JP2017058171A - X線検出器及びその製造方法 - Google Patents

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藤井 淳
Atsushi Fujii
淳 藤井
山田 実
Minoru Yamada
実 山田
島田 勝
Masaru Shimada
勝 島田
雅也 諏訪
Masaya Suwa
雅也 諏訪
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Abstract

【課題】高い気密性で金属容器内部が密閉されるように金属容器とベリリウム箔を接合できるX線検出器及びその製造方法を提供する。
【解決手段】内部にX線の検出用部品が格納され、X線が通過する入射口が開口された金属容器と、入射口を覆って配置されたX線を透過させるベリリウム箔と、入射口の周囲を囲んで金属容器に配置された、熱膨張係数がベリリウム箔と同等の金属を材料とする窓板と、ベリリウム箔の外周部と窓板とを気密接合する金属接合材とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、内部が気密封止されたX線検出器及びその製造方法に関する。
X線検出器は、検出対象のX線が透過する薄い膜状の入射窓が金属容器(筐体)に接続された構造である。X線検出器では、金属容器の内部を真空状態に保ったり特定のガスを金属容器の内部に封入したりするために、金属容器の内部を気密封止することが一般的に行われる。
例えば、X線検出器の金属容器の内部に搭載される検出用部品の温度調整のために、金属容器の内部を真空に保って外部からの熱の影響(熱伝導)を抑制することがある。また、比例計数管では、検出用部品である陽極線におけるリーク電流を抑制するために金属容器の内部を乾燥窒素などの気体で満たしたり、気体の電離作用を利用して信号増幅を行うために金属容器の内部に不活性ガスを満たしたりする。
X線検出器の入射窓には、X線の透過率が高い薄膜状のベリリウム(Be)箔が一般的に使用されている。低エネルギーのX線の透過率を上げるためにはベリリウム箔は薄いほど好ましい。通常、ベリリウム箔と金属容器との接合時におけるクラック発生などのベリリウム箔の破損やベリリウム箔の反りによる接合不良を回避するために、ベリリウム箔と金属容器とは樹脂の接着剤によって接着される。しかし、金属容器の脱ガス処理工程においてベリリウム箔と金属容器とを接着している樹脂が熱分解する懸念があるため、脱ガス処理工程のベーキング温度は100℃以下に制限され、ベーキング時間が長くなる。これに対し、ベリリウム箔と金属容器とをロウ材によって接合する方法がある(例えば、特許文献1参照。)
特開2006−26716号公報
しかしながら、ベリリウム箔と金属容器とをロウ材によって接合するためには真空ベーク炉が必要であり、設備投資額が増大する。また、薄いベリリウム箔とロウ材が反応するため、ベリリウム箔がロウ材に侵食されて製品歩留まりが低下する。
また、X線検出器をヘリウム(He)ガスやネオン(Ne)ガスなどの不活性ガス雰囲気で使用する場合に、これらの不活性ガスが拡散現象によりベリリウム箔と金属容器との接着剤の樹脂を透過する問題がある。不活性ガスが接着部分を通過して金属容器の内部と外部とを行き来することにより、金属容器に格納された検出用部品を冷却する能力やガス増幅率などが劣化する。
上記問題点を鑑み、本発明は、高い気密性で金属容器内部が密閉されるように金属容器とベリリウム箔を接合できるX線検出器及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、(ア)内部にX線の検出用部品が格納され、X線が通過する入射口が開口された金属容器と、(イ)入射口を覆って配置されたX線を透過させるベリリウム箔と、(ウ)入射口の周囲を囲んで金属容器に配置された、熱膨張係数がベリリウム箔と同等の金属を材料とする窓板と、(エ)ベリリウム箔の外周部と窓板とを気密接合する金属接合材とを備えるX線検出器が提供される。
本発明の他の態様によれば、(ア)X線を透過させるベリリウム箔、及び、内部にX線の検出用部品が格納され、X線が通過する入射口が開口された金属容器をそれぞれ準備するステップと、(イ)ベリリウム箔の外周部に第1の金属接合材を形成するステップと、(ウ)熱膨張係数がベリリウム箔と同等の金属を材料とする環形状の窓板に、第1の金属接合材と同じ材料の第2の金属接合材を形成するステップと、(エ)窓板の開口領域を覆うようにベリリウム箔を配置した状態で、第1の金属接合材と第2の金属接合材とを接合してベリリウム箔の外周部と窓板とを気密接合するステップと、(オ)金属容器の入射口の周囲を囲んで窓板が配置されるように、金属容器に窓板を接合するステップとを含むX線検出器の製造方法が提供される。
本発明によれば、高い気密性で金属容器内部が密閉されるように金属容器とベリリウム箔を接合できるX線検出器及びその製造方法を提供できる。
本発明の第1の実施形態に係るX線検出器の構成を示す模式図である。 熱膨張係数と温度との関係を示すグラフである。 比較例のX線検出器の構成を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係るX線検出器のベリリウム箔と窓板の接合部分を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態に係るX線検出器の製造方法を説明するための模式図である(その1)。 本発明の第1の実施形態に係るX線検出器の製造方法を説明するための模式図である(その2)。 本発明の第1の実施形態に係るX線検出器の製造方法を説明するための模式図である(その3)。 本発明の第1の実施形態に係るX線検出器の製造に使用可能な成膜方法を説明するための模式図である。 図8に示した成膜方法に使用される蒸着用マスクの模式図である。 本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係るX線検出器のベリリウム箔と窓板の接合部分を示す模式図である。 本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係るX線検出器の構成を示す模式図である。 本発明の第2の実施形態に係るX線検出器の構成を示す模式図である。
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。
また、以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施形態は、構成部品の材質、形状、構造、配置などを下記のものに特定するものでない。この発明の実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るX線検出器1は、図1に示すように、検出対象のX線が通過する入射口11が開口された金属容器10と、入射口11を覆って配置されたX線を透過させるベリリウム箔20と、入射口11の周囲を囲んで金属容器10に配置された窓板30とを備える。ベリリウム箔20の外周部と窓板30とは、金属接合材40によって気密接合されている。窓板30は入射口11と重なる部分が開口された環形状であり、ベリリウム箔20を透過したX線が金属容器10の内部に格納されたX線の検出用部品によって検出される。
窓板30は、熱膨張係数がベリリウム箔20と同等の金属を材料とする。ここで、「熱膨張係数が同等」とは、金属接合材40によって窓板30に接合されたベリリウム箔20が熱膨張係数の差に起因して破損したり反ったりしない程度に窓板30とベリリウム箔20の熱膨張係数の差が小さいことをいう。X線検出器1によれば、金属容器10との接合に起因するベリリウム箔20の破損や反りに起因する接合不良が抑制される。
ベリリウム箔20の熱膨張係数と窓板30の熱膨張係数は、室温からベリリウム箔20と窓板30とを接合する温度(以下において「接合温度」という。)までの範囲で同等であることが好ましい。これにより、接合後のベリリウム箔20にかかる残留応力を小さくできる。なお、室温付近でベリリウム箔20と熱膨張係数が近くても高温になるほど熱膨張係数の差が大きい材料を窓板30に使用した場合に、接合不良が発生する可能性がある。また、接合温度付近でベリリウム箔20と熱膨張係数が近くても室温付近で熱膨張係数の差が大きい材料を窓板30に使用した場合も同様である。
したがって、室温と接合温度との差が小さいことが好ましい。ベリリウム箔20と窓板30との接合後に行われる金属容器10の脱ガス処理工程は150℃程度で実施される。このため、接合温度を脱ガス処理工程よりも高い温度、例えば200℃程度に設定する。
窓板30の材料には、ステンレス鋼(SUS)やニッケル(Ni)などが使用される。これらの金属の熱膨張係数が、室温から接合温度として設定される200℃の範囲において、Beの熱膨張係数と近いためである。図2に、Beの熱膨張係数と共に、SUS304、SUS410、SUS430及びNiの熱膨張係数を示す。フェライト系のSUS430やマルテンサイト系のSUS410、Niなどが、窓板30の材料に好適に使用される。
図1は、X線検出器1が比例計数管である例を示している。金属容器10は、ガス導入パイプ12が設けられた円筒形のガス封入金属容器である。金属容器10の一方の端面101に検出対象のX線が通過する入射口11が開口され、入射口11の周囲に窓板30が配置されている。そして、入射口11を覆って配置されたベリリウム箔20と窓板30とが、金属接合材40によって接合されている。金属容器10の内部には、X線の検出用部品である陽極線13が格納されている。金属容器10と陽極線13間の絶縁性を確保した接続方法によって、端面101の内壁に陽極線13が接続されている。この接続には、例えばガラス溶接法などを使用可能である。
金属容器10の他方の端面102には、電気信号が伝播するための開口部が設けられ、開口部は絶縁材料からなるキャップ14によって封止されている。キャップ14を貫通して陽極線13に接続する導線の導入端子140がキャップ14に設けられている。導入端子140に、金属容器10の外部の電源110及び前置増幅器120が接続されている。つまり、導入端子140を介して、電源110及び前置増幅器120が陽極線13と電気的に接続されている。キャップ14を配置することによって、端面102における金属容器10と陽極線13間の絶縁性が確保されている。
図1に示したX線検出器1では、電源110によって陽極線13に電圧を印加することにより、陽極線13と金属容器10の内壁面との間に電界を形成する。そして、前置増幅器120によって比例計数管からの出力が増幅される。なお、陽極線13に取り付けられたフィールドチューブ15によって、フィールドチューブ15と金属容器10の端面間で形成される電界の強度が弱められる。これにより、陽極線13周囲の電界分布の歪みが低減される。
X線検出器1では、陽極線13におけるリーク電流を抑制するために金属容器10の内部を乾燥窒素などの気体で満たしたり、気体の電離作用を利用して信号増幅を行うために金属容器内部に不活性ガスを満たしたりする。例えば、Ne、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)又はキセノン(Xe)のいずれかを成分に含む気体を金属容器10の内部に封入する。
金属容器10とベリリウム箔20とを図3に示す比較例のX線検出器1Aのように樹脂接着剤400によって接合した場合には、種々の問題が生じる。例えば、樹脂接着剤400における拡散現象によって金属容器10の内部の不活性ガスが時間の経過と共に金属容器10の外部に放出され、信号増幅率が劣化するなどの不良が生じる。
これに対し、図1に示したX線検出器1では、金属接合材40によってベリリウム箔20と窓板30とが気密封止される。このため、金属容器10とベリリウム箔20との接合部分を気体が通過しない。即ち、金属容器10とベリリウム箔20との接着部分を透過して外部から気体が金属容器10の内部に侵入することが抑制される。また、気体が金属容器10の内部に気体が封入されている場合に、接着部分を透過して金属容器10の内部の気体が外部に放出されることが抑制される。
図4に、ベリリウム箔20と窓板30の接合部分の構造例の拡大図を示す。図4に示した構造では、ベリリウム箔20の金属接合材40に対向する外周部の表面にバリアメタル膜50が配置されている。バリアメタル膜50は、金属接合材40がベリリウム箔20に拡散することを防止するために、金属接合材40とベリリウム箔20との間に配置されている。また、窓板30と金属接合材40との間に、窓板30と金属接合材40との接合強度を向上するための補強金属膜60が配置されている。バリアメタル膜50や補強金属膜60の詳細は後述する。
以下に、図5〜図7を参照して、本発明の実施形態に係るX線検出器1の製造方法を説明する。なお、以下に述べるX線検出器1の製造方法は一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることはもちろんである。以下では、金属容器10がSUS材であり、窓板30の材料がSUS材である場合について例示的に説明する。
まず、ベリリウム箔20、及び、入射口11が開口された金属容器10を準備する。X線を透過させるために、ベリリウム箔20の膜厚は200μm以下であり、例えば10μm〜150μm程度である。なお、以下の説明では、金属容器10については入射口11が形成された端部のみを図示し、内部に格納された検出用部品などの図示を省略している。
図5に示すように、ベリリウム箔20の外周部の表面に第1の金属接合材41を形成する。ここで、第1の金属接合材41として金(Au)を使用する。このとき、第1の金属接合材41であるAuがベリリウム箔20に拡散することを防止するために、ベリリウム箔20の外周部の表面にバリアメタル膜50を形成することが好ましい。Auがベリリウム箔20に拡散することによってベリリウム箔20の強度が劣化し、接合時にベリリウム箔20が割れるなどの問題が生じることを防止するためである。ベリリウム箔20と第1の金属接合材41のAuとの間に、例えば膜厚20nm程度のNi膜をバリアメタル膜50として形成する。
そして、バリアメタル膜50の上からベリリウム箔20の外周部に第1の金属接合材41を形成する。図5に示した例では、バリアメタル膜50の上に膜厚100nm程度の第1の金膜411を形成し、第1の金膜411の上に膜厚5μm程度の第1の金メッキ膜412を形成する。バリアメタル膜50上に第1の金膜411を形成することにより、Ni膜などのバリアメタル膜50と第1の金メッキ膜412との密着性が向上する。なお、膜厚5μmの第1の金メッキ膜412は、ベリリウム箔20と窓板30との接合に加え、接合後のベリリウム箔20にかかる残留応力を緩和する役割を担う。
一方、図6に示すように、開口領域300を有する環形状であり、熱膨張係数がベリリウム箔20と同等の金属を材料とする窓板30に、第1の金属接合材41と同じ材料の第2の金属接合材42を形成する。第1の金属接合材41にAuを使用した場合には、第2の金属接合材42としてAuを使用する。
なお、窓板30の材料がSUS材である場合には、図6に示したように、窓板30の第2の金属接合材42に対向する表面に、第2の金属接合材42と窓板30との接合強度を向上する補強金属膜60を形成することが好ましい。例えば第2の金属接合材42がAuである場合に、補強金属膜60として膜厚20nm程度のNi膜を窓板30の表面に形成する。そして、補強金属膜60の上に第2の金属接合材42を形成する。図6に示した例では、補強金属膜60の上に、膜厚100nm程度の第2の金膜421を形成し、第2の金膜421の上に膜厚5μm程度の第2の金メッキ膜422を形成している。補強金属膜60上に第2の金膜421を形成することにより、補強金属膜60と第2の金メッキ膜422との密着性が向上する。
次いで、図7に示すように、環形状の窓板30の開口領域を覆ってベリリウム箔20が配置された状態になるように、第1の金属接合材41と第2の金属接合材42を重ね合わせる。そして、リング状の工具などを用いて図7に矢印Fで示すように圧力を加え、ベリリウム箔20と窓板30とを金属接合によって接合する。これにより、窓板30の開口領域を覆うようにベリリウム箔20を配置した状態で、第1の金属接合材41と第2の金属接合材42とが接合され、ベリリウム箔20の外周部と窓板30とが気密接合される。例えば、ベリリウム箔20と窓板30を200℃の接合温度で予熱し、超音波振動と圧力を加える超音波金属接合によって第1の金属接合材41と第2の金属接合材42とを圧着接合する。即ち、金属接合材40は第1の金属接合材41と第2の金属接合材42とが接合されたものである。この接合により、ベリリウム箔20と窓板30との間に、バリアメタル膜50、金属接合材40、補強金属膜60の積層膜が構成される。この積層膜は、例えばNi膜−Au膜−Ni膜の積層構造である。なお、超音波振動を加えずに第1の金属接合材41と第2の金属接合材42とを圧着する方法も採用可能である。
その後、金属容器10の入射口11の周囲を囲んで窓板30が配置されるように、金属容器10に窓板30を接合する。即ち、図4に示したように、金属容器10の入射口11と窓板30の開口領域が重なるように金属容器10に窓板30を配置する。例えば、溶接によって窓板30を金属容器10に接合する。これにより、金属容器10が気密封止される。
次いで、金属容器10の脱ガス処理工程を行う。このときのベーキング温度は150℃程度であるため、接合温度をベーキング温度よりも高い200℃程度に設定することによって、ベリリウム箔20と窓板30の接合部分の信頼性を確保できる。また、樹脂接着剤の熱分解などを考慮しなくてもよいため、ベーキング温度を100℃以上に設定できる。このため、樹脂接着剤を用いる場合に比べて脱ガス処理工程の時間を短縮できる。
上記のバリアメタル膜50の成膜には、例えばデポダウン型のスパッタリング装置などを使用する。このとき、ベリリウム箔20の中央部分にマスクを配置することによって、X線の透過領域であるベリリウム箔20の中央部分にバリアメタル膜50が形成されない。
第1の金膜411は、例えば、図8に示すような蒸着用マスク200を使用してデポアップ型の蒸着方法により成膜する。図9に、蒸着用マスク200の平面図を示す。図8に示した蒸着用マスク200は図9のVIII−VIII方向に沿った断面図である。蒸着用マスク200の中央部201は、開口部分に架かる橋状部202によって周辺部203に支持される。蒸着用マスク200を使用することによって、蒸着用マスク200の開口部分に露出するベリリウム箔20の外周部に第1の金膜411が形成される。一方、蒸着用マスク200の中央部201で遮蔽されたベリリウム箔20の中央部分には第1の金膜411は形成されない。なお、蒸着用マスク200の橋状部202とベリリウム箔20との間の隙間にAuがまわり込むため、ベリリウム箔20の橋状部202と対向する領域にもAu膜が形成される。このため、図9に示した蒸着用マスク200を使用することにより、中央部分に開口部を有するリング形状に第1の金膜411を成膜できる。
また、デポダウン型の蒸着装置を使用し、ベリリウム箔20の中央部分にマスクを配置することによっても、第1の金膜411を形成可能である。
第1の金メッキ膜412は、例えば、X線の透過領域であるベリリウム箔20の中央部分をメッキレジストでマスクした状態で形成する。
以上に説明したX線検出器1の製造方法によれば、ベリリウム箔20と窓板30とを金属接合材40によって金属接合できる。このため、比較例のX線検出器1Aのように接着部分の樹脂を透過して金属容器10の内部の気体が外部に放出されたり外部の気体が内部に侵入したりすることが防止される。また、樹脂接着剤を使用しないため、樹脂接着剤からのデガスの影響がない。
更に、上記の製造方法では、700℃〜800℃程度の接合温度でベリリウム箔20と金属容器10とをロウ材によって接合する方法と比べて、接合温度が低い。このため、ベリリウム箔20にかかる残留応力が小さく、ベリリウム箔20でのクラックの発生などを抑制できる。
以上の説明では、金属接合材40としてAuを使用する例を示したが、他の材料、例えば銅(Cu)などを使用してもよい。また、バリアメタル膜50として、Ni膜以外の金属膜、例えばチタン(Ti)膜やタングステン(W)膜、これらを積層した膜などを使用してもよい。
<第1の変形例>
上記では窓板30がSUS材である例を示したが、既に述べたようにNi材も窓板30に好適に使用可能である。図10に、窓板30にNi材を使用し、金属接合材40にAuを使用した場合の、ベリリウム箔20と窓板30との接合部分の構成例を示す。図10に示した接合部分は、窓板30上に直接に金属接合材40が配置されており、補強金属膜60が形成されていない点が図4に示した構造と異なる。
SUS材とAu膜との接合とは異なり、Ni材とAu膜との接合の場合には、補強金属膜60が無くても接合強度は一定程度以上に確保される。このように、窓板30と金属接合材40の材料の組み合わせによって、窓板30と金属接合材40との接合強度がX線検出器1の信頼性や機能を確保できる程度に高ければ、補強金属膜60を配置しなくてもよい。
図10に示した接合部分の構成は、例えば窓板30に第2の金膜421と第2の金メッキ膜422を順次成膜することによって実現できる。製造方法の部分は、図5〜図7を参照して説明した方法と同様である。
<第2の変形例>
図11に、第1の実施形態の第2の変形例に係るX線検出器1を示す。図11に示したX線検出器1は、バリアメタル膜50が、ベリリウム箔20の外周部を超えてX線が透過する領域上にも延在している点が図4に示したX線検出器1と異なる。他は、図4に示した構造と同様である。
バリアメタル膜50は、例えば膜厚20nmのNi膜である。この程度の薄い膜厚であれば、Ni膜によるX線の吸収は問題にならない。即ち、バリアメタル膜50の膜厚は、金属接合材40がベリリウム箔20に拡散することを防止し、且つ、X線が透過する厚みに設定する。図11に示したX線検出器1ではNi膜の形状を金属容器10の入射口の形状に合わせて加工する必要が無く、製造工程を簡略化できる。
(第2の実施形態)
X線の検出には、陽極線以外の検出用部品も使用される。例えば、照射されたX線のエネルギーを電気信号に変換する検出素子が使用される。検出素子の例としては、シリコン(Si)基板を用いたP−I−N接合を有する半導体検出素子や、SDD(Silicon Drift Detector)素子などがある。例えばP−I−N接合を有する半導体検出素子では、I層に入射したX線により半導体検出素子内に電子と正孔が生じ、外部に電流パルスとして検出される。
図12に、検出素子16を検出用部品に使用したX線検出器1の例を示す。検出素子16から出力された電気信号は、図示を省略する初段FET回路などによってX線のエネルギーに比例した電圧に変換・増幅され、リード線17を伝播して検出信号として出力される。
図12に示したX線検出器1では、図1に示したX線検出器1と同様に、ベリリウム箔20の外周部と窓板30とが金属接合材40によって接合されている。また、図4に示した構造のように、ベリリウム箔20と金属接合材40との間にバリアメタル膜50を配置した構造を採用可能である。このとき、図11に示した構造と同様に、ベリリウム箔20のX線が透過する領域上にもバリアメタル膜50を配置してもよい。また、窓板30と金属接合材40との間に補強金属膜60を配置した構造も採用可能である。
図12に示したX線検出器1では、熱雑音や暗電流を抑制して微弱な光を検出する場合などに、例えば−70℃〜−20℃程度の低温で検出素子16を動作させることが好ましい。このため、金属容器10の内部に配置されたサーモモジュール18上に検出素子16が搭載されている。サーモモジュール18には、例えばペルチェ素子を複数実装したものが用いられる。
検出素子16を低温で動作させる場合などには、金属容器10の内部を真空に保ち、検出素子16を真空環境下に置くことが有効である。これにより、外部からの熱の影響(熱伝導)が抑制され、検出素子16の温度調整が容易である。
また、微弱エネルギーの放射線の減衰を防ぐために、X線検出器1をHe雰囲気中で使用することがある。このとき、図3に示した比較例のX線検出器1Aでは、X線検出器1の金属容器10とベリリウム箔20とを接合する樹脂接着剤における拡散現象によって、周囲のHeガスが金属容器10の内部に侵入する場合がある。検出用部品を常時冷却して使用する場合、金属容器10内部に熱伝導率の大きいHeガスが侵入すると、少量のHeの影響で冷却能力が不足するおそれがある。
これに対し、図12に示したX線検出器1では、ベリリウム箔20と窓板30とが金属接合材40によって接合され、金属容器10の内部が気密封止される。このため、金属容器10の内部を真空に保持する場合に、金属容器10とベリリウム箔20との接合部分を通って外部から金属容器10の内部に気体が侵入することを防止できる。したがって、図12に示したX線検出器1によれば、金属容器10の内部の真空度が低下したり冷却能力が不足したりすることを防止できる。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
既に述べた実施形態の説明では、ベリリウム箔20と金属接合材40との間にバリアメタル膜50を配置する例を示した。しかし、金属接合材40がベリリウム箔20に影響を及ぼさない材料である場合などには、バリアメタル膜50を配置しなくてもよい。また、X線検出器1の信頼性などの観点から窓板30と金属接合材40との接合強度が十分であれば、窓板30と金属接合材40との間に補強金属膜60を配置しなくてもよい。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことはもちろんである。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
1…X線検出器
10…金属容器
11…入射口
13…陽極線
16…検出素子
20…ベリリウム箔
30…窓板
40…金属接合材
41…第1の金属接合材
42…第2の金属接合材
50…バリアメタル膜
60…補強金属膜
200…蒸着用マスク
400…樹脂接着剤
411…第1の金膜
412…第1の金メッキ膜
421…第2の金膜
422…第2の金メッキ膜

Claims (13)

  1. 内部にX線の検出用部品が格納され、前記X線が通過する入射口が開口された金属容器と、
    前記入射口を覆って配置された前記X線を透過させるベリリウム箔と、
    前記入射口の周囲を囲んで前記金属容器に配置された、熱膨張係数が前記ベリリウム箔と同等の金属を材料とする窓板と、
    前記ベリリウム箔の外周部と前記窓板とを気密接合する金属接合材と
    を備えることを特徴とするX線検出器。
  2. 前記ベリリウム箔の前記外周部において、前記金属接合材が前記ベリリウム箔に拡散することを防止するバリアメタル膜が前記金属接合材と前記ベリリウム箔との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のX線検出器。
  3. 前記金属接合材が金膜であり、前記バリアメタル膜がニッケル膜であることを特徴とする請求項2に記載のX線検出器。
  4. 前記窓板の材料がステンレス鋼であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のX線検出器。
  5. 前記窓板の前記金属接合材に対向する表面に、前記金属接合材と前記窓板との接合強度を向上する補強金属膜が配置されていることを特徴とする請求項4に記載のX線検出器。
  6. 前記金属接合材が金膜であり、前記補強金属膜がニッケル膜であることを特徴とする請求項5に記載のX線検出器。
  7. 前記窓板の材料がニッケルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のX線検出器。
  8. X線を透過させるベリリウム箔、及び、内部に前記X線の検出用部品が格納され、前記X線が通過する入射口が開口された金属容器をそれぞれ準備するステップと、
    前記ベリリウム箔の外周部に第1の金属接合材を形成するステップと、
    熱膨張係数が前記ベリリウム箔と同等の金属を材料とする環形状の窓板に、前記第1の金属接合材と同じ材料の第2の金属接合材を形成するステップと、
    前記窓板の開口領域を覆うように前記ベリリウム箔を配置した状態で、前記第1の金属接合材と前記第2の金属接合材とを接合して前記ベリリウム箔の外周部と前記窓板とを気密接合するステップと、
    前記金属容器の前記入射口の周囲を囲んで前記窓板が配置されるように、前記金属容器に前記窓板を接合するステップと
    を含むことを特徴とするX線検出器の製造方法。
  9. 前記第1の金属接合材を形成するステップが、
    前記ベリリウム箔の前記外周部に、前記第1の金属接合材が前記ベリリウム箔に拡散することを防止するバリアメタル膜を形成する段階と、
    前記バリアメタル膜の上に前記第1の金属接合材を形成する段階と
    を含むことを特徴とする請求項8に記載のX線検出器の製造方法。
  10. 前記第1の金属接合材が金膜であり、前記バリアメタル膜がニッケル膜であることを特徴とする請求項9に記載のX線検出器の製造方法。
  11. 前記窓板の材料がステンレス鋼であり、
    前記第2の金属接合材を形成するステップが、
    前記窓板の前記第2の金属接合材に対向する表面に、前記第2の金属接合材と前記窓板との接合強度を向上する補強金属膜を形成する段階と、
    前記補強金属膜の上に前記第2の金属接合材を形成する段階と
    を含むことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載のX線検出器の製造方法。
  12. 前記第2の金属接合材が金膜であり、前記補強金属膜がニッケル膜であることを特徴とする請求項11に記載のX線検出器の製造方法。
  13. 前記窓板の材料がニッケルであることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載のX線検出器の製造方法。
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