JP2017047875A - 左右脚別にギヤ倍数を設けた非円形形状の自転車ギヤ - Google Patents
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Description
またペダルをこぐ人の脚力には左右の差があるが従来品ではこの脚力の左右の差には対応できていないという問題点があった。従来は個人が自転車のペダルをこぐ際のベクトルについて知り得る手段は無かったが近年市販されたパイオニア社の車載型ペダリングモニターの登場によって選手個人が自身がペダリングしている際のベクトルについて図2のように簡単に観察、記録できるようになった。
これにより各個人のベクトル方向や力の大きさへの関心や認知が高まり非円形ギヤの外輪郭形状を個別に吟味することが可能になった。
その状況を改善すべく様々な楕円ギヤ、非円形ギヤが登場したがその外輪郭形状を決定する根拠は画一的なもので自転車のペダルをこぐ選手個人の個別性に対応するものではなかった。
よって真円形ギヤ以外を使用してもその効果や恩恵に預かることは希有であった。
外輪郭形状が量産のため画一的で個別性に対応できなかった最大の原因は、チェーンを駆動するギヤの歯先形状をインボリュート曲線等にする必要があり、その一歯一歯を楕円なり非円形をした輪郭線に沿わせて作図することが大変に困難だったためである。
また例え作図できたとしても製造工程において例えばギヤの歯先専用の加工機は真円に対応した機構を有しており楕円、まして非円形に対応することが出来ない。またはプレス加工によって製造されるため金型を個別性に合わせて変えることはコストの制約上できない。またCADCAMを用いていても都度、形状を変更させることは工数がかかり過ぎ製品価格が高価になる。
以上の3大要因によって真円形ギヤや画一的な輪郭形状のギヤ形状以外では多様な外輪郭形状のものを多品種少量生産することは極めて困難であった。
こうして、本発明に係るギヤは、各個人がペダリングモニタ等のベクトル測定装置で測定した結果を分析し3D−CADで非円形ギヤの外輪郭形状を設計する際に反映し個別、または少量多品種でマシニングセンタ等のNC工作機械によって非円形ギヤを製造し販売提供することを特徴とする。
本発明において、円盤状の外輪郭が真円ではなく意図した非円形の輪郭形状なることを特徴とする自転車駆動装置の自転車中央のクランク軸に装着されるギヤであることが好ましい。
また、右脚がペダル踏力を発揮するクランク角度で作用するギヤ倍数と左脚がペダル踏力を発揮するクランク角度で作用するギヤ倍数が左右で異なるよう非円形の輪郭形状が設計されたことが好ましい。
また、脚がペダルを踏む際、クランク角度に応じてギヤ倍数が変化する外輪郭形状を有することが好ましい。
操作者がペダルを踏むと、ペダル踏力は、合力52として作用する。この合力52は、クランクの回転方向に対して、垂直方向(アーム20の延長方向)に作用する法線分力50と、クランクの回転方向(アーム20の延長方向に対して垂直な方向)に作用する接線分力51とに分解して示すことができる。
非円形ギヤでどうやって図6にあるような左右脚の踏力の差を解消するのかを図4と図5を用いて解説する。チェーン60は常に図4の12時付近でギヤ板10と待遇する。ペダルを踏んでクランクがどの位相に動いてもチェーン60がギヤ板10と待遇する接点の位置は不変である。本発明では、このクランク位相とチェーン60とギヤ板10が待遇する箇所の独立性を利用する。
つまりクランク軸芯00からチェーン60と待遇する接点までの半径を各クランク位相別に調節することでギヤ比を任意に可変させることが出来るわけである。
そこで図8にあるようにクランク右側がクランク角度90°にあるときギヤ半径実線Bを点線B´に偏芯70させる(B<B’及びC>C’となる位置)ことで
右脚A÷B>A÷B´
左足A÷C<A÷C´
というように踏力の弱い左脚の負荷トルクを軽減させることが出来る。
これは逆に踏む力の強い右脚の負荷トルクを増加させることにもなる。このようなギヤ半径の調節手段によって、踏力の弱い左脚側のクランク角速度を増大させ自転車が走行する際の加速度の加減速を抑制することが出来るので、より効率的に自転車を走らせることが出来る。具体的には、上記偏芯70の結果として、図9に示すように、左右脚における踏み込み時の角速度を、左右で差違が認めにくい程度まで修正できた。その結果、競技時のタイムも短縮された。
これは従来のギヤ加工機には出来ない加工である。
そこで、図10に示すように3次元CADを用いて数学的な形状モデルを演算し、そこから派生した3次元モデルデータを3次元CAMを用いて数値制御工作機械を指令する工具経路を演算させる。具体的には、まず各自転車操作者において、図6に示すような左右脚の踏力を含むデータをペダリングモニターを用いて測定し(Step10)、このデータを解析することにより、踏力ベクトル、トルク曲線、角速度などの選手の個別性を解析する(Step20)。現在、携帯型の測定装置(例えば、パイオニア社の車載型ペダリングモニター)が普及しているので、これを用いて測定・解析を行える。
次に、各選手の特性に応じて、非円形ギヤの輪郭を設計する。このとき、特に左右脚の踏力の差を低減又は解消できる程度に偏芯70を加える。このデータに基づき、3D−CADにてスプロケット歯先の形状を非円形とし、ギヤの輪郭形状に沿わせる演算処理を行う(Step30)。次いで、この演算処理に基づき、三次元データを出力し(Step40)、3D−CAMで加工機械用の工具経路を演算後(Step50)、マシニングセンタで材料を切削加工する(Step60)。このように、3D−CAMCADと、高度な演算能力を備えた工作機械を用いて、従来は製造できなかった複雑な形状の自転車ギヤを製造できた。
これによって選手個人が必要とする非円形形状をしたギヤ板を1枚でも大量生産でもほぼ変わらない加工時間で加工することが可能になる。
このように、本実施形態によれば、個人の個別性により適合した非円形ギヤを提供することが可能となった。これにより、ペダルをこぐ選手本人の左右脚の脚力の差に対応することでより効率よく自転車を走らせることが出来た。
10…自転車ギヤ板 これの形状を真円、楕円、非円形などとしている。
20…自転車クランクのアーム
30…自転車ペダル軸中心 選手はこの軸芯のペダルを踏みつけてこぐ。
40…真円ギヤ板の輪郭線
50…ペダルを踏んだ力のクランク軸回転の法線方向の力 単位はkgf
51…ペダルを踏んだ力のクランク軸回転の接線方向の力 単位はkgf
52…50と51の合力 ペダルを踏んだ力の方向と大きさを示している。
60…駆動用チェーンの線分 ⇒方向に運動する。
70…脚力の左右差を改善するためにギヤ板中心を00から偏芯させる。
A…クランク長さ
B…右脚クランクが水平位置の時に作用するギヤ半径
B’…右脚クランクが水平位置の時のギヤ倍率を上げたギヤ半径
C…左脚クランクが水平位置の時に作用するギヤ半径
C’…左脚クランクが水平位置の時のギヤ倍率を下げたギヤ半径
D…右脚クランクが下死点位置の時に作用するギヤ半径
Claims (3)
- 円盤状の外輪郭が真円ではなく意図した非円形の輪郭形状なることを特徴とする自転車駆動装置の自転車中央のクランク軸に装着されるギヤ。
- 右脚がペダル踏力を発揮するクランク角度で作用するギヤ倍数と左脚がペダル踏力を発揮するクランク角度で作用するギヤ倍数が左右で異なるよう非円形の輪郭形状が設計された請求項1の特徴を有するギヤ。
- 脚がペダルを踏む際、クランク角度に応じてギヤ倍数が変化する外輪郭形状を有する請求項1の特徴を有するギヤ。
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