JP2017061062A - バッチ式混練機の制御装置 - Google Patents

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芳明 長田
Yoshiaki Osada
芳明 長田
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Abstract

【課題】周辺環境の変化の影響を受けずに安定して混練の完了時期を管理できるようにしたバッチ式混練機の制御装置を提供する。
【解決手段】バッチ式混練機MMの制御装置Cuは、電動機Dm,Dmに対して所定回転数を指示値として出力する速度指令器21と、トルクを検出するトルク検出器31a,31bと、トルク検出器での検出値が所定値に維持されるように回転数を制御する駆動回路4a,4bと、被混練物の投入前に、速度指令器から指示値を出力して駆動回路により電動機を回転駆動した状態でトルク検出器で検出されたトルクを機械損トルクとして記憶する記憶器7a,7bと、被混練物の投入後、トルク検出器で検出されたトルクと機械損トルクとの差分に電動機の回転数を掛けた値を積分して混練に費やした電力量を積算する電力積算器8とを備え、電力積算器で積算された電力量が設定電力量に達すると、電動機を停止する。
【選択図】図2

Description

被混練物を投入する混練室内に電動機で回転駆動される一対のロータを並設したバッチ式混練機の制御装置に関する。
背景の技術
従来から、例えば、ゴム、プラスチックやセラミックなどの材料に各種の添加剤を混練するために混練機が用いられ、その中には所謂バッチ式のものがある。このようなバッチ式混練機は例えば特許文献1で知られている。このものは、混練室と、混練室内に非螺合状態で並設される一対のロータと、各ロータを回転駆動する、電動機を有する駆動手段とを備える。そして、混練室内に、例えば材料と添加剤とからなる被混練物を投入して電動機により各ロータを回転駆動すると、各ロータ相互の間や、各ロータと混練室の内壁面との間で生じる速度差に起因するせん断作用で被混練物が混練される。このとき、被混練物によっては、せん断作用やそれに伴う発熱により分子量や温度が変化して被混練物の粘度が変化する。
このような被混練物をバッチ式混練機を用いて混練する際、例えば、製品として所望の性能を発揮するのに要する粘度に達するまでの変化量と、それに要する電動機への積算電力量との相関を予め取得し、この積算電力量を基準に混練の完了時期、つまり、電動機の停止時期を管理することが知られている。
然しながら、上記管理方法では、バッチ式混練機の周辺環境の変化で混練の完了時期がずれて次の問題を生じる。即ち、例えば、相関を取得したときの周辺環境と比較して温度が低くなっていると、混練機の機械損失が増加し、この場合には、機械損失が付加された状態で投入電力が積算されるため、製品として所望の性能を発揮するのに要する粘度に達する前に混練が完了してしまう。また、温度が高くなっていると、混練機の機械損失が減少し、この場合には、上記粘度に達した後も混練が継続されて無駄に電力が消費されてしまう。
特開平10−44145号公報
本発明は、以上の点に鑑み、周辺環境の変化の影響を受けずに安定して混練の完了時期を管理できるようにしたバッチ式混練機の制御装置を提供することをその課題とするものである。
上記の課題を解決するために、被混練物を投入する混練室内に電動機で回転駆動される一対のロータを並設した本発明のバッチ式混練機の制御装置は、電動機に対して所定回転数を指示値として出力する速度指令器と、電動機のトルクを検出するトルク検出器と、トルク検出器での検出値が所定値に維持されるように電動機の回転数を制御する駆動回路とを備え、混練室内への被混練物の投入前に、速度指令器から指示値を出力して駆動回路により電動機を回転駆動した状態でトルク検出器で検出されたトルクを機械損トルクとして記憶する記憶器と、混練室内への被混練物の投入後、トルク検出器で検出されたトルクと記憶器に記憶された機械損トルクとの差分に電動機の回転数を掛けた値を積分して混練に費やした電力量を積算する電力積算器とを更に備え、電力積算器で積算された電力量が設定電力量に達すると、電動機を停止するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、混練室内への被混練物の投入直後から電動機を所定回転数(例えば、定格回転数)で被混練物を混練する。そして、被混練物の混練が進むにつれて電動機の負荷トルクが上昇するが、所定のトルク(例えば、定格トルク)で制限をかけているため、駆動回路により電動機の回転数が低下される。このように被混練物を混練する間、トルク検出器で検出されるトルクから、混練機の装置損失に相当する機械損トルクを差し引いた状態で混練に費やした電力量を積算し、電力積算器で積算された電力量が設定電力量に達すると、電動機を停止する。これにより、環境変化の影響を受けずに安定して混練の完了時期を管理でき、しかも、電動機が過負荷状態になることもない。
混練機の構成を模式的に示す部分断面図。 混練機の制御装置のブロック図。 電動機の制御を説明するグラフ。
以下、図面を参照して、混練室内に並設されるロータ毎に電動機を設け、また、混練時のせん断作用やそれに伴う発熱により分子量や温度が変化して被混練物の粘度が変化する場合を例に本発明のバッチ式混練機の制御装置の実施形態を説明する。
図1を参照して、MMはバッチ式混練機である。混練機MMは、混練室11を区画するチャンバ1を備え、混練室11内には、混練室11内に投入される被混練物(図示せず)を混練する一対のロータRo,Roが非螺合状態で並設されている。各ロータRo,Roは電動機Dm,Dmに夫々連結され、制御装置Cuによって互いに相反する方向に所定の回転数で回転駆動されるようになっている。なお、混練機MM自体は公知のものが利用できるため、これ以上の詳細な説明は省略する。また、被混練物としては、例えば、ゴム、プラスチックやセラミックなどの材料と各種の添加剤(重合促進剤も含む)とが挙げられる。
制御装置Cuは、図2に示すように、一方のロータRoに連結される主電動機Dmに対して所定回転数(例えば、電動機Dm,Dmの定格回転数)を指示値として出力する速度指令器21と、他方のロータRoに連結される従電動機Dmに対して一方のロータRoより遅い周速度に応じた所定回転数を指示値として出力する速度比指令器22と、主電動機Dmに対して所定トルク(例えば、主電動機Dmの定格トルク)を指示値として出力してトルク制限を加える制限トルク指令器23とを備える。なお、図2中、24は、主電動機Dmの回転数とトルクとの優先回路である。
また、制御装置Cuは、両電動機Dm,Dmの回転軸(図示せず)のトルクを夫々検出するトルク検出器31a,31bと、回転数を検出する検出計32a,32bと、両電動機Dm,Dmの回転数を制御する駆動回路4a,4bとを備える。そして、駆動回路4a,4bによりトルク検出器31a,31bでの検出値が指示値に維持されるように両電動機Dm,Dmの回転数が夫々制御される。なお、図2中、5a,5bが電動機Dm,Dmの回転数制御器であり、6a,6bが電動機Dm,Dmのトルク制御器である。制御装置Cuは更に、記憶器7a,7bと、演算器8a,8bと、電力積算器8と、比較器9とを備える。
記憶器7a,7bは、混練室11内への被混練物の投入前に両電動機Dm,Dmを夫々回転駆動した状態でトルク検出器31a,31bで夫々検出されたトルクを機械損トルクとして記憶する。演算器8a,8bは、混練室11内への被混練物の投入後、トルク検出器31a,31bで夫々検出されたトルクと記憶器7a,7bに記憶された機械損トルクとの差分を求める。電力積算器8は、この差分に両電動機Dm,Dmの回転数を夫々掛けた値を積分することで被混練物の混練に費やした電力量を積算する。そして、比較器9にて電力積算器8で積算された電力量が、予め設定される設定電力量に達すると、両電動機Dm,Dmが停止される。以下に、本実施形態のバッチ式混練機MMの制御装置Cuによる混練完了の管理方法を図3を参照して説明する。
先ず、混練に先立って、製品として所望の性能を発揮するのに要する粘度に達するまでの変化量と、それに要する電動機Dm,Dmへの積算電力量との相関が予め取得され、積算電力量を基準として設定電力量が決定され、制御装置Cuに設定される。次に、被混練物を混練室11に内に投入して混練する場合、混練室11内への被混練物の投入に先立って、速度指令器21により一方のロータRoに連結される主電動機Dmに対して所定回転数(例えば、電動機Dm,Dmの定格回転数)を指示値として出力すると共に、速度比指令器22により他方のロータRoに連結される従電動機Dmに対して一方のロータRoより遅い周速度に応じた所定回転数を指示値として出力する。これにより、駆動回路4a,4bにより混練室11内で一対のロータRo,Roが所定回転数で夫々回転駆動される。このとき、制限トルク指令器23により主電動機Dmに対して所定トルクを指示値として出力する。
主電動機Dmの回転数が所定回転数に達すると、トルク検出器31a,31bでトルクを夫々検出し、このトルクを機械損トルクとして記憶器7a,7bに記憶する。機械損トルクが記憶されると、混練室11内に被混練物が投入される。被混練物を混練する間、電動機Dm,Dmのトルクは、被混練物の粘度が変化するのに従い上昇し、トルク検出器31a,31bでの検出値が所定トルクに維持されるように駆動回路4a,4bにより両電動機Dm,Dmの回転数が夫々低下される。また、混練室11内への被混練物の投入直後からトルク検出器31a,31bで夫々検出されたトルクと記憶器7a,7bに記憶された機械損トルクとの差分を算出器8a,8bにて夫々算出し、両電動機Dm,Dmの回転数を夫々掛けた値を積分して、被混練物の混練に費やした電力量が電力積算器8で積算され、比較器9にて電力積算器8で積算された電力量が設定電力量と比較され、設定電力量に達すると、両電動機Dm,Dmが停止される。
以上の実施形態によれば、被混練物を混練する間、トルク検出器31a,31bで検出されるトルクから、混練機MMの装置損失に相当する機械損トルクを差し引いた状態で混練に費やした電力量を積算し、積算電力量が設定電力量に達すると、両電動機Dm,Dmを停止するため、環境変化の影響を受けずに安定して混練の完了時期を管理でき、しかも、トルク制限をかけているため、電動機Dm,Dmが過負荷状態になることもない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではない。上記実施形態では、一対のロータRo,Roを2個の電動機Dm,Dmで夫々回転駆動するものを例に説明したが、本発明は、1個の電動機からコネクティングギアを介して一対のロータRo,Roを回転駆動するものにも適用することができる。
MM…バッチ式混練機、Cu…制御装置、Ro,Ro…ロータ、Dm,Dm…電動機、11…混練室、21…速度指令器、4a,4b…駆動回路、31a,31b…トルク検出器、7a,7b…記憶器、8…電力積算器。

Claims (1)

  1. 被混練物を投入する混練室内に電動機で回転駆動される一対のロータを並設したバッチ式混練機の制御装置であって、
    電動機に対して所定回転数を指示値として出力する速度指令器と、電動機のトルクを検出するトルク検出器と、トルク検出器での検出値が所定値に維持されるように電動機の回転数を制御する駆動回路とを備え、
    混練室内への被混練物の投入前に、速度指令器から指示値を出力して駆動回路により電動機を回転駆動した状態でトルク検出器で検出されたトルクを機械損トルクとして記憶する記憶器と、混練室内への被混練物の投入後、トルク検出器で検出されたトルクと記憶器に記憶された機械損トルクとの差分に電動機の回転数を掛けた値を積分して混練に費やした電力量を積算する電力積算器とを更に備え、
    電力積算器で積算された電力量が設定電力量に達すると、電動機を停止するようにしたことを特徴とするバッチ式混練機の制御装置。

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