JP2017063003A - 非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、及び該正極活物質を用いた非水系電解質二次電池 - Google Patents

非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、及び該正極活物質を用いた非水系電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 正極材として用いられた場合に高容量とともに高出力が得られる非水系電解質二次電池用正極活物質を提供することを目的とする。【解決手段】 一般式LizNi1−x−yCoxMyO2(MはMn、V、Mg、Mo、Nb、Ti及びAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表される一次粒子及び一次粒子が凝集して構成された二次粒子からなる複合酸化物粒子とLiを含有しないW化合物粉末及び水を混合して水分を含んだW混合物を得る混合工程と、そのW混合物を熱処理することで、一次粒子表面に存在するLi化合物とW化合物粒子を反応させ、W化合物粒子を溶解して一次粒子表面にWが分散した複合酸化物粒子を形成する第1熱処理工程と、その次に行う、第1熱処理工程より高温度での熱処理で、一次粒子表面にWとLiを含む化合物を形成した複合酸化物粒子を形成する第2熱処理工程を有する非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、非水系電解質二次電池用正極活物質とその製造方法、及び該正極活物質を用いた非水系電解質二次電池に関するものである。
近年、携帯電話やノート型パソコンなどの携帯電子機器の普及に伴い、高いエネルギー密度を有する小型で軽量な二次電池の開発が強く望まれている。また、ハイブリット自動車を始めとする電気自動車用の電池として高出力の二次電池の開発も強く望まれている。
このような要求を満たす二次電池として、リチウムイオン二次電池に代表される非水系電解質二次電池がある。このリチウムイオン二次電池は、負極及び正極と電解液等で構成され、負極及び正極の活物質は、リチウムを脱離及び挿入することの可能な材料が用いられている。
このような非水系電解質二次電池は、現在研究、開発が盛んに行われているところであるが、中でも、層状またはスピネル型のリチウムニッケル複合酸化物を正極材料に用いたリチウムイオン二次電池は、4V級の高い電圧が得られるため、高いエネルギー密度を有する電池として実用化が進んでいる。
これまで主に提案されている材料としては、合成が比較的容易なリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)や、コバルトよりも安価なニッケルを用いたリチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)、マンガンを用いたリチウムマンガン複合酸化物(LiMn)などを挙げることができる。
このうちリチウムニッケル複合酸化物は、サイクル特性が良く、低抵抗で高出力が得られる材料として注目されており、近年では高出力化に必要な低抵抗化が重要視されている。
上記低抵抗化を実現する方法として異元素の添加が用いられており、とりわけW、Mo、Nb、Ta、Reなどの高価数をとることができる遷移金属が有用とされている。
例えば、特許文献1には、Mo、W、Nb、Ta及びReから選ばれる1種以上の元素が、Mn、Ni及びCoの合計モル量に対して0.1〜5モル%含有されているリチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体が提案され、一次粒子の表面部分のLi並びにMo、W、Nb、Ta及びRe以外の金属元素の合計に対するMo、W、Nb、Ta及びReの合計の原子比が、一次粒子全体の該原子比の5倍以上であることが好ましいとされている。
この提案によれば、リチウム二次電池正極材料用リチウム遷移金属系化合物粉体の低コスト化及び高安全性化と高負荷特性、粉体取り扱い性向上の両立を図ることができるとされている。
しかし、上記リチウム遷移金属系化合物粉体は、原料を液体媒体中で粉砕し、これらを均一に分散させたスラリーを噴霧乾燥し、得られた噴霧乾燥体を焼成することで得ている。そのため、Mo、W、Nb、Ta及びReなどの異元素の一部が層状に配置されているNiと置換してしまい、電池の容量やサイクル特性などの電池特性が低下してしまう問題があった。
また、特許文献2には、少なくとも層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物を有する非水電解質二次電池用正極活物質であって、そのリチウム遷移金属複合酸化物は、一次粒子及びその凝集体である二次粒子の一方または両方からなる粒子の形態で存在し、その粒子の少なくとも表面に、モリブデン、バナジウム、タングステン、ホウ素及びフッ素からなる群から選ばれる少なくとも1種を備える化合物を有する非水電解質二次電池用正極活物質が提案されている。
これにより、より一層厳しい使用環境下においても優れた電池特性を有する非水電解質二次電池用正極活物質が得られるとされ、特に、粒子の表面にモリブデン、バナジウム、タングステン、ホウ素及びフッ素からなる群から選ばれる少なくとも1 種を有する化合物を有することにより、熱安定性、負荷特性及び出力特性の向上を損なうことなく、初期特性が向上するとしている。
しかしながら、このモリブデン、バナジウム、タングステン、ホウ素及びフッ素からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加元素による効果は、初期特性、すなわち初期放電容量及び初期効率の向上にあるとされ、出力特性に言及したものではない。また、開示されている製造方法によれば、添加元素をリチウム化合物と同時に熱処理した水酸化物と混合して焼成するため、添加元素の一部が層状に配置されているニッケルと置換してしまい電池特性の低下を招く問題があった。
さらに、特許文献3には、正極活物質の周りにTi、Al、Sn、Bi、Cu、Si、Ga、W、Zr、B、Moから選ばれた少なくとも一種を含む金属及びまたはこれら複数個の組み合わせにより得られる金属間化合物、及びまたは酸化物を被覆した正極活物質が提案されている。
このような被覆により、酸素ガスを吸収させ安全性を確保できるとしているが、出力特性に関しては全く開示されていない。また、開示されている製造方法は、遊星ボールミルを用いて被覆するものであり、このような被覆方法では、正極活物質に物理的なダメージを与えてしまい、電池特性が低下してしまう。
また、特許文献4には、ニッケル酸リチウムを主体とする複合酸化物粒子にタングステン酸化合物を被着させて加熱処理を行ったもので、炭酸イオンの含有量が0.15重量%以下である正極活物質が提案されている。
この提案によれば、正極活物質の表面にタングステン酸化合物またはタングステン酸化合物の分解物が存在し、充電状態における複合酸化物粒子表面の酸化活性を抑制するため、非水電解液等の分解によるガス発生を抑制することができるとしているが、出力特性に関しては全く開示されていない。
さらに、開示されている製造方法は、好ましくは被着成分を溶解した溶液の沸点以上に加熱した複合酸化物粒子に、タングステン酸化合物とともに硫酸化合物、硝酸化合物、ホウ酸化合物またはリン酸化合物を被着成分として溶媒に溶解した溶液を被着させるものであり、溶媒を短時間で除去するため、複合酸化物粒子表面にタングステン化合物が十分に分散されず、均一に被着されないという問題点がある。
また、リチウムニッケル複合酸化物の高出力化に関する改善も行われている。
例えば特許文献5には、一次粒子および、その一次粒子が凝集して構成された二次粒子からなるリチウム金属複合酸化物であって、そのリチウム金属複合酸化物の表面に、LiWO、LiWO、Liのいずれかで表されるタングステン酸リチウムを含む微粒子を有する非水系電解質二次電池用正極活物質が提案され、高容量とともに高出力が得られるとされている。
しかしながら、高容量が維持されながら高出力化されているものの、更なる高容量化が要求されている。
特開2009‐289726号公報 特開2005‐251716号公報 特開平11‐16566号公報 特開2010‐40383号公報 特開2013‐125732号公報
本発明は係る問題点に鑑み、正極材に用いられた場合に高容量とともに高出力が得られる非水系電解質二次電池用正極活物質を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、非水系電解質二次電池用正極活物質として用いられているリチウムニッケル複合酸化物の粉体特性、及び電池の正極抵抗に対する影響について鋭意研究したところ、リチウムニッケル複合酸化物粉末を構成する一次粒子表面に、タングステンおよびリチウムを含む化合物を形成させることで、電池の正極抵抗を低減して出力特性を向上させることが可能であることを見出した。
さらに、その製造方法として、リチウムニッケル複合酸化物と、リチウムを含まないタングステン化合物および水を混合し、熱処理することにより、リチウムニッケル複合酸化物の一次粒子表面にタングステンおよびリチウムを含む化合物を形成させることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、一般式LiNi1−x−yCo(ただし、0.03≦x≦0.35、0.01≦y≦0.35、0.95≦z≦1.20、MはMn、V、Mg、Mo、Nb、Ti及びAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表される一次粒子及び、一次粒子が凝集して構成された二次粒子からなるリチウムニッケル複合酸化物粒子とリチウムを含有しないタングステン化合物粉末および水を混合して水分を含んだタングステン混合物を得る混合工程と、得られたタングステン混合物を熱処理する熱処理工程を有し、その熱処理工程が、タングステン混合物を熱処理することにより、リチウムニッケル複合酸化物粒子の一次粒子表面に存在するリチウム化合物とタングステン化合物粒子を反応させてタングステン化合物粒子を溶解して、一次粒子表面にタングステンを分散させたリチウムニッケル複合酸化物粒子を形成する第1熱処理工程と、第1熱処理工程の次に行う、第1熱処理工程より高い温度で熱処理することにより、リチウムニッケル複合酸化物粒子の一次粒子表面にタングステンおよびリチウムを含む化合物を設けた形成したリチウムニッケル複合酸化物粒子を形成する第2熱処理工程を有することを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の第2の発明は、第1の発明のタングステン混合物における水分率が、1.0〜10.0質量%であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の第3の発明は、第1及び第2の発明におけるリチウムニッケル複合酸化物とリチウムを含有しないタングステン化合物粉末および水を混合する際の混合温度が50℃以下であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の第4の発明は、第1〜3の発明における混合工程において用いるリチウムを含有しないタングステン化合物が、酸化タングステン(WO)、またはタングステン酸(WO・HO)であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の第5の発明は、第1から第4の発明におけるタングステンおよびリチウムを含む化合物が、タングステン酸リチウムであることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の第6の発明は、第1〜5の発明におけるタングステン混合物に含まれるタングステン量が、リチウムニッケル複合酸化物粒子に含まれるNi、Co及びMの原子数の合計に対して、0.05〜3.0原子%であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の第7の発明は、第1〜6の発明における熱処理工程における雰囲気が、脱炭酸空気、不活性ガス、真空のいずれかであることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の第8の発明は、第1〜7の発明の第1熱処理工程における熱処理温度が、60〜80℃であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の第9の発明は、第1〜8の発明の第2熱処理工程における熱処理の温度が、100〜200℃であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明の第10の発明は、一般式:LiNi1−x−yCo(ただし、0.03≦x≦0.35、0.01≦y≦0.35、0.95≦z≦1.20、MはMn、V、Mg、Mo、Nb、Ti及びAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表される一次粒子及び、一次粒子が凝集した二次粒子からなるリチウムニッケル複合酸化物粒子から構成された非水系電解質二次電池用正極活物質であって、そのリチウムニッケル複合酸化物粒子の二次粒子の表面及び内部の一次粒子表面にタングステンおよびリチウムを含む化合物を有し、そのリチウムニッケル複合酸化物粒子の表面に存在するタングステンおよびリチウムを含む化合物以外のリチウム化合物に含有されるリチウム量が、正極活物質の全量に対して0.05質量%以下、そのリチウム化合物における炭酸リチウムに含まれるリチウム量が、正極活物質に対して0.02質量%以下であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質である。
本発明の第11の発明は、第10の発明におけるリチウムニッケル複合酸化物粒子に含まれるタングステン量が、リチウムニッケル複合酸化物粒子に含まれるNi、Co及びMの原子数の合計に対して0.05〜3.0原子%であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質である。
本発明の第12の発明は、第10又は第11の発明で得られた非水系電解質二次電池用正極活物質を含む正極を有する非水系電解質二次電池である。
本発明によれば、電池の正極材に用いた場合に、高容量とともに高出力が実現可能な非水系電解質二次電池用正極活物質が得られる。
さらに、その製造方法は、容易で工業的規模での生産に適したものであり、その工業的価値は極めて大きい。
インピーダンス評価の測定例と解析に使用した等価回路の概略説明図である。 電池評価に使用したコイン型電池1の概略断面図である。 本発明のリチウムニッケル複合酸化物の断面SEM写真(観察倍率10000倍)である。
以下、本発明について、まず本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質について説明した後、その製造方法と本発明による正極活物質を用いた非水系電解質二次電池について説明する。
(1)非水系電解質二次電池用正極活物質
本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質は、一般式:LiNi1−x−yCo(ただし、0.03≦x≦0.35、0.01≦y≦0.35、0.95≦z≦1.20、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、Ti及びAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表される一次粒子と、一次粒子が凝集した二次粒子とからなるリチウムニッケル複合酸化物粒子(以下、単に複合酸化物粒子ということがある。)から構成された非水系電解質二次電池用正極活物質(以下、単に正極活物質ということがある。)であって、そのリチウムニッケル複合酸化物粒子の二次粒子の表面及び内部の一次粒子表面にタングステンおよびリチウムを含む化合物を有し、リチウムニッケル複合酸化物の表面に存在するタングステンおよびリチウムを含む化合物以外のリチウム化合物に含有されるリチウム量が、正極活物質の全量に対して0.05質量%以下であることを特徴とするものである。
本発明においては、母材として一般式:LiNi1−x−yCo(ただし、0.03≦x≦0.35、0.01≦y≦0.35、0.95≦z≦1.20、Mは、Mn、V、Mg、Mo、Nb、Ti及びAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表されるリチウムニッケル複合酸化物を用いることにより、高い充放電容量を得るものである。
さらに、リチウムニッケル複合酸化物粒子の二次粒子の表面及び内部の一次粒子表面に形成されたタングステンおよびリチウムを含む化合物と、リチウムニッケル複合酸化物の表面に存在するタングステンおよびリチウムを含む化合物以外のリチウム化合物に含有されるリチウム量を、正極活物質の全量に対して0.05質量%以下にすることにより、充放電容量を維持しながら出力特性を向上させ、さらにサイクル特性を向上させたものである。
一般的に、正極活物質の表面が異種化合物により完全に被覆されてしまうと、リチウムイオンの移動(インターカレーション)が大きく制限されるため、結果的にリチウムニッケル複合酸化物の持つ高容量という長所が消されてしまう。
対して、本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質(以下、単に「正極活物質」という。)においては、リチウムニッケル複合酸化物粒子の表面にリチウム(Li)とタングステン(W)を含む化合物(以下、「LiW化合物」ということがある。)を形成させているが、この化合物は、リチウムイオン伝導率が高く、リチウムイオンの移動を促す効果がある。このため、リチウムニッケル複合酸化物粒子の表面に上記化合物を形成させることで、電解液との界面でLiの伝導パスを形成することから、正極活物質の反応抵抗(以下、「正極抵抗」ということがある。)を低減して出力特性を向上させるものである。
すなわち、正極抵抗が低減されることで、電池内で損失される電圧が減少し、実際に負荷側に印加される電圧が相対的に高くなるため、高出力が得られる。また、負荷側への印加電圧が高くなることで、正極でのリチウムの挿抜が十分に行われるため、電池容量も向上するものである。さらに、反応抵抗の低減により、充放電時における活物質の負荷も低減することから、サイクル特性も向上させることができる。
そこで、このようなLiW化合物は、LiおよびWを含むことで、Liイオン伝導率が高く、Liイオンの移動を促す効果を有するが、このLiW化合物中に含有されるWの50%以上が、LiWOの形態で存在することが好ましい。
すなわち、LiWOは、LiおよびWを含む化合物の中でもLiイオンの導電パスが多く、Liイオンの移動を促す効果が高いため、Wの50%以上がLiWOの形態で存在することで、さらに高い反応抵抗の低減効果が得られる。
ここで、電解液との接触は、一次粒子表面で起こるため、一次粒子表面に、この化合物が形成されていることが重要である。
本発明における一次粒子表面とは、二次粒子の外面で露出している一次粒子表面と二次粒子外部と通じて電解液が浸透可能な二次粒子の表面近傍および内部の空隙に露出している一次粒子表面を含むものである。さらに、一次粒子間の粒界であっても一次粒子の結合が不完全で電解液が浸透可能な状態となっていれば含まれるものである。
即ち、この化合物と電解液との接触は、一次粒子が凝集して構成された二次粒子の外面のみでなく、上記二次粒子の表面近傍および内部の空隙、さらには上記不完全な粒界でも生じるため、上記一次粒子表面にも化合物を形成させ、リチウムイオンの移動を促すことが必要である。
したがって、電解液との接触が可能な一次粒子表面の多くにLiW化合物を形成させることで、リチウムニッケル複合酸化物粒子の反応抵抗をより一層低減させることが可能となる。
ここで、LiW化合物は完全に電解液との接触が可能な一次粒子の全表面において形成されている必要はなく、部分的に被覆した状態や点在している状態でもよい。部分的に被覆や点在の状態でも、電解液との接触が可能な一次粒子表面に化合物が形成されていれば、反応抵抗の低減効果が得られる。
さらに、このLiW化合物の一次粒子表面上における形態は、一次粒子表面を層状物で被覆した場合には、電解液との接触面積が小さくなってしまう。また、層状物を形成すると、LiW化合物の形成が特定の一次粒子表面に集中するという結果になり易い。したがって、被覆物としての層状物が高いリチウムイオン伝導度を持っていることにより、充放電容量の向上、反応抵抗の低減という効果が得られるものの、改善の余地がある。
したがって、より高い効果を得るため、LiW化合物は、粒子径1〜300nmの微粒子としてリチウムニッケル複合酸化物の一次粒子の表面に存在することが好ましい。
このような形態を採ることにより、電解液との接触面積を十分なものとして、リチウムイオン伝導を効果的に向上できるため、充放電容量を向上させるとともに反応抵抗をより効果的に低減させることができる。その粒子径が1nm未満では、微細な粒子が十分なリチウムイオン伝導度を有しない場合がある。
しかし、粒子径が300nmを超えると、微粒子の表面における形成が不均一になり、反応抵抗低減のより高い効果が得られない場合があるためである。
しかしながら、そのLiW化合物は、全てが粒子径1〜300nmの微粒子として存在する必要がなく、好ましくは一次粒子表面に形成された微粒子の個数で50%以上が、1〜300nmの粒子径範囲で形成されていれば高い効果が得られる。
一方、一次粒子表面を薄膜で被覆すると、比表面積の低下を抑制しながら、電解液との界面でLiの伝導パスを形成させることができ、より高い充放電容量の向上、反応抵抗の低減という効果が得られる。このような薄膜状のLiW化合物により一次粒子表面を被覆する場合には、膜厚1〜200nmの被膜としてリチウムニッケル複合酸化物の一次粒子表面に存在することが好ましい。
その膜厚が1nm未満では、被膜が十分なリチウムイオン伝導度を有しない場合がある。また、膜厚が200nmを超えると、リチウムイオン伝導率が低下し、反応抵抗低減効果より高い効果が得られない場合があるためである。
しかしこの被膜は、一次粒子表面上で部分的に形成されていてもよく、全ての被膜の膜厚範囲が1〜200nmでなくてもよい。一次粒子表面に少なくとも部分的に膜厚が1〜200nmの被膜が形成されていれば、高い効果が得られる。被膜としてLiW化合物が形成される場合には、LiW化合物中に含有されるタングステン量を上記の範囲に制御することで、効果を得るために十分な量の膜厚1〜200nmの被膜が形成される。
さらに、微粒子形態と薄膜の被膜形態が混在して一次粒子表面にLiW化合物が形成されている場合にも、電池特性に対する高い効果が得られる。
一方、本発明によって得られる正極活物質は、リチウムニッケル複合酸化物粉末を構成する粒子間においても均一にLiW化合物が形成されている。
ここで、リチウムニッケル複合酸化物粉末を構成する粒子(以下、「構成粒子」という。)は、リチウムニッケル複合酸化物からなる一次粒子が凝集して二次粒子を形成し構成粒子となっているもの、および二次粒子を形成することなく一次粒子の形態として構成粒子となっているものを含む。構成粒子間で不均一にLiW化合物が形成された場合は、構成粒子間でのリチウムイオンの移動が不均一となるため、特定の構成粒子に負荷がかかり、長期におけるサイクル特性の悪化や反応抵抗の上昇を招くことになる。前記構成粒子におけるLiW化合物の均一性は、例えば、正極活物質から複数回サンプリングしてタングステン含有量を分析した際のタングステン含有量の変動が少ないことによって確認される。
本発明の正極活物質においては、複合酸化物粒子の二次粒子表面および一次粒子表面に存在するLiW化合物以外のリチウム化合物に含有されるリチウム量(以下、余剰リチウム量という。)は、正極活物質の全量に対して0.05質量%以下、好ましくは0.03質量%以下である。
このように余剰リチウム量を制限することにより、高い充放電容量と出力特性を得るとともにサイクル特性を向上させている。
複合酸化物粒子の二次粒子表面および一次粒子表面には、LiW化合物以外にも水酸化リチウムおよび炭酸リチウムが存在し、これらの余剰リチウム量として存在量を表すことができるリチウム化合物は、リチウムの伝導性が悪く、リチウムニッケル複合酸化物質からのリチウムイオンの移動を阻害している。
すなわち、余剰リチウム量を低減することで、LiW化合物によるリチウムイオンの移動促進効果を高め、充放電時のリチウムニッケル複合酸化物への負荷を低減してサイクル特性を向上させることができる。
また、余剰リチウム量を制御することで、複合酸化物粒子間でのリチウムイオンの移動も均一化され、特定の複合酸化物粒子に負荷がかかることが抑制され、サイクル特性を向上させることができる。
余剰リチウムが少なくなり過ぎることは、LiW化合物が形成される際に複合酸化物粒子の結晶中から過剰にリチウムが引き抜かれていることを示している。したがって、電池特性の低下を抑制するため、余剰リチウム量は0.01質量%以上であることが好ましい。
また、本発明の正極活物質においては、複合酸化物粒子の表面に存在する炭酸リチウムに含まれるリチウム量が、正極活物質に対して0.02質量%以下、好ましくは0.015質量%以下としている。
0.02質量%を超えると、複合酸化物粒子の表面に存在する炭酸リチウムの量が多くなり、充放電を繰り返す過程で発生するガス量が増加してしまうことがあり、このように炭酸リチウム量を制限することにより、ガス発生を抑制することができ、電池の性能劣化を抑えるとともに安全性を確保することができる。また、炭酸リチウム量が多くなると、電解液と正極活物質のLiイオンの伝導が阻害されるため、正極活物質の反応抵抗の増加や充電容量の低下という問題が生じる。
炭酸リチウムの含有量は、例えば、炭素硫黄分析装置で正極活物質中の全炭素元素(C)含有量を測定し、この測定された炭素元素(C)量は全て炭酸リチウム由来であるものとして炭酸リチウムに換算し、炭酸リチウムから含まれるリチウム量を求めることができる。
一方、上記リチウムニッケル複合酸化物粒子は、リチウムの過剰な溶出による表面の劣化層が非常に少ないため、高い電池特性が得られる。すなわち、前記表面の劣化層は、高抵抗であり、正極抵抗を増加させる一因となっているため、劣化層を低減することで正極抵抗を下げ、出力特性を向上させるとともに、高い電池容量も得られる。
LiW化合物に含まれるタングステン量は、リチウムニッケル複合酸化物に含まれるNi、Co及びMの原子数の合計に対して、0.05〜3.0原子%とすることが好ましく、0.05〜2.0原子%とすることがより好ましく、0.1〜1.0原子%とすることがさらに好ましく、0.1〜0.5原子%とすることが特に好ましい。これにより、高い充放電容量と出力特性を両立することができる。
タングステン量が0.05原子%未満では、出力特性の改善効果が十分に得られない場合があり、タングステン量が3.0原子%を超えると、形成される上記LiW化合物が多くなり過ぎてリチウムニッケル複合酸化物と電解液のリチウム伝導が阻害され、充放電容量が低下することがある。
また、正極活物質全体のリチウム量は、正極活物質中のNi、Co及びMの原子数の和(Me)とLiの原子数との比「Li/Me」が、0.95〜1.20であり、また「Li/Me」は、0.97〜1.15の範囲が好ましい。
そのLi/Meが0.95未満であると、得られた正極活物質を用いた非水系電解質二次電池における正極の反応抵抗が大きくなるため、電池の出力が低くなってしまう。また、Li/Meが1.20を超えると、正極活物質の初期放電容量が低下するとともに、正極の反応抵抗も増加してしまう。上記LiW化合物に含まれるリチウム分は、母材となるリチウムニッケル複合酸化物粒子から供給されるため、前記LiW化合物の形成前後において正極活物質全体のリチウム量は変化しない。
すなわち、LiW化合物の形成後の芯材としてのリチウムニッケル複合酸化物粒子のLi/Meは、形成前より減少するため、0.97以上とすることで、より良好な充放電容量と反応抵抗を得ることができる。
したがって、正極活物質全体のリチウム量は、0.97〜1.15であることがより好ましい。
本発明の正極活物質は、リチウムニッケル複合酸化物粒子の二次粒子の表面および一次粒子表面にLiW化合物を設け、出力特性およびサイクル特性を改善するもので、正極活物質としての粒径、タップ密度などの粉体特性は、通常に用いられる正極活物質の範囲内であればよい。
また、リチウムニッケル複合酸化物粒子の二次粒子の表面および一次粒子表面に、LiW化合物を設けることによる効果は、たとえば、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物などの粉末、さらに本発明で掲げた正極活物質だけでなく一般的に使用されるリチウム二次電池用正極活物質にも適用できる。
(2)正極活物質の製造方法
以下、本発明の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法を工程ごとに詳細に説明する。
[混合工程]
混合工程は、リチウムニッケル複合酸化物粒子にリチウムを含有しないタングステン化合物粉末および水を混合して、水分を含んだリチウムニッケル複合酸化物粒子とのタングステン混合物(以下、単に混合物という。)を得る工程である。
複合酸化物粒子にタングステン化合物粉末および水を混合することで、熱処理工程において複合酸化物粒子の一次粒子表面に存在するリチウム化合物とタングステン化合物粒子を反応させることができる。すなわち、後述するように一次粒子表面に存在するリチウム化合物とタングステン化合物を反応させてタングステン化合物を溶解させ、一次粒子表面にタングステンを分散させる。また、水と混合した際に一次粒子表面に存在する余剰のリチウム化合物が溶出するため、水溶性あるいはアルカリ性溶液において溶解可能なタングステン化合物を用いた場合には、混合工程においてもタングステン化合物の溶解とタングステンの分散を進行させることができる。
ここで、混合物における水分率、すなわち含有水分量が1.0〜10.0質量%であることが好ましい。水分率を1.0〜10.0質量%に調整することにより、熱処理工程において十分な量の水分を含有させて一次粒子表面にタングステンを十分に分散させるとともに、複合酸化物粒子からのリチウムの過剰な溶出を抑制することができる。
一方、混合前の複合酸化物粒子の水分率は、0.2質量%以下であることが好ましい。これにより、湿潤状態で保管される時間を短くすることが可能であり、複合酸化物粒子からのリチウムの過剰な溶出をさらに抑制することができる。
さらに、混合前の複合酸化物粒子は、焼成した状態のままであることが好ましい。焼成状態の複合酸化物粒子を用いることで、タングステン化合物と反応する十分な量の一次粒子表面に存在するリチウム化合物を確保することができ、タングステン化合物と反応することにより複合酸化物粒子から引き抜かれるリチウムを低減して、一次粒子表面の劣化層の形成を抑制することができる。
使用するタングステン化合物は、二次粒子内部の一次粒子表面まで浸透させるため、混合物に含有される水分に溶解する水溶性であることが好ましい。また、混合物中の水分はリチウムの溶出によってアルカリ性となるため、アルカリ性において溶解可能な化合物であってもよい。また、混合物は、後工程の熱処理工程で加熱されるため、常温では水に溶解させることが困難であっても、熱処理時の加温で水に溶解する、もしくはリチウムニッケル複合酸化物粒子表面のリチウム化合物と反応してLiW化合物を形成して溶解するものであればよい。
さらに、溶解したタングステン化合物は、二次粒子内部の一次粒子表面まで浸透できる量があればよいため、混合後、さらには加熱後に一部は固体の状態となっていてもよい。
このように、タングステン化合物は、リチウムを含まず、かつ熱処理工程時の加熱の際に、水に溶解可能な状態となっていればよく、酸化タングステン、タングステン酸、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウムなどが好ましく、不純物混入の可能性が低い酸化タングステン(WO)またはタングステン酸(WO・HO)がより好ましい。
さらに、この混合物中に含まれるタングステン量を、複合酸化物粒子に含まれるNi、CoおよびMの原子数の合計に対して、0.05〜3.0原子%とすることが好ましく、0.05〜2.0原子%とすることがより好ましく、0.1〜1.0原子%とすることがさらに好ましく、0.1〜0.5原子%とすることが特に好ましい。
これにより、正極活物質中におけるLiW化合物に含まれるタングステン量を好ましい範囲とすることができ、正極活物質の高い充放電容量と出力特性をさらに両立することができる。
また、タングステン化合物および水との混合する際の混合温度、すなわち混合するためにタングステン化合物および水を添加した際の複合酸化物粒子の温度および混合中の雰囲気温度は、50℃以下とすることが好ましく、10〜40℃とすることがより好ましい。
混合中のリチウム化合物とタングステン化合物の反応により、混合物の温度が若干上昇することがあるが、混合温度を50℃以下の温度で混合することにより、混合物中の水分量の減少を抑制しながら、タングステン化合物および水を複合酸化物粒子中に均一に分散することができる。また、複合酸化物粒子の表面に存在する余剰のリチウム化合物を溶出させて除去することができるが、50℃を超える温度とすると、混合中の乾燥によりリチウム化合物とタングステン化合物との反応を促進させるために必要な混合物中の水分量が得られないことがある。
一方、10℃以上の温度で混合することにより、混合時に余剰のリチウム化合物を溶出させ除去することを可能とするとともに、一次粒子表面にタングステンを分散させることができる。後工程の熱処理時に余剰のリチウム化合物の溶出とタングステンの分散が可能であるが、混合時に前記溶出や分散を起こさせておくことがより効果的である。
リチウムニッケル複合酸化物、リチウムを含まないタングステン化合物、及び水を混合する際には、一般的な混合機を用いることができる。例えば、シェーカーミキサーやレーディゲミキサー、ジュリアミキサー、Vブレンダーなどを用いてリチウムニッケル複合酸化物の形骸が破壊されない程度で十分に混合してやればよい。
[熱処理工程]
熱処理工程は、タングステン混合物を熱処理する工程であり、さらにリチウムニッケル複合酸化物粒子の一次粒子表面に存在するリチウム化合物とタングステン化合物を反応させてタングステン化合物を溶解させ、一次粒子表面にタングステンを分散させる第1熱処理工程と、その第1熱処理工程の熱処理温度より高い温度で熱処理することにより、リチウムニッケル複合酸化物粒子の一次粒子表面にLiW化合物を形成させる第2熱処理工程を有するものである。
ここで、リチウムを含有しないタングステン化合物を用いることと、リチウム化合物とタングステン化合物を反応させてタングステン化合物を溶解させ、一次粒子表面にタングステンを分散させる第1熱処理工程が重要である。
第1熱処理工程において、リチウムを含有しないタングステン化合物を含む混合物を加熱することで、混合物中に溶出しているリチウムのみならず、リチウムニッケル複合酸化物粒子の一次粒子表面に残存しているリチウム化合物がタングステン化合物と反応してLiW化合物が形成される。このLiW化合物の形成により、得られる正極活物質における余剰リチウムを大幅に低減して電池特性を向上させることができる。
さらには、余剰リチウムの低減とともに、リチウムニッケル複合酸化物粒子中に過剰に存在するリチウムを引き抜く効果も有し、その引き抜かれたリチウムはタングステン化合物と反応し、正極活物質となった際のリチウムニッケル複合酸化物粒子の結晶性の向上にも寄与し、電池特性をより高いものとすることができる。
このような反応によって形成されたLiW化合物は、混合物中の水分で溶解し、二次粒子内部の一次粒子間の空隙や不完全な粒界まで浸透し、一次粒子表面にタングステンを分散させることができる。
このようにリチウム化合物とタングステン化合物と反応させ、タングステンを分散させるためには、反応が十分に進行し、かつタングステンが浸透するまで水分が残存することが好ましい。
したがって、第1熱処理工程における熱処理温度は、60〜80℃とすることが好ましい。
60℃未満では、リチウムニッケル複合酸化物の一次粒子表面に存在するリチウム化合物とタングステン化合物の反応が十分に起こらず、必要量のLiW化合物が合成されないことがある。一方、80℃より高い場合は、水分の蒸発が早過ぎるため、一次粒子の表面に存在するリチウム化合物とタングステン化合物との反応とタングステンの浸透が十分に進まないことがある。
第1熱処理工程の加熱時間は、特に限定されないが、リチウム化合物とタングステン化合物が反応し、タングステンを十分に浸透させるため、0.5〜2時間とすることが好ましい。
第2熱処理工程は、第1熱処理工程の熱処理温度より高い温度で熱処理することにより、混合物中の水分を十分に蒸発させ、リチウムニッケル複合酸化物粒子の一次粒子表面にLiW化合物を形成させるものであり、その熱処理温度は、100〜200℃とすることが好ましい。
100℃未満では、水分の蒸発が十分ではなく、LiW化合物が十分に形成されない場合がある。一方、200℃を超えると、LiW化合物を介してリチウムニッケル複合酸化物粒子同士がネッキングを形成したり、複合酸化物粒子の比表面積が大きく低下したりすることで電池特性が低下してしまうことがある。
第2熱処理工程の熱処理時間は、特に限定されないが、水分を十分に蒸発させてLiW化合物を形成させるために5〜15時間とすることが好ましい。
熱処理工程における雰囲気は、雰囲気中の水分や炭酸とリチウムニッケル複合酸化物粒子表面のリチウムの反応を避けるため、脱炭酸空気、不活性ガスまたは真空雰囲気とすることが好ましい。
(3)非水系電解質二次電池
本発明の非水系電解質二次電池は、正極、負極及び非水系電解液などからなり、一般の非水系電解質二次電池と同様の構成要素により構成される。なお、以下で説明する実施形態は例示に過ぎず、本発明の非水系電解質二次電池は、本明細書に記載されている実施形態を基に、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。また、本発明の非水系電解質二次電池は、その用途を特に限定するものではない。
(a)正極
先に述べた非水系電解質二次電池用正極活物質を用い、例えば、以下のようにして、非水系電解質二次電池の正極を作製する。
まず、粉末状の正極活物質、導電材、結着剤を混合し、さらに必要に応じて活性炭、粘度調整等の目的の溶剤を添加し、これを混練して正極合材ペーストを作製する。
その正極合材ペースト中のそれぞれの混合比も、非水系電解質二次電池の性能を決定する重要な要素となる。溶剤を除いた正極合材の固形分の全質量を100質量部とした場合、一般の非水系電解質二次電池の正極と同様、正極活物質の含有量を60〜95質量部とし、導電材の含有量を1〜20質量部とし、結着剤の含有量を1〜20質量部とすることが好ましい。
得られた正極合材ペーストを、例えば、アルミニウム箔製の集電体の表面に塗布し、乾燥して、溶剤を飛散させる。必要に応じ、電極密度を高めるべく、ロールプレス等により加圧することもある。このようにして、シート状の正極を作製することができる。
シート状の正極は、目的とする電池に応じて適当な大きさに裁断等をして、電池の作製に供することができる。ただし、正極の作製方法は、例示のものに限られることなく、他の方法によってもよい。
正極の作製にあたって、導電剤としては、例えば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛など)や、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)などのカーボンブラック系材料などを用いることができる。
結着剤は、活物質粒子をつなぎ止める役割を果たすもので、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、スチレンブタジエン、セルロース系樹脂、ポリアクリル酸などを用いることができる。
なお、必要に応じ、正極活物質、導電材、活性炭を分散させ、結着剤を溶解する溶剤を正極合材に添加する。
溶剤としては、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。また、正極合材には、電気二重層容量を増加させるために、活性炭を添加することができる。
(b)負極
負極には、金属リチウムやリチウム合金等、あるいは、リチウムイオンを吸蔵及び脱離できる負極活物質に、結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成したものを使用する。
負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、フェノール樹脂等の有機化合物焼成体、コークス等の炭素物質の粉状体を用いることができる。この場合、負極結着剤としては、正極同様、PVDF等の含フッ素樹脂等を用いることができ、これらの活物質及び結着剤を分散させる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いることができる。
(c)セパレータ
正極と負極との間には、セパレータを挟み込んで配置する。
セパレータは、正極と負極とを分離し、電解質を保持するものであり、ポリエチレン、ポリプロピレン等の薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。
(d)非水系電解液
非水系電解液は、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒に溶解したものである。
使用する有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等の環状カーボネート、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート、さらに、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル化合物、エチルメチルスルホン、ブタンスルトン等の硫黄化合物、リン酸トリエチル、リン酸トリオクチル等のリン化合物等から選ばれる1種を単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
支持塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiN(CFSO等、及びそれらの複合塩を用いることができる。
さらに、非水系電解液は、ラジカル捕捉剤、界面活性剤及び難燃剤等を含んでいてもよい。
(e)電池の形状、構成
以上、説明した正極、負極、セパレータ及び非水系電解液で構成される本発明の非水系電解質二次電池の形状は、円筒型、積層型等、種々のものとすることができる。
いずれの形状を採る場合であっても、正極及び負極を、セパレータを介して積層させて電極体とし、得られた電極体に、非水系電解液を含浸させ、正極集電体と外部に通ずる正極端子との間、及び、負極集電体と外部に通ずる負極端子との間を、集電用リード等を用いて接続し、電池ケースに密閉して、非水系電解質二次電池を完成させる。
(f)特性
本発明の正極活物質を用いた非水系電解質二次電池は、高容量で高出力となる。
特に、より好ましい形態で得られた本発明による正極活物質を用いた非水系電解質二次電池は、例えば、2032型コイン電池の正極に用いた場合、165mAh/g以上の高い初期放電容量と低い正極抵抗が得られ、さらに高容量で高出力である。また、熱安定性が高く、安全性においても優れているといえる。
なお、本発明における正極抵抗の測定方法を例示すれば、次のようになる。
電気化学的評価手法として一般的な交流インピーダンス法にて電池反応の周波数依存性について測定を行うと、溶液抵抗、負極抵抗と負極容量、及び正極抵抗と正極容量に基づくナイキスト線図が図1のように得られる。
電極における電池反応は、電荷移動に伴う抵抗成分と電気二重層による容量成分とからなり、これらを電気回路で表すと抵抗と容量の並列回路となり、電池全体としては溶液抵抗と負極、正極の並列回路を直列に接続した等価回路で表される。
この等価回路を用いて測定したナイキスト線図に対してフィッティング計算を行い、各抵抗成分、容量成分を見積もることができる。
正極抵抗は、得られるナイキスト線図の低周波数側の半円の直径と等しい。
以上のことから、作製される正極について、交流インピーダンス測定を行い、得られたナイキスト線図に対し等価回路でフィッティング計算することで、正極抵抗を見積もることができる。
本発明により得られた正極活物質を用いた正極を有する二次電池について、その性能(初期放電容量、正極抵抗、サイクル特性)を測定した。
以下、本発明の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(電池の製造及び評価)
正極活物質の評価には、図2に示す2032型コイン電池1(以下、コイン型電池と称す)を使用した。
図2に示すように、コイン型電池1は、ケース2と、このケース2内に収容された電極3とから構成されている。
ケース2は、中空かつ一端が開口された正極缶2aと、この正極缶2aの開口部に配置される負極缶2bとを有しており、負極缶2bを正極缶2aの開口部に配置すると、負極缶2bと正極缶2aとの間に電極3を収容する空間が形成されるように構成されている。
電極3は、正極3a、セパレータ3c及び負極3bとからなり、この順で並ぶように積層されており、正極3aが正極缶2aの内面に接触し、負極3bが負極缶2bの内面に接触するようにケース2に収容されている。
なお、ケース2はガスケット2cを備えており、このガスケット2cによって、正極缶2aと負極缶2bとの間が非接触の状態を維持するように相対的な移動が固定されている。また、ガスケット2cは、正極缶2aと負極缶2bとの隙間を密封してケース2内と外部との間を気密液密に遮断する機能も有している。
図2に示すコイン型電池1は、以下のようにして製作した。
まず、非水系電解質二次電池用正極活物質52.5mg、アセチレンブラック15mg、及びポリテトラフッ化エチレン樹脂(PTFE)7.5mgを混合し、100MPaの圧力で直径11mm、厚さ100μmにプレス成形して、正極3aを作製した。作製した正極3aを真空乾燥機中120℃で12時間乾燥した。
この正極3aと、負極3b、セパレータ3c及び電解液とを用いて、図2に示すコイン型電池1を、露点が−80℃に管理されたAr雰囲気のグローブボックス内で作製した。
なお、負極3bには、直径14mmの円盤状に打ち抜かれた平均粒径20μm程度の黒鉛粉末とポリフッ化ビニリデンが銅箔に塗布された負極シートを用いた。
セパレータ3cには膜厚25μmのポリエチレン多孔膜を用いた。電解液には、1MのLiClOを支持電解質とするエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合液(富山薬品工業株式会社製)を用いた。
製造したコイン型電池1の性能を示す初期放電容量、正極抵抗は、以下のように評価した。
初期放電容量は、コイン型電池1を製作してから24時間程度放置し、開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極に対する電流密度を0.1mA/cmとしてカットオフ電圧4.3Vまで充電し、1時間の休止後、カットオフ電圧3.0Vまで放電したときの容量を初期放電容量とした。
正極抵抗は、コイン型電池1を充電電位4.1Vで充電して、周波数応答アナライザ及びポテンショガルバノスタット(ソーラトロン製、1255B)を使用して交流インピーダンス法により測定すると、図1に示すナイキストプロットが得られる。
このナイキストプロットは、溶液抵抗、負極抵抗とその容量、及び、正極抵抗とその容量を示す特性曲線の和として表しているため、このナイキストプロットに基づき等価回路を用いてフィッティング計算を行い、正極抵抗の値を算出した。
サイクル特性の評価は、サイクル試験後の容量維持率と正極抵抗の増加率により行った。サイクル試験は、初期放電容量測定後、10分間休止し、初期放電容量測定と同様に充放電サイクルを、初期放電容量測定も含めて500サイクル(充放電)繰り返した。500サイクル目の放電容量を測定して、1サイクル目の放電容量(初期放電容量)に対する500サイクル目の放電容量の百分率を容量維持率(%)として求めた。また、500サイクル後の正極抵抗を測定し、サイクル試験前の正極抵抗からの増加率(倍)により評価した。
なお、本実施例では、複合水酸化物製造、正極活物質及び二次電池の作製には、和光純薬工業株式会社製試薬特級の各試料を使用した。
Niを主成分とする酸化物と水酸化リチウムを混合して焼成する公知技術で得られたLi1.025Ni0.91Co0.06Al0.03で表されるリチウムニッケル複合酸化物粒子の粉末を母材とした。
150gの母材に、25℃の純水を9mL添加した後にリチウムニッケル複合酸化物に含まれるNi、Co及びAlの原子数の合計に対してW量が0.30原子%となるように酸化タングステン(WO)を1.08g添加し、シェーカーミキサー装置(ウィリー・エ・バッコーフェン(WAB)社製TURBULA TypeT2C)を用いて十分に混合し、タングステン混合物の混合粉末を得た。その混合粉末の水分率は5.7質量%であった。
得られた混合粉末はアルミ製袋中に入れ、窒素ガスパージした後にラミネートし、80℃に加温した乾燥機に1時間ほど入れた。加温後はアルミ製袋から取り出し、SUS製容器に入れ替え、190℃に加温した真空乾燥機を用いて10時間、静置乾燥し、その後炉冷した。
最後に目開き38μmの篩にかけ解砕することにより、一次粒子表面にLiW化合物を有する正極活物質を得た。
得られた正極活物質のタングステン含有量をICP法により分析したところ、タングステン含有量はNi、Co及びAlの原子数の合計に対して0.30原子%であることが確認された。
[余剰リチウム分析]
得られた正極活物質の余剰リチウムを、正極活物質から溶出してくるLiを滴定することにより評価した。得られた正極活物質に純水を加えて一定時間攪拌後、ろ過したろ液のpHを測定しながら塩酸を加えていくことにより出現する中和点から溶出するリチウムの化合物状態を分析して余剰リチウム量を評価したところ、余剰リチウム量は、正極活物質の全量に対して0.02質量%であった。
[炭酸リチウム中のLi量]
得られた正極活物質の表面に存在する炭酸リチウム量を、炭素硫黄分析装置(LECO社製CS−600)で全炭素元素(C)含有量を測定し、この測定された全炭素元素の量を炭酸リチウム(LiCO)に換算することにより求め、得られた炭酸リチウム量から炭酸リチウム中のLi量を算出した。得られた正極活物質の表面に存在する炭酸リチウム中のLi量は、正極活物質の質量に対して、0.012質量%であった。
[リチウムとタングステンを含む化合物の形態分析]
得られた正極活物質を、樹脂に埋め込み、加工して断面観察が可能な試料を作製し、5000倍の倍率でSEMによる断面観察を行った。
その結果、一次粒子および一次粒子が凝集して構成された二次粒子からなり、その一次粒子表面にリチウムとタングステンを含む化合物の微粒子が形成されていることを確認し、その微粒子の粒子径は20〜150nmであった。また、得られた正極活物質を樹脂に埋め込み、透過型電子顕微鏡(TEM)による二次粒子の断面観察が可能な状態とした後、一次粒子の表面付近をTEMにより観察したところ、一次粒子の表面に膜厚2〜80nmのリチウムとタングステンを含む化合物の薄膜による被覆が形成され、その化合物はタングステン酸リチウムであることを確認した。
[電池評価]
得られた正極活物質を使用して作製された正極を有する図2に示すコイン型電池1の電池特性を評価した。なお、サイクル試験前の正極抵抗は実施例1を「1.00」とした相対値を評価値とした。
初期放電容量は、216mAh/gであった。
以下、実施例及び比較例については、実施例1と変更した物質、条件のみを示す。また、実施例1の初期放電容量及び正極抵抗の評価値を合わせて表1に示す。
リチウムニッケル複合酸化物に含まれるNi、Co及びAlの原子数の合計に対してW量が0.15原子%となるように、酸化タングステン(WO)を0.52g添加した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに電池特性の評価を行った。
その結果を表1に示す。
リチウムニッケル複合酸化物に含まれるNi、Co及びAlの原子数の合計に対してW量が0.10原子%となるように、酸化タングステン(WO)を0.36g添加した以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに電池特性の評価を行った。
その結果を表1に示す。
150gの母材に25℃の純水を13mL添加したこと、リチウムニッケル複合酸化物に含まれるNi、Co及びAlの原子数の合計に対してW量が0.15原子%となるように酸化タングステン(WO)を0.54g添加したこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに電池特性の評価を行った。
その結果を表1に示す。
150gの母材に25℃の純水を3mL添加したこと、リチウムニッケル複合酸化物に含まれるNi、Co及びAlの原子数の合計に対してW量が0.15原子%となるように酸化タングステン(WO)を0.54g添加したこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに電池特性の評価を行った。
その結果を表1に示す。
(比較例1)
150gの母材に25℃の純水を13mL添加したこと、タングステン化合物を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価を行った。
その結果を表1に示す。
(比較例2)
150gの母材に25℃の純水を13mL添加したこと、リチウムニッケル複合酸化物に含まれるNi、Co及びAlの原子数の合計に対してW量が0.15原子%となるように、タングステン酸リチウム(LWO:LiWO)を添加したこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質を得るとともに評価を行った。
その結果を表1に示す。
[評価]
表1から明らかなように、実施例1〜5の正極活物質は、本発明に従って製造されたため、比較例に比べて初期放電容量が高く、正極抵抗も低いものとなっており、また、サイクル特性も良好であって、優れた特性を有した電池となっている。
また、図3に本発明の実施例で得られた正極活物質の断面SEM観察結果の一例を示すが、得られた正極活物質は一次粒子及び一次粒子が凝集して構成された二次粒子からなり、一次粒子表面にLiW化合物が形成されていることが確認された。LiW化合物が確認された位置を図3において黒矢印で示す。
実施例4は、水分率が8.0質量%と高かったため、タングステン化合物の溶解・拡散が容易となり、より均一にリチウムニッケル複合酸化物表面を覆うことで初期放電容量などの電池特性がやや良好な結果となっているが、水分があることにより粒子中から溶出してくるリチウム量が増加したことで余剰Liの量がやや増加している。
実施例5は、水分率が2.0質量%と低かったため、実施例4と対照的に電池特性がやや悪化し、余剰Liについてはやや低下している。
対して、比較例1は、一次粒子表面に本発明に係るLiW化合物が形成されていないため、正極抵抗が大幅に高く、高出力化の要求に対応することは困難である。
また、比較例2は、タングステン酸リチウムを添加したため、正極活物質の余剰リチウムが増加し、サイクル試験の電池特性が低下している。
本発明の非水系電解質二次電池は、常に高容量を要求される小型携帯電子機器(ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話端末など)の電源に好適であり、高出力が要求される電気自動車用電池にも好適である。
また、本発明の非水系電解質二次電池は、優れた安全性を有し、小型化、高出力化が可能であることから、搭載スペースに制約を受ける電気自動車用電源として好適である。なお、本発明は、純粋に電気エネルギーで駆動する電気自動車用の電源のみならず、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃焼機関と併用するいわゆるハイブリッド車用の電源としても用いることができる。
1 コイン型電池
2 ケース
2a 正極缶
2b 負極缶
2c ガスケット
3 電極
3a 正極
3b 負極
3c セパレータ

Claims (12)

  1. 一般式:LiNi1−x−yCo(ただし、0.03≦x≦0.35、0.01≦y≦0.35、0.95≦z≦1.20、MはMn、V、Mg、Mo、Nb、Ti及びAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表される一次粒子及び一次粒子が凝集して構成された二次粒子からなるリチウムニッケル複合酸化物粒子と、リチウムを含有しないタングステン化合物粉末および水を混合してタングステン混合物を得る混合工程と、
    前記タングステン混合物を熱処理する熱処理工程を有し、
    前記熱処理工程が、
    前記タングステン混合物を熱処理することにより、リチウムニッケル複合酸化物粒子の一次粒子表面に存在するリチウム化合物とタングステン化合物粒子を反応させて前記タングステン化合物粒子を溶解して、一次粒子表面にタングステンを分散させたリチウムニッケル複合酸化物粒子を形成する第1熱処理工程と、
    前記第1熱処理工程の次に行う前記第1熱処理工程より高い温度で熱処理することにより、前記リチウムニッケル複合酸化物粒子の一次粒子表面にタングステンおよびリチウムを含む化合物を設けたリチウムニッケル複合酸化物粒子を形成する第2熱処理工程
    を有することを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  2. 前記タングステン混合物における水分率が1.0〜10質量%であることを特徴とする請求項1に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  3. 前記リチウムニッケル複合酸化物とリチウムを含有しないタングステン化合物粉末および水を混合する際の混合温度が50℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  4. 前記混合工程に用いるリチウムを含有しないタングステン化合物が、酸化タングステン(WO)またはタングステン酸(WO・HO)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  5. 前記タングステンおよびリチウムを含む化合物が、タングステン酸リチウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  6. 前記タングステン混合物に含まれるタングステン量が、前記リチウムニッケル複合酸化物粒子に含まれるNi、Co及びMの原子数の合計に対して、0.05〜3.0原子%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  7. 前記熱処理工程における雰囲気が、脱炭酸空気、不活性ガス、真空のいずれかであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  8. 前記第1熱処理工程における熱処理の温度が、60〜80℃であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  9. 前記第2熱処理工程における熱処理の温度が、100〜200℃であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質の製造方法。
  10. 一般式:LiNi1−x−yCo(ただし、0.03≦x≦0.35、0.01≦y≦0.35、0.95≦z≦1.20、MはMn、V、Mg、Mo、Nb、Ti及びAlから選ばれる少なくとも1種の元素)で表される一次粒子および一次粒子が凝集した二次粒子からなるリチウムニッケル複合酸化物粒子から構成された非水系電解質二次電池用正極活物質であって、
    前記リチウムニッケル複合酸化物粒子の二次粒子の表面及び内部の一次粒子表面にタングステンおよびリチウムを含む化合物を有し、
    前記リチウムニッケル複合酸化物粒子の表面に存在するタングステンおよびリチウムを含む化合物以外のリチウム化合物に含有されるリチウム量が、正極活物質の全量に対して0.05質量%以下で、前記リチウム化合物における炭酸リチウムに含まれるリチウム量が、正極活物質に対して0.02質量%以下であることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活物質。
  11. 前記リチウムニッケル複合酸化物粒子に含まれるタングステン量が、前記リチウムニッケル複合酸化物粒子に含まれるNi、Co及びMの原子数の合計に対して0.05〜3.0原子%であることを特徴とする請求項10に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質。
  12. 請求項10又は11に記載の非水系電解質二次電池用正極活物質を含む正極を有することを特徴とする非水系電解質二次電池。
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