JP2017058292A - 変位計測方法および変位計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】計測対象物のあらゆる位置においてひずみおよび変位を計測することができる変位計測方法および変位計測装置を提供する。
【解決手段】変位計測方法は、環構造体10の周囲に配置された光ファイバ20aおよび20bから、環構造体10のひずみに基づく散乱光のブリルアンゲインスペクトルを観測するスペクトル観測ステップと、ひずみの観測モデルを構築し、観測したブリルアンゲインスペクトルと観測モデルを用いてひずみを計測するひずみ計測ステップとを含み、観測モデルにおいて、ひずみをフーリエ級数で与える。
【選択図】図1

Description

本発明は、構造体のひずみおよび変位を計測する変位計測方法および変位計測装置に関する。
従来、構造体のひずみ計測システムとして、光ファイバに生じるブリルアンゲインスペクトル(BGS)の周波数が発生位置でのひずみに依存して周波数シフトする物理現象を利用した、分布型光ファイバセンシングシステムの一例が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、例えば特許文献2には、特許文献1に記載された技術を用いて、円環状の断面を有する環構造体について、直径変化などの構造体の変位を計測する技術が開示されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載の技術では、環構造体に対する力学的解析に基づいてBGSの形状がモデル化されている。詳細には、BGSの形状が非ローレンツ関数で与えられている。
特開2001−165808号公報 特開2012−047699号公報
しかし、特許文献2に記載の技術では、上述した解析を行う際に外力の作用点の位置の情報が必要であるため、計測対象物である環構造体が例えばトンネル等であり、それらの情報を得ることができない場合、例えば環構造体の内部に適当な数の支持点で支持された別の環状の構造物をセンサとして設置する。そのため、得られるひずみや変位は、環状の構造物の支持点におけるもののみに限られていた。したがって、計測対象の環構造体の内部における環状の構造物の支持点についてはひずみや変位を直接得ることはできるが、支持点以外の部分のひずみや変位を直接得ることはできず、支持点のひずみや変位から間接的に支持点以外の部分のひずみや変位を得る程度で、支持点以外では、重大なひずみや変位が起こったとしてもそれらを直接検出することができなかった。また、従来の方法では、支持点のような特定の位置のみのひずみや変位の取得しかできなかったため、計測対象物の例えば周方向におけるひずみや変位をともに分布的に取得することができなかった。
上記課題に鑑み、本発明は、計測対象物のあらゆる位置においてひずみおよび変位を計測することができる変位計測方法および変位計測装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる変位計測方法は、環構造体の周囲に配置された光ファイバから、前記環構造体のひずみに基づく散乱光のブリルアンゲインスペクトルを観測するスペクトル観測ステップと、前記ひずみの観測モデルを構築し、観測した前記ブリルアンゲインスペクトルと前記観測モデルを用いて前記ひずみを計測するひずみ計測ステップとを含み、前記観測モデルにおいて、前記ひずみをフーリエ級数で与える。
この構成によれば、計測対象の環構造体におけるひずみを分布的に検出することができる。したがって、計測対象物である環構造体のあらゆる位置において、ひずみを計測することができる。
また、前記観測モデルは、後に詳述する(式5)で表されてもよい。
この構成によれば、観測モデルである式Aは、パラメータとしてフーリエ級数で表されるひずみを含むので、周期的に繰り返し観測される、環構造体のひずみを精度よく計測することができる。また、計測対象物である環構造体のあらゆる位置において、ひずみを計測することができる。
また、前記ひずみ計測ステップを行った後、前記ひずみ計測ステップで計測された前記ひずみに基づいて前記環構造体の変位を算出する変位算出ステップを含んでもよい。
この構成によれば、計測したひずみに基づいて環構造体の変位を算出するので、計測対象の環構造体における変位を分布的に算出することができる。したがって、計測対象物である環構造体のあらゆる位置において、変位を算出することができる。
また、前記変位算出ステップにおいては、前記環構造体を微小直線梁の集合とみなして前記環構造体の変位を算出してもよい。
この構成によれば、計測対象の環構造体における変位を分布的に算出することができる。したがって、計測対象物である環構造体のあらゆる位置において、変位を算出することができる。
また、上記の課題を解決するため、本発明にかかる変位計測方法は、環構造体のひずみを計測するひずみ計測ステップと、前記ひずみ計測ステップで計測された前記ひずみに基づいて前記環構造体の変位を算出する変位算出ステップとを含み、前記変位算出ステップにおいて、前記環構造体を微小直線梁の集合とみなして前記環構造体の変位を算出する。
この構成によれば、環構造体の変位の計測精度を向上することができる。
また、上記の課題を解決するため、本発明にかかるプログラムは、上述した特徴を有する変位計測方法をコンピュータに実行させる。
また、上記の課題を解決するため、本発明にかかる変位計測装置は、環構造体の周囲に配置される光ファイバと、前記光ファイバにおける、前記環構造体のひずみに基づく散乱光のブリルアンゲインスペクトルを観測するスペクトル観測部と、前記ひずみの観測モデルを構築し、観測した前記ブリルアンゲインスペクトルと前記ひずみの観測モデルを用いて前記ひずみを計測するひずみ計測部とを備え、前記観測モデルにおいて、前記ひずみはフーリエ級数で与えられる。
この構成によれば、計測対象の環構造体におけるひずみを分布的に直接得ることができる。したがって、計測対象物のあらゆる位置において、ひずみを計測することができる。
また、前記変位計測装置は、前記ひずみに基づいて前記環構造体の変位を算出する変位算出部を備えてもよい。
この構成によれば、計測したひずみに基づいて環構造体の変位を算出するので、計測対象の環構造体における変位を分布的に算出することができる。したがって、計測対象物である環構造体のあらゆる位置において、変位を算出することができる。
本発明により、計測対象物のあらゆる位置においてひずみおよび変位を計測することができる変位計測方法および変位計測装置を提供することができる。
実施の形態にかかる変位計測装置の構成を示す概略図 実施の形態にかかる変位計測装置について、環構造体へ光ファイバを設置した一例を示す概略図 実施の形態にかかる変位計測装置について、環構造体へ光ファイバを設置した一例を示す概略図 実施の形態にかかる変位計測方法の手順を示すフローチャート 実施の形態にかかる変位計測方法における環構造体の観測モデルを、環構造体の長手方向に見た図 実施の形態にかかるひずみ計測の手順を示すフローチャート 実施の形態にかかるひずみ計測について、評価関数Eの計算を模式的に示した図 実施の形態にかかる変位計測方法において環構造体の変位を算出するための観測モデルの図 微小直線梁を用いた直線梁の観測モデルの図 微小直線梁におけるたわみ角の微小変化量について説明するための図 実施の形態にかかる変位計測方法における変形前の環構造体の観測モデルを、環構造体の長手方向に見た図 微小直線梁を用いた環構造体の観測モデルの図 実施の形態にかかる変位計測方法による環構造体の外周のひずみのシミュレーション結果を示す図 実施の形態にかかる変位計測方法による環構造体の内周のひずみのシミュレーション結果を示す図 環構造体の変形前後の状態を示す概略図 実施の形態にかかる変位計測方法による環構造体の変位のシミュレーション結果を示す図
以下、図面を用いて、本発明にかかる実施の形態について説明する。なお、図面において、同一の符号が付された構成要素は、同一または同種の構成要素を示す。
また、以下で説明する実施の形態は、本発明の好ましい一具体例を示す。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置、接続形態、ステップおよびステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より望ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
(実施の形態)
本実施の形態にかかる変位計測方法および変位計測装置について説明する。本実施の形態にかかる変位計測方法は、変位計測装置に含まれる光ファイバをトンネルなどの環構造体の円環の中立軸以外の位置に配置し、光ファイバに発生するブリルアン散乱光を利用することにより、環構造体のひずみを計測する方法および計測されたひずみから変位を計測する方法からなっている。後者のひずみから変位を計測するにあたっては、前者の方法に限定されず、例えばひずみゲージなど別の計測方法によって得られたひずみを用いてもよい。
光ファイバに光が入射されると、光の散乱現象によって光ファイバ内のあらゆる位置でレーリー散乱光、ラマン散乱光、ブリルアン散乱光などの散乱光が発生する。ブリルアン散乱光とは、光が物質中で音波と相互作用して発生した光であり、その周波数は、入射光の周波数よりわずかにずれている。ブリルアン散乱光のスペクトルであるブリルアンゲインスペクトル(BGS)は、光ファイバの長手方向に生じるひずみに比例して周波数シフトするという性質を持つ。そこで、BGSの周波数変化を利用して、環構造体のひずみを計測する。また、計測した環構造体のひずみから環構造体の変位を算出する。以下、BGSを利用した、本実施の形態にかかる変位計測方法および変位計測装置について説明する。
[1.変位計測装置の構成]
はじめに、本実施の形態にかかる変位計測装置の構成について、図1〜図3を用いて説明する。図1は、本実施の形態にかかる変位計測装置の構成を示す概略図である。図2および図3は、本実施の形態にかかる変位計測装置について、環構造体へ光ファイバを設置した一例を示す概略図である。
図1に示すように、本実施の形態にかかる変位計測装置100は、環状の計測対象物(環構造体)10の外周および内周にそれぞれ配置される光ファイバ20aおよび20bと、スペクトル観測部30と、ひずみ計測部40と、変位算出部50とを備えている。
環構造体10は、例えばトンネルであり、図2および図3に示すように、円柱状の構造物の内部に長手方向に沿った空洞を有している。図3の(a)に示すように、環構造体10を長手方向と直交する平面で切断したときの断面は、環状、例えば円環となるように形成されている。
また、図2および図3の(b)に示すように、光ファイバ20aは、環構造体10の外周に配置され、光ファイバ20bは環構造体10の内周に配置される。
光ファイバ20aおよび20bは、環構造体10のひずみを測定するためのセンシング用光ファイバである。光ファイバ20aは、光ファイバ20aおよび20bが巻き付けられた環構造体10の外周を含む断面の円環が、環構造体10の長手方向の軸にほぼ直交するように固定される。光ファイバ20bは、光ファイバ20aが巻き付けられた環構造体10の外周と同一の位置の内周に固定される。光ファイバ20a、20bの設置は、外周、内周に限られるものではなく、円環の中立軸以外の内部であってもよい。ただし、設置場所にかかわらず、これらの光ファイバ20aおよび20bには、固定位置のひずみと同じひずみが生じているものとする。
なお、光ファイバ20aおよび20bは、環構造体10のひずみに代えて変位を算出することとしてもよい。環構造体10のひずみの算出方法については、後に詳述する。また、光ファイバ20aおよび20bが環構造体10に固定される位置は一箇所の断面に限らず、複数箇所であってもよい。この場合、環構造体10の複数の箇所に固定された光ファイバ20aは、一本の光ファイバが一筆書きになるように接続された構成であってもよい。また、光ファイバ20bについても同様である。
また、光ファイバ20aおよび20bの一端は、スペクトル観測部30に接続されている。
スペクトル観測部30は、光ファイバ20aおよび20bに所定の周波数の光を入射し、光ファイバ20aおよび20bの内部で散乱したBGSをそれぞれ観測する。スペクトル観測部30は、観測したBGSをひずみ計測部40に出力する。
ひずみ計測部40は、上述したスペクトル観測部30で観測されたBGSから環構造体10で発生するひずみを計測するものである。
変位算出部50は、ひずみ計測部40で計測された環構造体10のひずみに基づいて変位を算出するものである。ただし、前述したように、変位算出部50に入力されるひずみは、スペクトル観測部30とひずみ計測部40より得られたひずみだけではなく、例えばひずみゲージなど別な方法によって得られたものであってもよい。算出方法については後に詳述する。
なお、スペクトル観測部30、ひずみ計測部40および変位算出部50は、例えばコンピュータで構成されている。また、コンピュータは、以下に説明する変位計測方法を実行するためのプログラムを備え、当該プログラムにより変位計測方法を行ってもよい。
[2.変位計測方法]
次に、上述した変位計測装置100を用いた変位計測方法について説明する。図4は、変位計測方法の手順を示すフローチャートである。
図4に示すように、変位計測方法においては、はじめに、スペクトル観測部30により、環構造体10に設置された光ファイバ20aおよび20b(図3の(a)参照)のBGSを観測する(ステップS11)。これにより、図3の(a)に示した環構造体10の外周と内周におけるBGSが得られる。なお、ステップS11は、本発明におけるスペクトル観測ステップに相当する。
次に、ひずみ計測部40において、予め構築されていた観測モデル(式)が、観測したBGSに近づくようにあてはめを行う。これにより、環構造体10の外周および内周のひずみを計測する(ステップS12)。なお、ステップS12は、本発明におけるひずみ計測ステップに相当する。ステップS11およびステップS12の代わりに、別な方法によって、環構造体の外周および内周のひずみを計測するステップを入れてもよい。
さらに、変位算出部50において、計測された環構造体10の外周および内周のひずみから、環構造体10の各位置における変位を算出する(ステップS13)。なお、ステップS13は、本発明における変位算出ステップに相当する。
以下、各ステップについて詳細に説明する。
[2−1.環構造体のひずみ計測の原理]
はじめに、ひずみ計測の原理について説明する。図5は、本実施の形態にかかる変位計測方法における環構造体10の観測モデルを、環構造体10の長手方向に見た図である。
ひずみ計測では、上述したように、予めBGSのモデル(モデルBGS)を構築しておき、BGSを観測して、予め構築されていたモデルBGSが観測したBGSに近づくようにあてはめを行うものである。また、BGSの観測は、環構造体10の断面ごとに行うものとする。
まず、計測対象の環構造体10のモデルBGSについて説明する。ここでは、環構造体10として、環構造体10の長手方向と垂直な方向の断面が円環である環構造体を観測モデルとする。なお、環構造体10の断面は円環に限らず、非線形の連続する構造であれば、どのようなものであってもよい。例えば、断面が楕円形の環構造体であってもよい。
図5に示すように、環構造体10の長手方向(ζ方向)の軸に垂直な面において、環構造体10の断面である円環の中心を原点O、原点Oを通る一方向にx軸、原点Oを通りx軸方向に垂直な他の方向にy軸をとる。さらに、x軸の負方向から右回りの角度をφとする。
ここで、環構造体10の周囲に設置された光ファイバ20aおよび20b上(図5には示されていない)での、第i番目のBGS観測点に対応する角度をφ(i=1,2,…,I、IはBGSの観測点の数)、φを中心としたBGSの観測区間をΔφとし、BGSを観測する周波数については、第j番目の観測周波数をν(j=1,2,…,J、Jは観測周波数の数)とする。また、観測角度φ、観測周波数νで観測されたBGSの値をGobs(ν,φ)、モデルBGSより求められたBGSの値をGmod(ν,φ,q)とする。そして、このモデルBGSが観測されたBGSに最も良く一致する条件から、求めるべきパラメータqを得る。具体的には、全観測角度、全観測周波数について、観測BGSとモデルBGSの差の二乗和を評価関数Eとして次の(式1)で与え、評価関数Eが最小となるときのパラメータqを非線形最小二乗法を用いて求める。なお、パラメータqは、フーリエ係数で表されるパラメータpを含むパラメータである。なお、パラメータp、qはベクトルであり、以下に示す式中では太字で示している。パラメータpおよびqについては後に詳述する。
Figure 2017058292
………………………………………………………………………………………………(式1)
環構造体10の断面における円環の円周上の観測角度φにおけるひずみε(φ)はε(φ+2π)に等しく、ε(φ)は周期2πをもつ周期関数となっている。そこで、環構造体10に生じるひずみを、周期2πのフーリエ級数として次の(式2)で与える。
Figure 2017058292
………………………………………………………………………………………………(式2)
ここで、(式2)のフーリエ係数をまとめて以下の(式3)のように表す。
Figure 2017058292
………………………………………………………………………………………………(式3)
ここで、Nはフーリエ係数の最高次数である。
これらのパラメータを明示的に示す場合にはひずみをε(φ,p)と書くことにする。ε(φ,p)に対応する周波数は、次の(式4)で表される。
Figure 2017058292
環構造体10の断面の円環の半径を1に規格化すると、φ、νにおけるモデルBGSは次の(式5)で表される。
Figure 2017058292
なお、(式5)は、本発明における(式A)に相当する。ν(0)はひずみ0に対応する周波数、Cはひずみと光周波数の関係を与える比例係数である。
(式5)において、pは求めるべきひずみを与えるパラメータであり、h、w、ν(0)、CはBGSの基本特性についてのパラメータである。
上述したように、環構造体10の断面ごとにBGSが観測され、ひとつの断面に設置された光ファイバ20aおよび20bの長さは光損失が十分小さく無視できる程度であると考えられることから、環構造体10の断面ごとの光ファイバ20aおよび20bではhは一定であると仮定することができる。しかし、環構造体10の断面間ではその距離が長いこと、および、環構造体10の断面間に光ファイバ20aおよび20bの接続点がある場合があるなどの理由により、断面間では光ファイバ20aおよび20bに生じる散乱光のパワーが異なることが考えられる。そのため、hについても環構造体10の断面ごとに観測されたBGSから推定する必要がある。したがって、フーリエ係数で表されるパラメータpと各断面の環構造体10におけるhの両方を求めることとする。以下では、両パラメータを合わせてq=[p h]と表す。
[2−2.ひずみの計測]
次に、上述したひずみ計測方法により、具体的に環構造体10のひずみの計測を行う。図6は、本実施の形態にかかるひずみ計測の手順を示すフローチャートである。図7は、本実施の形態にかかるひずみ計測について、評価関数Eの計算を模式的に示した図である。
はじめに、上述したようにBSGの観測を行う。BGSの観測では、まず、図6に示すように、BGSの観測条件を設定する(ステップS21)。観測条件として、観測点と、観測周波数とを定める。
BGSを利用したひずみ計測では、ひずみは環構造体10上の位置の関数として得られる。そこで、環構造体10の長手方向である、例えばζ方向において、環構造体10の第k番目の断面である円環の円周上のBGS観測点の位置を、環構造体10に設置されている光ファイバ20aおよび20bの半径を用いて、その位置に対応する角度φに変換する。
以下では、簡単化のためBGS観測点の位置が等間隔である場合について考える。また、どの断面についても同様であることから、断面の番号については省略する。観測開始角度をφ、全観測点の数をI、観測点の間隔をδφで表すと、φは次の(式6)で表される。
Figure 2017058292
………………………………………………………………………………………………(式6)
これにより、BGSの観測点の位置が角度φで定められる。
また、観測開始周波数をν、全観測周波数の数をJとし、周波数についても等間隔δνで観測するものとすると、観測周波数νは次の(式7)で表される。
Figure 2017058292
………………………………………………………………………………………………(式7)
次に、上述した観測条件の下でBGSを観測し、観測周波数と角度をパラメータとしたGobs(ν,φ)(i=1,2,…,I)(j=1,2,…,J)を得る(ステップS22)。Gobs(ν,φ)は、観測周波数ν、角度φにおいて観測されたBGSの値である。
次に、すべてのφおよびνについてモデルBGSの値Gmod(ν,φ,q)を算出する(ステップS23)。ここで、Gmod(ν,φ,q)の値は、(式5)の数学的な積分、または、数値積分によって求める。また、評価関数Eを最小化するqを効率的に得るために、例えば、滑降シンプレックス法を用いる。滑降シンプレックス法は、求めるべき解q=[p h]の候補群を、求めるべきパラメータの個数より1個以上多く用意し、各解候補に対応する評価値が小さくなるように解候補群を更新していくことで最適解を得るという繰り返し計算方法である。
次に、算出したモデルBGSと観測されたBGSを用いて(式1)の評価関数Eを算出する。図7は、上述した(式1)における評価関数Eの計算を模式的に示した図であり、(a)は観測されたBGSであるGobs(ν,φ)、(b)はモデルより求められたBGSであるGmod(ν,φ,q)である。図7に示すように、モデルより求められたBGSの値Gmod(ν,φ,q)(図7の(b))を、観測されたBGSの値Gobs(ν,φ)(図7の(a))に近づける。より具体的には、滑降シンプレックス法を用いてパラメータqを更新しながら、モデルBGSと観測されたBGSとの差を成分としてもつ評価関数Eを最小化するためのパラメータqを求める(ステップS24)。そして、求められたパラメータqのうちのひずみにかかわるpを(式2)に代入することによって、環構造体10の外周側のひずみεout、および、内周側のひずみεinが得られる。
なお、ひずみの計測方法は、上述したBGSを利用した方法に限らず、他の方法であってもよい。他の方法の場合でも、ひずみの観測モデルを構築し、構築した観測モデルを用いて環構造体のひずみを計測すればよい。例えば、BGS観測点に相当する位置にひずみゲージなどを設置し、それを用いてひずみを計測し、それらのひずみをεoutおよびεinとしてもよい。
[2−3.変位の算出]
次に、環構造体10の変位の算出を行う手順について説明する。
図8は、本実施の形態にかかる変位計測方法において環構造体10の変位を算出するための観測モデルの図であり、(a)は観測モデルを模式的に示した図、(b)は変位前後の観測位置の関係を示す図である。
環構造体10の解析は複雑であるため、環構造体10を後に詳述する微小直線梁(微小片)の集合とみなして環構造体10の変位を算出する。詳細には、図8の(a)に示すように、環構造体10は微小片60の集合体であるとみなす。そして、図8の(b)に示すように、環構造体10の変形前の点Qに配置されていた微小片60が、環構造体10の変形に伴い点Q’に移動したものとして、環構造体10の変位を算出する。
ここでは、簡単化のために、図8の(b)に示すように、環構造体10の円環の中立軸は円環の中心線に一致しており、その半径をrとする。また、この中心線から外周と内周までの距離は等しく、その距離をhとする。図8の(b)では、図を見やすくするために外周と内周の一部のみが示されている。これにより、内周の半径は(r−η)、外周の半径は(r+η)と表される。また、点Qの位置は、環構造体10の外周と内周との中間を通る円環とx軸の負方向との交点である基準点Pから時計回りに角度φ回転させた位置とする。このとき、点Qから点Q’へのx軸方向の変位はΔx、y軸方向の変位はΔyと表す。なお、角度φは、環構造体10における第m番目の変位算出角度とし、mを変更することにより環構造体10上の各位置の変位を得ることができる。
以下、上述した、円環のひずみから環構造体10の変位を算出する方法について説明する。
はじめに、理解を容易にするために、微小片(微小直線梁)が直線状に配置された直線梁を観測モデルとした従来の変位算出方法について説明する。図9は、微小直線梁を用いた直線梁の観測モデルの図である。
図9に示す観測モデルは、複数の微小直線梁の集合体である直線梁61である。直線梁61において、左端から第1番目の微小直線梁を微小直線梁60a、第2番目の微小直線梁を微小直線梁60b、第m番目の微小直線梁を微小直線梁60cと表している。図9は、直線梁61の左端を固定し、右端に変位を与えたときの変形後の微小直線梁60a、微小直線梁60bおよび微小直線梁60cの状態を示している。変形前の直線梁61の長手方向にu軸、変形前の直線梁61の長手方向と直交する方向にν軸をとり、微小直線梁60a、微小直線梁60bおよび微小直線梁60cのそれぞれの長さをduとしている。この長さは変形前後で変わらない。
ここで、微小直線梁60cのたわみ角、すなわち、微小直線梁60cとu軸とのなす角度をω、第m−1番目の微小直線梁に対する微小直線梁60cのたわみ角の微小変化量をdω、微小直線梁60cのν軸方向の全変位をν、第m−1番目の微小直線梁に対する微小直線梁60cの変位をdνとし、これらの関係を求める。
m=1すなわち第1番目の微小直線梁60aでは、図9に示すように、たわみ角ωはその微小変化量dωとなっている。また、その変位dνも全変位νに等しい。したがって、第1番目の微小直線梁60aのν軸方向の全変位νは、次の(式8)のように表される。
Figure 2017058292
……………………………………………………………………………………………(式8)
また、微小直線梁60bのたわみ角ωは、微小直線梁60aと微小直線梁60bに生じた微小変化量dωとdωの和であり、全変位νもそれぞれの変位dνとdνの和となっている。したがって、第2番目の微小直線梁60bの変位dνは、次の(式9)のように表される。
Figure 2017058292
……………………………………………………………………………………………(式9)
したがって、第2番目の微小直線梁60bのν軸方向の全変位νは、次の(式10)のように表すことができる。
Figure 2017058292
…………………………………………………………………………………………(式10)
以下、同様に考えて、第2番目を第m番目に置き換えると、第m番目の微小直線梁60cのたわみ角ω、ν軸方向の全変位ν、第m−1番目の微小直線梁に対する微小直線梁60cの変位dν、ν軸方向の全変位をνは、
Figure 2017058292
……………………………………………………………………………………………(式11)
Figure 2017058292
……………………………………………………………………………………………(式12)
Figure 2017058292
……………………………………………………………………………………………(式13)
Figure 2017058292
……………………………………………………………………………………………(式14)

と表すことができる。
次に、上述した直線梁61の観測モデルにおいて、計測されたひずみから微小片(微小直線梁)60のたわみ角の微小変化量dωを求める。図10は、微小片60におけるたわみ角の微小変化量dωについて説明するための図である。
図10では、A、B、C、Dを頂点とする微小直線梁60dを示している。微小直線梁60dの厚み、すなわち、図10に示す辺ADおよび辺BCの長さを2ηとする。また、外周側の辺ADおよび内周側の辺BCに生じているひずみをそれぞれεout、εinとする。また、微小直線梁60dは、頂点A、B、C、Dがそれぞれ頂点A’、B’、C、Dの位置となるように変形するものとする。微小直線梁60dにおいて、たわみ角の微小変化量dωが生じたとすると、A’D=(1+εout)du、B’C=(1+εin)duとなるので、たわみ角の微小変化量dωは次の(式15)で求められる。
Figure 2017058292
……………………………………………………………………………………………(式15)
なお、(式15)の左辺においてdωに負の符号がついているのは、図10では右回りの角度を正にとっているため、左回りのたわみ角の微小変化量dωは負で示されるためである。
(式14)と(式15)より、ν軸方向の全変位νは、次の(式16)のように書き換えられる。
Figure 2017058292
……………………………………………………………………………………………(式16)
次に、上述した直線梁61の観測モデルにおける変位計測方法を環構造体10に応用した、微小直線梁を用いた環構造体10の観測モデルについて説明する。
図11は、本実施の形態にかかる変位計測方法における変形前の環構造体10の観測モデルを、環構造体10の長手方向に見た図である。図12は、微小直線梁を用いた環構造体10の観測モデルの図である。
図11に示すように、変形前の環構造体10の断面の円環において、頂点をA、B、C、Dとする微小片70を考える。この微小片70に対応する微小中心角をΔθとする。また、図8の(b)と同様、環構造体10の円環の中立軸は円環の中心線に一致しており、その半径をrとする。また、この中心線から外周と内周までの距離を、いずれもηとする。このとき、環構造体10の外周における弧ADと内周における弧BCの長さは、それぞれ(r+η)Δθ、(r−η)Δθとなる。
ここで、r≫ηとすると、両者はいずれもrΔθと近似することができるので、この微小片70を微小直線梁とみなすことができる。そこで、図12に示すように、環構造体10を微小片70の集合として考える。図12に示す一点鎖線は、変形前の環構造体10の外周と内周との中央を通る円環の中心線である。変位算出に用いる角度θを、φと同じようにx軸負方向から右回りにとる。
図12において、環構造体10は、第1番目の微小片70a、第2番目の微小片70b、・・・、第m番目の微小片(図示せず)を有している。環構造体10がM個の微小片で構成されている場合、第M番目の微小片と第1番目の微小片70aとは接続している。
ここで、第m番目の微小片のν軸とx軸とのなす角をθ、x軸方向およびy軸方向の全変位をそれぞれΔxおよびΔy、第m−1番目の微小片に対する第m番目の微小片の変位をdx、dyとし、これらの関係を求める。上述した直線梁61の観測モデルと同様に、m=1すなわち第1番目の微小片70aからm=2すなわち第2番目の微小片70bについて順に求め、第2番目を第m番目に置き換えると、第m番目の微小片のx軸方向の全変位Δxおよびy軸方向の全変位Δyは、それぞれ以下の(式17)、(式18)のように表される。
Figure 2017058292
……………………………………………………………………………………………(式17)
Figure 2017058292
……………………………………………………………………………………………(式18)
円環の場合にはdu=rΔθであり、また上述した微小直線梁60cで得られている結果、すなわち、(式13)を上式に代入すると、xおよびyは以下の(式19)および(式20)ように表される。
Figure 2017058292
……………………………………………………………………………………………(式19)
Figure 2017058292
……………………………………………………………………………………………(式20)
なお、εout,m、εin,mは、それぞれ第m番目の微小片の外周および内周に生じているひずみである。
上述したように、適当な角度の間隔で外周側の辺ADおよび内周側の辺BCにおけるひずみεin、εoutを求め、(式19)および(式20)に代入することによって、環構造体10の任意の位置の変位を得ることができる。
以上の式を用いることにより、ひずみεin、εoutから環構造体10のx軸方向の変位Δxおよびy軸方向の変位Δyを得ることができる。
[3.効果等]
以下、上述した変位計測方法の有効性を確かめるために行ったシミュレーションの結果について説明する。図13は、実施の形態にかかる変位計測方法による環構造体の外周のひずみのシミュレーション結果を示す図である。図14は、実施の形態にかかる変位計測方法による環構造体の内周のひずみのシミュレーション結果を示す図である。図15は、環構造体の変形前後の状態を説明するための概略図である。図16は、本実施の形態にかかる変位計測方法による環構造体の変位のシミュレーション結果を示す図である。
はじめに、ひずみ計測のシミュレーション結果について説明する。ひずみ計測のシミュレーションでは、以下のようにして観測BGSであるGobs(ν,φ)を生成する。生成したGobs(ν,φ)によりひずみを求めるシミュレーションを行った。
ここで、環構造体10の半径をr、環構造体10の中立軸から環構造体10の外周までの距離をη、断面積をA、断面係数をκ、力学的パラメータであるヤング率をEとし、後に説明する図15の(a)に示すように、環構造体10のy軸に一対の荷重が作用している場合を考えると、環構造体10の円周上に生じるひずみε(φ)は以下の(式21)で近似される。
Figure 2017058292
……………………………………………………………………………………………(式21)
(式21)に示したひずみε(φ)を用い、設定されたBGS観測角度φ、観測周波数νについて算出されたBGSを観測BGS Gobs(ν,φ)とした。シミュレーションでは、(式21)におけるr、η、κEAの値を、971.4[mm]、23.6[mm]、5361×10[N・mm]とした。BGSの基本特性であるh、ν(0)、w、Cの値は、5.10×10−9[W]、10.82[GHz]、0.03[GHz]、50.0[GHz]とした。これらの値は、観測に用いる環構造体10の一例であり、光ファイバの典型的な値である。なお、ν(0)はひずみ0に対応する周波数、Cはひずみと光周波数の関係を与える比例係数である。さらに、BGSの観測条件にかかわるφ、I、ν、δν、Jはそれぞれ、0[°]、130、10.82[GHz]、0.002[GHz]、161である。また、Δφおよびδφは、環構造体10の内外周で異なっており、外周に対するΔφおよびδφは、それぞれ2.9[°]および57.6[°]、内周に対するΔφおよびδφは、それぞれ3.0[°]および60.5[°]とした。
ここでは、Pを70[N]、フーリエ級数の最大次数Nを10としてひずみε(φ)を求めた。求められた環構造体10の外周と内周のひずみをそれぞれ図13および図14に示す。実線は上述した本実施の形態におけるひずみ計測方法によって計測されたひずみ、細線は(式21)で算出された理論的に求められたひずみであり、破線はBGSをローレンツ関数にあてはめる従来の方法で得られたひずみである。外周および内周のいずれのひずみも、本実施の形態におけるひずみ計測方法により求められたひずみのほうが、従来方法により求められたひずみよりも、理論的に求められたひずみに近いことがわかる。
90[°]において、理論的ひずみ、従来の方法で得られた外周のひずみ、および、本実施の形態におけるひずみ計測方法で得られた外周のひずみはそれぞれ9.94×10−5、6.20×10−5、9.05×10−5であり、理論的ひずみと従来の方法で得られた外周のひずみの誤差、および、理論的ひずみと本実施の形態におけるひずみ計測方法で得られた外周のひずみの誤差は、それぞれ−37.4×10−6、−8.9×10−6であった。また、180[°]においては、理論的ひずみ、従来の方法で得られた外周のひずみ、および、本実施の形態におけるひずみ計測方法で得られた外周のひずみはそれぞれ−5.55×10−5、−5.00×10−5、−5.67×10−5であり、理論的ひずみと従来の方法で得られた外周のひずみの誤差、および、理論的ひずみと本実施の形態におけるひずみ計測方法で得られた外周のひずみの誤差は、それぞれ5.5×10−6、−1.2×10−6であった。
また、同様に、90[°]において、理論的ひずみ、従来の方法で得られた外周のひずみ、および、本実施の形態におけるひずみ計測方法で得られた外周のひずみはそれぞれ−10.27×10−5、−6.00×10−5、−9.35×10−5であり、理論的ひずみと従来方法で得られた内周のひずみの誤差、および、理論的ひずみと本実施の形態におけるひずみ計測方法で得られた内周のひずみの誤差は、それぞれ42.7×10−6、9.2×10−6であった。また、180[°]においては、理論的ひずみ、従来の方法で得られた外周のひずみ、および、本実施の形態におけるひずみ計測方法で得られた外周のひずみはそれぞれ5.99×10−5、5.20×10−5、6.10×10−5であり、理論的ひずみと従来方法で得られた内周のひずみの誤差、および、理論的ひずみと本実施の形態におけるひずみ計測方法で得られた内周のひずみの誤差は、それぞれ−7.9×10−6、1.1×10−6であった。
以上より、本実施の形態におけるひずみ計測方法では、誤差が数分の一に低減されていることがわかった。このように、本実施の形態におけるひずみ計測方法では、計測精度が向上していることが確認できた。
次に、変位計測のシミュレーション結果について説明する。
上述した環構造体10の変位計測方法の有効性を確認するために、環構造体10の変位計測シミュレーションを行った。ここでは、上述した本実施の形態におけるひずみ計測方法と同じ条件の下、環構造体10の内周のひずみを与えるフーリエ係数pinと外周のひずみを与えるフーリエ係数poutとが得られているものとする。ひずみの計算角度間隔Δθを0.1[°]として、得られているフーリエ係数pinおよびpoutを(式2)に代入して円環の内周と外周のひずみを算出し、変位を求めた。
まず、図15の(b)に示すように、y軸とx軸に関して対象に変位が発生することから、環構造体10を長手方向の軸(中心O)で固定したときの任意の位置における変位を求める。ここで、破線、実線の円はそれぞれ変形前、変形後の円環の中心線、破線円から実線円に伸びている矢印は変位である(各位置から円の外側方向の変位を正としている)。
求められた環構造体10の変位を図16に示す。図16における実線は、観測されたBGSから環構造体10の内周のひずみおよび外周のひずみを求めて変位を計測する本実施の形態における変位計測方法によって求めた変位、破線は(式21)から理論的ひずみを求め、(式19)および(式20)により求めた変位である。ここで、x、y軸方向の直径変化D、Dは力学的解析によって次の(式22)で与えられる。
Figure 2017058292
……………………………………………………………………………………………(式22)
90、180°における求めた円環の変位は、それぞれD/2、D/2の値に対応する。まず、(式22)より求められた90[°]におけるD/2と理論的ひずみから求めた変位はそれぞれ9.436×10−1[mm]、9.462×10−1[mm]であり、その誤差は2.6×10−3[mm]、180[°]におけるD/2と理論的ひずみから求めた変位はそれぞれ−8.665×10−1[mm]、−8.635×10−1[mm]であり、その誤差は3.0×10−3[mm]であることから、誤差は元の変位の1%より小さくなっていることがわかった。したがって、円環の内外周のひずみから変位を計測する方法の有効性が確認できた。
次に、90[°]における本方法で得られた変位は9.453×10−1[mm]であり、上述のD/2との誤差は1.7×10−3[mm]、180[°]において本方法で得られた変位は−8.643×10−1[mm]であり、D/2との誤差は2.2×10−3[mm]であった。このように、本実施の形態における変位計測方法による変位の誤差は、理論的ひずみから求めた変位の誤差と同程度小さくなり、計測精度が向上していることがわかった。したがって、本実施の形態における環構造体10の変位計測方法の有効性が確認できた。
以上、本実施の形態にかかる変位計測装置によると、観測モデルにおいてひずみをフーリエ級数で与えており、計測したBGSから、観測モデルを用いてひずみを計測するので、環構造体においてセンサである環状の構造物を支持している点に限らず、支持している点以外の部分においてもひずみを直接得ることができる。また、計測したひずみに基づいて環構造体の変位を算出するので、環構造体における変位を分布的に算出することができる。したがって、計測対象物である環構造体のあらゆる位置において、ひずみおよび変位を算出することができる。
これにより、計測対象物のあらゆる位置においてひずみおよび変位を計測することができる。
なお、上述した実施の形態では、スペクトル観測ステップの後、ひずみ計測を行い、計測で得られたひずみに基づいて変位を算出する構成であったが、ひずみ計測を行わず、スペクトル観測ステップの後ひずみ計測を行わず、観測したBGSに基づいて変位を算出する構成であっってもよい。
以上、本発明にかかる変位計測方法および変位計測装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではない。実施の形態に対して当業者が思いつく変形を施して得られる形態、および、複数の実施の形態における構成要素を任意に組み合わせて実現される別の形態も本発明に含まれる。
例えば、上述した実施の形態では、環構造体の断面形状を円形としているが、環構造体の断面形状はこれに限らず非線形の連続する形状であればよい。例えば、環構造体の断面形状は楕円形であってもよい。
また、上述した実施の形態では、計測対象物の複数箇所に光ケーブルが配置される構成としたが、光ケーブルを配置する位置は一箇所であってもよいし、複数箇所であってもよい。また、光ケーブルを環構造体の周囲の複数箇所に配置する場合には、これらの光ケーブルは1本の光ケーブルで一筆書きとなるように環構造体の周囲に配置されていてもよい。
また、上述した実施の形態では、計測対象物の環構造体の外周および内周に光ケーブルが配置される構成としたが、計測対象物のひずみのみを計測する場合には、外周のみに光ケーブルが配置される構成としてもよい。
また、上述した実施の形態では、スペクトル観測部30、ひずみ計測部40および変位算出部50は、一台のコンピュータで一体に構成されていてもよいし、複数のコンピュータまたは機器でそれぞれ構成されていてもよい。
また、上述した実施の形態では、評価関数Eを最小化するqを得るための方法として滑降シンプレックス法を用いることとしたが、滑降シンプレックス法に限らず他の方法を用いてもよい。
本発明にかかる変位計測方法および変位計測装置は、トンネル、パイプライン、ガスタンク、航空機など断面が環状の構造物のひずみおよび変位の計測に有用である。
10 環構造体
20a、20b 光ファイバ
30 スペクトル観測部
40 ひずみ計測部
50 変位算出部
60、70、70a、70b 微小片(微小直線梁)
60a、60b、60c 微小直線梁
61 直線梁
100 変位計測装置

Claims (8)

  1. 環構造体の周囲に配置された光ファイバから、前記環構造体のひずみに基づく散乱光のブリルアンゲインスペクトルを観測するスペクトル観測ステップと、
    前記ひずみの観測モデルを構築し、観測した前記ブリルアンゲインスペクトルと前記観測モデルを用いて前記ひずみを計測するひずみ計測ステップとを含み、
    前記観測モデルにおいて、前記ひずみをフーリエ級数で与える
    変位計測方法。
  2. 前記観測モデルは、以下の(式A)で表される
    請求項1に記載の変位計測方法。
    Figure 2017058292
  3. 前記ひずみ計測ステップを行った後、前記ひずみ計測ステップで計測された前記ひずみに基づいて前記環構造体の変位を算出する変位算出ステップを含む
    請求項1または2に記載の変位計測方法。
  4. 前記変位算出ステップにおいて、前記環構造体を微小直線梁の集合とみなして前記環構造体の変位を算出する
    請求項3に記載の変位計測方法。
  5. 環構造体のひずみを計測するひずみ計測ステップと、
    前記ひずみ計測ステップで計測された前記ひずみに基づいて前記環構造体の変位を算出する変位算出ステップとを含み、
    前記変位算出ステップにおいて、前記環構造体を微小直線梁の集合とみなして前記環構造体の変位を算出する
    変位計測方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の変位計測方法をコンピュータに実行させるための
    プログラム。
  7. 環構造体の周囲に配置される光ファイバと、
    前記光ファイバにおける、前記環構造体のひずみに基づく散乱光のブリルアンゲインスペクトルを観測するスペクトル観測部と、
    前記ひずみの観測モデルを構築し、観測した前記ブリルアンゲインスペクトルと前記ひずみの観測モデルを用いて前記ひずみを計測するひずみ計測部とを備え、
    前記観測モデルにおいて、前記ひずみはフーリエ級数で与えられる
    変位計測装置。
  8. 前記変位計測装置は、前記ひずみに基づいて前記環構造体の変位を算出する変位算出部を備える
    請求項7に記載の変位計測装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107462432A (zh) * 2017-08-16 2017-12-12 天津大学 一种考虑钢悬链线立管张力作用下管线轴向定向位移的试验装置
CN111102935A (zh) * 2019-12-31 2020-05-05 武汉汉宁轨道交通技术有限公司 隧道结构检测方法、装置和电子设备

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