JP2017053642A - 自動分析装置及び自動分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動分析装置を停止させることなく、任意のタイミングで運転中に試薬容器を追加できる自動分析装置を提供する。
【解決手段】自動分析装置1は、制御部と、試薬分注部12、13とを備える。制御部は、緊急試薬容器保持部32に緊急試薬容器33が架設されると、測定部が試薬容器から分注された試薬を用いて検体を測定する測定サイクルに、緊急試薬容器から分注された試薬を用いて検体を測定する測定サイクルを割り込ませる。試薬分注部は、試薬容器から試薬を吸引する位置から反応容器26に試薬を分注する位置まで移動する軌道に沿って緊急試薬容器保持部に保持される緊急試薬容器から試薬を吸引し、反応容器に試薬を分注する。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、患者の血液、尿等に含まれる各種の成分を分析する自動分析装置及び自動分析方法に関する。
自動分析装置として、血液や尿等の検体に含まれる各種成分を分析する生化学分析装置が知られている。この生化学分析装置では、血清、尿等の検体を反応容器に分注して、分析項目に応じた試薬と、検体とを反応容器(キュベット)内で混合して反応させている。そして、生化学分析装置は、反応容器に分注された検体の吸光度を測定し、吸光度を濃度に換算することによって、検体に含まれる測定対象物質の分析を行っている。この吸光度は、検体の濃度に比例する。
従来、検体の測定及び分析中に新たに試薬容器を追加する必要があっても、試薬容器や反応容器を回転保持するターンテーブルの動作を停止すると測定結果に影響が生じるため、すぐに試薬容器を追加することができなかった。この場合、検体の吸光度の測定が終了するのを待ち、自動分析装置が停止した後、ユーザー(オペレーター等)が試薬容器を追加していた。しかし、ユーザーからは自動分析装置が停止するのを待たずに試薬容器を追加したいという要望が多かった。このため、自動分析装置が測定中であっても試薬容器を追加することを可能とする「試薬PAUSE」機能が自動分析装置に追加された。この「試薬PAUSE」機能では、予定している試薬分注が終了するまでの待ち時間を待てば、測定中の自動分析装置を一時停止状態とし、試薬容器を追加することができる。
また、試薬容器のオートローディング機構が付いている自動分析装置では、ユーザーが試薬庫に試薬容器を直接セットするのではなく、オートローディング機構経由で、試薬庫にセットされるため測定中での追加が可能である。
試薬容器のオートローディング機構の一例として、特許文献1には、自動分析装置に試薬を自動で補充可能な試薬補充装置を有する自動分析装置が開示されている。この試薬補充装置は、自動分析装置に対して着脱可能に設けられており、自動分析装置により試薬不足が検出されると、補充用の試薬容器を自動分析装置に押し入れることが可能である。
特開2007−303879号公報
上述したように「試薬PAUSE」機能を用いると、自動分析装置が試薬分注の一定動作を終了してから、分注動作を一日停止しなければならない。このため、ユーザーは一定動作が終了するのを待たなければ試薬容器を追加することができなかった。また、自動分析装置を一時停止することにより、自動分析装置の処理速度が一時的に低下するという問題もあった。このため、医療現場において、測定結果を迅速に提供することができなかった。
また、特許文献1に開示されたような試薬補充装置は、比較的大きなユニット構成であるため、試薬補充装置を設置する費用が嵩んだり、試薬補充装置の設置スペースが大きくなったりする等の問題があった。
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、自動分析装置を停止させることなく、任意のタイミングで自動分析装置運転中に試薬容器を追加できるようにすることを目的とする。
本発明に係る自動分析装置は、測定対象の検体を収容する検体容器を保持する検体容器保持部と、
試薬を収容する試薬容器を保持する試薬容器保持部と、
試薬容器保持部に付設され、試薬を収容する緊急試薬容器を保持する緊急試薬容器保持部と、
検体及び試薬が攪拌される反応容器を保持する反応容器保持部と、
検体容器から検体を吸引し、反応容器に検体を分注する検体分注部と、
試薬容器又は緊急試薬容器から試薬を吸引し、反応容器に試薬を分注する試薬分注部と、
反応容器に分注された検体を測定する測定部と、
測定部が検体を測定する測定サイクルの制御、及び緊急試薬容器保持部が保持する緊急試薬容器に応じて試薬分注部が試薬容器又は緊急試薬容器から試薬を吸引するための制御を行う制御部と、を備える。
制御部は、緊急試薬容器保持部に緊急試薬容器が架設されると、測定部が試薬容器から分注された試薬を用いて検体を測定する測定サイクルに、緊急試薬容器から分注された試薬を用いて検体を測定する測定サイクルを割り込ませる。
試薬分注部は、試薬容器から試薬を吸引する位置から反応容器に試薬を分注する位置まで移動する軌道に沿って緊急試薬容器保持部に保持される緊急試薬容器から試薬を吸引し、反応容器に試薬を分注する。
本発明によれば、試薬分注部は、試薬容器保持部が保持する試薬容器から試薬を吸引する位置まで移動する軌道に沿って、試薬容器保持部又は緊急試薬容器保持部まで移動し、試薬容器又は緊急試薬容器から試薬を吸引し、反応容器に試薬を分注することが可能である。この緊急試薬容器保持部は、従来のオートローディング機構のような大がかりなものではなく、自動分析装置の設置スペースを圧迫しない。また、自動分析装置が検体を測定中であっても、測定を一時停止することなく緊急試薬容器を緊急試薬容器保持部に追加し、この緊急試薬容器に収容された試薬を用いて検体を測定することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態例の説明により明らかにされる。
本発明の第1の実施の形態例に係る生化学分析装置を模式的に示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態例に係る生化学分析装置の各ピペットの動作例を示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態例に係る緊急試薬ポートの構成例を示す平面図である。 本発明の第1の実施の形態例に係る計算機の内部構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態例に係る生化学分析装置の動作例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態例に係る生化学分析装置を模式的に示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態例に係る選択画面の表示例を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態例に係る指示画面の表示例を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態例に係る架設指示画面の表示例を示す説明図である。 本発明の第2の実施の形態例に係る試薬情報の入力画面の表示例を示す説明図である。 本発明の第3の実施の形態例に係る生化学分析装置を模式的に示す説明図である。 本発明の実施の形態の第1の変形例に係る生化学分析装置の構成図である。 本発明の実施の形態の第2の変形例に係る生化学分析装置の構成図である。
以下、本発明を実施するための形態例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
[第1の実施の形態例]
<1−1.生化学分析装置の構成>
まず、本発明の第1の実施の形態例に係る生化学分析装置1について図1を参照して説明する。
図1は、第1の実施の形態例に係る生化学分析装置1を模式的に示す説明図である。
図1に示す生化学分析装置1は、本発明の自動分析装置の一例として適用され、血液や尿等の生体試料に含まれる特定の成分の量を自動的に測定し、生化学分析を行うことが可能である。
図1に示すように、生化学分析装置1は、サンプルターンテーブル2と、第1試薬ターンテーブル4と、第2試薬ターンテーブル5と、反応ターンテーブル6と、を備えている。また、生化学分析装置1は、サンプリングピペット8と、第1試薬ピペット12と、第2試薬ピペット13と、第1反応撹拌装置14と、第2反応撹拌装置15と、多波長光度計16と、恒温槽17と、反応容器洗浄装置18と、計算機40とを備えている。
サンプルターンテーブル2(検体容器保持部の一例)は、軸方向の一端が開口した略円筒状をなす容器状に形成されている。このサンプルターンテーブル2は、サンプルターンテーブル2の周方向に並べて収容される複数の検体容器21を保持している。検体容器21には、血液や尿等からなる測定対象の検体(サンプル)が収容される。
複数の検体容器21は、サンプルターンテーブル2の周方向に所定の間隔を開けて並べて配置されている。また、サンプルターンテーブル2の周方向に並べられた検体容器21の列は、サンプルターンテーブル2の半径方向に所定の間隔を開けて2列セットされている。なお、複数の検体容器21の配列は、2列に限定されるものではなく、1列でもよく、あるいはサンプルターンテーブル2の半径方向に3列以上配置してもよい。
サンプルターンテーブル2は、不図示の駆動機構によって周方向に沿って回転可能に支持されている。そして、サンプルターンテーブル2は、不図示の駆動機構により、周方向に所定の角度範囲ごとに、所定の速度で回転する。
第1試薬ターンテーブル4(第1試薬容器保持部の一例)、第2試薬ターンテーブル5(第2試薬容器保持部の一例)及び反応ターンテーブル6(反応容器保持部の一例)は、サンプルターンテーブル2と同様に、軸方向の一端が開口した略円筒状をなす容器状に形成されている。第1試薬ターンテーブル4、第2試薬ターンテーブル5は、試薬容器保持部の一例としても用いられる。反応ターンテーブル6は、不図示の駆動機構により、その周方向に所定の角度範囲ずつ、所定の速度で回転する。なお、反応ターンテーブル6は、一回の移動で半周以上回転するように設定されている。
第1試薬ターンテーブル4は、第1試薬ターンテーブル4の周方向に並べて収容される複数の第1試薬容器24を保持している。また、第2試薬ターンテーブル5は、第2試薬ターンテーブル5の周方向に並べて収容される複数の第2試薬容器25を保持している。そして、第1試薬容器24には、濃縮された第1試薬が収容され、第2試薬容器25には、濃縮された第2試薬が収容される。
また、第1試薬ターンテーブル4には、第1試薬が収容される複数の緊急試薬容器33を保持する緊急試薬ポート31(第1緊急試薬容器保持部の一例)が別体として付設される。第2試薬ターンテーブル5には、第2試薬が収容される複数の緊急試薬容器34を保持する緊急試薬ポート32(第2緊急試薬容器保持部の一例)が別体として付設される。ユーザーは、緊急試薬ポート31、32(緊急試薬容器保持部の一例)に緊急試薬容器33、34を追加して架設することで、生化学分析装置1の動作を停止することなく、生化学分析を継続することが可能である。また、緊急試薬ポート31、32には、それぞれバーコードリーダー36(読み取り部の一例)が一体に設けられており、緊急試薬ポート31、32に架設された緊急試薬容器33、34に付されているバーコードを読み取ることが可能である。
さらに、第1試薬ターンテーブル4、第1試薬容器24、第2試薬ターンテーブル5及び第2試薬容器25は、不図示の保冷機構によって所定の温度に保たれている。そのため、第1試薬容器24に収容された第1試薬と、第2試薬容器25に収容された第2試薬は、所定の温度で保冷される。そして、緊急試薬ポート31、32にも不図示の保冷機構が設けられ、緊急試薬容器33、34が所定の温度で保冷されている。
反応ターンテーブル6は、サンプルターンテーブル2と、第1試薬ターンテーブル4及び第2試薬ターンテーブル5の間に配置されている。反応ターンテーブル6は、反応ターンテーブル6の周方向に並べて収容される複数の反応容器26を保持している。反応容器26には、サンプルターンテーブル2の検体容器21からサンプリングした検体と、第1試薬ターンテーブル4の第1試薬容器24からサンプリングした第1試薬と、第2試薬ターンテーブル5の第2試薬容器25からサンプリングした第2試薬が注入される。そして、この反応容器26内において、検体と、第1試薬及び第2試薬が撹拌され、反応が行われる。
サンプリングピペット8(検体分注部の一例)は、サンプルターンテーブル2と反応ターンテーブル6の間に配置されている。サンプリングピペット8は、不図示のサンプリングピペット駆動機構により、サンプルターンテーブル2及び反応ターンテーブル6の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。そして、サンプリングピペット8は、水平方向に沿って回動することで、サンプルターンテーブル2及び反応ターンテーブル6の間を往復運動する。なお、サンプリングピペット8がサンプルターンテーブル2と反応ターンテーブル6の間を移動する際、サンプリングピペット8は、不図示の洗浄装置を通過する。
このサンプリングピペット8は、サンプルターンテーブル2の検体容器21内にピペットを挿入して、所定量の検体を吸引する。そして、サンプリングピペット8は、吸引した検体を反応ターンテーブル6の反応容器26内に吐出(分注)する。
ここで、サンプリングピペット8の動作について説明する。
サンプリングピペット8がサンプルターンテーブル2における開口の上方の所定位置に移動した際、サンプリングピペット8は、サンプルターンテーブル2の軸方向に沿って下降し、その先端に設けたピペットを検体容器21内に挿入する。このとき、サンプリングピペット8は、不図示のサンプル用ポンプが作動して検体容器21内に収容された検体を所定量吸引する。次に、サンプリングピペット8は、サンプルターンテーブル2の軸方向に沿って上昇してピペットを検体容器21内から抜き出す。そして、サンプリングピペット8は、水平方向に沿って回動し、反応ターンテーブル6における開口の上方の所定位置に移動する。
次に、サンプリングピペット8は、反応ターンテーブル6の軸方向に沿って下降して、ピペットを所定の反応容器26内に挿入する。そして、サンプリングピペット8は、吸引した検体を反応容器26内に吐出する。その後、サンプリングピペット8は、洗浄装置によって洗浄される。
第1試薬ピペット12は、反応ターンテーブル6と第1試薬ターンテーブル4の間に配置され、第2試薬ピペット13は、反応ターンテーブル6と第2試薬ターンテーブル5の間に配置されている。第1試薬ピペット12、第2試薬ピペット13は、試薬分注部の一例として用いられる。
第1試薬ピペット12(第1試薬分注部の一例)は、不図示の第1試薬ピペット駆動機構により、反応ターンテーブル6の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。そして、第1試薬ピペット12は、第1試薬ターンテーブル4と反応ターンテーブル6の間を往復運動する。第1試薬ピペット12は、第1試薬ターンテーブル4の第1試薬容器24、又は緊急試薬ポート31の緊急試薬容器33内にピペットを挿入して、所定量の第1試薬を吸引する。そして、第1試薬ピペット12は、吸引した第1試薬を反応ターンテーブル6の反応容器26内に吐出する。
また、第2試薬ピペット13(第2試薬分注部の一例)は、不図示の第2試薬ピペット駆動機構により、第1試薬ピペット12と同様に、反応ターンテーブル6の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。そして、第2試薬ピペット13は、第2試薬ターンテーブル5と反応ターンテーブル6の間を往復運動する。第2試薬ピペット13は、第2試薬ターンテーブル5の第2試薬容器25、又は緊急試薬ポート32の緊急試薬容器34内にピペットを挿入して、所定量の第2試薬を吸引する。そして、第2試薬ピペット13は、吸引した第2試薬を反応ターンテーブル6の反応容器26内に吐出する。
第1反応撹拌装置14、第2反応撹拌装置15及び反応容器洗浄装置18は、反応ターンテーブル6の周囲に配置されている。第1反応撹拌装置14は、不図示の撹拌子を反応容器26内に挿入し、検体と第1試薬を撹拌する。これにより、検体と第1試薬との反応が均一かつ迅速に行われる。
第2反応撹拌装置15は、不図示の撹拌子を反応容器26内に挿入し、検体と、第1試薬と、第2試薬とを撹拌する。これにより、検体と、第1試薬と、第2試薬との反応が均一かつ迅速に行われる。このようにして第1試薬と第2試薬に反応した検体を「反応済み検体」と呼ぶ。
反応容器洗浄装置18は、検査が終了した反応容器26内を洗浄する装置である。この反応容器洗浄装置18は、複数の反応容器洗浄ノズルを有している。複数の反応容器洗浄ノズルは、不図示の廃液ポンプと、不図示の洗剤ポンプに接続されている。反応容器洗浄装置18は、反応容器洗浄ノズルを反応容器26内に挿入し、廃液ポンプを駆動させて挿入した反応容器洗浄ノズルによって反応容器26内に残留する反応済み検体を吸い込む。そして、反応容器洗浄装置18は、吸い込んだ反応済み検体を不図示の廃液タンクに排出する。
その後、反応容器洗浄装置18は、洗剤ポンプから反応容器洗浄ノズルに洗剤を供給し、反応容器洗浄ノズルから反応容器26内に洗剤を吐出する。この洗剤によって反応容器26内を洗浄する。その後、反応容器洗浄装置18は、洗剤を反応容器洗浄ノズルによって吸引し、反応容器26内を乾燥させる。
また、多波長光度計16(測定部の一例)は、反応ターンテーブル6の周囲における反応ターンテーブル6の外壁と対向するように配置されている。多波長光度計16は、反応容器26内に分注され、第1試薬及び第2試薬と反応した検体に対して所定の測定サイクルで光学的測定を行って、検体中の様々な成分の量を「吸光度」という数値データとして出力し、検体の反応状態を検出する。多波長光度計16には、計算機40が接続されている。
さらに、反応ターンテーブル6の周囲には、恒温槽17が配置されている。この恒温槽17は、反応ターンテーブル6に設けられた反応容器26の温度を常時一定に保持するように構成されている。
<1−2.各ピペットの動作例>
図2は、生化学分析装置1の各ピペットの動作例を示す平面図である。
上述したようにサンプリングピペット8は、軌道c3に沿って水平方向に移動し、サンプルターンテーブル2に収容される検体容器21から吸引した検体を、反応ターンテーブル6に収容される反応容器26に吐出する。
第1試薬ピペット12は、軌道c1に沿って水平方向に移動し、第1試薬ターンテーブル4に収容される第1試薬容器24から吸引した第1試薬を、反応ターンテーブル6に収容される反応容器26に吐出する。
緊急試薬ポート31は、第1試薬ターンテーブル4に近接して配置されており、第1試薬ピペット12が第1試薬容器24から第1試薬を吸引する位置から反応容器26に第1試薬を分注する位置まで移動する軌道c1に沿って緊急試薬容器33を保持している。このため、第1試薬ピペット12は、軌道c1に沿って水平方向に移動し、緊急試薬ポート31に収容される緊急試薬容器33から吸引した第1試薬を、反応ターンテーブル6に収容される反応容器26に吐出することもできる。
第2試薬ピペット13は、軌道c2に沿って水平方向に移動し、第2試薬ターンテーブル5に収容される第2試薬容器25から吸引した第2試薬を、反応ターンテーブル6に収容される反応容器26に吐出する。
緊急試薬ポート32は、第2試薬ターンテーブル5に近接して配置されており、第2試薬ピペット13が第2試薬容器25から第2試薬を吸引する位置から反応容器26に第2試薬を分注する位置まで移動する軌道c2に沿って緊急試薬容器34を保持している。このため、第2試薬ピペット13は、軌道c2に沿って水平方向に移動し、緊急試薬ポート32に収容される緊急試薬容器34から吸引した第2試薬を、反応ターンテーブル6に収容される反応容器26に吐出することもできる。
ユーザーが緊急試薬ポート31、32に緊急試薬容器33、34を架設しようとするタイミングによっては、第1試薬ピペット12又は第2試薬ピペット13が動作中であることが考えられる。しかし、緊急試薬ポート31、32に緊急試薬容器33、34が架設されていなけれれば第1試薬ピペット12又は第2試薬ピペット13が緊急試薬ポート31、32の位置まで移動することはない。このため、生化学分析装置1が動作中であっても緊急試薬容器33、34を追加することが可能となる。
なお、生化学分析装置1の各ターンテーブルと緊急試薬ポート31、32には試薬、検体の蒸発、変性を防ぐために不図示の蓋が設けられる。この蓋には開閉センサが設けられ、蓋が開状態又は閉状態であることを制御部41に送信可能である。このため、第1試薬ピペット12、第2試薬ピペット13は、緊急試薬ポート31、32の蓋が開いているときには、緊急試薬ポート31、32まで回動しないようにする。これにより、ユーザーが緊急試薬ポート31、32に緊急試薬容器33、34を架設しているときに第1試薬ピペット12、第2試薬ピペット13が緊急試薬容器33、34に接触しない。また、緊急試薬ポート31、32に緊急試薬容器33、34が架設された状態で、第1試薬ピペット12、第2試薬ピペット13が緊急試薬容器33、34から第1試薬、第2試薬を吸引しているときには蓋がロックされ、蓋が開かない。このため、生化学分析装置1が動作中であれば、回動する第1試薬ピペット12、第2試薬ピペット13にユーザーが接触しない。
<1−3.緊急試薬ポートの構成>
図3は、緊急試薬ポート31の構成例を示す平面図である。
緊急試薬ポート31は、架設部35と、バーコードリーダー36とを備える。
架設部35には、最大3個の緊急試薬容器33を収容可能である。
バーコードリーダー36は、架設部35に併設されており、架設部35に架設される緊急試薬容器33に付されたバーコード(試薬識別情報の一例)を読み取る。このバーコードには、緊急試薬容器33に収容される試薬の試薬情報が含まれる。そして、バーコードリーダー36は、緊急試薬容器33に収容される試薬の試薬情報を計算機40に送信する。
なお、緊急試薬ポート32は、緊急試薬ポート31と同様の構成としてあるため、緊急試薬ポート32の詳細な構成例の説明は省略する。
<1−4.計算機の構成例>
次に、計算機40の構成例を説明する。
図4は、計算機40の内部構成例を示すブロック図である。
計算機40は、バス43に接続された、制御部41と、記録部42と、表示部44と、入力部45と、インタフェース部46とを備える。
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)等によって構成されており、生化学分析装置1内の各部の動作を制御する。この制御部41は、多波長光度計16が検体を測定する測定サイクルの制御を行う。また、制御部41は、緊急試薬ポート31、32が保持する緊急試薬容器33、34に応じて第1試薬ピペット12、第2試薬ピペット13が第1試薬容器24、第2試薬容器25又は緊急試薬容器33、34から試薬を吸引し、反応容器26に試薬を分注するための制御を行う。そして、制御部41は、架設検出部41aと、試薬情報取得部41bと、表示制御部41cと、測定サイクル制御部41dと、ピペット動作制御部41eとを備える。
架設検出部41aは、緊急試薬ポート31、32に緊急試薬容器33、34が架設されたことを検出する。架設検出部41aとして、例えば、緊急試薬容器33、34の重量を検出する重量センサ、遮光されることにより緊急試薬容器33、34が架設されたことを検出する受光センサ等が用いられる。また、架設検出部41aとして、緊急試薬容器33、34が架設されるとオン信号を出力するプッシュボタンを用いてもよい。
試薬情報取得部41bは、バーコードリーダー36が緊急試薬ポート31、32に架設された緊急試薬容器33、34から読み取ったバーコードに基づいて、緊急試薬容器33、34に収容される試薬(第1試薬及び第2試薬)の試薬情報を取得する。そして、生化学分析装置1は、試薬情報取得部41bが取得した試薬の試薬情報に基づいて、ユーザーが緊急試薬ポート31、32に追加した緊急試薬容器33、34に収容される試薬を生化学分析に用いることが可能となる。
表示制御部41cは、表示部44に表示する各種の画面を生成する。本実施の形態例において、表示制御部41cは、試薬情報取得部41bが取得した緊急試薬容器33、34の種類、有効期限等の試薬情報に基づいて、緊急試薬容器33、34を緊急試薬ポート31、32に架設するための情報を示す画面を表示部44に表示する。
測定サイクル制御部41dは、第1試薬容器24、第2試薬容器25から分注された第1試薬、第2試薬を用いて行われる通常の測定サイクルに、緊急試薬容器33、34から分注された第1試薬、第2試薬を用いて行われる測定サイクルを割り込ませる。この測定サイクルの割り込み処理は、緊急試薬ポート31、32に架設された緊急試薬容器33、34が使用可能な状態である場合に行われる。これにより、通常の測定サイクルを一時停止することなく、つまり、反応ターンテーブル6等の各テーブルの動作を止めることなく、緊急試薬容器33、34に収容される試薬を用いた測定を多波長光度計16に行わせることが可能となる。
ピペット動作制御部41e(分注動作制御部の一例)は、サンプリングピペット8、第1試薬ピペット12、第2試薬ピペット13の動作を制御する。そして、ピペット動作制御部41eは、ユーザーにより緊急試薬ポート31、32に緊急試薬容器33、34を架設する作業が行われている間は、第1試薬ピペット12、第2試薬ピペット13を緊急試薬ポート31、32まで移動させない制御を行う。これにより、緊急試薬ポート31、32に架設中の緊急試薬容器33、34に第1試薬ピペット12、第2試薬ピペット13が衝突する事態を避けることができる。
記録部42は、例えば、HDD(Hard disk drive)等の大容量の記録装置によって構成されており、制御部41のプログラム、パラメータ、検量線、入力部45によってなされた入力操作等を記録する。
表示部44は、緊急試薬容器33、34に収容される試薬の試薬情報を表示する。この表示部44には、例えば、液晶ディスプレイ装置等が用いられる。
入力部45は、ユーザーによって行われる生化学分析装置1に対する操作入力を受け付け、入力信号を制御部41に出力する。この入力部45から緊急試薬容器33、34に収容される試薬の試薬情報を入力することができる。この入力部45には、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル等が用いられる。
インタフェース部46は、多波長光度計16が測定した検体の測定結果、バーコードリーダー36がバーコードを読み取って得た試薬情報が入力されると、制御部41にこれらの情報を渡す。なお、図4では、インタフェース部46に多波長光度計16、バーコードリーダー36だけを接続した例を示しているが、生化学分析装置1内の各部についても同様にインタフェース部46に接続され、計算機40による制御が行われる。
<1−5.生化学分析装置の動作例>
図5は、生化学分析装置1の動作例を示すフローチャートである。
始めに、架設検出部41aは、緊急試薬ポート31、32に緊急試薬容器33、34が架設されたことを検出する(S1)。このとき、バーコードリーダー36が緊急試薬容器33、34に付されたバーコードを読み取り、緊急試薬容器33、34に収容される試薬の試薬情報を計算機40に送信する。そして、試薬情報取得部41bは、緊急試薬ポート31、32に架設された緊急試薬容器33,34に収容される試薬の試薬情報を取得する(S2)。
表示制御部41cは、試薬情報取得部41bによって取得された試薬情報を表示部44に表示する(S3)。次に、測定サイクル制御部41dは、緊急試薬ポート31、32の準備が完了したか否かを判断する(S4)。例えば、緊急試薬ポート31、32の不図示の蓋が開いていたり、緊急試薬ポート31には緊急試薬容器33が架設されているが、緊急試薬ポート32には緊急試薬容器34が架設されていなかったりする場合には、緊急試薬ポート31、32の準備が完了していないと判断し、ステップS4の判定を繰り返す。
測定サイクル制御部41dは、緊急試薬ポート31、32の準備が完了したと判断した場合に、第1試薬容器24、第2試薬容器25に収容される試薬を用いて行われる通常の測定サイクルに、緊急試薬容器33、34に収容される試薬を用いて行われる測定サイクルを割り込ませる(S5)。
ピペット動作制御部41eは、第1試薬ピペット12、第2試薬ピペット13を緊急試薬ポート31、32まで移動させ、緊急試薬容器33、34から吸引した試薬を反応容器26に分注する。多波長光度計16は、反応容器26に分注され、第1試薬及び第2試薬と反応した検体に対して光学的測定を行う(S6)。表示制御部41cは、緊急試薬容器33,34に収容された試薬を用いて行った測定の測定結果を表示部44に表示する(S7)。
以上説明した第1の実施の形態例に係る生化学分析装置1によれば、生化学分析中であっても生化学分析装置1の動作を停止することなく、緊急試薬ポート31、32に緊急試薬容器33、34を追加することができる。このため、第1試薬ターンテーブル4、第2試薬ターンテーブル5に保持される第1試薬容器24、第2試薬容器25の第1試薬及び第2試薬が不足した場合や緊急の測定が必要となっても、生化学分析装置1を停止するための待ち時間をなくして、緊急試薬容器33,34に収容された試薬を用いて生化学分析を行うことが可能となる。このことにより、緊急時における測定完了までの時間を短縮し、生化学分析装置1を効率的に運用することが可能となる。
また、第1試薬ターンテーブル4、第2試薬ターンテーブル5の外側かつ近傍であって、第1試薬ピペット12、第2試薬ピペット13の軌道上に、緊急試薬ポート31、32を設けている。このため、従来のような緊急試薬容器のオートローディング機構とは異なって、シンプルな機構でありながら生化学分析装置1が測定中であっても緊急試薬容器33、34を緊急追加しやすい。また、従来のオートローディング機構と比べて、緊急試薬ポート31、32の設置スペースはわずかである。このため、限られたスペースに生化学分析装置1を効率的に配置することが可能である。
[第2の実施の形態例]
<2−1.生化学分析装置の構成>
次に、本発明の第2の実施の形態例に係る生化学分析装置1Aの構成例について説明する。
第1の実施の形態例に係る生化学分析装置1は緊急試薬ポート31、32がバーコードリーダー36を備えていたが、第2の実施の形態例に係る生化学分析装置1Aは緊急試薬ポート31、32がバーコードリーダー36を備えていない。このため、ユーザーがハンディタイプのバーコードリーダー36Aを用いて緊急試薬容器33、34に付されたバーコードを読み取るための構成について説明する。
図6は、生化学分析装置1Aを模式的に示す説明図である。
生化学分析装置1Aは、図1に示した各ターンテーブル、各ピペット等(図6には生化学分析装置と記載した機能ブロック)と、計算機40の他に、ハンディタイプのバーコードリーダー36A(読み取り部の一例)を備える。バーコードリーダー36Aは、ユーザーが移動可能に設けられている。なお、生化学分析装置1Aの緊急試薬ポート31、32は、いずれもバーコードリーダー36を備えていないものとする。このため、ユーザーは、緊急試薬ポート31、32に緊急試薬容器33、34を架設する際には、表示部44に表示される画面の指示に従って、バーコードリーダー36Aを用いて緊急試薬容器33、34に付されたバーコードを読み取らせるか、入力部45により試薬情報を入力する。
<2−2.各画面の表示例>
ここで、表示部44に表示される各種のガイダンス画面の表示例について、図6〜図10を参照して説明する。
図7は、選択画面D1の表示例を示す説明図である。
選択画面D1は、ユーザーが緊急試薬容器33、34を緊急試薬ポート31、32に架設する前に、緊急試薬容器33、34のタイプを選択するために用いられる。表示制御部41cは、緊急試薬容器にバーコードが付されている場合には、バーコードリーダー36Aにバーコードを読み取らせ、緊急試薬容器にバーコードが付されていない場合には、入力部45により試薬の試薬情報を入力することを選択するための選択画面D1を表示部44に表示する制御を行う。選択画面D1には、緊急試薬ポート31、32に架設される緊急試薬容器33、34のタイプを選択するためのアイコンボタン61、62が表示される。アイコンボタン61には、バーコードが付された緊急試薬容器33、34の画像が表示される。アイコンボタン62には、バーコードが付されていない緊急試薬容器33、34の画像が表示される。ユーザーは、入力部45を操作して、不図示のカーソルキーをアイコンボタン61、62のいずれかに移動してクリックすることで、以降の画面遷移が変わる。
図8は、指示画面D2の表示例を示す説明図である。
指示画面D2は、図7に示す選択画面D1のアイコンボタン61がクリックされた後に表示部44に表示される。この指示画面D2は、バーコードが付された緊急試薬容器33、34からバーコードを読み取ることをユーザーに指示する。指示画面D2に表示される試薬情報は、試薬情報取得部41bがバーコードリーダー36Aから取得した、バーコードリーダー36Aが読み取ったバーコードに基づく試薬情報である。
図中の「RTT1 追加Port」と記載された領域63には、緊急試薬ポート31に架設される最大3本の緊急試薬容器33の試薬情報が示される。ここでは、ユーザーがバーコードリーダー36Aを用いて緊急試薬容器33のバーコードを読み取った試薬情報が1番目の領域に表示されている。同様に図中の「RTT2 追加Port」と記載された領域64には、緊急試薬ポート32に架設される最大3本の緊急試薬容器34の試薬情報が示される。ユーザーは、バーコードリーダー36Aを用いて緊急試薬容器33、34に付されたバーコードを読み取った後、指示画面D2の下部にあるOKボタンを押すことでバーコードから読み取られた試薬情報が生化学分析装置1に登録され、次画面に遷移する。
図9は、架設指示画面D3の表示例を示す説明図である。
架設指示画面D3は、バーコードリーダー36Aによって既にバーコードが読み取られた緊急試薬容器33、34を架設するための位置をユーザーに指示するために用いられる。表示制御部41cは、入力部45によってバーコードが入力され、又はバーコードリーダー36Aによってバーコードが読み取られた緊急試薬容器33、34を、緊急試薬ポート31、32に架設する位置を示す架設指示画面D3を表示部44に表示する制御を行う。
架設指示画面D3には、図2に示したような生化学分析装置1の概略画像が表示される。そして、緊急試薬容器33、34を架設するための位置は、緊急試薬ポート31、32を示す画像アイコン65、66内の緊急試薬容器33、34の画像が点滅することで示される。これによりユーザーは、正しい位置に緊急試薬容器33、34を架設することができる。ユーザーは緊急試薬容器33、34をセットした後、OKボタンを押下することで緊急試薬容器33、34の追加作業を終了する。その後、生化学分析装置1は、緊急試薬容器33、34に収容された試薬を用いて検体の測定を行う。
図10は、試薬情報の入力画面D4の表示例を示す説明図である。
入力画面D4は、図7に示す選択画面D1のアイコンボタン62がクリックされた後に表示部44に表示される。この場合、緊急試薬容器33、34にはバーコードが付されていないので、ユーザーは入力部45を操作して緊急試薬容器33、34に収容される試薬の試薬情報を手入力する。図中の「RTT1 追加Port」と記載された領域67には、緊急試薬ポート31に架設される最大3本の緊急試薬容器33の試薬情報が示される。この領域67には、ユーザーが入力部45を用いて入力した情報が表示される。図中の「RTT2 追加Port」と記載された領域68には、緊急試薬ポート32に架設される最大3本の緊急試薬容器34の試薬情報が示される。この領域68にも、ユーザーが入力部45を用いて入力した情報が表示される。ユーザーは試薬情報を入力した後、OKボタンを押下することで、試薬情報が生化学分析装置1に登録され、次画面に遷移する。遷移後の画面は上述した図9に示す架設指示画面D3となる。
以上説明した第2の実施の形態例に係る生化学分析装置1Aによれば、緊急試薬容器33、34にバーコードが付されていればバーコードリーダー36Aによって読み取られたバーコードの試薬情報が生化学分析装置1Aに登録される。また、緊急試薬容器33、34にバーコードが付されていなければユーザーが手入力した試薬情報が生化学分析装置1Aに登録される。このため、緊急試薬容器33、34にバーコードが付されているか否かによって試薬情報を登録するための方法を選択することが可能となる。
[第3の実施の形態例]
<3−1.生化学分析装置の構成>
次に、本発明の第3の実施の形態例に係る生化学分析装置1Bの構成について説明する。
図11は、第3の実施の形態例に係る生化学分析装置1Bを模式的に示す説明図である。
この生化学分析装置1Bは、検体を希釈する希釈機構を備えている。ここでは、主に希釈機構の構成例及び動作例について説明する。
生化学分析装置1Bは、図1に示した生化学分析装置1が備える各機構に加えて、希釈機構として希釈ターンテーブル3と、サンプル希釈ピペット7と、希釈撹拌装置9と、希釈洗浄装置11とを備えている。
サンプルターンテーブル2には、複数の検体容器21と、複数の希釈液容器22が収容されている。希釈液容器22には、通常の希釈液である生理食塩水以外の特別な希釈液が収容される。
複数の希釈液容器22は、複数の検体容器21の列よりもサンプルターンテーブル2の半径方向の内側に配置されている。複数の希釈液容器22は、複数の検体容器21と同様に、サンプルターンテーブル2の周方向に所定の間隔を開けて並べて配置されている。そして、サンプルターンテーブル2の周方向に並べられた希釈液容器22の列は、サンプルターンテーブル2の半径方向に所定の間隔を開けて2列セットされている。
なお、複数の検体容器21及び複数の希釈液容器22の配列は、2列に限定されるものではなく、1列でもよく、あるいはサンプルターンテーブル2の半径方向に3列以上配置してもよい。
希釈ターンテーブル3(希釈容器保持部の一例)は、サンプルターンテーブル2と同様に、軸方向の一端が開口した略円筒状をなす容器状に形成されており、不図示の駆動機構により、その周方向に所定の角度範囲ずつ、所定の速度で回転する。
希釈ターンテーブル3は、希釈ターンテーブル3の周方向に並べて収容された複数の希釈容器23を保持している。希釈容器23には、サンプルターンテーブル2に配置された検体容器21から吸引され、希釈液により希釈された検体(以下、「希釈検体」という)が収容される。
反応容器26には、希釈ターンテーブル3の希釈容器23からサンプリングした希釈検体と、第1試薬ターンテーブル4の第1試薬容器24又は緊急試薬ポート31の緊急試薬容器33からサンプリングした第1試薬と、第2試薬ターンテーブル5の第2試薬容器25又は緊急試薬ポート32の緊急試薬容器34からサンプリングした第2試薬が分注される。そして、この反応容器26内において、希釈検体と、第1試薬及び第2試薬が撹拌され、反応が行われる。
サンプル希釈ピペット7(希釈分注部の一例)は、サンプルターンテーブル2と希釈ターンテーブル3の周囲に配置される。サンプル希釈ピペット7は、不図示の希釈ピペット駆動機構により、サンプルターンテーブル2及び希釈ターンテーブル3の軸方向(例えば、上下方向)に移動可能に支持されている。また、サンプル希釈ピペット7は、希釈ピペット駆動機構により、サンプルターンテーブル2及び希釈ターンテーブル3の開口と略平行をなす水平方向に沿って回動可能に支持されている。そして、サンプル希釈ピペット7は、水平方向に沿って回動することで、サンプルターンテーブル2と希釈ターンテーブル3の間を往復運動する。なお、サンプル希釈ピペット7がサンプルターンテーブル2と希釈ターンテーブル3の間を移動する際、サンプル希釈ピペット7は、不図示の洗浄装置を通過する。
ここで、サンプル希釈ピペット7の動作について説明する。
サンプル希釈ピペット7がサンプルターンテーブル2における開口の上方の所定位置に移動した際、サンプル希釈ピペット7は、サンプルターンテーブル2の軸方向に沿って下降し、その先端に設けたピペットを検体容器21内に挿入する。このとき、サンプル希釈ピペット7は、不図示のサンプル用ポンプが作動して検体容器21内に収容された検体を所定量吸引する。次に、サンプル希釈ピペット7は、サンプルターンテーブル2の軸方向に沿って上昇してピペットを検体容器21内から抜き出す。そして、サンプル希釈ピペット7は、水平方向に沿って回動し、希釈ターンテーブル3における開口の上方の所定位置に移動する。
次に、サンプル希釈ピペット7は、希釈ターンテーブル3の軸方向に沿って下降して、ピペットを所定の希釈容器23内に挿入する。そして、サンプル希釈ピペット7は、吸引した検体と、サンプル希釈ピペット7自体から供給される所定量の希釈液(例えば、生理食塩水)を希釈容器23内に吐出する。その結果、希釈容器23内で、検体が所定倍数の濃度に希釈される。その後、サンプル希釈ピペット7は、洗浄装置によって洗浄される。
そして、サンプリングピペット8は、希釈ターンテーブル3の希釈容器23内にピペットを挿入して、所定量の希釈検体を吸引する。そして、サンプリングピペット8は、吸引した希釈検体を反応ターンテーブル6の反応容器26内に吐出する。希釈撹拌装置9は、不図示の撹拌子を希釈容器23内に挿入し、検体と希釈液を撹拌する。多波長光度計16は、反応容器26内に注入され、第1試薬及び第2試薬と反応した希釈検体に対して光学的測定を行って、希釈検体の反応状態を検出する。
希釈洗浄装置11は、サンプリングピペット8によって希釈検体が吸引された後の希釈容器23を洗浄する装置である。この希釈洗浄装置11は、複数の希釈容器洗浄ノズルを有している。複数の希釈容器洗浄ノズルは、不図示の廃液ポンプと、不図示の洗剤ポンプに接続されている。希釈洗浄装置11は、希釈容器洗浄ノズルを希釈容器23内に挿入し、廃液ポンプを駆動させて挿入した希釈容器洗浄ノズルによって希釈容器23内に残留する希釈検体を吸い込む。そして、希釈洗浄装置11は、吸い込んだ希釈検体を不図示の廃液タンクに排出する。その後、希釈洗浄装置11は、洗剤ポンプから希釈容器洗浄ノズルに洗剤を供給し、希釈容器洗浄ノズルから希釈容器23内に洗剤を吐出する。この洗剤によって希釈容器23内を洗浄する。その後、希釈洗浄装置11は、洗剤を希釈容器洗浄ノズルによって吸引し、希釈容器23内を乾燥させる。
以上説明した第3の実施の形態例に係る生化学分析装置1Bは希釈機構を備えることにより、第1試薬及び第2試薬と反応した希釈検体に対して光学的測定を行うことが可能である。このため、検体の量がわずかであっても、十分な光学的測定が可能となる。また、緊急試薬ポート31、32に緊急試薬容器33、34を架設することで、緊急試薬容器33、34に収容される試薬を用いて希釈検体の測定を行うことが可能となる。
[4.変形例]
<4−1.第1の変形例>
図12は、第1の変形例に係る生化学分析装置1Cの構成図である。
生化学分析装置1Cは、緊急試薬ポート31A、32A(緊急試薬容器保持部の一例)を備える。緊急試薬ポート31A、32Aは、第1試薬ターンテーブル4、第2試薬ターンテーブル5の筐体の一部を外側に変形させた部分に設けられ、同体とされる。これにより緊急試薬ポート31A、32Aは、第1試薬ターンテーブル4、第2試薬ターンテーブル5の保冷機能を用いて、緊急試薬容器33、34を保冷することが可能である。また、緊急試薬ポート31A、32Aには、第1試薬ターンテーブル4、第2試薬ターンテーブル5に設けられた保冷機構とは異なる保冷機構を設ける必要がないため、生化学分析装置1の構成を簡素化することが可能となる。
<4−2.第2の変形例>
図13は、第2の変形例に係る生化学分析装置1Dの構成図である。
生化学分析装置1Dは、サンプルターンテーブル2と反応ターンテーブル6の他に、試薬ターンテーブル10(試薬容器保持部の一例)を備える。試薬ターンテーブル10には、第1試薬容器24と第2試薬容器25が試薬ターンテーブル10の周方向に並べて収容されている。
サンプリングピペット8は、軌道c3に沿って水平方向に移動し、反応ターンテーブル6に収容される反応容器26に検体容器21から吸引した検体を吐出する。
第1試薬ピペット12は、軌道c11に沿って水平方向に移動し、試薬ターンテーブル10に収容される第1試薬容器24から吸引した第1試薬を、反応ターンテーブル6に収容される反応容器26に吐出する。また、第1試薬ピペット12は、軌道c11に沿って水平方向に移動し、緊急試薬ポート31に収容される緊急試薬容器33から吸引した第1試薬を、反応ターンテーブル6に収容される反応容器26に吐出することもできる。
第2試薬ピペット13は、軌道c12に沿って水平方向に移動し、試薬ターンテーブル10に収容される第2試薬容器25から吸引した第2試薬を、反応ターンテーブル6に収容される反応容器26に吐出する。また、第2試薬ピペット13は、軌道c12に沿って水平方向に移動し、緊急試薬ポート32に収容される緊急試薬容器34から吸引した第2試薬を、反応ターンテーブル6に収容される反応容器26に吐出することもできる。
このような生化学分析装置1Dでは、第1試薬容器24、第2試薬容器25を1つの試薬ターンテーブル10に収容することが可能である。そして、上述した第1の実施の形態例に係る生化学分析装置1と同様に、緊急試薬ポート31に収容される緊急試薬容器33の第1試薬と、緊急試薬ポート32に収容される緊急試薬容器34の第2試薬とを用いることができる。
<4−3.他の変形例>
なお、上述した各実施の形態例において、臨床検査用自動分析装置の一例として生化学分析装置1の構成及び動作例を説明したが、免疫分析装置、血液学検査装置に、本発明に係る自動分析装置を適用してもよい。
また、1次元バーコードだけでなく、2次元バーコード等に試薬情報を含めてもよい。また、緊急試薬容器33、34に試薬情報が書き込まれたICタグを埋め込み、バーコードリーダー36、36Aの代わりにICタグリーダーを用いることで、ICタグから試薬情報を読み出せるようにしてもよい。
また、試薬ターンテーブル10は、第1試薬、第2試薬の他、第3試薬を収容する第3試薬容器を架設可能としてもよい。
また、生化学分析装置1Dは、第1試薬ピペット12又は第2試薬ピペット13のいずれかだけを設け、緊急試薬ポート31又は緊急試薬ポート32のいずれかだけを設けてもよい。
また、本発明は上述した実施の形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施の形態例は本発明を分かりやすく説明するために装置の構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態例の構成の一部を他の実施の形態例の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施の形態例の構成に他の実施の形態例の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
1…生化学分析装置、2…サンプルターンテーブル、3…希釈ターンテーブル、4…第1試薬ターンテーブル、5…第2試薬ターンテーブル、6…反応ターンテーブル、7…サンプル希釈ピペット、8…サンプリングピペット、10…試薬ターンテーブル、12…第1試薬ピペット、13…第2試薬ピペット、16…多波長光度計、31、32…緊急試薬ポート、33、34…緊急試薬容器、35…架設部、36…バーコードリーダー

Claims (10)

  1. 測定対象の検体を収容する検体容器を保持する検体容器保持部と、
    試薬を収容する試薬容器を保持する試薬容器保持部と、
    前記試薬容器保持部に付設され、前記試薬を収容する緊急試薬容器を保持する緊急試薬容器保持部と、
    前記検体及び前記試薬が攪拌される反応容器を保持する反応容器保持部と、
    前記検体容器から前記検体を吸引し、前記反応容器に前記検体を分注する検体分注部と、
    前記試薬容器又は前記緊急試薬容器から前記試薬を吸引し、前記反応容器に前記試薬を分注する試薬分注部と、
    前記反応容器に分注された前記検体を所定の測定サイクルで測定する測定部と、
    前記測定部が前記検体を測定する前記測定サイクルの制御、及び前記緊急試薬容器保持部が保持する前記緊急試薬容器に応じて前記試薬分注部が前記試薬容器又は前記緊急試薬容器から前記試薬を吸引するための制御を行う制御部と、を備え、
    前記制御部は、前記緊急試薬容器保持部に前記緊急試薬容器が架設されると、前記測定部が前記試薬容器から分注された前記試薬を用いて前記検体を測定する前記測定サイクルに、前記緊急試薬容器から分注された前記試薬を用いて前記検体を測定する前記測定サイクルを割り込ませ、
    前記試薬分注部は、前記試薬容器から前記試薬を吸引する位置から前記反応容器に前記試薬を分注する位置まで移動する軌道に沿って前記緊急試薬容器保持部に保持される前記緊急試薬容器から前記試薬を吸引し、前記反応容器に前記試薬を分注する
    自動分析装置。
  2. 前記制御部は、
    前記緊急試薬容器保持部に前記緊急試薬容器を架設する作業が行われている間は、前記試薬分注部を前記緊急試薬容器保持部まで移動させない制御を行う分注動作制御部と、
    前記緊急試薬容器保持部に架設された前記緊急試薬容器を使用可能な状態である場合に、前記測定サイクルを割り込ませる制御を行う測定サイクル制御部と、を備える
    請求項1に記載の自動分析装置。
  3. さらに、前記緊急試薬容器に収容される前記試薬の試薬情報を入力する入力部と、
    前記試薬情報を表示する表示部と、
    前記緊急試薬容器に収容される前記試薬情報を含む試薬識別情報を読み取る読み取り部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記緊急試薬容器保持部に前記緊急試薬容器が架設されたことを検出する架設検出部と、
    前記緊急試薬容器に収容される前記試薬情報を取得する試薬情報取得部と、
    前記試薬情報に基づいて、前記緊急試薬容器を前記緊急試薬容器保持部に架設するための情報を示す画面を前記表示部に表示する表示制御部とを有する
    請求項2に記載の自動分析装置。
  4. 前記表示制御部は、前記緊急試薬容器に前記試薬識別情報が付されている場合には、前記読み取り部が前記試薬識別情報を読み取り、前記緊急試薬容器に前記試薬識別情報が付されていない場合には、前記入力部により前記試薬情報を入力することを選択するための画面を前記表示部に表示する制御を行い、
    前記試薬情報取得部は、前記読み取り部が読み取った前記試薬識別情報に基づく前記試薬情報、又は前記入力部により入力された前記試薬情報を取得する
    請求項3に記載の自動分析装置。
  5. 前記読み取り部は、前記緊急試薬容器保持部と一体に設けられ、又は移動可能に設けられる
    請求項3又は4のいずれか1項に記載の自動分析装置。
  6. 前記表示制御部は、前記入力部によって前記試薬識別情報が入力され、又は前記読み取り部によって前記試薬識別情報が読み取られた前記緊急試薬容器を、前記緊急試薬容器保持部に架設する位置を示す画面を前記表示部に表示する制御を行う
    請求項3〜5のいずれか1項に記載の自動分析装置。
  7. 前記緊急試薬容器保持部は、前記試薬容器保持部と別体又は同体とされる
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動分析装置。
  8. 前記試薬容器保持部は、
    第1試薬を収容する第1試薬容器を保持する第1試薬容器保持部と、
    第2試薬を収容する第2試薬容器を保持する第2試薬容器保持部であり、
    前記緊急試薬容器保持部は、
    前記第1試薬容器保持部に近接して配置され、前記第1試薬を収容する第1緊急試薬容器を保持する第1緊急試薬容器保持部と、
    前記第2試薬容器保持部に近接して配置され、前記第2試薬を収容する第2緊急試薬容器を保持する第2緊急試薬容器保持部であり、
    前記試薬分注部は、
    前記第1試薬容器保持部が保持する前記第1試薬容器又は前記第1緊急試薬容器から吸引した前記第1試薬を前記反応容器に分注する第1試薬分注部と、
    前記第2試薬容器保持部が保持する前記第2試薬容器又は前記第2緊急試薬容器から吸引した前記第2試薬を前記反応容器に分注する第2試薬分注部である
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の自動分析装置。
  9. さらに、前記検体を希釈液により希釈した希釈検体を収容する希釈容器を保持する希釈容器保持部と、
    前記検体容器から前記検体を吸引し、前記希釈容器に前記検体を分注して前記希釈検体を作成する希釈分注部と、を備え、
    前記検体分注部は、前記希釈容器から前記希釈検体を吸引し、前記反応容器に前記希釈検体を分注する
    請求項8に記載の自動分析装置。
  10. 測定対象の検体を収容する検体容器を保持する検体容器保持部と、
    試薬を収容する試薬容器を保持する試薬容器保持部と、
    前記試薬容器保持部に付設され、前記試薬を収容する緊急試薬容器を保持する緊急試薬容器保持部と、
    前記検体及び前記試薬が攪拌される反応容器を保持する反応容器保持部と、
    前記検体容器から前記検体を吸引し、前記反応容器に前記検体を分注する検体分注部と、
    前記試薬容器又は前記緊急試薬容器から前記試薬を吸引し、前記反応容器に前記試薬を分注する試薬分注部と、
    前記反応容器に分注された前記検体を測定する測定部と、
    前記測定部が前記検体を測定する測定サイクルの制御、及び前記緊急試薬容器保持部が保持する前記緊急試薬容器に応じて前記試薬分注部が前記試薬容器又は前記緊急試薬容器から前記試薬を吸引するための制御を行う制御部と、を備える自動分析装置の自動分析方法であって、
    前記制御部が、前記緊急試薬容器保持部に前記緊急試薬容器が架設されると、前記測定部が前記試薬容器から分注された前記試薬を用いて前記検体を測定する測定サイクルに、前記緊急試薬容器から分注された前記試薬を用いて前記検体を測定する測定サイクルを割り込ませるステップと、
    前記試薬分注部が、前記試薬容器から前記試薬を吸引する位置から前記反応容器に前記試薬を分注する位置まで移動する軌道に沿って前記緊急試薬容器保持部に保持される前記緊急試薬容器から前記試薬を吸引し、前記反応容器に前記試薬を分注するステップと、を含む
    自動分析方法。
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