A.第1実施例:
A−1.印刷材供給システムの全体構成:
図1は、印刷材供給システム1の構成を示す斜視図である。図1には、互いに直交する3つの空間軸であるXYZ軸が描かれている。X軸,Y軸,Z軸の矢印が向いている方向は、それぞれX軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向を示している。X軸,Y軸,Z軸に沿った正の方向を、それぞれ+X軸方向,+Y軸方向,+Z軸方向とする。X軸,Y軸,Z軸の矢印が向いている方向と逆の方向が、それぞれX軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向である。X軸,Y軸,Z軸に沿った負の方向を、それぞれ−X軸方向,−Y軸方向,−Z軸方向とする。X軸,Y軸,Z軸に沿った方向で正負を問わないものを、それぞれX軸方向,Y軸方向,Z軸方向とよぶ。これ以降に示す図及び説明についても同様である。他の図に描かれたXYZ軸は、図1のXYZ軸に方向が対応している。印刷材供給システム1は、印刷装置としてのプリンター10と、カートリッジ4とを備える。
本実施形態のプリンター10は、インクをヘッド22から吐出するインクジェットプリンターである。このプリンター10は、ポスター等の大判の用紙(A2〜A0等)に印刷を行う大型のプリンターである。プリンター10は、カートリッジ装着部6と、制御部31と、キャリッジ20と、ヘッド22と、駆動機構30とを備える。また、プリンター10は、プリンター10の動作を利用者が操作するための操作ボタン15を備える。
カートリッジ装着部6には、複数のカートリッジ4がそれぞれ着脱可能に装着される。本実施例では、4色(ブラック、イエロー、マゼンダ、シアン)のインクに対応して4種類のカートリッジ4が1つずつ、すなわち合計4つのカートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される。本実施例のプリンター10では、前面(+Y軸方向側の面)に交換用カバー13が設けられている。交換用カバー13の+Z軸方向側を手前側(+Y軸方向側)に倒すと、カートリッジ装着部6の開口が現れて、カートリッジ4の着脱が可能となる。カートリッジ装着部6にカートリッジ4が装着されると、チューブ24を介してキャリッジ20に設けられたヘッド22にインクが供給可能となる。本実施例では、プリンター10のポンプ機構(図示せず)によって、カートリッジ4内のインクを吸引することで、インクがヘッド22に供給される。なお、チューブ24は、インクの種類毎に設けられている。なお、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着された状態を「装着状態」とも呼ぶ。
ヘッド22には、インクの種類毎にノズルが設けられている。ヘッド22は、噴射ノズルから印刷用紙2に向かってインクを噴射して文字や画像等のデータを印刷する。なお、カートリッジ4をカートリッジ装着部6に装着する様子や、カートリッジ4及びカートリッジ装着部6の詳細構成については後述する。なお、本実施例では、プリンター10は、カートリッジ装着部6がキャリッジ20の動きとは連動しない、いわゆる「オフキャリッジタイプ」と呼ばれるプリンターである。キャリッジ20にカートリッジ装着部6が設けられ、キャリッジ20と共にカートリッジ装着部6が移動する、いわゆる「オンキャリッジタイプ」と呼ばれるプリンターにも本発明は適用できる。
制御部31は、プリンター10の各部の制御や、カートリッジ4との信号の授受を行う。キャリッジ20は、ヘッド22を印刷用紙2に対して相対的に移動させる。
駆動機構30は、制御部31からの制御信号に基づいてキャリッジを往復動させる。駆動機構30は、タイミングベルト32と、駆動モーター34とを備える。タイミングベルト32を介して駆動モーター34の動力をキャリッジ20に伝達することによって、キャリッジ20が主走査方向(X軸方向)に往復移動する。また、プリンター10は、印刷用紙2を副走査方向(+Y軸方向)に移動させるための搬送機構を備える。印刷が行なわれる際には、搬送機構によって印刷用紙2が副走査方向に移動し、前面カバー11上に印刷完了後の印刷用紙2が出力される。
また、キャリッジ20を主走査方向に移動させた印刷領域外の位置には、ホームポジションと呼ばれる領域が設けられており、ホームポジションには、正常に印刷可能なようにメンテナンスを行うメンテナンス機構が搭載されている。メンテナンス機構は、ヘッド22の底面側(印刷用紙2に向いた側)でノズルが形成されている面(ノズル面)に押し付けられて、噴射ノズルを取り囲むように閉空間を形成するキャップ部材8や、ヘッド22のノズル面に押し付けるためにキャップ部材8を昇降させる昇降機構(図示せず)や、キャップ部材8がヘッド22のノズル面に押し付けられることで形成される閉空間に負圧を導入する吸引ポンプ(図示せず)などから構成されている。
本実施例では、印刷材供給システム1(プリンター10、カートリッジ4)の使用状態において、印刷用紙2を搬送する副走査方向に沿った軸をY軸とし、重力方向(上下方向)に沿った軸をZ軸とし、キャリッジ20の移動方向(左右方向)に沿った軸をX軸とする。ここで、「印刷材供給システム1の使用状態」とは、水平な面に印刷材供給システム1が設置された状態をいう。また、本実施例では、副走査方向(前方向)を+Y軸方向、その逆方向(後方向)を−Y軸方向とし、重力方向の下方から上方に向かう方向(上方向)を+Z軸方向とし、その逆方向(下方向)を−Z軸方向とする。また、印刷材供給システム1を前側(+Y軸方向側)から見たときに、右側から左側に向かう方向を+X軸方向とし、その逆方向を−X軸方向とする。また本実施例では、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される際の挿入方向が−Y軸方向ともなり、カートリッジ4がカートリッジ装着部6から取り外される際の方向が+Y軸方向ともなる。よって、カートリッジ装着部6のうち、−Y軸方向側を奥側とも呼び、+Y軸方向側を手前側とも呼ぶ。また、本実施例では、複数のカートリッジ4の配列方向がX軸方向ともなる。
図2は、装着状態におけるカートリッジ装着部6を示す外観斜視図である。図2には、4つのカートリッジ4がカートリッジ装着部6の各スロットに装着された様子を示している。4つのスロットのうち、−X軸方向側の1つのスロットを除き、3つのスロットでは、レバー672が押し下げられている。このように、カートリッジ装着部6にカートリッジ4が装着された後、レバー672が押し下げられることで、カートリッジ4の動きを規制して、カートリッジ4がカートリッジ装着部6から抜け出すことを防止する。カートリッジ4をカートリッジ装着部6から取り外す際には、レバー672を押上げて規制を解除して、カートリッジ4を取り外す。レバー672は、カートリッジ4が着脱する際に通過する挿入口69が形成された壁部67にZ軸方向に移動可能に設けられている。装着されたカートリッジ4のインクは、ポンプ機構7が駆動することでチューブ24に流通する。なお、カートリッジ装着部6の詳細構成は後述する。
図3は、図2の2−2断面図である。図3は、カートリッジ装着部6の一部とカートリッジ4を図示している。カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着されると、ポンプ機構7の駆動により、カートリッジ4の印刷材収容部450からインクが矢印に示すようにチューブ24に流通する。
図4は、図3のうち、−Y軸方向側の部分拡大図である。装着状態では、カートリッジ4とカートリッジ装着部6の各構成部材が以下のように配置される。
すなわち、カートリッジ4の印刷材導出管484に、カートリッジ装着部6の印刷材供給管642が挿入されて接続される。印刷材導出管484は、印刷材収容部450のインクを外部(印刷材供給管642)へ流通させる。印刷材供給管642は、印刷材導出管484から排出されたインクを、ヘッドに向けて送出すべく流通させる。また、装着状態では、カートリッジ装着部6のロッド662がカートリッジ4のレバー部材490に当接する。ロッド662とレバー部材490は、印刷材収容部450のインクが無くなった状態(「インクエンド状態」とも呼ぶ。)をプリンター10側で検出するために用いられる。詳細にはロッド662の変位をセンサー138で検出することでインクエンド状態を検出する。ここで、インクエンド状態とは、カートリッジ4の内部のインクが無くなった状態、あるいは、インクが残り少なくなった状態をいう。
また、カートリッジ4の回路基板50表面に設けられたカートリッジ側端子群(図示せず)の各端子と、カートリッジ装着部6の装置側端子群721の対応する各端子とが接触する。装置側端子群721は、コネクター739と電気的に接続されており、コネクター739に接続された配線(図示せず)がプリンター10の制御部31に電気的に接続されている。これにより、回路基板50の記憶装置と制御部31とが電気的に接続され、制御部31と回路基板50との間で信号の授受が可能となる。ここで、装置側端子群721やコネクター739は、装置側端子部70の構成部材である。なお、装置側端子部70の詳細構成は後述する。
A−2.カートリッジ装着部の詳細構成:
図5〜図9を用いてカートリッジ装着部6の詳細構成について説明する。図5は、カートリッジ装着部6の第1の外観斜視図である。図6は、カートリッジ装着部6の第2の外観斜視図である。図7は、カートリッジ装着部6の第3の外観斜視図である。図8は、カートリッジ装着部6の第4の外観斜視図である。図9は、カートリッジ装着部6の第5の外観斜視図である。なお、図5及び図8には、カートリッジ装着部6に取り付けられたチューブ24が図示されている。また、図6,7,9は、カートリッジ装着部6の内部の構成が視認できるように、一部の構成の図示は省略している。なお、本実施例のカートリッジ装着部6は、4つのカートリッジ4を独立して着脱できるが、プリンター10の仕様に応じてカートリッジ4の着脱個数を増加できるように構成されている。すなわち、図6に示すように、最も+X軸方向側には、増やしたカートリッジ4が装着できるように予備の装着空間や部材が設けられている。
図5に示すように、カートリッジ装着部6は、以下に述べる6つの壁部によってカートリッジ4を収容するカートリッジ収容室61が形成されている。カートリッジ収容室61は、略直方体形状である。カートリッジ収容室61の形状は、カートリッジ4の外観形状に対応している。なお、カートリッジ収容室61のうち、4つのカートリッジ4のうちの1つを収容する部分をそれぞれ、スロットとも呼ぶ。
カートリッジ装着部6は、装置側前壁部62と、第1の装置側側壁部63と、第2の装置側側壁部64とを備える。また、カートリッジ装着部6は、第3の装置側側壁部65と、第4の装置側側壁部66と、開口壁部67と、を備える。これらの6つの壁部62,63,64,65,66,67によってカートリッジ収容室61が区画形成されている。6つの壁部62,63,64,65,66,67の外形はそれぞれ、略長方形状である。
図5及び図6に示すように、装置側前壁部62は、カートリッジ収容室61に対して−Y軸方向側に位置する。装置側前壁部62は、プリンター10の使用状態において、垂直な壁部である。
図6に示すように、装置側前壁部62には、装置側端子部70と、印刷材供給機構640と、ロッド662が設けられている。詳細には、+Z軸方向から−Z軸方向に向かうに順に、装置側端子部70、印刷材供給機構640、ロッド662が配列されている。装置側端子部70及び印刷材供給機構640は、装置側前壁部62の+Y軸方向側(カートリッジ収容室61が位置する側)の面に設けられている。また、ロッド662は、装置側前壁部62をY軸方向に貫通するように設けられている。装置側前壁部62の−Y軸方向側(カートリッジ収容室61とは反対の側)には、ポンプ機構7が設けられている。
印刷材供給機構640は上述の印刷材供給管642を備え、カートリッジ4内のインクをプリンター10側に流通させるために利用される。装置側端子部70は、上述の装置側端子群721(図7)及びコネクター739(図6)を備え、カートリッジ4とプリンター10を電気的に接続するために利用される。図6に示すように装置側端子部70は、印刷材供給管642よりも第1の装置側側壁部63側(+Z軸方向側)に設けられている。ロッド662は、カートリッジ4のインクエンド状態をプリンター10側で検出するために用いられる。すなわち、ロッド662は、後述するプリンター10の検出機構の一部を構成する。また、ロッド662は、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される際に、正しい装着位置からの位置ずれを抑制するための位置決め部材としても機能する。なお、装置側端子部70、印刷材供給機構640、及び、ロッド662のそれぞれの詳細構成は後述する。
図5に示すように、第1の装置側側壁部63は、カートリッジ収容室61に対して+Z軸方向側に位置する。第1の装置側側壁部63は、装置側前壁部62と交差する向きに設けられている。本実施例では、第1の装置側側壁部63は、装置側前壁部62と直交する向きに設けられている。第1の装置側側壁部63は、プリンター10の使用状態において、水平な壁部である。第1の装置側側壁部63は、カートリッジ装着部6の上面を構成する。なお、本明細書では、「交わる」や「交差する」とは、(i)2つの要素が相互に交差し実際に交わる状態、(ii)一方の要素を延ばした場合に他方の要素に交わる状態、及び、(iii)相互の要素をそれぞれ延ばした場合に互いの要素が交わる状態、のいずれかの状態であることを意味する。
図7に示すように、第1の装置側側壁部63はカートリッジ4を装着位置まで案内するための第1のレール682を有する。第1のレール682は、少なくとも装着されるカートリッジ4の個数に対応して設けられている。本実施例では、実際に装着されるカートリッジ4の個数4つと、予備1つの計5つの第1のレール682が設けられている。第1のレール682はY軸方向に延びる溝であり、カートリッジ4の一部分が挿入される。また、第1のレール682の−Y軸方向側端部には、係止部材としての板ばね684が設けられている。装着状態では、板ばね684がカートリッジ4を係止することで、カートリッジ装着部6からカートリッジ4が抜け出すことを防止する。
図5、図6及び図9に示すように、第2の装置側側壁部64は、カートリッジ収容室61に対して−Z軸方向側に位置する。第2の装置側側壁部64は、カートリッジ収容室61を挟んで第1の装置側側壁部63と対向する。第2の装置側側壁部64は、装置側前壁部62と交差する向きに設けられている。本実施例では、第2の装置側側壁部64は、装置側前壁部62と直交する。第2の装置側側壁部64は、プリンター10の使用状態において、水平な壁部である。第2の装置側側壁部64は、カートリッジ装着部6の底面を構成する。
図6に示すように、第2の装置側側壁部64はカートリッジ4を装着位置まで案内するための第2のレール602を有する。第2のレール602は、少なくとも装着されるカートリッジの個数に対応して設けられている。本実施例では、第2のレール602は第1のレール682と同様に5つ設けられている。第2のレール602はY軸方向に延びる溝であり、カートリッジ4の一部分が挿入される。また、第2のレール602の−Y軸方向側端部には、係止部材としての板ばね604が設けられている。装着状態では、板ばね604がカートリッジ4を係止することで、カートリッジ装着部6からカートリッジが抜け出すことを防止する。同じカートリッジ4が装着される第1のレール682と第2のレール602は、カートリッジ収容室61を挟んで向かい合う位置に設けられている。
第1のレール682と第2のレール602とはX軸方向の寸法が異なる。詳細には、第1のレール682は第2のレール602よりもX軸方向の寸法が小さい。これにより、誤ってZ軸方向の向きを逆向きにしてカートリッジ4がカートリッジ装着部6に挿入されようとした場合に、カートリッジ4が第1と第2のレール682,602に挿入できない構成となっている。これにより、Z軸方向の向きが逆向きの誤った状態でカートリッジ4がカートリッジ装着部6に挿入される可能性を低減できる。
また図6に示すように、第2の装置側側壁部64のうち、装置側前壁部62に近接した位置には、装置側識別部材610が設けられている。装置側識別部材610は、カートリッジが装着される個数に対応して設けられている。本実施例では、装置側識別部材610は4個設けられている。装置側識別部材610は、カートリッジ収容室61の各スロットに正しい種類(本実施例ではインク色)のカートリッジ4が装着されたか否かを識別するために用いられる。各装置側識別部材610は、装着されるカートリッジ4内のインクの色に応じて、異なる形状を形成する。詳細には、各装置側識別部材610は、少なくとも1つ以上のリブによって形成され、リブの数と位置によって定まるパターンがカートリッジ4の種類に応じて異なる。カートリッジ4にも、リブによって形成された識別部材(「カートリッジ側識別部材」ともいう。)が設けられている。カートリッジ4の識別部材も収容するインクの色に応じて異なる形状を形成している。そして、正しい種類のカートリッジ4がスロットに挿入される場合は、装置側識別部材610とカートリッジ側識別部材とが嵌合する。一方、誤った種類のカートリッジ4がスロットに挿入される場合は、装置側識別部材610とカートリッジ側識別部材とが嵌合できない。これにより、誤った種類のカートリッジ4がカートリッジ装着部6の各スロットに装着される可能性を低減できる。
また図6に示すように、第2の装置側側壁部64のうち、装置側前壁部62に近接した位置には、規制部材612が設けられている。規制部材612は、カートリッジ4が装着される個数に対応して設けられている。本実施例では、規制部材612は5個設けられているが、実際に利用される個数は4個である。規制部材612は、カートリッジ4が+Y軸側の挿入口69(図5)から−Y軸方向側の装置側前壁部62に向ってカートリッジ装着部6のカートリッジ収容室61に挿入され、正しい装着位置まで到達したときにカートリッジ4と当接する。これにより、正しい装着位置からカートリッジ4がさらに押し込まれる可能性を低減できる。
図5に示すように、開口壁部67は、カートリッジ収容室61に対して+Y軸方向側に位置する。開口壁部67は、カートリッジ4の着脱の際にカートリッジ4を通過させるための挿入口69を有する。開口壁部67は、カートリッジ収容室61を挟んで装置側前壁部62と対向する。開口壁部67は、第1の装置側側壁部63及び第2の装置側側壁部64に交差する向きに設けられている。本実施例では、開口壁部67は、第1の装置側側壁部63及び第2の装置側側壁部64に直交する。開口壁部67は、プリンター10の使用状態において、垂直な壁部である。
開口壁部67は、Z軸方向に移動可能なレバー672が設けられている。カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着された後にレバー672を−Z軸方向に移動させる。これにより、レバー672がカートリッジ4に引っ掛かり、カートリッジ4が誤って取り外されることを防止する。レバー672がカートリッジ4に引っ掛かった状態とは、図2の+X軸方向側に位置する3つのカートリッジ4と対応する3つのレバー672が示す状態である。
図5及び図8に示すように、第3の装置側側壁部65は、カートリッジ収容室61に対して+X軸方向側に位置する。第3の装置側側壁部65は、装置側前壁部62、第1の装置側側壁部63、第2の装置側側壁部64、及び、開口壁部67と交差する向きに設けられている。本実施例では、第3の装置側側壁部65は、装置側前壁部62、第1の装置側側壁部63、第2の装置側側壁部64、及び、開口壁部67と直交する。第3の装置側側壁部65は、プリンター10の使用状態において、垂直な壁部である。第3の装置側側壁部65は、カートリッジ装着部6の側面を構成する。
図5に示すように、第4の装置側側壁部66は、カートリッジ収容室61に対して−X軸方向側に位置する。第4の装置側側壁部66は、カートリッジ収容室61を挟んで第3の装置側側壁部65と対向する。第4の装置側側壁部66は、装置側前壁部62、第1の装置側側壁部63、第2の装置側側壁部64、及び、開口壁部67と交差する向きに設けられている。本実施例では、第4の装置側側壁部66は、装置側前壁部62、第1の装置側側壁部63、第2の装置側側壁部64、及び、開口壁部67と直交する。第4の装置側側壁部66は、プリンター10の使用状態において、垂直な壁部である。第4の装置側側壁部66は、カートリッジ装着部6の側面を構成する。
各壁部62,63,64,65,66,67の配置から以下のような関係が規定できる。装置側前壁部62と開口壁部67あるいは挿入口69とが対向する方向がY軸方向である。開口壁部67あるいは挿入口69から装置側前壁部62に向かう方向、つまりカートリッジ4をカートリッジ装着部6に挿入する(装着する)方向が−Y軸方向であり、その逆、つまりカートリッジ4をカートリッジ装着部6から引き抜く(取り外す)方向が+Y軸方向である。第1の装置側側壁部63と第2の装置側側壁部64とが対向する方向がZ軸方向である。第1の装置側側壁部63から第2の装置側側壁部64へ向かう方向が−Z軸方向であり、その逆が+Z軸方向である。第3の装置側側壁部65と第4の装置側側壁部66とが対向する方向がX軸方向である。第3の装置側側壁部65から第4の装置側側壁部66へ向かう方向が−X軸方向であり、その逆が+X軸方向である。
A−3.カートリッジ装着部の各構成部材の詳細構成:
次に図10〜図13を用いて装置側前壁部62に設けられた部材70,640,662の詳細構成について説明する。図10は、装置側前壁部62と周辺部材の第1の外観斜視図である。図11は、装置側前壁部62と周辺部材の第2の外観斜視図である。図12は、装置側前壁部62と周辺部材の分解斜視図である。図13は、図10の10−10断面図である。
図10及び図11に示すように、カートリッジ装着部6のスロット毎に、装置側前壁部62には、装置側端子部70、印刷材供給機構640、ロッド662が+Z軸方向から−Z軸方向に向かってこの順番で設けられている。図12に示すように、装置側前壁部62は第1の前壁部690と第2の前壁部692を備える。第1の前壁部690が第2の前壁部692にボルトBTにより取り付けられる。
A−3−1.印刷材供給機構640の詳細構成:
図12に示すように、印刷材供給機構640は、カバー部材650と、印刷材供給管642と、シール部材646と、取付部材649とを備える。
印刷材供給管642は、第2の前壁部692に設けられた流通管659に接続される。詳細には、筒状の取付部材649に挿入されて、同様に取付部材649に挿入されている流通管659に接続される。流通管659は、チューブ24に連通している。
図13に示すように、印刷材供給管642は、内部に流路断面が円形の供給流路647を有する。印刷材供給管642の円周のうち、+Y軸方向側には外部と供給流路647とを連通させる連通穴648が形成されている。カートリッジ4のインクは、連通穴648、供給流路647、流通管659の内部流路を流通し、チューブ24へと流れる。
流通管659の外周と印刷材供給管642の内周の間には、シール部材646が配置されている。シール部材646は、弾性部材(例えば、ゴム)であり、外部にインクが漏れ出すことを防止する。なお、本実施例では、取付部材649は、第1の前壁部690の一部である。
印刷材供給管642は中心軸Cを有する。図12及び図13に示すように、印刷材供給管642は、装置側前壁部62に固定される基端部644と、カートリッジ4に接続される先端部643とを有する。ここで、中心軸Cと平行な軸がY軸である。また、Y軸に沿った方向(Y軸方向)のうち、基端部644から先端部643に向かう方向が+Y軸方向であり、+Y軸方向とは逆方向が−Y軸方向である。
図12に示すように、カバー部材650は、カートリッジ4の着脱時に印刷材供給管642(詳細には連通穴648)から外部にインクが飛び散る可能性を低減するための部材である。カバー部材650は、付勢部材652と、当接部材658と、飛散防止部653と、連通部655と、を備える。当接部材658は、外形が略円形である。当接部材658は、カートリッジ4と当接する。当接部材658は、Y軸方向に移動可能に構成されている。当接部材658の中心には、印刷材供給管642が挿入される貫通孔656が形成されている。飛散防止部653は、印刷材供給管642からインクが漏れた場合に、漏れたインクを受け止める。これにより、印刷材供給管642の周囲にインクが飛散する可能性を低減できる。飛散防止部653は、凹形状である。付勢部材652は、コイルばねである。付勢部材652の一端は当接部材658に当接し、他端は第1の前壁部690に当接している。装着状態では、付勢部材652は、当接部材658をカートリッジ4に押し付けるように付勢する。カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される際に、カートリッジ4が当接部材658を−Y軸方向に押し進めることで、飛散防止部653も−Y軸方向に移動する。飛散防止部653は、カートリッジ4が装着される前の状態から装着状態に至る間の変位に拘わらず印刷材供給管642の−Z軸方向側(真下側)に配置されている。詳細には、飛散防止部653は、カートリッジ4が装着される前の状態から装着状態に至る間の変位に拘わらず当接部材658の連通穴648の−Z軸方向側(真下側)に配置されている。飛散防止部653で受け止めたインクは、連通部655内を流通してカートリッジ装着部6に設けられた吸収材(図示せず)に到達する。
A−3−2.ロッド662の詳細構成:
図12及び図13に示すように、ロッド662は、Y軸方向に平行な中心軸Cbを備えている。ロッド662の外周には、付勢部材665とロッドカバー670が設けられている。ロッドカバー670は筒状であり、ロッド662と付勢部材665が内部に挿入される。ロッドカバー670は、第1の前壁部690の一部である。ロッド662はY軸方向に移動可能に構成されている。ロッド662は、+Y軸方向側に位置する一端部663と、−Y軸方向側に位置する他端部664とを備える。図10及び図11に示すように一端部663は、ロッドカバー670よりも+Y軸方向側に突出している。装着状態において、一端部663はカートリッジ4のレバー部材490(図4)に当接する。他端部664は装置側前壁部62よりも−Y軸方向側に位置する。他端部664は、遮光部666を有する。また、装置側前壁部62よりも−Y軸方向側にはセンサー138が設けられ、センサー138によって遮光部666の変位を検出することでインクエンド状態をプリンター10の制御部31で検出する。付勢部材665はコイルばねである。付勢部材665はロッド662を+Y軸方向側に付勢する。なお、ロッド662を用いたインクエンド検出の方法については後述する。
ロッド662は、装置側前壁部62のうち、第1の装置側側壁部63と第2の装置側側壁部64との中間の位置に設けられている。詳細には、Z軸方向について、第1の装置側側壁部63の内表面と第2の装置側側壁部64の内表面を結ぶ線分の中間の位置に設けられている。すなわち、図13に示すようにロッド662の中心軸Cbは、第1の装置側側壁部63と第2の装置側側壁部64のZ軸方向における中間の位置に配置されている。ここで、「中間の位置」とは、完全に中間である必要はなく、第1と第2の装置側側壁部63,64のどちらか一方に偏って配置されていなければ良い。例えば、「中間の位置」とは、第1の装置側側壁部63と第2の装置側側壁部64のZ軸方向における内壁面の距離に対して中心位置から10%以内の範囲内の位置を含む。
A−3−3.装置側端子部70の詳細構成:
図10及び図11に示すように装置側端子部70は、端子装着部694に設けられている。詳細には、図12に示すように装置側端子部70の一対の端子側嵌合部762が、端子装着部694に嵌め合わされることで端子装着部694に取り付けられている。また、装置側端子部70は、装置側前壁部62(詳細には、端子装着部694)に対してX軸方向及びZ軸方向に移動可能な状態で取り付けられている。詳細には、装置側端子部70は、装置側前壁部62に対してX軸方向及びZ軸方向に微小に移動可能に取り付けられている。
さらに、図14〜図18を用いて装置側端子部70の説明を行う。図14は、装置側端子部70の第1の分解斜視図である。図15は、装置側端子部70の第2の分解斜視図である。図16は、装置側端子部70の第1の外観斜視図である。図17は、装置側端子部70の第2の外観斜視図である。図18は、図17の17−17断面図である。なお、図18には、理解の容易の為に第1の前壁部690の一部を実線で、位置決め部756を点線で図示している。
図14及び図15に示すように、装置側端子部70は、装置側端子群721と、端子台724と、ホルダー750とを備える。また、装置側端子部70は、コネクター基板730を備える。コネクター基板730は、表面に設けられた端子群732(図15)と、裏面に設けられたコネクター739と、を備える。端子群732は複数の端子(本実施例では、9つ)からなり、コネクター739と電気的に接続されている。
装置側端子群721は、複数の端子(本実施例では、9つ)を備える。装置側端子群721のそれぞれの端子は、弾性変形可能に構成されている。装置側端子群721の各端子は、U字状の板バネによって構成されている。各端子の先端のうち、一方は、端子台724の表面724faから露出している。端子台724の表面724faから露出した先端部は、装着状態においてカートリッジ4の回路基板50の対応するカートリッジ側端子と接触する端子接点722となる。すなわち、端子接点722は、端子台724の表面724fa上に設けられる。各端子の先端のうち、他方は、端子台724の裏面724fbから露出している。端子台724の裏面724fbから露出した先端部は、端子群732の対応する端子と接触する端子接点723となる。すなわち、端子接点723は、端子台724の裏面724fb上に設けられる。
端子台724は、装置側端子群721を保持する。また、端子台724は、その表面724faから端子接点722を構成する一方の先端部が露出するように、装置側端子群721を保持する。また、端子台724は、その裏面724fbから端子接点723を構成する他方の先端部が露出するように、装置側端子群721を保持する。また図18に示すように、端子台724は、装置側端子群721の各端子が、弾性変形によりX軸方向に平行な軸721rを中心に移動するように装置側端子群721を保持する。換言すれば、端子台724は、装置側端子群721の各端子が、所定の平面に沿って弾性変形することで端子接点722が移動するように装置側端子群721を保持する。
図14〜図18に示すように、ホルダー750は、端子台724とコネクター基板730を保持する。詳細には、ホルダー750は収容空間751を有し、収容空間751に端子台724とコネクター基板730が収容されてホルダー750に保持される。また図18に示すように、ホルダー750は、端子台724の表面724faが+Y軸方向成分及び−Z軸方向成分を含む方向を向いて傾斜しつつX軸には平行な向きとなるような状態(「第1の状態」とよぶ)で端子台724を保持する。換言すれば、ホルダー750は、端子台724の表面724faがY軸とZ軸に対して傾斜するように端子台724を保持する。端子台724がホルダー750にこのような状態で保持されることによって、装置側端子群721の接点722は、+Y軸方向成分及び前記−Z軸方向成分を含む方向を向いて傾斜した表面上724faに設けられることとなる。また、ホルダー750は、軸721rが端子接点722よりも+Y軸方向側かつ+Z軸方向側に位置する状態(「第2の状態」とよぶ)で端子台724を保持する。第1の状態と第2の状態を満たしてホルダー750が端子台724を保持することで、図18に示すように端子接点722は矢印YR1の向きに弾性変形可能な状態となっている。別の観点から、装置側端子群721の弾性変形について以下に述べる。ホルダー750は、装置側端子群721の各端子が弾性変形する所定の平面が、Y軸とZ軸に平行な平面(「YZ平面」とも呼ぶ。)となる状態で端子台724を保持する。ホルダー750がこのように端子台724を保持することで、各接点722はYZ平面上で移動可能な状態となっている。
図14及び図15に示すように、ホルダー750は、収容空間751に対してX軸方向両側に位置する一対の壁部752と、壁部752に設けられた一対の位置決め部756を有する。ここで、一対の壁部752のうち収容空間751に対して+X軸方向側に位置する一方を第1壁部752tとも呼び、−X軸方向側に位置する他方を第2壁部752wとも呼ぶ。また、一対の位置決め部756のうち第1壁部752tに設けられた一方を第1の位置決め部756tとも呼び、第2壁部752wに設けられた他方を第2の位置決め部756wとも呼ぶ。なお、第1壁部752tと第2壁部752wとを区別することなく用いる場合は、壁部752を用いて説明する。また、第1の位置決め部756tと第2の位置決め部756wとを区別することなく用いる場合は、位置決め部756を用いて説明する。
第1壁部752tと第2壁部752wは、収容空間751を区画形成する壁である。第1の位置決め部756tと第2の位置決め部756wは、それぞれ端子台724の表面724faの+X軸方向側の側方及び−X軸方向側の側方に位置する。第1と第2の位置決め部756t,756wは、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される際に、装置側端子群721の各端子と対応するカートリッジ側端子群の各端子とが接触する接触位置にカートリッジ4と装置側端子部70を案内する。詳細には、第1の位置決め部756tと第2の位置決め部756wは、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される際に、装置側端子群721とカートリッジ側端子群との接触が開始される前に、カートリッジ4に形成された溝への挿入が開始されるように構成される。これにより、カートリッジ4と装置側端子部70が接触位置まで精度よく移動できる。第1の位置決め部756tは、Y軸方向(カートリッジ4の挿入方向)に沿って延びる。また、第1の位置決め部756tは、第1壁部752tから+X軸方向に突出する。第2の位置決め部756wは、Y軸方向(カートリッジ4の挿入方向)に沿って延びる。また、第2の位置決め部756tは、第2壁部752wから−X軸方向に突出する。本実施例では上記の第1の構成を実現するために、図18に示すように、位置決め部756の+Y軸方向側の端部757が端子接点722よりも+Y軸方向側に位置するように位置決め部756が設けられている。なお、端部757は、+Y軸方向から−Y軸方向に向かうに従ってZ軸方向の寸法が大きくなるテーパー形状である。これにより、カートリッジ4の後述する規制部に位置決め部756を容易に挿入できる。位置決め部756t,756wは、それぞれ、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着された装着状態において、カートリッジ4に形成された溝と接触する4つの接触面を有する。これら4つの接触面のうち、図16及び図17には、位置決め部756wの接触面756wa,756wb,756wc,756wdと、位置決め部756tの接触面756tb,756tdのみが示されている。4つの接触面のうち、Z軸方向において対向する2つの面であって、+Z軸方向側に位置するものをA面756ta(図33〜36),756wa、−Z軸方向側に位置するものをB面756tb,756wbとよぶ。また、X軸方向に交わる面をC面756tc(図33〜36),756wcとよぶ。また、+Y軸方向の先端面をD面756td,756wdとよぶ。
また図16に示すように、ホルダー750は、一対の壁部752から装置側端子群721の端子接点722が露出する方向(+Y軸方向成分と−Z軸方向成分を含む方向)に突出する一対の突起759を有する。突起759のうち、第1壁部752tに設けられた一方を第1突起759tとも呼び、第2壁部752wに設けられた他方を第2突起759wとも呼ぶ。第1突起759tは、装置側端子群721の+X軸方向側の側方から端子台724の表面724faに対して+Y軸方向成分と−Z軸方向成分を含む方向に突出するように設けられている。第2突起759wは、装置側端子群721の−X軸方向側の側方から端子台724の表面724faに対して+Y軸方向成分と−Z軸方向成分を含む方向に突出するように設けられている。第1突起759tと第2突起759wは、装着状態において、カートリッジ4の一部(後述する底壁側凹部910,図27参照)に受け入れられる。なお、第1突起759tと第2突起759wとを区別することなく用いる場合は、突起759を用いる。
図10乃至図12に示すように、ホルダー750は、端子台724を保持した状態で、装置側前壁部62に取付けられる。具体的には、ホルダー750は、第1の前壁部690の端子装着部694に取付けられる。端子装着部694は、X軸方向において対向する一対の支持壁696と、この壁に設けられた一対の嵌合穴698とを有する。一方、装置側端子部には、X軸方向において対向する一対の端子側嵌合部762が設けられる。端子側嵌合部762がホルダー750の一対の嵌合穴698に嵌め合わされることで、装置側端子部70が装置側前壁部62に対して取り付けられる。ここで、一対の端子側嵌合部762と一対の支持壁696との間には、X軸方向にクリアランスが設けられている。よって、装置側端子部70は、装置側前壁部62に対してX軸方向に微少に移動可能な状態となっている。また、一対の端子側嵌合部762と一対の嵌合穴698との間には、Y軸方向にクリアランスが設けられている。よって、装置側端子部70は、装置側前壁部62に対してZ軸方向に微小に移動可能な状態となっている。
また、端子装着部694の一対の支持壁696には、それぞれ、Y軸方向において対向する一対の係合部694a,694bが設けられている。そして、ホルダー750の一対の端子側嵌合部762にも、それぞれ、Y軸方向において対向する一対の係合部762a,762bが設けられている。端子側嵌合部762が端子装着部649の一対の嵌合穴698に嵌め合わされると、係合部694aと係合部762aとが−Y軸方向において係合し、係合部694bと係合部762bとが+Y軸方向において係合する。係合部694aと係合部762aとの間には、クリアランスがほとんどない。また、係合部694bと係合部762bとの間にも、実質的にクリアランスがない。よって、装置側端子部70は、装置側前壁部62に対してY軸方向には実質的に移動できない。
A−4.カートリッジ4の外観構成:
次に、図19〜26を用いてカートリッジ4の概略構成を説明する。なお、カートリッジ4を図示した図面に付したXYZ軸は、装着状態におけるカートリッジ4に対するXYZ軸に対応する。図19は、カートリッジ4の第1の外観斜視図である。図20は、カートリッジ4の第2の外観斜視図である。図21は、カートリッジ4の正面図である。図22は、カートリッジ4の背面図である。図23は、カートリッジ4の上面図である。図24は、カートリッジ4の底面図である。図25は、カートリッジ4の第1の側面図である。図26は、カートリッジ4の第2の側面図である。
図19及び図20に示すように、カートリッジ4は、外形が略直方体形状である。本実施例では、カートリッジ4は、Y軸方向、Z軸方向、X軸方向の順で寸法が小さくなる。カートリッジ4は、内部にインクを収容するケース9を備える。ケース9は合成樹脂を成形することで形成された筐体である。カートリッジ4は、前面42と、後面47と、第1側面43と、第2側面44と、第3側面45と、第4側面46とを備える。なお、第1側面43を上面43とも呼び、第2側面44を底面44とも呼び、第3側面45を右側面45とも呼び、第4側面46を左側面46とも呼ぶ。前面42と後面47は、Y軸方向において対向しており、前面42が−Y軸方向側に、後面47が+Y軸方向側に位置する。第1側面43と第2側面44は、前面42及び後面47と交わり、Z軸方向において対向している。第1側面43が+Z軸方向側に、第2側面44が−Z軸方向側に位置する。第3側面45と第4側面46は、前面42、後面47、第1側面43、及び第2側面44と交わり、X軸方向において対向している。第3側面45が+X軸方向側に、第4側面46が−X軸方向側に位置する。
前面42の形状は、Z軸方向の寸法がX軸方向の寸法よりも大きい略長方形である。前面42は、装着状態において装置側前壁部62(図6)と向かい合う。前面42には、ロッド挿入孔420と、供給管挿入孔424と、が形成されている。ロッド挿入孔420は、前面42のうち、第1側面43と第2側面44との中間の位置に設けられている。言い換えれば、Z軸方向について、第1側面43と第2側面44を結ぶ中間の位置に設けられている。すなわち、ロッド挿入孔420の中心軸Ceは、第1側面43と第2側面44のZ軸方向における中間の位置に配置されている。ここで、「中間の位置」とは、完全に中間である必要はなく、第1と第2側面43,44のどちらか一方に偏って配置されていなければ良い。例えば、「中間の位置」とは、第1側面43と第2側面44のZ軸方向における距離に対して中心位置から10%以内の範囲内の位置を含む。
装着状態において、供給管挿入孔424には印刷材供給管642(図12)が挿入される。また、供給管挿入孔424内には、カートリッジ4内のインクを外部へ流通させるための印刷材導出管484(図4)が配置されている。印刷材供給管642が印刷材導出管484に接続されることで、カートリッジ4内のインクが印刷材供給管642に流通可能となる。
装着状態において、ロッド挿入孔420には、外周の一部がロッドカバー720に覆われたロッド662(図12)が挿入される。ロッド挿入孔420にロッド662が挿入されることで、カートリッジ装着部6に対するカートリッジ4全体の位置決めを行い、正しい装着位置からの位置ずれを抑制する。また、装着状態においてロッド662がレバー部材490(図4)に当接する。
図19、図23、図25及び図26に示すように、第1側面43は第1凸部432を有する。第1凸部432は、第1側面43から+Z軸方向側に突出する。第1凸部432は、Y軸方向に沿って延びる。詳細には、図25及び図26に示すように、第1凸部432は、第1側面43のうち、前面42に近接した位置から後面47に近接した位置まで延びる。さらに詳細には、第1凸部432は、−Y軸方向側の第1部分432aと+Y軸方向側の第2部分432bに分かれており、その間に凹状の第1係止部436が形成される。図24〜図26に示すように、第2側面44は第2凸部442を有する。第2凸部442は、第2側面44から−Z軸方向側に突出する。第2凸部442は、Y軸方向に沿って延びる。詳細には、図25及び図26に示すように、第2凸部442は、第1側面43のうち、前面42に近接した位置から後面47に近接した位置まで延びる。さらに詳細には、第2凸部442は、−Y軸方向側の第1部分442aと+Y軸方向側の第2部分442bに分かれており、その間に凹状の第2係止部446が形成される。カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される際には、第1凸部432が第1のレール682(図7)に挿入され、第2凸部442が第2のレール602(図6)に挿入される。これにより、カートリッジ4をカートリッジ装着部6の対応するスロットに対して円滑に押し進めることができる。
図21に示すように、第1凸部432のX軸方向の寸法(幅)Xaと、第2凸部442のX軸方向の寸法(幅)Xbは異なる。本実施例では、寸法Xa<寸法Xbの関係を満たす。また、第2凸部442は、第1のレール682(図7)よりもX軸方向の寸法が大きく、第2凸部442は第1のレール682に挿入できない。これにより、誤って第1側面43と第2側面44の向きを逆にした状態で、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される可能性を低減できる。また、装着状態では、第1係止部436に板ばね684(図7)が入り込み、第2係止部446に板ばね604(図6)が入り込む。これにより、カートリッジ4がカートリッジ装着部6から不用意に外れることを防止する。
図19に示すように、第3側面45には、ラベルS1が貼り付けられている。このラベルS1には、カートリッジ4の取り扱いに関する情報(使用について注意事項等)が記載されている。
図21に示すように、前面42と第2側面44とが交差するコーナー部88には、凹部49と、一対の規制面421とが設けられている。凹部49には、カートリッジ側識別部材491が設けられている。カートリッジ側識別部材491は、1つ以上のリブによって形成され、収容するインクの色に応じて異なる形状を形成する。また、カートリッジ側識別部材491は、カートリッジ装着部6の正しいスロットに装着されることで、装置側識別部材610(図6)と嵌合する。一対の規制面421は、凹部49のX軸方向の両側に配置されている。一対の規制面421は、カートリッジ4が正しい装着位置まで到達したときに、規制部材612(図6)と当接する。
図19及び図21に示すように、カートリッジ4はさらに、前面42と第1側面43とが交差するコーナー部89に設けられた凹部90を備える。換言すれば、凹部90は、前面42と第1側面43に亘って設けられている。凹部90には、回路基板50が配置されている。回路基板50の表面50fa(図21)には、カートリッジ側端子群521が形成されている。カートリッジ側端子群521は、複数の端子(本実施例では、9個)を備える。装着状態において、カートリッジ側端子群521の各端子は、装置側端子群721(図15)の対応する各端子と接触することで、電気的に接続される。
さらに、図27〜図32を用いて凹部90の詳細構成について説明する。図27は、凹部90近傍の外観斜視図である。図28は、凹部90近傍の正面図である。図29は、図28の28a−28a断面図である。図30は、図28の28b−28b断面図である。図31は、装置側端子部70と回路基板50の接続状態を説明するための図である。図32は、装着状態における28a−28a断面図である。
図27に示すように、凹部90は、Y軸と直交する面に沿って設けられた開口982と、Z軸と直交する面に沿って設けられた開口984とを有する。また凹部90の内壁は、一対の側壁902(902t,902w)と、底壁988と、後壁986とによって概ね構成されている。これらの内壁902,986,988によって、装置側端子部70が挿入される端子収容室900が、凹部の内部に区画形成される。凹部90は、開口982、開口984、一対の側壁902t,902w、底壁988、後壁986を主要な面として構成される略六面体である。開口982と後壁986は、Y軸方向において対向しており、開口982は−Y軸方向に、後壁986は+Y軸方向に位置する。また、一対の側壁902t,902wは、X軸方向において対向しており、第1の側壁902tは+X軸方向側に、第2の側壁902wは−X軸方向側に位置する。開口984と底壁988は、Z軸方向において互いに非平行な状態で対向しており、開口984が+Z軸方向側に、底壁988が−Z軸方向側に位置する。開口982は、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着されるときに、装置側端子部70が凹部90に挿入される際の入口となる。底壁988は、第1の側壁902t及び第2の側壁902wと交わる。底壁988は、開口982と−Z方向側の辺において交わる。そして、開口982の−Z方向側の辺の位置から+Z方向に傾斜しながら+Y軸方向に延びて、後壁986と交わる。後壁986は、底壁988、第1の側壁902t、及び、第2の側壁902wと交わる。開口984は、後壁986、第1の側壁902t、第2の側壁902w、及び開口982と交わる。なお、第1の側壁902tと第2の側壁902wを区別することなく用いる場合は、側壁902を用いる。
底壁988には、回路基板50が取り付けられている。詳細には、図29に示すように、回路基板50の表面50faが−Y軸方向成分及び+Z軸方向成分を含む方向を向いて傾斜するように配置されている。すなわち、回路基板50の表面50faは、Y軸とZ軸に対して傾斜している。上述のごとく、表面50faはカートリッジ側端子群521を備える。すなわち、カートリッジ側端子群521は、プリンター10のカートリッジ装着部6への挿入方向である−Y軸方向に対して傾斜した面に設けられていることになる。また、回路基板50の裏面50fbは記憶装置525を備える。記憶装置525には、カートリッジ4に関する情報(例えば、インク色、製造年月日等)が格納されている。さらに、記憶装置525には、カートリッジ4に関する情報として、インク残量やインクの有無の情報を含んでもよい。カートリッジ側端子群521と記憶装置525とは電気的に接続されている。
図27乃至図30に示すように、凹部90のX軸方向において対向する一対の側壁902t,902wには、一対の溝906t,906wがそれぞれ設けられている。これらの溝906t,906wは、X軸方向に互いに向かい合うように設けられている。また、図28に示すように、溝906t,906wは、YZ平面28cに対して対称に設けられている。このYZ平面28cは、カートリッジのX軸方向の寸法(幅)の中心を構成する面である。凹部90内に配置される回路基板50及び凹部90を構成する各要素は、このYZ平面28cに対して対称に設けられている。すなわち、YZ平面28cは、カートリッジ側端子群521のX軸方向の寸法(幅)の中心を通る。そして、カートリッジ側端子群521のうち、カートリッジ端子群521の幅方向の中心に設けられた電極521cが、YZ平面28cと交わる。また、YZ平面28cは、回路基板50のX軸方向の寸法(幅)の中心を通る。また、このYZ平面28cは、回路基板50を底壁98に取り付けるために底壁988に設けられた取付け部50a,50bを通る。また、YZ平面28cは、カートリッジ側端子群521のうち、X軸方向の中央部に設けられた端子521cを通る。この端子521cは、装置側端子群721のうち、X軸方向の中央部に設けられた端子721c(図16参照)と接触する端子である。また、凹部90の溝906t,906wと、一対の壁側壁902t,902wは、YZ平面28cに対して対称に設けられる。さらに、YZ平面28cは、先に説明した第1凸部432(432a,432b)及び第2凸部442(442a,442b,図21及び図25参照)のX軸方向の寸法(幅)の中心を通る。また、図28には示していないが、YZ平面28cは、第1側面43に設けられた第1係止部436(図25)及び第2側面44に設けられた第2係止部446(図25)のZ軸方向の寸法(幅)の中心を通る。また、この第1係止部436及び第2係止部446を係止する板ばね684及び605(図6,図7)は、このYZ平面28cと交差する。
図27及び図30に示すように、第1の側壁902tには、第1の規制部としての第1の溝906tが設けられている。第1の溝906tは、第1の側壁902tの一部を+X軸方向に掘り下げたような形状で形成されている。つまり、第1の溝906tは、第1の側壁902tから+X軸方向に窪んでいる。第1の溝906tは、Y軸方向に沿って延びる。詳細には、第1の溝906tは、開口982の位置から後壁986側に向って+Y軸方向に沿って延びる。第1の溝906tには、装着状態において、第1の位置決め部756t(図16)が挿入される。第1の溝906tは、−Y軸方向側の端面と−X軸方向側の面が開放されている。図27及び図29に示すように、第2の側壁902wには、第2の規制部としての第2の溝906wが設けられている。第2の溝906wは、第2の側壁902wの一部を−X軸方向に掘り下げたような形状で形成されている。つまり、第2の溝906wは、第2の側壁902wから−X軸方向に窪んでいる。第2の溝906wは、Y軸方向に沿って延びる。詳細には、第2の溝906wは、開口982の位置から後壁906側に向って+Y軸方向に沿って延びる。第2の溝906wは、−Y軸方向側の端面と+X軸方向側の面が開放されている。
図29及び図30に示すように、溝906t,906wは、それぞれ−Y軸方向側の端面に開口941,961を有する。溝906t,906wは、これらの開口941,961から+Y軸方向側に延びる入口部分916t,916wと、入口部分916tの+Y軸方向の端部から+Y軸方向側に延びる接触部分926t,926wとを備える。−Y軸方向側の端面の開口941,961は、それぞれ、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される際に、位置決め部756t,756wが挿入される入口となる。開口941,961は、カートリッジ側端子群521よりも−Y軸方向側に形成されているため、装置側端子群721とカートリッジ側端子群521との接触が開始される前に、位置決め部756t,756wの溝906t,906wへの挿入が開始される。
入口部分916t,916wは、溝906t,906wのうち位置決め部756t,756wが最初に挿入される部分である。図28乃至図30に示すように、入口部分916t,916wは、+Y軸方向に向かうに従ってZ軸方向の寸法が単調減少している。また、図28に示すように、入口部分916t,916wは、−Y軸方向から+Y軸方向に向かうに従ってX軸方向の寸法が減少している。すなわち、入口部分916t,wには、Z軸方向及びX軸方向に徐々に寸法が減少するようなテーパーが設けられている。さらに換言すれば、入口部分916t,916wは、開口941,961の面積が最も大きいテーパー形状である。
また、図28乃至図30に示すように、入口部分916t,916wと対応するように、凹部90の側壁902w,902tの入口部分902wa,902taも、テーパー形状となっている。すなわち、入口部分902wa,902ta部分における側壁902w,902t間の距離(X軸方向における間隔)は、−Y軸方向から+Y軸方向に向かうに従って小さくなる。
接触部分926t,926wは、それぞれ、装着状態において、位置決め部756t,756wと接触する。図29及び図30に示すように、接触部分926t,926wは、それぞれ、装着状態において位置決め部756t,756wと接触する接触面940,960を有する。図30に示すように、第1の位置決め部756tとの接触面940、つまり、溝906tの接触面940は、4つの面942,946,948,944を備える。同様に、図29に示すように、第2の位置決め部756wとの接触面960、つまり、溝906wの接触面も、4つの面962,966,968,964を備える。これら4つの接触面を、それぞれ、A面942,962、B面946,966、C面944,964、D面948,968ともよぶ。
図30に示すように、溝906tのA面942とB面946は、Z軸方向において対向しており、A面942が+Z軸方向側に、B面946が−Z軸方向側に位置する。溝906tのD面948は、Y軸方向において開口941と対向しており、開口941が−Y軸方向側、D面948が+Y軸方向側に位置する。またD面948は、A面942及びB面946と交わる。溝906tのC面944は、図28に示すように、第1の側壁902tの延長面902teと対向しており、第1の側壁902tの延長面902teに対して+X軸方向側に位置する。またC面944は、A面942、B面946、及び、D面948と交わる。溝906tのA面942は、第1の位置決め部756t(図16)の+Z軸方向側端部と接触する。B面946は、第1の位置決め部756tの−Z軸方向側端部と接触する。第1のD面948は、第1の位置決め部756tの+Y軸方向側端部と接触する。第1のC面944は、第1の位置決め部756tの+X軸方向側端部と接触する。
図29に示すように、溝906wのA面962とB面966は、Z軸方向において対向しており、A面962が+Z軸方向側に、B面966が−Z軸方向側に位置する。溝906wのD面968は、Y軸方向において開口961と対向しており、開口961が−Y軸方向側、D面968が+Y軸方向側に位置する。またD面968は、A面962,B面966と交わる。溝906wのC面964は、図28に示したように、第2の側壁902wの延長面902weと対向しており、第1の側壁902wの延長面902weに対して−X軸方向側に位置する。またC面964は、A面962、B面966、及び、D面968と交わる。溝906wのA面962は、第2の位置決め部756w(図16)の+Z軸方向側端部と接触する。B面966は、第2の位置決め部756wの−Z軸方向側端部と接触する。D面968は、第2の位置決め部756wの+Y軸方向側端部と接触する。C面964は、第2の位置決め部756wの−X軸方向側端部と接触する。
ここで、第1の溝906tと第2の溝906wとを区別することなく用いる場合は、単に「溝906」とも呼ぶ。また、第1の接触部分926tと第2の接触部分926wを区別することなく用いる場合は、単に「接触部分926」とも呼ぶ。また、第1の入口部分916tと第2の入口部分916wとを区別することなく用いる場合は、単に「入口部分916」とも呼ぶ。
図27に示すように、底壁988の、傾斜面50faと第1の側壁902tとの間、及び、傾斜面50faと第2の側壁902wとの間には、それぞれ一対の底壁側凹部910t,910wが形成されている。図31に示すように、一対の底壁側凹部910t,901wは、それぞれ、装着状態において装置側端子部70の一対の突起759t,759w(図16)を受け入れるように構成されている。なお、一対の底壁側凹部910t,910wをまとめて第1の底壁側凹部910とも呼ぶ。
A−5.カートリッジ側端子群521と装置側端子群721との接触態様:
次に、図33〜図36を用いて、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される際の、カートリッジ側端子群521と装置側端子群721との接触態様について説明する。図33は、接触態様を説明するための第1の図である。図34は、接触態様を説明するための第2の図である。図35は、接触態様を説明するための第3の図である。図36は、接触態様を説明するための第4の図である。図33から図36の図面番号順に、カートリッジ4の装着の際の様子が時系列に図示されている。また、図33〜図36は、カートリッジ側端子群521の1つのカートリッジ側端子521aと装置側端子群721のうちの1つの装置側端子721aに着目して説明する。なお、他の端子についても同様の装着態様である。第1と第2の位置決め部756ta,waの形状は同一であり、第1と第2の溝906t,wの形状は同一であることから、図33〜図36では理解の容易のために、符号756ta,waを併記すると共に符号906t,wを併記している。
図33に示すように、カートリッジ4(図19)をカートリッジ装着部6(図5)に装着する際、カートリッジ4は−Y軸方向にカートリッジ装着部6のスロット内に押し進められる。このとき、図34に示すように、カートリッジ側端子521aが装置側端子721aの端子接点722aと接触する前に、溝906への位置決め部756の挿入が開始される。この時、カートリッジ装着部6に若干の製造誤差が生じていた場合でも、装置側端子部70がX軸方向及びZ軸方向に移動することで、カートリッジ4の凹部90内に、その誤差を吸収しながら導かれる。位置決め部756が溝906の入口部分916の面に接触しながらカートリッジ4が−Y軸方向に押し進められることで、カートリッジ側端子521aと装置側端子721aとが接触する位置に装置側端子部70が案内される。図34では、装置側端子部70が矢印V1に示した方向(−Z軸方向)に僅かに移動しながら凹部90内(図27)に導かれる様子を示している。
図35に示すように、カートリッジ4がさらに−Y軸方向に押し進められ、溝906の接触部分926t,wに位置決め部756t,wが挿入されると、位置決め部756t,wのC面756tc,wcが、それぞれ溝906t,wのC面944,964に接触することで、装置側端子部70(図10)のX軸方向の移動が規制される。また、このとき、位置決め部756t,wのA面756ta,waが、それぞれ溝906t,wのA面942,962に接触し、B面756tb,wbが、それぞれB面946,966に接触することで、装置側端子部70のZ軸方向の移動が規制される。これにより、カートリッジ側端子521aと端子接点722aとのX軸方向及びZ軸方向の位置が定められる。そして、位置決め部756の接触部分926への挿入が始まった後、完全な挿入が完了する直前に、端子接点722aが初めてカートリッジ側端子521aに接触する。この時点では、位置決め部756t,wの先端面756td,756wdは溝906t,wのD面948,968に接触しておらず、更にカートリッジ4を押し進めることが可能である。図35に示す状態から、カートリッジ4を更に−Y軸方向に押し進めると、装置側端子721aが弾性変形し、装置側端子721aの接点722aがカートリッジ側端子521aと接触しながら矢印YR1aの向きに移動する。このとき、僅かに装置側端子群とカートリッジ側端子群とが擦れ合う。そして、最終的には、図36に示すように、位置決め部756t,wの先端面756td,twが溝906t,wのD面948,968に接触し、カートリッジ側端子521aと端子接点722aとのY軸方向の位置が定められる。この状態で、カートリッジ4のカートリッジ装着部6への装着が完了する。また、装着完了時及び装着状態では、図35に示した装着の最終段階と同様、位置決め部756t,wのA面756ta,waと溝906t,wのA面942,944とが+Z軸方向において接触している。また、B面756tb,wbと溝906t,wのB面946,966とが−Z軸方向において接触している。また、第1の位置決め部のC面756tcが+X軸方向において第1の溝906tのC面944と接触し、第2の位置決め部のC面756wcが−X軸方向において第2の溝906wのC面964と接触している。よって、位置決め部756t,wのZ軸方向及びX軸方向の動きが、溝906t,wによって規制される。これにより、装置側端子721aとカートリッジ側端子521aとの接触を良好に図ることができる位置に、両者721a,521aを保持することができる。
A−6.カートリッジ4のその他の構成:
図37は、カートリッジ4の分解斜視図である。図37に示すように、ケース9は、印刷材収容部450と、カートリッジ側流路部材480とを収容する。印刷材収容部450は、内部にインクを収容する。また、印刷材収容部450は、可撓性を有する袋体である。本実施例では、印刷材収容部450は樹脂フィルム層の上にアルミニウム層が積層形成されたアルミラミネート複層フィルムにより形成されている。カートリッジ側流路部材480は、印刷材収容部450と外部とを連通させる流路(「印刷材導出流路」とも呼ぶ。)を形成する。すなわち、カートリッジ側流路部材480は、一端部が印刷材収容部450内に接続され、他端部に設けられた印刷材導出管484が印刷材供給管642(図4)に接続される。印刷材導出流路の途中には、検出室482が設けられている。検出室482内には、付勢部材としてのコイルばね496と、逆止弁495と、受圧板493とが収容される。また、検出室482の一側面である開口は可撓性を有するフィルム492によって覆われている。受圧板493は、コイルばね496とフィルム492との間に配置されている。コイルばね496は、検出室482の容積を増大させるように受圧板493を付勢する。ケース9は、さらにレバー部材490を収容する。レバー部材490は、フィルム492に検出室482の外側から接する。検出室482は、内部の圧力の変化に応じて容積が変化する。検出室482の容積の変化によりレバー部材490が変位する。上述のごとく、レバー部材490にはロッド662(図4)が当接している。印刷材収容部450にインクが収容されている状態で、ポンプ機構7により印刷材収容部450内が吸引された場合、吸引に伴って検出室482内にもインクが供給される。これにより検出室482内の圧力は所定圧に維持される。このとき、検出室482の容積は大きく維持されているため、ロッド662(図4)は、レバー部材490によって、付勢部材665(図4)によって付与される付勢力に抗して−Y軸方向へ押された状態となっている。一方、印刷材収容部450のインクが無くなった状態で、ポンプ機構7により印刷材収容部450内が吸引された場合、検出室482内は負圧となる。検出室482内が負圧となることで所定圧の時よりも検出室482内の容積が減少し、レバー部材490が変位する。それに伴い、ロッド662(図4)は、付勢部材665(図4)によって付与される付勢力によって、+Y軸方向へ変位する。このレバー部材490の変位に伴うロッド662(図4)の変位をセンサー138(図4)が検出することで、インクエンド状態を制御部31が検出できる。なお、検出室482、コイルばね496、受圧板493、フィルム492、レバー部材490は、プリンター10側でインクエンド状態を検出するために利用される検出機構を構成する。なお、カートリッジ側流路部材480はさらに、外部から印刷材収容部450にインクを注入するための注入流路483を有する。印刷材収容部450にインクが注入された後は、注入流路483は塞がれる。
A−7.効果:
先に図10乃至図12を参照して説明したように、本実施例では、装置側端子部70がX軸方向とZ軸方向に移動可能になっている。そして、図27〜30に示したように、カートリッジ4が、このような装置側端子部70が挿入される凹部90を有している。これにより、カートリッジ装着部6やカートリッジ4に製造誤差が生じていた場合でも、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着される際に、装置側端子部70が移動することで、カートリッジ4の凹部90内に、その誤差を吸収しながら導かれる(図34)。そして、最終的には、凹部90に設けられた第1及び第2の規制部906t,906wによって、装置側端子群721とカートリッジ側端子群521との位置決めが行われる。すなわち、装着完了時及び装着状態では、カートリッジ4の凹部90に設けられた第1及び第2の規制部906t,906wが、装置側端子部70の第1及び第2の位置決め部756t,756wのZ軸方向及びX軸方向の動きを規制することで、装置側端子群721とカートリッジ側端子群521とを位置決めする。よって、装置側端子群721とカートリッジ側端子群521との接触を良好に図ることができる。
また、上記実施例では、図13に示したように、Y軸方向に平行な中心軸Cbを有するロッド662が、装置側前壁部62のうち、第1の装置側側壁部63と第2の装置側側壁部64との中間の位置に設けられる。そして、図21に示したように、ロッド662が挿入されるロッド挿入孔420が、カートリッジ4の前面42のうち第1と第2側面43,44のZ軸方向における中間の位置に設けられている。本実施形態では、ロッド挿入孔420にロッド662が挿入されることで、カートリッジ装着部6に対するカートリッジ4の全体の位置決めを行い、正しい装着位置からの位置ずれを抑制する。よって、ロッド挿入孔420近傍の位置ずれは良好に抑制できる。しかし、前面42のコーナー部89に設けられたカートリッジ側端子群521(図21)とロッド挿入孔420は、離れた位置にあり、このようにロッド挿入孔420から離れた位置にある部材の位置ずれを抑制することは困難となる場合がある。特に、本実施例のカートリッジ4は、大判印刷用のプリンター10に用いられる大容量タイプのカートリッジ4であるため、サイズが大きく、カートリッジ側端子群521とロッド挿入孔420とがそれなりに離れた位置にある。しかしながら、上記のように、X軸方向とZ軸方向に移動可能な装置側端子部70や、このような装置側端子部70が挿入される凹部90の構成を採用することによって、カートリッジ側端子群521と装置側端子群721との位置決めを精度良く行なうことができる。すなわち、本実施例によれば、大容量タイプのサイズが大きいカートリッジ4であっても、カートリッジ4全体の位置決めを精度良く行いつつ、また、カートリッジ4の製造誤差を吸収しつつ、装置側端子群721とカートリッジ側端子群521とを精度良く位置決めすることが可能となる。
また、本実施形態では、印刷材供給管642が、ロッド662と装置側端子部70との間に設けられる(図13)。そして、印刷材供給管642が挿入される供給管挿入孔424が、ロッド挿入孔420と凹部90との間に設けられている(図21)。つまり、印刷材供給管642は、ロッド662により近い位置に設けられる。また、供給管挿入孔424は、ロッド挿入孔420により近い位置に設けられる。よって、印刷材供給管642と供給管挿入孔424との間の位置ずれを、良好に抑制できる。
また、図18に示したように、装置側端子群721は、+Y軸方向成分及び−Z軸方向成分を含む方向を向いて傾斜した表面724fa上に設けられている。そして、図29に示したように、カートリッジ側端子群521は、−Y軸方向成分と+Z軸方向成分を含む方向を向いて傾斜する傾斜面50faに設けられている。すなわち、装置側端子群721とカートリッジ側端子群521は、いずれもカートリッジ4のカートリッジ装着部6への挿入方向である−Y軸方向に対して同じような傾きで傾斜した面に設けられている。先に図33〜36を参照して説明したように、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に挿入されるとき、カートリッジ4は−Y軸方向に進行する。このとき、カートリッジ側端子群521も−Y軸方向に進行して装置側端子群721に徐々に近づいていくが、装着が完了する直前まで両者が接触することはない。装着の最終段階で、カートリッジ4の凹部90に装置側端子部70が挿入された後、装着が完了する直前に僅かに装置側端子群721とカートリッジ側端子群521とが擦れ合う(図35,図36)。そして、装着完了時及び装着状態では、カートリッジの凹部90に設けられた第1及び第2の規制部906t,906wが、装置側端子部7の第1及び第2の位置決め部756t,756wのZ軸方向及びX軸方向の動きを規制することで、装置側端子群721とカートリッジ側端子群521とを位置決めする。このように、カートリッジ4の装着時に装置側端子群721とカートリッジ側端子群521とがほとんど擦れ合うことが無い一方で、カートリッジ4の装着が完了する直前に僅かに装置側端子群721とカートリッジ側端子群521とが擦れ合うことにより、カートリッジ4の装着時に、装置側端子群721がカートリッジ4のケース9等に擦れ合って削りカスが発生する可能性を低減できる。また、仮に埃が装置側端子群721の近傍に存在し、装置側端子群721とカートリッジ側端子群521との間に挟まった場合でも、装置側端子群721がカートリッジ側端子群521の表面を直線的に擦り上げながら接触を行うことで、埃を接触部から排出する効果(ワイピング効果)を発揮し、埃が装置側端子群721とカートリッジ側端子群521との間に挟まる可能性を低減できる。
また、上記実施例によれば、図16,図17及び図36に示したように、装置側端子部70の第1及び第2の位置決め部756t,wの+Z軸方向側の端部にA面756ta,waが設けられており、−Z軸方向側の端部にB面756tb,wbが設けられている。そして、図28乃至図30及び図36に示したように、凹部90に設けられた第1及び第2の規制部としての溝906t,wに、それぞれ、A面942,964と、B面946,966とが設けられている。図36に示したように、溝906t,wのA面942,964は、装着常態において、第1及び第2の位置決め部756t,wの+Z軸方向側の端部に設けられたA面756ta,waと接触する。溝906t,wのB面946,966は、装着常態において、第1及び第2の位置決め部756t,wの−Z軸方向側の端部に設けられたB面756tb,wbと接触する。つまり、第1及び第2の規制部906t,wは、第1及び第2の位置決め部756t,wの±Z方向の動きを規制する。これにより、装置側端子群721に対するカートリッジ側端子群521のZ軸方向の位置決めを精度良く行なうことができる。よって、装置側端子群721とカートリッジ側端子群521との接触をより良好に図ることができる。しかも、+Z軸方向と−Z軸方向の両側で装置側端子部70を保持できるため、プリンター10の使用時に振動や外部からの衝撃が加わっても、このような振動や衝撃による装置側端子群721とカートリッジ側端子群521との接触位置のずれを、抑制できる。
さらに、上記実施例によれば、図16、図17、図27及び図28に示したように、第1の規制部としての第1の溝906tが、接触することによって第1の位置決め部756tの+X軸方向の動きを規制し、第2の規制部としての第2の溝906wが、接触することによって第2の位置決め部756wの−X軸方向の動きを規制する。すなわち、第1の溝906tと第2の溝906wによって、装置側端子部70の±X軸方向の動きを規制する。これにより、装置側端子群721に対するカートリッジ側端子群521のX軸方向の位置決めを精度良く行なうことができる。よって、装置側端子群721とカートリッジ側端子群521との接触をより一層良好に図ることができる。しかも、+X軸方向と−X軸方向の両側で装置側端子部70を保持できるため、プリンター10の使用時に振動や外部からの衝撃が加わっても、このような振動や衝撃による装置側端子群721とカートリッジ側端子群521との接触位置のずれを更に抑制できる。
さらに、上記実施例では、図28乃至図30及び図36に示したように、第1及び第2の規制部としての溝906t,wが、それぞれ第1及び第2の位置決め部の+Y軸方向側端部のD面756td,wdと接触するD面948,968を備える。これにより、カートリッジ4をカートリッジ装着部6に挿入する際に、装置側端子部70が過度に+Y軸方向に進行しすぎることで、カートリッジ凹部90内の底壁988に強く衝突することを防ぐことができる。これにより、装置側端子部70の破壊を防ぐことができる。
また、上記実施例では、図27乃至図30に示したように、第1の側壁902t,902wにそれぞれ溝906t,906wを形成することで、第1及び第2の位置決め部756t,756wの動きを規制するための第1及び第2の規制部を容易に形成できる。また、本実施例では、図27乃至図30に示したように、利用者によって着脱されるカートリッジ4側の構成要素を溝906とし、図15及び図17に示したように、不動のカートリッジ装着部6側の構成要素を突出する部材756とすることで、着脱の際にカートリッジ4の第1と第2の規制部906t,906wがプリンター10の構成部材に衝突し、プリンター10やカートリッジ4が破損する可能性を低減できる。
また、上記実施例では、図29,図30,及び図33乃至図36に示したように、第1及び第2の規制部906t,wが、それぞれ、−Y軸方向側の端面に設けられた開口941,961から+Y軸方向に延び、+Y軸方向に向かうに従ってZ軸方向の寸法が減少する入口部分916t,wを備える。すなわち、入口部分916t,wには、Z軸方向に徐々に寸法が減少するようなテーパーが設けられている。これにより、カートリッジ4やカートリッジ装着部6にZ軸方向の製造誤差が生じた場合でも、カートリッジ4の凹部90に設けられた規制部906が、Z軸方向に移動可能な装置側端子部70の位置決め部756を容易に案内できるようになる(図34)。また、第1及び第2の規制部906t,wは、入口部分916t,wの+Y軸方向の端部から+Y軸方向側に延び、Z軸方向の寸法が一定であり、装着状態において第1及び第2の位置決め部745t,wとそれぞれ接触する接触部分926t,wを有する。これにより、入口部分916t,wに装置側端子部70の位置決め部745t,wを案内した後、接触部分926t,wまで押し進めることで、装置側端子群721のカートリッジ側端子群521に対する位置決めを精度良く行なうことができる。
また、図28に示すように、上記実施例では、入口部分916は、さらに、−Y軸方向から+Y軸方向に向かうに従ってX軸方向の寸法が減少している。これにより、カートリッジ4やカートリッジ装着部6にX軸方向の製造誤差が生じた場合でも、規制部906が位置決め部756を容易に案内できるようになる。ただし、カートリッジ4やカートリッジ装着部6の各スロットのX軸方向の寸法(幅)は、Z軸方向の寸法に比べてかなり小さいため、これらのX軸方向の製造誤差は、Z軸方向の製造誤差よりも相対的にかなり小さくなると考えられる。よって、位置決め部756t,wを案内し易くなるという効果は、入口部分916のZ軸方向にテーパーを設けるだけで、X軸方向にはテーパーを設けなくても、十分達成することが可能である。
さらに、図28乃至図30に示すように、本実施形態では、入口部分916t,wと対応するように、凹部90の側壁902w,tの入口部分902wa,taも、テーパー形状となっている。すなわち、入口部分902wa,ta部分における側壁902w,902t間の距離(X軸方向における間隔)は、−Y軸方向から+Y軸方向に向かうに従って小さくなる。このように、凹部90の入口部分902wa,taが装置側端子部70を受け入れる間口を広くすることによって、カートリッジ4の凹部90に装置側端子部70を案内しやすくすることが可能である。
また、図27に示すように、上記実施例では、凹部90の底壁988のうち表面50faのX軸方向の両側部分、すなわち、カートリッジ側端子群521が設けられた傾斜面50faと凹部90の第1及び第2の側壁902t,wとの間に、ホルダーの一部が挿入される一対の底壁側凹部910t,wを有する。これら一対の底壁側凹部910t,wにより、カートリッジ側端子群521の+X軸方向側及び−X軸方向側の側方に、略三角形の面が露出する。これにより、カートリッジ側端子群521を回路基板50に設ける場合は、回路基板50の取り付けや取り外しを容易に行うことが可能となる。また、図16に示すように、装置側端子群721の+X軸方向側の側方及び−X軸方向側の側方には、表面724faに対して+Y軸方向成分と−Z軸方向成分を含む方向に突出するように、一対の突起759t,wが設けられている。凹部90に設けられた底壁側凹部910t,wは、それぞれ、突起759t,wを受け入れる空間となる。そして、底壁側凹部910t,wに突起759t,wが受け入れられることにより、規制部906と位置決め部756によるカートリッジ側端子群521及び装置側端子群721との位置決めや位置ずれの抑制に加え、カートリッジ側端子群521及び装置側端子群721により近い位置でも、両者の位置決めや位置ずれの抑制を行うことが可能となる。これにより、装置側端子群721とカートリッジ側端子群521との接触を、より良好に図ることができる。
また、上記実施例では、図28に示すように、カートリッジ4のX軸方向の寸法の中心を構成するYZ平面28cに対して、回路基板50及び凹部90を構成する各要素が対称に設けられている。また、図28には示していないが、YZ平面28cは、第1側面43に設けられた第1係止部436(図25)及び第2側面44に設けられた第2係止部446(図25)のZ軸方向の寸法(幅)の中心を通る。また、この第1係止部436及び第2係止部446を係止する板ばね684及び605(図6,7)は、このYZ平面28cと交差する。よって、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着された状態で、装置側端子部70や板バネ604及び684(図6,図7)などから受ける力がバランスよくカートリッジ4に作用するため、カートリッジ4が傾きにくい。このことによっても、装置側端子群721とカートリッジ側端子群521との接触を、より良好に図ることが可能となる。
また、上記実施例では、カートリッジ装着部6は端子台724を保持するホルダー750を有する(図14〜図16)。すなわち、上記実施例では、端子台724を直接に装置側前壁部62に取り付けるのではなく、ホルダー750を介して装置側前壁部62に取り付けることで、端子台724及び装置側端子群721が汎用性に優れた部品となる。すなわち、装置側端子群721とカートリッジ側端子群521との位置決めを行うための位置決め部756は、カートリッジ4やプリンター10の仕様に応じて異なる場合がある。設計変更が必要な位置決め部756を端子台724ではなくホルダー750に設けることで、端子台724と端子台724に保持される装置側端子群721の形状を一定にすることができる。これにより、端子台724と装置側端子群721が汎用性に優れた部品となる。
B.第2実施例:
第2実施例の印刷材供給システム1Aは、第1実施例の印刷材供給システム1と比較して、カートリッジ4の端子収容室900(図27参照)の構成が異なるが、それ以外は同様である。第2実施例の説明では、第1実施例と同様の構成については同一の符号を付すと共に説明を省略する。なお、プリンター10の構成は第1実施例と同様である。
図38から図41を用いて第2実施例の端子収容室900Aの詳細構成について説明する。図38は、端子収容室900A近傍の外観斜視図である。図39は、端子収容室900A近傍を+Z軸方向側から見た図である。図40は、端子収容室900A近傍を−X軸方向側から見た図である。図41は、端子収容室900A近傍の正面図である。
図38に示すように、第1実施例の端子収容室900と同様に、第2実施例の端子収容室900Aについても、内壁902,986,988によって、プリンター10の装置側端子部70(図10参照)が挿入されるように凹部90が区画形成されている。凹部90は、開口982、開口984、一対の側壁902t,902w、底壁988、後壁986を主要な面として構成される略六面体である。なお、開口982と後壁986は、Y軸方向において対向しており、開口982は、−Y軸方向側に位置し、後壁986は、+Y軸方向側に位置する。開口984と底壁988は、Z軸方向において互いに非平行な状態で対向しており、開口984は+Z軸方向側に位置し、底壁988は−Z軸方向側に位置する。側壁902tと側壁902wは、X軸方向において対向しており、側壁902tは+X軸方向側に位置し、側壁902wは、−X軸方向側に位置する。なお、開口982は、Z軸と直交する面である前面42に沿って設けられた部分をいう。開口982は、カートリッジ4がカートリッジ装着部6に装着されるときに、装置側端子部70が凹部90に挿入される際の入口となる。底壁988は、開口982と−Z軸方向側において交わる。
回路基板50Aは、凹部90の底壁988に設けられている。回路基板50Aは、プリンター10の装置側端子部70と電気的に接続可能な基板である。底壁988は、回路基板50Aを支持しているため、支持部988とも呼ぶ。底壁988は、カートリッジ4をプリンター10へ装着する装着方向(−Y軸方向)に対して傾斜している。このため、回路基板50Aは、カートリッジ4をプリンター10へ装着する装着方向(−Y軸方向)に対して傾斜している。つまり、回路基板50Aの表面50faAは、Y軸に対して傾斜しており、Z軸に対しても傾斜している。
回路基板50Aの表面50faAには、カートリッジ側端子群521Aが形成されている。カートリッジ側端子群521Aは、プリンター10のカートリッジ装着部6への装着方向(−Y軸方向)に対して傾斜した面に設けられていることになる。つまり、カートリッジ側端子群521Aが形成する面は、Y軸に対して傾斜しており、Z軸に対しても傾斜している。
ここで、回路基板50Aが傾斜する傾斜方向をDとし、図38に図示する。傾斜方向Dは、−Y軸方向成分と−Z軸方向成分とを含む方向である。本実施例において、図38に示すように、回路基板50Aの少なくとも一部は、傾斜方向Dと平行に、凹部90の外部に突出する。また、図39に示すように、回路基板50Aの少なくとも一部は、凹部90を形成する側壁902の開口端から凹部90の外部に突出する。図40に示すように、回路基板50Aの−Y軸方向側の一部が、開口982から凹部90よりも−Y軸方向に突出している。
凹部90の外部に突出する回路基板50Aの部分は、回路基板50Aを凹部90の内部に取り付ける際に、取り付けを行う者または組立装置が容易に把持できる程度に突出していることが好ましい。つまり、傾斜方向Dにおいて、回路基板50Aの10分の1以上が凹部90の外部に突出していることが好ましく、5分の1以上が凹部90の外部に突出していることがより好ましく、3分の1以上が凹部90の外部に突出していることがさらに好ましい。本実施例では、回路基板50Aの表面50faAは、略長方形であり、長手方向の端部が凹部90の外部に突出している。本実施例では、回路基板50Aの長手方向は、傾斜方向Dである。
図10に示すとおり、装置側端子部70は、装置側前壁部62(詳細には、端子装着部694)に対してX軸方向及びZ軸方向に移動可能な状態で取り付けられている。つまり、装置側端子部70は、装置側前壁部62に対して装着方向(−Y軸方向)に交差する交差方向に移動可能な状態で取り付けられている。交差方向とは、X軸方向とZ軸方向とを含む方向である。
図38に示すように、第2実施例においても、第1実施例と同様に、凹部90に規制部としての溝906が設けられている。溝906は、装置側端子部70の位置決め部756(図14参照)が交差方向に動くことを規制する。回路基板50Aと溝906とを含む部分を、端子接続部95とも呼ぶ。端子接続部95は、プリンター10に装着可能な部分である。つまり、端子接続部95は、プリンター10の装置側端子部70への接続に供される部分あるいはユニットである。
図38に示すように、X軸方向において、回路基板50Aと側壁902との間には、底壁側凹部910が設けられている。つまり、回路基板50Aと第1の側壁902tとの間には、第1の底壁側凹部910tが設けられており、回路基板50Aと第2の側壁902wとの間には、第2の底壁側凹部910wが設けられている。凹部90に設けられた底壁側凹部910t,wは、それぞれ、突起759t,w(図14参照)を受け入れる空間となる。そして、底壁側凹部910t,wに突起759t,wが受け入れられることにより、突起759t,wは回路基板50AのX軸方向の端部511と接触する。この結果、位置決め部756が動くことを規制する。このため、第2実施例において、回路基板50AのX軸方向の端部511についても、規制部として機能する。ここで、回路基板50AのX軸方向の端部511とは、回路基板50Aの幅方向の端部511である。回路基板50Aの幅方向は、回路基板50Aが傾斜する傾斜方向Dと交差する方向である。なお、一対の端部511のうちカートリッジ側端子群521に対して+X軸方向側に位置する一方を第1の端部511tとも呼び、−X軸方向側に位置する他方を第2の端部511wとも呼ぶ。本実施例では、装置側端子部70の位置決め部756(図14参照)が交差方向に動くことを規制する規制部として、溝906と底壁側凹部910とを備える。
図38を参照して説明したように、第2実施例では、回路基板50Aの少なくとも一部が、凹部90の外部に突出している。これにより、回路基板50Aを凹部90の内部に取り付ける際、凹部90の外部に突出する回路基板50Aの部分を、取り付けを行う者または組立装置が把持できる。このため、回路基板50Aの取り付けが容易となる。この結果として、カートリッジ4の製造効率が上がり、製造費を抑えることができる。
また、図38に示すように、第2実施例では、回路基板50Aが傾斜する傾斜方向Dと平行に、回路基板50Aの少なくとも一部が、凹部90の外部に突出している。これにより、回路基板50Aを凹部90の内部に取り付ける際に、取り付けを行う者の指または組立装置が側壁902と干渉することを低減できる。このため、回路基板50Aの取り付けが容易となる。
また、第2実施例では、回路基板50Aの幅方向(X軸方向)の端部511が、位置決め部756が交差方向に動くことを規制する規制部として機能する。回路基板50Aの端部511は、溝906と比較して、回路基板50Aのカートリッジ側端子群521と近い。このため、溝906を規制部として機能させる場合と比較して、回路基板50Aの端部511を規制部として機能させる場合のほうが、回路基板50Aのカートリッジ側端子群521と、装置側端子部70の装置側端子群721(図16参照)との位置ずれをより抑制できる。第2実施例では、規制部として、回路基板50Aの端部と溝906とを機能させているが、どちらか一方のみを規制部として機能させてもよい。
C.第3実施例:
第3実施例の印刷材供給システム1Bは、第2実施例の印刷材供給システム1Aと比較して、回路基板50Bの態様が異なるが、それ以外は、同様である。印刷材供給システム1Bにおいても、回路基板50Bの少なくとも一部が、凹部90の外部に突出している。
図42から図45を用いて第3実施例の端子収容室900Bの詳細構成について説明する。図42は、端子収容室900A近傍の外観斜視図である。図43は、端子収容室900B近傍を+Z軸方向側から見た図である。図44は、端子収容室900B近傍を−X軸方向側から見た図である。図45は、端子収容室900B近傍の正面図である。
図42に示すように、第3実施例においても、第2実施例と同様に、回路基板50Bの少なくとも一部が、凹部90の外部に突出している。そして、図40と図44とを比較することにより理解できる通り、第3実施例の回路基板50Bのほうが、第2実施例の回路基板50Aと比較して、より多くの部分が凹部90の外部に突出している。図43に示すように、第3実施例の回路基板50Bは、傾斜方向Dにおいて、全体の約3分の1が凹部90の外部に突出している。本実施例では、カートリッジ側端子群521のうち、装置側端子部70の装置側端子群721と接触する部分についても、一部が凹部90の外部に突出している。
D.第4実施例:
第4実施例の印刷材供給システム1Cは、第3実施例の印刷材供給システム1Bと比較して、側壁902がない点が異なるが、それ以外は同様である。
図46から図49を用いて第4実施例の端子収容部900Cの詳細構成について説明する。図46は、端子収容部900C近傍の外観斜視図である。図47は、端子収容部900C近傍を+Z軸方向側から見た図である。図48は、端子収容部900C近傍を−X軸方向側から見た図である。図49は、端子収容部900C近傍の正面図である。
図46に示すように、回路基板50Bは、支持部988に設けられている。支持部988には、+Z軸方向に突出する一対の突出部909が設けられている。突出部909の形状は、略四角柱である。一対の突出部909のうち回路基板50Bに対して+X軸方向側に位置する一方を第1の突出部909tとも呼び、−X軸方向側に位置する他方を第2の突出部909wとも呼ぶ。一対の突出部909には、一対の溝908がそれぞれ設けられている。第1の突出部909tの第1の溝908tは、+X軸方向に窪んでおり、第2の突出部909wの第2の溝908wは、+X軸方向に窪んでいる。溝908は、装置側端子部70の位置決め部756が交差方向(X軸方向及びZ軸方向)に動くことを規制する。
第4実施例では、支持部988は、カートリッジ4をプリンター10へ装着する装着方向(−Y軸方向)に対して傾斜しており、回路基板50Bの少なくとも一部が、支持部988から離れる方向に突出している。支持部988から離れる方向は、支持部988から+Z軸方向と−Y軸方向を含む方向である。
図46を参照して説明したように、第4実施例では、回路基板50Bの少なくとも一部が、支持部988から離れる方向に突出している。これにより、回路基板50Aを支持部988に取り付ける際、支持部988から離れる方向に突出する回路基板50Aの部分を、取り付けを行う者または組立装置が把持できる。このため、回路基板50Aの取り付けが容易となる。この結果として、製造効率が上がり、製造費を抑えることができる。
また、第4実施例では、第2実施例と同様に、回路基板50Aの幅方向(X軸方向)の端部511が、位置決め部756が交差方向に動くことを規制する規制部として機能する。回路基板50Aの端部511は、溝906と比較して、回路基板50Aのカートリッジ側端子群521と近い。このため、溝906を規制部として機能させる場合と比較して、回路基板50Aの端部511を規制部として機能させる場合のほうが、回路基板50Aのカートリッジ側端子群521と、装置側端子部70の装置側端子群721(図16参照)との位置ずれをより抑制できる。第4実施例では、規制部として、回路基板50Aの端部と溝906とを機能させているが、どちらか一方のみを規制部として機能させてもよい。
図46に示すように、凹部90は、上面43と前面42が交わる部分近傍の窪んでいる部分である。このため、第4実施例においても、回路基板50Bの少なくとも一部が、凹部90の外部に突出しているといえる。なお、第4実施例では、凹部90は、さらに、上面43と左側面46とが交わる部分であって窪んでいる部分であり、第1側面43と右側面45とが交わる部分であって窪んでいる部分である。同様に、凹部90は、前面42と左側面46とが交わる部分であって窪んでいる部分であり、前面42と右側面45とが交わる部分であって窪んでいる部分である。
E.変形態様:
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明はこのような実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができる。例えば以下のような変形が可能である。
E−1.変形例1:
図50は、図46のA−A断面図である。第4実施例では、支持部988に回路基板50Bが支持されている。しかし、本発明はこれに限られない。
図51は、変形例1のA−A断面図である。変形例1は、第4実施例と比較して、支持部988は、さらに、支持部988から離れる方向に突出する凸状支持部988aを備え、回路基板50Bは、凸状支持部988aに支持されている点が異なる。このようにすることにより、凸状支持部988aを備えない場合と比較して、回路基板50Bは、支持部988から離れる方向により突出することとなる。この結果、回路基板50Bを支持部988に取り付ける際、支持部988から離れる方向に突出する回路基板50Bの部分を、取り付けを行う者または組立装置が把持できる。このため、回路基板50Bの取り付けがより容易となる。
E−2.変形例2:
図52は、変形例2のA−A断面図である。変形例2は、変形例1と比較して、凸状支持部988aの幅方向(X軸方向)の端部988bを、装置側端子部70の位置決め部756が交差方向に動くことを規制する規制部として機能させている点が異なる。凸状支持部988aの幅方向の端部988bは、溝906と比較して、回路基板50Bのカートリッジ側端子群521と近い。このため、溝906を規制部として機能させる場合と比較して、凸状支持部988aの端部988bを規制部として機能させる場合のほうが、回路基板50Bのカートリッジ側端子群521と、装置側端子部70の装置側端子群721(図16参照)との位置ずれをより抑制できる。また、このようにすることにより、回路基板50Bとして、横幅の小さな基板やFPC(Flexible Printed Circuit)基板を用いることができる。
E−3.変形例3:
上記実施例では、図29に示すように、回路基板50は記憶装置525を一体的に備える。しかし、本発明はこれに限られない。つまり、記憶装置525は回路基板50と離れた位置に設けられていてもよい。
図53から図55は、回路基板と記憶装置とが別体のカートリッジ4Cの一例を示す図である。なお、図53から図55は、回路基板と記憶装置以外は、簡略化している。図53は、カートリッジ4Cの外観斜視図である。図54は、カートリッジ4Cの−Y軸方向側に設けられた回路基板50C近傍の拡大図である。図55は、カートリッジ4Cの+Y軸方向側に設けられた記憶装置525C近傍の拡大図である。本変形例では、回路基板50Cと記憶装置525Cとは、ケーブル55を介して電気的に接続されている。本変形例では、ケーブル55としてFFC(Flexible Flat Cable)を用いる。図54に示すように、回路基板50Cとケーブル55とはコネクタ55aで電気的に接続され、図55に示すように、記憶装置525Cとケーブル55とはコネクタ55bで電気的に接続されている。図55に示すように、記憶装置525Cは基板52に設けられている。記憶装置525Cを回路基板50Cと離れた位置に設けることにより、記憶装置525Cを配置する場所を柔軟に決定できる。なお、回路基板50Cとケーブル55とがFPC基板によって構成されていてもよく、ケーブル55と基板52とがFPC基板によって構成されていてもよく、回路基板50Cと基板52とケーブル55とがFPC基板によって構成されていてもよい。
E−4.変形例4:
上記実施例では、図29に示すように、回路基板50は、支持部988に支持されている。つまり、回路基板50と支持部988は別体である。しかし、本発明はこれに限られない。つまり、回路基板50と支持部988とは一体であってもよい。
図56は、回路基板50と支持部988とが一体のカートリッジ4Dの例を示す上面図である。本変形例では、支持部である底壁988に、カートリッジ側端子群521が直接的にパターニングされている。なお、底壁988を構成する部材にカートリッジ側端子群521を直接的にパターニングし、それを凹部90にはめ込んでもよい。
E−5.変形例5:
記憶装置525に記憶されているインク残量やインクの有無の情報は、リセットあるいは書き換えが可能な態様としてもよい。リセットや書き換えは、プリンター10で行なってもよく、他の装置により行なってもよい。
E−6.変形例6:
上記実施例では、図3に示すように、カートリッジ4は、内部にインクが収容されている。しかし、本発明はこれに限られない。カートリッジ4は、内部にインクが収容されていなくてもよい。
図57は、内部にインクが収容されていないカートリッジ4Eの例を示す図である。本変形例では、カートリッジ4Eは、回路基板50と凹部90と供給管挿入孔424と有する前面42を備える部材42Eと、インクタンク410と、部材42Eとインクタンク410とをつなぐチューブ430とを備える。インクタンク410に収容されたインクは、チューブ430を通じて部材42Eに流入し、部材42Eに流入したインクはプリンター10へ流入する。このような態様とすることにより、プリンター10とインクタンク410とを離れた場所に配置することができる。
図58は、内部にインクが収容されていないカートリッジ4Fの例を示す図である。カートリッジ4Fは、プリンター10への装着を容易とするため、部材42Eの+Y軸方向の端部に上面43、底面44、右側面45、左側面46に相当する面を有する箱状の部材42Fが接続されている点がカートリッジ4Eと異なるが、それ以外は同じである。
E−7.変形例7:
上記実施例では、図27に示すように、回路基板50は、プリンター10に装着されていない状態においても、プリンター10に装着されている状態と同様に、装着方向(−Y軸方向)に対して傾斜している。しかし、本発明は、これに限らない。つまり、回路基板50は、プリンター10に装着されていない状態において、装着方向(−Y軸方向)に対して傾斜していなくてもよい。
図59は、プリンター10に装着されていない状態において、装着方向(−Y軸方向)に対して傾斜していない回路基板50の例を示す図である。本変形例では、回路基板50の裏面と支持部988との間にバネSが設けられている。このため、回路基板50は、プリンター10に装着されていない状態において、装着方向(−Y軸方向)に対して平行であり、プリンター10に装着されている状態において、装着方向(−Y軸方向)に対して傾斜している。
図60は、プリンター10に装着されていない状態において、装着方向(−Y軸方向)に対して傾斜していない回路基板50の例を示す図である。本変形例では、回路基板50の裏面と支持部988との間にバネSが設けられている。このため、回路基板50は、プリンター10に装着されていない状態において、装着方向(−Y軸方向)に対して垂直であり、プリンター10に装着されている状態において、装着方向(−Y軸方向)に対して傾斜している。
E−8.変形例8:
第2実施例及びそれ以降の実施例では、前面42において、回路基板50の一部は凹部90から突出している。しかし、本発明はこれに限られない。例えば、(i)上面43において、回路基板50の一部が凹部90から突出していてもよく、(ii)左側面46において、回路基板50の一部が凹部90から突出していてもよく、(iii)右側面45において、回路基板50の一部が凹部90から突出していてもよい。
E−9.変形例9:
本発明は、インクジェットプリンター及びそのインクカートリッジに限らず、インク以外の他の液体を噴射する任意の印刷装置及びそのカートリッジにも適用することができる。例えば、以下のような各種の印刷装置及びそのカートリッジに適用可能である。
(1)ファクシミリ装置等の画像記録装置
(2)液晶ディスプレー等の画像表示装置用のカラーフィルタの製造に用いられる色材を噴射する印刷装置
(3)有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーや、面発光ディスプレー (Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材を噴射する印刷装置
(4)バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する印刷装置
(5)精密ピペットとしての試料印刷装置
(6)潤滑油の印刷装置
(7)樹脂液の印刷装置
(8)時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する印刷装置
(9)光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂液等の透明樹脂液を基板上に噴射する印刷装置
(10)基板などをエッチングするために酸性又はアルカリ性のエッチング液を噴射する印刷装置
(11)他の任意の微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッドを備える印刷装置
なお、「液滴」とは、印刷装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう「液体」とは、印刷装置が噴射させることができるような材料であれば良い。例えば、「液体」は、物質が液相であるときの状態の材料であれば良く、粘性の高い又は低い液状態の材料、及び、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような液状態の材料も「液体」に含まれる。また、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなども「液体」に含まれる。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種の液体状組成物を包含するものとする。