JPH10493A - 汚水処理装置 - Google Patents

汚水処理装置

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Publication number
JPH10493A
JPH10493A JP8154511A JP15451196A JPH10493A JP H10493 A JPH10493 A JP H10493A JP 8154511 A JP8154511 A JP 8154511A JP 15451196 A JP15451196 A JP 15451196A JP H10493 A JPH10493 A JP H10493A
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JP
Japan
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zone
sewage treatment
bacteria
treatment apparatus
predator
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Withdrawn
Application number
JP8154511A
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English (en)
Inventor
Toshiyuki Nakajima
敏幸 中島
Sadako Yamada
貞子 山田
Yasuko Yakou
靖子 矢古宇
Kenji Ishimaru
賢二 石丸
Shintaro Suzuki
信太郎 鈴木
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/10Biological treatment of water, waste water, or sewage

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  • Biological Treatment Of Waste Water (AREA)
  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 細菌捕食性生物を利用した汚水処理装置であ
って、捕食性生物の利用効率を高め、また操業コストを
低減することを目的とする。また大腸菌群も除菌できる
様にする。 【解決手段】 微生物性濁質成分を捕食除去する細菌食
性微小生物が生息する微小細菌食性微生物ゾーン(小ゾ
ーン11)と、前記細菌食性微小生物を捕食除去する原生
動物及び/または後生動物が生息する原生動物・後生動
物ゾーン(中ゾーン12)を備える。前記微小細菌食性微
生物ゾーン(小ゾーン11)を、平均内部孔径25〜125 μ
mの多孔性担体を備えたものとする。前記原生動物・後
生動物ゾーン(中ゾーン12)を、平均内部孔径150 μm
以上の多孔性担体を備えたものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、汚水中に存在する
細菌等の微生物性濁質成分(以下、単に細菌等と称する
ことがある)を除去することのできる汚水処理装置に関
するものであり、環境中の様々な水、例えば下水,下水
二次処理水,汚染された湖沼水,公園の池,養魚池の
水,河川水等に含まれる浮遊性の細菌等の除去に利用で
きるものである。しかも、大腸菌群の除去にも有効に利
用できる。
【0002】
【従来の技術】汚水を除菌或いは殺菌する方法として
は、塩素や二酸化塩素等の薬品によって化学的に殺菌す
る方法(従来例)、オゾンによって物理化学的に殺菌
する方法(従来例)、紫外線照射によって殺菌する方
法(従来例)、膜を用いた濾過によって菌を取り除く
方法(従来例)が知られている。
【0003】しかし、上記従来例では、除菌後に残留
する塩素等の化学物質が環境に悪影響を及ぼすという問
題がある。しかも、例えば塩素は水中の他の物質と反応
して発ガン性物質を生成することが知られており、社会
問題となっている。また、上記従来例,は、上記の
様な残留化学物質の悪影響はないものの、処理に要する
コストが高くつくという問題があり、多量の水の処理に
は不向きである。加えて、上記従来例〜は、死滅し
た菌体自身が処理済みの水中に残る為、更に他の処理を
施さなければ結果的に水を清浄化できないものである。
【0004】一方、上記従来例は、菌体自身を取り除
くことができ、汚水の清浄化という点において良い方法
ではあるが、濾過膜の目詰まりが起こり易い為に、該濾
過膜の逆洗浄もしくは濾過膜の交換を頻繁に行う必要が
あり、処理コストが高くなるという問題がある。
【0005】現在実施されている一般的な汚水の処理方
法としては、先ず砂等の担体を充填した濾過装置によっ
て浮遊物質成分を除去した後、上記従来例や従来例
の方法によって除菌,殺菌を行っている。
【0006】他方、水環境中の微小生物、例えば繊毛
虫,鞭毛虫,ワムシ等の節足動物,水生ミミズ等の後生
動物が、上記細菌を捕食し、この様にして微小生物が池
等の清浄に役立っていることが知られている。そこで、
細菌を捕食する上記微小生物を利用した汚水処理装置が
提案され、例えば特開昭62-160195 号,特開昭63-93399
号,特開平4-193395〜7 号,特開平5-228486号に示され
た処理装置がある(従来例)。
【0007】該従来例は、廃水処理リアクターから排
出された水について処理を行うものであり、即ち、先ず
上記廃水処理リアクターにおいて、汚水に含まれる有機
物等を細菌によって処理させ、次に該廃水処理リアクタ
ーの排水に含まれる上記細菌を、細菌捕食性の生物によ
って除菌しているものである。
【0008】この従来例は、化学物質や菌体等を処理
済みの水に残さず、環境に悪影響を及ぼすことのない方
法である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来例では、除菌に
利用する捕食性生物として、自然発生的に生育・増殖し
たものを用いており、どの様な種類の捕食性生物が有効
な細菌等除去作用を示すのかという点について検討され
ておらず、また、上記捕食性生物にとって住み良い環境
の担体はどういうものかという点についても検討されて
いないものであり、細菌等の除去効率の点で不十分なも
のであった。
【0010】また、従来例の処理対象は、元来廃水処
理リアクターから排出された水であって、該廃水処理リ
アクターからの排水は大腸菌群を含んでおらず、従っ
て、従来例によって大腸菌群を除去できるか否かは不
明である。
【0011】現在の排水処理基準は、放流水中に含まれ
る大腸菌群を3×103 個/ml以下にするよう義務づけ
ており、例えば家庭から排出される下水を処理する為に
は、大腸菌群の除去能は重要な機能と考えられており、
大腸菌群を確実に除去できる処理装置が望まれている。
【0012】そこで、本発明は、放流先の水環境に悪影
響を与えることのない手法、即ち細菌捕食性の生物を利
用して細菌等を除去する手法を採用しつつ、該手法にお
ける捕食性生物の利用効率を高めることができ、また操
業コストを低減することができ、しかも大腸菌群も除菌
できる汚水処理装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る汚水処理装
置は、細菌等(微生物性濁質成分)を捕食除去する細菌
食性微小生物(以下、一次捕食者と称することがある)
が生息する細菌食性微小生物ゾーン(以下、小ゾーンと
称することがある)と、前記一次捕食者を捕食除去する
原生動物及び/または後生動物(以下、二次捕食者と称
することがある)が生息する原生動物・後生動物ゾーン
(以下、中ゾーンと称することがある)を有し、前記小
ゾーンが算術平均内部孔径25〜125μmの多孔性担
体を備えたものであり、前記中ゾーンが算術平均内部孔
径150μm以上の多孔性担体を備えたものであること
を要旨とする。
【0014】汚水中の細菌等の除去は、主として一次捕
食者によって行われる。そして、一次捕食者は二次捕食
者に捕食されることによって除去される。一次捕食者が
処理済み水と共に排出されると、該一次捕食者自身が汚
濁物ということになって清浄水とならないから、二次捕
食者によってこれを除去するのである。尚、二次捕食者
は、上記細菌等を捕食除去することもある。
【0015】前記一次捕食者は、前述の様に、二次捕食
者によって捕食されるものであるが、汚水中の細菌等を
十分に捕食除去させる観点からは、捕食されることによ
って一次捕食者の量が少なくなるということは、除去効
率を低減させるので、問題である。そこで本発明におい
ては、二次捕食者が侵入することがない条件下に一次捕
食者が生息することのできる前記小ゾーンを設け、一次
捕食者を二次捕食者から守り、一次捕食者を一定量確保
する様にした。そして、前記小ゾーンから脱落した一次
捕食者を二次捕食者によって捕食し、細菌等や一次捕食
者のない清浄化された処理済み水を排出する。
【0016】尚、上記従来例では、自然発生的に生育
・増殖した微生物群を利用しているので、細菌を捕食す
る細菌捕食性生物と共に、該細菌捕食性生物を捕食する
様なより大型の生物が共存し、その為に上記細菌捕食性
生物が減少してしまい、これが原因で細菌除去効率が低
くなったものと推定される。次に、小ゾーンの多孔性担
体の内部孔径について説明する。
【0017】前記一次捕食者としては、例えば微小鞭毛
虫が挙げられるが、該微小鞭毛虫は体長5〜25μmの
微小生物である。一方、前記二次捕食者は一次捕食者よ
りも大きい、例えば体長約30〜1000μmの生物で
ある。
【0018】前記二次捕食者の生活空間の広さは、体長
の約5倍の大きさを必要とすることから、少なくとも内
部孔径150μm以上の大きさが必要である。従って、
一次捕食者が内部孔径150μm未満の大きさの多孔性
担体に生息しておれば、一次捕食者が二次捕食者に捕食
されることはない。
【0019】一方、一次捕食者の生活空間の広さについ
ては、同様に体長の約5倍の大きさを必要とするから、
最も大きい一次捕食者でも孔径125μmであれば生息
でき、細菌捕食活動に悪影響を及ぼさないことが予想さ
れる。従って、二次捕食者が生息せず、且つ一次捕食者
が生息できる内部孔径として、前述の様に、算術平均内
部孔径25〜125μmの多孔性担体を小ゾーンとして
備えた。次に、中ゾーンについて説明する。
【0020】仮に、二次捕食者の生息場所がない場合
は、該二次捕食者は汚水処理装置に流入流出する水に流
され、外部に排出されてしまう。すると、上記担体から
脱落した一次捕食者を捕食することができなくなり、結
果として一次捕食者が多数存在する汚染された水を汚水
処理装置から排出することになってしまう。
【0021】そこで、二次捕食者に対しても多孔性担体
からなる生息場所を与え、水中を浮遊させることなく、
安定して生息できる様にする為、前述の様に、体長の約
5倍の大きさ、即ち算術平均内部孔径150μm以上の
多孔性担体を中ゾーンに備えた。
【0022】本発明における前記一次捕食者としては、
前述の如く、体長25μm以下の微小鞭毛虫であること
が好ましい。該微小鞭毛虫は、細菌等を捕食除去する能
力の最も高い微小生物であることを実験により確認して
おり、この点から細菌等の除去に有効だからである。
【0023】また、前記二次捕食者としては、体長30
μm以上の繊毛虫及び/または輪形動物であることが好
ましい。前記微小鞭毛虫といった一次捕食者を良好に捕
食するからである。
【0024】尚、繊毛虫の体長は約30〜300μmで
あり、輪形動物の体長は150〜1000μmであるこ
とから、中ゾーンの多孔性担体の内部孔径としては15
0〜5000μmであることがより好ましい。
【0025】また本発明に係る汚水処理装置として、前
記小ゾーン及び中ゾーンに加え、浮遊性の細菌集塊を捕
食または散開する捕食・散開ゾーン(以下、大ゾーンと
称することがある)を有することが好ましい。
【0026】上述の様に、一次捕食者は主として小ゾー
ンの多孔性担体の孔内に生息するから、該孔内に細菌等
が侵入しなければ、細菌等を捕食除去できないが、集塊
状の浮遊物質成分(浮遊性細菌集塊)を散開すること
で、該散開したものが小ゾーンの孔内に侵入することに
なり、孔内の一次捕食者が捕食除去できる様になる。ま
た、上記浮遊性細菌集塊を直接捕食する生物を生息させ
ることによって、この様な汚濁物質を除去することもで
きる。
【0027】前記大ゾーンには、水生ミミズ等の貧毛類
が生息していることが好ましく、該水生ミミズ等の貧毛
類は上記浮遊性細菌集塊を良好に散開することができ、
また捕食することもできるからである。
【0028】前記大ゾーンとしては、算術平均内部孔径
1000μm以上の多孔性担体を備えたものであること
が好ましい。水生ミミズの体長は1000〜5000μ
mであるが、観察によると内部孔径1000〜5000
μmの生活空間で十分な増殖がみられた。尚、この様に
体長よりも大きい空間を必要としない理由は、水生ミミ
ズが体長に比べて幅が小さいことによると考えられる。
従って、上記内部孔径の多孔性担体とした。尚、大ゾー
ンとしては内部孔径1000〜5000μmがより好ま
しい。
【0029】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る汚水処理装置
の概略を表す断面図であり、該汚水処理装置1内には小
ゾーンや中ゾーンに用いられる多孔性担体2が備えられ
ている。尚、図1の(a) は該汚水処理装置1の全体を表
し、図1の(b) は汚水処理装置1内の小ゾーンや中ゾー
ン(多孔性担体2)の拡大図である。
【0030】汚水流入管から流入する汚水3には、大腸
菌群や非大腸菌群といった細菌等が多量に含まれてお
り、これを担体2に担持させた一次捕食者が良好に捕食
し、除去する。また担体2に担持させた二次捕食者も、
上記汚水3中の細菌等を捕食除去する。更に該二次捕食
者は、小ゾーンの担体2から脱落した一次捕食者も捕食
し、除去する。
【0031】この捕食の際、一次捕食者は小ゾーンの担
体の孔内に生息することで、二次捕食者の捕食から逃れ
ることができ、その数が減少することがない。従って、
細菌等の捕食量が低下しないから、高い処理効率を安定
して保つことができる。この様にして、汚水3から細菌
等が除去され、清浄された処理済み水4が汚水処理装置
1から排出される。
【0032】
【実施例】
<第1の実験:微小鞭毛虫の優占性、捕食性生物の生息
場所に関する検討>図2は、本第1の実験に用いた汚水
処理装置1及びそれに接続した菌液タンク5を示す概略
図である。菌液タンク5には人工的に調製した汚水が入
れられており、該汚水はポンプ6によって汚水処理装置
1内に流入される。汚水処理装置1の上流側にはエアー
挿入口8が設けられ、ここから流入される空気によって
汚水処理装置1内を好気的に保っている。汚水処理装置
1にはプラスチック繊維9の集塊が充填されており、流
入された汚水を処理した後、流出口7から流出する。
【0033】実験例No. 1として、上記プラスチック繊
維9に活性汚泥を混入した。一方、実験例No. 2〜5と
して、上記プラスチック繊維9に活性汚泥を混入せず、
その代わりとして上記実験例1の終了後に汚水処理装置
1から回収した生物(捕食性生物)を混入した。尚、実
験例No. 1におけるプラスチック繊維9の充填密度を0.
031g/cm3とし、実験例No. 2では0.013g/cm3、実験例N
o. 3では0.019g/cm3、実験例No. 4では0.031g/cm3
実験例No. 5では0.044g/cm3とした。
【0034】上記人工的に調製した汚水は、下記表1に
示す組成の人工2次処理水に、モデル細菌を添加したも
のであり、第1の汚水として、モデル細菌にPseudomona
s florescence ,Alcaligenes eutrophus ,Batillus s
ubtilis (以下、これらを一般細菌と称することがあ
る)を最終菌体密度4×107 個/ml となるように添加
したものを用い、第2の汚水として、上記一般細菌(最
終菌体密度4×107 個/ml )に加え、大腸菌のEscher
ichia coli(ストレプトマイシン耐性)を最終菌体密度
1×104 個/ml となるように添加したものを用いた。
【0035】
【表1】
【0036】上記実験例No. 1〜5において、先ず第1
の汚水(流入水)を汚水処理装置1に流入して、汚水処
理装置1による処理実験を行い、実験開始後24日目か
ら第2の汚水(流入水)を汚水処理装置1に流入して処
理実験を行った。
【0037】該実験によって汚水処理装置1から排出さ
れる処理済み水(流出水)について、含まれる細菌密度
(1ml中りの菌数)を測定した。尚、細菌密度は、総菌
数を、一般栄養寒天培地の平板プレート上のコロニー数
をカウントすることによって求め、大腸菌数を、100 μ
l-ストレプトマイシン入りマイデソキシコレート培地上
のコロニー数をカウントすることによって求め、これら
から一般細菌数,大腸菌数を算出した。また実験例No.
1に関して、汚水処理装置1内に生息する捕食生物の数
を測定した。
【0038】図3は、流入水中の細菌密度及び流出水の
細菌密度と経過日数との関係を表すグラフであり、図3
の(a) は実験例No. 1の結果を示し、図3の(b) は実験
例No. 2〜5の結果を示す。
【0039】図3の(a) から分かる様に、実験例No. 1
では、汚水処理装置1を通過することによって、細菌が
除去され、例えば大腸菌の場合では、約1/10〜1/
100に減少している。一方、実験例No. 2〜5では、
除菌効果が見られなかった。また、実験例No. 2〜5の
汚水処理装置1に、捕食性生物を2週間にわたって数回
再接種した場合であっても除菌されなかった。また、実
験例No. 1では、汚水処理装置1内に生息する捕食性生
物の総量は約103 個/mlであるが、実験例No. 2〜5
では、実験例No. 1に比べ極めて少なく、10〜102
個/mlであった。
【0040】このことから活性汚泥が捕食性生物の住み
場所を提供しており、この様に住み場所を提供した方
が、細菌除去効果が上がることが分かる。また、繊維充
填密度の異なる実験例No. 2〜5のいずれにおいても、
除菌効果が現れていないことから、活性汚泥の如くスポ
ンジ様の住み場所でない場合は、捕食性生物は住み着く
ことができないということが分かる。尚、上記繊維は、
汚泥集塊を保持する支持体としての役割を果たしてい
る。
【0041】図4は、実験例No. 1の汚水処理装置1内
に生息する捕食生物の数についての時間変化を表すグラ
フである。捕食性生物としては、微小繊毛虫,中型繊毛
虫,大型繊毛虫,微小鞭毛虫,中型鞭毛虫,大型鞭毛
虫,ワムシ,ツツガムシ,線虫について調べた。
【0042】図4から分かる様に、微小鞭毛虫の密度が
最も高く、優占種であり、また図3の(a) に示される様
に良好に細菌を除去していることから、微小鞭毛虫が細
菌除去に主要な働きをしていることが推測できる。
【0043】次に、実験最終日に、実験例No. 1の汚水
処理装置1内における各部分について、存在する菌数
(個/ml)を調べた。この結果を図5に示す。図5から
分かる様に、流入口側では多量の菌が存在したが、流出
口側へ行くにつれ、菌数が減少している。
【0044】<第2の実験:微小鞭毛虫の細菌除去効率
の検討>分離馴養した原生動物と活性汚泥を混合し、こ
れに熱処理を施して熱に比較的強い微小鞭毛虫のみを生
存させる様にした。これを、プラスチック繊維9の集塊
を詰めた汚水処理装置1内に充填し(実験例No. 6)、
前記第1の実験と同様に、汚水処理の実験を行った(図
2参照)。尚、プラスチック繊維9の充填密度は0.031g
/cm3であり、第1の汚水の流入を10日間行い、その後
第2の汚水を流入した。尚、実験例No. 6で用いた微小
鞭毛虫は、Monas 属やOicomonas 属に属する種であると
同定された。
【0045】図6の(a) は、流入水中の細菌密度及び流
出水の細菌密度と、経過日数との関係を表すグラフであ
り、図6の(b) は、流出水及び汚水処理装置1内の微小
鞭毛虫の数に関しての、経過日数による変化を表すグラ
フである。
【0046】図6から分かる様に、微小鞭毛虫の少ない
実験開始後2〜3日の段階では、細菌があまり除去され
ていないが、微小鞭毛虫が増加すると共に、流出水の細
菌が減少している。従って本発明の汚水処理装置の細菌
除去は、充填された担体による物理的濾過や捕捉による
ものではなく、捕食という生物的作用によるものである
ことが分かる。
【0047】また、図6(a) に示す様に、一般細菌,大
腸菌は、共に、流入水に比べ流出水の菌数が約1/10
0〜1/1000に減少しており、従って、微小鞭毛虫
が有効に細菌を捕食していることが分かる。
【0048】<第3の実験:一次捕食者に対する二次捕
食者の影響についての検討>一次捕食者と二次捕食者が
共に存在する上記実験例No. 1と、一次捕食者(微小鞭
毛虫)のみが存在する上記実験例No. 6について、細菌
除去能力を比較した結果を下記表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】表2から分かる様に、実験例No. 6の方が
実験例No. 1よりも細菌除去能力が優れている。実験例
No. 1では、二次捕食者が存在するから、一次捕食者が
捕食され、この為に一次捕食者が減少して、細菌除去能
力が悪くなったものと考えられる。従って細菌除去効率
を高める為には、一次捕食者を二次捕食者から守る必要
があることが分かる。
【0051】<実施例1>図7は、本発明の実施例1に
係る汚水処理装置の断面を表す概略図であり、汚水処理
装置の上流側には算術平均内部孔径25〜125μmの
多孔性担体を備えた小ゾーン11が設けられ、下流側に
は算術平均内部孔径150〜5000μmの多孔性担体
を備えた中ゾーン12が設けられている。
【0052】微小鞭毛虫(一次捕食者)は小ゾーン11
に定着して生息することができるが、大型の二次捕食者
は小ゾーンに定着できず下流側に流されることになる。
従って、微小鞭毛虫は捕食されずにその量を多く保つこ
とができ、細菌等の除去効率を高くすることができる。
【0053】一方、二次捕食者は中ゾーン12に定着し
て生息することができ、該中ゾーンにおいて、小ゾーン
11から脱落した一次捕食者や、小ゾーン11での捕食
から逃れた細菌等を捕食する。この様にして、細菌等だ
けでなく一次捕食者の流出を防ぎ、清浄化された水を流
出する。
【0054】<実施例2,3>図8の(a) は、本発明の
実施例2,3に係る汚水処理装置の断面を表す概略図で
ある。上記実施例1では、小ゾーンと中ゾーンを2層に
分けて設けたが、実施例2,3では、両ゾーンを混在し
て設けている。図8の(b) は、実施例2における多孔性
担体10を表す断面図であり、図8の(c) は、実施例3
における多孔性担体10を表す断面図である。
【0055】実施例2では、1つの多孔性担体10に、
算術平均内部孔径25〜125μmの小ゾーン21と、
算術平均内部孔径150〜5000μmの中ゾーン22
の両方が存在する(図8の(b) 参照) 実施例3では、多孔性担体10自体は算術平均内部孔径
25〜125μmの小ゾーン31のみを有するが、該多
孔性担体の外形に凹凸を持たせることによって、隣接す
る多孔性担体10との隙間に、算術平均内部孔径150
μm以上の中ゾーンを形成する(図8の(c) 参照)。
【0056】実施例2,3では、小ゾーンと中ゾーンが
接近して位置しているが、二次捕食者は小ゾーンの孔内
に生息する一次捕食者を捕食することがないから、一次
捕食者の数量を多く保つことができる。従って、上記実
施例1と同様に、細菌等の除去効率が高くなり、また一
次捕食者等の流出を防ぎ、清浄された水を流出すること
ができる。
【0057】<実施例4,5>図9は、本発明の実施例
4,5に係る汚水処理装置を示す概略図であり、小ゾー
ンと中ゾーンに加え、大ゾーンを設けたものである。図
9の(a) は、各ゾーンの多孔性担体20を固定して、固
定床としたものであり(実施例4)、図9の(b) は、粒
状の多孔性担体30を用い、各多孔性担体30(小,
中,大ゾーン)が流動できる状態の流動床としたもので
ある(実施例5)。
【0058】大ゾーンは、算術平均内部孔径1000〜
5000μmの多孔性担体を備えたゾーンであり、該大
ゾーンには水生ミミズを中心とする後生動物が良好に生
息する。この様に住み場所があることで、水生ミミズは
流出することがない。
【0059】上記実施例1〜3の様に、小ゾーンと中ゾ
ーンのみの場合では、被処理水(汚水)中に集塊状の細
菌等が存在したときに、時として目詰まりが生じること
がある。しかし、上記水生ミミズが集塊状の細菌等を捕
食或いは散開するから、目詰まりすることがなく、また
散開した細菌等を小ゾーンの微小鞭毛虫が捕食すること
ができる。尚、水生ミミズ等の後生動物の生息にとっ
て、より好ましい環境を作る為、空気の供給や加温を行
っても良い。
【0060】
【発明の効果】本発明に係る汚水処理装置は、細菌を中
心とする微生物性濁質成分を良好に効率良く除去するこ
とができ、また処理コストが低減するという効果があ
り、しかも処理済み水の放流先の環境に悪影響を及ぼさ
ない。また大腸菌群に対しても良好な除菌効果を示す。
【0061】従って、例えば養魚池の様に多量に処理し
なければならない場合にも、処理費用を余りかけずに汚
水処理することができ、また大腸菌群を含む家庭からの
排水等に対する処理にも用いることができる。
【0062】更に、本発明においては、生物の捕食作用
を利用しているから、生物ピラミッドのより高い方へバ
イオマスが変換されることになり、結果として、被処理
水(汚水)中の微生物性濁質成分のバイオマスに比べ
て、本発明の汚水処理系から排出される余剰汚泥量の総
量が低減することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る汚水処理装置の概略を表す断面
図。
【図2】第1の実験に用いた汚水処理装置及びそれに接
続した菌液タンクを示す概略図。
【図3】流入水中の細菌密度及び流出水の細菌密度と経
過日数との関係を表すグラフ。
【図4】実験例No. 1の汚水処理装置内に生息する捕食
生物の数についての時間変化を表すグラフ。
【図5】実験例No. 1の汚水処理装置内の各部分におけ
る菌数を表すグラフ。
【図6】(a) は流入水中の細菌密度及び流出水の細菌密
度と経過日数との関係を表すグラフ、(b) は流出水及び
汚水処理装置内の微小鞭毛虫の数についての経過日数に
よる変化を表すグラフ。
【図7】本発明の実験例1に係る汚水処理装置の断面を
表す概略図。
【図8】本発明の実験例2,3に係る汚水処理装置を表
す概略図。
【図9】本発明の実施例4,5に係る汚水処理装置を示
す概略図。
【符号の説明】
1 汚水処理装置 2,10,20,30 多孔性担体 3 汚水 4 処理済み水 5 菌液タンク 6 ポンプ 7 流出口 8 エアー挿入口 9 プラスチック繊維 11,21,31 小ゾーン 12,22 中ゾーン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石丸 賢二 神戸市中央区脇浜町1丁目3番18号 株式 会社神戸製鋼所神戸本社内 (72)発明者 鈴木 信太郎 神戸市中央区脇浜町1丁目3番18号 株式 会社神戸製鋼所神戸本社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物性濁質成分を捕食除去する細菌食
    性微小生物が生息する微小細菌食性微生物ゾーンと、前
    記細菌食性微小生物を捕食除去する原生動物及び/また
    は後生動物が生息する原生動物・後生動物ゾーンを有
    し、 前記微小細菌食性微生物ゾーンが算術平均内部孔径25
    〜125μmの多孔性担体を備えたものであり、前記原
    生動物・後生動物ゾーンが算術平均内部孔径150μm
    以上の多孔性担体を備えたものであることを特徴とする
    汚水処理装置。
  2. 【請求項2】 前記細菌食性微小生物が、体長25μm
    以下の微小鞭毛虫である請求項1に記載の汚水処理装
    置。
  3. 【請求項3】 前記原生動物及び/または後生動物が、
    体長30μm以上の繊毛虫及び/または輪形動物である
    請求項1または2に記載の汚水処理装置。
  4. 【請求項4】 更に、浮遊性細菌集塊を捕食または散開
    する捕食・散開ゾーンを有する請求項1〜3のいずれか
    に記載の汚水処理装置。
  5. 【請求項5】 前記捕食・散開ゾーンに、水生ミミズ等
    の貧毛類が生息する請求項4に記載の汚水処理装置。
  6. 【請求項6】 前記捕食・散開ゾーンが、算術平均内部
    孔径1000μm以上の多孔性担体を備えたものである
    請求項4または5に記載の汚水処理装置。
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