JP2017048108A - 光学ガラス、光学素子及びプリフォーム - Google Patents

光学ガラス、光学素子及びプリフォーム Download PDF

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浩人 野嶋
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Abstract

【課題】所望の高い屈折率及びアッベ数を有しながらも、プレス成形時におけるガラスの割れやクラックを低減でき、ひいては光学素子の生産性を高めることが可能な光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を提供する。【解決手段】光学ガラスは、カチオン成分としてP5+、Al3+並びにMg2+、Ca2+、Sr2+及びBa2+からなる群(R2+)から選ばれる少なくとも1種を含有し、アニオン成分としてO2−及びF−を含有し、ガラス転移点(Tg)と屈伏点(At)との間の温度範囲における、線膨張係数の最大値(αmax)が1500×10−7K−1以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、光学ガラス、光学素子及びプリフォームに関する。
近年、光学系を使用する機器のデジタル化や高精細化が急速に進んでおり、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮影機器をはじめ、各種光学機器に用いられるレンズ等の光学素子に対する高精度化や軽量化の要求は、ますます強まっている。
特に、研削や研磨法で非球面レンズを作製することは高コスト、低能率であるために、非球面レンズの製造方法としては、ゴブ或いはガラスブロックを切断・研磨したプリフォーム材を加熱軟化させ、これを高精度な面を持つ成形型で加圧成形させることによって、研削・研磨工程を省略し、低コスト・大量生産が実現している。
このようなプレス成形に用いられる光学ガラスとしての中でも特に、光学素子の薄型化や軽量化を図ることが可能な、高い屈折率(nd)と高いアッベ数(νd)を有するガラスの需要が非常に高まっている。このような高屈折率低分散ガラスとしては、例えば1.50以上の屈折率を有する光学ガラスとして、特許文献1〜5に代表されるようなガラスが知られている。
特開2008−137877号公報 特開2009−256149号公報 特開2010−235429号公報 特開2012−001422号公報 特開2012−012282号公報
しかしながら、特許文献1〜5に記載の光学ガラスでは、プレス成形を行った際にガラスの割れやクラックが多く発生していた。ここで、プレス成形後に割れやクラックが発生したガラスは、もはや光学素子として用いることができない。そのため、プレス成形時における割れやクラックに低減された光学ガラスの開発が望まれている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、所望の高い屈折率及びアッベ数を有しながらも、プレス成形時におけるガラスの割れやクラックを低減でき、ひいては光学素子の生産性を高めることが可能な光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、本発明を完成させた。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) カチオン成分としてP5+、Al3+並びにMg2+、Ca2+、Sr2+及びBa2+からなる群(R2+)から選ばれる少なくとも1種を含有し、アニオン成分としてO2−及びFを含有し、ガラス転移点(Tg)と屈伏点(At)との間の温度範囲における、線膨張係数の最大値(αmax)が1500×10−7−1以下である光学ガラス。
(2) カチオン%(モル%)表示で
5+の含有率が15.0〜70.0%、
Al3+の含有率が5.0〜30.0%
Ca2+の含有率が0〜30.0%、
Mg2+の含有率が0〜30.0%、
Sr2+の含有率が0〜30.0%、
Ba2+の含有率が0〜60.0%
である(1)の記載の光学ガラス。
(3) Sr2+含有率、Ca2+含有率及びMg2+含有率の合計に対する、Ba2+含有率の比(Ba2+/(Mg2++Ca2++Sr2+))が0〜30.0である(1)から(2)のいずれか記載の光学ガラス。
(4) Mg2+含有率及びSr2+含有率の合計量が0〜30.0%である(1)から(3)記載の光学ガラス。
(5) アニオン%(モル%)表示で、
の含有率が20.0〜70.0%、
2−の含有率が30.0〜80.0%
である(1)から(4)のいずれか記載の光学ガラス。
(6) アルカリ土類金属の合計含有率(R2+:カチオン%)が30.0〜70.0%である(1)から(5)のいずれか記載の光学ガラス。
(7) アルカリ土類金属の合計含有率に対する、Ba2+含有率の比(Ba2+/R2+)が0以上である(1)から(6)のいずれか記載の光学ガラス。
(8) カチオン%(モル%)表示で、
La3+の含有率が0〜10.0%、
Gd3+の含有率が0〜10.0%、
3+の含有率が0〜10.0%、
Yb3+の含有率が0〜10.0%、
である(1)から(7)のいずれか記載の光学ガラス。
(9) La3+、Gd3+、Y3+及びYb3+の合計含有率(Ln3+:カチオン%)が0〜20.0%である(1)から(8)のいずれか記載の光学ガラス。
(10) カチオン%(モル%)表示で、
Liの含有率が0〜10.0%、
Naの含有率が0〜10.0%、
の含有率が0〜10.0%
である(1)から(9)のいずれか記載の光学ガラス。
(11) アルカリ金属の合計含有率(Rn:カチオン%)が20.0%以下である(1)から(10)のいずれか記載の光学ガラス。
(12) カチオン%(モル%)表示で、
Si4+の含有率が0〜10.0%、
3+の含有率が0〜15.0%、
Zn2+の含有率が0〜30.0%、
Ti4+の含有率が0〜10.0%、
Nb5+の含有率が0〜10.0%、
6+の含有率が0〜10.0%、
Zr4+の含有率が0〜10.0%、
Ta5+の含有率が0〜10.0%、
Ge4+の含有率が0〜10.0%、
Bi3+の含有率が0〜10.0%、
Te4+の含有率が0〜15.0%
である(1)から(11)のいずれか記載の光学ガラス。
(13) 屈折率(nd)が1.50以上であり、60以上のアッベ数(νd)を有する(1)から(12)のいずれか記載の光学ガラス。
(14) 熔融ガラスとNi、Cr、Ti、Nb、V、Mo、Pt、Pd、Ir、Rh、Os、Ru、Re、W、Ta、Au、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びCからなる元素群から選ばれる少なくとも1種類以上からなる薄膜との接触角が40°以上である(1)から(13)のいずれか記載の光学ガラス。
(15) (1)から(14)のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
(16) (1)から(14)のいずれか記載の光学ガラスからなる研磨加工用及び/又は精密プレス成形用のプリフォーム。
(17) (16)記載のプリフォームを精密プレスしてなる光学素子。
本発明によれば、所望の高い屈折率及びアッベ数を有しながらも、プレス成形後のガラスへの割れやクラックを生じ難くでき、ひいては光学素子の生産性を高めることが可能な光学ガラスと、これを用いたプリフォーム及び光学素子を提供することができる。
本発明の光学ガラスは、カチオン成分としてP5+、Al3+及びMg2+、Ca2+、Sr2+及びBa2+からなる群(R2+)から選ばれる少なくとも1種を含有し、アニオン成分としてO2−及びFを含有し、屈折率(nd)が1.50以上であり、ガラス転移点(Tg)と屈伏点(At)との間の温度範囲における、線膨張係数の最大値(αmax)が1500×10−7−1以下である。これにより、所望の高い屈折率及びアッベ数が得られながらも、ガラス転移点より高い温度に加熱してプレス成形を行っても、プレス成形後のガラスが割れ難くなり、クラックも生じ難くなる。そのため、光学素子の薄型化や軽量化を図りながらも、特に光学素子の作製工程のうちガラスをプレス成形する工程で割れたりクラックが入ったりするガラスを低減できることで、光学素子の生産性を高めることができる。
以下、本発明の光学ガラスについて説明する。本発明は、以下の態様に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所について説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
<ガラス成分>
本発明の光学ガラスを構成する各成分について説明する。
本明細書中において、各成分の含有率は特に断りがない場合は、全てモル比に基づくカチオン%又はアニオン%で表示されるものとする。ここで、「カチオン%」及び「アニオン%」(以下、「カチオン%(モル%)」及び「アニオン%(モル%)」と表記することがある)は、本発明の光学ガラスのガラス構成成分をカチオン成分及びアニオン成分に分離し、それぞれにおいて合計割合を100モル%として、ガラス中に含有される各成分の含有率を表記した組成である。
なお、各成分のイオン価は便宜的に代表値を用いているに過ぎないため、他のイオン価のものと区別するものではない。光学ガラス中に存在する各成分のイオン価は、代表値以外である可能性がある。例えば、Pは、通常イオン価が5価の状態でガラス中に存在するので、本明細書中では「P5+」と表しているが、他のイオン価の状態で存在する可能性がある。このように、厳密には他のイオン価の状態で存在するものであっても、本明細書では、各成分が代表値のイオン価でガラス中に存在するものとして扱う。
[カチオン成分について]
5+は、ガラス形成成分であるため、必須成分として0%超含有すべきである。特に、P5+を15.0%以上含有することで、ガラスの耐失透性を高め、接触角を上昇させることができる。そのため、P5+の含有率は、好ましくは15.0%、より好ましくは25.0%、さらに好ましくは30.0%さらに好ましくは35.0%を下限とする。
一方で、P5+の含有量を70.0%以下にすることで、ガラスの線膨張係数の最大値を低くでき、且つP5+による屈折率やアッベ数の低下を抑えられる。従って、P5+の含有率は、好ましくは70.0%、より好ましくは60.0%、さらに好ましくは55.0%、を上限とする。
5+は、原料としてAl(PO、Ca(PO、Ba(PO、Zn(PO、BPO、HPO等を用いることができる。
Al3+は、0%超含有含有することで、ガラスの微細構造の骨格形成に寄与することで耐失透性を高められる必須成分である。従って、Al3+の含有率は、好ましくは0%超、より好ましくは5.0%、より好ましくは6.0%、さらに好ましくは8.0%を下限とする。
一方で、Al3+の含有量を30.0%以下にすることで、ガラスの線膨張係数の最大値を低くでき、且つAl3+による屈折率やアッベ数の低下を抑えられる。従って、Al3+の含有率は、好ましくは30.0%、より好ましくは28.0%、さらに好ましくは25.0%、さらに好ましくは20.0%、さらに好ましくは16.0%を上限とする。
Al3+は、原料としてAl(PO、AlF、Al等を用いることができる。
Ca2+は、0%超含有する場合に、ガラスの線膨張係数の最大値を小さくでき、ガラスの耐失透性を高められる必須成分である。従って、Ca2+の含有率は、好ましくは0%超、より好ましくは0.1%、より好ましくは5%、さらに好ましくは8.0%を下限とする。
一方で、Ca2+の含有率を30.0%以下にすることで、Ca2+の過剰な含有によるガラスの耐失透性や屈折率の低下を抑えられる。従って、Ca2+の含有率は、好ましくは30.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは13.0%を上限とする。
Ca2+は、原料としてCa(PO、CaCO、CaF等を用いることができる。
Sr2+は、0%超含有する場合に、ガラスの線膨張係数の最大値を下げられ、ガラスの耐失透性を高められ、且つ屈折率の低下を抑えられる任意成分である。
一方で、Sr2+の含有率を30.0%以下にすることで、ガラスの線膨張係数の最大値を下げる作用の特に強いCa2+の含有量をより増加させても、安定なガラスを得ることができる。また、Sr2+の過剰な含有によるガラスの耐失透性や屈折率の低下を抑えられる。従って、Sr2+の含有率は、好ましくは30.0%、より好ましくは18.0%、さらに好ましくは15.0%、さらに好ましくは13.0%、さらに好ましくは10.0%を上限とする。
Sr2+は、原料としてSr(NO、SrF等を用いることができる。
Ba2+は、0%超含有する場合に、ガラスの耐失透性を高めながらも、ガラスの線膨張係数の最大値を低くでき、低い分散性を維持し、且つ屈折率を高められる任意成分である。従って、Ba2+の含有率は、好ましくは10.0%超、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは25.0%、さらに好ましくは30.0%、さらに好ましくは32.0%を下限としてもよい。
一方で、Ba2+の含有率を60.0%以下にすることで、Ba2+の過剰な含有によるガラスの耐失透性の低下を抑えられる。従って、Ba2+の含有率は、好ましくは60.0%、より好ましくは55.0%、より好ましくは50.0%を上限とする。
Ba2+は、原料としてBa(PO、BaCO、Ba(NO、BaF等を用いることができる。
Mg2+は、0%超含有する場合に、ガラスの線膨張係数の最大値を低くでき、ガラスの耐失透性を高められる任意成分である。
しかし、Mg2+は、アルカリ土類金属の中では最もガラスの線膨張係数の最大値を低くする作用が弱い成分である。そのため、Mg2+の含有率を30.0%以下にすることにより、安定なガラスを形成できる他のアルカリ土類金属の添加量の上限を高めることで、ガラスの線膨張係数の最大値をより低くし易くできる。また、ガラスの屈折率の低下を抑えられる。従って、Mg2+の含有率は、好ましくは30.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。
Mg2+は、原料としてMgO、MgF等を用いることができる。
本発明の光学ガラスでは、Sr2+含有率、Ca2+含有率及びMg2+含有率の合計に対する、Ba2+含有率の比(Ba2+/(Mg2++Ca2++Sr2+))は、0以上が好ましい。これにより、線膨張係数の最大値を下げる作用が強いBa2+によってガラスの線膨張係数の最大値をより低くできる。従って、カチオン比(Ba2+/(Mg2++Ca2++Sr2+))は、好ましくは0.50、より好ましくは1.0、さらに好ましくは1.5、さらに好ましくは2.50を下限とする。
なお、このカチオン比(Ba2+/(Mg2++Ca2++Sr2+))の上限は、無限大(すなわちBa2+のみアルカリ土類金属が含有)であってもよいが、例えば30.0、より具体的には20.0、さらに具体的には15.0を上限としてもよい。
本発明の光学ガラスは、Mg2+及びSr2+の合計含有率が30.0%以下であることが好ましい。
特に、この合計含有率を30.0%以下にすることで、ガラスの線膨張係数の最大値をより低くすることができる。従って、合計含有率(Mg2++Sr2+)は、好ましくは30.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは15.0%、さらに好ましくは10.0%を上限とする。
アルカリ土類金属は、Mg2+、Ca2+、Sr2+及びBa2+からなる群から選ばれる1種以上を意味する。また、Mg2+、Ca2+、Sr2+及びBa2+からなる群から選ばれる1種以上をR2+と表す場合がある。
また、R2+の合計含有率とは、これら4つのイオンのうち1種以上の合計含有率(例えばMg2++Ca2++Sr2++Ba2+)を意味するものとする。
2+の合計含有率は30.0%以上70.0%以下であることが好ましい。特に、R2+を30.0%以上含有することで、ガラスの線膨張係数の最大値を低くでき、且つより耐失透性の高いガラスを得ることができる。従って、R2+の合計含有率は、好ましくは30.0%、さらに好ましくは35.0%、さらに好ましくは40.0%を下限とする。
一方で、R2+の含有量を70.0%以下にすることで、R2+の過剰な含有による失透を低減できる。従って、R2+の合計含有率は、好ましくは70.0%、より好ましくは65.0%、より好ましくは60.0%、さらに好ましくは58.0%を上限とする。
本発明の光学ガラスでは、アルカリ土類金属R2+含有率の合計に対する、Ba2+含有率の比(Ba2+/R2+)は、0以上が好ましい。これにより、線膨張係数の最大値を下げる作用が強いBa2+によってガラスの線膨張係数の最大値をより低くできる。従って、カチオン比(Ba2+/R2+)は、好ましくは0、より好ましくは0超、さらに好ましくは0.1、さらに好ましくは0.3、さらに好ましくは0.5を下限とする。
なお、このカチオン比(Ba2+/R2+)の上限は、1(すなわちBa2+のみアルカリ土類金属が含有)であってもよいが、例えば0.9、より具体的には0.8を上限としてもよい。
Liは、0%超含有する場合に、ガラス形成時の耐失透性を高く維持しつつ、ガラス転移点を下げられる任意成分である。
一方で、Liの含有率を10.0%以下含有することで、より多くのCa2+を入れても安定なガラスを得られるため、ガラスの線膨張係数の最大値をより低くし易くできる。また、屈折率の低下や、化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、Liの含有率は、より好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%を上限とし、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満とする。
Liは、原料としてLiCO、LiNO、LiF等を用いることができる。
La3+、Gd3+、Y3+及びYb3+は、少なくともいずれかを0%超含有する場合に、高屈折率及び高アッベ数を維持しながらも、耐失透性を高められる任意成分である。
一方で、La3+、Gd3+、Y3+及びYb3+の各々の含有量を10.0%以下にすることで、これら成分の過剰な含有による失透を低減でき、且つガラスの材料コストを低減できる。従って、La3+含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%、最も好ましくは1.0%未満を上限とする。Gd3+は接触角を低下させる効果があるため含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%、さらに好ましくは1.0%未満、最も好ましくは0.5%を上限とする。Y3+含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%、さらに好ましくは1.0%未満、最も好ましくは0.5%未満とする。Yb3+含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%、最も好ましくは1.0%未満を上限とする。
La3+、Gd3+、Y3+及びYb3+は、原料としてLa、LaF、Gd、GdF、Y、YF、Yb等を用いることができる。
Ln3+は、Y3+、La3+、Gd3+及びYb3+からなる群から選ばれる少なくとも一つを意味する。また、Ln3+の合計含有率は、これらの5つのイオンの合計含有率(Y3++La3++Gd3++Yb)を表す場合がある。
特に、Ln3+の合計含有率を20.0%以下にすることで、Ln3+の過剰な含有による失透を低減でき、且つガラスの材料コストを低減できる。従って、Ln3+の合計含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは3.0%、さらに好ましくは1.0%未満、さらに好ましくは0.5%未満とする。
Na及びKは、0%超含有する場合に、ガラス形成時の耐失透性を高く維持しつつ、ガラス転移点を下げられる任意成分である。
一方で、Na及びKのうち1種以上の含有率を10.0%以下にすることで、屈折率の低下や、化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、NaびKの各々の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
Na及びKは、原料としてNaCO、NaNO、NaF、NaSiF、KCO、KNO、KF、KHF、KSiF等を用いることができる。
本発明においてRnは、Li、Na及びKからなる群から選ばれる少なくとも一つを意味する。また、Rnの合計含有率は、これらの3つのイオンの合計含有率(Li+Na+K)を表す場合がある。
特に、Rnの合計含有率を20.0%以下にすることで、ガラスの屈折率の低下や、化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、Rnの合計含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。
Si4+は、0%超含有する場合に、ガラスの耐失透性を高め、屈折率を高め、磨耗度を低下できる任意成分である。
一方で、Si4+の含有率を10.0%以下にすることで、Si4+の過剰な含有による失透を低減できる。従って、Si4+の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
Si4+は、原料としてSiO、KSiF、NaSiF等を用いることができる。
3+は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率と耐失透性を高められる任意成分である。
一方で、B3+の含有率を15.0%以下にすることで、化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、B3+の含有率は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。
3+は、原料としてHBO、Na、BPO等を用いることができる。
Zn2+は、0%超含有する場合に、ガラスの耐失透性を高められる任意成分である。
一方で、Zn2+の含有率は30.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えられる。従って、Zn2+の含有率は、好ましくは30.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは5.0%、さらに好ましくは2.0%を上限とする。
Zn2+は、原料としてZn(PO、ZnO、ZnF等を用いることができる。
Nb5+、Ti4+及びW6+は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められる任意成分である。加えて、Nb5+は、0%超含有する場合に化学的耐久性を高められる成分である。また、W6+は、0%超含有する場合にガラス転移点を低くできる成分である。
一方で、Nb5+、Ti4+及びW6+の各々の含有率を10.0%以下にすることで、アッベ数の低下を抑えられ、且つガラスの着色による可視光透過率の低下を抑えられる。従って、Nb5+、Ti4+及びW6+の各々の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
Nb5+、Ti4+及びW6+は、原料としてNb、TiO、WO等を用いることができる。
Zr4+は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められる任意成分である。
一方で、Zr4+の含有率を10.0%以下にすることで、ガラス中の成分の揮発によるガラスの脈理を抑えられる。従って、Zr4+の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
Zr4+は、原料としてZrO、ZrF等を用いることができる。
Ta5+は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高められる任意成分である。
一方で、Ta5+の含有率を10.0%以下にすることで、ガラスの失透を低減できる。従って、Ta5+の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。
Ta5+は、原料としてTa等を用いることができる。
Ge4+は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高め、耐失透性を高められる任意成分である。
一方で、Ge4+の含有率を10.0%以下にすることで、高価なGe4+の含有量が減少することで、ガラスの材料コストを低減できる。そのため、Ge4+の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%とする。
Ge4+は、原料としてGeO等を用いることができる。
Bi3+及びTe4+は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率を高め、ガラス転移点を低くできる任意成分である。
一方で、Bi3+の含有率は10.0%以下にし、及び/又は、Te4+の含有率を15.0%以下にすることで、ガラスの失透や、着色による可視光透過率の低下を抑えられる。従って、Bi3+の含有率は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%を上限とする。また、Te4+の含有率は、好ましくは15.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%を上限とする。
Bi3+及びTe4+は、原料としてBi、TeO等を用いることができる。
[アニオン成分について]
本発明の光学ガラスはFを含有する。Fの含有率は、例えば20.0%〜70.0%にすることが好ましい。
特に、Fを20.0%以上含有することで、ガラスの異常分散性やアッベ数を高め、且つガラスの耐失透性を高められる。従って、Fの含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは22.0%、さらに好ましくは24.0%とする。
一方で、Fの含有率を70.0%以下にすることで、ガラスの磨耗度の低下を抑えられる。従って、Fの含有率は、好ましくは70.0%、より好ましくは60.0%、より好ましくは50.0%、さらに好ましくは45.0%、さらに好ましくは38.0%を上限とする。
は、原料としてAlF、MgF、BaF等の各種カチオン成分のフッ化物を用いることができる。
本発明の光学ガラスはO2−を含有する。O2−の含有率は、例えば30.0%〜80.0%にすることが好ましい。
特に、O2−を30.0%以上含有することで、ガラスの失透や、磨耗度の上昇を抑制できる。従って、O2−の含有率は、好ましくは30.0%、より好ましくは40.0%、さらに好ましくは50.0%、さらに好ましくは55.0%、さらに好ましくは62.0%を下限とする。
一方で、O2−の含有率を80.0%以下にすることで、他のアニオン成分による効果を得易くできる。従って、O2−の含有率は、好ましくは80.0%、より好ましくは76.0%、さらに好ましくは70.0%を上限とする。
また、ガラスの失透を抑制する観点から、O2−の含有率とFの含有率の合計は、好ましくは98.0%、より好ましくは99.0%を下限とし、さらに好ましくは100%とする。
2−は、原料としてAl、MgO、BaO等の各種カチオン成分の酸化物や、Al(PO)、Mg(PO)、Ba(PO)等の各種カチオン成分の燐酸塩等を用いることができる。
[その他の成分について]
本発明の光学ガラスには、他の成分を本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加できる。
[含有すべきでない成分について]
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
Ti、Zr、Nb、W、La、Gd、Y、Yb、Luを除く、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の遷移金属のカチオンは、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でもガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じる性質があるため、特に可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。
Pb、Th、Cd、Tl、Os、Be及びSeのカチオンは、近年有害な化学物質として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、不可避な混入を除き、これらを実質的に含有しないことが好ましい。これにより、光学ガラスに環境を汚染する物質が実質的に含まれなくなる。そのため、特別な環境対策上の措置を講じなくとも、この光学ガラスを製造し、加工し、及び廃棄できる。
SbやAsのカチオンは、脱泡剤として有用ではあるが、環境に不利益を及ぼす成分として、近年光学ガラスに含めないようにする傾向がある。そのため、本発明の光学ガラスは、このような点からSbやAsを含まないことが好ましい。
[製造方法]
本発明の光学ガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、上記原料を各成分が所定の含有率の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を石英坩堝又はアルミナ坩堝又は白金坩堝に投入して粗溶融した後、白金坩堝、白金合金坩堝又はイリジウム坩堝に入れて900〜1200℃の温度範囲で2〜10時間溶融し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、850℃以下の温度に下げてから仕上げ攪拌を行って脈理を除去し、金型に鋳込んで徐冷することにより製造することができる。
[物性]
本発明の光学ガラスでは、ガラス転移点(Tg)と屈伏点(At)との間の温度範囲における線膨張係数の最大値(αmax)は、1500×10−7−1以下であることが好ましい。これにより、特に屈折率が高く薄型の光学素子を作製する場合であっても、ガラス転移点より高い温度に加熱してプレス成形を行ったときにガラスが割れ難くなるため、光学素子の生産性を高めることができる。このようにガラスが割れ難くなる理由として、例えば、ガラスを加熱して軟化させる際や、軟化したガラスをプレス成形して冷却する際に、ガラス内部の温度差によって、ガラス内部に線膨張係数の大きいガラス転移点以上の高温部と、線膨張係数の小さいガラス転移点以下の低温部に分かれたときに、高温部の熱膨張や熱収縮が小さくなることで、高温部の熱膨張や熱収縮によって低温部に掛かる力が小さくなることが挙げられる。
従って、本発明の光学ガラスでは、ガラス転移点(Tg)と屈伏点(At)との間の温度範囲における線膨張係数の最大値(αmax)の上限は、好ましくは1500×10−7−1、より好ましくは1300×10−7−1、さらに好ましくは1100×10−7−11、さらに好ましくは1015×10−7−1とする。一方で、この線膨張係数の最大値(αmax)の下限は、好ましくは500×10−7−1、より好ましくは600×10−7−1、さらに好ましくは700×10−7−1としてもよい。
なお、本明細書では、ガラス転移点(Tg)と屈伏点(At)との間の温度範囲における線膨張係数の最大値を、単に「線膨張係数の最大値」と記載することがある。
本発明の光学ガラスは、溶融により形成される溶融ガラスと溶融ガラスとNi、Cr、Ti、Nb、V、Mo、Pt、Pd、Ir、Rh、Os、Ru、Re、W、Ta、Au、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びCからなる元素群から選ばれる少なくとも1種類以上からなる薄膜(以下、離形膜)との接触角が40°以上であることが好ましい。これにより、離型膜の形成された成形型で光学ガラスをプレス成形する際に、離型膜と光学ガラスとの接触角が高められるため、離型膜と光学ガラスとの融着を低減し、成形型や離型膜の長寿命化を図ることができる。特に、本発明の光学ガラスの離形膜との接触角は、好ましくは40°、より好ましくは70°、さらに好ましくは100°を下限とする。
本発明の光学ガラスは、高屈折率を有する。また、本発明の光学ガラスは、高アッベ数(低分散)を有することが好ましい。
特に、本発明の光学ガラスの屈折率(nd)は、好ましくは1.50、より好ましくは1.51、さらに好ましくは1.52を下限とする。この屈折率の上限は、好ましくは2.00、より好ましくは1.90、さらに好ましくは1.80であってもよい。
また、本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)は、好ましくは60、より好ましくは65、さらに好ましくは68を下限とし、好ましくは90、より好ましくは85、さらに好ましくは80を上限とする。
このような高屈折率を有することで、光学素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。また、このような低分散を有することで、単レンズであっても光の波長による焦点のずれ(色収差)が小さくなる。また、屈折率及びアッベ数がこのような数値を取ることで、近年発表されている高屈折・高分散の光学特性を有する光学ガラスと組み合わせたときに、高パワーの光学設計を行うことが可能な光学ガラスを得ることができる。
従って、本発明の光学ガラスは、光学設計上有用であり、光学系の高精度化及び薄型化を図ることができるため、光学設計の自由度を広げることができる。
なお、屈折率(nd)及びアッベ数(νd)は、日本光学硝子工業会規格JOGIS01−2003に基づいて測定して得た値を意味するものとする。
本発明の光学ガラスは、ガラス作製時における耐失透性(明細書中では、単に「耐失透性」という場合がある。)が高いことが好ましい。これにより、ガラス作製時におけるガラスの結晶化等による透過率の低下が抑えられるため、この光学ガラスをレンズ等の可視光を透過させる光学素子に好ましく用いることができる。なお、ガラス作製時における耐失透性が高いことを示す尺度としては、例えば液相温度が低いことが挙げられる。
本発明の光学ガラスは、550℃以下のガラス転移点を有することが好ましい。これにより、ガラスがより低い温度で軟化するため、より低い温度でガラスをプレス成形できる。また、プレス成形に用いる金型の酸化を低減して金型の長寿命化を図ることもできる。従って、本発明の光学ガラスのガラス転移点は、好ましくは550℃、より好ましくは530℃、さらに好ましくは510℃を上限とする。なお、本発明の光学ガラスのガラス転移点の下限は特に限定されないが、本発明の光学ガラスのガラス転移点は、好ましくは100℃、より好ましくは200℃、さらに好ましくは300℃を下限としてもよい。
また、本発明の光学ガラスは、650℃以下の屈伏点(At)を有することが好ましい。屈伏点は、ガラス転移点と同様にガラスの軟化性を示す指標の一つであり、プレス成形温度に近い温度を示す指標である。そのため、屈伏点が650℃以下のガラスを用いることにより、より低い温度でのプレス成形が可能になるため、より容易にプレス成形を行うことができる。従って、本発明の光学ガラスの屈伏点は、好ましくは650℃、より好ましくは600℃、最も好ましくは570℃を上限とする。なお、本発明の光学ガラスの屈伏点は、好ましくは150℃、より好ましくは250℃、さらに好ましくは350℃を下限としてもよい。
[プリフォーム及び光学素子]
作製された光学ガラスから、例えばリヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製することができる。すなわち、光学ガラスからモールドプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、研磨加工を行って作製したプリフォームや、公知の浮上成形等により成形されたプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりすることができる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
このようにして作製されるガラス成形体は、様々な光学素子及び光学設計に有用である。特に、本発明の光学ガラスから、精密プレス成形等の手段を用いて、レンズやプリズム、ミラー等の光学素子を作製することが好ましい。これにより、カメラやプロジェクタ等のような光学素子に可視光を透過させる光学機器に用いたときに、高精細で高精度な結像特性等を実現しつつ、これら光学機器における光学系の軽量化を図ることができる。
本発明の光学ガラスである実施例1〜6及び比較例のガラスの組成(カチオン%表示又はアニオン%表示のモル%で示す)、屈折率(nd)、アッベ数(νd)、ガラス転移点(Tg)、屈伏点(At)及び線膨張係数の最大値(αmax)、離型膜との接触角を表1に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例のみ限定されるものではない。
本発明の実施例及び比較例の光学ガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、メタ燐酸化合物等の通常の弗燐酸塩ガラスに使用される高純度原料を選定し、表1に示した各実施例の組成の割合になるように秤量して均一に混合した後、白金坩堝に投入し、ガラス組成の溶融難易度に応じて電気炉で900〜1200℃の温度範囲で2〜5時間溶解し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、850℃以下に温度を下げてから金型に鋳込み、徐冷してガラスを作製した。
ここで、実施例及び比較例のガラスの屈折率及びアッベ数は、日本光学硝子工業会規格JOGIS01―2003に基づいて測定した。なお、本測定に用いたガラスとしては、徐冷降下速度−25℃/hrのアニール条件で、徐冷炉で処理したものを用いた。
また、実施例及び比較例のガラスのガラス転移点(Tg)及び屈伏点(At)は、日本光学硝子工業会規格JOGIS08−2003「光学ガラスの熱膨張の測定方法」に従い、温度と試料の伸びとの関係を測定することで得られる熱膨張曲線より求めた。
また、実施例及び比較例のガラスの線膨張係数の最大値(αmax)は、日本光学硝子工業会規格JOGIS08−2003「光学ガラスの熱膨張の測定方法」に従って測定し、ガラス転移点(Tg)から屈伏点(At)までの間における5℃刻みの線膨張係数の最大値を求めた。線膨張係数の計算には、5の倍数の温度における試料の長さを用いた。
また、実施例及び比較例の光学ガラスの離形膜との接触角は、以下の濡れ性試験によって測定した。すなわち、粉砕及び篩分けした400〜700μmの粒径のガラス粉を、5×5mm程度の離形膜からなる膜が成膜されたプレートに載せて試料を作製し、この試料を窒素雰囲気中で溶融状態となる温度で熱処理した。加熱によって試料が液滴状になった後で試料を室温(25℃)まで急冷し、固化した試料とプレートとの接触角θを測定した。
Figure 2017048108
表1に表されるように、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもガラス転移点(Tg)と屈伏点(At)との間の温度範囲における線膨張係数の最大値(αmax)の上限が1500×10−7−1以下、より詳細には1020×10−7−1以下であり、所望の範囲内であった。一方、比較例(No.A)のガラスは、線膨張係数の最大値(αmax)の上限が1500×10−7−1を上回っていた。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、比較例のガラスに比べて線膨張係数の最大値(αmax)の上限が小さいことが明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも接触角が40以上より詳細には70以上、さらに詳細には100以上であり所望の範囲内であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも屈折率が1.50以上、より詳細には1.57以上であり、所望の範囲内であった。また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数が60以上、より詳細には67以上であるとともに、このアッベ数は80以下、より詳細には72以下であり、所望の範囲内であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもガラス転移点が550℃以下、より詳細には510℃以下であり、所望の範囲内であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも屈伏点が650℃以下、より詳細には550℃以下であり、所望の範囲内であった。
従って、本発明の実施例の光学ガラスは、アッベ数が所望の範囲内にありながらも、所望の高い屈折率を有しており、且つ、線膨張係数の最大値(αmax)の上限が小さいことが明らかになった。
さらに、本発明の実施例の光学ガラスに対してプレス成形を行い、レンズやプリズムの形状に加工した。その結果、実施例の光学ガラスをプレス成形したときに、比較例のガラスに比べて、成形後のガラスに割れが生じ難いことが明らかになった。そのため、本発明の実施例の光学ガラスは、比較例のガラスに比べて線膨張係数の最大値が小さいため、プレス成形後のガラスに割れが生じ難いことが推察される。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

Claims (10)

  1. カチオン%(モル%)表示で、
    5+の含有率が25.0〜55.0%、
    Al3+の含有率が5.0〜30.0%、
    Mg2+の含有率が0%を超え10.0%以下、
    Ca2+の含有率が0%を超え13.0%以下、
    Sr2+の含有率が0〜10.0%、
    Ba2+の含有率が15.0%以上38.8%以下、
    アニオン%(モル%)表示で、
    の含有率が20.0〜70.0%、
    2−の含有率が30.0〜80.0%
    であり、
    Mg2+含有率及びSr2+含有率の合計量が2.2〜30.0%、
    Sr2+含有率、Ca2+含有率及びMg2+含有率の合計に対するBa2+含有率の比(Ba2+/(Mg2++Ca2++Sr2+))が2.50〜15.0であり、
    屈折率(nd)が1.50以上であり、60以上のアッベ数(νd)を有し、
    ガラス転移点(Tg)と屈伏点(At)との間の温度範囲における、線膨張係数の最大値(αmax)が1500×10−7−1以下である光学ガラス。
  2. アルカリ土類金属の合計含有率(R2+:カチオン%)が30.0〜70.0%である請求項1記載の光学ガラス。
  3. カチオン%(モル%)表示で、
    La3+の含有率が0〜10.0%、
    Gd3+の含有率が0〜10.0%、
    3+の含有率が0〜10.0%、
    Yb3+の含有率が0〜10.0%、
    である請求項1又は2記載の光学ガラス。
  4. La3+、Gd3+、Y3+及びYb3+の合計含有率(Ln3+:カチオン%)が0〜20.0%である請求項1から3のいずれか記載の光学ガラス。
  5. カチオン%(モル%)表示で、
    Liの含有率が0〜10.0%、
    Naの含有率が0〜10.0%、
    の含有率が0〜10.0%
    である請求項1から4のいずれか記載の光学ガラス。
  6. アルカリ金属の合計含有率(Rn:カチオン%)が20.0%以下である請求項1から5のいずれか記載の光学ガラス。
  7. カチオン%(モル%)表示で、
    Si4+の含有率が0〜10.0%、
    3+の含有率が0〜15.0%、
    Zn2+の含有率が0〜30.0%、
    Ti4+の含有率が0〜10.0%、
    Nb5+の含有率が0〜10.0%、
    6+の含有率が0〜10.0%、
    Zr4+の含有率が0〜10.0%、
    Ta5+の含有率が0〜10.0%、
    Ge4+の含有率が0〜10.0%、
    Bi3+の含有率が0〜10.0%、
    Te4+の含有率が0〜15.0%
    である請求項1から6のいずれか記載の光学ガラス。
  8. 溶融ガラスとNi、Cr、Ti、Nb、V、Mo、Pt、Pd、Ir、Rh、Os、Ru、Re、W、Ta、Au、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu及びCからなる元素群から選ばれる少なくとも1種類以上からなる薄膜との接触角が40°以上である請求項1から7のいずれか記載の光学ガラス。
  9. 請求項1から8のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
  10. 請求項1から8のいずれか記載の光学ガラスからなる研磨加工用及び/又は精密プレス成形用のプリフォーム。
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