JP2017066085A - バイコンティニュアス型クレンジング化粧料 - Google Patents
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Description
バイコンティニュアス構造を有する洗浄剤は、油相にも水相も連続相を形成できることから、ファンデーションなど親油性の粉体による汚れ、及び、汗、ほこりなどの水溶性汚れのいずれにも高い洗浄作用を有し、従来、O/W乳化によるクレンジングクリームやアニオン性、両性の界面活性剤型洗浄剤を主としたクレンジングフォームが容易に洗浄できなかった、揮発性油剤を用いたウォータープルーフタイプのマスカラなどに対しても高い化粧落とし効果がある。
また、低粘度であることの原因として、バイコンティニュアス構造を構成する水性成分と油性成分間の粘度差がバイコンティニュアス構造そのものに影響することが考えられる。例えば水性成分あるいは油性成分のうち片方の粘度が高くなるまたは低くなることで粘度の偏りが生じると、粘度の高い方を連続相とする乳化が起こってしまう恐れがある。
そのため、単にカルボマーやセルロース誘導体など水溶性高分子で水相のみを増粘する方法、デキストリン脂肪酸エステルなど油のゲル化剤で油層のみを増粘する方法、その他温度により粘度が大きく変動してしまう成分の配合などを採用することが難しい。したがって、バイコンティニュアス構造を有する製品は、増粘することが困難であると考えられる。
そのため、バイコンティニュアス構造を有する洗浄剤は、洗浄力は高いのだが、市場での使用性が良好なものが設計しにくく、実際に製品化されたものは少ない。
また、チューブやジャーといった高粘度の組成物を充填する容器に対応できるものではない。つまり乳液程度の粘度では、チューブ容器に対して十分な粘度でないため使用時に量の調整が難しかったり、口部を下にすると中身が流れ出てしまう。ジャー容器では、少し傾けただけでこぼれてしまう、指やヘラでとることができないといった問題点がある。
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)で構成されている。
(A)HLBが9より大きく20以下の脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル
(B)極性油剤
(C)1価または2価で炭素数が6以下のアルコール類
(D)下記の一般式(1)で表される化合物である疎水性変性ポリエーテルウレタン
(R1−{(O−R2)k−OCONH−R3[−NHCOO−(R4−O)n−R5]h}m…(1)
〔式中、R1は炭化水素基を表し、R2およびR4は互いに同一でも異なっても良い炭素数2〜4のアルキレン基、またはフェニルエチレン基を表し、R3はウレタン結合を有していても良い炭化水素基を表し、R5は分岐鎖または2級の炭化水素基を表し、mは2以上の数であり、hは1以上の数であり、kは1〜500の範囲の数,nは1〜200の範囲の数である。〕
(E)水
を含有する
バイコンティニュアス型クレンジング化粧料を提供するものである。
中でも、洗浄性の観点から、イソステアリン酸PEG−8グリセリル(第一工業製薬社製:ノイゲンGIS−108:HLB 12)、イソステアリン酸PEG−25グリセリル(第一工業製薬社製:ノイゲンGIS−125:HLB16)、イソステアリン酸PEG−5グリセリル(第一工業製薬社製:ノイゲンGIS−105:HLB 10、ヤシ油脂肪酸PEG−7グリセリル(BASF社製:セチオールHE:HLB 12)、(カプリル/カプリン酸)PEG−7グリセリル(BASF社製:セチオールHE810:HLB 14)が優れている。
特に、油性汚れに対する洗浄性の面で、分岐鎖脂肪酸を有する脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルが好ましく、イソステアリン酸PEG−8グリセリルが好ましい。
(R1−{(O−R2)k−OCONH−R3[−NHCOO−(R4−O)n−R5]h}m…(1)
〔式中、R1は炭化水素基を表し、R2およびR4は互いに同一でも異なっても良い炭素数2〜4のアルキレン基、またはフェニルエチレン基を表し、R3はウレタン結合を有していても良い炭化水素基を表し、R5は分岐鎖または2級の炭化水素基を表し、mは2以上の数であり、hは1以上の数であり、kは1〜500の範囲の数,nは1〜200の範囲の数である。〕
本発明において、最も好ましい疎水性変性ポリエーテルウレタンは、(ポリエチレングリコール−240/デシルテトラデセス−20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマーである。
市販品としてアデカノールGT−700(ADEKA社製)が挙げられる。
脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルの比率が大きすぎる場合には、バイコンティニュアス構造は維持されるがクレンジング力を発揮するための油剤が少なすぎて化粧落し効果に劣る傾向にある。
また、極性油の比率が大きすぎる場合には、クレンジング力の弱いものになってしまう傾向にある。
本発明のクレンジング化粧料では、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル:極性油剤の比率が3:2〜3:1であるものが非常に好適である。
成分(F)の、アルキル変性をおこなった(メタ)アクリル酸をモノマーの構成単位として含む水溶性ポリマーは、(メタ)アクリル酸をモノマーとして合成したものであり、例えば、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体であり、アクリル酸とアルキル(C10〜30)メタクリル酸エステルの架橋型共重合体で、市販品としては例えば、PEMULEN TR−1、PEMULEN TR−2、カーボポールETD2020(Lubrizol Advanced Materials社製)等があげられる。
成分(G)の水溶性ポリヒドロキシ化合物は、分子内に水酸基を3以上有するものであり、具体的には、グリセリン、ジグリセリン等のグリセリン類;ソルビトール、マルチトール、マルトース、フラクトース、キシリトール、マルトトリオース、スレイトール、エリスリトール、グルコース等の糖類;メチルグルコシド、エチルグルコシド等のグルコース誘導体などが挙げられる。成分(G)は、本発明のバイコンティニュアス構造を維持するための補助剤として機能する。これらのうち、特に、バイコンティニュアス構造を維持しやすくなるグリセリン、ソルビトール、マルチトールが好ましい。さらには、グリセリン、ソルビトールが、すすぎ性の観点から好ましい。
一般的なメーキャップ化粧料、例えばファンデーション、口紅及びマスカラ等は、シリコーン油分と炭化水素系油剤を含有している場合が多く、このようなメーキャップをクレンジングするには、これらの油剤を良好になじませ得ることが重要である。具体的には、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油、さらに流動パラフィンや低粘度ポリイソブテン、イソドデカンのような炭化水素油分を配合すると、これらのメーキャップの洗浄に特に有効である。特に揮発性油剤は洗い上がりのさっぱり感が得られるため有用である。
また、使用感等を調整するためにその他エステル油や動植物油を配合することも可能である。例えばリンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸グリセリル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、米胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、スクワランなどの油剤があげられる。
ただし、上記油剤は、バイコンティニュアス構造を壊さない範囲で配合される。
なお、本発明では分光光度計を用いて660nmでの光透過率を測定した時30%以上の透過率ものを透明性を有するという。(本発明の測定方法:島津社製 UV−VISIBLE SPECTROPHOTOMETER UV−2450、石英セル 光路長10mm、ブランク精製水)
本発明の組成物で増粘することによる有用性を例示する。
ポンプ容器から直接とって使用する場合には100mPa.s以下の低粘度の時には、ポンプを強めに押すと勢いが強くなりすぎ手のひらや、コットンに当たって飛び散る。また、粘度が低すぎるため指の間の隙間からこぼれ落ちてしまい、顔などの部位に必要量塗布することが困難である。これを本発明の組成物とすることで、例えば一般的にエッセンス状、乳液状と呼ばれる500mPa.s〜5000mPa.s程度に粘度調整を行うことで、ポンプを強く押しても、飛び散ることなく、指の間からこぼれにくくするようにできる。
例えば、チューブに充填した場合には、粘度が低すぎると押し出した時の力加減が難しく使用性が悪い。口径が小さくてもチューブを逆さにするだけで中身が出てしまうといった問題点がおこりやすい。そこで一般的なクリーム状、ゲル状である5000mPa.s〜200000mPa.sに本発明の組成物で粘度調整することで、チューブから押し出す時の力を適当に調整できる。また口径の大きなチューブでも、逆さにしてタレ落ちてくるようなことがないようにすることができる。
さらにジャー容器に充填した場合、粘度が低いと少し傾けただけでこぼれてしまう、指やヘラでとることができないといった問題点がある。本発明の組成物により、例えばクリーム状、ゲル状と呼ばれる500000〜2000000mPa.sの粘度に調整することで問題を解決することが可能になる。
これらで示したように本発明は、クレンジング化粧料としてバイコンティニュアス構造を維持したままで、クリーム状、ゲル状といった高粘度領域まで自由に粘度設計ができる非常に有用な技術である。
1: 成分(A)〜(D)を80℃以上に加熱して溶解する。
2: 1に成分(E)水を加え粘度が十分に上昇するまで攪拌混合する。
(F)を加える場合は、あらかじめ水分散処理をおこない1%水溶液とする。後は前述の製法によるが、中和剤は、1に加えておく。成分(F)は3の処理が終わった後に加えて、均一になるまで攪拌混合する。
成分(G)を加える場合は、成分(E)水にあらかじめ溶解しておき、前述の方法により製造する。
成分(E)水は、常温でも製造可能であるが、短時間で処理を終わらすためにも70℃以上で混合攪拌し、取り出し温度まで冷却する方法が望ましい。
下記の製法に沿って表1−3に示す組成のクレンジング化粧料を製造し、評価した。なお表中各成分の含有量の単位は、クレンジング化粧料全体に対する質量%である。
<製造方法>
本発明のクレンジング化粧料は、以下の方法により製造した。
1: 成分(A)〜(D)を80℃以上に加熱して溶解した。
2: 1に成分(E)水を70℃以上で加え粘度が十分に上昇するまで攪拌混合し、取り出し温度まで冷却して取り出した。
*(F)を加える場合は、あらかじめ水分散処理を行い1%水溶液とした。後は前述の製法によるが、中和剤は1に加えておく。成分(F)は分散処理後に加えて、均一になるまで攪拌混合した。
*成分(G)を加える場合は、成分(E)水にあらかじめ溶解しておき、前述の方法により製造した。
*疎水性変性ポリエーテルウレタンは、アデカノールGT−700(ADEKA社製)を使用した。
1.バイコンティニュアス構造の確認
油溶性色素として用いたテトラクロルテトラブロムフルオレセイン0.1gを、オクチルドデカノール99.9gに溶解させた液体を用意し、染色液とした。プラスチック板上に試料を100円玉程度の円状に広げたところに、染色液を滴下し、1時間後に浸潤が見られるかを確認した。
水溶性色素としてはブリリアントブルーFCFを用いて0.1%水溶液を作製し、上記と同様に確認をおこなった。
判定は、外観が透明または半透明で油溶性色素、水溶性色素どちらも浸潤が見られた場合にはBC(バイコンティニュアス構造)、油溶性色素溶液の浸潤がみられず、水溶性色素溶液の浸潤が見られた場合O/W(O/W乳化)、水溶性色素溶液の浸潤がみられず、油溶性色素溶液の浸潤が見られた場合は、W/O(W/O乳化)、分離しているものは試験をせず分離と記載する。
本発明の測定方法:島津社製 UV−VISIBLE SPECTROPHOTOMETER UV−2450、測定波長660nm、石英セル、光路長10mm、ブランク精製水
また透明性の評価については、上記測定条件で光透過率が30%以下を×、30〜50%を○、50%以上を◎とした。
B型粘度計:VISCOMETER TVB−10M(トキメック社製)を用いて20℃で測定をおこなった。
ローターは乳液状の試料の場合はM3、クリーム、ゲル状の試料はM4を用いて適宜、回転数と測定時間を調整して測定した。
各実施例及び比較例のメーククレンジング力について、専門パネラー10名により実使用試験を実施した。落とす対象のメーキャップとしては、市販品の中でもロングラスティング効果で定評があるリキッドファンデーション(エスティローダー社製:ダブル ウェア ステイ イン プレイス メークアップ)を用いた。
評価方法
リキッドファンデーション0.1gを専門パネラーの腕に塗布してなじませてから1時間後、各実施例及び比較例のクレンジング化粧料をそれぞれ約1gずつとり、一定の力、速さで10回マッサージを行い、流水ですすいだ後、以下の基準で評価した。
評価基準は以下の通りであり、この評価点を平均化した。
5点:完全に落ちている。
4点:ぼぼ落ちている。
3点:普通。
2点:やや落ちていない
1点:落ちていない
上記実使用試験のすすぐ時に同時に評価した。
評価基準は以下の通りであり、この評価点を平均化した。
5点:すぐに水になじんで、流れ落ちる。
4点:洗い流しに時間はかからない。
3点:洗い流しに問題はない。
2点:洗い流しに時間がかかる。
1点:ほとんど洗い流せない。
40℃で1ヵ月保管し20℃に戻した時、粘度や外観、バイコンティニュアス構造の状態および使用性に関し当初の性状とほとんど変化のないものを○と評価した。
分離、不透明化などの変化が見られたものを×と評価した。
実施例7では、さらにアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を配合することで、耐熱性に優れた組成物であり60℃で2週間以上保持しても分離が見られなかった。
実施例8では、さらに水溶性溶媒を配合することで透明性の良好な組成物を得ることができた。
実施例9では、1価のアルコールであるエタノールを配合しても、バイコンティニュアス構造が維持された、メークアップクレンジング力に優れた組成物を得ることができる。
Claims (6)
- (A)HLBが9より大きく20以下の脂肪酸ポリオキシエチレングリセリル
(B)エステル油、炭素数が12以上の液状高級アルコールから選ばれる一種以上の極性油
(C)1価または2価で炭素数が6以下のアルコール類
(D)下記の一般式(1)で表される化合物である疎水性変性ポリエーテルウレタン
(R1−{(O−R2)k−OCONH−R3[−NHCOO−(R4−O)n−R5]h}m…(1)
〔式中、R1は炭化水素基を表し、R2およびR4は互いに同一でも異なっても良い炭素数2〜4のアルキレン基、またはフェニルエチレン基を表し、R3はウレタン結合を有していても良い炭化水素基を表し、R5は分岐鎖または2級の炭化水素基を表し、mは2以上の数であり、hは1以上の数であり、kは1〜500の範囲の数,nは1〜200の範囲の数である。〕
(E)水
を含有するバイコンティニュアス型クレンジング化粧料。 - (A)HLBが9より大きく20以下の脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルを5〜30質量%
(B)エステル油、炭素数が12以上の液状高級アルコールから選ばれる一種以上の極性油を3〜20質量%、
(C)1価または2価で炭素数が6以下のアルコール類を5〜30質量%
(D)下記の一般式(1)で表される化合物である疎水性変性ポリエーテルウレタンを0.05〜2.0質量%
(R1−{(O−R2)k−OCONH−R3[−NHCOO−(R4−O)n−R5]h}m…(1)
〔式中、R1は炭化水素基を表し、R2およびR4は互いに同一でも異なっても良い炭素数2〜4のアルキレン基、またはフェニルエチレン基を表し、R3はウレタン結合を有していても良い炭化水素基を表し、R5は分岐鎖または2級の炭化水素基を表し、mは2以上の数であり、hは1以上の数であり、kは1〜500の範囲の数,nは1〜200の範囲の数である。〕
(E)水
を含有する請求項1に記載のバイコンティニュアス型クレンジング化粧料。 - 前記成分(A):(B)の比率が3:2〜3:1である請求項1または2に記載のバイコンティニュアス型クレンジング化粧料。
- 更に(F)アルキル変性をおこなった(メタ)アクリル酸をモノマーの構成単位として含む水溶性ポリマーを配合する、請求項1〜3に記載のバイコンティニュアス型クレンジング化粧料。
- 更に(G)分子内に水酸基(−OH)を3つ以上有する水溶性のポリヒドロキシ化合物を配合する、請求項1〜4に記載のバイコンティニュアス型クレンジング化粧料。
- 30℃における粘度が、5000mPa・s以上である、請求項1から5に記載のバイコンティニュアス型クレンジング化粧料。
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