[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について、図1ないし図5を参照して説明する。
図1は、例えば冷水もしくは温水を生成するチリングユニットに用いる冷凍サイクル装置1の冷凍サイクル回路図である。本実施形態の冷凍サイクル装置1は、加熱モードおよび冷却モードで運転が可能である。
図1に示すように、冷凍サイクル装置1は、圧縮機2、四方弁3、水熱交換器4、第1の膨張装置5、空気熱交換器6および気液分離器7を主要な要素として備えている。前記複数の要素は、冷媒が循環する循環回路8を介して接続されている。
圧縮機2の吐出口は、四方弁3の第1ポート3aに接続されている。四方弁3の第2ポート3bは、水熱交換器4の冷媒流路4aの上流端に接続されている。水熱交換器4は、冷媒流路4aとの間で熱交換を行なう水流路4bを有している。水配管9が水熱交換器4の水流路4bに接続されている。水配管9の上流端は、給水源に接続されている。水配管9の下流端は、例えば貯湯タンク、給湯栓あるいは空調用機器に接続されている。
水熱交換器4の冷媒流路4aの下流端は、第1の膨張装置5を介して空気熱交換器6に接続されている。空気熱交換器6は、四方弁3の第3ポート3cに接続されている。四方弁3の第4ポート3dは、気液分離器7を経由して圧縮機2の吸入口に接続されている。
図2および図3に示すように、気液分離器7は、圧力容器11、流入管12および流出管13を主要な要素として備えている。圧力容器11は、水平な設置面Gの上に垂直に起立した姿勢で据え付けられている。圧力容器11は、円筒状の胴部15と、胴部15の上端開口を閉塞する上蓋16と、胴部15の下端開口を閉塞する底板17と、で構成されている。
上蓋16は、第1の端板の一例であり、上方に向けて張り出すように球面状に湾曲された形状を有している。底板17は、第2の端板の一例であり、下方に向けて張り出すように球面状に湾曲された形状を有している。上蓋16および底板17は、例えばろう付け等の手段により胴部15に固定されている。そのため、胴部15、上蓋16および底板17は、互いに協働して密閉された分離室18を規定している。
図2に示すように、流入管12は、圧力容器11の上蓋16を貫通して分離室18に挿入されている。流入管12は、圧力容器11の中心を通る鉛直線O1に沿うように起立されている。流入管12は、上蓋16に開けた第1の通孔19を貫通した状態で例えばろう付け等の手段により上蓋16に固定されている。
流入管12の上端部は、圧力容器11の上方に突出されているとともに、循環回路8を構成する冷媒供給管20を介して四方弁3の第4ポート3dに接続されている。冷媒出口21が流入管12の下端に形成されている。冷媒出口21は、分離室18の上部で圧力容器11の内周面に向けて開口されている。
図2および図3に示すように、流出管13は、U字状に折れ曲がった形状を有するとともに、圧力容器11の分離室18に収容されている。詳しく述べると、流出管13は、第1の直管部23、第2の直管部24および湾曲部25を一体に備えている。第1の直管部23および第2の直管部24は、分離室18の内部で圧力容器11の中心を通る鉛直線O1に沿うように起立されているとともに、鉛直線O1を間に挟んで圧力容器11の径方向に互いに離れている。
そのため、第1の直管部23および第2の直管部24は、夫々分離室18の底から分離室18の上端に向けて真っ直ぐに立ち上げられている。さらに、本実施形態では、冷媒出口21を有する流入管12の下端部が第1の直管部23と第2の直管部24との間を横切っている。
吸入口26が第1の直管部23の上端に形成されている。吸入口26は、分離室18の上部に開口されている。
第2の直管部24は、圧力容器11の上蓋16を貫通して圧力容器11の上方に突出された突出部27を有している。第2の直管部24の突出部27は、冷媒戻し管28を介して圧縮機2の吸入口に接続されている。
湾曲部25は、第1の直管部23の下端と第2の直管部24の下端との間を結ぶようにU字状に湾曲されている。湾曲部25は、分離室18の底に位置されている。湾曲部25の頂部の周面には、分離室18の底に開口された液戻し孔29が形成されている。
図1ないし図4に示すように、気液分離器7は、気液熱交換器31を内蔵している。第1の実施形態によると、気液熱交換器31は、流出管13の第2の直管部24に一体的に組み込まれている。
具体的に述べると、気液熱交換器31は、外管32を備えている。外管32は、第2の直管部24を同軸状に取り囲んでいる。さらに、外管32は、上端部33aおよび下端部33bを有している。外管32の上端部33aは、圧力容器11の上蓋16に開けた第2の通孔34を貫通して圧力容器11の上方に突出されているとともに、第2の直管部24の突出部27を同軸状に取り囲んでいる。外管32の下端部33bは、分離室18の内部に位置されている。
外管32の上端部33aに、口径が縮小された第1の絞り部35aが形成されている。第1の絞り部35aは、第1の端部の一例であり、第2の直管部24の突出部27の外周面に例えばろう付け等の手段により液密に固定されている。第1の実施形態によると、第2の直管部24の突出部27は、外管32の上端部33aの開口端から外管32の外に突出された先端部27aを有している。
継手部52が流出管13の先端部27aに形成されている。継手部52は、流出管13の先端部27aに例えばフレア加工を施すことにより構成された要素であって、先端部27aよりも口径が拡張されている。
継手部52は、圧力容器11の上方に向けて開口されている。流出管13に接続される冷媒戻し管28は、その端部が圧力容器11の上方から継手部52に挿入されているとともに、ろう付け等の手段により継手部52に固定されている。
外管32の下端部33bに、口径が縮小された第2の絞り部35bが形成されている。第2の絞り部35bは、第2の端部の一例であり、第2の直管部24の下端部の外周面に例えばろう付け等の手段により液密に固定されている。
この結果、突出部27を含む第2の直管部24の外周面と外管32の内周面との間に密閉された通路36が形成されている。通路36は、突出部27を含む第2の直管部24の略全長に亘っている。通路36の上端部は、圧力容器11の上方に突出されている。
図2および図4に示すように、外管32の上部に円筒状の第1の接合部38が設けられている。同様に、外管32の下端部33bに円筒状の第2の接合部39が設けられている。第1の接合部38および第2の接合部39は、夫々外管32にバーリング加工を施すことで形成された要素であって、外管32の外周面から突出されている。第1の接合部38および第2の接合部39は、外管32の軸方向に互いに離れた位置で通路36に通じているとともに、夫々共に圧力容器11の分離室18の内部に位置されている。
図4に示すように、外管32の上端部33aから突出された第2の直管部24の先端部27aの外径B1は、第1の接合部38および第2の接合部39を除いた外管32の最大外径B2よりも小さい。外管32に対応するように上蓋16に形成された第2の通孔34の口径B3は、外管32の最大外径B2よりも大きい。さらに、継手部52の外径B4は、第1の接合部38および第2の接合部39を除いた外管32の最大外径B2よりも小さい。
外管32の上端部33aは、第2の通孔34に挿入された状態で、例えばろう付け等の手段により上蓋16に固定されている。このため、外管32の外周面と第2の通孔34の開口縁との間には、ろう材が充填された第1のろう付け部40が形成されている。
外管32の第1の接合部38に冷媒導入管42が接続されている。冷媒導入管42の端部は、第1の接合部38に挿入された状態で、例えばろう付け等の手段により第1の接合部38に固定されている。冷媒導入管42は、外管32と隣り合う位置で分離室18の上部に導かれるとともに、上蓋16に開けた第3の通孔43を貫通して圧力容器11の上方に突出されている。冷媒導入管42の上端部は、循環回路8を構成する第1の配管44を介して水熱交換器4の冷媒流路4aに接続されている。
図4に示すように、冷媒導入管42は、第3の通孔43を貫通した状態で、例えばろう付け等の手段により上蓋16に固定されている。冷媒導入管42と第3の通孔43の開口縁との間には、ろう材が充填された第2のろう付け部45が形成されている。
外管32の第2の接合部39に冷媒排出管47が接続されている。冷媒排出管47の端部は、第2の接合部39に挿入された状態で、例えばろう付け等の手段により第2の接合部39に固定されている。冷媒排出管47は、分離室18の上部に導かれるとともに、上蓋16に開けた第4の通孔48を貫通して圧力容器11の上方に突出されている。冷媒排出管47の上端部は、循環回路8を構成する第2の配管49を介して第1の膨張装置5に接続されている。
冷媒排出管47は、第4の通孔48を貫通した状態で、例えばろう付け等の手段により上蓋16に固定されている。冷媒排出管47と第4の通孔48との間には、ろう材が充填された第3のろう付け部50が形成されている。
したがって、第1の実施形態では、気液熱交換器31を構成する全ての要素が圧力容器11の上蓋16に一括して固定されている。
次に、冷凍サイクル装置1を運転した時の気液分離器7および気液熱交換器31の動作について説明する。
冷凍サイクル装置1が加熱モードで運転を行う場合、四方弁3は、図1に実線で示すように第1ポート3aが第2ポート3bに連通し、第3ポート3cが第4ポート3dに連通するように切り替えられている。
加熱モードで冷凍サイクル装置1の運転が開始されると、低温・低圧の気相冷媒が圧縮機2で圧縮され、高温・高圧の気相冷媒となって循環回路8に吐出される。高温・高圧の気相冷媒は、四方弁3を経由して水熱交換器4の冷媒流路4aに導かれ、当該冷媒流路4aを流れる過程で水流路4bを流れる水と熱交換する。すなわち、水熱交換器4が凝縮器として機能する。
この結果、冷媒流路4aを流れる気相冷媒が凝縮し、高圧の液相冷媒に変化する。水流路4bを流れる水は、気相冷媒の熱を受け入れることで加熱され、温水となって例えば空調用機器に送られる。
水熱交換器4を通過した高圧の液相冷媒は、第1の配管44を経由して気液分離器7の内部の気液熱交換器31に導かれる。具体的に述べると、高圧の液相冷媒は、第1の配管44および冷媒導入管42を経由して気液熱交換器31の通路36の上端部に導かれる。通路36の上端部に達した高圧の液相冷媒は、当該通路36内を下向きに流れた後、冷媒排出管47および第2の配管49を通じて第1の膨張装置5に導かれる。
高圧の液相冷媒は、第1の膨張装置5を通過する過程で減圧されて低圧の気液二相冷媒に変化する。気液二相冷媒は、蒸発器として機能する空気熱交換器6に導かれるとともに、空気熱交換器6を通過する過程で空気と熱交換する。
この結果、気液二相冷媒は、空気中の熱を吸収して蒸発し、低温・低圧の気相冷媒に変化する。空気熱交換器6を通過した低温・低圧の気相冷媒は、四方弁3、冷媒供給管20を経由して流入管12の冷媒出口21から気液分離器7の分離室18に流入する。分離室18に流入する気相冷媒中に蒸発しきれなかった液相冷媒あるいは冷凍機油が混入している場合、分離室18内で冷凍機油を含む液相冷媒が気相冷媒から分離される。
分離室18の上部に溜まった低温・低圧の気相冷媒は、流出管13の吸入口26に吸い込まれ、当該流出管13および冷媒戻し管28を介して圧縮機2に戻される。
第1の実施形態によると、低温・低圧の気相冷媒が流れる流出管13の第2の直管部24は、水熱交換器4を通過した直後の高圧の液相冷媒が流れる通路36で同軸状に取り囲まれている。通路36を流れる高圧の液相冷媒は、流出管13の第2の直管部24を流れる低温・低圧の気相冷媒よりも温度が高い。
このため、気液分離器7から圧縮機2に戻る低温・低圧の気相冷媒は、流出管13の第2の直管部24を通過する過程で通路36内を流れる液相冷媒の熱を吸収し、乾き度が向上された過熱蒸気となる。
したがって、圧縮機2に吸い込まれる気相冷媒の過熱度が増大し、冷凍サイクル装置1のエネルギー効率を高めることができる。
しかも、気液分離器7から圧縮機2に戻る気相冷媒は、分離室18の上部の吸入口26から流出管13の第1の直管部23を上から下に向けて流れた後、湾曲部25で流れ方向が上向きに反転される。そのため、流出管13の第2の直管部24では、図1および図4に矢印で示すように、気相冷媒が下から上に向けて流れ、当該気相冷媒の流れ方向が通路36内を上から下に向けて流れる液相冷媒の流れ方向に対して逆向きとなる。
すなわち、気液熱交換器31では、液相冷媒の流れ方向と気相冷媒の流れ方向とが互いに逆向きとなる、いわゆるカウンターフローとなり、液相冷媒と気相冷媒との間での熱交換が効率よく行われる。
図5は、高温冷媒の流れ方向と低温冷媒の流れ方向が逆向きのカウンターフロー式の熱交換器と、高温冷媒の流れ方向と低温冷媒の流れ方向が同一のパラレルフロー式の熱交換器において、高温冷媒が流れる通路の入口温度と出口温度との間の温度差および低温冷媒が流れる通路の入口温度と出口温度との間の温度差を示している。
図5から明らかなように、カウンターフロー式の熱交換器の冷媒の入口温度と出口温度との間の温度差は、パラレルフロー式の熱交換器の冷媒の入口温度と出口温度との間の温度差よりも大きい。このため、高温冷媒が流れる通路と低温冷媒が流れる通路との間での熱交換が効率よく行われていることが分かる。
したがって、気液熱交換器31をカウンターフロー式とすれば、圧力容器11の内部の限られたスペースにおいて、通路32内を流れる液相冷媒の熱を利用して流出管13内を流れる気相冷媒を効率よく加熱することが可能となる。
一方、冷凍サイクル装置1が冷却モードで運転を行う場合、四方弁3は、図1に破線で示すように、第1ポート3aが第3ポート3cに連通し、第2ポート3bが第4ポート3dに連通するように切り替えられている。
冷却モードで冷凍サイクル装置1の運転が開始されると、低温・低圧の気相冷媒が圧縮機2で圧縮され、高温・高圧の気相冷媒となって循環回路8に吐出される。高温・高圧の気相冷媒は、四方弁3を経由して空気熱交換器6に導かれる。空気熱交換器6に導かれた気相冷媒は、空気との熱交換により凝縮し、高圧の液相冷媒に変化する。高圧の液相冷媒は、第1の膨張装置5を通過する過程で減圧されて低圧の気液二相冷媒に変化する。
第1の膨張装置5を通過した気液二相冷媒は、気液分離器7の内部の気液熱交換器31に導かれる。具体的に述べると、低圧の気液二相冷媒は、第2の配管49および冷媒排出管47を経由して気液熱交換器31の通路36の下端部に導かれる。通路36の下端部に達した低圧の気液二相冷媒は、当該通路36内を上向きに流れた後、冷媒導入管42および第1の配管44を通じて水熱交換器4の冷媒流路4aに導かれ、当該冷媒流路4aを流れる過程で水流路4bを流れる水と熱交換する。
この結果、冷媒流路4aを流れる気液二相冷媒は、水流路4bを流れる水から熱を奪って蒸発し、低温・低圧の気相冷媒に変化する。水流路4bを流れる水は、気液二相冷媒の蒸発潜熱により冷やされ、冷水となって例えば空調用機器に送られる。
水熱交換器4を通過した低温・低圧の気相冷媒は、前記加熱モードの時と同様に、四方弁3、冷媒供給管20を経由して流入管12の冷媒出口21から気液分離器7の分離室18に流入する。分離室18に流入する気相冷媒中に蒸発しきれなかった液相冷媒あるいは冷凍機油が混入している場合、分離室18内で冷凍機油を含む液相冷媒が気相冷媒から分離される。
分離室18の上部に溜まった低温・低圧の気相冷媒は、流出管13の吸入口26に吸い込まれ、当該流出管13および冷媒戻し管28を介して圧縮機2に戻される。
低温・低圧の気相冷媒が流れる流出管13の第2の直管部24は、第1の膨張装置5を通過した直後の低圧の気液二相冷媒が流れる通路36で同軸状に取り囲まれている。冷凍サイクル装置1を冷却モードで運転した場合、通路36を流れる気液二相冷媒と流出管13の第2の直管部24を流れる気相冷媒との間の温度差が少ない。
このため、気液二相冷媒から気相冷媒に伝わる熱量は微々たるものとなり、気液熱交換器31は殆ど機能しないことになる。
さらに、冷凍サイクル装置1の起動直後や除霜運転時においては、冷凍機油を含む液相冷媒が分離室18の底に滞留する。分離室18の底に位置された流出管13の湾曲部25は、分離室18に開口された液戻し孔29を有している。
このため、液戻し孔29は、分離室18の底に溜まった液相冷媒を冷凍サイクル装置1の運転時に流出管13内を通過する冷媒の流れに乗じて徐々に吸い込む。液戻し孔29から吸い込まれた液相冷媒は、流出管13の第2の直管部24および冷媒戻し管28を介して圧縮機2に戻される。
次に、気液熱交換器31を内蔵した気液分離器7を組み立てる手順について説明する。
最初に、流出管13の第2の直管部24の外側に予め第1の接合部38および第2の接合部39が形成された外管32を通す。この状態で、外管32の第1の絞り部35aおよび第2の絞り部35bを第2の直管部24の外周面にろう付けにより固定する。これにより、第2の直管部24と外管32との間に通路36が形成される。
引き続いて、外管32の第1の接合部38に冷媒導入管42の端部をろう付けにより固定する。さらに、外管32の第2の接合部39に冷媒排出管47の端部をろう付けにより固定する。この結果、流出管13、外管32、冷媒導入管42および冷媒排出管47の四つの要素が一つのサブアッセンブリ配管部品として組み立てられる。
この後、サブアッセンブリ配管部品を圧力容器11の上蓋16に組み付ける。具体的には、流出管13の第2の直管部24を取り囲んだ外管32の上端部33aを上蓋16の下方から第2の通孔34に挿入する。同様に、冷媒導入管42を上蓋16の下方から第3の通孔43に挿入するとともに、冷媒排出管47を上蓋16の下方から第4の通孔48に挿入する。
この状態で、外管32の上端部33a、冷媒導入管42および冷媒排出管47を夫々上蓋16にろう付けにより固定する。ここまでの工程により、気液熱交換器31を構成する全ての要素が流出管13と共に上蓋16に固定される。
引き続き、流入管12を上蓋16の下方から第1の通孔19に挿入し、当該流入管12を上蓋16にろう付けにより固定する。
この後、胴部15の下端に底板17をろう付けにより固定するとともに、流入管12およびサブアッセンブリ配管部品が固定された上蓋16を胴部15の上端にろう付けにより固定する。これにより、流入管12および気液熱交換器31が組み込まれた流出管13が圧力容器11の分離室18に収容され、気液分離器7の組み立て作業が完了する。
第1の実施形態では、上蓋16にサブアッセンブリ配管部品をろう付けしてから流入管12を上蓋16にろう付けしたが、作業手順はこれに限定されるものではない。例えば、上蓋16に流入管12をろう付けした後、サブアッセンブリ配管部品を上蓋16にろう付けしてもよい。
第1の実施形態によれば、外管32の外周面から突出された第1の接合部38および第2の接合部39が共に圧力容器11の分離室18の内部に位置されている。このため、第1の接合部38および第2の接合部39が形成された外管32、流出管13の第2の直管部24、冷媒導入管42および冷媒排出管47をサブアッセンブリ配管部品として組み立てた状態で、当該サブアッセンブリ配管部品を圧力容器11の上蓋16に固定することができる。
しかも、第1の接合部38および第2の接合部39は、サブアッセンブリ配管部品を上蓋16に固定する以前の段階で、外管32にバーリング加工を施すことで形成しておくことができる。
この結果、気液熱交換器31を構成するサブアッセンブリ配管部品を組み立てる作業と、サブアッセンブリ配管部品を上蓋16に固定する作業とを完全に分けることができる。よって、作業性が向上するとともに、気液熱交換器31を内蔵した気液分離器7の製造工程を簡素化することができ、気液分離器7の製造コストを低減できる。
さらに、第1の実施形態では、気相冷媒を分離室18に導く流入管12を始めとして、流出管13を同軸状に取り囲んだ外管32、冷媒導入管42および冷媒排出管47が圧力容器11の上蓋16に一括して固定されている。そのため、流入管12、外管32、冷媒導入管42および冷媒排出管47を通す第1の通孔19、第2の通孔34、第3の通孔43および第4の通孔48の全てが上蓋16に集約され、圧力容器11の加工に要するコストを抑えることができる。
それとともに、第1の通孔19、第2の通孔34、第3の通孔43および第4の通孔48が全て上蓋16に集約されているので、流入管12および気液熱交換器31を構成するサブアッセンブリ配管部品を一度に上蓋16に固定することができる。よって、気液分離器7の組み立てに要する作業工数を減らすことができ、この点でも気液分離器7の製造コストの低減に寄与する。
加えて、第1の実施形態によると、外管31の上端部33aから突出された流出管13の先端部27aは、その外径B1が第1の接合部38および第2の接合部39を除いた外管31の最大外径B2よりも小さい。そのため、サブアッセンブリ配管部品を上蓋16に固定する時に、流出管13の先端部27aおよび外管31の上端部33aを上蓋16の第2の通孔34に容易に挿入することができる。よって、気液分離器7を組み立てる際の作業性を良好に維持することができる。
[第1の実施形態の変形例1]
図6は、第1の実施形態の変形例1を開示している。変形例1は、第1の実施形態の気液熱交換器31の寸法関係を規定した内容であり、気液熱交換器31の基本的な構成は、第1の実施形態と同様である。
図6に示すように、外管32の第1の絞り部35aと流出管13の突出部27との間には、ろう材が充填された第4のろう付け部54が形成されている。第4のろう付け部54は、圧力容器11の上蓋16の上方に位置されている。
外管32の第2の絞り部35bと流出管13の第2の直管部24の外周面との間には、ろう材が充填された第5のろう付け部55が形成されている。
さらに、外管32の第1の接合部38と冷媒導入管42との間には、ろう材が充填された第6のろう付け部56が形成されている。外管32の第2の接合部39と冷媒流出管47との間には、ろう材が充填された第7のろう付け部57が形成されている。第6のろう付け部56および第7のろう付け部57は、共に分離室18内に位置されている。
外管32を上蓋16に固定する第1のろう付け部40は、外管32を流出管13の突出部27に固定する第4のろう付け部54と、冷媒導入管42を外管32の第1の接合部38に固定する第6のろう付け部56との間に位置されている。第1のろう付け部40と第4のろう付け部54との間の距離L1および第1のろう付け部40と第6のろう付け部56との間の距離L2は、夫々ろう付け時の熱影響が互いに及ばないような値に設定することが好ましい。
同様に、第5のろう付け部55と第7のろう付け部57との間の距離L3は、ろう付け時の熱影響が極力及ばないような範囲内で最小値に設定することが好ましい。
これにより、先にろう付けを完了した箇所のろう材が溶け出すのを防止でき、第1のろう付け部40、第4のろう付け部54、第5のろう付け部55、第6のろう付け部56および第7のろう付け部57の品質を十分に確保することができる。
本実施形態によると、第4のろう付け部54から第6のろう付け部56までの距離L4は、第4のろう付け部54と第6のろう付け部56との間に第1のろう付け部40が存在する分だけ距離L3よりも大きくなる。
さらに、気液熱交換器31の通路36のうち距離L4に対応する箇所は、第1の接合部38から外れた通路36の終端に位置されている。同様に、気液熱交換器31の通路36のうち距離L3に対応する箇所は、第2の接合部39から外れた通路36の終端に位置されている。通路36の終端では、冷媒の流れが滞る傾向にあるので、前記距離L4およびL3は、ろう付け時の熱影響が及ばない範囲内で可能な限り小さくすることが好ましい。
これにより、熱交換に寄与する通路36の有効長を十分に確保することができ、気液熱交換器31の熱交換効率を高めることができる。
なお、外管32に第1の接合部38および第2の接合部39をバーリング加工するに当たっては、外管32の第1の絞り部35aと第1の接合部38との間および外管32の第2の絞り部35bと第2の接合部39との間に夫々加工代を設ける必要がある。加工代の大きさは、距離L4および距離L3よりも優先されるために、加工代の大きさによっては、距離L4および距離L3がろう付け時の熱影響が及ばない範囲内での最小距離を上回ることがあり得る。
[第1の実施形態の変形例2]
図7および図8は、第1の実施形態の変形例2を開示している。変形例2は、気液熱交換器31の外管32の構成が第1の実施形態と相違している。それ以外の気液熱交換器31の構成は、第1の実施形態と同様である。
図7に示すように、外管32は、第1の管部61a、第2の管部61bおよび第3の管部61cに三分割されている。第1の管部61aは、外管32の上端部33aを構成する要素であって、第1の絞り部35aを有している。第2の管部61bは、外管32の下端部33bを構成する要素であって、第2の絞り部35bを有している。第3の管部61cは、第1の管部61aと第2の管部61bとの間に介在されている。
第1の管部61aと第3の管部61cの上端との間は、第1の連結チーズ62を介して同軸状に結合されている。同様に、第2の管部61bと第3の管部61cの下端との間は、第2の連結チーズ63を介して同軸状に結合されている。第1の連結チーズ62および第2の連結チーズ63は、互いに共通の構成を有するため、第1の連結チーズ62の側を代表して説明する。
図8に示すように、第1の連結チーズ62は、中空の円筒状の要素であり、第1の開口端64aおよび第2の開口端64bを有している。第2の開口端64bは、第1の開口端64aの反対側に位置されている。
第1の管部61aの下端は、第1の連結チーズ62の第1の開口端64aに嵌合された状態で、第1の開口端64aにろう付け等の手段により固定されている。第3の管部61cの上端は、第1の連結チーズ62の第2の開口端64bに嵌合された状態で、第2の開口端64bにろう付け等の手段により固定されている。
第1の連結チーズ62の中間部に円筒状の第1の接合部65が設けられている。第1の接合部65は、第1の連結チーズ62に例えばバーリング加工を施すことで構成され、第1の連結チーズ62の外周面から突出されている。冷媒導入管42は、第1の接合部65にろう付け等の手段で固定されている。
第2の連結チーズ63の中間部に円筒状の第2の接合部66が設けられている。第2の接合部66は、第2の連結チーズ63に例えばバーリング加工を施すことで構成され、第2の連結チーズ63の外周面から突出されている。冷媒排出管47は、第2の接合部66にろう付け等の手段で固定されている。
変形例2によれば、外管32が第1ないし第3の管部61a,61b,61cに三分割されている。このため、例えば第1ないし第3の管部61a,61b,61cの長さを変えることで、気液熱交換器31の全長を圧力容器11の大きさに合わせて自由に調整することができる。
そのため、気液熱交換器31の汎用性が向上し、種々の大きさの気液分離器7への適用が可能となる。
[第2の実施形態]
図9ないし図11は、第2の実施形態を開示している。第2の実施形態は、気液熱交換器31に関する事項が第1の実施形態と相違している。それ以外の冷凍サイクル装置1および気液分離器7の構成は、基本的に第1の実施形態と同様である。そのため、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
図10に示すように、気液分離器7の流入管12は、直管状に形成されている。流入管12は、分離室18の内部で圧力容器11の中心を通る鉛直線O1に沿うように起立されている。冷媒出口21が流入管12の上端部に形成されている。冷媒出口21は、分離室18の上部で圧力容器11の内周面に向けて開口されている。
流入管12は、圧力容器11の底板17を貫通して圧力容器11の下方に突出された突出部81を有している。流入管12の突出部81は、図9に示す冷媒供給管20を介して四方弁3の第4ポート3dに接続されている。
第2の実施形態では、気液熱交換器31が真っ直ぐな流入管12に一体的に組み込まれている。具体的に述べると、気液熱交換器31の外管32は、流入管12を同軸状に取り囲んでいる。外管32の上端部33aは、分離室18の上部に位置されている。外管32の上端部33aに形成された第1の絞り部35aは、流入管12の上端部の外周面に例えばろう付け等の手段により液密に固定されている。
外管32の下端部33bは、圧力容器11の底板17に開けた第1の通孔82を貫通して圧力容器11の下方に突出されているとともに、流入管12の突出部81を同軸状に取り囲んでいる。外管32の下端部33bは、第1の通孔82に挿入された状態で、例えばろう付けにより底板17に固定されている。
外管32の下端部33bに形成された第2の絞り部35bは、流入管12の突出部81の外周面に例えばろう付け等の手段により液密に固定されている。この結果、突出部81を含む流入管12の外周面と外管32の内周面との間に密閉された通路83が形成されている。通路83は、突出部81を含む流入管12の略全長に亘っている。通路83の下端部は、圧力容器11の下方に突出されている。
一方、流出管13の第2の直管部24は、外管32と隣り合った位置で圧力容器11の中心を通る鉛直線O1に沿うように起立されている。第2の直管部24の上端部は、圧力容器11の上蓋16に開けた第2の通孔84を貫通して圧力容器11の上方に突出されている。第2の直管部24の上端部は、第2の通孔84に挿入された状態で、例えばろう付け等の手段により上蓋16に固定されている。
図10および図11に示すように、外管32の上端部33aに形成された第1の接合部38および外管32の下端部33bに形成された第2の接合部39は、共に分離室18に位置されている。
第1の接合部38に固定された冷媒導入管42は、分離室18内で圧力容器11の中心を通る鉛直線O1に沿うように起立されている。冷媒導入管42は、底板17に開けた第3の通孔85を貫通して圧力容器11の下方に突出されている。冷媒導入管42の下端部は、第3の通孔85に挿入された状態で、例えばろう付け等の手段により底板17に固定されている。さらに、冷媒導入管42の下端部は、循環回路8を構成する第1の配管44を介して水熱交換器4の冷媒流路4aに接続されている。
第2の接合部39に固定された冷媒排出管47は、分離室18内で圧力容器11の中心を通る鉛直線O1に沿うように起立されている。冷媒排出管47は、底板17に開けた第4の通孔86を貫通して圧力容器11の下方に突出されている。冷媒排出管47の下端部は、第4の通孔86に挿入された状態で、例えばろう付け等の手段により底板17に固定されている。さらに、冷媒排出管47の下端部は、循環回路8を構成する第2の配管49を介して第1の膨張装置5に接続されている。
第2の実施形態において、冷凍サイクル装置1を加熱モードで運転した場合、凝縮器としての水熱交換器4を通過した高圧の液相冷媒は、第1の配管44および冷媒導入管42を経由して気液熱交換器31の通路83の上端部に導かれる。通路83の上端部に達した高圧の液相冷媒は、通路83内を下向きに流れた後、冷媒排出管47および第2の配管49を通じて第1の膨張装置5に導かれる。
高圧の液相冷媒は、第1の膨張装置5を通過する過程で減圧されて低圧の気液二相冷媒に変化する。気液二相冷媒は、蒸発器としての空気熱交換器6に導かれる。空気熱交換器6を通過した低温・低圧の気相冷媒は、四方弁3、冷媒供給管20を経由して流入管12の冷媒出口21から気液分離器7の分離室18に流入する。
分離室18の上部に溜まった低温・低圧の気相冷媒は、流出管13の吸入口26に吸い込まれ、当該流出管13および冷媒戻し管28を介して圧縮機2に戻される。
冷凍サイクル装置1を冷却モードで運転した場合、空気熱交換器6を通過した高圧の液相冷媒は、第1の膨張装置5を通過する過程で減圧されて低圧の気液二相冷媒に変化する。低圧の気液二相冷媒は、第2の配管49および冷媒排出管47を経由して気液熱交換器31の通路83の下端部に導かれる。通路83の下端部に達した気液二相冷媒は、通路83内を上向きに流れた後、冷媒導入管42および第1の配管44を介して水熱交換器4の冷媒流路4aに導かれる。
水熱交換器4を通過した低温・低圧の気相冷媒は、前記加熱モードの時と同様に、四方弁3、冷媒供給管20を経由して流入管12の冷媒出口21から気液分離器7の分離室18に流入する。分離室18の上部に溜まった低温・低圧の気相冷媒は、流出管13の吸入口26に吸い込まれ、当該流出管13および冷媒戻し管28を介して圧縮機2に戻される。
第2の実施形態によると、気液分離器7の流入管12が気液熱交換器31の通路83で取り囲まれているので、流入管12内を流れる気相冷媒と通路83内を流れる冷媒との間で熱交換が行われる。そのため、気液分離器7の分離室18に流入する気相冷媒は、通路83内を流れる冷媒の熱を吸収し、乾き度が向上された過熱蒸気となる。過熱蒸気は、流出管13および冷媒戻し管28を介して圧縮機2に吸い込まれる。
したがって、第1の実施形態と同様に、圧縮機2に吸い込まれる気相冷媒の過熱度が増大する。
さらに、第2の実施形態では、気液熱交換器31の外管32が圧力容器11の底板17を貫通しているので、気液熱交換器31の通路83が分離室18の底まで達している。それとともに、外管32は底板17にろう付け等の手段で固定されているので、通路83を規定する外管32と底板17とが熱的に接続された状態にある。
このため、例えば冷凍サイクル装置1の起動直後や除霜運転時において、分離室18の底に過渡的に滞留した液相冷媒は、通路83内を流れる冷媒との熱交換により加熱される。よって、分離室18の底に溜まった液相冷媒が速やかに蒸発し、冷凍サイクル装置1を早期のうちに定常的な運転状態に移行させることが可能となる。
[第3の実施形態]
図12ないし図15は、第3の実施形態を開示している。第3の実施形態は、気液熱交換器31を内蔵した気液分離器7の構成が第1の実施形態と相違している。それ以外の冷凍サイクル装置1の構成は、基本的に第1の実施形態と同様である。そのため、第3の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
図13に示すように、気液分離器7の流入管12は、直管状に形成されている。流入管12は、分離室18の内部で圧力容器11の中心を通る鉛直線O1に沿うように起立されている。冷媒出口21が流入管12の上端部に形成されている。冷媒出口21は、分離室18の上部で圧力容器11の内周面に向けて開口されている。
流入管12は、圧力容器11の底板17に開けた第1の通孔90を貫通して圧力容器11の下方に突出された突出部91を有している。流入管12の突出部91は、第1の通孔90に挿入された状態で、例えばろう付け等の手段により底板17に固定されている。さらに、突出部91は、U字状に湾曲された第1の管継手92を介して冷媒供給管20に接続されている。
第1の管継手92は、その一端および他端にジョイント部92a,92bを有している。ジョイント部92a,92bは、第1の管継手92よりも口径が拡張されているとともに、上方に向けて開口されている。本実施形態では、流入管12の突出部91の下端が第1の管継手92の一方のジョイント部92aに上方から嵌合されているとともに、例えばろう付け等の手段でジョイント部92aに固定されている。
図13および図14に示すように、気液分離器7の流出管13は、流入管12と同様に直管状に形成され、分離室18の内部で圧力容器11の中心を通る鉛直線O1に沿うように起立されている。吸入口26が流出管13の上端部に形成されている。吸入口26は、分離室18の上部で圧力容器11の上蓋16の内周面に向けて開口されている。
流出管13は、圧力容器11の底板17に開けた第2の通孔93を貫通して圧力容器11の下方に突出された突出部94を有している。流出管13の突出部94は、U字状に湾曲された第2の管継手95を介して冷媒戻し管28に接続されている。
第2の管継手95は、その一端および他端にジョイント部95a,95bを有している。ジョイント部95a,95bは、第2の管継手95よりも口径が拡張されているとともに、上方に向けて開口されている。本実施形態では、流出管13の突出部94の下端が第2の管継手95の一方のジョイント部95aに上方から嵌合されているとともに、例えばろう付け等の手段でジョイント部95aに固定されている。
第3の実施形態では、気液熱交換器31が真っ直ぐな流出管13に一体的に組み込まれている。具体的に述べると、気液熱交換器31の外管32は、流出管13を同軸状に取り囲んでいる。外管32の上端部33aは、分離室18の上部に位置されている。外管32の上端部33aに形成された第1の絞り部35aは、流出管13の上端部の外周面に例えばろう付け等の手段で液密に固定されている。
外管32の下端部33bは、底板17の第2の通孔93を貫通して圧力容器11の下方に突出されている。外管32の下端部33bは、第2の通孔93に挿入された状態で、例えばろう付け等の手段により底板17に固定されている。
さらに、外管32の下端部33bは、流出管13の突出部94を同軸状に取り囲んでいる。外管32の下端部33bに形成された第2の絞り部35bは、流出管13の突出部94の外周面に例えばろう付け等の手段で液密に固定されている。
この結果、突出部94を含む流出管13の外周面と外管32の内周面との間に密閉された通路96が形成されている。通路96は、突出部94を含む流出管13の略全長に亘っている。通路96の下端部は、圧力容器11の下方に突出されている。
図13ないし図15に示すように、外管32の上端部33aに形成された第1の接合部38および外管32の下端部33bに形成された第2の接合部39は、共に分離室18に位置されている。
本実施形態では、冷媒導入管42が第2の接合部39に固定されている。冷媒導入管42は、第2の接合部39から下向きに延びているとともに、分離室18内で圧力容器11の中心を通る鉛直線O1に沿うように起立されている。冷媒導入管42の下端部は、底板17に開けた第3の通孔97を貫通して圧力容器11の下方に突出されている。冷媒導入管42の下端部は、第3の通孔97に挿入された状態で、例えばろう付け等の手段により底板17に固定されている。
さらに、冷媒導入管42の下端部は、循環回路8を構成する第1の配管44を介して水熱交換器4の冷媒流路4aに接続されている。図14に示すように、第1の配管44の一端部は、圧力容器11の下方で上向きに直角に折り曲げられている。第1の配管44の一端部にジョイント部98が形成されている。ジョイント部98は、第1の配管44よりも口径が拡張されているとともに、上方に向けて開口されている。本実施形態では、冷媒導入管42の下端が第1の配管44のジョイント部98に上方から嵌合されているとともに、例えばろう付け等の手段でジョイント部98に固定されている。
冷媒排出管47が第1の接合部38に固定されている。冷媒排出管47は、第1の接合部38から下向きに延びているとともに、分離室18内で圧力容器11の中心を通る鉛直線O1に沿うように起立されている。冷媒排出管47の下端部は、底板17に開けた第4の通孔99を貫通して圧力容器11の下方に突出されている。冷媒排出管47の下端部は、第4の通孔99に挿入された状態で、例えばろう付け等の手段により底板17に固定されている。
さらに、冷媒排出管47の下端部は、循環回路8を構成する第2の配管49を介して第1の膨張装置5に接続されている。第2の配管49の一端部は、圧力容器11の下方で上向きに直角に折り曲げられている。第2の配管49の一端部にジョイント部100が形成されている。ジョイント部100は、第2の配管49よりも口径が拡張されているとともに、上方に向けて開口されている。本実施形態では、冷媒排出管47の下端が第2の配管49のジョイント部100に上方から嵌合され、例えばろう付け等の手段でジョイント部100に固定されている。
図14および図15に示すように、圧力容器11の底板17の中央部に第5の通孔102が形成されている。第5の通孔102は、分離室18の底の中で最も低い位置に開口されている。液戻し管103が第5の通孔102に接続されている。液戻し管103は、第5の通孔102に挿入された状態で、例えばろう付け等の手段により底板17に固定されている。液戻し管103は、底板17から圧力容器11の下方に導かれるとともに、その下流端が第2の管継手95の中間部に接続されている。言い換えると、液戻し管103は、圧力容器11の外で流出管13に接続されている。
第3の実施形態において、冷凍サイクル装置1を加熱モードで運転した場合、凝縮器としての水熱交換器4を通過した高圧の液相冷媒は、第1の配管44および冷媒導入管42を経由して気液熱交換器31の通路96の下端部に導かれる。通路96の下端部に達した高圧の液相冷媒は、図12に矢印で示すように通路96内を上向きに流れた後、冷媒排出管47および第2の配管49を通じて第1の膨張装置5に導かれる。
高圧の液相冷媒は、第1の膨張装置5を通過する過程で減圧されて低圧の気液二相冷媒に変化する。気液二相冷媒は、蒸発器としての空気熱交換器6に導かれる。空気熱交換器6を通過した低温・低圧の気相冷媒は、四方弁3、冷媒供給管20および第1の管継手92を経由して流入管12の冷媒出口21から気液分離器7の分離室18に流入する。分離室18の上部に溜まった低温・低圧の気相冷媒は、流出管13の吸入口26に吸い込まれ、当該流出管13、第2の管継手95および冷媒戻し管28を介して圧縮機2に戻される。
冷凍サイクル装置1を冷却モードで運転した場合、凝縮器としての空気熱交換器6を通過した高圧の液相冷媒は、第1の膨張装置5を通過する過程で減圧され、低圧の気液二相冷媒に変化する。低圧の気液二相冷媒は、第2の配管49および冷媒排出管47を経由して気液熱交換器31の通路96の上端部に導かれる。通路96の上端部に達した気液二相冷媒は、通路96内を下向きに流れた後、冷媒導入管42および第1の配管44を介して蒸発器としての水熱交換器4の冷媒流路4aに導かれる。
水熱交換器4を通過した低温・低圧の気相冷媒は、前記加熱モードの時と同様に、四方弁3、冷媒供給管20を経由して流入管12の冷媒出口21から気液分離器7の分離室18に流入する。分離室18の上部に溜まった低温・低圧の気相冷媒は、流出管13の吸入口26に吸い込まれ、当該流出管13、第2の管継手95および冷媒戻し管28を介して圧縮機2に戻される。
第3の実施形態によると、気液分離器7の流出管13が気液熱交換器31の通路96で取り囲まれているので、流出管13内を流れる気相冷媒と通路96内を流れる冷媒との間で熱交換が行われる。そのため、分離室18から流出管13に吸い込まれた気相冷媒は、通路36内を流れる冷媒の熱を吸収し、乾き度が向上された過熱蒸気となる。
したがって、第1の実施形態と同様に、圧縮機2に吸い込まれる気相冷媒の過熱度が増大する。
さらに、第3の実施形態では、気液熱交換器31の外管32が圧力容器11の底板17を貫通しているので、気液熱交換器31の通路96が分離室18の底まで達している。それとともに、外管32は底板17にろう付け等の手段で固定されているので、通路96を規定する外管32と底板17とが熱的に接続された状態に保たれている。
このため、例えば冷凍サイクル装置1の起動直後や除霜運転時において、分離室18の底に過渡的に滞留した液相冷媒は、通路96内を流れる冷媒との熱交換により加熱される。よって、分離室18の底に溜まった液相冷媒が速やかに蒸発し、冷凍サイクル装置1を早期のうちに定常的な運転状態に移行させることが可能となる。
特に冷凍サイクル装置1が加熱モードで運転されている状態では、図12に矢印で示すように、気液熱交換器31の通路96を通過する液相冷媒の流れ方向と流出管13を通過する気相冷媒の流れ方向が逆向きとなる。すなわち、第1の実施形態と同様に、気液熱交換器31の冷媒の流れがカウンターフローとなり、液相冷媒と気相冷媒との間での熱交換が効率よく行われる。
第3の実施形態によると、流出管13が圧力容器11の中心を通る鉛直線O1に沿った直管状であるとともに、当該流出管13が分離室18の内部で気液熱交換器31の外管32で覆われている。このため、流出管13に図2に示すような液戻し孔29を設けることが不可能となる。
この対策として、第3の実施形態では、分離室18の底に液戻し管103が接続され、当該液戻し管103の下流端が圧力容器11の外で流出管13と冷媒戻し管28との間を繋ぐ第2の管継手95に接続されている。
この構成により、冷凍サイクル装置1の起動直後や除霜運転時に分離室18の底に溜まった液相冷媒を、液戻し管103を経由して第2の管継手95に導くことができる。そのため、液戻し管103内の液相冷媒は、冷凍サイクル装置1の運転時に第2の管継手95を通過する冷媒の流れに乗じて第2の管継手95の内部に徐々に吸い込まれる。液戻し管103から第2の管継手95に吸い込まれた液相冷媒は、冷媒戻し管28を介して圧縮機2に戻される。
したがって、気液分離器7の流出管13に気液熱交換器31を組み込んだにも拘らず、分離室18の底に液相冷媒が残留するのを防止できる。
加えて、第3の実施形態によると、気相冷媒を分離室18に導く流入管12、気液熱交換器31を構成する外管32、冷媒導入管42、冷媒排出管47、および液戻し管103の全てが圧力容器11の底板17に一括して固定されている。そのため、流入管12、外管32、冷媒導入管42、冷媒排出管47および液戻し管103を通す第1の通孔90、第2の通孔93、第3の通孔97、第4の通孔99および第5の通孔102が底板17に集約され、圧力容器11の加工に要するコストを抑えることができる。
それとともに、第1の通孔90、第2の通孔93、第3の通孔97、第4の通孔99および第5の通孔102が全て底板17に集約されているので、流入管12、気液熱交換器31を構成するサブアッセンブリ配管部品および液戻し管103を一度に底板17に固定することができる。よって、気液分離器7の組み立てに要する作業工数を減らすことができ、気液分離器7の製造コストを低減できる。
さらに、第3の実施形態では、流入管12、外管32、冷媒導入管42および冷媒排出管47が圧力容器11の底板17を貫通して圧力容器11の下方に突出されている。流入管12の下端は、第1の管継手92の拡張されたジュイント部92aの内側に挿入された状態で当該ジョイント部92aにろう付けされている。外管32の下端は、第2の管継手95の拡張されたジョイント部95aの内側に挿入された状態で当該ジョイント部95aにろう付けされている。冷媒導入管42の下端は、第1の配管44の拡張されたジョイント部98の内側に挿入された状態で当該ジョイント部98にろう付けされている。同様に、冷媒排出管47の下端は、第2の配管49の拡張されたジョイント部100の内側に挿入された状態で当該ジョイント部100にろう付けされている。
そのため、ジュイント部92a,95a,98,100を上から見下ろすような形態で全てのろう付け作業を実行することができ、ろう付け時の作業性が良好となる。それとともに、流入管12、外管32、冷媒導入管42および冷媒排出管47の夫々の下端にろう付けのための格別な加工を施す必要もなく、冷凍サイクル装置1の製造に要するコストを抑えることができる。
[第4の実施形態]
図16および図17は、第4の実施形態を開示している。第4の実施形態に係る気液分離器7は、第1の流出管13aに組み込まれた第1の気液熱交換器31aと、第2の流出管13bに組み込まれた第2の気液熱交換器31bと、を有している。第1の気液熱交換器31aおよび第2の気液熱交換器31bは、流入管12と共に圧力容器11の分離室18に収容されている。
第1の流出管13aおよび第2の流出管13bは、基本的に第1の実施形態の流出管13と同様の構成を有している。そのため、第4の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
図16および図17に示すように、第1の流出管13aの第1の直管部23および第2の流出管13bの第1の直管部23は、分離室18内で圧力容器11の径方向に互いに間隔を存して並ぶように分離室18の底から立ち上がっている。
同様に、第1の流出管13aの第2の直管部24および第2の流出管13bの直管部24は、分離室18内で圧力容器11の径方向に互いに間隔を存して並ぶように分離室18の底から立ち上がっている。第1の流出管13aの第2の直管部24および第2の流出管13bの直管部24は、夫々圧力容器11の上蓋16を貫通して圧力容器11の上方に突出された突出部27を有している。
さらに、第1の流出管13aの第2の直管部24および第2の流出管13bの第2の直管部24は、圧力容器11の外で一つに集合されるとともに、冷媒戻し管28を介して圧縮機2の吸入口に接続されている。
第1の気液熱交換器31aの外管32は、第1の流出管13aの第2の直管部24を同軸状に取り囲んでいる。外管32の上端部33aは、圧力容器11の上蓋16を貫通して圧力容器11の上方に突出されているとともに、第2の直管部24の突出部27を取り囲んでいる。第1の気液熱交換器31aの外管32の上端部33aに形成された第1の絞り部35aは、第2の直管部24の突出部27の外周面に例えばろう付け等の手段で液密に固定されている。
外管32の下端部33bに形成された第2の絞り部35bは、分離室18の下部で第2の直管部24の下端部の外周面に例えばろう付け等の手段で固定されている。そのため、突出部27を含む第2の直管部24の外周面と外管32の内周面との間に密閉された通路36が形成されている。
第2の気液熱交換器31bの外管32は、第2の流出管13bの第2の直管部24を同軸状に取り囲んでいる。外管32の上端部33aは、圧力容器11の上蓋16を貫通して圧力容器11の上方に突出されているとともに、第2の直管部24の突出部27を取り囲んでいる。第2の気液熱交換器31bの外管32の上端部33aに形成された第1の絞り部35aは、第2の直管部24の突出部27の外周面に例えばろう付け等の手段で液密に固定されている。
外管32の下端部33bに形成された第2の絞り部35bは、分離室18の下部で第2の直管部24の下端部の外周面に例えばろう付け等の手段で固定されている。そのため、突出部27を含む第2の直管部24の外周面と外管32の内周面との間に密閉された通路36が形成されている。
第1の気液熱交換器31aの外管32の上部に形成された第1の接合部38、第2の気液熱交換器31bの外管32の上部に形成された第1の接合部38、第1の気液熱交換器31aの外管32の下端部33bに形成された第2の接合部39および第2の気液熱交換器31bの外管32の下端部33bに形成された第2の接合部39は、分離室18の内部に位置されている。
図17に示すように、第1の気液熱交換器31aの第1の接合部38には、冷媒導入管42aがろう付け等の手段で固定されている。同様に、第2の気液熱交換器31bの第1の接合部38には、冷媒導入管42bがろう付け等の手段で固定されている。冷媒導入管42a,42bは、分離室18の上方に向けて湾曲されているとともに、その上端が第1のジョイント110を介して一つに合流されている。第1のジョイント110には、第1の配管44がろう付け等の手段で固定されている。第1の配管44は、圧力容器11の上蓋16を貫通して圧力容器11の外に導かれるとともに、水熱交換器4の冷媒流路4aに接続されている。
第1の気液熱交換器31aの第2の接合部39には、冷媒排出管47aがろう付け等の手段で固定されている。同様に、第2の気液熱交換器31bの第2の接合部39には、冷媒排出管47bがろう付け等の手段で固定されている。冷媒排出管47a,47bは、分離室18の上方に向けて湾曲されているとともに、その上端が第2のジョイント111を介して一つに合流されている。第2のジョイント111には、第2の配管49がろう付け等の手段で固定されている。第2の配管49は、圧力容器11の上蓋16を貫通して圧力容器11の外に導かれるとともに、第1の膨張装置5に接続されている。
第4の実施形態によると、気液分離器7の分離室18に第1の気液熱交換器31aおよび第2の気液熱交換器31bが収容されているので、気液分離器7から圧縮機2に戻る気相冷媒は、二つの気液熱交換器31a,31bの通路36を流れる冷媒の熱を吸収する。
そのため、第1の実施形態との比較において、気相冷媒をより効率よく加熱することができ、圧縮機2に吸い込まれる気相冷媒の過熱度を高めることができる。
[第5の実施形態]
図18および図19は、第5の実施形態を開示している。第5の実施形態は、前記第1の実施形態を発展させた内容であり、気液分離器7の基本的な構成は、第1の実施形態と同様である。
第5の実施形態によると、気液熱交換器31の外管32が流出管13に沿うようにU字状に湾曲されている。図18に示すように、外管32は、流出管13の湾曲部25を連続して覆う第1の延長部121と、流出管13の第1の直管部23を連続して覆う第2の延長部122と、を有している。
第2の延長部122の上端部122aは,流出管13の第1の直管部23の上部に達している。第2の延長部122の上端部122aに、口径が縮小された第2の絞り部35bが形成されている。第2の絞り部35bは、第1の直管部23の上部の外周面に例えばろう付け等の手段により液密に固定されている。このため、外管32の内周面と流出管13の外周面との間に形成された通路36は、U字状に湾曲された流出管13の略全長に亘って延びている。
図18および図19に示すように、外管32の第2の延長部122の上端部122aの外周面に第2の接合部39が形成されている。第2の接合部39は、分離室18の内部で第1の接合部38よりも下方に位置されている。第2の接合部39にろう付けされた冷媒排出管47は、分離室18の上方に向けて導かれるとともに、圧力容器11の上蓋16を貫通して圧力容器11の上方に突出されている。
さらに、第5の実施形態では、圧力容器11の底板17の中央部に通孔123が形成されている。通孔123は、分離室18の底の中で最も低い位置に開口されている。液戻し管124が通孔123に接続されている。液戻し管124は、通孔123に挿入された状態で例えばろう付け等の手段により底板17に固定されている。液戻し管124は、底板17から圧力容器11の下方に導かれるとともに、その下流端が流出管13と圧縮機2とを繋ぐ冷媒戻し管28に接続されている。
第5の実施形態によると、気液熱交換器31の外管32がU字状に湾曲された流出管13に沿うように形成されている。このため、第1の実施形態に比べて流出管13と外管32との間に形成される通路36の全長が増大し、圧力容器11を大型化することなく気液熱交換器31の容量を確保できる。
よって、流出管13を流れる気相冷媒をより効率よく加熱することができ、圧縮機2に吸い込まれる気相冷媒の過熱度を高めることができる。
第5の実施形態では、分離室18の内部に位置された流出管13が略全長に亘って外管32で覆われている。このため、流出管13の湾曲部25に図2に示すような液戻し孔29を設けることが不可能となる。
しかるに、第5の実施形態では、分離室18の底に液戻し管124が接続され、当該液戻し管124の下流端が圧力容器11の外で冷媒戻し管28に接続されている。
この構成により、冷凍サイクル装置1の起動直後や除霜運転時に分離室18の底に溜まった液相冷媒を、液戻し管124に導くことができる。液戻し管124内の液相冷媒は、冷凍サイクル装置1の運転時に冷媒戻し管28の内部を通過する気相冷媒の流れに乗じて冷媒戻し管28に徐々に吸い込まれ、当該冷媒戻し管28を介して圧縮機2に戻される。
したがって、気液分離器7の流出管13に気液熱交換器31を組み込んだにも拘らず、分離室18の底に液相冷媒が残留するのを防止できる。
[第6の実施形態]
図20は、第6の実施形態を開示している。第6の実施形態は、液戻し管103の途中に流量調整手段の一例である電子制御式の膨張弁130を設けた点が図12に示す第3の実施形態と相違しており、それ以外の冷凍サイクル装置1の構成は第3の実施形態と同様である。
第6の実施形態によると、冷凍サイクル装置1が冷却モードで運転されている時に、冷凍サイクル装置1の運転条件あるいは運転状況によっては、水熱交換器4から気液分離器7の分離室18に戻される冷媒温度が規定値を上回る場合があり得る。
このような運転状態の時に、気液分離器7で液相冷媒から分離された気相冷媒と気液熱交換器31の通路36を通過する液相冷媒との間で熱交換が実行されると、圧縮機2に吸い込まれる気相冷媒の過熱度(SH)が過大となる。
そこで、圧縮機2に吸い込まれる気相冷媒の過熱度(SH)が過大となった際に、膨張弁130を閉じる。これにより、分離室18の底に滞留した液相冷媒が液戻し管103を通じて冷媒戻し管28に流入するのを回避できる。
すなわち、分離室18の底に滞留した液相冷媒は、気液熱交換器31の通路96内を流れる液相冷媒との熱交換により加熱された状態にあるので、膨張弁130が閉じることで、分離室18から圧縮機2に戻る液相冷媒の流量を調整することができる。
この結果、冷媒戻し管28の内部で液相冷媒から気相冷媒に伝わる熱量が減少し、圧縮機2に吸い込まれる気相冷媒の過熱度(SH)を適正値に制御することができる。
加熱された液相冷媒の戻り量を調整する流量調整手段としては、電子制御式の膨張弁に特定されるものではない。例えば、複数の固定絞りと少なくとも一つの開閉弁とを組み合わせた調整回路を液戻し管103の途中に設けてもよい。
[第7の実施形態]
図21および図22は、第7の実施形態を開示している。第7の実施形態は、第1の配管44の途中に第2の膨張装置141およびバッファタンク142を設けた点が図12に示す第3の実施形態と相違しており、それ以外の冷凍サイクル装置1の基本的な構成は、第3の実施形態と同様である。
図21に示すように、水熱交換器4の冷媒流路4aは、第2の膨張装置141およびバッファタンク142を介して気液熱交換器31の流路96に接続されている。言い換えると、第2の膨張装置141およびバッファタンク142は、水熱交換器4aと気液熱交換器31との間に直列に介在されている。
第7の実施形態によると、冷凍サイクル装置1を加熱モードで運転した場合、凝縮器としての水熱交換器4を通過した高圧の液相冷媒は、第2の膨張装置141を通過する過程で減圧されて中間圧の気液二相冷媒に変化する。気液二相冷媒は、バッファタンク142を経由して気液熱交換器31の通路96に導かれる。通路96を通過した気液二相冷媒は、第1の膨張装置5に導かれる。
中間圧の気液二相冷媒は、第1の膨張装置5を通過する過程で減圧されて低圧の気液二相冷媒に変化する。低圧の気液二相冷媒は、蒸発器として機能する空気熱交換器6を通過した後、四方弁3を経由して気液分離器7の分離室18に流入する。分離室18の上部に溜まった低温・低圧の気相冷媒は、流出管13を介して圧縮機2に戻される。
一方、冷凍サイクル装置1を冷却モードで運転した場合、凝縮器としての空気熱交換器6を通過した高圧の液相冷媒は、第1の膨張装置5を通過する過程で減圧されて中間圧の気液二相冷媒に変化する。気液二相冷媒は、気液熱交換器31の通路96に導かれる。通路96を通過した気液二相冷媒は、バッファタンク142を経由して第2の膨張装置141に導かれる。
中間圧の気液二相冷媒は、第2の膨張装置141を通過する過程で減圧されて低圧の気液二相冷媒に変化する。低圧の気液二相冷媒は、蒸発器として機能する水熱交換器4を通過した後、四方弁3を経由して気液分離器7の分離室18に流入する。分離室18の上部に溜まった低温・低圧の気相冷媒は、流出管13を介して圧縮機2に戻される。
第7の実施形態によると、冷凍サイクル装置1を加熱モードおよび冷却モードのいずれのモードで運転した場合でも、気液熱交換器31の通路96には、中間圧の気液二相冷媒が導かれ、当該気液二相冷媒と分離室18内の気相冷媒との間で熱交換が実行される。
そのため、加熱モードおよび冷却モードの双方において気液熱交換器31を有効に機能させることができる。
さらに、第7の実施形態では、バッファタンク142が第1の膨張装置5と第2の膨張装置141との間に設置されている。そのため、冷凍サイクル装置1を加熱モードおよび冷却モードのいずれかのモードで運転した時に余剰冷媒が生じた場合、当該余剰冷媒をバッファタンク142内に貯溜することができる。
加えて、バッファタンク142に余剰冷媒を貯溜することで、第1の膨張装置5と第2の膨張装置141とで別々の対象を制御することができる。具体的に述べると、例えば、冷凍サイクル装置1を空気熱交換器6が蒸発器として機能する加熱モードで運転した状態において、第1の膨張装置5で冷凍サイクル装置1の過熱度(SH)を制御し、第2の膨張装置141で冷凍サイクル装置1の過冷却度(SC)を制御することができる。
この結果、例えば、冷凍サイクル装置1の周囲温度あるいは負荷等の運転条件が異なる状態においても、図22に示すように、冷凍サイクルの成績係数(COP)が最大となる過熱度(SH)および過冷却度(SC)で冷凍サイクル装置1を運転することが可能となる。
[第8の実施形態]
図23は、第8の実施形態を開示している。第8の実施形態は、ガス抜き管151およびガス抜き弁152を追加した点が第7の実施形態と相違しており、それ以外の冷凍サイクル装置1の基本的な構成は、第7の実施形態と同様である。
図23に示すように、ガス抜き管151は、気相冷媒が滞留するバッファタンク142の上部と冷媒供給管20との間を接続するように配管されている。ガス抜き弁152は、ガス抜き管151の途中に設けられている。
第8の実施形態によれば、ガス抜き弁152の開度を調整することで、バッファタンク142を過渡的又は定常的に気相冷媒を貯溜する中間圧レシーバとして用いることができる。
第8の実施形態において、ガス抜き弁152は膨張弁としても良いが、それ以外に例えば単一の開閉弁あるいは開閉弁とキャピラリチューブとを組み合わせた構成としてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。