JP2017050209A - 全固体電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、容量維持率が向上した全固体電池の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、負極活物質及び硫化物固体電解質を有する負極活物質層を作製する、負極活物質層作製工程と、正極活物質及び硫化物固体電解質を有する正極活物質層を作製する、正極活物質層作製工程と、負極活物質層、硫化物固体電解質層、及び正極活物質層を積層する積層工程を有する全固体電池の製造方法であって、負極活物質層作製工程後、積層工程前に、負極活物質層を80℃〜150℃で加熱乾燥し、かつ、正極活物質層作製工程後、積層工程前に、正極活物質層を80℃以上では加熱乾燥しない、全固体電池の製造方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、全固体電池の製造方法に関する。
現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウムイオン電池が注目を浴びている。その中でも、電解液を固体電解質に置換した全固体電池が特に注目を浴びている。これは、全固体電池が、電解液を用いる電池と異なり、電解液を用いないことから、過充電に起因する電解液の分解等を生じることがないこと、及び高いサイクル耐久性及びエネルギー密度を有していることを理由とする。
全固体電池に用いられる、硫化物固体電解質等の固体電解質は、水と反応することにより、リチウムイオン伝導率が低下する等の問題が知られている。そのため、全固体電池の性能を向上させるために、全固体電池の製造工程において、固体電解質と水の反応を抑制することが重要である。
この点に関して、特許文献1では、電解質として硫化物固体電解質を用いた全固体電池の製造工程において、正極活物質層、負極活物質層、及び固体電解質層を作製後、140℃以上に加熱することにより全固体電池から水を除去して、その温度が100℃に低下する前に防水加工することにより全固体電池に水が吸着することを防止して、固体電解質と水の反応を抑制している。
なお、特許文献2では、アルミニウムを材料とする集電体、及び硫化物固体電解質を有する活物質層を用いた全固体電池の製造工程において、集電体及び活物質層を、60℃以上の温度で加熱して密着させている。
また、特許文献3では、液系のリチウムイオン電池について、非水電解液を電池ケース内に注液する前に、活物質層を90℃以上125℃以下の温度で5時間加熱することにより、活物質層のはく離や崩落が生じ難く耐久性に優れた液系のリチウムイオン電池を製造している。
特開2014−216217号公報 特許第5747506号公報 特開2015−72793号公報
全固体電池の容量維持率の低下の原因の一つとして、全固体電池中の固体電解質と水との反応による、固体電解質の劣化が挙げられる。そのため、全固体電池の製造工程において、固体電解質から水を除去することにより、全固体電池の容量維持率を改善することが考えられる。
固体電解質から水を除去する方法としては、全固体電池全体を加熱乾燥する方法が考えられる。しかしながら、全固体電池全体を加熱した場合、十分な容量維持率が得られないことが分かった。これは、全固体電池全体を加熱すると正極活物質が固体電解質と反応してしまうためと考えられる。
したがって、全固体電池全体を加熱する方法よりも、より容量維持率を向上させることができる方法が望まれる。
本発明は、容量維持率が向上した全固体電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、負極活物質及び硫化物固体電解質を有する負極活物質層を作製する、負極活物質層作製工程と、正極活物質及び硫化物固体電解質を有する正極活物質層を作製する、正極活物質層作製工程と、負極活物質層、硫化物固体電解質層、及び正極活物質層を積層する積層工程を有する全固体電池の製造方法であって、負極活物質層作製工程後、積層工程前に、負極活物質層を80℃〜150℃で加熱乾燥し、かつ、正極活物質層作製工程後、積層工程前に、正極活物質層を80℃以上では加熱乾燥しない、全固体電池の製造方法である。
本発明によれば、容量維持率が向上した全固体電池の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の製造方法における製造工程を示した図である。 図2は、実施例1、比較例1、及び比較例2の全固体電池の容量維持率を比較したグラフである。 図3は、実施例1〜4、比較例1及び比較例3の全固体電池容量維持率を比較したグラフである。 図4は、負極活物質層を、作製後に露点環境下(−80℃)で放置した場合の、放置時間と負極活物質層の水分含有率(wt%)の関係を表したグラフである。
以下、本発明の実施の形態について詳述する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるのではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本発明は、負極活物質及び硫化物固体電解質を有する負極活物質層を作製する、負極活物質層作製工程と、正極活物質及び硫化物固体電解質を有する正極活物質層を作製する、正極活物質層作製工程と、負極活物質層、硫化物固体電解質層、及び正極活物質層を積層する積層工程を有する全固体電池の製造方法であって、負極活物質層作製工程後、積層工程前に、負極活物質層を80℃〜150℃で加熱乾燥し、かつ、正極活物質層作製工程後、積層工程前に、正極活物質層を少なくとも80℃以上では加熱乾燥しない、全固体電池の製造方法である。
本発明の方法は、例えば、正極活物質層を作製する正極活物質層作製工程、及び負極活物質層を作製する負極活物質層作製工程を行った後に、負極活物質層を乾燥する工程を行い、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層を積層する積層工程を行う方法が挙げられる(図1参照)。
原理によって限定されるものではないが、本発明の作用原理は以下のとおりであると考える。
全固体電池に用いられる、硫化物固体電解質等の固体電解質は、水を吸収しやすく、露点環境下(−80℃)においても、固体電解質と接する雰囲気中に含まれる水を吸収する。そして、固体電解質が水を吸収すると、固体電解質中に含まれるリチウム等が水と反応して、固体電解質のリチウムイオン伝導率が低下する。そのため、固体電解質の水の吸収を抑制する方法、又は固体電解質から水を除去する方法が必要である。
固体電解質の水の吸収を抑制する方法としては、−80℃以下で固体電解質を管理する方法が挙げられる。しかし、この方法は管理コストが膨大であり、現実的ではない。
一方、固体電解質の水を除去する方法としては、全固体電池全体を加熱する方法が挙げられる。しかしながら、全固体電池全体を加熱した場合、固体電解質が他の全固体電池材料と反応してしまう場合がある。特に、正極活物質は固体電解質と反応しやすく、したがって、正極活物質層を加熱した場合、正極活物質と固体電解質が反応して正極活物質が劣化する。よって、全固体電池全体を加熱した場合、全固体電池の容量維持率は、かえって低下してしまう。
そこで、本発明者は、全固体電池の製造工程において、負極活物質層を作製後、全固体電池組立前に負極活物質層のみを加熱して、負極活物質層中の固体電解質が吸収した水を除去することにより、正極活物質を劣化させることなく、全固体電池の容量維持率を向上させる方法を見出した。
なお、負極活物質層を加熱して水を除去した後であっても、負極活物質層を長時間放置した場合には、負極活物質中の固体電解質が雰囲気中の水を吸収してしまう。そのため、負極活物質層を加熱して水を除去した後、全固体電池を組み立てるまでの時間が短いほうが、より容量維持率を向上させることができると考えられる。
<負極活物質層作製工程>
本発明の方法における負極活物質層作製工程は、負極活物質及び硫化物固体電解質を有する負極活物質層を作製する工程である。負極活物質層作製工程により作製される負極活物質層は、負極活物質、及び硫化物固体電解質、並びに随意に導電助剤及びバインダーを有していてよい。また、負極活物質層作製工程において、負極活物質層は、負極集電体上に作製することができる。
1.負極活物質
負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオン等を吸蔵・放出可能であれば特に限定されない。負極活物質の具体例としては、金属、例えば、Li、Sn、Si、若しくはIn等、LiとTi、Mg若しくはAlとの合金、若しくは炭素材料、例えば、ハードカーボン、ソフトカーボン若しくはグラファイト等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
2.硫化物固体電解質
硫化物固体電解質としては、特に限定されず、例えば、LiS−P、LiO−LiS−P、LiS、P、LiS−SiS、LiI−LiS−SiS、LiI−LiPO−P、LiI−LiS−P、若しくはLiI−LiS−B等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
3.導電助剤
導電助剤としては、VGCF、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)、若しくはカーボンナノファイバー(CNF)等の炭素材料の他、ニッケル、アルミニウム、若しくはSUS等の金属、又はこれらの組み合わせを上げることができる。
4.バインダー
バインダーとしては、特に限定されず、ポリマー樹脂、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、若しくはカルボキシメチルセルロース(CMC)等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。高温耐久性の観点から、バインダーとしては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリル、若しくはカルボキシメチルセルロース等、又はこれらの組み合わせが好ましい。
5.負極集電体
負極集電体の原材料としては、特に限定されることなく、各種金属、例えば、Ag、Cu、Au、Al、Ni、Fe、SUS、若しくはTi等、又はこれらの合金の集電体を用いることができる。化学的安定性の観点から、負極集電体としては、銅の集電体が好ましい。
6.負極活物質層の製造方法
本発明における負極活物質層の作製方法は特に限定されず、例えば、負極活物質、硫化物固体電解質、及びバインダーを分散媒に分散して作製した負極活物質層材料のペーストを、負極集電体としての金属箔に塗布し、乾燥させることによって作製することができる。
<正極活物質層作製工程>
本発明における正極活物質層作製工程は、正極活物質及び硫化物固体電解質を有する正極活物質層を作製する工程である。正極活物質層作製工程により作製される正極活物質層は、正極活物質、及び硫化物固体電解質、並びに随意に導電助剤及びバインダーを有していてよい。また、正極活物質層作製工程において、正極活物質層は正極集電体上に作製することができる。
1.正極活物質
正極活物質としては、リチウム二次電池の正極活物質材料として用いられる材料であれば特に限定されない。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(Li1+xNi1/3Co1/3Mn1/3)、マンガン酸リチウム(LiMn)、Li1+xMn2−x−y(MがAl、Mg、Co、Fe、Ni、Znから選ばれる一種類以上)で表される組成の異種元素置換Li−Mnスピネル、チタン酸リチウム(LiTiO)、若しくはLiMPO(MがFe、Mn、Co、Niから選ばれる一種類以上)で表される組成のリン酸金属リチウム等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
また、正極活物質は、成分としてリチウムを有するリチウム含有金属酸化物である保護コーティングによって被覆されていてもよい。これにより、正極活物質が固体電解質と反応して酸化物被膜を形成することを抑制して、正極活物質の劣化を抑制することができる。リチウム含有金属酸化物としては、リチウムイオン伝導性を有し、かつ正極活物質又は固体電解質と接触しても流動しない被覆層の形態を維持できる物質であれば特に限定されない。例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、チタン酸リチウム(LiTiO12)、又はリン酸リチウム(LiPO)等を用いることができる。
正極活物質に対してリチウム含有金属酸化物をコーティングする方法は特に限定されないが、例えば、転動流動式コーティング、スパッタリング法、ゾルゲル法、静電噴霧法、ボールミリング法などを挙げることができる。
正極活物質層中の正極活物質の含有率(体積%)は、50〜90体積%が好ましく、55体積%以上、60体積%以上、又は65体積%以上であってよく、かつ85体積%以下、75体積%以下、又は70体積%以下であってよい。正極活物質層中の正極活物質の含有量が多いほうが、全固体電池の正極容量を増加させることができるためである。
2.硫化物固体電解質
硫化物固体電解質としては、上述の、負極活物質層に用いるものと同様の物を用いることができる。
3.導電助剤
導電助剤としては、上述の、負極活物質層に用いるものと同様の物を用いることができる。
4.バインダー
バインダーとしては、上述の、負極活物質層に用いるものと同様の物を用いることができる。
正極集電体の原材料としては、特に限定されることなく、各種金属、例えば、Ag、Cu、Au、Al、Ni、Fe、SUS、若しくはTi等、又はこれらの合金の集電体を用いることができる。化学的安定性の観点から、正極集電体としては、アルミニウムの集電体が好ましい。
本発明における正極活物質層の作製方法は特に限定されないが、例えば、正極活物質、硫化物固体電解質、及びバインダーを分散媒に分散して作製した正極活物質層材料のペーストを、正極集電体としての金属箔に塗布し、乾燥させることによって作製することができる。
<積層工程>
本発明における積層工程は、負極活物質層、硫化物固体電解質層、及び正極活物質層を積層する工程である。
積層工程は、負極活物質層から水を除去するための加熱乾燥後、2時間以内に行われるのが好ましく、1時間以内、又は30分以内に行われるのがより好ましい。負極活物質層中の固体電解質は水を吸収しやすいため、負極活物質層から水を除去するための加熱乾燥後、積層工程を行わずに負極活物質層を長時間放置すると、再び負極活物質中の固体電解質が大気中から水を吸収し、負極活物質層から水を除去するための加熱乾燥の効果が減少するためである。
<負極活物質層の加熱乾燥>
本発明では、負極活物質層を作製後、80℃〜150℃で加熱乾燥する。負極活物質層を加熱することによって、負極活物質中の固体電解質が吸収した水を除去することができる。これにより、固体電解質と水が反応することによる固体電解質のリチウムイオン伝導率の低下を抑制し、全固体電池の容量維持率を向上させることができる。
加熱乾燥の温度は、80℃以上、85℃以上、90℃以上、100℃以上、105℃以上、110℃以上、又は115℃以上であってよく、150℃以下、145℃以下、140℃以下、135℃以下、130℃以下、125℃以下、又は120℃以下であってよい。80℃より低い温度では、水を十分に除去することができず、逆に、150℃より高い温度では、負極集電体と固体電解質が反応して全固体電池の内部抵抗が増加する恐れがあるからである。
負極活物質層を加熱乾燥する時間は特に限定されない。加熱乾燥する時間は、10分以上、20分以上、30分以上、40分以上、50分以上、1時間以上、1.5時間以上、2時間以上、2.5時間以上、又は3時間以上であってよい。
また、負極活物質層を加熱乾燥する時間は、好ましくは30分〜2時間の範囲内であることが好ましい。一定時間の範囲内で加熱乾燥を行うことで、固体電解質から水をより効果的に除去しつつ、固体電解質と他の負極活物質材料等との反応を抑制することができるためである。
なお、本発明の方法では、正極活物質層を80℃以上では加熱乾燥しない。ここで、「正極活物質層を80℃以上では加熱乾燥しない」とは、固体電解質から水を除去する加熱乾燥を、80℃以上では正極活物質層に対して行わないという意味であり、したがって、例えば、正極活物質層を作製するために行う加熱乾燥は80℃以上で行ってもよい。より具体的には、本発明の方法では、正極活物質層を作製する工程において行う、正極活物質層材料のペーストから分散媒を蒸発させて正極活物質層を作製するための加熱乾燥は80℃以上で行ってもよい。
これは、正極活物質層を80℃以上で加熱すると、正極活物質層中の正極活物質と固体電解質が反応し、正極活物質層の内部抵抗が増加する等により、全固体電池の容量維持率が低下することによる。
<本発明の製造方法により作製される全固体電池の構成例>
本発明の製造方法により作製される全固体電池は、全固体電池としての機能を有していればよく、その構造は特に限定されない。例えば、このような全固体電池としては、正極集電体、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、及び負極集電体をこの順で有している全固体電池が挙げられる。
以下の方法により、実施例1〜4、及び比較例1〜3の全固体電池を作製し、それぞれの放電容量を評価した。
<実施例1>
1.正極活物質層の作製
大気環境下において、転動流動式コーティング装置(パウレック社製)を用いて、正極活物質としての平均粒径6μmのLiNi1/3Mn1/3Co1/3上に、LiNbOをコーティングした。得られた粒子を大気環境下で焼成して、LiNbOによるコーティングがされた正極活物質を作製した。
LiNbOによるコーティングがされた正極活物質、硫化物固体電解質としての平均粒径0.8μmの15LiBr・10LiI・75(0.75LiS・0.25P)ガラスセラミック、バインダーとしてのPVdF(クレハ製)の5wt%酪酸ブチル溶液、及び分散媒としての酪酸ブチルを、ポリプロピレン製容器内に入れた。その後、ポリプロピレン製容器を、超音波分散装置(エスエムテー社製UH−50)を用いて30秒間撹拌し、その後、振とう器(柴田化学社製TTM−1)を用いて3分間振とうした。更に、ポリプロピレン製容器を、超音波分散装置を用いて30秒間撹拌し、その後、振とう器を用いて3分間振とうすることにより、正極活物質層材料のペーストを作製した。
正極活物質層材料のペーストを、アプリケーターを使用して、ブレード法にて正極集電体としてのカーボン塗アルミニウム箔(昭和電工社製SDX)に塗工して、その後、自然乾燥するまで放置した。その後、100℃に加熱したホットプレート上で30分間乾燥することで、正極集電体上に正極活物質層を作製した。
2.固体電解質層の作製
固体電解質としての平均粒径2.5μmの15LiBr・10LiI・75(0.75LiS・0.25P)ガラスセラミック、バインダーとしてのブタジエンゴム( 社製)を溶解した5wt%ヘプタン溶液、及び分散媒としてのヘプタンを、ポリプロピレン製容器に加えて、超音波分散装置で30秒間撹拌した。その後、ポリプロピレン製容器を振とう器で30分間振とうして、固体電解質層材料のペーストを作製した。
固体電解質層材料のペーストを、アプリケーターを使用して、ブレード法にて基盤としてのアルミニウム箔に塗工し、その後、自然乾燥するまで放置した。その後、100℃に加熱したホットプレート上で30分間乾燥することにより、基盤上に固体電解質層を作製した。
3.負極活物質層の作製
負極活物質としての平均粒径10μmの天然黒鉛系カーボン(日本カーボン社製)、硫化物固体電解質としての平均粒径0.8μmの15LiBr・10LiI・75(0.75LiS・0.25P)ガラスセラミック、バインダーとしてのPVdF(クレハ製)の5wt%酪酸ブチル溶液、及び分散媒としての酪酸ブチルを、ポリプロピレン製容器内に入れた。その後、ポリプロピレン製容器を、超音波分散装置(エスエムテー社製UH−50)を用いて30秒間撹拌し、その後、振とう器(柴田化学社製TTM−1)を用いて30分間振とうすることにより、負極活物質層材料のペーストを作製した。
負極活物質層材料のペーストを、アプリケーターを使用して、ブレード法にて正極集電体としての銅箔に塗工して、その後、自然乾燥するまで放置した。その後、100℃に加熱したホットプレート上で30分間乾燥することで、負極集電体上に負極活物質層を作製した。
4.負極活物質層から水を除去するための乾燥
作製した負極活物質層をグローブボックス内に入れて、80℃で1時間乾燥させることにより、負極活物質中の水を除去した。なお、正極活物質層に対しては、乾燥を行わなかった。
5.電池の組立
固体電解質層を面積1cmの金型に入れて、1ton/cmでプレスした。その後、固体電解質層と正極活物質層を、固体電解質層と正極活物質層が接するようにして積層し、1ton/cmでプレスして、固体電解質層と正極活物質層の積層体とした。その後、固体電解質層上の基盤としてのアルミニウム箔を剥がした。その後、この固体電解質層と正極活物質層の積層体と負極活物質層を、固体電解質層と負極活物質層が接するようにして積層し、6ton/cmでプレスして、実施例1の全固体電池を作製した。
<実施例2〜4>
負極活物質層から水を除去するための乾燥において、温度を、実施例2につき100℃、実施例3につき120℃、及び実施例4につき150℃としたことを除いて、実施例1と同様にして実施例2〜4の全固体電池を作製した。
<比較例1>
負極活物質層から水を除去するための乾燥を行わなかったことを除いて、実施例1と同様にして比較例1の全固体電池を作製した。
<比較例2>
負極活物質層から水を除去するための乾燥に加えて、負極活物質層から水を除去するための乾燥と同様の条件で、正極活物質層から水を除去するための乾燥を行ったことを除いて、実施例1と同様にして比較例2の全固体電池を作製した。
<比較例3>
負極活物質層から水を除去するための乾燥において、温度を170℃としたことを除いて、実施例1と同様にして比較例3の全固体電池を作製した。
<全固体電池の容量維持率の評価>
実施例1〜4、及び比較例1〜3の全固体電池に対して、以下の方法により容量維持率の評価を行った。
実施例1〜4、及び比較例1〜3の全固体電池に対して、それぞれ0.8mA(終止電流条件は、0.016mAh)で4.37Vまで充電した後、3Vまで0.5mA(終止電流条件は、0.016mAh)で放電を行い、各全固体電池の放電容量を測定した。
各全固体電池をそれぞれ0.8mA(終止電流条件は、0.016mAh)で3.9Vまで充電した後、60℃で28日間、保存した。その後、各全固体電池に対して、0.8mA(終止電流条件は、0.016mAh)で4.37Vまで充電した後、3Vまで0.5mA(終止電流条件は、0.016mAh)で放電を行い、各全固体電池の放電容量を測定した。
各全固体電池について、保存前の放電容量に対する保存後の放電容量の割合(%)を容量維持率として評価した。
<結果1>
図2は、実施例1、比較例1、及び比較例2の全固体電池の容量維持率を比較したグラフである。図2のとおり、容量維持率は、80℃で負極活物質層を加熱乾燥した実施例1では約68%であったのに対して、負極活物質層を加熱乾燥しなかった比較例1では約53%であり、負極活物質層及び正極活物質層に対して加熱乾燥を行った比較例2では約58%であった。
80℃で負極活物質層を加熱乾燥した実施例1及び負極活物質層及び正極活物質層に対して加熱乾燥を行った比較例2の全固体電池の容量維持率は、負極活物質層を加熱乾燥しなかった比較例1の全固体電池の容量維持率よりも大きい。この結果からは、実施例1、及び比較例2の全固体電池では、加熱乾燥により全固体電池から水が除去されたことによって、比較例1の全固体電池よりもリチウムと水による化学反応が少なく、比較例1の全固体電池よりも容量維持率が大きくなったと考えられる。
負極活物質層及び正極活物質層に対して加熱乾燥を行った比較例2の全固体電池の容量維持率は、80℃で負極活物質層を加熱乾燥した実施例1の全固体電池の容量維持率よりも小さい。これは、比較例2の全固体電池では正極活物質層を乾燥させて水を除去する際に、加熱によって正極活物質層中の正極活物質と硫化物固体電解質が反応して、正極活物質と硫化物固体電解質との間にリチウムイオン伝導率の低い抵抗膜が生成するなどにより、内部抵抗が増加したことによると考えられる。
以上から、全固体電池の容量維持率を向上させる手段として、全固体電池の組立前に、負極活物質層のみを加熱・乾燥させて水を除去することが有効であるといえる。
<結果2>
図3は、実施例1〜4、比較例1及び比較例3の全固体電池容量維持率を比較したグラフである。図3のとおり、容量維持率は、80℃で負極活物質層を加熱乾燥した実施例1では約68%であるのに対して、100℃で負極活物質層を加熱乾燥した実施例2では約67%、120℃で負極活物質層を加熱乾燥した実施例3では約66%、150℃で負極活物質層を加熱乾燥した実施例4では約61%、負極活物質層を加熱乾燥しなかった比較例1では約53%、及び170℃で負極活物質層を加熱乾燥した比較例3では約44%、である。
即ち、負極活物質層から水を除去するための加熱乾燥をそれぞれ80℃、100℃、120℃、又は150℃で行っている実施例1〜4の全固体電池の容量維持率は、負極活物質層から水を除去するための加熱乾燥を行っていない比較例1の全固体電池の容量維持率よりも大きかった。
これに対して、170℃で負極活物質層から水を除去するための加熱乾燥を行った、比較例3の全固体電池の容量維持率は、負極活物質層を加熱乾燥しなかった比較例1の全固体電池の容量維持率よりも小さい。これは、170℃以上で負極活物質層から水を除去するための加熱乾燥を行った場合に、負極活物質層中の硫化物固体電解質と、負極集電体が反応して、負極集電体と負極活物質層の間に硫化銅等の、電子伝導性の低い膜が形成される等により、内部抵抗が増加したことによると考えられる。
以上から、負極活物質層から水を除去するための乾燥を行うための温度は、80℃〜150℃の範囲内であることが好ましいといえる。また、170℃以上では、逆に容量維持率が低下するといえる。
<参考例>
図4は、負極活物質層作製後、露点環境下(−80℃)で保管した場合の、放置時間と負極活物質層の水分含有率(wt%)の関係を表したグラフである。
作製された負極活物質層は、露点環境下で(−80℃)で保管していても、時間の経過とともに水分含有率(wt%)が増加する。そのため、負極活物質層作製後、全固体電池組立までの時間が短いほど、完成した全固体電池の水分含有率を減少させることができ、より容量維持率を高めることができると考えられる。

Claims (1)

  1. 負極活物質及び硫化物固体電解質を有する負極活物質層を作製する、負極活物質層作製工程と、
    正極活物質及び硫化物固体電解質を有する正極活物質層を作製する、正極活物質層作製工程と、
    前記負極活物質層、硫化物固体電解質層、及び前記正極活物質層を積層する積層工程を有する全固体電池の製造方法であって、
    前記負極活物質層作製工程後、前記積層工程前に、前記負極活物質層を80℃〜150℃で加熱乾燥し、かつ、前記正極活物質層作製工程後、前記積層工程前に、前記正極活物質層を80℃以上では加熱乾燥しない、
    全固体電池の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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