JP2017062517A - 位相差層付偏光板および画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】非常に薄く、かつ、優れた耐久性を有する位相差層付偏光板を提供すること。【解決手段】本発明の位相差層付偏光板は、偏光子と、偏光子の一方の側に第1の接着層を介して貼り合わされた保護層と、偏光子のもう一方の側に第2の接着層を介して貼り合わされた位相差層と、を有する。偏光子の厚みは2μm〜12μmであり、ホウ酸含有量は18重量%以上であり、ヨウ素含有量は2.1重量%以上であり、単体透過率は44.2%以上であり、偏光度は98%以上であり、配向関数は0.35以上である。位相差層の厚みは50μm以下であり、複屈折Δnxyは0.0025以上である。第1の接着層および第2の接着層の厚みは2μm以下である。【選択図】図1
Description
本発明は、位相差層付偏光板およびそれを用いた画像表示装置に関する。
近年、液晶表示装置および有機EL表示装置に代表される画像表示装置が急速に普及している。画像表示装置には、代表的には偏光板および位相差板が用いられている。実用的には、偏光板と位相差板とを一体化した位相差層付偏光板が広く用いられているところ(例えば、特許文献1)、最近、画像表示装置の薄型化への要望が強くなるに伴って、位相差層付偏光板についても薄型化の要望が強まっている。しかし、位相差層付偏光板の薄型化を試みると、耐久性(代表的には、高温多湿時の耐久性)が不十分となるという問題がある。この問題は、位相差層付偏光板が薄くなればなるほど顕著である。
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、非常に薄く、かつ、優れた耐久性を有する位相差層付偏光板を提供することにある。
本発明の位相差層付偏光板は、偏光子と、該偏光子の一方の側に第1の接着層を介して貼り合わされた保護層と、該偏光子のもう一方の側に第2の接着層を介して貼り合わされた位相差層と、を有する。該偏光子は、厚みが2μm〜12μmであり、ホウ酸含有量が18重量%以上であり、ヨウ素含有量が2.1重量%以上であり、単体透過率が44.2%以上であり、偏光度が98%以上であり、配向関数が0.35以上である。該位相差層は、厚みが50μm以下であり、複屈折Δnxyが0.0025以上である。該第1の接着層および該第2の接着層の厚みは2μm以下である。
1つの実施形態においては、上記位相差層は、環状オレフィン系樹脂フィルムおよびポリカーボネート系樹脂フィルムから選択される樹脂フィルムで構成されている。
1つの実施形態においては、上記位相差層はλ/4板として機能する。
1つの実施形態においては、上記偏光子は、樹脂基材の片側にポリビニルアルコール系樹脂層を形成すること;および、該樹脂基材と該ポリビニルアルコール系樹脂層との積層体を延伸および染色して該ポリビニルアルコール系樹脂層を偏光子とすること;により得られる。
1つの実施形態においては、上記位相差層付偏光板は、総厚みが150μm以下である。
1つの実施形態においては、上記第1の接着層および上記第2の接着層の押し込み弾性率は、1.0×107Pa以上である。
本発明の別の局面によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、上記の位相差層付偏光板を備える。
1つの実施形態においては、上記位相差層は、環状オレフィン系樹脂フィルムおよびポリカーボネート系樹脂フィルムから選択される樹脂フィルムで構成されている。
1つの実施形態においては、上記位相差層はλ/4板として機能する。
1つの実施形態においては、上記偏光子は、樹脂基材の片側にポリビニルアルコール系樹脂層を形成すること;および、該樹脂基材と該ポリビニルアルコール系樹脂層との積層体を延伸および染色して該ポリビニルアルコール系樹脂層を偏光子とすること;により得られる。
1つの実施形態においては、上記位相差層付偏光板は、総厚みが150μm以下である。
1つの実施形態においては、上記第1の接着層および上記第2の接着層の押し込み弾性率は、1.0×107Pa以上である。
本発明の別の局面によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、上記の位相差層付偏光板を備える。
本発明によれば、薄型の位相差層付偏光板において、偏光子および位相差層の厚みおよび所定の特性を最適化し、かつ、各層を積層するための接着層の厚みを最適化することにより、耐久性(特に、加熱加湿時のスジムラ)を顕著に改善することができる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した面内位相差である。例えば、「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差である。Re(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx−ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Rth(λ)=(nx−nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)複屈折(Δnxy)
複屈折Δnxyは、式:Δnxy=nx−nyによって求められる。
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した面内位相差である。例えば、「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差である。Re(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx−ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Rth(λ)=(nx−nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)複屈折(Δnxy)
複屈折Δnxyは、式:Δnxy=nx−nyによって求められる。
A.位相差層付偏光板の全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。本実施形態の位相差層付偏光板100は、偏光子11と、偏光子11の一方の側に配置された保護層12と、偏光子11のもう一方の側に配置された位相差層20と、を有する。偏光子11と保護層12とは、第1の接着層31を介して貼り合わされている。偏光子11と位相差層20とは、第2の接着層32を介して貼り合わされている。必要に応じて、偏光子11の保護層12と反対側(偏光子11と位相差層20との間)に、別の保護層(内側保護層、図示せず)が配置されてもよい。図示例では、内側保護層は省略され、位相差層20が保護層を兼ねている。本発明の実施形態においては、偏光子11は、厚みが2μm〜12μmであり、ホウ酸含有量が18重量%以上であり、ヨウ素含有量が2.1重量%以上であり、単体透過率が44.2%以上であり、偏光度が98%以上であり、配向関数が0.35以上である。位相差層20は、厚みが50μm以下であり、複屈折Δnxyが0.028以上である。第1の接着層31および第2の接着層32の厚みはいずれも2μm以下である。
図1は、本発明の1つの実施形態による位相差層付偏光板の概略断面図である。本実施形態の位相差層付偏光板100は、偏光子11と、偏光子11の一方の側に配置された保護層12と、偏光子11のもう一方の側に配置された位相差層20と、を有する。偏光子11と保護層12とは、第1の接着層31を介して貼り合わされている。偏光子11と位相差層20とは、第2の接着層32を介して貼り合わされている。必要に応じて、偏光子11の保護層12と反対側(偏光子11と位相差層20との間)に、別の保護層(内側保護層、図示せず)が配置されてもよい。図示例では、内側保護層は省略され、位相差層20が保護層を兼ねている。本発明の実施形態においては、偏光子11は、厚みが2μm〜12μmであり、ホウ酸含有量が18重量%以上であり、ヨウ素含有量が2.1重量%以上であり、単体透過率が44.2%以上であり、偏光度が98%以上であり、配向関数が0.35以上である。位相差層20は、厚みが50μm以下であり、複屈折Δnxyが0.028以上である。第1の接着層31および第2の接着層32の厚みはいずれも2μm以下である。
位相差層付偏光板の総厚みは、好ましくは150μm以下であり、より好ましくは120μm以下であり、さらに好ましくは110μm以下であり、特に好ましくは100μm以下であり、とりわけ好ましくは80μm以下である。総厚みの実用的な下限は、例えば50μmである。このような非常に薄い総厚みと優れた耐久性とを両立させたことが、本発明の成果の1つである。なお、本明細書において位相差層付偏光板の総厚みとは、保護層、第1の接着層、偏光子、存在する場合には別の保護層、第2の接着層および位相差層の合計厚みをいう。
以下、位相差層付偏光板を構成する各層および光学フィルムについて、より詳細に説明する。
B.偏光子
偏光子11としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、偏光子を形成する樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
偏光子11としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、偏光子を形成する樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
単層の樹脂フィルムから構成される偏光子の具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質による染色処理および延伸処理が施されたもの、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等が挙げられる。好ましくは、光学特性に優れることから、PVA系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸して得られた偏光子が用いられる。
上記ヨウ素による染色は、例えば、PVA系フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3〜7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、PVA系フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理等が施される。例えば、染色の前にPVA系フィルムを水に浸漬して水洗することで、PVA系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、PVA系フィルムを膨潤させて染色ムラなどを防止することができる。
積層体を用いて得られる偏光子の具体例としては、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子が挙げられる。このような偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を偏光子とすること;により作製され得る。本実施形態においては、延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。得られた樹脂基材/偏光子の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を偏光子の保護層としてもよく)、樹脂基材/偏光子の積層体から樹脂基材を剥離し、当該剥離面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012−73580号公報に記載されている。当該公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
偏光子の厚みは、上記のとおり2μm〜12μm以下であり、好ましくは3μm〜12μmであり、より好ましくは5μm〜12μmである。本発明の実施形態によれば、位相差層付偏光板を構成する偏光子の所定の構成および特性ならびに位相差層の厚みおよび所定の特性を最適化することにより、偏光子の厚みが非常に薄いにもかかわらず、優れた光学特性および耐久性を実現することができる。また、位相差層付偏光板を加熱した際のカールを良好に抑制することができる。
偏光子のホウ酸含有量は上記のとおり18重量%以上であり、好ましくは18重量%〜25重量%である。薄型の位相差層付偏光板において偏光子のホウ酸含有量をこのような範囲に最適化することにより、後述のヨウ素含有量の最適化との相乗的な効果により、耐久性(特に、加熱加湿時のスジムラ)を改善することができる。ホウ酸含有量は、例えば、中和法から下記式を用いて、単位重量当たりの偏光子に含まれるホウ酸量として算出することができる。
偏光子のヨウ素含有量は上記のとおり2.1重量%以上であり、好ましくは2.1重量%〜5.5重量%である。薄型の位相差層付偏光板において偏光子のヨウ素含有量をこのような範囲に最適化することにより、上記のホウ酸含有量の最適化との相乗的な効果により、耐久性(特に、加熱加湿時のスジムラ)を改善することができる。本明細書において「ヨウ素含有量」とは、偏光子(PVA系樹脂フィルム)中に含まれるすべてのヨウ素の量を意味する。より具体的には、偏光子中においてヨウ素はヨウ素イオン(I−)、ヨウ素分子(I2)、ポリヨウ素イオン(I3 −、I5 −)等の形態で存在するところ、本明細書におけるヨウ素含有量は、これらの形態をすべて包含したヨウ素の量を意味する。ヨウ素含有量は、例えば、蛍光X線分析の検量線法により算出することができる。なお、ポリヨウ素イオンは、偏光子中でPVA−ヨウ素錯体を形成した状態で存在している。このような錯体が形成されることにより、可視光の波長範囲において吸収二色性が発現し得る。具体的には、PVAと三ヨウ化物イオンとの錯体(PVA・I3 −)は470nm付近に吸光ピークを有し、PVAと五ヨウ化物イオンとの錯体(PVA・I5 −)は600nm付近に吸光ピークを有する。結果として、ポリヨウ素イオンは、その形態に応じて可視光の幅広い範囲で光を吸収し得る。一方、ヨウ素イオン(I−)は230nm付近に吸光ピークを有し、可視光の吸収には実質的には関与しない。したがって、PVAとの錯体の状態で存在するポリヨウ素イオンが、主として偏光子の吸収性能に関与し得る。
偏光子におけるホウ酸含有量とヨウ素含有量とを上記のような範囲とすることは、本発明における特徴の1つである。すなわち、上記のようなホウ酸含有量およびヨウ素含有量は、偏光子を上記のような非常に薄い厚みとすることにより生じた新たな課題に対応し得、かつ、得られる偏光板の耐久性(特に、加熱加湿時のスジムラ)の改善に貢献し得る。より詳細には、以下のとおりである。これまで上記のような非常に薄い偏光子を工業的に製造することがそもそも困難であったところ、近年、そのような非常に薄い偏光子を工業的に製造することができるようになってきた。このような非常に薄い偏光子は、製造可能となった当初は、光学特性および耐久性のいずれもが不十分であった。このような問題を解決するために試行錯誤した結果、偏光子のホウ酸含有量およびヨウ素含有量を従来の厚型の偏光子の場合よりも高くすることにより、非常に薄く、かつ、光学特性および耐久性(例えば、光学特性の維持性能)に優れた偏光子が得られることが分かった。しかも、各層の層の厚みおよび所定の特性が最適化された薄型の位相差層付偏光板において偏光子のホウ酸含有量およびヨウ素含有量を上記のような範囲とすることにより、偏光子の耐久性のみならず、位相差層付偏光板全体の耐久性(特に、加熱加湿時のスジムラのような外観耐久性)を向上させることができることがわかった。この効果は、このような特定の構成を有する位相差層付偏光板の偏光子に上記のようなホウ酸含有量およびヨウ素含有量を適用してはじめて得られた知見であり、予期せぬ優れた効果である。
偏光子は、好ましくは、波長380nm〜780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子の単体透過率は、上記のとおり44.0%〜45.5%であり、好ましくは44.5%〜45.0%である。本発明によれば、非常に薄く、かつ優れた耐久性を有する位相差層付偏光板を実現し、さらに、このような位相差層付偏光板において上記のような優れた単体透過率を実現することができる。
偏光子の偏光度は、上記のとおり98%以上であり、好ましくは98.5%以上であり、さらに好ましくは99%以上である。本発明によれば、非常に薄く、かつ優れた耐久性を有する位相差層付偏光板を実現し、さらに、このような位相差層付偏光板において上記のような優れた偏光度を実現することができる。
偏光子の配向関数は、上記のとおり0.35以上であり、好ましくは0.35〜0.60であり、より好ましくは0.35〜0.50である。配向関数をこのような範囲に最適化することにより、非常に薄く、かつ優れた耐久性を有する位相差層付偏光板を実現し、さらに、このような位相差層付偏光板において上記のような優れた単体透過率および偏光度を両立することができる。配向関数(f)は、例えば、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用い、偏光を測定光として、全反射減衰分光(ATR:attenuated total reflection)測定により求められる。具体的には、測定光を延伸方向に対して0°と90°にした状態で測定を実施し、得られたスペクトルの2941cm−1の強度を用いて、下記式に従って算出される。ここで、強度Iは、3330cm−1を参照ピークとして、2941cm−1/3330cm−1の値である。なお、f=1のとき完全配向、f=0のときランダムとなる。また、2941cm−1のピークは、PVAの主鎖(−CH2−)の振動に起因する吸収であると考えられている。
f=(3<cos2θ>−1)/2
=[(R−1)(R0+2)]/[(R+2)(R0−1)]
=(1−D)/[c(2D+1)]
=−2×(1−D)/(2D+1)
ただし、
c=(3cos2β−1)/2
β=90deg
θ:延伸方向に対する分子鎖の角度
β:分子鎖軸に対する遷移双極子モーメント
R0=2cot2β
1/R=D=(I//)/(I⊥) (PVA分子が配向するほどDが大きくなる)
I⊥:測定光(偏光)を延伸方向と垂直方向に入射して測定した時の吸収強度
I//:測定光(偏光)を延伸方向と平行方向に入射して測定した時の吸収強度
f=(3<cos2θ>−1)/2
=[(R−1)(R0+2)]/[(R+2)(R0−1)]
=(1−D)/[c(2D+1)]
=−2×(1−D)/(2D+1)
ただし、
c=(3cos2β−1)/2
β=90deg
θ:延伸方向に対する分子鎖の角度
β:分子鎖軸に対する遷移双極子モーメント
R0=2cot2β
1/R=D=(I//)/(I⊥) (PVA分子が配向するほどDが大きくなる)
I⊥:測定光(偏光)を延伸方向と垂直方向に入射して測定した時の吸収強度
I//:測定光(偏光)を延伸方向と平行方向に入射して測定した時の吸収強度
C.保護層
保護層12は、偏光子の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
保護層12は、偏光子の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料の具体例としては、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂や、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、ポリカーボネート系、ポリアミド系、ポリイミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリスルホン系、ポリスチレン系、ポリノルボルネン系、ポリオレフィン系、(メタ)アクリル系、アセテート系等の透明樹脂等が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等も挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマー等のガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。
本発明の位相差層付偏光板は、後述するように代表的には画像表示装置の視認側に配置され、保護層12は、代表的にはその視認側に配置される。したがって、保護層12には、必要に応じて、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理等の表面処理が施されていてもよい。
保護層の厚みは、本発明の効果が得られる限りにおいて、任意の適切な厚みが採用され得る。保護層の厚みは、例えば20μm〜40μmであり、好ましくは25μm〜35μmである。なお、表面処理が施されている場合、保護層の厚みは、表面処理層の厚みを含めた厚みである。
D.別の保護層
必要に応じて配置される別の保護層(内側保護層)もまた、偏光子の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料は、保護層12に関して上記B項で説明したとおりである。内側保護層は、光学的に等方性であることが好ましい。本明細書において「光学的に等方性である」とは、面内位相差Re(550)が0nm〜10nmであり、厚み方向の位相差Rth(550)が−10nm〜+10nmであることをいう。
必要に応じて配置される別の保護層(内側保護層)もまた、偏光子の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料は、保護層12に関して上記B項で説明したとおりである。内側保護層は、光学的に等方性であることが好ましい。本明細書において「光学的に等方性である」とは、面内位相差Re(550)が0nm〜10nmであり、厚み方向の位相差Rth(550)が−10nm〜+10nmであることをいう。
内側保護層の厚みは、例えば15μm〜35μmであり、好ましくは20μm〜30μmである。
E.位相差層
位相差層20は、目的に応じて任意の適切な光学的特性および/または機械的特性を有する位相差フィルムで構成され得る。位相差層20は、代表的には遅相軸を有する。1つの実施形態においては、位相差層20の遅相軸と偏光子11の吸収軸とのなす角度θは、好ましくは38°〜52°であり、より好ましくは42°〜48°であり、さらに好ましくは約45°である。角度θがこのような範囲であれば、後述するように位相差層をλ/4板とすることにより、非常に優れた円偏光特性(結果として、非常に優れた反射防止特性)を有する位相差層付偏光板が得られ得る。
位相差層20は、目的に応じて任意の適切な光学的特性および/または機械的特性を有する位相差フィルムで構成され得る。位相差層20は、代表的には遅相軸を有する。1つの実施形態においては、位相差層20の遅相軸と偏光子11の吸収軸とのなす角度θは、好ましくは38°〜52°であり、より好ましくは42°〜48°であり、さらに好ましくは約45°である。角度θがこのような範囲であれば、後述するように位相差層をλ/4板とすることにより、非常に優れた円偏光特性(結果として、非常に優れた反射防止特性)を有する位相差層付偏光板が得られ得る。
位相差層は、好ましくは屈折率特性がnx>ny≧nzの関係を示す。位相差層は、代表的には偏光板に反射防止特性を付与するために設けられ、1つの実施形態においてはλ/4板として機能し得る。この場合、位相差層の面内位相差Re(550)は、好ましくは80nm〜200nm、より好ましくは100nm〜180nm、さらに好ましくは110nm〜170nmである。なお、ここで「ny=nz」はnyとnzが完全に等しい場合だけではなく、実質的に等しい場合を包含する。したがって、本発明の効果を損なわない範囲で、ny<nzとなる場合があり得る。
位相差層の複屈折Δnxyは、上記のとおり0.0025以上であり、好ましくは0.0028以上である。一方、複屈折Δnxyの上限は、例えば0.0060であり、好ましくは0.0050である。複屈折をこのような範囲に最適化することにより、薄く、かつ、所望の光学特性を有する位相差層が得られ得る。
位相差層のNz係数は、好ましくは0.9〜3、より好ましくは0.9〜2.5、さらに好ましくは0.9〜1.5、特に好ましくは0.9〜1.3である。このような関係を満たすことにより、得られる位相差層付偏光板を画像表示装置に用いた場合に、非常に優れた反射色相を達成し得る。
位相差層は、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長に応じて小さくなる正の波長分散特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長によってもほとんど変化しないフラットな波長分散特性を示してもよい。1つの実施形態においては、位相差層は、逆分散波長特性を示す。この場合、位相差層のRe(450)/Re(550)は、好ましくは0.8以上1未満であり、より好ましくは0.8以上0.95以下である。このような構成であれば、非常に優れた反射防止特性を実現することができる。別の実施形態においては、位相差層は、フラットな波長分散特性を示す。この場合、位相差層のRe(450)/Re(550)は好ましくは0.99〜1.03であり、Re(650)/Re(550)は好ましくは0.98〜1.02である。この場合、位相差層は、積層構造を有し得る。具体的には、λ/2板として機能する位相差フィルムとλ/4板として機能する位相差フィルムとを所定の軸角度(例えば50°〜70°、好ましくは約60°)で配置することにより、理想的な逆波長分散特性に近い特性を得ることが可能であり、結果として、非常に優れた反射防止特性を実現することができる。
位相差層は、その吸水率が3%以下であり、好ましくは2.5%以下、より好ましくは2%以下である。このような吸水率を満足することにより、表示特性の経時変化を抑制することができる。なお、吸水率は、JIS K 7209に準拠して求めることができる。
位相差層は、光弾性係数の絶対値が好ましくは2×10−11m2/N以下、より好ましくは2.0×10−13m2/N〜1.5×10−11m2/N、さらに好ましくは1.0×10−12m2/N〜1.2×10−11m2/Nの樹脂を含む。光弾性係数の絶対値がこのような範囲であれば、加熱時の収縮応力が発生した場合に位相差変化が生じにくい。その結果、得られる画像表示装置の熱ムラが良好に防止され得る。
位相差層の厚みは、上記のとおり50μm以下であり、好ましくは20μm〜50μmである。本発明の実施形態に用いられる位相差層はこのような薄い厚みでありながら所望の光学特性を実現できるので、位相差層付偏光板の薄型化に貢献し得る。また、偏光子(実質的には、偏光板)と位相差層との貼り合わせ時のカールを良好に調整することができる。さらに、このような厚みであれば、偏光子の保護層として適切な機械的強度が付与され得る。
位相差層20は、上記のような特性を満足し得る任意の適切な樹脂フィルムで構成され得る。そのような樹脂の代表例としては、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂が挙げられる。中でも、環状オレフィン系樹脂またはポリカーボネート系樹脂が好適に用いられ得る。
環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂が挙げられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとの共重合体(代表的には、ランダム共重合体)、および、これらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト変性体、ならびに、それらの水素化物が挙げられる。環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン系モノマーが挙げられる。ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ノルボルネン、およびそのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等、これらのハロゲン等の極性基置換体;ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン等;ジメタノオクタヒドロナフタレン、そのアルキルおよび/またはアルキリデン置換体、およびハロゲン等の極性基置換体、例えば、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−エチリデン−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−クロロ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−シアノ−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−ピリジル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン、6−メトキシカルボニル−1,4:5,8−ジメタノ−1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタレン等;シクロペンタジエンの3〜4量体、例えば、4,9:5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン、4,11:5,10:6,9−トリメタノ−3a,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,10a,11,11a−ドデカヒドロ−1H−シクロペンタアントラセン等が挙げられる。
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲内において、開環重合可能な他のシクロオレフィン類を併用することができる。このようなシクロオレフィンの具体例としては、例えば、シクロペンテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロジシクロペンタジエン等の反応性の二重結合を1個有する化合物が挙げられる。
上記環状オレフィン系樹脂は、トルエン溶媒によるゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)法で測定した数平均分子量(Mn)が好ましくは25,000〜200,000、さらに好ましくは30,000〜100,000、最も好ましくは40,000〜80,000である。数平均分子量が上記の範囲であれば、機械的強度に優れ、溶解性、成形性、流延の操作性が良いものができる。
上記環状オレフィン系樹脂がノルボルネン系モノマーの開環重合体を水素添加して得られるものである場合には、水素添加率は、好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上であり、最も好ましくは99%以上である。このような範囲であれば、耐熱劣化性および耐光劣化性などに優れる。
上記環状オレフィン系樹脂フィルムとして市販のフィルムを用いてもよい。具体例としては、日本ゼオン社製の商品名「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR社製の商品名「アートン(Arton)」、TICONA社製の商品名「トーパス」、三井化学社製の商品名「APEL」が挙げられる。
上記ポリカーボネート樹脂は、好ましくは、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、下記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、下記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物、下記一般式(4)で表されるジヒドロキシ化合物、下記一般式(5)で表されるジヒドロキシ化合物及び下記一般式(6)で表されるジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた一種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含む。
<前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物>
前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、具体的には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等が例示され、好ましくは、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレンであり、特に好ましくは、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンである。
前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、具体的には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−n−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等が例示され、好ましくは、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレンであり、特に好ましくは、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンである。
<前記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物>
前記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物としては、例えば、立体異性体の関係にあるイソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。これらのジヒドロキシ化合物のうち、資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性の面から最も好ましい。
前記一般式(2)で表されるジヒドロキシ化合物としては、例えば、立体異性体の関係にあるイソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。これらのジヒドロキシ化合物のうち、資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性の面から最も好ましい。
<前記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物>
前記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物としては、単環構造のシクロアルキレン基を含む化合物(脂環式ジヒドロキシ化合物)が挙げられる。単環構造とすることにより、得られるポリカーボネート樹脂をフィルムとしたときの靭性を改良することが出来る。脂環式ジヒドロキシ化合物の代表例としては、5員環構造又は6員環構造を含む化合物が挙げられる。5員環構造又は6員環構造であることにより、得られるポリカーボネート樹脂の耐熱性を高くすることができる。6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。具体的には、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物としては、単環構造のシクロアルキレン基を含む化合物(脂環式ジヒドロキシ化合物)が挙げられる。単環構造とすることにより、得られるポリカーボネート樹脂をフィルムとしたときの靭性を改良することが出来る。脂環式ジヒドロキシ化合物の代表例としては、5員環構造又は6員環構造を含む化合物が挙げられる。5員環構造又は6員環構造であることにより、得られるポリカーボネート樹脂の耐熱性を高くすることができる。6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。具体的には、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<前記一般式(4)で表されるジヒドロキシ化合物>
前記一般式(4)で表されるジヒドロキシ化合物としては、単環構造のシクロアルキレン基を含む化合物(脂環式ジヒドロキシ化合物)が挙げられる。単環構造とすることにより、得られるポリカーボネート樹脂をフィルムとしたときの靭性を改良することが出来る。脂環式ジヒドロキシ化合物の代表例としては、前記一般式(4)におけるR6が下記一般式(Ia)(式中、R3は水素原子、又は、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数12のアルキル基を表す。)で示される種々の異性体が挙げられる。このような異性体の好ましい具体例としては、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは、入手が容易で、かつ、取扱い性に優れる。一般式(4)で表されるジヒドロキシ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記一般式(4)で表されるジヒドロキシ化合物としては、単環構造のシクロアルキレン基を含む化合物(脂環式ジヒドロキシ化合物)が挙げられる。単環構造とすることにより、得られるポリカーボネート樹脂をフィルムとしたときの靭性を改良することが出来る。脂環式ジヒドロキシ化合物の代表例としては、前記一般式(4)におけるR6が下記一般式(Ia)(式中、R3は水素原子、又は、置換若しくは無置換の炭素数1〜炭素数12のアルキル基を表す。)で示される種々の異性体が挙げられる。このような異性体の好ましい具体例としては、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは、入手が容易で、かつ、取扱い性に優れる。一般式(4)で表されるジヒドロキシ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、一般式(3)および(4)で表されるジヒドロキシ化合物に関して上記で例示した化合物は、使用し得る脂環式ジヒドロキシ化合物の一例であって、何らこれらに限定されるものではない。
<前記一般式(5)で表されるジヒドロキシ化合物>
前記一般式(5)で表されるジヒドロキシ化合物としては、具体的にはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量150〜2000)などが挙げられる。
前記一般式(5)で表されるジヒドロキシ化合物としては、具体的にはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量150〜2000)などが挙げられる。
<前記一般式(6)で表されるジヒドロキシ化合物>
前記一般式(6)で表されるジヒドロキシ化合物としては、具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール又は下記式(8)で表されるスピログリコールなどが挙げられ、その中でもプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、スピログリコールが好ましい。
前記一般式(6)で表されるジヒドロキシ化合物としては、具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール又は下記式(8)で表されるスピログリコールなどが挙げられ、その中でもプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、スピログリコールが好ましい。
前記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位、前記一般式(4)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位、前記一般式(5)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及び前記一般式(6)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の中でも、前記一般式(4)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位及び/又は前記一般式(5)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいることが好ましく、前記一般式(5)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいることがより好ましい。前記一般式(5)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいることにより、延伸性の向上が図れる。
本実施形態のポリカーボネート樹脂は、更にその他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。
<その他のジヒドロキシ化合物>
その他のジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール類等が挙げられる。ビスフェノール類としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシジフェニルエーテル等が挙げられる。
<その他のジヒドロキシ化合物>
その他のジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール類等が挙げられる。ビスフェノール類としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシジフェニルエーテル等が挙げられる。
前記ポリカーボネート樹脂中、前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位は18モル%以上であり、好ましくは20モル%以上であり、更に好ましくは25モル%以上である。該構造単位が過度に小さいと、逆分散の波長依存性が得られない場合がある。
前記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物、前記一般式(4)で表されるジヒドロキシ化合物、前記一般式(5)で表されるジヒドロキシ化合物及び前記一般式(6)で表されるジヒドロキシ化合物からなる群より選ばれた一種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位が、前記ポリカーボネート樹脂中、25モル%以上であることが好ましく、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは35モル%以上である。該構造単位が過度に少ないと、フィルムとしたときの靭性が乏しくなる場合がある。
前記ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、110℃以上150℃以下であることが好ましく、より好ましくは120℃以上140℃以下である。ガラス転移温度が過度に低いと耐熱性が悪くなる傾向にあり、フィルム成形後に寸法変化を起こす可能性があり、又、得られる有機ELパネルの画像品質を下げる場合がある。ガラス転移温度が過度に高いと、フィルム成形時の成形安定性が悪くなる場合があり、又フィルムの透明性を損なう場合がある。なお、ガラス転移温度は、JIS K 7121(1987)に準じて求められる。
前記ポリカーボネート樹脂の分子量は、還元粘度で表すことができる。還元粘度は、溶媒として塩化メチレンを用い、ポリカーボネート濃度を0.6g/dLに精密に調製し、温度20.0℃±0.1℃でウベローデ粘度管を用いて測定される。還元粘度の下限は、通常0.30dL/gが好ましく、より好ましは0.35dL/g以上である。還元粘度の上限は、通常1.20dL/gが好ましく、より好ましくは1.00dL/g、更に好ましくは0.80dL/gである。還元粘度が前記下限値より小さいと成形品の機械的強度が小さくなるという問題が生じる場合がある。一方、還元粘度が前記上限値より大きいと、成形する際の流動性が低下し、生産性や成形性が低下するという問題が生じる場合がある。
ポリカーボネート系樹脂フィルムとして市販のフィルムを用いてもよい。市販品の具体例としては、帝人社製の商品名「ピュアエースWR−S」、「ピュアエースWR−W」、「ピュアエースWR−M」、日東電工社製の商品名「NRF」が挙げられる。
位相差層20は、例えば、上記環状オレフィン系樹脂または上記ポリカーボネート系樹脂から形成されたフィルムを延伸することにより得られる。環状オレフィン系樹脂またはポリカーボネート系樹脂からフィルムを形成する方法としては、任意の適切な成形加工法が採用され得る。具体例としては、圧縮成形法、トランスファー成形法、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法、粉末成形法、FRP成形法、キャスト塗工法(例えば、流延法)、カレンダー成形法、熱プレス法等が挙げられる。押出成形法またはキャスト塗工法が好ましい。得られるフィルムの平滑性を高め、良好な光学的均一性を得ることができるからである。成形条件は、使用される樹脂の組成や種類、位相差層に所望される特性等に応じて適宜設定され得る。なお、上記のとおり、環状オレフィン系樹脂およびポリカーボネート系樹脂は、多くのフィルム製品が市販されているので、当該市販フィルムをそのまま延伸処理に供してもよい。
樹脂フィルム(未延伸フィルム)の厚みは、位相差層の所望の厚み、所望の光学特性、後述の延伸条件などに応じて、任意の適切な値に設定され得る。好ましくは50μm〜300μmである。
上記延伸は、任意の適切な延伸方法、延伸条件(例えば、延伸温度、延伸倍率、延伸方向)が採用され得る。具体的には、自由端延伸、固定端延伸、自由端収縮、固定端収縮などの様々な延伸方法を、単独で用いることも、同時もしくは逐次で用いることもできる。延伸方向に関しても、長さ方向、幅方向、厚さ方向、斜め方向等、様々な方向や次元に行なうことができる。延伸の温度は、樹脂フィルムのガラス転移温度(Tg)に対し、Tg−30℃〜Tg+60℃であることが好ましく、より好ましくはTg−10℃〜Tg+50℃である。
上記延伸方法、延伸条件を適宜選択することにより、上記所望の光学特性(例えば、屈折率特性、面内位相差、Nz係数)を有する位相差フィルムを得ることができる。
1つの実施形態においては、位相差フィルムは、樹脂フィルムを一軸延伸もしくは固定端一軸延伸することにより作製される。固定端一軸延伸の具体例としては、樹脂フィルムを長手方向に走行させながら、幅方向(横方向)に延伸する方法が挙げられる。延伸倍率は、好ましくは1.1倍〜3.5倍である。
別の実施形態においては、位相差フィルムは、長尺状の樹脂フィルムを長手方向に対して上記の角度θの方向に連続的に斜め延伸することにより作製され得る。斜め延伸を採用することにより、フィルムの長手方向に対して角度θの配向角(角度θの方向に遅相軸)を有する長尺状の延伸フィルムが得られ、例えば、偏光子との積層に際してロールトゥロールが可能となり、製造工程を簡略化することができる。なお、角度θは、位相差層付偏光板において偏光子の吸収軸と位相差層の遅相軸とがなす角度であり得る。角度θは、上記のとおり、好ましくは38°〜52°であり、より好ましくは42°〜48°であり、さらに好ましくは約45°である。
斜め延伸に用いる延伸機としては、例えば、横および/または縦方向に、左右異なる速度の送り力もしくは引張り力または引き取り力を付加し得るテンター式延伸機が挙げられる。テンター式延伸機には、横一軸延伸機、同時二軸延伸機等があるが、長尺状の樹脂フィルムを連続的に斜め延伸し得る限り、任意の適切な延伸機が用いられ得る。
上記延伸機において左右の速度をそれぞれ適切に制御することにより、上記所望の面内位相差を有し、かつ、上記所望の方向に遅相軸を有する位相差層(実質的には、長尺状の位相差フィルム)が得られ得る。
上記フィルムの延伸温度は、位相差層に所望される面内位相差値および厚み、使用される樹脂の種類、使用されるフィルムの厚み、延伸倍率等に応じて変化し得る。具体的には、延伸温度は、好ましくはTg−30℃〜Tg+30℃、さらに好ましくはTg−15℃〜Tg+15℃、最も好ましくはTg−10℃〜Tg+10℃である。このような温度で延伸することにより、本発明において適切な特性を有する位相差層が得られ得る。なお、Tgは、フィルムの構成材料のガラス転移温度である。
F.接着層
第1の接着層31および第2の接着層32は、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切な接着剤または粘着剤で構成され得る。第1の接着層31および第2の接着層32は、同一材料で構成されてもよく、互いに異なる材料で構成されてもよい。本発明の実施形態においては、第1の接着層31および第2の接着層32は、代表的には接着剤で構成される。接着剤は、水系接着剤であってもよいし溶剤系接着剤であってもよい。好ましくは、水系接着剤が用いられる。水系接着剤の代表例としては、ポリビニルアルコール(PVA)系接着剤が挙げられる。
第1の接着層31および第2の接着層32は、本発明の効果が得られる限りにおいて任意の適切な接着剤または粘着剤で構成され得る。第1の接着層31および第2の接着層32は、同一材料で構成されてもよく、互いに異なる材料で構成されてもよい。本発明の実施形態においては、第1の接着層31および第2の接着層32は、代表的には接着剤で構成される。接着剤は、水系接着剤であってもよいし溶剤系接着剤であってもよい。好ましくは、水系接着剤が用いられる。水系接着剤の代表例としては、ポリビニルアルコール(PVA)系接着剤が挙げられる。
PVA系接着剤に含まれるPVA系樹脂の平均重合度は、接着性の点から、好ましくは100〜5500程度、さらに好ましくは1000〜4500である。平均ケン化度は、接着性の点から、好ましくは85モル%〜100モル%程度、さらに好ましくは90モル%〜100モル%である。
水系接着剤に含まれるPVA系樹脂は、好ましくは、アセトアセチル基を含有する。アセトアセチル基含有PVA系樹脂は、例えば、PVA系樹脂とジケテンとを任意の適切な方法で反応させることにより得られる。アセトアセチル基含有PVA系樹脂のアセトアセチル基変性度は、代表的には0.1モル%以上であり、好ましくは0.1モル%〜40モル%程度、さらに好ましくは1モル%〜20モル%、特に好ましくは2モル%〜7モル%である。なお、アセトアセチル基変性度はNMRにより測定した値である。
水系接着剤の樹脂濃度は、好ましくは0.1重量%〜15重量%、さらに好ましくは0.5重量%〜10重量%である。
第1の接着層31および第2の接着層32の厚みは、上記のとおり2μm以下であり、好ましくは0.5μm〜2μmである。薄型の位相差層付偏光板において接着層の厚みをこのような範囲に最適化することにより、上記のホウ酸含有量およびヨウ素含有量の最適化との相乗的な効果により、耐久性(特に、加熱加湿時のスジムラ)を改善することができる。このような厚みであれば、第1の接着層31および第2の接着層32の厚みは、同一であってもよく異なっていてもよい。
第1の接着層31および第2の接着層32の押し込み弾性率は、好ましくは1.0×107Pa以上であり、より好ましくは1.0×108Pa以上である。上記のとおり接着層の厚みを2μm以下とした場合、押し込み弾性率が小さいと接着性が不十分となり、例えば耐久性試験において剥がれが発生する場合がある。押し込み弾性率の上限は、例えば1.0×1011Paである。なお、押し込み弾性率は、JIS Z 2255に準じて測定され得る。
G.その他
本発明の実施形態による位相差層付偏光板は、その他の位相差層をさらに含んでいてもよい。その他の位相差層の光学的特性(例えば、屈折率特性、面内位相差、Nz係数、光弾性係数)、厚み、配置位置等は、目的に応じて適切に設定され得る。
本発明の実施形態による位相差層付偏光板は、その他の位相差層をさらに含んでいてもよい。その他の位相差層の光学的特性(例えば、屈折率特性、面内位相差、Nz係数、光弾性係数)、厚み、配置位置等は、目的に応じて適切に設定され得る。
図示しないが、位相差層付偏光板の位相差層20の表面(その他の位相差層が設けられる場合には、最外の位相差層の表面)には、粘着剤層が設けられていてもよい。粘着剤層が予め設けられていることにより、他の光学部材または画像表示装置へ容易に貼り合わせることができる。なお、この粘着剤層の表面には、使用に供されるまで、剥離フィルムが貼り合わされていることが好ましい。
H.画像表示装置
上記A項からG項に記載の位相差層付偏光板は、画像表示装置に適用され得る。したがって、本発明は、そのような位相差層付偏光板を用いた画像表示装置を包含する。画像表示装置の代表例としては、液晶表示装置、有機EL表示装置が挙げられる。本発明の実施形態による画像表示装置は、その視認側に上記A項からG項に記載の位相差層付偏光板を備える。位相差層付偏光板は、位相差層が表示パネル(例えば、液晶パネル、有機ELパネル)側となるように(偏光子が視認側となるように)積層されている。
上記A項からG項に記載の位相差層付偏光板は、画像表示装置に適用され得る。したがって、本発明は、そのような位相差層付偏光板を用いた画像表示装置を包含する。画像表示装置の代表例としては、液晶表示装置、有機EL表示装置が挙げられる。本発明の実施形態による画像表示装置は、その視認側に上記A項からG項に記載の位相差層付偏光板を備える。位相差層付偏光板は、位相差層が表示パネル(例えば、液晶パネル、有機ELパネル)側となるように(偏光子が視認側となるように)積層されている。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法は以下の通りである。
(1)厚み
デジタルマイクロメーター(アンリツ社製KC−351C)を用いて測定した。
(2)偏光子の単体透過率および偏光度
実施例および比較例で用いた保護層/偏光子/位相差層の積層体について、紫外可視分光光度計(日本分光社製V7100)を用いて測定した単体透過率T、平行透過率Tp、直交透過率Tcをそれぞれ、偏光子のT、TpおよびTcとした。これらのT、TpおよびTcは、JIS Z8701の2度視野(C光源)により測定して視感度補正を行なったY値である。なお、保護層の吸光は偏光子の吸光と比べて無視できるほど小さいので、積層体の透過率を偏光子の透過率とした。
得られたT、TpおよびTcから、下記式により偏光度Pを求めた。
偏光度P(%)={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
(3)偏光子の配向関数
実施例および比較例で用いた偏光子について、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)(Perkin Elmer社製、商品名:「SPECTRUM2000」)を用い、偏光を測定光として、全反射減衰分光(ATR:attenuated total reflection)測定により、偏光子表面の評価を行った。配向関数は以下の手順で算出した:測定光を延伸方向に対して0°と90°にした状態で測定を実施し、得られたスペクトルの2941cm−1の強度を用いて、下記式に従って算出した。当該式についての詳細は上記で説明したとおりである。
f=(3<cos2θ>−1)/2
=[(R−1)(R0+2)]/[(R+2)(R0−1)]
=(1−D)/[c(2D+1)]
=−2×(1−D)/(2D+1)
(4)偏光子のホウ酸含有量
実施例および比較例で用いた偏光子を加熱乾燥(120℃、2時間)し、その後、粉砕して、重量1gの評価用サンプルを得た。95℃の水500mlに、該評価用サンプル1gをすべて溶解させた。得られた水溶液にマンニトール10gとブロモチモールブルー溶液(BTB溶液)2mlとを加えて、サンプル溶液を調製した。このサンプル溶液に、中和点を迎えるまで、0.1mol/lの水酸化ナトリウムを滴下し、その滴下量から、下記式に基づき、ホウ酸含有割合(重量%)を算出した。
(5)偏光子のヨウ素含有量
実施例および比較例で用いた偏光子を所定サイズに切り出し、評価用サンプルとした。作製された評価用サンプルに対して、蛍光X線分析の検量線法を用いてヨウ素濃度を定量した。装置は株式会社リガクの蛍光X線分析装置ZSXを用いた。
(6)位相差層の位相差値および複屈折Δnxy
実施例および比較例で用いた位相差層から50mm×50mmのサンプルを切り出して、測定サンプルとした。作製した測定サンプルについて、王子計測機器株式会社製の位相差測定装置(製品名「KOBRA−WPR」)を用いて面内位相差を測定した。面内位相差の測定波長は550nmであり、測定温度は23℃であった。得られた面内位相差値を厚みで除して複屈折Δnxyを算出した。
(7)耐久性
実施例および比較例で得られた位相差層付偏光板をA4サイズに切り出した。切り出した位相差層付偏光板の位相差層面を、アクリル系粘着剤(20μm)を介して厚み0.7μmのガラス板に貼り合わせ、測定サンプルとした。測定サンプルを、60℃、90%RHの恒温恒湿オーブン中に240時間保管した後、位相差層付偏光板の外観の見栄えを目視により観察した。具体的には、ガラス板を下にした状態で測定サンプルを反射率80%以上の反射板の上に置いた時の見栄えを観察した。評価基準は以下のとおりである。
良好:スジ状のムラは認められない
不良:スジ状のムラが視認される
(8)接着層の押し込み弾性率
JIS Z 2255に準じて測定した。具体的には以下のとおりである。作製した位相差層付偏光板を横2mm、縦5mm程度に切り出し樹脂包埋した後、凍結条件下(−30℃から−100℃)で凍結させた状態で、ウルトラミクロトームにてダイヤモンドナイフを用いて断面が露出するように切り出し、測定用サンプルとした。作製したサンプルの表面に圧子をセットし、圧子を深さ200nmまで押し込んで引き抜くことで荷重−変異曲線を得た。得られた荷重(P)−変位(h)曲線から下記式を用いて、押し込み弾性率(Er)を算出した。なお、測定条件は下記の通りであった。
(測定条件)
装置:Hysitron Inc.製「Triboindenter」
使用圧子:ダイヤモンド製Berkovich(三角錐型)
測定方法:単一押し込み法
測定温度:25℃(室温)
デジタルマイクロメーター(アンリツ社製KC−351C)を用いて測定した。
(2)偏光子の単体透過率および偏光度
実施例および比較例で用いた保護層/偏光子/位相差層の積層体について、紫外可視分光光度計(日本分光社製V7100)を用いて測定した単体透過率T、平行透過率Tp、直交透過率Tcをそれぞれ、偏光子のT、TpおよびTcとした。これらのT、TpおよびTcは、JIS Z8701の2度視野(C光源)により測定して視感度補正を行なったY値である。なお、保護層の吸光は偏光子の吸光と比べて無視できるほど小さいので、積層体の透過率を偏光子の透過率とした。
得られたT、TpおよびTcから、下記式により偏光度Pを求めた。
偏光度P(%)={(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2×100
(3)偏光子の配向関数
実施例および比較例で用いた偏光子について、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)(Perkin Elmer社製、商品名:「SPECTRUM2000」)を用い、偏光を測定光として、全反射減衰分光(ATR:attenuated total reflection)測定により、偏光子表面の評価を行った。配向関数は以下の手順で算出した:測定光を延伸方向に対して0°と90°にした状態で測定を実施し、得られたスペクトルの2941cm−1の強度を用いて、下記式に従って算出した。当該式についての詳細は上記で説明したとおりである。
f=(3<cos2θ>−1)/2
=[(R−1)(R0+2)]/[(R+2)(R0−1)]
=(1−D)/[c(2D+1)]
=−2×(1−D)/(2D+1)
(4)偏光子のホウ酸含有量
実施例および比較例で用いた偏光子を加熱乾燥(120℃、2時間)し、その後、粉砕して、重量1gの評価用サンプルを得た。95℃の水500mlに、該評価用サンプル1gをすべて溶解させた。得られた水溶液にマンニトール10gとブロモチモールブルー溶液(BTB溶液)2mlとを加えて、サンプル溶液を調製した。このサンプル溶液に、中和点を迎えるまで、0.1mol/lの水酸化ナトリウムを滴下し、その滴下量から、下記式に基づき、ホウ酸含有割合(重量%)を算出した。
実施例および比較例で用いた偏光子を所定サイズに切り出し、評価用サンプルとした。作製された評価用サンプルに対して、蛍光X線分析の検量線法を用いてヨウ素濃度を定量した。装置は株式会社リガクの蛍光X線分析装置ZSXを用いた。
(6)位相差層の位相差値および複屈折Δnxy
実施例および比較例で用いた位相差層から50mm×50mmのサンプルを切り出して、測定サンプルとした。作製した測定サンプルについて、王子計測機器株式会社製の位相差測定装置(製品名「KOBRA−WPR」)を用いて面内位相差を測定した。面内位相差の測定波長は550nmであり、測定温度は23℃であった。得られた面内位相差値を厚みで除して複屈折Δnxyを算出した。
(7)耐久性
実施例および比較例で得られた位相差層付偏光板をA4サイズに切り出した。切り出した位相差層付偏光板の位相差層面を、アクリル系粘着剤(20μm)を介して厚み0.7μmのガラス板に貼り合わせ、測定サンプルとした。測定サンプルを、60℃、90%RHの恒温恒湿オーブン中に240時間保管した後、位相差層付偏光板の外観の見栄えを目視により観察した。具体的には、ガラス板を下にした状態で測定サンプルを反射率80%以上の反射板の上に置いた時の見栄えを観察した。評価基準は以下のとおりである。
良好:スジ状のムラは認められない
不良:スジ状のムラが視認される
(8)接着層の押し込み弾性率
JIS Z 2255に準じて測定した。具体的には以下のとおりである。作製した位相差層付偏光板を横2mm、縦5mm程度に切り出し樹脂包埋した後、凍結条件下(−30℃から−100℃)で凍結させた状態で、ウルトラミクロトームにてダイヤモンドナイフを用いて断面が露出するように切り出し、測定用サンプルとした。作製したサンプルの表面に圧子をセットし、圧子を深さ200nmまで押し込んで引き抜くことで荷重−変異曲線を得た。得られた荷重(P)−変位(h)曲線から下記式を用いて、押し込み弾性率(Er)を算出した。なお、測定条件は下記の通りであった。
装置:Hysitron Inc.製「Triboindenter」
使用圧子:ダイヤモンド製Berkovich(三角錐型)
測定方法:単一押し込み法
測定温度:25℃(室温)
[参考例1:位相差層を構成する位相差フィルムの作製]
1−1.ポリカーボネート樹脂フィルムの作製
イソソルビド(ISB)26.2質量部、9,9−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BHEPF)100.5質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(1,4−CHDM)10.7質量部、ジフェニルカーボネート(DPC)105.1質量部、および、触媒として炭酸セシウム(0.2質量%水溶液)0.591質量部をそれぞれ反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段階目の工程として、反応容器の熱媒温度を150℃にし、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
次いで、反応容器内の圧力を常圧から13.3kPaにし、反応容器の熱媒温度を190℃まで1時間で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
反応容器内温度を190℃で15分保持した後、第2段階目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaとし、反応容器の熱媒温度を230℃まで、15分で上昇させ、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。攪拌機の攪拌トルクが上昇してくるので、8分で250℃まで昇温し、さらに発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を0.200kPa以下に減圧した。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出した後に、ペレット化を行い、BHEPF/ISB/1,4−CHDM=47.4モル%/37.1モル%/15.5モル%のポリカーボネート樹脂を得た。
得られたポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は136.6℃であり、還元粘度は0.395dL/gであった。
得られたポリカーボネート樹脂を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(いすず化工機社製、スクリュー径25mm、シリンダー設定温度:220℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:220℃)、チルロール(設定温度:120〜130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み120μmのポリカーボネート樹脂フィルムを作製した。
1−1.ポリカーボネート樹脂フィルムの作製
イソソルビド(ISB)26.2質量部、9,9−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BHEPF)100.5質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール(1,4−CHDM)10.7質量部、ジフェニルカーボネート(DPC)105.1質量部、および、触媒として炭酸セシウム(0.2質量%水溶液)0.591質量部をそれぞれ反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段階目の工程として、反応容器の熱媒温度を150℃にし、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
次いで、反応容器内の圧力を常圧から13.3kPaにし、反応容器の熱媒温度を190℃まで1時間で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
反応容器内温度を190℃で15分保持した後、第2段階目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaとし、反応容器の熱媒温度を230℃まで、15分で上昇させ、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。攪拌機の攪拌トルクが上昇してくるので、8分で250℃まで昇温し、さらに発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を0.200kPa以下に減圧した。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出した後に、ペレット化を行い、BHEPF/ISB/1,4−CHDM=47.4モル%/37.1モル%/15.5モル%のポリカーボネート樹脂を得た。
得られたポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は136.6℃であり、還元粘度は0.395dL/gであった。
得られたポリカーボネート樹脂を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(いすず化工機社製、スクリュー径25mm、シリンダー設定温度:220℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:220℃)、チルロール(設定温度:120〜130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み120μmのポリカーボネート樹脂フィルムを作製した。
1−2.位相差フィルムの作製
テンター延伸機を用いて、得られたポリカーボネート樹脂フィルムを横延伸し、厚み50μmの位相差フィルム1を得た。その際、延伸倍率は250%であり、延伸温度を137〜139℃とした。
得られた位相差フィルムのRe(550)は137〜147nmであり、複屈折Δnxyは0.0027〜0.0029であった。
テンター延伸機を用いて、得られたポリカーボネート樹脂フィルムを横延伸し、厚み50μmの位相差フィルム1を得た。その際、延伸倍率は250%であり、延伸温度を137〜139℃とした。
得られた位相差フィルムのRe(550)は137〜147nmであり、複屈折Δnxyは0.0027〜0.0029であった。
[参考例2:位相差層を構成する位相差フィルムの作製]
2−1.ポリカーボネート樹脂フィルムの作製
ISBを445.1重量部、BHEPFを906.2重量部、分子量1000のポリエチレングリコール(以下、「PEG#1000」と略記することがある。)を15.4重量部、DPCを1120.4重量部、及び触媒として炭酸セシウム(0.2重量%水溶液)6.27重量部を、それぞれ反応器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段階目の工程として、反応容器の熱媒温度を150℃にし、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
次いで、反応容器内の圧力を常圧から13.3kPaにし、反応容器の熱媒温度を190℃まで1時間で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
反応容器内温度を190℃で15分保持した後、第2段階目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaとし、反応容器の熱媒温度を230℃まで、15分で上昇させ、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。攪拌機の攪拌トルクが上昇してくるので、8分で250℃まで昇温し、さらに発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を200Pa以下に減圧した。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出した後に、ペレット化を行い、BHEPF/ISB/PEG#1000=40.3モル%/59.4モル%/0.3モル%のポリカーボネート樹脂を得た。
得られたポリカーボネート樹脂を80℃で5時間真空乾燥した後、単軸押出機(いすず化工機社製、スクリュー径25mm、シリンダー設定温度:220℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:220℃)、チルロール(設定温度:120〜130℃)及び巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み60μmのポリカーボネート樹脂フィルムを作製した。
2−1.ポリカーボネート樹脂フィルムの作製
ISBを445.1重量部、BHEPFを906.2重量部、分子量1000のポリエチレングリコール(以下、「PEG#1000」と略記することがある。)を15.4重量部、DPCを1120.4重量部、及び触媒として炭酸セシウム(0.2重量%水溶液)6.27重量部を、それぞれ反応器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段階目の工程として、反応容器の熱媒温度を150℃にし、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
次いで、反応容器内の圧力を常圧から13.3kPaにし、反応容器の熱媒温度を190℃まで1時間で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
反応容器内温度を190℃で15分保持した後、第2段階目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaとし、反応容器の熱媒温度を230℃まで、15分で上昇させ、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。攪拌機の攪拌トルクが上昇してくるので、8分で250℃まで昇温し、さらに発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を200Pa以下に減圧した。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出した後に、ペレット化を行い、BHEPF/ISB/PEG#1000=40.3モル%/59.4モル%/0.3モル%のポリカーボネート樹脂を得た。
得られたポリカーボネート樹脂を80℃で5時間真空乾燥した後、単軸押出機(いすず化工機社製、スクリュー径25mm、シリンダー設定温度:220℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:220℃)、チルロール(設定温度:120〜130℃)及び巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み60μmのポリカーボネート樹脂フィルムを作製した。
2−2.位相差フィルムの作製
得られたポリカーボネート樹脂フィルムについて、バッチ式二軸延伸装置(東洋精機社製)を用いて、延伸温度148℃で1×3.0倍の自由端一軸延伸を行い、厚み35μmの位相差フィルム2を得た。
得られた位相差フィルムのRe(550)は135〜145nmであり、複屈折Δnxyは0.0039〜0.0041であった。
得られたポリカーボネート樹脂フィルムについて、バッチ式二軸延伸装置(東洋精機社製)を用いて、延伸温度148℃で1×3.0倍の自由端一軸延伸を行い、厚み35μmの位相差フィルム2を得た。
得られた位相差フィルムのRe(550)は135〜145nmであり、複屈折Δnxyは0.0039〜0.0041であった。
[参考例3:位相差層を構成する位相差フィルムの作製]
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。9,9−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BHEPF)、イソソルビド(ISB)、ジエチレングリコール(DEG)、ジフェニルカーボネート(DPC)、および酢酸マグネシウム4水和物を、モル比率でBHEPF/ISB/DEG/DPC/酢酸マグネシウム=0.348/0.490/0.162/1.005/1.00×10−5になるように仕込んだ。反応器内を十分に窒素置換した後(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置を用いて重合を行った。9,9−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(BHEPF)、イソソルビド(ISB)、ジエチレングリコール(DEG)、ジフェニルカーボネート(DPC)、および酢酸マグネシウム4水和物を、モル比率でBHEPF/ISB/DEG/DPC/酢酸マグネシウム=0.348/0.490/0.162/1.005/1.00×10−5になるように仕込んだ。反応器内を十分に窒素置換した後(酸素濃度0.0005〜0.001vol%)、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。
第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、50分で内温240℃、圧力0.2kPaにした。その後、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、反応液をストランドの形態で抜出し、回転式カッターでペレット化を行い、BHEPF/ISB/DEG=34.8/49.0/16.2[mol%]の共重合組成のポリカーボネート樹脂Aを得た。このポリカーボネート樹脂の還元粘度は0.430dL/g、ガラス転移温度は128℃であった。
得られたポリカーボネート樹脂を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(いすず化工機社製、スクリュー径25mm、シリンダー設定温度:220℃)、Tダイ(幅900mm、設定温度:220℃)、チルロール(設定温度:125℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み130μmのポリカーボネート樹脂フィルムを作製した。
(斜め延伸)
上記のようにして得られたポリカーボネート樹脂フィルムを、特開2014−194483号公報の実施例1に準じた方法で斜め延伸し、位相差フィルムを得た。すなわち、図2〜図5に示すような装置を用い、図6に示すようなクリップピッチのプロファイルで、予熱処理、斜め延伸およびMD収縮処理に供し、位相差フィルムを得た。なお、装置の詳細な構成については、特開2014−194483号公報の記載が本明細書に参考として援用される。位相差フィルムの具体的な作製手順は以下のとおりである:ポリカーボネート樹脂フィルム(厚み130μm、幅765mm)を延伸装置の予熱ゾーンで142℃に予熱した。予熱ゾーンにおいては、左右のクリップのクリップピッチは125mmであった。次に、フィルムが第1の斜め延伸ゾーンC1に入ると同時に、右側クリップのクリップピッチの増大を開始し、第1の斜め延伸ゾーンC1において125mmから177.5mmまで増大させた。クリップピッチ変化率は1.42であった。第1の斜め延伸ゾーンC1において、左側クリップのクリップピッチについてはクリップピッチの減少を開始し、第1の斜め延伸ゾーンC1において125mmから90mmまで減少させた。クリップピッチ変化率は0.72であった。さらに、フィルムが第2の斜め延伸ゾーンC2に入ると同時に、左側クリップのクリップピッチの増大を開始し、第2の斜め延伸ゾーンC2において90mmから177.5mmまで増大させた。一方、右側クリップのクリップピッチは、第2の斜め延伸ゾーンC2において177.5mmのまま維持した。また、上記斜め延伸と同時に、幅方向にも1.9倍の延伸を行った。なお、上記斜め延伸は135℃で行った。
上記のようにして得られたポリカーボネート樹脂フィルムを、特開2014−194483号公報の実施例1に準じた方法で斜め延伸し、位相差フィルムを得た。すなわち、図2〜図5に示すような装置を用い、図6に示すようなクリップピッチのプロファイルで、予熱処理、斜め延伸およびMD収縮処理に供し、位相差フィルムを得た。なお、装置の詳細な構成については、特開2014−194483号公報の記載が本明細書に参考として援用される。位相差フィルムの具体的な作製手順は以下のとおりである:ポリカーボネート樹脂フィルム(厚み130μm、幅765mm)を延伸装置の予熱ゾーンで142℃に予熱した。予熱ゾーンにおいては、左右のクリップのクリップピッチは125mmであった。次に、フィルムが第1の斜め延伸ゾーンC1に入ると同時に、右側クリップのクリップピッチの増大を開始し、第1の斜め延伸ゾーンC1において125mmから177.5mmまで増大させた。クリップピッチ変化率は1.42であった。第1の斜め延伸ゾーンC1において、左側クリップのクリップピッチについてはクリップピッチの減少を開始し、第1の斜め延伸ゾーンC1において125mmから90mmまで減少させた。クリップピッチ変化率は0.72であった。さらに、フィルムが第2の斜め延伸ゾーンC2に入ると同時に、左側クリップのクリップピッチの増大を開始し、第2の斜め延伸ゾーンC2において90mmから177.5mmまで増大させた。一方、右側クリップのクリップピッチは、第2の斜め延伸ゾーンC2において177.5mmのまま維持した。また、上記斜め延伸と同時に、幅方向にも1.9倍の延伸を行った。なお、上記斜め延伸は135℃で行った。
(MD収縮処理)
次いで、収縮ゾーンにおいて、MD収縮処理を行った。具体的には、左側クリップおよび右側クリップのクリップピッチをともに177.5mmから165mmまで減少させた。MD収縮処理における収縮率は7.0%であった。
次いで、収縮ゾーンにおいて、MD収縮処理を行った。具体的には、左側クリップおよび右側クリップのクリップピッチをともに177.5mmから165mmまで減少させた。MD収縮処理における収縮率は7.0%であった。
以上のようにして、位相差フィルム3(厚み50μm)を得た。得られた位相差フィルムのRe(550)は141nmであり、複屈折Δnxyは0.00282であった。
[実施例1]
1−1.偏光子の作製
A−PET(アモルファス−ポリエチレンテレフタレート)フィルム(三菱樹脂(株)製 商品名:ノバクリアSH046、厚み200μm)を基材として用意し、表面にコロナ処理(58W/m2/min)を施した。一方、アセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業(株)製、商品名:ゴーセファイマーZ200、重合度1200、ケン化度99.0%以上、アセトアセチル変性度4.6%)を1wt%添加したPVA(重合度4200、ケン化度99.2%)を用意して、乾燥後の膜厚が12μmになるように塗布し、60℃の雰囲気下において熱風乾燥により10分間乾燥して、基材上にPVA系樹脂層を設けた積層体を作製した。次いで、この積層体をまず空気中130℃で2.0倍に延伸して、延伸積層体を得た。次に、延伸積層体を液温30℃のホウ酸不溶化水溶液に30秒間浸漬することによって、延伸積層体に含まれるPVA分子が配向されたPVA系樹脂層を不溶化する工程を行った。本工程のホウ酸不溶化水溶液は、ホウ酸含有量を水100重量%に対して3重量%とした。この延伸積層体を染色することによって着色積層体を生成した。着色積層体は、延伸積層体を液温30℃のヨウ素およびヨウ化カリウムを含む染色液に浸漬することにより、延伸積層体に含まれるPVA系樹脂層にヨウ素を吸着させたものである。ヨウ素濃度および浸漬時間は、得られる偏光子の単体透過率が44.5%になるように調整した。具体的には、染色液は、水を溶媒として、ヨウ素濃度を0.08〜0.25重量%の範囲内とし、ヨウ化カリウム濃度を0.56〜1.75重量%の範囲内とした。ヨウ素とヨウ化カリウムの濃度の比は1対7であった。次に、着色積層体を30℃のホウ酸架橋水溶液に60秒間浸漬することによって、ヨウ素を吸着させたPVA系樹脂層のPVA分子同士に架橋処理を施す工程を行った。本工程のホウ酸架橋水溶液は、ホウ酸含有量を水100重量%に対して3重量%とし、ヨウ化カリウム含有量を水100重量%に対して3重量%とした。さらに、得られた着色積層体をホウ酸水溶液中で延伸温度70℃として、上記の空気中での延伸と同様の方向に2.7倍に延伸して、最終的な延伸倍率を5.4倍として、基材/偏光子の積層体を得た。本工程のホウ酸架橋水溶液は、ホウ酸含有量を水100重量%に対して6.5重量%とし、ヨウ化カリウム含有量を水100重量%に対して5重量%とした。得られた積層体をホウ酸水溶液から取り出し、偏光子の表面に付着したホウ酸を、ヨウ化カリウム含有量が水100重量%に対して2重量%とした水溶液で洗浄した。洗浄された積層体を60℃の温風で乾燥した。
1−1.偏光子の作製
A−PET(アモルファス−ポリエチレンテレフタレート)フィルム(三菱樹脂(株)製 商品名:ノバクリアSH046、厚み200μm)を基材として用意し、表面にコロナ処理(58W/m2/min)を施した。一方、アセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業(株)製、商品名:ゴーセファイマーZ200、重合度1200、ケン化度99.0%以上、アセトアセチル変性度4.6%)を1wt%添加したPVA(重合度4200、ケン化度99.2%)を用意して、乾燥後の膜厚が12μmになるように塗布し、60℃の雰囲気下において熱風乾燥により10分間乾燥して、基材上にPVA系樹脂層を設けた積層体を作製した。次いで、この積層体をまず空気中130℃で2.0倍に延伸して、延伸積層体を得た。次に、延伸積層体を液温30℃のホウ酸不溶化水溶液に30秒間浸漬することによって、延伸積層体に含まれるPVA分子が配向されたPVA系樹脂層を不溶化する工程を行った。本工程のホウ酸不溶化水溶液は、ホウ酸含有量を水100重量%に対して3重量%とした。この延伸積層体を染色することによって着色積層体を生成した。着色積層体は、延伸積層体を液温30℃のヨウ素およびヨウ化カリウムを含む染色液に浸漬することにより、延伸積層体に含まれるPVA系樹脂層にヨウ素を吸着させたものである。ヨウ素濃度および浸漬時間は、得られる偏光子の単体透過率が44.5%になるように調整した。具体的には、染色液は、水を溶媒として、ヨウ素濃度を0.08〜0.25重量%の範囲内とし、ヨウ化カリウム濃度を0.56〜1.75重量%の範囲内とした。ヨウ素とヨウ化カリウムの濃度の比は1対7であった。次に、着色積層体を30℃のホウ酸架橋水溶液に60秒間浸漬することによって、ヨウ素を吸着させたPVA系樹脂層のPVA分子同士に架橋処理を施す工程を行った。本工程のホウ酸架橋水溶液は、ホウ酸含有量を水100重量%に対して3重量%とし、ヨウ化カリウム含有量を水100重量%に対して3重量%とした。さらに、得られた着色積層体をホウ酸水溶液中で延伸温度70℃として、上記の空気中での延伸と同様の方向に2.7倍に延伸して、最終的な延伸倍率を5.4倍として、基材/偏光子の積層体を得た。本工程のホウ酸架橋水溶液は、ホウ酸含有量を水100重量%に対して6.5重量%とし、ヨウ化カリウム含有量を水100重量%に対して5重量%とした。得られた積層体をホウ酸水溶液から取り出し、偏光子の表面に付着したホウ酸を、ヨウ化カリウム含有量が水100重量%に対して2重量%とした水溶液で洗浄した。洗浄された積層体を60℃の温風で乾燥した。
1−2.位相差層付偏光板の作製
上記で得られた基材/偏光子の積層体の偏光子表面に、PVA系接着剤(押し込み弾性率:4.0GPa)を介して参考例1で得られた位相差フィルム1を貼り合わせた。ここで、偏光子の吸収軸と位相差層(位相差フィルム)の遅相軸との角度が45度となるように貼り合わせた。さらに、積層体から基材のA−PETフィルムを剥離し、当該剥離面にPVA系接着剤(押し込み弾性率:4.0GPa)を介して厚みが40μmのアクリル系フィルムを貼り合わせて、保護層/第1の接着層/偏光子/第2の接着層/位相差層の構成を有する位相差層付偏光板1を得た。ここで、第1の接着層および第2の接着層の厚みはいずれも1μmとなるように設定した。得られた位相差層付偏光板1を上記耐久性の評価に供した。結果を表1に示す。
上記で得られた基材/偏光子の積層体の偏光子表面に、PVA系接着剤(押し込み弾性率:4.0GPa)を介して参考例1で得られた位相差フィルム1を貼り合わせた。ここで、偏光子の吸収軸と位相差層(位相差フィルム)の遅相軸との角度が45度となるように貼り合わせた。さらに、積層体から基材のA−PETフィルムを剥離し、当該剥離面にPVA系接着剤(押し込み弾性率:4.0GPa)を介して厚みが40μmのアクリル系フィルムを貼り合わせて、保護層/第1の接着層/偏光子/第2の接着層/位相差層の構成を有する位相差層付偏光板1を得た。ここで、第1の接着層および第2の接着層の厚みはいずれも1μmとなるように設定した。得られた位相差層付偏光板1を上記耐久性の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例2]
2−1.偏光子の作製
厚み30μmのポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルム(クラレ製、製品名「PE3000」)の長尺ロールを、ロール延伸機により長尺方向に5.9倍になるように長尺方向に一軸延伸しながら同時に膨潤、染色、架橋、洗浄処理を施し、最後に乾燥処理を施すことにより厚み12μmの偏光子を作製した。
具体的には、膨潤処理は20℃の純水で処理しながら2.2倍に延伸した。次いで、染色処理は得られる偏光子の単体透過率が45.0%になるようにヨウ素濃度が調整されたヨウ素とヨウ化カリウムの重量比が1:7である30℃の水溶液中において処理しながら1.4倍に延伸した。更に、架橋処理は、2段階の架橋処理を採用し、1段階目の架橋処理は40℃のホウ酸とヨウ化カリウムを溶解した水溶液において処理しながら1.2倍に延伸した。1段階目の架橋処理の水溶液のホウ酸含有量は5.0重量%で、ヨウ化カリウム含有量は3.0重量%とした。2段階目の架橋処理は65℃のホウ酸とヨウ化カリウムを溶解した水溶液において処理しながら1.6倍に延伸した。2段階目の架橋処理の水溶液のホウ酸含有量は4.3重量%で、ヨウ化カリウム含有量は5.0重量%とした。また、洗浄処理は、20℃のヨウ化カリウム水溶液で処理した。洗浄処理の水溶液のヨウ化カリウム含有量は2.6重量%とした。最後に、乾燥処理は70℃で5分間乾燥させて偏光子を得た。
2−1.偏光子の作製
厚み30μmのポリビニルアルコール(PVA)系樹脂フィルム(クラレ製、製品名「PE3000」)の長尺ロールを、ロール延伸機により長尺方向に5.9倍になるように長尺方向に一軸延伸しながら同時に膨潤、染色、架橋、洗浄処理を施し、最後に乾燥処理を施すことにより厚み12μmの偏光子を作製した。
具体的には、膨潤処理は20℃の純水で処理しながら2.2倍に延伸した。次いで、染色処理は得られる偏光子の単体透過率が45.0%になるようにヨウ素濃度が調整されたヨウ素とヨウ化カリウムの重量比が1:7である30℃の水溶液中において処理しながら1.4倍に延伸した。更に、架橋処理は、2段階の架橋処理を採用し、1段階目の架橋処理は40℃のホウ酸とヨウ化カリウムを溶解した水溶液において処理しながら1.2倍に延伸した。1段階目の架橋処理の水溶液のホウ酸含有量は5.0重量%で、ヨウ化カリウム含有量は3.0重量%とした。2段階目の架橋処理は65℃のホウ酸とヨウ化カリウムを溶解した水溶液において処理しながら1.6倍に延伸した。2段階目の架橋処理の水溶液のホウ酸含有量は4.3重量%で、ヨウ化カリウム含有量は5.0重量%とした。また、洗浄処理は、20℃のヨウ化カリウム水溶液で処理した。洗浄処理の水溶液のヨウ化カリウム含有量は2.6重量%とした。最後に、乾燥処理は70℃で5分間乾燥させて偏光子を得た。
2−2.位相差層付偏光板の作製
得られた偏光子の両面に、PVA系接着剤(押し込み弾性率:4.0GPa)を介して、参考例2で得られた位相差フィルム2およびHC−TACフィルム(厚み:32μm)をそれぞれ貼り合わせて、保護層/第1の接着層/偏光子/第2の接着層/位相差層の構成を有する位相差層付偏光板2を得た。ここで、第1の接着層および第2の接着層の厚みはいずれも2μmとなるように設定した。また、偏光子の吸収軸と位相差層(位相差フィルム)の遅相軸との角度が45度となるように貼り合わせた。なお、HC−TACフィルムは、コニカミノルタ株式会社製のTACフィルム(製品名:KC2UA、厚み:25μm)の片面にハードコート処理によりハードコート(HC)層を形成することにより作製した。得られた位相差層付偏光板2を上記耐久性の評価に供した。結果を表1に示す。
得られた偏光子の両面に、PVA系接着剤(押し込み弾性率:4.0GPa)を介して、参考例2で得られた位相差フィルム2およびHC−TACフィルム(厚み:32μm)をそれぞれ貼り合わせて、保護層/第1の接着層/偏光子/第2の接着層/位相差層の構成を有する位相差層付偏光板2を得た。ここで、第1の接着層および第2の接着層の厚みはいずれも2μmとなるように設定した。また、偏光子の吸収軸と位相差層(位相差フィルム)の遅相軸との角度が45度となるように貼り合わせた。なお、HC−TACフィルムは、コニカミノルタ株式会社製のTACフィルム(製品名:KC2UA、厚み:25μm)の片面にハードコート処理によりハードコート(HC)層を形成することにより作製した。得られた位相差層付偏光板2を上記耐久性の評価に供した。結果を表1に示す。
[実施例3]
位相差フィルム1の代わりに位相差フィルム3を用いたこと、および、基材/偏光子の積層体の偏光子表面に位相差フィルム3をいわゆるロールトゥロールにより貼り合わせたこと以外は実施例1と同様にして、保護層/第1の接着層/偏光子/第2の接着層/位相差層の構成を有する位相差層付偏光板3を得た。得られた位相差層付偏光板3を上記耐久性の評価に供した。結果を表1に示す。
位相差フィルム1の代わりに位相差フィルム3を用いたこと、および、基材/偏光子の積層体の偏光子表面に位相差フィルム3をいわゆるロールトゥロールにより貼り合わせたこと以外は実施例1と同様にして、保護層/第1の接着層/偏光子/第2の接着層/位相差層の構成を有する位相差層付偏光板3を得た。得られた位相差層付偏光板3を上記耐久性の評価に供した。結果を表1に示す。
[比較例1]
ホウ酸水溶液中での延伸工程におけるホウ酸架橋水溶液のホウ酸含有量を水100重量%に対して6.5重量%から3重量%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、保護層/第1の接着層/偏光子/第2の接着層/位相差層の構成を有する位相差層付偏光板4を得た。得られた位相差層付偏光板4を上記耐久性の評価に供した。結果を表1に示す。さらに、耐久性試験後の外観を示す写真画像を図7に示す。
ホウ酸水溶液中での延伸工程におけるホウ酸架橋水溶液のホウ酸含有量を水100重量%に対して6.5重量%から3重量%に変更したこと以外は実施例1と同様にして、保護層/第1の接着層/偏光子/第2の接着層/位相差層の構成を有する位相差層付偏光板4を得た。得られた位相差層付偏光板4を上記耐久性の評価に供した。結果を表1に示す。さらに、耐久性試験後の外観を示す写真画像を図7に示す。
[比較例2]
第1の接着層および第2の接着層の厚みがいずれも20μmとなるようにしたこと以外は実施例1と同様にして、保護層/第1の接着層/偏光子/第2の接着層/位相差層の構成を有する位相差層付偏光板5を得た。得られた位相差層付偏光板5を上記耐久性の評価に供した。結果を表1に示す。
第1の接着層および第2の接着層の厚みがいずれも20μmとなるようにしたこと以外は実施例1と同様にして、保護層/第1の接着層/偏光子/第2の接着層/位相差層の構成を有する位相差層付偏光板5を得た。得られた位相差層付偏光板5を上記耐久性の評価に供した。結果を表1に示す。
<評価>
表1から明らかなように、本発明の実施例の位相差層付偏光板は耐久性が良好であり、比較例の位相差層付偏光板は耐久性が不良であった。すなわち、本発明によれば、位相差層付偏光板を構成する偏光子、位相差層および接着層の所定の要件を最適化することにより、非常に薄型の位相差層付偏光板において耐久性を顕著に改善できることがわかる。
表1から明らかなように、本発明の実施例の位相差層付偏光板は耐久性が良好であり、比較例の位相差層付偏光板は耐久性が不良であった。すなわち、本発明によれば、位相差層付偏光板を構成する偏光子、位相差層および接着層の所定の要件を最適化することにより、非常に薄型の位相差層付偏光板において耐久性を顕著に改善できることがわかる。
本発明の位相差層付偏光板は、液晶表示装置および有機EL表示装置のような画像表示装置に好適に用いられる。
11 偏光子
12 保護層
20 位相差層
31 第1の接着層
32 第2の接着層
100 位相差層付偏光板
12 保護層
20 位相差層
31 第1の接着層
32 第2の接着層
100 位相差層付偏光板
Claims (1)
- 偏光子と、該偏光子の一方の側に第1の接着層を介して貼り合わされた保護層と、該偏光子のもう一方の側に第2の接着層を介して貼り合わされた位相差層と、を有し
該偏光子の厚みが2μm〜12μmであり、ホウ酸含有量が18重量%以上であり、ヨウ素含有量が2.1重量%以上であり、単体透過率が44.2%以上であり、偏光度が98%以上であり、配向関数が0.35以上であり、
該位相差層の厚みが50μm以下であり、複屈折Δnxyが0.0025以上であり、
該第1の接着層および該第2の接着層の厚みが2μm以下である、
位相差層付偏光板。
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2017
- 2017-01-12 JP JP2017003532A patent/JP2017062517A/ja not_active Withdrawn
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