JP2017060942A - 排水処理装置 - Google Patents

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中川 浩行
Hiroyuki Nakagawa
浩行 中川
奈津子 岡崎
Natsuko Okazaki
奈津子 岡崎
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Abstract

【課題】電解フェントン反応による有機化合物を含む排水の処理において、鉄イオンと過酸化水素の系外からの供給量をできるだけ少量とし、大量の排水中の有機化合物を効率よく、短時間かつ連続的に処理することが可能な排水処理装置を提供する。【解決手段】有機化合物を含む排水を陰極および陽極が配置された反応槽に流通させて、電解フェントン反応によって排水を酸化処理するための排水処理装置であって、少なくとも陰極を、多孔質材料から形成された立体的な多孔質電極とし、多孔質電極は、反応槽内を流通する排水の少なくとも一部が通過可能な連通細孔を有し、両極に電圧を印加したとき、該連通細孔内で電解フェントン反応を生じさせるようにしてなることを特徴とする排水処理装置。【選択図】図2

Description

本発明は、難分解性有機化合物を含む排水の処理に適した電気化学的な排水処理装置に関する。
鉱工業の排水には、芳香族化合物等の難分解性有機化合物が含まれており、生物処理や活性炭処理では分解除去できないという課題がある。なかでも、原油等の鉱物燃料に含まれる油分は生分解性が非常に劣ることが知られている。
特に、現在急速に世界各地で開発が進められているシェールオイルやシェールガスの掘削現場では、掘削した原油や天然ガスの量に対し3倍から10倍にものぼる大量の鉱物燃料に由来する油分が混じった排水(油濁水)が発生する。油濁水には固形分や油分(難分解性有機化合物)が含まれているため、生産現場では油濁水を浄化処理して廃棄する必要があるが、油濁水は塩分濃度が高いことから生物処理による処理は困難である。また、物理的手法によって浄化処理しても、油濁水に含まれる難分解性有機化合物を完全に除去できないという課題がある。このため、油濁水は油水分離を行った後、基準を満たしていれば海洋投棄や地下に埋蔵されるか、管理された溜池に保管されるなどされているものの、不慮の事態等による環境汚染の懸念が非常に高まっている。
近年、難分解性有機化合物を含む大量の水を効率良く、低コストで処理する手段として促進酸化法による水処理方法が開発されている。促進酸化処理は、処理装置内でOHラジカル(ヒドロキシラジカル:・OH)を生成させ、OHラジカルの強い酸化力によって、有機化合物を例えばCO、蟻酸、アルデヒド等の低分子まで分解するものである。
従来の促進酸化法としては、オゾン(O)、過酸化水素(H)、UV照射を組み合わせる方式が一般的であり、ダイオキシンの分解処理等に実用化されている。しかし、この方式は、オゾン発生器、排ガス処理装置、UV照射装置等の特殊な設備に要するコストが大きい。一方、特殊な設備を必要とせず初期投資が少ない簡便な方式として、以下の式で示すような二価鉄イオン(Fe2+)と過酸化水素からOHラジカルを生成する反応(フェントン反応)を利用するフェントン法が知られている。
Fe2+ + H → Fe3+ + OH + ・OH
更には、フェントン法で必要な二価鉄イオンと過酸化水素の両方又は一方を促進酸化処理と同じ装置内で生成供給するような電解フェントン法が知られており、このような電解フェントン法では、二価鉄イオン源の投入量を大幅に低減することができるほか、負荷量などによっては初期に投入すれば反応源としての二価鉄イオン等を外部から投入しなくても済ませることも可能である。また、本発明の酸素を電解還元して過酸化水素を供給する方式では、過酸化水素の供給コストの削減が期待できる。
例えば、特許文献1では、Fe3+を電気化学的に還元しつつフェントン処理を行う排水処理方法が提案されている。しかし、排水処理装置のフェントン反応槽に、陰極材料としてFeよりも貴な材料である銅、銅合金、陽極材料として白金、ダイヤモンドなどからなる電極を用いる必要があり、このような電極材料は高価なため、大型の電極の製造がコスト的に困難であることから、大量の汚染水を効率的に処理することは難しい。また、特許文献1のような平板状ないし棒状の電極を使った排水処理では、陰極表面へのFe3+の供給速度が小さく、処理速度を上げるために高い電圧をかけると、競合反応である水素生成反応が有利になってしまう。そのため、電極近傍で非常に強く撹拌しながらフェントン処理を行わないと、排水中の有機化合物の処理率が著しく低下する課題があった。
また、特許文献2では、過酸化水素の代わりに食塩を塩化物イオン源として添加することにより、フェントン反応と同様にOHラジカルを発生させ、排水中の有機化合物を分解する水処理方法が提案されている。しかし、添加された食塩はそのまま処理水中に残留するため、処理水を河川に排出するような場合には、さらに脱塩処理を行わなければならないという問題がある。
さらに、特許文献1、2で開示された水処理方法は、使用する電極が平板状ないし棒状であるため、排水との接触面積が小さく、フェントン反応による水処理と、Fe3+の還元処理を十分に行うためには撹拌などによる流れ制御が必要になる。処理できる排水の量・濃度は電極の比表面積によって変わるため、大量の排水処理を行う場合は装置が大規模かつ複雑になりやすく、排水の短時間かつ連続的な処理などにも課題を残すものであった。
特開2004−181329号公報 特開2010−036062号公報
本発明は、電解フェントン反応による有機化合物を含む排水の処理において、鉄イオンと過酸化水素の系外からの供給量をできるだけ少量とし、大量の排水中の有機化合物を効率よく、短時間かつ連続的に処理することを可能とする排水処理装置を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、電解フェントン反応による水処理で発生するFe3+が水酸化鉄となることで発生するスラッジを大幅に低減できる排水処理装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、連通した細孔を有する多孔質炭素材料を電解フェントン反応の電極として使用し、前記多孔質電極の連通する細孔(連通細孔)をマイクロ流路として排水を通液させることによって、少量の鉄イオンおよび過酸化水素の添加でも効率的かつ連続的に排水中の有機化合物を処理することを可能とする排水処理装置を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の排水処理装置は、有機化合物を含む排水を陰極および陽極が配置された反応槽に流通させて、電解フェントン反応によって排水を酸化処理するための排水処理装置であって、少なくとも陰極を、多孔質材料から形成された立体的な多孔質電極とし、多孔質電極は、反応槽内を流通する排水の少なくとも一部が通過可能な連通細孔を有し、両極に電圧を印加したとき、連通細孔内で電解フェントン反応を生じさせるようにしてなることを特徴とする。
本発明の排水処理装置は、陰極が多孔質炭素電極であるか、陰極および陽極の両極が3次元の多孔質炭素電極であるとよい。また、多孔質電極が、反応槽内の排水の流れ方向に直交するように、1または複数設置されている態様にしたり、反応槽が隔膜によって陽極室と陰極室に分離されている態様にすることができる。
さらに、本発明の水処理装置は、排水を電解フェントン反応によって処理した処理水に含まれるFe3+の少なくとも一部を回収し濃度調整した後、反応槽に返送し、Fe2+に電気的に還元して再利用するほか、陽極側においても多孔質電極を用いて排水の電気分解により酸素を生じさせることにより、排水中の溶存酸素量を増加させ、陰極側において過酸化水素生成量を増加させることを特徴とする。
本発明の排水処理装置は、電極として、連通細孔を有する多孔質電極を使用するため、この連通細孔をマイクロ流路として排水を流通することができ、両極に電圧を印加したとき、ここで電解フェントン反応を生じさせることができ、平板状や棒状など連通細孔を有しない電極を使用した場合に比べて、反応効率が非常に高いものとなる。連通細孔のマイクロ流路内において、排水中の溶存酸素から過酸化水素の生成、電解フェントン反応の結果生じたFe3+のFe2+への還元、OHラジカルによる有機化合物の酸化分解処理が現場(in-situ)で行われる。よって、溶存酸素から生成された過酸化水素やFe2+へ還元された鉄化合物を循環使用することが可能で、系外からの過酸化水素や鉄イオンの供給量をできるだけ少なく、または無くすことができ、酸化鉄のスラッジを低減又は発生させることなく、効率よく有機性排水を処理できる。多孔質電極は連通細孔からなる複雑なマイクロ流路を有しており、水の流れが適度に掻き乱されることから撹拌などの操作を必須としないため装置が簡便となる。電極の内部空間である連通細孔をフェントン反応の場とすることができ、電極と反応場を一体化することで連続した排水処理ができ、小型又は大型いずれの装置も提供可能である。さらに、多孔質炭素電極であれば、機械強度が高く又固有抵抗が小さく、比較的安価であるため、電極の大きさや数を増やすことで排水処理量を増やすこともでき、安価に且つ大量な水処理を可能とする。
本発明に係る排水処理装置が適用される排水処理方法の実施形態を示す工程図である。 本発明に係る排水処理装置の第1実施形態を示す概略図である。 本発明に係る排水処理装置の第2実施形態を示す概略図である。 本発明に係る排水処理装置の第3実施形態を示す概略図である。 本発明に係る排水処理装置の第4実施形態を示す概略図である。 本発明に係る排水処理装置の第5実施形態を示す概略図である。 従来の排水処理装置の例(比較例)を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態を、図を参照しながら、説明する。
まず、本発明の排水処理装置が適用される排水処理方法について、下記で具体例を挙げて詳細に説明する。
図1は、本発明の排水処理装置が適用される排水処理方法の実施形態を示す工程図である。先ず、有機化合物を含有する有機性排水は、電解フェントン反応のためのFe2+化合物および過酸化水素と、pH調整のための酸を添加されたのち、反応槽に移送される。このとき、有機化合物を含有する有機性排水、Fe2+化合物、過酸化水素、酸はそれぞれ反応槽に直接加えてもよく、あるいは有機性排水のラインに加えられ一緒に反応槽に入れてもよい。また、後述するように反応槽は、複数を多段に設けてもよい。
次に、反応槽に移送された排水は、反応槽内に設置された多孔質電極を貫流する際、電解フェントン反応により酸化分解される。その後、反応槽で電解フェントン処理された排水は鉄イオンを規制値以下となるように分離・除去したのち、処理水として最終的に環境中に排出されるが、分離・除去された鉄イオンの少なくともその一部は再度有機性排水と混合され、電解フェントン反応の鉄イオン供給源として再利用される。
本発明の排水処理装置が適用される排水処理方法において、反応槽の陰極および陽極で起こる主要な反応は、以下のように推定される。
<陰極側で起こる反応>
Fe3++e → Fe2+
+2H+2e → H
+4H+4e → 2H
+Fe2+ → ・OH+OH+Fe3+
<陽極側で起こる反応>
→ O+2H+2e
2HO → O+4H+4e
上記反応式から明らかなように、電解フェントン反応では、・OH(OHラジカル)を生じさせるために過酸化水素と2価鉄イオンが必要であるが、過酸化水素は溶存酸素(O)から、2価鉄イオンは3価鉄イオンから、いずれも陰極側の反応で排水中より生成させることができる。
一方、陽極側では、水の電気分解により酸素を生じさせて、排水中の溶存O量を増やし、陰極側で生成する過酸化水素を増加させることができる。このため、負荷量によっては過酸化水素の供給を最初から省略することも可能であるが、水処理を確実に行うためにも少量の過酸化水素を外部から供給することが望ましい。
なお、上記反応式に示すように、陽極側では過酸化水素(H)の分解反応も起きるため、過酸化水素の供給は、陰極より上流側で行うことが過酸化水素の使用量抑制の面から好ましい。
鉄イオンは、pHにもよるが、最終的には3価鉄イオン(Fe3+)又は水酸化鉄となって処理水と共に反応槽から排出される。よって、処理水のpHを上げれば、鉄分は3価の水酸化鉄の沈殿となって、分離することができる。このようにして分離された水酸化鉄を酸性溶液に溶解させれば、3価鉄イオンとすることができる。この3価鉄イオンを循環して使用すれば、新たな鉄イオンの供給を省略することも可能であるが、本発明では少量の鉄イオンを外部から供給することが望ましい。
なお、この鉄イオンは、3価鉄イオン(Fe3+)でも2価鉄イオン(Fe2+)であってもよく、添加に際しても反応槽の陰極より上流側であれば特に制限はなく、排水槽へ、又は排水槽への流入側配管から加えてもよい。
上記反応式に示すように、OHラジカルを生成するフェントン反応は、主に陰極側で生じる。後述する図2に示すような構造であれば、排水は陽極側から陰極側へと一方向に連続的に流れていくため、陽極で生成した酸素を効率よく陰極で過酸化水素にすることができ、処理効率が向上できるので好ましい。なお、陽極に使用される電極は公知の電極であってもよいが、陰極だけでなく陽極についても多孔質電極にすることにより、溶存酸素量のより一層の増加による処理効率のさらなる向上が期待できる。
多孔質電極からなる陰極を反応槽の断面形状に合わせた立体形状とし、これを反応槽の流路を塞ぐように設置すれば、反応槽を流れる排水の殆どは、多孔質電極の連通細孔がマイクロ流路となり、この流路内を通過することになる。そして、陰極側では上記反応式に示したフェントン反応などの各種反応と、この反応で生じたOHラジカルによって、排水中に含まれる有機化合物の酸化反応が生じるが、多孔質電極は複雑な形状のマイクロ流路を有していることから、陰極表面へのFe3+の供給速度が大きくなるため、電極表面又は細孔表面付近での還元反応が優勢となり、マイクロ流路内での反応が効率的に生じることになる。その結果として、本発明の水処理装置は連通細孔を有しない電極を使用した場合に比べ、反応効率が非常に高いものとなる。
なお、陽極についても、陰極と同様な多孔質電極とし、反応槽の流路を塞ぐように設置すれば、水の電気分解による排水中の溶存酸素の増加について同様な効果が期待できる。
本発明の排水処理装置は、電解促進酸化法の一種である電解フェントン反応を利用した排水処理方法に適用される。電解フェントン反応による排水処理は、Fe2+と過酸化水素からOHラジカルを生成し、有機化合物を酸化分解する方法である。本発明に用いられる鉄化合物の量は、水中有機物の種類、濃度、処理水のpH、反応時間などによって異なるが、加えるFe2+化合物の量は、1〜200mg/lであることがよく、好ましくは5〜100mg/lであることがよい。鉄の濃度は高い方が電解フェントン処理は進行しやすくなるが、鉄は濃度が高いと沈殿しやすく、pHによっては多孔質電極の連通細孔を詰まらせる恐れがあるため、この濃度が好ましい。なお、2価鉄イオンの供給源となるFe2+化合物は、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硝酸第一鉄などが挙げられるが、活性度、価格などを考慮すると硫酸第一鉄が最も好ましく選ばれる。
本発明の排水処理装置が適用される排水処理方法において、電解フェントン反応に必要な2価鉄イオン(Fe2+)は、外部から添加してフェントン反応に用いられるが、本発明の排水処理方法では、電解フェントン反応によって酸化したFe3+は反応槽内に設置した多孔質電極の連通細孔からなるマイクロ流路内で電気化学的な還元が行われ、繰り返しフェントン反応に使用されるので、外部からの添加量を低減することができる。
本発明の排水処理装置が適用される排水処理方法に必要な過酸化水素は、陰極において排水中の溶存酸素からも生成させることができるが、このとき排水中の溶存酸素量が10mg/l以上であることが好ましい。排水中の溶存酸素量は、排水を撹拌や曝気することにより増やすことができるが、陽極における水の電気分解により酸素を生じさせると良い。本発明の排水処理方法における電解フェントン反応に必要な過酸化水素は、排水の負荷量に応じて外部より供給されるが、水中の溶存酸素から電解生成することによって陰極での過酸化水素の発生量が増加し、外部からの供給量を低減することができるので好ましい。
なお、排水処理の負荷量に応じて過酸化水素を外部より添加する場合、排水中の有機物濃度に応じて、Fe2+濃度の1〜20モル倍、好ましくは5〜10モル倍の濃度の過酸化水素を加えることが好ましい。
本発明の排水処理装置が適用される排水処理方法においては、反応槽ではフェントン法による有機物の分解と電気化学的方法によるFe3+のFe2+への還元とを同時に行わせる。従って、被処理水は上記二つの反応が適切に進行する状態に維持することが必要であり、具体的には、常温でpH を1.5〜5.0、好ましくは2.0〜4.0にすることが好ましい。pH調整には、塩酸、硫酸など任意の酸が加えられる。上記のpH条件は水酸化鉄による汚泥が発生した場合に、再度汚泥中の鉄化合物を溶解させるにも都合のよい条件である。
このようにして、有機性排水中の有機物がフェントン反応により酸化分解され、同時にフェントン反応により生成したFe3+が反応槽内で再度Fe2+へ還元されてフェントン反応に再利用されるので、外部から添加するFe2+の量を少なくしても目的が達せられる。一方、電気化学的に還元する能力が充分大きければ、反応槽にはFe2+化合物に代えてFe3+化合物を加えてもよい。
本発明の排水処理装置が適用される排水処理方法は、電気化学的な反応を用いて排水に含まれる有機化合物を酸化分解する方法である。このため、排水中に電解質となる化合物を添加することで導電率を上げ、処理効率を向上させる必要がある。電解質となる化合物は、硫酸ナトリウムや塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸カリウム、または2種以上の化合物を組み合わせる等の水に可溶性のイオン性の化合物であれば特に限定はされないが、食塩の生成等の問題から硫酸ナトリウムが好ましい。なお、電解質の添加量は炭素電極に通電できる濃度であればよく、排水の負荷量に応じて濃度は調整されるが、0.01〜3%が好ましい。
本発明の排水処理装置の第1実施形態を、図2に示す。なお、図2は、あくまでも実施形態の一例を示しており、配管やポンプの配置など、これらに限定されるものではない(以下の図においても同じ)。
図2に示す排水処理装置の第1実施形態において、電解フェントン反応槽1は、その排水供給側に白金電極からなる陽極2が、また排水出口側に立体的な多孔質電極からなる陰極3が、それぞれ、反応槽1内の水の流れに対して直交するように設けられている。そして、陰極3には集電体4が密着されており、導線5によって両極2、3は直流電源6に接続されている。また、排水の流れを均一にするために、反応槽1に必要に応じて底板やプラスチック充填物(例えばテラレット)を設置してもよい。
有機化合物を含む排水11は、排水槽8で電解質が混合されたのち、電解フェントン反応槽1に供給される。このとき、排水のpHに応じてさらにpH調整が行われることが好ましく、電解フェントン反応槽内での水酸化鉄化合物生成による閉塞の予防のため、pHを酸性側に調整することがより好ましい。
電解フェントン反応槽1の排水供給側は、送水ポンプ9を介して配管7によって排水槽8に接続されており、排出側は配管7によって処理水槽10に接続されている。送水ポンプ9を稼働すると排水槽8内の排水11は電解フェントン反応槽1に供給される。
電解フェントン反応槽1で、有機化合物を含む排水は、過酸化水素および2価鉄イオンが必要量添加されるとともに、通電された白金電極(陽極)2と接触することにより、水の電気分解による排水中の溶存酸素量を増やし、次いで陰極3を貫流させることによって、電解フェントン反応により排水中に含まれる有機化合物を分解する。このとき、多孔質材料からなる陰極3の連通細孔がマイクロ流路となり、マイクロ流路を排水が流れていく際に電解フェントン反応により生じたOHラジカルによって排水中の有機化合物の酸化分解反応が起こる。
その後、電解フェントン処理後の排水は、処理水12として反応槽1の排出側の配管7から処理水槽10に移送されるが、処理水12には鉄イオン又は過酸化水素を含むため、配管7を通じて一部を排水槽11へ返送してもよい。
処理水12は、最終的に環境中へと排出されるため、環境への排出時は法規制等による基準値を下回るように処理水のpH調整および鉄イオンの除去が行われる。鉄イオンの除去は、例えばキレート樹脂等による鉄イオンの捕集分離や水酸化物として析出させる沈降分離法などの方法が挙げられるが、キレート樹脂等による鉄イオンの捕集分離が汚泥の発生がなく好ましい。また、回収された鉄イオンの一部は再び排水槽8に返送されて、陰極3にて電気的に還元されて2価鉄イオン供給源として使用される。なお、鉄イオンを再び供給する際は、再度溶解し、濃度調整を行ったのち供給されることが好ましい。
なお、後段で微生物処理などをさらに行う場合は、処理水中の化学的酸素要求量(COD)値を一定水準以下にするように前段の電解フェントン処理条件を設定する。
本発明の排水処理装置を使用する排水処理は、電解フェントン反応槽1内に設置された連通細孔を有する多孔質電極によって、多孔質電極のマイクロ流路内で電解フェントン反応が起こり、その結果生じたOHラジカルで排水中の有機化合物の酸化分解を行うと同時に、排水中の溶存酸素からも過酸化水素を生じさせ、さらに電解フェントン反応で消費されたFe2+をFe3+から電気化学的に還元することで、排水の効率的かつ連続的な処理を可能としている。
このため、電解フェントン反応槽1は、槽内に供給された排水の全量が槽内に設置された多孔質電極を貫流するような構造となっていることが好ましく、反応槽内の排水の流れ方向に直交するように多孔質電極が設けられていることがより好ましい。
なお、反応槽1には、多孔質電極が陰極として少なくとも一つ設けられていればよいが、多孔質電極を複数段に直列となるように設置しても良い。多孔質電極を複数段設ける場合は、陽極2と陰極3を交互に設置することが好ましい。また、多孔質電極を複数段設けた場合は、排水供給側の電極に圧損がかかるため、圧損を制御するためにポンプを用いてもよい。
また、排水中の含まれる浮遊物や鉄イオン等の析出物による多孔質電極の閉塞を防ぐため、陽極2または陰極3の手前に閉塞の原因となる析出物を取り除くフィルターを取り付けられていることが好ましい。
反応槽の構成とその機能は、陽極2については主に水の電気分解により酸素を生成するためのものであり、陰極3については主にフェントン反応による難分解性有機化合物の分解を連続的に行うための過酸化水素の生成と3価の鉄イオンの還元とを行うためのものである。このため、陽極2は陰極3よりも上流側に配置される。
有機化合物を含む排水11は、陰極である多孔質電極の連通細孔を流れる際に、フェントン反応により生じたOHラジカルによって、有機化合物が酸化分解される。多孔質電極の連通細孔は微細で複雑なマイクロ流路であるため、撹拌操作が不要であり、排水と電極の接触面積が大きく、平板状ないし棒状の電極を用いた反応槽よりも処理効率が高い。
さらに、多孔質電極に電圧を印加すると、電解フェントン反応による排水中の有機化合物の酸化分解と同時に、多孔質電極のマイクロ流路内で水中の溶存酸素からも過酸化水素が生成されるほか、フェントン反応で生じたFe3+のFe2+への還元も行われる。このため、排水11は多孔質電極からなる陰極3を貫流する間、電極内部で連続的に電解フェントン反応を起こすことが可能であり、鉄イオンおよび過酸化水素を効率的に使用して排水を連続的に電解フェントン反応により処理を行うことが可能である。
反応槽に設置される電極は、少なくとも電解フェントン反応を生じる陰極が多孔質材料で形成された立体的な多孔質電極であることが必要であるが、陰極だけでなく陽極も多孔質電極であることが好ましい。ただし、陽極については、多孔質ではない公知の電極を使用することもできる。
多孔質電極は、連通細孔を有するものであれば特に制限されるものではないが、大量の鉱工業排水を処理するために、通水性が良好で、化学的に安定な物質であり、固有抵抗が低く、高い水圧にも耐えられるような機械物性を有し、さらに材料コストが安価な電極が好ましい。
なお、立体的な多孔質電極は、電極のアスペクト比(厚み/排水の貫流面の直径または対角線長さ)が少なくとも0.05〜10であり、好ましくは0.0.075〜5.0、より好ましくは0.1〜1.0となっているものである。厚みが小さいと多孔質電極の連通細孔による効率的な電解フェントン反応を十分に発揮できない。なお、立体的には1mm以下の板状や棒状は除外されるが、方形だけでなく、円柱など、各種の三次元形状を含む。
電極2,3間距離は、特に限定されないが、平板状の通常電極とは異なり、多孔質電極の連通細孔内での電解フェントン反応による処理であることから、放電しない限り、かなり近接していても差支えない。他方、陽極を上流側、陰極を下流側に配置し、その電極間に過酸化水素を供給する場合には、ある程度間隔が必要であることから、電極間にスペーサを備えてもよい。
このような多孔質電極としては、多孔質炭素材料が適する。多孔質炭素材料には、例えばコークス粒子の焼結体や炭素繊維不織布の積層体など公知の各種材料が存在するが、易黒鉛化炭素をバインダーピッチと混練し、押し出し成形後に炭素化および黒鉛化を行った多孔質炭素材料が好ましく、平均細孔径(メジアン径)が2〜90μm、通気率がSI単位では0.0055〜0.1000cm/sec・Pa(慣用単位では0.55〜10cc・cm/cm・sec・cmHO)、曲げ強度が10〜100MPaである多孔質炭素材料がより好ましい。通気率がこの範囲より低いと、被処理水の通液性が悪くなるため、水処理に時間がかかってしまい適さない一方、通気率がこの範囲より高いと、被処理水が処理しきれないまま電極から流出してしまうため適さない。曲げ強さがこの範囲より低いと、高い寸法精度で形状加工を行うことができなかったり、水圧や外部からの振動や衝撃により破損してしまうことがある一方、曲げ強さがこの範囲より高いと、靱性が低下して脆くなり精密加工ができなくなる問題がある。
本発明に使用される多孔質炭素電極の気孔径(メジアン径)は、2〜90μmであるが、好ましくは3〜50μmであり、より好ましくは3〜25μmである。気孔径が2μm未満だと、被処理水の電極貫流時の圧力損失が高くなるため、通液性が低下し、電極にかかる負荷の増大と処理水量の低下をまねくほか、目詰まりが起こりやすくなる等の問題が発生する。また、気孔径が90μmを超えると、被処理水と電極の接触面積が低下するため、処理が不十分のまま電極より流出してしまうほか、電極の機械強度低下の懸念がある。
本発明に使用される多孔質炭素電極は、電極の連通孔をマイクロ流路として被処理水を通水させて水処理を行うので、連通した気孔の数は多いことが望ましく、また、処理水と電極の接触面積が大きいことが処理効率の面で望ましい。このため、電極の比表面積は1.0m/g以上であることが良く、好ましくは4.0m/g以上である。また、気孔率は10〜40%が適しており、15〜30%が好ましい。気孔率が40%以上となると電極の機械強度が低下するほか、10%以下であると通液性が低下するため、処理効率が低下する。
本発明に使用される多孔質炭素電極は、かさ密度が1.10〜2.0g/cmであることが好ましく、1.25〜1.90g/cmのものがより好ましく、最も好ましくは、1.30〜1.80g/cmの範囲にあるものである。かさ密度が低いと、機械強度が著しく低下し、かさ密度が高すぎると通気率が低下して通水型水処理に使われる多孔質炭素電極として適さない。
本発明に使用される多孔質炭素電極は、10〜100MPaの曲げ強さを持つことが好ましい。曲げ強さが10MPa未満であると、高い寸法精度で形状加工を行うことができなかったり、水圧や外部からの振動や衝撃により破損してしまうことがある。他方、曲げ強さが100MPaを超えると、靱性が低下して脆くなり、精密加工ができなくなる問題がある。
上記の特性を有する本発明に使用される多孔質炭素電極は、公知の方法で製造することができる。例えば、ピッチコークスや石油コークス等の微粉状の原料コークス粒子に、タールやピッチ等のバインダーピッチを配合して炭素質材料とし、これを混練機に投入し、バインダーピッチの溶融温度以上で混練し、所定の形状の押出口を有するダイから押し出し成形を行った後、焼成、黒鉛化処理することで製造することができる。また、上記押し出し成形に変えて、コークス粉末とバインダーピッチの混練物を冷却して2次粉砕した粒子を所望の形状の成形型に入れて上部から加圧成形する形込め成形であっても良く、更には、2次粉砕した粒子を水中でのラバープレスで圧縮成型後、焼成し、黒鉛化処理する冷間静水圧プレス(CIP)成形で製造することもできる。
本発明に使用される多孔質炭素電極の製造には、真密度が1.8g/cm以上の易黒鉛化性炭素を原料コークス粒子として使用する。原料コークス粒子は好ましくは真密度1.95g/cm以上の易黒鉛化炭素粒子が良い。易黒鉛化性炭素の真密度が1.8g/cm未満であると電気抵抗が高くなり、水処理効率が低下する。
本発明に使用される多孔質炭素電極の製造に用いられるバインダーには、タールやピッチが挙げられる。ピッチは石油系重質油から得られる石油ピッチ、石炭系重質油から得られる石炭ピッチのいずれを使用することができるが、原料コークス粒子として使用する易黒鉛化炭素粒子と同系の原料から得られたバインダーピッチを使用することが混練時の馴染みが良く好ましい。
易黒鉛化性炭素粒子とバインダーピッチの配合割合は、混練条件や成形方法によって配合量が調整されるが、易黒鉛化性炭素粒子100重量部に対し、バインダーピッチ10〜80重量部の範囲とする。例えば、押出し成形によって多孔質炭素電極を製造する場合は、易黒鉛化性炭素粒子が100重量部に対し、バインダーピッチが10部〜80部、好ましくは20部〜50部にする。バインダーピッチが10重量部未満以下であると、機械強度が低下するため電極が脆くなる。またバインダーピッチが80重量部を超えると電気特性が低下する。配合割合は上記の範囲で、適宜調整される。
易黒鉛化性炭素粒子とバインダーピッチとの混練物は、所望の形状に成形し、非酸化性雰囲気下800℃以上の温度で熱処理(焼成)することにより多孔質炭素成形体とし、この多孔質炭素成形体をさらに非酸化性雰囲気中1500℃以上の温度、好ましくは2000〜3000℃の温度で黒鉛化することにより、本発明の水処理用多孔質炭素電極が製造される。このとき、多孔質炭素電極の表面活性を高めて所定の黒鉛化度、結晶性状とするためには、黒鉛化は2000〜2800℃の温度で行うことがより好ましい。なお、黒鉛化を行う際の雰囲気は窒素やアルゴンガス等による不活性雰囲気下又は真空下であることが好ましい。
本発明に使用される多孔質炭素電極の気孔径(メジアン径)と通気率は、使用する易黒鉛化性炭素粒子の粒径やバインダーピッチ又は含浸ピッチの使用量や焼成温度等によって制御できる。例えば、易黒鉛化性炭素粒子の粒径を大きくすることにより、これらの数字は大きくなる。また、焼成を複数回行い、この際に含浸ピッチを含浸させれば、これらの数字は小さくなるが、通気率が低下する。焼成温度を高くし、時間を長くすると、固有抵抗を低下させる。その他の特性の制御も公知の手法により可能であるので、所望の特性となるように上記のような条件を変化させる。具体的に、易黒鉛化性炭素粒子(コークス粒子)の粒径について言えば、その全ての粒子の粒径が、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下であり、そのうち0.1mm以下の細粒が、好ましくは10%(重量基準)以上、より好ましくは20%以上存在するとよい。また、中間的な粒径をもつ粒子、例えば0.5〜1.0mm程度のものを除外することによって、気孔径や通気率と機械強度(曲げ強さ)のバランスを良好にすることも好ましい。所定の粒径に調整された易黒鉛化性炭素粒子(コークス粒子)をバインダーピッチと混練した後、その混練物や押出成形品を粉砕し、再度粒度調整してもよい。
本発明に使用される多孔質炭素電極は、その酸素含有量が0.1重量%〜10重量%であることが好ましい。0.1重量%未満だと表面が撥水するため、通液性が悪化し、10重量%を超えると電気特性が低下するためである。また、多孔質炭素電極の純水による接触角は、110°以下であることが望ましく、更に好ましくは、100°以下が好ましい。接触角が110°を超えると、表面の濡れ性が低下するため撥水性が増し、通液性が悪化する。また、有機物との馴染みが良くなり、有機物が堆積して目詰まりの原因になる本発明の多孔質炭素電極を用いた水処理は、処理水が電極内部を通水しながら促進酸化反応により処理が行われることから、電極が処理水に良く濡れる必要がある。このため、水に対する濡れ性の一層の向上を目的に電極の表面処理を行ってもよい。
親水化処理による表面改質は、多孔質炭素電極の気孔径や機械特性に影響を及ぼさない程度であれば、硝酸および硫酸などの酸化力の強い薬剤やフッ素ガス等の反応性ガスによる処理、高温空気酸化等、特に手法は限定されないが、反応が温和で制御が可能な過酸化水素や次亜塩素酸等による親水化処理が好ましい。
本発明の排水処理装置に使用される多孔質電極は、その固有抵抗値が0.1〜20μΩmであり、0.1〜15μΩmであることが好ましい。固有抵抗値が20μΩmより大きいと電極を大型化した時に集電体から離れた箇所まで電流が流れず、処理能力が低下してしまうおそれがある。
こうした多孔質電極は、固有抵抗が低く、電極内部までの通電効率がよい電極である。大型化しても集電体から電極内部においての電流損失が少ないため、取り込んだ水を現場(in-situ)で連続処理することができる。また、この材料は機械強度が高いため、材料の脱落などなく、水の圧力損失や逆洗に耐えうる材料である。電極としての特性があるだけではなく、排水処理装置の大型化といった設計上の自由度が持てる。
本発明の排水処理装置は、有機化合物を含む排水を反応槽に連続的に通液させながら処理できる装置であるため、図2のように一組の電極で行ってもよく、また後述する図5・6のように複数の電極を陽極・陰極交互に設けてもよい。
本発明の排水処理装置の第2実施形態を、図3に示す。なお、図示していない構成要素は、図2と同様であり省略する(図4以下においても同じ)。図3に示す第2実施形態は、陰極3および陽極2のいずれも多孔質材料から形成された立体的な多孔質電極であり、これらを直列に配置した例である。
すなわち、反応槽1は、その排水供給側に立体的な多孔質電極である陽極2が、また排水出口側に立体的な多孔質電極である陰極3が、それぞれ、反応槽内の水の流れに対して直交するように設けられている。そのため、陽極2側において水の電気分解により酸素を生じさせることにより、排水中の溶存酸素量を増加させ、陰極3側において過酸化水素生成量を増加させることができることから、過酸化水素の供給量を低減したり、負荷量によってはその供給を省略することも可能である。
本発明の排水処理装置の第3実施形態を、図4に示す。図4に示す排水処理装置の第2実施形態において、反応槽1は、陽極2が設置された陽極室2'(酸化槽)と、陰極3が設置された陰極室3'、3'(電解フェントン・還元槽)とを、イオン透過能を有する隔膜13を通して分離して構成されている。電解質が混合された排水11が各陰極室3'、3'に供給され、隔膜13を通じて陽極室2'にも排水11が供給される。なお、陽極室2'には、排水11とは異なる電解液を供給することもでき、その電解液は流通型ではなくバッチ型でもよい。この第2実施形態は、装置全体をコンパクトにすることが可能である。また、陰極室3'と陽極室2'とは、イオン透過能を有する隔膜13ではなく、塩橋13によって完全に分離しても良く、陽極2としては多孔質ではなく平板や棒状の電極を使用することもできる。
本発明の排水処理装置の第4実施形態を、図5に示す。図5に示す排水処理装置の第3実施形態は、反応槽1において、陽極2,2,2および陰極3,3,3を多段に配置し、これらの電極2,3が連通細孔を有する多孔質電極となっている。排水11は、これら多段の多孔質電極の連通細孔にて電解フェントン処理される。図5に示す排水処理装置の反応槽1は、槽構成が簡便であるため、電極のメンテナンスや交換が容易である。
本発明の排水処理装置の第5実施形態を、図6に示す。図6に示す排水処理装置の第4実施形態は、複数の反応槽1、1を多段に設置し、これらの各反応槽1,1に、それぞれ、連通細孔を有する多孔質電極である陽極2,2および陰極3,3を配置したものである。電極を多段に設置した排水処理装置を用い、排水の流速を速めて処理を行う場合には、供給側の電極に圧力がかかりやすくなるため、電極が破損する恐れがある。そのため、必要に応じて図6のように各反応槽1,1にそれぞれポンプ9、9を設けることができる。排水11は、これら多段の多孔質電極の連通細孔にて電解フェントン処理できるため、圧力損失を制御して処理能力を高めることができる。
以下、実施例に基づいて本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではない。
実施例1
陽極2および陰極3として棒状の集電体が組み込まれた一対の21mmΦ×17mmの多孔質炭素電極Aを使用し、両端を隙間なく封止したことにより、排水のほぼ全量が多孔質炭素電極Aの連通細孔を通過する樹脂製反応槽1とし、配管7にペルスタルティックポンプ9を備えて、図3に示す実験用の連続型排水処理装置を作製した。
ここで、多孔質炭素電極Aとしては、真密度1.82g/cmのピッチコークスを粉砕し、1.000〜2.380mm:40%、0.074〜0.297mm:35%、0.074mm以下:25%の粒度配合になるように調整したピッチコークス粒子100重量部に、石炭系重質油から得られたバインダーピッチ(軟化点97℃)40重量部を添加し、200℃で20分間加熱混練した。この混練物を20mmφ×100mmの大きさに押出し成型した。成型後1000℃で焼成を行い、その後2800℃で黒鉛化することにより得られた多孔質炭素材料を使用した。表1に、多孔質炭素電極Aの特性を示す。
Figure 2017060942
表1において、通気率の括弧内の数値は、SI単位に換算する前の慣用単位[cc・cm/cm・sec・cmHO]での値を示す。
なお、各物性の測定方法は、以下のとおりである。
[気孔径(メジアン径)の測定]
水銀圧入法により測定した。測定装置は(株)島津製作所製 micromeritics Auto PoreIIIを用い、水銀の圧力を1.9〜14400psiとなる条件で測定した。
[かさ密度、曲げ強さ、固有抵抗の測定]
材料の各物性について、JIS R7222「黒鉛素材の物理特性測定方法」に従い、測定した。
[通気率の測定]
円柱形(底面積A(cm),高さL(cm))の試料に対して、軸心方向に圧力P(cmHO)の窒素を常温で供給し、このときの流量Q(cm/sec)を測定することによって下式から通気率を算出し、SI単位系に換算した。
慣用単位での通気率(cc・cm/cm・sec・cmHO)
=Q(cc/sec)×L(cm)/[A(cm)×P(cmHO)]
SI単位での通気率(cm/sec・Pa)
=Q(cm/sec)×L(cm)/[A(cm)×98.0665P(Pa)]
上記排水処理装置による電解フェントン処理を行う模擬排水として、難分解性の有機化合物としてジメチルスルホキシド(DMSO)を含む水溶液を調製し、反応槽の下部(陽極側)に接続された配管からポンプを用いて陽極から陰極に模擬排水が流れるように供給し、集電体を通じて多孔質炭素電極Aに両極間電位が1.0Vとなるように電圧を印加することによって、表2の処理条件で模擬排水の電解フェントン処理を実施した。なお、模擬排水のジメチルスルホキシド(DMSO)の濃度は100mg/Lとし、あらかじめ三価の鉄イオン(Fe(SO)と過酸化水素(H)、電解質を添加し、液性をpH3に調整したものを用いた。模擬排水の詳細と装置の稼働条件を表2に、また本装置による排水処理の結果を表3に示す。
Figure 2017060942
比較例1
図7に示す容積500mlのバッチ型の排水処理装置において、陽極として白金電極、陰極としてフッ素樹脂バインダで固めて25×25×厚さ0.1mmの平板状に加工した非透水性のピッチコークス電極を対向するように設置した。ここで、陰極に用いたピッチコークスは、非酸化性雰囲気下1300℃で焼成し、10μm以下に粉砕したピッチコークス粉を使用した。
実施例1と同様のDMSO排水250mlを入れ、撹拌機で撹拌しながら、その他の条件(電解質、pH、Fe濃度、H濃度、電極間電位)は、表2に示す実施例1と同一の処理条件でDMSO排水の電解フェントン処理を実施した。その結果も、同様に表3に示す。
なお、評価は、通電時の電流値を測定したほか、試験後における模擬排水中のH分解量をヨウ化カリウムを用いた比色法によって測定し、Fe2+濃度をバソフェナントロリン法による吸光光度測定法を用いて測定し、DMSO分解量は、HPLC(高速液体クロマトグラフ)によって測定し、処理効率を「DMSO分解量/電気量」より求めた。
Figure 2017060942
表3から明らかなとおり、実施例の排水処理装置は、比較例に比べて、多孔質電極の連通細孔に排水を通液させることで、撹拌を必要とせずに大量の排水を効率よく電解フェントン処理できる。また、排水の処理効率が高いだけでなく、大型化にも対応できるため、工業用の排水処理として最適な排水処理装置である。
1 反応槽
2 陽極
3 陰極
4 集電体
5 導線
6 電源
7 配管
8 排水槽
9 送水ポンプ
10 処理水槽
11 排水
12 処理水
13 隔膜
14 攪拌機

Claims (6)

  1. 有機化合物を含む排水を陰極および陽極が配置された反応槽に流通させて、電解フェントン反応によって排水を酸化処理するための排水処理装置であって、少なくとも陰極を、多孔質材料から形成された立体的な多孔質電極とし、多孔質電極は、反応槽内を流通する排水が通過可能な連通細孔を有し、両極に電圧を印加したとき、該連通細孔内で電解フェントン反応を生じさせるようにしてなることを特徴とする排水処理装置。
  2. 陰極が多孔質炭素電極であるか、または陰極および陽極の両極が多孔質炭素電極であることを特徴とする請求項1に記載の排水処理装置。
  3. 多孔質電極が、反応槽内の排水の流れ方向に直交するように、1または複数設置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の排水処理装置。
  4. 多孔質電極が設けられた反応槽が、隔膜によって陽極室と陰極室に分離されていることを特徴とする請求項1または2に記載の排水処理装置。
  5. 排水を電解フェントン反応によって処理した処理水に含まれるFe3+の少なくとも一部を回収し濃度調整した後、反応槽に返送し、Fe2+に電気的に還元して再利用することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の排水処理装置。
  6. 陽極側において水の電気分解により酸素を生じさせることにより、排水中の溶存酸素量を増加させ、陰極側において過酸化水素生成量を増加させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の排水処理装置。
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