210によって設定される。本参考形態では、正逆方向指示値RIがLレベルのときにモーターが正転し、Hレベルのときに逆転する。PWM部530に供給される他の信号Ma,Pa,Eaは以下のように決定される。
A相の磁気センサー416Aの出力SSAは、AD変換部570に供給される。このセンサー出力SSAのレンジは、例えばGND(接地電位)からVDD(電源電圧)までであり、その中位点(=VDD/2)が出力波形の中位点(正弦波の原点を通る点)である。AD変換部570は、このセンサー出力SSAをAD変換して、センサー出力のデジタル値を生成する。AD変換部570の出力のレンジは、例えばFFh〜0h(語尾の"h"は16進数であることを示す)であり、中央値80hがセンサー波形の中位点に相当する。
符号化部560は、AD変換後のセンサー出力値のレンジを変換するとともに、センサー出力値の中位点の値を0に設定する。この結果、符号化部560で生成されるセンサー出力値Xaは、正側の所定の範囲(例えば+127〜0)と負側の所定の範囲(例えば0〜−128)の値を取る。但し、符号化部560から乗算器550に供給されるのは、センサー出力値Xaの絶対値であり、その正負符号は正負符号信号PaとしてPWM部530に供給される。
電圧指令値レジスタ580は、CPU210によって設定された電圧指令値Yaを格納する。この電圧指令値Yaは、後述する励磁区間信号Eaとともに、モーターの印加電圧を設定する値として機能するものであり、例えば0〜1.0の値を取る。仮に、非励磁区間を設けずに全区間を励磁区間とするように励磁区間信号Eaを設定した場合には、Ya=0は印加電圧をゼロとすることを意味し、Ya=1.0は印加電圧を最大値とすることを意味する。乗算器550は、符号化部560から出力されたセンサー出力値Xaと、電圧指令値Yaとを乗算して整数化し、その乗算値MaをPWM部530に供給する。
図5(B)〜(E)は、乗算値Maが種々の値を取る場合におけるPWM部530の動作を示している。ここでは、全期間が励磁区間であり非励磁区間が無いものと仮定している。PWM部530は、クロック信号SDCの1周期の間に、デューティがMa/Nであるパルスを1つ発生させる回路である。すなわち、図5(B)〜(E)に示すように、乗算値Maが増加するに従って、駆動信号DRVA1,DRVA2のパルスのデューティが増加する。なお、第1の駆動信号DRVA1は、センサー出力SSAが正のときにのみパルスを発生する信号であり、第2の駆動信号DRVA2はセンサー出力SSAが負のときにのみパルスを発生する信号であるが、図5(B)〜(E)ではこれらを合わせて記載している。また、便宜上、第2の駆動信号DRVA2を負側のパルスとして描いている。
図6(A)〜(C)は、センサー出力の波形とPWM部530で生成される駆動信号の波形の対応関係を示す説明図である。図中、「Hiz」は電磁コイルを未励磁状態としたハイインピーダンス状態を意味している。図5で説明したように、駆動信号DRVA1,DRVA2はセンサー出力SSAのアナログ波形をそのまま利用したPWM制御によって生成される。従って、これらの駆動信号DRVA1,DRVA2を用いて、各コイルに、センサー出力SSAの変化と対応するレベル変化を示す実効電圧を供給することが可能である。
PWM部530は、さらに、励磁区間設定部590から供給される励磁区間信号Eaで示される励磁区間のみに駆動信号を出力し、励磁区間以外の区間(非励磁区間)では駆動信号を出力しないように構成されている。図6(C)は、励磁区間信号Eaによって励磁区間EPと非励磁区間NEPを設定した場合の駆動信号波形を示している。励磁区間EPでは図6(B)の駆動信号パルスがそのまま発生し、非励磁区間NEPでは駆動信号パルスが発生しない。このように、励磁区間EPと非励磁区間NEPを設定するようにすれば、逆起電力波形の中位点近傍(すなわち、センサー出力の中位点近傍)においてコイルに電圧を印加しないので、モーターの効率をさらに向上させることが可能である。なお、励磁区間EPは、逆起電力波形のピークを中心とする対称な区間に設定されることが好ましく、非励磁区間NEPは、逆起電力波形の中位点(中心点)を中心とする対称な区間に設定されることが好ましい。
なお、前述したように、電圧指令値Yaを1未満の値に設定すれば、乗算値Maが電圧指令値Yaに比例して小さくなる。従って、電圧指令値Yaによっても、実効的な印加電圧を調整することが可能である。
上述の説明から理解できるように、本参考形態のモーターでは、電圧指令値Yaと、励磁区間信号Eaとの両方を利用して印加電圧を調整することが可能である。望ましい印加電圧と、電圧指令値Ya及び励磁区間信号Eaとの関係は、予め制御部200(図3)内のメモリー(不図示)にテーブルとして格納されていることが望ましい。こうすれば、制御部200が、望ましい印加電圧の目標値を受信したときに、CPU210がその目標値に応じて、電圧指令値Yaと、励磁区間信号Eaとを駆動制御部220に設定することが可能である。なお、印加電圧の調整には、電圧指令値Yaと、励磁区間信号Eaの両方を利用する必要はなく、いずれか一方のみを利用するようにしてもよい。
図7は、PWM部530(図5)の内部構成の一例を示すブロック図である。PWM部530は、カウンタ531と、EXOR回路533と、駆動波形形成部535とを備えている。これらは以下のように動作する。
図8は、モーター正転時のPWM部530の動作を示すタイミングチャートである。この図には、2つのクロック信号PCL,SDCと、正逆方向指示値RIと、励磁区間信号Eaと、乗算値Maと、正負符号信号Paと、カウンタ531内のカウント値CM1と、カウンタ531の出力S1と、EXOR回路533の出力S2と、駆動波形形成部535の出力信号DRVA1,DRVA2とが示されている。カウンタ531は、クロック信号SDCの1期間毎に、クロック信号PCLに同期してカウント値CM1を0までダウンカウントする動作を繰り返す。カウント値CM1の初期値は乗算値Maに設定される。なお、図8では、図示の便宜上、乗算値Maとして負の値も描かれているが、カウンタ531で使用されるのはその絶対値|Ma|である。カウンタ531の出力S1は、カウント値CM1が0で無い場合にはHレベルに設定され、カウント値CM1が0になるとLレベルに立ち下がる。
EXOR回路533は、正負符号信号Paと正逆方向指示値RIとの排他的論理和を示す信号S2を出力する。モーターが正転する場合には、正逆方向指示値RIがLレベルである。従って、EXOR回路533の出力S2は、正負符号信号Paと同じ信号となる。駆動波形形成部535は、カウンタ531の出力S1と、EXOR回路533の出力S2から、駆動信号DRVA1,DRVA2を生成する。すなわち、カウンタ531の出力S1のうち、EXOR回路533の出力S2がLレベルの期間の信号を第1の駆動信号DRVA1として出力し、出力S2がHレベルの期間の信号を第2の駆動信号DRVA2として出力する。なお、図8の右端部付近では、励磁区間信号EaがLレベルに立ち下がり、これによって非励磁区間NEPが設定されている。従って、この非励磁区間NEPでは、いずれの駆動信号DRVA1,DRVA2も出力されず、ハイインピーダンス状態に維持される。
図9は、モーター逆転時のPWM部530の動作を示すタイミングチャートである。モーター逆転時には、正逆方向指示値RIがHレベルに設定される。この結果、2つの駆動信号DRVA1,DRVA2が図9から入れ替わっており、この結果、モーターが逆転することが理解できる。
なお、本参考形態において、モーターの正転方向は、図2に示した制御ギアとしての第4のサイドギア350を時計周りに回転させる方向とし、逆転方向は、第4のサイドギアを反時計周りに回転させる方向とする。
図10は、励磁区間設定部590の内部構成と動作を示す説明図である。図10(A)に示すように、励磁区間設定部590は、電子可変抵抗器592と、電圧比較器594,596と、OR回路598とを有している。電子可変抵抗器592の抵抗値Rvは、CPU210によって設定される。電子可変抵抗器592の両端の電圧V1,V2は、電圧比較器594,596の一方の入力端子に与えられている。電圧比較器594,596の他方の入力端子には、センサー出力SSAが供給されている。電圧比較器594,596の出力信号Sp,Snは、OR回路598に入力されている。OR回路598の出力は、励磁区間と非励磁区間とを区別するための励磁区間信号Eaである。
図10(B)は、励磁区間設定部590の動作を示している。電子可変抵抗器592の両端電圧V1,V2は、抵抗値Rvを調整することによって変更される。具体的には、両端電圧V1,V2は、電圧レンジの中央値(=VDD/2)からの差分が等しい値に設定される。センサー出力SSAが第1の電圧V1よりも高い場合には第1の電圧比較器594の出力SpがHレベルとなり、一方、センサー出力SSAが第2の電圧V2よりも低い場合には第2の電圧比較器596の出力SnがHレベルとなる。励磁区間信号Eaは、これらの出力信号Sp,Snの論理和を取った信号である。従って、図10(B)の下部に示すように、励磁区間信号Eaは、励磁区間EPと非励磁区間NEPとを示す信号として使用することができる。励磁区間EPと非励磁区間NEPの設定は、CPU210が可変抵抗値Rvを調整することによって行なわれる。
図11は、符号化部の動作とタイミングチャートを示す説明図である。ここでは、A相用の符号化部560(図5)を例にとり説明する。符号化部560は、ADC部570(図6)からADC信号を受け取り、センサー出力値Xaと正負符号信号Paを生成する。ここで、センサー出力値Xaは、ADC信号を+127〜−128にシフトし、その絶対値を取った値である。また、正負符号信号Paについては、ADC信号の値が0よりも小さい場合に正負符号信号PaをH、ADC信号の値が0よりも大きい場合に正負符号信号PaをLとしている。なお、正負符号信号Paの正負は、逆であってもよい。
図12は、変速制御機構部40の駆動波形を示す説明図である。図12(A)は、変速制御機構部40の回転動作に伴ってA相の電磁コイル420Aに発生する誘起電圧波形に対応するA相の磁気センサー416Aのセンサー出力SSAの波形を示している。図12(B)は、変速制御機構部40の駆動のための励磁区間EPを規定する励磁区間信号Eaの波形(以下、「WC制御波形」とも呼ぶ)を示している。図12(C)は、WC制御波形が図12(B)に示すときの、変速制御機構部40に印加されるPWM駆動波形(アナログ)を示している。図12(D)は、WC制御波形が図12(B)に示すときの、変速制御機構部40に印加されるPWM駆動波形(デジタル)を模式的に示している。図12(A)に示すように、誘起電圧波形に対応するセンサー出力波形は、ほぼ正弦波である。WC制御波形の活性期間(励磁区間EP)の中心は、図12(A)に示す誘起電圧波形が最大値を示す位相と同じである。図12(B)に示すように、図12(A)の誘起電圧波形がほぼゼロになる位相では、WC制御波形は非活性期間(非励磁区間NEP)となる。従って、図12(C)に示すアナログのPWM駆動波形は、励磁区間EPでは誘起電圧波形とほぼ相似となり、非励磁区間NEP、すなわち、図12(A)の誘起電圧波形がほぼゼロになる位相ではほぼゼロになっている。
図12(E)は、図12(B)に示すWC制御波形の活性期間を狭めた波形を示している。図12(F)は、WC制御波形が図12(E)に示すときの、変速制御機構部40に印加されるPWM駆動波形(アナログ)を示している。図12(G)は、WC制御波形が図12(E)に示すときの、変速制御機構部40に印加されるPWM駆動波形(デジタル)を模式的に示している。図12(F)に示すPWM駆動波形は、WC制御波形が非活性の状態(非励磁区間NEP)では、ゼロとなっている。また、図12(D)と図12(F)を比較すれば明らかなように、WC制御波形の活性期間(励磁区間EP)が短いほど、パルスの数が少なくなっている。
以上のように、励磁区間EPの幅を制御することにより、変速制御機構部40に印加するPWM駆動波形を制御することができ、これに応じて変速制御機構部40の駆動状態を制御することができる。
なお、図12は、励磁区間EPの幅を制御することにより、変速制御機構部40に印加する駆動波形を制御することを示したが、図5において説明したように、乗算値Maを制御することによってもPWM駆動波形を制御することができ、これに応じて変速制御機構部40の駆動状態を制御することができる。また、両方を組み合わせて制御することにより、変速制御機構部40の駆動状態をより精細に制御することも可能である。
(2)回生回路の構成および動作
図13は、図3に示した回生制御部230と整流回路250の内部構成を示す説明図である。回生制御部230は、A相回生制御部230AとB相回生制御部230Bと、を備えている。また、整流回路250は、A相整流回路部250AとB相整流回路部250Bとを備えている。A相回生制御部230AおよびA相整流回路250Aの構成と、B相回生制御部230BとB相整流回路250Bの構成とは同じであるので、以下では、A相を例にとり説明する。
A相回生制御部230Aは、バス212に接続されたA相充電切換部432Aと、A相PWM制御部434Aと、A相NAND回路436Aと、を備えている。A相NAND回路436Aの3つの入力端子には、A相充電切換部432Aの出力と、A相PWM制御部434Aの出力MPaと、CPU210から出力される回生許可信号ERと、が与えられる。
A相充電切換部432Aは、A相電磁コイル420Aからの回生電力を回収する場合には「1」レベル(Hレベル)の信号を出力し、回収しない場合には「0」レベル(Lレベル)の信号を出力する。
A相PWM制御部434Aは、図5に示した駆動制御部220の励磁区間設定部590を回生区間設定部590Rに置き換えた点を除いて同様の構成を用いることができる。図14は、A相PWM制御部434Aにおける回生区間設定部590Rの内部構成を示す説明図である。図14(A)に示すように、回生区間設定部590Rは、図11(A)の励磁区間設定部590に加えてEXOR回路599を備えている。EXOR回路599の入力端子には、OR回路598の出力(励磁区間信号Ea)と、CPU210からの回生区間切換信号INVとが与えられる。EXOR回路599の出力が回生期間信号REaとして、励磁区間信号Eaの代わりにPWM部530(図5)に与えられる。
図14(B)に示すように、回生区間切換信号INVがLレベル(:0)の場合には、図10に示した場合と同様に、回生期間信号REaは、センサー出力SSAがピークとなる位相を中心とする期間が回生の活性区間としての回生区間REPとなり、センサー出力SSAが0となる位相を中心とする期間が回生の非活性区間としての非回生区間NREPとなる。これに対して、回生区間切換信号INVがHレベル(:1)の場合には、センサー出力SSAが0となる位相を中心とする期間が回生区間REPとなり、センサー出力SSAがピークとなる位相を中心とする期間が非回生区間NREPとなる。
従って、A相PWM制御部434Aでは、後述するように、回生区間切換信号INVに応じて、回生区間REPと非回生区間NEPの位相が切り換えられ、A相PWM駆動波形MPaの出力期間が切り換えられる。
A相NAND回路436Aの入力端子には、上記したように、A相充電切換部432Aの出力、回生許可信号ER、および、A相PWM駆動制御部434Aの出力であるA相PWM駆動波形MPaが与えられている。従って、A相NAND回路436Aは、回生許可信号ERおよびA相充電切換部432Aの出力がHレベル(INV:1)となり、回生電力の回収を実行し、変速制御機構部40の回転を制動する場合には、A相PWM駆動波形MPaに対応するA相マスク信号MSKAを出力する。
A相整流回路250Aは、A相電磁コイル用の回路として、複数のダイオードを含む全波整流回路451と、2つのゲートトランジスター461,462と、バッファー回路471と、インバーター回路472(NOT回路)とを有している。なお、B相用にも同じ回路が設けられている。ゲートトランジスター461,462は、回生用の電源配線480に接続されている。また、複数のダイオードとしては、低Vf特性に優れたショットキーダイオードを用いることが好ましい。
電力回生時にA相電磁コイル420Aで発生した交流電力は、全波整流回路451で整流される。ゲートトランジスター461,462のゲートには、A相電磁コイル用のA相マスク信号MSKAとその反転信号が与えられており、これに応じてゲートトランジスター461,462がオン/オフ制御される。従って、A相PWM制御部434Aから出力されたA相PWM駆動波形MPaのHレベルの期間では回生電力が電源配線480に出力され、一方、A相PWM駆動波形MPaのLレベルの期間では電力の回生が禁止される。
以上の説明から理解できるように、回生制御部230と整流回路250を用いて、回生電力を回収し、変速制御機構部40の動作を制動することが可能である。また、回生制御部230と整流回路250は、A相電磁コイル用のマスク信号MSKA及びB相電磁コイル用のマスク信号MSKBに応じて、A相電磁コイル420AとB相電磁コイル420Bからの回生電力を回収する期間を制限し、これによって回生電力の量を調整することが可能である。この回生電力の量を調整することにより、変速制御機構部40の回転を制動量を調整することが可能である。
なお、上記したように、回生制御は回生区間REPで実行され、この回生区間REPは回生区間切換信号INVにより切り換えられる。すなわち、回生制御には2つのモードが設けられている。CPU210は、回生区間切換信号INVを生成し、回生制御モードを切り換える。回生区間切換信号INVがLレベルのとき、励磁区間信号Eaと回生期間信号REaとは同じ論理である。このとき、CPU210は、電気角π/2,3π/2点の誘起電圧が大きな領域を中心に回生電流を流す。一方、回生区間切換信号INVがHの時、励磁区間信号Eaと回生区間REaの論理が逆であり、CPU210は、電気角0,π点の誘起電圧が小さな領域を中心に回生電流を流す。このように、CPU210は、回生区間切換信号INVを用いて、励磁区間信号Eaの論理を維持または反転させることにより回生区間REPを生成し、電気角0,π,2π(誘起電圧波形のゼロクロス点)を中心とする回生区間と、電気角π/2,3π/2(誘起電圧波形の極大)を中心とする回生区間とを切り換えることが出来る。B相についても同様である。
図15Aは、回生区間REPの幅が大きいときに実行される回生モードにおけるエネルギーの回生パターンを示す説明図である。図15Aにおいて、EPWMの値は、電気角2πの間の回生区間REPの大きさの割合を示す。回生区間REPの幅が大きいときには、誘起電圧波形のピークを中心とした回生区間を有する回生期間信号REaを生成し、回生区間REPの幅が小さいときには、誘起電圧波形のゼロクロス点を中心とした回生区間を有する回生期間信号REaを生成し、電磁コイル420(図13)からエネルギーを回生する。CPU210は、変速装置10の入力回転数や出力回転数、各種要求等に応じてEPWMの大きさや2つの回生モードを切り換え、様々な回生モードで回生を実行する。なお、EPWMの大きさの変更は、CPU210が、図14に示す回生区間設定部590Rの電子可変抵抗器592の電気抵抗の大きさを変えることにより行うことが出来る。
図15A(A)は、電磁コイル420に生じる誘起電圧波形を示す。なお、この誘起電圧波形は、EPWMの値に依存しない。図15A(B)は、EPWMが95%の時における回生期間信号REaの波形(以下、「WC制御波形」とも呼ぶ)を示している。回生区間REP(Hレベル)において、エネルギーの回生を行うことが出来る。本例において回生区間REPは、誘起電圧波形(図15A(A))のピーク(極大値)を中心とした区間である。この区間を、「第2の回生区間」とも呼ぶ。図15A(C)は、回生エネルギーをアナログ電圧で示した回生波形を示す。図15(D)は、PWM回生のためにゲートトランジスター461,462に与えられるPWMパルスを含むマスク信号MSKを示す。本参考形態では、エネルギーの回生をPWMパルスを利用して行っている。図15(E)は、回生波形が高電圧の場合のPWM回生波形を示し、図15(F)は、回生波形が低電圧の場合のPWM回生波形回生波形を示している。
図15A(G)〜(K)は、それぞれ、EPWMが40%以上の時のWC制御波形、回生波形、マスク信号、PWM回生波形(高電圧)、PWM回生波形(低電圧)を示す。回生区間REPを短くする(EPWMの値を小さくする)と、図15A(E)と図15A(J)との比較で分かるように、PWM回生波形の細いパルスから消失していく。このように、PWM回生波形において、細いPWMパルスから消失していく場合、細いPWMパルスが消失しても、回生エネルギーの大きな変動は起こり難い。すなわち、回生において、動作が、ぎくしゃくし難い。
ここで、回生区間REPを誘起電圧波形(図15A(A))のピーク(極大値)を中心とした区間を維持したままEPWMの値がさらに小さくされると、誘起電圧波形(図15A(A))のピーク近傍の大きなPWMパルスが消失することになる。かかる場合、回生エネルギーの大きな変動がおこるため、回生において、動作が、ぎくしゃくする場合がある。また、逆に、回生区間REPを誘起電圧波形のピークを中心とした区間を維持したままEPWMの値を大きくしていった場合、回生区間REPの幅が0から少し大きくした状態でも、大きなPWMパルスが発生することになり、回生エネルギーの大きな変動がおこるため、回生において、動作が、ギクシャクする場合がある。そこで、EPWMの値が小さく、回生区間REPの幅が小さい場合には、以下で説明するようにして回生制御を行なうことが好ましい。
図15Bは、回生区間REPの幅が小さいときのエネルギーの回生パターンを示す説明図である。図15Bにおいて、EPWMの値は、電気角2πの間の回生区間REPの大きさの割合を示すのは、図15Aと同じである。図15B(A)の誘起電圧波形は、図15(A)の誘起電圧波形と同じである。本例では、EPWMの値が小さい値となると、回生区間REPの中心を、誘起電圧波形のゼロクロス点とする。ここで、ゼロクロス点を中心とした回生区間REPを、請求項では、「第1の回生区間」と呼んでいる。
図15B(B)〜(F)は、それぞれ、EPWMが30%の時のWC制御波形、回生波形、マスク信号、PWM回生波形(高電圧)、PWM回生波形(低電圧)を示す。図15A(H)と図15B(C)とを比較すると分かるように、EPWMが40%以上の時は、誘起電圧波形のピーク中心に回生波形が生じているのに対し、EPWMが30%の時は、誘起電圧波形のゼロクロス点を中心に回生波形が生じている。次に、図15A(J)と図15B(E)とを比較すると分かるように、EPWMが40%以上の時は、誘起電圧波形のゼロクロス点に近い細いPWMパルスが消失しているのに対し、EPWMが30%の時は、誘起電圧波形のピーク中心に近い太いPWMパルスが消失している。
図15B(G)〜(K)は、それぞれ、EPWMが5%の時のWC制御波形、回生波形、PWM回生波形(高電圧)、PWM回生波形(低電圧)を示す。図15B(E)と図15B(J)とを比較すると分かるように、EPWMが30%から5%に小さくなると、誘起電圧波形のピーク中心に近い太いPWMパルスと誘起電圧波形のゼロクロス点に近い細いPWMパルスとの間のほぼ中間の大きさのPWMパルスから消失している。
以上をまとめると、EPWMが40%以上のときは、EPWMの値が小さくなるにつれて、誘起電圧波形のゼロクロス点に近い細いPWMパルスから順番にほぼ中間の大きさのPWMパルスまで消失する。そして、EPWMが30%以下の時は、EPWMの値が小さくなるにつれて、中間の大きさのPWMパルスから誘起電圧波形のゼロクロス点に近い細いPWMパルスの順番にPWMパルスが消失していく。
以上説明したように、EPWMが小さくなるときに、細いPWMパルスから順に中間の大きさのPWMパルスまでを消失させ、WC制御波形の活性中心を切り替えた後は、中間の大きさのPWMパルスから順に細い大きさのPWMパルスまでを消失させていくので、EPWMの大きさが変化したときの回生エネルギーの変化、およびこれに伴う負荷の変化を小さくすることができる。その結果、回生の動作や、これに伴う負荷変動がぎくしゃくすることを抑制することができる。なお、EPWMを大きくしていく場合も同様である。すなわち、細いPWMパルスから中間の大きさまでのPWMパルスが付加されていくので、この場合においても、回生の動作や、これに伴う負荷変動がぎくしゃくすることを抑制することができる。
図16Aから図16Dは、EPWMの値と回生エネルギーの回収率のバリエーションを示す説明図である。図16Aに示す例は、CPU210は、回生期間の全領域を、ゼロクロス点を中心としたWC制御波形の回生区間(第1の回生区間)で構成した例である。EPWMが100%の時は、ゼロクロス点を中心とし場合の回生区間と、誘起電圧波形のピークを中心とした回生区間(第2の回生区間)は同じとなる。本例によれば、回生エネルギーが小さいときは、回生区間が変化したときの回生エネルギー量の変化が小さく、回生エネルギー量が大きいときは、回生区間が変化したときの回生エネルギー量の変化が大きい。すなわち、回生エネルギー量に対する回生エネルギーの変化の割合(変化率)を、回生区間の大きさによらずほぼ一定とすることができるので、変速制御機構部40の回生時において滑らかに動作させることができる。
図16Bに示す例は、CPU210は、EPWMの値がx1になったときに、第1の回生区間と、第2の回生区間を切り替える。切り替え時の回生エネルギーの回収率は、第1の回生区間ではy21であり、第2の回生区間では、y22である。切り替え時の回生エネルギーの変化は、|y21−y22|である。|y21−y22|の値が小さければ、第1の回生区間と第2の回生区間が切り替わっても、回生の動作がぎくしゃくしない。また、回生制御部230は、回生エネルギー量が小さいときは、電磁コイルに生じる誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間で回生を行い、回生エネルギー量が大きいときは、電磁コイルに生じる誘起電圧の極大点を中心とした第2の回生区間で回生を行うので、変速制御機構部40の回生時において滑らかに動作させることができる。
図16Cに示す例は、EPWMを大きくしていくときにおいて、CPU210は、EPWMの値がx2になったときに、第1の回生区間から第2の回生区間に切り替え、EPWMを小さくしていくときにおいて、EPWMの値がx1になったときに、第2の回生区間から第1の回生区間に切り替える。ここで、第1の回生区間と第2の回生区間との切り替え時において、回生エネルギーの回収率は、y21であり、回生エネルギーは、連続している。このように、回生エネルギーを連続させると、より滑らかに回生を行うことが出来る。
また、図16Cの例によれば、回生制御部230は、回生期間が短く回生するエネルギー量が小さいときは、電磁コイル420に生じる誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間で回生を行い、回生期間が長く回生エネルギー量が大きいときは、電磁コイル420に生じる誘起電圧の極大点を中心とした第2の回生区間で回生を行うので、変速制御機構部40の回生時において滑らかに動作させることができる。また、回生制御部230は、第1の回生モードと前記第2の回生モードの切り換え時において、切り換え前後の回生されるエネルギー量が同じ値となるように、切り換えるので、切り換え前後の回生エネルギー量が連続し、電気機械装置の回生時において滑らかに動作させることができる。
図16Dに示す例は、図16Bに示す例と、図16Cに示す例の中間である。図16Dに示す例では、CPU210は、EPWMを大きくしていくときにおいて、EPWMの値がx2になったときに、第1の回生区間から第2の回生区間に切り換える。ここまでは、図16B、図16Cと同じである。図16Bに示す例では、CPU210は、第1の回生区間から第2の回生区間に切り替える時に、EPWMの大きさをx2のまま変えずにエネルギーの回収率をy21からy22に上げている。また、図16Cに示す例では、CPU210は、第1の回生区間から第2の回生区間に切り替える時に、回生エネルギーの回収率をy21のまま変えずに、EPWMの大きさをx2からx1に大きくしている。これに対し、図16Dに示す例では、CPU210は、EPWMの大きさをx2からx3(x3>x1)に小さくすると共に、回生エネルギーの回収率をy21からy32(y32<y22)に上げている。このようにしても第1の回生区間と第2の回生区間との間に回生エネルギーの差が小さいので、回生の動作がぎくしゃくしない。なお、CPU210は、EPWMの値を小さくしていくときは、EPWMの値がx3に達したときに、第2の回生区間から第1の回生区間に切り替える。このとき、新たなEPWMの値をx2とし、回生エネルギーの回収率をy32からy21に減少させる。
図16Dの例によれば、回生期間が短く回生するエネルギー量が小さいときは、電磁コイル420に生じる誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間で回生を行い、回生期間が長く回生エネルギー量が大きいときは、電磁コイル420に生じる誘起電圧の極大点を中心とした第2の回生区間で回生を行うので、変速制御機構部40の回生時において滑らかに動作させることができる。また、第1の回生モードから第2の回生モードへの切り換えるときに、切り換え前後の回生エネルギーの変化を少なくすることができるので、変速制御機構部40の回生時において滑らかに動作させることができる。
図16A〜Dに示すように、EPWMと回生エネルギーの回収率の間には、様々なパターンを採用することができる。なお、第1の回生区間と第2の回生区間の切り換えは、回生区間切換信号INVの値により行うことができる。図16B,Dにおいて、第1の回生区間と第2の回生区間が重なっている場合には、第1,第2のどちらの回生モード、回生区間を用いてもよい。
なお、上記説明では、EPWMの値から回生エネルギーの回生を考えたが、逆に回生エネルギーから、第1の回生区間と第2の回生区間とを切り換えるEPWMの値を考えてもよい。例えば、CPU210は、回生エネルギーの回収率が100%〜50%までのときは、第2の回生区間でエネルギーを回生し、回生エネルギーの回収率が50%〜0%までのときは、第1の回生区間でエネルギーを回生してもよい。
以上説明したように、EPWMの値が小さいとき、あるいは、回生エネルギーの回収率が小さいときには、第1の回生区間によりエネルギーの回生を行い、EPWMの値が大きいとき、あるいは、回生エネルギーの回収率が大きいときには、第2の回生区間によりエネルギーの回生を行うと、エネルギーの回生時において、ぎくしゃくした動作を抑制することができる、なお、EPWMや回生エネルギーの回収率の具体的な値は、一例であり、個々のモーターにおいて、その特性に応じて様々な値を採用することが出来る。また、全区間を第1の回生区間によりエネルギーの回生を行ってもよい。
なお、上記説明では、変速装置10の外部に制御部200を備えるものとして説明したが、この制御部200を変速装置10の回路基板417上に、あるいは、回路基板417とは別の回路基板上に、制御部200のCPU210と外部との間の通信を実行する通信部とともに実装して、ケーシング20内に備えるようにしてもよい。この場合には、外部から送信されたコマンド指令に応じて変速装置を動作させることができる。
A3.変速制御動作:
図17は、変速機構部30の各ギアの回転数の関係を示す説明図である。まず、制御ギアとしての第4のサイドギア350(以下、ここでは「制御ギア350」とも呼ぶ)の回転(制御回転)が、入力ギアとしての第3のサイドギア340(以下、ここでは「入力ギア340」とも呼ぶ)の回転(入力回転)と同じ回転数で時計周りの回転となっている場合を想定する。この場合には、出力ギアとしての第1,第2のサイドギア320,330(以下、ここでは「出力ギア320,330」とも呼ぶ)にはそれぞれピニオン軸310の軸心Syを中心とする自転は発生せず、入力ギア340および制御ギア350の回転に伴って、出力軸14の軸心Sxを中心として入力ギア340および制御ギア350の回りを周回する時計周りの公転が発生する、と考えられる。例えば、図17の点線で示すように、入力回転数Ns=+N1で、制御回転数Nr=+N1ならば、出力回転数Nc=+N1となる。なお、符号+は入力側からみた時計周りの回転を意味しており、符号−は入力側からみた反時計周りの回転を意味している。
同様に、制御ギア350の制御回転が、入力ギア340の入力回転と同じ回転数で反時計周りの回転数となっている場合を想定する。この場合には、出力ギア320,330には互いに反対向きの自転のみが発生し、公転、すなわち出力回転は0となる、と考えられる。例えば、図17の太い実線で示すように、入力回転数Ns=+N1で、制御回転数Nr=−Nr1ならば、出力回転数Nc=0となる。
以上の動作から、出力ギア320,330の公転に相当する出力回転には、出力ギア320,330の歯数は関係しないと考えられる。そして、入力回転数Nsと出力回転数Ncと制御回転数Nrとの関係は、入力ギア340の歯数msと、入力ギア340の歯数に等しい歯数を有する制御ギア350の歯数mrと、を用いて、下式(1),(2)で表される、と考えられる。
Nc=Ns・(ms/(mr+ms))+Nr・(mr/(mr+ms))=(Ns+Nr)/2 ・(1)
Nr=((mr+ms)/ms)・(Nc−Ns・ms/(mr+ms))=2・Nc−Ns ・(2)
上記(1)式からわかるように、出力回転数Ncは、入力ギア340の入力回転数Nsと、制御ギア350の制御回転数Nrとを平均した回転数となり、入力ギア340の入力回転数Nsが一定(Ns=+N1)であるとすると、制御ギア350の制御回転数Nr、すなわち、変速制御機構部40による制御ギア350の回転状態に応じて無段階で制御することができる。
ここで、制御ギア350の回転が変速制御機構部40によって何ら制御されていない場合には、制御ギア350はフリー回転状態となり、制御ギア350の回転は、入力回転数Nsと同じ制御回転数Nrで反時計周りの回転となる。この場合の変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に太い実線で示した直線の関係となる。すなわち、制御ギア350は、その制御回転数Nrの大きさが入力回転数Ns=+N1と同じ大きさであるが、逆向きの反時計周りに回転する(Nr=−N1)。このとき、出力ギア320,330には公転は発生せずに自転のみが発生し、出力回転数Ncは、上記(1)式から0となる。
制御ギア350の制御回転数NrがNr=0で停止状態である場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は図17に破線で示した直線関係となる。この場合、出力ギア320,330の出力回転数Ncは、上記(1)式から求められる回転数+N1/2(Ns=+N1,Nr=0)、すなわち、入力回転数Ns=+N1を1/2に減速した回転数となる。
ここで、この制御ギア350の回転の停止状態は、入力ギア340から出力ギア320,330を介して伝達される回転力に応じて制御ギア350に発生する反時計周りの回転力を相殺するための制動力が制御ギア350に加えられるように、変速制御機構部40を回生あるいは駆動制御することによって実現される。
制御ギア350がフリー回転状態(Nr=−N1)から停止状態(Nr=0)までの間で反時計周りに回転している状態の場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に一点鎖線で示した直線関係となる。制御ギア350の制御回転数NrをNr=−Nr1(0<Nr1<N1)とすると、出力回転数Ncは、上記(1)式から+Nc1(=(N1−Nr1)/2)となり、制御回転数Nr=−Nr1の大きさに応じて0〜+N1/2の間の任意の値となる。なお、出力回転数Ncを0〜+N1/2の間の任意の回転数+Nc1とするためには、制御ギア350の制御回転数Nrが上記(2)式から求められる回転数−Nr1(=2・Nc1−N1)で反時計周りに回転するように、具体的には、制御ギア350が制御回転数Nr=−N1で反時計周りに回転しようとするのに応じて反時計周りに回転しようとする変速制御機構部40の回転を回生制御により制動するようにすればよい。
制御ギア350が任意の制御回転数Nr=+Nr2で時計周りに回転している場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に二点鎖線で示した直線関係となる。そして、この場合の出力回転数Ncは、上記(1)式から+Nc2(=(N1+Nr2)/2)となり、制御回転数Nr=+Nr2の大きさに応じて入力回転数Ns=+N1を任意の回転数に変速した時計周りの回転となる。なお、制御回転数NrがNr=+N1の場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は図17に点線で示した直線関係となり、出力回転数NcはNc=+N1となる。また、制御回転数NrがNr=+2・N1の場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は図17に二点鎖線で示した直線関係となり、出力回数NcはNc=+N・3/2となる。なお、出力回転数Ncを+N1/2以上の任意の回転数+Nc2とするためには、制御ギア350の制御回転数Nrが上記(2)式から求められる回転数+Nr2(=2・Nc2−N1)で時計回りに回転するように、変速制御機構部40の回転を時計周りで駆動制御すればよい。
制御ギア350がフリー回転状態の回転数Nr=−N1よりも大きい任意の回転数−Nr3で反時計周りに回転している場合には、変速機構部30における変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に実線で示した直線関係となる。そして、この場合の出力回転数Ncは、上記(1)式から−Nc3(=(N1−Nr3)/2)となり、制御回転数NrがNr=回転数−Nr3の大きさに応じて入力回転の回転数+N1を0以上の任意の回転数に変速した反時計周りの回転の回転数となる。なお、出力回転の回転数NCを反時計周りの任意の回転数−Nc3とするためには、制御ギア350の回転数Nrが上記(2)式から求められる回転数−Nr3(=−2・Nc3−N1)で反時計回りに回転するように、変速制御機構部40の回転を反時計周りで駆動制御すればよい。
ここで、出力回転数Ncを0から+N1/2に変化させる場合には、上記したように、制御ギア350の制御回転数Nrが−N1から0に減速(制動)するように変速制御機構部40を回生制御すればよい。しかしながら、回生区間の幅を、減速の度合い(制動の度合い)に応じた回生量が得られる大きさに設定して、回生を実行したとすると、急激な負荷変動によって急激な動作変動が発生することになり、動作がぎくしゃくしてしまう。そこで、本例では、上記で説明した回生制御動作(図13〜図16)を用いる。具体的には、まず、回生の初期段階では、第1の回生モードとし、回生区間REPの幅を変化させても回生量の変化が小さな、誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間で回生を行うこととし、回生区間REPの幅を徐々に変化させて回生量を増やしていく。その後、第2の回生モードとして、誘起電圧のピーク点を中心とした第2の回生区間で回生を行うこととし、回生区間REPの幅を徐々に変化させて回生量を増やしていくことにより、回生を実行する。この場合に、切り換えの直前における第1の回生区間の幅よりも、切り換えの直後の第2の回生区間の幅を小さく設定して、切り換え前後における回生量に差が発生しないようにするのが好ましい。特に、切り換え前後の回生されるエネルギー量が同じ値となって連続するように、切り換え直後の第2の回生区間の幅を設定することが好ましい。また、第2の回生モードで回生を実行している間に、徐々に回生量が減少していった場合には、第2の回生モードから第1の回生モードに切り換えを行うようにすればよい。この場合に、切り換えの直前における第2の回生区間の幅よりも、切り換えの直後の第1の回生区間の幅を大きく設定して、切り換え前後における回生量に差が発生しないようにするのが好ましい。特に、切り換え前後の回生されるエネルギー量が同じ値となって連続するように、切り換え直後の第1の回生区間の幅を設定することが好ましい。
なお、上記説明は、出力回転数Ncを0から+N1/2に変化させるために、制御ギア350の制御回転数Nrを−N1から0に減速(制動)させる場合を例に説明したが、出力回転数Ncを+Nc2から+N1/2に変化させるために、制御ギア350の制御回転数Nrを+Nr2から0に減速させる場合等、制御ギア350の制御回転数Nrを減速させる場合において、同様も制御すればよい。
また、上記説明は回生により回転を減速(制動)させる場合を例に説明したが、回転を増速させる場合においても、同様に、励磁区間の幅を徐々に変化させていき、滑らかに加速していくことが好ましい。
以上のようにすれば、滑らかな負荷変動を実現することができ、滑らかな変速動作およびトルク変化を実現し、動作がぎくしゃくしてしまうことを防止することが可能である。
A4.効果:
本参考形態の変速装置10では、入力軸12と出力軸14とを同一の軸心Sx上に配置し、第1,第2のサイドギア320,330のピニオン軸310に接続された出力軸14を、第4のサイドギア350の中央部に設けられた貫通孔352を介し、変速機構部30の外部に出力する構成としている。これにより、軸心Sxに直交する軸心Syの方向のサイズを小型化することが可能である。また、本参考形態の変速装置10では、無段階で連続的かつ滑らかに変速動作を実現することが可能であり、これに伴って無段階で連続的かつ滑らかにトルクの伝達量を変化させることが可能である。
なお、上記第1,第2のサイドギア320,330の形状として、かさ歯車を前提として説明したが、これに限定されるものではなく、はすば歯車、やまば歯車、まがりばかさ歯車、すぐばかさ歯車、マイタ歯車、内歯車等種々の形状を用いることができる。また、第3,第4のサイドギア340,350の形状は、第1,第2のサイドギア320,330に噛合するように、第1,第2のサイドギア320,330の形状に応じた形状とすればよい。
B.第2参考形態:
図18は、第2参考形態としての変速装置を示す概略断面図である。この変速装置10Bは、第1参考形態の変速装置10の入力軸12を出力軸(本例では、「出力軸12」と呼ぶ)として被駆動部に接続し、出力軸14を入力軸(本例では、「入力軸14」と呼ぶ)として駆動部に接続する構成とした点が異なっており、これに応じて各ギアの回転数の関係が異なっている点を除いて、第1参考形態の変速装置10と同様である。
図19は、第2参考形態における変速機構部30の各ギアの回転数の関係を示す説明図である。まず、制御ギアとしての第4のサイドギア350(以下、ここでは「制御ギア350」とも呼ぶ)の回転(制御回転)が、入力ギアとしての第1,第2のサイドギア320,330(以下、ここでは「入力ギア320,330」とも呼ぶ)の公転(入力回転)と同じ回転数で時計回りの回転となっている場合を想定する。この場合には、入力ギア320,330の自転は発生せず、入力ギア320,330の公転に伴って、第3のサイドギア340(以下、ここでは「出力ギア340」とも呼ぶ)に、入力回転と同じ回転数で時計周りの回転(出力回転)が発生する、と考えられる。例えば、図19の実線で示すように、入力回転数Ns=+N1で、制御回転数Nr=+N1ならば、出力回転数Nc=+N1となる。なお、符号+は出力側からみた時計周りの回転を意味しており、符号−は出力側から見た反時計周りの回転を意味している。
同様に、制御ギア350の制御回転が停止状態の場合には、入力ギア320,330には、入力回転の回転数に等しい公転と共に、互いに反対向きの自転が発生し、出力ギア340には、入力回転数の2倍の回転数で同じ時計周りの出力回転が発生する、と考えられる。例えば、図19の太い実線で示すように、入力回転数Ns=+N1で、制御回転数Nr=0ならば、出力回転数Nc=+2・N1となる。
以上の動作から、出力ギア340の出力回転には、入力ギア320,330の歯数は関係しないと考えられる。そして、入力回転数Nsと出力回転数Ncと制御回転数Nrとの関係は、出力ギア340の歯数mcと、出力ギア340の歯数に等しい歯数を有する制御ギア350の歯数mrと、を用いて、下式(3),(4)で表される、と考えられる。
Nc=((mr+mc)/mc)・(Ns−Nr・(mr/(mr+ms))=2・(Ns−Nr/2) ・(3)
Nr=((mr+mc)/mc)・(Nc−Ns・(mc/(mr+mc))=(2・Ns−Nc) ・(4)
上記(3)式からわかるように、出力回転数Ncは、入力ギア320,330の公転に対応する入力回転数Nsと制御ギア350の制御回転数Nrの1/2の回転数Nr/2との差の2倍の回転数となり、入力ギア340の入力回転数Nsが一定(Ns=+N1)であるとすると、制御ギア350の制御回転数Nr、すなわち、変速制御機構部40による制御ギア350の回転状態に応じて無段階で制御することができる。
ここで、制御ギア350の回転が変速制御機構部40によって何ら制御されていない場合には、制御ギア350はフリー回転状態となり、制御ギア350の回転は、入力ギア320,330の入力回転数Nsと同じ制御回転数Nrで時計周りの回転となる。この場合の変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に実線で示した直線の関係となる。この場合、制御ギア350は、その制御回転数Nrの大きさが入力回転数Ns=+N1と同じ大きさで、同じ向きの時計周りに回転する(Nr=+N1)。このとき、入力ギア320,330には、自転は発生せず、出力ギア340の出力回転数Ncは、上記(1)式から求められる回転数+N1、すなわち、入力回転と同じ時計周りで同じ大きさの回転数となる。
制御ギア350の制御回転数NrがNr=0で停止状態である場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に太い実線で示した直線関係となる。この場合、出力ギア340の出力回転数Ncは、上記(1)式から求められる回転数+2・N1(Ns=+N1,Nr=0)、すなわち、入力回転と同じ時計回りで、入力回転数Ns=+N1の2倍の大きさの回転数となる。
ここで、この制御ギア350の回転の停止状態は、入力ギア320,330から伝達される回転力に応じて制御ギア350に発生する時計周りの回転力を相殺するための制動力が制御ギア350に加えられるように、変速制御機構部40を回生あるいは駆動制御することによって実現される。
制御ギア350が制御回転数Nr=+2・N1で時計周りに回転している場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に破線で示した直線関係となる。この場合、出力ギア340の出力回転数Ncは、上記(1)式からNc=0(Ns=+N1,Nr=+2・N1)となる。なお、出力回転数Ncを0とするためには、制御ギア350の制御回転数Nrが上記(2)式から求められるフリー回転状態の+N1よりも大きい+2・N1で時計回りに回転するように、変速制御機構部40の回転を駆動制御すればよい。
制御ギア350が制御回転数Nr=+3・N1で時計周りに回転している場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に二点鎖線で示した直線関係となる。この場合、出力ギア340の出力回転数Ncは、上記(1)式からNc=−N1(Ns=+N1,Nr=+3・N1)となる。なお、出力回転数Ncを反時計周りの回転数−N1とするためには、制御ギア350の制御回転数Nrが上記(2)式から求められるフリー回転状態の+N1よりも大きい+3・N1で時計回りに回転するように、変速制御機構部40の回転を駆動制御すればよい。
制御ギア350が制御回転数Nr=−N1で反時計周りに回転している場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に一点鎖線で示した直線関係となる。この場合、出力ギア340の出力回転数Ncは、上記(1)式からNc=+3・N1(Ns=+N1,Nr=−N1)となる。なお、出力回転数Ncを+3・N1とするためには、制御ギア350の制御回転数Nrが上記(2)式から求められる回転数−N1で反時計周りに回転するように、変速制御機構部40の回転を駆動制御すればよい。
なお、出力回転数Ncを所望の回転数に変化させるためには、第1参考形態で説明したと同様に、変速制御機構部40の回生制御および駆動制御を実行するようにすることが好ましい。これにより、滑らかな負荷変動を実現することができ、滑らかな変速動作およびトルク変化を実現し、動作がぎくしゃくしてしまうことを防止することが可能である。
C.第3参考形態:
図20は、第3参考形態としての変速装置を示す概略断面図である。この変速装置10Cは、第1参考形態の変速装置10の変速制御機構部40(図1)の略円筒形状のローター410をローター410Cとした点が異なっている。このローター410Cは、円盤形状の本体部と、その本体部の側壁の外周面に永久磁石413および磁石バックヨーク415を配置し、その本体部の側壁の端部に第4のサイドギア350Cを一体的に形成した構造を有している。また、この変速装置10Cは、第1参考形態の変速装置10の変速機構部30(図1)の第3のサイドギア340を、第3のサイドギア340Cとした点が異なっている。この第3のサイドギア340Cは、円盤形状の本体部と、その本体部の側壁の端部にギア歯340tを儲けた構造を有している。また、ケーシング20(図1)を、上記変更に合わせたケーシング20Cとした構造を有している。なお、第3参考形態の変速装置10Cにおける他の構造や機能は、第1参考形態の変速装置10(図1)と同じである。
D.第4参考形態:
図21は、第4参考形態としての変速装置を示す概略断面である。この変速装置10Dは、第1,第2のサイドギア320,330のギア歯320t,330tの向きを、第1〜3参考形態(図1,図18,図20)のように互いに向き合うように内向きに配置するのではなく、互いに反対に向き合う外向きに配置するとともに、第3,第4のサイドギア340D,350Dのギア歯340Dt,350Dtを、第1,第2のサイドギア320,330のギア歯320t,330tに噛合するような内歯車とした変速機構部30Dを例に示している。
この構成の場合には、第1,第2のサイドギア320,330の公転による軸心Sy方向に沿った遠心力によって、第1,第2のサイドギア320,330に発生する位置変動を、第3,第4のサイドギア340D,350Dによって抑制することができ、第1,第2のサイドギア320,330と第3,第4のサイドギア340D,350Dとの噛合に優れる、という利点がある。
E.第5参考形態:
図22は、第5参考形態としての変速装置を示す概略断面図である。この変速装置10Eは、第4参考形態の変速装置10D(図21)の第3のサイドギア340Dの円盤状の本体部の側壁の外周面に永久磁石613および磁石バックヨーク615を配置して、第3のサイドギア340Dをローター610とし、ローター610を覆うケーシング20Eの内周面に、電磁コイル620をステーターとしてコイルバックヨーク628を介して配置し、第3のサイドギア340Dに、アシストモーター部60を一体的に形成した例を示している。
なお、変速制御機構部40C(図21)および変速制御機構部40(図1)と同様に、ケーシング20Eには、永久磁石613の位置を検出する位置検出部616と、位置検出部616を実装した回路基板617が設けられている。位置検出部616は変速制御機構部40Cの位置検出部416と同様に、ホール素子によって構成され、永久磁石613の周回軌道の位置に対応するように配置されている。回路基板617には、位置検出部616だけでなく、電磁コイル620とも電気的に接続されている。回路基板617は、外部に設けられた制御部(不図示)と導電線を介して電気的に接続されており、位置検出部616が出力する検出信号を制御部に送信する。また、回路基板617は、制御部からの制御信号に従って、電磁コイル620に電力を供給して磁界を発生させ、ローター610を回転させる。また、回路基板617は、制御部からの制御信号に従って、ローター610の回転に応じて電磁コイル620に発生した誘起電力を出力し、ローター610の回転を制動させる。なお、制御部の構成および動作は、変速制御機構部40と同様である。
この構成の場合には、アシストモーター部60を制御することにより、駆動部から入力軸12を介して入力ギアとしての第3のサイドギア330に伝達される入力回転を、減速あるいは増速させることができるので、変速機構部30によるに変速に加えて、さらに、減速あるいは増速させることができる。
なお、入力軸12を除いて、アシストモーター部60を駆動モーター部として動力発生装置とすることも可能である。
F.第6参考形態:
図23は、第6参考形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。この動力発生装置10Fは、熱交換フィン24が設けられている点以外は、図22の変速装置10Eのアシストモーター部60を駆動モーター部(以下、「駆動モーター部60」とも呼ぶ)とした構成とほぼ同じである。熱交換フィン24は、変速制御機構部40Dおよび駆動モーター部60を覆うケーシング20Fの外表面に設けられている。これによって、変速制御機構部40Dの電磁コイル420および駆動モーター部60の電磁コイル620におけるコイル電流による発熱を効率的に冷却することができ、変速制御機構部40Dおよび駆動モーター部60の出力トルクを増大させることができる。なお、熱交換フィン24と、電磁コイル420,620のためのコイルバックヨーク428,628とを直接的に接触するように配置するものとしても良い。これによって、電磁コイル420,620の発熱に対する放熱効果を向上させることができる。熱交換フィン24に換えて、ケーシング20Fの外周に冷媒ジャケットを装着させるものとしても良い。
なお、本参考形態では、動力発生装置を例に説明したが、第1〜第5参考形態の変速装置の変速制御機構部やアシストモーター部においても熱交換フィンを適用することができる。
G.第7参考形態:
図24は、第7参考形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。この動力発生装置10Gは、図22に示した動力発生装置としての変速装置10Eの出力軸14に、かさ歯車のギア16を設けた例である。かさ歯車のギア16により被駆動部への伝達を容易にすることが可能である。なお、ギアの形状としては、かさ歯車に限らず、平歯車、はすば歯車、やまば歯車、まがりばかさ歯車、すぐはかさ歯車、マイタ歯車、等の種々の形状のギアを用いることができる。
なお、本参考形態では、動力発生装置を例に説明したが、第1〜第5参考形態の変速装置の出力軸に種々の形状のギアを適用することができる。
H.第8参考形態:
図25は、第8参考形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。この動力発生装置10Hは、中空の中心軸11を設けて、駆動モーター部60Hのローター610H(第3のサイドギア340H)、出力軸14H、および、出力軸14Hに一体的に形成されるピニオン軸310Hを、それぞれ、軸受け部19を介して、中心軸11の周りに回動可能とするように配置した例である。
この構成の場合には、中心軸11の中空中に制御線や電力線の束18を通して配線することができる。装置の意匠性を高めることができる。また、配線の劣化を抑制することが可能である。
なお、本参考形態では、動力発生装置を例に説明したが、第1〜第5参考形態の変速装置において、同様に本参考形態の構造を適用可能である。
I.第9参考形態:
図26は、第9参考形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。第1〜第5参考形態の変速装置や第6〜第8参考形態の動力発生装置では、変速制御機構部40,40Cを第3のサイドギア350,350C,350Dに一体的に形成した構成を例に示したが、図26に示した動力発生装置10Iのように、外部に変速制御機構部40Iを設け、変速制御機構部40Iのローター410Iに一体的に形成された回転軸418に平歯車の第1の制御ギア419を設け、第4のサイドギア350Iの側壁に、第1の制御ギア419に噛合する平歯車の第2の制御ギア354を設けるようにしてもよい。
変速制御機構部40Iとしては、変速制御機構部40,40C(図1,図20,図21)と同様に、外周面に永久磁石413Iが配列されたローター410Iと、ケーシング42の内周面に、永久磁石413Iと間隔を有しつつ対向するように配列されたステーターとしての電磁コイル420Iと、で構成される。この変速制御機構部40Iも、変速制御機構部40と同様に制御することができる。
なお、本参考形態では、動力発生装置を例に説明したが、第1〜第5参考形態の変速装置において、同様に本参考形態の構造を適用可能である。
J.第10参考形態:
図27は、第10参考形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。第10参考形態の動力発生装置10Jは、第9参考形態の動力発生装置10Iの平歯車の第1,第2の制御ギア419,354を、かさ歯車の第1,第2の制御ギア419J,354Jに置き換えた例である。なお、第1,第2の制御ギアとしては、平歯車やかさ歯車に限らず、はすば歯車、やまば歯車、まがりばかさ歯車、すぐはかさ歯車、マイタ歯車、等の種々の形状のギアを用いることができる。
なお、本参考形態では、動力発生装置を例に説明したが、第1〜第5参考形態の変速装置において、同様に本参考形態の構造を適用可能である。
K.第11参考形態:
図28は、第11参考形態としての発電装置を示す概略断面図である。第11参考形態の発電装置10Kは、変速装置10E(図22)の出力軸14に羽根車70を設け、アシストモーター部60を発電部(以下、「発電部60」とも呼ぶ)とした例である。
この構成の場合には、羽根車70の回転に変動があっても、変速制御機構部40Cによる制御により、発電部60のローター610の回転が一定となるように変速制御することができ、安定な回転で発電することが可能となる。
L.変速機構部の変形例:
図29Aおよび図29Bは、変速機構部を構成する第1,第2のサイドギア320,330の変形例を示す概略断面図である。図29Aに示すように、第1のサイドギア320を、第3のサイドギア340と噛合するギア部分320L1と第4のサイドギア350と噛合するギア部分320L2で構成し、同様に、第2のサイドギア330を、第3のサイドギア340と噛合するギア部分330L1と第4のサイドギア350と噛合するギア部分330L2で構成するようにしてもよい。この場合には、制御ギアとしての第4のサイドギア350による制御のための回転方向を、上記第1参考形態で説明した場合とは逆方向とすることができる。
なお、図29Bは、第1のサイドギア部分320L1,330L1と第2のサイドギア部分320L2,330L2とのギア比を、図29Aの場合の1:1ではなく、変化させた構成を示している。
M.第1実施形態:
図30は、第1実施形態としての変速装置を示す概略断面図である。本実施形態の変速装置10Mは、以下の点を除いて第1参考形態の変速装置10(図1)の構成と同じである。すなわち、この変速装置10Mでは、出力軸14とケーシング20との間の軸受け部22として、クロスローラーベアリング22Mが用いられている。また、ピニオン軸310と第1のサイドギア320との間の軸受け部312およびピニオン軸310と第2のサイドギア330との間の軸受け部312にもクロスローラーベアリング312Mが用いられている。クロスローラーベアリング22M,312Mは、外輪1371と、内輪1372と、円筒コロ1373と、を備える。出力軸14に設けられたクロスローラーベアリング22Mの外輪1371はケーシング部20に固定され、内輪1372は出力軸14に固定されている。また、第1のサイドギア320に設けられたクロスローラーベアリング312Mの外輪1371は第1のサイドギア320に固定され、内輪1372はピニオン軸310に固定されている。同様に、第2のサイドギア330に設けられたクロスローラーベアリング312Mの外輪1371は第1のサイドギア320に固定され、内輪1372はピニオン軸310に固定されている。
図31は、クロスローラーベアリングの構成を示す説明図である。このクロスローラーベアリング137は、上記したクロスローラーベアリング22M,312Mと同様の構造を有しており、外輪1371と、内輪1372と、円筒コロ(ローラーに相当する)1373と、を備える。外輪1371と内輪1372は、それぞれ、90・のV溝1371a,1372aを有している。円筒コロ1373は、直径と高さが同じ大きさの円筒形をしており、V溝1371a,1372aに、90・の互い違いに配置されている。このような構成をとることにより、外輪1371、内輪1372と、円筒コロ1373との接触が点ではなく、線となるため、強い回転力を伝えることができるとともに、大きな荷重にも耐えられるようになる。しかも、軸の曲げ力(曲げモーメント荷重)、軸のラジアル方向の力(ラジアル荷重)、軸スラスト力(軸の長手方向の荷重)のいずれの方向に対しても強く、高い剛性を実現することが可能となる。
以上の説明からわかるように、クロスローラーベアリングは、内リング(内輪)と外リング(外輪)の間にローラーが設けられており、各ローラーは軌道輪(レース)の表面と線接触になっており、かつ、90℃の角度で相互にクロスするように配置されており、ラジアル方向、スラスト方向、モーメント等の様々な方向からの荷重に対して高い剛性を有する構造のベアリングである。
本実施形態の変速装置10Mにおいても、第1参考形態の変速装置10と同様に、軸心Sxに直交する軸心Syの方向のサイズを小型化することが可能である。また、無段階で連続的かつ滑らかに変速動作を実現することが可能であり、これに伴って無段階で連続的かつ滑らかにトルクの伝達量を変化させることが可能である。
また、本実施形態の変速装置10Mは、ピニオン軸310に取り付けられた第1と第2のサイドギア320,330の軸受け部としてクロスローラーベアリング312Mを用いている。また、出力軸14の軸受け部としてクロスローラーベアリング22Mを用いている。そのため、本実施形態の変速装置10Mでは、出力軸に加わる大きな荷重にも耐えられるようになる。さらに、軸の曲げ力(曲げモーメント荷重)、軸のラジアル方向の力(ラジアル荷重)、軸スラスト力(軸の長手方向の荷重)のいずれの方向に対しても強く、高い剛性を実現することが可能となる。
N.第2実施形態:
図32は、第2実施形態としての変速装置を示す概略断面図である。本実施形態の変速装置10Nは、第2参考形態の変速装置10B(図18)に対して、出力軸12とケーシング20との間の軸受け部22をクロスローラーベアリング22Nとし、ピニオン軸310と第1のサイドギア320との間の軸受け部312およびピニオン軸310と第2のサイドギア330との間の軸受け部312をクロスローラーベアリング312Mとした例である。
本実施形態の変速装置10Nにおいても、第2参考形態の変速装置10Bと同様に、軸心Sxに直交する軸心Syの方向のサイズを小型化することが可能である。また、無段階で連続的かつ滑らかに変速動作を実現することが可能であり、これに伴って無段階で連続的かつ滑らかにトルクの伝達量を変化させることが可能である。また、出力軸に加わる大きな荷重にも耐えられるようにすることが可能である。さらに、軸の曲げ力(曲げモーメント荷重)、軸のラジアル方向の力(ラジアル荷重)、軸スラスト力(軸の長手方向の荷重)のいずれの方向に対しても強い高い剛性を実現することが可能となる。
なお、他の第3〜第6参考形態の変速装置10C〜10E(図20〜図22)においても、第1,第2実施形態と同様にクロスローラーベアリングを備えた構成とすることができる。
O.第3実施形態:
図33は、第3実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。本実施形態の動力発生装置10Oは、第6参考形態としての動力発生装置10Fに対して、第1,第2実施形態と同様に、出力軸14とケーシング20Fとの間の軸受け部22をクロスローラーベアリング22Oとし、ピニオン軸310と第1,第2のサイドギア320,330との間の軸受け部312をクロスローラーベアリング312Oとした例である。
本実施形態の動力発生装置10Oにおいても、第6参考形態の動力発生装置10Fと同様に、軸心Sxに直交する軸心Syの方向のサイズを小型化することが可能である。また、無段階で連続的かつ滑らかに変速動作を実現することが可能であり、これに伴って無段階で連続的かつ滑らかにトルクの伝達量を変化させることが可能である。また、出力軸に加わる大きな荷重にも耐えられるようにすることが可能である。さらに、軸の曲げ力(曲げモーメント荷重)、軸のラジアル方向の力(ラジアル荷重)、軸スラスト力(軸の長手方向の荷重)のいずれの方向に対しても強い高い剛性を実現することが可能となる。
P.第4実施形態:
図34は、第4実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。本実施形態の動力発生装置10P、第8参考形態の動力発生装置10H(図25)に対して、第3実施形態と同様に、出力軸14Hとケーシング20Hとの間の軸受け部22をクロスローラーベアリング22Pとし、ピニオン軸310Hと第1と第2のサイドギア320,330との間の軸受け部312をクロスローラーベアリング312Pとするとともに、中心軸11と出力軸14Hとの間の軸受け部19をクロスローラーベアリング19Pとした例である。
本実施形態の動力発生装置10Pにおいても、第8参考形態の動力発生装置10Hと同様に、軸心Sxに直交する軸心Syの方向のサイズを小型化することが可能である。また、無段階で連続的かつ滑らかに変速動作を実現することが可能であり、これに伴って無段階で連続的かつ滑らかにトルクの伝達量を変化させることが可能である。また、出力軸に加わる大きな荷重にも耐えられるようにすることが可能である。さらに、軸の曲げ力(曲げモーメント荷重)、軸のラジアル方向の力(ラジアル荷重)、軸スラスト力(軸の長手方向の荷重)のいずれの方向に対しても強い高い剛性を実現することが可能となる。
なお、他の第7,第9,第10参考形態の動力発生装置10G,10I,10J(図24,26,27)においても、第3,第4実施形態と同様にクロスローラーベアリングを備えた構成とすることができる。
Q.第5実施形態:
図35は、第5実施形態としての発電装置を示す概略断面図である。本実施形態の発電装置10Qは、出力軸14に羽根車70を設け第11参考形態の発電装置10K(図28)に対して、第3実施形態と同様に、羽根車70が設けられた出力軸14とケーシング20Kとの間の軸受け部22をクロスローラーベアリング22Qとし、ピニオン軸310と第1と第2のサイドギア320,330との間の軸受け部312をクロスローラーベアリング312Qとした例である。
本実施形態の発電装置10Qにおいても、第11参考形態の発電装置10Kと同様に、軸心Sxに直交する軸心Syの方向のサイズを小型化することが可能である。また、無段階で連続的かつ滑らかに変速動作を実現することが可能であり、これに伴って無段階で連続的かつ滑らかにトルクの伝達量を変化させることが可能である。また、羽根車によって出力軸に加わる大きな荷重にも耐えられるようにすることが可能である。さらに、軸の曲げ力(曲げモーメント荷重)、軸のラジアル方向の力(ラジアル荷重)、軸スラスト力(軸の長手方向の荷重)のいずれの方向に対しても強い高い剛性を実現することが可能となる。
R.変形例:
(1)変形例1
上記参考形態および実施形態では、回生の初期段階では、第1の回生モードとし、回生区間REPの幅を変化させても回生量の変化が小さい、誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間で回生を行って、徐々に回生量を増やしていき、その後、第2の回生モードとして、誘起電圧のピーク点を中心とした第2の回生区間で回生を行うように回生を実行する場合を例に説明したが、第2の回生モードに切り換えることなく、第1の回生モードにおいて、EPWMを0〜100%の間で回生区間REPの幅を変化させて回生量を変化させるようにしてもよい。
(2)変形例2
上記参考形態および実施形態で説明した本発明の変速装置や動力発生装置は、以下に示すように、電動移動体や電動移動ロボットあるいは医療機器の駆動装置に接続された変速装置や動力発生装置として適用することが可能である。
図36は、本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した移動体の一例である電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。この自転車3300は、駆動部としてのモーターの出力に本発明の変速装置が接続された変速装置付モーター3310が前輪に設けられており、サドルの下方のフレームに制御回路3320と充電池3330とが設けられている。変速装置付モーター3310は、充電池3330からの電力を利用して前輪を駆動することによって、走行をアシストする。また、ブレーキ時には変速装置付モーター3310のモーターで回生された電力が充電池3330に充電される。制御回路3320は、変速装置付モーター3310のモーター部分の駆動と回生、および、変速装置部分の変速を制御する回路である。なお、この変速装置付モーター3310としては、上記した変速装置と駆動部のモーターとで構成されたものでもよく、上記した動力発生装置で構成されたものでもよい。
図37は、本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用したロボットの一例を示す説明図である。このロボット3400は、第1と第2のアーム3410,3420と、変速装置付モーター3430とを有している。この変速装置付モーター3430は、被駆動部材としての第2のアーム3420を水平回転させる際に使用される。なお、この変速装置付モーター3430としては、上記した変速装置と駆動部のモーターとで構成されたものでもよく、上記した動力発生装置で構成されたものでもよい。
図38は、本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した双腕7軸ロボットの一例を示す説明図である。双腕7軸ロボット3450は、関節モーター3460と、把持部モーター3470と、アーム3480と、把持部3490と、を備える。関節モーター3460は、肩関節、肘関節、手首関節に相当する位置に配置されている。関節モーター3460は、アーム3480と把持部3490とを、3次元的に動作させるため、各関節につき2つのモーターを備えている。また、把持部モーター3470は、把持部3490を開閉し、把持部3490に物を掴ませる。双腕7軸ロボット3450において、関節モーター3460あるいは把持部モーター3470としては、上記した変速装置と駆動部のモーターとで構成されたものでもよく、上記した動力発生装置で構成されたものでもよい。
図39は、本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した垂直多関節ロボットの一例を示す説明図である。図39に示すように、垂直多関節ロボット3640は、本体部3641、アーム部3642およびロボットハンド3645等から構成されている。本体部3641は、例えば床、壁、天井、移動可能な台車の上などに固定されている。アーム部3642は、本体部3641に対して可動に設けられており、本体部3641にはアーム部3642を回転させるための動力を発生させる駆動部(不図示)や、駆動部を制御する制御部等が内蔵されている。この駆動部として、上記した変速装置と駆動部のモーターとで構成された動力発生装置や、上記した動力発生装置を用いることが可能である。
アーム部3642は、第1フレーム3642a、第2フレーム3642b、第3フレーム3642c、第4フレーム3642dおよび第5フレーム3642eから構成されている。第1フレーム3642aは、回転屈折軸を介して、本体部3641に回転可能または屈折可能に接続されている。第2フレーム3642bは、回転屈折軸を介して、第1フレーム3642aおよび第3フレーム3642cに接続されている。第3フレーム3642cは、回転屈折軸を介して、第2フレーム3642bおよび第4フレーム3642dに接続されている。第4フレーム3642dは、回転屈折軸を介して、第3フレーム3642cおよび第5フレーム3642eに接続されている。第5フレーム3642eは、回転屈折軸を介して、第4フレーム3642dに接続されている。アーム部3642は、制御部(図示せず)の制御によって、各フレーム3642a〜3642eが各回転屈折軸を中心に複合的に回転または屈折して動くようになっている。
アーム部3642の第5フレーム3642eのうち第4フレーム3642dが設けられた側と反対側には、ハンド接続部3643が接続されており、このハンド接続部3643にロボットハンド3645が取り付けられている。
ロボットハンド3645は、基部3645aと、基部3645aに接続された指部3645bと、を備えている。基部3645aと指部3645bの接続部および指部3645bの各関節部には、上記した変速装置と駆動部のモーターとで構成された動力発生装置や、上記した動力発生装置が組み込まれている。動力発生装置が駆動することによって、指部3645bが屈曲し、物体を把持することができる。この動力発生装置は、超小型モーターであって、小型でありながら確実に物体を把持するロボットハンド3645を実現することができる。これにより、小型、軽量のロボットハンド3645を用いて、複雑な動作が行なえる、汎用性の高いロボットを提供することができる。
図40は、本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した双腕キャスター付ロボットの一例を示す説明図である。図40に示すように、双腕キャスター付ロボット3762は車体部3763を備えている。車体部3763は車体本体3763aを備え、車体本体3763aの地面側には4つの車輪3763bが設置されている。そして、車体本体3763aには車輪3763bを駆動する回転機構が内蔵されている。さらに、車体本体3763aにはロボット3762の姿勢及び動作を制御する制御部3764が内蔵されている。
車体本体3763a上には、本体回転部3765、本体部3766がこの順に重ねて設置されている。本体回転部3765には本体部3766を回転させる回転機構が設置されている。そして、本体部3766は鉛直方向を回転中心として回動する。本体部3766上には一対の撮像装置3767が設置され、撮像装置3767は双腕キャスター付ロボット3762の周囲を撮影する。そして、撮影した物と撮像装置3767との距離を検出することができる。
本体部3766の側面のうち対向する2つの面には左腕部3768及び右腕部3769が設置されている。左腕部3768及び右腕部3769はそれぞれ可動部としての上腕部3770、下腕部3771、ハンド部3772を備えている。上腕部3770、下腕部3771、ハンド部3772は回動または屈曲可能に接続されている。そして、本体部3766には本体部3766に対して上腕部3770を回動させる回転機構3773が内蔵されている。上腕部3770には上腕部3770に対して下腕部3771を回動させる回転機構3773が内蔵されている。下腕部3771には下腕部3771に対してハンド部3772を回動させる回転機構3773が内蔵されている。さらに、下腕部3771には下腕部3771の長手方向を回転軸にして捻る回転機構3773が内蔵されている。
ハンド部3772はハンド本体3772aとハンド本体3772aの先端に位置する一対の板状の可動部としての把持部3772bを備えている。ハンド本体3772aには把持部3772bを移動しての把持部3772b間隔を変更させる直動機構3774が内蔵されている。ハンド部3772は把持部3772bを開閉して被把持物を把持することができる。
回転機構3773及び直動機構3774には上述した動力発生装置を備えている。従って、回転機構3773は回転方向を反転させるときにもガタツクことなくスムーズに回転方向を転換させることができる。そして、直動機構3774は移動方向を反転させるときにもガタツクことなくスムーズに移動方向を転換させることができる。従って、双腕キャスター付ロボット3762は左腕部3768及び右腕部3769を位置精度良く移動することができる。
さらに、車輪3763bを回転させる回転機構と本体部3766を回転させる回転機構とは、上記した変速装置と駆動部のモーターとで構成された動力発生装置や、上記した動力発生装置が組み込まれているコ。従って、双腕キャスター付ロボット3762は進行方向を変えるときにもガタツクことなく回動することができる。そして、双腕キャスター付ロボット3762は本体部3766の回転方向を変えるときにもガタツクことなく回動することができる。
図41は、本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した鉄道車両を示す説明図である。この鉄道車両3500は、変速装置付モーター3510と、車輪3520とを有している。この変速装置付モーター3510は、車輪3520を駆動する。さらに、変速装置付モーター3510は、鉄道車両3500の制動時には発電気として利用され、電力が回生される。なお、変速装置付モーター3510としては、上記した変速装置と駆動部のモーターとで構成されたものでもよく、上記した動力発生装置で構成されたものでもよい。
本発明は、上述の実施形態や参考形態、実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…変速装置
10B…変速装置
10C…変速装置
10D…変速装置
10E…変速装置(動力発生装置)
10F…動力発生装置
10G…動力発生装置
10H…動力発生装置
10I…動力発生装置
10J…動力発生装置
10K…発電装置
10M…変速装置
10N…変速装置
10O…動力発生装置
10P…動力発生装置
10Q…発電装置
11…中心軸
12…入力軸
14…出力軸
14H…出力軸
16…ギア
18…束
19…軸受け部
20…ケーシング
20C…ケーシング
20E…ケーシング
20F…ケーシング
22…軸受け部
19P,22M,22N,22O,22P,22Q…クロスローラーベアリング
312M,312N,312O,312P,312Q…クロスローラーベアリング
1371…外輪
1372…内輪
1373…円筒コロ
24…熱交換フィン
30…変速機構部
30D…変速機構部
40…変速制御機構部
40C…変速制御機構部
40D…変速制御機構部
40I…変速制御機構部
42…ケーシング
60…アシストモーター部(駆動モーター部,発電部)
60H…駆動モーター部
70…羽根車
200…制御部
210…バス
220…駆動制御部
230…回生制御部
240…ドライバー回路
240A…A相ドライバー回路
240B…B相ドライバー回路
250…整流回路
310…ピニオン軸
310H…ピニオン軸
312…軸受け部
320…第1のサイドギア(入力ギア,出力ギア)
320t…ギア歯
320L1…ギア部分
320L2…ギア部分
330…第2のサイドギア(入力ギア,出力ギア)
330L1…ギア部分
330L2…ギア部分
340…第3のサイドギア(出力ギア,入力ギア)
340C…第3のサイドギア
340D…第3のサイドギア
340H…第3のサイドギア
340t…ギア歯
340Dt…ギア歯
350…第4のサイドギア(制御ギア)
350C…第4のサイドギア
350I…第4のサイドギア
352…貫通孔
354…第2の制御ギア
354J…第2の制御ギア
410…ローター
410C…ローター
410I…ローター
411…貫通孔
412…軸受け部
413…永久磁石
413I…永久磁石
415…磁石バックヨーク
416…位置検出部
416A,416B…磁気センサー
417…回路基板
418…回転軸
419…第1の制御ギア
419J…第1の制御ギア
420…電磁コイル(ステーター)
420A…電磁コイル
420I…電磁コイル
428…コイルバックヨーク
432A…A相充電切換部
434A…波整流回路
461…ゲートトランジスター
471…バッファー回路
472…インバーター回路
480…電源配線
510…基本クロック生成回路
520…1/N分周器
531…カウンタ
535…駆動波形形成部
540…正逆方向指示値レジスタ
550…乗算器
560…符号化部
580…電圧指令値レジスタ
590…励磁区間設定部
590R…回生区間設定部
592…電子可変抵抗器
594…第1の電圧比較器
596…第2の電圧比較器
610…ローター
610H…ローター
613…永久磁石
615…磁石バックヨーク
616…位置検出部
617…回路基板
620…電磁コイル(ステーター)
626…位置検出部
628…コイルバックヨーク
3300…自転車
3310…変速装置付モーター
3320…制御回路
3330…充電池
3400…ロボット
3410…第1のアーム
3420…第2のアーム
3430…変速装置付モーター
3460…関節モーター
3470…把持部モーター
3480…アーム
3490…把持部
3500…鉄道車両
3510…変速装置付モーター
3520…車輪
3590…把持部
3640…垂直多関節ロボット
3641…本体部
3642…アーム部
3642a…第1フレーム
3642b…第2フレーム
3642c…第3フレーム
3642d…第4フレーム
3642e…第5フレーム
3643…ハンド接続部
3645…ロボットハンド
3645a…基部
3645b…指部
3762…双腕キャスター付ロボット
3763…車体部
3763a…車体本体
3763b…車輪
3764…制御部
3765…本体回転部
3766…本体部
3767…撮像装置
3768…左腕部
3769…右腕部
3770…上腕部
3771…下腕部
3772…ハンド部
3772a…ハンド本体
3772b…把持部
3773…回転機構
3774…直動機構
DRVA1,DRVA2…駆動信号
MSK…マスク信号
MSKA…マスク信号
MSKB…マスク信号
V1,V2…電圧
S1,S2…出力
RI…正逆方向指示値
ER…回生許可信号
Ma…乗算値
Pa…正負符号信号
Xa…センサー出力値
Ya…電圧指令値
Sn,Sp…出力(出力信号)
Rv…可変抵抗値
IA1…符号
CM1…カウント値
SDC…クロック信号
PCL…クロック信号
SSA…センサー出力
EP…励磁区間
NEP…非励磁区間
REP…回生区間(活性区間)
NREP…非回生区間(非活性区間)
INV…回生区間切換信号(回生モード切換信号)
REa…回生期間信号
本発明は、変速装置および変速機構部を有する電気機械装置、並びに、変速装置を備える移動体およびロボットに関する。
従来技術の変速装置として、ディファレンシャル機構を用いて、変速装置の入力に対する出力の回転速度を無段階に増減変速する例が開示されている(特許文献1参照)。従来のディファレンシャル機構は、ドライブギアと、このドライブギアに噛合してその回転軸心と平行な軸心周りに回転させられるリングギアと、リングギアの一側にその回転軸心と直交するように設けられた軸に回動自在に取り付けられる二つで一対の第1,第2サイドギアと、この一対の第1,第2サイドギアに噛合する二つで一対の第3,第4サイドギアとを備えている。ドライブギアはエンジンのクランク軸に、第3サイドギアはクランク軸と平行な補機駆動装置の入力軸に、第4サイドギアは制動ユニットの制動軸に、それぞれ連結されている。
特開平7−42799号公報
ここで、変速装置の出力軸に対応する負荷の入力軸に対して垂直な軸方向のサイズを小型化したい、という要望がある。この要望に対して、従来技術の場合には、負荷としての補機駆動装置の入力軸に垂直な軸方向、すなわち、第1,第2サイドギアが取り付けられた軸の方向に沿ってリングギア及びリングギアに噛合するドライブギアを備えるため、負荷の入力軸に垂直な軸方向の小型化が十分ではない。また、変速装置を有する電気機械装置の組み込まれる装置がロボットの場合、そのアームは様々な方向を向くため、アームを駆動するためのモーターとアームとの間に設けられる変速装置は、あらゆる方向の荷重負荷に耐えられる高剛性を備えることが望ましい。
本発明は、ディファレンシャル機構を用いた変速装置の小型化、特に、変速装置の出力軸に垂直な方向の小型化や高剛性化が可能な技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
第1の形態によれば、入力軸から入力される回転運動を、回転数を変化可能に出力軸から出力する変速装置が提供される。この変速装置は、前記入力軸から入力される回転運動が入力される第1のギアと;前記第1のギアと少なくとも前記出力軸に接続された出力ギアを介して噛合する第2のギアと;前記第2のギアに対して接続用のギアを介して接続されるかまたは前記第2のギアと一体に形成された第1のローターと、前記第1のローターの外周面に沿って配置された第1のステーターと、を備える第1の電気機械機構部と;を備える。前記第1のローターの回転に応じて前記第2のギアの回転を変化させることにより、前記入力軸の回転に対する前記出力軸の回転を変化させる。
この第1の形態の変速装置によれば、第1の電気機械機構部によって、入力軸の回転に対する出力軸の回転を容易に変化させることができる。
上記第1の形態の変速装置において、前記入力軸、前記出力軸、前記第1のギア、前記第2のギア、及び前記第1のローターは、全て同一の第1の軸心を中心としてそれぞれ回転し、前記出力ギアは、前記第1の軸心と直交する第2の軸心を中心として自転するとともに、前記第1の軸心を中心として公転し、前記出力ギアの公転が前記出力軸から出力される、としてもよい。
この第1の形態の変速装置によれば、入力軸、出力軸、第1のギア、第2のギア、及び第1のローターは、全て同一の第1の軸心を中心としてそれぞれ回転し、出力ギアは、第1の軸心と直交する第2の軸心を中心として自転するとともに、第1の軸心を中心として公転する構成とされているので、変速装置を小型化することができる。
上記第1の形態の変速装置において、前記出力軸から出力される回転運動の回転数は、前記入力軸から入力される回転運動の回転数と、前記第1の電気機械機構部の前記第1のローターの回転運動の回転数とを結ぶ直線上に位置するように制御される、としてもよい。
この第1の形態の変速装置によれば、第1の電気機械機構部の第1のローターの回転数を無段階で連続的に変化させることにより、入力軸から入力される回転運動の回転数に対して、出力軸から出力される回転運動の回転数を無段階で連続的に変化させることがでる。この結果、無段階で連続的かつ滑らかに変速動作を実現することが可能であり、これに伴って無段階で連続的かつ滑らかにトルクの伝達量を変化させることが可能である。
上記第1の形態の変速装置において、さらに、前記第1のギアに一体に形成された第2のローターと、前記第2のローターの外周面に沿って配置された第2のステーターと、を有する第2の電気機械機構部を備え、前記第2の電気機械機構部は、前記第2のローターの回転に応じて、前記入力軸を介して前記第1のギアに伝達される回転を変化させることにより、前記入力軸の回転に対する前記出力軸の回転の変化を前記第1の電気機械機構部による変化に加えてさらに変化させる、としてもよい。
この第1の形態の変速装置によれば、第2の電気機械機構部によって、入力軸を介して第1のギアに伝達される回転を変化させることができるので、第1の電気機械機構部による入力軸に対する出力軸の回転の変化に加えてさらに変化させることができる。
上記第1の形態の変速装置において、前記第1の電気機械機構部は、前記入力軸の回転に対する前記出力軸の回転を可変に制御する際に、前記第2のギアの回転に応じて前記第1のローターに発生する回転のエネルギーを回生する、としてもよい。
この第1の形態の変速装置によれば、入力軸の回転に対する出力軸の回転を可変に制御する際に、第2のギアの回転に応じて第1のローターに発生する回転のエネルギーを回生することができる。
上記第1の形態の変速装置において、さらに、
前記第1の電気機械機構部による前記回転のエネルギーの回生を行なわせる回生制御部を備え、前記回生制御部は、前記第1の電気機械機構部が回生する前記回転のエネルギーの量を可変に制御する、としてもよい。
この第1の形態の変速装置によれば、第1の電気機械機構部が回生する回転のエネルギーの量を可変に制御することにより、変速装置の動作を制御することができる。
上記第1の形態の変速装置において、前記回生制御部は、前記第1のローターの回転の減速により前記第2のギアの回転を減速させる際に、前記回転のエネルギーとして、前記第1のステーターに配置された電磁コイルから回生電流を出力させる、としてもよい。
この第1の形態の変速装置によれば、第1のローターの回転の減速により第2のギアの回転を減速させる際に、回転のエネルギーとして、第1のステーターに配置された電磁コイルから回生電流を出力させることができる。
上記第1の形態の変速装置において、前記回生制御部は、前記電磁コイルに生じる誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間を設定して回生を実行する第1の回生モードと、前記電磁コイルに生じる誘起電圧の極大点を中心とした第2の回生区間を設定して回生を実行する第2の回生モードと、を有し、前記第1の回生モードで回生されるエネルギー量が前記第2の回生モードで回生されるエネルギー量以下となるように前記第1の回生区間の幅と第2の回生区間の幅とを設定する、としてもよい。
この第1の形態の変速装置によれば、回生エネルギー量が小さいときは、電磁コイルに生じる誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間で回生を行い、回生エネルギー量が大きいときは、電磁コイルに生じる誘起電圧の極大点を中心とした第2の回生区間で回生を実行する。これにより、回生エネルギー量に対する回生エネルギーの変化を滑らかに調整することでき、回生動作を滑らかに実行することができる。この結果、無段階で連続的かつ滑らかに変速動作を実現することが可能であり、これに伴って無段階で連続的かつ滑らかにトルクの伝達量を変化させることが可能である。
上記第1の形態の変速装置において、前記回生制御部は、前記第1又は第2の回生区間の幅が所定の第1の値以下となる場合には、前記第1の回生モードによる回生を実行し、前記第1又は第2の回生区間の幅が前記第1の値よりも大きな所定の第2の値以上となる場合には、前記第2の回生モードによる回生を実行する、としてもよい。
この第1の形態の変速装置によれば、回生区間が短く回生するエネルギー量が小さいときは、電磁コイルに生じる誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間で回生を行い、回生区間が長く回生エネルギー量が大きいときは、電磁コイルに生じる誘起電圧の極大点を中心とした第2の回生区間で回生を行うので、回生時において滑らかに動作させることができる
上記第1の形態の変速装置において、
前記回生制御部は、回生されるエネルギー量が増大してゆく際に前記第1の回生モードから前記第2の回生モードへの切り換えを行うとともに、前記切り換えの前における前記第1の回生区間の幅よりも、前記切り換えの後の前記第2の回生区間の幅を小さく設定する、としてもよい。
この第1の形態の変速装置によれば、第1の回生モードから第2の回生モードへの切り換えるときに、切り換え前後の回生エネルギーの変化を少なくすることができるので、回生時において滑らかに動作させることができる。
上記第1の形態の変速装置において、
前記回生制御部は、回生されるエネルギー量が減少してゆく際に前記第2の回生モードから前記第1の回生モードへの切り換えを行うとともに、前記切り換えの前における前記第2の回生区間の幅よりも、前記切り換えの後の前記第1の回生区間の幅を大きく設定する、としてもよい。
この第1の形態の変速装置によれば、第2の回生モードから第1の回生モードへの切り換えるときに、切り換え前後の回生エネルギーの変化を少なくすることができるので、回生時において滑らかに動作させることができる。
上記第1の形態の変速装置において、前記回生制御部は、前記第1の回生モードと前記第2の回生モードの切り換え時において、切り換え前の回生されるエネルギー量と切り換え後の回生されるエネルギー量とが同じ値となって連続するように、切り換え後の第1の回生区間の幅又は第2の回生区間の幅を設定する、としてもよい。
この第1の形態の変速装置によれば、第1の回生モードと前記第2の回生モードの切り換え時において、切り換え前後の回生されるエネルギー量が同じ値となるように、切り換えるので、切り換え前後の回生エネルギー量が連続し、回生時において滑らかに動作させることができる。
上記第1の形態の変速装置において、前記第2のギアの回転の減速の開始時には、前記第1の回生モードでの回生が実行される、としてもよい。
この第1の形態の変速装置によれば、減速の開始時において、回生エネルギー量に対する回生エネルギーの変化の割合を小さくすることができるので、減速の開始動作を滑らかにすることができる。
上記第1の形態の変速装置において、さらに、前記第2のギアの回転の減速の終了時には、前記第1の回生モードでの回生が実行される、としてもよい。
この第1の形態の変速装置によれば、減速の終了時において、回生エネルギー量に対する回生エネルギーの変化の割合を小さくすることができるので、減速の終了動作を滑らかにすることができる。
第2の形態の電気機械装置によれば、入力される回転運動を、回転数を変化可能に出力軸から出力する変速機構部と、第1の電気機械機構部と、第2の電気機械機構部と、を有する電気機械装置が提供される。この電気機械装置において、前記変速機構部は、前記入力される回転運動が入力される第1のギアと;前記第1のギアと少なくとも前記出力軸に接続された出力ギアを介して噛合する第2のギアと;を備える。前記第1の電気機械機構部は、前記第2のギアに対して接続用のギアを介して接続されるかまたは前記第2のギアと一体に形成された第1のローターと;前記第1のローターの外周面に沿って配置された第1のステーターと;を備える。前記第2の電気機械機構部は、前記第1のギアに一体に形成された第2のローターと;前記第2のローターの外周面に沿って配置された第2のステーターと;を備える。前記第2の電気機械機構部は、前記第2のローターの回転に応じた回転運動を前記第1のギアに入力する。前記第1の電気機械機構部は、前記第1のローターの回転に応じて前記第2のギアの回転を変化させることにより、前記第2の電気機械機構部の前記第2のローターの回転に対する前記出力軸の回転を変化させる。
この第2の形態の電気機械装置によれば、第1の電気機械機構部によって、第2の電気機械機構部の第2のローターの回転に対する出力軸の回転を容易に変化させることができる。
上記第2の形態の電気機械装置において、前記出力軸、前記第1のギア、前記第2のギア、前記第1のローター、及び前記第2のローターは、全て同一の第1の軸心を中心としてそれぞれ回転し、前記出力ギアは、前記第1の軸心と直交する第2の軸心を中心として自転するとともに、前記第1の軸心を中心として公転し、前記出力ギアの公転が前記出力軸から出力される、としてもよい。
この第2の形態の電気機械装置によれば、出力軸、第1のギア、第2のギア、第1のローター、及び第2のローターは、全て同一の第1の軸心を中心としてそれぞれ回転し、出力ギアは、第1の軸心と直交する第2の軸心を中心として自転するとともに、第1の軸心を中心として公転する構成とされているので、変速装置を小型化することができる。
上記第2の形態の電気機械装置において、前記第1の電気機械機構部は、前記第2の電気機械機構部の前記第2のローターの回転に対する前記出力軸の回転を可変に制御する際に、前記第2のギアの回転に応じて前記第1のローターに発生する回転のエネルギーを回生する、としてもよい。
この第2の形態の電気機械装置によれば、第2の電気機械機構部の第2のローターの回転に対する出力軸の回転を可変に制御する際に、第2のギアの回転に応じて第1のローターに発生する回転のエネルギーを回生することができる。
その他、本発明は、以下の形態としても実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、変速装置が提供される。この変速装置は、仮想的な第1の軸心の周りにそれぞれ回転するように互いに対向配置された第1のギアおよび第2のギアと;前記第1の軸心と直交する仮想的な第2の軸心を中心として前記第1のギアおよび第2のギアと噛合するように配置された少なくとも1つの第3のギアと;前記第2の軸心に沿って配置され、前記第3のギアを回動自在に支持する支持軸と;前記第1の軸心に沿って配置され、前記第1のギアに接続された第1の回転軸と;前記第1の軸心に沿って配置され、前記第2のギアの中央部に設けられた貫通孔を介して前記支持軸に接続された第2の回転軸と;を備える。前記支持軸と前記第3のギアとの間の軸受け部としてクロスローラーベアリングが設けられており、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸のうち前記出力軸とされる回転軸と、前記第1のギア、前記第2のギアおよび前記第3のギアを少なくとも収容するケーシングと、の間の軸受け部としてクロスローラーベアリングが設けられている。この形態の変速装置によれば、変速機構部の入力軸あるいは出力軸となる第1と第2の回転軸を第1の軸心に沿って配置することができるので、変速装置の出力軸に垂直な方向の小型化が可能である。また、変速制御機構部に含まれる第1の電気機械機構部の第1のローターが第2のギアと一体的に形成される構成の場合には、第1の電気機械機構部を変速機構部と一体的に構成することが可能であり、第2のギアと第1のローターとを接続用のギアを介して接続する場合に比べて、より装置の小型化が可能である。また、出力軸としての回転軸と収容体との間の軸受け部として、および、支持軸と第3のギアとの間の軸受け部として、クロスローラーベアリングが設けられているので、出力軸に加わる荷重負荷に対する剛性を高めることが可能である。
(2)上記形態の変速装置において、さらに、前記第2のギアに対して接続用のギアを介して接続されるかまたは前記第2のギアと一体に形成された第1のローターと、前記第1のローターの円筒状の外周面に沿って配置された第1のステーターと、を備える第1の電気機械機構部を備え、前記第1の電気機械機構部は、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸のうち、一方を入力軸とし、他方を出力軸として、前記第1のローターの回転に応じて前記第2のギアの回転を変化させることにより、前記入力軸の回転に対する前記出力軸の回転を変化させるようにしてもよい。この形態の変速装置によれば、第1の電気機械機構によって、入力軸の回転に対する出力軸の回転を容易に変化させることができる。
(3)上記形態の変速装置において、さらに、前記第1のギアに一体に形成された第2のローターと、前記第2のローターの円筒状の外周面に沿って配置された第2のステーターと、を有する第2の電気機械機構部を備え、前記第2の電気機械機構部は、前記第1の回転軸を入力軸とし、前記第2の回転軸を出力軸として、前記第2のローターの回転に応じて、前記第1の回転軸を介して前記第1のギアに伝達される回転を変化させることにより、前記入力軸の回転に対する前記出力軸の回転の変化を前記第1の電気機械機構部による変化に加えてさらに変化させるようにしてもよい。この形態の変速装置によれば、第2の電気機械機構部によって、入力軸である第1の回転軸を介して第1のギアに伝達される回転を変化させることができるので、第1の電気機械機構部による入力軸に対する出力軸の回転の変化に加えてさらに変化させることができる。
(4)上記形態の変速装置において、さらに、前記第1のステーターに配置された電磁コイルを駆動して前記第1のローターを回転させることにより、前記第2のギアの回転を制御する駆動制御部と、前記第2のギアの回転を減速させる際に、前記電磁コイルからのエネルギーの回生を行う回生制御部と、を備え、前記回生制御部は、前記電磁コイルに生じる誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間を設定して回生を実行する第1の回生モードと、前記電磁コイルに生じる誘起電圧の極大点を中心とした第2の回生区間を設定して回生を実行する第2の回生モードと、を有し、前記第1の回生モードで回生されるエネルギー量が前記第2の回生モードで回生されるエネルギー量以下となるように前記第1の回生区間の幅と第2の回生区間の幅とを設定するようにしてもよい。この形態の変速装置によれば、回生エネルギー量が小さいときは、電磁コイルに生じる誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間で回生を行い、回生エネルギー量が大きいときは、電磁コイルに生じる誘起電圧の極大点を中心とした第2の回生区間で回生を実行する。これにより、回生エネルギー量に対する回生エネルギーの変化を滑らかに調整することでき、回生動作を滑らかに実行することができる。この結果、無段階で連続的かつ滑らかに変速動作を実現することが可能であり、これに伴って無段階で連続的かつ滑らかにトルクの伝達量を変化させることが可能である。
(5)上記形態の変速装置において、前記回生制御部は、前記第1又は第2の回生区間の幅が所定の第1の値以下となる場合には、前記第1の回生モードによる回生を実行し、前記第1又は第2の回生区間の幅が前記第1の値よりも大きな所定の第2の値以上となる場合には、前記第2の回生モードによる回生を実行するようにしてもよい。この形態の変速装置によれば、回生区間が短く回生するエネルギー量が小さいときは、電磁コイルに生じる誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間で回生を行い、回生区間が長く回生エネルギー量が大きいときは、電磁コイルに生じる誘起電圧の極大点を中心とした第2の回生区間で回生を行うので、回生時において滑らかに動作させることができる。
(6)上記形態の変速装置において、前記回生制御部は、回生されるエネルギー量が増大してゆく際に前記第1の回生モードから前記第2の回生モードへの切り換えを行うとともに、前記切り換えの前における前記第1の回生区間の幅よりも、前記切り換えの後の前記第2の回生区間の幅を小さく設定するようにしてもよい。この形態の変速装置によれば、第1の回生モードから第2の回生モードへの切り換えるときに、切り換え前後の回生エネルギーの変化を少なくすることができるので、回生時において滑らかに動作させることができる。
(7)上記形態の変速装置において、前記回生制御部は、回生されるエネルギー量が減少してゆく際に前記第2の回生モードから前記第1の回生モードへの切り換えを行うとともに、前記切り換えの前における前記第2の回生区間の幅よりも、前記切り換えの後の前記第1の回生区間の幅を大きく設定するようにしてもよい。この変速装置によれば、第2の回生モードから第1の回生モードへの切り換えるときに、切り換え前後の回生エネルギーの変化を少なくすることができるので、回生時において滑らかに動作させることができる。
(8)上記形態の変速装置において、前記回生制御部は、前記第1の回生モードと前記第2の回生モードの切り換え時において、切り換え前の回生されるエネルギー量と切り換え後の回生されるエネルギー量とが同じ値となって連続するように、切り換え後の第1の回生区間の幅又は第2の回生区間の幅を設定するようにしてもよい。この形態の変速装置によれば、第1の回生モードと前記第2の回生モードの切り換え時において、切り換え前後の回生されるエネルギー量が同じ値となるように、切り換えるので、切り換え前後の回生エネルギー量が連続し、回生時において滑らかに動作させることができる。
(9)上記形態の変速装置において、前記第2のギアの回転の減速の開始時には、前記第1の回生モードでの回生が実行されるようにしてもよい。この変速装置によれば、減速の開始時において、回生エネルギー量に対する回生エネルギーの変化の割合を小さくすることができるので、減速の開始動作を滑らかにすることができる。
(10)上記形態の変速装置において、さらに、前記第2のギアの回転の減速の終了時には、前記第1の回生モードでの回生が実行されるようにしてもよい。この形態の変速装置によれば、減速の終了時において、回生エネルギー量に対する回生エネルギーの変化の割合を小さくすることができるので、減速の終了動作を滑らかにすることができる。
(11)本発明の他の形態によれば、電気機械装置が提供される。この形態の電気機械装置は、変速機構部と、第1の電気機械機構部と、第2の電気機械機構部と、を備える。変速機構部は、仮想的な第1の軸心の周りにそれぞれ回転するように互いに対向配置された第1のギアおよび第2のギアと;前記第1の軸心と直交する仮想的な第2の軸心を中心として前記第1のギアおよび第2のギアと噛合するように配置された少なくとも1つの第3のギアと;前記第2の軸心に沿って配置され、前記第3のギアを回動自在に支持する支持軸と;前記第1の軸心に沿って配置され、前記第1のギアに接続された第1の回転軸と;前記第1の軸心に沿って配置され、前記第2のギアの中央部に設けられた貫通孔を介して前記支持軸に接続された第2の回転軸と;を備える。前記第1の電気機械機構部は、前記第2のギアに対して接続用のギアを介して接続されるかまたは前記第2のギアと一体に形成された第1のローターと;前記第1のローターの円筒状の外周面に沿って配置された第1のステーターと;を備える。前記第2の電気機械機構部は、前記第1のギアに一体に形成された第2のローターと;前記第2のローターの円筒状の外周面に沿って配置された第2のステーターと;を備える。前記第1の電気機械機構部は、前記第1のローターの回転に応じて前記第2のギアの回転を変化させることにより、前記第1の回転軸の回転と前記第2の回転軸の回転との関係を変化させ、前記第2の電気機械機構部は、前記第2のローターを回転させることにより前記第1のギアおよび前記第1の回転軸を回転させ、あるいは、前記第1の回転軸の回転に応じて前記第3のギアおよび前記第1のギアを介して前記第2のローターに発生する回転のエネルギーを回生する。前記支持軸と前記第3のギアとの間の軸受け部としてクロスローラーベアリングが設けられており、前記第1の回転軸と前記第2の回転軸のうち前記出力軸とされる回転軸と、前記変速機構部および前記第2の電気機械機構部を少なくとも収容する収容体と、の間の軸受け部としてクロスローラーベアリングが設けられている。この形態の電気機械装置によれば、変速機構部の入力軸あるいは出力軸となる第1と第2の回転軸を第1の軸心に沿って配置することができるので、変速機構部の出力軸に垂直な方向の小型化が可能である。また、第1の電気機械機構部の第1のローターが第2のギアと一体的に形成される構成の場合には、第1の電気機械機構部を変速機構部と一体的に構成することが可能であり、第2のギアと第1のローターとを接続用のギアを介して接続する場合に比べて、より装置の小型化が可能である。第2の電樹機械機構部の第2のローターが第1のギアと一体に形成されているので、第2の電気機械機構部のローターを第1の回転軸に接続する構成とする場合に比べて、より装置の小型化が可能である。また、出力軸としての第1の回転軸とケーシングとの間の軸受け部として、および、支持軸と第3のギアとの間の軸受け部として、クロスローラーベアリングが設けられているので、出力軸に加わる荷重負荷に対する剛性を高めることが可能である。
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、変速装置の他、電気機械装置、移動体、ロボット等様々な形態で実現することができる。
第1実施形態としての変速装置を示す概略断面図である。 変速装置の変速機構部を拡大して示す概略斜視図である。 変速装置の変速制御機構部の動作を制御する制御部について示すブロック図である。 制御部に含まれるドライバー回路の内部構成を示す説明図である。 制御部に含まれる駆動制御部の内部構成と動作を示す説明図である。 センサー出力波形と駆動信号波形の対応関係を示す説明図である。 駆動制御部のPWM部の内部構成の一例を示すブロック図である。 モーター正転時のPWM部の動作を示すタイミングチャートである。 モーター逆転時のPWM部の動作を示すタイミングチャートである。 励磁区間設定部の内部構成と動作を示す説明図である。 符号化部の動作とタイミングチャートを示す説明図である。 変速制御機構部の駆動波形を示す説明図である。 制御部に含まれる回生制御部と整流回路の内部構成を示す説明図である。 A相PWM制御部における回生区間設定部の内部構成を示す説明図である。 回生区間の幅が大きいときに実行される回生モードにおけるエネルギーの回生パターンを示す説明図である。 回生区間の幅が小さいときのエネルギーの回生パターンを示す説明図である。 EPWMの値と回生エネルギーの回収率のバリエーションを示す説明図である。 EPWMの値と回生エネルギーの回収率のバリエーションを示す説明図である。 EPWMの値と回生エネルギーの回収率のバリエーションを示す説明図である。 EPWMの値と回生エネルギーの回収率のバリエーションを示す説明図である。 変速機構部の各ギアの回転数の関係を示す説明図である。 第2実施形態としての変速装置を示す概略断面図である。 第2実施形態における変速機構部の各ギアの回転数の関係を示す説明図である。 第3実施形態としての変速装置を示す概略断面図である。 第4実施形態としての変速装置を示す概略断面である。 第5実施形態としての変速装置を示す概略断面図である。 第6実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。 第7実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。 第8実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。 第9実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。 第10実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。 第11実施形態としての発電装置を示す概略断面図である。 変速機構部を構成する第1,第2のサイドギアの変形例を示す概略断面図である。 変速機構部を構成する第1,第2のサイドギアの変形例を示す概略断面図である。 第12実施形態としての変速装置を示す概略断面図である。 クロスローラーベアリングの構成を示す説明図である。 第13実施形態としての変速装置を示す概略断面図である。 第14実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。 第15実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。 第16実施形態としての発電装置を示す概略断面図である。 本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した移動体の一例である電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。 本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用したロボットの一例を示す説明図である。 本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した双腕7軸ロボットの一例を示す説明図である。 本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した垂直多関節ロボットの一例を示す説明図である。 発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した双腕キャスター付ロボットの一例を示す説明図である。 本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した鉄道車両を示す説明図である。
以下では、本発明の実施形態について順に説明する。
A.第1実施形態
A1.変速装置の構成:
図1は、第1実施形態としての変速装置を示す概略断面図である。この変速装置10は、ケーシング20に収容されており、変速機構部30と、変速制御機構部40と、駆動部からの出力を変速機構部30に伝達する入力軸12と、変速機構部30からの出力を被駆動部へ伝達する出力軸14と、を備えている。入力軸12と出力軸14は同一軸心Sx上に設けられている。図2は、変速機構部30を拡大して示す概略斜視図である。
変速機構部30は、ディファレンシャル機構を利用して構成されている。具体的には、変速機構部30は、軸心Sxと直交するように設けられた軸心Syのピニオン軸310の両側に回動自在に取り付けられた二つで一対の第1,第2のサイドギア320,330と、この一対の第1,第2のサイドギア320,330のギア歯320t,330tに噛合するギア歯340t,350tを有し、軸心Sxを中心とする二つで一対の第3,第4のサイドギア340,350と、を備えている。対向する第1,第2のサイドギア320,330と、ピニオン軸310との間には、第1,第2のサイドギア320,330がピニオン軸310の軸心Syを中心に回動自在とするための軸受け部312が配置されている。軸受け部312は、例えば、ボールベアリングによって構成することができる。4つのサイドギア320〜350は、例えば、かさ歯車で構成されている。第3のサイドギア340には、入力軸12が固定接続または一体に形成されている。なお、以下では、「固定接続または一体に形成されている」なる記載を、簡単に「一体的に形成されている」と記載することとする。第4のサイドギア350には、その中央に出力軸14を挿通させるための貫通孔352が形成されている。貫通孔352に挿通された出力軸14は、ピニオン軸310の中点で一体的に形成されている。なお、第3,第4のサイドギア340,350が本発明の第1,第2のギアに相当し、第1,第2のサイドギア320,330が本発明の少なくとも一つの第3のギアに相当する。なお、少なくとも一つの第3のギアとして第1,第2のサイドギア320,330の2つのかさ歯のギアで説明したが、1個のギアで構成することも、また、3個以上の複数のギアで構成することも可能である。ただし、1個のギアよりも複数のギアの方が構造的に安定である。また、かさ歯以外にも、ハイポイドギアも用いることで、より安定した動力伝達を実現することができる。
変速制御機構部40は、ラジアルギャップ型のモーターであり、ローター410と、ステーター420と、を備えている。ローター410は、第4のサイドギア350と一体的に形成された略円筒形状を有しており、その中央部には、第4のサイドギア350と同様に、出力軸14を挿通させるための貫通孔411を有している。ローター410の貫通孔411の壁面と、出力軸14との間には、出力軸14とローター410とを互いに独立して回転させるための軸受け部412が配置されている。この軸受け部412も、例えばボールベアリングで構成することができる。
ローター410の外周面には、永久磁石(ローター磁石)413が円筒形に配列されている。永久磁石413の磁束の方向は、放射方向である。なお、永久磁石413の裏側の面(ローター410の側壁側の面)には、磁力効率を向上させるための磁石バックヨーク415が配置されている。
ローター410を覆うケーシング20の内周面には、ステーター420としての電磁コイル(以下、「電磁コイル420」とも呼ぶ)が、ローター410の永久磁石413と間隔を有しつつ対向するように円筒形に配列されている。即ち、変速制御機構部40では、ステーターとしての電磁コイル420が、軸心Sxを中心としてローター410及びこれに接続された第4のサイドギア350を回転させる。なお、電磁コイル420とケーシング20との間にも、磁力効率を向上させるためのコイルバックヨーク428が配置されている。
ケーシング20には、永久磁石413の位置を検出する位置検出部416と、位置検出部416を実装した回路基板417が設けられている。位置検出部416は、例えば、ホール素子と温度補償回路と増幅器回路とを内蔵したアナログ出力又はデジタル出力可能なホールICによって構成され、永久磁石413の周回軌道の位置に対応するように配置されている。
回路基板417には、位置検出部416だけでなく、電磁コイル420とも電気的に接続されている。回路基板417は、外部に設けられた制御部(不図示)と導電線を介して電気的に接続されており、位置検出部416が出力する検出信号を制御部に送信する。また、回路基板417は、制御部からの制御信号に従って、電磁コイル420に電力を供給して磁界を発生させ、ローター410を回転させる。また、回路基板417は、制御部からの制御信号に従って、ローター410の回転に応じて電磁コイル420に発生した誘起電力を出力し、ローター410の回転を制動させる。
変速制御機構部40は、変速機構部30の第4のサイドギア350が、上記したように、変速制御機構部40のローター410に一体的に形成されているので、ローター410の回転に応じて変速機構部30の第4のサイドギア350の回転を制御することができる。
ケーシング20と入力軸12との間、および、ケーシング20と出力軸14との間には、入力軸12および出力軸14を回動可能に支持するための軸受け部22が配置されている。軸受け部22も例えばボールベアリングを用いて構成することができる。
変速機構部30の概略動作を、図2を用いて説明する。駆動部から入力軸12を介して伝達される回転に伴って、第3のサイドギア340が、破線の矢印で図示する方向に回転する場合を想定して説明する。以下、入力側から見た回転方向で右回りの回転の方向を「時計回り」あるいは「正転」、左回りの回転の方向を「反時計回り」あるいは「逆転」とも呼ぶ。なお、第1と第2のサイドギア320,330のギア歯320t,330tの歯数ms1,ms2は同じであり、第3と第4のサイドギア340,350のギア歯340t、350tの端数ms3,ms4も同じであるとする。
変速機構部30は、変速制御機構部40に接続されている制御ギアとしての第4のサイドギア350の回転(「制御回転」とも呼ぶ)と、入力ギアとしての第3のサイドギア340の回転(「入力回転」とも呼ぶ)との差に応じて、出力ギアとしての第1,第2のサイドギア320,330はそれぞれピニオン軸310の軸心Syを中心とする回転(「自転」と呼ぶ)と、出力軸14の軸心Sxを中心として第3,第4のサイドギア340,350の回りを周回する時計周りの回転(「公転」と呼ぶ)とが発生し、この公転が出力回転として出力軸14を介して被駆動部へ伝達される。すなわち、制御ギアとしての第4のサイドギア350の回転を制御することにより、出力軸14を介して被駆動部へ伝達される出力回転の回転数が制御されることになる。なお、入力回転と出力回転と制御回転との関係については、後で詳述する。
A2.変速装置の制御部の構成:
図3は、変速装置の変速制御機構部の動作を制御する制御部について示すブロック図である。この制御部200は、上述したように、変速制御機構部40の回路基板417に接続されており、変速制御機構部40の動作を制御する。
制御部200は、CPU210と、駆動制御部220と、回生制御部230と、ドライバー回路240と、整流回路250と、を備えている。2つの制御部220,230は、バス212を介してCPU210と接続されている。
駆動制御部220は、変速制御機構部40の位置検出部416に含まれる磁気センサー、本例では、2相の磁気センサー416A,416Bから供給される信号に基づいて、ドライバー回路240を介して電磁コイル420、本例では、2相の電磁コイル420A,420Bに磁界を発生させることにより、変速制御機構部40のローター410の回転、すなわち、制御ギアとしての第4のサイドギア350の回転を駆動する。
また、回生制御部230は、2相の電磁コイル420A,420Bから出力された誘起電力を、整流回路250を介して受け取って、変速制御機構部40から電力を回生し、変速制御機構部40のローター410の回転、すなわち、制御ギアとしての第4のサイドギア350の回転を制動する。なお、駆動制御部220とドライバー回路240とをまとめて「駆動回路」とも呼ぶ。また、回生制御部230と整流回路250とをまとめて「回生回路」とも呼ぶ。また、駆動制御部220を「駆動信号生成回路」とも呼ぶ。
(1)変速制御機構部の駆動回路の構成および動作
図4は、ドライバー回路240(図3)に含まれるA相ドライバー回路240AとB相ドライバー回路240Bの構成を示している。A相ドライバー回路240Aは、A相電磁コイル420Aに、交流の駆動信号DRVA1,DRVA2を供給するためのH型ブリッジ回路である。なお、駆動信号を示すブロックの端子部分に付されている白丸は、負論理であり信号が反転していることを示している。また、符号IA1,IA2が付された矢印は、A1駆動信号DRVA1とA2駆動信号DRVA2によって流れる電流方向をそれぞれ示している。B相ドライバー回路240Bの構成もA相ドライバー回路240Aの構成と同じである。なお、信号を反転させる負論理をなくし、H側のPチャネルMOS−FETを、L側と同様のNチャネルMOS−FETに変更すれば、周波数特性に優れた駆動を実現することもできる。
図5は、駆動制御部220(図3)の内部構成と動作を示す説明図である。駆動制御部220は、基本クロック生成回路510と、1/N分周器520と、PWM部530と、正逆方向指示値レジスタ540と、乗算器550と、符号化部560と、AD変換部570と、電圧指令値レジスタ580と、励磁区間設定部590とを備えている。なお、駆動制御部220は、A相用の駆動信号とB相用の駆動信号の両方を生成する回路であり、基本クロック生成回路510、1/N分周器520、および、正逆方向指示値レジスタ540は、A相とB相とで共通で用いられている。A相用とB相用とでそれぞれに存在するその他の構成要素は、図5(A)では図示の便宜上、A相用の回路構成のみとして描かれているが、B相用についても、A相用と同じ構成要素が駆動制御部220内に設けられている。以下の説明では、A相を例に説明することとする。
基本クロック生成回路510は、所定の周波数を有するクロック信号PCLを発生する回路であり、例えばPLL回路を含む周波数シンセサイザで構成される。1/N分周器520は、クロック信号PCLの1/Nの周波数を有するクロック信号SDCを発生する。Nの値は所定の一定値に設定される。このNの値は、予めCPU210によって1/N分周器520に設定される。PWM部530は、クロック信号PCL,SDCと、乗算器550から供給される乗算値Maと、正逆方向指示値レジスタ540から供給される正逆方向指示値RIと、符号化部560から供給される正負符号信号Paと、励磁区間設定部590から供給される励磁区間信号Eaとに応じて、駆動信号DRVA1,DRVA2(図5)を生成する。この動作については後述する。
正逆方向指示値レジスタ540内には、モーターの回転方向を示す値RIがCPU210によって設定される。本実施形態では、正逆方向指示値RIがLレベルのときにモーターが正転し、Hレベルのときに逆転する。PWM部530に供給される他の信号Ma,Pa,Eaは以下のように決定される。
A相の磁気センサー416Aの出力SSAは、AD変換部570に供給される。このセンサー出力SSAのレンジは、例えばGND(接地電位)からVDD(電源電圧)までであり、その中位点(=VDD/2)が出力波形の中位点(正弦波の原点を通る点)である。AD変換部570は、このセンサー出力SSAをAD変換して、センサー出力のデジタル値を生成する。AD変換部570の出力のレンジは、例えばFFh〜0h(語尾の"h"は16進数であることを示す)であり、中央値80hがセンサー波形の中位点に相当する。
符号化部560は、AD変換後のセンサー出力値のレンジを変換するとともに、センサー出力値の中位点の値を0に設定する。この結果、符号化部560で生成されるセンサー出力値Xaは、正側の所定の範囲(例えば+127〜0)と負側の所定の範囲(例えば0〜−128)の値を取る。但し、符号化部560から乗算器550に供給されるのは、センサー出力値Xaの絶対値であり、その正負符号は正負符号信号PaとしてPWM部530に供給される。
電圧指令値レジスタ580は、CPU210によって設定された電圧指令値Yaを格納する。この電圧指令値Yaは、後述する励磁区間信号Eaとともに、モーターの印加電圧を設定する値として機能するものであり、例えば0〜1.0の値を取る。仮に、非励磁区間を設けずに全区間を励磁区間とするように励磁区間信号Eaを設定した場合には、Ya=0は印加電圧をゼロとすることを意味し、Ya=1.0は印加電圧を最大値とすることを意味する。乗算器550は、符号化部560から出力されたセンサー出力値Xaと、電圧指令値Yaとを乗算して整数化し、その乗算値MaをPWM部530に供給する。
図5(B)〜(E)は、乗算値Maが種々の値を取る場合におけるPWM部530の動作を示している。ここでは、全期間が励磁区間であり非励磁区間が無いものと仮定している。PWM部530は、クロック信号SDCの1周期の間に、デューティがMa/Nであるパルスを1つ発生させる回路である。すなわち、図5(B)〜(E)に示すように、乗算値Maが増加するに従って、駆動信号DRVA1,DRVA2のパルスのデューティが増加する。なお、第1の駆動信号DRVA1は、センサー出力SSAが正のときにのみパルスを発生する信号であり、第2の駆動信号DRVA2はセンサー出力SSAが負のときにのみパルスを発生する信号であるが、図5(B)〜(E)ではこれらを合わせて記載している。また、便宜上、第2の駆動信号DRVA2を負側のパルスとして描いている。
図6(A)〜(C)は、センサー出力の波形とPWM部530で生成される駆動信号の波形の対応関係を示す説明図である。図中、「Hiz」は電磁コイルを未励磁状態としたハイインピーダンス状態を意味している。図5で説明したように、駆動信号DRVA1,DRVA2はセンサー出力SSAのアナログ波形をそのまま利用したPWM制御によって生成される。従って、これらの駆動信号DRVA1,DRVA2を用いて、各コイルに、センサー出力SSAの変化と対応するレベル変化を示す実効電圧を供給することが可能である。
PWM部530は、さらに、励磁区間設定部590から供給される励磁区間信号Eaで示される励磁区間のみに駆動信号を出力し、励磁区間以外の区間(非励磁区間)では駆動信号を出力しないように構成されている。図6(C)は、励磁区間信号Eaによって励磁区間EPと非励磁区間NEPを設定した場合の駆動信号波形を示している。励磁区間EPでは図6(B)の駆動信号パルスがそのまま発生し、非励磁区間NEPでは駆動信号パルスが発生しない。このように、励磁区間EPと非励磁区間NEPを設定するようにすれば、逆起電力波形の中位点近傍(すなわち、センサー出力の中位点近傍)においてコイルに電圧を印加しないので、モーターの効率をさらに向上させることが可能である。なお、励磁区間EPは、逆起電力波形のピークを中心とする対称な区間に設定されることが好ましく、非励磁区間NEPは、逆起電力波形の中位点(中心点)を中心とする対称な区間に設定されることが好ましい。
なお、前述したように、電圧指令値Yaを1未満の値に設定すれば、乗算値Maが電圧指令値Yaに比例して小さくなる。従って、電圧指令値Yaによっても、実効的な印加電圧を調整することが可能である。
上述の説明から理解できるように、本実施形態のモーターでは、電圧指令値Yaと、励磁区間信号Eaとの両方を利用して印加電圧を調整することが可能である。望ましい印加電圧と、電圧指令値Ya及び励磁区間信号Eaとの関係は、予め制御部200(図3)内のメモリー(不図示)にテーブルとして格納されていることが望ましい。こうすれば、制御部200が、望ましい印加電圧の目標値を受信したときに、CPU210がその目標値に応じて、電圧指令値Yaと、励磁区間信号Eaとを駆動制御部220に設定することが可能である。なお、印加電圧の調整には、電圧指令値Yaと、励磁区間信号Eaの両方を利用する必要はなく、いずれか一方のみを利用するようにしてもよい。
図7は、PWM部530(図5)の内部構成の一例を示すブロック図である。PWM部530は、カウンタ531と、EXOR回路533と、駆動波形形成部535とを備えている。これらは以下のように動作する。
図8は、モーター正転時のPWM部530の動作を示すタイミングチャートである。この図には、2つのクロック信号PCL,SDCと、正逆方向指示値RIと、励磁区間信号Eaと、乗算値Maと、正負符号信号Paと、カウンタ531内のカウント値CM1と、カウンタ531の出力S1と、EXOR回路533の出力S2と、駆動波形形成部535の出力信号DRVA1,DRVA2とが示されている。カウンタ531は、クロック信号SDCの1期間毎に、クロック信号PCLに同期してカウント値CM1を0までダウンカウントする動作を繰り返す。カウント値CM1の初期値は乗算値Maに設定される。なお、図8では、図示の便宜上、乗算値Maとして負の値も描かれているが、カウンタ531で使用されるのはその絶対値|Ma|である。カウンタ531の出力S1は、カウント値CM1が0で無い場合にはHレベルに設定され、カウント値CM1が0になるとLレベルに立ち下がる。
EXOR回路533は、正負符号信号Paと正逆方向指示値RIとの排他的論理和を示す信号S2を出力する。モーターが正転する場合には、正逆方向指示値RIがLレベルである。従って、EXOR回路533の出力S2は、正負符号信号Paと同じ信号となる。駆動波形形成部535は、カウンタ531の出力S1と、EXOR回路533の出力S2から、駆動信号DRVA1,DRVA2を生成する。すなわち、カウンタ531の出力S1のうち、EXOR回路533の出力S2がLレベルの期間の信号を第1の駆動信号DRVA1として出力し、出力S2がHレベルの期間の信号を第2の駆動信号DRVA2として出力する。なお、図8の右端部付近では、励磁区間信号EaがLレベルに立ち下がり、これによって非励磁区間NEPが設定されている。従って、この非励磁区間NEPでは、いずれの駆動信号DRVA1,DRVA2も出力されず、ハイインピーダンス状態に維持される。
図9は、モーター逆転時のPWM部530の動作を示すタイミングチャートである。モーター逆転時には、正逆方向指示値RIがHレベルに設定される。この結果、2つの駆動信号DRVA1,DRVA2が図9から入れ替わっており、この結果、モーターが逆転することが理解できる。
なお、本実施形態において、モーターの正転方向は、図2に示した制御ギアとしての第4のサイドギア350を時計周りに回転させる方向とし、逆転方向は、第4のサイドギアを反時計周りに回転させる方向とする。
図10は、励磁区間設定部590の内部構成と動作を示す説明図である。図10(A)に示すように、励磁区間設定部590は、電子可変抵抗器592と、電圧比較器594,596と、OR回路598とを有している。電子可変抵抗器592の抵抗値Rvは、CPU210によって設定される。電子可変抵抗器592の両端の電圧V1,V2は、電圧比較器594,596の一方の入力端子に与えられている。電圧比較器594,596の他方の入力端子には、センサー出力SSAが供給されている。電圧比較器594,596の出力信号Sp,Snは、OR回路598に入力されている。OR回路598の出力は、励磁区間と非励磁区間とを区別するための励磁区間信号Eaである。
図10(B)は、励磁区間設定部590の動作を示している。電子可変抵抗器592の両端電圧V1,V2は、抵抗値Rvを調整することによって変更される。具体的には、両端電圧V1,V2は、電圧レンジの中央値(=VDD/2)からの差分が等しい値に設定される。センサー出力SSAが第1の電圧V1よりも高い場合には第1の電圧比較器594の出力SpがHレベルとなり、一方、センサー出力SSAが第2の電圧V2よりも低い場合には第2の電圧比較器596の出力SnがHレベルとなる。励磁区間信号Eaは、これらの出力信号Sp,Snの論理和を取った信号である。従って、図10(B)の下部に示すように、励磁区間信号Eaは、励磁区間EPと非励磁区間NEPとを示す信号として使用することができる。励磁区間EPと非励磁区間NEPの設定は、CPU210が可変抵抗値Rvを調整することによって行なわれる。
図11は、符号化部の動作とタイミングチャートを示す説明図である。ここでは、A相用の符号化部560(図5)を例にとり説明する。符号化部560は、ADC部570(図6)からADC信号を受け取り、センサー出力値Xaと正負符号信号Paを生成する。ここで、センサー出力値Xaは、ADC信号を+127〜−128にシフトし、その絶対値を取った値である。また、正負符号信号Paについては、ADC信号の値が0よりも小さい場合に正負符号信号PaをH、ADC信号の値が0よりも大きい場合に正負符号信号PaをLとしている。なお、正負符号信号Paの正負は、逆であってもよい。
図12は、変速制御機構部40の駆動波形を示す説明図である。図12(A)は、変速制御機構部40の回転動作に伴ってA相の電磁コイル420Aに発生する誘起電圧波形に対応するA相の磁気センサー416Aのセンサー出力SSAの波形を示している。図12(B)は、変速制御機構部40の駆動のための励磁区間EPを規定する励磁区間信号Eaの波形(以下、「WC制御波形」とも呼ぶ)を示している。図12(C)は、WC制御波形が図12(B)に示すときの、変速制御機構部40に印加されるPWM駆動波形(アナログ)を示している。図12(D)は、WC制御波形が図12(B)に示すときの、変速制御機構部40に印加されるPWM駆動波形(デジタル)を模式的に示している。図12(A)に示すように、誘起電圧波形に対応するセンサー出力波形は、ほぼ正弦波である。WC制御波形の活性期間(励磁区間EP)の中心は、図12(A)に示す誘起電圧波形が最大値を示す位相と同じである。図12(B)に示すように、図12(A)の誘起電圧波形がほぼゼロになる位相では、WC制御波形は非活性期間(非励磁区間NEP)となる。従って、図12(C)に示すアナログのPWM駆動波形は、励磁区間EPでは誘起電圧波形とほぼ相似となり、非励磁区間NEP、すなわち、図12(A)の誘起電圧波形がほぼゼロになる位相ではほぼゼロになっている。
図12(E)は、図12(B)に示すWC制御波形の活性期間を狭めた波形を示している。図12(F)は、WC制御波形が図12(E)に示すときの、変速制御機構部40に印加されるPWM駆動波形(アナログ)を示している。図12(G)は、WC制御波形が図12(E)に示すときの、変速制御機構部40に印加されるPWM駆動波形(デジタル)を模式的に示している。図12(F)に示すPWM駆動波形は、WC制御波形が非活性の状態(非励磁区間NEP)では、ゼロとなっている。また、図12(D)と図12(F)を比較すれば明らかなように、WC制御波形の活性期間(励磁区間EP)が短いほど、パルスの数が少なくなっている。
以上のように、励磁区間EPの幅を制御することにより、変速制御機構部40に印加するPWM駆動波形を制御することができ、これに応じて変速制御機構部40の駆動状態を制御することができる。
なお、図12は、励磁区間EPの幅を制御することにより、変速制御機構部40に印加する駆動波形を制御することを示したが、図5において説明したように、乗算値Maを制御することによってもPWM駆動波形を制御することができ、これに応じて変速制御機構部40の駆動状態を制御することができる。また、両方を組み合わせて制御することにより、変速制御機構部40の駆動状態をより精細に制御することも可能である。
(2)回生回路の構成および動作
図13は、図3に示した回生制御部230と整流回路250の内部構成を示す説明図である。回生制御部230は、A相回生制御部230AとB相回生制御部230Bと、を備えている。また、整流回路250は、A相整流回路250AとB相整流回路250Bとを備えている。A相回生制御部230AおよびA相整流回路250Aの構成と、B相回生制御部230BとB相整流回路250Bの構成とは同じであるので、以下では、A相を例にとり説明する。
A相回生制御部230Aは、バス212に接続されたA相充電切換部432Aと、A相PWM制御部434Aと、A相NAND回路436Aと、を備えている。A相NAND回路436Aの3つの入力端子には、A相充電切換部432Aの出力と、A相PWM制御部434Aの出力MPaと、CPU210から出力される回生許可信号ERと、が与えられる。
A相充電切換部432Aは、A相電磁コイル420Aからの回生電力を回収する場合には「1」レベル(Hレベル)の信号を出力し、回収しない場合には「0」レベル(Lレベル)の信号を出力する。
A相PWM制御部434Aは、図5に示した駆動制御部220の励磁区間設定部590を回生区間設定部590Rに置き換えた点を除いて同様の構成を用いることができる。図14は、A相PWM制御部434Aにおける回生区間設定部590Rの内部構成を示す説明図である。図14(A)に示すように、回生区間設定部590Rは、図11(A)の励磁区間設定部590に加えてEXOR回路599を備えている。EXOR回路599の入力端子には、OR回路598の出力(励磁区間信号Ea)と、CPU210からの回生区間切換信号INVとが与えられる。EXOR回路599の出力が回生期間信号REaとして、励磁区間信号Eaの代わりにPWM部530(図5)に与えられる。
図14(B)に示すように、回生区間切換信号INVがLレベル(:0)の場合には、図10に示した場合と同様に、回生期間信号REaは、センサー出力SSAがピークとなる位相を中心とする期間が回生の活性区間としての回生区間REPとなり、センサー出力SSAが0となる位相を中心とする期間が回生の非活性区間としての非回生区間NREPとなる。これに対して、回生区間切換信号INVがHレベル(:1)の場合には、センサー出力SSAが0となる位相を中心とする期間が回生区間REPとなり、センサー出力SSAがピークとなる位相を中心とする期間が非回生区間NREPとなる。
従って、A相PWM制御部434Aでは、後述するように、回生区間切換信号INVに応じて、回生区間REPと非回生区間NREPの位相が切り換えられ、A相PWM駆動波形MPaの出力期間が切り換えられる。
A相NAND回路436Aの入力端子には、上記したように、A相充電切換部432Aの出力、回生許可信号ER、および、A相PWM制御部434Aの出力であるA相PWM駆動波形MPaが与えられている。従って、A相NAND回路436Aは、回生許可信号ERおよびA相充電切換部432Aの出力がHレベル(INV:1)となり、回生電力の回収を実行し、変速制御機構部40の回転を制動する場合には、A相PWM駆動波形MPaに対応するA相マスク信号MSKAを出力する。
A相整流回路250Aは、A相電磁コイル用の回路として、複数のダイオードを含む全波整流回路451と、2つのゲートトランジスター461,462と、バッファー回路471と、インバーター回路472(NOT回路)とを有している。なお、B相用にも同じ回路が設けられている。ゲートトランジスター461,462は、回生用の電源配線480に接続されている。また、複数のダイオードとしては、低Vf特性に優れたショットキーダイオードを用いることが好ましい。
電力回生時にA相電磁コイル420Aで発生した交流電力は、全波整流回路451で整流される。ゲートトランジスター461,462のゲートには、A相電磁コイル用のA相マスク信号MSKAとその反転信号が与えられており、これに応じてゲートトランジスター461,462がオン/オフ制御される。従って、A相PWM制御部434Aから出力されたA相PWM駆動波形MPaのHレベルの期間では回生電力が電源配線480に出力され、一方、A相PWM駆動波形MPaのLレベルの期間では電力の回生が禁止される。
以上の説明から理解できるように、回生制御部230と整流回路250を用いて、回生電力を回収し、変速制御機構部40の動作を制動することが可能である。また、回生制御部230と整流回路250は、A相電磁コイル用のマスク信号MSKA及びB相電磁コイル用のマスク信号MSKBに応じて、A相電磁コイル420AとB相電磁コイル420Bからの回生電力を回収する期間を制限し、これによって回生電力の量を調整することが可能である。この回生電力の量を調整することにより、変速制御機構部40の回転制動量を調整することが可能である。
なお、上記したように、回生制御は回生区間REPで実行され、この回生区間REPは回生区間切換信号INVにより切り換えられる。すなわち、回生制御には2つのモードが設けられている。CPU210は、回生区間切換信号INVを生成し、回生制御モードを切り換える。回生区間切換信号INVがLレベルのとき、励磁区間信号Eaと回生期間信号REaとは同じ論理である。このとき、CPU210は、電気角π/2,3π/2点の誘起電圧が大きな領域を中心に回生電流を流す。一方、回生区間切換信号INVがHの時、励磁区間信号Eaと回生区間REaの論理が逆であり、CPU210は、電気角0,π点の誘起電圧が小さな領域を中心に回生電流を流す。このように、CPU210は、回生区間切換信号INVを用いて、励磁区間信号Eaの論理を維持または反転させることにより回生区間REPを生成し、電気角0,π,2π(誘起電圧波形のゼロクロス点)を中心とする回生区間と、電気角π/2,3π/2(誘起電圧波形の極大)を中心とする回生区間とを切り換えることが出来る。B相についても同様である。
図15Aは、回生区間REPの幅が大きいときに実行される回生モードにおけるエネルギーの回生パターンを示す説明図である。図15Aにおいて、EPWMの値は、電気角2πの間の回生区間REPの大きさの割合を示す。回生区間REPの幅が大きいときには、誘起電圧波形のピークを中心とした回生区間を有する回生期間信号REaを生成し、回生区間REPの幅が小さいときには、誘起電圧波形のゼロクロス点を中心とした回生区間を有する回生期間信号REaを生成し、電磁コイル420(図13)からエネルギーを回生する。CPU210は、変速装置10の入力回転数や出力回転数、各種要求等に応じてEPWMの大きさや2つの回生モードを切り換え、様々な回生モードで回生を実行する。なお、EPWMの大きさの変更は、CPU210が、図14に示す回生区間設定部590Rの電子可変抵抗器592の電気抵抗の大きさを変えることにより行うことが出来る。
図15A(A)は、電磁コイル420に生じる誘起電圧波形を示す。なお、この誘起電圧波形は、EPWMの値に依存しない。図15A(B)は、EPWMが95%の時における回生期間信号REaの波形(以下、「WC制御波形」とも呼ぶ)を示している。回生区間REP(Hレベル)において、エネルギーの回生を行うことが出来る。本例において回生区間REPは、誘起電圧波形(図15A(A))のピーク(極大値)を中心とした区間である。この区間を、「第2の回生区間」とも呼ぶ。図15A(C)は、回生エネルギーをアナログ電圧で示した回生波形を示す。図15(D)は、PWM回生のためにゲートトランジスター461,462に与えられるPWMパルスを含むマスク信号MSKを示す。本実施形態では、エネルギーの回生をPWMパルスを利用して行っている。図15(E)は、回生波形が高電圧の場合のPWM回生波形を示し、図15(F)は、回生波形が低電圧の場合のPWM回生波形回生波形を示している。
図15A(G)〜(K)は、それぞれ、EPWMが40%以上の時のWC制御波形、回生波形、マスク信号、PWM回生波形(高電圧)、PWM回生波形(低電圧)を示す。回生区間REPを短くする(EPWMの値を小さくする)と、図15A(E)と図15A(J)との比較で分かるように、PWM回生波形の細いパルスから消失していく。このように、PWM回生波形において、細いPWMパルスから消失していく場合、細いPWMパルスが消失しても、回生エネルギーの大きな変動は起こり難い。すなわち、回生において、動作が、ぎくしゃくし難い。
ここで、回生区間REPを誘起電圧波形(図15A(A))のピーク(極大値)を中心とした区間を維持したままEPWMの値がさらに小さくされると、誘起電圧波形(図15A(A))のピーク近傍の大きなPWMパルスが消失することになる。かかる場合、回生エネルギーの大きな変動がおこるため、回生において、動作が、ぎくしゃくする場合がある。また、逆に、回生区間REPを誘起電圧波形のピークを中心とした区間を維持したままEPWMの値を大きくしていった場合、回生区間REPの幅が0から少し大きくした状態でも、大きなPWMパルスが発生することになり、回生エネルギーの大きな変動がおこるため、回生において、動作が、ギクシャクする場合がある。そこで、EPWMの値が小さく、回生区間REPの幅が小さい場合には、以下で説明するようにして回生制御を行なうことが好ましい。
図15Bは、回生区間REPの幅が小さいときのエネルギーの回生パターンを示す説明図である。図15Bにおいて、EPWMの値は、電気角2πの間の回生区間REPの大きさの割合を示すのは、図15Aと同じである。図15B(A)の誘起電圧波形は、図15(A)の誘起電圧波形と同じである。本例では、EPWMの値が小さい値となると、回生区間REPの中心を、誘起電圧波形のゼロクロス点とする。ここで、ゼロクロス点を中心とした回生区間REPを、請求項では、「第1の回生区間」と呼んでいる。
図15B(B)〜(F)は、それぞれ、EPWMが30%の時のWC制御波形、回生波形、マスク信号、PWM回生波形(高電圧)、PWM回生波形(低電圧)を示す。図15A(H)と図15B(C)とを比較すると分かるように、EPWMが40%以上の時は、誘起電圧波形のピーク中心に回生波形が生じているのに対し、EPWMが30%の時は、誘起電圧波形のゼロクロス点を中心に回生波形が生じている。次に、図15A(J)と図15B(E)とを比較すると分かるように、EPWMが40%以上の時は、誘起電圧波形のゼロクロス点に近い細いPWMパルスが消失しているのに対し、EPWMが30%の時は、誘起電圧波形のピーク中心に近い太いPWMパルスが消失している。
図15B(G)〜(K)は、それぞれ、EPWMが5%の時のWC制御波形、回生波形、PWM回生波形(高電圧)、PWM回生波形(低電圧)を示す。図15B(E)と図15B(J)とを比較すると分かるように、EPWMが30%から5%に小さくなると、誘起電圧波形のピーク中心に近い太いPWMパルスと誘起電圧波形のゼロクロス点に近い細いPWMパルスとの間のほぼ中間の大きさのPWMパルスから消失している。
以上をまとめると、EPWMが40%以上のときは、EPWMの値が小さくなるにつれて、誘起電圧波形のゼロクロス点に近い細いPWMパルスから順番にほぼ中間の大きさのPWMパルスまで消失する。そして、EPWMが30%以下の時は、EPWMの値が小さくなるにつれて、中間の大きさのPWMパルスから誘起電圧波形のゼロクロス点に近い細いPWMパルスの順番にPWMパルスが消失していく。
以上説明したように、EPWMが小さくなるときに、細いPWMパルスから順に中間の大きさのPWMパルスまでを消失させ、WC制御波形の活性中心を切り替えた後は、中間の大きさのPWMパルスから順に細い大きさのPWMパルスまでを消失させていくので、EPWMの大きさが変化したときの回生エネルギーの変化、およびこれに伴う負荷の変化を小さくすることができる。その結果、回生の動作や、これに伴う負荷変動がぎくしゃくすることを抑制することができる。なお、EPWMを大きくしていく場合も同様である。すなわち、細いPWMパルスから中間の大きさまでのPWMパルスが付加されていくので、この場合においても、回生の動作や、これに伴う負荷変動がぎくしゃくすることを抑制することができる。
図16Aから図16Dは、EPWMの値と回生エネルギーの回収率のバリエーションを示す説明図である。図16Aに示す例は、CPU210は、回生期間の全領域を、ゼロクロス点を中心としたWC制御波形の回生区間(第1の回生区間)で構成した例である。EPWMが100%の時は、ゼロクロス点を中心とし場合の回生区間と、誘起電圧波形のピークを中心とした回生区間(第2の回生区間)は同じとなる。本例によれば、回生エネルギーが小さいときは、回生区間が変化したときの回生エネルギー量の変化が小さく、回生エネルギー量が大きいときは、回生区間が変化したときの回生エネルギー量の変化が大きい。すなわち、回生エネルギー量に対する回生エネルギーの変化の割合(変化率)を、回生区間の大きさによらずほぼ一定とすることができるので、変速制御機構部40の回生時において滑らかに動作させることができる。
図16Bに示す例は、CPU210は、EPWMの値がx1になったときに、第1の回生区間と、第2の回生区間を切り替える。切り替え時の回生エネルギーの回収率は、第1の回生区間ではy21であり、第2の回生区間では、y22である。切り替え時の回生エネルギーの変化は、|y21−y22|である。|y21−y22|の値が小さければ、第1の回生区間と第2の回生区間が切り替わっても、回生の動作がぎくしゃくしない。また、回生制御部230は、回生エネルギー量が小さいときは、電磁コイルに生じる誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間で回生を行い、回生エネルギー量が大きいときは、電磁コイルに生じる誘起電圧の極大点を中心とした第2の回生区間で回生を行うので、変速制御機構部40の回生時において滑らかに動作させることができる。
図16Cに示す例は、EPWMを大きくしていくときにおいて、CPU210は、EPWMの値がx2になったときに、第1の回生区間から第2の回生区間に切り替え、EPWMを小さくしていくときにおいて、EPWMの値がx1になったときに、第2の回生区間から第1の回生区間に切り替える。ここで、第1の回生区間と第2の回生区間との切り替え時において、回生エネルギーの回収率は、y21であり、回生エネルギーは、連続している。このように、回生エネルギーを連続させると、より滑らかに回生を行うことが出来る。
また、図16Cの例によれば、回生制御部230は、回生期間が短く回生するエネルギー量が小さいときは、電磁コイル420に生じる誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間で回生を行い、回生期間が長く回生エネルギー量が大きいときは、電磁コイル420に生じる誘起電圧の極大点を中心とした第2の回生区間で回生を行うので、変速制御機構部40の回生時において滑らかに動作させることができる。また、回生制御部230は、第1の回生モードと前記第2の回生モードの切り換え時において、切り換え前後の回生されるエネルギー量が同じ値となるように、切り換えるので、切り換え前後の回生エネルギー量が連続し、電気機械装置の回生時において滑らかに動作させることができる。
図16Dに示す例は、図16Bに示す例と、図16Cに示す例の中間である。図16Dに示す例では、CPU210は、EPWMを大きくしていくときにおいて、EPWMの値がx2になったときに、第1の回生区間から第2の回生区間に切り換える。ここまでは、図16B、図16Cと同じである。図16Bに示す例では、CPU210は、第1の回生区間から第2の回生区間に切り替える時に、EPWMの大きさをx2のまま変えずにエネルギーの回収率をy21からy22に上げている。また、図16Cに示す例では、CPU210は、第1の回生区間から第2の回生区間に切り替える時に、回生エネルギーの回収率をy21のまま変えずに、EPWMの大きさをx2からx1に大きくしている。これに対し、図16Dに示す例では、CPU210は、EPWMの大きさをx2からx3(x3>x1)に小さくすると共に、回生エネルギーの回収率をy21からy32(y32<y22)に上げている。このようにしても第1の回生区間と第2の回生区間との間に回生エネルギーの差が小さいので、回生の動作がぎくしゃくしない。なお、CPU210は、EPWMの値を小さくしていくときは、EPWMの値がx3に達したときに、第2の回生区間から第1の回生区間に切り替える。このとき、新たなEPWMの値をx2とし、回生エネルギーの回収率をy32からy21に減少させる。
図16Dの例によれば、回生期間が短く回生するエネルギー量が小さいときは、電磁コイル420に生じる誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間で回生を行い、回生期間が長く回生エネルギー量が大きいときは、電磁コイル420に生じる誘起電圧の極大点を中心とした第2の回生区間で回生を行うので、変速制御機構部40の回生時において滑らかに動作させることができる。また、第1の回生モードから第2の回生モードへの切り換えるときに、切り換え前後の回生エネルギーの変化を少なくすることができるので、変速制御機構部40の回生時において滑らかに動作させることができる。
図16A〜Dに示すように、EPWMと回生エネルギーの回収率の間には、様々なパターンを採用することができる。なお、第1の回生区間と第2の回生区間の切り換えは、回生区間切換信号INVの値により行うことができる。図16B,Dにおいて、第1の回生区間と第2の回生区間が重なっている場合には、第1,第2のどちらの回生モード、回生区間を用いてもよい。
なお、上記説明では、EPWMの値から回生エネルギーの回生を考えたが、逆に回生エネルギーから、第1の回生区間と第2の回生区間とを切り換えるEPWMの値を考えてもよい。例えば、CPU210は、回生エネルギーの回収率が100%〜50%までのときは、第2の回生区間でエネルギーを回生し、回生エネルギーの回収率が50%〜0%までのときは、第1の回生区間でエネルギーを回生してもよい。
以上説明したように、EPWMの値が小さいとき、あるいは、回生エネルギーの回収率が小さいときには、第1の回生区間によりエネルギーの回生を行い、EPWMの値が大きいとき、あるいは、回生エネルギーの回収率が大きいときには、第2の回生区間によりエネルギーの回生を行うと、エネルギーの回生時において、ぎくしゃくした動作を抑制することができる、なお、EPWMや回生エネルギーの回収率の具体的な値は、一例であり、個々のモーターにおいて、その特性に応じて様々な値を採用することが出来る。また、全区間を第1の回生区間によりエネルギーの回生を行ってもよい。
なお、上記説明では、変速装置10の外部に制御部200を備えるものとして説明したが、この制御部200を変速装置10の回路基板417上に、あるいは、回路基板417とは別の回路基板上に、制御部200のCPU210と外部との間の通信を実行する通信部とともに実装して、ケーシング20内に備えるようにしてもよい。この場合には、外部から送信されたコマンド指令に応じて変速装置を動作させることができる。
A3.変速制御動作:
図17は、変速機構部30の各ギアの回転数の関係を示す説明図である。まず、制御ギアとしての第4のサイドギア350(以下、ここでは「制御ギア350」とも呼ぶ)の回転(制御回転)が、入力ギアとしての第3のサイドギア340(以下、ここでは「入力ギア340」とも呼ぶ)の回転(入力回転)と同じ回転数で時計周りの回転となっている場合を想定する。この場合には、出力ギアとしての第1,第2のサイドギア320,330(以下、ここでは「出力ギア320,330」とも呼ぶ)にはそれぞれピニオン軸310の軸心Syを中心とする自転は発生せず、入力ギア340および制御ギア350の回転に伴って、出力軸14の軸心Sxを中心として入力ギア340および制御ギア350の回りを周回する時計周りの公転が発生する、と考えられる。例えば、図17の点線で示すように、入力回転数Ns=+N1で、制御回転数Nr=+N1ならば、出力回転数Nc=+N1となる。なお、符号+は入力側からみた時計周りの回転を意味しており、符号−は入力側からみた反時計周りの回転を意味している。
同様に、制御ギア350の制御回転が、入力ギア340の入力回転と同じ回転数で反時計周りの回転数となっている場合を想定する。この場合には、出力ギア320,330には互いに反対向きの自転のみが発生し、公転、すなわち出力回転は0となる、と考えられる。例えば、図17の太い実線で示すように、入力回転数Ns=+N1で、制御回転数Nr=−Nr1ならば、出力回転数Nc=0となる。
以上の動作から、出力ギア320,330の公転に相当する出力回転には、出力ギア320,330の歯数は関係しないと考えられる。そして、入力回転数Nsと出力回転数Ncと制御回転数Nrとの関係は、入力ギア340の歯数msと、入力ギア340の歯数に等しい歯数を有する制御ギア350の歯数mrと、を用いて、下式(1),(2)で表される、と考えられる。
Nc=Ns・(ms/(mr+ms))+Nr・(mr/(mr+ms))=(Ns+Nr)/2 ・(1)
Nr=((mr+ms)/ms)・(Nc−Ns・ms/(mr+ms))=2・Nc−Ns ・(2)
上記(1)式からわかるように、出力回転数Ncは、入力ギア340の入力回転数Nsと、制御ギア350の制御回転数Nrとを平均した回転数となり、入力ギア340の入力回転数Nsが一定(Ns=+N1)であるとすると、制御ギア350の制御回転数Nr、すなわち、変速制御機構部40による制御ギア350の回転状態に応じて無段階で制御することができる。
ここで、制御ギア350の回転が変速制御機構部40によって何ら制御されていない場合には、制御ギア350はフリー回転状態となり、制御ギア350の回転は、入力回転数Nsと同じ制御回転数Nrで反時計周りの回転となる。この場合の変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に太い実線で示した直線の関係となる。すなわち、制御ギア350は、その制御回転数Nrの大きさが入力回転数Ns=+N1と同じ大きさであるが、逆向きの反時計周りに回転する(Nr=−N1)。このとき、出力ギア320,330には公転は発生せずに自転のみが発生し、出力回転数Ncは、上記(1)式から0となる。
制御ギア350の制御回転数NrがNr=0で停止状態である場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は図17に破線で示した直線関係となる。この場合、出力ギア320,330の出力回転数Ncは、上記(1)式から求められる回転数+N1/2(Ns=+N1,Nr=0)、すなわち、入力回転数Ns=+N1を1/2に減速した回転数となる。
ここで、この制御ギア350の回転の停止状態は、入力ギア340から出力ギア320,330を介して伝達される回転力に応じて制御ギア350に発生する反時計周りの回転力を相殺するための制動力が制御ギア350に加えられるように、変速制御機構部40を回生あるいは駆動制御することによって実現される。
制御ギア350がフリー回転状態(Nr=−N1)から停止状態(Nr=0)までの間で反時計周りに回転している状態の場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に一点鎖線で示した直線関係となる。制御ギア350の制御回転数NrをNr=−Nr1(0<Nr1<N1)とすると、出力回転数Ncは、上記(1)式から+Nc1(=(N1−Nr1)/2)となり、制御回転数Nr=−Nr1の大きさに応じて0〜+N1/2の間の任意の値となる。なお、出力回転数Ncを0〜+N1/2の間の任意の回転数+Nc1とするためには、制御ギア350の制御回転数Nrが上記(2)式から求められる回転数−Nr1(=2・Nc1−N1)で反時計周りに回転するように、具体的には、制御ギア350が制御回転数Nr=−N1で反時計周りに回転しようとするのに応じて反時計周りに回転しようとする変速制御機構部40の回転を回生制御により制動するようにすればよい。
制御ギア350が任意の制御回転数Nr=+Nr2で時計周りに回転している場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に二点鎖線で示した直線関係となる。そして、この場合の出力回転数Ncは、上記(1)式から+Nc2(=(N1+Nr2)/2)となり、制御回転数Nr=+Nr2の大きさに応じて入力回転数Ns=+N1を任意の回転数に変速した時計周りの回転となる。なお、制御回転数NrがNr=+N1の場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は図17に点線で示した直線関係となり、出力回転数NcはNc=+N1となる。また、制御回転数NrがNr=+2・N1の場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は図17に二点鎖線で示した直線関係となり、出力回転数NcはNc=+N・3/2となる。なお、出力回転数Ncを+N1/2以上の任意の回転数+Nc2とするためには、制御ギア350の制御回転数Nrが上記(2)式から求められる回転数+Nr2(=2・Nc2−N1)で時計回りに回転するように、変速制御機構部40の回転を時計周りで駆動制御すればよい。
制御ギア350がフリー回転状態の回転数Nr=−N1よりも大きい任意の回転数−Nr3で反時計周りに回転している場合には、変速機構部30における変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に実線で示した直線関係となる。そして、この場合の出力回転数Ncは、上記(1)式から−Nc3(=(N1−Nr3)/2)となり、制御回転数NrがNr=回転数−Nr3の大きさに応じて入力回転の回転数+N1を0以上の任意の回転数に変速した反時計周りの回転の回転数となる。なお、出力回転の回転数NCを反時計周りの任意の回転数−Nc3とするためには、制御ギア350の回転数Nrが上記(2)式から求められる回転数−Nr3(=−2・Nc3−N1)で反時計回りに回転するように、変速制御機構部40の回転を反時計周りで駆動制御すればよい。
ここで、出力回転数Ncを0から+N1/2に変化させる場合には、上記したように、制御ギア350の制御回転数Nrが−N1から0に減速(制動)するように変速制御機構部40を回生制御すればよい。しかしながら、回生区間の幅を、減速の度合い(制動の度合い)に応じた回生量が得られる大きさに設定して、回生を実行したとすると、急激な負荷変動によって急激な動作変動が発生することになり、動作がぎくしゃくしてしまう。そこで、本例では、上記で説明した回生制御動作(図13〜図16)を用いる。具体的には、まず、回生の初期段階では、第1の回生モードとし、回生区間REPの幅を変化させても回生量の変化が小さな、誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間で回生を行うこととし、回生区間REPの幅を徐々に変化させて回生量を増やしていく。その後、第2の回生モードとして、誘起電圧のピーク点を中心とした第2の回生区間で回生を行うこととし、回生区間REPの幅を徐々に変化させて回生量を増やしていくことにより、回生を実行する。この場合に、切り換えの直前における第1の回生区間の幅よりも、切り換えの直後の第2の回生区間の幅を小さく設定して、切り換え前後における回生量に差が発生しないようにするのが好ましい。特に、切り換え前後の回生されるエネルギー量が同じ値となって連続するように、切り換え直後の第2の回生区間の幅を設定することが好ましい。また、第2の回生モードで回生を実行している間に、徐々に回生量が減少していった場合には、第2の回生モードから第1の回生モードに切り換えを行うようにすればよい。この場合に、切り換えの直前における第2の回生区間の幅よりも、切り換えの直後の第1の回生区間の幅を大きく設定して、切り換え前後における回生量に差が発生しないようにするのが好ましい。特に、切り換え前後の回生されるエネルギー量が同じ値となって連続するように、切り換え直後の第1の回生区間の幅を設定することが好ましい。
なお、上記説明は、出力回転数Ncを0から+N1/2に変化させるために、制御ギア350の制御回転数Nrを−N1から0に減速(制動)させる場合を例に説明したが、出力回転数Ncを+Nc2から+N1/2に変化させるために、制御ギア350の制御回転数Nrを+Nr2から0に減速させる場合等、制御ギア350の制御回転数Nrを減速させる場合において、同様も制御すればよい。
また、上記説明は回生により回転を減速(制動)させる場合を例に説明したが、回転を増速させる場合においても、同様に、励磁区間の幅を徐々に変化させていき、滑らかに加速していくことが好ましい。
以上のようにすれば、滑らかな負荷変動を実現することができ、滑らかな変速動作およびトルク変化を実現し、動作がぎくしゃくしてしまうことを防止することが可能である。
A4.効果:
実施形態の変速装置10では、入力軸12と出力軸14とを同一の軸心Sx上に配置し、第1,第2のサイドギア320,330のピニオン軸310に接続された出力軸14を、第4のサイドギア350の中央部に設けられた貫通孔352を介し、変速機構部30の外部に出力する構成としている。これにより、軸心Sxに直交する軸心Syの方向のサイズを小型化することが可能である。また、本実施形態の変速装置10では、無段階で連続的かつ滑らかに変速動作を実現することが可能であり、これに伴って無段階で連続的かつ滑らかにトルクの伝達量を変化させることが可能である。
なお、上記第1,第2のサイドギア320,330の形状として、かさ歯車を前提として説明したが、これに限定されるものではなく、はすば歯車、やまば歯車、まがりばかさ歯車、すぐばかさ歯車、マイタ歯車、内歯車等種々の形状を用いることができる。また、第3,第4のサイドギア340,350の形状は、第1,第2のサイドギア320,330に噛合するように、第1,第2のサイドギア320,330の形状に応じた形状とすればよい。
B.第2実施形態
図18は、第2実施形態としての変速装置を示す概略断面図である。この変速装置10Bは、第1実施形態の変速装置10の入力軸12を出力軸(本例では、「出力軸12」と呼ぶ)として被駆動部に接続し、出力軸14を入力軸(本例では、「入力軸14」と呼ぶ)として駆動部に接続する構成とした点が異なっており、これに応じて各ギアの回転数の関係が異なっている点を除いて、第1実施形態の変速装置10と同様である。
図19は、第2実施形態における変速機構部30の各ギアの回転数の関係を示す説明図である。まず、制御ギアとしての第4のサイドギア350(以下、ここでは「制御ギア350」とも呼ぶ)の回転(制御回転)が、入力ギアとしての第1,第2のサイドギア320,330(以下、ここでは「入力ギア320,330」とも呼ぶ)の公転(入力回転)と同じ回転数で時計回りの回転となっている場合を想定する。この場合には、入力ギア320,330の自転は発生せず、入力ギア320,330の公転に伴って、第3のサイドギア340(以下、ここでは「出力ギア340」とも呼ぶ)に、入力回転と同じ回転数で時計周りの回転(出力回転)が発生する、と考えられる。例えば、図19の実線で示すように、入力回転数Ns=+N1で、制御回転数Nr=+N1ならば、出力回転数Nc=+N1となる。なお、符号+は出力側からみた時計周りの回転を意味しており、符号−は出力側から見た反時計周りの回転を意味している。
同様に、制御ギア350の制御回転が停止状態の場合には、入力ギア320,330には、入力回転の回転数に等しい公転と共に、互いに反対向きの自転が発生し、出力ギア340には、入力回転数の2倍の回転数で同じ時計周りの出力回転が発生する、と考えられる。例えば、図19の太い実線で示すように、入力回転数Ns=+N1で、制御回転数Nr=0ならば、出力回転数Nc=+2・N1となる。
以上の動作から、出力ギア340の出力回転には、入力ギア320,330の歯数は関係しないと考えられる。そして、入力回転数Nsと出力回転数Ncと制御回転数Nrとの関係は、出力ギア340の歯数mcと、出力ギア340の歯数に等しい歯数を有する制御ギア350の歯数mrと、を用いて、下式(3),(4)で表される、と考えられる。
Nc=((mr+mc)/mc)・(Ns−Nr・(mr/(mr+ms))=2・(Ns−Nr/2) ・(3)
Nr=((mr+mc)/mc)・(Nc−Ns・(mc/(mr+mc))=(2・Ns−Nc) ・(4)
上記(3)式からわかるように、出力回転数Ncは、入力ギア320,330の公転に対応する入力回転数Nsと制御ギア350の制御回転数Nrの1/2の回転数Nr/2との差の2倍の回転数となり、入力ギア340の入力回転数Nsが一定(Ns=+N1)であるとすると、制御ギア350の制御回転数Nr、すなわち、変速制御機構部40による制御ギア350の回転状態に応じて無段階で制御することができる。
ここで、制御ギア350の回転が変速制御機構部40によって何ら制御されていない場合には、制御ギア350はフリー回転状態となり、制御ギア350の回転は、入力ギア320,330の入力回転数Nsと同じ制御回転数Nrで時計周りの回転となる。この場合の変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に実線で示した直線の関係となる。この場合、制御ギア350は、その制御回転数Nrの大きさが入力回転数Ns=+N1と同じ大きさで、同じ向きの時計周りに回転する(Nr=+N1)。このとき、入力ギア320,330には、自転は発生せず、出力ギア340の出力回転数Ncは、上記(1)式から求められる回転数+N1、すなわち、入力回転と同じ時計周りで同じ大きさの回転数となる。
制御ギア350の制御回転数NrがNr=0で停止状態である場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に太い実線で示した直線関係となる。この場合、出力ギア340の出力回転数Ncは、上記(1)式から求められる回転数+2・N1(Ns=+N1,Nr=0)、すなわち、入力回転と同じ時計回りで、入力回転数Ns=+N1の2倍の大きさの回転数となる。
ここで、この制御ギア350の回転の停止状態は、入力ギア320,330から伝達される回転力に応じて制御ギア350に発生する時計周りの回転力を相殺するための制動力が制御ギア350に加えられるように、変速制御機構部40を回生あるいは駆動制御することによって実現される。
制御ギア350が制御回転数Nr=+2・N1で時計周りに回転している場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に破線で示した直線関係となる。この場合、出力ギア340の出力回転数Ncは、上記(1)式からNc=0(Ns=+N1,Nr=+2・N1)となる。なお、出力回転数Ncを0とするためには、制御ギア350の制御回転数Nrが上記(2)式から求められるフリー回転状態の+N1よりも大きい+2・N1で時計回りに回転するように、変速制御機構部40の回転を駆動制御すればよい。
制御ギア350が制御回転数Nr=+3・N1で時計周りに回転している場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に二点鎖線で示した直線関係となる。この場合、出力ギア340の出力回転数Ncは、上記(1)式からNc=−N1(Ns=+N1,Nr=+3・N1)となる。なお、出力回転数Ncを反時計周りの回転数−N1とするためには、制御ギア350の制御回転数Nrが上記(2)式から求められるフリー回転状態の+N1よりも大きい+3・N1で時計回りに回転するように、変速制御機構部40の回転を駆動制御すればよい。
制御ギア350が制御回転数Nr=−N1で反時計周りに回転している場合には、変速機構部30における各ギアの回転数の関係は、例えば、図17に一点鎖線で示した直線関係となる。この場合、出力ギア340の出力回転数Ncは、上記(1)式からNc=+3・N1(Ns=+N1,Nr=−N1)となる。なお、出力回転数Ncを+3・N1とするためには、制御ギア350の制御回転数Nrが上記(2)式から求められる回転数−N1で反時計周りに回転するように、変速制御機構部40の回転を駆動制御すればよい。
なお、出力回転数Ncを所望の回転数に変化させるためには、第1実施形態で説明したと同様に、変速制御機構部40の回生制御および駆動制御を実行するようにすることが好ましい。これにより、滑らかな負荷変動を実現することができ、滑らかな変速動作およびトルク変化を実現し、動作がぎくしゃくしてしまうことを防止することが可能である。
C.第3実施形態
図20は、第3実施形態としての変速装置を示す概略断面図である。この変速装置10Cは、第1実施形態の変速装置10の変速制御機構部40(図1)の略円筒形状のローター410をローター410Cとした点が異なっている。このローター410Cは、円盤形状の本体部と、その本体部の側壁の外周面に永久磁石413および磁石バックヨーク415を配置し、その本体部の側壁の端部に第4のサイドギア350Cを一体的に形成した構造を有している。また、この変速装置10Cは、第1実施形態の変速装置10の変速機構部30(図1)の第3のサイドギア340を、第3のサイドギア340Cとした点が異なっている。この第3のサイドギア340Cは、円盤形状の本体部と、その本体部の側壁の端部にギア歯340tを儲けた構造を有している。また、ケーシング20(図1)を、上記変更に合わせたケーシング20Cとした構造を有している。なお、第3実施形態の変速装置10Cにおける他の構造や機能は、第1実施形態の変速装置10(図1)と同じである。
D.第4実施形態
図21は、第4実施形態としての変速装置を示す概略断面である。この変速装置10Dは、第1,第2のサイドギア320,330のギア歯320t,330tの向きを、第1〜第3実施形態(図1,図18,図20)のように互いに向き合うように内向きに配置するのではなく、互いに反対に向き合う外向きに配置するとともに、第3,第4のサイドギア340D,350Dのギア歯340Dt,350Dtを、第1,第2のサイドギア320,330のギア歯320t,330tに噛合するような内歯車とした変速機構部30Dを例に示している。
この構成の場合には、第1,第2のサイドギア320,330の公転による軸心Sy方向に沿った遠心力によって、第1,第2のサイドギア320,330に発生する位置変動を、第3,第4のサイドギア340D,350Dによって抑制することができ、第1,第2のサイドギア320,330と第3,第4のサイドギア340D,350Dとの噛合に優れる、という利点がある。
E.第5実施形態
図22は、第5実施形態としての変速装置を示す概略断面図である。この変速装置10Eは、第4実施形態の変速装置10D(図21)の第3のサイドギア340Dの円盤状の本体部の側壁の外周面に永久磁石613および磁石バックヨーク615を配置して、第3のサイドギア340Dをローター610とし、ローター610を覆うケーシング20Eの内周面に、電磁コイル620をステーターとしてコイルバックヨーク628を介して配置し、第3のサイドギア340Dに、アシストモーター部60を一体的に形成した例を示している。
なお、変速制御機構部40C(図21)および変速制御機構部40(図1)と同様に、ケーシング20Eには、永久磁石613の位置を検出する位置検出部616と、位置検出部616を実装した回路基板617が設けられている。位置検出部616は変速制御機構部40Cの位置検出部416と同様に、ホール素子によって構成され、永久磁石613の周回軌道の位置に対応するように配置されている。回路基板617には、位置検出部616だけでなく、電磁コイル620とも電気的に接続されている。回路基板617は、外部に設けられた制御部(不図示)と導電線を介して電気的に接続されており、位置検出部616が出力する検出信号を制御部に送信する。また、回路基板617は、制御部からの制御信号に従って、電磁コイル620に電力を供給して磁界を発生させ、ローター610を回転させる。また、回路基板617は、制御部からの制御信号に従って、ローター610の回転に応じて電磁コイル620に発生した誘起電力を出力し、ローター610の回転を制動させる。なお、制御部の構成および動作は、変速制御機構部40と同様である。
この構成の場合には、アシストモーター部60を制御することにより、駆動部から入力軸12を介して入力ギアとしての第3のサイドギア330に伝達される入力回転を、減速あるいは増速させることができるので、変速機構部30によるに変速に加えて、さらに、減速あるいは増速させることができる。
なお、入力軸12を除いて、アシストモーター部60を駆動モーター部として動力発生装置とすることも可能である。
F.第6実施形態
図23は、第6実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。この動力発生装置10Fは、熱交換フィン24が設けられている点以外は、図22の変速装置10Eのアシストモーター部60を駆動モーター部(以下、「駆動モーター部60」とも呼ぶ)とした構成とほぼ同じである。熱交換フィン24は、変速制御機構部40Dおよび駆動モーター部60を覆うケーシング20Fの外表面に設けられている。これによって、変速制御機構部40Dの電磁コイル420および駆動モーター部60の電磁コイル620におけるコイル電流による発熱を効率的に冷却することができ、変速制御機構部40Dおよび駆動モーター部60の出力トルクを増大させることができる。なお、熱交換フィン24と、電磁コイル420,620のためのコイルバックヨーク428,628とを直接的に接触するように配置するものとしても良い。これによって、電磁コイル420,620の発熱に対する放熱効果を向上させることができる。熱交換フィン24に換えて、ケーシング20Fの外周に冷媒ジャケットを装着させるものとしても良い。
なお、本実施形態では、動力発生装置を例に説明したが、第1〜第5実施形態の変速装置の変速制御機構部やアシストモーター部においても熱交換フィンを適用することができる。
G.第7実施形態
図24は、第7実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。この動力発生装置10Gは、図22に示した動力発生装置としての変速装置10Eの出力軸14に、かさ歯車のギア16を設けた例である。かさ歯車のギア16により被駆動部への伝達を容易にすることが可能である。なお、ギアの形状としては、かさ歯車に限らず、平歯車、はすば歯車、やまば歯車、まがりばかさ歯車、すぐはかさ歯車、マイタ歯車、等の種々の形状のギアを用いることができる。
なお、本実施形態では、動力発生装置を例に説明したが、第1〜第5実施形態の変速装置の出力軸に種々の形状のギアを適用することができる。
H.第8実施形態
図25は、第8実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。この動力発生装置10Hは、中空の中心軸11を設けて、駆動モーター部60Hのローター610H(第3のサイドギア340H)、出力軸14H、および、出力軸14Hに一体的に形成されるピニオン軸310Hを、それぞれ、軸受け部19を介して、中心軸11の周りに回動可能とするように配置した例である。
この構成の場合には、中心軸11の中空中に制御線や電力線の束18を通して配線することができる。装置の意匠性を高めることができる。また、配線の劣化を抑制することが可能である。
なお、本実施形態では、動力発生装置を例に説明したが、第1〜第5実施形態の変速装置において、同様に本実施形態の構造を適用可能である。
I.第9実施形態
図26は、第9実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。第1〜第5実施形態の変速装置や第6〜第8実施形態の動力発生装置では、変速制御機構部40,40Cを第3のサイドギア350,350C,350Dに一体的に形成した構成を例に示したが、図26に示した動力発生装置10Iのように、外部に変速制御機構部40Iを設け、変速制御機構部40Iのローター410Iに一体的に形成された回転軸418に平歯車の第1の制御ギア419を設け、第4のサイドギア350Iの側壁に、第1の制御ギア419に噛合する平歯車の第2の制御ギア354を設けるようにしてもよい。
変速制御機構部40Iとしては、変速制御機構部40,40C(図1,図20,図21)と同様に、外周面に永久磁石413Iが配列されたローター410Iと、ケーシング42の内周面に、永久磁石413Iと間隔を有しつつ対向するように配列されたステーターとしての電磁コイル420Iと、で構成される。この変速制御機構部40Iも、変速制御機構部40と同様に制御することができる。
なお、本実施形態では、動力発生装置を例に説明したが、第1〜第5実施形態の変速装置において、同様に本実施形態の構造を適用可能である。
J.第10実施形態
図27は、第10実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。第10実施形態の動力発生装置10Jは、第9実施形態の動力発生装置10Iの平歯車の第1,第2の制御ギア419,354を、かさ歯車の第1,第2の制御ギア419J,354Jに置き換えた例である。なお、第1,第2の制御ギアとしては、平歯車やかさ歯車に限らず、はすば歯車、やまば歯車、まがりばかさ歯車、すぐはかさ歯車、マイタ歯車、等の種々の形状のギアを用いることができる。
なお、本実施形態では、動力発生装置を例に説明したが、第1〜第5実施形態の変速装置において、同様に本実施形態の構造を適用可能である。
K.第11実施形態
図28は、第11実施形態としての発電装置を示す概略断面図である。第11実施形態の発電装置10Kは、変速装置10E(図22)の出力軸14に羽根車70を設け、アシストモーター部60を発電部(以下、「発電部60」とも呼ぶ)とした例である。
この構成の場合には、羽根車70の回転に変動があっても、変速制御機構部40Cによる制御により、発電部60のローター610の回転が一定となるように変速制御することができ、安定な回転で発電することが可能となる。
L.変速機構部の変形例:
図29Aおよび図29Bは、変速機構部を構成する第1,第2のサイドギア320,330の変形例を示す概略断面図である。図29Aに示すように、第1のサイドギア320を、第3のサイドギア340と噛合するギア部分320L1と第4のサイドギア350と噛合するギア部分320L2で構成し、同様に、第2のサイドギア330を、第3のサイドギア340と噛合するギア部分330L1と第4のサイドギア350と噛合するギア部分330L2で構成するようにしてもよい。この場合には、制御ギアとしての第4のサイドギア350による制御のための回転方向を、上記第1実施形態で説明した場合とは逆方向とすることができる。
なお、図29Bは、第1のサイドギア部分320L1,330L1と第2のサイドギア部分320L2,330L2とのギア比を、図29Aの場合の1:1ではなく、変化させた構成を示している。
M.第12実施形態
図30は、第12実施形態としての変速装置を示す概略断面図である。本実施形態の変速装置10Mは、以下の点を除いて第1実施形態の変速装置10(図1)の構成と同じである。すなわち、この変速装置10Mでは、出力軸14とケーシング20との間の軸受け部22として、クロスローラーベアリング22Mが用いられている。また、ピニオン軸310と第1のサイドギア320との間の軸受け部312およびピニオン軸310と第2のサイドギア330との間の軸受け部312にもクロスローラーベアリング312Mが用いられている。クロスローラーベアリング22M,312Mは、外輪1371と、内輪1372と、円筒コロ1373と、を備える。出力軸14に設けられたクロスローラーベアリング22Mの外輪1371はケーシング20に固定され、内輪1372は出力軸14に固定されている。また、第1のサイドギア320に設けられたクロスローラーベアリング312Mの外輪1371は第1のサイドギア320に固定され、内輪1372はピニオン軸310に固定されている。同様に、第2のサイドギア330に設けられたクロスローラーベアリング312Mの外輪1371は第1のサイドギア320に固定され、内輪1372はピニオン軸310に固定されている。
図31は、クロスローラーベアリングの構成を示す説明図である。このクロスローラーベアリング137は、上記したクロスローラーベアリング22M,312Mと同様の構造を有しており、外輪1371と、内輪1372と、円筒コロ(ローラーに相当する)1373と、を備える。外輪1371と内輪1372は、それぞれ、90・のV溝1371a,1372aを有している。円筒コロ1373は、直径と高さが同じ大きさの円筒形をしており、V溝1371a,1372aに、90・の互い違いに配置されている。このような構成をとることにより、外輪1371、内輪1372と、円筒コロ1373との接触が点ではなく、線となるため、強い回転力を伝えることができるとともに、大きな荷重にも耐えられるようになる。しかも、軸の曲げ力(曲げモーメント荷重)、軸のラジアル方向の力(ラジアル荷重)、軸スラスト力(軸の長手方向の荷重)のいずれの方向に対しても強く、高い剛性を実現することが可能となる。
以上の説明からわかるように、クロスローラーベアリングは、内リング(内輪)と外リング(外輪)の間にローラーが設けられており、各ローラーは軌道輪(レース)の表面と線接触になっており、かつ、90℃の角度で相互にクロスするように配置されており、ラジアル方向、スラスト方向、モーメント等の様々な方向からの荷重に対して高い剛性を有する構造のベアリングである。
本実施形態の変速装置10Mにおいても、第1実施形態の変速装置10と同様に、軸心Sxに直交する軸心Syの方向のサイズを小型化することが可能である。また、無段階で連続的かつ滑らかに変速動作を実現することが可能であり、これに伴って無段階で連続的かつ滑らかにトルクの伝達量を変化させることが可能である。
また、本実施形態の変速装置10Mは、ピニオン軸310に取り付けられた第1と第2のサイドギア320,330の軸受け部としてクロスローラーベアリング312Mを用いている。また、出力軸14の軸受け部としてクロスローラーベアリング22Mを用いている。そのため、本実施形態の変速装置10Mでは、出力軸に加わる大きな荷重にも耐えられるようになる。さらに、軸の曲げ力(曲げモーメント荷重)、軸のラジアル方向の力(ラジアル荷重)、軸スラスト力(軸の長手方向の荷重)のいずれの方向に対しても強く、高い剛性を実現することが可能となる。
N.第13実施形態
図32は、第13実施形態としての変速装置を示す概略断面図である。本実施形態の変速装置10Nは、第2実施形態の変速装置10B(図18)に対して、出力軸12とケーシング20との間の軸受け部22をクロスローラーベアリング22Nとし、ピニオン軸310と第1のサイドギア320との間の軸受け部312およびピニオン軸310と第2のサイドギア330との間の軸受け部312をクロスローラーベアリング312Mとした例である。
本実施形態の変速装置10Nにおいても、第2実施形態の変速装置10Bと同様に、軸心Sxに直交する軸心Syの方向のサイズを小型化することが可能である。また、無段階で連続的かつ滑らかに変速動作を実現することが可能であり、これに伴って無段階で連続的かつ滑らかにトルクの伝達量を変化させることが可能である。また、出力軸に加わる大きな荷重にも耐えられるようにすることが可能である。さらに、軸の曲げ力(曲げモーメント荷重)、軸のラジアル方向の力(ラジアル荷重)、軸スラスト力(軸の長手方向の荷重)のいずれの方向に対しても強い高い剛性を実現することが可能となる。
なお、他の第3〜第6実施形態の変速装置10C〜10E(図20〜図22)においても、第12,第13実施形態と同様にクロスローラーベアリングを備えた構成とすることができる。
O.第14実施形態
図33は、第14実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。本実施形態の動力発生装置10Oは、第6実施形態としての動力発生装置10Fに対して、第12,第13実施形態と同様に、出力軸14とケーシング20Fとの間の軸受け部22をクロスローラーベアリング22Oとし、ピニオン軸310と第1,第2のサイドギア320,330との間の軸受け部312をクロスローラーベアリング312Oとした例である。
本実施形態の動力発生装置10Oにおいても、第6実施形態の動力発生装置10Fと同様に、軸心Sxに直交する軸心Syの方向のサイズを小型化することが可能である。また、無段階で連続的かつ滑らかに変速動作を実現することが可能であり、これに伴って無段階で連続的かつ滑らかにトルクの伝達量を変化させることが可能である。また、出力軸に加わる大きな荷重にも耐えられるようにすることが可能である。さらに、軸の曲げ力(曲げモーメント荷重)、軸のラジアル方向の力(ラジアル荷重)、軸スラスト力(軸の長手方向の荷重)のいずれの方向に対しても強い高い剛性を実現することが可能となる。
P.第15実施形態
図34は、第15実施形態としての動力発生装置を示す概略断面図である。本実施形態の動力発生装置10P、第8実施形態の動力発生装置10H(図25)に対して、第14実施形態と同様に、出力軸14Hとケーシング20Hとの間の軸受け部22をクロスローラーベアリング22Pとし、ピニオン軸310Hと第1と第2のサイドギア320,330との間の軸受け部312をクロスローラーベアリング312Pとするとともに、中心軸11と出力軸14Hとの間の軸受け部19をクロスローラーベアリング19Pとした例である。
本実施形態の動力発生装置10Pにおいても、第8実施形態の動力発生装置10Hと同様に、軸心Sxに直交する軸心Syの方向のサイズを小型化することが可能である。また、無段階で連続的かつ滑らかに変速動作を実現することが可能であり、これに伴って無段階で連続的かつ滑らかにトルクの伝達量を変化させることが可能である。また、出力軸に加わる大きな荷重にも耐えられるようにすることが可能である。さらに、軸の曲げ力(曲げモーメント荷重)、軸のラジアル方向の力(ラジアル荷重)、軸スラスト力(軸の長手方向の荷重)のいずれの方向に対しても強い高い剛性を実現することが可能となる。
なお、他の第7,第9,第10実施形態の動力発生装置10G,10I,10J(図24,26,27)においても、第14,第15実施形態と同様にクロスローラーベアリングを備えた構成とすることができる。
Q.第16実施形態
図35は、第16実施形態としての発電装置を示す概略断面図である。本実施形態の発電装置10Qは、出力軸14に羽根車70を設け第11実施形態の発電装置10K(図28)に対して、第14実施形態と同様に、羽根車70が設けられた出力軸14とケーシング20Kとの間の軸受け部22をクロスローラーベアリング22Qとし、ピニオン軸310と第1と第2のサイドギア320,330との間の軸受け部312をクロスローラーベアリング312Qとした例である。
本実施形態の発電装置10Qにおいても、第11実施形態の発電装置10Kと同様に、軸心Sxに直交する軸心Syの方向のサイズを小型化することが可能である。また、無段階で連続的かつ滑らかに変速動作を実現することが可能であり、これに伴って無段階で連続的かつ滑らかにトルクの伝達量を変化させることが可能である。また、羽根車によって出力軸に加わる大きな荷重にも耐えられるようにすることが可能である。さらに、軸の曲げ力(曲げモーメント荷重)、軸のラジアル方向の力(ラジアル荷重)、軸スラスト力(軸の長手方向の荷重)のいずれの方向に対しても強い高い剛性を実現することが可能となる。
R.変形例:
(1)変形例1
上記実施形態では、回生の初期段階では、第1の回生モードとし、回生区間REPの幅を変化させても回生量の変化が小さい、誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間で回生を行って、徐々に回生量を増やしていき、その後、第2の回生モードとして、誘起電圧のピーク点を中心とした第2の回生区間で回生を行うように回生を実行する場合を例に説明したが、第2の回生モードに切り換えることなく、第1の回生モードにおいて、EPWMを0〜100%の間で回生区間REPの幅を変化させて回生量を変化させるようにしてもよい。
(2)変形例2
上記実施形態で説明した本発明の変速装置や動力発生装置は、以下に示すように、電動移動体や電動移動ロボットあるいは医療機器の駆動装置に接続された変速装置や動力発生装置として適用することが可能である。
図36は、本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した移動体の一例である電動自転車(電動アシスト自転車)を示す説明図である。この自転車3300は、駆動部としてのモーターの出力に本発明の変速装置が接続された変速装置付モーター3310が前輪に設けられており、サドルの下方のフレームに制御回路3320と充電池3330とが設けられている。変速装置付モーター3310は、充電池3330からの電力を利用して前輪を駆動することによって、走行をアシストする。また、ブレーキ時には変速装置付モーター3310のモーターで回生された電力が充電池3330に充電される。制御回路3320は、変速装置付モーター3310のモーター部分の駆動と回生、および、変速装置部分の変速を制御する回路である。なお、この変速装置付モーター3310としては、上記した変速装置と駆動部のモーターとで構成されたものでもよく、上記した動力発生装置で構成されたものでもよい。
図37は、本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用したロボットの一例を示す説明図である。このロボット3400は、第1と第2のアーム3410,3420と、変速装置付モーター3430とを有している。この変速装置付モーター3430は、被駆動部材としての第2のアーム3420を水平回転させる際に使用される。なお、この変速装置付モーター3430としては、上記した変速装置と駆動部のモーターとで構成されたものでもよく、上記した動力発生装置で構成されたものでもよい。
図38は、本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した双腕7軸ロボットの一例を示す説明図である。双腕7軸ロボット3450は、関節モーター3460と、把持部モーター3470と、アーム3480と、把持部3490と、を備える。関節モーター3460は、肩関節、肘関節、手首関節に相当する位置に配置されている。関節モーター3460は、アーム3480と把持部3490とを、3次元的に動作させるため、各関節につき2つのモーターを備えている。また、把持部モーター3470は、把持部3490を開閉し、把持部3490に物を掴ませる。双腕7軸ロボット3450において、関節モーター3460あるいは把持部モーター3470としては、上記した変速装置と駆動部のモーターとで構成されたものでもよく、上記した動力発生装置で構成されたものでもよい。
図39は、本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した垂直多関節ロボットの一例を示す説明図である。図39に示すように、垂直多関節ロボット3640は、本体部3641、アーム部3642およびロボットハンド3645等から構成されている。本体部3641は、例えば床、壁、天井、移動可能な台車の上などに固定されている。アーム部3642は、本体部3641に対して可動に設けられており、本体部3641にはアーム部3642を回転させるための動力を発生させる駆動部(不図示)や、駆動部を制御する制御部等が内蔵されている。この駆動部として、上記した変速装置と駆動部のモーターとで構成された動力発生装置や、上記した動力発生装置を用いることが可能である。
アーム部3642は、第1フレーム3642a、第2フレーム3642b、第3フレーム3642c、第4フレーム3642dおよび第5フレーム3642eから構成されている。第1フレーム3642aは、回転屈折軸を介して、本体部3641に回転可能または屈折可能に接続されている。第2フレーム3642bは、回転屈折軸を介して、第1フレーム3642aおよび第3フレーム3642cに接続されている。第3フレーム3642cは、回転屈折軸を介して、第2フレーム3642bおよび第4フレーム3642dに接続されている。第4フレーム3642dは、回転屈折軸を介して、第3フレーム3642cおよび第5フレーム3642eに接続されている。第5フレーム3642eは、回転屈折軸を介して、第4フレーム3642dに接続されている。アーム部3642は、制御部(図示せず)の制御によって、各フレーム3642a〜3642eが各回転屈折軸を中心に複合的に回転または屈折して動くようになっている。
アーム部3642の第5フレーム3642eのうち第4フレーム3642dが設けられた側と反対側には、ハンド接続部3643が接続されており、このハンド接続部3643にロボットハンド3645が取り付けられている。
ロボットハンド3645は、基部3645aと、基部3645aに接続された指部3645bと、を備えている。基部3645aと指部3645bの接続部および指部3645bの各関節部には、上記した変速装置と駆動部のモーターとで構成された動力発生装置や、上記した動力発生装置が組み込まれている。動力発生装置が駆動することによって、指部3645bが屈曲し、物体を把持することができる。この動力発生装置は、超小型モーターであって、小型でありながら確実に物体を把持するロボットハンド3645を実現することができる。これにより、小型、軽量のロボットハンド3645を用いて、複雑な動作が行なえる、汎用性の高いロボットを提供することができる。
図40は、本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した双腕キャスター付ロボットの一例を示す説明図である。図40に示すように、双腕キャスター付ロボット3762は車体部3763を備えている。車体部3763は車体本体3763aを備え、車体本体3763aの地面側には4つの車輪3763bが設置されている。そして、車体本体3763aには車輪3763bを駆動する回転機構が内蔵されている。さらに、車体本体3763aにはロボット3762の姿勢及び動作を制御する制御部3764が内蔵されている。
車体本体3763a上には、本体回転部3765、本体部3766がこの順に重ねて設置されている。本体回転部3765には本体部3766を回転させる回転機構が設置されている。そして、本体部3766は鉛直方向を回転中心として回動する。本体部3766上には一対の撮像装置3767が設置され、撮像装置3767は双腕キャスター付ロボット3762の周囲を撮影する。そして、撮影した物と撮像装置3767との距離を検出することができる。
本体部3766の側面のうち対向する2つの面には左腕部3768及び右腕部3769が設置されている。左腕部3768及び右腕部3769はそれぞれ可動部としての上腕部3770、下腕部3771、ハンド部3772を備えている。上腕部3770、下腕部3771、ハンド部3772は回動または屈曲可能に接続されている。そして、本体部3766には本体部3766に対して上腕部3770を回動させる回転機構3773が内蔵されている。上腕部3770には上腕部3770に対して下腕部3771を回動させる回転機構3773が内蔵されている。下腕部3771には下腕部3771に対してハンド部3772を回動させる回転機構3773が内蔵されている。さらに、下腕部3771には下腕部3771の長手方向を回転軸にして捻る回転機構3773が内蔵されている。
ハンド部3772はハンド本体3772aとハンド本体3772aの先端に位置する一対の板状の可動部としての把持部3772bを備えている。ハンド本体3772aには把持部3772bを移動しての把持部3772b間隔を変更させる直動機構3774が内蔵されている。ハンド部3772は把持部3772bを開閉して被把持物を把持することができる。
回転機構3773及び直動機構3774には上述した動力発生装置を備えている。従って、回転機構3773は回転方向を反転させるときにもガタツクことなくスムーズに回転方向を転換させることができる。そして、直動機構3774は移動方向を反転させるときにもガタツクことなくスムーズに移動方向を転換させることができる。従って、双腕キャスター付ロボット3762は左腕部3768及び右腕部3769を位置精度良く移動することができる。
さらに、車輪3763bを回転させる回転機構と本体部3766を回転させる回転機構とは、上記した変速装置と駆動部のモーターとで構成された動力発生装置や、上記した動力発生装置が組み込まれているコ。従って、双腕キャスター付ロボット3762は進行方向を変えるときにもガタツクことなく回動することができる。そして、双腕キャスター付ロボット3762は本体部3766の回転方向を変えるときにもガタツクことなく回動することができる。
図41は、本発明の変速装置を含む変速装置付モーターを利用した鉄道車両を示す説明図である。この鉄道車両3500は、変速装置付モーター3510と、車輪3520とを有している。この変速装置付モーター3510は、車輪3520を駆動する。さらに、変速装置付モーター3510は、鉄道車両3500の制動時には発電気として利用され、電力が回生される。なお、変速装置付モーター3510としては、上記した変速装置と駆動部のモーターとで構成されたものでもよく、上記した動力発生装置で構成されたものでもよい。
本発明は、上述の実施形態や参考形態、実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…変速装置
10B…変速装置
10C…変速装置
10D…変速装置
10E…変速装置(動力発生装置)
10F…動力発生装置
10G…動力発生装置
10H…動力発生装置
10I…動力発生装置
10J…動力発生装置
10K…発電装置
10M…変速装置
10N…変速装置
10O…動力発生装置
10P…動力発生装置
10Q…発電装置
11…中心軸
12…入力軸
14…出力軸
14H…出力軸
16…ギア
18…束
19…軸受け部
20…ケーシング
20C…ケーシング
20E…ケーシング
20F…ケーシング
22…軸受け部
19P,22M,22N,22O,22P,22Q…クロスローラーベアリング
312M,312N,312O,312P,312Q…クロスローラーベアリング
1371…外輪
1372…内輪
1373…円筒コロ
24…熱交換フィン
30…変速機構部
30D…変速機構部
40…変速制御機構部
40C…変速制御機構部
40D…変速制御機構部
40I…変速制御機構部
42…ケーシング
60…アシストモーター部(駆動モーター部,発電部)
60H…駆動モーター部
70…羽根車
200…制御部
210…バス
220…駆動制御部
230…回生制御部
240…ドライバー回路
240A…A相ドライバー回路
240B…B相ドライバー回路
250…整流回路
310…ピニオン軸
310H…ピニオン軸
312…軸受け部
320…第1のサイドギア(入力ギア,出力ギア)
320t…ギア歯
320L1…ギア部分
320L2…ギア部分
330…第2のサイドギア(入力ギア,出力ギア)
330L1…ギア部分
330L2…ギア部分
340…第3のサイドギア(出力ギア,入力ギア)
340C…第3のサイドギア
340D…第3のサイドギア
340H…第3のサイドギア
340t…ギア歯
340Dt…ギア歯
350…第4のサイドギア(制御ギア)
350C…第4のサイドギア
350I…第4のサイドギア
352…貫通孔
354…第2の制御ギア
354J…第2の制御ギア
410…ローター
410C…ローター
410I…ローター
411…貫通孔
412…軸受け部
413…永久磁石
413I…永久磁石
415…磁石バックヨーク
416…位置検出部
416A,416B…磁気センサー
417…回路基板
418…回転軸
419…第1の制御ギア
419J…第1の制御ギア
420…電磁コイル(ステーター)
420A…電磁コイル
420I…電磁コイル
428…コイルバックヨーク
432A…A相充電切換部
434A…A相PWM制御部
461…ゲートトランジスター
471…バッファー回路
472…インバーター回路
480…電源配線
510…基本クロック生成回路
520…1/N分周器
531…カウンタ
535…駆動波形形成部
540…正逆方向指示値レジスタ
550…乗算器
560…符号化部
580…電圧指令値レジスタ
590…励磁区間設定部
590R…回生区間設定部
592…電子可変抵抗器
594…第1の電圧比較器
596…第2の電圧比較器
610…ローター
610H…ローター
613…永久磁石
615…磁石バックヨーク
616…位置検出部
617…回路基板
620…電磁コイル(ステーター)
626…位置検出部
628…コイルバックヨーク
3300…自転車
3310…変速装置付モーター
3320…制御回路
3330…充電池
3400…ロボット
3410…第1のアーム
3420…第2のアーム
3430…変速装置付モーター
3460…関節モーター
3470…把持部モーター
3480…アーム
3490…把持部
3500…鉄道車両
3510…変速装置付モーター
3520…車輪
3590…把持部
3640…垂直多関節ロボット
3641…本体部
3642…アーム部
3642a…第1フレーム
3642b…第2フレーム
3642c…第3フレーム
3642d…第4フレーム
3642e…第5フレーム
3643…ハンド接続部
3645…ロボットハンド
3645a…基部
3645b…指部
3762…双腕キャスター付ロボット
3763…車体部
3763a…車体本体
3763b…車輪
3764…制御部
3765…本体回転部
3766…本体部
3767…撮像装置
3768…左腕部
3769…右腕部
3770…上腕部
3771…下腕部
3772…ハンド部
3772a…ハンド本体
3772b…把持部
3773…回転機構
3774…直動機構
DRVA1,DRVA2…駆動信号
MSK…マスク信号
MSKA…マスク信号
MSKB…マスク信号
V1,V2…電圧
S1,S2…出力
RI…正逆方向指示値
ER…回生許可信号
Ma…乗算値
Pa…正負符号信号
Xa…センサー出力値
Ya…電圧指令値
Sn,Sp…出力(出力信号)
Rv…可変抵抗値
IA1…符号
CM1…カウント値
SDC…クロック信号
PCL…クロック信号
SSA…センサー出力
EP…励磁区間
NEP…非励磁区間
REP…回生区間(活性区間)
NREP…非回生区間(非活性区間)
INV…回生区間切換信号(回生モード切換信号)
REa…回生期間信号

Claims (13)

  1. 変速装置であって、
    仮想的な第1の軸心の周りにそれぞれ回転するように互いに対向配置された第1のギアおよび第2のギアと、
    前記第1の軸心と直交する仮想的な第2の軸心を中心として前記第1のギアおよび第2のギアと噛合するように配置された少なくとも1つの第3のギアと、
    前記第2の軸心に沿って配置され、前記第3のギアを回動自在に支持する支持軸と、
    前記第1の軸心に沿って配置され、前記第1のギアに接続された第1の回転軸と、
    前記第1の軸心に沿って配置され、前記第2のギアの中央部に設けられた貫通孔を介して前記支持軸に接続された第2の回転軸と、
    を備え、
    前記支持軸と前記第3のギアとの間の軸受け部としてクロスローラーベアリングが設けられており、
    前記第1の回転軸と前記第2の回転軸のうち出力軸とされる回転軸と、前記第1のギア、前記第2のギアおよび前記第3のギアを少なくとも収容するケーシングと、の間の軸受け部としてクロスローラーベアリングが設けられている、
    変速装置。
  2. 請求項1に記載の変速装置であって、さらに、
    前記第2のギアに対して接続用のギアを介して接続されるかまたは前記第2のギアと一体に形成された第1のローターと、前記第1のローターの円筒状の外周面に沿って配置された第1のステーターと、を備える第1の電気機械機構部を備え、
    前記第1の電気機械機構部は、
    前記第1の回転軸と前記第2の回転軸のうち、一方を入力軸とし、他方を出力軸として、前記第1のローターの回転に応じて前記第2のギアの回転を変化させることにより、前記入力軸の回転に対する前記出力軸の回転を変化させる、変速装置。
  3. 請求項2に記載の変速装置であって、さらに、
    前記第1のギアに一体に形成された第2のローターと、前記第2のローターの円筒状の外周面に沿って配置された第2のステーターと、を有する第2の電気機械機構部を備え、
    前記第2の電気機械機構部は、
    前記第1の回転軸を入力軸とし、前記第2の回転軸を出力軸として、前記第2のローターの回転に応じて、前記第1の回転軸を介して前記第1のギアに伝達される回転を変化させることにより、前記入力軸の回転に対する前記出力軸の回転の変化を前記第1の電気機械機構部による変化に加えてさらに変化させる、変速装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の変速装置であって、さらに、
    前記第1のステーターに配置された電磁コイルを駆動して前記第1のローターを回転させることにより、前記第2のギアの回転を制御する駆動制御部と、
    前記第2のギアの回転を減速させる際に、前記電磁コイルからのエネルギーの回生を行う回生制御部と、
    を備え、
    前記回生制御部は、
    前記電磁コイルに生じる誘起電圧のゼロクロス点を中心とした第1の回生区間を設定して回生を実行する第1の回生モードと、前記電磁コイルに生じる誘起電圧の極大点を中心とした第2の回生区間を設定して回生を実行する第2の回生モードと、を有し、前記第1の回生モードで回生されるエネルギー量が前記第2の回生モードで回生されるエネルギー量以下となるように前記第1の回生区間の幅と第2の回生区間の幅とを設定する、変速装置。
  5. 請求項4に記載の変速装置であって、
    前記回生制御部は、前記第1又は第2の回生区間の幅が所定の第1の値以下となる場合には、前記第1の回生モードによる回生を実行し、前記第1又は第2の回生区間の幅が前記第1の値よりも大きな所定の第2の値以上となる場合には、前記第2の回生モードによる回生を実行する、変速装置。
  6. 請求項5に記載の変速装置であって、
    前記回生制御部は、回生されるエネルギー量が増大してゆく際に前記第1の回生モードから前記第2の回生モードへの切り換えを行うとともに、前記切り換えの前における前記第1の回生区間の幅よりも、前記切り換えの後の前記第2の回生区間の幅を小さく設定する、変速装置。
  7. 請求項4または請求項5に記載の変速装置であって、
    前記回生制御部は、回生されるエネルギー量が減少してゆく際に前記第2の回生モードから前記第1の回生モードへの切り換えを行うとともに、前記切り換えの前における前記第2の回生区間の幅よりも、前記切り換えの後の前記第1の回生区間の幅を大きく設定する、変速装置。
  8. 請求項6または請求項7に記載の変速装置であって、
    前記回生制御部は、前記第1の回生モードと前記第2の回生モードの切り換え時において、切り換え前の回生されるエネルギー量と切り換え後の回生されるエネルギー量とが同じ値となって連続するように、切り換え後の第1の回生区間の幅又は第2の回生区間の幅を設定する、変速装置。
  9. 請求項4ないし請求項8のいずれ一項に記載の変速装置であって、
    前記第2のギアの回転の減速の開始時には、前記第1の回生モードでの回生が実行される、変速装置。
  10. 請求項9に記載の変速装置であって、さらに、
    前記第2のギアの回転の減速の終了時には、前記第1の回生モードでの回生が実行される、変速装置。
  11. 変速機構部と、第1の電気機械機構部と、第2の電気機械機構部と、を有する電気機械装置であって、
    変速機構部は、
    仮想的な第1の軸心の周りにそれぞれ回転するように互いに対向配置された第1のギアおよび第2のギアと、
    前記第1の軸心と直交する仮想的な第2の軸心を中心として前記第1のギアおよび第2のギアと噛合するように配置された少なくとも1つの第3のギアと、
    前記第2の軸心に沿って配置され、前記第3のギアを回動自在に支持する支持軸と、
    前記第1の軸心に沿って配置され、前記第1のギアに接続された第1の回転軸と、
    前記第1の軸心に沿って配置され、前記第2のギアの中央部に設けられた貫通孔を介して前記支持軸に接続された第2の回転軸と、
    を備え、
    前記第1の電気機械機構部は、
    前記第2のギアに対して接続用のギアを介して接続されるかまたは前記第2のギアと一体に形成された第1のローターと、
    前記第1のローターの円筒状の外周面に沿って配置された第1のステーターと、
    を備え、
    前記第2の電気機械機構部は、
    前記第1のギアに一体に形成された第2のローターと、
    前記第2のローターの円筒状の外周面に沿って配置された第2のステーターと、
    を備え、
    前記第1の電気機械機構部は、
    前記第1のローターの回転に応じて前記第2のギアの回転を変化させることにより、前記第1の回転軸の回転と前記第2の回転軸の回転との関係を変化させ、
    前記第2の電気機械機構部は、
    前記第2のローターを回転させることにより前記第1のギアおよび前記第1の回転軸を回転させ、あるいは、前記第1の回転軸の回転に応じて前記第3のギアおよび前記第1のギアを介して前記第2のローターに発生する回転のエネルギーを回生し、
    前記支持軸と前記第3のギアとの間の軸受け部としてクロスローラーベアリングが設けられており、
    前記第1の回転軸と、前記変速機構部および前記第2の電気機械機構部を少なくとも収容するケーシングと、の間の軸受け部としてクロスローラーベアリングが設けられている、
    電気機械装置。
  12. 請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の変速装置を備える移動体。
  13. 請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載の変速装置を備えるロボット。
JP2016215758A 2016-11-04 2016-11-04 変速装置および変速機構部を有する電気機械装置、並びに、変速装置を備える移動体およびロボット Active JP6260914B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016215758A JP6260914B2 (ja) 2016-11-04 2016-11-04 変速装置および変速機構部を有する電気機械装置、並びに、変速装置を備える移動体およびロボット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016215758A JP6260914B2 (ja) 2016-11-04 2016-11-04 変速装置および変速機構部を有する電気機械装置、並びに、変速装置を備える移動体およびロボット

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012234488A Division JP6089167B2 (ja) 2012-10-24 2012-10-24 変速装置および変速機構部を有する電気機械装置、並びに、変速装置を備える移動体およびロボット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017072253A true JP2017072253A (ja) 2017-04-13
JP6260914B2 JP6260914B2 (ja) 2018-01-17

Family

ID=58537159

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016215758A Active JP6260914B2 (ja) 2016-11-04 2016-11-04 変速装置および変速機構部を有する電気機械装置、並びに、変速装置を備える移動体およびロボット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6260914B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110774277A (zh) * 2019-12-02 2020-02-11 福州大学 蛇形臂三自由度手腕关节及运动方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6372352U (ja) * 1986-10-29 1988-05-14
JPS63133660U (ja) * 1987-02-24 1988-09-01
US20030015359A1 (en) * 2001-07-04 2003-01-23 The Electric Motor Company Limited Power generation means for a vehicle
WO2008081893A1 (ja) * 2006-12-28 2008-07-10 Honda Motor Co., Ltd. 動力装置
JP2012170307A (ja) * 2011-02-17 2012-09-06 Seiko Epson Corp 電気機械装置、移動体、及びロボット

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6372352U (ja) * 1986-10-29 1988-05-14
JPS63133660U (ja) * 1987-02-24 1988-09-01
US20030015359A1 (en) * 2001-07-04 2003-01-23 The Electric Motor Company Limited Power generation means for a vehicle
WO2008081893A1 (ja) * 2006-12-28 2008-07-10 Honda Motor Co., Ltd. 動力装置
JP2012170307A (ja) * 2011-02-17 2012-09-06 Seiko Epson Corp 電気機械装置、移動体、及びロボット

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110774277A (zh) * 2019-12-02 2020-02-11 福州大学 蛇形臂三自由度手腕关节及运动方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6260914B2 (ja) 2018-01-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5997581B2 (ja) 電気機械装置、並びに、これを備える移動体およびロボット
US7948141B2 (en) Electric motor device
US8258734B2 (en) Energy converter and electromechanical apparatus
US20120200184A1 (en) Relative driving device, moving vehicle, and robot
US7479722B2 (en) Relative drive device
US8106548B2 (en) Electric motor device
JP5151486B2 (ja) ブラシレス電気機械、装置、移動体、及び、ロボット
EP2020736A2 (en) Brushless motor
JP2009100543A (ja) 電動装置
EP1986311A2 (en) Brushless electric machine
JP2014161162A (ja) 電気機械装置、ロボット、及び移動体
JP2013126334A (ja) 変速機構を有する電気機械装置
JP6264671B2 (ja) 電気機械装置、及び、これを備える移動体およびロボット、並びに、変速装置
JP2013017389A (ja) 電動装置
JP6089167B2 (ja) 変速装置および変速機構部を有する電気機械装置、並びに、変速装置を備える移動体およびロボット
JP5266746B2 (ja) ブラシレスモータ、装置、及び、ロボット
JP6260914B2 (ja) 変速装置および変速機構部を有する電気機械装置、並びに、変速装置を備える移動体およびロボット
US20120212161A1 (en) Electromechanical device, movable body, and robot
JP6315362B2 (ja) 電気機械装置、並びに、これを備える移動体およびロボット
JP5077389B2 (ja) 電気機械装置
JP2013127296A (ja) 変速装置および変速機構部を有する電気機械装置
JP4902494B2 (ja) 回転角度位置検出装置
JP2013121288A (ja) 変速装置
KR101587043B1 (ko) 비접촉 방식 발전 장치와 이를 이용한 풍력 발전 장치 및 자전거용 발전 장치
JP5510493B2 (ja) 電気機械装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170706

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170808

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171003

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171121

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6260914

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R154 Certificate of patent or utility model (reissue)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R154

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6260914

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

SZ03 Written request for cancellation of trust registration

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313Z03

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250