JP2017053647A - 電波到来方向推定装置、電波到来方向推定システム - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化が可能であり、角度分解能が高く、精度もよく、演算量も少なくすることができる電波到来方向推定装置および電波到来方向推定システムを提供する。【解決手段】無線タグ300が送信する予め設定された一定周波数の電波の到来方向を推定する電波到来方向推定装置1であって、往復直線運動する往復直線運動体111、131と、往復直線運動体を運動させる駆動部113、133と、往復直線運動体に固定され電波を受信するアンテナ112、132とを備えて測定信号を出力する受信部100と、無線タグ300が送信する電波を平面波とする近似を用いて測定信号を表し、未知パラメータとして方位角および位相を含む近似測定信号モデルと、受信部100が出力する測定信号とがの一致度を、近似測定信号モデルの未知パラメータを変化させつつ算出し、測定信号と最も一致する近似測定信号モデルにおける方位角を決定する方向決定部230とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、無線タグが出す電波がどの方向から来るかを推定する電波到来方向推定装置、および、その装置と無線タグとを備える電波到来方向推定システムに関する。
電波到来方向を推定する方法の一つとしてPseudo-doppler法が知られている(たとえば非特許文献1)。Pseudo-doppler法では、回転する板等の上にアンテナを取り付け、アンテナを運動させることで電波発信源から出される電波に対するドップラーシフトを作り出す。作り出したドップラーシフトにより、アンテナが受信する信号が変化するので、その信号の変化を解析して電波発信源の方位を推定する。非特許文献1では、アンテナが受信する信号の解析にフーリエ変換を用いている。
Chang, H.-L., Tian, J.-B., Lai, T.-T., Chu, H.-H., and Huang, P., Spinning beacons for precise indoor localization, to appear in ACM Sensys ‘08.
Pseudo-doppler法を利用するために回転盤等の運動体にアンテナを固定した装置(以下、アンテナ回転装置)を屋内に設置する場合、直接波とマルチパスによって生じる反射波とを分離することが必要になる。
直接波とマルチパスによって生じる反射波は、電波の到来角度が異なる。つまり、直接波と反射波とでは、見かけ上、電波発信源の方位が相違する。運動しているアンテナが受信する電波は、電波発信源の方位を反映したドップラーシフトが生じる。よって、周波数分解能を高くすることで、直接波と反射波の分離が可能となる。
フーリエ変換では、周波数分解能Δfは窓幅の逆数で与えられる。すなわち、解析する窓幅が広くなれば、周波数分解能が高く(Δfが小さく)なり、逆に窓幅が狭くなると周波数分解能が低く(Δfが大きく)なる。
また、もちろん、直接波と反射波の周波数差が大きいほど、直接波と反射波の分離は容易になる。そこで、ドップラーシフト量を大きくすることも必要となる。
これらのことから、非特許文献1に記載されている装置は、大きな円盤を、回転周期をゆっくりにして回転させている。回転運動の場合、回転周期がゆっくりであっても、円盤が大きければ、円盤の外周付近に設置されているアンテナの速度は高くなるため、ドップラーシフトは大きくなる。また、回転周期がゆっくりであるため、時間窓を広くすることができる。そのため、周波数分解能Δfを高くすることもできる。
しかし、大きな円盤を用いるため、屋内の様々な場所に容易に設置できるものではなくなってしまう。屋内の様々な場所に容易に設置できるようにするためには、小型であることが望まれる。
円盤を小型化しつつドップラーシフトを大きくするには、角速度を速くすればよい。しかしながら、角速度を速くすると周波数解析の窓を広くとることができなくなる。時間窓TはT=N/fs(Nはサンプリング点数、fsはサンプリング周波数)の関係があり、角速度を速くするとNが小さくなるからである。角速度を速くすると周波数解析の窓を広くとることができないため、周波数分解能が低下してしまう。
フーリエ変換による周波数解析に代えて、測定信号のモデルを用意して、そのモデルのパラメータを変化させつつ、測定信号との一致度を判定する手法を用いれば、パラメータを変化させるピッチを細かくすることで、角度分解能を上げることができる。
しかし、アンテナの運動によりアンテナと無線タグとの距離が連続的に変化し、この距離の変化により生じるドップラーシフトを表す測定信号のモデルは、厳密に表現すると複雑なモデルになってしまう。そのため、演算量が多くなってしまう。近似を用いてモデルを簡素化すれば演算量は少なくなるが、適切な近似でない場合には、電波到来方向の推定精度が低下する。
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、小型化が可能であり、角度分解能が高く、精度もよく、演算量も少なくすることができる電波到来方向推定装置および電波到来方向推定システムを提供することにある。
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は、発明の更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
上記目的を達成するための本発明は、無線タグ(300)が送信する予め設定された一定周波数の電波の到来方向を推定する電波到来方向推定装置であって、
往復直線運動する往復直線運動体(111、131、151)と、往復直線運動体を予め設定した速度で運動させる駆動部(113、133、153)と、往復直線運動体に固定されて無線タグが送信する電波を受信するアンテナ(112、132、152)とを備え、アンテナが受信した電波に基づいて定まる信号である測定信号を出力する受信部(100、100A)と、
無線タグが送信する電波を平面波とする近似を用いて測定信号を表すモデルであって、未知パラメータとして、基準方位と電波が到来する方位との間の角度である方位角および位相を含む近似測定信号モデルと、受信部が出力する測定信号との一致度を、近似測定信号モデルの未知パラメータを変化させつつ算出することで、測定信号と最も一致する近似測定信号モデルにおける方位角を決定する方向決定部(230、230A)と、を備えることを特徴とする。
本発明では、次の理由により、装置の小型化が可能である。無線タグが送信する周波数は一定周波数に設定されているが、実機では当然、送信する周波数にある程度の変動が生じる。アンテナが運動することにより生じるドップラーシフトの大きさが無線タグの送信する周波数の変動幅と同程度では、ドップラーシフトによる周波数変動を、無線タグが送信する周波数の変動と区別することができない。よって、周波数解析の手法によらず、Pseudo-doppler法では、ある程度の大きさのドップラーシフトが生じる速度でアンテナを運動させる必要がある。
アンテナを高速に運動させると窓幅が狭くなる。しかし、本発明では、フーリエ変換ではなく、受信部が出力する測定信号と近似測定信号モデルとの一致度を用いて、近似測定信号モデルにおける方位角を決定している。すなわち、窓幅には拘束されない手法で方位角を求めている。そのため、アンテナを高速に運動させてドップラーシフトを大きくすることができる。つまり、アンテナの運動速度を速くするために、直線運動のストロークを長くする必要がない。したがって、装置の小型化が可能である。また、角度分解能を高くするためには、数値探索するピッチを狭くすればよいことから、角度分解能を高くすることも容易である。
そして、本発明では、次の理由により、演算量を少なくしつつも、精度よく方位角を推定することができる。本発明では、アンテナが往復直線運動して無線タグに対する距離が変化することにより、アンテナが受信する電波にドップラーシフトが生じるため、アンテナが受信する電波の周波数は、アンテナの移動に伴って変動する。そのため、アンテナが受信する電波を厳密にモデル化すると、複雑なモデルとなり、演算量が多くなってしまう。
そこで、本発明では、測定信号を近似して表す近似測定信号モデルを用いる。無線タグが送信する電波は、実際には球面波であるが、本発明における近似測定信号モデルは、無線タグが送信する電波を平面波であると近似して求めている。
平面波とする近似は、アンテナの位置によらず、無線タグはアンテナに対して同じ方向に存在するとみなすものである。アンテナの移動量と比較して、アンテナから無線タグまでの距離が長いほど、アンテナが移動しても、アンテナに対する無線タグの方向変化は少ない。本発明では、すでに説明したように、装置を小型化することができる。装置が小型であれば、アンテナの移動量も少なくなり、アンテナの移動量が少なくなれば、アンテナの移動量と比較して、アンテナから無線タグまでの距離が長くなりやすい。したがって、平面波とする近似は、装置を小型化できる本発明においては、アンテナが受信する電波を厳密にモデル化した場合に近い精度で電波到来方向を推定できる。厳密にモデル化した場合に近い精度で電波到来方向を推定できることから、平面波とする近似は、装置が小型化できる本発明では、精度よく電波到来方向を推定することができると言える。
また、平面波とする近似を用いた近似測定信号モデルは、詳しくは後述するが、厳密にモデル化した場合には存在する平方根がない。したがって、厳密にモデル化する場合に比較して、演算量も大きく低減できる。
請求項2に係る発明では、受信部は、
往復直線運動体として、往復直線運動の方向が互いに交差する第1往復直線運動体(111)と第2往復直線運動体(131)を備え、
駆動部として、第1往復直線運動体を予め設定した速度で運動させる第1駆動部(113)と、第2往復直線運動体を予め設定した速度で運動させる第2駆動部(133)を備え、
アンテナとして、第1往復直線運動体に固定されている第1アンテナ(112)と、第2往復直線運動体に固定されている第2アンテナ(132)を備え、
方向決定部は、
第1アンテナが受信した電波に基づいて定まる測定信号である第1測定信号と、近似測定信号モデルとの一致度を、近似測定信号モデルの未知パラメータを変化させつつ算出し、第1測定信号と最も一致する近似測定信号モデルにおける方位角であって、互いに絶対値が同じで符号が異なる少なくとも一組の方位角を決定するとともに、
第2アンテナが受信した電波に基づいて定まる測定信号である第2測定信号と、近似測定信号モデルとの一致度を、近似測定信号モデルの未知パラメータを変化させつつ算出し、第2測定信号と最も一致する近似測定信号モデルにおける方位角であって、互いに絶対値が同じで符号が異なる少なくとも一組の方位角を決定し、
第1測定信号を用いて決定した各組の方位角のうち、第2測定信号を用いて決定した方位角と同じ方向を表している方位角を、実際に電波が到来している方位角として推定する。
近似測定信号モデルにおいて、詳しくは後述するが、方位角は余弦関数の引数となっている。したがって、測定信号と最も一致する近似測定信号モデルとなる方位角は、必ず絶対値が同じであり異符号の2つの値をとる。この2つの値のうち、いずれか一方のみが実際に電波が到来している方位角であるので、この2つの値のうち、いずれが実際に電波が到来している方位角であるかを決定する必要がある。
ここで、近似測定信号モデルにおける方位角は、往復直線運動体の運動方向を基準とした角度である。そこで、この請求項2に係る発明では、往復直線運動体として、往復直線運動の方向が互いに交差する第1往復直線運動体と第2往復直線運動体と、それら第1往復直線運動体と第2往復直線運動体にそれぞれ固定される第1アンテナ、第2アンテナを備える。往復直線運動の方向が互いに交差することから、第1測定信号と最も一致する近似測定信号モデルから決定した各組の方位角のうち、実際に電波が到来している方位角のみが、第2測定信号と最も一致する近似測定信号モデルから決定した方位角と同じ方向を表す。
そこで、この請求項2に係る発明では、第1測定信号から決定した各組の方位角のうち、第2測定信号から決定した方位角と同じ方向を表している方位角を、実際に電波が到来している方位角として推定する。このようにすることで、実際に電波が到来している方位角を推定できる。
請求項3に係る発明では、受信部は、アンテナが受信した電波を、電波の周波数よりも低い中間周波数の信号に変換する周波数変換部(120、140、160)を備え、測定信号として、周波数変換部が周波数を変換した信号を出力し、
近似測定信号モデルは、複数の到来波の合成波を中間周波数の信号に変換したモデルであって、無線タグが送信する電波の周波数をfRF、中間周波数をfIF、時刻をt、光速をv、アンテナの移動中心からのアンテナまでの距離をx、各到来波の方位角をφ、各到来波の振幅をA、各到来波の位相をΨ、到来波の数をN、近似測定信号モデルをVrefとしたとき、式1または式2と、式3、式4、式5で表されるモデルであり、
Figure 2017053647
Figure 2017053647
Figure 2017053647
Figure 2017053647
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方向決定部は、測定信号をVget-、サンプリング番号をk、総サンプリング数をKとしたとき、式6で表す残差eが最小となる複数の到来波の方位角の組み合わせを探索するものであって、
Figure 2017053647
式6をBで偏微分した式と、式6をCで偏微分した式をそれぞれ0とすることで立式される連立方程式を解くことによりB、Cを算出し、算出したB、Cを用いて、残差eが最小となる複数の到来波の方位角の組み合わせを探索する。
この請求項3に係る発明によれば、連立方程式によりB、Cを算出できるので、式6において未知パラメータは方位角φのみとなる。したがって、探索する必要がある未知パラメータは方位角φの組み合わせのみとなり、探索する未知パラメータが少なくなるので、計算を迅速に行うことができる。
請求項4に係る発明では、方向決定部は、式6から測定信号のみの項を除き、かつ、符号を反転させた式7により計算される残差エネルギーEが最大となる複数の到来波の方位角の組み合わせを探索することで、式6で表す残差eが最小となる複数の到来波の方位角の組み合わせを探索する。
Figure 2017053647
このようにすれば、測定信号のみの項を演算しなくても、残差eが最小となる複数の到来波の方位角の組み合わせを探索できることから、計算量を少なくできる。なお、式6から測定信号のみの項を除いても、B、Cで偏微分して得られる式は変わらない。よって、式7を用いる場合も、B、Cを算出する連立方程式は、式6を用いた場合と同じになる。
請求項5に係る発明は、残差eを算出する式の一部である式8および式9において、zが定まることにより値を計算できるz因子項に、複数の方位角、時刻を入力して計算したz因子項の計算値を記憶した記憶部(220)を備えており、
Figure 2017053647
Figure 2017053647
方向決定部は、記憶部に記憶されているz因子項の計算値を用いて、複数の方位角、時刻に対する式8、式9の値を算出する。
このように、予め計算したz因子項の計算値を用いて複数の方位角、時刻に対する式8、式9を算出すれば、方位角を推定する際の演算量が少なくなるので、方位角を迅速に推定できる。
請求項6に係る発明では、受信部は、
往復直線運動体として、往復直線運動の方向が同一平面上において互いに交差する第1往復直線運動体(111)と第2往復直線運動体(131)を備え、
駆動部として、第1往復直線運動体を予め設定した速度で運動させる第1駆動部(113)と、第2往復直線運動体を予め設定した速度で運動させる第2駆動部(133)を備え、
アンテナとして、第1往復直線運動体に固定されている第1アンテナ(112)と、第2往復直線運動体に固定されている第2アンテナ(132)を備え、
近似測定信号モデルは、未知パラメータとして、方位角、位相に加えて、往復直線運動体の移動方向を含んでいる平面に対する電波の進行方向の仰角を含んでおり、
方向決定部は、
近似測定信号モデルにおける方位角と仰角を、方位角と仰角を合成した角度である合成角に変更したモデルである合成角近似モデルと、第1アンテナが受信した電波に基づいて定まる測定信号である第1測定信号との一致度を、合成角近似モデルの未知パラメータを変化させつつ算出し、第1測定信号と最も一致する合成角近似モデルにおける合成角を決定するとともに、
合成角近似モデルと第2アンテナが受信した電波に基づいて定まる測定信号である第2測定信号との一致度を、合成角近似モデルの未知パラメータを変化させつつ算出し、第2測定信号と最も一致する合成角近似モデルにおける合成角を決定し、
第1測定信号を用いて決定した合成角と、第2測定信号を用いて決定した合成角とに基づいて、方位角および仰角を決定する。
この発明によれば、近似測定信号モデルは、未知パラメータとして仰角も含んでいる。この近似測定信号モデルをそのまま用いて測定信号との一致度を算出しても、近似測定信号モデルと測定信号が最も一致する方位角と仰角の解が多数得られてしまい、方位角と仰角の推定が困難である。
しかし、この発明では、近似測定信号モデルにおける方位角と仰角を、それら方位角と仰角を合成した合成角に変更した合成角近似モデルを用いる。方向決定部は、この合成角近似モデルが第1測定信号に最も一致する合成角と、合成角近似モデルが第2測定信号に最も一致する合成角とを決定する。
方位角と仰角という2つの角度を合成角としてまとめることにより、合成角近似モデルが第1測定信号に最も一致する合成角、および、合成角近似モデルが第2測定信号に最も一致する合成角は、それぞれ一つに決定することが可能である。さらに、2つの合成角が得られるので、これら2つの合成角と、方位角および仰角と合成角との関係から、方位角と仰角が推定できる。
請求項7に係る発明では、受信部は、さらに、
第1往復直線運動体および第2往復直線運動体が運動する平面に対して直交する方向に往復直線運動する第3往復直線運動体(151)と、
第3往復直線運動体を予め設定した速度で運動させる第3駆動部(153)と、
第3往復直線運動体に固定されている第3アンテナ(152)を備え、
方向決定部(230A)は、
第1測定信号と合成角近似モデルの一致度、および、第2測定信号と合成角近似モデルの一致度を算出することに加えて、合成角近似モデルと第3アンテナが受信した電波に基づいて定まる測定信号である第3測定信号との一致度を、合成角近似モデルの未知パラメータを変化させつつ算出し、第3測定信号と最も一致する合成角近似モデルにおける合成角を決定し、
第1測定信号を用いて決定した合成角と第2測定信号を用いて決定した合成角とに基づいて、互いに絶対値が同じで符号が異なる2つの仰角を決定するとともに、
第1測定信号および第2測定信号のいずれか一方を用いて決定した合成角と第3測定信号を用いて決定した合成角とに基づいて、互いに絶対値が同じで符号が異なる2つの仰角を決定し、
第1測定信号を用いて決定した合成角と第2測定信号を用いて決定した合成角とから決定した2つの仰角のうち、第1測定信号および第2測定信号のいずれか一方を用いて決定した合成角と第3測定信号を用いて決定した合成角とから決定した仰角を、実際に電波が到来している仰角として推定する。
第1測定信号、第2測定信号から決定した合成角だけを用いると、仰角として、絶対値が同じで符号が異なる2つの値が得られる。たとえば、電波到来方向推定装置を床面や天井に設置するなど、電波到来方向推定装置の設置位置により、仰角として得られる絶対値が同じで符号が異なる2つの値のうち一方を排除できる場合、第1測定信号、第2測定信号から決定した合成角だけで仰角を1つの値に決定できる。
しかし、この発明では、第3往復直線運動体を備える。第3往復直線運動体は、第1往復直線運動体および第2往復直線運動体が運動する平面に対して交差する方向に往復直線運動し、第3アンテナは、この第3往復直線運動体に固定されて往復直線運動する。そのため、第3アンテナが受信した電波に基づいて定まる第3測定信号から決定した合成角は、第1測定信号や第2測定信号から決定する合成角とは、0度となる方向が相違する。したがって、この第3測定信号から決定した合成角も用いることで、第1測定信号、第2測定信号から決定した、絶対値が同じで符号が異なる2つの仰角の値のうち一方を排除できる。
このように、この発明では、仰角の対比により仰角を1つに決定できるので、電波到来方向推定装置を、電波到来方向の仰角として正負の値があり得る位置に設置したとしても、電波到来方向の仰角を1つの値に決定することができる。
請求項8に係る発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電波到来方向推定装置と、無線タグとを備えた電波到来方向推定システムである。
無線タグリーダ1の構成図である。 第1アンテナ112と無線タグ300との相対位置を説明する図である。 平面波近似を説明する図である。 2つのアンテナ112、132を用いることで方位角φを1つに決定できることを説明する図である。 無線タグ300と第1アンテナ112の位置関係を三次元で示す図である。 第1アンテナ112の移動量Xのs軸成分を説明する図である。 zs平面での第1アンテナ112の移動量を説明する図である。 合成角γを説明する図である。 合成角γにより特定される無線タグ300の存在範囲を示す図である。 2つの合成角γ、γを求めることで方位角φを絞り込めることを説明する図である。 第3実施形態の無線タグリーダ2の構成図である。
<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の電波到来方向推定システムは、図1に示す無線タグリーダ1と無線タグ300とを含んで構成される。無線タグリーダ1は、請求項の電波到来方向推定装置の一例である。
無線タグ300は、予め設定された一定の搬送波周波数fRFの無変調波を送信する。この無線タグ300はアクティブ型であり、電波は連続的に送信してもよいが、電池寿命の点で、断続的に電波を送信することが好ましい。無線タグ300は人に携帯されるものであり、衣服のポケットに容易に収容可能な大きさである。
無線タグリーダ1は、受信部100と、信号処理部200とを備え、受信部100は、第1アンテナ部110、第2アンテナ部130、第1周波数変換部120、第2周波数変換部140を備える。
[第1アンテナ部110の説明]
第1アンテナ部110は、第1往復直線運動体111、第1アンテナ112、第1駆動部113を備える。第1往復直線運動体111は、直線の両方向に所定の範囲で往復直線運動する移動体である。この第1往復直線運動体111には、往復スライダ機構など、往復直線運動をする種々の周知の機構を用いることができる。第1往復直線運動体111は、地面など、所定の設置面に設置され、その設置面に対して平行に移動する。第1往復直線運動体111の大きさは、長さが十センチから数十センチの範囲である。
本実施形態の第1アンテナ112は棒状アンテナであり、第1往復直線運動体111に固定されている。第1アンテナ112は、設置面と直交するように第1往復直線運動体111に固定されており、第1往復直線運動体111が往復直線運動することにより、所定範囲を往復直線運動する。
第1駆動部113は、モーターを備えた構成であり、一定速度で第1往復直線運動体111を往復直線運動させる。第1往復直線運動体111を運動させる速度は、確保したいドップラーシフトに基づいて予め決定しておく。
[第1周波数変換部120の説明]
第1周波数変換部120は、ローノイズアンプ121、RF/IF部122、AD変換器(以下、ADC)123を備える。ローノイズアンプ121は、公知のローノイズアンプであり、第1アンテナ112で受けた微弱な電波をノイズの付加を少なくしつつ増幅しRF/IF部122へ送る。
RF/IF部122は、入力された高周波信号を所定の中間周波数の信号に変換する。たとえば局部発振器で生成した信号と入力された高周波信号とを混合することで、中間周波数の信号に変換する。そして、周波数変換した信号をADC123へ送る。ADC123は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換して信号処理部200へ送る。
[第2アンテナ部130の説明]
第2アンテナ部130は、第1アンテナ部110に近接して配置されており、第2往復直線運動体131、第2アンテナ132、第2駆動部133を備える。これら、第2往復直線運動体131、第2アンテナ132、第2駆動部133は、それぞれ、第1アンテナ部110が備える第1往復直線運動体111、第1アンテナ112、第1駆動部113と同じ構成である。
ただし、第2往復直線運動体131の往復直線運動の方向は、第1往復直線運動体111の往復直線運動の方向とは異なる。具体的には、第2往復直線運動体131の往復直線運動の方向は、第1往復直線運動体111と同一平面上ではあるが、第1往復直線運動体111が直線運動する方向に直交する方向になっている。なお、第2往復直線運動体131が直線運動する方向と、第1往復直線運動体111が直線運動する方向とが平行でなければ、第2往復直線運動体131の配置方向は、第1往復直線運動体111に対して直交する方向でなくてもよい。
[周波数変換部140の説明]
周波数変換部140は、第1周波数変換部120が備えるローノイズアンプ121、RF/IF部122、ADC123と同じ構成であるローノイズアンプ141、RF/IF部142、ADC143を備える。
[信号処理部200の説明]
信号処理部200は、信号取得部210、記憶部220、方向決定部230を備える。信号取得部210は、ADC123、143から信号を取得して、取得した信号を記憶部220あるいは図示しないRAMなどの所定の記憶部に格納する。信号取得部210がADC123から取得した信号を、以下、第1測定信号Vget1とし、信号取得部210がADC143から取得した信号を、第2測定信号Vget2とする。また、第1測定信号Vget1、第2測定信号Vget2を区別しないときは、単に測定信号Vgetとする。
無線タグ300は無変調波を送信している。しかし、アンテナ112、132は往復直線運動体111、131が往復直線運動することにより、無線タグ300に対する距離が変化する。そのため、アンテナ112、132が受信する電波の周波数は変動する。したがって、測定信号Vgetも周波数が変動する。
記憶部220は、無線タグ300が送信する電波を平面波とする近似を用いて、測定信号Vgetを表した式である近似測定信号モデルを記憶している。近似測定信号モデルは具体的には、後述する式19に示すモデルである。さらに、この記憶部220は、後述するcosz、sinz、式26に示している係数Sについて、時刻tと方位角φを種々変更して予め計算した計算値も記憶している。
[近似測定信号モデルの説明]
この近似測定信号モデルを、無線タグ300からの電波を受信するアンテナが第1アンテナ112である例で説明する。無線タグ300からの電波を受信するアンテナが第2アンテナ132であっても、近似測定信号モデルは同じである。
図2に、第1アンテナ112と無線タグ300との相対位置を示している。なお、図2は、無線タグ300が、第1往復直線運動体111が移動する平面(以下、アンテナ設置面)にあるとしている。第1アンテナ112は、このアンテナ設置面に対して垂直に設置されている。
アンテナ設置面上の点をx、yで表すと、図2は、無線タグ300のx,y座標を表している。図2に示すように、以下の説明では、無線タグ300が送信する電波は、周波数がfRF、振幅がA、位相がΨであるとする。また、第1アンテナ112の移動中心点をアンテナ設置面の原点とし、第1アンテナ112の移動方向をx方向、設置面上であって第1アンテナ112の移動方向に直交する方向をy方向とする。また、第1アンテナ112の移動量をx、原点Oと無線タグ300とを結ぶ線分と、x軸との間の角を方位角φとする。方位角φをこのように定義する場合、原点Oからx軸の正方向へ向かう方向が基準方位である。また、無線タグ300と原点との距離をLとする。
これらの記号を用いると、無線タグ300と第1アンテナ112との距離は下記式10で表すことができる。
Figure 2017053647
さらに、この式10を用いると、第1アンテナ112が受信する無線タグ300からの電波を表す信号(以下、受信信号)は式11で表すことができる。なお、式11において、Aは受信波形の振幅、vは光速、tは測定時刻である。
Figure 2017053647
空中に放射するために電波の周波数は高いので、通常、そのままではサンプリングが困難である。そこで、ローカル信号とミキシングして周波数を下げる。周波数fLO、位相ΨLOの信号でミキシングすると、ミキシング後の受信信号Vは式12で表される。
Figure 2017053647
式12で表されるモデルは、近似を用いていないモデルである。式12で表されるモデルを、以下、厳密モデルという。第1アンテナ112が往復直線運動することに伴いLは増減し、Lの増減により受信波形の位相が変動する。したがって、ミキシング後の受信信号Vの周波数は、時間経過により変動する。そのため、精度のよい解析を行うにはある程度の窓幅が必要になるフーリエ変換法では、ミキシング後の受信信号Vを精度よく解析することができない。
そこで、本実施形態ではモデルマッチにより、方位角φの推定を行う。しかし、式12に示した厳密モデルは、無線タグ300と第1アンテナ112との間の距離Lを含んでおり、この距離Lは、式1に示すように、式全体が平方根内にある。したがって、式12の厳密モデルを用いると、複雑な計算が必要となる。そこで、本実施形態では、計算を簡略化するために、無線タグ300が送信する電波を平面波であると近似して、式12に示した厳密モデルを近似した近似測定信号モデルを用いる。
無線タグ300が送信する電波を平面波であると考えると、第1アンテナ112が受信する電波は、第1アンテナ112の位置によらず、無線タグ300から第1アンテナ112の移動中心点である原点Oに向かう電波と平行になっていると考えることができる。
この場合、図3に示すように、第1アンテナ112に到達する電波は、無線タグ300から第1アンテナ112の原点Oへの電波に対して垂直な直線Lの上の近似電波発信源300aから送信されたとみなすことができる。
図3より、近似電波発信源300aから第1アンテナ112までの近似距離L’は、式13で表すことができることが分かる。
Figure 2017053647
式13に示す近似距離L’をLの代わりに用いる。すなわち、式12の距離Lに近似距離L’を代入する。また、Lは無線タグ300が移動していない場合には固定値であり、fRFも無線タグ300が発振する周波数に変動が生じていなければ固定値である。そこで、これらLとfRFも位相Ψとしてまとめる。これにより式14が得られる。この式14は近似測定信号モデルに相当する。式14は平方根がないシンプルな形になっているので、マッチング処理が容易になる。
Figure 2017053647
式14において、未知パラメータは、振幅A、方位角φ、位相Ψである。これら3つの未知パラメータの組み合わせを設定してマッチング処理を行えばよい。ただし、式14は単一波に対するモデルである。マルチパス等で複数の方向から電波が到来する場合も解析する必要がある。
そこで、本実施形態では、N個の電波の到来方向の組み合わせ、すなわちN個の方位角φの組み合わせのみでマッチング処理を行えるように式変形を行う。
式14を用いて、第1アンテナ112にN個の到来波が到来したときの測定信号Vgetを表現するモデルは、式15で表される。
Figure 2017053647
式15は、N個の到来波に対する近似測定信号モデルである。ただし、本実施形態では、この式15をそのまま用いるのではなく、計算を容易にするために、文字による置き換え等を行う。
後の式変形のために式15の一部を、式16に示す変数zに置き換え、振幅Aと位相Ψを、式17に示す変数B、変数Cに変換する。
Figure 2017053647
Figure 2017053647
式16を用いると、式15の中括弧内は式18の左辺のように表される。式18の左辺は、加法定理と式17に示す変数B、変数Cを用いると、式18の2行目のように表すことができる。
Figure 2017053647
式18を用いると、N個の到来波を表現するモデル(以下、マッチングモデル)は式19で表される。この式19で表されるマッチングモデルが、本実施形態で用いる近似測定信号モデルの一例である。
Figure 2017053647
式19に示すモデルと、測定信号Vgetとの一致度合いを評価する評価指標として式20に示す残差eを考える。なお、式20においてkはサンプリング番号、Kは総サンプリング数である。
Figure 2017053647
残差eが最小になるマッチングモデルが到来波を最もよく表している。式の置き換えにより、マッチングモデルは式19で表されており、式19に示すマッチングモデルにおいて、未知パラメータはφ、B、Cである。
ここで、B、Cを求めることを考える。残差eをn番目の到来波のB、Cでそれぞれ偏微分すると、式21、式22が得られる。
Figure 2017053647
Figure 2017053647
式19より、式23が得られる。
Figure 2017053647
式21、式22の中括弧内を展開した上で式23、式19を適用すると、式24、式25が得られる。
Figure 2017053647
Figure 2017053647
式24、式25を文字の置き換えにより単純化するため、式26に示す下記変数を考える。
Figure 2017053647
式26に示す変数を用いて式24、式25を書き換えると式27、式28が得られる。
Figure 2017053647
Figure 2017053647
残差eを最小にするB、Cを求めたいので式29を考える。式29より、式27、式28の左辺を0とした式を考えることになる。したがって、各n(n=1〜N)に対して2N本の連立方程式が得られる。
Figure 2017053647
方位角φ、φを当てはめるとz、zが求められるので、方位角φ、φを当てはめると、式29の連立方程式は、各nについて、未知パラメータB、Cに関して2N本得られる。したがって、方位角φ、φを当てはめれば連立方程式を解いて未知パラメータB、Cを算出することができる。また、残差eは式20に示されるように、測定信号VgetとマッチングモデルVrefとの差を二乗しているので、残差eはB、Cに関して下に凸な二次形式である。したがって、式29の連立方程式を解くことで、残差eを最小にするB、Cを方位角φごとに求めることができる。
式17より、式30が得られるので、B、Cが求まると、振幅Aと位相Ψも決定できる。
Figure 2017053647
よって、方位角φの組み合わせを探索するだけで、残差eが最小になるマッチングモデルを決定できる。
さらに、本実施形態では式20に対して以下の式変形を行う。式20を展開すると式31が得られる。
Figure 2017053647
式31の右辺第2項は、式19と、式26を用いると、式32のように変形できる。
Figure 2017053647
また、式31の右辺第3項は、式19、式26を用いると、式33のように変形できる。
Figure 2017053647
式31をそのまま計算して残差eを求めてもよい。しかし、式31の右辺第1項は測定信号Vgetの2乗項であることから、常に正の数であり、かつ、探索する方位角φの値に影響されない。そこで、式31の右辺第1項を省略した残差エネルギーEを考える。残差エネルギーEは式34で示される。式34の右辺は、式31の右辺から、第1項を省略し、かつ、符号を反転させた式である。
Figure 2017053647
本実施形態では、この残差エネルギーEが請求項の一致度に相当しており、記憶部220には、式34が記憶されている。式34の右辺の第1項は式32で表され、第2項は式33で表されるので、式32、式33も記憶部220に記憶されている。
式32、式33において、Sで示す係数は、zのみを変数として持つ。また、Dも、変数zを持つ変数である。この変数zにおいて、移動量xは時刻tの関数であるので、変数zは、時刻t、方位角φを決めれば予め計算することができる。
本実施形態では、時刻tと方位角φを種々変更して予め計算した変数zのcos値、sin値、および、その変数zのcos値、sin値から算出できる係数SBCnm、SBSnm、SCCnm、SCSnmの計算値も、記憶部220に記憶されている。
より詳しくは、方位角φは、角度分解能に基づいて定まる角度ピッチで変化させ、各方位角φごとに、時刻tを、マッチングを行う波形の時間長さ分に渡り所定時刻ピッチ毎に変化させたときの変数zのcos値、sin値が記憶部220に記憶されている。なお、所定時刻ピッチは、たとえば、サンプリング周期と同じである。また、その変数zのcos値、sin値から計算できる係数Sも記憶部220に記憶されている。cosz、sinz、SBCnm、SBSnm、SCCnm、SCSnmは、請求項のz因子項に相当する。
方向決定部230は、以下の演算を行って、無線タグ300からの電波が到来する方位角φを推定する。
(A)ADC123、143からそれぞれ取得する測定信号Vgetについて、(A1)〜(A5)を実施する。
(A1)測定信号Vgetを取得して、その測定信号Vgetと、方位角φの組み合わせに含まれている各φについて記憶部220に記憶されているcosz、sinzの計算値から、式26のDBn、DCnを、各φについて計算する。
(A2)それらDBn、DCnをもとに、式29の連立方程式を各φについて解くことで、各φについてB、Cを得る。
(A3)それらB、Cと、先に求めたDBn、DCn、記憶部220に記憶されている係数Sの計算値を式32、式33に代入して式34の第1項、第2項を計算し、それらを加算することで、残差エネルギーEを、φの組み合わせ毎に算出する。
(A4)φの組み合わせ毎に求めた残差エネルギーEのうち、最大の残差エネルギーEを決定する。
(A5)最大の残差エネルギーEとなったφの組み合わせを決定する。式14に示されるように、φはcosの引数となっているため、最大の残差エネルギーEとなったφの組み合わせは、絶対値が同じで符号が異符号の2つの値が存在する。これを±φと表記する。一つの測定信号Vgetのみからでは、いずれの符号のφが正しいかは判定できない。そこで、これら絶対値が同じで符号が異符号の2つのφを方位角φの候補とする。
ここで、第1アンテナ112の移動方向をx1軸とし、第2アンテナ132の移動方向をx2軸とする。また、第1測定信号Vget1を用いて計算した方位角φをφ1、第2測定信号Vget2を用いて計算した方位角φをφ2とする。なお、φ1はx1軸を基準方位とし、φ2はx2軸を基準方位とする。
第1測定信号Vget1、第2測定信号Vget2について、それぞれ(A1)〜(A5)を実施することで、±φ1、±φ2が得られる。
図4の例では、第1測定信号Vget1を用いて決定した候補がφ、−φであり、第2測定信号Vget2を用いて決定した候補がφ、−φである。
方位角φの候補±φのうち、一方のみが実際に電波が到来している方位角φである。他方はゴーストと呼ぶことにする。2つの往復直線運動体111、131が直線運動する方向が平行でない場合、実際に電波が到来している方位角φは、φ、−φのうち、φ、−φのいずれかと重複する方向であり、ゴーストは他方の候補と重複しない。
(B)そこで、Aを実行することで第1測定信号Vget1から求めた、絶対値が同じで符号が異なる各組の±φ1m1について、±φ2と同じ方向を表している方位角φ1を決定する。この決定した方位角φ1を、実際に電波が到来している方位角φ1とする。
図4の例では、φはφと同じ方向を表している。一方、−φは、φとも、−φとも同じ方向を表していない。したがって、φ1を実際に電波が到来している方位角とする。
なお、Bの処理は、各mについて行う。そのため、mが2以上であれば、複数の方位角φが決定できる。これら複数のφのうち、いずれか1つが直接波、残りはマルチパスにより生じる間接波である。たとえば、複数の方位角φからそれぞれ振幅Aを求め、最大の振幅Aに対応する方位角φを直接波の方位角φとする。
[第1実施形態のまとめ]
以上、説明した本実施形態では、無線タグリーダ1の小型化が可能である。その理由は次の通りである。すでに説明したように、Pseudo-doppler法では、ある程度の大きさのドップラーシフトが生じる速度でアンテナ112、132を運動させる必要がある。
アンテナ112、132を高速に運動させると窓幅が狭くなる。しかし、本実施形態では、フーリエ変換ではなく、測定信号Vgetと近似測定信号モデルとの一致度を表す残差エネルギーEを算出して、近似測定信号モデルにおける方位角φを決定している。すなわち、窓幅には拘束されない手法で方位角φを求めている。そのため、アンテナ112、132を高速に運動させてドップラーシフトを大きくすることができる。つまり、アンテナ112、132の運動速度を速くするために、アンテナ112、132の直線運動のストロークを長くする必要がない。したがって、無線タグリーダ1の小型化が可能になるのである。また、角度分解能を高くするためには、数値探索するピッチを狭くすればよいことから、角度分解能を高くすることも容易である。
また、本実施形態では、次の理由により、演算量を少なくしつつも、精度よく方位角φを推定することができる。すでに説明したように、アンテナ112、132が受信する電波を厳密にモデル化すると、複雑なモデルとなり、演算量が多くなってしまう。そこで、本実施形態では、近似測定信号モデルを用いる。無線タグ300が送信する電波は、実際には球面波であるが、近似測定信号モデルは、無線タグ300が送信する電波を平面波であると近似している。
平面波とする近似は、アンテナ112、132の位置によらず、無線タグ300はアンテナ112、132に対して同じ方向に存在するとみなすものである。アンテナ112、132の移動量と比較して、アンテナ112、132から無線タグ300までの距離が長いほど、アンテナ112、132が移動しても、アンテナ112、132に対する無線タグ300の方向変化は少ない。本実施形態の無線タグリーダ1は、すでに説明したように、小型化することができる。無線タグリーダ1が小型であれば、アンテナ112、132の移動量も少なくなり、アンテナ112、132の移動量が少なくなれば、アンテナ112、132の移動量と比較して、アンテナ112、132から無線タグ300までの距離が長くなりやすい。したがって、平面波とする近似は、無線タグリーダ1を小型化できる本実施形態においては、アンテナ112、132が受信する電波を厳密にモデル化した場合に対する精度低下が少ない。厳密にモデル化した場合に対する精度低下が少ないので、平面波とする近似は、無線タグリーダ1を小型化できる場合には、精度よく方位角φを推定することができると言える。
また、厳密モデルは式12、式10から分かるように平方根が存在するのに対して、式14に示される近似測定信号モデルは平方根がないので、この近似測定信号モデルに基づいて電波到来方向を推定することで、演算量も大きく低減できる。
また、本実施形態では、往復直線運動の方向が互いに交差する第1往復直線運動体111と第2往復直線運動体131と、それら第1往復直線運動体111と第2往復直線運動体131にそれぞれ固定された第1アンテナ112、第2アンテナ132を備える。そして、第1測定信号Vget1から決定した各組の方位角±φ1のうち、第2測定信号Vget2から決定した方位角φ2と同じ方向を表している方位角φ1を、電波が到来する方位角φ1として推定する。このようにすることで、電波が到来する方位角φ1を、1つの方位角φ1に絞り込むことができる。
また、本実施形態では、連立方程式によりB、Cを算出できるようにしているので、探索する必要がある未知パラメータは方位角φの組み合わせのみとなる。これにより、計算を迅速に行うことができる。
また、本実施形態では、式20に示した残差eを計算するのではなく、残差eから測定信号Vgetのみの項を除いた、式34に示す残差エネルギーEを計算する。これにより、測定信号Vgetのみの項を演算しなくても、残差eが最小となる複数の到来波の方位角φの組み合わせを探索できることから、計算量を少なくできる。
さらに、本実施形態では、時刻tと方位角φを種々変更して予め計算した変数zのcos値、sin値、係数SBCnm、SBSnm、SCCnm、SCSnmの計算値を記憶部220に記憶しており、この計算値を用いて、残差エネルギーEを算出する。これによっても、方位角φを推定する際の演算量が少なくなるので、方位角φを迅速に推定できる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態を説明する。この第2実施形態以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用できる。
第2実施形態の電波到来方向推定システムも、図1の構成を備える。ただし、方向決定部230が実行する処理が、第1実施形態と相違する。第1実施形態の方向決定部230は、電波到来方向における平面方向の角度である方位角φのみを決定していたが、第2実施形態の方向決定部230は、方位角φに加えて、仰角δも決定する。仰角δは、xy平面に対する電波到来方向の角度である。
第2実施形態では、無線タグリーダ1の第1アンテナ部110、第2アンテナ部130は、仰角δがxy平面に対していずれか一方に限定できる位置に配置されているとする。仰角δがxy平面に対していずれか一方に限定できる位置は、たとえば、床や天井などである。
第2実施形態では、図5に示すように座標系を定義する。z軸はxy平面に垂直であり、原点Oを通る軸である。座標軸sは、無線タグ300およびz軸を含む平面がxy平面と交差する直線の方向の軸である。仰角δは、図6に示すように、sz平面において、無線タグ300と原点Oを結ぶ線分と、s軸とのなす角度である。なお、図5、図6は、第1往復直線運動体111および第1アンテナ112に対する座標系である。第2往復直線運動体131および第2アンテナ132に対する座標系も、第1往復直線運動体111および第1アンテナ112に対する座標系と同じように考えればよいので、以下、第1往復直線運動体111および第1アンテナ112に対する座標系で説明する。
平面波近似を行うと、第1アンテナ112の位置によらず、往復運動の中央に到来する電波と平行な電波が到来すると近似することになる。平面波近似は換言すれば、第1アンテナ112の位置を、無線タグ300と原点を結ぶ直線上の位置に近似することになる。
図6に示すように、第1アンテナ112の移動量xのs軸成分はxcosφである。つまり、図7に示すように、zs平面での第1アンテナ112の移動量はxcosφである。したがって、無線タグ300と原点を結ぶ直線上に近似した第1アンテナ112の移動量は、図7にも示すように、xcosφcosδとなる。よって、近似距離L’は、式35で表される。
Figure 2017053647
この式35と、式13の違いにより、第2実施形態では、変数zは式36で表される。
Figure 2017053647
この式36において、cosφcosδは、三角関数の掛け算であることから、掛けた後の値が同じになる方位角φと仰角δの組み合わせが多数存在する。そこで、方位角φと仰角δをまとめた合成角γを考える。
合成角γは、方位角φと仰角δを掛け合わせた角度であり、図8に示すように、第1往復直線運動体111の移動方向すなわちx軸と、原点Oと無線タグ300とを結ぶ線分とのなす角度である。
この合成角γを用いると、式37が成り立ち、式37を式36に代入すると、式38が得られる。式38の変数zは、第1実施形態のzと同じ形になる。なお、式19のマッチングモデルにおいて、変数zを式38としたものが、請求項の合成角近似モデルの一例である。
Figure 2017053647
Figure 2017053647
この合成角γで絞り込むことができる電波到来方向の範囲は、図9に破線で示す円錐面上になる。この円錐は、第1アンテナ112の移動中心点(すなわち原点O)を頂点とし、頂角を2γとする円錐である。なお、円錐の頂角は、円錐を中心軸を含む平面で切断してできる三角形の頂角である。
第2実施形態でも、2つのアンテナ112、132を備えており、これらのアンテナ112、132は、移動方向が交差する関係にある。各アンテナ112、132を用いて検出した測定信号Vgetを用いて第1実施形態と同様の計算をすると、各測定信号Vgetからそれぞれ合成角γを求めることができる。
なお、合成角γも計算からは、絶対値が同じで符号が異なる2つの値が得られる。しかし、合成角γは、電波到来方向の範囲を示す円錐において、円錐の軸から円錐表面までの角度を表しているので正の値と考えればよい。したがって、計算から得られる正の合成角γの値を、最終的な合成角γとする。
ここで第1測定信号Vget1から求めた合成角γをγ、第2測定信号Vget2から求めた合成角γをγとする。また、第1アンテナ112の側のx軸、y軸をx1軸、y1軸、第2アンテナ132の側のx軸、y軸をx2軸、y2軸とすると、合成角γ、γは、図10のように図示できる。この図10に示す角度αは、x1軸とx2軸のなす角度である。
cosγは式39で表すことができる。また、角度αと方位角φは同一平面上の角度であるから、cosγは、角度αを用いて式40のように表すことができる。
Figure 2017053647
Figure 2017053647
さらに、式39、式40を用いると、方位角φ、仰角δは、それぞれ式41、式42のように表すことができる。
Figure 2017053647
Figure 2017053647
式41に示されるように、方位角φは一意に定まる。一方、仰角δは、符号が異なる2つの値が得られてしまう。しかし、第2実施形態では、無線タグリーダ1が床や天井など、電波到来方向の仰角δが、正負いずれか一方に限定できる位置に配置されている。したがって、符号が異なる2つの仰角δのうち、配置から定まる符号を持つ仰角δを、電波到来方向を表す仰角δであるとする。
<第3実施形態>
図11に、第3実施形態の電波到来方向推定システムが備える無線タグリーダ2の構成を示している。第2実施形態の電波到来方向推定システムは、この無線タグリーダ2と、第1実施形態と同じ無線タグ300とを備える。無線タグリーダ2は、第2実施形態と異なり、仰角δがxy平面に対していずれか一方に限定できる位置に配置されている必要はない。
無線タグリーダ2は、受信部100Aと信号処理部200Aを備える。受信部100Aは、第1実施形態と同じ第1アンテナ部110、第1周波数変換部120、第2アンテナ部130、第2周波数変換部140を備える。加えて、受信部100Aは、第3アンテナ部150と第3周波数変換部160を備える。
第3アンテナ部150は、第1アンテナ部110および第2アンテナ部130に近接して配置されており、第3往復直線運動体151、第3アンテナ152、第3駆動部153を備える。これら、第3往復直線運動体151、第3アンテナ152、第3駆動部153は、それぞれ、第1アンテナ部110が備える第1往復直線運動体111、第1アンテナ112、第1駆動部113と同じ構成である。
第3往復直線運動体151の往復直線運動の方向は、z軸に平行になっている。すなわち、第3往復直線運動体151の往復直線運動の方向は、第1往復直線運動体111、第2往復直線運動体131が運動する平面に対して垂直になっている。
第3周波数変換部160は、第1周波数変換部120が備えるローノイズアンプ121、RF/IF部122、ADC123と同じ構成であるローノイズアンプ161、RF/IF部162、ADC163を備える。ADC163が信号取得部210に出力する信号を、第3測定信号Vget3とする。
信号処理部200Aが備える方向決定部230Aが行う処理は、これまでの実施形態と相違する。方向決定部230Aは、第2実施形態で説明した方向決定部230と同じ処理を行って式41、式42から、1つの方位角φを決定するとともに、符号が異なる2つの仰角δを決定する。
さらに、方向決定部230Aは、第3測定信号Vget3からも、合成角γを算出する。第3往復直線運動体151がz軸方向に往復直線運動することから、合成角γは、図10に示すz軸と、電波到来方向とのなす角である。
さらに、方向決定部230Aは、式39、式40の合成角γ、γのうちのいずれかに代えて、合成角γを用いて、式42の仰角δを算出する。合成角γ、γを用いて算出する式42での仰角δはxy平面を基準とする仰角δであるのに対して、式39、式40の合成角γ、γのうちのいずれかに代えて合成角γを用いて算出する仰角δは、xz平面を基準とする仰角δである。なお、xz平面は、詳しくは、γを用いた場合には、xz平面であり、γを用いた場合にはxz平面である。
合成角γ、γを用いて算出した2つの仰角δのうちいずれか一方のみが、合成角γを合成角γ、γのいずれかに代えて用いて算出した2つの仰角δと同じ方向を表す。そこで、合成角γ、γを用いて算出した2つの仰角δのうち、合成角γを合成角γ、γのいずれかに代えて用いて算出した2つの仰角δのいずれかと同じ方向を表している側を、実際に電波が到来している仰角δであるとする。
この第3実施形態では、計算により仰角δを1つに決定できる。したがって、無線タグリーダ2を、電波到来方向の仰角δとして正負の値があり得る位置に設置したとしても、仰角δを1つの値に決定することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
<変形例1>
たとえば、前述の実施形態では、残差エネルギーEを算出していたが、残差エネルギーEに代えて残差eを算出してもよい。この場合、式43に示す計算をすることになる。
Figure 2017053647
<変形例2>
前述の実施形態では、1つの到来波を示すモデルを式18としていたが、式18におけるcosをsinとしてもよい。周知のように、sinとcosは、互いに90度位相が異なっているのみで、形状は互いに同じだからである。
式18におけるcosをsinとした場合、マッチングモデル、すなわち、近似測定信号モデルは、式44で表される。
Figure 2017053647
<変形例3>
第1実施形態において、第2アンテナ部130、第2周波数変換部140を備えず、第1アンテナ部110と第1周波数変換部120のみを受信部100が備える構成としてもよい。
この場合、正負が異なる各組の方位角±φのうちいずれが正しいかを、計算によって絞り込むことはできない。しかし、各組の方位角±φは、往復直線運動体111の運動方向を挟んで対称な角度である。したがって、往復直線運動体111を壁に沿って配置するなど、往復直線運動体111を検知範囲の境界に沿って配置すれば、往復直線運動体111の配置から、各組の方位角±φのいずれが実際に電波が到来している方位角φであるかを決定できる。
1:無線タグリーダ 2:無線タグリーダ 100:受信部 100A:受信部 110:第1アンテナ部 111:第1往復直線運動体 112:第1アンテナ 113:第1駆動部 120:第1周波数変換部 121:ローノイズアンプ 122:RF/IF部 130:第2アンテナ部 131:第2往復直線運動体 132:第2アンテナ 133:第2駆動部 140:第2周波数変換部 141:ローノイズアンプ 142:RF/IF部 150:第3アンテナ部 151:第3往復直線運動体 152:第3アンテナ 153:第3駆動部 160:第3周波数変換部 161:ローノイズアンプ 162:RF/IF部 200:信号処理部 200A:信号処理部 210:信号取得部 220:記憶部 230:方向決定部 230A:方向決定部 300:無線タグ 300a:近似電波発信源

Claims (8)

  1. 無線タグ(300)が送信する予め設定された一定周波数の電波の到来方向を推定する電波到来方向推定装置であって、
    往復直線運動する往復直線運動体(111、131、151)と、前記往復直線運動体を予め設定した速度で運動させる駆動部(113、133、153)と、前記往復直線運動体に固定されて前記無線タグが送信する電波を受信するアンテナ(112、132、152)とを備え、前記アンテナが受信した電波に基づいて定まる信号である測定信号を出力する受信部(100、100A)と、
    前記無線タグが送信する電波を平面波とする近似を用いて前記測定信号を表すモデルであって、未知パラメータとして、基準方位と前記電波が到来する方位との間の角度である方位角および位相を含む近似測定信号モデルと、前記受信部が出力する前記測定信号との一致度を、前記近似測定信号モデルの前記未知パラメータを変化させつつ算出することで、前記測定信号と最も一致する前記近似測定信号モデルにおける前記方位角を決定する方向決定部(230、230A)と、を備えることを特徴とする電波到来方向推定装置。
  2. 請求項1において、
    前記受信部は、
    前記往復直線運動体として、往復直線運動の方向が互いに交差する第1往復直線運動体(111)と第2往復直線運動体(131)を備え、
    前記駆動部として、前記第1往復直線運動体を予め設定した速度で運動させる第1駆動部(113)と、前記第2往復直線運動体を予め設定した速度で運動させる第2駆動部(133)を備え、
    前記アンテナとして、前記第1往復直線運動体に固定されている第1アンテナ(112)と、前記第2往復直線運動体に固定されている第2アンテナ(132)を備え、
    前記方向決定部は、
    前記第1アンテナが受信した電波に基づいて定まる前記測定信号である第1測定信号と、前記近似測定信号モデルとの一致度を、前記近似測定信号モデルの未知パラメータを変化させつつ算出し、前記第1測定信号と最も一致する前記近似測定信号モデルにおける前記方位角であって、互いに絶対値が同じで符号が異なる少なくとも一組の前記方位角を決定するとともに、
    前記第2アンテナが受信した電波に基づいて定まる前記測定信号である第2測定信号と、前記近似測定信号モデルとの一致度を、前記近似測定信号モデルの未知パラメータを変化させつつ算出し、前記第2測定信号と最も一致する前記近似測定信号モデルにおける前記方位角であって、互いに絶対値が同じで符号が異なる少なくとも一組の方位角を決定し、
    前記第1測定信号を用いて決定した各組の前記方位角のうち、前記第2測定信号を用いて決定した前記方位角と同じ方向を表している前記方位角を、実際に電波が到来している方位角として推定することを特徴とする電波到来方向推定装置。
  3. 請求項1において、
    前記受信部は、前記アンテナが受信した電波を、前記電波の周波数よりも低い中間周波数の信号に変換する周波数変換部(120、140、160)を備え、前記測定信号として、前記周波数変換部が周波数を変換した信号を出力し、
    前記近似測定信号モデルは、複数の到来波の合成波を前記中間周波数の信号に変換したモデルであって、前記無線タグが送信する電波の周波数をfRF、前記中間周波数をfIF、時刻をt、光速をv、前記アンテナの移動中心からの前記アンテナまでの距離をx、各到来波の方位角をφ、各到来波の振幅をA、各到来波の位相をΨ、到来波の数をN、前記近似測定信号モデルをVrefとしたとき、式1または式2と、式3、4、5で表されるモデルであり、
    Figure 2017053647
    Figure 2017053647
    Figure 2017053647
    Figure 2017053647
    Figure 2017053647
    前記方向決定部は、前記測定信号をVget、サンプリング番号をk、総サンプリング数をKとしたとき、式6で表す残差eが最小となる前記複数の到来波の前記方位角の組み合わせを探索するものであって、
    Figure 2017053647
    前記式6を前記Bで偏微分した式と、前記式6を前記Cで偏微分した式をそれぞれ0とすることで立式される連立方程式を解くことにより前記B、Cを算出し、算出した前記B、Cを用いて、前記残差eが最小となる前記複数の到来波の前記方位角の組み合わせを探索することを特徴とする電波到来方向推定装置。
  4. 請求項3において、
    前記方向決定部は、前記式6から前記測定信号のみの項を除き、かつ、符号を反転させた式7により計算される残差エネルギーEが最大となる前記複数の到来波の前記方位角の組み合わせを探索することで、前記式6で表す残差eが最小となる前記複数の到来波の前記方位角の組み合わせを探索することを特徴とする電波到来方向推定装置。
    Figure 2017053647
  5. 請求項3または4において、
    前記残差eを算出する式の一部である式8および式9において、前記zが定まることにより値を計算できるz因子項に、複数の前記方位角、前記時刻を入力して計算した前記z因子項の計算値を記憶した記憶部(220)を備えており、
    Figure 2017053647
    Figure 2017053647
    前記方向決定部は、前記記憶部に記憶されている前記z因子項の計算値を用いて、複数の前記方位角、前記時刻に対する前記式8、前記式9の値を算出することを特徴とする電波到来方向推定装置。
  6. 請求項1において、
    前記受信部は、
    前記往復直線運動体として、往復直線運動の方向が同一平面上において互いに交差する第1往復直線運動体(111)と第2往復直線運動体(131)を備え、
    前記駆動部として、前記第1往復直線運動体を予め設定した速度で運動させる第1駆動部(113)と、前記第2往復直線運動体を予め設定した速度で運動させる第2駆動部(133)を備え、
    前記アンテナとして、前記第1往復直線運動体に固定されている第1アンテナ(112)と、前記第2往復直線運動体に固定されている第2アンテナ(132)を備え、
    前記近似測定信号モデルは、前記未知パラメータとして、前記方位角、前記位相に加えて、前記往復直線運動体の移動方向を含んでいる平面に対する前記電波の進行方向の仰角を含んでおり、
    前記方向決定部は、
    前記近似測定信号モデルにおける前記方位角と前記仰角を、前記方位角と前記仰角を合成した角度である合成角に変更したモデルである合成角近似モデルと、前記第1アンテナが受信した電波に基づいて定まる前記測定信号である第1測定信号との一致度を、前記合成角近似モデルの未知パラメータを変化させつつ算出し、前記第1測定信号と最も一致する前記合成角近似モデルにおける前記合成角を決定するとともに、
    前記合成角近似モデルと前記第2アンテナが受信した電波に基づいて定まる前記測定信号である第2測定信号との一致度を、前記合成角近似モデルの未知パラメータを変化させつつ算出し、前記第2測定信号と最も一致する前記合成角近似モデルにおける前記合成角を決定し、
    前記第1測定信号を用いて決定した前記合成角と、前記第2測定信号を用いて決定した前記合成角とに基づいて、前記方位角および前記仰角を決定することを特徴とする電波到来方向推定装置。
  7. 請求項6において、
    前記受信部は、さらに、
    前記第1往復直線運動体および前記第2往復直線運動体が運動する平面に対して直交する方向に往復直線運動する第3往復直線運動体(151)と、
    前記第3往復直線運動体を予め設定した速度で運動させる第3駆動部(153)と、
    前記第3往復直線運動体に固定されている第3アンテナ(152)を備え、
    前記方向決定部(230A)は、
    前記第1測定信号と前記合成角近似モデルの一致度、および、前記第2測定信号と前記合成角近似モデルの一致度を算出することに加えて、前記合成角近似モデルと前記第3アンテナが受信した電波に基づいて定まる前記測定信号である第3測定信号との一致度を、前記合成角近似モデルの未知パラメータを変化させつつ算出し、前記第3測定信号と最も一致する前記合成角近似モデルにおける前記合成角を決定し、
    前記第1測定信号を用いて決定した前記合成角と前記第2測定信号を用いて決定した前記合成角とに基づいて、互いに絶対値が同じで符号が異なる2つの前記仰角を決定するとともに、
    前記第1測定信号および前記第2測定信号のいずれか一方を用いて決定した前記合成角と前記第3測定信号を用いて決定した前記合成角とに基づいて、互いに絶対値が同じで符号が異なる2つの前記仰角を決定し、
    前記第1測定信号を用いて決定した前記合成角と前記第2測定信号を用いて決定した前記合成角とから決定した2つの前記仰角のうち、前記第1測定信号および前記第2測定信号のいずれか一方を用いて決定した前記合成角と前記第3測定信号を用いて決定した前記合成角とから決定した前記仰角を、実際に電波が到来している仰角として推定することを特徴とする電波到来方向推定装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電波到来方向推定装置と、前記無線タグとを備えた電波到来方向推定システム。
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