以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る光音響計測装置を示す。光音響計測装置10は、プローブ(超音波探触子)11、超音波ユニット12、及び光源13を備える。なお、本発明の実施形態では、音響波として超音波を用いるが、超音波に限定されるものでは無く、被検対象及び/又は測定条件等に応じて適切な周波数を選択してさえいれば、可聴周波数の音響波を用いても良い。
光源13は、生体組織などの被検体に照射される測定光を出射する。測定光の波長は、観察対象の生体組織などに応じて適宜設定される。光源13は、例えば固体レーザ光源である。光源のタイプは特に限定されず、光源13が、レーザダイオード光源(半導体レーザ光源)であってもよいし、或いはレーザダイオード光源を種光源とする光増幅型レーザ光源であってもよい。レーザ光源以外の光源を用いてもよい。光源13から出射した測定光は、例えば光ファイバなどの導光手段を用いてプローブ11まで導光され、プローブ11から被検体に向けて照射される。測定光の照射位置は特に限定されず、プローブ11以外の場所から測定光の照射を行ってもよい。
プローブ11は、被検体内の光吸収体が被検体に向けて出射された測定光を吸収することで発生した光音響波を検出する。プローブ11は、光音響波の検出に加えて、被検体に対する音響波(超音波)の送信、及び送信した超音波に対する反射音響波(反射超音波)の受信を行う。音波の送受信は分離した位置で行ってもよい。例えばプローブ11とは異なる位置から超音波の送信を行い、その送信された超音波に対する反射超音波をプローブ11で受信してもよい。プローブ11のタイプは特に限定されず、リニアプローブであってもよいし、コンベクスプローブ、又はセクタープローブであってもよい。
超音波ユニット12は、受信回路21、受信メモリ22、データ分離手段23、光音響画像生成手段24、超音波画像生成手段25、画像出力手段26、制御手段28、及び送信回路29を有する。超音波ユニット12は、信号処理装置を構成する。超音波ユニット12は、例えばプロセッサ、メモリ、及びバスなどを有するコンピュータ装置として構成される。超音波ユニット12には、光音響画像生成に関するプログラムが組み込まれており、そのプログラムが動作することで、超音波ユニット12内の各部の少なくとも一部の機能が実現する。
受信回路(信号受信回路)21は、プローブ11が出力する検出信号を受信し、受信した検出信号を受信メモリ22に格納する。受信回路21は、典型的には、低ノイズアンプ、可変ゲインアンプ、ローパスフィルタ、及びAD変換器(Analog to Digital convertor)を含む。プローブ11の検出信号は、低ノイズアンプで増幅された後に、可変ゲインアンプで深度に応じたゲイン調整がなされ、ローパスフィルタで高周波成分がカットされた後にAD変換器でデジタル信号に格納され、受信メモリ22に格納される。受信回路21は、例えば1つのIC(Integrated Circuit)で構成される。
プローブ11は、光音響波の検出信号と反射超音波の検出信号とを出力し、受信メモリ22には、AD変換された光音響波及び反射超音波の検出信号(サンプリングデータ)が格納される。データ分離手段23は、受信メモリ22から光音響波の検出信号のサンプリングデータを読み出し、光音響画像生成手段24に送信する。また、受信メモリ22から反射超音波のサンプリングデータを読み出し、超音波画像生成手段(反射音響波画像生成手段)26に送信する。
光音響画像生成手段24は、プローブ11で検出された光音響波の検出信号に基づいて光音響画像を生成する。光音響画像の生成は、例えば、位相整合加算などの画像再構成、検波、及び/又は対数変換などを含む。超音波画像生成手段25は、プローブ11で検出された反射超音波の検出信号に基づいて超音波画像(反射音響波画像)を生成する。超音波画像の生成も、位相整合加算などの画像再構成、検波、及び/又は対数変換などを含む。画像出力手段26は、光音響画像と超音波画像とをディスプレイ装置などの画像表示手段14に出力する。
制御手段28は、超音波ユニット12内の各部を制御する。制御手段28は、例えば光音響画像を取得する場合は、光源13に光トリガ信号を送信し、光源13から測定光を出射させる。また、測定光の出射に合わせて、受信回路21にサンプリングトリガ信号を送信し、光音響波のサンプリング開始タイミングなどを制御する。
制御手段28は、超音波画像を取得する場合は、送信回路29に超音波送信を指示する旨の超音波送信トリガ信号を送信する。送信回路29は、超音波送信トリガ信号を受けると、プローブ11に、プローブ11から超音波を送信させるための送信信号を出力し、プローブ11から超音波を送信させる。プローブ11は、例えば音響ラインを一ラインずつずらしながら走査して反射超音波の検出を行う。制御手段28は、超音波送信のタイミングに合わせて受信回路21にサンプリングトリガ信号を送信し、反射超音波のサンプリングを開始させる。
図2は、プローブ11の構成を示す。プローブ11は、音響波検出器101、光出射部102、プリアンプ103、及び送受信切替スイッチ106を有する。光出射部102は、光源13から出力された測定光を、被検体に向けて出射する。光源13と光出射部102とは、例えばバンドルファイバなどにより接続されている。光出射部102は、例えば測定光を導光する導光板、及び/又は測定光を拡散させる拡散板などを含む。光ファイバの光出射端を光出射部102としてもよい。
音響波検出器101は、例えば一次元的に配列された複数の検出器素子(超音波振動子)を有している。音響波検出器101は、光音響波と反射超音波を検出して検出信号を出力する。音響波検出器101は、被検体に対する音響波の送信を行う音響波送信器を兼ねている。送受信切替スイッチ106は、音響波検出器101の接続先を、プリアンプ103と、超音波ユニット12(図1を参照)内に配置された送信回路29との間で切り替える。
プリアンプ103は、送受信切替スイッチ106を介して音響波検出器101から出力された検出信号を受信し、その検出信号を増幅する。プリアンプ103は、その内部において流れる電流(バイアス電流)を制御可能である。一般に、アンプに電流を多く流すほど、ノイズを低くすることができる。しかしながら、アンプに電流を多く流すほど、消費電力が増加し、発熱が大きくなる。プリアンプ103におけるノイズ性能は、消費電力とトレードオフの関係にある。例えば、プリアンプ103における検出信号の増幅率を一定としたまま、ある消費電力に対してそれよりも低い低消費電力でプリアンプ103を動作させた場合、プリアンプのノイズ性能は、消費電力の低下に伴って低下する。ここで、ノイズ性能とは、例えばノイズ指数(NF:Noise Factor)によって表される指標である。
超音波ユニット12(図1を参照)の受信回路21は、プリアンプ103により増幅された検出信号を受信する。超音波ユニット12の制御手段28は、プローブ11内に配置されたプリアンプ103、及び送受信切替スイッチ106の制御も行う。制御手段28は、光音響波及び反射超音波が検出される場合は音響波検出器101の接続先をプリアンプ103とする。制御手段28は、超音波の送信が行われる場合は音響波検出器101の接続先を送信回路とする。
制御手段28は、プリアンプ103の動作モードを、検出信号を増幅する第1の動作モードと、第1の動作モードよりも低消費電力で検出信号を増幅する第2の動作モードと、プリアンプ103における検出信号の増幅を停止する第3の動作モードとの間で切り替えて設定する。第1の動作モードと第2の動作モードとで、プリアンプ103の増幅率は一定であるとする。制御手段28は、光音響波が検出される場合はプリアンプ103の動作モードを第1の動作モードに設定し、反射超音波が検出される場合はプリアンプ103の動作モードを第2の動作モードに設定する。制御手段28は、測定光の出射及び超音波の送信が実施される場合は、プリアンプ103の動作モードを第3の動作モードとする。制御手段28は、光音響波及び反射超音波の何れも検出されず、かつ測定光の出射及び超音波の送信の何れも実施されない場合(待機の場合)も、プリアンプ103の動作モードを第3の動作モードとしてもよい。
一般に、光音響波はその強度が微弱であり、光音響波の検出信号は信号強度が低い。プリアンプ103が第1の動作モードで動作する場合、プリアンプ103が第2の動作モードで動作する場合に比べて、プリアンプ103の消費電力は高く、プリアンプ103をノイズ性能が高い状態(低ノイズ状態)で使用できる。つまり、プリアンプ103において低ノイズで検出信号を増幅できる。光音響波の検出信号を増幅する場合に、プリアンプ103を第1の動作モードで動作させ、微弱な光音響波の検出信号を低ノイズで増幅することにより、受信回路21においてサンプリングされその後の信号処理において用いられる光音響波の検出信号のSN比(Signal to Noise Ratio)を向上することができる。
一方、プリアンプ103が第2の動作モードで動作する場合、プリアンプ103が第1の動作モードで動作する場合に比べて、プリアンプ103におけるノイズ性能は低いものの、プリアンプ103を低消費電力状態で使用できる。一般に、反射超音波は光音響波に比べて強度が高く、多くの電流を流して高い消費電力でプリアンプ103を動作させたとしても、SN比向上に対するメリットは小さく、熱的なデメリットは大きい。そこで、本実施形態では、反射超音波が検出される場合は発熱の抑制を優先し、プリアンプ103を第2の動作モードで動作させて消費電力を抑える。消費電力を抑えることにより、プリアンプ103における発熱が抑えられる。
図3は、プリアンプ103の構成例を示す。プリアンプ103は、例えば検出信号を増幅して出力するアンプ本体部301と、それ以外の周辺回路302とを有する。アンプ本体部301及び周辺回路302には、電源回路350から電源が供給される。アンプ本体部301と周辺回路302とで、電源回路350から供給される電源の電圧が異なっていてもよい。アンプ本体部301は、例えばトランジスタなどで構成されたオペアンプ、及び抵抗器などを含む。周辺回路302は、制御手段28(図1及び図2を参照)との間で通信を行う通信回路などを含んでいてもよい。通信回路は、例えば特定の信号線の信号レベルがHighであるかLowであるかを判別することにより、制御手段28からの指令などを読み取ってもよい。制御手段28との間の通信には、SPI(Serial Peripheral Interface)又はI2C(Inter-Integrated Circuit)などのシリアル通信を用いてもよい。
周辺回路302は、アンプ本体部301における増幅動作の動作モードを切り替えるモード切替部を含んでいてもよい。モード切替部は、例えば、アンプ本体部301において検出信号の増幅を実施する第1の動作モードと、アンプ本体部301において第1の動作モード時よりも低消費電力で検出信号の増幅を実施する第2の動作モードとの間で動作モードを切り替える。アンプ本体部301における消費電力は、例えばアンプ本体部301の内部において増幅段のトランジスタのソース・ドレイン間に流れる電流の大きさを制御することで制御される。第1の動作モードと第2の動作モードとで、検出信号に対する増幅率は同じ増幅率であるが、第1の動作モードではアンプ本体部301において供給される電流が多いため、第2の動作モードに比べて検出信号を低ノイズで増幅できる。制御手段28は、光音響波が検出される場合は、モード切替部に第1の動作モードの選択を指示することによりプリアンプ103の動作モードを第1の動作モードに設定する。制御手段28は、反射超音波が検出される場合は、モード切替部に第2の動作モードの選択を指示することによりプリアンプ103の動作モードを第2の動作モードに設定する。
プリアンプ103は、検出信号の増幅を行う作動状態と、増幅動作を停止させた状態との間で、動作状態を切り替えることができる。上記モード切替部が切り替え可能な動作モードは、第1の動作モード及び第2の動作モードに加えて、検出信号の増幅を停止する第3の動作モードを含んでいてもよい。制御手段28は、測定光の出射及び超音波の送信が実施される場合は、モード切替部に第3の動作モードの選択を指示することにより、プリアンプ103の動作モードを第3のモードに設定する。第3の動作モードでは、プリアンプ103において増幅動作が停止され、プリアンプ103の消費電力は、プリアンプ103が作動状態にある場合のプリアンプ103の消費電力よりも低くなる。
上記では、モード切替部により第3の動作モードを選択することによって増幅動作を停止することとしたが、増幅動作を停止させるやり方はこれには限定されない。モード切替部により第3の動作モードを選択することに加えて、又はこれに代えて、例えば制御手段28により、プリアンプ103への電源供給を制御することによりプリアンプ103の増幅動作を停止させ、プリアンプ103の動作モードを第3の動作モードとしてもよい。例えば、図3において、電源回路350とアンプ本体部301との間に電源スイッチを設け、アンプ本体部301に対する電源供給のみを停止可能に構成してもよい。制御手段28は、例えばその電源スイッチをオープンにすることで、周辺回路302への電源供給を継続したままアンプ本体部301に対する電源供給のみを停止させることができる。この場合、アンプ本体部301への電源供給が断たれることで、プリアンプ103における増幅動作が停止される。一方、周辺回路302には電源が供給されるため、周辺回路302は制御手段28との間の通信などを継続できる。
プリアンプ103において、消費電力が大きい部分は、検出信号の増幅動作を実施するアンプ本体部301の部分である。周辺回路302は、アンプ本体部301と比べて、消費電力が小さい。したがって、プリアンプ103においてアンプ本体部301への電源供給を停止することで、効果的にプリアンプ103の消費電力を下げることができる。消費電力を下げることができた分だけ、プリアンプ103の発熱が抑えられる。アンプ本体部301への電源供給のみを停止するのに代えて、プリアンプ103全体への電源供給を停止することにより、プリアンプ103における増幅動作を停止させることも可能である。
図4は、超音波を送信する場合の送信信号の信号経路を示す。超音波を送信する場合、制御手段28は、送受信切替スイッチ106により、送信回路29と音響波検出器101とを接続させる。送信回路29が送信した送信信号は、図4中に破線で示すように、送受信切替スイッチ106を経て、音響波検出器101に入力される。送受信切替スイッチ106が、音響波検出器101の接続先として送信回路29を選択しているため、送信回路29が送信した送信信号は、プリアンプ103へは入力されない。超音波を送信する場合、制御手段28は、例えばプリアンプ103のモード切替部に第3の動作モードを指示することにより、プリアンプ103における増幅動作を停止させる。したがって、超音波を送信している期間はプリアンプ103による発熱が抑えられている。
図5は、反射超音波を検出する場合の検出信号の信号経路を示す。反射超音波を検出する場合、制御手段28は、送受信切替スイッチ106により、音響波検出器101とプリアンプ103とを接続させる。音響波検出器101が出力する反射超音波の検出信号(受信信号)は、図5中に破線で示すように、送受信切替スイッチ106及びプリアンプ103を経て、受信回路21に入力される。反射超音波を検出する場合、制御手段28は、例えばプリアンプ103のモード切替部に第2の動作モードを指示し、プリアンプ103を低消費電力で動作させる。反射超音波の検出信号は、プリアンプ103において増幅された後、受信回路21によって受信される。
図6は、測定光の照射を行う場合の測定光の経路を示す。測定光の照射を行う場合、制御手段28は光源13に光トリガ信号を出力し、光源13から測定光を出力させる。光源13から出力された測定光は、図6中に破線で示すように、バンドルファイバなどを通じて光出射部102に入射し、光出射部102から被検体に照射される。測定光の照射を行う場合、プローブ11において電気的な信号の送受信は発生しないため、発熱抑制の観点から、プリアンプ103における増幅動作を停止させることが望ましい。制御手段28は、例えばプリアンプ103のモード切替部に第3の動作モードを指示することにより、プリアンプ103における増幅動作を停止させる。
図7は、光音響波を検出する場合の検出信号の信号経路を示す。光音響波を検出する場合、制御手段28は、送受信切替スイッチ106により、音響波検出器101とプリアンプ103とを接続させる。音響波検出器101が出力する光音響波の検出信号(受信信号)は、図7中に破線で示すように、送受信切替スイッチ106及びプリアンプ103を経て、受信回路21に入力される。光音響波を検出する場合、制御手段28は、例えばプリアンプ103のモード切替部に第1の動作モードを指示し、プリアンプ103を低ノイズ状態で動作させる。光音響波の検出信号は、プリアンプ103において低ノイズで増幅された後、受信回路21によって受信される。
なお、超音波の送信、反射超音波の検出、測定光の照射、及び光音響波の検出の何れも実施していない待機時は、発熱抑制の観点から、測定光を照射する場合と同様に、プリアンプ103の動作モードを第3の動作モードとし、プリアンプ103における増幅動作を停止することが好ましい。
図8は、プリアンプ103の動作モードとプリアンプ103に対する制御信号、ノイズ、及び消費電力との対応関係を示す。制御手段28は、例えば増幅停止制御を示す信号(以下、増幅停止制御信号とも呼ぶ)により、プリアンプ103の作動と停止を制御する。また、制御手段28は、例えばノイズ制御を示す信号(以下、ノイズ制御信号とも呼ぶ)により、プリアンプ103における消費電力及びノイズ性能を制御する。
プリアンプ103のモード切替部は、例えば増幅停止制御信号の信号レベルがHighであれば、プリアンプ103におけるアンプ本体部301(図3を参照)の動作を停止させる。言い換えれば、モード切替部は、プリアンプ103の動作モードを第3の動作モードとする。モード切替部は、増幅停止制御信号の信号レベルがLowであればアンプ本体部301を作動させる。モード切替部は、増幅停止制御信号の信号レベルがLowの場合、ノイズ制御信号の信号レベルに応じて第1の動作モードと第2の動作モードとを切り替える。モード切替部は、ノイズ制御信号の信号レベルがLowの場合はプリアンプ103の動作モードを第1の動作モードとし、ノイズ制御信号の信号レベルがHighの場合はプリアンプ103の動作モードを第2の動作モードとする。
プリアンプ103が第1の動作モードで動作する場合、例えばプリアンプ103において増幅段のトランジスタに供給される電流の電流値が大きく、プリアンプ103の消費電力は第2の動作モードで動作する場合の消費電力よりも高くなる(消費電力「大」)。一方で、供給電流の電流値が大きいため、微弱な検出信号に対して低ノイズで信号増幅を実施できる(ノイズ「小」)。プリアンプ103が第2の動作モードで動作する場合、例えばプリアンプ103において増幅段のトランジスタに供給される電流の電流値が小さく、プリアンプ103の消費電力は低い(消費電力「小」)。一方で、供給電流の電流値が小さいため、増幅された検出信号に比較的ノイズが多く混入する(ノイズ「大」)。プリアンプ103の動作モードが第3の動作モードである場合は、増幅動作そのものが停止されるため、消費電力は最も少なくなる(消費電力「極小」)。
第1の動作モードは、消費電力は大きいものの、微弱な検出信号に対して低ノイズ化を実現できるモードである。以下では、第1の動作モードを低ノイズモードとも呼ぶ。第2の動作モードは、ノイズは比較的多いものの、消費電力が低いモードである。以下では、第2の動作モードを低消費電力モードとも呼ぶ。第3の動作モードは、増幅動作を停止して消費電力を最少化できるモードである。以下では、第3の動作モードを停止モードとも呼ぶ。
光音響波が検出される場合、プリアンプ103は低ノイズモードで動作する。この動作モードは消費電力が大きく、従って発熱量も大きいが、微弱な光音響信号に対してノイズ低減の効果がある。反射超音波が検出される場合、プリアンプ103は低消費電力モードで動作する。この動作モードでは低ノイズモードと比べてノイズ性能は落ちるものの、消費電力が低く抑えられ、従って発熱量が少なくて済む。一般に、反射超音波の検出信号は光音響波の信号レベルよりも信号強度が強いため、ノイズ性能が多少低くても問題がない。光音響波及び反射超音波の何れも検出されない場合、プリアンプ103を停止モードとすることで、最も発熱量が少ない状態とすることができる。
なお、上記では、プリアンプ103が増幅動作を行う動作モードとして、低ノイズモードと低消費電力モードとの2つを考えたが、増幅動作を行う動作モードの数は2つには限定されない。例えば、第1の動作モードの消費電力と第2の動作モードの消費電力との間の消費電力で検出信号を増幅する第3の動作モード(中間モード)を設け、反射音響波が検出される場合に、プリアンプ103の動作モードを中間モードにしてもよい。その場合、プリアンプ103の消費電力及びノイズ性能は、低消費電力モードと低ノイズモードとの中間になる。
続いて動作手順を説明する。図9は、光音響計測装置10の動作手順を示す。制御手段28は、待機時はプリアンプ103に送信する増幅停止制御信号の信号レベルをHighとし、プリアンプ103の増幅動作を停止させている(ステップS1)。超音波を送信する場合、制御手段28は、送受信切替スイッチ106により、音響波検出器101と送信回路29とを接続させる(ステップS2)。送信回路29は送信信号を出力し、音響波検出器101は送受信切替スイッチ106を介して送信信号を受信し、被検体に対して超音波の送信を実施する(ステップS3)。
制御手段28は、超音波の送信が終了すると、送受信切替スイッチ106により、音響波検出器101とプリアンプ103とを接続させる(ステップS4)。また、制御手段28は、プリアンプ103に送信する増幅停止制御信号の信号レベルをLowにし、かつノイズ制御信号の信号レベルをHighにすることで、プリアンプ103の動作モードを低消費電力モードとする(ステップS5)。つまり、プリアンプ103における増幅動作を作動状態とし、かつプリアンプ103を低消費電力状態で動作させる。音響波検出器101は、ステップS3で送信された超音波に対する反射超音波を検出する。受信回路21は、プリアンプ103により増幅された反射超音波の検出信号を受信する(ステップS6)。
制御手段28は、反射超音波の受信が終了すると、プリアンプ103に送信する増幅制御信号の信号レベルをHighに変化させ、プリアンプ103の動作モードを停止モードにする(ステップS7)。制御手段28は、光源13に光トリガ信号を出力し、光源13から測定光を出力させる(ステップS8)。光源13から出力された測定光は、光出射部102から被検体に照射される。
制御手段28は、プリアンプ103に送信する増幅停止制御信号の信号レベルをLowにし、かつノイズ制御信号の信号レベルをLowにすることで、プリアンプ103の動作モードを低ノイズモードにする(ステップS9)。つまり、プリアンプ103における増幅動作を作動状態とし、かつプリアンプ103を低ノイズ状態で動作させる。音響波検出器101は、被検体内の光吸収体がステップS8で出力された測定光を吸収することで発生した光音響波を検出する。受信回路21は、プリアンプ103により増幅された光音響波の検出信号を受信する(ステップS10)。制御手段28は、光音響波の受信が終了すると、プリアンプ103に送信する増幅停止制御信号の信号レベルをHighにすることにより、プリアンプ103の動作モードを停止モードにする(ステップS11)。
超音波ユニット12(図1を参照)は、受信回路21により受信した反射超音波の検出信号及び光音響波の検出信号に対して信号処理を実施する(ステップS12)。超音波ユニット12は、例えばステップS12では、光音響画像生成手段24により光音響画像を生成する。また、超音波画像生成手段25により超音波画像を生成する。生成された光音響画像及び超音波画像は、画像表示手段14に例えば重ねて又は並べて表示される。信号処理は画像生成には限定されず、画像生成とは異なる処理であってもよい。
図10は、一連の計測とプリアンプ103の動作状況とを示す。超音波計測は超音波の送信と反射超音波の受信とを含み、光音響計測は測定光の出射と光音響波の検出(受信)とを含む。なお、図10では、超音波計測を実施した後に光音響計測を実施することとしているが、これらの順序は特に問わない。複数回の超音波計測に対して1回の光音響計測を実施することも可能である。
超音波計測において超音波の送信を行う期間をT1とし、反射超音波の受信を行う期間をT2とする。また、光音響計測において測定光の出射を行う期間をT4とし、光音響波の検出を行う期間をT5とする。超音波計測と光音響計測との間、及び光音響計測の後ろには待機の期間が設けられる。それら待機の期間をそれぞれ期間T3及びT6とする。制御手段28は、期間T1、T3、T4及びT6では、プリアンプ103の動作モードを停止モードとする。制御手段28は、反射超音波の検出を実施している期間T2はプリアンプの動作モードを低消費電力モードとし、光音響波の検出を実施している期間T5ではプリアンプ103の動作モードを低ノイズモードとする。
比較例として、特許文献2と同様に、音響波検出器101にて音響波が検出される期間にのみプリアンプ103を動作させることを考える。この場合、反射超音波が検出されている期間T2と、光音響波が検出されている期間T5との双方において、同じ消費電力で検出信号が増幅される。プリアンプ103における消費電力が高ければ、光音響信号のSN比の向上が期待できるものの、発熱量が多くなる。一方で、プリアンプ103における消費電力が低い場合は発熱を抑えることはできるものの、微弱な光音響波の検出信号のSN比が低くなる。前述したように、反射超音波は光音響波に比べて強度が高く、その検出信号を光音響波の検出信号とノイズ性能で増幅したとしても、SN比向上に対するメリットが小さいことが少なくない。本実施形態では、反射超音波が検出されている期間は、ノイズ性能に劣るものの消費電力が低消費電力状態で検出信号の増幅を行うため、比較例に比べてプリアンプ103の発熱を抑制する効果が高く、プローブ11の表面温度の上昇を更に抑制することができる。
特許文献3との比較では、特許文献3は、超音波の送信時のプリアンプの発熱を考慮していない。本実施形態では、測定光の照射時及び超音波の送信時にプリアンプ103における増幅動作を停止するため、特許文献3と比較して、プリアンプ103の発熱を抑制する効果が高い。
本実施形態では、音響波検出器101にて光音響波が検出される場合は、プリアンプ103を作動状態とし、かつプリアンプをノイズ性能が高い低ノイズ状態で動作させる。また、音響波検出器101にて反射超音波が検出される場合は、プリアンプ103を作動状態とし、かつプリアンプを消費電力が低い低消費電力状態で動作させる。本実施形態では、光音響波が検出されている場合はプリアンプ103により光音響波の検出信号が比較的ノイズ性能が高い状態で増幅され、反射超音波が検出されている場合は反射超音波の検出信号が比較的消費電力が低い状態で増幅される。一般に、プリアンプ103の発熱量は、消費電力が高いほど多い。本実施形態では、反射超音波の検出時はプリアンプ103の発熱を、光音響波の検出時のプリアンプ103の発熱よりも抑えているため、プリアンプ103を有するプローブ11における発熱の更なる抑制が可能である。
ここで、プローブ11は光音響計測用のプローブではあるものの、プローブ11は常に光音響計測を含む計測に用いられるとは限られず、プローブ11を用いて超音波計測のみを実施する場合もあり得る。本実施形態は、光音響計測用のプローブ11を用いて、超音波Bモードなどの、反射超音波の検出信号の信号強度が十分に大きくプリアンプ103によるSN比の改善があまり期待できない撮像にも有効である。許容最大発熱量に対し、プリアンプ103において反射超音波の検出信号が検出される場合のプリアンプ103の消費電力を低くしたことにより抑制できる発熱量(発熱低減分)だけプローブ11の発熱量に余裕ができることから、超音波送信時の送信電圧を増加させて、超音波送信時の音響波検出器101の発熱量を発熱低減分だけ増やすことができる。送信電圧を増加させることで、よりSN比の高い超音波画像を得ることができる。
また、本実施形態は、光音響計測用のプローブ11を用いて、ドップラーモードなどのパルス繰り返し周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)が高い撮像を行う際にも有効である。プリアンプ103において反射超音波の検出信号が増幅される場合のプリアンプ103の消費電力を低くしたことにより抑制できる発熱量(発熱低減分)を、超音波送信時の音響波検出器101の発熱上昇に振り分けることで、高いPRFでの撮像が可能となる。光音響計測用のプローブであっても、光音響画像、或いは光音響画像と超音波画像との重畳画像の撮像だけなく、その他の超音波画像の撮像にも用いられることがあるため、本実施形態は非常に有効である。
次いで、本発明の第2実施形態を説明する。図11は、本発明の第2実施形態に係る光音響計測装置のプローブの構成を示す。本実施形態の光音響計測装置の全体的な構成は、図1に示す第1実施形態に係る光音響計測装置10の構成と同様でよい。本実施形態で用いられるプローブ11aでは、プリアンプ103の動作モードは、外部の電源回路30から供給される電源によって制御される。より詳細には、その他の点は、第1実施形態と同様でよい。
電源回路30は、電流源であり、プリアンプ103に対して電源供給を行う。電源回路30は超音波ユニット12(図1を参照)の内部に設けられていてもよいし、超音波ユニット12の外部に設けられていてもよい。電源回路30が供給する電流の大きさは、複数の電流値の間で切り替え可能である。本実施形態において、プリアンプ103は、例えば電流帰還形の増幅器として構成されており、供給電流の大きさに依存した消費電力及びノイズ性能で検出信号を増幅する。電源回路30は、プリアンプ103に対する電源供給を停止することもできる。プリアンプ103は、電源供給がない場合(供給電流が0Aの場合)、増幅動作を停止する。
電源回路30は、プリアンプ103に供給する電流の大きさを、第1の電流値と、第1の電流値よりも小さい第2の電流値との間で切り替える。電源回路30は、例えば2mAの電流と3mAの電流とを、プリアンプ103(特にアンプ本体部301)に対して切り替えて供給する。第1の電流値と第2の電流値は、例えばプリアンプ103の規格で定められている動作可能電流範囲の中から選択される。プリアンプ103のノイズ性能及び消費電力は、供給電流に応じて変化する。プリアンプ103のノイズ性能は、アンプ本体部301への供給電流が大きいほど高く、プリアンプ103の消費電力は、アンプ本体部301への供給電流が大きい高くなる。
制御手段28は、電源回路30がプリアンプ103へ供給する電流の大きさを制御される。制御手段28は、プリアンプ103への供給電流の大きさを制御することで、プリアンプ103の動作モードを切り替える。制御手段28は、光音響波が検出される場合は、電源回路30から第1の電流値の電流をプリアンプ103に供給させることにより、プリアンプ103の動作モードを第1の動作モードとする。制御手段28は、反射超音波が検出される場合は、電源回路30から第2の電流値の電流をプリアンプ103に供給させることにより、プリアンプ103の動作モードを第2の動作モードとする。制御手段28は、測定光の照射及び超音波の送信が実施される場合は、電源回路30からプリアンプ103に供給される電流を0Aにすることにより、プリアンプ103の動作モードを第3の動作モードとする。
図12は、プリアンプ103の動作モードとプリアンプ103への供給電流、ノイズ、及び消費電力との対応関係を示す。プリアンプ103に対して電源回路30から3mAの電流が供給されている場合、プリアンプ103の消費電力は、電源回路30から2mAの電流が供給されている場合に比べて高い(消費電力「大」)。一方で、プリアンプ103に対して電源回路30から3mAの電流が供給されている場合、プリアンプ103において例えば比較的大きなバイアス電流が流れることなどによってノイズ性能が比較的高くなり、微弱な検出信号に対して低ノイズで信号増幅を実施できる(ノイズ「小」)。プリアンプ103への供給電流が3mAの場合、プリアンプ103は低ノイズモードで動作する。
プリアンプ103に対して電源回路30から2mAの電流が供給されている場合、例えばプリアンプ103におけるバイアス電流が比較的小さくなることなどによってノイズ性能が比較的低くなり、増幅された検出信号に比較的ノイズが多く混入する(ノイズ「大」)。一方で、プリアンプ103に対して電源回路30から2mAが供給されている場合、プリアンプ103の消費電力は、電源回路30から3mAの電流が供給されている場合に比べて低くなる(消費電力「小」)。プリアンプ103への供給電圧が2mAの場合、プリアンプ103は低消費電力モードで動作する。プリアンプ103への供給電流が0Aの場合は、増幅動作そのものが停止されるため、消費電力は最も少なくなる(消費電力「極小」)。プリアンプ103への供給電流が0Aの場合、プリアンプ103の動作モードは停止モードとなる。
本実施形態では、外部からプリアンプ103へ供給する電流を制御する。本実施形態では、プリアンプ103に外部から供給する電流を制御することで、プリアンプ103の動作モードを低ノイズモードと低消費電力モードとの間で切り替えているため、プリアンプ103自体が動作モードを切り替えるための機構を備えている必要はない。本実施形態においても、光音響波が検出される場合はプリアンプ103への供給電流を比較的大きな電流にしてプリアンプ103を低ノイズモードで動作させ、反射超音波が検出される場合はプリアンプ103への供給電流を比較的小さな電流にしてプリアンプ103を低消費電力モードで動作させることで、第1実施形態と同様な効果が得られる。
続いて、本発明の第3実施形態を説明する。図13は、本発明の第3実施形態に係る光音響計測装置のプローブの構成を示す。本実施形態の光音響計測装置の全体的な構成は、図1に示す第1実施形態に係る光音響計測装置10の構成と同様でよい。本実施形態で用いられるプローブ11bは、音響波検出器101、光出射部102、プリアンプ103、バイパス部104、第1の経路切替スイッチ111、及び第2の経路切替スイッチ112を有する。音響波検出器101、光出射部102、及びプリアンプ103は、図2に示す第1実施形態で用いられたプローブ11におけるそれら要素と同様でよい。
第1実施形態では、図2に示すように、受信回路21及び送信回路29はそれぞれ個別の配線によりプローブ11と接続されていたのに対し、本実施形態では、受信回路21及び送信回路29は共通の配線を通じてプローブ11bと接続される。本実施形態では、受信回路21と送信回路29とが共通の配線を通じて送信信号の送信及び検出信号の受信を行うため、個別の配線を用いる場合に比べて、プローブ11bと超音波ユニット12(図1を参照)とを接続する配線の数を減らすことができる。本実施形態においては、例えば受信回路21の入力側に、送信回路29が出力する送信信号が回り込むのを防ぐ保護回路などを設けるとよい。
第1の経路切替スイッチ111は、受信回路21と送信回路29に共通の配線の接続先をバイパス部104とプリアンプ103(その出力ノード)との間で切り替える。第2の経路切替スイッチ112は、音響波検出器101の接続先を、プリアンプ103(その入力ノード)とバイパス部104との間で切り替える。バイパス部104は、第1の経路切替スイッチ111と第2の経路切替スイッチ112との間を接続する。バイパス部104は、送信信号をプリアンプ103を通さずに音響波検出器101に入力させるためのものである。バイパス部104は、例えば第1の経路切替スイッチ111と第2の経路切替スイッチ112との間を接続する配線である。バイパス部104は、単なる配線には限らず、バイパス部を通過する信号に対してインピーダンスが低い何らかの素子、例えばダイオードなどの素子を含んでいてもよい。
制御手段28は、プリアンプ103、第1の経路切替スイッチ111、及び第2の経路切替スイッチ112を制御する。プリアンプ103の制御は第1実施形態におけるものと同様でよい。すなわち、制御手段28は、光音響波が検出される場合はプリアンプ103を低ノイズモードで動作させ、反射超音波が検出される場合はプリアンプ103を低消費電力モードで動作させ、測定光の照射及び超音波の送信が実施される場合はプリアンプ103における増幅を停止させるものであってよい。あるいは、第2実施形態と同様に、外部の電源回路20(図11を参照)からプリアンプ103に供給される電流の大きさを制御することにより、プリアンプ103の動作モードを制御することとしてもよい。
制御手段28は、光音響波及び反射超音波を検出する場合は、第1の経路切替スイッチ111により受信回路21と送信回路29とに共通の配線とプリアンプ103とを接続させる。また、制御手段28は、光音響波及び反射超音波を検出する場合は、第2の経路切替スイッチ112により音響波検出器101とプリアンプ103とを接続させる。このようにすることで、音響波検出器101から出力された検出信号は、プリアンプ103により増幅された後に、受信回路21へ入力される。
制御手段28は、超音波を送信する場合は、第1の経路切替スイッチ111により受信回路21と送信回路29とに共通の配線とバイパス部104とを接続させる。また、制御手段28は、超音波を送信する場合及び反射超音波を検出する場合は、第2の経路切替スイッチ112により音響波検出器101とバイパス部104とを接続させる。このようにすることで、超音波を送信する場合に、送信回路29から送信された送信信号は、バイパス部104を通って音響波検出器101に入力される。
図14は、超音波を送信する場合の送信信号の信号経路を示す。超音波を送信する場合、制御手段28は、第1の経路切替スイッチ111により受信回路21と送信回路29とに共通の配線とバイパス部104とを接続させ、第2の経路切替スイッチ112により音響波検出器101とバイパス部104とを接続させる。送信回路29が送信した送信信号は、図14中に破線で示すように、第1の経路切替スイッチ111、バイパス部104、及び第2の経路切替スイッチ112を経て、音響波検出器101に入力される。第1の経路切替スイッチ111が受信回路21と送信回路29とに共通の配線の接続先をバイパス部104とし、第2の経路切替スイッチ112が音響波検出器101の接続先をバイパス部104としているため、送信回路29が送信した送信信号は、プリアンプ103へは入力されない。超音波を送信する場合、制御手段28は、例えばプリアンプ103のモード切替部に第3の動作モードを指示することにより、プリアンプ103における増幅動作を停止させる。したがって、超音波を送信している期間はプリアンプ103による発熱が抑えられている。
図15は、反射超音波を検出する場合の検出信号の信号経路を示す。反射超音波を検出する場合、制御手段28は、第1の経路切替スイッチ111により受信回路21と送信回路29とに共通の配線とプリアンプ103とを接続させ、第2の経路切替スイッチ112により音響波検出器101とプリアンプ103とを接続させる。音響波検出器101が出力する反射超音波の検出信号(受信信号)は、図15中に破線で示すように、第2の経路切替スイッチ112、プリアンプ103、及び第1の経路切替スイッチ111を通る経路を経て、受信回路21に入力される。反射超音波を検出する場合、制御手段28は、例えばプリアンプ103のモード切替部に第2の動作モードを指示し、プリアンプ103におけるノイズ性能を比較的低くして消費電力を比較的低くする。反射超音波の検出信号は、プリアンプ103において増幅された後、受信回路21によって受信される。
図16は、測定光の照射を行う場合の測定光の経路を示す。測定光の照射を行う場合、制御手段28は光源13に光トリガ信号を出力し、光源13から測定光を出力させる。光源13から出力された測定光は、図16中に破線で示すように、バンドルファイバなどを通じて光出射部102に入射し、光出射部102から被検体に照射される。測定光の照射を行う場合、プローブ11において電気的な信号の送受信は発生しないため、発熱抑制の観点から、プリアンプ103における増幅動作を停止させることが望ましい。制御手段28は、例えばプリアンプ103のモード切替部に第3の動作モードを指示することにより、プリアンプ103における増幅動作を停止させる。
図17は、光音響波を検出する場合の検出信号の信号経路を示す。光音響波を検出する場合、制御手段28は、第1の経路切替スイッチ111により受信回路21と送信回路29とに共通の配線とプリアンプ103とを接続させ、第2の経路切替スイッチ112により音響波検出器101とプリアンプ103とを接続させる。音響波検出器101が出力する光音響波の検出信号(受信信号)は、図17に破線で示すように、第2の経路切替スイッチ112、プリアンプ103、及び第1の経路切替スイッチ111を通る経路を経て、受信回路21に入力される。光音響波を検出する場合、制御手段28は、例えばプリアンプ103のモード切替部に第1の動作モードを指示し、プリアンプ103におけるノイズ性能を比較的高くする。光音響波の検出信号は、プリアンプ103において増幅された後、受信回路21によって受信される。
なお、超音波の送信、反射超音波の検出、測定光の照射、及び光音響波の検出の何れも実施していない待機時は、測定光を照射する場合と同様に、発熱抑制の観点からプリアンプ103における増幅動作を停止することが好ましい。
本実施形態では、送受信切替スイッチ106(図2を参照)に代えて、第1の経路切替スイッチ111及び第2の経路切替スイッチ112が用いられる。光音響波及び反射超音波を検出する場合は、第1の経路切替スイッチ111により受信回路21と送信回路29とに共通の配線とプリアンプ103とを接続させ、第2の経路切替スイッチ112により音響波検出器101とプリアンプ103とを接続させることにより、光音響波の検出信号を、プリアンプ103を通る経路で受信できる。また、超音波を送信する場合は、第1の経路切替スイッチ111により受信回路21と送信回路29とに共通の配線とバイパス部104とを接続させ、かつ第2の経路切替スイッチ112により音響波検出器101とバイパス部104とを接続させることにより、超音波の送信信号を、バイパス部104を通る経路で送信することができる。本実施形態の構成においても、第1実施形態と同等に、プリアンプ103を有するプローブ11における発熱の更なる抑制が可能である。その他の効果も、第1実施形態と同様である。
なお、第3実施形態においては、プリアンプ103の入力側と出力側の双方に経路切替スイッチが配置されることとしたが、経路切替スイッチは少なくともプリアンプ103の出力側に配置されていればよく、プリアンプ103の入力側の経路切替スイッチ(第2の経路切替スイッチ112)は省略してもよい。図18は、第3実施形態の変形例のプローブを示す。変形例のプローブは、第2の経路切替スイッチ112(図17を参照)が、音響波検出器101の検出信号を分岐する信号分岐ノードNに置き換わった構成である。
変形例のプローブ11cにおいて、信号分岐ノードNは、音響波検出器101とプリアンプ103の入力ノードとの間に設けられている。バイパス部104は、その信号分岐ノードNと第1の経路切替スイッチ(以下、単に経路切替スイッチとも呼ぶ)111との間に配置されている。経路切替スイッチ111が受信回路21と送信回路29とに共通の配線とバイパス部104とを接続すると、その共通の配線はバイパス部104を介して音響波検出器101と接続される。経路切替スイッチ111が受信回路21と送信回路29とに共通の配線とプリアンプ103とを接続すると、その共通の配線はプリアンプ103を介して音響波検出器101と接続される。
制御手段28が、光音響波及び反射超音波を検出する場合に、経路切替スイッチ111により受信回路21と送信回路29とに共通の配線とプリアンプ103とを接続させる点は、第3実施形態と同様である。その場合、音響波検出器101が出力する光音響波及び反射超音波の検出信号(受信信号)は、信号分岐ノードN、プリアンプ103、及び経路切替スイッチ111を通る経路を経て、受信回路21に入力される。音響波検出器101が出力する光音響波及び反射超音波の検出信号はバイパス部104にも伝わるが、経路切替スイッチ111が受信回路21と送信回路29とに共通の配線とプリアンプ103とを接続しているため、バイパス部104を経由した信号が受信回路21で受信されることはない。
制御手段28が、超音波を送信する場合に、経路切替スイッチ111により受信回路21と送信回路29とに共通の配線とバイパス部104とを接続させる点も、第3実施形態と同様である。超音波を送信する場合、送信回路29が送信する送信信号は、経路切替スイッチ111、バイパス部104、及び信号分岐ノードNを経て、音響波検出器101に入力される。超音波を送信する場合、図18に示す変形例では、プリアンプ103の入力ノードは常に音響波検出器101と接続されるため、超音波の送信時に、送信信号がプリアンプ103に入力される。プリアンプ103に送信信号が入力されることによる問題を防止するために、プリアンプ103の入力ノードの前段に、プリアンプ103を送信信号から保護する保護回路を設けるとよい。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の光音響計測装置及び方法は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。