JP2017059076A - 採血業務支援システム - Google Patents

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Abstract

【課題】従来構成に比べて採血業務の更なる効率化が可能な採血業務支援システムを提供する。【解決手段】採血作業者が、採血実施後に入力した患者の採血に係る実績情報に基づいて、患者の採血の困難さを段階的に示す採血難易度を決定し、患者の次回以降の採血時に、患者の識別情報と採血難易度を組み合わせて、採血作業者に表示する。【効果】患者の採血難易度を一目で把握可能となるため、各採血実施者が、自分の技量に合わせた患者を担当することによって、採血業務の効率化が可能となる。【選択図】図6

Description

本発明は、病院の採血室等における採血業務を効率化するための採血業務支援システムに関する。
病院の採血室等における採血業務を効率化するために、多くの病院で採血業務支援システムが導入されている(例えば、特許文献1)。ここで、特許文献1に記載の採血業務支援システムでは、受付時に入力された患者の付加情報や、当該患者の過去の採血時に登録された採血コメントを採血指示書に印字して採血作業者に示すことで、採血作業者が各患者の採血を行う際の参考にできるようにしている。
特開2008−97179号公報
ところで、一般的に、採血室等の採血作業者の技量にはバラツキがあり、全ての採血作業者が、全ての患者の採血を滞りなくこなせるわけではない。比較的技量の低い採血作業者が、比較的難易度の高い患者の採血を担当した場合は、採血に手間取ったり、採血に失敗して技量の高い採血作業者に交替したりすることが多く、採血業務の効率を低下させてしまう。これに対して、上記特許文献1に記載の採血業務支援システムでは、採血指示書に印字された付加情報や採血コメントによって、採血作業者が患者の難易度をある程度把握できるため、技量の低い採血作業者は、採血指示書の記載を参考に難易度の高そうな患者をある程度避けることができる。しかしながら、特許文献1では、採血指示書に印字される付加情報や採血コメントは、登録されたアナログ情報そのままであり、これらの情報から患者の難易度を正確に把握することはできない。このため、特許文献1の採血業務支援システムでは、採血作業者が患者の難易度を判断するのに時間を要したり、難易度がはっきり判断できない患者を担当するのを敬遠したり、難易度判断を誤って、比較的技量の低い採血作業者が、難易度の高い患者の採血を担当して採血作業が滞ったりしている。
本発明は、かかる現状に鑑みて為されたものであり、従来構成に比べて、採血業務を効率化し得る採血業務支援システムの提供を目的とする。
本発明は、採血台毎に設置され、各採血台で作業する採血作業者が、実施した採血に係る実績情報を入力可能に構成された採血台端末と、採血台端末に入力された前記実績情報を蓄積記憶する実績情報記憶手段と、該実績情報記憶手段が記憶する実績情報に基づいて、患者の採血の困難さを段階的に示す採血難易度を決定する採血難易度決定手段と、採血する患者の識別情報と当該患者の採血難易度を組み合わせて、採血作業者に表示する採血難易度表示手段とを備えることを特徴とする採血業務支援システムである。
かかる構成にあっては、採血作業者は、採血難易度表示手段が表示する患者の採血難易度を確認することで、採血待ちの各患者の採血難易度を一目で把握できるため、各患者の採血を自分が担当するか否かを正確に判断できる。このため、本発明によれば、各採血作業者は、各自が採血する患者の選別に要する時間を短縮できる。また、自分の技量レベルを上回る難易度の患者の採血を担当してしまい、採血業務を遅滞させたり、失敗して患者に苦痛を与えたりすることも防止可能となる。
また、本発明にあっては、必要な情報を印字した採血管ラベルを採血で使用する採血管に貼付し、各患者の採血に使用する採血管を患者毎に一つのトレイに収容する採血管準備装置を備え、採血難易度表示手段は、採血管準備装置を含み、採血管準備装置は、各患者の採血に使用する採血管、該採血管を収容するトレイ、該トレイに収容される採血管以外のものの、少なくともいずれかに、当該患者の採血難易度を表示する構成が提案される。
かかる構成にあっては、採血作業者は、採血管準備装置にトレイを取りにいった段階で、採血管やトレイなどに表示された採血難易度により、採血待ちの各患者の採血難易度を一目で把握できるため、自分の技量を上回る採血難易度の患者のトレイを取っていくことがなくなり、自分の技量を上回る採血難易度の患者のトレイを戻したり、技量の高い他の採血作業者に渡したりする手間を省くことが可能となる。
また、本発明にあっては、実績情報記憶手段が記憶する実績情報に基づいて、各採血作業者の採血の力量を段階的に示す技量レベルを決定する技量レベル決定手段と、該技量レベル決定手段が決定した各採血作業者の技量レベルを記憶する技量レベル記憶手段と、該技量レベル記憶手段が記憶する各採血作業者の技量レベルを採血作業者に表示する技量レベル表示手段とを備える構成が提案される。
かかる構成にあっては、採血作業者は自分の技量レベルと、患者の採血難易度とを対比することで、採血待ちの各患者が自分の技量を上回る採血難易度であるか否かを極めて容易に判断可能となる。
また、本発明にあっては、採血台端末は、該採血台端末が設置された採血台で作業中の採血作業者の識別情報を入力可能な作業者情報入力手段と、当該採血台で次に採血予定の患者の識別情報を入力可能な患者情報入力手段と、当該採血台で作業中の採血作業者の技量レベルと、次に採血予定の患者の採血難易度とを取得して比較し、採血作業者の技量レベルを患者の採血難易度が上回る場合に、採血作業者に対して報知を行うミスマッチ報知手段とを備える構成が提案される。
かかる構成にあっては、採血作業者が、自分の技量レベルを上回る採血難易度の患者を採血する前に、当該採血作業者に確実に注意を喚起することが可能となる。
また、上記構成にあって、前記所定の報知は、当該採血台で次に採血予定の患者の採血難易度に相応する技量レベルを有する採血作業者の報知を含む構成が提案される。
かかる構成にあっては、採血作業者の技量レベルと患者の採血難易度にミスマッチが生じた場合に、採血台端末の表示によって、交替すべき採血作業者をその場で把握できるため、技量レベルと採血難易度のミスマッチによる時間のロスを極力抑えることが可能となる。
また、本発明にあっては、各時間帯で採血に従事する予定の採血作業者を入力可能な作業シフト入力手段と、作業シフト入力手段によって入力された採血作業者の技量レベルが、時間帯毎に所定の基準を満たしているか否かを判定し、判定結果を出力する作業シフト判定手段とを備える構成が提案される。
かかる構成にあっては、技量レベルが比較的低い採血作業者ばかりが従事する時間帯などが発生して、採血業務の効率が著しく低下することがないように作業シフトを容易に調整可能となる。
以上のように、本発明の採血業務支援システムによれば、採血業務を従来よりも効率化することが可能となる。
実施例の採血業務支援システムのシステム構成図である。 採血台端末7の表示画面10の表示例を示す説明図である。 採血台端末7の表示画面10の別の表示例を示す説明図である。 採血難易度の決定方法を示すフローチャートである。 技量レベルの決定方法を示すフローチャートである。 採血情報表示片11の一例を示す平面図である。 作業シフト検討画面の一例を示す説明図である。
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
なお、本発明に係る実績情報記憶手段は、データベース2によって実現される。また、本発明に係る採血難易度決定手段は、業務管理サーバ1によって実現される。また、本発明に係る採血難易度表示手段は、業務管理サーバ1と、採血管準備装置5と、採血台端末7によって実現される。また、本発明に係る技量レベル決定手段は、業務管理サーバ1によって実現される。また、本発明に係る技量レベル記憶手段は、データベース2によって実現される。また、本発明に係る技量レベル表示手段は、業務管理サーバ1と、採血台端末7によって実現される。また、本発明に係る作業者情報入力手段は、採血台端末7の採血作業者認証画面によって主に実現され、患者情報入力手段は、採血台端末7の、採血ラベルのバーコード読み取り機能によって実現され、ミスマッチ報知手段は、採血台端末7の警告メッセージ表示機能によって主に実現される。また、本発明に係る作業シフト入力手段及び作業シフト判定手段は、業務管理サーバ1によって実現される。
本実施例の採血業務支援システムは、病院において患者の採血業務を支援するためのものである。図1に示すように、採血業務支援システムは、業務管理サーバ1と、データベース2と、受付端末3と、受付票プリンタ4と、採血管準備装置5と、誘導案内表示装置6と、複数の採血台端末7とを備えてなる。これらの装置は、病院の採血室に設置される。採血室は、来室した患者が受付手続きをする受付場所と、受付手続きを済ませた患者が採血まで待機する待機場所と、採血台が複数配設された採血場所と、業務管理サーバ1やデータベース2を設置するサーバ設置場所とを備えている。
業務管理サーバ1は、採血業務支援システムの根幹をなすものである。業務管理サーバ1は、院内LANを介して上位システムS(電子カルテシステム)と接続され、また、通信ケーブルを介して、データベース2、受付端末3、受付票プリンタ4、採血管準備装置5、誘導案内表示装置6、及び採血台端末7の夫々と通信可能に接続されている。
データベース2は、採血業務に係る各種のデータを記憶する。データベース2が記憶するデータは、業務管理サーバ1等によって参照・登録・更新される。
受付端末3及び受付票プリンタ4は、採血室の受付場所に設置されて患者の受付手続きに用いられる。受付端末3は、主に採血室に来室した患者の照合に用いられ、受付票プリンタ4は、受付手続きをした患者に対する受付票を発行するのに用いられる。受付票には、受付番号や患者のID番号(患者ID)、及びそれらの情報を記憶するバーコードが印字される。
採血管準備装置5は、患者の採血に使用する採血管を準備するためのものである。具体的には、採血管準備装置5は、採血で使用する複数種類の採血管を収容しており、業務管理サーバ1から受信する情報に基づいて、当該患者の採血に用いる種類の採血管に、当該患者の氏名等を印字した採血ラベルを貼付し、当該患者の採血に用いる全ての採血管を一つのトレイに収容する。さらに、採血管準備装置は、各患者の採血に係る情報を紙片に印字してなる採血情報表示片を、当該患者用の採血管とともにトレイに収容し、搬出する。なお、かかる採血管準備装置の基本構造は、公知であるため、詳細な説明は省略する。
誘導案内表示装置6は、採血室の待機場所に設置されて、待機場所で待機する患者に対して情報を表示する。具体的には、誘導案内表示装置6は、現在の待ち人数や、順番待ちの順位の高い患者の受付番号を表示する。
採血台端末7は、採血台で採血作業をする採血作業者が使用する端末であり、採血場所に設置された採血台毎に設置される。各採血台端末7は、表示画面を備えたモニタと、作業者が操作する操作部と、バーコードを読み取るためのスキャナと、患者を呼び出す呼出装置を備えている。
以下に、本実施例の採血業務支援システムを用いた採血業務の基本的な流れを説明する。
<受付手続き前>
本実施例では、基本的に、患者が採血室に来室する前に、当該患者の識別情報(患者の氏名、患者IDなど)や採血内容を含む採血情報がデータベース2の採血予約リストに登録されている。すなわち、患者の診察に関わった医師や看護師が上位システムSを介してオーダーした採血情報が、患者の来室前に業務管理サーバ1に送信されて、データベース2の採血予約リストに登録されている。
<受付手続き>
採血室に来室した患者は、受付場所で受付手続きを行う。受付手続きでは、窓口スタッフが、患者の診察カードに記憶された当該患者の患者IDを受付端末3のスキャナで読み取る。受付端末3が読み取った患者IDは、業務管理サーバ1に送信され、業務管理サーバ1は、受信した患者IDと、データベース2の採血予約リストに記憶された採血情報の照合を行う。業務管理サーバ1は、照合を正常終了すると、当該患者の採血情報を、データベース2の採血作業リストに登録するとともに、受付票プリンタ4に、当該患者の受付票を発行させる。患者は、発行された受付票を受け取って、受付票に印字された受付番号が呼び出されるまで待機場所で待機する。
<採血管準備>
業務管理サーバ1は、採血作業リストに患者の採血情報を登録すると、採血管準備装置5に採血管準備情報を送信して、採血管準備装置5に当該患者の採血管を準備させる。採血管準備指示情報には、使用する採血管の種類、採血ラベルや採血情報表示片に印字する情報などが含まれる。採血管準備装置5は、業務管理サーバ1から採血管準備指示情報を受信した順序で、各患者の採血に使用する採血管と、採血情報表示片を準備し、それらを一つのトレイにまとめて収容して搬出する。
<採血作業>
(1)採血作業者は、採血台で作業を開始する際に、まず、作業者認証手続きを行う。具体的には、作業開始時には、図2(a)に示すように、採血台端末7の表示画面10に採血作業者認証画面が表示される。採血作業者が自分の識別情報(ここでは、作業者ID)を正しく入力して作業者認証手続きが完了すると、採血台端末7の表示画面10に、図2(b)に示す患者一覧画面が表示される。患者一覧画面は、採血作業開始前の初期状態で表示される画面であり、採血作業者は、かかる状態から、以下の(2)〜(5)の手順を行うことで、患者の採血を行う。
(2)採血作業者は、採血管準備装置5が搬出したトレイを一つ採血台に運んでくる。
(3)採血作業者は、トレイ内の採血管の採血ラベルに印字されたバーコードを、採血台端末7のスキャナで読み取る。これにより、採血台端末7は、当該バーコードに記憶された患者IDに基づいて、データベース2の採血作業リストから当該患者IDが示す患者の採血情報を読み出す。そして、図2(c)に示すように、表示画面10に採血画面を表示する。採血画面には、採血を行う患者の属性情報や採血内容などの採血情報が表示される。また、採血台端末7は、呼出装置によって、当該患者の音声呼出しを行う。
(4)採血作業者は、呼び出した患者の受付票に印字されたバーコードを採血台端末7のスキャナで読み取る。これにより、採血台端末7は、受付票の情報と採血管の情報とを照合して、呼び出した患者の認証を行う。採血台端末7は、認証が正常であれば、図3(a)に示すように、表示画面10の左上部に患者の採血を指示するメッセージを表示する。
(5)採血作業者は、採血台端末7の指示に従い患者の採血を完了すると、図3(a)の表示画面10の右下部に表示された「完了」ボタンを操作する。これにより、採血台端末7の表示画面10には、図3(b)に示す採血実績入力画面が表示される。採血作業者は、採血実績入力画面を介して当該患者の採血に係る実績情報を入力する。ここで入力される実績情報は、「使用針」、「採血部位」、「血管状態」、「有害事象」、「刺し直し回数」、「刺し直し理由」、及び「患者補足事項」である。なお、「患者補足事項」以外の実績情報は、予め用意された項目の中から選択して入力するよう構成されている。実績情報の入力が終了すると、当該患者の採血に係る一連の作業が終了し、採血台端末7の表示画面10には、患者一覧画面(図2(b))が表示される。また、採血実績入力画面で入力された実績情報は、データベース2の採血結果データに蓄積記憶される。データベース2に蓄積記憶された採血結果データは、後述する採血難易度および技量レベルの導出に用いる他、採血業務の運営状況を分析すること等を目的として参照される。
以下に、本発明の要部について説明する。
本実施例の採血業務支援システムのデータベース2には、下記の情報が記憶される。
(1)採血予約リスト
上位システムから受信した、受付手続き前の採血情報
(2)採血作業リスト
受付手続き済みで、採血終了前の採血情報
(3)採血結果データ
採血終了後の採血情報と、各採血情報に係る実績情報
(4)患者情報
各患者の属性情報(氏名、患者ID、性別、生年月日、採血難易度など)及び採血履歴(採血情報及び実績情報)
(5)作業者情報
各採血作業者の属性情報(氏名、作業者ID、所属、分類、技量レベルなど)及び採血実績(採血回数、失敗率、交代率、平均採血所要時間など)
(6)採血台情報
各採血台の作動状態(採血作業中・停止中)及び作業中の採血作業者の情報
上記のように、データベース2に記憶される患者情報には、各患者の採血難易度が記憶され、また、作業者情報には、各採血作業者の技量レベルが記憶される。本実施例の採血業務支援システムは、かかる採血難易度と技量レベルの情報を用いることにより、採血作業者が採血作業を効率的に実行し得るよう構成される。
採血難易度は、患者の採血の困難さを段階的に示すものであり、「1」〜「4」の4段階で評価される。数字が大きいほど難易度が高く、「4」が最高の難易度となる。採血難易度は、業務管理サーバ1が、当該患者の直近の採血時の実績情報に基づいて決定する。具体的には、図4に示すように、直近の採血時の実績情報の所定の項目が、所定の条件を充足するか否かを判断することによって、各患者の採血難易度を「1」〜「4」のいずれかに決定する。このように、本実施例では、定性的な実績情報に基づいて、患者の採血難易度を4段階に定量化する。
技量レベルは、採血作業者の採血の力量を段階的に示すものであり、「1」〜「4」の4段階で評価される。数字が大きいほど高評価であり、「4」が最高の技量レベルとなる。技量レベルは、業務管理サーバ1が、各採血作業者の属性情報及び採血実績に基づいて決定する。具体的には、図5に示すように、作業者情報に含まれる「所属」、「分類」、「平均採血所要時間」、「失敗率」、及び「交代率」の情報が、所定の条件を充足するか否かを判断することによって、各採血作業者の技量レベルを「1」〜「4」のいずれかに決定する。なお、「失敗率」及び「交代率」は、採血作業者が採血台端末7に入力した実績情報から算出される統計情報である。このように、本実施例では、採血作業者の属性情報や採血実績に基づいて、各作業者の技量レベルを4段階に定量化する。
患者の採血難易度及び採血作業者の技量レベルは、一日に一度更新される。具体的には、一日の採血業務終了後に業務管理サーバ1がバッチ処理を実行して、当日に更新された採血結果データを、各患者の患者情報の採血履歴と、各採血作業者の作業者情報の採血実績に追加する。そして、業務管理サーバ1は、更新された患者情報と作業者情報に基づいて、当日に採血をした患者の採血難易度と、当日に作業した採血作業者の技量レベルを更新する。
ここで、「1」〜「4」の採血難易度は、「1」〜「4」の技量レベルに合わせるように設定されている。すなわち、採血難易度「4」は、技量レベル「4」の採血作業者のみが採血すべき患者に割り当てられ、採血難易度「3」は、技量レベル「3」以上の採血作業者が採血すべき患者に割り当てられ、採血難易度「2」は、技量レベル「2」以上の採血作業者が採血すべき患者に割り当てられ、採血難易度「1」は、全ての採血作業者が採血できる患者に割り当てられる。このため、本実施例では、患者の採血難易度と採血作業者の技量レベルを比較すれば、当該採血作業者が、当該患者の採血を確実に実施し得るだけの技量を有するか否かを一目で把握できる。
本実施例では、各採血作業者の技量レベルは、業務管理サーバ1で随時確認することができる。また、図2,3に示すように、採血台端末7は、作業者認証手続きの完了後は、図2,3に示すように、作業中の採血作業者の技量レベルを表示画面10の右上部に表示するため、各採血台で作業する採血作業者は、自分の現在の技量レベルを把握した上で作業することができる。
一方、本実施例では、業務管理サーバ1は、上位システムから採血情報を受信した段階で、データベース2の患者情報から当該患者の採血難易度を抽出して採血情報に付加する。データベース2に当該患者の患者情報が存在しない場合は、便宜上、当該患者の採血難易度を「0」とする。本実施例では、採血作業者は、このように採血情報に付加された採血難易度を、採血台端末7で確認できる。具体的には、患者一覧画面(図2(b))では、採血台端末7の表示画面10に、採血終了前の各患者の氏名とともに採血難易度が表示される。したがって、本実施例では、採血作業者は、患者一覧画面によって、順番待ちの患者の採血難易度を一目で把握することができ、どの患者が自分の技量レベルを上回る患者であるかを容易に確認できる。
また、本実施例では、図6に示すように、採血管準備装置5が、各患者の採血情報表示片11に当該患者に氏名や採血難易度を印字するよう構成される。このため、採血作業者は、次の患者の採血を行うために、採血管準備装置5から搬出されたトレイを取りに行った際に、搬出された各トレイに収容された採血情報表示片11を見るだけで、各トレイに係る患者が、自分の技量レベルを上回る採血難易度であるか否かを一目で把握することができる。
このように、本実施例では、採血台端末7の表示画面10や、トレイに収容内の採血情報表示片11に各患者の採血難易度が表示され、採血作業者は、どの患者が自分の技量レベルを上回る難易度であるかを容易に把握できるため、採血作業者は、自分の技量レベルを上回る難易度の患者のトレイを採血管準備装置5から持って行かないようにすることで、自分の技量レベルを上回る難易度の患者を担当するのを確実に回避できる。即ち、採血作業者の技量に見合わない採血の実施が回避されるので、失敗や手間取りの発生が抑制され、採血業務を効率よく運用できる。また、失敗や手間取りの発生が抑制されることで器具の浪費や冗長な人件費の発生も抑制されるので、病院運営にかかるコストの低減にも繋がる。
また、本実施例では、採血作業者が、採血管ラベルを採血台端末7のスキャナで読み取った段階で、採血台端末7が、作業中の採血作業者の技量レベルが、当該採血管に係る患者の採血難易度以上であるか否かを判定する。そして、採血作業者の技量レベルが患者の採血難易度未満であると判定した場合は、図3(c)に示すように、表示画面10に、採血作業者の技量レベル不足を示す警告メッセージを表示する。また、かかる画面では、採血台端末7は、警告メッセージだけでなく、他の採血台で作業中であって、当該患者の採血難易度以上の技量レベルを有する採血作業者の指名(図3(c)では、「イイヅカハナコ」)を表示する。
このように、本実施例では、採血作業者の技量レベルが、患者を担当するのに不適当であった場合には、採血台端末7の表示画面10に警告メッセージが表示されるため、採血作業者が、自分の技量レベルを上回る採血難易度の患者のトレイを採血管準備装置5から誤って運んできた場合でも、確実に注意喚起を行うことができる。また、表示画面10には、警告メッセージとともに、当該患者を担当するのに適当な採血作業者の氏名が表示されるため、警告メッセージを見た採血作業者は、当該患者の担当を、表示画面10に表示された採血作業者と交替することで、時間のロスを最低限に留めることができる。
また、本実施例の採血業務支援システムは、採血作業者の技量レベルに基づいて、採血作業者の作業シフト決定を支援する作業シフト検討機能を備えており、作業シフトの決定責任者は、業務管理サーバ1において、かかる作業シフト検討機能を利用できる。作業シフト検討機能は、作業シフトの決定責任者が入力した作業シフトについて、各時間帯で採血作業に従事する予定の採血作業者の平均技量レベルが、時間帯毎に設定された基準値を満たしているか否かを判定し、判定結果を表示する。具体的には、作業シフト検討機能の利用時には、図7に示すように、業務管理サーバ1の表示画面12に、作業シフト検討画面が表示される。図7の作業シフト検討画面では、作業シフトの検討対象の日付と時間帯を指定すると、各時間帯毎に予め定められた最少作業者数が、技量レベル毎に表示されるとともに、当該時間帯で作業可能な採血作業者の氏名と技量レベルの一覧が「選択可能作業者」の欄に表示され、「選択可能作業者」の欄から当該時間帯で作業する採血作業者を選択可能となる。そして、作業シフトの決定責任者が、「選択可能作業者」の欄から採血作業者を選択すると、選択された採血作業者(図7では作業者A,D,K,P,V)の平均技量レベル(2.2)が算出され、当該平均技量レベル(2.2)が当該時間帯(8:00〜12:00)に設定された基準値(2.5)以上であるか否かの判定結果が表示される。ここで、算出した平均技量レベルが基準値以上である場合には、選択された採血作業者の技量レベルの組合せで、当該時間帯での採血作業を問題なく実施できると判定されて、判定結果は「○」となる。これに対して、図7の作業シフト検討画面のように、算出した平均技量レベルが基準値未満である場合には、選択された採血作業者の技量レベルの組合せでは、当該時間帯での採血作業を実施するのに不十分であると判定されて、判定結果は「×」と表示される。なお、平均技量レベルが基準値以上であるか否か関わらず、「選択可能作業者」の欄から選択された採血作業者の人数が、当該時間帯の最少作業者数(図7では、技量レベル3,4が1人ずつ)に満たない場合も、当該時間帯での採血作業を実施するのに不十分であると判定されて、判定結果は「×」と表示される。
このように、本実施例の作業シフト検討機能を用いれば、作業シフトの決定責任者は、各時間帯で採血作業に従事する採血作業者の技量レベルの組合せが適正であるかを容易に判断できるため、従来に比べて作業シフトを容易に決定可能となる。
以上に、本発明の実施形態を実施例によって説明したが、本発明は、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。
例えば、上記実施例では、患者の採血難易度と採血作業者の技量レベルの両方を算出して採血台端末7の表示画面10などに表示しているが、本発明の採血業務支援システムは、少なくとも患者の採血難易度を算出して、採血作業者に表示するものであればよい。
また、本実施例では、患者の採血難易度を採血情報表示片11に印字しているが、患者の採血難易度を採血管ラベルに印字したり、採血難易度を示すラベルをトレイに貼付したりしてもよい。なお、採血難易度を示す表示は数値に限らず、記号や図形、色などで示すようにしてもよい。また、採血情報表示片11や採血管、トレイなどに、当該患者を担当可能な採血作業者の氏名を印字するようにしてもよい。
また、本発明に係る採血難易度の決定基準は、上記実施例の決定基準に限らず適宜変更可能である。例えば、上記実施例では、採血難易度を、直近の採血時の実績情報に基づいて決定しているが、本発明に係る採血難易度は、直近の採血時の実績情報のみに基づいて決定されるものに限られず、それ以前の採血時の実績情報を決定基準に加えることも可能であるし、採血時の実績情報以外の事項(採血者の年齢等)を決定基準に加えることも可能である。
また、本発明に係る技量レベルの決定基準も、上記実施例の決定基準に限らず適宜変更可能である。例えば、上記実施例では、データベース2に記憶された情報のみに基づいて、採血作業者の技量レベルを一義的に決定しているが、採血室の管理者等が、現場の実情に合わせて技量レベルを補正できるようにしてもよい。
また、上記実施例では、作業シフト検討機能によって、各時間帯で採血作業に従事予定の採血作業者の平均技量レベルの大小を判定することにより、各時間帯で従事予定の採血作業者の組合せが適正であるかを判定しているが、作業シフト検討機能に係る判定基準は適宜変更可能である。具体的には、当該時間帯で従事予定の採血作業者の技量レベルの合計や、技量レベル「4」の採血作業者の最少人数などを判定基準とすることが提案される。また、業務管理サーバ1に、各時間帯の判定基準を満足するような技量レベルの組合せを予め記憶しておき、作業シフト検討画面において、各時間帯の判定基準を満足する採血作業者の組合せ例を表示する機能を設けるようにしてもよい。
また、上記実施例に係る作業シフト検討機能は、各時間帯で採血作業に従事する予定の採血作業者を、業務管理サーバ1の表示画面(作業シフト検討画面)12に入力すると、当該表示画面12に判定結果が出力されるよう構成されているが、採血作業に従事する予定の採血作業者のデータを、院内LANを介して上位システムSから業務管理サーバ1に入力すると、業務管理サーバ1が上位システムSに判定結果を出力するよう構成してもよい。
また、上記実施例では、一日の採血業務終了後のバッチ処理によって、患者の採血難易度と採血作業者の技量レベルが更新されるが、本発明に係る採血難易度と技量レベルの更新タイミングは特に限定されるものではない。例えば、患者の採血難易度は、各患者の採血が終了した時点で更新してもよいし、次回の採血を受け付けた時点で更新してもよい。採血作業者の技量レベルも、当該採血作業者が採血台で作業を開始するタイミングや、作業を終了するタイミングで更新するようにしてもよい。
また、上記実施例では、患者の採血難易度と採血作業者の技量レベルが共に4段階に設定されているが、本発明にあっては、採血難易度と技量レベルの段階数が一致していなくてもかまわない。なお、採血難易度と技量レベルの段階数が一致していない場合でも、採血難易度と、当該採血難易度の患者を担当可能な技量レベルとを数値の大小によって比較し易いよう構成することが望ましい。具体的には、採血難易度を3段階に設定し、技量レベルを5段階にする場合は、採血難易度「1」「2」「3」の3段階とし、技量レベルを「1」「1.5」「2」「2.5」「3」とすることが提案される。
また、上記実施例では、患者の採血難易度と採血作業者の技量レベルが一元的に評価されているため、両者を一目で比較できるという利点があるが、本発明に係る採血難易度と技量レベルは、多元的な評価値とすることも可能である。
また、本発明の採血業務支援システムは、採血作業リストに記憶された採血情報に基づいて採血までの推定待ち時間を計算して、誘導案内表示装置等に表示する待ち時間表示機能を設けてもよい。なお、本発明にあって、待ち時間表示機能を設ける場合には、採血難易度の高い患者の採血時間を長めに見積もり、また、技量レベルの高い採血作業者の採血時間を短めに見積もるようにすれば、より正確な推定待ち時間を算出することが可能となる。
また、上記実施例では、採血管準備装置5が搬出したトレイを採血作業者が選択的に運んでいくことで、採血作業者が、自分の技量レベルに適した採血難易度の患者を担当するよう構成しているが、業務管理サーバ1が、各採血台の採血作業者の作業状況に応じて、採血管準備装置5を制御することで、各患者の担当を、適切な技量レベルの採血作業者に割り振るよう構成することも提案される。具体的には、採血作業者が採血作業を完了した時点で、業務管理サーバ1が、当該採血作業者の技量レベルに適した採血難易度の患者を選択し、採血管準備装置5に当該患者の採血管に係るトレイを搬出させる構成が提案される。かかる構成では、採血業務支援システムが各採血作業者に患者を割り振るため、採血作業者は、自分の技量レベルや患者の採血難易度を考慮する必要がなくなり、採血業務に専念することが可能となる。
また、本発明の採血業務支援システムは、上記実施例のシステム構成に限られず、適宜変更可能である。例えば、業務管理サーバ1に管理用端末を接続し、管理用端末を用いて採血作業の進捗状況の確認や、作業シフト検討機能を利用できるよう構成してもよい。また、本発明の採血業務支援システムは、少なくとも採血業務を支援するシステムであればよく、採血業務以外の検査業務(検尿や心電図、X線業務)も支援するシステムであってもよい。
1 業務管理サーバ
2 データベース
3 受付端末3
4 受付票プリンタ
5 採血管準備装置
6 誘導案内表示装置
7 採血台端末
10 採血台端末の表示画面
11 採血情報表示片
12 業務管理サーバの表示画面
S 上位システム

Claims (6)

  1. 採血台毎に設置され、各採血台で作業する採血作業者が、実施した採血に係る実績情報を入力可能に構成された採血台端末と、
    採血台端末に入力された前記実績情報を蓄積記憶する実績情報記憶手段と、
    該実績情報記憶手段が記憶する実績情報に基づいて、患者の採血の困難さを段階的に示す採血難易度を決定する採血難易度決定手段と、
    採血する患者の識別情報と当該患者の採血難易度を組み合わせて、採血作業者に表示する採血難易度表示手段と
    を備えることを特徴とする採血業務支援システム。
  2. 必要な情報を印字した採血管ラベルを採血で使用する採血管に貼付し、各患者の採血に使用する採血管を患者毎に一つのトレイに収容する採血管準備装置を備え、
    採血難易度表示手段は、採血管準備装置を含み、採血管準備装置は、各患者の採血に使用する採血管、該採血管を収容するトレイ、該トレイに収容される採血管以外のものの、少なくともいずれかに、当該患者の採血難易度を表示することを特徴とする請求項1に記載の採血業務支援システム。
  3. 実績情報記憶手段が記憶する実績情報に基づいて、各採血作業者の採血の力量を段階的に示す技量レベルを決定する技量レベル決定手段と、
    該技量レベル決定手段が決定した各採血作業者の技量レベルを記憶する技量レベル記憶手段と、
    該技量レベル記憶手段が記憶する各採血作業者の技量レベルを採血作業者に表示する技量レベル表示手段と
    を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の採血業務支援システム。
  4. 採血台端末は、
    該採血台端末が設置された採血台で作業中の採血作業者の識別情報を入力可能な作業者情報入力手段と、
    当該採血台で次に採血予定の患者の識別情報を入力可能な患者情報入力手段と、
    当該採血台で作業中の採血作業者の技量レベルと、次に採血予定の患者の採血難易度とを取得して比較し、採血作業者の技量レベルを患者の採血難易度が上回る場合に、採血作業者に対して所定の報知を行うミスマッチ報知手段と
    を備えることを特徴とする請求項3に記載の採血業務支援システム。
  5. 前記所定の報知は、当該採血台で次に採血予定の患者の採血難易度に相応する技量レベルを有する採血作業者の報知を含むことを特徴とする請求項4に記載の採血業務支援システム。
  6. 各時間帯で採血に従事する予定の採血作業者を入力可能な作業シフト入力手段と、
    作業シフト入力手段によって入力された採血作業者の技量レベルが、時間帯毎に所定の基準を満たしているか否かを判定し、判定結果を出力する作業シフト判定手段と
    を備えることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の採血業務支援システム。
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