JP2017056408A - 水質浄化剤および水質浄化法 - Google Patents

水質浄化剤および水質浄化法 Download PDF

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Abstract

【課題】排水処理施設において、在来微生物の活性を常に高い状態に維持することができる水質浄化剤を提供する。【解決手段】被処理水の浄化に使用される浄化剤であって、有機物質を吸着する機能を有する粒状の多孔質無機部材11と、有機物質を分解する機能を有する有機物分解菌12と、を含み、多孔質無機部材11の表面を覆うように設けられたフィルム状の被膜13を備えており、被膜13と多孔質無機部材間11に形成された隙間および/または多孔質無機部材11が有する複数の孔内に、有機物分解菌12が保持されていることを特徴とする。被処理水に浄化剤を供給すれば、被処理水中に浄化剤の多孔質無機部材11を分散させることができるので、被処理水を迅速に浄化することができる。しかも、多孔質無機部材11の表面に被膜13が設けられているので、被処理水を浄化するための浄化能力を長期間に渡って維持することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、水質浄化剤および水質浄化法に関する。
各家庭(各戸)や集合住宅などから排出される生活排水や、工場やレストラン等の飲食店などから排出される産業排水などの排水は、下水処理施設や浄化槽設備などの排水処理施設で処理されて河川等に放流されている。
一般的な排水の処理方法としては、在来の微生物(在来微生物)を利用した生物処理法が採用されている。この生物処理法は、処理排水中の有機物質を在来微生物によって分解処理することによって、処理排水を浄化する技術である。
従来、生物処理法において、処理排水を効率的に浄化するため技術として様々なものが提案されている。例えば、処理排水中にネット状やハニカム状、リング状など様々な構造を有する接触材を設置して、かかる接触材上に在来微生物を付着させる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1には、柔軟性を有する帯状帯と、その両端に設けられた複数の繊維状の帯状担体とからなる接触材が開示されており、かかる柔軟性を有する接触材を処理排水中に設置することによって、処理排水中を海草のように漂わすことができる。すると、かかる接触材と処理排水との接触効率を向上させることができるので、効率よく処理排水中の有機物を補足できる旨が記載されている。
ここで、上述したような在来微生物は、周囲の生育環境の影響を受けやすい生き物である。このため、有機物濃度やpHなどが安定しないような排水を処理する場合には、在来微生物は、増殖が抑制されたり、一部が死んでしまったりする。そして、一旦、このような状態となった場合、在来微生物が所定の状態に回復するまでに長期間(例えば、数ヶ月以上)を要するので、その間、処理排水が適切に浄化処理されなくなる。
そこで、従来、処理排水に対して在来微生物以外の様々なバクテリア等を添加することによって、処理排水を浄化する技術も提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1には、処理排水に対して酪酸菌を添加する技術が開示されており、酪酸菌を添加することによって、処理排水中の有機物質を効率的に分解することができる旨が記載されている。
特開2003−53381号公報 特開2001−79577号公報
しかるに、特許文献1の技術では、処理排水中を適切に浄化する上では、処理排水1000L(一般的な家庭用の浄化槽)に対して約5Lもの酪酸菌培養液を定期的(例えば、1週間に1回程度)に添加しなければならなので、作業性や取扱い性が非常に悪いといった問題が生じている。しかも、特許文献1の技術では、処理排水から発生する臭気の臭気指数が100程度(なお、臭気指数=10×log(希釈倍率))まで低下させるにも約100日を要するといった問題もある。しかも、その間に排水処理が適切に行われないので、悪臭が発生しつづけるといった問題がある。
そこで、悪臭を化学的に抑制する技術が開発されている(例えば、特許文献2)。
特許文献2には、オゾン発生装置を備えた浄化槽が開示されており、オゾン発生装置で発生させたオゾンを浄化槽内の悪臭が発生する領域内に供給することによって、発生した悪臭を分解する旨が記載されている。
しかしながら、特許文献2の技術では、そもそも悪臭の発生が生じることを前提とした技術であり、悪臭の発生自体を抑制する技術ではない。しかも、特許文献2の装置は、特別な機器や配管等を設ける必要があるので、施設の構造が複雑化するといった問題や、既存の排水処理施設に新たに設けることが現実的に困難であるといった問題もある。
もし、排水処理施設において、在来微生物の活性を常に高い状態に維持することができれば、処理排水を常に適切に浄化できるようなるので、施設内に特別な接触材を設けたり、悪臭を抑制するための特別な装置を設けなくてもよくなる。
本発明は上記事情に鑑み、排水処理施設において、在来微生物の活性を常に高い状態に維持することができる水質浄化剤および水質浄化法を提供することを目的とする。
第1発明の水質浄化剤は、被処理水の浄化に使用される浄化剤であって、有機物質を吸着する機能を有する粒状の多孔質無機部材と、有機物質を分解する機能を有する有機物分解菌と、を含み、前記多孔質無機部材の表面を覆うように設けられたフィルム状の被膜を備えており、該被膜と前記多孔質無機部材間に形成された隙間および/または前記多孔質無機部材が有する複数の孔内に、前記有機物分解菌が保持されたものであることを特徴とする。
第2発明の水質浄化剤は、第1発明において、前記被膜が、二酸化ケイ素を主成分とするものであることを特徴とする。
第3発明の水質浄化剤は、第1または第2発明において、前記多孔質無機部材が、酸性物質を吸着する機能を有する酸性物質吸着材と、塩基性物質を吸着する機能を有する塩基性物質吸着材と、を含有するものであり、該塩基性物質吸着材が、二酸化ケイ素を主成分とする二酸化ケイ素水和物であり、前記酸性物質吸着材が、酸化アルミニウム化合物を主成分とする酸化アルミニウム水和物と、酸化マグネシウムを主成分とする酸化マグネシウム水和物と、を含むものであることを特徴とする。
第4発明の水質浄化剤は、第3発明において、多孔質無機部材に含まれる前記酸化アルミニウム水和物と、酸化マグネシウム水和物と、前記塩基性物質吸着材の配合割合が、前記酸化マグネシウム水和物が、前記水酸化アルミニウム水和物を100体積部に対して、100体積部〜200体積部であり、前記塩基性物質吸着材が、前記水酸化アルミニウム水和物を100体積部に対して、100体積部〜200体積部であることを特徴とする。
第5発明の水質浄化剤は、第1、第2、第3または第4発明において、前記有機物分解菌が、酵母菌と、納豆菌と、乳酸菌と、を含み、前記納豆菌と前記酵母菌と前記乳酸菌が、前記納豆菌を1とした場合、個体数比率において、1:10〜10:10〜10であることを特徴とする。
第6発明の水質浄化剤の製造方法は、被処理水の浄化に使用される浄化剤の製造方法であって、有機物質を吸着する機能を有する粒状の多孔質無機部材を調製する混合工程と、該混合工程で調製した多孔質無機部材を有機物質を分解する機能を有する有機物分解菌を懸濁させた懸濁液に浸漬する含浸工程と、該含浸工程後の多孔質無機部材を乾燥させる乾燥工程と、を順に行う方法であり、前記含浸工程における懸濁液に被膜形成部材を溶解または分散することを特徴とする。
第7発明の水質浄化法は、被処理水を浄化処理する方法であって、有機物質を吸着する機能を有する粒状の多孔質無機部材と、有機物質を分解する機能を有する有機物分解菌と、を含み、前記多孔質無機部材の表面を覆うようにフィルム状の被膜が設けられており、該被膜と前記多孔質無機部材の表面に形成された隙間および/または前記多孔質無機部材が有する複数の孔内に前記有機物分解菌が保持された浄化剤を、前記被処理水に対して添加することを特徴とする。
第8発明の水質浄化法は、第7発明において、前記浄化剤が、第1発明乃至第5発明のいずれかに記載の水質浄化剤であることを特徴とする。
第9発明の水質浄化法は、第7または第8発明において、前記被処理水1000Lに対して、前記浄化剤を600ml以上添加することを特徴とする。
第1発明によれば、被処理水に浄化剤を供給すれば、被処理水中に浄化剤の多孔質無機部材を分散させることができるので、被処理水中の有機物質を非常に効率よく補足することができる。そして、補足した有機物質を、有機物分解菌と在来微生物の相乗作用により効率的に分解する。言い換えれば、在来微生物の活性を向上させた状態に維持することができるのである。このため、被処理水を迅速に浄化することができる。しかも、多孔質無機部材の表面には被膜が設けられているので、被処理水を浄化するための浄化能力を長期間に渡って維持することができる。また、浄化剤を被処理水中に添加するだけなので、既存の排水処理施設においても簡単に使用することができる。
第2発明によれば、被膜が二酸化ケイ素を含有しているので、被膜を多孔質無機部材の表面に長期間設けた状態を維持させることができる。このため、被処理水の浄化能力をより長期間に渡って維持することができる。
第3発明によれば、被処理水中に含まれる酸性物質、塩基性物質を確実に補足することができる。とくに、酸化マグネシウム水和物を含有しているので、有機物質が酸化されることにより生成する有機酸化物を処理水中から選択的に補足することができる。すると、処理水中から悪臭の原因物質である有機酸化物が揮散するのを抑制できるので、悪臭の発生を効率よく抑制できる。
第4発明によれば、酸化アルミニウム水和物と、酸化マグネシウム水和物と、前記塩基性物質吸着材との配合割合を調整すれば、被処理水をより迅速かつ適切に浄化処理することができる。
第5発明によれば、多孔質無機部材によって補足した被処理水中の有機物質をより適切に分解することができる。しかも、在来微生物が捕食しやすい有機物分解菌を含有するので、在来微生物の活性をより向上させることができ、かつ在来微生物の増殖力も向上させることができる。
第6発明によれば、被処理水に浄化剤を供給すれば、被処理水中に浄化剤の多孔質無機部材を分散させることができるので、被処理水中の有機物質を非常に効率よく補足することができる。そして、補足した有機物質を、有機物分解菌と常在微生物の相乗作用により効率的に分解する。言い換えれば、在来微生物の活性を向上させた状態に維持することができるのである。このため、被処理水を迅速に浄化することができる。しかも、多孔質無機部材の表面に被膜が設けられているので、被処理水を浄化するための浄化能力を長期間に渡って維持することができる。
第7発明によれば、被処理水に浄化剤を供給すれば、被処理水中に浄化剤の多孔質無機部材を分散させることができるので、被処理水中の有機物質を非常に効率よく補足することができる。そして、補足した有機物質を、有機物分解菌と常在微生物の相乗作用により効率的に分解する。言い換えれば、在来微生物の活性を向上させた状態に維持することができるのである。このため、被処理水を迅速に浄化することができる。しかも、多孔質無機部材の表面に被膜が設けられているので、被処理水を浄化するための浄化能力を長期間に渡って維持することができる。
第8発明によれば、被処理水中の有機物質を迅速かつ適切に補足することができるので、有機物分解菌と在来微生物の相乗効果をより発揮させることができる。このため、被処理水を迅速かつ適切に浄化することができる。
第9発明によれば、従来の浄化剤等に比べて、非常に少ない量で被処理水を適切に浄化することができる。しかも、従来の浄化剤等に比べて使用量が非常に少なくなるので(例えば、1/5程度)、取扱い性を向上させることができる。
本実施形態の水質浄化剤1の概略説明図であり、(A)は水質浄化剤10と水Wを容器C内で混合した状態の概略説明図であり、(B)は水質浄化剤1の多孔質無機部材11の概略説明図であり、(C)は(B)の概略断面説明図である。 本実施形態の水質浄化剤10の使用概略説明図である。 本実施形態の水質浄化剤10の使用状況の概略説明図であり、(A)は被処理水中の有機物質Mを水質浄化剤10の多孔質無機部材11に補足する状況を説明した概略説明図であり、(B)は補足した有機物質Mを水質浄化剤10の有機物分解菌12により分解する状況を示した概略説明図であり、(C)は在来微生物MBを水質浄化剤10に誘引する状況の概略説明図である。 実験結果を示した図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の水質浄化剤は、被処理水に対して添加して使用する浄化剤であって、被処理水中に生息する在来の微生物の活性を常に高い状態に維持することができるようにしたことに特徴を有している。
本発明の水質浄化剤の使用の対象となる被処理水は、各家庭(各戸)や集合住宅などから排出される生活排水や、レストランなどの飲食店、鶏舎や養豚などの家畜施設、水産加工物施設、酪農加工施設、食品加工施設や市場等などから排出される産業排水や、これらの排水を集積して処理するための下水処理施設や上記施設内に設置された浄化槽設備などの排水処理施設内における処理排水、仮設用トイレの汚水のほか、観賞魚の浄化設備から排出される排水など、排水を所定期間放置しておけば悪臭の発生する様々な水溶液を対象とすることができるが、かかる水溶液の状態の排水等に限定されず、これらが混入された固形状または粉体状のもの(例えば、堆肥など)も対象とすることができる。
また、本発明の水質浄化剤は、その態様はとくに限定されない。例えば、本発明の水質浄化剤は、水などの溶媒に分散させた液体状のほか、固体状、ペースト状、粉末状等などの態様で使用することができる。例えば、水に混ぜて液体状態としたものであれば、排水処理施設内の被処理水に添加した際の分散性をよくすることができるので、好ましい。
そこで、以下では、本発明の水質浄化剤の使用の対象となる被処理水として、浄化槽内の処理排水を対象とした場合を代表として説明する。また、本発明の水質浄化剤の態様として、水に混ぜて液体状態としたものを代表として説明する。
なお、本発明の水質浄化剤により活性を向上させることができる被処理水中に生育する在来の微生物(以下、単に在来微生物)とは、処理施設等で一般的に使用されるような微生物のほか自然的に発生した微生物などのことをいう。例えば、鞭毛虫類やツリガネムシなどの繊毛虫類等の原生動物や、細菌、球菌、桿菌、ビブリオ、らせん菌、輪虫、ミジンコなどの(微小)後生動物、糸ミミズ、巻貝等などを挙げることができる。
まず、本発明の水質浄化剤について詳細に説明する前に、概略について説明する。
図1および図3に示すように、本実施形態の水質浄化剤10(以下、単に水質浄化剤10という)は、有機物分解菌12を保持した複数の粒状の多孔質無機部材11と、かかる多孔質無機部材11が膜13(以下、単に被膜13という)で覆われた部材である。具体的には、水質浄化剤10は、被膜13と多孔質無機部材11の表面との間に形成された隙間や、多孔質無機部材11の孔内部に有機物分解12を付着した状態でかかる有機物分解菌12を保持した多孔質無機部材11を複数有する部材である。
多孔質無機部材11は、被処理水中に含まれる有機物質Mを吸着する機能を有する微粉末状の粒状の部材である。多孔質無機部材11は、上記のような機能を有する部材あれば、とくに限定されないが、詳細は後述する。
有機物分解菌12は、有機物質を分解する機能を有する生き物である。具体的には、タンパク質分解酵素や、でんぷん分解酵素、脂質分解酵素、尿素分解酵素などを生産することができる菌類や、細菌類である。例えば、有機物分解菌12の菌類としては、カビ類や酵母などを挙げることができ、細菌類としては、乳酸菌や納豆菌、酢酸菌、麹菌などを挙げることができる。このような菌類を懸濁した懸濁液に多孔質無機部材11を浸漬すれば、多孔質無機部材11の表面やその内部にかかる菌類を付着させることができる。
なお、有機物分解菌12が保持するとは、多孔質無機部材11の表面等に有機物分解菌12が活性を有する状態で付着等させた状態を意味する。
被膜13は、多孔質無機部材11の表面を覆うように形成されたフィルム状の部材である。この被膜13は、多孔質無機部材11の表面に塗布等によって接触し乾燥すれば、フィルム状の薄膜を形成する機能を有するものであれば、とくに限定されない。例えば、かかる機能を有する化合物を溶媒に溶解または分散させた溶液を多孔質無機部材11に対して接触させることによって、多孔質無機部材11の表面に被膜13を形成することができる。上記溶液と多孔質無機部材11を接触させる方法は、とくに限定されず、例えば、塗布や浸漬等などの一般的な方法を採用することができる。
また、上記化合物は、上述した機能を有するものであれば、とくに限定されないが、詳細は後述する。
なお、被膜13によって多孔質無機部材11の表面が覆われた状態とは、多孔質無機部材11の表面が露出しないように覆われた状態のほか、表面の一部が露出するように設けられた状態をも含まれる概念である。
以上のごとき構成であるので、水質浄化剤10を被処理水に添加して撹拌すれば、まず、被処理水中に水質浄化剤10の多孔質無機部材11をすみずみまで分散させることができる(図2参照)。このため、図3(A)に示すように、水質浄化剤10の多孔質無機部材11によって、被処理水中に拡散している有機物質Mを非常に効率よく補足することができる(かかる状態を以下、第Iステージという。図4参照)。詳細は後述する。
なお、被処理水を撹拌する方法は、被処理水に流れを発生させることができる方法であれば、とくに限定されない。例えば、図2に示すように、ブロアBによって被処理水中に空気を供給すれば、被処理水に流れを形成することができる。
ついで、図3(B)に示すように、水質浄化剤10の多孔質無機部材11に付着させた有機物分解菌12によって、補足した有機物質Mを分解することによって、被処理水を浄化処理することができる(かかる状態を以下、第IIステージという。図4参照)。詳細は後述する。
しかも、多孔質無機部材11には、多孔質無機部材11の表面等に付着させた有機物分解菌12によって分解された有機物質Mの分解物や、有機物分解菌12自体が在来微生物MBのエサとなる。このため、図3(C)に示すように、被処理水中に浮遊する在来微生物MBを質浄化剤10の多孔質無機部材11上に誘引することができる。そして、誘引した在来微生物MBを、質浄化剤10の多孔質無機部材11上に棲みつかせ、増殖させることができる。つまり、有機分解菌12を多孔質無機部材11によって被処理水中のすみずみまで浮遊し、活性力の衰えた在来微生物MBを多孔質無機部材11上に付着させて、かかる多孔質無機部材11上にコロニーを形成させることができるのである。言い換えれば、多孔質無機部材11は、在来微生物MBの増殖の場にもなるのである。しかも、多孔質無機部材11は非常に比表面積が大きいので、活性を取り戻した在来微生物MBが非常に速い速度で増殖を行う。
すると、質浄化剤10の多孔質無機部材11に付着した有機物分解菌12と在来微生物MBとの相乗作用によって、被処理水中の有機物質Mの分解処理速度をより向上させることができるので、被処理水をさらに迅速かつ適切に浄化処理することができる(かかる状態を以下、第IIIステージ初期という。図4参照)。言い換えれば、在来微生物の活性を向上させた状態に維持することができるのである。
詳細は後述する。
さらに、図1および図3に示すように、水質浄化剤10の多孔質無機部材11の表面には、被膜13が設けられている。この被膜13は、かかる被膜13と多孔質無機部材11の表面間に形成された隙間や、多孔質無機部材11の孔の内部に保持された有機物分解菌12が短期間のうちに離散するのを抑制する機能を有する部材である。このため、上記のごとき有機物分解菌12と在来微生物MBとの相乗作用によって発揮される相乗効果をより長期間に渡って維持することができる(かかる状態を以下、第IIIステージ後期という。図4参照)。詳細は後述する。
また、上述したように、被処理水に対して水質浄化剤10を添加するだけで、被処理水を適切に浄化することができるので、既存の処理施設に対してすぐに使用することができる。つまり、処理施設において、特別な接触材を設置したり、被処理水から発生する悪臭を防止するための特別な装置等を設けなくてもよくなるので、対象とする処理施設の自由度が飛躍的に向上させることができる。なお、本実施形態の水質浄化剤10を上述したような接触材等と併用してもよい、というのは言うまでもまない。
以下、本実施形態の水質浄化剤10の各部材について詳細に説明する。
図1および上述したように、本実施形態の水質浄化剤10は、複数の多孔質無機部材11と、この多孔質無機部材11の表面に設けられた被膜13と、この被膜13の内方に保持された有機物分解菌12と、から構成されている。
(多孔質無機部材11について)
まず、水質浄化剤10の多孔質無機部材11について説明する。
上述したように、水質浄化剤10の多孔質無機部材11は、水中に含まれている有機物質Mを吸着する機能を有する粒状の部材あって、酸性物質吸着材と塩基性物質吸着材を含有する部材である。
多孔質無機部材11の酸性物質吸着材は、水中に含まれている有機物質のうち、とくに酸性の有機物質を吸着する機能を有する化合物であれば、とくに限定されない。例えば、酸化アルミニウムを主成分とする酸化アルミニウム水和物や酸化マグネシウムを主成分とする酸化マグネシウム水和物を多孔質無機部材11を構成する酸性物質吸着材として採用することができる。
多孔質無機部材11が酸性物質吸着材を含有することによって、被処理水中の有機物質および有機物質が酸化された酸性の有機物質をより効率よく吸着して除去することができる。とくに、有機物質が酸化した酸性の有機物質は、揮発しやすい物質であるだけでなく、揮発した際には人に対して不快感を与える悪臭となる。このため、被処理水を処理するための施設が人家の近くにある場合には、酸性物質吸着材を多孔質無機部材11の構成物質とすることは非常に重要となる。
酸性物質吸着材の酸化アルミニウム水和物としては、酸化アルミニウムを主成分とする化合物を調製してもよいし、市販されているものを用いてもよい。例えば、市販されている酸化アルミニウム水和物として、キョーワード(登録商標)200(Al・xHO)、キョーワード(登録商標)400(Al・NaO・2CO・xHO)、キョーワード(登録商標)1000(Mg4.5Al(OH)13・CO・3.5HO)(いずれも、協和化学工業株式会社製)などを挙げることができる。
とくに、キョーワード(登録商標)200(Al・xHO)は、水に混合しても液性が略中性であるので、被処理水中の在来微生物MBに対して負荷をかけないので好ましい。また、キョーワード(登録商標)200(Al・xHO)は、イオン化した無機塩を吸着する機能も有するので、被処理水中の在来微生物MBが低い無機塩濃度を好む場合により適している。
また、酸性物質吸着材の酸化マグネシウム水和物としては、酸化マグネシウムを主成分とする化合物を調製してもよいし、市販されているものを用いてもよい。例えば、市販されている酸化マグネシウム水和物として、キョーワード(登録商標)500(MgAl(OH)16CO・4HO)(協和化学工業株式会社製)を挙げることができる。
なお、酸化マグネシウムを主成分とする酸化マグネシウム水和物は、上述した酸化アルミニウムを主成分とする酸化アルミニウム水和物と比べて、より特異的に有機物質が酸化した酸性物質を吸着しやすい物質である。
このため、酸性物質吸着材として酸化アルミニウム水和物と酸化マグネシウム水和物を混合したものを採用する場合、被処理水中の有機物質濃度に応じて酸化マグネシウム水和物の配合割合を大きくなるように調整すれば、被処理水中の有機物質および有機物質が酸化された酸性物質をより効率よく吸着して除去することができる。
多孔質無機部材11の塩基性物質吸着材は、水中に含まれている有機物質のうち、とくに塩基性の有機物質を吸着する機能を有する化合物であれば、とくに限定されない。例えば、二酸化ケイ素を主成分とする二酸化ケイ素水和物を多孔質無機部材11を構成する塩基性物質吸着材として採用することができる。
多孔質無機部材11が塩基性物質吸着材を含有することによって、被処理水中の塩基性物質を効率よく除去することができる。
このような塩基性物質としては、例えば、アンモニアやアミン系化合物などを挙げることができる。このような塩基性物質が被処理水中に多量に含まれている場合、揮発し悪臭となるばかりでなく、被処理水中の在来微生物MBの生育を阻害してしまう。とくに、ヒトや家畜等の糞尿や魚類等の加工場などから排出される排水には、上述したアンモニア等の塩基性物質が高濃度に含まれている。このため、上述したアンモニア等の塩基性物質を含む排水を被処理水の対象とする場合には、塩基性物質吸着材を多孔質無機部材11の構成物質とすることは非常に重要となる。
塩基性物質吸着材の二酸化ケイ素水和物としては、二酸化ケイ素を主成分とする化合物を調製してもよいし、市販されているものを用いてもよい。例えば、市販されている二酸化ケイ素水和物として、キョーワード(登録商標)600(2MgO・6SiO・xHO)やキョーワード(登録商標)700(Al・9SiO・xHO)(いずれも、協和化学工業株式会社製)などを挙げることができる。
とくに、キョーワード(登録商標)700(Al・9SiO・xHO)は、アンモニアやアミン系化合物を特異的に吸着する機能を有するので、好ましい。
したがって、被処理水が上述したような塩基性物質を高濃度に含むような場合には、多孔質無機部材11に塩基性物質吸着材を含有することによって、被処理水中の塩基性物質の濃度を低い状態に維持することができる。
(配合割合について)
多孔質無機部材11に含有する酸性物質吸着材と塩基性物質吸着材の配合割合は、上記のごとく被処理水中の有機物質や、酸性の有機物質、塩基性の有機物質を吸着して除去することができるように調整されていれば、とくに限定されない。
例えば、酸性物質吸着材の酸化アルミニウム水和物と、酸性物質吸着材の酸化マグネシウム水和物と、塩基性物質吸着材とが、体積比において、1:1:1となるよう調整すれば、被処理水中からバランスよく有機物質や、酸性の有機物質、塩基性の有機物質を吸着して除去することができる。つまり、かかる配合割合となるように調整すれば、長期間に渡って被処理水中から有機物質等を吸着し除去することができるようになる。
また、塩基性物質吸着材の配合比を増加して、例えば、上記配合比を1:1:2となるように調整すれば、塩基物質の吸着能力を向上させることができるので、塩基性物質の濃度が高い被処理水に適した配合とすることができる。
とくに、被処理水中の有機物質の濃度や、有機物質が酸化した酸性の有機物質が高い場合には、酸性物質吸着材の酸化アルミニウム水和物と、酸性物質吸着材の酸化マグネシウム水和物と、塩基性物質吸着材とが、体積比において、1:2:1となるよう調整するのが、望ましい。かかる配合割合とすることにより、被処理水中に多量に存在する有機物質や、その酸化物つまり酸性の有機物質を迅速に除去することができる。
(多孔質無機部材11の粒子サイズについて)
なお、水質浄化剤10の多孔質無機部材11の大きさは、被処理水に対して添加した際に分散することができる粒子サイズであれば、とくに限定されない。例えば、平均粒子径が、10μm以下のものが好ましく、より好ましくは5μm以下であり、0.5μm以上1μm以下のものがさらに好ましい。言い換えれば、超微粒子状に形成された多孔質無機部材11を採用するのが好ましい。平均粒子径が上記の範囲よりも小さいと、被処理水表面または表面付近に滞留しやすくなり、被処理水の浄化効率が低下する。一方、平均粒子径が上記の範囲よりも大きければ、沈降しやすくなるので、被処理水中に長期間分散した状態を維持しにくくなる。つまり、粒子サイズを所定の範囲となるように調整すれば、被処理水中に長期間に渡って分散させた状態を維持することができるので好ましい。
例えば、被処理水に対してばっ気処理を行っている場合、多孔質無機部材として、平均粒子径が0.5μm〜4.3μm程度のものを採用すれば、長期間(例えば、約1ヶ月程度)被処理水中に分散した状態を維持することができる。しかも、かかる大きさであれば、大きさが0.2μm〜2μm程度の在来微生物MBがちょうど付着してコロニーを形成しやすい大きさとなるので好ましい。
なお、平均粒子径とは、レーザー回析・散乱法により測定された粒度分布における体積平均粒径のことを意味する。
(有機物分解菌12について)
水質浄化剤10の有機物分解菌12は、上述したように、タンパク質分解酵素や、でんぷん分解酵素、脂質分解酵素、尿素分解酵素などを生産することができるカビ類や酵母などの菌類や、乳酸菌や納豆菌などの細菌類である。
例えば、有機分解菌12に納豆菌、酵母菌および乳酸菌を含有する場合、それぞれの混合割合は、納豆菌を1とした場合、固体数比率において、1:10個〜10個:10個〜10個となるように調整することができる。納豆菌に対して酵母菌が10個、乳酸菌が10個よりも少ないと、かかる菌による被処理水中の浄化速度が低くなる可能性がある。一方、酵母菌が10個、乳酸菌が10個よりも多くなると在来微生物MBの増殖を抑制する可能性がある。
有機物分解菌12は、上記のような機能を有する菌類や細菌類を含有するものであれば、とくに限定されない。例えば、それぞれの酵素を混ぜあわせて調整したものを採用してもよく、すでに混合された状態のものを採用してもよい。例えば、市販されているものとしては、酵母、乳酸菌および納豆菌を含有した「えひめAI−1」(登録商標)(東洋殖産株式会社製)を挙げることができる。
有機物分解菌12中に複数の菌類や細菌類を含有する場合、各菌の濃度は、例えば、以下のような方法により算出することができる。
懸濁液を所定量採取して、かかる採取液を無菌水で希釈した後、培地に植菌する。そして、植菌した培地を所定の期間培養した後、培地上に形成されたそれぞれの菌のコロニーを数えることによって、各菌の濃度を算出することができる。また、懸濁液を所定量採取したものを顕微鏡下で目視観察を行い、例えば、1mm当りに存在する各菌の数を数えた後、各菌の濃度を算出する方法を採用してもよい。
(被膜13について)
図1および図3に示すように、多孔質無機部材11の表面には、フィルム状の被膜13が設けられている。この被膜13は、上述したように上記機能を有する化合物によって形成することができる。
化合物としては、溶媒に溶解した状態のものを被対象物に塗布等により付着させた後、乾燥すれば被対象物の表面にフィルム状の膜を形成する機能を有するものであれば、とくに限定されない。
例えば、二酸化ケイ素や、ケイ素樹脂やガラス樹脂などの無機系化合物や、ポリエチレン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂などの有機系高化合物を挙げることができる。例えば、二酸化ケイ素の場合、微粉末状に形成されたものを水などの溶媒に分散させて使用することができる。二酸化ケイ素は、水溶性の溶媒に対して分散させ易いので、操作性の上で好ましい。また、上記化合物として二酸化ケイ素を使用した場合、多孔質無機部材11の表面に存在する官能基と粉末状の二酸化ケイ素の表面に存在する官能基が結合し易くなるので、被膜13と多孔質無機部材11との結合性を向上させることができるので好ましい。
なお、上記化合物は、上述した無機系化合物や、有機系化合物を単独で採用してもよく、もちろん2種以上の化合物を混合したものを採用してもよい。
また、上記高分子化合物は、溶媒に溶解させたものを使用してもよいし、上述した二酸化ケイ素のように粉末状のものをそのまま後述する懸濁液に分散させて使用してもよい。
なお、上記化合物が、特許請求の範囲の被膜形成部材に相当する。
(水質浄化剤10の添加量について)
水質浄化剤10の被処理水に対する添加量は、とくに限定されない。例えば水質浄化剤10が20体積%となるように調製した水溶液状態の水質浄化剤10であれば、被処理水1000Lあたり600ml以上となるように添加するのが好ましい。
被処理水に対する添加量が上記値よりも少ないと、被処理水を浄化する際の浄化速度が遅くなる。このため、迅速に被処理水を適切に浄化処理する上では、水質浄化剤の被処理水に対する添加量を上記の値以上とするのが好ましい。一方、被処理水に対する水質浄化剤の添加量を多くすれば、被処理水を浄化しやくなるが、取扱い性を考慮すると、被処理水1000Lあたり1000ml以下とするのが好ましい。
例えば、一般的に、ヒトが日常生活において1日に発生させる排水は200Lといわれており、一般的な家庭用(5〜7人用)浄化槽の場合、浄化槽が約1000Lを収容できるので、約1000ml添加する。なお、上記浄化槽の場合、約1ヶ月に1回、同量を添加すれば、長期間に渡って上述した状態を維持することができる。
したがって、被処理水を迅速に浄化処理しつつ、取り扱製を考慮した場合、水質浄化剤の被処理水に対する添加量は、被処理水1000Lあたり600ml以上、1000ml以下となるように添加するのが好ましい。
(水質浄化剤10の製造方法)
本実施形態の水質浄化剤10は、上述したように有機物分解12を多孔質無機部材11の内部および表面に付着させた状態でその周囲を被膜13で覆ったような構造を有するように製造できるのであれば、とくに限定されないが、以下の方法を採用すれば、本実施形態の水質浄化剤10をより確実に製造することができるので、好ましい。
水質浄化剤10は、多孔質無機部材11の酸性物質吸着材と塩基性物質吸着材を混合して(混合工程)、混合した混合物に有機物分解12を含浸させて付着(含浸工程)させた後、かかる混合物を乾燥して混合部材の表面に被膜13を形成する(乾燥工程)、といった各工程を順に行うことによって製造することができる。
なお、かかる水質浄化剤10を所定の濃度となるように水に分散すれば、水溶液状態の本実施形態の水質浄化剤10を調製することができる。
以下、各工程を具体的に説明する。
(混合工程について)
多孔質無機部材11は、上述したように2種類の酸性物質吸着材と、1種類の塩基性物質吸着材と、を含有する部材である。各吸着材は、上述したように被処理水の状態(例えば、被処理水中に含まれる有機物質濃度など)に応じて適宜調整することができる。
例えば、上述したように酸性物質吸着材である酸化アルミニウム水和物と、酸化マグネシウム水和物と、塩基性物質吸着材である二酸化ケイ素水和物と、をそれぞれ、体積比において、1:1:1となるように混合すれば、バランスよく被処理水中から酸性および塩基性の有機物質Mを吸着・除去することができる。また、体積比において、1:1:2となるように混合すれば、塩基物質の吸着能力を向上させることができる。さらに、例えば、各材を、体積比において、1:2:1となるように混合すれば、被処理水中に含まれる酸性の有機物質Mをより効率よく吸着・除去することができる。
(含浸工程)
つぎに、混合工程によって調製した混合部材を含浸工程における含浸溶液に浸漬させる。
(含浸溶液について)
まず、混合部材を含浸工程の含浸溶液に含浸させるまえに、含浸溶液について説明する。
この含浸工程に使用する含浸溶液は、上述した有機物分解菌12を懸濁させた懸濁液と、被膜13を形成する化合物を含む溶液である。
この被膜13を形成する化合物は、被対象物である混合物に接触した状態で乾燥すれば、その表面にフィルム状の膜を形成することができる濃度となるように配合されている。具体的には、かかる化合物の配合割合は、上述した懸濁液に対して1体積%〜10体積%となるように配合するが好ましく、より好ましくは2体積%〜5体積%となるように配合する。配合割合が、1体積%よりも濃度が低くければ、混合部材の表面にフィルム状の膜が形成されにくくなる。その逆に、10体積%よりも濃度が高ければ、フィルム状に形成された膜が乾燥しにくくなったり、乾燥後に混合部材が固まり状になったり、混合部材の表面に形成されたフィルム状の膜厚が厚くなりすぎて、膜内に保持した有機物分解菌12が膜外に浸出しにくくなる可能性がある。このため、混合部材の表面にフィルム状の膜を形成しつつ、膜内に保持した有機物分解菌12が長期間に渡ってゆっくりと膜外へ浸出させる、つまり有機物分解菌12が短期間のうちに離散するのを抑制する機能を発揮させる上では、上記範囲とするのが好ましい。
ついで、上述した有機物分解菌12と被膜13を形成する化合物を含む含浸溶液に対して、混合工程によって調製した混合部材を浸漬する。混合部材は、かかる状態で所定時間静置する。
静置時間は、浸漬した混合部材中(つまり、酸化アルミニウム水和物等に形成された多数の孔の内部)に含浸溶液を含浸させることができる時間であれば、とくに限定されない。例えば、1時間以上静置すれば、浸漬した混合部材中に含浸溶液を含浸させることができる。とくに、混合部材の平均粒子径が0.5μm〜4.3μm程度の場合、約3時間浸漬させれば、混合部材の表面および混合部材の孔内に有機物分解菌12を確実に付着させた状態で保持することができる。
なお、含浸溶液は、混合部材を浸漬することができる容積であれば、とくに限定されない。例えば、混合部材と略同じ体積の含浸溶液に対して混合部材を入れれば、混合部材を浸漬させつつ、余分な含浸溶液も発生しないので、含浸溶液の無駄を抑制することができる。
(乾燥工程)
つぎに、含浸溶液に所定時間浸漬した混合部材を他の容器等に移したのち、混合部材の表面がやや乾く程度までゆっくりと撹拌しながら風乾する。このとき、混合部材の内部がやや湿った状態(つまり、内部に水部を含んだ状態)が維持されるように乾燥する。このとき、混合部材の表面に付着した化合物によってフィルム状の膜、つまり被膜13が形成される。すると、かかる被膜13の内部、つまり被膜13と混合部材の表面に形成された隙間に有機物分解菌12を保持することができる。しかも、上述した含浸工程により混合部材に形成された多数の孔の内部に侵入した有機物分解菌12をも保持した状態とすることができる。
また、かかる状態において、被膜13内の混合部材内部はやや湿った状態であるので、混合部材内部や表面近傍に位置する有機物分解菌12は生きた状態のまま保持することができる。
以上のごとき工程によって、本実施形態の水質浄化剤10を製造することができる。
そして、製造した水質浄化剤10を所定の水に加えれば、所定濃度の液体状の水質浄化剤10を調製することができる。
(水質浄化剤10を使用した浄化方法の説明)
以下では、液体状の水質浄化剤10を被処理水に添加した際の被処理水中での浄化処理について説明する。
なお、被処理水としては、一般的な嫌気ろ床を有するばっ気方法を採用した浄化槽における、ばっ気槽内の処理排水を対象した場合を代表として説明する(図2参照)。
まず、図2に示すように、液体状の水質浄化剤10をばっ気槽内の点検口2を解放して、ばっ気槽内の被処理水に対して所定量の液体状の水質浄化剤10を添加する。
図2に示すように、添加した水質浄化剤10は、ばっ気槽内に設けられたブロワB(送風機)から供給された空気によって被処理水中にまんべんなく分散させることができる。水質浄化剤10を被処理水中にまんべんなく分散させることによって、水質浄化剤10と被処理水中に分散している有機物質Mとの接触効率を、従来の接触材を採用するような方法と比べて非常に高いレベルで向上させることができる。水質浄化剤10に接触した有機物質Mは、有機物質Mを吸着する機能を有する水質浄化剤10の多孔質無機部材11により補足することができる。このため、水質浄化剤10を添加後短時間のうち、つまり被処理水中の有機物質Mの濃度を迅速に低下させることができる。
すると、被処理水中の有機物質Mに基づく悪臭を短時間のうちに急激に低下させることができるものと推察される(ステージI、図4参照)。つまり、質浄化剤10を被処理水に添加すれば、第Iステージにおいて、被処理水中から有機物質を迅速に除去することができるのである。
ついで、図3(B)に示すように、多孔質無機部材11の表面およびその内部に生きた状態で保持した有機物分解菌12の作用により、水質浄化剤10の多孔質無機部材11に補足した有機物質Mを分解する(ステージII、図4参照)。
つまり、第IIステージにおいて、水質浄化剤10の多孔質無機部材11と多孔質無機部材11に付着した有機物分解菌12の相互作用によって、被処理水中の有機物質Mを効率的に分解することができるのである。
一方、図3(C)に示すように、被処理水中に浮遊する在来微生物MBを質浄化剤10の多孔質無機部材11上に誘引することができる。なぜなら、水質浄化剤10の多孔質無機部材11で補足した有機物質Mが在来微生物MBにとって、捕食しやすい状態のエサとなっているからである。
具体的には、補足した有機物質Mは、有機物分解菌12によってある程度分解された状態となっており、在来微生物MBが有機物質Mを直接分解する場合に比べて少ないエネルギーで捕食することができる状態となっている。このため、周囲を浮遊する在来微生物MBを、水質浄化剤10の多孔質無機部材11上に誘引することができる。
そして、誘引した在来微生物MBを、質浄化剤10の多孔質無機部材11上にコロニー等を形成させるようにして棲みつかせることができる。しかも、水質浄化剤10の多孔質無機部材11上には、在来微生物MBにとっての栄養価の高いエサとなる有機物分解菌12が多量に存在するので、水質浄化剤10の多孔質無機部材11上に棲みつかせた在来微生物MBの活性をより向上させることができる。つまり、在来微生物の活性を向上させた状態で維持することができるのである。このため、多孔質無機部材11上において、在来微生物MBを急激に増殖させることができる。
すると、ステージIIIの初期においては、在来微生物MBの活性を向上させることができ、しかも、在来微生物MBを急激に増殖させることができるので、被処理水を迅速に浄化処理することができる。
また、図1および図3に示すように、水質浄化剤10の多孔質無機部材11の表面には、被膜13が形成されている。この被膜13は、被膜13の内面と多孔質無機部材11との表面に形成された隙間や多孔質無機部材11の内部に付着した有機物分解菌12が多孔質無機部材11から被処理水中に離散するのを抑制する機能を有する部材である。このため、上記のごとき有機物分解菌12と在来微生物MBとの相乗作用によって発揮される相乗効果をより長期間に渡って維持することができる。(かかる状態を以下、第IIIステージ後期という。図4参照)
以下、具体的に説明する。
水質浄化剤10の多孔質無機部材11は、含浸工程によって有機物分解菌12を孔質無機部材11の内部まで侵入させた状態で付着させているので、内部に侵入した有機物分解菌12を時間とともに徐々に多孔質無機部材の表面やその近傍まで移動させることができる。このため、被処理水中に分散した水質浄化剤10は、その多孔質無機部材11の表面やその近傍に有機物分解菌12が存在する状態を長期間に渡って維持することができる。
しかも、図3(B)に示すように、水質浄化剤10の多孔質無機部材11は、その表面には被膜13で設けられている。このため、時間の経過により多孔質無機部材11の内部から多孔質無機部材11の表面またはその近傍まで移動した有機物分解菌12を、かかる被膜13内に留めた状態とすることができる。具体的には、被膜13と多孔質無機部材11との間に形成された隙間や、被膜13表面に有機物分解菌12を留まらせておくことができるのである。そして、被膜13近傍に留まっていた有機物分解菌12は、被膜13の内部から外部へ向かってゆっくりと浸み出すように徐々に被膜13外へ移動する。
すると、第IIIステージ後期においては、水質浄化剤10の多孔質無機部材11の表面に設けられた被膜13によって、有機物分解菌12が短時間で被処理水中に拡散するのを抑制できるので、より長期間にわたって多孔質無機部材11の表面やその近傍に有機物分解菌12が存在する状態を維持することができる。つまり、有機物分解菌12と在来微生物MBとの相乗効果をより長期間に渡って維持することができるのである。
(pHについて)
なお、本実施形態の水質浄化剤10の水溶液中の水素イオン濃度指数は、略中性(例えば、pH6〜8)となるように調整すれば、環境および健康の上において好ましい。
また、本実施形態の水質浄化剤10に分散剤や消泡剤を含有させてもよい。例えば、被処理水が水面等に泡やフロック等が形成されやすい場合には、消泡剤によって被処理水の水面等に形成された泡などを抑制できるので、かかる泡などに水質浄化剤10がトラップされるのを防止できる。また、分散剤を含有させておけば、被処理水中でより水質浄化剤10同士が凝集するのを抑制できるので、より長期間に渡った分散状態を維持させることができる。
本発明の水質浄化剤の水質浄化機能を有効性について確認した。
実験では、まず実験(1)で予備試験を行い本発明の水質浄化剤の有効性を確認した後、実験(2)および実験(3)で実際の処理施設に対する有効性を確認した。
実験(1)(予備試験)
実験では、処理施設から採取した所定量の被処理水に対する水質浄化機能を有効性について確認した。
(水質浄化剤)
実験に使用した水質浄化剤は、以下のとおり調製した。
(多孔質無機部材)
まず、水質浄化剤の多孔質無機部材として、以下の部材を使用した。
酸性物質吸着材である酸化アルミニウム水和物として、キョーワード(登録商標)200(Al・xHO)(協和化学工業株式会社製)を使用した。
酸性物質吸着材である酸化マグネシウム水和物として、キョーワード(登録商標)500(MgAl(OH)16CO・4HO)(協和化学工業株式会社製)を使用した。
塩基性物質吸着材である二酸化ケイ素水和物として、キョーワード700(登録商標)(Al・9SiO・xHO)(協和化学工業株式会社製)を使用した。
キョーワード(登録商標)200と、キョーワード(登録商標)500と、キョーワード(登録商標)700とを、体積比において、1:1:1となるように混合して、混合部材を調製した(混合工程)。
(有機物分解菌)
実験に使用した水質浄化剤の有機物分解菌を懸濁させた懸濁溶液は、えひめAI−1(登録商標)(東洋殖産株式会社)を使用した。
なお、実験に使用したえひめAI−1(登録商標)は、納豆菌と、酵母菌と、乳酸菌とが、納豆菌を1とした場合、1ml中の個体数比率において、1個:10個:10個となるように調整されたものを使用した。
(被膜を形成する化合物)
実験では、水質浄化剤の多孔質無機部材表面に被膜を形成するための化合物として、二酸化ケイ素を用いた。この二酸化ケイ素は、溶媒に分散させた状態のものを使用した(型番;スノーテックス(登録商標)C:日産化学工業株式会社製:二酸化ケイ素含有率20%)。この二酸化ケイ素溶液を上記懸濁液200mlに対して30ml添加して、含浸工程に使用する含浸溶液を調製した。
ついで、この含浸溶液が入った溶液内に上記のごとき調製した混合部材を入れて浸漬させた。なお、混合部材と含浸溶液の混合割合は、体積比において、約1:1となるように調整した。つまり、混合部材を含浸溶液に浸漬した際、混合部材の空気に触れる表面部分が湿った状態となるように、混合部材を含浸溶液に浸漬させた(含浸工程)。
その後、3時間が経過した後、容器から内容物をステンレスバットに移した。そして、ステンレスバットに移した含浸溶液を含浸させた混合部材の表面がやや乾く程度までゆっくりと撹拌しながら約3時間風乾して(乾燥工程)、本実験に使用した水質浄化剤Aを調製した。
そして、この水質浄化剤Aを200mlを採取して容器に移した後、水を加えて全量を1Lとして、20%水質浄化剤Aを調製した。
(被処理水)
処理施設は、ダイキ分離接触ばっ気方式の16人槽の浄化槽を使用した。この浄化槽における接触ばっ気槽(約3m)内の処理排水から500mlを採取し、かかる処理排水を予備試験用の被処理水とした。
なお、この浄化槽に供給される排水は、糖尿病患者のし尿等を含む汚水であった。また、上記処理排水は、一般的に、糖尿病汚泥といわれている。
(実験方法)
実験では、処理排水500mlに対して20%水質浄化剤Aを100ml添加し撹拌した後、静置した。この被処理水は、1日1回定期的に撹拌を行った。
(水質評価方法)
水質評価は、被処理排水から発生する臭気を官能試験を行うことにより確認した。なお、官能試験は、男女合わせた5人で行った。
(結果)
20%水質浄化剤Aを添加する前の被処理排水は、強い刺激臭を呈していた。
しかし、添加後、1日目は、その臭気は少なくなり、3日目でほぼ無臭状態となり、4日目で無臭となることが確認できた。その後10日間継続して臭気を確認したが、無臭状態を維持することが確認できた。
したがって、予備試験において、本発明の水質浄化剤の有効性を確認することができた。
実験(2)
実験では、本発明の水質浄化剤の処理施設に対する有効性を確認した。
(被処理水)
実験では、実験(1)で用いた浄化槽の接触ばっ気槽(約3m)内の処理排水を被処理水とした。
本実験では、上述した被処理水、水質評価方法以外は、実験(1)と同じ水質浄化剤Aを使用した。
(実験方法)
20%水質浄化剤Aを上述した可動中の浄化槽の接触ばっ気槽内の被処理水に対して添加した。
20%水質浄化剤Aの添加量は、上記接触ばっ気槽内の被処理水1000L(1m)に対して900mlとした。また、4週間(約1ヶ月)に1回同槽内に20%水質浄化剤Aを、初回の添加量と同じ接触ばっ気槽内の処理水1000Lに対して900mlとなるように添加した。
(水質評価方法)
水質評価は、臭気計測器(新コスモス電機株式会社製、型番;XP−329m、検知管タイプ)を使用して被処理水の臭気を計測した。
上述した浄化槽の接触ばっ気槽内の被処理水から所定量(約200ml)を密閉容器内に計測用サンプルを採取した
採取した計測用サンプルは、以下の操作で臭気を計測した。
まず、採取した計測用サンプルは、密閉容器内に入れて密封した。その後、かかる容器を冷暗条件下で実験室に持ち帰った後、暗条件下、計測用サンプルが室温程度になるまで静置した。計測用サンプルが室温程度となった後、室内の空気が無臭であることを確認した後、容器を開封して計測用サンプルから発生する臭気を臭気計測器を用いて計測した。
なお、臭気計測器の標準値(つまり無臭状態を示す値)は、男女5人による官能試験により、5人全員が無臭状態を確認した点を100とし、かかる値を標準値としてセットした。
実験結果を図4(グラフ中の破線)に示す。
図4の(グラフ中の破線)に示すように、20%水質浄化剤Aを添加する直前の臭気は、刺激臭を呈していた。また、そのときの計測値は、140であった。
しかし、20%水質浄化剤Aの添加後4日目の計測値は116(やや臭いあり)であったが、2週間目では計測値が62(無臭)であり、4週間目では計測値が7(無臭)であった。そして、添加後6週間目、8週間目と継続して計測値は7を維持することが確認できた。
実験結果から、本発明の水質浄化剤Aを添加すれば、被処理水を約1週間前後で悪臭を減少させることができた。しかも、その効果は経時的に向上することが確認できた。
つまり、図4のステージIにおいて、被処理水中に分散させた水質浄化剤Aによって、処理排水中に存在する有機物質を効率的に補足することができたことが確認できた。
そして、図4のステージIIにおいて、計測値が低下していることから、本発明の水質浄化剤Aに付着させた有機物分解菌の作用により、水質浄化剤Aの多孔質無機部材で補足した有機物質を分解することができたことが確認できた。
また、ステージIIIの初期において、さらに計測値が低下していることから、有機物分解のみの作用だけでなく、在来微生物の作用によって被処理水中の有機物質を分解することができたことが確認できた。つまり、本発明の水質浄化剤Aの多孔質無機部材において、在来微生物を誘引することができ、棲みつかせることができたものと推察することができた。そして、かかる在来微生物を、水質浄化剤Aの多孔質無機部材によって被処理水中のすみずみまで移動させることができたことによって、上述したような急激に悪臭を低下させることができたものと推察された。
つまり、水質浄化剤Aの多孔質無機部材と有機物分解菌との相互作用によって被処理水中の有機物質を効率的に補足・分解しつつ、有機物分解菌と在来微生物との相乗効果によって、被処理水中の有機物質の分解速度を飛躍的に向上させることができることが確認できた。
したがって、在来微生物の活性が低下したり、その生存数が減少しているような被処理水に対して本発明の水質浄化剤を添加すれば、従来の水質浄化剤と比べて、迅速に在来微生物の活性を向上させることができるので、処理排水を短い時間で適切に浄化処理することができることが確認できた。
しかも、実験結果から、水質浄化剤Aを添加してから1ヶ月程度の長期にわたって上記のごとき効果を維持することができることが確認できた。
したがって、水質浄化剤Aの多孔質無機部材の表面に被膜を設けることによって、多孔質無機部材の表面やその近傍に長期間にわたって有機物分解菌が存在または生育する状態を維持することができたことが確認できた。
実験(3)
実験では、本発明の水質浄化剤の処理施設に対する有効性を確認した。
(多孔質無機部材)
水質浄化剤Bは、多孔質無機部材の混合部材の混合割合以外は、上述した実験(1)と同じ条件で調製した。
キョーワード(登録商標)200と、キョーワード(登録商標)500と、キョーワード(登録商標)700とを、体積比において、1:2:1となるように混合して、混合部材を調製した(混合工程)。
ついで、上記のごとき調製した混合部材を、水質浄化剤の有機物分解菌と二酸化ケイ素溶液を(実験1)と同じように配合した含浸溶液が入った容器に入れて浸漬させた。なお、混合部材と含浸溶液の混合割合は、体積比において、約1:1となるように調整した。つまり、混合部材を含浸溶液に浸漬した際、混合部材の空気に触れる表面部分が湿った状態となるように、混合部材を含浸溶液に浸漬させた(含浸工程)。
その後、3時間が経過した後、容器から内容物をステンレスバットに移した。そして、ステンレスバットに移した含浸溶液を含浸させた混合部材の表面がやや乾く程度までゆっくりと撹拌しながら約3時間風乾して(乾燥工程)、本実験に使用した水質浄化剤Bを調製した。
そして、この水質浄化剤Bを200mlを採取して容器に移した後、水を加えて全量を1Lとして、本実験に使用した20%水質浄化剤Bを調製した。
実験結果を図4(グラフの実線)に示す。
図4の(グラフの実線)に示すように、20%水質浄化剤Bを添加する直前の臭気は、刺激臭を呈していた。また、そのときの計測値は、140であった。
しかし、20%水質浄化剤B添加後2日目の計測値は90(ほぼ無臭)であった。そして、添加後4日目の計測値は60であり、臭気は完全に無臭であった。さらに、添加後1週間の計測値は40であり、2週間目、3週間目、4週間目、6週間目、8週間目と継続して計測値は20を維持することが確認できた。
本実験結果から、実験(1)では無臭になるまでに10日程度を要したが、実験(2)では2日目でほぼ無臭となり、4日目で無臭となった。
とくに、図4に示すように、実験(2)では、実験(1)に比べて悪臭の減少速度を非常に高くすることができることが確認できた。
つまり、水質浄化剤Bのキョーワード(登録商標)500(酸性物質吸着材である酸化マグネシウム水和物)の混合割り合を実験(1)の水質浄化剤Aに比べて増加させることによって、処理排水中の酸性の有機物質の補足を向上させることができることが確認できた。
つまり、実験の対象とした被処理水は、糖尿病患者が利用する浄化槽の接触ばっ気槽内の処理水であり、一般的な家庭の処理排水と比べて有機物の含有濃度が非常に高いため、実験(1)の水質浄化剤Aでは処理排水中の有機物の補足に時間をかかったものと考えられた。
一方、実験(2)では、酸性の有機物質を特異的に吸着しやすいキョーワード(登録商標)500を実験(1)の水質浄化剤Aに比べて増加させることによって、処理排水中に高濃度に含有する有機物を補足するとともに、時間の経過に伴って生じる有機物質が酸化した酸性の有機物質(例えば、有機酸化物など)を効率的に補足することができることが確認できた。このため、実験(2)では、実験(1)に比べて悪臭の減少速度を迅速に低下させることができたものと推察された。
したがって、処理排水中の有機物濃度に応じて本発明の水質浄化剤に含まれる酸性物質吸着材のである酸化アルミニウム水和物と酸化マグネシウム水和物の割合を調整すれば、より効率的に処理排水中の有機酸化物を補足することができることが確認できた。しかも、本発明の水質浄化剤を添加する処理排水の状態に適した状態となるように調整すれば、刺激臭を発生する処理排水であっても、数日中にかかる悪臭を改善することができることが確認できた。
以上の実験結果より、本発明の水質浄化剤を被処理水に対して添加するだけで、被処理水を適切に浄化処理することができるようになることが確認できた。
しかも、悪臭を発生している被処理水に対して本発明の水質浄化剤を添加すれば、従来の浄化剤と比べて非常に短時間のうちに悪臭を抑制することができることが確認できた。そして、かかる効果を長期間にわたって維持することができることが確認できた。
本発明の水質浄化剤は、生活排水や産業排水などの排水処理の水質浄化に適しているほか、これらの排水を混入した粉体状または固形状の堆肥等から発生する悪臭を抑制する悪臭防止剤としても適している。
10 水質浄化剤
11 多孔質無機部材
12 有機物分解菌
13 被膜
M 有機物質
MB 在来微生物

Claims (9)

  1. 被処理水の浄化に使用される浄化剤であって、
    有機物質を吸着する機能を有する粒状の多孔質無機部材と、有機物質を分解する機能を有する有機物分解菌と、を含み、
    前記多孔質無機部材の表面を覆うように設けられたフィルム状の被膜を備えており、
    該被膜と前記多孔質無機部材間に形成された隙間および/または前記多孔質無機部材が有する複数の孔内に、前記有機物分解菌が保持されたものである
    ことを特徴とする水質浄化剤。
  2. 前記被膜が、
    二酸化ケイ素を主成分とするものである
    ことを特徴とする請求項1記載の水質浄化剤。
  3. 前記多孔質無機部材が、
    酸性物質を吸着する機能を有する酸性物質吸着材と、塩基性物質を吸着する機能を有する塩基性物質吸着材と、を含有するものであり、
    該塩基性物質吸着材が、二酸化ケイ素を主成分とする二酸化ケイ素水和物であり、
    前記酸性物質吸着材が、
    酸化アルミニウム化合物を主成分とする酸化アルミニウム水和物と、酸化マグネシウムを主成分とする酸化マグネシウム水和物と、を含むものである
    ことを特徴とする請求項1または2記載の水質浄化剤。
  4. 多孔質無機部材に含まれる前記酸化アルミニウム水和物と、酸化マグネシウム水和物と、前記塩基性物質吸着材の配合割合が、
    前記酸化マグネシウム水和物が、前記水酸化アルミニウム水和物を100体積部に対して、100体積部〜200体積部であり、
    前記塩基性物質吸着材が、前記水酸化アルミニウム水和物を100体積部に対して、100体積部〜200体積部である
    ことを特徴とする請求項3記載の水質浄化剤。
  5. 前記有機物分解菌が、
    酵母菌と、納豆菌と、乳酸菌と、を含み、
    前記納豆菌と前記酵母菌と前記乳酸菌が、
    前記納豆菌を1とした場合、個体数比率において、1:10〜10:10〜10である
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の水質浄化剤。
  6. 被処理水の浄化に使用される浄化剤の製造方法であって、
    有機物質を吸着する機能を有する粒状の多孔質無機部材を調製する混合工程と、
    該混合工程で調製した多孔質無機部材を有機物質を分解する機能を有する有機物分解菌を懸濁させた懸濁液に浸漬する含浸工程と、
    該含浸工程後の多孔質無機部材を乾燥させる乾燥工程と、を順に行う方法であり、
    前記含浸工程における懸濁液に被膜形成部材を溶解または分散する
    ことを特徴とする水質浄化剤の製造方法。
  7. 被処理水を浄化処理する方法であって、
    有機物質を吸着する機能を有する粒状の多孔質無機部材と、有機物質を分解する機能を有する有機物分解菌と、を含み、
    前記多孔質無機部材の表面を覆うようにフィルム状の被膜が設けられており、
    該被膜と前記多孔質無機部材の表面に形成された隙間および/または前記多孔質無機部材が有する複数の孔内に前記有機物分解菌が保持された浄化剤を、前記被処理水に対して添加する
    ことを特徴とする水質浄化法。
  8. 前記浄化剤が、
    前記請求項1〜5のいずれかに記載の水質浄化剤である
    ことを特徴とする請求項7記載の水質浄化法。
  9. 前記被処理水1000Lに対して、前記浄化剤を600ml以上添加する
    ことを特徴とする請求項7または8記載の水質浄化法。
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