JP2017061911A - 車両用内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両用内燃機関において、ラジェータの後ろに配置している部材が熱害によって劣化等することを抑制する。
【解決手段】ラジェータ8への通水量は、電子制御サーモスタット弁18によって制御されている。ECUにおいて、熱害を受けやすい部材の保護のために熱対策必要温度を設定しておいて、検知手段の温度が熱対策必要温度に至ったら、電子制御サーモスタット弁18を開き操作してラジェータ8への通水量を増加させ、ラジェータ8の上部から拡散される熱風の温度を下げる。これにより、バッテリー23等の熱害を受けやすい部材の劣化を抑制できる。
【選択図】図3
【解決手段】ラジェータ8への通水量は、電子制御サーモスタット弁18によって制御されている。ECUにおいて、熱害を受けやすい部材の保護のために熱対策必要温度を設定しておいて、検知手段の温度が熱対策必要温度に至ったら、電子制御サーモスタット弁18を開き操作してラジェータ8への通水量を増加させ、ラジェータ8の上部から拡散される熱風の温度を下げる。これにより、バッテリー23等の熱害を受けやすい部材の劣化を抑制できる。
【選択図】図3
Description
本願発明は、車両(自動車)の前部のエンジンルームに配置される内燃機関に関するものであり、特に、部材の熱害対策に特徴を有している。
車両用の内燃機関は、一般に、車両の前部のエンジンルームに配置されている。内燃機関は、シリンダブロックとシリンダヘッドとを中核とする機関本体を有しており、機関本体の前方にラジェータを配置している。ラジェータへの通水は、冷却水の温度に関連してサーモスタット弁によって制御されるが、サーモスタット弁を電子制御式に構成することも行われており、その例が特許文献1に開示されている。
他方、エンジンルームには様々な部材が配置されているが、これらには熱に弱いものも多い。そこで、特許文献2では、エンジンルームの温度が予め設定した高温状態に至ったと判断されたら、ラジェータファンを作動させてエンジンルーム内の掃気を行うことが開示されている。
特許文献2では、エンジンルーム内を掃気することで熱の籠もりを防止できるが、熱の発生自体を抑制するものではないため、熱害を受けやすい部材の冷却や昇温防止の効果は低いと云える。また、ラジェータファンが作動している状態でエンジンルーム内の温度が上昇した場合には、全く対応できないという点も問題である。
本願発明は、このような現状を改善すべく成されたものである。
本願発明は、車両前部のエンジンルームに搭載される内燃機関に関して、この内燃機関は、シリンダブロック及びシリンダヘッドを有する機関本体の前方に、電子制御サーモスタット弁によって通水量が制御されるラジェータが配置されており、かつ、前記ラジェータの上部後方に、熱害を受けやすい部材が配置されている構成において、前記熱害を受けやすい部材に対して冷却又は昇温防止をすべき熱対策必要温度を設定するための検知手段を備えており、前記検知手段が熱対策必要温度を検知したら、前記電子制御サーモスタット弁を開き方向に操作して前記ラジェータへの通水を増加させるように制御されるものである。
熱害を受けやすい部材の例としては、バッテリー(鉛蓄電池)、吸気系等のホース類、各種のセンサ類、ケーブル類、電動モータのような電動式アクチェータ類、機関本体等を支えるゴムマウント、燃料回収用キャニスタ、ECUの構成要素である電子部品や基板など、様々のものが挙げられる。
冷却又は昇温防止をすべき熱対策必要温度の検知手段の例としては、まず、部材自身の温度を検知することが挙げられる。これは直接的な検知手段であるが、間接的な検知手段としては、エンジンルーム内の温度、冷却水温度、外気温度、エアコンのスイッチ、機関の回転数、車速などの一つ又は複数が挙げられる。
熱対策必要温度は具体的な数値でなくてもよい。例えば、何らかのスフイッチのONを熱対策必要温度として代替することも可能である。具体的な例としては、車両の停止状態でエアコンが最大風量に設定されたら、この設定を熱対策必要温度への移行と見なして、電子制御サーモスタット弁を開き制御するといったことが可能である。
さて、ラジェータは、アッパータンクとロアタンクとが、上下長手の細管群からなる細管部で接続された構成になっており、冷却水は、アッパータンクに流入してロアタンクから排出される。そして、細管部を流れる過程で、ラジェータファンによる風や走行風によって冷却されるが、冷却水は細管部を下がるほど熱交換が進むため、上部で高くて下部で低くなるような温度勾配になる。従って、ラジェータの上部後方に配置された部材ほど、熱害を受けやすいと云える。
他方、電子制御サーモスタット弁は、機関の冷却をできるだけ抑制して燃費を向上させるために採用されており、通常の水温感応式サーモスタット弁に比べて、ラジェータへの冷却は押さえ気味になっている。その結果、ラジェータからの熱風によって部材が熱害を受けやすくなっているともいえる。
そして、本願発明では、熱害を受けやすい部材が熱害対策をとるべき温度(熱対策必要温度)に至ると、電子制御サーモスタット弁によってラジェータへの通水量を増大させて、冷却水の冷却能力がアップする。これにより、ラジェータの特に上部から後ろ向きに放散される風の温度を低下させて、熱害を受けやすい部材の温度が危険な状態まで昇温することを防止できる。その結果、熱害を受けやすい部材の耐久性を向上できる(劣化を防止できる。)。
(1).全体構成
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて発明する。図1に示すように、車両1の前部にエンジンルーム2を設けて、このエンジンルーム2に、機関本体3が配置されている。機関本体3は、中核要素としてシリンダブロック4とシリンダヘッド5とを有しており、シリンダブロック4の下面にはオイルパン6が固定されていて、シリンダヘッド5の上面にはヘッドカバー6が固定されている。機関本体3は、クランク軸を車両の前後方向と直交させた横置きで搭載されている。
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて発明する。図1に示すように、車両1の前部にエンジンルーム2を設けて、このエンジンルーム2に、機関本体3が配置されている。機関本体3は、中核要素としてシリンダブロック4とシリンダヘッド5とを有しており、シリンダブロック4の下面にはオイルパン6が固定されていて、シリンダヘッド5の上面にはヘッドカバー6が固定されている。機関本体3は、クランク軸を車両の前後方向と直交させた横置きで搭載されている。
機関本体3の前方にはラジェータ8を配置しており、ラジェータ8は、ファンシュラウドで囲われたラジェータファン9を備えている。また、ラジェータ8は、従来と同様に、アッパータンク10とロアタンク11及び細管部12とを有している。
機関本体3のうち、クランク軸線方向から見て前後方向の一端部には、タイミングチェーンを覆うフロントカバー13が配置されており、このフロントカバー13の個所に、補機駆動ベルトで駆動されるウォータポンプ14が配置されている。また、シリンダヘッド5のうち他端部には、シリンダヘッド5の内部に設けヘッドジャケットの出口と連通している冷却水制御部15を設けており、冷却水制御部15とラジェータ8のアッパータンク10とはラジェータ送り管16で接続されて、冷却水制御部15とラジェータ8のロアタンク11とは、ラジェータ戻り管17で接続されている。
そして、冷却水制御部15に、ラジェータ戻り管17に接続された電子制御サーモスタット弁18を一体的に設けている。従って、本実施形態では、ラジェータ8への通水量は、冷却水の戻り量を制御することによって行われる。もとより、電子制御サーモスタット弁18によって冷却水の送り量を制御することも可能である。冷却水制御部15とウォータポンプ14とは、メイン戻り管19によって接続されている。
機関本体3のうちフロントカバー13を設けた部位に、補機駆動ベルトで駆動される冷媒コンプレッサ20が配置されている。車両1の室内前部にはエアコン21を配置しており、エアコン21と冷媒コンプレッサ20とは管路23で接続されている。また、機関本体3の後方には、熱害を受けやすい部材の一例として、バッテリー23が配置されている。
(2).電子制御サーモスタット弁の具体例
電子制御サーモスタット弁18の具体例は、図2で示している。本例において、電子制御サーモスタット弁18は、アウターケース24に固定されたロッド25を有しており、ロッド25に、感温ワックスを内蔵したスライダー26が摺動可能に装着されている。感温ワックスが熱膨張すると、スライダー26は図2において下方に移動する。アウターケース24は、冷却水制御部15に固定されている。
電子制御サーモスタット弁18の具体例は、図2で示している。本例において、電子制御サーモスタット弁18は、アウターケース24に固定されたロッド25を有しており、ロッド25に、感温ワックスを内蔵したスライダー26が摺動可能に装着されている。感温ワックスが熱膨張すると、スライダー26は図2において下方に移動する。アウターケース24は、冷却水制御部15に固定されている。
スライダー26は弁体27を有しており、スライダー26が摺動すると、弁体27は、アウターケース24に設けた弁座24aに当接したり離反したりする。一方、アウターケース24には、ラジェータ戻り管17が接続される流入口28を設けており、スライダー26の移動により、ラジェータ8からの冷却水の戻り量が制御されて、結果として、ラジェータ8への通水量が制御される。
スライダー26は、アウターケース24に設けたケージ29にスライド可能に嵌まっており、弁体27は、ケージ29で支持された第1ばね30により、弁座24aに当接する方向に付勢されている。なお、ケージ29の外周は大きく開口しており、従って、通水は阻害されない。
冷却水制御部15には、メイン戻り管19が接続される出口穴31が空いており、ラジェータ8から戻って冷却水は、出口穴31に流れていく。なお、図2に符号32で示すのは、暖房ヒータから戻って冷却水が流入する暖房ヒータ戻りポートである。
本実施形態の電子制御サーモスタット弁18は、ヘッドジャケットでの冷却水の内圧が過剰に高くなったときに、ヘッドジャッケトから冷却水を直接に逃がす安全弁機能も備えている。すなわち、冷却水制御部15に、ロッド25と同心のリーク通路33を設けて、リーク通路33を塞ぐリーク弁34がロッド25に摺動可能に嵌まっており、かつ、リーツ弁34は、第2ばね35によってリーク通路33の側に付勢されている。第2ばね35のばね力は、第1ばね30のばね力よりも弱くなっている。
スライダー26のうち感温ワックスが収容されている容器の一端部には、電熱式のヒータ36を内蔵しており、ヒータ36に接続されたケーブル37は、アウターケース24の外側に引き出されている。図示の例では、ケーブル37はロッド25の内部に通してから外側に引き出しているが、ロッド25の外側において、防水対策を施してから外部に引出してもよい。
電子制御サーモスタット弁18は、様々な構造のものを採用できる。感温ワックス収納部が冷却水制御部15の外側に露出したタイプも採用できる。
(3).まとめ
図3(A)に表示するように、内燃機関はECU(エンジンコントロールユニット)を備えており、ECUには、冷却水温度センサ、バッテリ液の温度を検知するバッテリー温度センサ、外気温度センサ、機関の回転数を検知する回転数検知センサ、エアコン21のON・OFFと風量や温度の調節とを行うエアコンスイッチ、車速センサ、エンジルーム温度センサなどが接続されている。
図3(A)に表示するように、内燃機関はECU(エンジンコントロールユニット)を備えており、ECUには、冷却水温度センサ、バッテリ液の温度を検知するバッテリー温度センサ、外気温度センサ、機関の回転数を検知する回転数検知センサ、エアコン21のON・OFFと風量や温度の調節とを行うエアコンスイッチ、車速センサ、エンジルーム温度センサなどが接続されている。
これらのうち、特にバッテリー23が熱害を受けることを防止する場合は、バッテリー温度の許容上限値を予め設定して、この温度を熱対策必要温度に設定しておく。つまり、この場合は、バッテリー液の温度センサが請求項に記載した検知手段であり、熱対策必要温度は、バッテリー液の性能が悪化するような温度になる。
図3(B)では、ラジェータ8における細管部の高さと冷却水温度との関係を示しており、A〜Cの線で示すように、冷却水の温度は、高さに比例して低くなっている。冷却水の水量が多いと冷却水の平均温度は低くなり、かつ、ラジェータ8の上部と下部との温度差が小さくなるため、温度勾配線は原点方向(図の左方向)にシフトし、傾きは垂直に近近付く。
電子制御サーモスタット弁18のワックスは、電子制御でない冷却水感温式のワックスに比べて感度が鈍いものが使用されており、電子制御でない場合の開弁開始温度をT0とすると、電子制御サーモスタット弁18では、T0ではまだ開弁しておらず、従って、ラジェータ8への通水は絞り気味になっている。
T0の水温でラジェータ8に通水させる場合は、ヒータ36に通電してワックスを膨張させることになる。通電を停止すると、電子制御サーモスタット弁18は、冷却水に感応した基準開度に戻る。また、電流値を調節して、水温に依存する基準開度との乖離の度合いを調節することにより、ラジェータ8への通水量を微調整することができる。
そして、バッテリー温度が熱対策必要温度に達すると、電子制御サーモスタット弁18のヒータ36に通電して、電子制御サーモスタット弁18における弁体27の開度が大きくなって、ラジェータ8への通水量が増大する。バッテリー23が熱対策必要温度になった状態で、ヒータ36に既に通電されている場合は、ヒータ36の通電値を高くして、電子制御サーモスタット弁18の開度を大きくする。
いずれにしても、ラジェータ8の上部から排出される熱風の温度が低下する。つまり、図3(B)において、Cになっていた温度分布が、例えばBにシフトする。これにより、バッテリー23の温度を低下させたり、許容限度以上に上昇しないように維持したりして、充電液の劣化を防止できる。
複数の部材の熱害を防止する場合は、最も熱に弱い部材の許容温度を熱対策必要温度と設定して、この温度によって電子制御サーモスタット弁18の開度を大きくなるように設定しておいたらよい。
部材に温度センサを設けずに、推測値を熱対策必要温度を設定する場合は、冷却水温度や外気温度等の温度要因を単独で又は組み合わせて使用したらよい。例えば、外気温度が高い状態やエアコンを強く効かせている状態で、かつ、停車中や徐行している状態では、エンジンルーム2の内部も高温になっていると推測されるので、これらの要素を組み合わせて、熱対策必要温度を設定することができる。
熱対策必要温度は具体的な数値でなくてもよいのであり、例えば、車速がゼロ又は数km/h以内で、かつ、外気温度が所定値よりも高くなったことを必要条件として、エアコン21の設定温度変更や風量増大の変更により、電子制御サーモスタット弁18を開き制御することも可能である。
車両がある程度以上の速度で走行している場合は、エンジンルームは走行風で掃気されるので、部材の熱害が発生することはないと云える。部材の温度を直接検知せずに、熱対策必要温度を推測値とする場合は、各要素の部材温度がどのように関連しているかのマップを検知手段として作成して、このマップに基づいて熱対策必要温度を設定したらよい。
本願発明は、実際に車両用内燃機関に具体化できる。従って、産業上利用できる。
1 車両
2 エンジンルーム
3 機関本体
5 シリンダヘッド
8 ラジェータ
9 ラジェータファン
10 アッパータンク
11 ロアタンク
12 細管部
14 ウォータポンプ
15 冷却水制御部
16 ラジェータ送り管
17 ラジェータ戻り管
18 電子制御サーモスタット弁
21 エアコン
23 熱害を受けやすい部材の一例としてのバッテリー
2 エンジンルーム
3 機関本体
5 シリンダヘッド
8 ラジェータ
9 ラジェータファン
10 アッパータンク
11 ロアタンク
12 細管部
14 ウォータポンプ
15 冷却水制御部
16 ラジェータ送り管
17 ラジェータ戻り管
18 電子制御サーモスタット弁
21 エアコン
23 熱害を受けやすい部材の一例としてのバッテリー
Claims (1)
- 車両前部のエンジンルームに搭載される内燃機関であって、
シリンダブロック及びシリンダヘッドを有する機関本体の前方に、電子制御サーモスタット弁によって通水量が制御されるラジェータが配置されており、かつ、前記ラジェータの上部後方に、熱害を受けやすい部材が配置されている構成において、
前記熱害を受けやすい部材に対して冷却又は昇温防止をすべき熱対策必要温度を設定するための検知手段を備えており、前記検知手段が熱対策必要温度を検知したら、前記電子制御サーモスタット弁を開き方向に操作して前記ラジェータへの通水を増加させるように制御される、
車両用内燃機関。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015188667A JP2017061911A (ja) | 2015-09-25 | 2015-09-25 | 車両用内燃機関 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015188667A JP2017061911A (ja) | 2015-09-25 | 2015-09-25 | 車両用内燃機関 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017061911A true JP2017061911A (ja) | 2017-03-30 |
Family
ID=58429934
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015188667A Pending JP2017061911A (ja) | 2015-09-25 | 2015-09-25 | 車両用内燃機関 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017061911A (ja) |
-
2015
- 2015-09-25 JP JP2015188667A patent/JP2017061911A/ja active Pending
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