JP2017047116A - 保護衣料 - Google Patents

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Abstract

【課題】脹脛の疲労を軽減しつつ、長時間の装着が可能である保護衣料を提供する。
【解決手段】本発明の実施の一形態に係るサポーター(100)は、高伸縮部(4)と、高伸縮部(4)よりも伸縮性が低い低伸縮部(3)とを含む筒状部(5)を備える。低伸縮部(3)は、下腿部の後面に配置され、腓腹筋の外側頭および内側頭の筋腹の最大膨大部を面状に覆う。
【選択図】図1

Description

本発明は、脹脛の疲労軽減などを目的とした保護衣料に関する。
下肢の疲労の原因の一つとして、浮腫みが問題となっている。浮腫みとは毛細血管の壁から染み出した血漿(血液中の液体成分)が静脈血やリンパ液として体幹に戻る循環が滞り、細胞間隙に血漿が過剰に溜まった状態のことである。
従来、下肢の浮腫み防止や補助などを目的として各種のサポーターが使用されている。上記サポーターに関連して、特許文献1〜4には、下肢に装着されるサポーターが開示されている。
例えば、特許文献1および2に開示の保護衣料は、脹脛の浮腫みを防止し、脹脛の疲労を軽減するために、周方向の緊締力を変化させることにより、装着者の下腿部に段階的着圧を加えている。
また、特許文献3および4に開示の保護衣料は、筋肉疲労を軽減させたり、筋力を向上させるために、所定の筋肉の筋腹を覆わないように、緊締力の強い緊締部を有している。
これら以外にも筋肉の疲労を軽減させるためにテーピングの原理などを応用し、筋肉の周囲を固定するように緊締力の強い緊締部を設けたものが複数存在する。
特許5627336号公報(2014年11月19日発行) 特開平11−131303号公報(1999年5月18日公開) 特許第2721649号(1998年3月4日発行) 特開2013−139662号公報(2013年7月18日公開)
しかしながら、上記特許文献1〜4に開示のサポーターでは、筋肉の動きは抑制されるものの、下腿部の筋肉の形状、血管や神経等の位置、特性が考慮されていないため、脹脛の疲労を軽減するために緊締を要しない部分にも緊締力(着圧)が加えられる。そのため、下腿部に鬱血および痛みが生じやすく、長時間の装着が困難であるという課題がある。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、脹脛の疲労を軽減しつつ、長時間の装着が可能である保護衣料を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係る保護衣料は、高伸縮部と当該高伸縮部よりも伸縮性が低い低伸縮部とを含む、脚の下腿部に装着される本体部を備え、前記低伸縮部は、下腿部の後面(背側)に配置され、腓腹筋の外側頭および内側頭の筋腹の最大膨大部を面状に覆うことを特徴とする。
本発明に係る保護衣料は、高伸縮部と低伸縮部とを含み、低伸縮部は、下腿部の後面に配置され、腓腹筋の外側頭および内側頭の筋腹の最大膨大部を面状に覆う。このため、腓腹筋における毛細血管から血漿が漏れにくくなると共に、静脈血およびリンパ液の滞りが軽減され足先から体幹へ戻りやすくなるので、脹脛の浮腫みが防止される。また、脹脛の浮腫みの防止により、酸素補給および老廃物排出が妨げられることも防止されるため、脹脛の疲労が軽減される。
また、腓腹筋の外側頭と内側頭の中間付近を通る知覚神経である内側腓腹皮神経と腓腹神経とが適度に緊締されるため、中枢神経が刺激され、装着者における身体の重心の揺れ、すなわち重心動揺が抑制される。また、下腿三頭筋の振動が抑制される。重心動揺と下腿三頭筋の振動との抑制のため、脹脛の疲労がさらに軽減される。
また、低伸縮部は、下腿部の後面に配置されるため、下腿部の後面以外の部位に強い緊締力(着圧)が加えられない。このため、下腿部に鬱血および痛みが生じにくくなるので、長時間の装着が可能になる。
したがって、上記構成によれば、脹脛の疲労を軽減しつつ、長時間の装着が可能である保護衣料を実現することができる。
また、本発明に係る保護衣料では、前記低伸縮部は、ヒラメ筋の筋腹の最大膨大部を面状に覆ってもよい。
上記構成によれば、ヒラメ筋の筋腹の最大膨大部において、毛細血管から血漿が漏れにくくなる。また、静脈血およびリンパ液の滞りが軽減され足先から体幹へ戻りやすくなる。これらのために、脹脛の浮腫みが更に防止される。また、脹脛の浮腫みの防止により、酸素補給および老廃物排出が妨げられることも防止されるため、脹脛の疲労がより軽減される。
また、本発明に係る保護衣料では、前記低伸縮部は、前脛骨筋を覆わなくてもよい。
上記構成によれば、前脛骨筋に加えられる緊締力が弱いため、前脛骨筋に鬱血および痛みが生じにくくなるので、長時間の装着が可能である。
また、本発明に係る保護衣料では、前記低伸縮部は、下腿部の周方向における幅が足首に向けて徐々に減少した部分を含む形状であってもよい。
上記構成によれば、低伸縮部は、下腿三頭筋の筋腱移行部に対応した形状である。このため、不要な部位を緊締せず、ヒラメ筋に対して適切に緊締力を加えることが可能なるため、脹脛の浮腫みを好適に防止し、疲労をより軽減しつつ、長時間の着用を可能にすることができる。
また、本発明に係る保護衣料では、前記低伸縮部は、小伏在静脈に対応する領域の一部と、外側腓腹皮神経に対応する領域の一部とを覆ってもよい。
上記構成によれば、腓腹筋の外側頭を通る知覚神経である外側腓腹皮神経が適度に緊締されるため、中枢神経が刺激されて装着者の重心動揺が抑制され、さらに脹脛の疲労が軽減される。また、小伏在静脈が緊締されるため、静脈血の滞りが軽減され足先から体幹へ戻りやすくなり、脹脛の浮腫みが防止される。さらに、脹脛の浮腫みの防止により、酸素補給および老廃物排出が妨げられることも防止されるため、脹脛の疲労が軽減される。
また、本発明に係る保護衣料では、前記低伸縮部は、膝関節側の端部である上端部に切欠部が形成されており、前記切欠部は、互いに隣り合う腓腹筋の外側頭と内側頭との境界部分に位置し、前記上端部から前記低伸縮部の足首側の端部である下端部に向けて形成された溝状の切り込みであってもよい。
上記構成によれば、外側頭と内側頭との境界部分の上端部が緊締されないため、過度な緊締力が緩和され、下腿部に鬱血および痛みが生じにくい。また、切欠部により低伸縮部の膝関節側の上端部は、外側頭と内側頭とに対応するように2つに枝分かれしている。このため、不要な部分を緊締せず外側頭と内側頭とを選択的に覆うことができる。このため、腓腹筋の外側頭および内側頭に対して高い緊締力を適切に加えることが可能となるので、脹脛の浮腫みが防止され、脹脛の疲労がより軽減しつつ、長時間の着用を可能にすることができる。
また、本発明に係る保護衣料では、前記本体部は、筒状であり、前記保護衣料は、前記本体部の膝関節側に周状に設けられた上アンカー部と、前記本体部の足首側に周状に設けられた下アンカー部と、をさらに備えてもよい。
上記構成によれば、本体部が筒状であるため、装着者は容易に本発明に係る保護衣料を装着することができる。また、上アンカー部と下アンカー部とにより、装着中に保護衣料がずれにくくなるため、装着者の下腿部の後面に適切に緊締力を加えることができる。
また、本発明に係る保護衣料では、前記低伸縮部は、前記高伸縮部よりも編み目が小さくてもよい。
上記構成によれば、本体部の編み目の大きさを部分的に変更することにより、低伸縮部と高伸縮部とを本体部に形成することができる。このため、容易に本発明に係る保護衣料を製造することができる。また、低伸縮部と高伸縮部との継目がないため、保護衣料の装着感を向上させることができる。
本発明によれば、脹脛の疲労を軽減しつつ、長時間の装着が可能である保護衣料を提供することができるという効果を奏する。
本発明の実施形態1に係るサポーターを下腿部に装着した状態を、後方(背面側)から見た場合の背面図である。 図1に示されるサポーターの緊締力の測定方法を説明するための模式図である。 本発明の実施形態2に係るサポーターの低伸縮部の形状と配置とを概略的に示す背面図である。 本発明の実施形態3に係るサポーターの低伸縮部の形状と配置とを概略的に示す背面図である。 本発明の実施形態4に係るサポーターの低伸縮部の形状と配置とを概略的に示す背面図である。 本発明の実施形態5に係るサポーターの低伸縮部の形状と配置とを概略的に示す背面図である。 実施例1における浮腫み量を説明するためのグラフであり、被験者らの浮腫み量の平均を示している。 実施例1における重心動揺を説明するためのグラフであり、棒部分は、被験者らの重心動揺の平均値を示し、髭部分は、被験者らの重心動揺の分散値を示す。 実施例1における疲労感を説明するためのグラフであり、被験者らの歩行前後の疲労感の差の平均値を示す。 実施例2における、被験者らの評価した14項目のそれぞれの点数の平均を説明するグラフである。 実施例2における、被験者らの評価した体の疲労感と足の疲労感とのそれぞれの点数の平均を説明するグラフである。 実施例2における、被験者らが回答したサポーターの疲労感軽減効果を説明するグラフである。 実施例2における、被験者らが回答したサポーターの総合評価を説明するグラフである。 人間の右脚の下腿部を後方(背面側)から見た場合の概略説明図である。
〔本発明の概要〕
まず、図14を参照して、本発明に係る保護衣料の概要を説明する。図14は、人間の右脚の下腿部を後方(背面側)から見た場合の概略説明図である。脹脛の浮腫みを防止して疲労を軽減するためには、図14に示すように、下腿部の後面に位置する下腿三頭筋301(特に、腓腹筋302)の筋腹部を緊締することが重要である。本発明者らは、保護衣料を長時間装着することを可能とするために、下腿部の前面(腹側)に位置する前脛骨筋を緊締しないことにより、下腿部に鬱血および痛みを生じさせないことが重要であることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明に係る保護衣料は、脹脛の疲労を軽減しつつ、長時間の装着を可能にすることを目的するものである。
(下腿部)
以下に、本発明の前提となる人間の下腿部について、説明する。下腿三頭筋301は、腓腹筋302とヒラメ筋303とから成る骨格筋であり、立ち続けたり、歩いたりするときに運動する筋肉である。また、下肢から体幹へ戻る静脈血およびリンパ液を、重力に抗して押し上げる重要な機能を下腿三頭筋301は果たしている。
腓腹筋302は、大腿骨の下端部外側から起こる外側頭304と、大腿骨の下端部内側から起こる内側頭305とを有し、踵骨の後端から起こるアキレス腱306に繋がっている。また、腓腹筋302は、脹脛において最も表皮に近く、腓腹筋302には、内側腓腹皮神経、外側腓腹皮神経、腓腹神経および小伏在静脈が通っている。
ヒラメ筋303は、脛骨の上端後面および腓骨のヒラメ筋線から起こり、アキレス腱306に繋がる筋肉である。また、ヒラメ筋303は、腓腹筋302の下にあり、ヒラメ筋303には、ヒラメ静脈が通っている。
下腿三頭筋301を緊締すると、毛細血管から下腿三頭筋301へ、血漿が漏れにくくなる。また、膝下から足首に向かって周方向の緊締力が徐々に強くなるように、下腿三頭筋301を緊迫すると、静脈血およびリンパ液が、重力に抗して押し上げられやすくなる。これらのため、脹脛の浮腫みが防止される。さらに、脹脛の浮腫みは、酸素補給および老廃物排出を妨げるため、浮腫みの防止により、脹脛の疲労が軽減される。なお、本明細書において、「膝下」とは、下腿部全体ではなく、下側(足首側)の膝関節の近傍を示す。
また、知覚神経である内側腓腹皮神経と外側腓腹皮神経と腓腹神経とを適度に緊締するように、下腿三頭筋301を緊締する場合、緊締が中枢神経への刺激となり、装着者における身体の重心の揺れ、すなわち重心動揺が抑制される。また、下腿三頭筋301を緊締すると、下腿三頭筋301の振動が抑制される。重心動揺と下腿三頭筋301の振動との抑制のため、さらに脹脛の疲労が軽減される。
また、小伏在静脈とヒラメ静脈とを適度に緊締するように、下腿三頭筋301を緊締する場合、緊締により静脈の内圧が高まり、静脈血が下肢から体幹へ押し上げられやすくなり、さらに脹脛の浮腫みが防止される。また、血行が促進されるため、酸素の供給と老廃物の排出が促進され、脹脛の疲労が軽減される。
したがって、下腿三頭筋301(特に腓腹筋302)の筋腹は緊締されることが好ましい。この緊締が、下腿三頭筋301の筋腱移行部より下部に及ぶ場合、下腿三頭筋301が緊締される範囲が広いため、脹脛の浮腫みと疲労とがより軽減される。一方、アキレス腱306は、下腿三頭筋301の筋腱移行部より下部にあり、足を後ろに蹴り出す時に張る。このため、ウォーキング等のためには、蹴り出しを妨げないように、アキレス腱306が緊締されないことが好ましい。
膝窩307は、ひざ裏の窪み部分であり、膝関節の背面側である。膝窩307には、膝窩動脈、膝窩静脈、脛骨神経、および総腓骨神経等が表皮付近を通っており、膝窩リンパ節が存在する。
膝窩307を緊締すると、表皮付近にある膝窩動脈、膝窩静脈、脛骨神経、総腓骨神経、および膝窩リンパ管等が強く圧迫され、鬱血および痺れ等を生じる。したがって、膝窩307は、緊締しないことが好ましい。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について、図1および図2に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
(サポーター100の構成)
以下に、サポーター(保護衣料)100について、説明する。図1は、本発明の実施形態1に係るサポーター100を下腿部に装着した状態を後方(背面側)から見た場合の背面図である。
サポーター100は、脹脛の疲労を軽減するために、下腿部に装着されるものである。サポーター100は、上アンカー部1と、下アンカー部2と、低伸縮部3と高伸縮部4とから成る筒状部(本体部)5とを備える。サポーター100は、丸編みにより製造され、装着者の膝下から足首上までを覆い、脹脛の浮腫みの防止と疲労の軽減のための脚絆型の保護衣料である。なお、本発明の範囲は、これに限らず、スパッツ、タイツおよび靴下などの脚保護用衣服を含む。
上アンカー部1は、筒状部5の上側(膝関節側)に周状に設けられ、サポーター100がずり下がらないように固定する。サポーター100においては、装着者の膝下に位置するが、これに限らない。例えば、スパッツおよびタイツ等の場合、上アンカー部1は、大腿部に位置してもよい。
下アンカー部2は、筒状部5の下側(足首側)に周状に設けられ、サポーター100がずり上がらないように固定する。サポーター100においては、装着者のアキレス腱上部近傍に位置するが、これに限らない。例えば、下アンカー部2は、足掛けであってもよい。なお、「足掛け」とは、足首丈のスパッツやズボン等に設けられるものであり、裾の外踝にあたる部分から内踝にあたる部分を結び、踵の下を通ることによりずり上がりを防止する。
また、サポーター100のずり下がりとずり上がりと回転とを防ぐために、上アンカー部1と下アンカー部2との内面には滑り止め加工が施されてもよい。
低伸縮部3は、高伸縮部4よりも伸縮性が低く緊締力の高い領域であり、サポーター100においては、高伸縮部4に比べて丸編みの編み目(度目)を細かく(小さく)することにより形成されている。また、低伸縮部3は、下腿三頭筋を覆い、前脛骨筋の近傍を覆わないように、略ハート形状に形成されている。
高伸縮部4は、低伸縮部3よりも伸縮性が高く緊締力の低い領域であり、サポーター100においては、低伸縮部3に比べて丸編みの編み目を粗く(大きく)することにより形成されている。高伸縮部4は、上アンカー部1と下アンカー部2と低伸縮部3とを繋ぐように形成されている。したがって、サポーター100においては、高伸縮部4が下腿部の前方を覆っている。
筒状部5は、低伸縮部3と高伸縮部4とが筒状に形成され、下腿部を覆う。また、筒状部5は装着者の下腿部に、膝から足首に向かって段階的に緊締力(着圧)が高くなるように形成されている。なお、筒状部5は、これに限らず、平面状に形成され、装着時に面ファスナー等により筒状にされてもよい。
(低伸縮部3の形状と配置)
低伸縮部3と高伸縮部4とを筒状部5の同一周において比較すると、低伸縮部3は高伸縮部4よりも高い緊締力を下腿部に加える。したがって、装着者の下腿部に適切な緊締力を加えるためには、低伸縮部3の形状と配置が重要である。
以下に、低伸縮部3の形状と配置について、図1に示す上端(上端部)11は、低伸縮部3の膝関節側の端である。下端(下端部)12は、低伸縮部3の足首側の端である。
中心軸20は、低伸縮部3の中心軸である。また、サポーター100が適切に装着された場合、中心軸20は装着者が立位のときに、脹脛に沿って鉛直方向に伸び、装着者の脹脛の中心(下腿部の後中心)に一致する。
中心上端21は、低伸縮部3の中心軸20上の膝関節側の端である。中心下端22は、低伸縮部3の中心軸20上の足首側の端である。中心部23は、中心軸20上に位置する低伸縮部3の中心である。中心部23は、脹脛が最も太くなる部分に位置する。上溝(切欠部)31は、低伸縮部3の膝関節側の端である上端11に形成されている。上溝31は、上端11から下端12に向けてV字の溝状に形成されているが、これに限らずU字状、凹状など溝の形状は任意でよい。
低伸縮部3は、下腿部の後面に配置され、少なくとも腓腹筋302の外側頭304および内側頭305が最も太くなる部分である最大膨大部を面状に覆い、下腿部の前面を覆わないように形成されている。
なお、腓腹筋302の外側頭304および内側頭305の筋腹の最大膨大部は、下腿三頭筋301の筋腹の最大膨大部と略同一であり、脹脛中央より少し上側(膝関節側)に位置する脹脛の最大膨大部と略同一である(図14参照)。
したがって、低伸縮部3が腓腹筋302の外側頭304および内側頭305の筋腹の最大膨大部を面状に覆う。このため、毛細血管から血漿が漏れにくくなると共に、静脈血およびリンパ液の滞りが軽減され足先から体幹へ戻りやすくなるので、脹脛の浮腫みが防止される。また、浮腫みの防止により、酸素補給および老廃物排出が妨げられないので、脹脛の疲労が軽減される。さらに、低伸縮部3は、ヒラメ筋303の筋腹の最大膨大部を面状に覆っているため、脹脛の浮腫みが防止され、脹脛の疲労がより軽減される。
また、低伸縮部3が下腿部の前面を覆わないため、前脛骨筋などに加えられる緊締力は弱い。これにより、下腿部に全面的な緊締が加えられないため、下腿部に鬱血および痛みが生じにくくなり、サポーター100の長時間の装着が可能となる。
低伸縮部3は、下腿三頭筋301の筋腱移行部を覆うように、下腿部の周方向における幅が足首に向けて徐々に減少している。このため、不要な緊締を軽減しつつ、ヒラメ筋303に対して高い緊締力を適切に加えることが可能となるので、脹脛の浮腫みが防止され、脹脛の疲労がより軽減されるとともに長時間の着用が可能となる。
ここで、低伸縮部3の上端11には、低伸縮部3が下腿三頭筋301の外側頭304と内側頭305との境界部分を覆わないように、外側頭304と内側頭305との境界部分に対応する位置に上溝31が形成されている。このため、低伸縮部3の膝関節側の上端11は、外側頭304と内側頭305とに対応するように、2つに枝分かれしている。これにより、過度な緊締力が緩和されるとともに外側頭304と内側頭305とに選択的に緊締力が加えられるので、脹脛の浮腫みがより防止され、脹脛の疲労がより軽減される。
なお、低伸縮部3は、膝窩307を覆わないよう形成されることが好ましい。これにより、膝窩307が緊締されることによる鬱血および痺れ等を抑制することができる。
また、低伸縮部3は、外側腓腹神経に対応する領域の一部を覆うように形成されることが好ましい。これにより、装着者の重心動揺が抑制され、脹脛の疲労をより軽減することができる。
また、低伸縮部3は、小伏在静脈に対応する領域の一部を覆うように形成されることが好ましい。これにより、静脈内部の圧力が高まり、静脈血が下肢から体幹へ押し上げられやすくなるため、脹脛の浮腫みが防止され、脹脛の疲労をより軽減することができる。
また、低伸縮部3は、上端11が装着時に膝関節よりも下側に位置するように形成されることが好ましい。これにより、膝関節の運動を低伸縮部3が妨げることを抑制できる。
(サポーター100の緊締力)
図2は、サポーター100の緊締力の測定方法を説明するための模式図である。図2に示すように、日本工業規格の紳士標準足マネキンであるマネキン201に、圧力を測定するための計測装置を設置し、マネキン201にサポーター100を装着させた。この状態で、高伸縮部4の外側の上アンカー部1近傍(測定位置A)および下アンカー部2近傍(測定位置C)における緊締力と、低伸縮部3の中心部23(測定位置B)における緊締力とをそれぞれ測定した。なお、図2において、中心軸20がマネキン201の脹脛の中心(下腿部の後中心)に一致するように、サポーター100はマネキン201に装着されている。
サポーター100においては、筒状部5の周方向の緊締力の平均が、上アンカー部1から下アンカー部2に向かって変化するように、筒状部5の緊締力が調整されている。具体的には、高伸縮部4の上アンカー部1近傍における緊締力が20hPaになり、高伸縮部4の下アンカー部2近傍における緊締力が30hPaになるように、高伸縮部4の緊締力が調整されている。さらに、低伸縮部3の中心部23における周方向の緊締力が、32hPaになるように、低伸縮部3は調整されている。
なお、人体の下腿部の周囲長には個人差があるため、実際の装着においては、高伸縮部4の外側の上アンカー部1近傍における緊締力が5hPa以上70hPa以下程度になり、高伸縮部4の外側の下アンカー部2近傍における緊締力が10hPa以上70hPa以下程度になり、低伸縮部3の中心部23における緊締力が11hPa以上91hPa以下程度になると推定される。上記緊締力がこれらの範囲内にあることにより、装着感を損なわずに、好ましい緊締力を得ることが可能となる。
また、サポーター100においては、装着時に低伸縮部3の中心部23における緊締力が、中心部23の周方向反対位置の高伸縮部4の緊締力の、約1.2倍になるように、低伸縮部3と高伸縮部4の緊締力が調整されている。なお、人体の下腿部の周囲長には個人差があるため、実際の装着においては、上記比率は1.1以上1.3倍以下程度の範囲なると推定される。上記比率がこの範囲内にあることにより、装着感を損なわずに、好ましい緊締力を得ることが可能となる。
(サポーター100の形成方法)
サポーター100においては、縫合部を減らし、肌あたりなどの着用感を向上させるために、低伸縮部3と高伸縮部4とを編み目の変更により一体に形成している。ただし、低伸縮部3と高伸縮部4との形成方法はこれに限られない。低伸縮部3と高伸縮部4とを丸編みで一体に形成する場合、例えば、下記3つの方法が挙げられる。
1つ目の方法は、糸を調整する方法である。この場合、裏糸を太くしたり細くしたり、あるいは高伸縮部4に伸縮性の高い糸(ポリウレタン糸およびゴム糸等)を用いる。
2つ目の方法は、編み組織を調整する方法である。この場合、編み目を粗くしたり細かくしたり(大きくしたり小さくしたり)、あるいは低伸縮部3に伸縮性の低い編み方(タック編み等)を用いる。
3つ目の方法は、編み上げた後に部分的に伸縮性を低下させる方法である。この場合、樹脂を含浸させたり、あるいは伸縮性の低い生地(パワーネット等)を貼ったりすることにより、伸縮性を低くし、低伸縮部3を形成する。
着用感を向上させるためには、糸を調整する方法、および編み組織を調整する方法が好ましい。また、製造コストを抑制するためには、編み組織を調整する方法が好ましい。また、緊締力を調整する幅を広く確保するためには、糸を調整する方法が好ましい。
なお、低伸縮部3と高伸縮部4とを別々に形成し、それぞれを縫合することにより、筒状部5を形成することも可能である。
(サポーター100の効果)
本発明に係るサポーター100は、高伸縮部4と当該高伸縮部4よりも伸縮性が低い低伸縮部3とを含む筒状部5を備え、低伸縮部3は、下腿部の後面に配置され、腓腹筋302の外側頭304および内側頭305の筋腹の最大膨大部を面状に覆うことを特徴としている。
サポーター100は、下腿部の後面に配置され、腓腹筋302の外側頭304および内側頭305の筋腹の最大膨大部を面状に覆う高伸縮部4を備えるため、腓腹筋302において、毛細血管から血漿が漏れにくくなると共に、静脈血およびリンパ液の滞りが軽減され足先から体幹へ戻りやすくなるので、脹脛の浮腫みが防止される。また、脹脛の浮腫みの防止により、酸素補給および老廃物排出が妨げられることも防止されるため、脹脛の疲労が軽減される。
また、知覚神経である内側腓腹皮神経と腓腹神経とが適度に緊締されるため、中枢神経が刺激され、装着者の重心動揺が抑制される。また、下腿三頭筋の振動が抑制される。重心動揺と下腿三頭筋301の振動との抑制のため、脹脛の疲労がさらに軽減される。
また、低伸縮部3は、下腿部の後面に配置されるため、下腿部の後面以外の部位に強い緊締力(着圧)が加えられない。このため、下腿部に鬱血および痛みが生じやすく、長時間の装着が可能になる。
したがって、本実施形態によれば、脹脛の疲労を軽減しつつ、長時間の装着が可能である保護衣料を実現することができる。
なお、サポーター100の丈の長さは限定されず、例えば、サポーター100が足首まで覆う構成であってもよい。この場合、サポーター100は足首に緊締力を加えるため、装着者が足をほとんど動かさない座り仕事従事者であっても、足首付近と足との浮腫みを防止することができる。また、サポーター100は、例えば、靴下型またはタイツ型等であってもよい。この場合、サポーター100は、足首および足を覆い、緊締力を加えるため、座り仕事従事者に対して、更に足首付近と足との浮腫みを防止させることができる。なお、本明細書において、「足」は、下肢全体ではなく、足首から足先の部分を示す。
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、図3に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
実施形態1のサポーター100において、低伸縮部3はよりも広い範囲を覆う形状であってもよく、筒状部5の緊締力がより強くてもよい。
図3は、本実施形態に係るサポーターの低伸縮部3aの形状と配置とを概略的に示す背面図である。図3に示すように、低伸縮部3aは、下腿三頭筋301の筋腹を全面的に覆うように形成されている。実施形態2の低伸縮部3aは、下端12がアキレス腱306の上部近傍に到り、低伸縮部3aが下腿三頭筋301の筋腱移行部を全面的に覆うように形成されている。また、腓腹筋302の筋腹の最大膨大部から筋腱移行部の近傍まではあまり周方向の幅が狭くならず、筋腱移行部の近傍から下端12までで周方向の幅が主に狭くなるように、低伸縮部3aは形成されている。このため、下腿三頭筋301に広い範囲に渡り、高い緊締力が加えられ、より脹脛の浮腫みが防止され、より脹脛の疲労が軽減される。
広い範囲を覆う低伸縮部3aは、ランニングおよび山登りなどのスポーツ用の保護衣料に好適である。日常的な装着が想定されない場合、短時間の装着で効果を発揮するように、筒状部5の緊締力は高いことが好ましい。このため、下腿部の外側側面において、下アンカー部2に隣接する筒状部5の周方向の緊締力が40hPaの高圧になるように、サポーターは形成されている。
上記構成において、筒状部5の周方向の緊締力が強く、低伸縮部3aが下腿三頭筋301を全体的に渡り覆う。このため、実施形態2に係る低伸縮部3aは、筋肉の振動が大きく、筋肉の収縮範囲が広く、筋肉の収縮強度が高いスポーツ用の保護衣料に好適である。
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、図4に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
実施形態1のサポーター100において、低伸縮部3はより狭い範囲を覆う形状であってもよく、筒状部5の緊締力がより弱くてもよい。
図4は、本発明の実施形態3に係るサポーターの低伸縮部3bの形状と配置とを概略的に示す背面図である。図4に示す余蘊日、
低伸縮部3bは、下腿三頭筋301の筋腹を部分的に覆うように形成されている。実施形態1−2と異なり、実施形態3の低伸縮部3bは、下端12がアキレス腱306に到らず、低伸縮部3bが下腿三頭筋301の筋腱移行部を部分的に覆うように形成されている。
狭い範囲を覆う低伸縮部3bは、鬱血および痛みを生じさせにくく、日常用の保護衣料に好適である。日常的な装着が想定される場合、筒状部5の緊締力は低いことが好ましいこのため、このため、下腿部の外側側面において、下アンカー部2に隣接する筒状部5の周方向の緊締力が20hPaの低圧になるように、形成されている。
上記構成において、筒状部5の周方向の緊締力が弱く、低伸縮部3aが下腿三頭筋301を部分的に渡り覆う。このため、実施形態2に係る低伸縮部3aは、装着時間が長い日常用の保護衣料に好適である。また、適度に、脹脛の浮腫みを防止し、脹脛の疲労を軽減する。
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について、図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
実施形態1のサポーター100において、蹴り出しを妨げないように、下溝32が低伸縮部3に形成されてもよい。
図5は、本発明の実施形態4に係るサポーターの低伸縮部3cの形状と配置とを概略的に示す背面図である。図5に示すように、下溝32は、低伸縮部3の足首側の端部である下端12に形成されている切欠部である。また、下溝32は、下端12から上端11に向けて逆V字の溝状に形成されているが、これに限らずU字状、凹状など溝の形状は任意でよい。
低伸縮部3cは、下腿三頭筋301の筋腹を全面的に覆うように形成されている。実施形態1〜3と異なり、実施形態4の低伸縮部3cは下腿三頭筋301の筋腱移行部の足首側中央を覆わないように、アキレス腱306に対応するように下溝32が形成されている。
このため、アキレス腱306の張り出しが妨げられず、蹴り出しが妨げられない。
蹴り出しを妨げない低伸縮部3cは、比較的長距離のウォーキング用などの保護衣料に好適である。日常的な装着が想定されないが、ある程度長時間の装着が想定されるため、筒状部5の緊締力はあまり高くないことが好ましい。このため、下腿部の外側側面において、下アンカー部2に隣接する筒状部5の周方向の緊締力が30hPaの中圧になるように、サポーターは形成されている。
上記構成において、低伸縮部3cは、下腿三頭筋301を全体的に渡り覆い、蹴り出しを妨げない。このため、実施形態4に係る低伸縮部3cは、筋肉の収縮範囲が広く、蹴り出しを行うウォーキング用の保護衣料に好適である。
〔実施形態5〕
本発明の実施形態5について、図6に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
実施形態1のサポーター100において、脹脛の最大膨大部のみを覆うように、低伸縮部3を形成してもよい。
図6は、本発明の実施形態5に係るサポーターの低伸縮部3dの形状と配置とを概略的に示す背面図である。図6に示すように、低伸縮部3dは、腓腹筋302の外側頭304と内側頭305との最大膨大部のみを覆うように形成されており、脹脛の最大膨大部のみを覆う。実施形態1〜3と比較して、実施形態5の低伸縮部3dは、狭い範囲を覆っている。
このため、脹脛があまり緊締されず、鬱血や痛みが生じにくい。
脹脛の最大膨大部のみを覆う低伸縮部3cは、動きが少ない就寝時用の保護衣料に好適である。日常的な長時間の装着が想定されるため、筒状部5の緊締力は弱いことが好ましい。また、血圧が正常な場合、就寝中の血圧は低く、就寝中にチアノーゼなどの問題が生じた場合に、意識のない就寝中は対応が遅れるため、筒状部5の緊締力は極めて弱いことが好ましい。このため、下腿部の外側側面において、下アンカー部2に隣接する筒状部5の周方向の緊締力が10hPa以下の極低圧になるように、サポーターは形成されている。
上記構成において、低伸縮部3dは、脹脛の最大膨大部のみを覆い、血行を妨げない。このため、実施形態5に係る低伸縮部3dは、筋肉の収縮範囲が狭く、血圧が低い就寝時用の保護衣料に好適である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の一実施例について図7〜図9に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、本実施例では、本発明に係るサポーター100による、脹脛の浮腫みを防止し疲労を軽減する効果について、歩行の前後で検証した。
(比較対象)
本実施例においては、本発明に係るサポーター100をサンプル1とし、比較対象としてサンプル2および3を準備した。
サンプル2は、装着者の下腿部に段階的着圧を加える膝下サポートタイプのサポーターである。
サンプル3は、装着者の下腿部に段階的着圧を加えるパフォーマンスゲイターである。
サンプル2とサンプル3とは、サポーター100と同様に、下腿部に装着される保護衣料である。
(周囲長)
本実施例においては、脹脛囲と足首囲とインステップ囲とを測定した。
脹脛囲は、脹脛の中央より少し上の脹脛の最大膨大部における下腿部の周囲長である。
足首囲は、踝の上の足首の最も細い部分における周囲長である。
インステップ囲は、足の甲の盛り上がっている部分(楔状骨の出ている部分)における周囲長である。
(試験)
本実施例においては次のように試験を行った。
(1)被験者らは7人の成人であった。
(2)所定の長距離を歩行した。
(3)歩行の前後に脹脛囲と足首囲とインステップ囲とをそれぞれ測定した。
(4)歩行の後に、目を開けている状態で被験者らの重心位置が水平面に描く軌跡を記録し、重心動揺を測定した。
(5)歩行の前後に、視覚的評価スケール(VAS:Visual Analogue Scale)で、疲労感を評価した。
(6)試験は第1回から第4回まで行われた。被験者らは歩行時に、順番はランダムに一度ずつ、サポーター100を装着し、下腿部に何も装着せず(非装着)、サンプル2を装着し、サンプル3を装着し、試験を行った。
(試験結果)
図7は実施例1における浮腫み量を説明するためのグラフであり、被験者らの浮腫み量の平均を示している。浮腫み量は、歩行の前に測定した周囲長(脛囲と足首囲とインステップ囲)から、歩行の後に測定した周囲長を引いた値である。
脹脛の浮腫み量は、何も装着しない場合に比べて、サポーター100(サンプル1)とサンプル2とサンプル3とは、脹脛の浮腫みを減少させる効果を有することを示している。特に、サポーター100の脹脛の浮腫みを減少させる効果が、サンプル2とサンプル3よりも、高い傾向が示されている。
一方、足首の浮腫み量は、サポーター100が足首付近の浮腫みを減少させる効果を有することを示していない。これは、サポーター100の丈(上アンカー部1の上端と下アンカー部2の下端との距離)が短く、装着時に下アンカー部2の下端が装着者の踝よりもかなり上方に位置するため、足首付近に緊締力が加えられないからであると推定される。
にもかかわらず、インステップの浮腫み量は、サポーター100の足の浮腫みを減少させる効果が、サンプル2とサンプル3よりも、高いことを示している。これは、サポーター100の脹脛の浮腫みを減少させる効果が優れているためと推定される。
したがって、サポーター100は、サンプル2とサンプル3よりも、丈が短いために緊締力を加える領域が狭いにもかかわらず、下肢の浮腫みを抑制する効果が優れていた。
図8は、実施例1における重心動揺を説明するためのグラフであり、棒部分は、被験者らの重心動揺の平均値を示し、髭部分は、被験者らの重心動揺の分散値を示す。歩行試験における重心動揺は、重心位置の軌跡の外径面積である。
サポーター100を装着した回の重心動揺は、サンプル2とサンプル3とをそれぞれ装着した回より小さい傾向にある。なお、本明細書においては、有意確率95%以上である場合を、有意であるとする。
重心動揺は、疲労していると大きくなることが知られている。また、逆に、重心動揺が大きいと、疲労しやすいことも知られている。したがって、サポーター100は、サンプル2とサンプル3および何も装着しないより、疲労を軽減させる傾向にあった。
図9は、実施例1における疲労感を説明するためのグラフであり、被験者らの歩行前後の疲労感の差の平均値を示す。図9は、サンプル2とサンプル3とをそれぞれ装着した回が、サポーター100を装着した回よりも小さい傾向を示している。
本発明の別の一実施例について図10〜図13に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、本実施例では、本発明に係るサポーター100の脹脛の浮腫みを防止し疲労を軽減する効果について、立仕事の前後で検証した。
(試験)
本実施例においては次のように試験を行った。
(1)被験者らは19人の女性であった。
(2)被験者らは、立仕事を始める前にサポーター100を装着し、立仕事を終えた後にサポーター100を脱いだ。
(3)試験期間は2014年10月21日から2014年10月31日に渡る11日間であった。
(4)被験者らが試験に参加した日数は、4日から8日であり、平均6.2日であった。
(5)被験者らが立仕事に従事した時間は、一日あたり8時間から12時間であり、平均9.8時間であった。
(6)試験期間の前後に、被験者らは14項目と疲労感とについて視覚的評価スケールで回答した。
(7)試験期間の後に、被験者らは、疲労感軽減効果と総合評価と感想とを回答した。
(試験結果)
図10は、実施例2における、被験者らの評価した14項目のそれぞれの点数の平均を説明するグラフである。図10に示すように、足の疲れ(脹脛)が有意に低下している。また、有意ではないが、足のむくみと足の疲れ(足裏)とが低下する傾向にある。
図11は、実施例2における、被験者らの評価した体の疲労感と足の疲労感とのそれぞれの点数の平均を説明するグラフである。図11に示すように、体の疲労感も足の疲労感も、有意に低下している。
図12は、実施例2における、被験者らが回答したサポーター100の疲労感軽減効果を説明するグラフである。図12に示すように、被験者らのうち12人(63%)が、疲労軽減した、あるいはやや疲労軽減したと回答し、疲労感軽減効果を感じている。
図13は、実施例2における、被験者らが回答したサポーター100の総合評価を説明するグラフである。図13に示すように、被験者らのうち10人(53%)がとても良いあるいは良いと評価している。
したがって、サポーター100は、脹脛の疲労を有意に軽減し、足裏および下肢全体の疲労を軽減する傾向にあった。
また、被験者らは、試験期間の後に、「脹脛のむくみが以前よりなくなったように思う。」、「足が軽く感じる。」等の感想を回答した。
(検証結果)
上述の実施例1および2から、サポーター100(図1参照、サンプル1)は、従来製品(サンプル2とサンプル3)より、浮腫みを防止する効果と、疲労を軽減する効果とが高いことが検証された。
〔補足〕
なお、本発明は以下のように表現することもできる。すなわち、本発明に係る保護衣料は、他の領域よりも伸縮性の低い低伸縮領域を有し、下腿部に着用する保護衣料であって、該低伸縮領域は、少なくとも腓腹筋の外側頭および内側頭それぞれの筋腹頭頂部近傍を面状に覆うとともに、前脛骨筋近傍を覆わないことを特徴とする。
また、本発明に係る保護衣料では、前記低伸縮領域を腓腹筋の筋腱移行部近傍に到るまで連続的かつ漸減的に幅を狭くしてもよい。
また、本発明に係る保護衣料では、前記低伸縮領域が小伏在静脈および外側腓腹皮神経に対応する部分の一部をそれぞれ覆っていてもよい。
また、本発明に係る保護衣料では、前記低伸縮領域の上端中心部において、腓腹筋の外側頭と内側頭との間の窪んだ領域に対応するように、前記保護衣料の面に沿って下方に溝を設けてもよい。
また、本発明に係る保護衣料では、膝下近傍に上アンカー部、アキレス腱近傍に下アンカー部をそれぞれ周状に配置するとともに、保護衣料全体が連続的な筒状をなしていてもよい。
また、本発明に係る保護衣料では、下腿部への着用時に前記低伸縮領域の中心付近の被覆圧が、該中心付近の周方向に対称となる地点における被覆圧に対し、1.1〜1.3倍であってもよい。
また、本発明に係る保護衣料では、装着時において上アンカー部から下アンカー部に向けて漸増的に被覆圧が高く、上アンカー部に隣接する部分の被覆圧が、5hPaから70hPaの範囲にあり、下アンカー部に隣接する部分の被覆圧が、10hPaから70hPaの範囲にあってもよい。
また、本発明に係る保護衣料では、前記低伸縮領域は、他の領域よりも編み目を小さくすることにより伸縮性を低下させてもよい。
1 上アンカー部
2 下アンカー部
3 低伸縮部
4 高伸縮部
5 筒状部(本体部)
11 上端(上端部)
12 下端(下端部)
20 中心軸
21 中心上端
22 中心下端
23 中心部
31 上溝
32 下溝
100 サポーター(保護衣料)
201 マネキン
301 下腿三頭筋
302 腓腹筋
303 ヒラメ筋
304 外側頭
305 内側頭
306 アキレス腱
307 膝窩

Claims (7)

  1. 高伸縮部と当該高伸縮部よりも伸縮性が低い低伸縮部とを含む本体部を備え、
    前記低伸縮部は、下腿部の後面に配置され、腓腹筋の外側頭および内側頭の筋腹の最大膨大部を面状に覆うことを特徴とする保護衣料。
  2. 前記低伸縮部は、前脛骨筋を覆わないことを特徴とする請求項1に記載の保護衣料。
  3. 前記低伸縮部は、下腿部の周方向における幅が足首に向けて徐々に減少した部分を含む形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の保護衣料。
  4. 前記低伸縮部は、小伏在静脈に対応する領域の一部と、外側腓腹皮神経に対応する領域の一部とを覆うことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の保護衣料。
  5. 前記低伸縮部は、膝関節側の端部である上端部に切欠部が形成されており、
    前記切欠部は、互いに隣り合う腓腹筋の外側頭と内側頭との境界部分に位置し、前記上端部から前記低伸縮部の足首側の端部である下端部に向けて形成された溝状の切り込みであることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の保護衣料。
  6. 前記本体部は、筒状であり、
    前記保護衣料は、
    前記本体部の膝関節側に周状に設けられた上アンカー部と、
    前記本体部の足首側に周状に設けられた下アンカー部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の保護衣料。
  7. 前記低伸縮部は、前記高伸縮部よりも編み目が小さいことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の保護衣料。
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