JP2017057240A - 除塵埃、物品の付着・剥離、繰り返し使用を可能とする粘着性を有する架橋成型物及びその製造方法。 - Google Patents

除塵埃、物品の付着・剥離、繰り返し使用を可能とする粘着性を有する架橋成型物及びその製造方法。 Download PDF

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正昭 高嶋
芳紀 林
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芳紀 林
渡辺 孝司
Koji Watanabe
孝司 渡辺
前田 吉弘
Yoshihiro Maeda
吉弘 前田
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Abstract

【課題】本発明は、床面、壁面、種々の製品表面、プリンターのローラ表面等の塵埃の除去、物品の設置面と物品との界面における両者の付着、付着した物品の剥離及び繰り返し使用を可能とする粘着性を有する架橋成型物及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】ゴム(A)、粘着剤(B)、補強性充填剤(C)、架橋剤(D)、抗菌剤(E)、紫外線防御剤(F)、光安定剤(G)を含むゴム組成物からなる架橋成型物(以降、成型物とも記す)であって、成形物の表面処理(水及び/または極性溶剤による表面洗浄後、表面乾燥)後の粘着力が、次の(i)〜(ii)である成形物によって課題解決を図る。
(i)成型物の表面の粘着力が、PSTC−6 ローリング・ボール法で5〜50mm。
(ii)成形物の上面と下面との粘着力の差の絶対値が、10〜30mm。
【選択図】 なし

Description

本発明は、除塵埃、物品の付着・剥離、繰り返し使用を可能とする粘着性を有する架橋成型物及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、ゴム(A)、粘着剤(B)、補強性充填剤(C)、架橋剤(D)、抗菌剤(E)、紫外線防御剤(F)、光安定剤(G)を含むゴム組成物からなる架橋成型物であって、成形物の表面処理(水及び/または極性溶剤による表面洗浄後、表面乾燥)後の粘着力が、次の(i)〜(ii)である成形物、成型物の製造方法及び該成形物を用いたゴム部品に関するものである。
(i)成型物の表面の粘着力が、PSTC−6 ローリング・ボール法で5〜50mm。
(ii)成形物の上面と下面との粘着力の差の絶対値が、10〜30mm。
粘着性が生かされる分野としては大きく次の2つが挙げられ、これに対して種々の試みがなされており、その問題点も随時明らかになっている。
(1) 除塵埃。
工業用品、OA機器に使用される各種ゴム製品は、膨大な数にのぼるが、その中で、表面機能が特に重要視されるものとして、ローラ部品がある。具体的にはプリンターに使用される給紙ローラ、搬送ローラ、帯電ローラ、現像ローラ、排出ローラ等を列挙することができる。これらのローラは、その表面に塵、埃、異物、汚染等が存在すると本来の機能を十分に発揮することが困難となる。
また、上記ローラ機器以外にも、クリーンルーム内、クリーンルーム出入口、医療関連分野、集中処置室出入口、一般家庭内、出入口における除塵埃・除菌・殺菌・汚染防止も安全・衛生上重要な課題である。
これらの課題に対して、紙製・布製の粘着テープによる除塵方法が一般的であった。しかしながら、これらは大半が使い捨てタイプのものである。リサイクル・リユースの趨勢として、使い捨てタイプ以外に、特許文献1では、カーボンブラック及び/またはカーボン繊維または金属粉末を粘着ゴムに配合する方法が提案されている。この方法では、被処理物との摩擦による黒い汚れや受傷が生じる恐れがある。また、埃が粘着ゴム側に付着しても黒色であるため目立ち難く、除去効果が確認しづらいという問題があった。特許文献2、特許文献3では、カーボンを含まない粘着ゴムが提案されている。これらは、いずれも汚染という問題は解決されたが、多量のイオン性可塑剤あるいは導電性無機充填剤を添加する必要があり、カーボンブラックに比し、価格的に問題があり、またブリードする場合があった。
(2)物品の設置面への物品の付着。
掲示物・物品等を設置面に付着する場合、設置面が金属製の場合には、一般にマグボタン、マグシートを利用して掲示物や物品を付着する。ただ、磁気を嫌う電子・電気部品特にHDDの近傍で使用することは好ましいことではない。一方、設置面が非金属製の場合には、粘着テープ、糊、接着剤、画鋲、釘といった方法が採られる。このような場合には設置面に傷や汚染を伴う恐れがある。特に賃貸マンションなどでは傷を付ける画鋲、釘等の使用は不可となっている。接着剤による汚れについても同様である。また、屋内外を問わず使用されるためには、表面粘着力の他に更に耐候性・耐水性が求められる。
これまで、表面粘着力を有するノンマグシートのウレタンゴム系の粘着シートは市販されているが、製造方法が煩雑で価格的に問題がある。また特許文献4ではシリコーンゴム系が提案されているが、設置面の材質に制限のあること及び引張強度あるいは伸びが不足し問題があった。特許文献5ではアクリルゴム系が提案されているが、屋外使用時において耐水性が劣るという問題があった。
さらに、一度付着した物品の剥離や再度、物品を付着する場合が多々ある。このような場合、マグボタンやマグシートの場合は容易であるが、従来の粘着ゴムシート等では、物品の剥離不可や、粘着ゴムシートも一緒に外れる場合があった。また、繰り返し使用するためには、粘着ゴムシートの表面に付着した塵埃を水洗処理するが、耐水性が不十分で初期の粘着力を発揮できないケースがあった。
このような背景から、水洗しても初期の粘着力を維持し、除塵埃機能並びに設置面の材質(金属・非金属)及び物品の材質を問わず付着・剥離機能を有する耐候性、ノンブリード性を兼備した繰り返し使用を可能とする粘着性を有する架橋成型物の開発が急務となった。
特開平05−309349号公報 特開平09−151258号公報 特開平11−60849号公報 特開2004−189945号公報 特開2011−19624号公報
本発明の課題は、床面、壁面、種々の製品表面、プリンターのローラ表面等の塵埃除去、設置面の材質、物品の材質を問わず、物品の設置面と物品との界面において両者の付着、付着した物品の剥離及び繰り返し使用を可能とする粘着性を有する架橋成型物及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ゴム(A)、粘着剤(B)、補強性充填剤(C)、架橋剤(D)、抗菌剤(E)、紫外線防御剤(F)、光安定剤(G)を含むゴム組成物からなる架橋成型物であって、成形物の表面処理(水及び/または極性溶剤による表面洗浄後、表面乾燥)後の粘着力が、次の(i)〜(ii)である成形物によって上記課題が達成されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
(i)成型物の表面の粘着力が、PSTC−6 ローリング・ボール法で5〜50mm。
(ii)成形物の上面と下面との粘着力の差の絶対値が、10〜30mm。
すなわち、本発明は、以下の発明を提供する。
(1)ゴム(A)、粘着剤(B)、補強性充填剤(C)、架橋剤(D)、抗菌剤(E)、紫外線防御剤(F)、光安定剤(G)を含むゴム組成物からなる架橋成型物であって、成形物の表面処理(水及び/または極性溶剤による表面洗浄後、表面乾燥)後の粘着力が、次の(i)〜(ii)である成形物、成型物の製造方法及び該成形物を用いたゴム部品、除塵埃用ゴム部品、落下防止用ゴム部品、ズレ防止用ゴム部品、転倒防止用ゴム部品、振動吸収用ゴム部品、騒音防止用部品、破損防止用部品、汚染防止用部品、結露・凍結防止用部品。
(i)成型物の表面の粘着力が、PSTC−6 ローリング・ボール法で5〜50mm。
(ii)成形物の上面と下面との粘着力の差の絶対値が、10〜30mm。
(2)ゴム(A)が、非ジエン系ゴムであって、アクリルゴム、ウレタンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムの群から選択される少なくとも1種である(1)に記載のゴム組成物。
(3)ゴム(A)の主成分が、ブチルゴム及び/またはハロゲン化ブチルゴムであって、これらはゴム(A)100重量部中、50重量部以上からなる(1)〜(2)の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
(4)粘着剤(B)が、常温・常圧下で液状を呈する非ジエン系重合体であって、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレンの群から選択される少なくとも1種である(1)〜(3)の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
(5)粘着剤(B)の数平均分子量が、好ましくは200〜3000さらに好ましくは300〜2000である(1)〜(4)の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
(6)粘着剤(B)が、低分子量粘着剤(B1)と高分子量粘着剤(B2)の組み合わせからなり、低分子量粘着剤(B1)/高分子量粘着剤(B2)の重量比が、5/95〜95/5である(1)〜(5)の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
(7)低分子量粘着剤(B1)の数平均分子量が、好ましくは200〜700未満さらに好ましくは300〜700未満、高分子量粘着剤(B2)の数平均分子量が、好ましくは700〜3000さらに好ましくは700〜2000である(1)〜(6)の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
(8)補強性充填剤(C)が、白色系充填剤であって、乾式シリカ、湿式シリカ、ケイ酸塩、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウムの群から選択される少なくとも1種である(1)〜(7)の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
(9)ケイ酸塩が、カオリンクレー(ハードクレー、ソフトクレー)、焼成クレー、セリサイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムの群から選択される少なくとも1種である(1)〜(8)少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
(10)補強性充填剤(C)を、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤の群から選択される少なくとも1種で表面処理してなる(1)〜(9)の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
(11)架橋剤(D)が、硫黄架橋剤、硫黄供与架橋剤、有機過酸化物架橋剤、キノイド架橋剤、樹脂架橋剤の群から選択される少なくとも1種である(1)〜(10)の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
(12)抗菌剤(E)が,無機系抗菌剤である(1)〜(11)の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
(13)紫外線防御剤(F)が、紫外線反射剤(F1)及び/または紫外線吸収剤(F2)である(1)〜(12)の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
(14)光安定剤(G)が、ヒンダードアミン系光安定剤である(1)〜(13)の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
(15)成型物の上面と下面との粘着力の差が、粘着剤(B)量のみ異なる2種のゴム組成物の未架橋ゴムシートを積層後、架橋する方法によって得られる(1)に記載の架橋成型物及びその製造方法。
(16)成型物の上面と下面との粘着力の差が、成型物の上面と下面の架橋度の差によって得られる架橋成型物であって、(l)架橋剤(D)量のみ異なる2種のゴム組成物の未架橋ゴムシートを積層後、架橋する方法、(m)不飽和度のみ異なる2種のゴム組成物の未架橋ゴムシートを積層後、架橋する方法、(n)上部(あるいは下部)金型の設定温度140℃〜180℃、下部(あるいは上部)金型を10℃〜20℃低め(あるいは高め)の設定温度条件下でゴム組成物の未架橋ゴムシートを架橋する方法の(l)〜(n)の3つの方法の中から選択される少なくとも1つ、あるいは2つ以上を併用することによって得られる(1)に記載の架橋成型物及びその製造方法。
(17)(15)及び(16)に記載の方法を併用することによって得られる(1)に記載の架橋成型物及びその製造方法。
(18)シート状、ブロック状、糸状(棒状)、リング状、ボール状、ローラ状及びこれらの組み合わせからなる形状である(1)に記載の架橋成型物。
(19)除塵挨用ゴム部品が、除塵挨用ゴムシート、除塵挨用ゴムローラ、除塵挨用ゴム手袋、除塵挨用ゴムボール、除塵挨用ゴム粘着棒、狭所除塵挨用ゴム粘着棒、耳垢取り用ゴム粘着棒。
(20)成型物の設置面に成形物の下面を付着し、上面に物品を付着してなるゴム部品であって、落下防止用ゴム部品、ズレ防止用ゴム部品、転倒防止用ゴム部品、振動吸収用ゴム部品。
(21)物品に成型物を付着してなるゴム部品であって、騒音防止用ゴム部品、破損防止用ゴム部品、汚染防止用ゴム部品、結露・凍結防止用ゴム部品。
(22)落下防止用ゴム部品が、掲示物、文具・家庭備品、事務備品、工具備品、医療備品、車載備品、家具・調度品等の物品と設置面との両者間を付着する落下防止用ゴムシート。
(23)落下防止用ゴム部品が、化粧用具・洗面用具等の保管容器と設置面との両者間を付着する落下防止用ゴムシート。
(24)ズレ防止用ゴム部品が、物干竿を設置面とし、物干用ハンガーを物品とする両者間を付着する洗濯物ズレ防止用ゴムシート。
(25)ズレ防止用ゴム部品が、ハンガーを設置面とし、衣服を物品とする両者間を付着する衣服ズレ防止用ゴムシート。
(26)ズレ防止用ゴム部品が、カーペット、玄関マット等の敷物と設置面との両者間を付着する敷物ズレ防止用ゴムシート。
(27)転倒防止用ゴム部品が、主食・副食・飲料容器の運搬用テーブル・トレイ、食卓テーブル・トレイ、小児用テーブル・トレイ、障害者車用テーブル・トレイ等のテーブル・トレイを設置面とし、容器を物品とする両者間を付着する転倒防止用ゴムシート。
(28)転倒防止用ゴム部品が、墓石、仏像、骨董品、文化遺産、花瓶、鉢、時計等の置物と設置面との両者間を付着する転倒防止用ゴムシート、ゴムブロック。
(29)振動吸収用ゴム部品が、冷蔵庫、洗濯機、扇風機等の振動発生機器と設置面との両者間を付着する振動吸収用ゴムシート、ゴムブロック。
(30)騒音防止用ゴム部品が、シンクの裏面に付着する騒音防止用ゴムシート。
(31)破損防止用ゴム部品が、ガラス製品・陶磁器製品の表面に付着する破損防止用ゴムシート、ゴムブロック。
(32)破損防止用ゴム部品が、建物・車等の窓ガラスの表面、ガラス製ショーケース表面に付着する盗難防止用のゴムシート。
(33)汚染防止用ゴム部品が、キッチン周りの壁面、天井、レンジフード面に付着する汚染防止用ゴムシート。
(34)結露・凍結防止用ゴム部品が、車窓ガラス外面、サイドミラー、バックミラーの表面に付着する結露・凍結防止用ゴムシート。
本発明のゴム組成物を用いた架橋成型物により、(1)物品表面の塵埃を容易に除去できること、(2)成形物の設置面の材質を問わず付着でき、落下防止、ズレ防止、転倒防止、振動吸収、破損防止、騒音防止、汚染防止、結露防止等が可能であり、付着した物品の取り外しも可能であること及び洗浄により繰り返し使用可能であることから、本発明のもたらす経済的効果は多大である。
以下、本発明を詳細に説明するが、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
本発明は、ゴム(A)、粘着剤(B)、補強性充填剤(C)、架橋剤(D)、抗菌剤(E)、紫外線防御剤(F)、光安定剤(G)を含むゴム組成物からなる架橋成型物であって、成形物の表面処理(水及び/または極性溶剤による表面洗浄後、表面乾燥)後の粘着力が、次の(i)〜(ii)である成形物、成型物の製造方法及び該成形物を用いたゴム部品である。
(i)成型物表面の粘着力が、PSTC−6 ローリング・ボール法で5〜50mm。
(ii)成形物上面と下面との粘着力の差の絶対値が、10〜30mm。
本発明のゴム組成物を構成するゴム(A)は、有機ゴムであって、ジエン系ゴム及び/または非ジエン系ゴムであり、ジエン系ゴムとしては、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、非ジエン系ゴムとしては、アクリルゴム、ウレタンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムである。中でも、非ジエン系ゴムが好ましく特にブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムが好ましい。これらは単独または2種以上を併用してもよい。
ゴム(A)を構成するブチルゴム及び/またはハロゲン化ブチルゴムは、ゴム(A)100重量部中、50重量部以上からなることが好ましい。50重量部未満では、粘着力が不足する場合があり好ましくない。ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム以外のゴムとしては、非ジエン系ゴム、中でも耐候性・耐水性に優れるエチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴムが好ましい。
ゴム(A)を構成するブチルゴムは、好ましくはイソブテン(2−メチルプロペン)とイソプレン(2−メチルブタ−1,3−ジエン)とのコポリマーを表す。モル基準で、ポリマー中のイソプレン含有率は0.001〜20モル%、好ましくは1.8〜2.3モル%である。ブチルゴムは、ランダム分布のイソプレン単位とともに線状ポリイソブテン鎖からなる。イソプレン単位は、加硫を可能にするために不飽和部位をポリマー鎖へ導入する。ブチルゴム分子の重量平均分子量は典型的には、50,000〜1,000,000g/モル、好ましくは300,000〜1,000,000g/モルである。
ハロゲン化ブチルゴムは、ゴム分子に化学結合したある量のハロゲンを含有する。化学結合したハロゲンの量は典型的には、ポリマーの総重量に対して0超〜8重量%の範囲にある。
臭素化ブチルゴムの場合には、最終生成物中の典型的な臭素含有率は、1.5〜5重量%、好ましくは1.6〜2.5重量%である。
塩素化ブチルゴムの場合には、最終生成物中の典型的な塩素含有率は、1.0〜5重量%、好ましくは1.15〜1.35重量%である。
このようなブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムは、市販品を好適に利用することができる。ブチルゴムの市販品としては、例えば、エクソンケミカル社製「EXXON Butyl 007」、「EXXON Butyl EB165」、「EXXON Butyl EB268」、「EXXON Butyl EB269」、「EXXON Butyl EB365」、JSR社製「JSR BUTYL 065」、「JSR BUTYL 268」、「JSR BUTYL 365」、ポリサー社製「POLYSAR BUTYL 1000」、「POLYSAR BUTYL 301」、「POLYSAR BUTYL 402」等を挙げることができる。また塩素化ブチルゴムの市販品としては、例えば、エクソンケミカル社製「EXXON Butyl 1066」、「EXXON Butyl 1068」、JSR社製「CHLOROBUTYL 1066」、「CHLOROBUTYL 1068」、「CHLOROBUTYL 2222」、ポリサー社製「POLYSAR CHLOROBUTYL 1240」、「POLYSAR CHLOROBUTYL 1255」、臭素化ブチルゴムの市販品としては、例えばエクソンケミカル社製「EXXON BROMOBUTYL 2211」、「EXXON BROMOBUTYL 2222」、「EXXON BROMOBUTYL 2233」、「EXXON BROMOBUTYL 2244」、「EXXON BROMOBUTYL 2255」、JSR社製「JSR BROMOBUTYL 2244」、「JSR BROMOBUTYL 2255」、ポリサー社製「POLYSAR BROMOBUTYL 2040」等を挙げることができる。
本発明のゴム組成物を構成する粘着剤(B)としては、常温・常圧下で液状を呈する非ジエン系重合体及び/またはジエン系重合体である。非ジエン系重合体としては、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレン、液状ポリエチレン、液状ポリプロピレン、液状ポリアクリレート等を挙げることができる。一方、ジエン系重合体としては、液状ポリブタジエン、液状ポリスチレン、液状ポリクロロプレン等を挙げることができる。これらは単独重合体あるいは2種以上の共重合体であってもよい。このうち好ましくは、非ジエン系重合体であって中でも液状ポリブテン、液状ポリイソブチレンが好ましい。
粘着剤(B)を構成する液状ポリブテンとしては、イソブテンの単独重合物、n−ブテンの単独重合物、イソブテンおよびn−ブテンの共重合物等のイソブテンあるいはn−ブテンを(共)重合成分に含む重合物であり、末端の一方に炭素−炭素不飽和結合を有する化合物である。なお、前記液状ポリブテンを、水素添加して得られる側鎖を有する水素添加ポリブテンも液状ポリブテンの範疇に含まれる。
これらの液状ポリブテンの市販品としては、例えば、JX日鉱日石エネルギー株式会社製の日石ポリブテンLV−7(300,−55℃)、LV−50(430、−35℃)、LV−100(500、−32.5℃)、HV−15(630、−20℃)、HV−35(750、−15℃)、HV−50(800、−12.5℃)、HV−100(980、−7.5)、HV−300(1400、0℃)、HV1900(2900、17.5℃)、日油株式会社製のニッサンポリブテン0N(370、−35℃)、015N(580、−25°)、3N(720−20℃)、10N(1000、−10℃)、30N(1350、−5℃)、200N(2650、15℃)等を挙げることができる。(カッコ内の左側は数平均分子量、右側は流動点を示す。)
粘着剤(B)の数平均分子量は、100〜5000好ましくは200〜3000より好ましくは300〜2000である。数平均分子量が100未満では、粘着剤(B)がゴム組成物中を移行しやすく、従来のオイルと同様の性質を示し好ましくない。また、5000をこえると、粘度が高くなり、粘着性が不足し好ましくない。なお、数平均分子量はVPO法(蒸気圧式分子量測定法)により求められる。
粘着剤(B)は、単独であってもよいし、異なる数平均分子量の組み合わせであってもよい。特に低分子量と高分子量との併用が、使用される温度範囲が低温領域(−30℃)から高温領域(50℃)まで粘着性を保持することができ好ましい。
具体的には、粘着剤(B)の中、数平均分子量が100〜700未満の範囲のものを低分子量粘着剤(B1)、700〜5000の範囲のものを高分子量粘着剤(B2)と区分し、低分子量粘着剤(B1)/高分子量粘着剤(B2)の重量比が、5/95〜95/5であることが好ましい。
粘着剤(B)の添加量は、ゴム(A)100重量部に対して10〜100重量部である。10重量部未満では、粘着性が不十分であり、100重量部を超えると強度が不足し好ましくない。
本発明のゴム組成物を構成する補強性充填剤(C)としては、白色系充填剤であり、重質炭酸カルシウム、胡粉、軽微性炭酸カルシウム、極微細活性化炭酸カルシウム、特殊炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、カオリンクレー、焼成クレー、パイロフライトクレー、シラン処理クレー、天然ケイ酸、乾式シリカ、湿式シリカ、合成ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、フェライト、カオリン、セリサイト、タルク、微粉タルク、ウォラスナイト、ゼオライト、ゾーノトナイト、マイカ、アスベスト、セピオライト、チタン酸カリウム、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維(チョップドストランド、ロービング、ミルドガラス繊維、ガラスフレーク)、カットファイバー、ロックファイバー、ミクロファイバー、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、再生ゴム、ゴム粉末、セラック、木粉等が挙げられる。これらは単独あるいは2種以上を併用してもよい。
このうち、乾式シリカ、湿式シリカ、炭酸マグネシウム等は、透明性に優れたゴム組成物、架橋成型物を得ることができる。
これらの補強性充填剤(C)の添加量は、ゴム(A)100重量部に対して10〜200重量部である。10重量部未満では補強性が不十分であり、200重量部を超えると粘着性に悪影響し好ましくない。
補強性充填剤(C)は、カップリング剤(チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、シランカップリング剤等)で処理することがより好ましい。このカップリング処理は、予め、補強性充填剤(C)を処理してもよいし、ゴム組成物を得る混練工程で補強性充填剤(C)とカップリング剤を混入してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス−(3−〔トリエトキシシリル〕−プロピル)−ジサルファン、ビス−(3−〔トリエトキシシリル〕−プロピル)−テトラサルファン(TESPT)などを挙げることができる。これらは単独で使用しても良く、或いは2種以上を併用してもよい。
チタネートカップリング剤としては、例えばイソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等を挙げることができる。これらは単独で使用しても良く、或いは2種以上を併用してもよい。
アルミネートカップリング剤としては、例えばアルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート等のアルミニウムアルキルアセトアセテート・ジアルキレート;アルミニウムアルケニルアセトアセテート・ジアルキレート;アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等を挙げることができる。これらは単独で使用しても良く、或いは2種以上を併用してもよい。
カップリング剤の添加量は、補強性充填剤(C)100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部であり、より好ましくは1〜15重量部であり、更に好ましくは2〜10重量部である。0.5未満では補強性が不足する場合があり、20重量部を超えると価格的に高価となる。
本発明のゴム組成物を構成する架橋剤(D)としては、用いられるゴムの種類により、硫黄架橋剤、硫黄供与架橋剤、有機過酸化物架橋剤、キノイド架橋剤、樹脂架橋剤、金属酸化物架橋剤、含硫黄有機化合物架橋剤、アミン架橋剤、トリアジン架橋剤、ポリオール架橋剤、金属石けん架橋剤、マレイミド架橋剤、ヒドロシリル化反応用架橋剤等を適宜選択して使用される。
硫黄架橋剤としては、例えば粉末硫黄、硫黄華、高分散性硫黄、不溶性硫黄、沈降硫黄、表面処理硫黄、コロイド硫黄、塩化硫黄、一塩化硫黄、二塩化硫黄等が挙げられる。これらの硫黄系加硫剤は、単独でまたは2種以上を併用してもよい。また、架橋剤として硫黄架橋剤を使用する場合には、架橋促進剤を併用することもできる。
架橋促進剤としては、例えばヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド・アンモニア等のアルデヒドアンモニア類;n−ブチルアルデヒドーアニリン縮合品、ブチルアルデヒドーモノブチルアミン縮合品、ヘプトアルデヒドーアニリン反応品、トリクロトニリデン・テトラミン等のアルデヒドアミン類;ジフェニルグアニジン、ジーoートリルグアニジン、オルト・トリル・ビグアニド、ジカテコール・ホウ酸のジオルト・トリル・グアニジン塩等のグアニジン塩類;2−メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオ・カルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホニル−2−ベンゾチアジル・ジスルフィド等のチアゾール類;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド等のスフェンアミド類;チオカルバニド、エチレン・チオ尿素(2−メルカプトイミダゾリン)、ジエチル・チオ尿素、ジブチル・チオ尿素、混合アルキルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジラウリルチオ尿素等のチオ尿素類;ジメチル・ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチル・ジチオカルバミン酸ナトリウム、ジ−n−ブチル・カルバミン酸ナトリウム、ジメチル・ジチオカルバミン酸鉛、ジアミル・ジチオカルバミン酸鉛、ジメチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジーn−ブチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジル・ジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレン・ジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチル・ジチオカルバミン酸セレン、ジエチル・ジチオカルバミン酸セレン、ジエチル・ジチオカルバミン酸テルル、ジエチル・ジチオカルバミン酸カドミウム、ジメチル・ジチオカルバミン酸銅、ジメチル・ジチオカルバミン酸鉄、ジメチル・ジチオカルバミン酸ビスマス、ジメチル・ジチオカルバミン酸ピペリジン、メチルペンタメチレン・ジチオカルバミン酸ピペコリン、活性化ジチオカルバメート等のジチオカルバミン酸塩類;テトラメチルチウラム・モノスルフィド、テトラメチルチウラム・ジスルフィド、活性テトラメチルチウラム・ジスルフィド、テトラエチルチウラム・ジスルフィド、テトラブチルチウラム・ジスルフィド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジフェニルチウラム・ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム・ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム・テトラスルフィド、混合アルキル・チウラム・ジスルフィド等のチウラム類;イソプロピル・キサントゲン酸ナトリウム、イソプロピル・キサントゲン酸亜鉛、ブチル・キサントゲン酸亜鉛等のザンテート類;4,4’−ジチオジモルホリン、アミノジアルキルジチオホスフェート、亜鉛−o,o−n−ブチル・ホスホロジチオエート、3−メルカプトイミダゾリン−チオン−2、チオグリコール酸エステル等が挙げられる。これらの架橋促進剤は、単独または2種以上を併用してもよい。
硫黄供与架橋剤としては、架橋温度で硫黄を放出する架橋剤であって、単体で硫黄を使用しないでしかも架橋形式は硫黄結合という特徴を有する。単体硫黄による架橋形式がポリチオエーテル結合に対し硫黄供与剤ではジチオエーテルまたはモノチオエーテル結合が生成する。このような硫黄供与架橋剤は、例えばテトラメチルチウラム・モノスルフィド、テトラメチルチウラム・ジスルフィド、テトラエチルチウラム・ジスルフィド、テトラブチルチウラム・ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム・ジスルフィド、ジペンタメチレンチウラム、テトラスルフィド、ジモルフォリル・ジスルフィド、2−(4−モルフォリノジチオ)ベンゾチアゾール等を挙げることができる。これらの硫黄供与架橋剤は、単独または2種以上を併用してもよい。このような硫黄供与架橋剤の架橋速度を向上させるために、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン亜鉛、2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、チオ尿素系促進剤を併用してもよい。
有機過酸化物架橋剤としては、例えば1,1−ジ第三ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ第三ブチルパーオキサイド、第三ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルパーオキシ)ヘキサン)、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルパーオキシ)ヘキシン、1,3−ビス(第三ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、第三ブチルパーオキシ−イソプロピルカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート、ジプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジ(メトキシイソプロピル)パーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、第三ヘキシルパーオキシネオヘキサネート、ジ(3−メチル−3−メチロキシブチル)パーオキシジカーボネート、第三ブチルパーオキシネオデカネート、第三ヘキシルパーオキシネオデカネート、第三ブチルパーオキシネオヘキサネート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、第三ヘキシルパーキシピバレート、第三ブチルパーヘキシピバレート、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクテート、アセチルパーオキサイド、第三ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサネート)、ベンゾイルパーオキサイド、第三ブチルパーオキシイソイソブチレート、1,1−ビス(第三ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、第三ブチルパーオキシマレイックアシッド、第三ブチルパーオキシラウレート、第三ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサネート、シクロヘキサノンパーオキサイド、第三ブチルパーオキシアリルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,2−ビス(第三ブチルパーオキシ)オクタン、第三ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(第三ブチルパーオキシ)ブタン、第三ブチルパーオキシベンゾエート、ブチル−4,4−ビス(第三ブチルパーオキシ)バレレート、ジ第三ブチルジパーオキシイソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、α,α’−ビス(第三ブチルパーオキシ−mーイソプロピル)シクロヘキサン、ジイソプロピルベンゼン−ヒドロパーオキサイド、pーメンタンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、第三ブチルヒドロパーオキサイド等が挙げられる。これらの有機過酸化物架橋剤は、単独または2種以上を併用してもよい。
また、架橋剤として有機過酸化物架橋剤を使用する場合には、共架橋剤を併用することもできる。共架橋剤としては、例えば硫黄、pーキノンジオキシム、p−ベンゾキノンジオキシム、p,p’ージベンゾイルキノンジオキシム、NーメチルーN’ー4ージニトロソアニリン、N,N−m−フェニレンビスマレイミド、ジペンタメチレンチウラムペンタスルフィド、ジニトロソベンゼン、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアジンチオール、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメトロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジアリルメラミン、ジビニルアジペート、ビニルブチラート、ビニルステアレート、液状ポリブタジエンゴム、液状ポリイソプレンゴム、液状スチレンーブタジエンゴム、液状アクリロニトリルーブタジエンゴム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸アルミニウム、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸第一錫、(メタ)アクリル酸マグネシウム等が挙げられる。これらの共架橋剤は、単独または2種以上を併用してもよい。
キノイド架橋剤としては、例えばp−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロベンゼン等が挙げられる。これらのキノイド架橋剤は、単独または2種以上を併用して使用することができる。
樹脂架橋剤としては、例えばアルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン.ホルムアルデヒド縮合物、トリアジン.ホルムアルデヒド縮合物、オクチルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノール・スルフィド樹脂、ヘキサメトキシメチル・メラミン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂架橋剤は、単独または2種以上を併用してもよい。
アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂は、アルキルフェノールとホルムアルデヒドとを、塩酸、しゅう酸等の無機酸または有機酸あるいは酢酸亜鉛等の触媒を用いて縮合反応させ、過剰に用いられた未反応のアルキルフェノールを留去して得られる樹脂である。アルキルフェノールとしては例えばo−、m−またはp−クレゾール、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−キシレノール、p−第3ブチルフェノール等を例示することができる。フェノール系架橋剤の市販品としては、例えば、田岡化学工業社製「タッキロール201」(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)、「タッキロール250−I」(臭素化率4%の臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)、「タッキロール250−III」(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)、群栄化学工業社製「PR−4507」(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)、ローム・アンド・ハース社製「ST137X」(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)、住友デュレズ社製「スミライトレジンPR−22193」(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)、荒川化学社製「タマノル531」(熱反応性フェノール樹脂)、スケネクタディ社製「SP1059」、「SP1045」、「SP1055」、「SP1056」(以上、熱反応性フェノール樹脂)、昭和ユニオン合成社製「CRM−0803」(熱反応性フェノール樹脂)などを挙げることができる。
メラミン・ホルムアルデヒド縮合物は、メラミンとホルムアルデヒドとを付加重合型反応(メチロール化、メチレン化)させた形態で、反応釜中でアルカリ性触媒を加えながら加熱反応させて得られるいわゆるメラミン樹脂である。メラミン・ホルムアルデヒド縮合物としては、例えばアメリカン・シアナミド社製「Crez 711 latex curing resin」を例示することができる。
トリアジン・ホルムアルデヒド縮合物は、トリアジンとホルムアルデヒドとをアルカリ性反応条件下で反応させて得られる縮合物である。トリアジン・ホルムアルデヒド縮合物としては、例えばアメリカン・シアナミド社製「Crez 915 latex curing resin」を例示することができる
金属酸化物架橋剤としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、一酸化鉛等が挙げられる。これらの金属酸化物架橋剤は、単独または2種以上を併用してもよい。
含硫黄有機架橋剤としては、例えばモルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、N、N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、チウラムポリスルフィド、2ー(4’ーモルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール等が挙げられる。これらの含硫黄有機架橋剤は、単独または2種以上を併用してもよい。
ポリアミン架橋剤としては、例えばヘキサメチレンジアミンカルバメ−ト、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレン・テトラミン、テトラエチレン・ペンタミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)カルバメ−ト、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン、アンモニウムベンゾエ−ト等が挙げられる。これらのポリアミン架橋剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。トリアジン架橋剤としては、例えば2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−ジ−n−ブチルアミノ−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらのトリアジン架橋剤は、単独または2種以上を併用してもよい。
ポリオ−ル架橋剤としては、例えばビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAF、ハイドロキノン、ペンタエリトリト−ル等が挙げられる。これらのポリオール架橋剤は、単独または二種以上を混合して使用することができる。金属石けん架橋剤としては、例えばステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等が挙げられる。これらの金属石けん架橋剤は、単独または2種以上を併用してもよい。マレイミド架橋剤としては、例えばN,N’−m−フェニレンジマレイミド等が挙げられる。
ヒドロシリル化反応用架橋剤としては、一分子中に平均2個以上のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンである。該オルガノポリシロキサンの分子構造は特に限定されないが、例えば、直鎖状、分岐状、環状、または三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよい。ケイ素原子に結合している有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基である。
このようなオルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、およびこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上の混合物が例示される。
ヒドロシリル化反応を促進させるためのヒドロシリル化反応用触媒としては、白金系触媒、ロジウム系触媒、イリジウム系触媒、パラジウム系触媒、ルテニウム系触媒が例示され、好ましくは、白金系触媒である。具体的には、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、四塩化白金 、アルコール変性塩化白金酸、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のカルボニル錯体、これらの白金系触媒を含むメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性有機樹脂粉末を例示することができる。
架橋剤(D)の添加量については特に制限はない。架橋時間、架橋温度により適宜選択すればよい。
本発明のゴム組成物には、抗菌剤(E)を含むことが望ましい。除塵埃時に各種雑菌が付着する場合があること、特にクリーンルーム、医療分野においては除塵埃の他に殺菌・除菌・防汚も求められる場合がある。
本発明のゴム組成物を構成する抗菌剤(E)としては、特に制限はない。無機系抗菌剤、有機系抗菌剤のいずれであってもよいが、人体に対する安全性、耐熱性などの点から特に無機系抗菌剤がより好ましい。
無機系抗菌剤としては、金属系抗菌剤、ハイブリッド型抗菌剤を挙げることができる。
金属系抗菌剤は、抗菌性金属を無機材料に担持させたものである。
抗菌性金属としては、特に制限はないが、人体に対して限界量以下では害を及ぼさない代表例として、銀、亜鉛、銅、コバルト、ニッケル等を挙げることができる。さらにはその金属の化合物(例えば、アミノ酸と金属石鹸を形成したアミノ酸金属石鹸)を挙げることができる。上記抗菌性金属のうち、銀、亜鉛、銅は、微量でも抗菌作用があり、安全性の点から好ましく、その中でも抗菌力に特に優れる銀が好適である。
無機材料としては、特に制限はないが、活性炭、アルミナ、シリカゲル、ゼオライト、リン酸カルシウム及びリン酸ジルコニウム等のリン酸塩系化合物、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ベントナイト等からなる群より選択される少なくとも1種を挙げることができる。
金属系抗菌剤の市販品としては、例えば、品川燃料社製(「ゼオミック」、銀・ゼオライト系)、鐘紡社製(「バクテキラー」、銀・ゼオライト系)、石塚硝子社製(「イオンピュア」、銀(銅、亜鉛)・ガラス系)、サンギ社製(「アパサイダー」、銀・リン酸カルシウム系)、日鉱社製(「ホロンキラー」、アミノ酸金属石鹸系)、新東Vセラックス社製(「抗菌セラミックス」、銀・リン酸亜鉛カルシウム系)、触媒化成工業社製(「アイス」、銀・セラミックス系)、東亜合成社製(「ノバロン」、銀・リン酸ジルコニウム系)などを挙げることができる。
ハイブリッド型抗菌剤としては、抗菌性金属を担持した光触媒(たとえば銀を酸化チタンあるいは酸化亜鉛に担持したもの)や、抗菌性金属と光触媒とを無機多孔質材料で被覆したもの(たとえば、銀と酸化チタンをアパタイトで被覆したもの)を挙げることができる。
ハイブリッド型抗菌剤を構成する抗菌性金属と光触媒のうち、光触媒としては、酸化チタン、酸化スズ、酸化タングステン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ロジウム、酸化ニッケル、酸化レニウム、酸化ジルコニウムなどの酸化物、これら複数の金属の酸化物、窒素や金属イオンがドープされた金属酸化物などが挙げられる。また、表面に金属や金属塩などの助触媒や光増感色素などが担持されている金属酸化物なども挙げられる。このうち、好ましくは酸化亜鉛、酸化チタンである。これらは、単独または2種以上を併用することができる。これらの平均1粒子径としては、1〜100nm好ましくは1〜50nm特に好ましくは1〜40nmである。(粒子径の算出は、透過型電子顕微鏡撮影画像の画像解析法による)酸化チタンとしては、アナターゼ型とルチル型の結晶型が存在するが、特にアナターゼ型が好ましい。
無機多孔質材料としては、ゼオライト、ハイドロタルサイト、アパタイト、活性炭、珪藻土、シリカゲル、粘土鉱物類、多孔質泥、セピオライト、アロフェン、イモゴライト、活性白土、パーライト、多孔質ガラス、アルミナ多孔体等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、安全性、安定性等に優れるという点から、ゼオライト、ハイドロタルサイト、アパタイト、珪藻土、シリカゲル、粘土鉱物類が好ましい。
抗菌性金属を光触媒で担持したハイブリッド型抗菌剤としては、アスカテック社製の光ギンテックを挙げることができる。
光触媒と抗菌性金属とをアパタイトで被覆したハイブリッド型抗菌剤としては、丸武産業社販売のアパテックを挙げることができる。
抗菌剤(E)の添加量については特に制限はないが、ゴム(A)100重量部に対し、好ましくは0.01〜30重量部、より好ましくは0.05〜20重量部、更に好ましくは0.1〜10重量部である。0.01重量部未満では抗菌性が不十分な場合があり、30重量部を超えると価格的に高価となる。
本発明の架橋成型物は、屋内に限らず、屋外で使用される場合も多く、紫外線防御剤や光安定剤を含むことが好ましい。
本発明のゴム組成物を構成する紫外線防御剤(F)としては、紫外線反射剤(F1)及び/または紫外線吸収剤(F2)である。
紫外線反射剤(F1)としては、例えば、超微粒子系酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物粉末が挙げられる。この中、超微粒子系酸化亜鉛、超微粒子系酸化チタンが好ましい。
これらの粉末の平均1次粒子径としては0.03〜0.1μmのものが好ましく、酸化亜鉛の市販品としては、例えば、堺化学工業社製「FINEX−25、FINEX−50、FINEX−75」、住友大阪セメント社製「ZnO350」、白水化学工業社製「ZINCOX SUPER−10、ZINCOX SUPER−20R、ZINCOX SUPER−30、ZINCOX CP−1」、Sun Smart 社製「Z−COTEMZ−500」、テイカ社製「MZ−700」などが挙げられる。 一方、 酸化チタンの市販品としては、例えば、石原産業社製「SIV シリーズ, TTO−55シリーズ,TTO−Sシリーズ」、テイカ社製「MT−100TV,MT−500V,MT−01」などが挙げられる。
また、本発明で使用される紫外線反射剤(F1)は、粒子表面に疎水化処理を施した疎水化処理粉末であるのが好ましい。 疎水化処理粉末を製造するための疎水化剤としては、特に限定されないが、シリコーン処理剤、脂肪酸、脂肪酸石鹸、脂肪酸エステル等が挙げられる。
シリコーン処理剤としては、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどの各種のシリコーンオイルや、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシランなどの各種のアルキルシランや、トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランなどの各種のフルオロアルキルシランなどが挙げられる。
また、脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ロジン酸、12―ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。また、脂肪酸石鹸としては、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、12―ヒドロキシステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。
また、脂肪酸エステルとしては、デキストリン脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの疎水化剤のうち、1種または2種以上を用いて、常法に従い、微粒子粉末の疎水化処理を行うことができる。
紫外線反射剤(F1)は、単独あるいは2種以上を併用することができる。またその添加量としては、ゴム(A)100重量部に対し0.1〜5.0重量部である。
紫外線吸収剤(F2)としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系など各種タイプのものを挙げることができる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、などを挙げることができる。
また、トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノールなどを挙げることができる。
さらに、サリチル酸エステル系としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどを挙げることができる。
これらの紫外線吸収剤(F2)は、単独または2種以上を併用してもよい。またこれらの添加量は、ゴム(A)100重量部に対して0.1〜5.0重量部である。
本発明のゴム組成物を構成する光安定化剤(G)としては、ヒンダードアミン系光安定剤である。
ヒンダードアミン系光安定化剤は、ポリマーに対して有害なラジカル種を補足し、新たなラジカルを発生しないようにするものである。ヒンダードアミン系光安定化剤には、低分子量のものから高分子量のものまで多くの種類の化合物があるが、従来公知のものであれば特に制限されずに用いることができる。
低分子量のヒンダードアミン系光安定化剤としては、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロパーオキサイド及びオクタンの反応生成物(分子量737)70重量%とポリプロピレン30重量%からなるもの;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート(分子量685);ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート混合物(分子量509);ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(分子量481);テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(分子量791);テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(分子量847);2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートとトリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートの混合物(分子量900);1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートとトリデシル−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートの混合物(分子量900)などが挙げられる。
また、高分子量のヒンダードアミン系光安定化剤としては、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}](分子量2,000〜3,100);コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物(分子量3,100〜4,000);N,N’,N”,N”‘−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン(分子量2,286)と上記コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物の混合物;ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(分子量2,600〜3,400)、並びに、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−1−ブチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1−エチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メタクリロイルオキシ−1−ブチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−1−プロピル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の環状アミノビニル化合物とエチレンとの共重合体などが挙げられる。
これらのヒンダードアミン系光安定化剤は、単独または2種以上を併用してもよい。
光安定化剤(G)の添加量は、ゴム(A)100重量部に対して、0.1〜5重量部。前記含有量を0.1重量部以上とすることにより安定化への効果が十分に得られ、5重量部以下とすることによりヒンダードアミン系光安定化剤の過剰な添加によるゴム組成物の変色を抑えることができる。
さらに、本発明のゴム組成物には、本発明に支障のない範囲内において、一般に使用されている各種の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、ジエン系ゴム、非白色系の補強性充填剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、酸化防止剤、加工助剤、活性剤、滑剤、奪水剤、ワックス、内部離型剤、スコーチ防止剤、発泡剤、発泡助剤、難燃剤、素練り促進剤、蓄熱剤、蓄光剤、応力発光剤、熱伝導付与剤、放熱剤、着色剤等を配合することもできる。また、本発明の粘着剤(B)を含まない粘着付与剤、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン系樹脂、フェノール系樹脂、フェノールホルマリン系樹脂、キシレンホルマリン系樹脂、石油系樹脂(例えば、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5/C9系石油樹脂など)等も配合することができる。
次に、本発明のゴム組成物の製造方法、架橋成型物の製造方法を記述する。
本発明のゴム組成物は、ゴム組成物を構成する各成分の所定量を、密閉式ミキサー(バンバリーミキサー、インテンシブミキサー、プラストミル、ニーダーなど)、2軸押出し機、オープンロール等を用いて、一般的な混練加工条件下で混練りすることにより得ることができる。特に架橋剤、架橋助剤、架橋促進剤などを混練配合する場合、混練温度は、架橋開始温度以下になるように温度調整をして混練りして、ゴム組成物を得る。
このようにして得られたゴム組成物を用いて架橋成型物を製造する場合、予め成形した後に架橋しても、成形と架橋を同時に行ってもよい。架橋機としては、プレス架橋機、UHF架橋機、UV架橋機、HAV架橋機、電子線架橋機が挙げられ単独あるいは2種以上を併用して架橋を行ってもよい。室温硬化の場合は、20〜40℃が好ましい。加熱硬化の場合は、好ましくは130〜200℃、より好ましくは140〜180℃であり、架橋時間は、好ましくは1分〜5時間、より好ましくは2分〜1時間である。また、成形物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても、内部まで十分に架橋していない場合があるので、2架橋を行ってもよい。2次架橋機としては、オーブンが好適である。2次架橋温度は、100℃〜220℃好ましくは150〜200℃である。2次架橋時間は、0.5〜24時間好ましくは1〜12時間より好ましくは1〜4時間である。
また、上記以外の架橋方法として、ゴム組成物を溶剤で溶解した溶液中に物品の一部または全部を浸漬後風乾し、常温架橋あるいは加熱架橋して架橋成型物を得る。この場合、溶剤としては特に制限はない。従来から公知のものが使用され、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、イソプロピルアルコール、ブチルセロソルブ等のアルコール系溶剤、MEK、アセトン等のケトン系溶剤等があげられる。溶解したゴム組成物の溶液の濃度はとくに制限されないが、通常、10〜50重量%である。物品の表面を溶液に浸して表面にゴム溶液がコートされた状態で取り出し、風乾・常温あるいは加熱乾燥して架橋成型物を得る。加熱温度は50〜200℃であり、低温で乾燥した後、順次昇温して乾燥する方式が好ましい。乾燥機としては、防爆型乾燥機が安全上好ましい。
本発明の架橋成形物の形態としては特に制限はない。例えば、シート状、ブロック状、糸状(棒状)、リング状、ボール状、ローラ状、フック状等であり、これらを組み合わせたもののいずれであってもよい。また、それぞれの厚さ、直径等についても特に制限はない。シート状においては、例えば、厚さが0.1mm〜100mm、糸状(棒状)においては、直径が1mm〜10mmが好ましい。幅、長さについても特に制限はなく、所望に応じて決定すればよい。
上述のようにして、本発明のゴム組成物を架橋成型することにより、成型物の表面に粘着力を有する架橋成型物を得ることができる。
成形物の保管にあたっては、成型物の両面に剥離用フィルム、シートを挟むことが好ましい。また、表面をエンボス加工したフィルム、シートが好ましい。
また、架橋成型物は、使用前あるいは使用後に成型物の表面処理(水及び/または極性溶剤による表面洗浄後、表面乾燥)することが好ましい。極性溶剤としては、たとえばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール、アセトン等を挙げることができる。乾燥については、風乾あるいは30〜50℃以下で10〜60分乾燥することが好ましい。
本発明の成型物は、物品の付着に用いた成型物、除塵埃に用いた成型物のいずれにおいても、表面に付着している塵埃を洗浄後乾燥処理することによって粘着力を初期状態に回復するものである。
成形物の粘着力については特に制限はないが、成型物の表面処理(水及び/または極性溶剤による表面洗浄後、表面乾燥)後の粘着力が、 PSTC−6ローリング・ボール法で鋼球の移動距離が5〜50mmであることが好ましい。5mm未満では、粘着力が強すぎて、被除塵埃ローラを本発明の架橋成型物を用いた粘着シート状で回転させて除塵挨するときに大きな力が必要となる場合がある。一方、50mmを超えると十分に除塵埃できない場合や、物品を成型物に付着したときに直ぐに剥離してしまう恐れがあり好ましくない。
架橋成型物の上面と下面との粘着力については、同等の粘着力でもよいが、掲示物や種々の物品の付着に用いる場合には、架橋成型物の上面と下面の粘着力に差を有することがより好ましい。成形物の設置面に下面を付着し、上面に掲示物あるいは種々の物品を付着するが、後で掲示物や種々の物品は、取外す場合がある。このような場合には、下面の粘着力は、上面の粘着力よりも大であることが好ましい。具体的には、上面と下面との粘着力の差の絶対値が、10〜30mmであることが好ましい。
下面は設置面に強固に付着した状態を保持し、その粘着力の差を利用して、掲示物あるいは種々の物品のみを上面から剥離することができる。
上面と下面との粘着力に差を有する架橋成型物及びその製造方法としては、以下の方法がある。
(a) 粘着剤(B)量のみ異なる2種類のゴム組成物の未架橋ゴムを積層後、架橋して得られる架橋成型物及びその製造方法。(粘着剤(B)量の多い面は、粘着力が大きい)
(b) 上面と下面の架橋度に差を付与することによって得られる架橋成型物及びその製造方法。(架橋度が低い面は、粘着力が大きい)
上記(b)の上面と下面の架橋度に差を付与する具体的方法としては、
(b−1) 架橋剤(D)量のみ異なる2種のゴム組成物の未架橋ゴムを積層後、架橋して得られる架橋成型物及びその製造方法。(架橋剤(D)量の少ない面は、架橋度が低い)
(b−2) 不飽和度のみ異なる2種のゴム組成物の未架橋ゴムを積層後、架橋して得られる架橋成型物及びその製造方法。(不飽和度の少ない面は、架橋度が低い)
(b−3) 上部(あるいは下部)金型の設定温度130℃〜200℃好ましくは140℃〜180℃、下部(あるいは上部)金型を5℃〜30℃低め(あるいは高め)好ましくは10℃〜20℃低め(あるいは高め)の設定温度条件下で架橋して得られる架橋成型物及びその製造方法。(設定温度の低い面は、架橋度が低い)
(b−4) (b−1)〜(b−3)の少なくとも2種以上を併用することによって得られる架橋成型物及びその製造方法。
(c) 上記(a)、(b)を併用することによって得られる架橋成型物及びその製造方法。
これらの少なくともいずれか1つの方法によって上面と下面の粘着力に差を有する架橋成型物を得ることが可能である。
このようにして得られた架橋成形物を使用する場合、粘着力が大きい方を下面に、小さい方を上面になるように用いる。
本発明の架橋成型物は、成形物の設置面の材質を問わず、例えば金属・非金属製を問わず適用可能である。また付着する物品についても、特に制限はない。種々の物品に適用可能である。
本発明の架橋成型物は、表面の粘着性を生かしたゴム部品、種々の用途に適用できる。例えば、
(1)床面、壁面、種々の製品表面、プリンターのローラ表面等の塵埃を除去する除塵挨用ゴム部品。
(2)成形物の設置面に下面を付着し、上面に物品を付着してなるゴム部品であって、落下防止用ゴム部品、ズレ防止用ゴム部品、転倒防止用ゴム部品、振動吸収用ゴム部品。
(3)物品に成型物を付着してなるゴム部品であって、騒音防止用ゴム部品、破損防止用ゴム部品、汚染防止用ゴム部品、結露・凍結防止用ゴム部品。(成型物を物品に付着することによって機能を発現するものであって、上面、下面のいずれか一方の面を付着すればよい部品)
本発明の架橋成型物の更に詳細な具体例として、以下のものを挙げることができる。但し、これらに限定されるものではない。
《除塵埃用ゴム部品》として具体的には、
(1)除塵埃用ゴムシート、除塵埃用ゴムローラ、除塵埃用ゴム手袋、除塵埃用ゴムボール、除塵挨用ゴム粘着棒。
(2)耳垢取り用ゴム粘着棒、狭所除塵挨用ゴム粘着棒。
《落下防止用ゴム部品》として具体的には、
(1) 掲示物、文具・家庭備品、事務備品、工具備品、医療備品、車載備品、家具・調度品等の物品と設置面との両者間を付着する落下防止用ゴムシート。
(2)化粧用具・洗面用具等の保管容器と設置面との両者間を付着する落下防止用ゴムシート。
《ズレ防止用ゴム部品》として具体的には、
(1)物干竿を設置面とし、物干用ハンガーを物品とする両者間を付着する洗濯物ズレ防止用ゴムシート。
(2)ハンガーを設置面とし、衣服を物品とする両者間を付着する衣服ズレ防止用ゴムシート。
(3)カーペット、玄関マット等の敷物と設置面との両者間を付着する敷物ズレ防止用ゴムシート。
《転倒防止用ゴム部品》として具体的には
(1) 主食、副食、飲料等の容器の運搬用テーブル・トレイ、食卓テーブル・トレイ、小児用テーブル・トレイ、障害者車用テーブル・トレイ等のテーブル・トレイを設置面とし、容器を物品とする両者間を付着する転倒防止用ゴムシート。
(2) 墓石、仏像、骨董品、文化遺産、花瓶、鉢、時計等の置物と設置面との両者間を付着する転倒防用ゴムシート、ゴムブロック。
《振動吸収用ゴム部品》として具体的には
(1) 冷蔵庫、洗濯機、扇風機等の振動発生機器と設置面との両者間を付着する振動吸収用ゴムシート、ゴムブロック。
《騒音防止用ゴム部品》として具体的には
(1)シンク裏面に付着する騒音防止用ゴムシート。
《破損防止用ゴム部品》として具体的には
(1) ガラス製品・陶磁器製品の表面に付着する破損防止用ゴムシート、ゴムブロック。
(2)建物・車・等の窓ガラスの表面、ガラス製ショーケース表面に付着する盗難防止用のゴムシート。
《汚染防止用ゴム部品》として具体的には
(1)キッチン周りの壁面、天井、レンジフード面に付着する汚染防止用ゴムシート。
《結露・凍結防止用ゴム部品》として具体的には
(1)車窓ガラス外面、サイドミラー、バックミラーの表面に付着する結露・凍結防止用ゴムシート。
《その他ゴム部品》として具体的には
(1)透明性シート形状であって、シート間に物品を挟む透明ゴムシート。
(2)ゴミ袋、レジ袋等の開放用オープンニッパーの内側両面に付着してなるゴムシート。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。なお、本発明の実施例、比較例で用いたゴム組成物の詳細を表1に示した。また、評価結果については、表2に示した。
[実施例1]
表1に示した通り、ゴム(A)として、JSR社製のIIR1066を100重量部、粘着剤(B)として、JX日鉱日石エネルギー社製の日石ポリブテンLV−100を20重量部及び日油社製のニッサンポリブテン10Nを20重量部、補強性充填剤(C)として東ソーシリカ社製のニップシールLPを10重量部、白石カルシウム社製のバーゲスKEを20重量部、白石工業社製の白艶華CCを20重量部、石原産業社製の酸化チタンA100を5重量部、抗菌剤(E)として無機系抗菌剤である富士ケミカル社製バクテキラーBM−102TGを2重量部、紫外線防御剤(F)として、紫外線反射剤(F1);石原産業社製の酸化チタンTTO−55を2重量部、紫外線吸収剤(F2);BASF社製イルガノックス1076を2重量部、光安定剤(G)としてアデカ社製アデカスタブLA−52とアデカスタブLA−62をそれぞれ1重量部、その他の添加剤として、モメンティブ社製のシランカップリング剤TSL8370を1重量部、花王社製ステアリン酸を2重量部、堺化学工業社製の酸化亜鉛を5重量部の割合で、各成分の10倍量をそれぞれ計量、3Lニーダー(40℃、33rpm)で15分間混練りし、混練り終了後排出した。次に、排出ゴムの中、211重量部を用いて6インチロール(40℃、33rpm)で架橋剤(D)として、田岡化学工業社製のタッキロール201を5重量部添加して混練し、ゴム組成物1−1を得た。次に、JX日鉱日石エネルギー社製の日石ポリブテンLV−100を10重量部及び日油社製のニッサンポリブテン10Nを10重量部とした他は、ゴム組成物1−1と同様にしてゴム組成物1−2を得た。これらのゴム組成物から各々150×150×1.5mmの未架橋ゴムシートを切り出した後、ゴム組成物1−1の未架橋ゴムシートの上にゴム組成物1−2の未架橋ゴムシートを重ね合わせて100トンプレス(上部金型温度170℃、下部金型温度170℃、架橋時間15分)で架橋し架橋成型物として150×150×2mmの架橋ゴムシート5枚を得た。次いで架橋ゴムシートの外観観察、引張強度、伸び、硬さ、粘着性、除塵埃性、付着性、剥離性、汚染性等を測定した。
試験方法を以下に示した。
(1) 架橋ゴムシートの外観観察
・表面のブリード・ブルーム状態の目視観察
・透明性 目視観察
(2)引張強度 JIS K6253に準拠
(3)伸び JIS K6253に準拠
(4)硬さ JIS K6251に準拠
(5)粘着性 PSTC-6 ローリング・ボール法に準拠(斜面を転がった剛球が斜面に続く水平面に固定された架橋ゴムシートの上で停止するまでの距離を測定して粘着力の指標とする方法、粘着力が強ければ停止距離が短く、粘着力が弱ければ停止距離が長い)
架橋ゴムシートの表面を測定前に水洗した後、風乾し、上面、下面の両方について測定した。
(6)除塵挨性 机上にシリカ粉体、カーボンブラック粉体を散在させた後、架橋ゴムシート(水洗・風乾済)を付着させ除塵挨性を評価した。上面、下面の両面について実施した。さらに、除塵埃性評価後の架橋ゴムシートを水洗・風乾した後再び除塵埃性を評価した。
(7)付着性 成形物の設置面である垂直窓ガラス面に架橋ゴムシート(水洗・風乾済)下面を付着した後、500円硬貨、500ccアルミ缶をシート上面に付着した。3日後の状態観察。
(8)剥離性 架橋ゴムシート(水洗・風乾済)下面を成形物の設置面である木製机表面に付着後、シート上面にスマートフォンを付着し、1日後の剥離性を評価した。シートが設置面に付着した状態でスマートフォンを剥離できる状態を特に容易、シートが若干伸びた状態でスマートフォンを取り外せる状態を容易と判定した。
(9)汚染性 架橋ゴムシート(水洗・風乾済)下面を設置面であるメラミン板表面に付着し、上面にアルミ板を付着した状態で3日間放置後取外し、それぞれの表面の汚染状況を目視観察。
それぞれの結果を表2に示した。
[実施例2]
表1のとおり、ゴム(A)として、JSR社製のIIR365を100重量部、架橋剤(D)として、田岡化学工業社製のタッキロール250−1を5重量部用いた他は、実施例1と同様にしてゴム組成物2−1、ゴム組成物2−2を得た。これらのゴム組成物から各々150×150×1.5mmの未架橋ゴムシートを切り出した後、ゴム組成物2−1の未架橋ゴムシートの上にゴム組成物2−2の未架橋ゴムシートを重ね合わせて実施例1のとおり架橋ゴムシートを得た。結果を表2に示した。
[実施例3]
表1のとおり、補強性充填剤(C)としてニップシールLPを用いない他は実施例1と同様にしてゴム組成物3−1、ゴム組成物3−2を得た。次に、これらのゴム組成物から各々150×150×1.5mmの未架橋ゴムシートを切り出した後、ゴム組成物3−1の未架橋ゴムシートの上にゴム組成物3−2の未架橋ゴムシートを重ね合わせて実施例1のとおり架橋ゴムシートを得た。結果を表2に示した。
[実施例4]
表1のとおり、ゴム(A)として、JSR社製IIR1066を50重量部、JSR社製のIIR365を50重量部、架橋剤(D)として、鶴見化学工業社製の硫黄を1重量部、大内新興化学工業社製のノクセラーDを1重量部、ノクセラーTTを1.3重量部、ノクセラーDMを1.5重量部用いた他は実施例1と同様にしてゴム組成物4−1、ゴム組成物4−2を得た。次に、これらのゴム組成物から各々150×150×1.5mmの未架橋ゴムシートを切り出した後、ゴム組成物4−1の未架橋ゴムシートの上にゴム組成物4−2の未架橋ゴムシートを重ね合わせて実施例1のとおり架橋ゴムシートを得た。結果を表2に示した。
[実施例5]
表1のとおり、粘着剤(B)として、JX日鉱日石エネルギー社製の日石ポリブテンLV−50を20重量部、日油社製のニッサンポリブテン10Nを20重量部用いた他は、実施例3と同様にしてゴム組成物5−1を得た。次に、JX日鉱日石エネルギー社製の日石ポリブテンLV−50を10重量部及び日油社製のニッサンポリブテン10Nを10重量部とした他は、ゴム組成物5−1と同様にしてゴム組成物5−2を得た。次に、これらのゴム組成物から各々150×150×1.5mmの未架橋ゴムシートを切り出した後、ゴム組成物5−1の未架橋ゴムシートの上にゴム組成物5−2の未架橋ゴムシートを重ね合わせて実施例1のとおり架橋ゴムシートを得た。結果を表2に示した。
[実施例6]
表1のとおり、補強性充填剤(C)として、神島化学工業社製の塩基性炭酸マグネシウム:金星を40重量部、その他の添加剤として酸化亜鉛の代わりに堺化学工業社製の炭酸亜鉛を5重量部、架橋剤として大内新興化学工業社製ノクセラーTRAを1.5重量部、ノクセラーEZを1.5重量部用いた他は実施例3と同様にしてゴム組成物6−1、ゴム組成物6−2を得た。次に、これらのゴム組成物から各々150×150×1.5mmの未架橋ゴムシートを切り出した後、ゴム組成物6−1の未架橋ゴムシートの上にゴム組成物6−2の未架橋ゴムシートを重ね合わせて実施例1のとおり架橋ゴムシートを得た。結果を表2に示した。
[実施例7]
表1のとおり、補強性充填剤(C)として、白石カルシウム社製のバーゲスKEを30重量部、白石工業社製の白艶華CCを30重量部、石原産業社製の酸化チタンA100を5重量部用いた他は実施例3と同様にしてゴム組成物7−1、ゴム組成物7−2を得た。次に、これらのゴム組成物から各々150×150×1.5mmの未架橋ゴムシートを切り出した後、ゴム組成物7−1の未架橋ゴムシートの上にゴム組成物7−2の未架橋ゴムシートを重ね合わせて実施例1のとおり架橋ゴムシートを得た。結果を表2に示した。
[実施例8]
表1のとおり、ゴム(A)としてJSR社製IIR1066を70重量部、JSR社製EP21を30重量用いた他は実施例3と同様にしてゴム組成物8−1、ゴム組成物8−2を得た。次に、これらのゴム組成物から各々150×150×1.5mmの未架橋ゴムシートを切り出した後、ゴム組成物8−1の未架橋ゴムシートの上にゴム組成物8−2の未架橋ゴムシートを重ね合わせて実施例1のとおり架橋ゴムシートを得た。結果を表2に示した。
[実施例9]
表1のとおり、実施例1のゴム組成物1−1のみを用いて、150×150×3mmの未架橋ゴムシートを切り出した後、加硫条件を上部金型温度170℃、下部金型温度を155℃に設定し、15分間架橋して150×150×2mmの架橋ゴムシートを得た。結果を表2に示した。
[実施例10]
表1のとおり、実施例1のゴム組成物1−1のみを用いて、150×150×3mmの未架橋ゴムシートを切り出した後、加硫条件を上部金型温度、下部金型温度共に170℃に設定し、15分間架橋して150×150×2mmの架橋ゴムシートを得た。結果を表2に示した。
[比較例1]
表1のとおり、粘着剤(B)の代わりに樹脂系の粘着付与剤:クマロン・インデン樹脂である新日鉄化学社製のエクスロンG90を30重量部、プロセス油として出光興産社製のダイアナプロセス油NMを10重量部用い、抗菌剤(E)、紫外線防御剤(F)、光安定剤(G)を用いない他は、実施例10と同様にして架橋ゴムシートを得た。結果を表2に示した。






















Claims (34)

  1. ゴム(A)、粘着剤(B)、補強性充填剤(C)、架橋剤(D)、抗菌剤(E)、紫外線防御剤(F)、光安定剤(G)を含むゴム組成物からなる架橋成型物であって、成形物の表面処理(水及び/または極性溶剤による表面洗浄後、表面乾燥)後の粘着力が、次の(i)〜(ii)である成形物、成型物の製造方法及び該成形物を用いたゴム部品、除塵埃用ゴム部品、落下防止用ゴム部品、ズレ防止用ゴム部品、転倒防止用ゴム部品、振動吸収用ゴム部品、騒音防止用部品、破損防止用部品、汚染防止用部品、結露・凍結防止用部品。
    (i)成型物の表面の粘着力が、PSTC−6 ローリング・ボール法で5〜50mm。
    (ii)成形物の上面と下面との粘着力の差の絶対値が、10〜30mm。
  2. ゴム(A)が、非ジエン系ゴムであって、アクリルゴム、ウレタンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムの群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のゴム組成物。
  3. ゴム(A)の主成分が、ブチルゴム及び/またはハロゲン化ブチルゴムであって、これらはゴム(A)100重量部中、50重量部以上からなる請求項1〜請求項2の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
  4. 粘着剤(B)が、常温・常圧下で液状を呈する非ジエン系重合体であって、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレンの群から選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項3の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
  5. 粘着剤(B)の数平均分子量が、好ましくは200〜3000さらに好ましくは300〜2000である請求項1〜請求項4の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
  6. 粘着剤(B)が、低分子量粘着剤(B1)と高分子量粘着剤(B2)の組み合わせからなり、低分子量粘着剤(B1)/高分子量粘着剤(B2)の重量比が、5/95〜95/5である請求項1〜請求項5の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
  7. 低分子量粘着剤(B1)の数平均分子量が、好ましくは200〜700未満さらに好ましくは300〜700未満、高分子量粘着剤(B2)の数平均分子量が、好ましくは700〜3000さらに好ましくは700〜2000である請求項1〜請求項6の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
  8. 補強性充填剤(C)が、白色系充填剤であって、乾式シリカ、湿式シリカ、ケイ酸塩、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウムの群から選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項7の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
  9. ケイ酸塩が、カオリンクレー(ハードクレー、ソフトクレー)、焼成クレー、セリサイト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムの群から選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項8の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
  10. 補強性充填剤(C)を、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤の群から選択される少なくとも1種で表面処理してなる請求項1〜請求項9の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
  11. 架橋剤(D)が、硫黄架橋剤、硫黄供与架橋剤、有機過酸化物架橋剤、キノイド架橋剤、樹脂架橋剤の群から選択される少なくとも1種である請求項1〜請求項10の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
  12. 抗菌剤(E)が、無機系抗菌剤である請求項1〜請求項11の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
  13. 紫外線防御剤(F)が、紫外線反射剤(F1)及び/または紫外線吸収剤(F2)である請求項1〜請求項12少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
  14. 光安定剤(G)が、ヒンダードアミン系光安定剤である請求項1〜請求項13の少なくともいずれか1項に記載のゴム組成物。
  15. 成型物の上面と下面との粘着力の差が、粘着剤(B)量のみ異なる2種のゴム組成物の未架橋ゴムシートを積層後、架橋する方法によって得られる請求項1に記載の架橋成型物及びその製造方法。
  16. 成型物の上面と下面との粘着力の差が、上面と下面の架橋度の差によって得られる架橋成型物であって、(l)架橋剤(D)量のみ異なる2種のゴム組成物の未架橋ゴムシートを積層後、架橋する方法、(m)不飽和度のみ異なる2種のゴム組成物の未架橋ゴムシートを積層後、架橋する方法、(n)上部(あるいは下部)金型の設定温度140℃〜180℃、下部(あるいは上部)金型を10℃〜20℃低め(あるいは高め)の設定温度条件下でゴム組成物の未架橋ゴムシートを架橋する方法の(l)〜(n)の3つの方法の中から選択される少なくとも1つあるいは2つ以上を併用することによって得られる請求項1に記載の架橋成型物及びその製造方法。
  17. 請求項15及び請求項16に記載の方法を併用することによって得られる請求項1に記載の架橋成型物及びその製造方法。
  18. シート状、ブロック状、糸状(棒状)、リング状、ボール状、ローラ状、フック状及びこれらの組み合わせからなる形状である請求項1に記載の架橋成型物。
  19. 除塵挨用ゴム部品が、除塵挨用ゴムシート、除塵挨用ゴムローラ、除塵挨用ゴム手袋、除塵挨用ゴムボール、除塵挨用ゴム粘着棒、狭所除塵挨用ゴム粘着棒、耳垢取り用ゴム粘着棒。
  20. 成形物の設置面に下面を付着し、上面に物品を付着してなるゴム部品であって、落下防止用ゴム部品、ズレ防止用ゴム部品、転倒防止用ゴム部品、振動吸収用ゴム部品。
  21. 物品に成形物を付着してなるゴム部品であって、騒音防止用ゴム部品、破損防止用ゴム部品、汚染防止用ゴム部品、結露・凍結防止用ゴム部品。
  22. 落下防止用部品が、掲示物、文具・家庭備品、事務備品、工具備品、医療備品、車載備品、家具・調度品等の物品と設置面との両者間を付着する落下防止用ゴムシート。
  23. 落下防止用ゴム部品が、化粧用具・洗面用具等の保管容器と設置面との両者間を付着する落下防止用ゴムシート。
  24. ズレ防止用ゴム部品が、物干竿を設置面とし、物干用ハンガーを物品とする両者間を付着する洗濯物ズレ防止用ゴムシート。
  25. ズレ防止用ゴム部品が、ハンガーを設置面とし、衣服を物品とする両者間を付着する衣服ズレ防止用ゴムシート。
  26. ズレ防止用ゴム部品が、カーペット、玄関マット等の敷物と設置面との両者間を付着する敷物ズレ防止用ゴムシート。
  27. 転倒防止用ゴム部品が、主食・副食・飲料容器の運搬用テーブル・トレイ、食卓テーブル・トレイ、小児用テーブル・トレイ、障害者車用テーブル・トレイ等のテーブル・トレイを設置面とし、容器を物品とする両者間を付着する転倒防止用ゴムシート。
  28. 転倒防止用ゴム部品が、墓石、仏像、骨董品、文化遺産、花瓶、鉢、時計等の置物と設置面との両者間を付着する転倒防止用ゴムシート、ゴムブロック。
  29. 振動吸収用ゴム部品が、冷蔵庫、洗濯機、扇風機等の振動発生機器と設置面との両者間を付着する振動吸収用ゴムシート、ゴムブロック。
  30. 騒音防止用ゴム部品が、シンクの裏面に付着する騒音防止用ゴムシート。
  31. 破損防止用ゴム部品が、ガラス製品・陶磁器製品の表面に付着する破損防止用ゴムシート、ゴムブロック。
  32. 破損防止用ゴム部品が、建物・車等の窓ガラスの表面、ガラス製ショーケース表面に付着する盗難防止用のゴムシート。
  33. 汚染防止用ゴム部品が、キッチン周りの壁面、天井、レンジフード面に付着する汚染防止ゴムシート。
  34. 結露・凍結防止用ゴム部品が、自動車窓ガラス外面、サイドミラー、バックミラーの表面に付着する結露・凍結防止ゴムシート。
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