JP2017054726A - レーザー加工用導電性ペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、印刷に適した粘性を有し、表面が平滑な被膜が形成できることで微細な信号配線等が形成し易く、良好なレーザー加工性を持つと共に、基材密着性、耐熱耐湿度環境信頼を保持するレーザー加工用導電性ペーストの提供を目的とする。【解決手段】バインダ樹脂と、導電性微粒子と、無機薄片粒子と、分散剤とを含み、前記無機薄片粒子のアスペクト比が4〜40である、レーザー加工用導電性ペースト。なお、前記無機薄片粒子の平均粒子径は、1〜5μmであることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、レーザーアブレーションで信号配線等を形成できる導電性被膜を作製できる導電性ペーストに関する。
電子部品や電磁波シールド等の導電性薄膜の形成手段、または信号配線等の形成手段として、エッチング法が広く使用されている。エッチング法は、金属被膜の一部をエッチング液で除去することで所望の形状の信号配線を得る方法であるが、一般的に工程が煩雑、かつ別途、廃液処理が必要であるため、費用および環境への負荷がかかる問題があった。また、エッチング法によって形成された信号配線は、アルミニウムや銅など金属材料等で形成されたものであるため、折り曲げ等の物理的衝撃に弱いという問題があった。
そこで、上記問題を解決してより安価に信号配線を形成するために、導電性ペーストを使用した印刷法が注目されている。印刷法は、エッチング工程が不要であるため大掛かりな設備や廃液処理等が必要ないため低コストかつ容易に信号配線を形成できる。さらに配線板全体の小型化にも寄与できるため電子部品の小型軽量化、生産性の向上、低コスト化が期待されている。
また、近年スマートフォン、タブレット型端末等の情報端末は、その大きさを維持したまま多機能化、およびディスプレイの高精細化が進んでおり、これら性能をさらに向上させるためには、電子部品をさらに高密度に実装する必要がある。電子部品の高密度実装には、電子部品自体の小型化と、信号配線の微細化が求められており、導電性ペーストによる印刷法の高精細化もそれに伴い求められている。
例えば、静電容量方式のタッチパネルでは、100μm以下の幅のライン/スペース(100μm以下/100μm以下)(以下、「L/S」と略記する)が普及しており、さらには、スマートフォン、およびタブレット型端末等の多機能化、ならびにディスプレイの高精細化により、L/Sが50μm/50μm以下の信号配線が強く求められているが、印刷法では、更なる高精細化が難しかった。
そこで導電性被膜にレーザー光を照射することで信号配線を形成するレーザー加工法(レーザーアブレーション法)の検討が行なわれている。レーザー加工法では、導電性ペーストを印刷し基材の前縁部及び導電部に導電性被膜を形成し、その一部をレーザー光により基材上から除去することで信号配線を形成する。これにより印刷法では形成が困難なL/Sが30μm/30μm以下の超高精細の信号配線を形成できる。
なお、信号配線とは、配線回路、回路パターン等の電気信号を送信する配線、ならびにグランド配線等のアース接続用の配線等をいう。
特許文献1には、レーザー照射でアブレーション加工(以下、レーザー加工という)を形成するための導電性ペーストとして、導電性微粒子、無機フィラー、樹脂結着剤、ならびに界面活性剤、シランカップリング剤および有機金属化合物からなる群より選択される1種以上を含む導電性ペーストが開示されている。
また、特許文献2には、数平均分子量が5,000〜60,000かつガラス転移温度が60〜100℃のバインダ樹脂、金属粉および有機溶剤を含む導電性ペーストが開示されている。
特開2014−2992号公報 WO2014/013899号
しかし、従来の導電性ペーストを使用して超高精細の信号配線を形成すると、配線の幅が狭いため、基材との間に密着性を確保し難い傾向があった。特に、例えば情報端末用途や、カーナビゲーション等の車載用途を考慮した85℃・85%RHの高温高湿雰囲気下では、信号配線と基材との間で密着性が低下し易い問題があった。
本発明は、レーザー加工により形成した高精細の信号配線が、高温高湿経時後に基材との間の密着性が低下し難い特性を有する導電性被膜を形成できるレーザー加工用導電性ペーストの提供を目的とする。
本発明のレーザー加工用導電性ペーストは、バインダ樹脂と、導電性微粒子と、無機薄片粒子と、分散剤とを含み、
前記無機薄片粒子のアスペクト比が4〜30である。
上記の本発明によれば、所定のアスペクト比を有する無機薄片粒子を使用することで、高精細な信号配線の形成を阻害せずに、高温高湿経時後に基材との間の密着性が低下し難い導電性被膜が得られるようになった。なお、高温高湿経時とは、80℃・85%RHをいう。
本発明により、レーザー加工により形成した高精細の信号配線が、高温高湿経時後に基材との間の密着性が低下し難い特性を有する導電性被膜を形成できるレーザー加工用導電性ペーストを提供できる。
レーザー加工性の評価で使用するスクリーン印刷版の平面図である。 レーザー加工後の回路パターンの一部の拡大図である。
本発明のレーザー加工用導電性ペースト(以下、導電性ペーストともいう)は、バインダ樹脂と、導電性微粒子と、無機薄片粒子と、分散剤とを含む。このレーザー加工用導電性ペーストは、基材上に印刷することで導電性被膜を形成できる。前記印刷は、公知の印刷法が利用できるところ、スクリーン印刷が好ましい。
この導電性被膜をレーザーアブレーションすることでL/Sが50μm/50μm以下は元より、L/Sが30μm/30μm以下の超高精細な信号配線を形成できる。この信号配線は、高温高湿経時後に基材との間の密着性が低下し難い特性を有している。
本発明においてバインダ樹脂は、例えばポリエスエル、ウレタン変性ポリエステル、エポキシ変性ポリエステル、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン−(メタ)アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、アルキッド樹脂、ポリオレフィン、フッ素樹脂、ケトン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコン樹脂、ニトロセルロース、セルロース・アセテート・ブチレート(CAB)樹脂、セルロース・アセテート・プロピオネート(CAP)樹脂、ロジン、ロジンエステル、およびマレイン酸樹脂等が挙げられる。これらの中でも基材への密着性、溶剤への溶解性、信号配線の機械強度の面からポリエステル、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、およびエポキシ樹脂が好ましい。
バインダ樹脂は、単独または2種類以上を併用できる。
ポリエステルは、水酸基およびカルボキシル基のうち少なくとも一方を有することが好ましい。ポリエステルは、多塩基酸とポリオール等との反応、または多塩基酸エステルとポリオール等とのエステル交換反応等の公知の手法で合成できる。また、ポリエステルにカルボキシル基を付与する方法は、公知の手法が使用できるが、例えばポリエステルを重合後、180〜230℃程度でε−カプロラクトンなどの環状エステルを後付加(開環付加)してブロック化する方法、または無水トリメリット酸、無水フタル酸などの酸無水物を付加する方法等が挙げられる。なお、ポリエスエルは飽和ポリエステルが好ましい。
多塩基酸は、例えば芳香族ジカルボン酸、直鎖脂肪族ジカルボン酸、環状脂肪族ジカルボン酸等、および3官能以上のカルボン酸等が好ましい。なお、多塩基酸は、酸無水物基含有化合物を含む。
芳香族ジカルボン酸は、例えばテレフタル酸、およびイソフタル酸等が挙げられるがこれらに限定されない。また、直鎖脂肪族ジカルボン酸は、例えばアジピン酸、セバシン酸、およびアゼライン酸等が挙げられるがこれらに限定されない。また、環状脂肪族ジカルボン酸は、例えば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジカルボンキシ水素添加ビスフェノールA、ダイマー酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、および3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられるがこれらに限定されない。また、3官能以上のカルボン酸は、無水トリメリット酸、および無水ピロメリット酸等が挙げられるがこれらに限定されない。その他のカルボン酸は、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等のスルホン酸金属塩含有ジカルボン酸等も挙げられるがこれらに限定されない。
多塩基酸は、単独または2種類以上を併用できる。
ポリオールは、ジオール、および3個以上の水酸基を有する化合物が好ましい。
ジオールは、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、およびネオペンチルグリコール等が挙げられるがこれらに限定されない。
3個以上の水酸基を有する化合物は、例えばトルメチロールプロパン、グリセリン、およびペンタエリスリトール等が挙げられるがこれらに限定されない。
ポリオールは、単独または2種類以上を併用できる。
ポリウレタンは、ポリオールとジイソシアネートと鎖延長剤のジオール化合物とを反応させた、末端に水酸基を有する化合物である。ポリウレタンは、鎖延長剤を使用して分子鎖を延ばすことができる。鎖延長剤は、一般的にはジオール等が好ましい。ポリウレタンは、公知の合成法で合成できる。
ポリウレタンの合成に使用するポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、およびポリブタジエングリコール等が好ましい。ポリオールは単独または2種類以上併用できる。
ポリエーテルポリオールは、酸化エチレン、酸化プロピレン、およびテトラヒドロフラン等の重合体、ならびにこれらの共重合体である。
ポリエステルポリオールは、前記ポリエステルで説明したポリオールと多塩基酸のエステルである。
ポリカーボネートポリオールは、1)ジオールまたはビスフェノールと、炭酸エステルとを反応させた化合物、および2)ジオールまたはビスフェノールを、アルカリの存在下でホスゲンと反応させた化合物等が好ましい。
炭酸エステルは、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、およびプロピレンカーボネート等が挙げられるがこれらに限定されない。
ジイソシアネートは、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族イソシアネート等が好ましい。ジイソシアネートは単独または2種類以上を併用できる。
ポリウレタンウレアは、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成し、さらにポリアミンと反応させた化合物である。また、ポリウレタンウレアは、分子量を調整するため必要に応じて反応停止剤を反応させることができる。ポリオールおよびジイソシアネートは、前記ポリウレタンで説明した化合物を使用することが好ましい。ポリアミンはジアミンが好ましい。
反応停止剤は、ジアルキルアミン、モノアルコール等が好ましい。ポリウレタンウレアは、公知の合成法で合成できる。
ポリウレタンおよびポリウレタンウレアは、水酸基に加えて、カルボキシル基を有することが好ましい。具体的には、合成の際、ジオールの一部をカルボキシル基を有するジオールに置き換えて合成する方法が挙げられる。前記ジオールは、ジメチロールプロピオン酸、およびジメチロールブタン酸等が好ましい。
導電性ペーストがポリウレタンまたはポリウレタンウレアを含む場合、形成する導電性被膜の硬さがより向上する。
ポリウレタンやポリウレタンウレアを合成する際、溶剤を使用できる。
溶剤は、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、脂肪族系溶剤、芳香族系溶剤、およびカーボネート系溶剤等が好ましい。
エステル系溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル等が挙げられるがこれらに限定されない。
ケトン系溶剤は、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサンノン等が挙げられるがこれらに限定されない。
グリコールエーテル系溶剤は、例えばエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテル等のモノエーテル、ならびにこれらの酢酸エステル;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノエチルエーテル等、ならびにこれらの酢酸エステル;等が挙げられるがこれらに限定されない。
脂肪族系溶剤は、例えばn−ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。
芳香族系溶剤は、例えばトルエン、キシレン等が挙げられるがこれらに限定されない。
カーボネート系溶剤は、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられるがこれらに限定されない。
溶剤は、単独または2種類以上併用できる。
エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する公知の化合物であり、さらに水酸基を有することが好ましい。エポキシ樹脂は、ビスフェノールAおよびビスフェノールFに代表される芳香族ジオールとエピクロルヒドリンとを反応させて得たポリグリシジルエーテルが好ましい。エポキシ樹脂は、高分子エポキシ樹脂である、いわゆるフェノキシ樹脂を使用することも好ましい。
バインダ樹脂は、単独または2種類以上を併用できる。
バインダ樹脂は、数平均分子量10,000〜50,000が好ましく、20,000〜40,000がより好ましい。数平均分子量が10,000以上になることで、形成する信号配線は、高温高湿下での基材への密着性が向上する。また、数平均分子量が50,000以下になることで、導電性被膜は、適度な凝集力が得易くなるため、レーザー加工時のアブレーションが容易になり微細な信号配線が形成し易くなる。なお、数平均分子量は、GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の数値である。
また、バインダ樹脂は、ガラス転移温度(以下、Tgという)5〜100℃が好ましく、10〜95℃がより好ましい。Tgが5℃以上になると、形成する信号配線の高温高湿下での基材への密着性が向上する。また、Tgが100℃以下になると信号配線と基材との密着性がより向上し、レーザー加工が容易になることで微細なL/Sが得易くなる。なお、Tgは、DSC(示差走査熱量分析計)測定装置「DSC−220C」(セイコーインスツルメンツ社製)にて測定した数値である。
バインダ樹脂は、数平均分子量とTgを同時に満足すると信号配線の高温高湿下での基材への密着性がより向上するとともに、レーザー加工性がより向上する。
バインダ樹脂は、バインダ樹脂および導電性微粒子の合計100質量%のうち5〜40質量%を含むことが好ましく、5〜15質量部がより好ましい。5質量部以上になることで導電性被膜は、基材との密着性がより向上し、被膜の機械強度も向上する。また、40質量部以下になることで導電性被膜の導電性がより向上する。
本発明において導電性微粒子は、導電性被膜に所望の導電性を付与するため必要である。導電性微粒子は、平均粒子径の大小にこだわらず使用できるところ、平均粒子径が小さくシャープな粒子径分布を有する導電性微粒子は、粗大粒子が少ないため、例えばスクリーン印刷を行った場合、導電性被膜表面の凹凸を抑制できるのでレーザー加工の際にレーザー光が導電性被膜表面で散乱しにくく、微細な信号配線が形成し易いので好ましい。また、例えば平均粒子径が小さな導電性微粒子を使用すると導電性被膜の厚さがバラつき難いためレーザー加工で良好な加工精度が得易く、直線性の高い信号配線が形成し易い。また導電性微粒子の平均粒子径の分布をシャープにすると導電性ペーストの粘度のチキソインデックス(TI値)をニュートニアンに近づけ易いので、形成した導電性被膜は、表面の凹凸が少なく、平滑性がより向上する。
導電性微粒子は、D10平均粒子径0.3〜1μm、かつD90平均粒子径が前記D10平均粒子径の2〜5倍であることが好ましい。D10平均粒子径は、0.3〜0.8μmがより好ましい。またD90平均粒子径はD10平均粒子径の2〜4倍がより好ましい。前記導電性微粒子がこれらの数値範囲を満たすことで、上段で述べた特性が得やすくなることに加え、レーザー加工性がより向上する。なお、D10平均粒子径およびD90平均粒子径は、レーザー回折粒度分布測定装置「SALAD−3000」(島津製作所社製)を用いて体積粒度分布の累積粒度(D10およびD90)を測定した数値である。
導電性微粒子は、例えば金、銀、銅、ニッケル、クロム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、インジウム、ケイ素、アルミニウム、タングステン、モリブテン、および白金等の金属粉、ならびにこれらの合金、ならびにこれらの複合粉、ならびに導電性樹脂が挙げられる。
また、核体と、前記核体表面を前記核体物質とは異なる物質で被覆した複合微粒子、例えば、銅を核体とし、その表面を銀で被覆した、いわゆる銀コート銅粉等が挙げられる。
また、導電性微粒子は、例えば酸化銀、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ルテニウム、ITO(スズドープ酸化インジウム)、AZO(アルミドープ酸化亜鉛)、およびGZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)等の金属酸化物の粉末、ならびにこれらの金属酸化物で表面被覆した粉末等も挙げられる。
導電性樹脂は、例えばポリアセチレン、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリエチレンビニレン、ポリフルオレン等が挙げられる。
これらの中でもコストが低く、導電性が高く、酸化し難く電気抵抗率の変化が少ない銀が好ましい。導電性微粒子は、単独または2種類以上を併用できる。
導電性微粒子の形状は、球状、フレーク状、樹枝状、棒状、および線状等の公知の形状が使用できる。
導電性微粒子は、バインダ樹脂および導電性微粒子の合計100質量部のうち60〜95質量部を配合することが好ましく、85〜95質量部がより好ましい。60質量部以上になることで導電性がより向上する。また、95質量部以下になることで導電性被膜は、基材との密着性がより向上し、機械強度も向上する。
本発明の導電性ペーストは、さらにレーザー加工性を向上させるために、レーザー光増感剤を含むことができる。レーザー光増感剤は、レーザー光の波長に吸収を有する染料、顔料、およびフィラー等が好ましく、顔料の炭素粉末がより好ましい。炭素粉末は、例えばカーボンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、ケチェンブラック、カーボンナノチューブ、およびグラファイト等が挙げられる。
レーザー光増感剤は、バインダ樹脂および導電性微粒子を合計した100質量部に対して0.1〜10質量部を配合することが好ましい。
レーザー光増感剤は、単独または2種類以上を併用できる。
本発明において無機薄片粒子は、信号配線の高温高湿下での基材への密着性を向上させるために使用し、導電性を有さない。導電性ペーストに単純に無機粒子を配合したのみでは、前記特性を得ることは難しい。そこで本発明は、アスペクト比が4〜40の無機薄片粒子を用いたことで高温高湿下の密着性低下を抑制できる。この理由として85℃、85%RH等といった高温高湿の厳しい条件下においては、導電性被膜は軟化し被膜内部に水分が入り、バインダ樹脂の加水分解を促進させ被膜の凝集力が低下し密着不良となり易い。また、基材界面へ水分子が配向し樹脂と基材での水素結合力を阻害し密着不良となり易くなる。本発明において無機薄片粒子は、導電性塗被膜内部で薄片粒子が層状に重なりあい、導電性被膜に水蒸気バリア性を付与し、被膜内部に水分が入り難くすると考えられるので、85℃85%RH等の高温高湿下においても基材との密着性低下が少なくなる。信号配線は、導電性被膜と比較して、基材と接する面積が少ないので密着性の低下が顕著に出やすいところ本発明では、所定の無機薄片粒子を使用したことで密着性低下を抑制できる。
なお、無機薄片粒子のアスペクト比は、10〜40が好ましい。アスペクト比を4以上にすることで85℃、85%RH等の高温高湿下における基材への密着性がより向上する。またアスペクト比を40以下にすることで粗大粒子の含有量を抑制できるため、レーザー加工性が向上するため直線性が良好な信号配線が形成し易くなる。
なお、無機薄片粒子のアスペクト比は、例えば葉状粒子を水平面に静置し、前記粒子の上から垂直に切断した断面について、断面の水平方向の長さを断面の厚み方向(垂直方法)の長さで除算した数値である。具体的な測定方法は、無機薄片粒子の断面を電解放出型走査電子顕微鏡「JSM−7800F」(日本電子社製)にて3万〜10万倍で観察し、断面の観察が可能な粒子を任意に5点選出、それぞれの粒子断面の長さと厚みを測定し、それぞれの粒子のアスペクト比を求めた上で算出した平均値である。
本発明では、導電性微粒子と無機薄片粒子を併用したことで、導電性ペースト中の導電性微粒子の比率が減少したときにも、導電性ペーストの抵抗率の上昇を抑制できる。通常、導電性ペースト中の導電性微粒子の配合量を減らすと導電性被膜の抵抗は上昇するが、このような場合でも無機薄片粒子を添加すると、抵抗率の上昇が緩和される。
無機薄片粒子としては、薄片状、板状または鱗片状の形状を有する公知の無機薄片粒子を使用できる。このような無機薄片粒子は、例えばマイカ、合成マイカ、ガラスフレーク、鱗片状アルミナ、鱗片状シリカ、鱗片状アルミニウム、鱗片状二硫化モリブデン、タルク、ウォラスナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクロライト、サポナイト、スチブンサイト、セリサイト、イライト、カオリナイト、バーミュクライト、クレー、酸化チタン等が挙げられる。これらの中でもタルク、マイカ、合成マイカ、ウォラスナイトが好ましく、タルクがより好ましい。
無機薄片粒子は、単独または2種類以上を併用できる。
また、無機薄片粒子は、表面処理剤を用いて粒子表面を被覆できる。
表面処理剤は、例えばシリコーンオイル、飽和または不飽和の長鎖アルキル脂肪酸、およびそのエステル、およびその塩等の誘導体、カップリング剤、界面活性剤等が好ましい。
シリコーンオイルは、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、カルビーノ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アラルキル変性シリコーンオイル、フロロアルキル変性シリコーンオイル、長鎖アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸アミド変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル等が挙げられる。
飽和または不飽和の長鎖アルキル脂肪酸は、例えばステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、イソトリデカン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、イソヘベン酸等が挙げられる。
飽和または不飽和の長鎖アルキル脂肪酸のエステル、およびその塩等の誘導体は、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アミド、ステアリン酸エチルエスエル等が挙げられる。
カップリング剤は、例えばシラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系等のカップリング剤が挙げられる。
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤が好ましい。
アニオン性界面活性剤は、例えばラウリル硫酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、およびスチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩;ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、およびスチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミンポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エスエル等が挙げられるがこれらに限定されない。
ノニオン性界面活性剤は、例えばポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等が挙げられるがこれらに限定されない。
カチオン性界面活性剤は、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等が挙げられるがこれらに限定されない。
両性界面活性剤は、例えばアルキルジメチルアミノ酢酸ペタイン等のアルキルペタイン、およびアルキルイミダゾリン等が挙げられるがこれらに限定されない。
また、無機薄片粒子のD50平均粒子径は、1〜5μmが好ましく、2〜4μmがより好ましい。1μm以上にすることで高温高湿下における基材への密着性がより向上し、5μm以下にすることで粗大粒子の含有量を抑制し易くなるため、導電性被膜のレーザー加工性が良好になることで直線性が良好な信号配線が形成し易くなる。なお、無機薄片粒子のD50平均粒子径は、レーザー回折粒度分布測定装置「SALAD−3000」(島津製作所社製)を用いて体積粒度分布の累積粒度(D50)を測定した数値である。
また、無機薄片粒子は、その比表面積が5〜20m/gであることが好ましく、8〜18m/gがより好ましい。5m/g以上にすることでバインダ樹脂と無機薄片粒子との分散性がより向上する。また、20m/g以下にすることで導電性ペーストの流動性がより良好になるため導電性被膜の表面が平滑で膜厚がバラつき難くなる。これによりレーザー加工での加工性がより向上するので、直線性が良好な信号配線が形成し易くなる。
なお、無機薄片粒子の比表面積は、「JIS Z 8830」に準拠したBET法により測定した。流動式比表面積測定装置「フローソーブII」(島津製作所社製)を用いて測定した表面積より以下の計算式により算出した値を比表面積と定義し記載した。
比表面積(m/g)=表面積(m)/粉末質量(g)
無機薄片粒子は、バインダ樹脂と導電性微粒子を合計した100質量部に対して、2〜15質量部含むことが好ましく、3〜10質量部含むことがより好ましい。2質量部以上含むことで、高温高湿下における基材への密着性がより向上する。また、15質量部以下含むことで、導電性ペーストの流動性が向上し、表面が平滑な導電性被膜を得やすくなるためレーザー加工性が向上する。
本発明において分散剤は、分散し難い導電性微粒子を導電性ペースト中に分散し易くするために使用する。また、導電性ペーストが分散剤を含むとバインダ樹脂と導電性微粒子が混和しやすく分散性が向上するため粘度のTI値が低くできるので粘性をニュートニアンに近づけ易い。本発明の導電性ペーストは、粘度が低くニュートニアンに近い粘性を有しているため流動性が良好である。そのため、例えばスクリーン印刷で塗工し形成した導電性被膜は、表面が平滑で膜厚がバラつき難いので、レーザー加工での加工性が良好であり、直線性が良好な信号配線が形成できる。
分散剤は、樹脂型分散剤、界面活性剤、シランカップリング剤および金属キレート等が好ましい。
樹脂型分散剤は、導電性微粒子に吸着する親和性部位と、バインダ樹脂に親和性が高い部位を有するポリマー(樹脂)の分散剤である。親和性部位は、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、水酸基、マレイン酸基、(一級、二級、三級)アミノ基、アミド基、アルキルアンモニウム塩、リン酸塩、およびポリアミドアマイド等が挙げられる。またバインダ樹脂に親和性が高い部位は、ポリエステルユニット、ポリエーテルユニット、ポリエーテルエステルユニット、ポリアクリルユニット、およびポリウレタンユニット等が挙げられる。
樹脂型分散剤は、上記の親和性部位を有する以下の樹脂が好ましい。例えばポリウレタン、およびポリアクリレート等のポリカルボン酸エステルポリアミド;
ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、および水酸基含有ポリカルボン酸エステル;
ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応で合成したアミド、およびその塩等;、
ポリエステル、ポリエーテル、ポリエステルエーテル、ポリウレタン等のポリリン酸(塩);ポリリン酸、ポリリン酸(部分)アミン塩、ポリリン酸アンモニウム塩、ポリリン酸アルキルアミン塩等;
(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、および繊維系誘導体樹脂等が挙げられる。
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、既に説明した界面活性剤を使用できる。
シランカップリング剤は、例えばビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p‐スチリルトリメトキシシラン‐3‐メタクリロキシプロピル、メチルジメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3‐アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐2‐(アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、3‐トリエトキシシリル-N(1,3‐ジメチル-ブチリデン)、プロピルアミンN‐フェニル‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐(ビニルベンジル)‐2‐アミノエチル‐3‐アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3‐ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3‐クロロプロピルトリメトキシシラン、3‐メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、および3‐イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるがこれらに限定されない。
金属キレートは、金属アルコシドと、β−ジケトンやケトエステル(例えば、アセト酢酸エチル等)等のキレート化剤とを反応させたキレート化合物(金属錯体)である。金属キレートは、アルミニウムキレート、ジルコニウムキレート、およびチタンキレート等が好ましい。
アルミニウムキレートは、アルミニウムと配位子のアセトネート基で構成される。アセトネート基は、例えばアセチルアセトネート基:−O−C(CH3)=CH、−CO(CH3)や、メチルアセトアセトネート基:−O−C(CH3)=CH−CO−O−CH3、およびエチルアセトアセトネート基:−O−C(CH3)=CH−CO−O−C25等が挙げられる。これらの中でもアセチルアセトネート基、メチルアセトアセトネート基、およびエチルアセトアセテート基から少なくとも1種以上を使用すると導電性被膜の導電性がより向上するため好ましい。
アルミニウムキレートは、例えばエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピオネート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテテート)、アルミニウム−ジ−n−ブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウムジイソブトキシドモノメチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−sec−ブトキシドモノメチルアセトアセテート等が挙げられるがこれらに限定されない。アルミニウムキレートは、式量が200〜420の化合物が好ましい。
ジルコニウムキレートは、ジルコニウムとアセトネート基で構成される。アセトネート基は、アセチルアセトネート基、およびエチルアセトアセテート基が好ましい。
ジルコニウムキレートは、例えばジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムモノブトキシアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等が挙げられる。ジルコニウムキレートは、式量が350〜1,000の化合物が好ましい。
チタンキレートは、 (HORO)Ti(ORあるいは(HNRO)Ti(0Rで表すことができるチタンキレートおよびアルコキシチタンが好ましい。なお、RおよびRはアルキル基である。
チタンキレートは、例えば、ジ−i−プロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、ジ−n−プトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、チタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレート、チタニウムステアレート、チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、ポリチタンアセチルアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテート、チタンラクテート、およびチタントリエタノールアミネート等が挙げられる。チタンキレートは、式量が250〜1,500の化合物が好ましい。
分散剤は、単独または2種類以上を併用できる。
分散剤は、バインダ樹脂および導電性微粒子の合計100質量部に対して0.1〜20質量部を配合することが好ましく、0.1〜15質量部がより好ましい。分散剤が0.1質量部以上になることで導電性微粒子の分散性がより向上する。また、分散剤が20質量以下になることで導電性被膜の導電性がより向上する。
本発明の導電性ペーストは、さらに溶剤を配合できる。溶剤を配合することで導電性微粒子の分散が容易になり、印刷に適した粘度への調整が容易になる。
溶剤は、使用する樹脂の溶解性や印刷方法等の種類に応じて、適宜選択できる。溶剤は、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、脂肪族系溶剤、脂環族系溶剤、芳香族系溶剤、アルコール系溶剤、および水等が好ましい。
エステル系溶剤は、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、および炭酸ジメチル等が挙げられるがこれらに限定されない。
環状エステル系溶剤は、例えばε−カプロラクトン、およびγ―ブチロラクトン等が挙げられるがこれらに限定されない。
ケトン系溶剤は、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、およびシクロヘキサノン等が挙げられるがこれらに限定されない。
グリコールエーテル系溶剤は、例えばエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテル等のモノエーテル、ならびにこれらの酢酸エステル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノエチルエーテル等、ならびにこれらの酢酸エステル等が挙げられるがこれらに限定されない。
脂肪族系溶剤は、例えばn−ヘプタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。
芳香族系溶剤は、例えばトルエン、キシレン、テトラリン等が挙げられるがこれらに限定されない。
溶剤は、単独または2種類以上を併用できる。
溶剤は、導電性ペースト全量中に5〜50質量%程度使用できる。
本発明の導電性ペーストは、さらに硬化剤を含むことができる。硬化剤は、バインダ樹脂が有する反応性官能基(例えば水酸基やカルボキシル基等)と反応可能な官能基を複数有し、硬化した導電性被膜の耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性、または密着性等を向上できる。硬化剤は、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、アミン化合物、および酸無水物基含有化合物等が好ましい。
硬化剤は、バインダ樹脂が水酸基を有する場合、イソシアネート化合物等が好ましい。また、バインダ樹脂がカルボキシル基を有する場合、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、およびカルボジイミド化合物等が好ましい。さらに、バインダ樹脂がエポキシ基を有する場合、アミン化合物、酸無水物基含有化合物等が好ましい。
イソシアネート化合物は、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、および脂環族ポリイソシアネート等が好ましい。
芳香族ポリイソシアネートは、例えばトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのオリゴマー等が挙げられる。
脂肪族ポリイシシアネートは、例えばヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのオリゴマー、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン、およびトリレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートからなるコポリマーのイソシアヌレート体等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートは、例えばイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのオリゴマー等が挙げられる。
また、これらの化合物をブロックしたブロック化イソシアネートも好ましい。ブロック剤は、例えば、ε−カプロラクタム、ブタノンオキシム、フェノール、および活性メチレン化合物等が好ましい。
エポキシ化合物は、エポキシ基を有する化合物である。エポキシ化合物の性状は、液体と固体がある。エポキシ化合物は、グリジシルエーテル型エポキシ樹脂、グリジシルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、および環状脂肪族(脂環型)エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂が好ましい。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のクレゾール構造とクレゾール構造の間にビフェニル構造を有するエポキシ樹脂(日本化薬社製:NC−3000等)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のクレゾール構造とクレゾール構造の間にジシクロペンタジエン骨格構造を有するエポキシ樹脂(日本化薬社製:XD−1000等)、α−ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、およびテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン等が挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂は、例えばテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、およびテトラグリシジルメタキシリレンジアミン等が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂は、例えばジグリシジルフタレート、ジグリシジル
ヘキサヒドロフタレート、およびジグリシジルテトラヒドロフタレート等が挙げられる。
環状脂肪族(脂環型)エポキシ樹脂は、例えばエポキシシクロヘキシルメチル−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、およびビス(エポキシシクロヘキシル)アジペート等が挙げられる。
アジリジン化合物は、例えば、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N−ヘキサメチレン−1,6−ビス−1−アジリジンカルボキシアミド、4,4−ビス(エチレンイミノカルボキルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
オキサゾリン化合物は、例えば2,2‘−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)等が挙げられる。
カルボジイミド化合物は、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、およびカルボジライト(日清紡社製、ポリカルボジイミド)等が挙げられる。
アミン化合物は、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等が挙げられる。
酸無水物基含有化合物は、例えばテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルナジック酸、無水トリメリット酸、および無水ピロメリット酸等が挙げられる。
硬化剤は、単独または2種類以上を併用できる。
硬化剤は、バインダ樹脂100質量部に対して、0.5〜20質量部を配合することが好ましい。硬化剤を前記範囲内で使用すると導電性被膜の密着性、および耐熱性がより向上する。
本発明の導電性ペーストは、硬化反応を促進するために硬化促進剤等の添加剤を配合できる。硬化促進剤は、ジシアンジアミド、3級アミン化合物、ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、カルボン酸ヒドラジド、脂肪族または芳香族ジメチルウレア等のジアルキルウレア、酸無水物等が使用できる。硬化促進剤により、硬化反応が促進される。
3級アミン化合物は、例えばトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセンー7、および1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5等が挙げられる。
ホスフィン化合物は、例えばトリフェニルホスフィン、およびトリブチルホスフィン等が挙げられる。
イミダゾール化合物は、例えば2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、および2−フェニルイミダゾール等、ならびにこれらとエポキシ樹脂を反応させて溶剤に不溶化した化合物、ならびにこれらをマイクロカプセルに封入したタイプ等の保存安定性を改良した潜在性硬化促進剤等が挙げられる。
カルボン酸ヒドラジドは、例えばコハク酸ヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド等を挙げることができる。酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルナジック酸、無水トリメリット酸、および無水ピロメリット酸等が挙げられる
添加剤は、単独または2種類以上を併用できる。
添加剤は、バインダ樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部を配合することが好ましい。
本発明の導電性ペーストは、必要に応じて耐摩擦向上剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、酸化防止剤、有機顔料、無機顔料、消泡剤、可塑剤、難燃剤、および保湿剤等を含むことができる。
本発明の導電性ペーストは、上段で説明した原料を所定の割合で配合した混合物を攪拌機で混合して作製できる。攪拌機は、プラネタリーミキサー、およびデスパー等の公知の装置を使用できる。また、攪拌機に加えて、分散を行うことで導電性微粒子をより微細に分散できる。分散機は、ボールミル、ビーズミル、および3本ロール等が挙げられる。
本発明の導電性ペーストは、ニュートニアンに近い粘性を有している。具体的には、E型粘度計で、温度25℃でローター#7(θ3°xR7.7mm)を使用しローター回転数5rpmで測定した粘度が10Pa・s〜150Pa・s、かつTI値が1.2〜2.4である。なお、TI値は1.2〜2がより好ましい。
本発明の導電性シートは、基材と、導電性ペーストから形成してなる導電性被膜とを備えている。導電性シートの製造方法の1例を挙げると、例えば、導電性ペーストを基材上に印刷することで導電性被膜を形成できる。得られた導電性被膜は、表面が平滑で凸凹が少ないためレーザー光が乱反射にし難く直進性が高い信号配線を形成し易い。
印刷は、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、およびグラビアオフセット印刷等が好ましく、スクリーン印刷がより好ましい。スクリーン印刷で使用するスクリーン版は、導電回路パターンの高精細化、導電性被膜の平滑性に対応すべく微細なメッシュ、特に好ましくは400〜650メッシュ程度の微細なメッシュのスクリーンを用いることが好ましい。この時のスクリーンの開放面積は20〜50%が好ましい。スクリーン線径は約10〜70μmが好ましい
印刷後には、乾燥工程を行なうことが好ましい。乾燥工程は、熱風オーブン、赤外線オーブン、およびマイクロウエーブオーブン、ならびにこれらを複合した複合オーブン等公知の乾燥装置が挙げられる。
基材は、例えばポリイミドフィルム、ポリパラフェニレンテレフタルアミドフィルム、ポリエーテルニトリルフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、およびポリアクリルフィルム等が挙げられる。またこれらの基材上にITO(スズドープ酸化インジウム)層を形成したITOフィルム、およびガラス板上にITO層を形成したITOガラスも挙げられる。また、セラミック板上にITO層を形成したITOセラミックも挙げられる、なお、ITO層は、フィルムないし板の全面に形成する必要は無く部分的で形成されていれば良い。
基材の厚みは、特に限定されないが、30〜350μm程度であり、50〜250μmがより好ましい。前記範囲とすることで基材の機械特性、形状安定性、寸法安定性、およびハンドリング面等が適切になりやすい。
導電性被膜の厚みは、通常3〜30μmが好ましく、4〜10μmがより好ましい。厚みが3〜30μmになることでレーザー光非照射部のレーザー光の影響を抑制し、基材と密着性がより向上する。
本発明の導電性ペーストを使用した信号配線の製造方法を説明する。
基材上に、導電性ペーストを印刷して導電性被膜を形成する。次いで前記導電性被膜にレーザー光を照射して、前記導電性被膜の一部を除去することで信号配線を形成する工程を備えていることが好ましい。
前記製造方法の前段(導電性被膜の形成)までは、既に説明している。
次に前記製造方法の後段は、得られた導電性被膜にレーザー光を照射して信号配線を形成する。導電性被膜にレーザー光を照射された部分は、レーザーエネルギーを吸収して温度が急激に上昇(数千度)することで、当該部分の溶融と蒸発、ないし瞬時にプラズマになり、導電性塗膜が除去される。なお、信号配線は、所望のL/Sを有する配線回路でもよく、グランド配線等であっても良い。
レーザー光は、基本波の波長が193〜10600nmの範囲が好ましい。具体的にはエキシマレーザー(基本波の波長:193〜308nm)、YVOレーザー(基本波の波長:1064nm)、YAGレーザー(基本波の波長:1064nm)、ファイバーレーザー(基本波の波長:1060nm),COレーザー(基本波の波長:10600nm)、および半導体レーザー等が挙げられる。
本発明では、特にYAGレーザーが基材に対するダメージが少ないので好ましい。
レーザー光を使用する際の出力、走査速度および周波数は、導電性被膜が除去できる程度の条件であれば良く、限定されないが、一般的に出力は1〜50W、走査速度は1,000〜4,000mm/s、および周波数は10〜400kHz程度である。
また、レーザー光の走査(照射)を複数回繰り返し行うこともできる。
本発明の製造方法で得た信号配線は、L/Sが30μm/30μm以下の超高精細パターンが得やすいため、視認性が重要なタッチパネルの構成部材に使用できる。また、フラットパネルディスプレイ、太陽電池等の集電線の配線の用途に使用しても良い。
本発明の導電性ペーストを使用して形成した信号配線は、多様な電子機器に使用できる。例えば携帯電話、スマートフォン、タブレット端末。ノート型PC、電子書籍、カーナビゲーション等のタッチパネルディスプレイを備えた電子デバイスが挙げられる。また、ディスプレイが無くとも信号配線を備えた電子機器等、例えばデジタルカメラ、ビデオカメラ、CD・DVDプレーヤー等に制限無く使用できる。
以下、実施例、比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。また表中の配合量は、質量部である。
(バインダ樹脂溶液1)
JER1256(ビスフェニールA型エポキシ樹脂、数平均分子量(Mn)25,000、ガラス転移温度(Tg)95℃、エポキシ当量7,500、水酸基価190、三菱化学社製)40部をイソホロン30部、γ−ブチロラクトン30部に溶解し、不揮発分40%のバインダ樹脂溶液(1)を得た。
(バインダ樹脂溶液2)
バイロン650(ポリエステル、Mn23,000、Tg10℃、水酸基価5,酸価1、東洋紡績社製)40部をイソホロン30部、γ−ブチロラクトン30部に溶解し、不揮発分40%のバインダ樹脂溶液(2)を得た。
(バインダ樹脂溶液3)
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置に、イソフタル酸と3−メチル−1,5ペンタンジオールで合成したポリエステルポリオール(クラレポリオールP−2030、Mn2033、クラレ社製)127.4部、ジメチロールブタン酸1.9部、イソホロンジイソシアネート15.9部、ジブチルチンジラウレート0.04部及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート43部を仕込み、窒素気流下にて90℃で5時間反応させた。次いでジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート102部を加えることで、Mn19,000、Tg17℃、水酸基価3、酸価5のポリウレタンの溶液を得た。ポリウレタンの溶液100部にイソホロン25部を加え、不揮発分40%のポリウレタンのバインダ樹脂溶液(3)を得た。
なお、バインダ樹脂(1)〜(3)のMn、Tg、エポキシ当量、酸価および水酸基価は以下の方法に従って求めた。
<数平均分子量(Mn)の測定>
装置:GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)
機種:昭和電工社製 Shodex GPC−101
カラム:昭和電工社製 GPC KF−G+KF805L+KF803L+KF802
検出器:示差屈折率検出器 昭和電工社製 Shodex RI−71
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流量 :サンプル側:1mL/分、リファレンス側:0.5mL/分
温度 :40℃
サンプル:0.2%THF溶液(100μLインジェクション)
検量線:東ソー社製の下記分子量の標準ポリスチレン12点を用いて検量線を作成した。
F128(1.09×10)、F80(7.06×10)、F40(4.27×10)、F20(1.90×10)、F10(9.64×10)、F4(3.79×10)、F2(1.81×10)、F1(1.02×10)、A5000(5.97×10)、A2500(2.63×10)、A1000(1.05×10)、A500(5.0×10)。
ベースライン:バインダー(3)以外は、GPC曲線の最初のピークの立ち上がり点を起点とし、リテンションタイム25分(分子量3,150)でピークが検出されなかったので、これを終点とした。そして、両点を結んだ線をベースラインとして、分子量を計算した。
<Tgの測定>
・装置:セイコーインスツルメンツ社製示差走査熱量分析計DSC−220C
・試料:約10mg(0.1mgまで量る)
・昇温速度:10℃/分にて200℃まで測定
・Tg温度:低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた折線の交点の温度とした。
<エポキシ当量の測定>
JIS K 7236 に準拠して測定した。
<水酸基価、酸価の測定>
JIS K 0070 に準拠して測定した。
<導電性微粒子>
[銀粉A]DOWAエレクトロニクス社製 球状銀粉(D10平均粒子径0.7μm、D90/D10平均粒子径比4.4、タップ密度3.8g/cm、比表面積0.97m/g)
[銀粉B]メタローテクノロジーズジャパン社製 凝集銀粉(D10平均粒子径0.5μm、D90/D10平均粒子径比3.4、タップ密度2.9g/cm、比表面積1.50m/g)
[銀粉C]メタローテクノロジーズジャパン社製 フレーク銀粉(D10平均粒子径0.8μm、D90/D10平均粒子径比2.3、タップ密度3.9g/cm、比表面積1.46m/g)
<平均粒子径>
レーザー回折粒度分布測定装置「SALAD−3000」(島津製作所社製)を用いて体積粒度分布の累積粒度(D10、D50、D19)を測定した。
<タップ密度>
JIS Z 2512:2006法に基づいて測定した。
<BET比表面積>
流動式比表面積測定装置「フローソーブII」(島津製作所社製)を用いて測定した表面積より以下の計算式により算出した値を比表面積と定義し記載した。
比表面積(m/g)=表面積(m)/粉末質量(g)
[分散剤A]アルミニウムキレートALCH−90F(アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピオネート、不揮発分90%、川研ファインケミカル社製)
[分散剤B]DISPERBYK−180(樹脂型分散剤:酸基を含むブロック共重合物のアルキルアンモニウム塩、酸価94KOHmg/g、アミン価94KOHmg/g、不揮発分81% ビックケミー・ジャパン社製)
[硬化剤A]デュラネートMF−K60X(ブロック型ヘキサメチレンジイソシアネート硬化剤、不揮発分60%、旭化成ケミカルズ社製)
<無機薄片粒子>
[無機薄片粒子A]日本タルク社製タルク(D50平均粒子径2.4μm、比表面積15m/g、アスペクト比17)
[無機薄片粒子B]富士タルク社製タルク(D50平均粒子径3.8μm、比表面積11m/g、アスペクト比23)
[無機薄片粒子C]日本タルク社製タルク(D50平均粒子径1.5μm、比表面積18m/g、アスペクト比11)
[無機薄片粒子D]BASF社製焼成カオリン(D50平均粒子径1.4μm、比表面積10m/g、アスペクト比10)
[無機薄片粒子E]日本タルク社製タルク(D50平均粒子径0.6μm、比表面積24m/g、アスペクト比13)
[無機薄片粒子F]富士タルク社製タルク(D50平均粒子径5.9μm、比表面積7.6m/g、アスペクト比26)
[無機薄片粒子G]富士タルク社製タルク(D50平均粒子径10.8μm、比表面積5.5m/g、アスペクト比62)
[無機粒子H]東ソー・シリカ社製疎水性シリカ(D50平均粒子径2.1μm、比表面積82m/g、アスペクト比1.1)
<実施例1>
バインダ樹脂溶液(1):100部と、分散剤A:1.9部、銀粉A:293部、無機薄片粒子A:21部、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート:39部とをプラネタリーミキサーにて混合後し、次いで3本ロールを使用して分散することで導電性ペーストを調製した。
得られた導電性ペーストは、不揮発分が約78質量%であり、不揮発分中のバインダ樹脂と銀粉Aを合計した100質量部に対して、無機薄片粒子Aは6.3質量部であった。
<実施例2〜14、比較例1〜3>
バインダ樹脂溶液、銀粉、分散剤、無機薄片粒子および硬化剤を表1および表2に示す配合比率にした以外は、実施例1と同様に行なうことで、それぞれ実施例2〜12、および比較例1〜5の導電性ペーストを調整した。
<粘度、TI値の測定>
得られた導電性ペーストの粘度、TI値を下記条件で測定した。
・粘度計:E型粘度計TVE−25H(東機産業社製)
・ローター:コーンローター#7(θ3°xR7.7mm)
・測定温度:25℃
・試料:0.1ml
・粘度:回転数5rpmにて2分後の数値を粘度とした。
・TI値:回転数2rpmの2分後の数値と回転数20rpmの2分後の数値を測定
TI値=(回転数2rpmの2分後の数値)/(回転数20rpmの2分後の数値)
[導電性シートの作成]
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムという)上に得られた導電性インキを、縦15mm×横30mmのパターン形状にスクリーン印刷し、135℃オーブンにて30分乾燥させ、膜厚が約6μmの導電性シートを得た。なお、導電性シートの厚みはMH−15M型測定器(ニコン社製)を用いて測定した。
<表明抵抗値>
得られた導電性シートの表面抵抗値は、25℃、湿度50%雰囲気下にてロレスタGPMCP−T610測定機(三菱化学アナリテック社製)の直列4探針プローブ(ASP)を用いて測定した。
<体積抵抗率の算出>
上記方法で測定された表面抵抗値、および膜厚を以下の式に代入して導電性シートの体積抵抗率を算出した。
体積抵抗率(Ω・cm)=(表面抵抗率:Ω/□)×(膜厚:cm)
なお評価基準は下記の通りである。
良好:50μΩ・cm以下
実用域:50μΩ・cmを超え150Ω・cm以下
実用不可:150μΩ・cm超える
<密着性>
1.基材にITO積層フィルムおよびITO積層エッチングフィルムを使用して密着性を評価した。密着性は、初期密着性および経時試験後の密着性を評価した。
ITO積層フィルムのITO層に得られた導電性ペーストを、乾燥後の膜厚が6μmになるようにスクリーン印刷して縦15mm×横30mmのパターンを形成し、次いで135℃オーブンにて30分乾燥させることで印刷物を得た。別途、ITO積層エッチングフィルムのITO層とPETフィルム基材が露出した面に対して上記同様に導電性ペーストを印刷することで印刷物を得た。そしてこれらの印刷物を使用して導電性被膜の密着性を評価した。
・ITO積層フィルム:V150L−OFME(厚さ:175μm、日東電工社製)
・ITO積層エッチングフィルム:上記ITO積層フィルムの一部を塩酸でエッチングしてITO層を除去して基材(PETフィルム)を露出させたフィルム。
・評価方法
テープ密着試験:JIS K5600に準拠して、テープ密着試験を実施した。
ITO残存部分、ITOエッチング部分それぞれの領域上の導電性ペーストに、幅1m間隔に10マス×10マスの計100マス目をカッターで入れ、セロハンテープ(25mm幅、ニチバン社製)を印刷面に貼り付けた後、セロハンテープを手で急速に剥離することで、残ったマス目の状態を評価した。
・評価基準
○:剥離無し(良好)
△:マスの端がわずかに欠ける(実用上問題ない)
×:1マス以上の剥離が観察される(実用不可)
・経時試験後の密着性(1)
上記の方法で別途作成したITO積層フィルムの印刷物、およびITO積層エッチングフィルムの印刷物を60℃90%RH雰囲気下に240時間放置した後、上記同様の方法で密着性を評価した。上記同様の評価基準で評価した。
・経時試験後の密着性(2)
上記の方法で別途作成したITO積層フィルムの印刷物、およびITO積層エッチングフィルムの印刷物を85℃85%RH雰囲気下に240時間放置した後、上記同様の方法で密着性を評価した。上記同様の評価基準で評価した。
2.基材にポリイミドフィルムを使用して密着性を評価した。
ポリイミドフィルム(カプトン100H、25μm厚、東レ・デュポン社製)上に、導電性ペーストを、乾燥後の膜厚が8μmになるようにスクリーン印刷を行い縦15mm×横30mmのパターンを形成した。次いで180℃オーブンで30分乾燥させることで印刷物を得た。当該印刷物を使用して導電性被膜の密着性を評価した。
セロハンテープ(25mm幅)を印刷物の導電性被膜上に貼り付け、セロハンテープを手で急速に剥離することで密着性を評価した。
○:剥離が全く無い(良好)
△:わずかに剥離があった(実用上問題ない)
×:全面的に剥離した(実用不可)
[レーザー加工性の評価] 導電性ペーストを高精度スクリーン印刷装置(SERIA、東海精機社製)を用いて、厚さ75μmのPETフィルムに印刷し、135℃で30分乾燥することで厚さ5μmの導電性被膜を有する導電性シートを得た。なおスクリーン印刷版は、図1に示す様に縦205mm・幅340mmの領域に、幅6mm、縦115mm、横65mmの窓枠柄画像部を4個有する版を使用した。なお、印刷条件は下記の通りである。
(スクリーン印刷条件)
・スクリーン :ステンレス版400メッシュ、線径18μm
・乳剤厚 :10μm
・スクリーン枠 :650×550mm
・スキージ角度 :70°
・スキージ硬度 :80°
・スキージ速度 :150mm/秒
・スキージ印圧 :15kgf
・スキージ押込み:1.5mm
・クリアランス :2.5mm
・使用した溶剤:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
<膜厚の測定>
得られた導電性シートにおける導電性被膜の厚みをMH−15M型測定器((株)ニコン社製)を用いて測定した。
<レーザー加工評価>
導電性シートの窓枠柄状の導電性被膜の角部に対して、図2の拡大図に示すように縦線(長さ70mm)、横線(長さ30mm)及びコーナー部からなる16本のL/Sが20μm/20μmの配線パターンの形成を目的としてレーザー加工を行なった。レーザー加工条件は下記の通りである。
(レーザー加工条件)
・レーザー加工機 : Suzhou Delphi Laser Co.,LTD社製 Ag Laser Etching System
・レーザー光:YAGレーザー(基本波の波長1064nm)
・最大出力:20W
・ビーム径:20μm
・出力:25%
・周波数:300kHz
・パルス幅:25nm
・走査速度:2000mm/s
・走査回数:2回
レーザー加工後の導電性シートを使用して、スペース幅のばらつき度合いの評価するためにデジタルマイクロスコープ(VHX−900 キーエンス社製)を用いて撮影した。撮影した拡大写真を小型汎用画像解析装置「LUZEX AP」(ニレコ社製)を用いて導電性被膜が除去された部分のスペース幅を読み取った。
前記回路パターンの任意のスペース8本を選択し、1本につき460箇所、8本合計で3680箇所のスペース幅を測定し、平均値、標準偏差を求めた。
スペース幅の平均値を下記の基準で判定した。
○:スペース幅が平均18〜22μm。良好。
△:スペース幅が平均16〜17μm、または23〜24μm。実用上問題ない。
×:スペース幅が15μm未満、または24μmを超えている。実用不可。
スペースの直線性(図2におけるライン部3とスペース部4部との境界のギザギザ・凹凸度合い)を、標準偏差にて評価した。
スペースの直線性を下記の基準で判定した。
○:標準偏差が0〜1.5μm。良好。
△:標準偏差が1.6〜2.4μm。実用上問題ない。
×:標準偏差が2.5μm以上。実用不可。スペース幅の平均値、標準偏差、スペース幅評価及びスペース直線性評価を表1、2に示す。
表1の結果から、実施例1〜14の導電性ペーストは良好な体積抵抗率、レーザー加工性、高温高湿環境下での基材への密着性を示す。また、硬化剤を添加した実施例12は、ポリイミドフィルムへの密着性がさらに向上した。
一方、表2の結果から、比較例1は、無機薄片粒子を使用していないため、85℃85%RHの高温高湿での基材への密着性が劣る。比較例2は、無機薄片粒子のアスペクト比が40より大きく、レーザー加工し難くいためスペース部の直線性が低い。比較例3は、無機粒子が球状のためアスペクト比が4より小さく、粒子の重なり度合いが少ないため水蒸気バリア性が不十分であり、85℃85%RHの高温高湿での基材への密着性が劣る。 以上のように本発明のレーザー加工用導電性ペーストは、レーザー加工により形成した高精細の信号配線が、高温高湿経時後に基材との間の密着性が低下し難い特性を有する導電性被膜を形成できる特徴を有する。
1 スクリーン印刷版
2 窓枠柄画像部
3 ライン部(L)
4 スペース部(S)

Claims (4)

  1. バインダ樹脂と、導電性微粒子と、無機薄片粒子と、分散剤とを含み
    前記無機薄片粒子のアスペクト比が4〜40である、レーザー加工用導電性ペースト。
  2. 前記無機薄片粒子のD50平均粒子径が1〜5μmである、請求項1記載のレーザー加工用導電性ペースト。
  3. 前記バインダ樹脂と前記導電性微粒子を合計した100質量部に対して、前記無機薄片粒子を2〜15質量部含む、請求項1または2に記載のレーザー加工用導電性ペースト。
  4. 基材と、請求項1〜3いずれか1項に記載の導電性ペーストから形成してなる導電性被膜とを備えた、導電性シート。
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