JP2017062983A - 膜・触媒層接合体の製造装置および製造方法 - Google Patents

膜・触媒層接合体の製造装置および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】吸着ローラの異物を除去し、吸着ローラから電解質膜への異物の転着を防止できる膜・触媒層接合体の製造装置および製造方法を提供する。
【解決手段】この膜・触媒層接合体の製造装置1は、電解質膜92の表面に触媒材料9bの層を形成する装置である。製造装置1は、長尺体状の電解質膜92を、その外周面の一部で吸着保持するとともに、その軸心周りに回転する吸着ローラ20と、吸着ローラ20に吸着保持されつつ移動する電解質膜92の表面に、触媒材料を供給する材料供給部30と、吸着ローラ20の周囲の電解質膜92が存在しない位置において、吸着ローラ20の外周面に付着した異物を除去する異物除去部70と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電解質膜の表面に触媒層を形成する膜・触媒層接合体の製造装置および製造方法に関する。
従来、リチウムイオン電池や燃料電池などの化学電池の製造においては、金属箔または高分子電解質膜等の基材がロール・ツー・ロール方式にて搬送される。そして、その基材の表面および裏面の両面に電極材料の塗工液を吐出して電極層を形成することで、化学電池のセルに使用される膜・触媒層接合体が製造される。このような、膜・触媒層接合体の製造技術については、例えば、特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載の複合膜の製造装置は、外周面にて薄膜を吸着して支持する吸着ローラと、吸着ローラに吸着支持されて搬送される薄膜の一方面に塗工液を塗工する塗工手段と、吸着ローラの外周面の一部を覆うように設けられ、薄膜の一方面に塗工された塗工液を乾燥させて機能層を形成する乾燥手段と、機能層が形成された薄膜の他方面に帯状の第1支持部材を貼り合わせる貼付手段とを備える。
特開2014−229370号公報
この種の製造装置の吸着ローラは、基材を吸着するための吸着機構を有する。このため、吸着ローラの外周面には、異物が付着しやすい。そして、当該異物は、電解質膜を吸着ローラで吸着支持するときに、電解質膜へと転着する虞がある。このため、電解質膜に転着した異物によって、膜・触媒層接合体の品質が低下しないように、吸着ローラの清掃を頻繁に行う必要があった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、吸着ローラの異物を効果的に除去し、高品質な膜・触媒層接合体を製造する技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、電解質膜の表面に触媒層を形成する膜・触媒層接合体の製造装置であって、長尺体状の電解質膜を、その外周面の一部で吸着保持するとともに、その軸心周りに回転する吸着ローラと、前記吸着ローラに吸着保持されつつ移動する電解質膜の表面に、触媒材料を供給する材料供給部と、前記吸着ローラの周囲の前記電解質膜が存在しない位置において、前記吸着ローラの外周面に付着した異物を除去する異物除去部と、を有する。
本願の第2発明は、第1発明の製造装置であって、前記異物除去部は、外周面が粘着質の材料からなる一つ以上の粘着ローラを有し、前記粘着ローラは、前記吸着ローラと接触しつつ回転する。
本願の第3発明は、第1発明または第2発明の製造装置であって、前記異物除去部は、前記吸着ローラの外周面の一部を覆い、内部の気体を吸引して外部に排気する排気口を有する排気ケース部と、前記吸着ローラに向けて気体を噴出する、一つ以上の噴出ノズルと、を有し、前記排気ケース部は、前記噴出ノズルを内部に収容する。
本願の第4発明は、第3発明の製造装置であって、前記異物除去部は、前記吸着ローラと接触しつつ回転するブラシローラをさらに有する。
本願の第5発明は、第4発明の製造装置であって、前記ブラシローラを能動回転させる回転駆動部をさらに有する。
本願の第6発明は、第4発明または第5発明の製造装置であって、前記ブラシローラは、前記排気ケース部の内部に収容される。
本願の第7発明は、第3発明から第6発明までのいずれか1つの製造装置であって、前記噴出ノズルは、前記吸着ローラに向けて環境温度よりも低温の気体を噴出する。
本願の第8発明は、第2発明の製造装置であって、前記粘着ローラは、ゴム製である。
本願の第9発明は、第2発明または第8発明の製造装置であって、前記異物除去部は、前記粘着ローラを前記吸着ローラに対して、接触または隔離する方向に移動させる移動機構をさらに有する。
本願の第10発明は、第9発明の製造装置であって、前記移動機構は、前記粘着ローラを前記吸着ローラに対して押圧する。
本願の第11発明は、第1発明から第10発明までのいずれか1つの製造装置であって、前記材料供給部は、スリット状の吐出口を有し、前記吐出口から前記電解質膜に向けて触媒材料を吐出する。
本願の第12発明は、電解質膜の表面に触媒層を形成する膜・触媒層接合体の製造方法であって、a)長尺体状の電解質膜を、軸心周りに回転する吸着ローラの外周面の一部で吸着保持する工程と、b)前記吸着ローラに吸着保持されつつ移動する電解質膜の表面に、触媒材料を供給する工程と、c)前記吸着ローラの周囲の前記電解質膜が存在しない位置に配置された異物除去部により、前記吸着ローラの外周面に付着した異物を除去する工程と、を有する。
本願の第13発明は、第12発明の製造方法であって、前記異物除去部は、外周面が粘着質の材料からなる一つ以上の粘着ローラを有し、前記工程c)では、前記粘着ローラは、前記吸着ローラと接触しつつ回転することで異物を除去する。
本願の第14発明は、第12発明または第13発明の製造方法であって、前記異物除去部は、前記吸着ローラの外周面の一部を覆い、内部の気体を吸引して外部に排気する排気口を有する排気ケース部と、前記排気ケース部に収容される、一つ以上の噴出ノズルと、を有し、前記工程c)は、d)前記吸着ローラに向けて前記噴出ノズルにより気体を噴出する工程と、e)前記排気口により、前記排気ケース部の内部の気体を排気する工程と、を有する。
本願の第15発明は、第14発明の製造方法であって、前記異物除去部は、前記排気ケース部に収容されるブラシローラをさらに有し、前記工程c)は、f)前記ブラシローラが、前記吸着ローラと接触しつつ回転する工程をさらに有する。
本願の第16発明は、第14発明または第15発明に製造方法であって、前記工程d)では、環境温度よりも低温の気体を前記吸着ローラに向けて噴出する。
本願の第1発明〜第16発明によれば、吸着ローラに付着した異物は異物除去部によって除去される。これにより、吸着ローラから電解質膜に転着する異物を低減できる。また、製造装置が稼動している間も、異物除去部によって吸着ローラに付着した異物が除去され続ける。このため、吸着ローラの清掃作業等のメンテナンスの頻度を低減できる。したがって、製造装置の稼働率を向上できる。
特に、本願の第2発明または第13発明によれば、吸着ローラの外周面に付着した異物が粘着ローラに付着する。これにより、吸着ローラの外周面に付着した異物を除去することができる。また、異物除去部を簡易な構成とすることができる。
特に、本願の第3発明または第14発明によれば、吸着ローラの外周面の一部および排気ケース部によって略閉空間が構成される。噴出ノズルから吸着ローラの外周面への気体の噴出は、略閉空間内で行われる。そして、略閉空間の内部の気体は、排気口に吸引される。これにより、吸着ローラの外周面に付着した異物が吹き飛ばされ、気体とともに排気口に吸引される。したがって、吸着ローラに付着した異物をより除去できる。また、吸着ローラから吹き飛ばされた異物が飛散することを防止できる。
特に、本願の第4発明または第15発明によれば、吸着ローラの外周面に付着した異物は、ブラシローラのブラシによって掻き取られる。したがって、吸着ローラのが外周面に付着した異物をより低減できる。
特に、本願の第5発明によれば、ブラシローラによる異物の除去効果を向上できる。
特に、本願の第6発明によれば、ブラシローラによって掻き取られた異物は、排気ケース部の内部で気体とともに排気口に吸引される。したがって、ブラシローラによって掻き取られた異物が飛散することを防止できる。
特に、本願の第7発明または第16発明によれば、噴出ノズルから噴出される気体を利用して、吸着ローラの外周面を冷却できる。
特に、本願の第8発明によれば、粘着ローラの粘着力が低下しにくくなり、粘着ローラの交換頻度を低減することができる。
特に、本願の第9発明によれば、粘着ローラの吸着ローラに対する位置を調整できる。したがって、粘着ローラによって効果的に異物を除去できる。
特に、本願の第10発明によれば、粘着ローラの吸着ローラに対する接触面積が大きくなる。これにより、粘着ローラによって異物がより除去されやすくなる。
膜・触媒層接合体の製造装置の構成を示した図である。 剥離ローラの付近の拡大図である。 吸着ローラの軸心を含む断面における乾燥炉の概略形状を示した図である。 ラミネートローラの付近の拡大図である 制御部と製造装置内の各部との接続を示したブロック図である。 異物除去部の構成を示した図である。 噴出ノズルに接続される配管系の構成を示した図である。 ブラシローラ付近の断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
<1.製造装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る膜・触媒層接合体の製造装置1の構成を示した図である。この製造装置1は、長尺帯状の薄膜である電解質膜の表面に、電極となる触媒層を形成して、固体高分子形燃料電池用の膜・触媒層接合体を製造する装置である。図1に示すように、本実施形態の膜・触媒層接合体の製造装置1は、導入剥離部10、吸着ローラ20、材料供給部30、乾燥炉40、貼付部50、表面冷却部60、異物除去部70および制御部80を備えている。
導入剥離部10は、基材91および電解質膜92の2層で構成される長尺帯状体90を、吸着ローラ20の外周面に導入するとともに、電解質膜92から基材91を剥離する部位である。
電解質膜92には、例えば、フッ素系または炭化水素系の高分子電解質膜が用いられる。電解質膜92の具体例としては、パーフルオロカーボンスルホン酸を含む高分子電解質膜(例えば、米国DuPont社製のNafion(登録商標)、旭硝子(株)製のFlemion(登録商標)、旭化成(株)製のAciplex(登録商標)、ゴア(Gore)社製のGoreselect(登録商標))を挙げることができる。電解質膜92の膜厚は、例えば、5μm〜30μmとされる。電解質膜92は、大気中の湿気によって膨潤する一方、湿度が低くなると収縮する。すなわち、電解質膜92は、大気中の湿度に応じて変形しやすい性質を有する。
基材91は、電解質膜92の変形を抑制するためのバックシートである。基材91の材料には、電解質膜92よりも機械的強度が高く、形状保持機能に優れた樹脂が用いられる。基材91の具体例としては、PEN(ポリエチレンナフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルムを挙げることができる。基材91の膜厚は、例えば25μm〜100μmとされる。
図1に示すように、導入剥離部10は、剥離ローラ11、導入部12および排出部13を有する。
剥離ローラ11は、水平に延びる軸心周りに回転するローラである。剥離ローラ11は、弾性体により形成された円筒状の外周面を有する。剥離ローラ11の外周面と、後述する吸着ローラ20の外周面とは、長尺帯状体90が通過する隙間を空けて、互いに対向する。また、剥離ローラ11は、図示を省略したエアシリンダによって、吸着ローラ20側へ加圧されている。
導入部12は、膜巻出ローラ121および第1検知ローラ122を有する。膜巻出ローラ121および第1検知ローラ122は、いずれも、剥離ローラ11と平行に配置される。供給前の長尺帯状体90は、膜巻出ローラ121に巻き付けられている。膜巻出ローラ121は、図示を省略したモータの動力により回転する。膜巻出ローラ121が回転すると、長尺帯状体90は、膜巻出ローラ121から繰り出される。
膜巻出ローラ121から繰り出された長尺帯状体90は、第1検知ローラ122の外周面に接触することにより向きを変えて、剥離ローラ11側へ搬送される。第1検知ローラ122は、長尺帯状体90から受ける荷重をロードセルで計測することにより、導入部12において長尺帯状体90にかかる張力を検知する。後述する制御部80は、第1検知ローラ122により検知される長尺帯状体90の張力が、予め設定された値となるように、膜巻出ローラ121の回転数を制御する。
図2は、剥離ローラ11の付近の拡大図である。図2に示すように、第1検知ローラ122を通過した長尺帯状体90は、剥離ローラ11と吸着ローラ20との間の隙間14へ導入される。このとき、基材91は剥離ローラ11に接触し、電解質膜92は吸着ローラ20に接触する。また、長尺帯状体90は、剥離ローラ11から受ける圧力で、吸着ローラ20の外周面に押し付けられる。そうすると、吸着ローラ20の後述する負圧によって、吸着ローラ20の外周面に電解質膜92が吸着される。
なお、本実施形態では、膜巻出ローラ121から繰り出される電解質膜92の一方の面に、予め触媒材料9aの層が形成されている。このため、吸着ローラ20の外周面には、当該触媒材料9aの層とともに、電解質膜92が吸着される。触媒材料9aの層は、製造装置1とは別の塗工装置において、基材91および電解質膜92の2層で構成される長尺帯状体90を、そのままロール・ツー・ロール方式で搬送しつつ、電解質膜92の表面に触媒インクを間欠塗工し、塗工された触媒インクを乾燥させることによって形成される。
排出部13は、基材巻取ローラ131および第2検知ローラ132を有する。基材巻取ローラ131および第2検知ローラ132は、いずれも、剥離ローラ11と平行に配置される。隙間14を通過した基材91は、吸着ローラ20から離れて、第2検知ローラ132の方向へ搬送される。これにより、電解質膜92から基材91が剥離される。剥離された基材91は、第2検知ローラ132の外周面に接触することにより向きを変えて、基材巻取ローラ131側へ搬送される。
基材巻取ローラ131は、図示を省略したモータの動力により回転する。これにより、基材巻取ローラ131に基材91が巻き取られる。第2検知ローラ132は、基材91から受ける荷重をロードセルで計測することにより、排出部13において基材91にかかる張力を検知する。後述する制御部80は、第2検知ローラ132により検知される基材91の張力が、予め設定された値となるように、基材巻取ローラ131の回転数を制御する。
吸着ローラ20は、電解質膜92を外周面の一部に吸着保持しつつ回転するローラである。吸着ローラ20は、剥離ローラ11よりも径の大きい円筒状の外周面を有する。吸着ローラ20の直径は、例えば、400mm〜1600mmとされる。吸着ローラ20は、図示を省略したモータの動力により、水平(すなわち、剥離ローラ11と平行)に延びる軸心周りに回転する。吸着ローラ20の回転方向である第1方向と、剥離ローラ11の回転方向である第2方向とは、互いに反対方向となる。
吸着ローラ20の材料には、例えば、多孔質カーボンや多孔質セラミックス等の多孔質材料が用いられる。多孔質セラミックスの具体例としては、アルミナ(Al)または炭化ケイ素(SiC)の焼結体を挙げることができる。多孔質の吸着ローラ20における気孔径は、例えば5μm以下とされ、気孔率は、例えば15%〜50%とされる。また、吸着ローラ20の外周面は、例えば、Rz(最大高さ)の値が5μm以下の表面粗さに形成される。また、回転時における吸着ローラ20の全振れ(回転軸から外周面までの距離の変動)は、10μm以下とされる。
吸着ローラ20の端面には、吸引口21が設けられている。吸引口21は、図外の吸引機構(例えば、排気ポンプ)に接続される。吸引機構を動作させると、吸着ローラ20の吸引口21に負圧が生じる。そして、吸着ローラ20内の気孔を介して、吸着ローラ20の外周面にも、負圧が生じる。例えば、吸引口21に90kPa以上の負圧を発生させることによって、吸着ローラ20の外周面に10kPa以上の負圧を発生させる。電解質膜92は、当該負圧によって、吸着ローラ20外周面に吸着保持されつつ、吸着ローラ20の回転によって円弧状に搬送される。
また、図1中に破線で示すように、吸着ローラ20の内部には、複数の水冷管22が設けられている。水冷管22には、図外の給水機構から、所定温度に温調された冷却水が供給される。製造装置1の動作時には、吸着ローラ20の熱が、熱媒体である冷却水に吸収される。これにより、吸着ローラ20が冷却される。熱を吸収した冷却水は、図外の排液機構へ排出される。
材料供給部30は、吸着ローラ20により搬送される電解質膜92の表面に、触媒インクを塗工するための機構である。触媒インクには、触媒材料(例えば、白金(Pt))を含む粒子をアルコールなどの溶媒中に分散させた電極ペーストが用いられる。図1に示すように、材料供給部30は、塗工ノズル31を有する。塗工ノズル31は、吸着ローラ20による電解質膜92の搬送方向において、剥離ローラ11よりも下流側に設けられている。塗工ノズル31は、吸着ローラ20の外周面に対向する吐出口311を有する。吐出口311は、吸着ローラ20の外周面に沿って、水平に延びるスリット状の開口である。
塗工ノズル31は、供給配管32を介して、触媒インク供給源33と流路接続されている。また、供給配管32の経路上には、開閉弁34が介挿されている。このため、開閉弁34を開放すると、触媒インク供給源33から、供給配管32を通って塗工ノズル31に、触媒インクが供給される。そして、塗工ノズル31の吐出口311から電解質膜92へ向けて、触媒インクが吐出される。その結果、吸着ローラ20に保持された電解質膜92の外側の面に、触媒インクが塗工される。
本実施形態では、開閉弁34を一定の周期で開閉することによって、塗工ノズル31の吐出口311から、触媒インクを断続的に吐出する。これにより、電解質膜92の表面に、触媒インクを搬送方向に一定の間隔で間欠塗工する。ただし、開閉弁34を連続的に開放して、電解質膜92の表面に、搬送方向に切れ目無く触媒インクを塗工してもよい。
なお、触媒インク中の触媒材料には、高分子形燃料電池のアノードまたはカソードにおいて燃料電池反応を起こす材料が用いられる。具体的には、白金(Pt)、白金合金、白金化合物等を、触媒材料として用いることができる。白金合金の例としては、例えば、ルテニウム(Ru)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)、イリジウム(Ir)、鉄(Fe)等からなる群から選択された少なくとも1種の金属と白金との合金を挙げることができる。一般的には、カソード用の触媒材料には白金が用いられ、アノード用の触媒材料には白金合金が用いられる。塗工ノズル31から吐出される触媒インクは、カソード用であってもアノード用であってもよい。ただし、電解質膜92の表裏に形成される触媒材料9a,9bには、互いに逆極性の触媒材料とする。
乾燥炉40は、電解質膜92の表面に塗工された触媒インクを乾燥させる部位である。本実施形態の乾燥炉40は、吸着ローラ20による電解質膜92の搬送方向において、材料供給部30よりも下流側に配置されている。また、乾燥炉40は、吸着ローラ20の外周面に沿って、円弧状に設けられている。図1に示すように、乾燥炉40は、3つの熱風供給部41〜43と、2つの熱遮断部44,45とを有する。3つの熱風供給部41〜43は、吸着ローラ20の外周面に向けて、加熱された気体(熱風)を吹き付ける。触媒インクが塗工された電解質膜92が熱風供給部41〜43を通過すると、当該熱風により触媒インクが乾燥して固化する。すなわち、触媒インク中の溶媒が気化して、電解質膜92の表面に触媒材料9bの層が形成される。
3つの熱風供給部41〜43は、それぞれ、吹き付ける熱風の温度が異なる。3つの熱風供給部41〜43から吹き付けられる熱風の温度は、吸着ローラ20による電解質膜92の搬送方向の上流側から下流側へ向かうにつれて、順次に高くなる。最も搬送方向上流側の熱風供給部41から吹き付けられる熱風の温度は、例えば、周囲の環境温度以上かつ40℃以下とされる。2つ目の熱風供給部42から吹き付けられる熱風の温度は、例えば、40℃以上かつ80℃以下とされる。また、最も搬送方向下流側の熱風供給部43から吹き付けられる熱風の温度は、例えば、50℃以上かつ100℃以下とされる。
このように、本実施形態の乾燥炉40では、電解質膜92に吹き付ける熱風の温度を、搬送方向下流側へ向かうにつれて順次に高くする。このようにすれば、電解質膜92および触媒インクの温度を、緩やかに上昇させることができる。したがって、急激な乾燥により触媒材料9bにクラック等の損傷が生じることを、抑制できる。
2つの熱遮断部44,45は、吸着ローラ20による電解質膜92の搬送方向において、3つの熱風供給部41〜43の上流側および下流側に設けられている。すなわち、一方の熱遮断部44は、最も搬送方向上流側の熱風供給部41よりも搬送方向の上流側に配置され、他方の熱遮断部45は、最も搬送方向下流側の熱風供給部43よりも搬送方向の下流側に配置されている。これらの熱遮断部44,45は、吸着ローラ20の外周面近傍の気体を吸引する。これにより、熱風供給部41〜43から吹き出された熱風が、熱遮断部44,45を超えて搬送方向の上流側および下流側へ流れ出すことを防止する。また、乾燥時に触媒インクから生じた溶媒の蒸気が、熱遮断部44,45を超えて搬送方向の上流側および下流側へ流れ出すことも防止する。
図3は、吸着ローラ20の軸心を含む断面における、乾燥炉40の概略形状を示した図である。図3に示すように、本実施形態の乾燥炉40は、一対の吸引部46,47を有する。吸引部46,47は、熱風供給部41〜43の両側縁部から吸着ローラ20側へ向けて、板状に突出する。また、各吸引部46,47は、吸着ローラ20の外周面の両側部に沿って、円弧状に広がる。これらの吸引部46,47は、周辺の気体を吸引する。これにより、熱風供給部41,43から供給された熱風や、溶媒の蒸気が、吸引部46,47を超えて外側へ流れ出すことを防止する。
貼付部50は、触媒材料9bの層が形成された電解質膜92の表面に、帯状の支持フィルム93を貼り付ける部位である。貼付部50は、吸着ローラ20による電解質膜92の搬送方向において、乾燥炉40よりも下流側に配置されている。図1に示すように、貼付部50は、ラミネートローラ51、フィルム供給部52および接合体回収部53を有する。
図4は、ラミネートローラ51の付近の拡大図である。ラミネートローラ51は、水平に延びる軸心周りに回転するローラである。ラミネートローラ51は、吸着ローラ20よりも径の小さい円筒状の外周面を有する。ラミネートローラ51の外周面と、吸着ローラ20の外周面とは、電解質膜92および支持フィルム93が通過する隙間を空けて、互いに対向する。また、ラミネートローラ51は、図示を省略したエアシリンダによって、吸着ローラ20側へ加圧されている。
ラミネートローラ51の材料には、例えば、熱伝導率の高い金属が用いられる。また、ラミネートローラ51の内部には、通電により発熱するヒータ511が設けられている。ヒータ511には、例えば、シーズヒータを用いることができる。ヒータ511に通電すると、ヒータ511から生じる熱によって、ラミネートローラ51の外周面が、環境温度よりも高い所定の温度に温調される。なお、ラミネートローラ51の外周面の温度を放射温度計等の温度センサを用いて計測し、その計測結果に基づいて、ラミネートローラ51の外周面が一定の温度となるように、ヒータ511の出力を制御してもよい。
図1に戻る。フィルム供給部52は、フィルム巻出ローラ521および第3検知ローラ522を有する。フィルム巻出ローラ521および第3検知ローラ522は、いずれも、ラミネートローラ51と平行に配置される。供給前の支持フィルム93は、フィルム巻出ローラ521に巻き付けられている。フィルム巻出ローラ521は、図示を省略したモータの動力により回転する。フィルム巻出ローラ521が回転すると、支持フィルム93は、フィルム巻出ローラ521から繰り出される。
支持フィルム93の材料には、電解質膜92よりも機械的強度が高く、形状保持機能に優れた樹脂が用いられる。支持フィルム93の具体例としては、PEN(ポリエチレンナフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルムを挙げることができる。支持フィルム93は、基材91と同じものであってもよい。また、基材巻取ローラ131によって巻き取った基材91を、支持フィルム93としてフィルム巻出ローラ521から繰り出すようにしてもよい。
繰り出された支持フィルム93は、第3検知ローラ522の外周面に接触することにより向きを変えて、ラミネートローラ51側へ搬送される。第3検知ローラ522は、支持フィルム93から受ける荷重をロードセルで計測することにより、支持フィルム供給部52において支持フィルム93にかかる張力を検知する。後述する制御部80は、第3検知ローラ522により検知される支持フィルム93の張力が、予め設定された値となるように、フィルム巻出ローラ521の回転数を制御する。
第3検知ローラ522を通過した支持フィルム93は、吸着ローラ20の外周面に吸着保持された電解質膜92と、ラミネートローラ51との間へ導入される。このとき、支持フィルム93は、ラミネートローラ51からの圧力により電解質膜92に押し付けられるとともに、ラミネートローラ51の熱により加熱される。その結果、電解質膜92の外側の面に、支持フィルム93が貼り付けられる。電解質膜92の表面に形成された触媒材料9bは、電解質膜92と支持フィルム93との間に挟まれる。これにより、電解質膜92、触媒材料9a,9bおよび支持フィルム93で構成される膜・触媒層接合体94が形成される。
接合体回収部53は、接合体巻取ローラ531および第4検知ローラ532を有する。接合体巻取ローラ531および第4検知ローラ532は、いずれも、ラミネートローラ51と平行に配置される。吸着ローラ20とラミネートローラ51との間を通過した膜・触媒層接合体94は、吸着ローラ20から離れて、第4検知ローラ532の方向へ搬送される。そして、膜・触媒層接合体94は、第4検知ローラ532の外周面に接触することにより向きを変えて、接合体巻取ローラ531側へ搬送される。
接合体巻取ローラ531は、図示を省略したモータの動力により回転する。これにより、接合体巻取ローラ531に膜・触媒層接合体94が巻き取られる。第4検知ローラ532は、膜・触媒層接合体94から受ける荷重をロードセルで計測することにより、接合体回収部53において膜・触媒層接合体94にかかる張力を検知する。後述する制御部80は、第4検知ローラ532により検知される膜・触媒層接合体94の張力が、予め設定された値となるように、接合体巻取ローラ531の回転数を制御する。
表面冷却部60は、吸着ローラ20の外周面を冷却するための機構である。表面冷却部60は、吸着ローラ20の外周面のうち、貼付部50と剥離部10との間の電解質膜92を保持しない領域20aに対向する位置に配置される。表面冷却部60は、例えば、吸着ローラ20の外周面に、環境温度よりも低温(例えば5度程度)のクリーンドライエアを吹き付ける。乾燥炉40およびラミネートローラ51により加熱された吸着ローラ20は、当該クリーンドライエアを受けることによって冷却される。
このように、本実施形態の製造装置1では、膜巻出ローラ121からの長尺帯状体90の繰り出し、電解質膜92からの基材91の剥離、電解質膜92への触媒インクの塗工、乾燥炉40による乾燥、電解質膜92への支持フィルム93の貼り付け、の各工程が、順次に実行される。これにより、固体高分子形燃料電池の電極に用いられる膜・触媒層接合体94が製造される。電解質膜92は、基材91、吸着ローラ20、または支持フィルム93に、常に保持されている。これにより、製造装置1における電解質膜92の膨潤・収縮等の変形が抑制される。
制御部80は、製造装置1内の各部を動作制御するための手段である。図5は、制御部80と、製造装置1内の各部との接続を示したブロック図である。図5中に概念的に示したように、制御部80は、CPU等の演算処理部81、RAM等のメモリ82およびハードディスクドライブ等の記憶部83を有するコンピュータにより構成される。記憶部83内には、印刷処理を実行するためのコンピュータプログラムPが、インストールされている。
また、図3に示すように、制御部80は、上述した膜巻出ローラ121のモータ、第1検知ローラ122のロードセル、基材巻取ローラ131のモータ、第2検知ローラ132のロードセル、吸着ローラ20のモータ、吸着ローラ20の吸引機構、吸着ローラ20の給水機構、3つの熱風供給部41〜43、2つの熱遮断部44,45、2つの吸引部46,47、ヒータ511、フィルム巻出ローラ521のモータ、第3検知ローラ522のロードセル、接合体巻取ローラ531のモータ、第4検知ローラ532のロードセルおよび表面冷却部60と、それぞれ通信可能に接続されている。また、制御部80は、後述する排気機構725、開閉弁732、モータ743およびエアシリンダ75とも、それぞれ通信可能に接続されている。
制御部80は、記憶部83に記憶されたコンピュータプログラムPやデータをメモリ82に一時的に読み出し、当該コンピュータプログラムPに基づいて、演算処理部81が演算処理を行うことにより、上記の各部を動作制御する。これにより、製造装置1における膜・触媒層接合体の製造処理が進行する。
<2.異物除去部の構成について>
次に、異物除去部70の構成について説明する。
図6は、異物除去部70の構成を示す図である。吸着ローラ20の外周面には、雰囲気中の塵埃等の異物が付着しやすい。また、吸着ローラ20の外周面には、基材91に付着した異物が転着しやすい。異物除去部70は、吸着ローラ20の外周面に付着した、このような異物を除去するための機構である。異物除去部70は、吸着ローラ20の外周面のうち、貼付部50と剥離部10との間の電解質膜92を保持しない領域20aに対向する位置に配置される。図6に示すように、本実施形態の異物除去部70は、粘着ローラ71、排気ケース部72、一つ以上の噴出ノズル73およびブラシローラ74を有する。
粘着ローラ71は、吸着ローラ20の外周部に付着した異物を除去するためのローラである。粘着ローラ71は、吸着ローラ20と接触しつつ回転する。粘着ローラ71の少なくとも外周面は、粘着質の材料からなる。このため、吸着ローラ20に粘着ローラ71が接触すると、吸着ローラ20の外周面20fに付着した異物は、吸着ローラ20から離れて粘着ローラ71に付着する。これにより、吸着ローラ20の外周面20fに付着した異物を効果的に除去することができる。また、粘着ローラ71には、モータ等の回転駆動源や配管などを設ける必要がない。したがって、簡易な構成で、異物を除去することができる。なお、粘着ローラ71はゴム製であることが好ましい。これにより、粘着ローラ71の粘着力が低下しにくくなり、粘着ローラ71の交換頻度を低減することができる。
排気ケース部72は、吸着ローラ20の外周面へ向けて開いた筐体である。排気ケース部72は、電解質膜92が吸着保持されていない吸着ローラ20の外周面の一部を覆う。これにより、排気ケース部72は、吸着ローラ20との間に、僅かな間隔を空けて略閉空間723を構成する。排気ケース部72は、排気口721と仕切板722とを有する。排気口721は、配管を介して排気機構725と接続されている。排気機構725は、例えば、ポンプ、ファン、またはブロワにより構成される。排気機構725を起動させると、排気口721に負圧が生じる。これにより、略閉空間723の内部の気体が、排気口721に吸引され外部へと排気される。なお、排気機構725は、工場の用力設備等を利用するものであってもよい。すなわち、排気機構725は、製造装置1の一部でなくてもよい。
一つ以上の噴出ノズル73は、それぞれ、排気ケース内部に収容される。図7は、噴出ノズル73に接続される配管系の構成を示した図である。図7に示すように、噴出ノズル73は、気体を供給する気体供給源731と配管および開閉弁732を介して接続されている。開閉弁732を開放させると、噴出ノズル73に外気圧よりも高圧の気体が供給され、噴出ノズル73から吸着ローラ20に向けて、気体が噴出される。なお、図6では、4つの噴出ノズル73を図示しているが、噴出ノズル73の数は、1〜3つであってもよく、5つ以上であってもよい。噴出ノズル73から噴出される気体には、例えば、クリーンドライエアや窒素ガス等が使用される。なお、気体供給源731は、工場の用力設備等を利用するものであってもよい。すなわち、気体供給源731は、製造装置1の一部でなくてもよい。
噴出ノズル73から吸着ローラ20の外周面への気体の噴出は、略閉空間723内で行われる。そして、略閉空間723の内部の気体は、排気口721から吸引され外部へと排気される。これにより、吸着ローラ20の外周面に付着した異物は吹き飛ばされ、気体とともに排気口721に吸引される。したがって、吸着ローラ20に付着した異物をより効果的に除去できる。また、吸着ローラ20から吹き飛ばされた異物が飛散することを防止できる。このため、取り除かれた異物が、吸着ローラ20の外周面に再付着することを防止できる。
噴出ノズル73は、吸着ローラ20の外周面に向けて、環境温度よりも低温の気体を噴出する。このため、乾燥炉40およびラミネートローラ51により加熱された吸着ローラ20の外周面は、噴出ノズル73から噴出される気体によって、冷却される。このように、噴出ノズル73は、吸着ローラ20の外周面を冷却する冷却機能も有する。
特に、本実施形態の噴出ノズル73から噴出される気体は、露点以下(例えば10度以下)の温度である。これにより、吸着ローラ20の外周面は冷却され、周囲の気体の結露による微小な水滴が発生する。そうすると、吸着ローラ20の外周面に付着した近接する複数の異物が、水滴を介して凝集する。凝集した異物は、重量が大きくなり、吸着ローラ20から剥離しやすくなる。したがって、異物除去部70によって、異物がより除去されやすくなる。なお、噴出ノズル73から噴出される気体の温度は0度以下であることがより好ましい。この結果、結露がより発生しやすくなり、異物除去部70によって異物をより除去することができる。また、乾燥炉40およびラミネートローラ51により加熱された吸着ローラ20をより冷却することができる。異物除去部70によって、吸着ローラ20を十分に冷却できれば、表面冷却部60を省略してもよい。
仕切板722は、複数の開口724を有し、排気ケース内部に配置される板状の部材である。略閉空間723の内部の気体は、複数の開口724を通り、排気口721に吸引される。これにより、小さい圧力で略閉空間723内部の気体を排気できる。また、開口724の位置を仕切板722に適宜配置することで、略閉空間723内部の任意の場所の気体を、集中的に吸引できる。特に、排気ケース部72の端部と、吸着ローラ20との間は僅かな間隔が開いている。そこで、排気ケース部72の端部付近に開口724を配置することで、略閉空間723内部の気体が外部へと漏れることを抑えられる。したがって、噴出ノズル73により吹き飛ばされた異物が、外部へと飛散することをより抑えられる。
ブラシローラ74は、吸着ローラ20の外周部に付着した異物を除去する円筒状の部材である。図8は、ブラシローラ74付近の断面図である。ブラシローラ74は、シャフト741にブラシ742が巻き付けられることで構成される。ブラシ742には、例えば、ナイロン製の複数の毛を有するナイロンブラシが使用される。ブラシ742の先端は、吸着ローラ20の外周面と接触する。吸着ローラ20の外周面に付着した異物は、ブラシ742によって掻き取られる。これにより、吸着ローラ20の外周面に付着した異物をより低減できる。
また、ブラシローラ74は、排気ケース部72の内部に収容される。これにより、ブラシローラによって掻き取られた異物は、略閉空間723の内部で気体とともに排気口721に吸引される。したがって、ブラシローラ74によって掻き取られた異物が飛散することを防止できる。なお、図8に示すように、本実施形態では、ブラシローラ74のシャフト741に、回転駆動部としてのモータ743が接続されている。モータ743を駆動させると、ブラシローラ74が能動的に回転する。ブラシローラ74は、吸着ローラ20の回転方向と同方向(図6において時計回り)に回転させることが好ましい。そうすれば、吸着ローラ20とブラシローラ74との接触部において、吸着ローラ20の外周面とブラシ742とが、互いに反対方向に移動する。これにより、ブラシローラ74による異物の除去効果をより向上できる。
また、本実施形態では、異物除去部70は、移動機構であるエアシリンダ75をさらに有する。エアシリンダ75は、粘着ローラ71を吸着ローラ20に対して、近接または隔離する方向に移動させる。図6の例では、吸着ローラ20の異物を除去する場合、制御部80はエアシリンダ75を上昇させる。そして、粘着ローラ71を吸着ローラ20に接触させる。このように、エアシリンダ75によって、粘着ローラ71の吸着ローラ20に対する位置を調整できる。また、粘着ローラ71を交換するときは、制御部80は、エアシリンダ75を下降させて、粘着ローラ71を吸着ローラ20から隔離させる。このようにすれば、広いスペースを利用して、粘着ローラ71の交換作業を行うことができるため、メンテナンスの作業性が向上する。
また、エアシリンダ75は、さらに上昇することで、粘着ローラ71を吸着ローラ20に対して当接させつつ押圧する。そうすると、粘着ローラ71の外周面は、吸着ローラ20の外周面に沿って変形する。したがって、粘着ローラ71の吸着ローラ20に対する接触面積が大きくなる。なお、粘着ローラ71は、吸着ローラ20に対して、吸着ローラ20の外周方向に3mm以上の面幅で接触することが好ましい。これにより、粘着ローラ71によって異物がより除去されやすくなる。
上述したように、本実施形態では、異物除去部70は、粘着ローラ71、噴出ノズル73およびブラシローラ74を有する。吸着ローラ20が回転すると、吸着ローラ20に付着した比較的大きな異物が、先ず、ブラシローラ74によって除去される。次に、吸着ローラ20に付着した剥離しやすい異物が、噴出ノズル73によって、除去される。そして、吸着ローラ20に付着した異物のうち、ブラシローラ74および噴出ノズル73によって、除去されなかった異物が、粘着ローラ71によって除去される。
このように、吸着ローラ20に付着した異物を、異物除去部70によって、効果的に除去できる。したがって、吸着ローラ20から電解質膜92に転着する異物を低減できる。また、製造装置1が稼動している間も、異物除去部70によって吸着ローラ20に付着した異物が除去され続ける。このため、吸着ローラ20の清掃作業等のメンテナンスの頻度を低減できる。この結果、製造装置1の稼働率を向上できる。
特に、本実施形態では、吸着ローラ20に保持される電解質膜92の内側の面に、予め触媒材料9aの層が形成されている。この触媒材料9aの層は、製造装置1とは別の装置において、塗工ノズル31から電解質膜92に塗工液である触媒インクを吐出することにより、形成される。塗工ノズル31内部の塗工液は、滞留すると乾燥等の影響で濃度が変化する。そうすると、塗工ノズル31による吐出が不安定となり、電解質膜92に形成される触媒材料9aの層が不安定となる。したがって、電解質膜92に安定した触媒材料9aの層を形成するためには、いわゆる「捨て打ち」等の先行吐出を行う必要がある。
先行吐出によって形成された触媒材料9aの層は、剥離しやすく異物となる場合がある。また、本実施形態では、触媒材料9aの層は電解質膜92の吸着ローラ20と接触する面に形成される。このため、先行吐出によって形成された触媒材料9aの層は、吸着ローラ20に付着する異物となる場合がある。しかしながら、本実施形態では、吸着ローラ20に付着した、先行吐出に起因する異物も、異物除去部70において除去することができる。
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
上記の実施形態では、異物除去部は、粘着ローラ、粘着ローラ、排気ケース部、噴出ノズルおよびブラシローラを有していた。しかしながら、異物除去部は、必ずしもこれらの全ての要素を有していなくてもよい。例えば、異物除去部は、吸着ローラのみで構成されていてもよい。
また、上記の実施形態では、異物除去部は、一つの粘着ローラを有していた。しかしながら、異物除去部は、複数の粘着ローラを有していてもよい。また、ブラシローラを、粘着ローラに置き換えてもよい。
また、上記の実施形態では、異物除去部は、粘着ローラを吸着ローラに対して移動させるエアシリンダを有していた。しかしながら、異物除去部は、ブラシローラを吸着ローラに対して移動させるエアシリンダをさらに有していてもよい。
また、上記の実施形態では、触媒材料の層は、触媒材料を塗工ノズルから吐出することで形成されていた。しかしながら、触媒材料の層は、触媒材料を電解質膜に転写することで形成されてもよい。
また、上記の実施形態では、一方の面に予め触媒材料の層が形成された電解質膜の他方の面に、触媒材料を形成する場合について説明した。しかしながら、本発明の製造装置は、表裏のいずれの面にも触媒材料の層が形成されていない電解質膜に対して、触媒材料を形成するものであってもよい。
また、膜・触媒層接合体の製造装置の細部の形状については、本願の各図と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
1 製造装置
20 吸着ローラ
31 塗工ノズル
70 異物除去部
71 粘着ローラ
72 排気ケース部
73 噴出ノズル
74 ブラシローラ
75 エアシリンダ
90 長尺帯状体
91 基材
92 電解質膜
721 排気口

Claims (16)

  1. 電解質膜の表面に触媒層を形成する膜・触媒層接合体の製造装置であって、
    長尺体状の電解質膜を、その外周面の一部で吸着保持するとともに、その軸心周りに回転する吸着ローラと、
    前記吸着ローラに吸着保持されつつ移動する電解質膜の表面に、触媒材料を供給する材料供給部と、
    前記吸着ローラの周囲の前記電解質膜が存在しない位置において、前記吸着ローラの外周面に付着した異物を除去する異物除去部と、
    を有する製造装置。
  2. 請求項1に記載の製造装置であって、
    前記異物除去部は、外周面が粘着質の材料からなる一つ以上の粘着ローラを有し、
    前記粘着ローラは、前記吸着ローラと接触しつつ回転する製造装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の製造装置であって、
    前記異物除去部は、
    前記吸着ローラの外周面の一部を覆い、内部の気体を吸引して外部に排気する排気口を有する排気ケース部と、
    前記吸着ローラに向けて気体を噴出する、一つ以上の噴出ノズルと、
    を有し、
    前記排気ケース部は、前記噴出ノズルを内部に収容する製造装置。
  4. 請求項3に記載の製造装置であって、
    前記異物除去部は、
    前記吸着ローラと接触しつつ回転するブラシローラをさらに有する製造装置。
  5. 請求項4に記載の製造装置であって、
    前記ブラシローラを能動回転させる回転駆動部をさらに有する製造装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載の製造装置であって、
    前記ブラシローラは、前記排気ケース部の内部に収容される製造装置。
  7. 請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載の製造装置であって、
    前記噴出ノズルは、前記吸着ローラに向けて環境温度よりも低温の気体を噴出する製造装置。
  8. 請求項2に記載の製造装置であって、
    前記粘着ローラは、ゴム製である製造装置。
  9. 請求項2または請求項8に記載の製造装置であって、
    前記異物除去部は、前記粘着ローラを前記吸着ローラに対して、接触または隔離する方向に移動させる移動機構をさらに有する製造装置。
  10. 請求項9に記載の製造装置であって、
    前記移動機構は、前記粘着ローラを前記吸着ローラに対して押圧する製造装置。
  11. 請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の製造装置であって、
    前記材料供給部は、
    スリット状の吐出口を有し、
    前記吐出口から前記電解質膜に向けて触媒材料を吐出する製造装置。
  12. 電解質膜の表面に触媒層を形成する膜・触媒層接合体の製造方法であって、
    a)長尺体状の電解質膜を、軸心周りに回転する吸着ローラの外周面の一部で吸着保持する工程と、
    b)前記吸着ローラに吸着保持されつつ移動する電解質膜の表面に、触媒材料を供給する工程と、
    c)前記吸着ローラの周囲の前記電解質膜が存在しない位置に配置された異物除去部により、前記吸着ローラの外周面に付着した異物を除去する工程と、
    を有する製造方法。
  13. 請求項12に記載の製造方法であって、
    前記異物除去部は、外周面が粘着質の材料からなる一つ以上の粘着ローラを有し、
    前記工程c)では、前記粘着ローラは、前記吸着ローラと接触しつつ回転することで異物を除去する製造方法。
  14. 請求項12または請求項13に記載の製造方法であって、
    前記異物除去部は、
    前記吸着ローラの外周面の一部を覆い、内部の気体を吸引して外部に排気する排気口を有する排気ケース部と、
    前記排気ケース部に収容される、一つ以上の噴出ノズルと、
    を有し、
    前記工程c)は、
    d)前記吸着ローラに向けて前記噴出ノズルにより気体を噴出する工程と、
    e)前記排気口により、前記排気ケース部の内部の気体を排気する工程と、
    を有する製造方法。
  15. 請求項14に記載の製造方法であって、
    前記異物除去部は、前記排気ケース部に収容されるブラシローラをさらに有し、
    前記工程c)は、
    f)前記ブラシローラが、前記吸着ローラと接触しつつ回転する工程をさらに有する製造方法。
  16. 請求項14または請求項15に記載の製造方法であって、
    前記工程d)では、環境温度よりも低温の気体を前記吸着ローラに向けて噴出する製造方法。
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