以下、本発明を適用した無線通信システムを実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明をする。
図1は、本発明を適用した無線通信システム1のネットワーク構成図を示している。無線通信システム1は、複数の通信端末2(通信端末2−1、2−2、2−3、・・)と、この通信端末との間で無線信号を送受信する基地局3を有する地域エリアネットワーク30と、一又は複数の地域エリアネットワーク30に接続されるコアネットワーク4と、コアネットワーク4に接続されるサーバー5とを備えている。
通信端末2は、いわゆるMTC(Machine Type Communication)端末であり、施設管理を始めとし、環境やインフラストラクチャー(電気、水、ガス等)をモニタリングするために配置されるものである。この通信端末2は、基本的には定位置に固定して使用されるものであるが、これに限定されるものではなく、自由に持ち運び可能なモバイル端末として構成されていてもよい。この通信端末2を地域毎に配設することにより、地域規模のネットワークを構成するようにしてもよい。通信端末2は、定期的又は不定期的にモニタリングした各種情報を一時的に格納し、これを所定間隔を以ってサーバー5へ送信することで情報のアップロードを行う。この通信端末2からサーバー5へのアップロードの間隔は、例えば数十分〜数時間間隔とされていてもよい。通信端末2は、一般的には、基地局3との間で無線通信が可能な携帯電話機やスマートフォン等で構成される携帯情報端末で構成される場合を想定しているが、これ以外に例えばタブレット型端末、パーソナルコンピュータ(PC)、その他いかなる電子機器で構成されていてもよい。
通信端末2は、各種処理を実行するためのアプリケーション21に基づいて動作するものである。また通信端末2を構成するUE(User Equipment)としては、外部から装入されるSIM(Subscriber Identity Module Card)カード22と、このSIMカード22に接続される無線インターフェース23とを備えており、さらに情報検出部24と、これに接続される記憶部25を備えている。この記憶部25は、SIMカード22並びに無線インターフェース23にも接続されている。
SIMカード22は、加入者を特定するためのID番号を始めとした各種情報が記述されたICカードである。このSIMカード22には、IMSI (International Mobile Subscriber Identity) と呼ばれる加入者識別子が付与されている。このIMSIと電話番号とを結びつけることにより通信を可能とする。このIMSIは、携帯電話事業者と契約する際に発行され、SIMカード毎に固有の識別子とされる。このため、通常は、このSIMカード22が装入される一の通信端末2に一のIMSIが割り当てられることになり、逆に一のIMSIが複数の通信端末2に割り当てられることは無い。即ち、通常であれば複数の通信端末2−1、2−2、2−3、・・・があれば、互いに異なるIMSI#1、IMSI#2、IMSI#3、・・・が割り当てられる。但し、本発明では、図1に示すように、複数の通信端末2−1、2−2、2−3、・・・に対して互いに同一のIMSI#1が割り当てられることが前提となる。この複数の通信端末2−1、2−2、2−3、・・・への同一のIMSI#1の割り当ては、かかる同一のIMSI#1が割り当てられたSIMカード22を複数枚用意し、それぞれの通信端末2−1、2−2、2−3、・・・へ装入することで容易に実現できる。なお、上述した実施形態では、あくまでIMSIがSIMカード22に記憶される場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではない。即ち、物理的なSIMカード22を実装することなく、ソフトSIM或いはEmbedded SIM(eUICC)等のようなソフトウェア的なSIMを実装するようにしてもよい。
無線インターフェース23は、基地局3と無線通信を行うために用いられるインターフェースである。この無線インターフェース23は、使用する無線通信の規格に応じて各種符号化復号化処理、変調処理等を施す。無線インターフェース23は、電波を送受信するためのアンテナも含まれる。
情報検出部24は、サーバー5へ送信すべき情報を取得する。この情報検出部24は、例えば、IPアドレス、在圏情報、ベアラID、外部ネットワーク情報、QoS(Quality of Service)情報等を取得するものであれば、無線通信可能なアンテナ等で具現化される。また、情報検出部24は、電力の使用量や、通信端末2の使用状態、更にはユーザからの操作状態を判別するためのタッチパネルやメータ等で具現化される場合もある。また、この情報検出部24は、現在の位置情報を取得する、例えばGPS(Global Positioning System)であってもよい。情報検出部24の各種検出動作は、アプリケーション21に基づいて実行される。情報検出部24は、この検出した各種情報を記憶部25へ出力する。
記憶部25は、情報検出部24から送られてくる検出情報を一時的に記憶するためのストレージ、バッファ、メモリ等で構成される。記憶部25に一時的に記憶された検出情報は、アプリケーション21による制御の下で読み出されて、無線インターフェース23を介して基地局3へと送信される。
基地局3の群から構成される地域エリアネットワーク30は、例えばLTE(Long Term Evolution)や3G等の規格に基づいて通信端末2との間で通信を行う。地域エリアネットワーク30を構成する基地局3は、それぞれ地域毎に配設されるものであり、その通信範囲内に位置する通信端末2を管理するための機器である。基地局3は、自身の通信範囲内にある通信端末2が無線通信を行う上でのいわゆる無線アクセスポイントとしての役割を果たし、更にその通信端末2がコアネットワーク4やサーバー5との間において通信を行う上でインターフェースとしての役割を果たすものである。即ち、基地局3は、これを介して通信端末2がコアネットワーク4やサーバー5との間でデータの送受信を行うことを可能とするものである。
コアネットワーク4は、MME(Mobility Management Entity)41と、HSS(Home Subscriber Server)42と、GW(Gateway)43と、通信インターフェース44とを備えている。図中の破線は、制御信号の送受信が行われる関係を示すものであり、図中の実線は、通信端末2とサーバー5との間で送受信されるデータの経路を示すものである。
MME41は、通信端末2の移動管理、認証(セキュリティ制御)の処理を行う。即ち、このMME41は、係る処理を行う上では、ベアラの確立や開放、通信端末2の位置登録やハンドオーバー等の移動制御、認証処理を行う。またMME41は、GW43へのデータの転送経路設定や変更指示等も行う。具体的には、GW43を構成するS−GW、P−GW間の転送経路の設定処理等も行う。
HSS42は、加入者情報を管理するデータベースであり、通信端末2における各種の加入者プロファイル情報や、識別子、長期共有キー、各加入者が加入しているサービスプロファイル等が格納されている。また、このHSS42は、通信端末2の位置情報や、解像度に関する情報も記録されている。これらの情報が通信端末2のアドレス情報とともにHSS42に記録されている。
GW43は、S−GWとP−GWにより構成されている。S−GWは、基地局3とコアネットワーク4とのパケットデータの授受を中継し、MME41による制御の下で、通信のためのベアラリソースを確保する。
P−GWは、通信インターフェース44との通信を中継する。またこのP−GWは、各通信端末2に対するIP(Internet Protocol)アドレスの払出し、ベアラ確立時のパケット網への接続に関するユーザ認証、MME41による指示に基づくサービスの品質を制御するためのQoS(Quality of Service)制御やアプリケーションプログラムを実行する上での各種データの作成等の処理を行う。また、P−GWは、MME41による制御の下で、通信のためのベアラリソースを確保する。
通信インターフェース44は、GW43から送信されてくるパケットデータを、サーバー5へ送信し、またサーバー5から送られてくるパケットデータをGWへ送信するための各種処理を行う。通信インターフェース44は、例えば、MTC-IWF(Machine Type Communication Inter Working Function)、SCS(Service Capability Server)等のようなM2M(Machine to Machine)用のノードとして具現化されるものであってもよい。
サーバー5は、コアネットワーク4の通信インターフェース44を介して送信されてくるデータを記録するためのストレージで構成されている。このサーバー5は、既に記録されているデータを読み出してこれを通信インターフェース44を介してコアネットワーク4へ送信する。
次に、上述した構成からなる無線通信システム1の動作について説明をする。図2(a)は、この無線通信システム1の通信コンセプトを示す図である。無線通信システム1では、先ず複数の通信端末2−1、2−2、2−3、・・・間において共通のIMSI#1を割り当てる。共通のIMSI#1を複数の通信端末2−1、2−2、2−3、・・間で割り当てるということは、例えば何れか一の通信端末2−1がIMSI#1を使用してコアネットワーク4やサーバー5と通信経路を確立して通信を行っている場合には、他の一の通信端末2−2等は、当該IMSI#1を使用してコアネットワーク4やサーバー5と通信することができなくなる。実際にこの無線通信システム1では、互いに共通のIMSI#1が割り当てられた複数の通信端末2−1、2−2、2−3、・・間においてコアネットワーク4やサーバー5と同時に通信経路が確立されるのを防止するための制御を行う。
具体的には、仮に通信端末2−1がIMSI#1を使用してコアネットワーク4やサーバー5と通信経路の確立を試みる場合には、その通信を試みる時点AにおいてIMSI#1を他の通信端末2−2、2−3、・・・が使用して通信を行っているか否かを判別する。その結果、時点AにおいてIMSI#1を他の通信端末2−2、2−3、・・・が使用して通信を行っていない旨を判定した場合には、その時点AにおいてIMSI#1を自由に使用して通信経路を確立することができることを意味する。このため、通信端末2−1は、IMSI#1を使用してコアネットワーク4やサーバー5と通信経路を確立して通信を行う。
これに対して、この通信端末2−1がIMSI#1を使用している時点Bにおいて他の通信端末2−2がIMSI#1を使用してコアネットワーク4やサーバー5と通信経路の確立を試みる場合も同様に、IMSI#1を他の通信端末2−1、2−3、・・・が使用して通信を行っているか否かを判別する。その結果、時点BにおいてIMSI#1を他の通信端末2−1が使用して通信を行っている旨を判定することとなるため、その時点BにおいてIMSI#1を自由に使用して通信経路を確立することができないこととなる。かかる場合において、通信端末2−2は、所定時間経過後の時点CにおいてIMSI#1を使用してコアネットワーク4やサーバー5と通信経路の確立を試みることとなる。かかる場合においても同様に、時点CにおいてIMSI#1を他の通信端末2−1、2−3、・・・が使用して通信を行っているか否かを判別する。その結果、時点Cにおいて通信端末2−1がIMSI#1を使用した通信を完了しており、かつ他の通信端末2−3、・・がIMSI#1を未使用の場合には、IMSI#1が使用可能な状態となるため、これを使用してコアネットワーク4やサーバー5と通信経路の確立を行い、通信を開始する。一方、時点Cにおいて通信端末2−1がIMSI#1を使用した通信を完了してないか、或いは他の通信端末2−3、・・がIMSI#1を使用して通信中の場合には、通信端末2−2は、所定時間経過後において再度同様に通信経路の確立を試みることとなる。
このような制御を行うことにより、複数の通信端末2−1、2−2、2−3、・・・間において共通のIMSI#1を割り当てる場合において、時間的に重複することなく互いに使用して通信経路を確立することができる。即ち、この無線通信システム1においては、複数の通信端末2−1、2−2、2−3間で時分割で共通のIMSI#1を順番に使用することが可能となる。
実際に、IMSI#1が使用可能か否かを判別する際には、図2(b)に示すようなフラグが記述されるフラグテーブルを用いて行うようにしてもよい。このフラグテーブルでは、各IMSI毎にフラグを立てることができるように設定されており、そのフラグは、他の通信端末により使用中か、或いは未使用かを示すものとされる。時点Aでは、IMSI#1は未使用のフラグを立てておくことで、通信端末2−1は当該IMSI#1を使用して通信経路の確立を実現することが可能となる。また通信端末2−1がこのIMSI#1を使用して通信を行っている期間は、このIMSI#1のフラグを未使用から使用中に遷移させる。これにより、時点Bにおいて通信端末2−2がIMSI#1の使用状況を判別する際において、このテーブルのフラグを確認することにより、時点BにおいてIMSI#1が使用中であることから、通信端末2−2においては使用不可であることを容易に判別することが可能となる。
また、通信端末2−1がIMSI#1を使用した通信を停止し、その通信経路を解放する際には、フラグを使用中から未使用に遷移させる。その結果、通信端末2−1が通信経路解放後の時点Cにおいて、通信端末2−2はそのフラグを確認することでIMSI#1が未使用であることから、使用可能である旨を容易に判別することが可能となる。
なお、本発明においては、使用可否を示すフラグが記述された各IMSI毎のフラグテーブルを使用する場合に限定するものではない。例えばこのようなフラグテーブルを用いることなく、一の通信端末2が通信路確立をする際において、その通信端末2に割り当てられているIMSIの使用可否を判断し、IMSIが既に他の前記通信端末により使用中か否かを判断するものであればいかなる方法を用いてもよい。但し、以下では、フラグテーブルに基づいて判断する場合を例にとり説明をする。
図3は、本発明を適用した無線通信システム1の動作のフローチャートを示している。先ずステップS11において、電源がOFFとされていた一の通信端末2において電源が投入されるものとする。通信端末2において電源が投入された場合には、ステップS12へ移行する。
ステップS12に移行した場合において、通信端末2は、基地局3を介してコアネットワーク4に対してUE登録処理を要求する。コアネットワーク4は、その電源が投入された通信端末2についてUE登録を行う。このUE登録の過程において、コアネットワーク4は、共通に使用しているIMSI#1が現時点において使用可能か否かを判別する。この使用状況の判別は、上述したフラグテーブルを参照することで行う。その結果、フラグテーブルに記述されているIMSI#1のフラグが現時点において未使用であるため、使用可能である旨を判別した場合には、ステップS13へ移行する。これに対して、フラグテーブルに記述されているIMSI#1のフラグが現時点において使用中であるため、使用不可である旨を判別した場合には、ステップS14へ移行する。
ステップS13に移行した場合には、コアネットワーク4は、フラグテーブルIMSI#1のフラグを、未使用から使用中に更新する。これにより、他の通信端末2はこのIMSI#1を使用できなくなる結果、複数の通信端末2においてIMSI#1の使用が重複してしまうのを防止することが可能となる。また、コアネットワーク4は、そのアクセスしてきた通信端末2についてUE登録処理を完了させる。このフラグの更新並びにUE登録処理の完了後、ステップS15へ移行する。
また、ステップS14へ移行した場合において、コアネットワーク4は、タイマー値を基地局3を介して通信端末2へ送信する。かかるタイマー値を受信した後、タイマー値に記述されている時間経過後、再度ステップS12に戻り、UE登録を要求する。即ち、フラグテーブルIMSI#1のフラグが未使用になり、IMSI#1が使用可能となるまで、このステップS12、S14を繰り返すこととなる。なお、このタイマー値は、コアネットワーク4によって生成されるものであるが、具体的にはランダムな値の中から一つを選択してこれをタイマー値としてもよいし、所定の定数をタイマー値としてもよい。
ステップS15に移行した場合において、通信端末2は、基地局3、コアネットワーク4を介して必要に応じてサーバー5との間で通信を行う。かかる場合には、通信端末2は、アプリケーション21における識別子の登録や割り当て、情報検出部24による情報検出のタイミングや間隔、更には取得した情報の送信間隔等の設定、情報検出部24をGPSで構成する場合には、その地理的位置の登録等の各種データをサーバー5に対して送信する。サーバー5は、これらのデータを受信した上で自身のストレージに記録した上でその応答をコアネットワーク4、基地局3を介して通信端末2へと返信する(ステップS16)。
次にステップS17へ移行し、通信端末2からコアネットワーク4に至るまでの通信経路を解放する。これと共に、コアネットワーク4は、上述したフラグテーブルにおいてIMSI#1のフラグについて使用中から未使用に更新する。その結果、今後このIMSI#1については他の通信端末2も含めて使用可能となる。
上述したステップS11〜S17から連続するか否かに関係なく、ステップS18において通信端末2からサーバー5に向けてデータの送信要求が行われた場合には、ステップS19へ移行する。
ステップS19に移行した場合において、通信端末2は、基地局3を介してコアネットワーク4との間で通信経路の確立を要求する。コアネットワーク4は、通信経路確立の過程において、共通に使用しているIMSI#1が現時点において使用可能か否かを判別する。この使用状況の判別は、上述したフラグテーブルを参照することで行う。その結果、フラグテーブルに記述されているIMSI#1のフラグが現時点において未使用であるため、使用可能である旨を判別した場合には、ステップS20へ移行する。これに対して、フラグテーブルに記述されているIMSI#1のフラグが現時点において使用中であるため、使用不可である旨を判別した場合には、ステップS21へ移行する。
ステップS20に移行した場合には、コアネットワーク4は、フラグテーブルIMSI#1のフラグを、未使用から使用中に更新する。これにより、他の通信端末2はこのIMSI#1を使用できなくなる結果、複数の通信端末2においてIMSI#1の使用が重複してしまうのを防止することが可能となる。また、コアネットワーク4は、そのアクセスしてきた通信端末2との間で通信経路の確立を完了させる。このフラグの更新並びに通信経路確立の完了後、ステップS22へ移行する。
また、ステップS21へ移行した場合において、コアネットワーク4は、タイマー値を基地局3を介して通信端末2へ送信する。かかるタイマー値を受信した後、タイマー値に記述されている時間経過後、再度ステップS12に戻り、通信確立を要求する。即ち、フラグテーブルIMSI#1のフラグが未使用になり、IMSI#1が使用可能となるまで、このステップS19、S21を繰り返すこととなる。なお、このタイマー値の詳細は、ステップS14における説明を引用することで以下での説明を省略する。
ステップS22に移行した場合には、上述したステップS20において確立した通信経路を介して通信端末2からサーバー5へデータを送信する。このステップS22において送信されるデータは、通信端末2における情報検出部24において検出された各種情報等である。サーバー5へのデータの送信を終了させた後、ステップS23へ移行する。
ステップS23においてコアネットワーク4は、通信端末2からコアネットワーク4に至るまでの通信経路を解放する。これと共に、コアネットワーク4は、上述したフラグテーブルにおいてIMSI#1のフラグについて使用中から未使用に更新する。その結果、今後このIMSI#1については他の通信端末 2も含めて使用可能となる。
上述した構成からなる本発明によれば、共通のIMSIを複数の通信端末2により互いに時間的に重複することなく共用することが可能となる。その結果、大規模な数の通信端末2がコアネットワーク4を利用する場合においても、当該コアネットワーク4内において取り扱われ、保持される情報量の増加を抑制することができ、制御処理量を軽減させ、ひいてはシステムの負荷を抑制することが可能となる。特に上述したフラグテーブルを介して各IMIS毎にその使用状況を管理することにより、共通のIMSIを使用する通信端末2間において通信が時間的に重複しないように効率よく制御することが可能となる。
次に、上述した図3に示すフローチャートの詳細なシーケンスについて説明をする。図4は、ステップS11〜S17における詳細なシーケンスを示している。
先ずステップS11において通信端末2において電源が投入された場合には、Random Access Preambleを基地局3へ送信する(ステップS101)。このRandom Access Preambleは、基地局3に対する送信許可をもらうための要求が含まれている。基地局3は、Random Access Preambleを受信した場合に、送信タイミングの設定、通信リソースの割り当て等を行った後、Random Access Responseを通信端末2へ返信する(ステップS102)
通信端末2と基地局3間の無線区間のチャネルの割り当てを要求するためのRRC Connection Requestを通信端末2から基地局3へ送信する(ステップS103)。基地局3は、このRRC Connection Requestを受けて、RRC Connection Setupを通信端末2へ送信する(ステップS104)。
通信端末2は、このRRC Connection Setupを受信した場合には、実際に通信端末2と基地局3、基地局3とコアネットワーク4におけるGW43のS−GW、コアネットワーク4におけるGW43のS−GWとP−GW間の通信経路を確立するための要求であるNAS Attach Request、並びに通信端末2と基地局3間の無線区間のチャネルの割り当てが終了した旨を示すRRC Connection Setup Completeを基地局3へ送信する(ステップS105)。基地局3は、MME41に対して、NAS Attach Requestがあった旨、並びに通信端末2をコアネットワーク4側においてUE登録するための要求が盛り込まれたS1AP Initial UE Messageを送信する(ステップS106)。MME41は、このS1AP Initial UE Messageを受信し、HSS42に対してAuthentication info Requestを送信する(ステップS107)。このAuthentication info Requestは、ステップS12において規定される認証手続きの実行要求が含まれている。HSS42は、このAuthentication info Requestを受けて、ステップS12において説明した、IMSI#1が現時点において使用可能か否かの判別処理を実行する。
また、ステップS12からステップS14へ移行する場合には、先ずHSS42からMME41に向けてIMSI#1が使用不可である旨のAuthentication Info Answerのメッセージを送信する(ステップS108)。MME41は、このIMSI#1が使用不可である旨のAuthentication Info Answerを受信した場合において、タイマー値を生成し、これをAttach Rejectというメッセージに盛り込み、ステップS14に示すようにこれを基地局3を介して通信端末2へ送信する。
またステップS12からステップS13へ移行し、フラグの更新処理を完了させた場合には、HSS42からMME41に向けてAuthentication Info Answerを送信する(ステップS109)。このAuthentication Info Answerの送信は、通信端末2がIMSI#1を使用して通信を行う認証手続の一つである。認証手続は、通信端末2、MME41、HSS42間において行われる。MME41は、このAuthentication Info Answerを受けて、Authentication Requestを基地局3を介して通信端末2へ送信する(S110)。通信端末2は、このAuthentication Requestを受信し、認証手続を行った後、Authentication Responseを基地局3を介してMME41へ送信する(ステップS111)。
MME41は、このAuthentication Responseを受信して、位置情報を登録するための要求であるUpdate Location ReqをHSS42へ送信する(ステップS112)。このUpdate Location Reqを受信したHSS42は、通信端末2がMME41の配下において接続されたことを記憶することができる。次にHSS42は、MME41に対してUpdate Location Resを送信する(ステップS113)。このUpdate Location Resは、Update Location Reqに対する応答信号である。
MME41は、GW43に対して、基地局とS−GW、S−GWとP−GWとの間において通信経路の確立を要求するCreate Session Reqを送信する(ステップS114)。GW43は、GW43は、このCreate Session Reqを受けて、基地局とS−GWとの間の通信経路のS−GW側の設定、S−GWとP−GWとの間における通信経路の確立を行い、Create Session ResをMME41へ返信する(ステップS115)。このCreate Bearer Resには、基地局3とS−GW間の通信経路の基地局側を設定するための情報が含まれている。
MME41は、Create Session Resを受けてS−GWとP−GWとの間において通信経路が確立された旨、基地局とS−GW間の通信経路のS−GW側の設定が完了された旨を識別することができ、更に基地局3とS−GW間の通信経路の基地局側の設定をするための情報を取得することが可能となる。MME41は、S−GWとP−GWとの間において通信経路の確立、基地局とS−GW間の通信経路のS−GW側の設定の完了が終了したことを示すInitial Context Setup Requestを基地局3へ送信する(ステップS116)。Initial Context Setup Requestには、MME41がGW43から受信したCreate Session Resに含まれる情報のみならず、通信端末2に対してコアネットワーク4におけるUE登録が承認されたことを示す信号(Attach accept)も含まれる。基地局3は、このInitial Context Setup Requestを受けて、無線通信に必要な通信リソースを確保すると共に、RRC Connection Reconfigurationを通信端末2へ送信する(ステップS117)。RRC Connection Reconfigurationは、コアネットワーク4におけるUE登録が承認されたことの通知である。
通信端末2は、RRC Connection Reconfigurationを受信して自身の状態をデータを送信可能なアクティブ状態に移行させる。そして、通信端末2は、自身がアクティブ状態になり、データを送信できる状態になったことを示すRRC Connection Reconfiguration Completeを基地局3へ送信する(ステップS118)。基地局3は、このRRC Connection Reconfiguration Completeを受けて、通信端末2側においてデータの送信準備が完了していることを識別することができる。
基地局3は、次にRRC Connection Reconfiguration Completeを受けて、Initial Context Setup ResponseをMME41へ送信する(ステップS119)。Initial Context Setup Responseは、基地局3とGW間の通信路の設定が完了したことをMME41へ通知するための信号である。
また通信端末2は、UL information Transferを上述したRRC Connection Reconfiguration Completeとは別に基地局3へ送信する(ステップS120)。このUL information Transferには、通信端末2につきUE登録が完了していることが記述されている。このため、基地局3は、UL information Transferを受信することで、当該通信端末2につきUE登録が完了していることを識別することが可能となる。
基地局3は、UL NAS TransportをMME41に送信する(ステップS121)。このUL NAS Transportには、通信端末2につきUE登録が完了している旨が含まれている。MME41は、このUL NAS Transportを受けて、Modify Bearer ReqをGW43へ送信する(ステップS122)。このModify Bearer Reqは、必要に応じてSGW-PGW間の通信路の更新を要求するための信号である。GW43は、このModify Bearer Reqを受けてSGW-PGW間の通信路の更新処理を行った後、Modify Bearer ResをMME41へ返信する(ステップS123)。
このステップS123を終了させた段階で、基地局3、GW43、通信インターフェース44間において、ちょうど図1の実線で示される通信経路が確立されることとなる。このステップS123の終了後、ステップS15のデータ送信処理、ステップS16の返信処理が行われることとなる。
このステップS16を終了後、通信端末2とサーバー5との間で所定期間に亘り通信が行われなかった場合には、この確立された通信経路をステップS131〜ステップS136のフローを通じて解放する。
ステップS131では、先ず基地局3からMME41に対して、基地局3とS−GWとの通信路を解放するための要求であるS1 UE Context Release Requestを送信する(ステップS131)。MME41は、このS1 UE Context Release Requestを受けて、基地局3とS−GWとの通信路を要求するための信号であるRelease Access Bearer ReqをGW43へ送信する(ステップS132)。GW43は、このRelease Access Bearer Reqを受けて通信路の解放処理を行い、Release Access Bearer ResをMME41へ送信する(ステップS133)。
MME41は、Release Access Bearer Resを受けてS1 UE Context Release Commandを基地局3へ送信する(ステップS134)。基地局3は、このS1 UE Context Release Commandを受信することで、GW43(S−GW側)において、通信路が解放されたことを識別することが可能となる。基地局3は、S1 UE Context Release Commandを受けて通信端末2との無線通信に使用した通信リソースを解放し、RRC Connection Releaseを通信端末2へ送信する(ステップS135)。通信端末2は、このRRC Connection Releaseを受けてGW43側において通信路が解放されたことを識別することができる。また基地局3は、S1 UE Context Release CompleteをMME41へ送信する(ステップS136)。このS1 UE Context Release Completeは、基地局3が無線通信のための通信リソースを解放したことをMME41に通知するための信号である。MME41は、このS1 UE Context Release CompleteをHSS42に対しても転送する。HSS42は、このS1 UE Context Release Completeを受けて、ステップS17において説明したように、上述したフラグテーブルにおいてIMSI#1のフラグについて使用中から未使用に更新する処理を行う。
図5は、ステップS18以降における詳細なシーケンスを示している。
先ずステップS18において通信端末2からサーバー5に向けてデータの送信要求が行われた場合には、先ずステップS201において通信端末2と基地局3間の無線区間のチャネルの割り当てを要求するためのRRC Connection Requestを通信端末2から基地局3へ送信する(ステップS201)。基地局3は、このRRC Connection Requestを受けて、RRC Connection Setupを通信端末2へ送信する(ステップS202)。
通信端末2は、このRRC Connection Setupを受信した場合には、実際に通信端末2と基地局3、基地局3とコアネットワーク4におけるGW43のS−GW間の通信経路を確立するための要求であるRRC Connection Setup Completeを基地局3へ送信する(ステップS203)。基地局3は、かかるRRC Connection Setup Completeを受信した場合には、INITIAL UE MESSAGEをコアネットワーク4におけるMME41へ送信する(ステップS204)。このINITIAL UE MESSAGEには、基地局とS−GW、S−GWと、P−GW間の通信経路を確立・更新するための要求が記述されている。MME41は、このINITIAL UE MESSAGEをMSS42へ転送する。HSS42は、このINITIAL UE MESSAGEを受けて、ステップS19において説明した、IMSI#1が現時点において使用可能か否かの判別処理を実行する。
また、ステップS19からステップS21へ移行する場合には、先ずHSS42からMME41に向けてIMSI#1が使用不可である旨のメッセージを送信する(ステップS205)。MME41は、このIMSI#1が使用不可である旨のメッセージを受信した場合において、タイマー値を生成し、ステップS24に示すようにこれを基地局3を介して通信端末2へ送信する。
またステップS19からステップS20へ移行し、フラグの更新処理を完了させた場合には、HSS42からMME41に向けて応答信号を送信する(ステップS206)。MME41は、かかる応答信号を受信し、GW43に対して、基地局とS−GWとの間の通信経路のS−GW側の設定を要求するCreate Bearer Reqを送信する(ステップS207)。GW43は、このCreate Bearer Reqを受けて、S−GWとP−GWとの間において通信経路の確立を行い、Create Bearer ResをMME41へ返信する(ステップS208)。このCreate Bearer Resには、基地局3とS−GW間の通信経路の基地局側を設定するための情報が含まれている。
MME41は、Create Bearer Resを受けて基地局側とS−GW間の通信経路のS−GW側の設定が完了された旨を識別することができ、更に基地局3とS−GW間の通信経路の基地局側を設定するための情報を取得することが可能となる。MME41は、基地局とS−GWの間の通信経路のS−GW側の設定が終了したことを示すInitial Context Setup Requestを基地局3へ送信する(ステップS209)。Initial Context Setup Requestには、MME41がGW43から受信したCreate Bearer Resに含まれる情報も盛り込まれる。基地局3は、このInitial Context Setup Requestを受けて、Security Mode Commandと、RRC Connection Reconfigurationを通信端末2へ送信する(ステップS210)。Security Mode Command は、セキュリティモードに移行する旨の要求である。ちなみに、このSecurity Mode Commandの送信は省略するようにしてもよい。
通信端末2は、Security Mode Completeと、RRC Connection Completeを、基地局3へ送信する(ステップS211)。このSecurity Mode Completeは、セキュリティモードに移行したことを示す信号である。RRC Connection Completeは、通信端末2自身が既にアクティブ状態になってデータが送信できる状態になっていることを示す信号である。基地局3は、このRRC Connection Completeを受信することにより、通信端末2側においてはデータ送信が可能な状態になっていることを識別することができる。
基地局3は、かかるRRC Connection Completeを受けて、Initial Context Setup CompleteをMME41へ送信する(ステップS212)。Initial Context Setup Completeは、基地局3とGW間の通信路の設定が完了したことをMME41へ通知するための信号である。MME41は、このInitial Context Setup Completeを受けて、Modify Bearer ReqをGW43へ送信する(ステップS213)。このステップS213は省略するようにしてもよい。このModify Bearer Reqは、必要に応じてSGW-PGW間の通信路の更新を要求するための信号である。GW43は、このModify Bearer Reqを受けてS−GWとP−GW間の通信路の更新処理を行った後、Modify Session ResをMME41へ返信する(ステップS214)。
このステップS214を終了させた段階で、基地局3、GW43、通信インターフェース44間において、ちょうど図1の実線で示される通信経路が確立されることとなる。このステップS214の終了後、ステップS22における通信端末2からサーバー5へのデータの送信が行われる。
このステップS22を終了後、通信端末2とサーバー5との間で所定期間に亘り通信が行われなかった場合には、この確立された通信経路をステップS131〜ステップS136のフローを通じて解放する。
ステップS231では、先ず基地局3からMME41に対して、基地局3とS−GWとの通信路を解放するための要求であるS1 UE Context Release Requestを送信する(ステップS231)。MME41は、このS1 UE Context Release Requestを受けて、基地局3とS−GWとの通信路を要求するための信号であるRelease Access Bearer ReqをGW43へ送信する(ステップS232)。GW43は、このRelease Access Bearer Reqを受けて通信路の解放処理を行い、Release Access Bearer ResをMME41へ送信する(ステップS233)。
MME41は、Release Access Bearer Resを受けてS1 UE Context Release Commandを基地局3へ送信する(ステップS234)。基地局3は、このS1 UE Context Release Commandを受信することで、GW43(S−GW側)において、通信路が解放されたことを識別することが可能となる。基地局3は、S1 UE Context Release Commandを受けて通信端末2との無線通信に使用した通信リソースを解放し、RRC Connection Releaseを通信端末2へ送信する(ステップS235)。通信端末2は、このRRC Connection Releaseを受けてGW43側において通信路が解放されたことを識別することができる。また基地局3は、S1 UE Context Release CompleteをMME41へ送信する(ステップS236)。このS1 UE Context Release Completeは、基地局3が無線通信のための通信リソースを解放したことをMME41に通知するための信号である。MME41は、このS1 UE Context Release CompleteをHSS42に対しても転送する。HSS42は、このS1 UE Context Release Completeを受けて、ステップS23において説明したように、上述したフラグテーブルにおいてIMSI#1のフラグについて使用中から未使用に更新する処理を行う。