JP2017056850A - ハイブリッド車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】インバータレス走行制御による退避走行距離を延ばす。【解決手段】車両は、エンジンと、MG(モータジェネレータ)1と、MG2と、これらを機械的に連結する遊星歯車機構と、複数のバッテリと、複数のバッテリとMG1およびMG2との間で電力変換を行なうインバータと、制御装置とを備える。MG1は、エンジンによって回転させられることによって逆起トルクを発生する。制御装置は、インバータが異常である場合に複数のバッテリのうちの1つをインバータに接続した状態でインバータをゲート遮断状態にし、かつMG1が逆起トルクを発生するようにエンジンを駆動するインバータレス走行制御を実行する。制御装置は、インバータレス走行制御中において、インバータに接続されるバッテリのSOCがしきい値を超えると、インバータに接続されるバッテリを他のバッテリに切り替える。【選択図】図5
Description
本発明は、エンジンと回転電機との少なくとも一方の動力を用いて走行可能なハイブリッド車両に関する。
特開2013−203116号公報(特許文献1)には、エンジンと、ロータに永久磁石を有する第1回転電機と、第2回転電機と、遊星歯車機構と、バッテリと、バッテリと第1回転電機および第2回転電機との間で電力変換を実行可能に構成されるインバータとを備えるハイブリッド車両が開示されている。遊星歯車機構は、第1回転電機に連結されたサンギヤと、第2回転電機に連結されたリングギヤと、エンジンに連結されたキャリアとを含む。このハイブリッド車両においては、インバータによる第1回転電機および第2回転電機の電気的な駆動を正常に行なうことができない異常(以下「インバータ異常」ともいう)が生じている場合、インバータをゲート遮断状態にしつつエンジンを駆動して車両を退避走行させる制御が行なわれる。
特許文献1に開示されているように、インバータ異常が生じた場合にインバータをゲート遮断状態にしつつエンジンを駆動して車両を退避走行させる制御を、本明細書では「インバータレス走行制御」とも記載する。
インバータレス走行制御中においては、インバータをゲート遮断状態としつつ、エンジンの回転力によって第1回転電機を力学的(機械的)に回転させることによって第1回転電機から制動トルクを発生させる。具体的には、第1回転電機は、エンジンからの回転力を受けて回転することによって逆起電圧を発生する。この逆起電圧に起因して、第1回転電機からバッテリに向かって電流が流れる。すなわち、第1回転電機は逆起電力を発生し、この逆起電力でバッテリが充電される。この際、第1回転電機には逆起電力に応じたトルク(以下「逆起トルク」ともいう)が発生する。この逆起トルクは、第1回転電機の回転を妨げる方向に作用する制動トルクである。制動トルク(逆起トルク)が第1回転電機からサンギヤに作用することによって、リングギヤには、第1回転電機の制動トルク(逆起トルク)の反力として、正方向に作用する駆動トルクが発生する。この駆動トルクを用いることにより退避走行が実現される。
しかしながら、インバータレス走行制御中においては、第1回転電機が発生する逆起電力がバッテリに充電され続ける。これによりバッテリが満充電状態になると、第1回転電機が発生する逆起電力をバッテリで受け入れることができなくなるため、インバータレス走行制御を継続できなくなることが懸念される。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、インバータレス走行制御による退避走行距離を延ばすことである。
この発明に係るハイブリッド車両は、エンジンと、ロータに永久磁石を有する第1回転電機と、駆動輪に接続された出力軸と、エンジン、第1回転電機および出力軸を機械的に連結し、第1回転電機、エンジンおよび出力軸の間でトルクを伝達可能な遊星歯車装置と、出力軸に接続された第2回転電機と、複数のバッテリと、複数のバッテリと第1回転電機と第2回転電機との間で電力変換を実行可能に構成されたインバータと、複数のバッテリにそれぞれ対応して設けられ、各々が対応するバッテリとインバータとの電気的な接続および遮断を切替可能に構成された複数の切替装置と、インバータによる第1回転電機および第2回転電機の駆動を正常に行なうことができない場合にインバータレス走行制御を実行する制御装置とを備える。インバータレス走行制御は、複数のバッテリのうちの1つをインバータに接続した状態でインバータをゲート遮断状態にし、かつエンジンを駆動して第1回転電機に逆起電圧に起因する制動トルクを発生させ、第1回転電機の制動トルクの反力として出力軸に作用するトルクで車両を走行させる制御である。制御装置は、インバータレス走行制御中において、インバータに接続されるバッテリの蓄電量が所定値を超えた場合、インバータに接続されるバッテリを他のバッテリに切り替えてインバータレス走行制御を継続する。
本発明によれば、インバータレス走行制御による退避走行中に、インバータに接続されるバッテリに第1回転電機が発生する逆起電力が充電されることによって当該バッテリの蓄電量が所定値を超えた場合、インバータに接続されるバッテリを他のバッテリに切り替えてインバータレス走行制御を継続する。これにより、バッテリの切替を行なわない場合に比べてインバータレス走行制御をより長く継続することができる。その結果、インバータレス走行制御による退避走行距離を延ばすことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<車両の全体構成>
図1は、本実施の形態に係る車両1の全体構成を概略的に示すブロック図である。車両1は、エンジン100と、モータジェネレータ(第1回転電機)10と、モータジェネレータ(第2回転電機)20と、遊星歯車機構30と、駆動輪50と、駆動輪50に接続された出力軸60と、バッテリB1〜B3と、システムメインリレー(SMR:System Main Relay)161〜163と、電力制御ユニット(PCU:Power Control Unit)200と、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)300とを備える。
図1は、本実施の形態に係る車両1の全体構成を概略的に示すブロック図である。車両1は、エンジン100と、モータジェネレータ(第1回転電機)10と、モータジェネレータ(第2回転電機)20と、遊星歯車機構30と、駆動輪50と、駆動輪50に接続された出力軸60と、バッテリB1〜B3と、システムメインリレー(SMR:System Main Relay)161〜163と、電力制御ユニット(PCU:Power Control Unit)200と、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)300とを備える。
車両1は、エンジン100とモータジェネレータ20との少なくとも一方の動力を用いて走行するハイブリッド車両である。車両1は、後述する通常走行中において、エンジン100の動力を用いずにモータジェネレータ20の動力を用いる電気自動車走行(以下「EV走行」という)と、エンジン100およびモータジェネレータ20の双方の動力を用いるハイブリッド自動車走行(以下「HV走行」という)との間で走行態様を切り替えることができる。
エンジン100は、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジン100は、ECU300からの制御信号に応じて車両1が走行するための動力を発生する。エンジン100により発生した動力は遊星歯車機構30に出力される。
エンジン100にはエンジン回転速度センサ410が設けられている。エンジン回転速度センサ410は、エンジン100の回転速度(エンジン回転速度)Neを検出し、その検出結果を示す信号をECU300に出力する。
モータジェネレータ10,20の各々は、三相交流永久磁石型同期モータである。モータジェネレータ10は、エンジン100を始動させる際にはバッテリB1〜B3の少なくともいずれかから供給される電力を用いてエンジン100のクランクシャフト110を回転させる(クランキングする)。また、モータジェネレータ10は、エンジン100の動力を用いて発電することも可能である。モータジェネレータ10によって発電された交流電力は、PCU200により直流電力に変換されてバッテリB1〜B3の少なくともいずれかに充電される。また、モータジェネレータ10によって発電された交流電力がモータジェネレータ20に供給される場合もある。
モータジェネレータ20のロータは、出力軸60に連結される。モータジェネレータ20は、バッテリB1〜B3およびモータジェネレータ10の少なくともいずれかから供給される電力を用いて出力軸60を回転させる。また、モータジェネレータ20は、回生制動によって発電することも可能である。モータジェネレータ20によって発電された交流電力は、PCU200により直流電力に変換されてバッテリB1〜B3の少なくともいずれかに充電される。
モータジェネレータ10にはレゾルバ421が設けられている。レゾルバ421は、モータジェネレータ10の回転速度(MG1回転速度)Nm1を検出し、その検出結果を示す信号をECU300に出力する。同様に、モータジェネレータ20にはレゾルバ422が設けられている。レゾルバ422は、モータジェネレータ20の回転速度(MG2回転速度)Nm2を検出し、その検出結果を示す信号をECU300に出力する。
遊星歯車機構30は、エンジン100、モータジェネレータ10および出力軸60を機械的に連結し、エンジン100、モータジェネレータ10および出力軸60の間でトルクを伝達するように構成される。具体的には、遊星歯車機構30は、回転要素として、モータジェネレータ10のロータに連結されるサンギヤSと、出力軸60に連結されるリングギヤRと、エンジン100のクランクシャフト110に連結されるキャリアCAと、サンギヤSとリングギヤRとに噛合するピニオンギヤPとを含む。キャリアCAは、ピニオンギヤPが自転かつ公転できるようにピニオンギヤPを保持する。
バッテリB1〜B3は、再充電が可能に構成された蓄電装置である。バッテリB1〜B3は、代表的にはニッケル水素二次電池もしくはリチウムイオン二次電池などの二次電池である。バッテリB1〜B3は、それぞれSMR161〜163を介してPCU200に接続される。
SMR161〜163は、バッテリB1〜B3にそれぞれ対応して設けられ、各々が対応するバッテリとPCU200との電気的な接続および遮断を切替可能に構成される。SMR161〜163は、それぞれECU300からの制御信号に応じて制御(開閉)される。以下では、バッテリB1用のSMR161を「SMR1」とも記載し、バッテリB2用のSMR162を「SMR2」とも記載し、バッテリB3用のSMR163を「SMR3」とも記載する。
PCU200は、バッテリB1〜B3の出力電圧を昇圧し、昇圧された電圧を交流電圧に変換してモータジェネレータ10,20に供給する。また、PCU200は、モータジェネレータ10,20により発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリB1〜B3に供給する。PCU200の構成については図2にて詳細に説明する。
ECU300は、いずれも図示しないが、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、入出力バッファ等とを含んで構成される。ECU300は、各センサおよび機器からの信号、ならびにメモリに格納されたマップおよびプログラムに基づいて、車両1が所望の走行状態となるように各種機器(エンジン100、モータジェネレータ10,20等)を制御する。なお、各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)により処理することも可能である。
<電気システムの構成>
図2は、車両1の電気システムの構成を説明するための回路ブロック図である。PCU200は、第1コンバータ210と、第2コンバータ211と、コンデンサC2と、インバータ221,222と、電圧センサ230と、電流センサ241,242とを含む。
図2は、車両1の電気システムの構成を説明するための回路ブロック図である。PCU200は、第1コンバータ210と、第2コンバータ211と、コンデンサC2と、インバータ221,222と、電圧センサ230と、電流センサ241,242とを含む。
バッテリB1〜B3には、それぞれ監視ユニット441〜443が設けられている。監視ユニット441は、バッテリB1の電圧(バッテリ電圧)VB1、バッテリB1を流れる電流(バッテリ電流)IB1、バッテリB1の温度(バッテリ温度)TB1をそれぞれ検出する。監視ユニット442は、バッテリB2の電圧(バッテリ電圧)VB2、バッテリB2を流れる電流(バッテリ電流)IB2、バッテリB2の温度(バッテリ温度)TB2をそれぞれ検出する。監視ユニット443は、バッテリB3の電圧(バッテリ電圧)VB3、バッテリB3を流れる電流(バッテリ電流)IB3、バッテリB3の温度(バッテリ温度)TB3をそれぞれ検出する。監視ユニット441〜443は、検出結果を示す信号をECU300にそれぞれ出力する。
第1コンバータ210は、ECU300からの制御信号に応じて、バッテリ電圧VB1を昇圧し、昇圧された電圧を電力線PL,NLに供給する。また、第1コンバータ210は、ECU300からの制御信号に応じて、インバータ221およびインバータ222の一方または両方から供給された電力線PL,NLの直流電圧を降圧してバッテリB1を充電する。
より具体的に、第1コンバータ210は、コンデンサC1と、リアクトルL1と、スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。コンデンサC1は、バッテリ電圧VBを平滑化する。スイッチング素子Q1,Q2および後述するスイッチング素子Q3〜Q14の各々は、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。スイッチング素子Q1,Q2は、電力線PLと電力線NLとの間に互いに直列に接続されている。ダイオードD1,D2は、スイッチング素子Q1,Q2のコレクタ−エミッタ間に逆並列にそれぞれ接続されている。リアクトルL1の一方端は、バッテリB1の高電位側に接続されている。リアクトルL1の他方端は、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との中間点(スイッチング素子Q1のエミッタとスイッチング素子Q2のコレクタとの接続点)に接続されている。
第2コンバータ211は、電力線PL,NLに対して第1コンバータ210とは並列に接続される。第2コンバータ211は、ECU300からの制御信号に応じて、バッテリ電圧VB2またはバッテリ電圧VB3を昇圧し、昇圧された電圧を電力線PL,NLに供給する。また、第2コンバータ211は、ECU300からの制御信号に応じて、インバータ221およびインバータ222の一方または両方から供給された電力線PL,NLの直流電圧を降圧してバッテリB2またはバッテリB3を充電する。なお、第2コンバータ211の構成については、上述の第1コンバータ210と同じであるため、ここでの詳細な説明は繰り返さない。
コンデンサC2は、電力線PLと電力線NLとの間に接続されている。コンデンサC2は、第1コンバータ210または第2コンバータ211から供給された直流電圧を平滑化してインバータ221,222に供給する。
電圧センサ230は、コンデンサC2の両端の電圧、すなわち第1コンバータ210または第2コンバータ211の出力電圧(以下「システム電圧」ともいう)VHを検出し、その検出結果を示す信号をECU300に出力する。
インバータ221は、システム電圧VHが供給されると、ECU300からの制御信号に応じて、直流電圧を交流電圧に変換してモータジェネレータ10を駆動する。インバータ221は、U相アーム1Uと、V相アーム1Vと、W相アーム1Wとを含む。各相アームは、電力線PLと電力線NLとの間に互いに並列に接続されている。U相アーム1Uは、互いに直列に接続されたスイッチング素子Q3,Q4を有する。V相アーム1Vは、互いに直列に接続されたスイッチング素子Q5,Q6を有する。W相アーム1Wは、互いに直列に接続されたスイッチング素子Q7,Q8を有する。各スイッチング素子Q3〜Q8のコレクタ−エミッタ間には、ダイオードD3〜D8が逆並列にそれぞれ接続されている。
インバータ222は、各相アーム2U〜2Wと、スイッチング素子Q9〜Q14と、ダイオードD9〜D14とを含む。なお、インバータ222の構成は、基本的にはインバータ221の構成と同等であるため、説明は繰り返さない。
電流センサ241は、モータジェネレータ10を流れる電流(モータ電流)IM1を検出する。電流センサ242は、モータジェネレータ20を流れる電流(モータ電流)IM2を検出する。電流センサ241,242は、検出結果を示す信号をECU300にそれぞれ出力する。
ECU300は、各センサからの情報等に基づいて、モータジェネレータ10,20の出力が所望の出力となるように、第1コンバータ210、第2コンバータ211、およびインバータ221,222を制御する。なお、図2に示す例では、ECU300が1つのユニットとして構成されているが、ECU300は、複数のユニットに分割されていてもよい。
ECU300は、バッテリB1〜B3の蓄電量を示すSOC(State Of Charge)をそれぞれ算出する。一般的に、SOCは、満充電容量に対する実蓄電量の比で表される。SOCの算出方法としては、バッテリ電圧とSOCとの関係を用いて算出する方法や、バッテリ電流の積算値を用いて算出する方法等、種々の公知の手法を用いることができる。以下、バッテリB1のSOCを単に「SOC1」とも記載し、バッテリB2のSOCを単に「SOC2」とも記載し、バッテリB3のSOCを単に「SOC3」とも記載する。
<通常走行およびインバータレス走行>
ECU300は、通常モードと退避モードとのどちらかの制御モードで車両1を走行させることができる。
ECU300は、通常モードと退避モードとのどちらかの制御モードで車両1を走行させることができる。
通常モードは、上述のEV走行とHV走行とを必要に応じて切り替えながら車両1を走行させるモードである。言い換えれば、通常モードは、インバータ221,222によるモータジェネレータ10,20の電気的な駆動が許容されるモードである。以下では、通常モードによる走行を「通常走行」と記載する。
退避モードは、インバータ221,222によるモータジェネレータ10,20の電気的な駆動を正常に行なうことができないような異常(以下「インバータ異常」ともいう)が生じた場合に、バッテリB1〜B3のうちのいずれか1つがインバータ221,222に接続された状態でインバータ221,222をゲート遮断状態(非導通状態)とし、かつエンジン100を駆動して車両1を退避走行させるモードである。言い換えれば、退避モードは、インバータ221,222によるモータジェネレータ10,20の電気的な駆動が許容されないモードである。インバータ異常には、たとえばレゾルバ421,422、電流センサ241,242等のセンサ類の故障などが含まれる。以下では、この退避モードによる走行を「インバータレス走行」と記載し、インバータレス走行を行なうための制御を「インバータレス走行制御」と記載する。
図3は、インバータレス走行中における電気システムの状態を概略的に示す図である。なお、図3には、バッテリB1がインバータ221に接続され、他のバッテリB2,B3がインバータ221から切り離された状態で、インバータレス走行が行なわれる状態が例示されている。
インバータレス走行中においては、ECU300からの制御信号によって、インバータ221に含まれるすべてのスイッチング素子Q3〜Q8がゲート遮断状態(非導通状態)とされる。そのため、インバータ221に含まれるダイオードD3〜D8によって三相全波整流回路が構成される。なお、図3には示されていないが、インバータ222に含まれるすべてのスイッチング素子Q9〜Q14(図2参照)も同様にゲート遮断状態とされる。一方、第1コンバータ210では、ECU300からの制御信号によって、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング動作が継続される。
また、インバータレス走行中においては、エンジン100は、ECU300からの制御信号によって駆動されてエンジントルクTeを出力する。このエンジントルクTeによってモータジェネレータ10が力学的(機械的)に回転させられる。モータジェネレータ10は同期モータであるので、モータジェネレータ10のロータには永久磁石12が設けられている。このため、エンジントルクTeによってモータジェネレータ10のロータに設けられた永久磁石12が回転させられることによって逆起電圧Vcが生じる。この逆起電圧Vcがシステム電圧VHを超えると、モータジェネレータ10からバッテリB1に向かって電流が流れる。この際、モータジェネレータ10には、モータジェネレータ10の回転を妨げる方向に作用する逆起トルクTcが発生する。
図4は、インバータレス走行中におけるエンジン100およびモータジェネレータ10,20の制御状態の一例を遊星歯車機構30の共線図上に示す図である。遊星歯車機構30が図1にて説明したように構成されることによって、サンギヤSの回転速度(=MG1回転速度Nm1)と、キャリアCAの回転速度(=エンジン回転速度Ne)と、リングギヤRの回転速度(=MG2回転速度Nm2)とは、共線図上において直線で結ばれる関係(以下「共線図の関係」ともいう)を有する。
上述のように、インバータレス走行中には、エンジントルクTeによってモータジェネレータ10が力学的に回転させられることによって、モータジェネレータ10は、モータジェネレータ10の回転を妨げる方向(負方向)に作用する逆起トルクTcを発生する。
逆起トルクTcがモータジェネレータ10から遊星歯車機構30のサンギヤSに作用することによって、遊星歯車機構30のリングギヤRには、逆起トルクTcの反力として、正方向に作用する駆動トルクTepが発生する。この駆動トルクTepによって車両1が退避走行される。
なお、駆動トルクTepによってモータジェネレータ20が回転させられるためモータジェネレータ20にも逆起電圧が生じるが、図4に示す例では、モータジェネレータ20の逆起電圧がシステム電圧VHを超えない回転速度までMG2回転速度Nm2が低下しているため、モータジェネレータ20には逆起トルクは生じていない。
<インバータレス走行中におけるバッテリの切替>
以上のような構成を有する車両1がインバータレス走行を行なう場合には、以下のような課題が生じ得ることが懸念される。たとえばインバータ221にバッテリB1を接続してインバータレス走行を行なう場合には、モータジェネレータ10が発生する逆起電力がバッテリB1に充電され続けることになる。これにより、バッテリB1が満充電状態になると、逆起電力をバッテリB1で受け入れることができなくなるため、インバータレス走行制御を継続できなくなることが懸念される。
以上のような構成を有する車両1がインバータレス走行を行なう場合には、以下のような課題が生じ得ることが懸念される。たとえばインバータ221にバッテリB1を接続してインバータレス走行を行なう場合には、モータジェネレータ10が発生する逆起電力がバッテリB1に充電され続けることになる。これにより、バッテリB1が満充電状態になると、逆起電力をバッテリB1で受け入れることができなくなるため、インバータレス走行制御を継続できなくなることが懸念される。
そこで、本実施の形態によるECU300は、インバータレス走行制御中において、インバータ221に接続されるバッテリのSOCがしきい値Sthを超えた場合、インバータ221に接続されるバッテリを他のバッテリに切り替える。これにより、モータジェネレータ10が発生する逆起電力を他のバッテリで受け入れ可能となるため、バッテリの切替を行なわない場合に比べてインバータレス走行制御をより長く継続することができる。その結果、インバータレス走行制御による退避走行距離を延ばすことができる。
図5は、ECU300が行なう処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは所定周期で繰り返し実行される。
ステップ(以下、ステップを「S」と略す)10にて、ECU300は、上述したインバータ異常が生じているか否かを判定する。
インバータ異常が生じていない場合(S10にてNO)、ECU300は、S11にて、制御モードを通常モードに設定して通常走行を行なう。
インバータ異常が生じている場合(S10にてYES)、ECU300は、S12〜S18にて、制御モードを退避モードに設定してインバータレス走行を行なう。
具体的には、ECU300は、S12にて、SOC1(バッテリB1のSOC)がしきい値Sthを超えているか否かを判定する。SOC1がしきい値Sthを超えていない場合(S12にてNO)、ECU300は、S13にて、バッテリB1をインバータ221に接続し(すなわちSMR1を閉じ)、他のバッテリB2,B3をインバータ221から切り離す(すなわちSMR2およびSMR3を開く)。
SOC1がしきい値Sthを超えている場合(S12にてYES)、ECU300は、S14にて、SOC2(バッテリB2のSOC)がしきい値Sthを超えているか否かを判定する。SOC2がしきい値Sthを超えていない場合(S14にてNO)、ECU300は、S15にて、バッテリB2をインバータ221に接続し(すなわちSMR2を閉じ)、他のバッテリB1,B3をインバータ221から切り離す(すなわちSMR1およびSMR3を開く)。
SOC2がしきい値Sthを超えている場合(S14にてYES)、ECU300は、S16にて、バッテリB3をインバータ221に接続し(すなわちSMR3を閉じ)、他のバッテリB1,B2をインバータ221から切り離す(すなわちSMR1およびSMR2を開く)。
S12〜S16にてバッテリB1〜B3のいずれか1つがインバータ221に接続されると、ECU300は、S17にて、システム電圧VHが目標システム電圧となるように、第1コンバータ210(バッテリB1が接続されている場合)または第2コンバータ211(バッテリB2またはバッテリB3が接続されている場合)を制御する。なお、目標システム電圧は、たとえば予め定められた固定値とすることができる。
S18にて、ECU300は、エンジン回転速度Neが目標エンジン回転速度となるようにエンジン100を制御する。なお、目標エンジン回転速度は、モータジェネレータ10が発生する逆起電圧Vcがシステム電圧VHよりも大きくなるように設定される。たとえば、目標エンジン回転速度は、逆起電圧Vcがシステム電圧VHよりも大きくなる範囲内であれば、ユーザのアクセルペダル操作量に応じた変動値とすることができる。
図6は、インバータレス走行制御中にインバータ221に接続されるバッテリの切替態様を概略的に示す図である。図6において、横軸はインバータレス走行による退避走行距離を表わし、縦軸は各バッテリのSOCを表わす。また、図6において、実線はSOC1を示し、一点鎖線はSOC2を示し、二点鎖線はSOC3を示す。
SOC1がしきい値Sthを超えるまでは、バッテリB1がインバータ221に接続される。これにより、モータジェネレータ10が発生する逆起電力はバッテリB1に受け入れられるため、SOC1が上昇する。
SOC1がしきい値Sthに達すると、インバータ221に接続されるバッテリがバッテリB1からバッテリB2に切り替えられる。すなわち、モータジェネレータ10が発生する逆起電力の受入先がバッテリB1からバッテリB2に切り替えられる。これにより、インバータレス走行制御を継続することができる。
その後、SOC2がしきい値Sthに達すると、インバータ221に接続されるバッテリがバッテリB2からバッテリB3に切り替えられる。すなわち、モータジェネレータ10が発生する逆起電力の受入先がバッテリB2からバッテリB3に切り替えられる。これにより、インバータレス走行制御をさらに継続することができる。
その後、SOC3がしきい値Sthに達するまでは、インバータレス走行制御を継続することができる。そのため、インバータ221に接続されるバッテリをバッテリB1に固定する場合に比べて、インバータレス走行による退避走行距離を延ばすことができる。
以上のように、本実施の形態によるECU300は、複数のバッテリB1〜B3を備える車両1がインバータレス走行を行なう場合において、インバータ221に接続されるバッテリのSOCがしきい値Sthを超えると、インバータ221に接続されるバッテリを他のバッテリに切り替える。これにより、モータジェネレータ10が発生する逆起電力を他のバッテリで受け入れ可能となるため、バッテリの切替を行なわない場合に比べてインバータレス走行制御をより長く継続することができる。その結果、インバータレス走行制御による退避走行距離を延ばすことができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、10,20 モータジェネレータ、12 永久磁石、30 遊星歯車機構、50 駆動輪、60 出力軸、100 エンジン、110 クランクシャフト、161〜163 システムメインリレー、200 CPU、210 第1コンバータ、211 第2コンバータ、221,222 インバータ、230 電圧センサ、241,242 電流センサ、300 ECU、410 エンジン回転速度センサ、421,422 レゾルバ、441,442,443 監視ユニット、B1,B2,B3 バッテリ、C1,C2 コンデンサ。
Claims (1)
- エンジンと、
ロータに永久磁石を有する第1回転電機と、
駆動輪に接続された出力軸と、
前記エンジン、前記第1回転電機および前記出力軸を機械的に連結し、前記第1回転電機、前記エンジンおよび前記出力軸の間でトルクを伝達可能な遊星歯車装置と、
前記出力軸に接続された第2回転電機と、
複数のバッテリと、
前記複数のバッテリと前記第1回転電機と前記第2回転電機との間で電力変換を実行可能に構成されたインバータと、
前記複数のバッテリにそれぞれ対応して設けられ、各々が対応するバッテリと前記インバータとの電気的な接続および遮断を切替可能に構成された複数の切替装置と、
前記インバータによる前記第1回転電機および前記第2回転電機の駆動を正常に行なうことができない場合にインバータレス走行制御を実行する制御装置とを備え、
前記インバータレス走行制御は、前記複数のバッテリのうちの1つを前記インバータに接続した状態で前記インバータをゲート遮断状態にし、かつ前記エンジンを駆動して前記第1回転電機に逆起電圧に起因する制動トルクを発生させ、前記第1回転電機の前記制動トルクの反力として前記出力軸に作用するトルクで車両を走行させる制御であり、
前記制御装置は、前記インバータレス走行制御中において、前記インバータに接続されるバッテリの蓄電量が所定値を超えた場合、前記インバータに接続されるバッテリを他のバッテリに切り替えて前記インバータレス走行制御を継続する、ハイブリッド車両。
Priority Applications (1)
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JP2015183711A JP2017056850A (ja) | 2015-09-17 | 2015-09-17 | ハイブリッド車両 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015183711A JP2017056850A (ja) | 2015-09-17 | 2015-09-17 | ハイブリッド車両 |
Publications (1)
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JP2017056850A true JP2017056850A (ja) | 2017-03-23 |
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ID=58389175
Family Applications (1)
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JP2015183711A Pending JP2017056850A (ja) | 2015-09-17 | 2015-09-17 | ハイブリッド車両 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2017056850A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10826425B2 (en) | 2018-05-15 | 2020-11-03 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Drive device and control method for vehicle |
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2015
- 2015-09-17 JP JP2015183711A patent/JP2017056850A/ja active Pending
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