JP2017067275A - ガスホルダ、ピストン支持構造および耐震ブラケット - Google Patents
ガスホルダ、ピストン支持構造および耐震ブラケット Download PDFInfo
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Description
特許文献1に記載されるように、ガスホルダは、外面を基柱と回廊に支持された複数枚の側板で構成された円筒状のホルダ本体と、ホルダ本体の内部においてガス量の増減に応じて自在に昇降するピストンとを備えている。ピストンの外周縁部には、昇降時に摺動部からのガス漏洩を防止するため、シール油を用いたシール装置が設置されている。また、シール装置の上方には、ガスホルダ内面に転動する上下一対のガイドローラが、ガスホルダの周方向に所定の間隔で複数設置されている。
耐震補強としては、ホルダ本体および屋根部の外周部に鉄骨を溶接することで、これらの剛性を高め、これらの内部を昇降するピストンの落下や周囲のシール装置からのガス漏れ防止が図られている。
また、特許文献2に記載されるように、地震力が地盤からホルダ本体に伝達され、そのホルダ本体の揺れによりピストンに水平力が伝達される場合でも、ピストン自体に作用する水平応答や傾斜応答を、補強した制振装置の減衰作用により効果的に低減することがなされている。
さらに、剛性を高めるための耐震補強は、経済的観点から現実性が低い。とくに、免震装置や制振装置を設置するには、基礎部分からの導入が必要となるため、既設への導入を考えた場合、こちらも経済的観点から現実性が低いという問題がある。
このような背景から、既存のガスホルダにも追加施工できるとともに、地震による衝撃に対してもガス漏れを生じることがないガスホルダの地震対策が求められていた。
通常時においては、内側部材と外側部材との間に設置された一次緩衝機構および二次緩衝機構により、内側部材と外側部材とが所定の位置関係に維持され、ピストンの周辺部はガスホルダの内面に対して一定間隔で昇降する。
そして、ピストンの周辺に設置されるブラケットに対する置換施工だけでよいため、既存のガスホルダにも追加施工することができる。
一方、凹凸係合機構または摩擦係合機構を用いることで、機械降伏式の一次緩衝機構を構成することができる。このような機械的な降伏を採用することで、降伏時の挙動を任意に設計することができる。
座屈誘導部としては、座屈部材の形状あるいは切欠きや貫通孔などを利用することができ、簡単な構成で所望の機能を得ることができる。
このような本発明では、汎用性のある部品を用いて二次緩衝機構としての機能を十分に実現することができる。
ガスホルダのピストンには、ホルダ本体に対するピストンの傾斜を防止するために、複数のローラを上下方向に配置することがある。このような構成では、全てのローラのブラケットを本発明の耐震ブラケットとしてもよいが、少なくともピストンに最寄り(上下方向の距離が最も近い)のブラケットを本発明の耐震ブラケットとすればよい。このように、少なくともピストンに最寄りのブラケットを本発明の耐震ブラケットとしておけば、地震の際のピストンからホルダ本体への衝撃緩和を図ることができる。
なお、近年のガスホルダでは、ピストンの外周縁の下面側に、ピストンとホルダ本体の内面との間のガスシールが設置され、複数のローラはピストンの上面側に設置されることが多い。このような構成では、上下に配列されるローラのブラケットのうち、ピストンに最寄りとなる下段のローラ用ブラケットを本発明の耐震ブラケットとすればよい。
このような本発明のピストン支持構造によれば、本発明の耐震ブラケットで説明した通りの作用効果を得ることができる。
このような本発明のガスホルダによれば、本発明の耐震ブラケットで説明した通りの作用効果を得ることができる。
図1から図5の各図には、本発明の一実施形態が示されている。
図1には、本実施形態のガスホルダ10の全体が示されている。
ガスホルダ10は、地盤に形成された底盤11を有し、その上面側には円筒状の側壁12が形成され、側壁12の上面は部分球面状の屋根部材13で塞がれている。
側壁12の内側には、部分球面状のピストン14が昇降自在に配置されている。
ピストン14には、その外周に沿って複数のピストン支持構造20が設置されている。
図2には、本実施形態のピストン支持構造20が示されている。
ピストン支持構造20は、ピストン14の辺縁に固定された軸組構造の本体21を有する。本体21には、上部に上ローラ22が設置され、下部に下ローラ23が設置され、さらに下ローラ23の下方にシール部24が設置されている。
シール部24は、側壁12の内面との間に油槽式の気密シールを形成する。このシール部24により、ピストン14が側壁12に対して昇降移動しても、ピストン14の上面側と下面側の気密状態が維持される。
図3には、本実施形態の耐震ブラケット30が示されている。
ピストン支持構造20の上ローラ22または下ローラ23は、それぞれローラ受け部材29で回転自在に支持されている。ローラ受け部材29は、耐震ブラケット30を介して、ピストン支持構造20の本体21に固定されている。
外側部材31および内側部材32はそれぞれ鋼板で形成され、一つの耐震ブラケット30あたり外側部材31は2枚、内側部材32は1枚が設置されている。
一対の外側部材31は、それぞれ内側部材32に対して所定間隔で配置されるとともに、各々は内側部材32の対向する一対の辺縁に沿って配置されている。
主ロッド331は、外側部材31の両端近傍に1本ずつ設置され、外側部材31を両持ち梁状態で支持する。
主ロッド331は、中間部分に屈曲部を有し、屈曲部の両側は互いに1〜10度程度の緩い角度をなしている。
補助ロッド332は、内側部材32の辺縁に沿って6本が配列され、各々の先端は外側部材31の辺縁に当接されている。
補助ロッド332は、中間部分に屈曲部を有し、屈曲部の両側は互いに1〜10度程度の緩い角度をなしている。
主クッション部材341は、一方の端部を内側部材32に固定され、他方の端部を外側部材31に固定されている。
補助クッション部材342は、一方の端部を内側部材32に固定され、他方の端部を外側部材31に固定されている。
本実施形態においては、主ロッド331と補助ロッド332とにより、一次緩衝機構33が構成されている。
一次緩衝機構33は、外側部材31と内側部材32との間に設置され、外側部材31と内側部材32との間に所定間隔を維持する。
本実施形態においては、主ロッド331および補助ロッド332が座屈部材とされている。この座屈部材により、外側部材31と内側部材32とが近接する向きに、所定の閾値以上の衝撃力を受けた際には、主ロッド331および補助ロッド332が座屈降伏して、外側部材31と内側部材32との近接を許容する。
本実施形態においては、主ロッド331および補助ロッド332の断面形状、座屈誘導部333の屈曲角度を適宜設計することで、一次緩衝機構33としての降伏に至る所定の閾値を調整することができる。
併せて、主ロッド331および補助ロッド332が破壊する際の挙動およびエネルギを適宜設計することで、外側部材31と内側部材32との間の衝撃吸収性能を調整することができる。
本実施形態においては、主クッション部材341(コイルばね3411とダンパー3412)と、補助クッション部材342とにより、二次緩衝機構34が構成されている。
二次緩衝機構34は、主クッション部材341および補助クッション部材342の両端が、それぞれ外側部材31および内側部材32に固定され、これにより外側部材31と内側部材32とを互いに連結している。
二次緩衝機構34において、主クッション部材341のダンパー3412により、制振機構が構成されている。この制振機構により、外側部材31と内側部材32との間の振動を抑制することができる。
このような本実施形態では、内側部材32でピストン14に設置されるととともに、外側部材31によりローラ(上ローラ22または下ローラ23)を支持し、このローラをガスホルダ10の内面(側壁12の内側のレール等)に転動させることで、ピストン14をガスホルダ10の内部で昇降させることができる。
通常時においては、内側部材32と外側部材31との間に設置された一次緩衝機構33および二次緩衝機構34により、内側部材32と外側部材31とが所定の位置関係に維持され、ピストン14の周辺部はガスホルダ10の内面に対して一定間隔で昇降する。
そして、既存のガスホルダの耐震改修に利用する際には、ピストン14の周辺に設置される既存のブラケットを、耐震ブラケット30に置換する施工だけでよいため、追加施工を容易にすることができる。
前述した実施形態では、主ロッド331および補助ロッド332を座屈部材として用いたが、座屈部材を複数種類とすることは必須ではなく、いずれか一方であってもよい。
座屈部材に形成される座屈誘導部333としては、前述した実施形態のように、主ロッド331および補助ロッド332に形成される1箇所の屈曲部に限定されるものではなく、以下のような実施形態とすることもできる。
一次緩衝機構33Aは、座屈部材としての主ロッド331Aまたは補助ロッド332Aを有し、補助ロッド332Aの中間部分には座屈誘導部333Aとして複数の屈曲部が形成されている。
このような座屈誘導部333Aによっても、主ロッド331Aまたは補助ロッド332Aの座屈を誘導することができる。
一次緩衝機構33Bは、座屈部材としての主ロッド331Bまたは補助ロッド332Bを有し、主ロッド331Bまたは補助ロッド332Bの中間部分には座屈誘導部333Bとして切欠き部が形成されている。
このような座屈誘導部333Bによっても、補助ロッド332Bの座屈を誘導することができる。
なお、主ロッド331Bまたは補助ロッド332Bが切欠き部から座屈した際に、この部分で断裂するように設計しておくことで、この切欠き部を接続解除部334Bとして兼用することができる。
一次緩衝機構33Cは、座屈部材としての主ロッド331Cまたは補助ロッド332Cを有し、補助ロッド332Cの中間部分には座屈誘導部333Cとして貫通孔が形成されている。
このような座屈誘導部333Cによっても、主ロッド331Cまたは補助ロッド332Cの座屈を誘導することができる。
なお、主ロッド331Cまたは補助ロッド332Cが貫通孔から座屈した際に、この部分で断裂するように設計しておくことで、この貫通孔を接続解除部334Cとして兼用することができる。
一次緩衝機構33Dは、座屈部材としての主ロッド331Dまたは補助ロッド332Dを有し、主ロッド331Dまたは補助ロッド332Dの外側部材31側の端部は傾斜面とされている。一方、外側部材31には、主ロッド331Dまたは補助ロッド332Dの延長線上に傾斜面を有する突起が形成され、この突起の傾斜面には主ロッド331Dまたは補助ロッド332Dの傾斜した端部が当接されている。
従って、座屈誘導部333Dと対向する突起との間の傾斜面により、座屈誘導部333Dが構成される。
さらに、座屈誘導部333Dの傾斜面と対向する突起の傾斜面とが当接する構造を、接続解除部334Dとして兼用することができる。
しかし、本発明において、破壊降伏式の一次緩衝機構としては、座屈部材に限らず、剪断部材あるいは引張り部材の破壊降伏を利用してもよい。
さらに、本発明の一次緩衝機構としては、破壊降伏式に限らず、凹凸係合機構または摩擦係合機構を用いることができる。
一次緩衝機構33Eは、外側部材31に固定された外側ロッド311と、内側部材32に固定された内側ロッド321とを有し、各々の端部が互いに平行に沿わされている。
外側ロッド311および内側ロッド321には、それぞれ対応する位置に挿通孔が形成され、各々の挿通孔にはリベット状の剪断部材335Eが挿通されている。
従って、剪断部材335Eの強度を適宜設定することにより、一次緩衝機構33Eとしての所定の閾値での破壊降伏を実現することができる。
そして、剪断部材335Eが破壊して脱落するようにしておくことで、接続解除部334Eとして兼用することができる。
一次緩衝機構33Fは、外側部材31に固定された外側ロッド311と、内側部材32に固定された内側ロッド321とを有し、各々の端部が互いに平行に沿わされている。
外側ロッド311の先端と内側ロッド321の先端との間には、引張り部材335Fが掛け渡されている。
従って、引張り部材335Fの強度を適宜設定することにより、一次緩衝機構33Fとしての所定の閾値での破壊降伏を実現することができる。
そして、引張り部材335Fが破壊して脱落するようにしておくことで、接続解除部334Fとして兼用することができる。
一次緩衝機構33Gは、外側部材31に固定された外側ロッド311と、内側部材32に固定された内側ロッド321とを有し、各々の端部が互いに平行に沿わされている。
外側ロッド311および内側ロッド321の互いに対向する表面にはそれぞれ凹部が形成され、これら一対の凹部の内側には鋼製の球体335Gが収容されている。
なお、球体335Gの脱落を利用して、接続解除部334Gを構成することができる。
一次緩衝機構33Hは、外側部材31に固定された外側ロッド311と、内側部材32に固定された内側ロッド321とを有し、各々の端部が互いに平行に沿わされている。
外側ロッド311および内側ロッド321の互いに対向する表面にはそれぞれ摩擦面335Hが形成されている。
摩擦面335Hとしては、多数の凹凸形状、例えば突起や凸状、凹部や溝状が繰り返す形状を利用することができる。
なお、摩擦面335Hを有する外側ロッド311および内側ロッド321は、接続解除部334Hとして兼用することができる。
例えば、図4に示された耐震ブラケット30における、主ロッド331、補助ロッド332、主クッション部材341、補助クッション部材342の設置数や配置、細部形状などは、実施にあたって適宜設計すればよい。
また、一次緩衝機構33は、主ロッド331および補助ロッド332の組み合わせに限らず、いずれか一方で構成されるものであってもよい。
さらに、二次緩衝機構34は、主クッション部材341および補助クッション部材342の組み合わせに限らず、いずれか一方で構成されるものであってもよい。
また、制振機構としては、摩擦ダンパーあるいは流体ダンパーを用いたダンパー3412であればよく、あるいは他の形式の制動装置を用いて制振機能を構成してもよい。
Claims (7)
- ガスホルダのピストンに設置されて前記ガスホルダの内面に転動するローラを支持する耐震ブラケットであって、
前記ローラが支持される外側部材と、
前記ピストンに設置される内側部材と、
前記外側部材と前記内側部材との間に設置され、前記外側部材と前記内側部材との間に所定間隔を維持するとともに、前記外側部材と前記内側部材とが近接する向きの衝撃力が所定の閾値以上であるときに、前記外側部材と前記内側部材との近接を許容する一次緩衝機構と、
前記外側部材と前記内側部材とを連結し、前記外側部材と前記内側部材との間の衝撃を緩和する弾性緩衝機構と、前記外側部材と前記内側部材との間の振動を抑制する制振機構と、を有する二次緩衝機構と、を備えたことを特徴とする耐震ブラケット。 - 請求項1に記載した耐震ブラケットにおいて、
前記一次緩衝機構は、
前記外側部材と前記内側部材との間に介在し、前記閾値以上の衝撃力で座屈する座屈部材と、
前記外側部材と前記内側部材とを連結し、前記閾値以上の衝撃力で剪断する剪断部材と、
前記外側部材と前記内側部材とを連結し、前記閾値以上の衝撃力で破壊する引張り部材と、
前記外側部材と前記内側部材とを連結し、前記閾値以上の衝撃力で解除される凹凸係合構造と、
前記外側部材と前記内側部材とを連結し、前記閾値以上の衝撃力で制動を解除される摩擦制動構造と、
のいずれかを有することを特徴とする耐震ブラケット。 - 請求項2に記載した耐震ブラケットにおいて、
前記一次緩衝機構は、前記座屈部材を有し、
前記座屈部材は、前記閾値以上の衝撃力を受けた際に、前記座屈部材の座屈を誘導する座屈誘導部を有することを特徴とする耐震ブラケット。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載した耐震ブラケットにおいて、
前記一次緩衝機構は、前記外側部材と前記内側部材とが前記閾値以上の衝撃力により近接した後、前記外側部材と前記内側部材との離隔を許容する接続解除部を有することを特徴とする耐震ブラケット。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載した耐震ブラケットにおいて、
前記二次緩衝機構は、
前記弾性緩衝機構として、ばね、弾性材、ガススプリングのいずれかを有し、
前記制振機構として、摩擦ダンパー、流体ダンパーのいずれかを有することを特徴とする耐震ブラケット。 - ガスホルダの内部にピストンを昇降自在に支持するピストン支持構造であって、
前記ガスホルダの内面に転動するローラと、前記ピストンに設置されて前記ローラを支持するブラケットとを有し、
前記ブラケットが、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の耐震ブラケットであることを特徴とするピストン支持構造。 - 内部に昇降自在なピストンを有するガスホルダであって、
前記ガスホルダの内面に転動するローラと、前記ピストンに設置されて前記ローラを支持するブラケットとを有し、
前記ブラケットが、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の耐震ブラケットであることを特徴とするガスホルダ。
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