以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、図1を参照して、本実施形態の車両用制動装置に相当する液圧ブレーキ装置Bが搭載されるハイブリッド車両について説明する。
ハイブリッド車両は、図1に示すように、ハイブリッドシステムによって駆動輪、例えば左右前輪Wfl、Wfrを駆動させる車両である。
ハイブリッド車両は、ブレーキECU6、エンジンECU8、ハイブリッドECU9、ハイドロブースタ10、調圧装置53、液圧発生装置60、ブレーキペダル71、ブレーキセンサ72を有している。また、ハイブリッド車両は、エンジン501、モータ502、動力分割機構503、動力伝達機構504、発電機505、インバータ506、バッテリ507を有している。
エンジン501の駆動力は、動力分割機構503および動力伝達機構504を介して駆動輪に伝達される。モータ502の駆動力は、動力伝達機構504を介して駆動輪に伝達される。
インバータ506は、モータ502および発電機505と直流電源としてのバッテリ507との間で電圧を変換するものである。エンジンECU8は、ハイブリッドECU9からの指令に基づいてエンジン501の駆動力を調整する。ハイブリッドECU9は、インバータ506を通してモータ502および発電機505を制御する。ハイブリッドECU9は、バッテリ507が接続されており、バッテリ507の充電状態、充電電流などを監視している。
回生ブレーキ装置Aは、発電機505、インバータ506およびバッテリ507などによって構成されている。回生ブレーキ装置Aは、後述する「回生実行制動力」に基づき、発電機505による回生制動力を車輪Wfl、Wfrに発生させる。図1に示すように、本実施形態では、モータ502と発電機505とを別体としているが、モータと発電機が一体となった、モータジェネレータを適用しても良い。
液圧ブレーキ装置Bは、ブレーキペダル71の操作量に対応して、液圧発生装置60で発生させられるブレーキ液圧を利用しつつ、ハイドロブースタ10や調圧装置53を介してブレーキ液圧に基づく制動力を発生させるものである。具体的には、液圧ブレーキ装置Bは、各車輪Wfl、Wfr、Wrl、Wrr毎に備えられた摩擦ブレーキ装置Bfl、Bfr、Brl、Brrに対してブレーキ液圧に基づく摩擦制動力を発生させる。摩擦ブレーキ装置Bfl、Bfr、Brl、Brrは、ブレーキディスクDRfl、DRfr、DRrl、DRrrと、これに押し付けられることで摩擦制動力を発生させるブレーキパッド(図示せず)などを備えた構成とされている。摩擦ブレーキ装置Bfl、Bfr、Brl、Brrには、ホイールシリンダWCfl、WCfr、WCrl、WCrrが設けられている。ホイールシリンダWCfl、WCfr、WCrl、WCrrは、後述のハイドロブースタ10(図2参照)により生成される「マスタ圧」により、上記ブレーキパッドをブレーキディスクDRfl、DRfr、DRrl、DRrrに押し付けることで「ホイールシリンダ圧」を発生させる。
ブレーキセンサ72は、ブレーキペダル71の操作量(例えば、ストローク量)を検出して、その検出信号をブレーキECU6に出力する。ブレーキECU6は、ブレーキセンサ72からの検出信号に基づいて、運転者の「要求制動力」を演算する。そして、ブレーキECU6は、「要求制動力」から「目標回生制動力」を演算し、「目標回生制動力」のデータをハイブリッドECU9に送信する。ハイブリッドECU9は、「目標回生制動力」に基づいて「回生実行制動力」を演算し、「回生実行制動力」のデータをブレーキECU6に送信する。
なお、ブレーキECU6とハイブリッドECU9とのデータの授受は、例えばCAN通信などの車内LANを通じて可能となっている。また、ブレーキECU6では、図示しない車輪速度センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサなどの検出信号を入力し、これらの検出信号から得られる車輪速度や車速(つまり、車体速度)の状態、前後加速度に基づいてアンチロックブレーキや横滑り制御なども実行している。
(液圧発生装置)
次に、図2を用いて、液圧ブレーキ装置Bに備えられる液圧発生装置60について説明する。液圧発生装置60は、「アキュムレータ圧」を発生させるものである。液圧発生装置60は、アキュムレータ61、液圧ポンプ62、モータ63、圧力センサ65を有している。
アキュムレータ61は、液圧ポンプ62により発生したブレーキ液圧である「アキュムレータ圧」を蓄圧するものである。アキュムレータ61は、配管66により、圧力センサ65、および液圧ポンプ62と接続されている。液圧ポンプ62は、リザーバ19と接続されている。液圧ポンプ62は、モータ63によって駆動されて、リザーバ19で貯留されたブレーキ液をアキュムレータ61に供給する。そして、アキュムレータ61にブレーキ液が蓄積されることで「アキュムレータ圧」が発生させられ、配管67を通じて「アキュムレータ圧」がハイドロブースタ10に伝えられている。
圧力センサ65は、アキュムレータ61の「アキュムレータ圧」を検出する。「アキュムレータ圧」が所定値以下に低下したことが圧力センサ65によって検出されると、ブレーキECU6からの制御信号に基づいてモータ63が駆動される。
(ハイドロブースタ)
続いて、図2を用いて、本実施形態のハイドロブースタ10について説明する。ハイドロブースタ10は、液圧発生装置60によって発生された「アキュムレータ圧」をブレーキペダル71の操作に応じて調圧して「サーボ圧」を発生させ、当該「サーボ圧」から「マスタ圧」を発生させるものである。
ハイドロブースタ10は、マスタシリンダ11、フェイルシリンダ12、第1マスタピストン13、第2マスタピストン14、入力ピストン15、オペロッド16、第1リターンスプリング17、第2リターンスプリング18、リザーバ19を備えている。また、ハイドロブースタ10は、ストッパ部材21、メカニカルリリーフバルブ22、スプールピストン23、スプールシリンダ24、スプールスプリング25、シミュレータスプリング26、ペダルリターンスプリング27、揺動部材28を備えている。さらに、ハイドロブースタ10は、第1スプリング受け29、第2スプリング受け30、連結部材31、移動部材32、保持ピストン33、シミュレータラバー34、受け部材35、フェイルスプリング36、緩衝部材37、第1スプールスプリング受け38、第2スプールスプリング受け39、押圧部材40およびシール部材41〜49を有している。
なお、第1マスタピストン13が設けられている側を、ハイドロブースタ10の前方とし、オペロッド16が設けられている側を、ハイドロブースタ10の後方とする。つまり、ハイドロブースタ10(マスタシリンダ11)の軸線方向は、前後方向である。
マスタシリンダ11は、前端に底部11aを有し、後方に開口した有底筒状である。言い換えると、マスタシリンダ11は、前後方向に円柱状の空間11pを有する。マスタシリンダ11は、車両に取り付けられている。マスタシリンダ11には、前方から後方に向かって順に、空間11p内に連通する第1ポート11b、第2ポート11c、第3ポート11d、第4ポート11e、第5ポート11f、第6ポート11g、第7ポート11hが形成されている。第2ポート11c、第4ポート11e、第6ポート11g、第7ポート11hは、ぞれぞれ、ブレーキ液を貯留するリザーバ19と接続している。つまり、リザーバ19は、マスタシリンダ11の空間11pに接続されている。
マスタシリンダ11の内周面の第2ポート11cが設けられている位置の前後には、それぞれ、後述の第1マスタピストン13の外周面と全周に渡って接触するシール部材41、42が設けられている。また、マスタシリンダ11の内周面の第4ポート11eが設けられている位置の前後には、それぞれ、後述の第2マスタピストン14の外周面と全周に渡って接触する。シール部材43、44が設けられている。
また、マスタシリンダ11の内周面の第5ポート11fが設けられている位置の前後には、それぞれ、後述のフェイルシリンダ12の第1筒部12bおよび第2筒部12cと全周に渡って接触するシール部材45、46が設けられている。また、マスタシリンダ11の内周面の第7ポート11hが設けられている位置の前後には、それぞれ、フェイルシリンダ12の第2筒部12cと全周に渡って接触するシール部材48、49が設けられている。
シール部材45の前方には、サポート部材59が設けられている。シール部材45とサポート部材59は、マスタシリンダ11の内部に凹陥形成された同一の保持凹部11j内に保持され、互いに接触している(図3参照)。サポート部材59は、環状部材にスリットを設けた割リングで構成されている。サポート部材59は、樹脂等の弾性を有する材料で構成されている。図3に示すように、サポート部材59の内周面は、後述のフェイルシリンダ12の第1筒部12bの外周面と接触している。
図2に示すように、第5ポート11fは、マスタシリンダ11の外周面と空間11p内を連通している。第5ポート11fは、配管67によってアキュムレータ61に接続されている。つまり、アキュムレータ61は、マスタシリンダ11の空間11pと接続されていて、第5ポート11fには、「アキュムレータ圧」が供給される。
第5ポート11fと第6ポート11gは、連通流路11kによって連通している。連通流路11kには、メカニカルリリーフバルブ22が設けられている。メカニカルリリーフバルブ22は、第6ポート11gから第5ポート11fへのブレーキ液の流通を阻止するとともに、第5ポート11fが規定圧力以上となった場合に、第5ポート11fから第6ポート11gへのブレーキ液の流通を許容する。
第1マスタピストン13は、マスタシリンダ11の空間11p内の前方(底部11aの後方)に、前後方向に摺動可能に設けられている。第1マスタピストン13は、円筒形状の筒部13aと、筒部13aの後方に筒部13aを閉塞するように形成された受け部13bとから構成された有底筒状である。筒部13aには、流通穴13cが形成されている。なお、受け部13bの前方側において、マスタシリンダ11の内周面、筒部13a、および受け部13bによって囲まれる空間によって第1マスタ室10aが形成されている。第1ポート11bは、第1マスタ室10aに連通している。第1マスタ室10aは、ホイールシリンダWCfl、WCfr、WCrl、WCrrに供給されるブレーキ液で満たされている。
マスタシリンダ11の底部11aと第1マスタピストン13の受け部13bとの間には、第1リターンスプリング17が設けられている。この第1リターンスプリング17によって、第1マスタピストン13が後方に付勢され、ブレーキペダル71が踏まれていない場合に、第1マスタピストン13が、図2に示す原位置に復帰するようになっている。
第1マスタピストン13が原位置に位置している状態では、第2ポート11cと流通穴13cとが合致し、リザーバ19と第1マスタ室10aが連通している。このため、リザーバ19から第1マスタ室10aにブレーキ液が供給されるとともに、第1マスタ室10a内にある余剰のブレーキ液がリザーバ19に戻される。第1マスタピストン13が原位置から前方に移動すると、流通穴13cがシール部材41よりも前方に移動するため第2ポート11cが筒部13aによって遮断され、第1マスタ室10aが密閉状態となり、第1マスタ室10aにおいて「マスタ圧」が発生する。
第2マスタピストン14は、マスタシリンダ11の空間11p内の第1マスタピストン13の後方に、前後方向に摺動可能に設けられている。第2マスタピストン14は、その前部に形成された円筒形状の第1筒部14aと、第1筒部14aの後方に形成された円筒形状の第2筒部14bと、第1筒部14aと第2筒部14bの接続部分において第1筒部14aおよび第2筒部14bを閉塞するように形成された受け部14cとから構成されている。第1筒部14aには、流通穴14dが形成されている。
なお、受け部14cの前方において、受け部13b、マスタシリンダ11の内周面、第1筒部14a、および受け部14cによって囲まれる空間によって第2マスタ室10bが形成されている。第3ポート11dは、第2マスタ室10bに連通している。第2マスタ室10bは、ホイールシリンダWCfl、WCfr、WCrl、WCrrに供給されるブレーキ液で満たされている。
第1マスタピストン13の受け部13bと受け部14cとの間には、第1リターンスプリング17よりセット荷重の大きな第2リターンスプリング18が設けられている。この第2リターンスプリング18によって、第2マスタピストン14が後方に付勢され、ブレーキペダル71が踏まれていない場合に、第2マスタピストン14が、図2に示す原位置に復帰するようになっている。
第2マスタピストン14が原位置に位置している状態では、第4ポート11eと流通穴14dとが合致し、リザーバ19と第2マスタ室10bが連通している。このため、リザーバ19から第2マスタ室10bにブレーキ液が供給されるとともに、第2マスタ室10b内にある余剰のブレーキ液がリザーバ19に戻される。第2マスタピストン14が原位置から前方に移動すると、流通穴14dがシール部材43よりも前方に移動するため第4ポート11eが筒部14aによって遮断され、第2マスタ室10bが密閉状態となり、第2マスタ室10bにおいて「マスタ圧」が発生する。
フェイルシリンダ12は、マスタシリンダ11の空間11p内の第2マスタピストン14の後方に、前後方向摺動可能に設けられている。フェイルシリンダ12は、前方から後方に向かって、先端筒部12a、第1筒部12b、第2筒部12cが同軸に一体形成されている。先端筒部12a、第1筒部12b、第2筒部12cのいずれも円筒形状である。先端筒部12aの外径a、第1筒部12bの外径b、第2筒部12cの外径cの順に大きくなっている。先端筒部12aと第1筒部12bの間には、段差状となっていて押圧面12iが形成されている。
第2筒部12cの後端には、フランジ状の当接部12hが外側に延出形成されている。当接部12hが後述のストッパ部材21と当接し、フェイルシリンダ12がマスタシリンダ11から脱落しないようになっている。第2筒部12cの後部の内周面は他の部分と比べて内径が大きくなっていて、段差面12jが形成されている。
先端筒部12aは、第2マスタピストン14の第2筒部14b内に挿通している。第1筒部12bの後部には、第1筒部12bの外周面から内周面に連通する第1インナーポート12dが形成されている。第2筒部12cの前部には、第2筒部12cの外周面から内周面に連通する、第2インナーポート12e、第3インナーポート12fが形成されている。第2筒部12cの中間部には、第2筒部12cの外周面と内周面を連通し、フェイルシリンダ12内に設けられた入力ピストン15の前方に向けて開口する第4インナーポート12gが形成されている。
図3に示すように、第2筒部12cの内周の前部には、ストッパ12mが突出形成されている。ストッパ12mには、前後方向に流路12nが連通形成されている。
図2に示すように、入力ピストン15は、後述のスプールシリンダ24やスプールピストン23の後方において、フェイルシリンダ12の第2筒部12cの後部の内部(マスタシリンダ11の空間11p内)に前後方向摺動可能に設けられている。入力ピストン15は、断面円形状を有する略円柱形状である。入力ピストン15の後端には、底部が円錐状に凹陥したロッド受け部15aが形成されている。入力ピストン15の前部には、スプリング受け部15bが凹陥形成されている。入力ピストン15の後部は他の部分と比べて外径が小さくなっていて、段差面15eが形成されている。
入力ピストン15の外周面には、シール保持凹部15c、15dが凹陥形成されている。シール保持凹部15c、15dには、フェイルシリンダ12の第2筒部12cの内周面と全周に渡って接触するシール部材55、56が取り付けられている。
入力ピストン15は、オペロッド16および連結部材31を介して、ブレーキペダル71に連結されている。このため、入力ピストン15には、ブレーキペダル71からの操作力が、連結部材31およびオペロッド16を介して伝達される。また、入力ピストン15は、伝達された操作力を、シミュレータスプリング26、移動部材32、シミュレータラバー34、保持ピストン33、緩衝部材37を介して、スプールピストン23に伝達して、スプールピストン23を駆動する。
図6に示すように、受け部材35は、円筒部35aと、円筒部35aの前端から内側に延出するリング状の受け部35bとから構成されている。受け部材35は、受け部35bの前端面が、第2筒部12cの段差面12jおよび入力ピストン15の段差面15eと当接して、第2筒部12cの内部の後端部に設けられている。
ストッパ部材21は、マスタシリンダ11の内部の後部に摺動可能に設けられている。ストッパ部材21は、リング状の基部21aと、基部21aの前面から前方に突出する円筒形状の円筒部21bと、円筒部21bの前端から内側に延出したリング状のストッパ部21cから構成されている。
円筒部21bの内側の基部21aの前面には、受け面21dが形成されている。受け面21dにフェイルシリンダ12の当接部12hが当接している。基部21aの前面の受け面21dよりも内側にはリング状に凹陥した保持凹部21fが形成されている。この保持凹部21fに、受け部材35の円筒部35aの後端が挿入されている。基部21aの前面の保持凹部21fよりも内側にはリング状に前方に突出した突出部21gが形成されている。
基部21aの後端面の中心には、球面状に凹陥した形状の受け穴21eが形成されている。マスタシリンダ11の内部の後端、つまり、マスタシリンダ11の開口部には、Cリング86が取り付けられている。このCリング86によって、ストッパ部材21のマスタシリンダ11からの脱落が防止される。
揺動部材28は、リング状である。揺動部材28の前部には、受け穴21eと合致する球面状の押圧面28aが形成されている。押圧面28aが受け穴21eに密接して、揺動部材28がストッパ部材21の後方に設けられている。揺動部材28はストッパ部材21に対して揺動可能である。
フェイルスプリング36は、受け部材35の円筒部35a内において、受け部材35の受け部35bとストッパ部材21の突出部21gの間に設けられている。本実施形態では、フェイルスプリング36は、複数のダイヤフラムスプリングである。このような構成によって、フェイルスプリング36は、フェイルシリンダ12をマスタシリンダ11に対して前方に付勢している。
第1スプリング受け29は、円筒部29aと、円筒部29aの前端に、内側および外側に延出形成されたフランジ状のフランジ部29bとから構成されている。フランジ部29bが揺動部材28の後端面に密接して、第1スプリング受け29が揺動部材28の後方に設けられている。
オペロッド16の前端には、球状の押圧部16aが形成されている。オペロッド16の後端には、ネジ部16bが形成されている。押圧部16aがロッド受け部15aに挿入されて、オペロッド16が入力ピストン15の後端に連結している。なお、オペロッド16の長手方向は、前後方向となっている。オペロッド16は、揺動部材28および第1スプリング受け29に挿通されている。
第2スプリング受け30は、第1スプリング受け29と対向して、第1スプリング受け29の後方に設けられている。第2スプリング受け30は、その後端に形成された底部30aと、底部30aから前方に形成された筒部30bとから構成された有底筒状である。底部30aにはネジ穴30cが形成されている。ネジ穴30cに、オペロッド16のネジ部16bが螺着している。
ペダルリターンスプリング27は、第1スプリング受け29のフランジ部29bと第2スプリング受け30の底部30aとの間に設けられている。ペダルリターンスプリング27は、第1スプリング受け29の円筒部29aと第2スプリング受け30の筒部30bの内側で保持されている。
連結部材31の前端には、ネジ穴31aが形成されている。ネジ穴31aにオペロッド16のネジ部16bが螺着して、連結部材31がオペロッド16の後端に連結されている。第2スプリング受け30の底部30aは、連結部材31の前端と当接している。連結部材31の前後方向中間部分には、軸穴31bが連通形成されている。第2スプリング受け30のネジ穴30cと連結部材31のネジ穴31aがオペロッド16のネジ部16bと螺着している。このような構造により、連結部材31のオペロッド16に対する前後方向位置が調整可能となっている。
ブレーキペダル71は、運転者の踏力(操作力)が伝達されるレーバー状の部材である。ブレーキペダル71の中間部分には、軸穴71aが形成されている。ブレーキペダル71の上端には、取付穴71bが形成されている。取付穴71bにボルト81が挿通して、取付穴71bを揺動中心として、ブレーキペダル71が車両の取付部(図2に示す一点鎖線)に揺動可能に取り付けられている。軸穴71aと、連結部材31の軸穴31bに、連結ピン82が挿通して、ブレーキペダル71が連結部材31に揺動可能に連結されている。
ペダルリターンスプリング27の付勢力によって、第2スプリング受け30および連結部材31が後方に付勢され、ブレーキペダル71が図2に示す原位置に復帰するようになっている。ブレーキペダル71が踏み込まれると、ブレーキペダル71は取付穴71bを揺動中心として揺動し、軸穴71a、31bもまた取付穴71bを揺動中心として揺動する。なお、図2中に、軸穴71a、31bの中心から前方に引き出すように示した二点鎖線は、軸穴71a、31bの軌跡である。図2の二点鎖線で示すように、ブレーキペダル71が踏み込まれるに従って、軸穴71a、31bの位置は上方に移動する。すると、揺動部材28および第1スプリング受け29はストッパ部材21に対して揺動し、ペダルリターンスプリング27に無理な力、つまり、せん断方向の力が作用しないようになっている。
図2に示すように、保持ピストン33は、フェイルシリンダ12の第2筒部12cの内部の前方に(マスタシリンダ11の空間11p内に)前後方向摺動可能に設けられている。保持ピストン33は、その前部に形成された底部33aと、底部33aの後方に形成された筒部33bとから構成された有底筒状である。底部33aの前端面には保持凹部33cが凹陥形成されている。図3に示すように、保持凹部33cの内周面の前端部分には、Cリング溝33eが全周に渡って凹陥形成されている。筒部33bの外周面には、シール保持凹部33dが凹陥形成されている。シール保持凹部33dには、フェイルシリンダ12の第2筒部12cの内周面と全周に渡って接触するシール部材75が取り付けられている。
図2に示すように、移動部材32は、フェイルシリンダ12の第2筒部12c内(マスタシリンダ11の空間11p内)の保持ピストン33の後方に、前後方向摺動可能に設けられている。移動部材32は、その前端部に形成されたフランジ状のフランジ部32aと、フランジ部32aの後方に形成された軸部32bとから構成されている。
フランジ部32aの前端面には、ラバー受け凹部32cが凹陥形成されている。ラバー受け凹部32cには、円柱形状のシミュレータラバー34が取り付けられている。シミュレータラバー34は、フランジ部32aから前方に突出している。原位置では、シミュレータラバー34(移動部材32)は保持ピストン33と当接しているか、もしくは、僅かな隙間を空けて配置されている。ここでの隙間は、ハイドロブースタ10に回生制動力相当の無効ストロークを意図的に持たせるためのものではなく、当接していても良い程度に小さな隙間で良い。
フランジ部32aには、フランジ部32a前方と保持ピストン33間に形成される空間と後述のシミュレータ室10fとを連通する流路32hが形成されている。このため、移動部材32が保持ピストン33に対して摺動した場合に、上記した空間とシミュレータ室10f間においてブレーキ液が相互に流通し、移動部材32の保持ピストン33に対する摺動が阻害されない。
フェイルシリンダ12の第2筒部12c、保持ピストン33、入力ピストン15により囲まれる空間によってシミュレータ室10fが形成されている。シミュレータ室10f内には、ブレーキ液が満たされている。
シミュレータスプリング26は、シミュレータ室10f内において、移動部材32のフランジ部32aと入力ピストン15のスプリング受け部15bとの間に設けられている。つまり、シミュレータスプリング26は、フェイルシリンダ12の第2筒部12c内(マスタシリンダ11の空間11p内)において、入力ピストン15の前方に設けられている。シミュレータスプリング26内に移動部材32の軸部32bが挿通し、シミュレータスプリング26が軸部32bで保持されている。本実施形態では、シミュレータスプリング26の前部は、移動部材32の軸部32bに圧入されている。このような構成により、シミュレータラバー34(移動部材32)が保持ピストン33に当接した状態から更に入力ピストン15が前方に移動した場合に、シミュレータスプリング26によって入力ピストン15が後方に付勢される。
第1インナーポート12dは、フェイルシリンダ12の第1筒部12bの外周面に向けて開口している。上述したように、第2筒部12cの外径cは第1筒部12bの外径bよりも大きい。このため、第5ポート11fに「アキュムレータ圧」が作用すると、当該「アキュムレータ圧」および第1筒部12bと第2筒部12cとの断面積差により、フェイルシリンダ12には後方への力が作用してストッパ部材21に押し付けられ、フェイルシリンダ12がその摺動範囲の最後端の原位置に位置される。
フェイルシリンダ12が原位置にある状態では、第4インナーポート12gは、マスタシリンダ11の第7ポート11hと連通している。このように、シミュレータ室10fとリザーバ19は、第4インナーポート12gと第7ポート11hとからなる「リザーバ流路」によって連通し、入力ピストン15の前後方向の摺動に伴い、シミュレータ室10fの容積が変化した場合には、シミュレータ室10f内のブレーキ液がリザーバ19に戻され、又は、リザーバ19からブレーキ液がシミュレータ室10fに供給される。このため、入力ピストン15の前後方向の摺動が阻害されない。
図3に示すように、スプールシリンダ24は、フェイルシリンダ12の第1筒部12b内(マスタシリンダ11の空間11p内)の第2マスタピストン14の後方に固定されている。スプールシリンダ24は、円筒形状である。スプールシリンダ24の外周面には、シール保持凹部24a、24bが凹陥形成されている。シール保持凹部24a、24bには、第1筒部12bの内周面と全周に渡って接触するシール部材57、58が保持されている。これらシール部材57、58と第1筒部12bの内周面との摩擦力により、スプールシリンダ24の第1筒部12bに対する前方への移動が阻止される。スプールシリンダ24の後端がストッパ12mに当接して、スプールシリンダ24の後方への移動が阻止される。
スプールシリンダ24には、スプールシリンダ24の外周面と内周面を連通するスプールポート24cが形成されている。スプールポート24cは、第1インナーポート12dと連通している。スプールポート24cよりも後方のスプールシリンダ24の内周面には、第1スプール凹部24dが全周に渡って凹陥形成されている。第1スプール凹部24dよりも後方のスプールシリンダ24の内周面には、第2スプール凹部24fが全周に渡って凹陥形成されている。
シール保持凹部24bよりも後方のスプールシリンダ24の外周面には、流通凹部24eが全周に渡って凹陥形成されている。第3インナーポート12fは、流通凹部24eに向けて開口している。従って、流通凹部24eは、第3インナーポート12fおよび第6ポート11gを介して、リザーバ19に連通している。
スプールピストン23は、断面円形状を有する円柱形状である。スプールピストン23は、スプールシリンダ24内に前後方向摺動可能に挿通している。スプールピストン23の後端は、他の部分と比べて外径が大きい固定部23aが形成されている。スプールピストン23の固定部23aが保持ピストン33の保持凹部33cに挿入されている。そして、保持ピストン33のCリング溝33eにCリング85が係合して、スプールピストン23の保持ピストン33の保持凹部33cからの前方への脱落が防止されて、スプールピストン23が前後方向摺動可能に保持ピストン33に保持されている。なお、固定部23aを他の部分から分割したスプールピストン23であっても差し支え無い。
保持凹部33cの底部とスプールピストン23の後端面との間には、緩衝部材37が設けられている。緩衝部材37は、本実施形態では、弾性を有する円柱形状のゴムで構成されているが、コイルスプリングやダイヤフラムスプリング等の付勢部材であっても差し支え無い。
スプールピストン23の外周面の前後方向中間位置には、全周に渡って第3スプール凹部23bが凹陥形成されている。第3スプール凹部23bの後方位置のスプールピストン23の外周面には、全周に渡って第4スプール凹部23cが凹陥形成されている。スプールピストン23には、その前端から中間よりもやや後方位置まで、流通穴23eが形成されている。スプールピストン23には、第4スプール凹部23cと流通穴23eを連通する第1流通ポート23d、第2流通ポート23fが形成されている。
図2に示すように、第2マスタピストン14の受け部14cの後方のマスタシリンダ11の空間11p内において、第2マスタピストン14、スプールピストン23の前端、スプールシリンダ24の前端で囲まれる空間が、サーボ室10cである。
図2に示すように、第1スプールスプリング受け38は、受け部38a、取付部38b、とから構成されている。受け部38aは、円板状である。受け部38aは、フェイルシリンダ12の先端筒部12aの開口部を閉塞するように、先端筒部12a内の前方に取り付けられている。取付部38bは、円筒形状であり、受け部38aの前面の中心から前方に突出形成されている。取付部38bの内周面には、ネジ溝が形成されている。受け部38aの後面の中心には後方に当接部38cが突出形成されている。受け部38aには、前後方向に連通する流通穴38dが形成されている。
押圧部材40は、棒状である。押圧部材40の後部は、取付部38bのネジ溝に螺着している。
図3に示すように、第2スプールスプリング受け39は、その前端に底部39cを有する有底筒状の本体部39aと、本体部39aの後端に外側に延出形成されたリング状の受け部39bとから構成されている。本体部39aの内周面にスプールピストン23の前端が嵌合して、第2スプールスプリング受け39がスプールピストン23の先端に取り付けられている。底部39cには連通穴39dが形成されている。図2に示すように、第2スプールスプリング受け39は、第1スプールスプリング受け38の当接部38cと所定距離離間して対向している。
図2や図3に示すように、スプールスプリング25は、第1スプールスプリング受け38の受け部38aと、第2スプールスプリング受け39の受け部39bの間に設けられている。スプールスプリング25によって、スプールピストン23はフェイルシリンダ12やスプールシリンダ24に対して後方に付勢されている。
シミュレータスプリング26のバネ定数は、スプールスプリング25のバネ定数よりも大きく設定されている。また、シミュレータスプリング26のバネ定数は、ペダルリターンスプリング27のバネ定数よりも大きく設定されている。
(シミュレータ)
続いて、シミュレータスプリング26、ペダルリターンスプリング27、およびシミュレータラバー34から構成される「シミュレータ」について説明する。「シミュレータ」は、ブレーキペダル71のストロークに応じて、ブレーキペダル71に荷重(ペダル反力)を発生させ、通常のブレーキ装置の操作感(踏力感)を再現する機構である。
ブレーキペダル71が踏まれると、まず、ペダルリターンスプリング27が縮む。この際に、ブレーキペダル71に作用するペダル反力は、ペダルリターンスプリング27のセット荷重に、ペダルリターンスプリング27のバネ定数にブレーキペダル71(連結部材31)のストロークを乗算した値を加えた値となる。
更にブレーキペダル71が踏み込まれ、シミュレータラバー34が保持ピストン33に当接すると、ペダルリターンスプリング27およびシミュレータスプリング26が縮む。この際にペダル反力は、シミュレータスプリング26およびペダルリターンスプリング27の発生荷重の合成値となる。このため、シミュレータラバー34が保持ピストン33に当接する前と比較して、ブレーキペダル71のストロークあたりのペダル反力の増加量が大きくなる。原位置において、シミュレータラバー34が保持ピストン33と当接した状態になっているときには、ブレーキペダル71の踏み込み開始からこの状態となる。
なお、シミュレータラバー34は、実際には保持ピストン33と当接してから、更なるブレーキペダル71の踏みに伴って圧縮される。シミュレータラバー34は、その性質から、圧縮されるに従って徐々にバネ定数が上昇する。このため、シミュレータラバー34が保持ピストン33に当接する前後において、ブレーキペダル71のストローク当たりのペダル反力が徐変し、ペダル反力の急変に伴う運転者の違和感が抑制される。
なお、シミュレータラバー34は、移動部材32と保持ピストン33との当接部分に取り付けられていればよく、保持ピストン33の後端に取り付けられていても良い。このような構造であっても、ブレーキペダル71のストローク当たりのペダル反力が徐変する。
このように、シミュレータラバー34が保持ピストン33に当接するまで、ブレーキペダル71のストロークあたりのブレーキペダル71に作用する反力の増加量が小さくなる。そして、シミュレータラバー34が保持ピストン33に当接した後は、ブレーキペダル71のストロークあたりのブレーキペダル71に作用する反力の増加量が大きくなり、通常のブレーキ装置の操作感が再現されるようになっている。
(調圧装置)
続いて、調圧装置53について説明する。調圧装置53は、マスタ室10a、10b内に発生させられている「マスタ圧」を増圧又は減圧して、ホイールシリンダWCfl、WCfr、WCrl、WCrrに「ホイールシリンダ圧」を供給するものであり、周知のアンチロックブレーキ制御や横滑り防止制御を実現するものである。第1マスタ室10aの第1ポート11bには、配管52、調圧装置53を介してホイールシリンダWCfr、WCflが連通されている。また、第2マスタ室10bの第3ポート11dには、配管51、調圧装置53を介してホイールシリンダWCrr、WCrlが連通されている。
ここで、調圧装置53について、4つのホイールシリンダのうち1つ(WCfr)に「ホイールシリンダ圧」を供給する構成について説明し、他の構成については同様であるため説明を省略する。調圧装置53は、保持弁531、減圧弁532、調圧リザーバ533、ポンプ534、モータ535、差圧制御弁536を備えている。保持弁531は、常開型の電磁弁であり、ブレーキECU6により開閉が制御される。保持弁531は、第2流路158に配置されることで第2流路158の連通遮断状態を制御し、一方が差圧制御弁536に接続され、他方がホイールシリンダWCfrおよび減圧弁532に接続されるように設けられている。
減圧弁532は、常閉型の電磁弁であり、ブレーキECU6により開閉が制御される。減圧弁532は、第1流路157に配置されることで第1流路157の連通遮断状態を制御し、一方がホイールシリンダWCfrおよび保持弁531に接続され、他方が調圧リザーバ533の貯留室533eに接続されている。減圧弁532が開状態となると、ホイールシリンダWCfrと調圧リザーバ533の貯留室533eが連通し、ホイールシリンダWCfrの「ホイールシリンダ圧」が低下する。
差圧制御弁536は、常開型の電磁弁であり、ブレーキECU6により制御される。差圧制御弁536は、第2流路158に配置されており、一方が第1マスタ室10aに接続され、他方が保持弁531に接続されている。差圧制御弁536が通電されると、差圧状態となり、「ホイールシリンダ圧」が「マスタ圧」よりも所定圧以上高くなった場合にのみ、ホイールシリンダWCfr側から第1マスタ室10a側へのブレーキ液の流通が許容される。
調圧リザーバ533は、シリンダ533a、ピストン533b、スプリング533c、流路調整弁533dとから構成されている。シリンダ533a内には、ピストン533bが摺動可能に設けられている。シリンダ533aとピストン533bによって囲まれた空間によって貯留室533eが形成されている。ピストン533bが摺動することにより、貯留室533eの容積が変化する。貯留室533e内にはブレーキ液が貯留されている。スプリング533cは、シリンダ533aの底部とピストン533bの間の空間に設けられていて、貯留室533eの容積を減少させる方向にピストン533bを付勢している。
配管52の差圧制御弁536よりも第1マスタ室10a側は、第2流路158および流路調整弁533dを介して貯留室533eに接続している。貯留室533e内の圧力が高まるに従って、つまり貯留室533eの容積が増大する方向にピストン533bが摺動するに従って、流路調整弁533dによって貯留室533eと第2流路158の間の流路が絞られる。
ポンプ534は、ブレーキECU6の指令に応じたモータ535の作動によって駆動される。ポンプ534の吸込口は、第3流路159を介して貯留室533eに接続されている。ポンプ534の吐出口は、逆止弁zを介して、差圧制御弁536と保持弁531の間の配管52に接続されている。ここでの逆止弁zは、ポンプ534から配管52(第1マスタ室10a)への流れを許容し、その逆方向の流れを規制する。なお、ポンプ534が吐出したブレーキ液の脈動を緩和するために、ポンプ534の上流側にはダンパ(図示せず)が設けられていてもよい。
第1マスタ室10aにおいて「マスタ圧」が発生していない状態では、第2流路158を介して第1マスタ室10aと接続している貯留室533e内の圧力が高くないので、流路調整弁533dによって第2流路158と貯留室533e間の流路が絞られていない。このため、ポンプ534は第1マスタ室10aから第2流路158および貯留室533eを介してブレーキ液を吸入することができる。
一方で、第1マスタ室10aにおいて「マスタ圧」が上昇すると、当該「マスタ圧」が第2流路158を介してピストン533bに作用する力によって、流路調整弁533dが作動して、流路調整弁533dによって貯留室533eと第2流路158の間の流路が絞られて閉塞される。
この状態で、ポンプ534が駆動されると、貯留室533e内のブレーキ液がポンプ534によって吐出される。そして、所定量以上のブレーキ液が貯留室533eからポンプ534に供給されると、流路調整弁533dによって閉塞されている貯留室533eと第2流路158の間の流路が微少に開き、ブレーキ液が第1マスタ室10aから第2流路158を介して貯留室533eに供給され、次いで、ポンプ534に供給される。
このように構成される調圧装置53は、ブレーキECU6によって制御され、ブレーキペダル71の操作の有無にかかわらず各車輪Wfl、Wfr、Wrl、Wrrの「ホイールシリンダ圧」を調整できる。これについて、車輪Wfrを例に挙げて説明する。
調圧装置53の減圧モード時においては、減圧弁532が開状態、保持弁531が閉状態とされ、ホイールシリンダWCfrの「ホイールシリンダ圧」が低下する。そして、差圧制御弁536が開状態とされ、ポンプ534はホイールシリンダWCfr内のブレーキ液又は貯留室533e内に貯留されているブレーキ液を吸い込んで第1マスタ室10aに戻す。
調圧装置53の増圧モード時については、通常のブレーキペダル71が踏み込まれた場合(以下、通常ブレーキ時という)と、アンチロックブレーキや横滑り防止制御時とで異なる制御が行われることで「ホイールシリンダ圧」が調整される。
通常ブレーキ時には、ブレーキペダル71の踏込みによってサーボ室10cに「アキュムレータ圧」が作用した状態になる。このため、差圧制御弁536を開状態とし、保持弁531の開閉を適宜切り替えることで、「アキュムレータ圧」に基づいて所望の「ホイールシリンダ圧」をホイールシリンダWCfrに発生させる。具体的には、保持弁531についてはデューティ制御によって開閉を適宜切替え、所望の「ホイールシリンダ圧」が発生させられるようにしている。このとき、モータ535の駆動に基づくポンプ534による吸入吐出動作を行わせることなく、「アキュムレータ圧」に基づいて「ホイールシリンダ圧」を発生させていることから、ブレーキ操作中に継続してモータ駆動およびポンプ534によるブレーキ液の吸入吐出動作を行わなくても済む。
なお、この場合でも、ブレーキペダル71の踏込みが緩められたときには、上記した減圧モード時の動作に切り替わり、減圧弁532が開状態とされることでホイールシリンダWCfrの「ホイールシリンダ圧」を低下させて、適宜所望の値に調整することができる。
一方、横滑り防止制御時には、保持弁531が開状態、差圧制御弁536が差圧状態とされ、ポンプ534は第1マスタ室10a内のブレーキ液および貯留室533e内に貯留されているブレーキ液をホイールシリンダWCfrに供給する。これにより、ブレーキペダル71が操作されていないときであっても、ホイールシリンダWCfrにおいて「ホイールシリンダ圧」を発生させる。また、アンチロックブレーキ時には、保持弁531の開閉が適宜切り替えられ、所望の増圧勾配で「ホイールシリンダ圧」が増圧される。
調圧装置53の保持モード時においては、保持弁531が閉状態、又は差圧制御弁536が差圧状態とされ、ホイールシリンダWCfrの「ホイールシリンダ圧」が保持される。
このように、調圧装置53によって、ブレーキペダル71が操作されたときだけでなく、操作されていないときにも、「ホイールシリンダ圧」を調整することがきる。すなわち、ブレーキECU6は、ブレーキペダル71の操作量、車輪速度の状態、および前後加速度に基づき、各電磁弁531、532の開閉を切り換え制御し、モータ535を必要に応じて作動する。このようにして、ホイールシリンダWCfrに付与する「ホイールシリンダ圧」を調整することで、通常ブレーキ時における回生制動力との協調制御、アンチロックブレーキ制御や横滑り防止制御を実行する。なお、通常ブレーキ時における摩擦制動力と回生制動力との協調制御の詳細については、後述する。
(ハイドロブースタの動作)
以下に、ハイドロブースタ10の動作について説明する。ブレーキペダル71に入力される操作力(ペダル荷重)に応じて、スプールシリンダ24およびスプールピストン23からなる「スプール弁」が駆動され、ハイドロブースタ10が「減圧モード」、「増圧モード」、「保持モード」のいずれかに切り替えられる。
[減圧モード]
ブレーキペダル71が踏まれていない状態の場合には、「減圧モード」となる。図2に示すように、ブレーキペダル71が踏まれていない状態では、つまり、「減圧モード」では、シミュレータラバー34(移動部材32)と保持ピストン33の底部33aは離れているか、もしくは力が加わらない状態で当接している。
この状態では、スプールピストン23は、スプールスプリング25の付勢力により、スプールピストン23の摺動範囲の最後部の「減圧位置」(図3参照)に位置している。この状態では、図3に示すように、スプールポート24cが、スプールピストン23の外周面によって閉塞されている。つまり、アキュムレータ61からの「アキュムレータ圧」が、サーボ室10cに作用しない。
また、図3に示すように、スプールピストン23の第4スプール凹部23cはスプールシリンダ24の第2スプール凹部24fと連通している。つまり、サーボ室10cは、流通穴23e、第1流通ポート23d、第4スプール凹部23c、第2スプール凹部24f、流路12n、流通凹部24e、第3インナーポート12f、および第6ポート11gからなる「減圧流路」を介してリザーバ19に連通している。このため、「減圧モード」では、サーボ室10cは大気圧と同一であり、第1マスタ室10aおよび第2マスタ室10bにおいて「マスタ圧」は発生しない。
ブレーキペダル71が若干踏まれて、シミュレータラバー34が保持ピストン33の底部33aに当接し、保持ピストン33を介してスプールピストン23に前方への入力荷重が作用しても、当該入力荷重が、スプールスプリング25の付勢力よりも小さい場合には、スプールピストン23は、前方に移動することなく「減圧位置」に位置している。なお、上記入力荷重は、ブレーキペダル71の操作により、連結部材31に入力される荷重から、当該操作力によりペダルリターンスプリング27が圧縮されるのに必要な荷重を減算した力である。シミュレータラバー34が保持ピストン33に当接する前の状態では、ハイドロブースタ10は「増圧モード」とならず、「サーボ圧」および「マスタ圧」が発生することなく、摩擦ブレーキ装置Bfl、Bfr、Brl、Brrにおいて「摩擦制動力」が発生しないように設定されている。
[増圧モード]
ブレーキペダル71の踏込みによってシミュレータラバー34が保持ピストン33に当接して押圧されると、ハイドロブースタ10は「増圧モード」となる。つまり、ブレーキペダル71に入力される操作力により、保持ピストン33がシミュレータラバー34(移動部材32)によって押圧され、スプールピストン23に前方への荷重が作用すると、スプールピストン23がスプールスプリング25の付勢力に抗して、スプールピストン23の摺動範囲の前方の「増圧位置」に移動する(図4の状態)。
図4に示すように、スプールピストン23が「増圧位置」に位置している状態では、第1流通ポート23dはスプールシリンダ24の内周面によって閉塞され、第1流通ポート23dと第2スプール凹部24fは遮断される。このため、サーボ室10cとリザーバ19は遮断される。
また、スプールピストン23が「増圧位置」に位置している状態では、スプールポート24cは、第3スプール凹部23bに連通している。また、第3スプール凹部23b、第1スプール凹部24d、および第4スプール凹部23cは相互に連通している。このため、アキュムレータ61からの「アキュムレータ圧」が、第1インナーポート12d、スプールポート24c、第3スプール凹部23b、第1スプール凹部24d、第4スプール凹部23c、第2流通ポート23f、流通穴23e、連通穴39dからなる「増圧流路」を介して、サーボ室10cに供給され、「サーボ圧」が上昇する。
「サーボ圧」が上昇すると、「サーボ圧」によって第2マスタピストン14が前方に移動し、第2リターンスプリング18によって押圧された第1マスタピストン13も前方に移動する。すると、第2マスタ室10bおよび第1マスタ室10aに「マスタ圧」が発生する。「サーボ圧」の上昇に従って、「マスタ圧」が上昇する。本実施形態では、第2マスタピストン14の前後両側のシール径、および第1マスタピストン13の前後両側のシール径は同一となっている。従って、「サーボ圧」と第2マスタ室10bおよび第1マスタ室10aで発生する「マスタ圧」は同一となる。
第2マスタ室10bおよび第1マスタ室10aで「マスタ圧」が発生すると、第2マスタ室10bおよび第1マスタ室10aから配管51、52、調圧装置53を介してホイールシリンダWCfr、WCfl、WCrr、WCrlにブレーキ液が供給され、ホイールシリンダWCfr、WCfl、WCrr、WCrlにおいて「ホイールシリンダ圧」が発生し、摩擦制動力が発生する。
[保持モード]
スプールピストン23が「増圧位置」に位置している状態では、サーボ室10cに「アキュムレータ圧」が作用し「サーボ圧」が上昇する。すると、スプールピストン23には、「サーボ圧」にスプールピストン23の断面積(シール面積)を乗じた復帰力が後方に作用する。復帰力およびスプールスプリング25の付勢力の合力がスプールピストン23に作用する入力荷重よりも大きくなると、スプールピストン23は、後方に移動し、「減圧位置」と「増圧位置」の間の位置である「保持位置」に位置される(図5の状態)。
図5に示すように、スプールピストン23が「保持位置」に位置している状態では、スプールポート24cは、スプールピストン23の外周面によって閉塞される。また、第4スプール凹部23cは、スプールシリンダ24の内周面によって閉塞される。このため、スプールポート24cと第2流通ポート23fは遮断され、サーボ室10cとアキュムレータ61は遮断され、サーボ室10cに「アキュムレータ圧」が作用しない。
また、第4スプール凹部23cは、スプールシリンダ24の内周面によって閉塞されているので、第1流通ポート23dと第2スプール凹部24fは遮断され、サーボ室10cとリザーバ19が遮断される。すると、サーボ室10c密閉状態となり、「増圧モード」から「保持モード」に切り替わる際の「サーボ圧」が維持される。
スプールピストン23に作用する復帰力およびスプールスプリング25の付勢力の合力が、スプールピストン23に作用する入力荷重がつり合うと、「保持モード」が維持される。一方で、ブレーキペダル71への操作力が減少して、スプールピストン23に作用する入力荷重が減少し、スプールピストン23に作用する復帰力およびスプールスプリング25の付勢力の合力が、スプールピストン23に作用する入力荷重よりも大きくなると、スプールピストン23が後方に移動して「減圧位置」(図3参照)に位置し「減圧モード」となり、サーボ室10cの「サーボ圧」が減少する。
一方で、スプールピストン23が「保持位置」に位置している状態で、ブレーキペダル71に入力される操作力が増大して、スプールピストン23に作用する操作力が増大し、スプールピストン23に作用する入力荷重が、スプールピストン23に作用する復帰力およびスプールスプリング25の付勢力の合力よりも大きくなると、スプールピストン23が前方に移動して「増圧位置」(図4参照)に位置し「増圧モード」となり、サーボ室10cの「サーボ圧」が増大する。
なお、スプールピストン23の外周面とスプールシリンダ24の内周面との摺動抵抗等の抵抗により、スプールピストン23の移動にはヒステリシスが発生し、当該ヒステリシスによってスプールピストン23の前後方向の移動が阻害される。このため、「保持モード」から「減圧モード」、或いは「保持モード」から「増圧モード」に頻繁に切り替わらないようになっている。
(回生制動との協調制御)
続いて、図7を参照して、液圧ブレーキ装置Bを用いた摩擦制動力と回生制動力との協調制御について説明する。
ブレーキECU6は、所定の制御周期毎に図7のフローチャートに示す協調制御処理を実行することで、摩擦制動力と回生制動力との協調制御を行っている。
まず、ブレーキECU6は、各種センサ値を入力し(S100)、ブレーキセンサ72で検出されるブレーキペダル71の操作量(ストローク量)などを検出すると共に、ブレーキセンサ72の示す値(ブレーキセンサ値)より「要求制動力」を演算する(S110)。この「要求制動力」が「目標回生制動力」となる。
次に、ブレーキECU6は、「目標回生制動力」のデータをハイブリッドECU9に送信する(S120)。これに基づいて、ハイブリッドECU9は、車速、バッテリ507の充電状態、および「目標回生制動力」から、回生ブレーキ装置Aにおいて実際に発生させることができる「回生実行制動力」を演算する。ハイブリッドECU9は、回生ブレーキ装置Aにおいて「回生実行制動力」を発生させると共に、ブレーキECU6に「回生実行制動力」を出力する。
そして、ブレーキECU6は、ハイブリッドECU9より「回生実行制動力」のデータを受信すると(S130)、調圧装置53による調圧値を演算する(S140)。具体的には、「要求制動力(=目標回生制動力)」から「回生実行制動力」を減算することで、調圧値を取得している(調圧値=要求制動力−回生実行制動力)。この後、ブレーキECU6にて調圧装置53を制御し、調圧値に応じた「ホイールシリンダ圧」を調整させて、摩擦ブレーキ装置Bfl、Bfr、Brl、Brrにおいて所望の摩擦制動力を発生させる。
これにより、液圧ブレーキ装置Bと回生ブレーキ装置Aとを用いた摩擦制動力と回生制動力との協調制御によって、ブレーキペダル71の操作量に応じた制動力を発生させることが可能となる。
このような協調制御を行う場合の具体的な動作について、図8および図9を用いて、従来の協調制御と比較しながら説明する。
まず、従来の協調制御では、回生制動力によって足りない制動力を調圧装置によるポンプの吸入吐出動作に基づく加圧を継続して行うことで摩擦制動力として発生させている。そして、ブレーキペダルの踏込み量がある程度大きくなると、ハイドロブースタの「アキュムレータ圧」を用いた加圧が加わることで、摩擦制動力が高められるという動作が行われている。具体的には、従来では、協調制御における調圧装置による加圧値を「要求制動力」から「回生実行制動力」を減算するだけでなく、「マスタ圧」も減算することで演算している(加圧値=要求制動力−(回生実行制動力+マスタ圧))。
したがって、図8に示すように、時点Taから、回生制動力が発生させられると同時に調圧装置によるポンプの吸入吐出動作に基づく加圧が行われることで摩擦制動力が発生させられ、ブレーキペダルの操作量に応じた制動力が発生させられる。そして、時点Tbにおいて、ブレーキペダルの操作量が所定値に至ると、ハイドロブースタの「アキュムレータ圧」が用いられ、回生制動力に加えて、調圧装置とハイドロブースタの双方に加圧に基づく摩擦制動力に基づいて、所望の制動力が発生させられる。
この後、時点Tcにおいてブレーキペダルの操作量が一定になった後も調圧装置による加圧は継続される。また、時点Td〜Tgにおいてブレーキペダルの操作量が減少したり増加したりしても、ハイドロブースタの加圧に基づく摩擦制動力が減少させられるだけで調圧装置による加圧は継続される。さらに、時点Th〜時点Tiにおいて、車速の低下などによって回生制動力が減少したときにも調圧装置による加圧に基づく摩擦制動力によって回生制動力の低下分が補われる。その後、時点Ti〜Tjにおいて、回生制動力がゼロになっても、調圧装置の加圧およびハイドロブースタの加圧に基づく摩擦制動力によってブレーキペダルの操作量に応じた制動力が発生させられる。そして、ブレーキペダルの操作解除されると、調圧装置の加圧およびハイドロブースタの加圧が低下させられ、摩擦制動力も解除される。
このように、従来の協調制御では、調圧装置でのポンプの吸入吐出動作による加圧がブレーキ操作中継続して行われることになる。
一方、本実施形態の協調制御では、協調制御における調圧装置53による調圧値を「要求制動力」から「回生実行制動力」を減算した値として演算している(調圧値=要求制動力−回生実行制動力)。このため、時点Taから、回生制動力が発生させられると同時にハイドロブースタ10の「アキュムレータ圧」に基づく加圧が行われることで摩擦制動力が発生させられ、ブレーキペダル71の操作量に応じた制動力が発生させられる。保持弁531については、図9に示すように、デューティ制御によって適宜開閉切替を行うことで、「アキュムレータ圧」に基づいて所望の「ホイールシリンダ圧」を発生させるようにしている。
この後、時点Tcにおいてブレーキペダル71の操作量が一定になった後も調圧装置53による加圧は行われず、回生制動力とハイドロブースタ10の加圧に基づいて、ブレーキペダル71の操作量に応じた制動力が発生させられる。また、時点Tdにおいてブレーキペダル71の操作量が減少した場合には、減圧弁532を駆動して開状態とし、ブレーキペダル71の操作量に応じた「ホイールシリンダ圧」まで減少させ、摩擦制動力を低下させる。このとき、減圧弁532をデューティ制御しても良く、その場合には、ブレーキペダル71の操作量の変化に応じた勾配で「ホイールシリンダ圧」を低下させることができる。
そして、減圧弁532を閉状態に切替えることで摩擦制動力が保持され、時点Tf〜Tgにおいて、再びブレーキペダル71が踏み増されたときには、保持弁531の開閉が切替えられる。これにより、再びハイドロブースタ10の「アキュムレータ圧」に基づく加圧が行われることで摩擦制動力が増加させられる。このとき、調圧装置53において、モータ535を駆動することでポンプ534によるブレーキ液の吸入吐出動作が行われ、調圧リザーバ533に蓄積されたブレーキ液がマスタシリンダ11側に戻される。
また、時点Tgにおいてブレーキペダル71の踏み増しが止められると、保持弁531が閉状態にされることで摩擦制動力が保持される。さらに、時点Th〜時点Tiにおいて、車速の低下などによって回生制動力が減少したときには、ハイドロブースタ10の加圧に基づく摩擦制動力によって回生制動力の低下分が補われる。その後、時点Ti〜Tjにおいて、回生制動力がゼロになっても、ハイドロブースタ10の加圧に基づく摩擦制動力によってブレーキペダル71の操作量に応じた制動力が発生させられる。そして、ブレーキペダル71の操作解除されると、ハイドロブースタ10の加圧が低下させられ、摩擦制動力も解除される。
このように、本実施形態の協調制御では、調圧装置53でのポンプ534の吸入吐出動作による加圧がブレーキ操作中継続して行われることはなく、調圧リザーバ533内に蓄積されたブレーキ液を排出する際にのみポンプ534が作動させられる。
(本実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態では、摩擦制動力と回生制動力との協調制御を行うときに、摩擦制動力をハイドロブースタ10の「アキュムレータ圧」に基づく「ホイールシリンダ圧」によって発生させている。そして、ポンプ534については、ブレーキペダル71の踏込みの低下に対応して減圧弁532を駆動したとき、つまり調圧リザーバ533に貯留されるブレーキ液を排出する際に作動させるだけで、摩擦制動力を発生させるためには作動させていない。
したがって、摩擦制動力と回生制動力との協調制御の際に、ブレーキ操作中に継続してモータ535の駆動やポンプ534によるブレーキ液の吸入吐出動作を行わなくても所望の制動力を発生させることが可能となる。
また、ハイドロブースタ10における「減圧モード」、「増圧モード」、「保持モード」の切替えはスプールピストン23の前後移動によって行われるが、スプールピストン23を小さなストローク量移動させるだけで当該切替えを行うことができる。このため、「ホイールシリンダ圧」の圧力調整の際に、スプールピストン23の移動による影響がブレーキペダル71に殆ど表れないようにでき、ブレーキペダル71に伝達される衝撃が緩和されるため、運転者に違和感を与えないようにすることができる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、ブレーキペダル71に入力される操作を検出するブレーキセンサ72は、ブレーキペダル71のストローク量を検出している。しかし、ブレーキセンサ72は、入力ピストン15や、連結部材31、オペロッド16のストローク量を検出するストロークセンサであっても差し支え無い。或いは、ブレーキセンサ72は、ブレーキペダル71や入力ピストン15や、連結部材31、オペロッド16に作用する操作力を検出する荷重センサであっても差し支え無い。
また、上記実施形態では、回生ブレーキ装置Aが搭載されているハイブリッド車両を例に挙げて説明した。しかしながら、液圧ブレーキ装置Bによる摩擦制動力と回生ブレーキ装置Aによる回生制動力とによる協調制御が行われるハイブリッド車両以外の車両に対しても適用できる。
また、上記実施形態では、入力ピストン15に運転者の操作力を伝達するブレーキ操作部材としてブレーキペダル71を例に挙げたが、ブレーキレバーやブレーキハンドルなどの他のブレーキ操作部材が用いられる車両であっても良い。