JP2017057781A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転に使用する燃料として液体燃料と気体燃料とが切り替え可能な内燃機関に対し、ブレーキブースタに十分な負圧を作用させることができる制御装置を提供する。【解決手段】暖機運転の完了後(ステップST2でNO判定)における気体燃料を使用したエンジンの運転時(ステップST5)、ブレーキブースト圧が所定値未満となった場合には(ステップST3でNO判定)、気体燃料を使用した運転から液体燃料を使用した運転に切り替える(ステップST4)。これにより、気体燃料が吸気通路内を加圧する状況を解消して、吸入負圧が十分に確保できるようにし、ブレーキブースタに作用する負圧を十分に確保する。【選択図】図3

Description

本発明は内燃機関の制御装置に係る。特に、本発明は、運転に使用する燃料として液体燃料と気体燃料とが切り替え可能な内燃機関に適用される制御装置に関する。
従来、特許文献1に開示されているように、運転に使用する燃料として液体燃料(例えばガソリン)と気体燃料(例えばCNG;Compressed Natural Gas)とが切り替え可能な内燃機関が知られている。この種の内燃機関は、液体燃料が貯留された液体燃料タンクと気体燃料が充填された気体燃料ボンベとを備え、内燃機関の運転状態に応じて、その運転に使用する燃料を液体燃料と気体燃料との間で切り替え可能となっている。
また、特許文献1には、気体燃料を使用した内燃機関の運転時に、車両の減速要求が生じた場合、スロットル開度を、アイドリング運転時の目標スロットル開度よりも小さくして吸入負圧を大きくすることが開示されている。これにより、ブレーキブースタに十分な負圧を作用させ、運転者のブレーキ操作力に対するアシスト力を確保するようにしている。
特開2013−231427号公報
しかしながら、気体燃料を使用した内燃機関の運転時に、特許文献1に開示されているスロットル開度制御を行ったとしても、吸入負圧が小さくなる(吸入負圧の絶対値が小さくなる)条件(例えば内燃機関の低負荷運転時等の条件)が重なった場合には、十分な吸入負圧が得られない状況を招く可能性がある。この場合、ブレーキブースタに十分な負圧を作用させることが困難になる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、運転に使用する燃料として液体燃料と気体燃料とが切り替え可能な内燃機関に対し、ブレーキブースタ(制動補助装置)に十分な負圧を作用させることができる制御装置を提供することにある。
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、運転に使用する燃料として液体燃料と気体燃料とが切り替え可能な内燃機関と、この内燃機関の吸入負圧を利用して運転者の制動操作力を補助する制動補助装置とを備えた車両において前記内燃機関に適用される制御装置を前提とする。この制御装置に対し、前記気体燃料を使用した内燃機関の運転時、前記制動補助装置に作用する負圧(負圧の絶対値)が所定値よりも小さくなった場合には、前記内燃機関の運転を、前記気体燃料を使用する運転から前記液体燃料を使用する運転に切り替える使用燃料切り替え部を備えさせている。
この特定事項により、気体燃料を使用した内燃機関の運転時、制動補助装置に作用する負圧が所定値よりも小さくなった場合には、使用燃料切り替え部が、内燃機関の運転を、気体燃料を使用する運転から液体燃料を使用する運転に切り替える。これにより、気体燃料が内燃機関の吸気通路内を加圧することに起因して吸入負圧が小さくなっているといった状況を解消して、吸入負圧が十分に確保できるようにする。その結果、制動補助装置に作用する負圧を十分に得ることが可能となる。
本発明では、気体燃料を使用した内燃機関の運転時、制動補助装置に作用する負圧が所定値よりも小さくなった場合には、内燃機関の運転を、気体燃料を使用する運転から液体燃料を使用する運転に切り替えるようにしている。これにより、吸入負圧を十分に確保することができ、制動補助装置に作用する負圧を十分に得ることが可能となる。
実施形態に係るエンジンの概略構成を示す図である。 エンジンの制御系を示すブロック図である。 使用燃料切り替え制御の手順を示すフローチャート図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、車両に搭載された多気筒(例えば4気筒)の火花点火式エンジン(内燃機関)に本発明を適用した場合について説明する。
−エンジン−
図1は本実施形態に係るエンジン1の概略構成を示す図である。なお、この図1ではエンジン1の1気筒の構成のみを示している。また、このエンジン1は、運転に使用する燃料として液体燃料と気体燃料とが切り替え可能となっている。具体的に、液体燃料としてはアルコール(例えばエタノール)とガソリンとの混合液体燃料が採用されている。また、気体燃料としてはCNG(圧縮天然ガス)が採用されている。
本実施形態に係るエンジン1は、4つの気筒11が形成されたシリンダブロック12と、このシリンダブロック12の上部に取り付けられたシリンダヘッド13とを備えている。各気筒11にはピストン14が往復動可能に挿入されている。各ピストン14はコネクティングロッド15を介してクランクシャフト16に連結されている。
エンジン1の吸気通路2には、エアクリーナ21、エアフローメータ93、吸気温センサ94、スロットルバルブ22が設けられている。スロットルバルブ22はスロットルモータ23によって駆動される。また、この吸気通路2は、各気筒11に吸気を分配する吸気マニホールド24と、気筒11毎に設けられて吸気マニホールド24に接続される吸気ポート25とを含む。
一方、排気通路3には、A/Fセンサ96および触媒コンバータ31が設けられている。この排気通路3は、気筒11毎に設けられた排気ポート32と、各排気ポート32を集合する排気マニホールド33とを含む。
前記シリンダヘッド13には、吸気ポート25を開閉する吸気バルブ26と、排気ポート32を開閉する排気バルブ36とが設けられている。これらのバルブ26,36は、動弁機構17によって、クランクシャフト16と同期して開閉駆動される。
各気筒11には、導入された混合気を着火させるための点火プラグ5が設けられている。この点火プラグ5はイグナイタ51によって点火時期が調整される。
本実施形態に係るエンジン1の燃料供給系は、液体燃料供給系6と気体燃料供給系7とを備えている。
液体燃料供給系6は、前記液体燃料を貯留した液体燃料タンク61、燃料ポンプ62、液体燃料供給配管63、液体燃料デリバリパイプ64、各気筒毎に備えられた液体燃料インジェクタ65を備えている。
この液体燃料供給系6では、燃料ポンプ62が液体燃料タンク61内の液体燃料を汲み上げ、その液体燃料を液体燃料供給配管63を経て液体燃料デリバリパイプ64に圧送する。そして、所定の液体燃料インジェクタ65が開弁されることにより、特定の気筒11に向けて液体燃料が噴射される。
気体燃料供給系7は、前記気体燃料が充填された気体燃料ボンベ71、気体燃料配管72a,72b,72c、レギュレータ77、気体燃料デリバリパイプ73、各気筒毎に備えられた気体燃料インジェクタ74を備えている。
前記気体燃料配管72a,72b,72cは、高圧側配管72a、第1低圧側配管72b、第2低圧側配管72cを備えている。気体燃料ボンベ71とレギュレータ77とが高圧側配管72aによって接続されている。レギュレータ77と気体燃料デリバリパイプ73とが第1低圧側配管72bによって接続されている。各気体燃料インジェクタ74と吸気マニホールド24とが第2低圧側配管72cによって接続されている。前記レギュレータ77は、気体燃料ボンベ71から供給される気体燃料の圧力を所定圧力まで減圧させるためのものである。気体燃料ボンベ71と高圧側配管72aとの接続部分には電磁駆動式の第1遮断弁75が設けられている。高圧側配管72aとレギュレータ77との接続部分には電磁駆動式の第2遮断弁76が設けられている。また、高圧側配管72aには高圧側ガス圧力センサ99aが、気体燃料デリバリパイプ73には低圧側ガス圧力センサ99bがそれぞれ設けられている。
この気体燃料供給系7では、第1遮断弁75および第2遮断弁76が共に開放されると、気体燃料が、気体燃料ボンベ71から高圧側配管72aおよび第1低圧側配管72bを経て気体燃料デリバリパイプ73に供給される。そして、所定の気体燃料インジェクタ74が開弁されることにより、気体燃料デリバリパイプ73から、この気体燃料インジェクタ74を経て特定の気筒11に向けて気体燃料が噴射される。
このように構成されたエンジン1では、吸気行程にある気筒11内に向けて液体燃料インジェクタ65または気体燃料インジェクタ74から燃料が噴射され、それにより、気筒11内に混合気が導入される。そして、圧縮行程の後、混合気が点火プラグ5の火花により着火して燃焼する。その燃焼により生じた燃焼圧力によってピストン14が往復運動し、この往復運動が、コネクティングロッド15を介してクランクシャフト16に伝えられてエンジン1の出力として取り出される。
また、燃焼後の排気ガスは、排気通路3に導かれ、触媒コンバータ31にて浄化された後、図示しないマフラを介して大気へ放出される。
また、本実施形態に係る車両は、運転者のブレーキ操作力(制動操作力)を補助するためのブレーキブースタ(制動補助装置)100を備えている。このブレーキブースタ100は、負圧導入配管101によって吸気通路2に接続されている。この負圧導入配管101には、吸気通路2から作用する負圧(吸入負圧)を蓄積する負圧タンク102が設けられている。また、負圧導入配管101における吸気通路2との接続位置およびブレーキブースタ100との接続位置それぞれには、負圧導入配管101およびブレーキブースタ100における負圧を保持するための逆止弁105,106が設けられている。
このブレーキブースタ100は、周知の如く、吸気通路2に生じている吸入負圧を利用することによって作動し、運転者によるブレーキペダル103の踏込み操作力(ブレーキ力)をアシストする(吸入負圧と大気圧との差圧を利用してブレーキ力をアシストする)。ブレーキブースタ100で発生したアシスト力は、マスタシリンダ104内でブレーキ油圧を発生させ、このブレーキ油圧が図示しない各車輪のブレーキ装置に供給されて車輪の回転を減速または停止させる制動力となる。
また、ブレーキブースタ100における負圧導入室(吸気通路2に連通する負圧導入室)には、このブレーキブースタ100に作用している負圧を検出するためのブレーキブースト圧センサ90が設けられている。
−制御ブロックの説明−
以上の如く構成されたエンジン1の運転状態はエンジンECU(Electronic Control Unit)8によって制御される。このエンジンECU8は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)83およびバックアップRAM84などを備えている。
これらCPU81、ROM82、RAM83およびバックアップRAM84は、バス87を介して互いに接続されるとともに、外部入力回路85および外部出力回路86と接続されている。外部入力回路85には、クランクポジションセンサ91、水温センサ92、エアフローメータ93、吸気温センサ94、スロットル開度センサ95、A/Fセンサ96、アクセル開度センサ97、カム角センサ98、前記高圧側ガス圧力センサ99a、前記低圧側ガス圧力センサ99b、前記ブレーキブースト圧センサ90等が接続されている。各センサの構成および機能は周知であるため、ここでの説明は省略する。
また、この外部入力回路85には、気体燃料要求スイッチ4が接続されている。この気体燃料要求スイッチ4は、車室内に配設され、車両の運転者が、使用燃料として気体燃料を要求する場合にON操作されるスイッチである。つまり、この気体燃料要求スイッチ4がON状態である場合には、気体燃料の使用を禁止する条件(後述するブレーキブースト圧(負圧の絶対値)が所定値未満である場合や、エンジン1の暖機運転中である場合など)が成立していない限り、気体燃料が使用されることになる。
一方、外部出力回路86には、スロットルモータ23、イグナイタ51、燃料ポンプ62、液体燃料インジェクタ65、気体燃料インジェクタ74、第1遮断弁75、第2遮断弁76等が接続されている。
エンジンECU8は、前記各種センサの検出信号等に基づいて、エンジン1の各種制御を実行する。例えば、燃料噴射量制御(液体燃料インジェクタ65からの液体燃料噴射量の制御や、気体燃料インジェクタ74からの気体燃料噴射量の制御等)、点火プラグ5の点火タイミング制御、スロットルモータ23の駆動制御等が実行される。
また、エンジンECU8は、前記各種センサの検出信号および気体燃料要求スイッチ4のON/OFF信号等に基づいて、使用する燃料を液体燃料と気体燃料との間で切り替える使用燃料切り替え制御を実行する。
エンジンECU8は、液体燃料インジェクタ65を用いたエンジン1の運転を実行するときには、燃料ポンプ62を駆動して液体燃料タンク61内の液体燃料を液体燃料デリバリパイプ64に供給する。そして、エンジンECU8は、液体燃料インジェクタ65を開閉動作させることで、この液体燃料インジェクタ65から吸気通路2に液体燃料を噴射させる。以下、この液体燃料によるエンジン1の運転を実行するときの燃料供給系のモードを液体燃料運転モードという。なお、この液体燃料運転モードでのエンジン1の運転時には、第1遮断弁75および第2遮断弁76は共に閉弁状態にされる。これにより、気体燃料ボンベ71と気体燃料インジェクタ74との間は遮断状態にされる。
これに対し、エンジンECU8は、気体燃料インジェクタ74を用いたエンジン1の運転を実行するときには、第1遮断弁75および第2遮断弁76を共に開弁状態とすることで、気体燃料ボンベ71と気体燃料インジェクタ74とを連通させる。そして、エンジンECU8は、気体燃料インジェクタ74を開閉動作させることで、この気体燃料インジェクタ74から吸気通路2に気体燃料を噴射させる。以下、この気体燃料によるエンジン1の運転を実行するときの燃料供給系のモードを気体燃料運転モードという。
−使用燃料切り替え制御−
次に、使用燃料切り替え制御について説明する。
先ず、使用燃料切り替え制御の基本動作について説明する。この使用燃料切り替え制御の基本動作は、前記気体燃料要求スイッチ4がONされていることを条件に、エンジン1の冷間始動後における暖機運転中は液体燃料を使用し、エンジン1の暖機完了後には、使用する燃料を液体燃料から気体燃料に切り替えるようになっている。
具体的には、冷間時にイグニッションスイッチがON操作されてエンジン1が始動すると、エンジンECU8は、エンジン1の運転モードを液体燃料運転モードに設定する。つまり、冷間始動後の暖機運転中は、液体燃料を使用した運転が行われる。
そして、この液体燃料運転モードの実行中に、気体燃料要求スイッチ4がOFF操作されることなく、冷却水温度が所定温度(暖機完了温度)に達することで暖機運転が完了すると、エンジンECU8は、エンジン1の運転モードを液体燃料運転モードから気体燃料運転モードに切り替える。つまり、気体燃料を使用した運転に切り替える。その後のエンジン1の継続運転中は、気体燃料要求スイッチ4がOFF操作されない限り、気体燃料運転モードでの運転が継続される。
次に、本実施形態の特徴とする使用燃料切り替え制御について説明する。
前記気体燃料運転モードでの運転時にあっては、気体燃料インジェクタ74から吸気通路2に噴射される気体燃料が、この吸気通路2の内部を加圧することになり、この吸気通路2での吸入負圧が十分に得られない状況を招く可能性がある。この場合、ブレーキブースタ100に十分な負圧を作用させることができなくなる可能性がある。特に、エンジン1の運転負荷が低い場合や、車両が標高の高い高地を走行している場合等にあっては、このような状況を招きやすくなる。
この点に鑑み、本実施形態では、気体燃料を使用したエンジン1の運転時に、ブレーキブースタ100に作用する負圧(負圧の絶対値)が所定値よりも小さくなった場合には、エンジン1の運転を、気体燃料運転モードから液体燃料運転モードに切り替えるようにしている。つまり、気体燃料を使用する運転から液体燃料を使用する運転に切り替えるようにしている。この動作は、前記エンジンECU8によって実行される。
このため、エンジンECU8において、この動作を実行する機能部分(本発明でいう、気体燃料を使用した内燃機関の運転時、制動補助装置に作用する負圧が所定値よりも小さくなった場合には、内燃機関の運転を、気体燃料を使用する運転から液体燃料を使用する運転に切り替える機能部分)が本発明でいう使用燃料切り替え部として構成されている。
以下、本実施形態における使用燃料切り替え制御の手順について図3のフローチャートを用いて説明する。このフローチャートは、イグニッションスイッチのON操作に伴ってエンジン1が始動した後、所定時間毎に繰り返して実行される。
先ず、ステップST1において、前記気体燃料要求スイッチ4がON状態となっているか(車両の運転者が、使用燃料として気体燃料を要求しているか)否かを判定する。気体燃料要求スイッチ4がOFF状態となっており、ステップST1でNO判定された場合には、車両の運転者は気体燃料の使用を要求していないとして、ステップST4に移り、前記液体燃料運転モードでエンジン1を運転させる。つまり、暖機運転の完了の有無やブレーキブースタ100に作用している負圧に関わりなく、液体燃料を使用してエンジン1を運転させる。
一方、気体燃料要求スイッチ4がON状態となっており、ステップST1でYES判定された場合には、ステップST2に移り、現在のエンジン1の運転状態が暖機運転中であるか否かを判定する。この判定は、例えば前記水温センサ92によって検出される冷却水温度等に基づいて行われる。つまり、冷却水温度が所定温度未満(暖機完了温度未満)である場合には、暖機運転中であると判定されることになる。
現在のエンジン1の運転状態が暖機運転中であり、ステップST2でYES判定された場合には、ステップST4に移り、前記液体燃料運転モードでエンジン1を運転させる。つまり、液体燃料を使用した暖機運転を継続させる。このように、気体燃料要求スイッチ4がOFF状態となっている場合、および、エンジン1の運転状態が暖機運転中である場合の何れにおいても、液体燃料運転モードでエンジン1を運転させることになる。
一方、現在のエンジン1の運転状態が暖機運転中ではなく(暖機運転が完了しており)、ステップST2でNO判定された場合には、ステップST3に移り、ブレーキブースタ100に作用する負圧(ブレーキブースト圧;負圧の絶対値)が所定値α以上となっているか否かを判定する。このブレーキブースト圧は、前記ブレーキブースト圧センサ90によって検出される。また、この所定値αとしては、運転者のブレーキ操作力に対するブレーキブースタ100のアシスト力を十分に確保できる値として、実験またはシミュレーションによって予め設定されている。
このブレーキブースト圧が所定値α以上であって、ステップST3でYES判定された場合には、ステップST5に移り、前記気体燃料運転モードでエンジン1の運転を行わせる。つまり、気体燃料要求スイッチ4がON状態となっていること、暖機運転が完了していること、ブレーキブースト圧が所定値α以上となっていることの全ての条件が成立している場合には、気体燃料運転モードでエンジン1の運転を行わせる。
このようにして気体燃料運転モードでエンジン1の運転が行われている状況において、次回のルーチンで、気体燃料要求スイッチ4のON状態が維持された状態で、ブレーキブースト圧が所定値α未満となり、ステップST3でNO判定された場合には、ステップST4に移り、前記気体燃料運転モードでのエンジン1の運転から液体燃料運転モードでのエンジン1の運転に切り替える。つまり、ブレーキブースト圧が所定値α未満となっている原因としては、気体燃料インジェクタ74から吸気通路2に噴射される気体燃料が、この吸気通路2の内部を加圧している可能性があると考えられるため、このような状況を解消するべく、液体燃料運転モードでのエンジン1の運転に切り替える。言い換えると、エンジン1の暖機運転が完了していても(ステップST2でNO判定されても)、ブレーキブースト圧が所定値α未満となった場合には、気体燃料運転モードでのエンジン1の運転から液体燃料運転モードでのエンジン1の運転に切り替える。このステップST3、ST4の動作が、本発明でいう「使用燃料切り替え部による動作であって、気体燃料を使用した内燃機関の運転時、制動補助装置に作用する負圧が所定値よりも小さくなった場合には、内燃機関の運転を、気体燃料を使用する運転から液体燃料を使用する運転に切り替える動作」に相当する。
このようにして液体燃料運転モードでのエンジン1の運転に切り替えられた以後のルーチンにあっては、気体燃料要求スイッチ4のON状態が維持された状態で、ブレーキブースト圧が所定値α以上となった時点で、ステップST3でYES判定され、再び、気体燃料運転モードでのエンジン1の運転に戻されることになる(ステップST5)。
このような使用燃料切り替え制御が行われるため、前記エンジンECU8によって本発明に係る内燃機関の制御装置が構成される。この制御装置は、ブレーキブースト圧センサ90、水温センサ92、気体燃料要求スイッチ4等からの各信号を入力信号として受信する構成となっている。また、この制御装置は、燃料ポンプ62、液体燃料インジェクタ65、気体燃料インジェクタ74、第1遮断弁75、第2遮断弁76等への各信号を出力信号として出力する構成となっている。
以上説明したように、本実施形態では、気体燃料運転モードでのエンジン1の運転状態で、ブレーキブースト圧(負圧の絶対値)が所定値α未満となった場合には、気体燃料運転モードでのエンジン1の運転から液体燃料運転モードでのエンジン1の運転に切り替えるようにしている。これにより、気体燃料インジェクタ74から噴射されている気体燃料が吸気通路2の内部を加圧している状況を解消することで、吸入負圧が十分に確保され、ブレーキブースタ100に作用する負圧を十分に得ることが可能となって、運転者のブレーキ操作力に対するアシスト力を十分に確保することができる。
(他の実施形態)
以上説明した実施形態では、気体燃料としてCNGを採用していたが、これに限らず、水素等の気体燃料を採用することも可能である。
また、前記実施形態では、液体燃料としてアルコールとガソリンとの混合液体燃料を採用していたが、これに限らず、ガソリン単体で成る液体燃料や、アルコール単体で成る液体燃料を採用することも可能である。
また、前記実施形態では、ブレーキブースタ100に作用している負圧を検出するセンサとして、ブレーキブースタ100における負圧導入室の負圧を検出するブレーキブースト圧センサ90を採用していた。本発明はこれに限らず、負圧タンク102内の負圧を検出する圧力センサを採用するようにしてもよい。また、これらセンサ(負圧導入室の負圧を検出するブレーキブースト圧センサ90および負圧タンク102内の負圧を検出する圧力センサ)を備えさせ、各センサで検出される負圧(負圧の絶対値)のうち少なくとも一つが所定値未満となった場合に、エンジン1の運転モードを気体燃料運転モードから液体燃料運転モードに切り替えるようにしてもよい。また、この場合、各センサで検出される負圧(負圧の絶対値)それぞれが共に所定値以上となった場合に、エンジン1の運転モードを液体燃料運転モードから気体燃料運転モードに戻すことになる。
また、前記実施形態では、ブレーキブースト圧が所定値α未満となった時点で、エンジン1の運転モードを気体燃料運転モードから液体燃料運転モードに切り替え、このブレーキブースト圧が所定値α以上となった時点で、エンジン1の運転モードを液体燃料運転モードから気体燃料運転モードに戻すようにしていた。本発明はこれに限らず、気体燃料運転モードから液体燃料運転モードへの切り替えを行うブレーキブースト圧を、液体燃料運転モードから気体燃料運転モードへの切り替えを行うブレーキブースト圧よりも小さく設定し(モード切り替えの閾値にヒステリシスを設け)、運転モードの切り替わりのハンチングを防止できるようにしてもよい。
本発明は、使用する燃料として液体燃料と気体燃料とが切り替え可能な内燃機関において、ブレーキブースタに十分な負圧を作用させることができる制御に適用可能である。
1 エンジン(内燃機関)
8 エンジンECU
90 ブレーキブースト圧センサ
100 ブレーキブースタ

Claims (1)

  1. 運転に使用する燃料として液体燃料と気体燃料とが切り替え可能な内燃機関と、この内燃機関の吸入負圧を利用して運転者の制動操作力を補助する制動補助装置とを備えた車両において前記内燃機関に適用される制御装置であって、
    前記気体燃料を使用した内燃機関の運転時、前記制動補助装置に作用する負圧が所定値よりも小さくなった場合には、前記内燃機関の運転を、前記気体燃料を使用する運転から前記液体燃料を使用する運転に切り替える使用燃料切り替え部を備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
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