JP2017070278A - 冷温下でも抗菌能力および消臭能力を持つ微生物、ならびにそれを用いた抗菌剤、消臭剤、抗菌方法、消臭方法 - Google Patents
冷温下でも抗菌能力および消臭能力を持つ微生物、ならびにそれを用いた抗菌剤、消臭剤、抗菌方法、消臭方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】冷蔵庫などの冷温化で安全性に優れ、目的とする空間の隅々までに効果が得られる消臭方法、ならびに抗菌方法、および微生物粉体、微生物含有液剤、微生物含有ゲル化剤を提供する。【解決手段】微生物から発生する成分により、非接触状態で、空間内に存在する菌類の発育を抑制する抗菌方法、また、臭い成分を分解する消臭方法である。有効成分を発生する微生物は、微生物担体に担持させた状態で乾燥させた微生物粉体として用いたり、微生物含有液剤として用いたり、吸水性ポリマーに吸水させた微生物含有ゲル化剤として用いたりすることができる。【選択図】図1
Description
本発明は、空間内に存在する菌類の発育抑制や臭い成分を分解が可能な微生物、及びそれを用いた抗菌方法ならびに消臭方法、および消臭剤、抗菌剤に関する。
従来、さまざまな種類の抗菌剤や抗カビ剤、消臭剤が開発され使用されている。例えば、特許文献1には、トリヨードアリルテトラゾールを有効成分とした抗菌、抗カビ剤が記載されている。また、銀、銅、亜鉛などの重金属を利用した抗菌剤や、微生物が産生する物質(タンパク質)を用いた抗菌方法や脱臭方法も知られている。
また、微生物を用いた抗菌方法には微生物が発生させる気化物質などを用いて空間内の抗菌を行うものがある。例えば特許文献2にはバチルス・プミルス属に属する新規微生物を用いた抗菌方法が記載されている。
特許文献1に記載されているような合成化合物類や重金属を利用した抗菌剤や抗カビ剤、消臭剤などは、安全性に問題があることが多い。また、従来の抗菌方法や脱臭方法は、有効成分が菌類や臭い成分に直接吸着して分解することで効果が得られるものであり、菌類や臭い成分に対して有効な成分は、塗布した場所だけに有効であるため、目的とする空間の隅々まで効果が行き渡ることが少ない。
特許文献2に記載されている微生物では空間の隅々まで効果を行きわたらせることができるが、抗菌のみしか効果を発揮せず大きな消臭を持たない。また、微生物が活動できる常温のみでしか効果が得られない。
そこで、本発明は、安全性に優れ、常温のみならず冷温化でも目的とする空間の隅々までに抗菌消臭効果が得られる抗菌方法ならびに消臭方法、および消臭剤、抗菌剤を提供することを目的とする。
特許文献2に記載されている微生物では空間の隅々まで効果を行きわたらせることができるが、抗菌のみしか効果を発揮せず大きな消臭を持たない。また、微生物が活動できる常温のみでしか効果が得られない。
そこで、本発明は、安全性に優れ、常温のみならず冷温化でも目的とする空間の隅々までに抗菌消臭効果が得られる抗菌方法ならびに消臭方法、および消臭剤、抗菌剤を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究の結果、発見した新規微生物から発生する物質が、空気を介して菌類の発育を抑制したり、臭い成分を分解したりする作用を有することを見出し、発明に至った。
すなわち、本発明は、微生物を利用することを特徴とし、さらに菌が直接接触状態にある箇所だけでなく、菌から発生する物質により、非接触状態で、空間内に存在する菌類の発育を抑制することを特徴とする。
また、その抗菌範囲には冷蔵庫内のカビ汚染の原因になる原因菌も含む。原因菌としてCladosporium属、Penicillium属などがある。
また、前記の能力を持つ菌は消臭能力を持つことも特徴とし、菌もしくは菌の培養液が接触した箇所だけでなく、その周囲の空間の消臭も可能とする。
さらに、前記の抗菌、消臭能力をもつ菌は常温のみならず10〜15℃の低温環境でも培養が可能であり、さらに1〜10℃の環境で抗菌、消臭を可能とする。また、湿度50%以下の乾燥条件下でも抗菌、消臭を可能とする。
また、これらの効果は微生物が芽胞状態でも発揮される。これにより微生物の活動範囲にとらわれない幅広い環境での抗菌、消臭を可能とする。
前記微生物としては、Bacillus属に属する新規のグラム陽性有芽胞桿菌(独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター に寄託して平成27年10月2日に受領された受領番号NITE AP−02127を有する新規微生物)を用いることができる。この微生物は、菌類の発育抑制、または臭い成分を分解する特徴を有する。
また、本発明の消臭方法は、接触状態だけでなく非接触状態でも、略密閉状態の空間内に存在する臭い成分を分解することを特徴とする。
本発明によれば、略密閉状態の空間内に存在する菌類や臭い成分に、微生物から発生する揮発性成分が空気を介して吸着し、菌類の発育が抑制されたり臭い成分が分解されたりするので、スプレーなどによる散布や刷毛などによる塗布といった作業を行うことなく、略密閉状態の空間内に微生物を置いておくだけで、空間内の隅々まで効果を得ることができる。しかも安全性が高いため、人が生活している環境下で持続的に使用することが可能である。
本発明の微生物粉体は、略密閉状態の空間内に存在する菌類の発育抑制、または臭い成分を分解する特徴を持つ微生物、特にBacillus属に属する新規微生物、または、それを含む2種以上の微生物を微生物担体に担持させた状態で乾燥させたものである。
ここで、微生物担体とは、微生物を保持する能力を有するもののことを言い、具体的には、多孔質ガラス、セラミックス、金属酸化物、活性炭、カオリナイト、ベントナイト、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、アンスラサイト、パーライト等の粒子状担体、デンプン、寒天、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、ポリアクリルアミド、カラギーナン、アガロース、ゼラチン等のゲル状担体、イオン交換樹性セルロース、イオン交換樹脂、セルロース誘導体、グルタルアルデヒド、ポリアクリル酸、ウレタンポリマー等を用いることができる。また、天然、もしくは合成の高分子化合物も有効であり、セルロースを主成分とする綿、麻、パルプ材より作られる紙類もしくは天然物を変性した高分子アセテート等も用いることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタンを初めとする合成高分子からなる布類も使用することができる。これらは微生物の付着性が良く、微細な間隙を有するものが好ましい。また注入時に容易に浸透できる微細な材料を用いるのがより好ましい。
本発明によれば、略密閉状態の空間内に存在する菌類の発育抑制、または臭い成分を分解する特徴を持つ微生物、特にBacillus属に属する新規微生物、または、それを含む2種以上の微生物を、粉体として取り扱うことができるため、たとえば、本発明の微生物粉体を、織布や不織布などの布類に充填させて略密閉状態の空間内に設置したり、容器に充填して載置したりするだけで、空間内の隅々まで効果を得ることができ、取り扱いが容易となる。
また、微生物と酸化カルシウム水溶液とを混合することによって、抗菌剤や消臭剤として使用することができる微生物含有液剤とすることができる。また、この微生物含有液剤を吸水性ポリマに吸水させることにより、抗菌剤や消臭剤として使用することができる微生物含有ゲル化剤とすることもできる。
ここで、吸水性ポリマは、特に制限されるものではなく、既知のものを使用することができ、デンプン系高分子材料やセルロース系高分子材料、合成高分子など、どのようなものを使用してもよい。なお、微生物の付着面積を増加させるために、吸水性ポリマは顆粒状のものを使用する方が望ましい。
微生物を含む溶液と酸化カルシウム水溶液とを混合することによって、微生物含有液剤ならびに、この液剤を吸水した吸水性ポリマは、酸化カルシウムの作用によりホルムアルデヒドなどの酸性の臭い成分を分解することも可能となる。従って、本発明によれば、略密閉状態の空間における菌類の発育抑制や臭い成分の分解に加えて、シックハウス症候群の原因物質とされるホルムアルデヒドの分解をも行うことで、空間内の環境をさらに改善することが可能となる。なお、酸化カルシウム水溶液としては、例えば、貝殻を焼成して得られた水溶液などを使用することができる。
本発明によれば、微生物から発生する揮発性成分により、非接触状態で、空間内に存在する菌類の発育を抑制したり、臭い成分を分解したりすることができるので、合成化合物類や重金属を用いることのない安全性の高い抗菌、脱臭方法とすることができ、さらに呼吸器性失陥の原因になる原因菌の発生を抑制することができる。また、微生物が芽胞状態でもこれらの抗菌消臭効果を発揮するため、幅広い環境で使用することが可能である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(実施例1)
以下に示す実施例では、菌類の発育抑制、または臭い成分を分解する揮発性成分を発生する微生物として、受領番号NITE AP−02127、Bacillus属に属する新規微生物(以下、「本菌1」と称す。)を用いた。
以下に示す実施例では、菌類の発育抑制、または臭い成分を分解する揮発性成分を発生する微生物として、受領番号NITE AP−02127、Bacillus属に属する新規微生物(以下、「本菌1」と称す。)を用いた。
1−1:菌学的性質
表1、表2に、本実施例で用いた本菌1の菌学的性質を示す。
表1、表2に、本実施例で用いた本菌1の菌学的性質を示す。
1−2:単離方法
なお、本菌1は、以下のようにして単離されたものである。
まず、200か所以上の土壌等から試料を採取し、その希釈液に熱処理などを加えた後にブイヨン培地で30℃24時間培養した。そして、コロニーが得られた培地から白金線を用いて菌体を取り、細菌分離株を1000以上得た。これら細菌分離株のアミン、アンモニアなどの消臭能、真菌類への抗菌効果を評価し、さらに20℃以下での冷温化での増殖や消臭能力も評価し、これらのいずれにおいても強い能力を持つ菌株を数株得た。さらに、病原因子(溶血毒素、日和見感染能など)に関する試験を行い、病原因子を持たない株を選抜し、本菌1を得た。
なお、本菌1は、以下のようにして単離されたものである。
まず、200か所以上の土壌等から試料を採取し、その希釈液に熱処理などを加えた後にブイヨン培地で30℃24時間培養した。そして、コロニーが得られた培地から白金線を用いて菌体を取り、細菌分離株を1000以上得た。これら細菌分離株のアミン、アンモニアなどの消臭能、真菌類への抗菌効果を評価し、さらに20℃以下での冷温化での増殖や消臭能力も評価し、これらのいずれにおいても強い能力を持つ菌株を数株得た。さらに、病原因子(溶血毒素、日和見感染能など)に関する試験を行い、病原因子を持たない株を選抜し、本菌1を得た。
1−3:消臭効果の定量試験方法
10Lバロンボックスを用意し、内部に被検体となる臭気を発生させた。このバロンボックス内に本菌1の培養液を20ml散布し、被検体濃度を観察した。観察にはガステック社の検知管法を用いた。表3に被検体濃度の変化を示す。
10Lバロンボックスを用意し、内部に被検体となる臭気を発生させた。このバロンボックス内に本菌1の培養液を20ml散布し、被検体濃度を観察した。観察にはガステック社の検知管法を用いた。表3に被検体濃度の変化を示す。
表3が示す通り、トリメチルアミン、アンモニアを短時間で30分以内に減少させる優れた消臭能力が確認できた。
1−4:低温時の消臭効果の定量試験方法
1−3で行った定量試験と同様の試験を5℃環境下で行った。表4に被検体濃度の変化を示す。
1−3で行った定量試験と同様の試験を5℃環境下で行った。表4に被検体濃度の変化を示す。
表4が示す通り、低温下でもトリメチルアミン、アンモニアを短時間で30分以内に減少させる優れた消臭能力が確認できた。
1−5:低温培養試験
低温環境での活動を確認するために、低温化での培養を行い、増殖を行うかどうか確認した。
ペプトン、酵母エキス、肉エキス、塩などを適当な割合で作成した培養液300 mlに、1mlあたり菌数5.0×10^8の本菌1凍結保存液2.0mlを投入し、130rpm/minでの振とう培養を行った。この時に培養機内の温度を12℃とした。
低温環境での活動を確認するために、低温化での培養を行い、増殖を行うかどうか確認した。
ペプトン、酵母エキス、肉エキス、塩などを適当な割合で作成した培養液300 mlに、1mlあたり菌数5.0×10^8の本菌1凍結保存液2.0mlを投入し、130rpm/minでの振とう培養を行った。この時に培養機内の温度を12℃とした。
14日後に生菌数を測定したところ、1mlあたり4.8×10^6となり大きく増殖していた。またこの培養液でのトリメチルアミンの消臭能力を確認した。
2−1:微生物粉体の製造方法
生きている微生物や微生物培養液は微生物の活動により保存や移動が難しく、製品として扱いづらい。Bacillus sporothermodurans属に属する微生物は乾燥状態などの生存に適さない状態になると芽胞を形成し、乾燥や温度変化などに強い保存に適した状態となる。これを利用して、微生物培養液を多孔質物質に含浸させた後に乾燥させ、芽胞形成を促すことで保存や移動に適した形態にすることができる。
多孔質の粉末担体としてパーライト200gに、本菌1の微生物培養液400mlを含浸させた。その後、微生物を担持した担体を常温の低湿度下に置き、乾燥させて水分を10%以下にし、微生物粉体1とした。
生きている微生物や微生物培養液は微生物の活動により保存や移動が難しく、製品として扱いづらい。Bacillus sporothermodurans属に属する微生物は乾燥状態などの生存に適さない状態になると芽胞を形成し、乾燥や温度変化などに強い保存に適した状態となる。これを利用して、微生物培養液を多孔質物質に含浸させた後に乾燥させ、芽胞形成を促すことで保存や移動に適した形態にすることができる。
多孔質の粉末担体としてパーライト200gに、本菌1の微生物培養液400mlを含浸させた。その後、微生物を担持した担体を常温の低湿度下に置き、乾燥させて水分を10%以下にし、微生物粉体1とした。
2−2:消臭効果の定量試験方法。
10Lバロンボックスを用意し、5℃湿度50%以下に調整した庫内に配置し、内部に被検体となる臭気を発生させた。このバロンボックス内に本菌1の微生物粉体2.0gを不織布製の袋に詰めて封をしたものを壁面に触れぬように吊下げて、被検体濃度を観察した。観察にはガステック社の検知管法を用いた。表5に被検体濃度の変化を示す。
10Lバロンボックスを用意し、5℃湿度50%以下に調整した庫内に配置し、内部に被検体となる臭気を発生させた。このバロンボックス内に本菌1の微生物粉体2.0gを不織布製の袋に詰めて封をしたものを壁面に触れぬように吊下げて、被検体濃度を観察した。観察にはガステック社の検知管法を用いた。表5に被検体濃度の変化を示す。
表5が示す通り、トリメチルアミン、アンモニアを短時間で1時間以内に半分以下に減少させる効果が認められた。これと同様の試験を同じバチルス属であり常温下で消臭能力を持つNITE AP−02007の株で行ったところ、減少を認められなかった。これにより、冷温下におけるトリメチルアミン及びアンモニアには優れた消臭能力が確認できた。これに関して詳細なメカニズムはまだ明らかにされていないが、本菌1が外部に何らかの消臭に関連する物質を産生していることが考えられる。
2−3:非接触抗菌効果の定量試験方法
本試験に用いた被験菌について表6に示す。表6に示すように、番号1〜3の菌は糸状菌(カビ)であり、冷蔵庫内や一般環境によく存在する環境常在菌である。
本試験に用いた被験菌について表6に示す。表6に示すように、番号1〜3の菌は糸状菌(カビ)であり、冷蔵庫内や一般環境によく存在する環境常在菌である。
2−4:微生物粉体の抗菌効果の定量試験
表6に記す被験菌をPDA培地で培養し胞子を採取しリン酸緩衝液で希釈して胞子懸濁液を作製した。この胞子懸濁液をPDA培地のシャーレに接種し、試験培地1とした。また、標準寒天培地のシャーレに微生物粉体1を1.5g敷き詰めたものを試験培地2とした。この試験培地1と試験培地2をプラスチック製の容量10Lの密閉容器に入れ、室温で培養した。なお、培養日数は5日間とした(以下、これを「処理区」と称す。)。
表6に記す被験菌をPDA培地で培養し胞子を採取しリン酸緩衝液で希釈して胞子懸濁液を作製した。この胞子懸濁液をPDA培地のシャーレに接種し、試験培地1とした。また、標準寒天培地のシャーレに微生物粉体1を1.5g敷き詰めたものを試験培地2とした。この試験培地1と試験培地2をプラスチック製の容量10Lの密閉容器に入れ、室温で培養した。なお、培養日数は5日間とした(以下、これを「処理区」と称す。)。
一方、試験培地1と何も塗布してない標準寒天培地のシャーレを上記と同様のプラスチック製の密閉容器に入れ、室温で培養した。なお、上記と同様に、培養日数は5日間とした(以下、これを「対照区」と称す。)。処理区、対照区それぞれについて、発育してきた被験菌のコロニー数とサイズ、胞子の発生の有無を計測し、発育抑制度を算定した。
2−5:定量試験の結果
以下、表7に定量試験の結果を示す。また、図1に、番号1,2、3の糸状菌の場合に
おける対照区ならびに処理区の試験容器1の写真を示す。表7に示すように、番号1〜3の3種類の糸状菌に対して、強い抗菌活性が認められた。
以下、表7に定量試験の結果を示す。また、図1に、番号1,2、3の糸状菌の場合に
おける対照区ならびに処理区の試験容器1の写真を示す。表7に示すように、番号1〜3の3種類の糸状菌に対して、強い抗菌活性が認められた。
表7に示すように、番号1〜3の3種類の糸状菌に対して、きわめて強い抗菌活性が認められた。これに関して詳細なメカニズムはまだ明らかにされていないが、試験方法から推測すると、培地に接種された本菌1から発生する揮発性成分が、空気を介して、寒天培地に塗抹接種された被験菌に吸着し、これにより、被験菌の発育が抑制されたものと考えられる。すなわち、本菌1を用いることにより、対象とする菌類に直接接触しなくても、当該菌類の発育を抑制することができることがわかる。従って、略密閉状態の空間に本菌1を置くだけで、空間内に存在する糸状菌などの菌類の発育の抑制を、空間内の隅々まで行うことが可能となる。
上記試験結果から、本菌1は菌類に対して発育の抑制が可能である。また、臭いの原
因となる成分の分解に対しても有用であることが言える。
因となる成分の分解に対しても有用であることが言える。
2−6:消臭効果の冷蔵庫内試験方法。
実際の冷蔵庫内
10Lプラスチックの箱を用意し、内部にサンマ 1尾、鳥肉 100g、キャベツ 4分の1玉、人参 1本、大根 二分の1本を入れ、5℃以下に調整した冷蔵庫内に配置した。48時間放置後、3人の成人男性に5段階で臭気を判定してもらった。ここに微生物粉体1を加え、さらに48時間放置し、再度臭気を判定した。この臭気の判定結果を表8に示す。表記されている6段階の数値は(0:無臭 1:やっと感知できるにおい 2:何の臭いか分かる弱いにおい 3:楽に感知できるにおい 4:強いにおい 5:強烈な臭い )を表している。
実際の冷蔵庫内
10Lプラスチックの箱を用意し、内部にサンマ 1尾、鳥肉 100g、キャベツ 4分の1玉、人参 1本、大根 二分の1本を入れ、5℃以下に調整した冷蔵庫内に配置した。48時間放置後、3人の成人男性に5段階で臭気を判定してもらった。ここに微生物粉体1を加え、さらに48時間放置し、再度臭気を判定した。この臭気の判定結果を表8に示す。表記されている6段階の数値は(0:無臭 1:やっと感知できるにおい 2:何の臭いか分かる弱いにおい 3:楽に感知できるにおい 4:強いにおい 5:強烈な臭い )を表している。
表7に示すように、微生物粉体を加えた後には生臭さなどを感じなくなっており、消臭されていることがわかる。これにより、冷蔵庫内の臭気に対して効果があると言える。
3−1:微生物粒体の製造方法
前記2−1と同様の手段でゼオライトボールなどを担体に用いて粒体を作ることも可能である。
直径約1cmのゼオライトボール 800gに、本菌1の微生物培養液400mlを含浸させた。その後、微生物を担持した担体を常温の低湿度下に置き、乾燥させて水分を5%以下にし、微生物粒体1とした。
前記2−1と同様の手段でゼオライトボールなどを担体に用いて粒体を作ることも可能である。
直径約1cmのゼオライトボール 800gに、本菌1の微生物培養液400mlを含浸させた。その後、微生物を担持した担体を常温の低湿度下に置き、乾燥させて水分を5%以下にし、微生物粒体1とした。
3−2:消臭効果の定量試験方法
10Lバロンボックスを用意し、5℃湿度50%以下に調整した庫内に配置し、内部に被検体となる臭気を発生させた。このバロンボックス内に本菌1の微生物粒体12.0gを不織布製の袋に詰めて封をしたものを壁面に触れぬように吊下げて、被検体濃度を観察した。観察にはガステック社の検知管法を用いた。表9に被検体濃度の変化を示す。
10Lバロンボックスを用意し、5℃湿度50%以下に調整した庫内に配置し、内部に被検体となる臭気を発生させた。このバロンボックス内に本菌1の微生物粒体12.0gを不織布製の袋に詰めて封をしたものを壁面に触れぬように吊下げて、被検体濃度を観察した。観察にはガステック社の検知管法を用いた。表9に被検体濃度の変化を示す。
表8が示す通り、微生物粉体の時と同様にトリメチルアミン、アンモニアを短時間で1時間以内に半分以下に減少させる効果が認められた。これにより、パーライト以外の担体でも同様の効果を発揮することが確認できた。
(実施例2)
エチレン吸着能を持つ微生物含有剤の製造方法
微生物粉体1を100に対して、エチレン吸着粉体を1〜10%混合させることによってエチレン吸着能力を持つ微生物粉体とすることができる。なお、このエチレン吸着粉体には活性炭、ゼオライト、その他鉱物粉末、またこれらを加工した物から一つを選択したものである。これにより、微生物による揮発性成分が臭いや菌の繁殖を抑えることに加え、冷蔵庫内の生鮮食品の腐敗を促進するエチレンを吸着し、腐敗による悪臭を防ぐことで相乗的に冷蔵庫内の消臭抗菌効果を得ることが可能となる。
エチレン吸着能を持つ微生物含有剤の製造方法
微生物粉体1を100に対して、エチレン吸着粉体を1〜10%混合させることによってエチレン吸着能力を持つ微生物粉体とすることができる。なお、このエチレン吸着粉体には活性炭、ゼオライト、その他鉱物粉末、またこれらを加工した物から一つを選択したものである。これにより、微生物による揮発性成分が臭いや菌の繁殖を抑えることに加え、冷蔵庫内の生鮮食品の腐敗を促進するエチレンを吸着し、腐敗による悪臭を防ぐことで相乗的に冷蔵庫内の消臭抗菌効果を得ることが可能となる。
(実施例3)
微生物含有液剤の製造方法
焼成カルシウム溶液99.9%に対して、微生物培養液を0.1%混合させることによって微生物含有液剤を得た。なお、この溶液には、植物酵素を適量混合させるとよい。これにより、微生物による揮発性成分が臭い成分を分解することに加え、焼成カルシウム溶液の作用により酸性の臭い成分を分解し、植物酵素の作用によりアルカリ性の臭い成分を分解することができ、相乗的な効果を得ることが可能となる。
微生物含有液剤の製造方法
焼成カルシウム溶液99.9%に対して、微生物培養液を0.1%混合させることによって微生物含有液剤を得た。なお、この溶液には、植物酵素を適量混合させるとよい。これにより、微生物による揮発性成分が臭い成分を分解することに加え、焼成カルシウム溶液の作用により酸性の臭い成分を分解し、植物酵素の作用によりアルカリ性の臭い成分を分解することができ、相乗的な効果を得ることが可能となる。
(実施例4)
微生物含有ゲル化剤の製造方法
実施例3で製造した微生物含有液剤を、顆粒状の吸水性ポリマに適量含浸させた。これにより扱いやすいビーズ状のゲルを得た。
微生物含有ゲル化剤の製造方法
実施例3で製造した微生物含有液剤を、顆粒状の吸水性ポリマに適量含浸させた。これにより扱いやすいビーズ状のゲルを得た。
(実施例5)
揮発性物質の分析
微生物粉体1を2g封入した不織布袋を用いた。ブランクとしては、無菌のパーライト2gを封入した不織布袋を用いた。それぞれを5Lフレックスサンプラーに入れ、乾燥空気を封入し、32℃・72Hr恒温器内で放置した。その後、GC/MS分析を行い、発生している揮発成分の分析を行った。
揮発性物質の分析
微生物粉体1を2g封入した不織布袋を用いた。ブランクとしては、無菌のパーライト2gを封入した不織布袋を用いた。それぞれを5Lフレックスサンプラーに入れ、乾燥空気を封入し、32℃・72Hr恒温器内で放置した。その後、GC/MS分析を行い、発生している揮発成分の分析を行った。
この結果、1-butanol、Decanal、Benzaldehydeの発生が確認できた。
揮発性物質の分析2
微生物粉体1を2gを封入した不織布袋を用いた。ブランクとしては、無菌のパーライト2gを封入した不織布袋を用いた。それぞれを50Lテドラーバッグに入れ、芽胞から産出される気体を捕集するため、MonoTrap;DSC18ディスクを1枚装着したものをテドラーバッグ上部に取り付け、32℃・65hr恒温した。DSC18ディスク1枚をジクロロメタン1000μLに浸して超音波で処理したのを抽出液として、GC分析した。発生している揮発成分の分析を行った。
微生物粉体1を2gを封入した不織布袋を用いた。ブランクとしては、無菌のパーライト2gを封入した不織布袋を用いた。それぞれを50Lテドラーバッグに入れ、芽胞から産出される気体を捕集するため、MonoTrap;DSC18ディスクを1枚装着したものをテドラーバッグ上部に取り付け、32℃・65hr恒温した。DSC18ディスク1枚をジクロロメタン1000μLに浸して超音波で処理したのを抽出液として、GC分析した。発生している揮発成分の分析を行った。
この結果、valeric Acidの発生が確認できた。
上記に名前が挙がっている1-butanol、Decanal、Benzaldehyde、valeric Acidはどれも消臭や抗菌能力が報告されているものである。このことから微生物粉体1はこれらの揮発性物質を発することで非接触抗菌や消臭効果を発揮しているものと思われる。
(実施例6)
熱処理した微生物乾燥粉体の揮発性物質の分析
微生物粉体1を65度で24時間熱処理を行った。この後に10Lテドラーバッグに入れ、芽胞から産出される気体を捕集するため、MonoTrap;DSC18ディスクを1枚装着したものをテドラーバッグ上部に取り付け、65℃・65hr恒温した。DSC18ディスク1枚をジクロロメタン1000μLに浸して超音波で処理したのを抽出液として、GC分析を行った。
熱処理した微生物乾燥粉体の揮発性物質の分析
微生物粉体1を65度で24時間熱処理を行った。この後に10Lテドラーバッグに入れ、芽胞から産出される気体を捕集するため、MonoTrap;DSC18ディスクを1枚装着したものをテドラーバッグ上部に取り付け、65℃・65hr恒温した。DSC18ディスク1枚をジクロロメタン1000μLに浸して超音波で処理したのを抽出液として、GC分析を行った。
この結果、γ-Terpinene、Benzaldehydeの発生が確認できた。Benzaldehydeは実施例5でも確認された消臭抗菌能力のある物質である。
高温の過酷な条件でも芽胞状態の微生物粉体から消臭抗菌能力のある物質の発生が確認された。芽胞状態でもこれらの物質を産生していることが考えられる。これにより微生物の活動条件を整えなくてもこれらの効果を得ることが可能であると推察できる。
(実施例7)
熱処理した微生物粉体の低温化における揮発成分の定性
不織布に封入した微生物粉体1を65度で24時間熱処理を行った。この後に10Lテドラーバッグに入れ、芽胞から産出される気体を捕集するため、MonoTrap;DSC18ディスクを1枚装着したものをテドラーバッグ上部に取り付け、4℃・24hr恒温した。DSC18ディスク1枚をジクロロメタン1000μLに浸して超音波で処理したのを抽出液として、GC分析した。
熱処理した微生物粉体の低温化における揮発成分の定性
不織布に封入した微生物粉体1を65度で24時間熱処理を行った。この後に10Lテドラーバッグに入れ、芽胞から産出される気体を捕集するため、MonoTrap;DSC18ディスクを1枚装着したものをテドラーバッグ上部に取り付け、4℃・24hr恒温した。DSC18ディスク1枚をジクロロメタン1000μLに浸して超音波で処理したのを抽出液として、GC分析した。
この結果、酪酸を産生していることが確認された。酪酸も抗菌や消臭能力があり、低温下でも芽胞菌は抗菌や消臭に有効な気体を産生していることがわかった。
このことから微生物粉体1は微生物の活動範囲を整えなくても消臭や抗菌の効果を得ることが可能である。
本発明によれば、安全性に優れ、目的とする空間の隅々までに効果が得られる抗菌方法・ならびに消臭方法として、室内などの常温環境だけでなく冷蔵庫など冷温下の略密閉状態の空間に特に好適に用いることができる。
Claims (11)
- 常温及び冷温下で、微生物から発生する成分により、空間内に存在する真菌類の発育を抑制が可能な日和見病原性及び溶血性毒素を持たない安全なBacillus属に属する微生物。
- 常温及び冷温下で、微生物から発生する成分により、空間内に存在するCladosporium属、Penicillium属及びAspergillus属に属する真菌を併せて抑制が可能な請求項1記載の日和見病原性及び溶血性毒素を持たない安全なBacillus属に属する微生物。
- 常温及び冷温下で、トリメチルアミン及びアンモニアを併せて消臭範囲に含む、請求項1〜2いずれか記載の日和見病原性及び溶血性毒素を持たない安全なBacillus属に属する微生物。
- 発生する成分により非接触状態で密閉空間内の消臭を行うことが出来、その消臭範囲にトリメチルアミン及びアンモニアを併せて消臭範囲に含む、請求項1〜3いずれか記載の日和見病原性及び溶血性毒素を持たない安全なBacillus属に属する微生物。
- 芽胞状態のままで、空間内に存在する真菌類の発育の抑制と消臭を可能とする、請求項1〜4いずれか記載の日和見病原性及び溶血性毒素を持たない安全なBacillus属に属する微生物。
- 受領番号NITE AP−02127の、Bacillus属に属する新規微生物である請求項1〜5いずれか記載の日和見病原性及び溶血性毒素を持たない安全なBacillus属に属する微生物。
- 請求項1〜6のいずれか記載の微生物を含む抗菌消臭剤。
- 微生物を微生物担体に担持させた微生物粉体を用いた請求項7の抗菌消臭剤。
- エチレン吸着能をもつ活性炭、パーライト、他鉱物材料またはこれらは加工した物のうちいずれかを含むエチレン吸着能を持つ請求項8の抗菌消臭剤。
- 微生物と酸化カルシウムを含む微生物含有液剤、もしくはその液剤を吸水性ポリマーに吸水させた微生物含有ゲルである請求項7の抗菌消臭剤。
- 請求項1〜6のいずれか記載の微生物を用いた抗菌消臭方法。
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