JP2019137730A - 樹脂組成物および電子デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】屈曲性、透明性、汗耐久性、塩水耐久性および高温・高湿下での無機材料を含む機能層との密着性が良好な保護層が形成できる樹脂組成物、ならびにそれを用いた電子デバイスを提供すること。【解決手段】無機材料を含む機能層、および前記機能層を保護するための保護層を備えてなる電子デバイスの保護層を形成するための樹脂組成物であって、環構造を有する樹脂(A)およびエポキシリン酸エステル(B)を含む、樹脂組成物。【選択図】 図1

Description

本発明は、樹脂組成物および電子デバイスに関する。更に詳しくは、ディスプレイパネル、タッチスクリーンパネル、半導体素子、プリント配線板、太陽電池等の電子デバイスに備える機能層の保護に使用される樹脂組成物と、それを用いた電子デバイスに関する。
近年、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末に代表される電子デバイスにおいては、その内部に搭載されるプリント配線板、ディスプレイ部材を備えたタッチパネル、タッチパネルを構成する液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という)や有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ(以下、「OLED」という)に代表されるディスプレイ等の電子素子積層体等は、様々な方法により、薄型化、高密度化、多層化、配線の高精細化が検討されている。
例えば、スマートフォンでは、限られた空間に多機能を実現するために多くの部材(部品)が使用されている。部材の中でもタッチパネルは、基材に様々な機能を有する機能層と、前記機能層を保護する保護層が積層されているところ、前記保護層は機能層(例えば透明導電層)上に積層するために各種性能が必要になる。
例えば、保護層には、密着性、透明性、折り曲げ等を実現できる高度な可撓性および屈曲性、ならびに狭い空間での使用を考慮した高い電気絶縁性や熱安定性等の性能が求められる。また、OLEDに使用される有機EL素子は、水蒸気で劣化し易いため、水蒸気バリア層とそれを保護する保護層が必要であった。
そのような保護層として、例えば、特許文献1には、シリカ微粒子、カップリング剤、アルカリ可溶性樹脂、および2官能以上の多官能メタアクリレート化合物を含有する樹脂組成物からなる保護膜が開示されている。また、特許文献2には、ポリウレア等の有機化合物を含むバリア性フィルム基板が開示されている。
特開2014−157265号公報 特開2007−30387号公報
しかし、従来の保護層を形成するための樹脂組成物は、屈曲性や透明性が不十分なことに加え、例えば、タッチパネル用途は、人が指で繰り返し触れるため、汗に耐え得る適性が不十分であった。また、塩害に遭いやすい沿岸部での使用や、海水がかかる可能性のある海上での使用等のためには、塩水飛散を想定した塩水耐久性が必要となるが、耐久性が不十分であった。更には、保護層は保護しようとする機能層との間に十分な密着性が求められるが、特に、85℃、85%RH等の高温・高湿環境下での密着性が不十分であった。
よって、本発明が解決しようとする課題は、屈曲性、透明性、汗耐久性、塩水耐久性および高温・高湿下での機能層との密着性が良好な保護層が形成できる樹脂組成物、ならびにそれを用いた電子デバイスを提供することである。
本発明者らは、鋭意研究した結果、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、無機材料を含む機能層、および前記機能層を保護するための保護層を備えてなる電子デバイスの保護層を形成するための樹脂組成物であって、環構造を有する樹脂(A)およびエポキシリン酸エステル(B)を含む、樹脂組成物に関する。
また、本発明は、上記環構造を有する樹脂(A)100質量部に対して、上記エポキシリン酸エステル(B)を1〜20質量部含む上記樹脂組成物に関する。
また、本発明は、上記環構造を有する樹脂(A)が、芳香環構造を有する樹脂である上記樹脂組成物に関する。
また、本発明は、さらに硬化剤(C)を含む上記樹脂組成物に関する。
また、本発明は、上記環構造を有する樹脂(A)の数平均分子量が、5,000〜100,000の範囲内である上記樹脂組成物に関する。
また、本発明は、無機材料を含む機能層、および上記樹脂組成物から形成されてなる保護層を備えた電子デバイスに関する。
本発明により、屈曲性、透明性、汗耐久性、塩水耐久性および高温・高湿下での機能層への密着性が良好な保護層が形成できる樹脂組成物ならびにそれを用いた電子デバイスを提供できるようになった。
タッチパネルディスプレイの一例を示す断面図である。 OLEDの構成の一例を示す断面図である。 実施例のITO(酸化インジウムスズ)積層フィルム上の抵抗変化率評価用シートの概略を示す平面図(a)および側面図(b)である。 実施例の酸化珪素積層フィルム上の水蒸気バリア評価用シートの模式図である。
本発明の樹脂組成物は、無機材料を含む機能層を保護するための保護層を形成するためのものである。無機材料を含む機能層としては、透明導電層、バリア(遮蔽)層、紫外線吸収層、赤外線吸収層等が挙げられる。透明導電層としては、ITO層、銀ナノワイヤー層(銀ナノワイヤーと樹脂を含む層)等が挙げられる。また、本発明の樹脂組成物は、無機材料を含む機能層であるバリア層(水蒸気バリア、酸素バリア等のガスバリア)を保護する保護層として使用することも好ましい。なお、バリア層としては、水蒸気バリア層、酸素バリア等のガスバリア層等が挙げられ、バリア層としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化アルミニウム等をプラスチックフィルム等に蒸着したもの等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、環構造を有する樹脂(A)、およびエポキシリン酸エスエル(B)を含む。以下に、本発明の樹脂組成物を構成する材料について説明する。
<環構造を有する樹脂(A)>
環構造を有する樹脂(A)(以下、「樹脂(A)」と略記することがある)は、芳香環、脂肪族環、複素環等の環構造を有している樹脂を指す。環構造の位置する部位は、樹脂(A)の主鎖、側鎖のいずれに有していても構わない。樹脂(A)は、芳香環構造を有する樹脂であることが好ましい。
樹脂(A)は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ウレア樹脂、ポリカーボネート樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族ポリエーテルケトン、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、スチレン樹脂、スチレン−(メタ)アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、セルロース樹脂、アセタール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されない。樹脂(A)は、単独または2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物の開環反応生成物である。樹脂(ポリマー鎖)の末端はエポキシ基を有しても有しなくても良いが、エポキシ基を有するものが好ましく使用することができる。また、エポキシ樹脂の内、フェノキシ樹脂といわれる、ビスフェノール類とエピクロヒドリンとの重縮合物であるMn8,000〜100,000のエポキシ樹脂は、好ましい一態様として挙げられる。
エポキシ樹脂の市販品としては、ビスフェノールA骨格を有するものとして、JER1256(数平均分子量(以下、Mnと略記することがある)10,000、水酸基価190mgKOH/g、ガラス転移温度(以下、Tgと略記することがある)95℃、三菱ケミカル社製)、PKHA(Mn9,000、水酸基価200mgKOH/g、Tg81℃、GabrielPhenoxies社製)、PKHB(Mn9,500、水酸基価203mgKOH/g、Tg84℃、GabrielPhenoxies社製)、PKHC(Mn11,000、水酸基価201mgKOH/g、Tg89℃、GabrielPhenoxies社製)、PKHJ(Mn16,000、水酸基価200mgKOH/g、Tg98℃、GabrielPhenoxies社製)、PKHH(Mn13,000、水酸基価201mgKOH/g、Tg98℃、GabrielPhenoxies社製)、PKFE(Mn16,000、Tg98℃、GabrielPhenoxies社製)、PKCP−80(Tg30℃、GabrielPhenoxies社製)、YP−50(Mn14,000、Tg84℃、新日鉄住金化学社製)、YP−55U(Mn10,000、水酸基価283mgKOH/g、Tg83℃、新日鉄住金化学社製)、YP−50S(水酸基価284mgKOH/g、Tg84℃、新日鉄住金化学社製)、FX−310(Mn9,500、水酸基価164mgKOH/g、Tg110℃、新日鉄住金化学社製)、JER1010(Mn5,500、水酸基価36mgKOH/g、Tg59℃、三菱ケミカル社製)、JER1007(Mn2,900、水酸基価20mgKOH/g、Tg56℃、三菱ケミカル社製)等、ビスフェノールA骨格およびビスフェノールF骨格を有するものとして、JER4250(Mn9,000、水酸基価180mgKOH/g、Tg70℃、三菱ケミカル社製)、JER4275(Mn8,000、水酸基価170mgKOH/g、Tg68℃、三菱ケミカル社製)、YP−70(水酸基価270mgKOH/g、Tg72℃、新日鉄住金化学社製)等、フルオレン骨格を有するものとして、FX−293(Mn10,500、水酸基価160mgKOH/g、Tg158℃、新日鉄住金化学社製)、FX−280S(重量平均分子量(以下、Mwと略記することがある)42,000、水酸基価330mgKOH/g、Tg158℃、新日鉄住金化学社製)等が挙げられる。
ポリエステル樹脂は、多塩基酸または多塩基酸エステルとポリオール等との重縮合反応生成物である。多塩基酸としては、芳香族ジカルボン酸、直鎖脂肪族ジカルボン酸、環状脂肪族カルボン酸、3官能以上のカルボン酸等が挙げられ、これらは併用することができる。なお、多塩基酸は、酸無水物であっても良い。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等が挙げられる。環状脂肪族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジカルボキシ水素添加ビスフェノールA、ダイマー酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。また、3官能以上のカルボン酸としては、無水トリメリット酸、および無水ピロメリット酸等が挙げられる。その他のカルボン酸としては、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等のスルホン酸金属塩含有ジカルボン酸等が挙げられる。多塩基酸は、単独または2種類以上を併用できる。
ポリオールは、ジオールおよび3個以上の水酸基を有する化合物が好ましい。ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、3-メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよびネオペンチルグリコール等が挙げられる。3個以上の水酸基を有する化合物としては、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。ポリオールは、単独または2種類以上を併用できる。
ポリエステル樹脂に環構造を導入する方法としては、多塩基酸および/またはポリオールに環構造を有する化合物を用いることが好ましいが、環構造を有する多塩基酸を用いることがより好ましい。また、環構造を有するポリエステル樹脂は、芳香環構造を有するポリエステル樹脂であることが好ましいが、芳香環構造を有するポリエステル樹脂を合成する場合、芳香族ジカルボン酸を用いることが好ましい。
ポリエステル樹脂の市販品としては、エリーテルUE3250(Mn18,000、水酸基価5mgKOH/g、Tg40℃、ユニチカ社製)、エリーテルUE3223G(Mn20,000、水酸基価5mgKOH/g、Tg−1℃、ユニチカ社製)、エリーテルUE3201(Mn20,000、水酸基価3mgKOH/g、Tg65℃、ユニチカ社製)、エリーテルUE3600(Mn20,000、水酸基価4mgKOH/g、Tg75℃、ユニチカ社製)、エリーテルXA−0611(Mn17,000、水酸基価4mgKOH/g、Tg65℃、ユニチカ社製)、エリーテルUE3200G(Mn15,000、水酸基価6mgKOH/g、Tg65℃、ユニチカ社製)、エリーテルUE3980(Mn8,000、水酸基価17mgKOH/g、Tg63℃、ユニチカ社製)、エリーテルXP−0544(Mn3,500、水酸基価32mgKOH/g、Tg51℃、ユニチカ社製)、バイロン300(Mn23,000、水酸基価5mgKOH/g、Tg7℃、東洋紡社製)、バイロン200(Mn17,000、水酸基価6mgKOH/g、Tg67℃、東洋紡社製)、バイロン630(Mn23,000、水酸基価5mgKOH/g、Tg7℃、東洋紡社製)、バイロン220(Mn3,000、水酸基価50mgKOH/g、Tg53℃、東洋紡社製)、バイロン802(Mn3,000、水酸基価37mgKOH/g、Tg60℃、東洋紡社製)、バイロンGK810(Mn6,000、水酸基価19mgKOH/g、Tg46℃、東洋紡社製)、バイロンGK780(Mn11,000、水酸基価11mgKOH/g、Tg36℃、東洋紡社製)、バイロンGK250(Mn10,000、水酸基価11mgKOH/g、Tg60℃、東洋紡社製)等が挙げられる。
セルロース樹脂は、しばしば合成セルロース樹脂や変性セルロース樹脂等とも呼称され、環構造を有するセルロース樹脂としては、セルロースアセテートブチレート(CAB)樹脂、セルロースアセテートプロピレート(CAP)樹脂等が挙げられる。CAB樹脂は、ブタン酸および無水酢酸とセルロースとの反応生成物であり、環構造としてピラン環を有している。市販品でいえば、例えばCAB−551−0.01(Mn16,000、水酸基価50mgKOH/g、Tg85℃、イーストマンケミカル社製)、CAB−551−0.2(Mn30,000、水酸基価53mgKOH/g、Tg101℃、イーストマンケミカル社製)、CAB−553−0.4(Mn20,000、水酸基価158mgKOH/g、Tg136℃、イーストマンケミカル社製)、CAB−531−1(Mn40,000、水酸基価56mgKOH/g、Tg115℃、イーストマンケミカル社製)、CAB−500−5(Mn57,000、水酸基価33mgKOH/g、Tg96℃、イーストマンケミカル社製)、Solus2100(Mn6,000、水酸基価50mgKOH/g、Tg75℃、イーストマンケミカル社製)等が挙げられる。CAP樹脂は、プロパン酸および無水酢酸とセルロースとの反応生成物であり、環構造として複素環のピラン環を有している。市販品でいえば、例えばCAP−482−0.5(Mn25,000、水酸基価86mgKOH/g、Tg142℃、イーストマンケミカル社製)等が挙げられる。
アセタール樹脂は、ポリビニルアルコールの水酸基をアルデヒドでアセタール化した樹脂であり、用いられるアルデヒドによって、ポリビニルアセタール(アセトアルデヒドを使用)、ポリビニルプロピオナール(プロピオンアルデヒドを使用)、ポリビニルブチラール(ブチルアルデヒドを使用)等が知られており、いずれも1,3−ジオキソラン環構造を有する樹脂である。アセタール樹脂の内、ポリビニルブチラールであるブチラール樹脂が好ましく、市販品でいえば、BL−10(Mn18,500、水酸基価247mgKOH/g、Tg59℃、積水化学工業社製)、BX−L(Mn20,000、水酸基価353mgKOH/g、Tg74℃、積水化学工業社製)、BX−5(Mn130,000、水酸基価321mgKOH/g、Tg86℃、積水化学工業社製)等が挙げられる。
樹脂(A)は、屈曲性の面で、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、アセタール樹脂が好ましく、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂がより好ましい。
樹脂(A)の水酸基価は、無機材料を含む機能層との密着性の観点から、2〜400mgKOH/gの範囲内であることが好ましい。ポリエステル樹脂の場合は、水酸基価2〜200mgKOH/gの範囲内であることが好ましく、2〜100mgKOH/gの範囲内であることがより好ましい。ポリエステル樹脂を使用すると、保護層に光線透過率、透明性、可撓性、および屈曲性がより向上し、保護層と無機材料を含む機能層との密着性もより向上する。
エポキシ樹脂の場合は、水酸基価10〜350mgKOH/gの範囲内であることが好ましく、20〜300mgKOH/gの範囲内であることがより好ましい。樹脂(A)にエポキシ樹脂を使用すると、保護層の光線透過率、透明性が向上し、保護層と無機材料を含む機能層との密着性もより向上することに加え、汗耐久性、塩水耐久性、可撓性、屈曲性も向上する。また、エポキシ樹脂の多くは、高い屈折率を有することが多いため、無機材料を含む機能層として、例えばITO層を用いる場合において、ITOパターン回路が視認されてしまうことによるディスプレイ等の意匠性が悪くなることを抑制できる効果も期待できる。
樹脂(A)のTgは、−30〜170℃の範囲内であることが好ましく、10〜160℃の範囲内であることがより好ましい。Tgが−30℃以上であると屈曲性がより向上する。また、170℃以下であると密着性がより向上する。尚、本明細書でいうTgとは、下記実施例に記載した方法に基づいて決定した数値である。
樹脂(A)のMnは、数平均分子量5,000〜100,000の範囲内であることが好ましく、8,000〜80,000の範囲内であることがより好ましい。Mnが5,000以上であれば保護層の柔軟性が高くなるため、屈曲性や基材・無機材料を含む機能層との密着性がより向上する。また、Mnが100,000以下であれば、保護層の被膜強度が高くなり汗耐久性、塩水耐久性がより向上する。
樹脂(A)のMwは、5,000〜200,000の範囲内であることが好ましく、10,000〜100,000の範囲内であることがより好ましい。尚、本明細書でいうMnおよびMwとは、下記実施例に記載した方法に基づいて決定した数値である。
<エポキシリン酸エステル(B)>
エポキシリン酸エステル(B)は、高温・高湿環境下での基材や無機材料を含む機能層との間の密着性を向上することができる。エポキシリン酸エステル(B)とは、エポキシ化合物とリン酸またはリン酸誘導体とのエステル化反応生成物を指す。一般的には、エポキシ樹脂のエポキシ基とリン酸とのエステル化反応によって得られ、分子内に水酸基とリン酸残基を有しているものが多い。
エポキシリン酸エステル(B)の酸価は、高温・高湿環境下での無機材料を含む機能層との間の密着性向上の観点から、好ましくは5〜70mgKOH/g、より好ましくは30〜60mgKOH/gの範囲である。
エポキシリン酸エステル(B)の具体例としては、XU−8096.07、XU−71899.00、XQ−82908.00、XQ−82919.00、DER620−PP50、DER621−EB50、DER621−PP50(以上、ブルー・キューブ・ジャパン社製)、エポトートZX1300、ZX1300−1(以上、新日鉄住金化学社製)、Uradil−DD79(DSM Syntech Synthetic Resins社製)等が挙げられる。
エポキシリン酸エステル(B)は、本発明の樹脂組成物中、樹脂(A)100質量部に対して1〜20質量部、好ましくは5〜15質量部含まれていることが好ましい。含有量が、1質量部以上であれば、高温・高湿環境下での基材や無機材料を含む機能層との間の密着性がより向上し、20質量部以下であれば保護層の被膜強度が高くなり汗耐久性、塩水耐久性、屈曲性がより向上する。
<硬化剤>
本発明の樹脂組成物は、さらに硬化剤を含むことができる。硬化剤は、樹脂(A)が反応性官能基(例えば水酸基やカルボキシル基等)を有する場合、その反応性官能基と反応可能な官能基を有し、樹脂組成物の硬化被膜と無機材料を含む機能層との密着性、汗耐久性および塩水耐久性をより向上させることができる。硬化剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、1級および/または2級アミン化合物、酸無水物基含有化合物等が好ましい。硬化剤は、バインダー樹脂が水酸基を有する場合、イソシアネート化合物等が好ましい。また、バインダー樹脂がカルボキシル基を有する場合、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物等が好ましい。さらに、バインダー樹脂がエポキシ基を有する場合、1級および/または2級アミン化合物、酸無水物基含有化合物等が好ましい。
イソシアネート化合物は、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が好ましい。
芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのオリゴマー等が挙げられる。
脂肪族ポリイシシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのオリゴマー、ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン、トリレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートからなるコポリマーのイソシアヌレート体等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのオリゴマー等が挙げられる。
また、イソシアネート化合物としては、ブロックイソシアネート(ブロック化イソシアネート、ブロックドイソシアネートとも呼称されることがある)も好ましい。ブロックイソシアネートとは、イソシアネート(ベースイソシアネートとも呼称される)中のイソシアナト基が、ブロック剤といわれる化合物によって結合されている化合物であって、常温ではイソシアナト基としての反応性は示さないが、加熱等によってブロック剤が解離してイソシアネートが生成するイソシアネート化合物の一態様である。ブロックイソシアネートの解離温度は、ブロック剤が解離する温度であり、主にブロック剤の種類によって定まる温度であるが、80〜180℃の範囲内であることが好ましく、90℃〜150℃の範囲内であることがより好ましい。解離温度が80℃以上になると樹脂組成物の保存安定性が向上し、密着性もより向上する。また、解離温度が180℃以下になると、架橋密度が向上し易いため汗耐久性、塩水耐久性がより向上する。なお、ブロック剤の解離温度を140℃未満にすると基材の寸法安定性がさらに向上する。
ブロックイソシアネートを構成するベースイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が好ましい。ブロック剤としては、メチルエチルケトンオキシム(MEKO、解離温度150℃)、ジメチルピラゾール(DMP、解離温度110℃)、マロン酸ジエチル(DEM、解離温度110℃)、ε−カプロラクタム(E−CAP、解離温度170℃)、ブタノンオキシム(解離温度160℃)、フェノール(解離温度170℃)、活性メチレン化合物(解離温度90℃)等が好ましく、解離温度150℃以下のメチルエチルケトンオキシム(MEKO、解離温度150℃)、ジメチルピラゾール(DMP、解離温度110℃)、マロン酸ジエチル(DEM、解離温度110℃)、活性メチレン化合物(解離温度90℃)がより好ましい。なお、解離温度は、ベースイソシアネートの種類により多少異なる場合がある。
エポキシ化合物は、エポキシ基を有する化合物である。エポキシ化合物としては、グリジシルエーテル型エポキシ樹脂、グリジシルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、環状脂肪族(脂環型)エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂が好ましい。
アジリジン化合物は、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N−ヘキサメチレン−1,6−ビス−1−アジリジンカルボキシアミド、4,4−ビス(エチレンイミノカルボキルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
オキサゾリン化合物は、2,2’−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)等が挙げられる。
カルボジイミド化合物は、ジシクロヘキシルカルボジイミド、カルボジライト(日清紡社製、ポリカルボジイミド系樹脂)等が挙げられる。
1級および/又は2級アミン化合物は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等が挙げられる。
酸無水物基含有化合物は、テトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルナジック酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。
硬化剤は、単独または2種類以上を併用できる。
硬化剤は、環構造を有する樹脂(A)100質量部に対して、0.5〜20質量部を配合することが好ましい。硬化剤を前記範囲内で使用すると、樹脂組成物の基材や無機材料を含む機能層との密着性、汗耐久性および塩水耐久性がより向上する。
<硬化促進剤>
本発明の樹脂組成物は、硬化反応を促進するために、硬化促進剤を配合してもよい。硬化促進剤としては、有機金属化合物、ジシアンジアミド、3級アミン化合物、ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、カルボン酸ヒドラジド、脂肪族または芳香族ジメチルウレア等のジアルキルウレア、等が使用できる。硬化促進剤により、硬化反応が促進される。
有機金属化合物としては、ジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ等のスズカルボン酸塩類、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、鉄テトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類、オクタン酸鉛、オクタン酸ビスマス、オクタン酸亜鉛、オクタン酸ジルコニウム、オクタン酸鉄等のオクタン酸金属塩等が挙げられる。
3級アミン化合物は、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセンー7、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネン−5等が挙げられる。ホスフィン化合物は、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等が挙げられる。イミダゾール化合物は、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等が挙げられる。カルボン酸ヒドラジドは、コハク酸ヒドラジド、アジピン酸ヒドラジド等を挙げることができる。
硬化促進剤は、単独または2種類以上を併用できる。硬化促進剤は、環構造を有する樹脂(A)100質量部に対して0.01〜30質量部を配合することが好ましい。
<消泡剤、レベリング剤>
樹脂組成物は、添加剤として、さらに消泡剤やレベリング剤を配合してもよい。
消泡剤は、例えばアクリル樹脂、ビニルエーテル樹脂、オレフィン樹脂、ブタジエン樹脂、変性シロキサン樹脂、ジメチルポリシロキサン、シリコーン、フッ素変性シリコーンのような変性シリコーン、石油系樹脂等が挙げられる。消泡剤は、単独または2種類以上を併用できる。
消泡剤は、環構造を有する樹脂(A)100重量部に対して0.1〜5重量部を配合することが好ましく、0.1〜1重量部がより好ましい。消泡剤が0.1重量部以上になるとで混合した際に樹脂組成物が泡立ちにくく、保護層に気泡が残りにくくなるため視認性がより向上する。また、5重量部以下になるとで保護層の透明性および基材や無機材料を含む機能層との密着性がより向上する。
レベリング剤は、その添加により保護層の平滑性、透明、密着性がより向上する。レベリング剤は、アクリル樹脂、変性シリコーン、ポリエーテル変性ポリシロキサンコポリマー、ジメチルポリシロキサン化合物、シリコーン変性コポリマー、有機変性ポリシロキサン等が挙げられる。レベリング剤は、単独または2種類以上を併用できる。
<溶剤>
本発明の樹脂組成物は、さらに溶剤を配合できる。溶剤としては、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、脂環族系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤等の有機溶剤、水等が挙げられる。
エステル系溶剤は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、炭酸ジメチル、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。ケトン系溶剤は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。グリコールエーテル系溶剤は、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のモノエーテルおよびこれらの酢酸エステル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等およびこれらの酢酸エステル等が挙げられる。脂肪族炭化水素系溶剤は、n−ヘキサン等が挙げられる。脂環族系溶剤は、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。芳香族炭化水素系溶剤は、トルエン、キシレン、テトラリン等が挙げられる。
溶剤は、単独または2種類以上を併用できる。溶剤は、通常、樹脂組成物の不揮発分および溶剤の合計100重量%中、5〜75重量%含有して使用される。
<着色剤>
本発明の樹脂組成物は、さらに着色剤を配合できる。着色剤を含む樹脂組成物によって形成された保護層を使用した場合、例えば、ディスプレイに色相に応じた色相を補正しようとする際に有用である。特に保護層は、樹脂組成物の配合や経時等によって色相が黄色になる場合があり、補色となる着色剤を配合することにより電子デバイスの品質向上に寄与する。着色剤は、顔料および/または染料が好ましい。顔料は、無機顔料および有機顔料が挙げられる。また染料は、油溶性染料、酸性染料、直接染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料等の染料が挙げられる。これらに中で耐熱性等の耐久性の点で顔料が好ましい。
<その他添加剤>
本発明の樹脂組成物は、必要に応じてその他添加剤を含むことができる。その他添加剤としては、可塑剤、表面調整剤、紫外線防止剤、光安定化剤、酸化防止剤等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、上記材料を攪拌機等で混合することで製造できる。攪拌機は、プラネタリーミキサー、デスパー等の公知の撹拌装置を使用できる。更には、本発明の樹脂組成物は、異物除去等のため濾過することが好ましい。使用するフィルターの濾過精度としては1〜30μmが好ましい。
以下、樹脂組成物を使用する用途の一つとして、電子素子積層体を説明する。
<電子素子積層体>
電子素子積層体は、無機材料を含有する機能層、および前記機能層を保護する保護層を備えている。前記機能層は、電子素子を構成する層、または電子素子に対し何らかの機能を有する層である。電子素子は、例えば、透明導電層、液晶素子、OLEDの発光素子が挙げられる。このように電子素子は、ディスプレイ関連に限定されないことはいうまでもない。
<無機材料を含む機能層>
無機材料を含む機能層(「機能層」と略記することがある)は、無機材料を含有し、何らかの機能を有する層である。代表的な機能としては、導電性、バリア(遮蔽)性、紫外線吸収性、赤外線吸収性等が挙げられる。したがって、機能層としては、透明導電層(ITO層、銀ナノワイヤー層等)、カーボン分散導電層、バリア層、紫外線吸収層、赤外線吸収層等が挙げられる。また、機能層に含まれる無機材料として、透明導電層では、ITO(酸化インジウムスズ)、銀化合物等が挙げられる。カーボン分散導電層では、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ等が挙げられる。バリア層では、窒化珪素、酸化珪素、酸化アルミニウム等が挙げられる。紫外線吸収層では、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、三酸化タングステン,チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。赤外線吸収層では、ATO(酸化スズアンチモン)、ITO(酸化インジウムスズ)、酸化タングステン等が挙げられる。
機能層は、基材の全面に形成される必要はなく、部分的に形成されていても良い。なお、機能層は、全てが無機化合物である必要はなく、無機化合物および有機化合物を含むことができる。機能層としては、透明導電層、バリア層が好ましい。
<透明導電層の保護層>
本発明の実施態様として、タッチパネルディスプレイ内に搭載された透明導電層(無機材料を含む機能層の一態様)を保護する態様を図1に示す。なお、透明導電層が、図1の形態に限定されないことはいうまでもない。以下、図1に基づいて簡単に説明する。
基材11としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)からなるプラスチック基材やガラス板等が挙げられる。
IM(インデックスマッチング)層12は、透明電極パターンの骨見え防止(不可視化)のための光学調整層であり、公知のIM層が使用できる。IM層12の厚さは、通常2〜10μm程度である。
透明導電層13は、可視光透過性と電気導電性を兼ね備えた層である。透明導電層13を構成する材料としては、金、銀、銅等の金属およびこれらの合金、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン、グラフェン等の炭素系材料等が挙げられる。透明導電層は、バインダー樹脂を含んでも良い。透明電極層13の厚みは、通常5nm〜100000nm程度である。例えばITOの場合、通常5〜500nm程度である。
保護層14は、樹脂組成物から形成された被膜層であり、本発明の場合、本発明の樹脂組成物から形成された層である。保護層14の厚みは、通常3〜30μmが好ましく、4〜10μmがより好ましい。保護層の厚みが3μm以上になると、透明導電層の保護機能が向上し屈曲性がより向上する。また保護層14の厚みが30μm以下になると、生産性の向上やコストダウンの他に透明性がより向上する。また、保護層は、一層でも多層でも構わない。
透明導電層13上に保護層14を形成する方法としては、公知の印刷ないし塗工等の方法を使用できる。印刷方法としては、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷等が挙げられる。また塗工方法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法等が挙げられる。また、印刷または塗工後に、乾燥・硬化工程を経ることが好ましい。乾燥・硬化工程は、熱風オーブン、赤外線オーブン、マイクロウエーブオーブンおよびこれらを複合した複合オーブン等公知の乾燥装置を用いることができる。熱風オーブンを使用する場合の条件は80℃〜180℃で10〜120分程度であり、90℃〜150℃で15〜60分程度が好ましい。
粘着層15は、アクリル粘着剤、ウレタン粘着剤、ポリエステル粘着剤、シリコーン粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。粘着層15の厚みは、通常10〜300μm程度である。
<バリア層の保護層>
本発明の実施態様の一例として、OLED内に搭載されるバリア層(無機材料を含む機能層の一態様)を保護する態様を図2に示す。なお、バリア層を含む態様が図2に限定されないことはいうまでもない。以下、図2に基づいて簡単に説明する。
OLEDを構成する有機EL素子24は、基板21と、基板上に設けられた陰極22'及び陽極22からなる両電極を有し、両電極間には発光層を含む有機化合物層23を有する。
一方、OLEDを構成するバリアフィルム29は、フィルム基材26上にバリア層27、保護層28、バリア層27を順次積層した構成である。
フィルム基材26としては、セルロール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、エポキシ樹脂等からなるフィルムが挙げられる。これらの内、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリイミド(PI)からなるフィルムが好ましい。フィルム基材の厚みは、通常10〜200μm程度である。
バリア層27は、以下に示す材料からなる薄膜の層である。バリア層の形成方法として、例えば蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD)、種々の化学的気相成長法(CVD)、めっきやゾルゲル法等の液相成長法がある。特に、CVD法、スパッタリング法は、緻密でバリア性能に優れたバリア層を形成できる点で好ましい。
バリア層を構成する材料としては、珪素および/またはアルミニウムを含む酸化物、窒化物、炭化物、またはこれらの混合物が好ましく、珪素を含む酸化物、窒化物、炭化物、またはこれらの混合物がより好ましい。さらにその他金属酸化物、金属窒化物、または金属炭化物を併用することが可能である。無機バリア層は上述した材料からなる単層構造、または同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
バリア層の厚みは、特に限定されないが、1層につき15〜100nmが好ましく、20〜50nmがより好ましい。厚みが15〜100nmの範囲内であると、ピンホールやクラックが生じ難い。
保護層28は、樹脂組成物から形成した被膜層であり、本発明の場合、本発明の樹脂組成物から形成された層である。保護層の厚みは、通常3〜30μmが好ましく、4〜10μmがより好ましい。保護層の厚みが3μm以上になると、バリア層への保護機能が向上し屈曲性が向上する。また保護層の厚みが30μm以下になると、生産性の向上やコストダウンの他に透明性が向上する。また、保護層は、一層でも多層でも構わない。バリア層上に保護層を形成する方法は、公知の印刷ないし塗工等の方法を使用できる。
以下、実施例、比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。表中の配合量は、質量部である。
<樹脂>
[樹脂溶液1]
JER1256(芳香環構造を有するエポキシ樹脂、Mn10,000、水酸基価190mgKOH/g、Tg95℃、三菱ケミカル社製)40部をジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液1を得た。
[樹脂溶液2]
JER4250(芳香環構造を有するエポキシ樹脂、Mn9,000、水酸基価180mgKOH/g、Tg70℃、三菱ケミカル社製)40部をジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液2を得た。
[樹脂溶液3]
PKHH(芳香環構造を有するエポキシ樹脂、Mn13,000、水酸基価201mgKOH/g、Tg98℃、GabrielPhenoxies社製)40部をジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液3を得た。
[樹脂溶液4]
YP−55U(芳香環構造を有するエポキシ樹脂、Mn10,000、水酸基価283mgKOH/g、Tg84℃、新日鉄住金化学社製)40部をジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液4を得た。
[樹脂溶液5]
FX−310(芳香環構造を有するエポキシ樹脂、Mn9,500、水酸基価164mgKOH/g、Tg110℃、新日鉄住金化学社製)40部をジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液5を得た。
[樹脂溶液6]
FX−293(芳香環構造を有するエポキシ樹脂、Mn10,500、水酸基価160mgKOH/g、Tg158℃、新日鉄住金化学社製)40部をジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液6を得た。
[樹脂溶液7]
JER1010(芳香環構造を有するエポキシ樹脂、Mn5,500、水酸基価36mgKOH/g、Tg59℃、三菱ケミカル社製)40部をジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液7を得た。
[樹脂溶液8]
JER1007(芳香環構造を有するエポキシ樹脂、Mn2,900、水酸基価20mgKOH/g、Tg56℃、三菱ケミカル社製)40部をジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液8を得た。
[樹脂溶液9]
エリーテルUE3200G(芳香環構造を有するポリエステル樹脂、Mn15,000、水酸基価6mgKOH/g、Tg65℃、ユニチカ社製)40部をジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液9を得た。
[樹脂溶液10]
バイロンGK780(芳香環構造を有するポリエステル樹脂、Mn11,000、水酸基価11mgKOH/g、Tg36℃、東洋紡社製)40部をジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液10を得た。
[樹脂溶液11]
攪拌機、温度計、還流冷却管、窒素ガス導入管を備えた反応装置に、イソフタル酸と3
−メチル−1,5ペンタンジオールで合成したポリエステルポリオール(クラレポリオールP−2030、Mn2033、クラレ社製)127.4部、ジメチロールブタン酸1.9部、イソホロンジイソシアネート15.9部、ジブチルチンジラウレート0.04部及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート97部を仕込み、窒素気流下にて90℃で5時間反応させた。次いでジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート120部を加えることで、Mn19,000、Tg17℃、水酸基価3mgKOH/g、不揮発分40%の芳香環構造を有するポリウレタン樹脂溶液11を得た。
[樹脂溶液12]
CAB−551−0.2(芳香環ではない環構造を有するCAB樹脂、Mn30,000、水酸基価53mgKOH/g、Tg101℃、イーストマンケミカル社製)40部をジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液12を得た。
[樹脂溶液13]
エスレックBX−L(芳香環ではない環構造を有するアセタール樹脂、Mn20,000、水酸基価353mgKOH/g、Tg74℃、積水化学工業社製)40部をジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液13を得た。
[樹脂溶液14]
エスレックBX−5(芳香環ではない環構造を有するアセタール樹脂、Mn130,000、水酸基価321mgKOH/g、Tg86℃、積水化学工業社製)40部をジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液14を得た。
[樹脂溶液15]
ソルバインC(塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、Mn31,000、Tg70℃、環構造を有しない、日信化学工業社製)40部をジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液15を得た。
[樹脂溶液16]
ダイアナールBR106(アクリル樹脂、Mn60,000、Tg50℃、環構造を有しない、三菱レイヨン社製)40部をジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液16を得た。
樹脂溶液1〜16に使用した樹脂のMn、Tgおよび水酸基価は、以下の方法に従って求めた。
<MnおよびMwの測定>
装置:GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)
機種:昭和電工社製ShodexGPC−101
カラム:昭和電工社製GPCKF−G+KF805L+KF803L+KF802
検出器:昭和電工社製示差屈折率検出器ShodexRI−71
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流量:サンプル側:1mL/分、リファレンス側:0.5mL/分
温度:40℃
サンプル:0.2%THF溶液(100μL注入)
検量線:東ソー社製の下記の分子量が既知の標準ポリスチレン12点を用いて検量線を作成した。
F128(1.09×106)、F80(7.06×105)、F40(4.27×105)、F20(1.90×105)、F10(9.64×104)、F4(3.79×104)、F2(1.81×104)、F1(1.02×104)、A5000(5.97×103)、A2500(2.63×103)、A1000(1.05×103)、A500(5.0×102)。
ベースライン:GPC曲線の最初のピークの立ち上がり点を起点とし、リテンションタイム25分(分子量3,150)でピークが検出されなかったことを確認し、これを終点とした。そして、起点と終点を結んだ直線をベースラインとし、MnおよびMwを算出した。
<Tgの測定>
・装置:セイコーインスツル社製示差走査熱量分析計DSC−220C
・試料:約10mg(0.1mgまで精秤)
・昇温速度:10℃/分にて0℃から200℃まで測定
・Tg温度:低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線の勾配が最大になる点で引いた折線の交点をTgの温度とした。
<水酸基価の測定>
JISK0070に準拠して測定した。
<エポキシリン酸エスエル>
[エポキシリン酸エスエルA]
DER621−EB50(不揮発分50%、酸価35mgKOH/g、芳香環構造を有する、ブルー・キューブ・ジャパン社製)
[エポキシリン酸エスエルB]
DER621−PP50(不揮発分50%、酸価45mgKOH/g、芳香環構造を有する、ブルー・キューブ・ジャパン社製)
[エポキシリン酸エスエルC]
Uradil−DD79(不揮発分75%、酸価50mgKOH/g、芳香環構造を有する、DSM Syntech Synthetic Resins社製)
<リン酸化合物>
正リン酸
ジブチルホスフェート
<硬化剤>
[硬化剤A]
デュラネートMF−K60B(ブロックイソシアネート、ベースイソシアネート:ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)イソシアヌレート、ブロック剤:活性メチレン、乖離温度90℃、不揮発分60%、旭化成ケミカルズ社製)
[硬化剤B]
BI7982(ブロックイソシアネート、ベースイソシアネート:HDIイソシアヌレート、ブロック剤:DMP、乖離温度110℃、不揮発分70%、バクセンデン(BaxendenChemicalsLimited)社製
<硬化促進剤>
[硬化促進剤]
K−KAT XK−614(不揮発分100%、キングインダストリー(KINGINDUSTRIES)社製)
<消泡剤>
[消泡剤]
フローレンAC−2300C(不揮発分100%、共栄社化学社製)
<実施例1>
樹脂溶液1:100部、エポキシリン酸エステルとしてエポキシリン酸エステルA:4.0部、溶剤としてジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテ−ト:19.0部、消泡剤としてフローレンAC−2300C:0.15部を、プラネタリーミキサーにて混合することで樹脂組成物を調製した。
<実施例2〜20>、<比較例1〜6>
樹脂溶液、リン酸化合物、硬化剤、硬化促進剤、消泡剤、溶剤を、表1に示す配合比率に変更した以外は、実施例1と同様に、それぞれ実施例2〜20、比較例1〜6の樹脂組成物を調製した。
<粘度>
得られた樹脂組成物の粘度を下記条件で測定した。
・粘度計:E型粘度計TVE−25H(東機産業社製)
・ローター:コーンローター#5(θ3°xR12mm)
・測定温度:25℃
・試料:0.3ml
・粘度測定:回転数5rpmにて測定開始2分後の値を粘度とした。
<ITO積層フィルム上の密着性評価用サンプルの作成>
実施例、比較例で得られた樹脂組成物を、ITO積層フィルムのITO層上に乾燥後の膜厚が7μmになるようにスクリーン印刷を行い、縦15mm×横30mmのパターンを形成した。次いで130℃オーブンにて30分乾燥させることで評価用シートAを得た。別途、ITO積層エッチングフィルムのPETフィルム基材が露出した面に対して上記同様に樹脂組成物を印刷することで評価用シートBを得た。そしてこれらの試験用シートを使用して保護層の密着性を評価した。
・ITO積層フィルム:市販品(ITO層の表面抵抗値:150Ω/□、基材:PET、厚さ:50μm)
・ITO積層エッチングフィルム:上記ITO積層フィルムを塩酸でエッチングしてITO層を全て除去して基材(PETフィルム)を露出させたフィルム。
<窒化珪素積層フィルム上の密着性評価用サンプルの作成>
スパッタリング装置を用いて、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)に厚さ100nmの窒化珪素層を形成した。その上に実施例、比較例で得られた樹脂組成物を乾燥後の膜厚が7μmになるようにスクリーン印刷を行い、縦15mm×横30mmのパターンを形成した。次いで130℃オーブンにて30分乾燥させることで評価用シートCを得た。
<酸化珪素積層フィルム上の密着性評価用サンプルの作成>
スパッタリング装置を用いて、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)に厚さ100nmの酸化珪素層を形成した。その上に実施例、比較例で得られた樹脂組成物を乾燥後の膜厚が7μmになるようにスクリーン印刷を行い、縦15mm×横30mmのパターンを形成した。次いで130℃オーブンにて30分乾燥させることで評価用シートDを得た。
<酸化アルミニウム積層フィルム上の密着性評価用サンプルの作成>
スパッタリング装置を用いて、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)に厚さ100nmの酸化アルミニウム層層を形成した。その上に実施例、比較例で得られた樹脂組成物を乾燥後の膜厚が7μmになるようにスクリーン印刷を行い、縦15mm×横30mmのパターンを形成した。次いで130℃オーブンにて30分乾燥させることで評価用シートEを得た。
<膜厚の測定>
得られた評価用シートA〜Eにおける保護層の厚みはMH−15M型測定器(ニコン社製)を用いて測定した。
<密着性評価>
1.初期密着性
・得られた評価用シートA〜Eを用いて、テープ密着評価を実施した。テープ密着評価はJISK5600に準拠して実施した。
具体的には保護層上から基材に達するが切断しない程度の深さで、カッターナイフを使用して幅1mm間隔で縦方向に11本、横方向に11本の切れ目を入れことで、10マス×10マスの計100個のマス目を形成した。次いで市販セロハンテープ(25mm幅、ニチバン社製)を保護層に貼り付けた後、前記セロハンテープを手で急速に剥離することで、残ったマス目の状態を評価した。
・評価基準
○:変化がない。(良好)
△:マス全体は剥離しないが、マスの一部が剥離する。(実用上問題ない)
×:1個以上のマスが剥離する。(実用不可)
2.環境試験後の密着性
<環境試験1:60℃90%RH500時間>
得られた評価用シートA〜Eをそれぞれ温度60℃、湿度(RH)90%雰囲気下に500時間放置した後、23℃50%RH雰囲気で1時間放置し、初期密着性と同様の方法で密着性を評価した。上記同様の評価基準で評価した。
<環境試験2:85℃85%RH500時間>
得られた評価用シートA〜Eをそれぞれ温度85℃、湿度(RH)85%雰囲気下に500時間放置した後、23℃50%RH雰囲気で1時間放置し、初期密着性と同様の方法で密着性を評価した。上記同様の評価基準で評価した。
<汗耐久性および塩水耐久性評価用サンプルの作成>
実施例、比較例で得られた樹脂溶液を金属蒸着フィルムの金属層に乾燥後の膜厚が7μmになるようにスクリーン印刷を行い縦70mm×横40mmのパターンを形成した。次いで130℃オーブンにて30分乾燥させることで評価用シートFを作製した。
・金属蒸着フィルム:エスパネックスMC18−2500FRM(銅箔厚さ:18μm、ポリイミドフィルム厚み:25μm、新日鉄住金社製)
<汗耐久性評価>
汗耐久性は、人工汗液を使用して評価した。評価用シートFの保護層の上に、人工汗液(濃度85%の乳酸水溶液を5%、塩化ナトリウムを10%、水を85%含む溶液)を1ml滴下した状態で、60℃90%RH雰囲気下に240時間放置した後、保護層の状態を観察するために、評価用シートFをライトボックス(富士フィルム社製)に乗せ、PETフィルム側から光を照射して保護層の変色の有無、および保護層にピンホールによる透過光の有無を評価した。
<塩水耐久性評価>
塩水耐久性は、塩水を使用して評価した。評価用シートFの保護層の上に濃度5%の塩化ナトリウム水溶液を1ml滴下した状態で60℃90%雰囲気下に240時間放置した後、保護層の状態を観察するために、評価用シートFをライトボックス(富士フィルム社製)に乗せ、PETフィルム側から光を照射して保護層の変色の有無、および保護層にピンホールによる透過光の有無を評価した。
・評価基準(汗耐久性評価と塩水耐久性評価は同じ基準で評価した)
変色評価
○:基材上の銅箔の変色無し(良好)
△:基材上の銅箔に一部変色が認められる(実用上問題ない)
×:基材上の銅箔に変色、浸食がある(実用不可)
ピンホール評価
◎:保護層にピンホールが全くない(優れている)
○:保護層に微少のピンホールが5個未満生じた(良好)
△:保護層に微少のピンホールが5個以上10個未満生じた(実用上問題ない)
×:保護層にピンホールが10個以上生じた(実用不可)
<ITO積層フィルム上の抵抗変化率評価用サンプルの作成>
図3の(a)平面図、(b)側面図を基に試料の作製方法を説明する。ITO積層フィルム31上に市販導電性ペースト(REXALPHA RA FS074、トーヨーケム社製)を乾燥後の膜厚が5μmになるようにスクリーン印刷を行い135℃オーブンにて30分乾燥を行い硬化させることで、縦15mm×横3.5mmの抵抗値測定用端子部32−1および抵抗値測定用端子部32−2を75mmの間隔を空けて作製した。次いでITO積層フィルム31上に実施例、比較例で作成した樹脂組成物を乾燥後の膜厚が7μmになるようにスクリーン印刷して横70mm×縦15mmの保護層33を形成した。次いで130℃オーブンにて30分乾燥させることで評価用シートGを作製した。なおITO層に直接、テスターで端子を充てて抵抗値を測定すると、ITO層が傷つき正確な抵抗値が測定できないため、導電性ペーストでITO層上に抵抗値測定用端子部を形成して、そこにテスターを当てて抵抗値を測定した。
・ITO積層フィルム:市販品(ITO層の表面抵抗値:150Ω/□、基材:PET、厚さ:50μm)
<屈曲試験抵抗値変化率の評価>
得られた評価用シートGを用いて屈曲性試験を実施した。屈曲性試験は、耐屈曲性試験器(ユアサシステム機器社製面状体無負荷U字伸縮試験機)を用いて行い、保護層が下側になるように装置にセットし、直径3mm幅、30回/分の速度で5万回折り曲げを実施した。抵抗値の変化率は下記の計算式から算出した。なお、評価基準は下記の通りである。
抵抗値変化率=(5万回折り曲げ後の抵抗値−試験前の抵抗値)/(試験前の抵抗値)×100
・評価基準
◎:抵抗値変化率が10%未満(かなり良好)
○:抵抗値変化率が10%以上20%未満(良好)
△:抵抗値変化率が20%以上30%未満(実用上問題ない)
×:抵抗値変化率が30%以上(実用不可)
<酸化珪素積層フィルム上の水蒸気バリア評価用サンプルの作成>
図4を基に試料の作成方法を説明する。実施例、比較例で作成した樹脂組成物を酸化珪素蒸着積層フィルム41の蒸着層上に乾燥後の膜厚が7μmになるようにスクリーン印刷して縦100mm×横100mmの保護層42を形成した。次いで130℃オーブンにて30分乾燥させることで評価用シートHを作製した。
・酸化珪素蒸着バリア積層フィルム:三菱樹脂(株)社製テックバリアLX(基材:PET、厚さ12μm)
<屈曲試験水蒸気バリア性の評価>
得られた評価用シートHを用いて屈曲性試験を行なった。屈曲性試験は、耐屈曲性試験器(ユアサシステム機器社製、面状体無負荷U字伸縮試験機)を用いて行った。評価用シートHの保護層が下側になるように装置にセットし、直径4mm幅、30回/分の速度で5万回折り曲げを行った。上記評価用シートHの屈曲性試験前後の水蒸気透過率を、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製PERMATRAN)を用いて測定した。条件は40℃、100%RH、24時間試験を行い、得られた実測値は厚さ100μm換算で計算した。以下に記載する基準により、水蒸気バリア性を判定した。
○:水蒸気透過率が1.0g/(m2・day)未満(良好)
△:水蒸気透過率が1.0g/(m2・day)以上2.0g/(m2・day)未満(実用域)
×:水蒸気透過率が2.0g/(m2・day)以上(実用不可)
<透明性評価>
実施例、比較例で作成した樹脂組成物をPETフィルム上に、乾燥後の膜厚が7μmになるようにスクリーン印刷して縦70mm×横40mmのパターンを形成した。次いで130℃オーブンにて30分乾燥させることで評価用シートIを得た。
・PETフィルム:ルミラーT−60(東レ社製、厚み50μm)
得られた評価用シートIを用いて透明性試験を行った。透明性は、HAZEMETER NDH2000(日本電色社製)で光源D65を用いて測定した。
・評価基準
◎:透過率が90%以上(優れている)
○:透過率が85%以上90%未満(良好)
△:透過率が80%以上85%未満(実用上問題ない)
×:透過率が80%未満(実用不可)
Figure 2019137730
Figure 2019137730
Figure 2019137730
表1の結果から、実施例1〜20は、各種の無機材料を含む機能層への高温・高湿密着性、汗耐久性、塩水耐久性、屈曲性および水蒸気バリア性の各評価項目において実用上問題のない評価結果であった。
一方、表2の結果から、比較例1および2はエポキシリン酸エステルを含んでいないため、無機材料を含む各種機能層への高温・高湿密着性が劣る。
比較例3および4はエポキシリン酸エステル以外のリン酸化合物を含むため、無機材料を含む各種機能層への高温・高湿密着性が劣る。
比較例5および6は樹脂として環構造を含んでいないため、屈曲試験後の抵抗変化率、汗耐久性、塩水耐久性が劣る。
11 基材
12 IM層
13 透明導電層
14 保護層
15 粘着層
21 基板
22 電極(陽極)
22’ 電極(陰極)
23 有機化合物層
24 有機EL素子
25 接着層
26 フィルム基材
27 無機バリア層
28 保護層
29 バリアフィルム
31 ITO積層フィルム
32−1 抵抗値測定用端子部
32−2 抵抗値測定用端子部
33 保護層
41 酸化珪素蒸着積層フィルム
42 保護層

Claims (6)

  1. 無機材料を含む機能層、および前記機能層を保護するための保護層を備えてなる電子デバイスの保護層を形成するための樹脂組成物であって、環構造を有する樹脂(A)およびエポキシリン酸エステル(B)を含む、樹脂組成物。
  2. 前記環構造を有する樹脂(A)100質量部に対して、前記エポキシリン酸エステル(B)を1〜20質量部含む、請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 前記環構造を有する樹脂(A)が、芳香環構造を有する樹脂である、請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. さらに硬化剤(C)を含む、請求項1〜3いずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記環構造を有する樹脂(A)の数平均分子量が、5,000〜100,000の範囲内である、請求項1〜4いずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 無機材料を含む機能層、および請求項1〜5いずれか1項に記載の樹脂組成物から形成されてなる保護層を備えた電子デバイス。
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