JP2017060350A - 架線検査装置 - Google Patents

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Hiroyasu Baba
裕康 馬場
川崎 宏治
Koji Kawasaki
宏治 川崎
武典 松江
Takenori Matsue
武典 松江
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Abstract

【課題】重量の増加などを招かず、架線から離れることなく広範囲の架線の検査が容易な架線検査装置を提供する。【解決手段】スラスタ15およびスラスタ16が設けられた回転軸部13の回転角度、ならびにスラスタ17およびスラスタ18が設けられた回転軸部14の回転角度を制御することにより、スラスタ15〜スラスタ18が発生する推進力の方向は変更される。保持部12が架線23に保持された状態でスラスタ15〜スラスタ18の推進力を調整することにより、架線23は中心軸Cを中心に回転する架線検査装置10によって検査される。観測部27のカメラなどを用いて架線23を検査する場合、中心軸Cを中心に回転する一つの観測部27によって全方位の架線23を観測することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、架線を検査する架線検査装置に関する。
電力線などの架線は、破断などを予め防止するために定期的な検査が行なわれる。この架線の検査は、例えば特許文献1に示すように、自立して飛行可能な架線検査装置を用いることが提案されている。特許文献1の場合、架線検査装置は、飛行して支柱の間に張られている架線に、この架線を跨ぐように載せられる。そして、架線検査装置は、監視カメラを利用して架線の検査を行なっている。
しかしながら、特許文献1の場合、監視カメラは、例えば架線検査装置の前方などその一方にのみ設けられている。そのため、架線検査装置の後方、あるいは隣り合う他の架線を検査する場合、架線から一旦離れて姿勢を変更する必要がある。その結果、検査に必要な手順が複雑化し、検査時間も長くなるという問題がある。また、特許文献1の場合、1回の搭載で多方面の検査を行なうためには、架線検査装置の各所に複数台の監視カメラを設ける必要がある。そのため、構造の複雑化にともなう重量の増加を招くという問題がある。
特表2006−529077号公報
そこで、本発明の目的は、重量の増加などを招かず、架線から離れることなく広範囲の架線の検査が容易な架線検査装置を提供することにある。
請求項1記載の発明では、推進力を発生するスラスタは、回転軸部に設けられている。この回転軸部は、回転する保持部の中心軸に対して垂直な対称軸と平行である。そして、スラスタは、この回転軸部において、中心軸を挟んで両側にそれぞれ設けられている。回転軸部を回転することにより、スラスタが発生する推進力の方向が変更される。これにより、架線検査装置は、陸上や機器上に載置された状態から離陸し、自立的に架線へ向けて飛行する。また、スラスタは、回転軸部において、中心軸を挟んで両側にそれぞれ設けられている。そのため、各スラスタの推進力を調整することにより、中心軸を回転の中心とする回転方向の推進力が発生する。保持部は中心軸を中心に回転可能である。そのため、保持部が架線に保持されているとき、この発生した推進力によって架線検査装置は中心軸を中心に回転する。これにより、保持部が架線に保持された状態でスラスタの推進力を調整することにより、中心軸を中心に回転しながら架線が検査される。その結果、例えば撮像手段を用いて架線を検査する場合、中心軸を中心に回転する一つの撮像手段によって全方位の架線を撮影することができる。したがって、重量の増加などを招かず、架線から離れることなく広範囲の架線の検査を容易に実行することができる。
第1実施形態による架線検査装置を示す模式図 第1実施形態による架線検査装置の離陸から架線への吊り下げまでの飛行姿勢を示す模式図 第1実施形態による架線検査装置が中心軸を中心に時計回りに回転する状態を示す模式図 第1実施形態による架線検査装置が中心軸を中心に反時計回りに回転する状態を示す模式図 第1実施形態による架線検査装置が中心軸を中心に微小に時計回りに回転する状態を示す模式図 第2実施形態による架線検査装置を示す模式図 第3実施形態による架線検査装置の解除機構部を示す模式図 第3実施形態による架線検査装置の解除機構部を示す模式図 第4実施形態による架線検査装置を示す模式図
以下、架線検査装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
図1に示すように第1実施形態による架線検査装置10は、フレーム11、保持部12、回転軸部13、回転軸部14、スラスタ15、スラスタ16、スラスタ17、スラスタ18、および制御ユニット20を備えている。第1実施形態の場合、フレーム11は、平面視が矩形の枠状に形成されている。フレーム11の形状は、一例であり、用途や機能などに応じて任意に設定することができる。
保持部12は、支持部21および滑車22を有している。支持部21は、フレーム11から外側へ延びており、折り返された内側に滑車22を支持している。この滑車22は、検査の対象となる架線23に接する。保持部12に滑車22を設けることにより、架線検査装置10は架線23に沿って滑らかに移動する。この保持部12は、フレーム11との間に可動部24を有している。この可動部24によって、保持部12とフレーム11とは相対的に回転可能である。すなわち、架線検査装置10は、保持部12が架線23に引っ掛けられた状態で可動部24を支点としてフレーム11の回転が可能となる。このとき、保持部12の回転の軸となる中心は、特許請求の範囲の中心軸Cである。言い換えると、保持部12とフレーム11とは、この仮想的な中心軸Cを回転の中心として相対的に回転することができる。
架線検査装置10は、回転軸部13および回転軸部14を備えている。回転軸部13と回転軸部14とは、対称軸Sを挟んで設けられている。第1実施形態の場合、架線検査装置10は、対称軸Sを挟んで一対の回転軸部13および回転軸部14を備えている。この対称軸Sは、上述の中心軸Cと垂直な仮想的な軸である。第1実施形態の場合、対称軸Sは、図1におけるフレーム11の上下方向の中央に設定されている。回転軸部13は、対称軸Sと平行な回転軸R1を中心にフレーム11に対して回転する。同様に、回転軸部14は、対称軸Sと平行な回転軸R2を中心にフレーム11に対して回転する。このように、回転軸部13および回転軸部14は、それぞれフレーム11に対して回転することができる。回転軸部13は、アクチュエータ25によって回転軸R1を中心とした回転が駆動される。同様に、回転軸部14は、アクチュエータ26によって回転軸R2を中心とした回転が駆動される。なお、第1実施形態の場合、架線検査装置10は、一対すなわち2本の回転軸部13および回転軸部14を備えている。しかし、架線検査装置10は、二対以上の回転軸部を備える構成としてもよい。
架線検査装置10は、スラスタ15、スラスタ16、スラスタ17およびスラスタ18を備えている。スラスタ15およびスラスタ16は、回転軸部13に設けられている。スラスタ15とスラスタ16とは、中心軸Cを挟んで両側に一つずつ設けられている。また、スラスタ17およびスラスタ18は、回転軸部14に設けられている。スラスタ17とスラスタ18とは、中心軸Cを挟んで両側に一つずつ設けられている。スラスタ15は、回転するプロペラ151を有している。同様に、スラスタ16はプロペラ161を有し、スラスタ17はプロペラ171を有し、スラスタ18はプロペラ181を有している。スラスタ15、スラスタ16、スラスタ17およびスラスタ18は、いずれもプロペラ151〜181が回転することにより、空気の流れを形成して推進力を発生する。なお、第1実施形態の場合、架線検査装置10は、回転軸部13および回転軸部14にそれぞれ一対のスラスタを備えている。しかし、架線検査装置10は、回転軸部13および回転軸部14にそれぞれ二対以上のスラスタを備えてもよい。
制御ユニット20は、フレーム11の内側に設けられている。制御ユニット20は、スラスタ15、スラスタ16、スラスタ17およびスラスタ18、ならびにアクチュエータ25およびアクチュエータ26を制御して、架線検査装置10の飛行姿勢を制御する。具体的には、制御ユニット20は、図示しない慣性計測部をはじめとして架線検査装置10の姿勢を検出する図示しない各種のセンサ、およびこれらのセンサから取得したデータに基づいてスラスタおよびアクチュエータの作動量を演算する図示しない演算器などを有している。スラスタ15〜18、およびアクチュエータ25、26は、制御ユニット20から出力された作動量に対応する駆動信号によって駆動される。これにより、スラスタ15、スラスタ16、スラスタ17およびスラスタ18が発生する推進力、ならびにアクチュエータ25およびアクチュエータ26の回転角度は、個別に制御される。また、制御ユニット20は、観測部27を有している。観測部27は、例えば図示しないカメラなどの撮像手段などを有しており、検査対象となる架線23の画像を取得する。制御ユニット20は、取得した画像を記憶したり、外部へ転送する制御も実行する。なお、観測部27は、カメラなどの可視的な撮像手段に限らず、例えば赤外線やマイクロ波など各種の電磁波などを照射して検査する構成としてもよい。
第1実施形態の場合、制御ユニット20は、中心軸Cおよび対称軸Sのいずれも含む位置に設けられている。すなわち、第1実施形態の場合、制御ユニット20は、架線検査装置10の重心に近い位置に設けられている。これにより、架線検査装置10の重量配分を中心軸Cおよび対称軸Sの二軸を中心として均衡させることができ、架線検査装置10の飛行姿勢の安定化を図ることができる。また、制御ユニット20は、例えば対称軸Sを挟んで保持部12と反対側の位置、すなわちフレーム11の保持部12とは反対側の端部に設けてもよい。この場合、比較的重量が大きな保持部12と制御ユニット20とが対称軸Sを挟んで対称に配置され、重量配分が均衡化される。このように、制御ユニット20は、例えば架線検査装置10の各部の重量などに応じて、任意に配置することができる。
次に、上記の構成による架線検査装置10を用いた架線23の検査について説明する。なお、ここで説明する架線23の検査の手順は一例であり、検査対象となる架線23の周辺の環境に応じて検査の手順は任意に変更することができる。
架線検査装置10は、検査を開始する前、図2に示すように地面30に置かれている。この場合、架線検査装置10は、地面30に限らず、運搬機器などの機器上に置いてもよい。この飛行を開始する前、架線検査装置10は、中心軸Cおよび対称軸Sがいずれも地面30と平行になるように置かれている。この載置状態において、スラスタ15〜スラスタ18を駆動し、地面30に向けた気流を形成することにより、架線検査装置10は浮上して飛行を開始する。このとき、制御ユニット20がスラスタ15〜スラスタ18およびアクチュエータ25、26を制御することにより、架線検査装置10は自立的に飛行する。架線検査装置10は、離陸後、制御ユニット20によって姿勢を制御されながら飛行する。制御ユニット20は、架線検査装置10が架線23に接近すると、架線検査装置10の中心軸Cが地面30に対して垂直となるようにスラスタ15〜スラスタ18およびアクチュエータ25、26を制御する。これにより、架線検査装置10は、地面30に対してほぼ垂直な姿勢に立ち上がる。この飛行姿勢の状態で架線検査装置10は、架線23に接近する。そして、架線検査装置10は、保持部12を架線23に引っ掛けることにより、検査対象となる架線23の下方に吊り下げられた状態となる。ここで、制御ユニット20は、スラスタ15〜スラスタ18およびアクチュエータ25、26を制御することにより、架線23の下方で特定の姿勢を維持する。
架線検査装置10が架線23に吊り下げられた状態ですべてのスラスタ15〜スラスタが18発生する推進力を均衡させることにより、架線検査装置10は架線23に沿って移動する。このとき、保持部12の滑車22が架線23に接することにより、架線検査装置10は架線23に沿った滑らかな移動が可能となる。これにより、架線検査装置10は、架線23に吊り下げられた姿勢を維持しながら架線23に沿って移動し、検査対象となる架線23の検査を実行する。
図3は、架線検査装置10が架線23に吊り下げられた状態のとき、制御ユニット20が回転軸部13のスラスタ16、および回転軸部14のスラスタ18を駆動する例を示している。このとき、制御ユニット20は、回転軸部13のスラスタ15、および回転軸部14のスラスタ17を駆動しない。そのため、4つのスラスタ15〜スラスタ18で発生する推進力に不均衡が生じる。このように、スラスタ16およびスラスタ18を駆動し、スラスタ15およびスラスタ17を停止しているとき、架線検査装置10には中心軸Cを回転の中心とする時計回りの力が加わる。その結果、架線検査装置10は、架線23に吊り下げられた状態で中心軸Cを中心に時計回りに回転する。これにより、架線検査装置10は、検査対象となる架線23の全方位の検査が容易になるとともに、進行方向の変更も容易になる。
一方、図4は、架線検査装置10が架線23に吊り下げられた状態のとき、制御ユニット20が回転軸部13のスラスタ15、および回転軸部14のスラスタ17を駆動する例を示している。このとき、制御ユニット20は、回転軸部13のスラスタ16、および回転軸部14のスラスタ18を駆動しない。そのため、図3に示す例と同様に4つのスラスタ15〜スラスタ18で発生する推進力に不均衡が生じる。このように、スラスタ15およびスラスタ17を駆動し、スラスタ16およびスラスタ18を停止しているとき、架線検査装置10には中心軸Cを回転の中心とする反時計回りの力が加わる。その結果、架線検査装置10は、架線23に吊り下げられた状態で中心軸Cを中心に反時計回りに回転する。これにより、架線検査装置10は、検査対象となる架線23の全方位の検査が容易になるとともに、進行方向の変更も容易になる。
以上のように、制御ユニット20は、スラスタ15〜スラスタ18のうちいずれかを駆動し、いずれかの駆動を停止することにより、中心軸Cを中心とする架線検査装置10の旋回を制御する。
また、図5は、架線検査装置10が架線23に吊り下げられた状態のとき、制御ユニットがアクチュエータ25およびアクチュエータ26を、回転軸部13と回転軸部14との間の角度差が180°となるように駆動する例を示している。そして、制御ユニット20は、回転軸部13のスラスタ16を駆動しつつスラスタ15を停止する。また、制御ユニット20は、回転軸部14のスラスタ18を駆動しつつスラスタ17を停止する。このとき、回転軸部13のスラスタ16が発生する推進力と回転軸部14のスラスタ18が発生する推進力とは、正反対の向きとなる。そのため、スラスタ16とスラスタ18とで推進力が等しいとき、架線検査装置10には中心軸Cを中心として回転する力は生じない。しかし、図5に示すようにスラスタ16の推進力をスラスタ18の推進力よりも大きくすることにより、架線検査装置10には中心軸Cを中心として時計回りに回転する力が生じる。このとき、スラスタ16の推進力とスラスタ18の推進力とを変化させることにより、時計回りに回転する速度が制御される。
以上のように、制御ユニット20は、スラスタ15〜スラスタ18のうちいずれか駆動するとともに、アクチュエータ25およびアクチュエータ26によって回転軸部13および回転軸部14の回転角度を調整することにより、中心軸Cを中心として架線検査装置10に加わる回転力を精密に制御する。これにより、制御ユニット20は、架線23に吊り下げられた状態の架線検査装置10の位置や角度を検査対象となる架線23に対して精密に制御することができる。その結果、架線検査装置10は、検査対象となる架線23の微小な範囲における精密な検査も実行することができる。
以上説明した第1実施形態では、スラスタ15およびスラスタ16が設けられた回転軸部13の回転角度、ならびにスラスタ17およびスラスタ18が設けられた回転軸部14の回転角度を制御することにより、スラスタ15〜スラスタ18が発生する推進力の方向が変更される。これにより、架線検査装置10は、陸上や機器上に載置された状態から離陸し、自立的に架線23へ向けて飛行する。また、スラスタ15およびスラスタ16は、回転軸部13において中心軸Cを挟んで両側にそれぞれ設けられている。同様に、スラスタ17およびスラスタ18は、回転軸部14において中心軸Cを挟んで両側に設けられている。そのため、スラスタ15〜スラスタ18の推進力を調整することにより、架線検査装置10には中心軸Cを回転の中心とする回転方向の推進力が発生する。保持部12とフレーム11とは中心軸Cに対して相対的に回転可能である。そのため、保持部12が架線23に保持されているとき、これらスラスタ15〜スラスタ18で発生した推進力によって架線検査装置10は中心軸Cを中心に回転する。このように、保持部12が架線23に保持された状態でスラスタ15〜スラスタ18の推進力を調整することにより、中心軸Cを中心に回転しながら架線23が検査される。その結果、観測部27のカメラなどを用いて架線23を検査する場合、中心軸Cを中心に回転する一つの観測部27によって全方位の架線23を観測することができる。したがって、重量の増加などを招かず、架線23から離れることなく広範囲の架線23の検査を容易に実行することができる。また、広範囲の検査が容易になるので、架線検査装置10の消費エネルギーの低減、および検査時間の低減も達成することができる。
第1実施形態では、保持部12は、架線23に沿って回転しながら移動する滑車22を有している。したがって、架線検査装置10は、架線23に吊り下げられた状態で架線23に沿って滑らかに移動することができる。
第1実施形態では、制御ユニット20は、中心軸Cを含みつつ、2本の回転軸R1と回転軸R2との間に設けられている。そのため、比較的重量の大きな制御ユニット20は、架線検査装置10の重心に近い位置に設けられる。したがって、架線検査装置10の姿勢の制御に重量の大きな制御ユニット20が及ぼす影響が低減され、安定した姿勢の維持を容易にすることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態による架線検査装置10は、図6に示すように保持部12の形状が第1実施形態と異なる。第2実施形態の場合、保持部12は、簡単なフック状に形成されている。これにより、保持部12の形状および構成が簡略化され、軽量化も図られる。このように簡単な形状であっても、架線23に吊り下げられるという保持部12の機能は達成することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態による架線検査装置10は、図7に示すように解除機構部40を備えている。解除機構部40は、上側部材41および下側部材42を有している。上側部材41は、保持部12の支持部21と一体に構成されている。また、下側部材42は、フレーム11と一体に構成されている。図7に示すように架線検査装置10が架線23に引っ掛かっていない初期位置にあるとき、解除機構部40は上側部材41と下側部材42とが噛み合っている。一方、架線検査装置10が架線23に引っ掛かると、フレーム11を含む架線検査装置10の自重によって、解除機構部40には上下方向の力が加わる。そのため、図8に示すように解除機構部40に上下方向の力が加わると、上側部材41と下側部材42とが離れ、噛み合いが解除される。解除機構部40は、図7に示すように上側部材41と下側部材42とが噛み合っているとき、可動部24におけるフレーム11と保持部12との相対的な回転を制限する。一方、解除機構部40は、図8に示すように上側部材41と下側部材42とが噛み合っていないとき、可動部24におけるフレーム11と保持部12との相対的な回転を許容する。
これにより、架線検査装置10が飛行中などのように保持部12が架線23に接していない、つまり架線検査装置10が架線23に吊り下がっていないとき、フレーム11と保持部12との間の相対的な回転は解除機構部40によって制限される。一方、架線検査装置10が架線23に吊り下げられると、架線検査装置10の自重によって解除機構部40に上下方向の力が加わる。そのため、上側部材41と下側部材42との噛み合いが解除され、フレーム11と保持部12との間の相対的な回転が許容される。
架線検査装置10は、架線23を検査するという性質上、検査を開始する位置を予め特定しておくことが好ましい。すなわち、架線23の吊り下げられた状態であれば、どこでも検査を開始してよいわけではなく、検査の開始位置および開始角度が規定されることが好ましい。第3実施形態では、解除機構部40によって架線検査装置10が架線23に吊り下げられるまでフレーム11と保持部12との相対的な回転が制限される。そのため、架線検査装置10が架線23に吊り下げられるまでフレーム11と保持部12との相対的な位置関係は変化しない。したがって、検査対象となる架線23に対する検査の開始位置および開始角度を正確に設定することができる。
第3実施形態は、上記の第1実施形態および第2実施形態と組み合わせて適用することができる。なお、図7および図8で示した解除機構部40の構成は一例である。したがって、架線検査装置10が架線23に吊り下げられたとき、架線検査装置10の自重によってフレーム11と保持部12との間の相対的な回転が許容されるのであれば、解除機構部40の構成は上記の例に限らない。
(第4実施形態)
第4実施形態による架線検査装置10は、図9に示すように展開機構部50を備えている。展開機構部50は、アクチュエータ51を有しており、制御ユニット20からの指示によって保持部12を展開または格納する。展開機構部50は、図9の実線で示すように初期位置にあるとき、保持部12を折り畳んでいる。そのため、初期位置にある保持部12は、架線23に引っ掛かることができない。一方、展開機構部50は、架線検査装置10が架線23の近傍まで接近したとき、図9の破線で示すように折り畳まれている保持部12を展開する。これにより、架線検査装置10は、展開された保持部12によって架線23に吊り下げられる。
架線検査装置10で検査対象となる架線23は、種々の条件によって飛行空間が制限されることがある。そのため、フレーム11から突出する保持部12は、飛行中に周囲の障害物に接触し、損傷などを招くおそれがある。そこで、架線23の近傍で保持部12を展開することにより、架線検査装置10は飛行中の投影面積が低減され、障害物による影響を低減することができる。また、第3実施形態と同様に保持部12の格納時の初期位置を予め規定しておくことにより、架線23に対する検査の開始位置および開始角度を正確に設定することもできる。
第4実施形態は、上記の第1実施形態から第3実施形態と組み合わせて適用することができる。
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
例えば、フレーム11と保持部12との間に、これらの間の相対的な回転角度を調整する図示しないアクチュエータを追加してもよい。フレーム11と保持部12との間にアクチュエータを追加することにより、フレーム11と保持部12との間の相対的な回転角度はより精密に制御される。これにより、フレーム11に搭載された観測部27による架線23の検査精度をより高めることができる。
図面中、10は架線検査装置、11はフレーム、12は保持部、13、14は回転軸部、15〜18はスラスタ、20は制御ユニット、22は滑車、23は架線、40は解除機構部、50は展開機構部、151〜181はプロペラを示す。

Claims (5)

  1. 架線(23)を検査する架線検査装置(10)であって、
    前記架線(23)に保持される保持部(12)と、
    前記保持部(12)の中心軸を中心として、前記保持部(12)と相対的に回転するフレーム(11)と、
    前記フレーム(11)において前記中心軸に対して垂直な対称軸を挟んで少なくとも一対設けられ、前記対称軸と平行な回転軸を中心に回転可能な回転軸部(13、14)と、
    前記回転軸部(13、14)に、前記中心軸を挟んで両側にそれぞれ一つ以上設けられ、回転するプロペラ(151、161、171、181)によって推進力を発生する複数のスラスタ(15、16、17、18)と、
    を備える架線検査装置。
  2. 初期位置において前記中心軸を中心とする前記フレーム(11)と前記保持部(12)との回転を規制し、前記架線(23)に吊り下げられることにより前記フレーム(11)と前記保持部(12)との回転の規制を解除する解除機構部(40)をさらに備える請求項1記載の架線検査装置。
  3. 前記保持部(12)を、初期位置において前記フレーム(11)側へ折り畳むとともに、前記架線(23)の近傍において展開する展開機構部(50)をさらに備える請求項1または2記載の架線検査装置。
  4. 前記保持部(12)は、前記架線(23)に接するとともに、前記架線(23)に沿って回転しながら移動可能な滑車(22)を有する請求項1から3のいずれか一項記載の架線検査装置。
  5. 前記スラスタ(15〜18)を個別に制御する制御ユニット(20)をさらに備え、
    前記制御ユニット(20)は、前記中心軸の軸を含み、一対の前記対称軸の間に設けられている請求項1から4のいずれか一項記載の架線検査装置。
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