JP2010195674A - 光学ガラス、光学素子及び精密プレス成形用プリフォーム - Google Patents

光学ガラス、光学素子及び精密プレス成形用プリフォーム Download PDF

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Abstract

【課題】屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、光学素子を形成したときの色収差が小さい光学ガラスと、これを用いた光学素子及び精密プレス成形用プリフォームを得る。
【解決手段】光学ガラスは、酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%でTeO成分を40.0〜85.0%、及びP成分を1.0〜30.0%含有し、部分分散比(θg,F)がアッベ数(ν)との間で、ν≦25の範囲において(−0.0016×ν+0.6346)≦(θg,F)≦(−0.0058×ν+0.7539)の関係を満たし、ν>25の範囲において(−0.0025×ν+0.6571)≦(θg,F)≦(−0.0020×ν+0.6589)の関係を満たす。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学ガラス、光学素子及び精密プレス成形用プリフォームに関する。
近年、光学系を使用する機器のデジタル化及び高精細化が急速に進んでおり、デジタルカメラ及びビデオカメラ等の撮影機器をはじめ、各種光学機器に用いられるレンズ等の光学素子に対する高精度化、軽量、及び小型化の要求は、ますます強まっている。
このため、光学素子を作製する光学ガラスの中でも特に、光学素子の軽量化及び小型化を図ることが可能な、1.70以上2.20以下の高い屈折率(n)を有し、10以上40以下のアッベ数(ν)を有する高屈折率ガラスの需要が非常に高まっている。このような高屈折率ガラスとしては、例えば屈折率(n)が1.8以上であり、20前後のアッベ数を有する光学ガラスとして、特許文献1に代表されるようなテルライトガラスが知られている。
特開2001−180971号公報
特許文献1で開示されたガラスは、屈折率が大きい反面で、透過させる光の波長に対しての屈折率の差が大きいものである。そのため、このガラスから形成される光学素子は、色収差が大きい。
ここで、光学素子の色収差は、部分分散比(θg,F)と密接に関連していることが知られている。ここで、短波長域の部分分散性を表す部分分散比(θg,F)の式(1)に示す。
θg,F=(n−n)/(n−n)・・・・・・(1)
光学ガラスには、短波長域の部分分散性を表す部分分散比(θg,F)とアッベ数(ν)との間に、およそ直線的な関係がある。この関係を表す直線は、部分分散比(θg,F)を縦軸に、アッベ数(ν)を横軸に採用した直交座標上で、NSL7とPBM2の部分分散比及びアッベ数をプロットした2点を結ぶ直線で表されており、ノーマルラインと呼ばれている(図1参照)。ノーマルラインの基準となるノーマルガラスは光学ガラスメーカーによって異なるが、各社ともほぼ同等の傾きと切片でノーマルガラスを定義している。(NSL7とPBM2は、株式会社オハラ社製の光学ガラスである。ここで、PBM2のアッベ数(ν)は36.3、部分分散比(θg,F)は0.5828であり、NSL7のアッベ数(ν)は60.5、部分分散比(θg,F)は0.5436である。)
しかしながら、特に高分散(低アッベ数(ν))のガラスでは、ガラスの部分分散比(θg,F)がノーマルラインから離れた値をとる。そのため、このような高分散のガラスを用いて光学素子を作製する場合、光学素子には色収差が生じるため、その色収差を補正する必要が生じる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、色収差が低減された光学ガラスと、これを用いた光学素子及び精密プレス成形用プリフォームを得ることを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意試験研究を重ねた結果、TeO成分を加えることによってガラスの屈折率が高められること、及び、P成分及びTeO成分を併用することによってガラスの部分分散比(θg,F)がアッベ数(ν)との間で所望の関係を有することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%でTeO成分を40.0〜85.0%、及びP成分を1.0〜30.0%含有し、部分分散比(θg,F)がアッベ数(ν)との間で、ν≦25の範囲において(−0.0016×ν+0.6346)≦(θg,F)≦(−0.0058×ν+0.7539)の関係を満たし、ν>25の範囲において(−0.0025×ν+0.6571)≦(θg,F)≦(−0.0020×ν+0.6589)の関係を満たす光学ガラス。
(2) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
SiO成分 0〜30.0%及び/又は
GeO成分 0〜30.0%
の各成分をさらに含有する(1)記載の光学ガラス。
(3) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対する物質量和TeO+P+SiO+GeOが41.0%以上95.0%未満である(2)記載の光学ガラス。
(4) 酸化物換算組成の物質量比(P+GeO)/TeOが0.01以上0.32以下である(2)又は(3)記載の光学ガラス。
(5) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
MgO成分 0〜15.0%及び/又は
CaO成分 0〜20.0%及び/又は
SrO成分 0〜20.0%及び/又は
BaO成分 0〜20.0%
の各成分をさらに含有する(1)から(4)のいずれか記載の光学ガラス。
(6) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対する物質量和MgO+CaO+SrO+BaOが20.0%未満である(5)記載の光学ガラス。
(7) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
LiO成分 0〜25.0%及び/又は
NaO成分 0〜30.0%及び/又は
O成分 0〜30.0%及び/又は
CsO成分 0〜30.0%
の各成分をさらに含有する(1)から(6)のいずれか記載の光学ガラス。
(8) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対する物質量和LiO+NaO+KO+CsOが30.0%以下である(7)記載の光学ガラス。
(9) 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
Al成分 0〜30.0%及び/又は
成分 0〜40.0%及び/又は
ZnO成分 0〜30.0%及び/又は
ZrO成分 0〜20.0%及び/又は
Ta成分 0〜20.0%及び/又は
Nb成分 0〜25.0%及び/又は
WO成分 0〜25.0%及び/又は
TiO成分 0〜30.0%及び/又は
La成分 0〜25.0%及び/又は
Gd成分 0〜25.0%及び/又は
成分 0〜20.0%及び/又は
Yb成分 0〜20.0%及び/又は
Sb成分 0〜1.0%及び/又は
CeO成分 0〜1.0%及び/又は
Bi成分 0〜25.0%
の各成分をさらに含有する(1)から(8)のいずれか記載の光学ガラス。
(10) 実質的に鉛成分を含有しない(1)から(9)のいずれか記載の光学ガラス。
(11) 1.70以上2.20以下の屈折率(n)を有し、10以上40以下のアッベ数(ν)を有し、分光透過率が70%を示す波長(λ70)が500nm以下である(1)から(10)のいずれか記載の光学ガラス。
(12) ガラス転移点(Tg)と結晶化開始温度(Tx)との差ΔTが80℃以上である(1)から(11)のいずれか記載の光学ガラス。
(13) (1)から(12)のいずれか記載の光学ガラスを精密プレス成形してなる光学素子。
(14) (1)から(12)のいずれか記載の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォーム。
(15) (14)記載の精密プレス成形用プリフォームを精密プレス成形してなる光学素子。
本発明によれば、TeO成分を加えることによって、ガラスの屈折率が高められる。また、P成分及びTeO成分を併用することによって、ガラスの部分分散比(θg,F)がアッベ数(ν)との間で所望の関係を有し、異常部分分散が小さくなる。そのため、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、色収差が低減された光学ガラスと、これを用いた光学素子及び精密プレス成形用プリフォームを得ることができる。
部分分散比(θg,F)が縦軸でありアッベ数(ν)が横軸である直交座標に表されるノーマルラインを示す図である。 本願の実施例のガラスについての部分分散比(θg,F)とアッベ数(ν)との関係を示す図である。
本発明の光学ガラスは、酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%でTeO成分を40.0〜85.0%、及びP成分を1.0〜30.0%含有し、部分分散比(θg,F)がアッベ数(ν)との間で、ν≦25の範囲において(−0.0016×ν+0.6346)≦(θg,F)≦(−0.0058×ν+0.7539)の関係を満たし、ν>25の範囲において(−0.0025×ν+0.6571)≦(θg,F)≦(−0.0020×ν+0.6589)の関係を満たす。TeO成分を加えることによって、ガラスの屈折率が高められる。また、P成分及びTeO成分を併用することによって、ガラスの部分分散比(θg,F)がアッベ数(ν)との間で所望の関係を有することで、異常部分分散が小さくなる。また、P成分及びTeO成分を併用することによって、ガラス転移点(Tg)と結晶化開始温度(Tx)との差ΔTが大きくなる。また、TeO成分をP成分と併用し、TeO成分及びP成分の含有率を上記範囲内に抑えることによって、ガラスの可視光に対する透明性が高められる。従って、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、色収差が小さく、耐失透性が大きく、且つ着色が少ない光学ガラスを得ることができる。
以下、本発明の光学ガラスの実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
[ガラス成分]
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中において特に断りがない場合、各成分の含有率は、全て酸化物換算組成のガラス全物質量に対するモル%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩及び金属弗化物等が溶融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総物質量を100モル%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
<必須成分、任意成分について>
TeO成分は、ガラスの屈折率を高める成分である。特に、TeO成分の含有率を40.0%以上にすることで、所望の屈折率を得易くすることができる。一方、TeO成分の含有率を85.0%以下にすることで、ガラスの部分分散比(θg,F)を低くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するTeO成分の含有率は、好ましくは40.0%を下限とし、より好ましくは45.0%より多くし、最も好ましくは50.0%より多くする。また、このTeO成分の含有率は、好ましくは85.0%、より好ましくは83.0%、最も好ましくは81.0%を上限とする。TeO成分は、原料として例えばTeO等を用いてガラス内に含有できる。
成分は、ガラスの網目を構成する成分である。特に、P成分の含有率を1.0%以上にすることで、所望の高屈折率及び高分散を得易くすることができる。一方、P成分の含有率を30.0%以下にすることで、ガラスの安定性を高めることにより、ガラスの失透傾向を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するP成分の含有率は、好ましくは1.0%、より好ましくは1.5%、最も好ましくは2.0%を下限とし、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。P成分は、原料として例えばAl(PO、Ca(PO、Ba(PO、BPO、HPO等を用いてガラス内に含有できる。
SiO成分は、安定なガラス形成を促すことでガラスの失透を低減する成分であるとともに、ガラスの部分分散比[θg,F]を低くする成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、SiO成分の含有率を30.0%以下にすることで、所望のガラスの屈折率を得易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するSiO成分の含有率は、好ましくは30.0%、より好ましくは27.0%、最も好ましくは25.0%を上限とする。SiO成分は、原料として例えばSiO、KSiF、NaSiF等を用いてガラス内に含有できる。
GeO成分は、ガラスの網目を構成しつつ、ガラスの高屈折率化に寄与する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、GeO成分の含有率を30.0%以下にすることで、ガラスの材料コストを低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するGeO成分の含有率は、好ましくは30.0%、より好ましくは27.0%、最も好ましくは25.0%を上限とする。GeO成分は、原料として例えばGeO等を用いてガラス内に含有できる。
本発明の光学ガラスでは、TeO成分、P成分、SiO成分、及びGeO成分の含有率の物質量和が、41.0%以上95.0%未満であることが好ましい。この物質量和を41.0%以上にすることで、所望の屈折率を得易くすることができる。また、この物質量和を95.0%未満にすることで、溶融ガラスにおける結晶核の形成及び結晶の成長が低減されると考えられ、且つガラス転移点(Tg)と結晶化開始温度(Tx)との差ΔTが大きくなると考えられる。そのため、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するTeO成分、P成分、SiO成分、及びGeO成分の含有率の和は、好ましくは41.0%、より好ましくは43.0%、最も好ましくは45.0%を下限とし、好ましくは95.0%未満とし、より好ましくは92.0%、最も好ましくは90.0%を上限とする。
また、本発明の光学ガラスでは、TeO成分の含有率に対する物質量和(P+GeO)の物質量比が、0.01以上0.32以下であることが好ましい。この物質量比を0.01以上にすることで、所望の屈折率を得つつ、ガラス化を容易にすることができる。また、この物質量比を0.32以下にすることで、TeO成分の還元が抑制されると考えられる。そのため、可視域の波長の光に対するガラスの透明性を高めることができ、ひいてはガラスへの着色を低減できる。従って、TeO成分の含有率に対する(P+GeO)の物質量比は、好ましくは0.01、より好ましくは0.05を下限とし、最も好ましくは0.10より大きい値とする。また、この物質量比は、好ましくは0.32、より好ましくは0.31、最も好ましくは0.30を上限とする。
MgO成分は、ガラスの可視域の波長の光に対する透過率を高め、且つガラスの溶解性及び安定性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、MgO成分の含有率を15.0%以下にすることで、ガラスの安定性を維持し易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するMgO成分の含有率は、好ましくは15.0%、より好ましくは12.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。MgO成分は、原料として例えばMgCO、MgF等を用いてガラス内に含有できる。
CaO成分は、ガラスの可視域の波長の光に対する透過率を高め、且つガラスの溶解性及び安定性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、CaO成分の含有率を20.0%以下にすることで、ガラスの安定性を維持し易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するCaO成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは17.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。CaO成分は、原料として例えばCaCO、CaF等を用いてガラス内に含有できる。
SrO成分は、ガラスの可視域の波長の光に対する透過率を高め、且つガラスの溶解性及び安定性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、SrO成分の含有率を20.0%以下にすることで、ガラスの安定性を維持し易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するSrO成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは17.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。SrO成分は、原料として例えばSr(NO、SrF等を用いてガラス内に含有できる。
BaO成分は、ガラスの溶解性及び安定性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、BaO成分の含有率を20.0%以下にすることで、ガラスの安定性を維持し易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するBaO成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは19.0%、最も好ましくは17.0%を上限とする。BaO成分は、原料として例えばBaCO、Ba(NO等を用いてガラス内に含有できる。
本発明の光学ガラスでは、RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の含有率の物質量和が、20.0%未満であることが好ましい。これにより、ガラス転移点(Tg)と結晶化開始温度(Tx)との差ΔTが高められるため、ガラスの耐失透性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するRO成分の含有率の和は、好ましくは20.0%未満とし、より好ましくは17.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。
Al成分は、ガラスの耐失透性を高める成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Al成分の含有率を30.0%以下にすることで、所望の屈折率を得易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するAl成分の含有率は、好ましくは30.0%、より好ましくは27.0%、最も好ましくは25.0%を上限とする。Al成分は、原料として例えばAl、Al(OH)、AlF等を用いてガラス内に含有できる。
成分は、ガラスの網目を構成することで、ガラスの耐失透性を高めながらもガラスの均質化を図る成分であるとともに、ガラスの部分分散比[θg,F]を高める成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、B成分の含有率を40.0%以下にすることで、所望の屈折率を得易くし、且つガラスの安定性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するB成分の含有率は、好ましくは40.0%、より好ましくは30.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。B成分は、原料として例えばHBO、Na、Na・10HO、BPO等を用いてガラス内に含有できる。
LiO成分は、ガラスの部分分散比[θg,F]を調整しつつ、ガラスの融点を下げる成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、LiO成分の含有率を25.0%以下にすることで、ガラスの膨張係数を低減し、精密プレス成形の際のレンズ面の正確な転写を容易にし、且つガラスの耐水性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するLiO成分の含有率は、好ましくは25.0%、より好ましくは22.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。LiO成分は、原料として例えばLiCO、LiNO、LiF等を用いてガラス内に含有できる。
NaO成分は、ガラスの部分分散比[θg,F]を調整しつつ、ガラスの融点を下げる成分であるとともに、ガラスを安定化する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、NaO成分の含有率を30.0%以下にすることで、ガラスの耐水性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するNaO成分の含有率は、好ましくは30.0%、より好ましくは27.0%、最も好ましくは25.0%を上限とする。NaO成分は、原料として例えばNaCO、NaNO、NaF、NaSiF等を用いてガラス内に含有できる。
O成分は、ガラスの部分分散比[θg,F]を調整しつつ、ガラスの融点を下げる成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、KO成分の含有率を30.0%以下にすることで、ガラスの耐水性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するKO成分の含有率は、好ましくは30.0%、より好ましくは27.0%、最も好ましくは25.0%を上限とする。KO成分は、原料として例えばKCO、KNO、KF、KHF、KSiF等を用いてガラス内に含有できる。
CsO成分は、ガラスの部分分散比[θg,F]を調整しつつ、ガラスの融点を下げる成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、CsO成分の含有率を30.0%以下にすることで、ガラスの耐水性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するCsO成分の含有率は、好ましくは30.0%、より好ましくは20.0%、最も好ましくは10.0%を上限とする。CsO成分は、原料として例えばCsCO、CsNO等を用いてガラス内に含有できる。
本発明の光学ガラスでは、RnO成分(式中、RnはLi、Na、K、Csからなる群より選択される1種以上)の含有率の物質量和が、30.0%以下であることが好ましい。この物質量和を30.0%以下にすることで、ガラスの耐水性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するRnO成分の含有率の物質量和は、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。なお、RnO成分はいずれも含有しなくとも所望の高分散及び高透過率を有する光学ガラスを得ることは可能であるが、これらの成分から選ばれる少なくとも1種以上の成分の物質量和を0.1%以上にすることで、ガラス転移点(Tg)が低くなるため、ガラスのプレス成形を容易にできる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するRnO成分の含有率の物質量和は、好ましくは0.1%、より好ましくは1.0%を下限とし、最も好ましくは5.0%より大きくする。
ZnO成分は、ガラスの溶解性及び安定性を向上する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、ZnO成分の含有率を30.0%以下にすることで、ガラスの安定性を維持しつつ、ガラス転移点(Tg)を低くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するZnO成分の含有率は、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。ZnO成分は、原料として例えばZnO、ZnF等を用いてガラス内に含有できる。
ZrO成分は、ガラスの屈折率を高め、ガラスを溶融状態から冷却する過程における失透を抑制する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、ZrO成分の含有率を20.0%以下にすることで、ガラスがより低温で溶解し易くなるため、ガラス製造時におけるエネルギー損失を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するZrO成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは17.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。ZrO成分は、原料として例えばZrO、ZrF等を用いてガラス内に含有できる。
Ta成分は、ガラスの屈折率を高めつつ、ガラスを安定化する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Ta成分の含有率を20.0%以下にすることで、希少鉱物資源であるTa成分の使用量が減るとともに、ガラスがより低温で溶解し易くなるため、ガラスの生産コストを低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するTa成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは17.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。Ta成分は、原料として例えばTa等を用いてガラス内に含有できる。
Nb成分は、ガラスの部分分散比[θg,F]を高め、且つガラスの屈折率及び分散を高める成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Nb成分の含有率を25.0%以下にすることで、ガラスが紫外光にさらされた場合のガラスの着色を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するNb成分の含有率は、好ましくは25.0%、より好ましくは22.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。Nb成分は、原料として例えばNb等を用いてガラス内に含有できる。
WO成分は、ガラスの部分分散比[θg,F]を高め、且つガラスの屈折率及び分散を高める成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、WO成分の含有率を25.0%以下にすることで、ガラスが紫外光にさらされた場合のガラスの着色を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するWO成分の含有率は、好ましくは25.0%、より好ましくは20.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。WO成分は、原料として例えばWO等を用いてガラス内に含有できる。
TiO成分は、ガラスの屈折率を高め、ガラスの液相温度を下げる成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、TiO成分の含有率を30.0%以下にすることで、ガラスの失透を低減できる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するTiO成分の含有率は、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。TiO成分は、原料として例えばTiO等を用いてガラス内に含有できる。
La成分は、ガラスの屈折率を高めつつ、ガラスの分散を調整する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、La成分の含有率を25.0%以下にすることで、所望の光学定数を維持しつつ、良好な耐失透性を維持し易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するLa成分の含有率は、好ましくは25.0%、より好ましくは20.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。La成分は、原料として例えばLa、La(NO・XHO(Xは任意の整数)等を用いてガラス内に含有できる。
Gd成分は、ガラスの屈折率を高めつつ、ガラスの分散を調整する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Gd成分の含有率を25.0%以下にすることで、所望の光学定数を維持しつつ、良好な耐失透性を維持し易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するGd成分の含有率は、好ましくは25.0%、より好ましくは22.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。Gd成分は、原料として例えばGd、GdF等を用いてガラス内に含有できる。
成分は、ガラスの屈折率を高めつつ、ガラスの分散を調整する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Y成分の含有率を20.0%以下にすることで、所望の光学定数を維持しつつ、良好な耐失透性を維持し易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するY成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは17.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。Y成分は、原料として例えばY、YF等を用いてガラス内に含有できる。
Yb成分は、ガラスの屈折率を高める成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Yb成分の含有率を20.0%以下にすることで、所望の光学定数を維持しつつ、良好な耐失透性を維持し易くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するYb成分の含有率は、好ましくは20.0%、より好ましくは17.0%、最も好ましくは15.0%を上限とする。Yb成分は、原料として例えばYb等を用いてガラス内に含有できる。
Sb成分は、ガラスの脱泡を促進する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Sb成分の含有率を1.0%以下にすることで、ガラス溶融時における過度の発泡を生じ難くすることができ、且つSb成分を溶解設備(特にPt等の貴金属)と合金化し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するSb成分の含有率は、好ましくは1.0%、より好ましくは0.9%、最も好ましくは0.8%を上限とする。Sb成分は、原料として例えばSb、Sb、NaSb・5HO等を用いてガラス内に含有できる。
CeO成分は、ガラスの清澄に効果のある成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、CeO成分の含有率を1.0%以下にすることで、内部品質の良好な光学ガラスを得ることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するCeO成分の含有率は、好ましくは1.0%、より好ましくは0.9%、最も好ましくは0.8%を上限とする。CeO成分は、原料として例えばCeO等を用いてガラス内に含有できる。
なお、ガラスを清澄し脱泡する成分は、上記のSb成分及びCeO成分に限定されるものではなく、ガラス製造の分野における公知の清澄剤及び/又は脱泡剤、或いはそれらの組み合わせを用いることができる。
Bi成分は、ガラスの部分分散比[θg,F]を高め、ガラスの屈折率を上げ、ガラスの屈伏温度(At)を下げる成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。特に、Bi成分の含有率を25.0%以下にすることで、ガラスの安定性を高めることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対するBi成分の含有率は、好ましくは25.0%、より好ましくは22.0%、最も好ましくは20.0%を上限とする。Bi成分は、原料として例えばBi等を用いてガラス内に含有できる。
<含有すべきでない成分について>
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
他の成分は、本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で、必要に応じて添加できる。ただし、Tiを除く、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Mo及びEr等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でもガラスが着色することで、可視域の特定の波長に吸収を生じる性質がある。そのため、特に可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。
さらに、PbO等の鉛化合物及びAs等のヒ素化合物、並びに、Th、Cd、Tl、Os、Be及びSeの各成分は、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、不可避な混入を除き、これらを実質的に含有しないことが好ましい。これにより、光学ガラスに環境を汚染する物質が実質的に含まれなくなる。そのため、特別な環境対策上の措置を講じなくとも、この光学ガラスを製造し、加工し、及び廃棄することができる。
本発明のガラス組成物は、その組成が酸化物換算組成のガラス全物質量に対するモル%で表されているため、直接的に質量%の記載に表せるものではないが、本発明において要求される諸特性を満たすガラス組成物中に存在する各成分の質量%表示による組成は、酸化物換算組成で概ね以下の値をとる。
TeO成分 40.0〜99.0質量%及び
成分 1.0〜30.0質量%、
並びに
SiO成分 0〜13.0質量%及び/又は
GeO成分 0〜20.0質量%及び/又は
MgO成分 0〜4.0質量%及び/又は
CaO成分 0〜8.0質量%及び/又は
SrO成分 0〜15.0質量%及び/又は
BaO成分 0〜20.0質量%及び/又は
Al成分 0〜20.0質量%及び/又は
成分 0〜20.0質量%及び/又は
LiO成分 0〜5.0質量%及び/又は
NaO成分 0〜12.0質量%及び/又は
O成分 0〜18.0質量%及び/又は
CsO成分 0〜40.0質量%及び/又は
ZnO成分 0〜15.0質量%及び/又は
ZrO成分 0〜15.0質量%及び/又は
Ta成分 0〜40.0質量%及び/又は
Nb成分 0〜35.0質量%及び/又は
WO成分 0〜35.0質量%及び/又は
TiO成分 0〜15.0質量%及び/又は
La成分 0〜40.0質量%及び/又は
Gd成分 0〜40.0質量%及び/又は
成分 0〜30.0質量%及び/又は
Yb成分 0〜35.0質量%及び/又は
Sb成分 0〜1.0質量%及び/又は
CeO成分 0〜1.0質量%及び/又は
Bi成分 0〜40.0質量%
[製造方法]
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有率の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を石英坩堝又はアルミナ坩堝に投入して粗溶融した後、金坩堝、白金坩堝、白金合金坩堝又はイリジウム坩堝に入れて700〜1200℃の温度範囲で溶融し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、適当な温度に下げてから金型に鋳込み、徐冷することにより作製される。
[物性]
本発明の光学ガラスは、高い屈折率(n)を有するとともに、高い分散を有する必要がある。特に、本発明の光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.70、より好ましくは1.75、最も好ましくは1.80を下限とし、好ましくは2.20、より好ましくは2.15、最も好ましくは2.11を上限とする。また、本発明の光学ガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは10、より好ましくは12、最も好ましくは15を下限とし、好ましくは40、より好ましくは35、最も好ましくは30を上限とする。これらにより、光学設計の自由度が広がり、さらに素子の薄型化を図っても大きな光の屈折量を得ることができる。
また、本発明の光学ガラスは、部分分散比(θg,F)がノーマルラインに近い必要がある。より具体的には、本発明の光学ガラスの部分分散比(θg,F)は、アッベ数(ν)との間で、ν≦25の範囲において(−0.0016×ν+0.6346)≦(θg,F)≦(−0.0058×ν+0.7539)の関係を満たし、且つ、ν>25の範囲において(−0.0025×ν+0.6571)≦(θg,F)≦(−0.0020×ν+0.6589)の関係を満たす。これにより、高分散を有しながらも部分分散比(θg,F)とアッベ数(ν)とのプロットの位置が図1のノーマルライン(Normal Line)に近付けられる。そのため、この光学ガラスを用いた光学素子による色収差が低減されることが推論できる。ここで、ν≦25における光学ガラスの部分分散比(θg,F)は、好ましくは(−0.0016×ν+0.6346)、より好ましくは(−0.0016×ν+0.6366)、最も好ましくは(−0.0016×ν+0.6386)を下限とし、好ましくは(−0.0058×ν+0.7539)、より好ましくは(−0.0058×ν+0.7519)、最も好ましくは(−0.0058×ν+0.7509)を上限とする。また、ν>25における光学ガラスの部分分散比(θg,F)は、好ましくは(−0.0025×ν+0.6571)、より好ましくは(−0.0025×ν+0.6591)、最も好ましくは(−0.0025×ν+0.6611)を下限とし、好ましくは(−0.0020×ν+0.6589)、より好ましくは(−0.0020×ν+0.6569)、最も好ましくは(−0.0020×ν+0.6559)を上限とする。なお、特にアッベ数(ν)が小さい領域では、一般的なガラスの部分分散比(θg,F)がノーマルラインよりも高い値にあるため、一般的なガラスの部分分散比(θg,F)とアッベ数(ν)の関係は曲線(図2では右上がりの曲線)で表される。しかしながら、この曲線の近似が困難であるため、本発明では、一般的なガラスよりも部分分散比(θg,F)が低いことを、ν=25を境に異なった傾きを有する直線を用いて表した。
また、本発明の光学ガラスは、できるだけ高い熱的安定性を有する必要がある。特に、本発明の光学ガラスでは、ガラス転移点(Tg)と結晶化開始温度(Tx)との差ΔTは、好ましくは80℃、より好ましくは85℃、最も好ましくは90℃を下限とする。これにより、本発明の光学ガラスを用いて精密プレス成形用プリフォーム等のプリフォーム材を作製し、これを加熱軟化して光学素子を作製しても、ガラスの結晶化による失透をはじめとした、光学素子の光学特性への影響を低減できる。
また、本発明の光学ガラスは、着色が少ない必要がある。特に、本発明の光学ガラスは、着色をガラスの透過率で表した場合、厚み10mmのサンプルで分光透過率70%を示す波長(λ70)が500nm以下であり、より好ましくは480nm以下であり、最も好ましくは470nm以下である。また、本発明の光学ガラスは、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す波長(λ)が450nm以下であり、より好ましくは420nm以下であり、最も好ましくは400nm以下である。これにより、ガラスの吸収端が紫外領域の近傍に位置するようになることで、可視域におけるガラスの透明性が高められる。そのため、この光学ガラスをレンズ等の光学素子の材料として用いることができる。
[プリフォーム及び光学素子]
本発明の光学ガラスは、様々な光学素子及び光学設計に有用であるが、その中でも特に、レンズ、プリズム及びミラー等のように、ガラス内に可視光を透過させる光学素子の用途に用いることが好ましい。これにより、この光学ガラスを用いた光学素子の色収差が低減される。そのため、この光学素子をカメラ及びプロジェクタ等の光学機器の用途に用いたときに、異なる部分分散比(θg,F)を有する光学素子による補正を行わなくとも、高精細且つ高精度な結像特性を実現できる。ここで、本発明の光学ガラスからなる光学素子を作製するには、切削加工及び研磨加工を省略することが可能である。そのため、溶融状態のガラスを白金等の流出パイプの流出口から滴下して球状等の精密プレス成形用プリフォームを作製し、この精密プレス成形用プリフォームに対して精密プレス成形を行うことが好ましい。
本発明の実施例(No.1〜No.10)及び比較例(No.1〜No.2)の組成、及び、これらのガラスの屈折率(n)、アッベ数(ν)、部分分散比(θg,F)、ガラス転移点(Tg)、結晶化開始温度(Tx)、ガラス転移点と結晶化開始温度との差(ΔT)、並びに、分光透過率が70%及び5%を示す波長(λ70、λ)の結果を表1及び表2に示す。また、実施例(No.1〜No.10)及び比較例(No.1〜No.2)のガラスにおける、アッベ数(ν)及び部分分散比(θg,F)の関係を図2に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例のみ限定されるものではない。
本発明の実施例(No.1〜No.10)の光学ガラス及び比較例(No.1〜No.2)のガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物及びメタ燐酸化合物等の、通常の光学ガラスに使用される高純度原料を選定し、表1及び表2に示した各実施例の組成の割合になるように秤量して均一に混合した後、石英坩堝又は白金坩堝に投入し、ガラス組成の熔融難易度に応じて電気炉で700〜1200℃の温度範囲で溶融し、攪拌均質化してから金型に鋳込み、徐冷することで作製した。
ここで、実施例(No.1〜No.10)の光学ガラス及び参考例(No.1)のガラスの屈折率(n)、アッベ数(ν)、及び部分分散比(θg,F)は、日本光学硝子工業会規格JOGIS01―2003に基づいて測定した。そして、求められたアッベ数(ν)及び部分分散比(θg,F)の値について、関係式(θg,F)=−a×ν+bにおける、傾きaが0.0016、0.0020、0.0025及び0.0058のときの切片bを求めた。なお、本測定に用いたガラスとして、アニール条件は徐冷降下速度を−25℃/hrとして、徐冷炉にて処理を行ったものを用いた。
また、実施例(No.1〜No.10)の光学ガラス及び比較例(No.1〜No.2)のガラスのΔTは、示差熱測定装置(ネッチゲレテバウ社(NETZSCH Geratebau GmbH)製 STA 409 CD)を用いて測定した、ガラス転移点(Tg)と結晶化開始温度(Tx)との差より求めた。このときのサンプル粒度は425〜600μmとし、昇温速度は10℃/minとした。
また、実施例(No.1〜No.10)の光学ガラス及び比較例(No.1〜No.2)のガラスの透過率は、日本光学硝子工業会規格JOGIS02に準じて測定した。なお、本発明においては、ガラスの透過率を測定することで、ガラスの着色の有無と着色の程度を求めた。具体的には、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、200〜800nmの分光透過率を測定し、λ70(透過率70%時の波長)とλ(透過率5%時の波長)を求めた。
Figure 2010195674
Figure 2010195674
表1及び表2に表されるように、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数(ν)が10以上、より詳細には15以上であるとともに、このアッベ数(ν)は40以下、より詳細には23以下であり、所望の範囲内であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、図2に示すように、部分分散比(θg,F)がアッベ数(ν)との関係において、いずれも(−0.0016×ν+0.6346)以上、より詳細には(−0.0016×ν+0.6386)以上であるとともに、この部分分散比(θg,F)は(−0.0058×ν+0.7539)以下、より詳細には(−0.0058×ν+0.7519)以下であり、所望の範囲内であった。一方、比較例(No.2)のガラスは、ν>25でありながら、部分分散比(θg,F)は(−0.0020×ν+0.6589)を超えていた。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、比較例(No.2)のガラスに比べて部分分散比(θg,F)がノーマルラインに近く、色収差が小さいことが明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも屈折率(n)が1.70以上、より詳細には1.80以上であるとともに、この屈折率(n)は2.20以下、より詳細には2.11以下であり、所望の範囲内であった。特に、実施例(No.1〜No.10)の光学ガラスは、屈折率(n)が1.91以上であり、比較例(No.2)に比べて高い屈折率(n)を有することが明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもλ70(透過率70%時の波長)が500nm以下、より詳細には460nm以下であった。一方で、比較例のガラスは、光の透過性が悪かったため、λ70が測定できなかった。また、本発明の実施例の光学ガラスは、λ(透過率5%時の波長)が450nm以下、より詳細には410nm以下であった。特に、本発明の実施例(No.1〜No.7)の光学ガラスは、λが390nm以下であり、比較例のガラスに比べてλが短波長側にあった。このため、本発明の実施例(No.1〜No.7)の光学ガラスは、比較例のガラスに比べて着色し難いことが明らかになった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもガラス転移点(Tg)と結晶化開始温度(Tx)との差ΔTが80℃以上、より詳細には85℃以上であった。一方で、比較例のガラスは、いずれもΔTが80℃未満であった。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、比較例のガラスに比べて熱的安定性が高いことが明らかになった。
従って、本発明の実施例の光学ガラスは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、色収差が小さく、且つ、溶融状態からガラスを形成したときの耐失透性が高く、可視域での透明性が高いことが明らかになった。
さらに、本発明の実施例の光学ガラスを用いて、研磨加工用プリフォームを形成した後で研削及び研磨を行い、レンズ及びプリズムの形状に加工した。また、本発明の実施例の光学ガラスを用いて、精密プレス成形用プリフォームを形成し、精密プレス成形用プリフォームを精密プレス成形加工してレンズ及びプリズムの形状に加工した。いずれの場合も、様々なレンズ及びプリズムの形状に加工できた。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

Claims (15)

  1. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%でTeO成分を40.0〜85.0%、及びP成分を1.0〜30.0%含有し、部分分散比(θg,F)がアッベ数(ν)との間で、ν≦25の範囲において(−0.0016×ν+0.6346)≦(θg,F)≦(−0.0058×ν+0.7539)の関係を満たし、ν>25の範囲において(−0.0025×ν+0.6571)≦(θg,F)≦(−0.0020×ν+0.6589)の関係を満たす光学ガラス。
  2. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
    SiO成分 0〜30.0%及び/又は
    GeO成分 0〜30.0%
    の各成分をさらに含有する請求項1記載の光学ガラス。
  3. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対する物質量和TeO+P+SiO+GeOが41.0%以上95.0%未満である請求項2記載の光学ガラス。
  4. 酸化物換算組成の物質量比(P+GeO)/TeOが0.01以上0.32以下である請求項2記載の光学ガラス。
  5. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
    MgO成分 0〜15.0%及び/又は
    CaO成分 0〜20.0%及び/又は
    SrO成分 0〜20.0%及び/又は
    BaO成分 0〜20.0%
    の各成分をさらに含有する請求項1記載の光学ガラス。
  6. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対する物質量和MgO+CaO+SrO+BaOが20.0%未満である請求項5記載の光学ガラス。
  7. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
    LiO成分 0〜25.0%及び/又は
    NaO成分 0〜30.0%及び/又は
    O成分 0〜30.0%及び/又は
    CsO成分 0〜30.0%
    の各成分をさらに含有する請求項1記載の光学ガラス。
  8. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対する物質量和LiO+NaO+KO+CsOが30.0%以下である請求項7記載の光学ガラス。
  9. 酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で
    Al成分 0〜30.0%及び/又は
    成分 0〜40.0%及び/又は
    ZnO成分 0〜30.0%及び/又は
    ZrO成分 0〜20.0%及び/又は
    Ta成分 0〜20.0%及び/又は
    Nb成分 0〜25.0%及び/又は
    WO成分 0〜25.0%及び/又は
    TiO成分 0〜30.0%及び/又は
    La成分 0〜25.0%及び/又は
    Gd成分 0〜25.0%及び/又は
    成分 0〜20.0%及び/又は
    Yb成分 0〜20.0%及び/又は
    Sb成分 0〜1.0%及び/又は
    CeO成分 0〜1.0%及び/又は
    Bi成分 0〜25.0%
    の各成分をさらに含有する請求項1記載の光学ガラス。
  10. 実質的に鉛成分を含有しない請求項1記載の光学ガラス。
  11. 1.70以上2.20以下の屈折率(n)を有し、10以上40以下のアッベ数(ν)を有し、分光透過率が70%を示す波長(λ70)が500nm以下である請求項1記載の光学ガラス。
  12. ガラス転移点(Tg)と結晶化開始温度(Tx)との差ΔTが80℃以上である請求項1記載の光学ガラス。
  13. 請求項1から12のいずれか記載の光学ガラスを精密プレス成形してなる光学素子。
  14. 請求項1から12のいずれか記載の光学ガラスからなる精密プレス成形用プリフォーム。
  15. 請求項14記載の精密プレス成形用プリフォームを精密プレス成形してなる光学素子。
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