JP2017069097A - アルカリ電池 - Google Patents

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晋吾 安西
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武男 野上
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Abstract

【課題】放電性能を維持しつつ極めて優れた耐漏液性能を備えたアルカリ電池を提供する
【解決手段】亜鉛または亜鉛合金を負極活物質として含む負極ゲル5を備えたアルカリ電池1であって、前記負極ゲル中に界面活性剤として直鎖型のポリオキシエチレン−アルキルエーテルが添加されている。前記界面活性剤のアルキル基の炭素数を10以上とし、さらには前記界面活性剤が前記負極活物質を構成する亜鉛に対して1ppm以上100ppm以下の割合で添加されているアルカリ電池とすればより好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明はアルカリ電池に関する。具体的にはアルカリ電池を構成する負極ゲルの改良技術に関する。
アルカリ電池は、正極合剤、セパレーター、負極ゲルからなるアルカリ発電要素が有底円筒状の金属製電池缶に収容されているとともに、その電池缶の開口部が樹脂製の封口ガスケットを用いて封止されている。本発明の実質的な対象であるアルカリ電池用の負極ゲルは、電解液であるKOH水溶液にゲル化剤(例えば、架橋型のポリアクリル酸塩)を加えて電解液をゲル状にしたのち、そのゲル状の電解液に負極活物質である粉体状の亜鉛あるいは亜鉛合金を分散させたものである。ところで粉体状の亜鉛や亜鉛合金(以下、一括して亜鉛と称する)の粒子は、長期間にわたって電解液に触れていると,粒子表面が腐食して水素ガスを発生させる。その水素ガスは電池内圧を上昇させ、最終的には漏液に至る。
そこで従来のアルカリ電池の多くは、亜鉛の腐食を抑制するために負極ゲル中にインジウムなどの金属を含ませている。それによって3〜5年程度の保存期間を確保している。また現在では、アルカリ電池の保存期間をさらに延長するための試みがなされている。例えば以下の特許文献1には電池内での水素ガス発生量を低減させるための様々な従来技術について記載されている。そして当該文献1に記載の発明では、負極の正極に対する理論放電容量比を0.9以上1.1以下とし、負極にカーボンブラック粉末を亜鉛に対して0.1重量%以上1.5重量%以下含ませることで長期にわたる未使用保存状態での耐漏液性能を向上させている。なおアルカリ電池の基本的な構造や製造手順などについては以下の非特許文献1に記載されている。
特開2013−97880号公報
近年、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯電話機、スマートフォンなどの電子機器の高性能化及び小型化に伴い、これらの電子機器の電源として用いられるアルカリ電池には優れた重負荷放電性能と高容量化とが求められている。その一方で、最近では乾電池が非常時のための重要な備蓄品の一つになっていることから、アルカリ電池には従来にも増して未使用状態で長期間にわたって保存しても漏液が発生しない耐漏液性能が要求されている。上記特許文献1には、未使用状態でのアルカリ電池の耐漏液性能を60℃の温度下で20日放置することで評価し、当該文献1に記載の発明では、負極ゲル中にインジウムを添加したアルカリ電池に対し、未使用状態での耐漏液性能をさらに向上させている。
しかし電池を含めて最近の備蓄品には極めて長い期間(例えば10年以上)にわたる保存性能が要求されている。すなわちアルカリ電池には10年以上の耐漏液性能が求められている。そして特許文献1に記載の評価方法に基づく耐漏液性能では、最近の耐漏液性能に対する要求を満たすことができない。もちろん耐漏液性能の向上とともに上述した電子機器の電源としての放電性能を維持する必要がある。
そこで本発明は、放電性能を維持しつつ極めて優れた耐漏液性能を備えたアルカリ電池を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明は、亜鉛または亜鉛合金を負極活物質として含む負極ゲルを備えたアルカリ電池であって、前記負極ゲル中に界面活性剤として直鎖型のポリオキシエチレン−アルキルエーテルが添加されていることを特徴とするアルカリ電池としている。
また前記界面活性剤のアルキル基の炭素数が10以上であることを特徴とするアルカリ電池とすればより好ましい。さらに前記界面活性剤が前記負極活物質を構成する亜鉛に対して1ppm以上100ppm以下の割合で添加されているアルカリ電池。前記界面活性剤のHLB値が6以上13以下であるアルカリ電池。前記界面活性剤の凝固点が20℃以下であるアルカリ電池とすればより好適である。
上記いずれかのアルカリ電池において、前記負極ゲルには粉末状態での粒度が75μm以下の亜鉛粒子あるいは亜鉛合金粒子が20%以上60%以下の割合で含まれていることとすれば放電性能も向上させることができる。
本発明のアルカリ電池によれば、放電性能を維持しつつ耐漏液性能を向上することができる。なおその他の効果については以下の記載で明らかにする。
一般的な円筒形アルカリ電池の構造を示す図である。
===アルカリ電池===
図1に一般的なアルカリ電池の一例としてLR6型の円筒形アルカリ電池1を示した。ここでは円筒軸100の延長方向を縦方向としたときの縦断面図を示した。図1に示したように、このアルカリ電池1は、所謂インサイドアウト型と呼ばれる構造を有し、有底筒状の金属製電池缶(以下、正極缶2とも言う)、環状に成型された正極合剤3、この正極合剤3の内側に配設された有底円筒状のセパレーター4、亜鉛または亜鉛合金を含んでセパレーター4の内側に充填される負極ゲル5、この負極ゲル5中に挿入された負極集電子6、負極端子板7、ガスケット8などにより構成される。この構造において、正極合剤3、セパレーター4、負極ゲル5が、電解液の存在下でアルカリ電池1の発電要素を形成する。
電池ケースを兼ねる正極缶2は、ニッケルメッキされた鋼鈑を素材とし、底面側を下方として底面外面に下方に突出する正極端子9を備えるともに、内面21にて正極合剤3の外周側面31と直接接触することによって正極集電体として機能する。正極合剤3は、電解二酸化マンガン(EMD)などの正極活物質、導電材としての黒鉛、ポリアクリル酸などのバインダー、40wt%KOH水溶液からなる電解液を所定の質量比(例えば、EMD:黒鉛:バインダー:電解液=91.4:6.0:0.1:2.5)で混合し、この混合体をコンパクティング、解砕、造粒等の工程によって、所定の粒度に調整された粉体状の造粒物(合剤粒)を作製するとともに、その合剤粒を金型を用いて環状の成型体にすることで得られる。
負極ゲル5は40wt%KOH水溶液にゲル化剤(例えば、架橋型のポリアクリル酸塩)加えて電解液をゲル状にしたのち、そのゲル状の電解液に負極活物質である粉体状の亜鉛あるいは亜鉛合金を分散させたものである。この負極ゲル5中に挿入された棒状の金属製負極集電子6は、皿状の金属製負極端子板7の内面7iに溶接により立設固定されている。負極端子板7、負極集電子6および樹脂製のガスケット8は、封口体としてあらかじめ一体に組み合わせられており、ガスケット8の外周部が正極缶2の開口縁部と負極端子板7の周縁部との間にかしめられるなどして挟持されて正極缶2が気密シールされる。
===界面活性剤===
本発明の実施例に係るアルカリ電池は、図1に示したアルカリ電池と同様の構成を備えている。しかし実施例に係るアルカリ電池は、負極ゲル中の亜鉛に起因する水素ガスの発生を抑制するために、負極ゲル中に界面活性剤を添加している。それによって界面活性剤が負極ゲル中で個々の亜鉛あるいは亜鉛合金の粒子(以下、亜鉛粒子とも言う)に吸着し、亜鉛が電解液に触れることによって腐食するのを抑制することができる。そしてその界面活性剤として、Rをアルキル基として化学式R−O−(CO)−Hで表されるポリオキシエチレン−アルキルエーテルが使用されている。
ところで組成としてのポリオキシエチレン−アルキルエーテル(以下、POE−AE)には側鎖型と直鎖型ある。側鎖型のPOE−AEは少なくともアルカリ電池が使用される温度範囲では液体の状態であるが、直鎖型のPOE−AEは室温近傍に凝固点を有している。そして本実施例のアルカリ電池では、室温近傍に凝固点を有しているため、従来では電池材料に適用すること自体が想定外だった直鎖型のPOE−AEを負極ゲルに添加している点に大きな特徴を有し、その特徴によって従来のアルカリ電池と同等の放電性能と極めて優れた耐漏液性能を備えている。
===性能試験===
本発明の実施例に係るアルカリ電池の性能を評価するために、構造や特性が異なる各種POE−AEを添加した負極ゲルを作製し、その負極ゲルを用いて図1に示したものと同様のLR6型アルカリ電池をサンプルとして作製した。概略的にはPOE−AEについて、アルキル基の構造と炭素数、添加量、HLB値、凝固点等が異なる負極ゲルに添加する各種サンプル、およびPOE−AEが添加されている負極ゲル中の亜鉛粒子の粒度が異なる各種サンプルを作製し、それらのサンプルの耐漏液性能、放電性能、および粘度特性を評価した。なお構造や特性が異なる各種POE−AEについては市販品(日油株式会社製)を用い、以下に示すHLB値や凝固点などの特性についてはカタログ値を採用している。
<アルキル基の構造と炭素数>
まず負極ゲルに添加するアルキル基の構造や炭素数が異なる各種POE−AEを従来のアルカリ電池に用いられる負極ゲル中の亜鉛に対して質量比で50ppmの割合で添加し、その負極ゲルを用いて各種サンプルを作製した。また界面活性剤が添加されていない負極ゲルを用いた従来のアルカリ電池もサンプルとして作製した。そして各サンプルは同じ条件で多数個作製され各種性能試験に供された。
耐漏液性能を評価する試験として、90℃の温度環境下に21日間置く試験(以下、ガス発生試験)を行った。そして試験後のサンプルを水中にて分解して水上捕集したガスの体積(以下、ガス発生量とも言う)を室温大気圧下で測定した。また放電性能を評価するために各サンプルに対し1500mWの消費電力で2秒間放電させた後650mWの消費電力で28秒間放電させる放電動作を1サイクルとして、1時間に連続して10サイクル(5分間)放電させたのち55分休止し、次の1時間で再度10サイクル放電させる動作を繰り返す重負荷パルス放電試験(以下、放電性能試験)を行った。そして1.05Vの終止電圧に至るまでの時間を測定した。また各サンプルに用いた負極ゲルの粘度を測定した。ここでは粘度は電池缶に充填した負極ゲルの液面下2cmの位置で測定した。なお粘度は高すぎるとアルカリ電池の製造工程において負極ゲルの電池缶への充填時間が長くなり、電池としての性能ではなく生産効率が低下するという問題が発生する。もちろん粘度が高くても製造設備や負極ゲルの充填方法を変更することで製造上の問題を回避することができる。しかしそれらの変更に掛かるコストを考えれば、現在市販されているアルカリ電池と同じ製造設備や充填方法で製造できる方が望ましい。
以下の表1に各サンプルにおけるガス発生試験と放電性能試験の結果と粘度を示した。
Figure 2017069097
表1において、サンプル1は従来のアルカリ電池であり、負極ゲルには界面活性剤が添加されていない。サンプル2は界面活性剤としてアルキル基(以下、R)の炭素数が10の側鎖型POE−AEを添加しており、サンプル3〜6は界面活性剤としてアルキル基(以下、R)の炭素数が異なる直鎖型POE−AEを添加している。なおここで用いたPOE−AEのHLB値は9である。そしてサンプル2〜6における試験結果はサンプル1における試験結果を100%としたときの相対値で示している。
表1に示したように、側鎖型のPOE−AEを添加したサンプル2ではサンプル1に対してガス発生量が10%減少し、粘度が20%減少したが、放電性能は40%も劣化した。一方直鎖型POE−AEを添加したサンプル3〜6ではサンプル1と同等の放電性能を示した。そして炭素数が10以上のサンプル4〜6ではガスの発生量が激減し、サンプル1の半分程度になった。そして粘度も30%程度減少した。以上よりRの炭素数が10以上の直鎖型POE−AEが添加された負極ゲルを備えたアルカリ電池は、従来のアルカリ電池に対し、同等の放電性能を備えつつガス発生量が劇的に減少している。すなわち耐漏液性能が劇的に向上している。また粘度も低くなり生産性の向上も期待できる。粘度の低下については界面活性剤が亜鉛粒子の表面に吸着したことにより亜鉛粒子間の摩擦を低減させたものと思われる。なおRの炭素数が18よりも大きなPOE−AEは現時点では提供されていない。もちろん炭素数が18よりも大きくても表1に示した結果から従来のアルカリ電池と同等の放電性能を維持しつつ、ガスの発生量が従来の半分(50%)程度で推移するものと予想される。
<添加量>
次に表1におけるサンプル6に相当するRの炭素数が18の直鎖型POE−AEを用いつつ、負極ゲル中の亜鉛に対する添加量(質量比)を変えたサンプルを作製した。そして各サンプルに対して上記のガス発生試験と放電性能試験を行った。またその負極ゲルの粘度を測定した。なおここで用いた直鎖型POE−AEのHLB値も9である。
以下の表2に直鎖型POE−AEの添加量と試験結果および粘度の関係を示した。
Figure 2017069097
表2においてサンプル7が従来のアルカリ電池に対応している。そしてこの表2に示したようにサンプル9〜12の1ppm以上100ppm以下の添加量であれば、確実に放電性能を維持しつつ耐漏液性能を向上させることができ、粘度も低減させることができる。なお200ppmを添加したサンプル13では耐漏液性能が向上し粘度も低減したが、負極ゲル中に放電反応に寄与しない直鎖型POE−AEが相対的に多くなり放電性能が劣化した。またサンプル8では添加量が0.1ppmと極めて少ないためサンプル1の従来のアルカリ電池性能と同等の性能であった。
<HLB値>
直鎖型と側鎖型を問わず、POE−AEは親水性のPOE鎖「(CO)−H」と疎水性のアルキル基Rがエーテル結合「−O−」で結びついており、nの値によって親水性と新油性の程度を示すHLB値が変わる。周知のごとくHLB値は0〜20までの値をとる数値で有り、この数値が高いほど親水性が高い。そして亜鉛の腐食の原因となる電解液はKOHの水溶液である。そこで直鎖型POE−AEにおけるHLB値と亜鉛粒子への吸着能力との関係について検討した。ここでは負極ゲルにRの炭素数が18でHLB値が異なる各種POE−AEを50ppm添加し、その負極ゲルを用いたアルカリ電池をサンプルとして作製した。また従来のアルカリ電池に対応するサンプルも作製した。そして各サンプルに対して上記のガス発生試験と放電性能試験を行い、各サンプルの負極ゲルの粘度を測定した。
以下の表3に直鎖型POE−AEのHLB値と試験結果および粘度の関係を示した。
Figure 2017069097
表3においてサンプル14が従来のアルカリ電池に対応している。サンプル15〜19におけるHLB値はPOE鎖長(nの値)の異なる多数の直鎖型POE−AEの混合物のものである。界面活性剤の材料メーカからは、各種直鎖型POE−AEの炭素数、およびHLB値がカタログ値あるいは資料として提供される。そして表3に示したようにHLB値が6以上13未満であれば確実に放電性能を維持しつつ耐漏液性能を向上させることができ、粘度も低減させることができる。なおHLB値が5のサンプル15では耐漏液性能や粘度については良好であったものの放電性能が劣化した。これは親油性が高いためにPOE−AEが亜鉛粒子に強く吸着し、放電反応に際して亜鉛粒子と電解液との間のイオン移動が阻害されたためと思われる。またHLB値が14のサンプル19では放電性能が維持されたが、耐漏液性能と粘度特性の向上は従来のアルカリ電池であるサンプル14に対して僅かであった。これはHLB値が高いため亜鉛粒子への吸着が弱まり、亜鉛に対する腐食抑制作用が効果的に発現しなかったためと思われる。
<凝固点>
上述したように直鎖型POE−AEは凝固点が高くアルカリ電池に適用されることがなかった。しかし以上の試験結果を見る限り、従来の側鎖型POE−AEよりも耐漏液性能に優れていた。そして放電性能を維持することができた。そこで直鎖型POE−AEによる亜鉛の腐食抑制作用について、Rの炭素数やHLB値ではなく凝固点の観点から検討してみた。すなわちアルカリ電池に界面活性剤として使用する直鎖型POE−AEの選択基準として凝固点を採用できるか否かを調べることとした。そして従来のアルカリ電池、および凝固点が異なる各種直鎖型POE−AE用いたアルカリ電池をサンプルとして、各サンプルについて上記のガス発生試験や放電性能試験を行うとともに、粘度も測定した。
以下の表4に直鎖型POE−AEの凝固点と試験結果および粘度との関係を示した。
Figure 2017069097
表4においてサンプル20は従来のアルカリ電池であり、サンプル21〜23は異なる種類の直鎖型POE−AEを用いたアルカリ電池であり、直鎖型POE−AEを負極ゲル中の亜鉛に対して50ppm添加している。そして表4に示したサンプル21、22のように負極ゲルに添加されている直鎖型POE−AEの凝固点が20℃以下であれば、放電性能を維持しつつ耐漏液性能を向上させることができ、粘度を低くすることもできた。しかし凝固点が30℃の直鎖型POE−AEを用いたサンプル23では耐漏液性能を向上させることができ、粘度も低くすることができた。しかし放電性能が劣化した。これは正極合剤とともに放電反応の主体である負極ゲル中に凝固したPOE−AEが異物として局所的に偏在するようになったためと思われる。
なお直鎖型POE−AEの凝固点は、界面活性剤として単体で保存しているときの特性であり、負極ゲル中には加温するなどして液体の状態で添加しているため十分に均一に分散される。また表4において、サンプル22は凝固点が室温と同等の20℃と高いのにも拘わらず、従来のアルカリ電池と同等の放電性能が維持されている。このことから電池内部では放電反応に伴う熱などによって凝固点が室温程度の直鎖型POE−AEであっても負極ゲル中で凝固せず、亜鉛粒子の表面に確実に吸着して界面活性剤としての機能が十分に発現されているものと思われる。もちろんアルカリ電池が使用される環境が高温多湿地域であれば、凝固点が20℃よりも大きくても実用に供することが可能となる場合もあり得る。いずれにしても負極ゲル中に添加する直鎖型POE−AEの選択基準として凝固点を一つの指標することができる。
<亜鉛の粒度>
上述したように直鎖型POE−AEを従来のアルカリ電池に使用されていた負極ゲルに添加することで従来のアルカリ電池に対して耐漏液性能を劇的に向上させることが可能となった。もちろんアルカリ電池にはさらなる放電性能の向上も要求されていることから、耐漏液性能に加えて放電性能も向上させることができればより好ましい。そして放電性能を向上させるために、負極ゲルを製造する際の粉末状の負極活物質に含まれる粒度の小さな亜鉛粒子の割合を大きくして放電反応に寄与する表面積を増やすことが考えられる。なお上記の各サンプルは粒度が75μm以下の亜鉛粒子の割合が15%であった。そこで粒度が75μm以下の亜鉛粒子の割合(以下、75μm粒度割合)を15%よりも高くして放電性能の向上を試みた。
以下の表5に亜鉛粒子の75μm粒度割合と各試験結果および粘度との関係を示した。
Figure 2017069097
表5においてサンプル24が従来のアルカリ電池であり、サンプル25は表1に示したサンプル6と同じ条件で作製したアルカリ電池である。またサンプル26は従来のアルカリ電池に対して75μm粒度割合を20%にしたアルカリ電池である。そしてサンプル27〜30は負極ゲルに直鎖型POE−AEを添加しつつ75μm粒度割合を15%よりも上げたアルカリ電池である。そして表5に示した結果より、直鎖型POE−AEの有無に限らず、75μm粒度割合を上げることで放電性能が向上していることが分かる。ガス発生量については負極ゲルに直鎖型POE−AEなどの界面活性剤を添加していないサンプル26ではサンプル24に対して75μm粒度割合を15%から20に上げただけで36%も増加し、粘度も80%増加した。粘度の増加については、75μm以下の粒径が小さな亜鉛粒子の粒度が大きくなったことから、亜鉛粒子同士の接触面積とそれに伴う摩擦が増えて流動性が悪化したものと思われる。
直鎖型POE−AEを添加したサンプル27〜サンプル30のうち粒度が70%と高いサンプル30ではガスの発生量がサンプル24に対して18%増え、粘度も28%増加した。それでも粒度が20%のサンプル26と比較すると負極ゲルに直鎖型POE−AEを添加することで粒度が70%と極めて高いのにも拘わらず、この程度の劣化で済んでいる。そして粒度が20%〜60%のサンプル27〜サンプル29ではガスの発生量を抑制することができた。すなわち放電性能と耐漏液性能をともに向上させることに成功している。粘度については従来例と同等かそれ以下であり従来の製造方法でも生産性が確保できることが確認できた。なお本発明の実施例としては上述したインサイドアウト型のアルカリ電池の他に、ボタン型や角筒状の電池缶を有する6LF22型アルカリ電池を構成する平型電池(LF22型)など、種々のアルカリ電池が考えられる。いずれにして金属亜鉛あるいは亜鉛合金を負極活物質とした負極ゲルを備えたアルカリ電池であればよい。
1 アルカリ電池、2 電池缶(正極缶)、3 正極合剤、4 セパレーター、
5 負極ゲル、6 負極集電子、7 負極端子板、8 ガスケット、9 正極端子

Claims (6)

  1. 亜鉛または亜鉛合金を負極活物質として含む負極ゲルを備えたアルカリ電池であって、 前記負極ゲル中に界面活性剤として直鎖型のポリオキシエチレン−アルキルエーテルが添加されていることを特徴とするアルカリ電池。
  2. 請求項1において前記界面活性剤は、アルキル基の炭素数が10以上であることを特徴とするアルカリ電池。
  3. 請求項2において、前記界面活性剤は前記負極活物質を構成する亜鉛に対して1ppm以上100ppm以下の割合で添加されていることを特徴とするアルカリ電池。
  4. 請求項2または3において、前記界面活性剤はHLB値が6以上13以下であることを特徴とするアルカリ電池。
  5. 請求項2〜4のいずれかにおいて、前記界面活性剤は凝固点が20℃以下であることを特徴とするアルカリ電池。
  6. 請求項2〜5のいずれかにおいて、前記負極ゲルには粉末状態での粒度が75μm以下の亜鉛粒子あるいは亜鉛合金粒子が20%以上60%以下の割合で含まれていることを特徴とするアルカリ電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110729482A (zh) * 2018-07-17 2020-01-24 横店集团东磁股份有限公司 一种碱性锌锰干电池的负极添加剂及包含其的负极锌膏和碱性锌锰干电池

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