以下、図面を用いて本実施形態のセルスタック装置、モジュールおよびモジュール収容装置について説明する。なお、異なる図中の共通の構成要素については、同一の符号を付与するものとする。
図1は、本実施形態のセルスタック装置の一例を示す外観斜視図であり、図2は導電部8の斜視図である。図3は、図1に示すセルスタック装置を示し、図3(a)はセルスタック装置の側面図、図3(b)は図3(a)の点線枠で囲った部分Aの一部を拡大して示す断面図である。また、以降の図において、セルとして主に固体酸化物形の燃料電池セルを用いて説明し、セルとして水素を生成することが可能な電解セルを用いる場合において、燃料電池セルと異なる構成についてのみ、別途説明するものとする。
図1〜図3に示すセルスタック装置1においては、内部を燃料ガスが一端から他端に流通するガス流路15を有する燃料電池セル3を立設させた状態で一列に配列(図1で示すX方向)し、隣接する燃料電池セル3間が導電部材6を介して電気的に直列に接続されているとともに、燃料電池セル3の下端を絶縁性接着材9でマニホールド4に固定してなるセルスタック2を2つ備えている。
なお、セルとして電解セルを用いる場合には、ガス流路15に水蒸気を流し、また電解反応により生じた水素を回収すべく、セルの上端もガラスシール材等の絶縁性接着材にてマニホールドに固定されている。
なお、図1〜図3においては、燃料電池セル3として、内部を燃料ガスが長手方向に流通するガス流路を複数有する中空平板型で、ガス流路を有する支持体の表面に、燃料極層、固体電解質層および酸素極層を順に積層してなる固体酸化物形の燃料電池セル3を例示している。なお、燃料電池セル3の間に酸素含有ガスが流通する。燃料電池セル3の構成については後述する。なお、本実施形態の燃料電池装置においては、燃料電池セル3は、例えば平板型や円筒型とすることもでき、あわせてセルスタック装置1の形状も適宜変更することができる。
また、セルスタック2の最も外側に位置する燃料電池セル3に導電部材6を介して電気的に接続されたセルスタック支持体(以下、「スタック支持体」と略することがある。)7が配置されている。スタック支持体7の外側には保護カバーを設けることもできる。保護カバーは、セルスタック2の周囲に配置された断熱材との接触や外部からの衝撃に対して、スタック支持体7およびセルスタック2を保護する。また、スタック支持体7にはセルスタック2の外側に突出する導電部8が接続されている。
導電部8は、スタック支持体7から突出し、スタック支持体7からX方向に離反する方向に一直線状に延びる第1直線部81と、第1直線部81に連なり、下方に開放する凹状、すなわち逆凹状に曲折した折曲げ部82と、折曲げ部82に連なり、一直線状に延びる第2直線部83とを有する。
折曲げ部82は、第1直線部81にほぼ直角に屈曲して連なる第1折曲げ部分82aと、第2直線部83にほぼ直角に屈曲して連なる第2折曲げ部分82bと、第1および第2折曲げ部分82a,82bと平行に延び、第1折曲げ部分82aと第2折曲げ部分82bとを接続する第3折曲げ部分82cとを有する。
本実施形態では、第3折曲げ部分82cの厚みは、第1および第2折曲げ部分82a,82bの厚みと同一の厚みに選ばれ、第3折曲げ部分82cの長さは、第1および第2折曲げ部分82a,82bの長さの10%〜30%に選ばれる。これによって第1〜第3折曲げ部分82a〜82cの厚みを同一としても、第1および第2折曲げ部分82a,82bの第1折曲げ部分82a寄りの基端部に対して、各遊端部が近接し、または離反する方向に容易に曲げ変形させることができるので、熱変形を吸収して、導電部8の熱膨張による曲げ変形および捩り変形などの変形を許容し、熱変形に対する耐性の高いセルスタック装置1を実現することができる。
なお、図1〜図3においては、セルスタック装置1が2つのセルスタック2を備えている場合を示しているが、適宜その個数は変更することができ、例えばセルスタック2を1つだけ備えていてもよい。また、セルスタック装置1を、後述する改質器を含むものとすることもできる。
また、マニホールド4は燃料電池セル3に供給する燃料ガスを貯留し、開口部を上面に有するガスケースと、内側に燃料電池セル3を固定するとともに、ガスケースに固定される枠体とを備えている。
燃料電池セル3の一端部(図3の下端部)は枠体で囲まれており、枠体の内側に充填された絶縁性接着材9で燃料電池セル3の下端部の外周が固定されている。つまり、セルスタック2は、枠体の内側に複数の燃料電池セル3を並べて収容し、絶縁性接着材9で枠体に接着されている。なお、絶縁性接着材9は、ガラス等の材料からなり、熱膨張係数を加味して所定のフィラーを添加したものを用いることができる。
また、マニホールド4の上面には、後述する改質器にて生成された燃料ガスが流通するガス流通管5が接続されている。なお、セルを電解セルとして用いる場合には、このガス流通管5内に水蒸気を流すことができる。これら燃料ガスや水蒸気は、ガス流通管5を介してマニホールド4に供給され、マニホールド4より燃料電池セル3の内部に設けられたガス流路15に供給される。
ここで、燃料電池セル3は、図3(b)に示すように、一対の対向する平坦面をもつ柱状の導電性支持体(以下、「支持体」と略す場合がある)14の一方の平坦面上に燃料側電極層10、固体電解質層11及び空気側電極層12を順次積層してなる柱状(中空平板状等)からなる。また、燃料電池セル3の他方の平坦面上にはインターコネクタ13が設けられており、インターコネクタ13の外面(上面)にはP型半導体層16が設けられている。P型半導体層16を介して、導電部材6aをインターコネクタ13に接続させることにより、両者の接触がオーム接触となり、電位降下を少なくし集電性能の低下を有効に回避することが可能となる。なお、図1では導電部材6、スタック支持体7の記載を省略している。また、支持体は燃料側電極層を兼ねるものとし、その表面に固体電解質層および空気側電極層を順次積層してセルを構成することもできる。
燃料側電極層10は、一般的に公知のものを使用することができ、多孔質の導電性セラミックス、例えば希土類元素酸化物が固溶しているZrO2(安定化ジルコニアと称し、部分安定化も含むものとする)とNiおよび/またはNiOとから形成することができる。
固体電解質層11は、燃料側電極層10、空気側電極層12間の電子の橋渡しをする電解質としての機能を有していると同時に、燃料ガスと酸素含有ガスとのリークを防止するためにガス遮断性を有することが必要とされ、3〜15モル%の希土類元素酸化物が固溶したZrO2から形成される。なお、上記特性を有する限りにおいては、他の材料等を用いて形成してもよい。
空気側電極層12は、一般的に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、いわゆるABO3型のペロブスカイト型酸化物からなる導電性セラミックスから形成することができる。空気側電極層12はガス透過性を有していることが必要であり、開気孔率が20%以上、特に30〜50%の範囲にあることが好ましい。
支持体14としては、燃料ガスを燃料側電極層10まで透過するためにガス透過性であること、さらには、インターコネクタ13を介して導電するために導電性であることが要求される。したがって、支持体14としては、導電性セラミックスやサーメット等を用いることができる。燃料電池セル3を作製するにあたり、燃料側電極層10または固体電解質層11との同時焼成により支持体14を作製する場合においては、鉄族金属成分と特定希土類酸化物とから支持体14を形成することが好ましい。また、図3に示した燃料電池セル3において、柱状(中空平板状)の支持体14は、立設方向(図1に示すY方向)に細長く延びる板状片であり、平坦な両面と半円形状の両側面を有する。また、支持体14は、ガス透過性を備えるために開気孔率が30%以上、特に35〜50%の範囲にあるのが好適であり、そしてまたその導電率は300S/cm以上、特に440S/cm以上であるのが好ましい。また、支持体14の形状は柱状であれば良く、円筒状であってもよい。
P型半導体層16としては、遷移金属ペロブスカイト型酸化物からなる層を例示することができる。具体的には、インターコネクタ13を構成する材料よりも電子伝導性が大きいもの、例えば、BサイトにMn、Fe、Coなどが存在するLaMnO3系酸化物、LaFeO3系酸化物、LaCoO3系酸化物などの少なくとも一種からなるP型半導体セラミックスを使用することができる。このようなP型半導体層16の厚みは、一般に、30〜100μmの範囲にあることが好ましい。
インターコネクタ13は、上述したとおり、ランタンクロマイト系のペロブスカイト型酸化物(LaCrO3系酸化物)、もしくは、ランタンストロンチウムチタン系のペロブスカイト型酸化物(LaSrTiO3系酸化物)が好適に使用される。これらの材料は、導電性を有し、かつ燃料ガス(水素含有ガス)および酸素含有ガス(空気等)と接触しても還元も酸化に対する耐性を有している。また、インターコネクタ13は支持体14に形成されたガス流路15を流通する燃料ガス、および支持体14の外側を流通する酸素含有ガスのリークを防止するために緻密質でなければならず、93%以上、特に95%以上の相対密度を有していることが好ましい。
そして、燃料電池セル3を電気的に接続するために介装される導電部材およびセルスタック支持体7は、弾性を有する金属または合金からなる部材あるいは金属繊維または合金繊維から成るフェルトに所要の表面処理を加えた部材から構成することができる。
図4は、本実施形態のセルスタック装置18を備えてなるモジュール(燃料電池モジュール)の一例を示す外観斜視図であり、図5は図4に示すモジュールの断面図である。
図4に示すモジュール17においては、収納容器19の内部に、本実施形態のセルスタック装置18が収納されている。なお、セルスタック装置18の上方には、燃料電池セル3に供給する燃料ガスを生成するための改質器20が配置されている。
また、図4に示す改質器20においては、原燃料供給管23を介して供給される天然ガスや灯油等の原燃料を改質して燃料ガスを生成する。なお、改質器20は、改質効率のよい改質反応である水蒸気改質を行うことができる構造とすることが好ましく、水を気化させるための気化部21と、原燃料を燃料ガスに改質するための改質触媒(図示せず)が配置された改質部22とを備えている。
また図4においては、収納容器19の一部(前後面)を取り外し、内部に収納されるセルスタック装置18を後方に取り出した状態を示している。ここで、図4に示したモジュール17においては、セルスタック装置18を、収納容器19内にスライドして収納することが可能である。
なお、収納容器19の内部には、マニホールド4に並置されたセルスタック2の間に配置され、第1ガスである酸素含有ガスが燃料電池セル3間を下端部から上端部に向けて流れるように、第1ガス供給部である酸素含有ガス供給部材24が配置されている。
図5に示すように、モジュール17を構成する収納容器19は、内壁25と外壁26とを有する二重構造で、外壁26により収納容器19の外枠が形成されるとともに、内壁25によりセルスタック装置18を収納する収納室27が形成されている。
ここで、収納容器19は、外部より導入される酸素含有ガスを収納室27に導入するための第1ガス導入部である酸素含有ガス導入部28を備えている。酸素含有ガス導入部28に導入された酸素含有ガスは、収納室27の側方における内壁25と外壁26とにより設けられ、酸素含有ガス導入部28とつながる第1ガス流通部である酸素含有ガス流通部29を上方に向けて流れる。続いて収納室27の上方における内壁25と外壁26とにより設けられ、酸素含有ガス流通部29とつながる第1ガス分配部である酸素含有ガス分配部30を流れる。そして、酸素含有ガス分配部30には、上端側に酸素含有ガスが流入するための酸素含有ガス流入口(図示せず)とフランジ部31とを備え、下端部に燃料電池セル3の下端部に酸素含有ガスを導入するための酸素含有ガス流出口32が設けられてなる酸素含有ガス供給部である酸素含有ガス供給部材24が、内壁25を貫通して挿入されて固定されている。それにより、酸素含有ガス分配部30と酸素含有ガス供給部材24とがつながっている。なお、フランジ部31と内壁25との間には断熱部材33が配置されている。
なお、図5においては、酸素含有ガス供給部材24が、収納容器19の内部に並置された2つのセルスタック2間に位置するように配置されているが、セルスタック2の数により、適宜配置することができる。例えば、収納容器19内にセルスタック2を1つだけ収納する場合には、酸素含有ガス供給部材24を2つ設け、セルスタック2を両側面側から挟み込むように配置することができる。
また収納室27内には、モジュール17内の熱が極端に放散され、燃料電池セル3(セルスタック2)の温度が低下して発電量が低減しないよう、モジュール17内の温度を高温に維持するための断熱部材33が適宜設けられている。
断熱部材33は、セルスタック2の近傍に配置することが好ましく、特には、燃料電池セル3の配列方向に沿ってセルスタック2の側面側に配置するとともに、セルスタック2の側面における燃料電池セル3の配列方向に沿った幅と同等またはそれ以上の幅を有する断熱部材33を配置することが好ましい。なお、セルスタック2の両側面側に断熱部材33を配置することが好ましい。それにより、セルスタック2の温度が低下することを効果的に抑制できる。さらには、酸素含有ガス供給部材24より導入される酸素含有ガスが、セルスタック2の側面側より排出されることを抑制でき、セルスタック2を構成する燃料電池セル3間の酸素含有ガスの流れを促進することができる。なお、セルスタック2の両側面側に配置された断熱部材33においては、燃料電池セル3に供給される酸素含有ガスの流れを調整し、セルスタック2の長手方向および燃料電池セル3の積層方向における温度分布を低減するための開口部34が設けられている。
また、燃料電池セル3の配列方向に沿った内壁25の内側には、排ガス用内壁35が設けられており、収納室27の側方における内壁25と排ガス用内壁35との間が、収納室27内の排ガスが上方から下方に向けて流れる排ガス流通部36とされている。
また、収納室27の下方であって、酸素含有ガス導入部28の上方には、排ガス流通部36とつながる排ガス収集部37が設けられている。排ガス収集部37は、収納容器19の底部に設けられた排気孔38と通じている。また、排ガス用内壁35のセルスタック2側にも断熱部材33が設けられている。
それにより、モジュール17の稼動(起動処理時、発電時、停止処理時)に伴って生じる排ガスは、排ガス流通部36、排ガス収集部37を流れた後、排気孔38より排気される構成となっている。なお、排気孔38は収納容器19の底部の一部を切り欠くようにして形成してもよく、また管状の部材を設けることにより形成してもよい。
また、酸素含有ガス供給部材24の内部には、セルスタック2近傍の温度を測定するための熱電対39が、その測温部40が燃料電池セル3の長手方向の中央部でかつ燃料電池セル3の配列方向における中央部に位置するように配置されている。
また、上述の構成のモジュール17においては、燃料電池セル3におけるガス流路15より排出される発電に使用されなかった燃料ガスと酸素含有ガスとを燃料電池セル3の上端と改質器20との間で燃焼させることにより、燃料電池セル3の温度を上昇・維持させることができる。あわせて、燃料電池セル3(セルスタック2)の上方に配置された改質器20を温めることができ、改質器20で効率よく改質反応を行なうことができる。なお、通常発電時においては、上記燃焼や燃料電池セル3の発電に伴い、モジュール17内の温度は500〜800℃程度となる。
ここで、燃料電池セル3の発電効率を向上するにあたり、酸素含有ガスが流れる各流路は、酸素含有ガスが効率よく流れる構造とすることが好ましい。すなわち、図5に示すモジュール17においては、酸素含有ガス導入部28に導入され、収納室27の両側方を流れて、酸素含有ガス分配部30を介して酸素含有ガス供給部材24に導入される酸素含有ガスが効率よく流れ、かつ均等に分配されるような構造とすることが好ましい。
従って、本実施形態のモジュール17においては、まず酸素含有ガス導入部28の幅W1と、酸素含有ガス流通部29の幅W2とを比較した場合に、酸素含有ガス流通部29の幅W2が、酸素含有ガス導入部28の幅W1よりも狭くなっている。それにより、酸素含有ガス導入部28に導入された酸素含有ガスを、効率よく酸素含有ガス流通部29に流すことができる。
ここで、酸素含有ガス流通部29の幅W2は、収納容器19の経時劣化により内壁25や外壁26が変形しても閉塞されない幅とすることが好ましく、酸素含有ガス導入部28の幅W1と比較して、1/3〜1/30の範囲とすることができる。なお、酸素含有ガス導入部28の幅W1については特に制限はないが、大きすぎるとモジュールが大型化する問題がある。
なお、収納室27のそれぞれの側方に位置する酸素含有ガス流通部29の幅W2は、それぞれを比較した場合に±10%の範囲内とすることが好ましい。それにより、酸素含有ガス導入部28に導入された酸素含有ガスは、収納室27のそれぞれの側方にほぼ同じ量が流れることとなる。
次に、酸素含有ガス分配部30の幅W3と酸素含有ガス供給部材24の幅(内幅)W4とを比較した場合に、酸素含有ガス供給部材24の幅W4が、酸素含有ガス分配部30の幅W3よりも狭くなっている。それにより、酸素含有ガス分配部30に導入された酸素含有ガスを、効率よく酸素含有ガス供給部材24に流すことができる。
ここで、酸素含有ガス供給部材24の幅W4は、経時劣化により酸素含有ガス供給部材24が変形しても閉塞されない幅とすることが好ましく、酸素含有ガス分配部30の幅W3と比較して、1/2〜1/30の範囲とすることができる。なお、酸素含有ガス分配部30の幅W3については特に制限はないが、大きすぎるとモジュールが大型化する問題がある。なお上記幅を決定するにあたっては、酸素含有ガス流出口32の圧損も考慮することが好ましい。
一方、収納室27においては、発電に利用されなかった燃料ガスや酸素含有ガス、その燃料ガスを燃焼して生じる燃焼ガス等の排ガス等が生じる。この排ガスについても、効率よく収納容器19の外部に排出することで、結果的に燃料電池セル3に効率よく酸素含有ガスが供給されることとなる。
それゆえ、本実施形態のモジュール17においては、収納室27の側方に設けられた排ガス流通部36の幅W5と、収納室27の下方に設けられた排ガス収集部37の幅W6とを比較した場合に、排ガス流通部36の幅W5が、排ガス収集部37の幅W6よりも狭くなっている。それにより、収納室27のそれぞれの側方における排ガス流通部36を流れた排ガスが、排ガス収集部37にて効率よく混合され、排気孔38を介して外部に効率よく廃棄されることとなる。
ここで、排ガス流通部36の幅W5は、経時劣化により排ガス流通部36が変形しても閉塞されない幅とすることが好ましく、排ガス収集部37の幅W6と比較して、1/3〜1/30の範囲とすることができる。なお、排ガス収集部37の幅W6については特に制限はないが、大きすぎるとモジュールが大型化する問題がある。
なお、収納室27のそれぞれの側方に位置する排ガス流通部36の幅W5は、それぞれを比較した場合に±10%の範囲内とすることが好ましい。それにより、収納室27における排ガスが、収納室27のそれぞれの側方にほぼ同じ量が流れることとなる。
また、上記モジュール17の収納室27にセルとして水蒸気と電圧を加えることにより水素を生成することができる電解セルを配列してなる電解セルスタック装置を収納してなる電解モジュールとすることもできる。この場合、水蒸気より水素が生成される際の副産物として酸素が電解セルより排出される。しかしながら、収納室27に高濃度の酸素が存在すると、何らかの衝撃等により発火するおそれや、また電解セル自身が酸化により劣化するおそれがある。
それゆえ、この場合において、第1ガスとして空気を用い、収納室27内を空気でパージする(言い換えれば、高濃度の酸素と入れ替える)ことで、発火のおそれや、電解セルの劣化を抑制することができる。すなわち、この場合においては、高濃度の酸素を含むガスが排ガスとなる。このように、電解セルスタック装置を備える電解モジュールにおいても、効率(電解効率)のよいモジュールとすることができる。
図6は、本実施形態のモジュールの他の一例を示す断面図である。図6に示すモジュール41は、図5に示すモジュール17と比較して、収納室42内に4つのセルスタック装置43を備える点、各セルスタック装置43の間に排ガス流通部材44が設けられている点、図7に示すように4つのセルスタックの上方に1つの改質器45が設けられている点で異なっている。なお、図5に示すモジュール17と同じ構成については同じ符号を用い、説明は省略する。
収納室42内に複数のセルスタック装置43を収納してなる場合には、特に中央部側に位置するセルスタック装置43における燃料電池セル3から、収納室42の側方に位置する排ガス流通部36までの距離が長くなってしまい、中央部側に位置するセルスタック装置43における燃料電池セル3から排出される排ガスを、効率よく外部に排出することが難しい場合がある。
特に燃料電池セル3の上端側で、発電に使用されなかった燃料ガスを燃焼させて、その燃焼熱によって燃料電池セル3の温度を高温に維持する構成の燃料電池装置では、燃料電池セル3の上端側に排ガスが滞留することで、発電に使用されなかった燃料ガスをうまく燃焼させることができず、失火するおそれがある。特に失火を生じた場合には、燃料電池セルの温度が上昇せず、もしくは高温に維持することができず、結果として燃料電池セル3(セルスタック装置43)の発電量が低下してしまうおそれがある。
それゆえ、図6に示すモジュール41においては、上記の排ガス流通部36に加えて、隣接するセルスタック装置43の間に、発電に使用されなかった排ガスを排出するための排ガス流通部材44が設けられている。
この排ガス流通部材44は、筒状の容器からなり、上端部に収納室42と連通する排ガス流入口46を両側方に備えるとともに、下端である排出口47が収納室42の下方に設けられた排ガス収集部37と連通している。なお、図6においては、直方体状でかつ筒状の容器にて排ガス流通部材44を形成した例を示しているが、円筒状の容器を複数配列した構成としてもよい。
すなわち、それぞれのセルスタック装置43の側方には、排ガス流通部36もしくは排ガス流通部材44のいずれかが配置されており、発電で使用されなかった排ガスは、それぞれのセルスタック装置43を構成するセルスタック2にとって近い側の排ガス流通部36、または排ガス流通部材44に効率よく流れることとなる。
それにより、燃料電池セル3の上端側に排ガスが滞留することを抑制でき、排ガスを効率よく排気することができるとともに、燃料電池セル3の上方で燃焼させる構成のセルスタック装置43においては、失火を抑制することができることから、発電量が向上したモジュール41とすることができる。
なお、排ガス流通部材44の幅W7と、収納室42の下方に設けられた排ガス収集部37の幅W6とを比較した場合に、排ガス流通部材44の幅W7が、排ガス収集部37の幅W6よりも狭くなっている。それにより、排ガス流通部材44を流れた排ガスが、排ガス収集部37にて効率よく混合され、排気孔38を介して外部に排気されることとなる。
具体的には、排ガス流通部材44の幅W7は、排ガス収集部37の幅W6と比較して1/3〜1/30の範囲とすることができる。なお、排ガス収集部37の幅W6については特に制限はないが、大きすぎるとモジュールが大型化する問題がある。
なお、それぞれの排ガス流通部材44の幅W7は、それぞれを比較した場合に±10%の範囲内とすることが好ましい。それにより、それぞれの排ガス流通部材44にほぼ同じ量の排ガスが流れることとなる。
図7は、図6に示すモジュールに収納された改質器を抜粋して示す斜視図であり、図8は、本実施形態のセルスタック装置の上方に図7に示す改質器を備える構成の一例を示す側面図である。
図6に示すモジュール41においては、4つのセルスタック2の上方に、図7に示すW字状(ミアンダ形状)の改質器45を備えている。
改質器45は、図7(a)、(b)に示したように、水を気化して水蒸気を生成する気化部45aと該気化部45aで発生した水蒸気を用いて原燃料を水蒸気改質する改質部45bとを具備している。
気化部45aは、水蒸気が一端側より他端側に流れる気化部往路45a1と、水蒸気が他端側より一端側に流れる気化部復路45a2とを備えている。また、気化部往路45a1には、内部に一端部から気化部往路45a1に沿って突出する筒状部48aと、一端部に接続され、筒状部48aに水を供給する水供給部48bとを備えている。なお、筒状部48aは、気化部を構成する管体より内側に突出するように設けて、この筒状部48aに水供給部48bである水供給管を接続するほか、水供給部48bである水供給管を外部より内部に挿入して、水供給管の一部が筒状部48aとなる構成であってもよい。以下の説明においては、水供給管48が外部より内部に挿入した構成を用いて説明する。
また、改質部45bは、原燃料供給部である原燃料供給管23より供給された原燃料を改質して生成された改質ガスが一端側より他端側に流れる改質部往路45b1と、改質ガスが他端側より一端側に流れる改質部復路45b2とを備えており、改質部復路45b2には、改質ガスを導出するための改質ガス導出管49が接続されている。図8に示す改質器45において、水供給管48、原燃料供給管23および改質ガス導出管49は、改質器45の一方側に接続されている。
さらに改質器45においては、気化部往路45a1の他端側と気化部復路45a2の他端側とが連結路(以下、「気化部連結路」という。)45c1で連結され、気化部復路45a2の一端側と改質部往路45b1の一端側とが連結路(以下、「気化改質部連結路」という。)45c2で連結され、改質部往路45b1の他端側と改質部復路45b2の他端側とが連結路(以下、「改質部連結路」という。)45c3で連結されており、気化部往路45a1と、気化部復路45a2と、改質部往路45b1と、改質部復路45b2とが、側方が対向するように並置されている。
改質器45では、気化部往路45a1に供給された水が水蒸気となり、気化部連結路45c1、気化部復路45a2、気化改質部連結路45c2、改質部往路45b1を順に流れ、また、気化改質部連結路45c2では、原燃料供給部23bである原燃料供給管23から原燃料が供給され、気化改質部連結路45c2で水蒸気と混合され、改質部往路45b1、改質部連結路45c3、改質部復路45b2を流れる間に改質され、水素を含む改質ガス(燃料ガス)が生成され、改質ガス導出管49から導出される。
気化部往路45a1、気化部復路45a2、改質部往路45b1、改質部復路45b2、気化部連結路45c1、気化改質部連結路45c2、改質部連結路45c3は、例えば、横断面が矩形状の管体から構成されている。
また、気化部往路45a1および気化部復路45a2内に、仕切板45a11、45a21がそれぞれ設けられ、これらの仕切板45a11、45a21間が気化室とされており、水供給管48の先端部(筒状部)は仕切板45a11の上流側に位置し、気化室手前の位置に水を供給している。気化室内には、気化を促進するためセラミックボールが収納されており、仕切板45a11、45a21は、水蒸気は通過するが、セラミックボールは通過しないように形成されている。なお、これら仕切板45a11、45a21は、改質器の構造や、後述するセルスタックの構造等に応じて適宜配置を変更することができる。
さらに、改質部往路45b1および改質部復路45b2内にも、それぞれ仕切板45b11、45b21が配置され、仕切板45b11、45b21間に位置する改質部往路45b1、改質部連結路1c3、改質部復路45b2が改質室とされ、この改質室には改質触媒が収納されている。仕切板45b11、45b21は、水蒸気、原燃料、改質ガス等のガスは通過できるが、改質触媒は通過できないように構成されている。なお、これら仕切板45b11、45b21は、改質器の構造や、後述するセルスタックの構造等に応じて適宜配置を変更することができる。
このような改質器45においては、気化部45aと改質部45bとの間である気化改質部連結路45c2に、原燃料を供給する原燃料供給部23bである原燃料供給管23が接続されている。このような改質器45においては、原燃料供給管23が、水供給管48が接続された気化部往路45a1よりも下流側の気化改質部連結路45c2に接続されているため、水が供給される地点と原燃料が供給される地点とが、気化部往路45a1を構成する管体と気化部復路45a2を構成する管体との間の空間を介しており、また、水蒸気の流れ方向で見れば、流れ方向の長さが長い。従って、原燃料が低温であったとしても、原燃料が追加混合される時には、供給された水は殆ど気化しており、改質器45の一部(気化部往路45a1)における低温化を抑制できる。それにより、改質効率を向上することができる。
そして、図8に示すように、改質器45で生成された改質ガス(燃料ガス)は、改質ガス導出管49により2つのマニホールド4に供給され、マニホールド4を介して燃料電池セル3の内部に設けられたガス流路に供給される。
なお、改質器45で生成された改質ガスは、図8に示すように、改質ガス導出管49により、分配器70を介して2つのマニホールド4に供給される。すなわち、改質ガス導出管49は、改質器45から分配器70までのU字状の第1改質ガス導出管49aと、分配器70から下方の2つのマニホールド4にそれぞれ延びる第2改質ガス導出管49bとを具備している。第1改質ガス導出管49a、第2改質ガス導出管49bの長さは、改質ガスをマニホールド4に均等に供給すべく、同じ長さ(圧力損失)とされている。
なお、改質器45において、気化部往路45a1、気化部復路45a2、改質部往路45b1、改質部復路45b2のそれぞれは、1つのセルスタックと対応して、セルスタックの上方に配置されている。それにより、気化部往路45a1、気化部復路45a2、改質部往路45b1、改質部復路45b2のそれぞれを効率よく加熱することができる。
また、他の構成(例えば水供給管48、仕切板の場所等)は適宜変更可能であり、これらの例に限られるものではない。
図9は、本実施形態の燃料電池モジュールのさらに他の一例を示す断面図である。
図9に示すモジュール50は、図6に示すモジュール41と比較して、各セルスタック装置の間に配置された排ガス流通部材44を設けておらず、収納室42の上方に、燃料電池セル3より排出される排ガスを回収する排ガス回収部51を備えており、排ガス回収部51と排ガス流通部36とがつながっている点で異なっている。
図6に示すモジュール41においては、燃料電池セル3より排出される排ガスを効率よく外部に排出することができるメリットはあるものの、排ガス流通部材44を流れる排ガスは、外部より供給される酸素含有ガスと熱交換されないことから、外部より供給される酸素含有ガスと、燃料電池セル3より排出される排ガスとの熱交換の点で改善の余地がある。
そこで、図9に示すモジュール50においては、収納室42の上方に、燃料電池セル3より排出される排ガスを回収する排ガス回収部51を設け、該排ガス回収部51と排ガス流通部36とがつながっていることで、燃料電池セル3より排出される排ガスの全量が、外部より供給される酸素含有ガスと熱交換することができる。それにより、温度の上昇した酸素含有ガスを燃料電池セル3に供給できることとなり、発電効率を向上させることができる。
ここで、排ガス回収部51に回収された排ガスは、効率よく排ガス流通部36に流れる構成とすることが好ましい。それゆえ、本実施形態のモジュール50においては、収納室42の側方に設けられた排ガス流通部36の幅W5と、排ガス回収部51の幅W8とを比較した場合に、排ガス流通部36の幅W5が、排ガス回収部51の幅W8よりも狭くなっている。それにより、排ガス回収部51に回収された排ガスが、収納室42のそれぞれの側方における排ガス流通部36に効率よく流れることとなる。それにより、酸素含有ガスとの熱交換が向上し、発電効率を向上することができる。
ここで、排ガス流通部36の幅W5は、排ガス回収部51の幅W8と比較して、1/3〜1/30の範囲とすることができる。なお、排ガス回収部51の幅W8については特に制限はないが、大きすぎるとモジュールが大型化する問題がある。
また、この排ガス回収部51の底面には、収納室42とつながる回収孔52が設けられている。それにより、収納室42に排出された排ガスは、回収孔52を介して排ガス回収部51に流れることとなる。
図10は、排ガス回収部51の底面を一部抜粋して示す平面図を示しており、改質器45との位置関係が分かるように、改質器45を破線で示している。
図10に示すように、排ガス回収部51の底面に設けられた回収孔52は、改質器45と対向して設けられていることが好ましい。上述したように燃料電池セル3より排出される排ガスを燃焼させて生じる燃焼熱で改質器45を加熱することで、改質効率を向上することができる。従って、燃料電池セル3より排出される排ガス(燃焼排ガス)は、改質器45の周囲を流れた後に、排ガス回収部51に流れることが好ましい。
そこで、本実施形態のモジュール50においては、回収孔52を、改質器45と対向して設けている。それにより、燃料電池セル3より排出される排ガス(燃焼排ガス)が効率よく改質器45の周囲を流れた後に、排ガス回収部51に流れることとなる。それにより、改質器45の温度を効率よく向上することができ、改質効率を向上することができる。
なお、図10においては、改質器45における気化部往路45a1、気化部復路45a2、改質部往路45b1、改質部復路45b2のそれぞれに対向して同じ数の回収孔52を設けた例を示しているが、回収孔52の数はこれに限られるものではない。
例えば、改質器45において、気化部往路45a1は水の気化に伴う吸熱反応により温度が低下し、ひいてはその下方に位置するセルスタック2の温度も低下するおそれがあることから、気化部往路45a1の温度を上昇させるべく、気化部往路45a1に対向する回収孔52の数を多くしてもよい。なお、回収孔52の数や配置は適宜設定することができる。
図11は、外装ケース内にモジュール17、41、50のいずれかと、各モジュールを動作させるための補機とを収納してなるモジュール収容装置としての燃料電池装置の一例を示す分解斜視図である。なお、図11においては一部構成を省略して示している。
図11に示す燃料電池装置53は、支柱54と外装板55とから構成される外装ケース内を仕切板56により上下に区画し、その上方側を上述した各モジュールを収納するモジュール収納室57とし、下方側を各モジュールを動作させるための補機類を収納する補機収納室58として構成されている。なお、補機収納室58に収納する補機類は省略して示している。
また、仕切板56には、補機収納室58の空気をモジュール収納室57側に流すための空気流通口59が設けられており、モジュール収納室57を構成する外装板55の一部に、モジュール収納室57内の空気を排気するための排気口60が設けられている。
このような燃料電池装置では、上述したような各モジュールを外装ケース内に収納することにより、発電効率を向上した燃料電池装置53とすることができる。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。
例えば、上記形態のモジュール41、50では、4個のセルスタック2の上方に1個の改質器45を配置したセルスタック装置を具備する形態について説明したが、例えば、2個または3個のセルスタック2の上方に1個の改質器を配置したセルスタック装置でも良く、さらに、5個以上のセルスタックの上方に1個の改質器を配置したセルスタック装置でも良い。この場合、改質器の形状は適宜変更すればよい。
さらに、1個のマニホールド4に2個のセルスタック2を配置した形態について説明したが、1個のマニホールドに1個のセルスタックを配置しても良く、また、1個のマニホールドに3個以上のセルスタックを配置しても良い。
さらに、上述の例ではいわゆる縦縞型と呼ばれる燃料電池セル3を用いて説明したが、一般に横縞型と呼ばれる複数の発電素子部を支持体上に設けてなる横縞型の燃料電池セルを用いることもできる。
例えば、上記形態では燃料電池セル3、燃料電池セルスタック装置1、モジュール17、41、50ならびに燃料電池装置53について説明したが、セルに水蒸気と電圧とを付与して水蒸気(水)を電気分解することにより、水素と酸素(O2)を生成する電解セル(SOEC)およびこの電解セルを備える電解セルスタック装置および電解モジュールならびに電解装置にも適用することができる。
導電部の他の例として、図12および図13に示されるように、第3折曲げ部分82cの厚みを第1および第2折曲げ部分82a,82bの厚みよりも小さい、局部的に厚みの小さい部分を有する構成としてもよい。この場合、第3折曲げ部分82cの厚みは、第1および第2折曲げ部分82a,82cの厚みに対して、たとえば50〜80%に選ばれる。これによって、第3折曲げ部分82cは、第1および第2折曲げ部分82a,82bに比べて曲げ剛性が小さくなるので、導電部8に発生した応力に対して曲がりやすくなり、熱変形に対する応答性を向上することができる。なお、第1折曲げ部分82aは、スタック支持体7の導電端子にボルトなどによって接合されてもよい。
導電部のさらに他の例として、図14に示されるように、第3折曲げ部分82cの幅を第1および第2折曲げ部分82a,82bの幅よりも小さい、局部的に幅の小さい部分を有する構成としてもよい。この場合、第3折曲げ部分82cの幅は、第1および第2折曲げ部分82a,82cの幅に対して、たとえば60〜80%に選ばれる。これによって、第3折曲げ部分82cを第1および第2折曲げ部分82a,82bに比べて曲げ剛性が小さくなるので、導電部8に発生する応力に対して曲がりやすく、熱変形に対する応答性を向上することができる。なお、第1折曲げ部分82a、スタック支持体7の導電端子に溶接などによって接合されてもよい。
さらに、上記各形態では、燃料電池セル3、セルスタック装置1,43、モジュール17,41,50および燃料電池装置53について説明したが、前述ように、セルに水蒸気と電圧とを付加して、水蒸気(水)を電気分解することにより、水素と酸素(O2)とを生成する電解セル(SOEC)、この電解セルを備える電解セルスタック装置、電解モジュールおよびモジュール収容装置に対しても、本発明を好適に実施することができる。この場合においても、前述と同様に、導電部の熱変形に対する耐性を向上することができる。