[スロットマシンの構成例]
本発明に係るスロットマシンを実施するための形態を以下に説明する。
本発明が適用されたスロットマシンの実施形態について、図面を用いて説明すると、本実施形態のスロットマシン1は、図1に示すように、前面が開口する筐体1aと、この筐体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bとから構成されている。筐体1aの内部には、図2に示すように、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リール)が水平方向に並設されており、図1、図3に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄(所定の順序でそれぞれ21個ずつ描かれている互いに識別可能な複数種類の図柄のうちの3つの図柄)が前面扉1bに設けられた透視窓3からそれぞれ見えるように配置されている。
前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数のうち最大の賭数(本実施形態では後述するRT0〜RT4の規定数として3、RBの規定数として2が定められている)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダル及び賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジット及び賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8Rが遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。なお、本実施の形態では、回転を開始した3つのリール2L、2C、2Rのうち、最初に停止するリールを第1停止リールと称し、また、その停止を第1停止、その停止操作を第1停止操作(または第1停止)と称する。同様に、2番目に停止するリールを第2停止リールと称し、また、その停止を第2停止、その停止操作を第2停止操作(または第2停止)と称する。また、3番目に停止するリールを第3停止リールと称し、また、その停止を第3停止あるいは最終停止、その停止操作を第3停止操作(または第3停止)と称する。
また、前面扉1bには、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、入賞の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード、後述のナビ報知によるリールの停止順を識別可能な情報が表示される等が表示される遊技補助表示器12、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられた遊技用表示部13が設けられている。
また、前面扉1bには、透視窓3の周囲を囲むように配置された第1液晶表示器51aと、透視窓3の上方かつ第1液晶表示器51aの前方に配置された第2液晶表示器51bとが設けられている。第1液晶表示器51aと第2液晶表示器51bとから表示される画像は、演出の進行に併せてその表示内容が変化する。以下、第1液晶表示器51aと第2液晶表示器51bとから演出画像を表示することにより実行する演出を表示演出ともいう。
また、第1液晶表示器51aの上方には、右スピーカ53a、中スピーカ53b、左スピーカ53cが設けられている。右スピーカ53a、中スピーカ53b、左スピーカ53cからは、表示演出の実行に際して出力する演出音など、各種音声が出力される。
第2液晶表示器51bは左右方向に移動可能に設けられている。第1液晶表示器51aと第2液晶表示器51bは、演出の実行の際には、演出画像の表示によって、後述する内部抽選によりART抽選対象役に当選したことを示唆する演出を実行するために用いられる。常態では、第2液晶表示器51bは向かって右側の初期位置に停止している。抽選によって、第1液晶表示器51aで表示演出を実行すると決定したときには、第2液晶表示器51bは停止したままで第1液晶表示器51aから演出画像が表示される。また、第1液晶表示器51aからの演出画像の表示に併せて右スピーカ53a、中スピーカ53b、左スピーカ53c(以下、これら3つのスピーカを総称して全スピーカと称することもある)から演出音が出力される。
第2液晶表示器51bを用いて表示演出を実行すると決定したときには、第2液晶表示器51bから演出画像が表示され、第2液晶表示器51bは初期位置から向かって左方向に向かって移動する。そして、移動距離の中間にあたる中間位置を経由して折り返し位置に到達すると、折り返し位置から折り返して初期位置に向けて移動し、初期位置に戻る。初期位置に戻ると表示演出は終了する。なお、第2液晶表示器51bは、初期位置、中間位置、折り返し位置では所定時間停止する。
また、第2液晶表示器51bからの演出画像の表示に併せて、第2液晶表示器51bが初期位置に位置するときには右スピーカ53aから演出音が出力される。また、第2液晶表示器51bが初期位置と中間位置の間を移動しているときには右スピーカ53aと中スピーカ53bとから演出音が出力される。また、第2液晶表示器51bが中間位置に位置するときには中スピーカ53bから演出音が出力される。また、第2液晶表示器51bが折り返し位置と中間位置の間を移動しているときには中スピーカ53bと左スピーカ53cから演出音が出力される。また、第2液晶表示器51bが折り返し位置に位置するときには左スピーカ53cから演出音が出力される。
本実施形態のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6を操作すれば良い。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインLN(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。本実施形態では、後述するRT0〜RT4における規定数の賭数として3枚が定められ、後述するRBにおける規定数の賭数として2枚が定められており、これら遊技状態に応じた規定数の賭数が設定されると入賞ラインLNが有効となる。なお、遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
入賞ラインとは、各リール2L、2C、2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するために設定されるラインである。本実施形態では、図1に示すように、リール2Lの中段、リール2Cの中段、リール2Rの中段、すなわち中段に水平方向に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインLNのみが入賞ラインとして定められている。また、本実施形態では、入賞役として、入賞ラインLNに役として定められた所定の図柄の組合せが揃ったときに入賞するとともに、かつ所定の図柄組合せが揃うことにより無効ラインLM1〜LM4のいずれかに所定の図柄組合せよりも認識しやすい指標となる図柄の組合せが揃うことにより、無効ラインLM1〜LM4のいずれかに揃った図柄の組合せによって入賞したように見せることが可能な役を含む。
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、入賞ラインLN上に予め定められた図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施形態では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図1参照)から払い出されるようになっている。
図4は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図4に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板101が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
遊技制御基板40には、メイン制御部41、制御用クロック生成回路42、乱数用クロック生成回路43、スイッチ検出回路44、モータ駆動回路45、ソレノイド駆動回路46、LED駆動回路47、電断検出回路48、リセット回路49が搭載され、遊技の進行に関する処理を行うととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
図5は、遊技制御基板40に搭載されたメイン制御部41の構成例を示している。図5に示すメイン制御部41は、1チップマイクロコンピュータであり、外部バスインターフェイス501と、クロック回路502と、照合用ブロック503と、固有情報記憶回路504と、演算回路505と、リセット/割込コントローラ506と、CPU(Central Processing Unit)41aと、ROM(Read Only Memory)41bと、RAM(Random Access Memory)41cと、フリーランカウンタ回路507と、乱数回路508a、508bと、タイマ回路509と、割込コントローラ510と、パラレル入力ポート511と、シリアル通信回路512と、パラレル出力ポート513と、アドレスデコード回路514と、を備えて構成される。
本実施形態においてメイン制御部41は、パラレル出力ポート513を介してサブ制御部91に各種のコマンドを送信する。メイン制御部41からサブ制御部91へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、サブ制御部91からメイン制御部41へ向けてコマンドが送られることはない。また、本実施形態では、パラレル出力ポート513を介してサブ制御部91に対してコマンドが送信される構成、すなわちコマンドがパラレル信号にて送信される構成であるが、シリアル通信回路512を介してサブ制御部91に対してコマンドを送信する構成、すなわちコマンドをシリアル信号にて送信する構成としても良い。
演出制御基板90には、第1液晶表示器51a、第2液晶表示器51b、演出効果LED52、右スピーカ53a、中スピーカ53b、左スピーカ53c、リールLED55等の演出装置が接続されており、これら演出装置は、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。演出制御基板90には、表示制御回路92、LED駆動回路93、音声出力回路94、リセット回路95、スイッチ回路96、時計装置97、電断検出回路98が搭載されている。音声出力回路94は、サブ制御部91からの指示に基づいてROM91bに記憶された音声データに従って演出用の音声(以下、演出音ともいう)を再生し、スピーカ53a、53b,53cから出力させる。音声出力回路94は、No.1〜No.6の6つの音声再生トラックを有している。
音声データには、キャラクタによるセリフの音声データとBGMの音声データとが含まれている。そして、音声データは時系列に従って読み出され、これに割り当てられた音声再生トラックを用いて再生され、スピーカ53a、53b,53cから出力される。時系列で記憶されている音声データが最後まで読み出されて再生されると、当該段階のBGMの音声データの最初に戻って巡回的にBGMが再生されるものとなっている。
No.1〜No.6の6つの音声再生トラックのうち、トラックNo.1は第1液晶表示装置51aを用いて表示演出を実行するときに割り当てられる。トラックNo.1を用いて音声データを再生すると、全スピーカから演出音が出力される。
トラックNo.2は、第2液晶表示器51bが初期位置に位置するときに第2液晶表示器51bを用いて表示演出を実行するときに割り当てられる。トラックNo.2を用いて音声データを再生すると、右スピーカ53aから演出音が出力される。
トラックNo.3は、第2液晶表示器51bが初期位置と中間位置の間に位置するときに第2液晶表示器51bを用いて表示演出を実行するときに割り当てられる。トラックNo.3を用いて音声データを再生すると、右スピーカ53aと中スピーカ53bとから演出音が出力される。
トラックNo.4は、第2液晶表示器51bが中間位置に位置するときに第2液晶表示器51bを用いて表示演出を実行するときに割り当てられる。トラックNo.4を用いて音声データを再生すると、中スピーカ53bから演出音が出力される。
トラックNo.5は、第2液晶表示器51bが中間位置と折り返し位置の間に位置するときに第2液晶表示器51bを用いて表示演出を実行するときに割り当てられる。トラックNo.5を用いて音声データを再生すると、中スピーカ53bと右スピーカ53cとから演出音が出力される。
トラックNo.6は、第2液晶表示器51bが中間位置に位置するときに第2液晶表示器51bを用いて表示演出を実行するときに割り当てられる。トラックNo.6を用いて音声データを再生すると、左スピーカ53cから演出音が出力される。
なお、No.1〜No.6の6つの音声再生トラックに割り当てられる音声データには共通の音声データが含まれている。具体的には、本実施形態では、演出画像として表示されるキャラクタによるセリフの音声データが共通している。よって、いずれのトラックを用いて演出音が出力された場合であっても共通セリフが出力されるが、用いられるトラックによってセリフが出力されるスピーカが異なる。
[設定値について]
本実施形態のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものである。設定値を変更するためには、まず、前面扉1bが開放された状態で、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ37をON状態として電源をONすると、設定値表示器24にメイン制御部41の図示しないRAMから読み出された設定値が表示値として表示され、リセット/設定スイッチ38の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更状態(設定変更モード)に移行する。設定変更状態において、リセット/設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器24に表示された表示値が1ずつ更新されていく(設定6からさらに操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートスイッチ7が操作されると表示値を設定値として確定する。そして、設定キースイッチ37がOFFされると、確定した表示値(設定値)がRAMに格納され、遊技の進行が可能な状態に移行する。
[入賞役などについて]
図6〜図8は、本実施形態のスロットマシン1における役の種類、図柄組合せ、及び役に関連する技術事項について説明するための図である。図9は、本実施形態のスロットマシン1における移行出目の図柄組合せ、及び移行出目に関連する技術事項について説明するための図である。また、図10は、メイン制御部41により制御される遊技状態の遷移を説明するための図であり、図11は、遊技状態の概要を示す図である。
本実施形態におけるスロットマシン1は、図10に示すように、RT0〜RT4、RB(BB中のRB含む)のいずれかに制御される。
まず、図6を参照して、入賞役のうち特別役には、ビッグボーナス(以下、ビッグボーナスをBBと称する)、レギュラーボーナス(以下、レギュラーボーナスをRBと称する)の2種類のボーナスが含まれる。BBは、RT0〜RT4において入賞ラインLNに「赤7−赤7−赤7」の組合せが揃ったときに入賞となる。BBに入賞すると、後述のレギュラーボーナス(以下、RBと称する)に毎ゲーム制御されるビッグボーナスに移行する。そして、ビッグボーナスは、316枚以上メダルが払い出されたことを条件として終了する。RBは、RT0〜RT4において入賞ラインLNに「BAR−BAR−BAR」の組合せが揃ったときに入賞となる。RBに入賞すると、レギュラーボーナス(以下、RBと称する)に移行される。そして、レギュラーボーナスは、いずれかの役が6回入賞するか、12ゲーム消化したことを条件として終了する。図10に示すように、BB、RBのいずれかに当選してから入賞するまでは、内部中としてのRT4に制御され、BBまたはRB(まとめてボーナスと呼ぶ)が終了した後は、RT3に制御されることとなる。
次に、図7を参照して、入賞役のうち小役について説明する。入賞役のうち小役には、上段ベル1、上段ベル2、上段ベル3、上段ベル4、上段ベル5、上段ベル6、上段ベル7、上段ベル8、中段ベル、右下がりベル、中段スイカ、右下がりスイカ、中段チェリー、角チェリーが含まれる。以下、上段ベル1、上段ベル2、上段ベル3、上段ベル4、上段ベル5、上段ベル6、上段ベル7、上段ベル8を区別する必要がない場合には、単に上段ベルと呼ぶ。
次に、図8を参照して、入賞役のうち再遊技役について説明する。入賞役のうち再遊技役には、中段リプレイ、右上がりリプレイ、昇格リプレイ、特殊リプレイ、転落リプレイ、赤7リプレイ、青7リプレイが含まれる。
次いで、図9を参照して、移行出目について説明する。RT0、RT2、RT3において移行出目が入賞ラインLNに揃うとRT1に移行する。本実施形態では、左ベル1〜4、中ベル1〜4、右ベル1〜4が当選し、中段ベルの入賞条件となるリール以外を第1停止とし、かつ上段ベルを取りこぼした場合に、移行出目が入賞ラインLNに揃う。
[抽選対象役について]
次に、図12〜図16を参照して、遊技状態毎に抽選対象役として読み出される抽選対象役の組合せについて説明する。本実施形態では、遊技状態が、RT1であるか、RT2であるか、RT3であるか、RT4であるか、RB(BB中RB含む)であるか、によって内部抽選の対象となる役またはその当選確率の少なくとも一方が異なる。なお、抽選対象役として後述するように、複数の入賞役が同時に読出されて、重複して当選し得る。図12〜図16においては、入賞役の間に“+”を表記することにより、内部抽選において同時に抽選対象役として読み出されることを示す。図12〜図14においては、縦の欄に抽選対象役を示し、横の欄に遊技状態を示す。また、遊技状態と抽選対象役とが交差する欄の○印は、当該遊技状態であるときの抽選対象役となる旨を示し、×印は、当該遊技状態であるときの抽選対象役とならない旨を示している。また、○印の下に示す数値は、所定の設定値の判定値数(本実施形態では設定値に関わらず共通)を示す。当該判定値数を用いて内部抽選が行われる。なお、判定値数の分母は、内部抽選用の乱数(0〜65535の整数)に対応させて、「65536」に設定されている。このため、例えば、判定値数として「300」が設定されている抽選対象役の当選確率は、300/65536となる。また、図12は、遊技状態毎に抽選対象役として読み出される特別役の組合せを示し、図13及び図14は、遊技状態毎に抽選対象役として読み出される小役の組合せを示し、図14は、抽選対象役として読み出される再遊技役の組合せを示している。
本実施形態では、押し順ベルが当選している場合には、図17に示すように、押し順ベルの種類及び停止順に応じて停止する図柄の組合せが異なる。押し順ベルのいずれかが当選した場合には、押し順ベルの種類に応じた停止順で停止操作を行うことで、中段ベルが必ず入賞する一方で、押し順ベルの種類に応じた停止順以外の停止順で停止操作を行うことで、一定の割合で上段ベルが入賞するが、上段ベルが揃わず移行出目が停止することもある。このため、押し順ベルの当選時には、押し順ベルの種類に応じた停止順で操作されたか否かによって払い出されるメダル数の期待値を変えることができる。
本実施形態では、リプレイGR1〜6、GR11〜13、GR21〜26が当選している場合には、図18に示すように、その種類及び停止順に応じて停止する図柄の組合せが異なる。RT1において抽選対象となるリプレイGR1〜6のいずれかが当選した場合には、その種類に応じた停止順で停止操作を行うことで、昇格リプレイが入賞してRT0へ移行する一方、その種類に応じた停止順以外の停止順で停止操作を行うことで、中段リプレイが入賞してRT1が維持される。また、RT0において抽選対象となるリプレイGR11〜13のいずれかが当選した場合には、その種類に応じた停止順で停止操作を行うことで、特殊リプレイが入賞してRT2へ移行する一方、その種類に応じた停止順以外の停止順で停止操作を行うことで、転落リプレイが入賞してRT1へ移行する。また、RT2において抽選対象となるリプレイGR21〜23のいずれかが当選した場合には、その種類に応じた停止順で停止操作を行うことで、中段リプレイまたは赤7リプレイが入賞してRT2が維持される一方、その種類に応じた停止順以外の停止順で停止操作を行うことで、転落リプレイが入賞してRT1へ移行する。また、RT2において抽選対象となるリプレイGR24〜26のいずれかが当選した場合には、その種類に応じた停止順で停止操作を行うことで、中段リプレイまたは青7リプレイが入賞してRT2が維持される一方、その種類に応じた停止順以外の停止順で停止操作を行うことで、転落リプレイが入賞してRT1へ移行する。
本実施形態では、図10及び図11に示すように、RT0〜RT4、ボーナス(RB、BB中のRB)のいずれかに制御される。本実施形態では、RT0、RT1、RT3、RT4は、1ゲームあたりのメダルの払出率は100%未満となり、RT2、RB、BBは、1ゲームあたりのメダルの払出率は100%以上となる。RT0〜RT4、RB、BB(RB)のうち、RB及びBBが1ゲームあたりのメダルの払出率がもっとも高く、最も有利な遊技状態である。また、RT0〜RT4のうちRT0、RT2、RT4は、再遊技役の当選確率が高確率となり、1ゲームあたりのメダルの払出率がRT1、3に比較して高い点、特にRT0は、RT2へ移行可能となる点において、RT1、3よりも遊技者にとって有利な状態といえる。また、RT0、RT2、RT4のうちRT2は、1ゲームあたりのメダルの払出率がRT0、RT4に比較して高い点において、RT0、RT4よりも遊技者にとって有利な状態といえる。
また、本実施形態におけるスロットマシンでは、遊技状態がRT0〜2であるときに、メイン制御部41により、内部抽選結果に応じて遊技者にとって有利となる停止順を報知するナビ報知を実行可能な報知期間となるアシストタイム(以下、ATという)に制御可能となっている。
メイン制御部41は、ATに制御している場合には、遊技状態に応じたナビ対象役に当選することにより、ナビ報知を実行するとともに、サブ制御部91に対して押し順コマンドを送信することで、ナビ演出を実行させる。遊技状態に応じたナビ対象役とは、RT1であるときにはリプレイGR1〜6であり、RT0であるときにはリプレイGR11〜13であり、RT2であるときにはリプレイGR21〜26である。また、RT0〜2のいずれにおいても、押し順ベルが共通のナビ対象役である。また、本実施形態においてメイン制御部41は、ATにもARTにも制御していない通常状態(RT1かつ非ATの状態)であっても、一定の条件を満たすことにより、ナビ報知を実行し、ナビ演出を実行させることが可能である。
本実施形態のナビ報知は、遊技補助表示器12の点灯態様を変化させることにより遊技者にとって有利な停止順を識別可能に報知する。なお、ナビ報知の態様は、このような態様に限らず、遊技者が当選状況に応じて区別可能な態様であればどのようなものであっても良い。また、ナビ報知は、遊技補助表示器12、すなわちナビ報知以外の報知にも用いられる表示器によるものに限らず、専用の表示器を用いて実行するものでも良い。本実施形態のナビ演出は、ナビ報知により報知された遊技者にとって有利な停止順を、液晶表示器51からのナビ画像の表示と、スピーカ53、54からのナビ音声の出力とによって報知する。
ナビ報知及びナビ演出では、RT1においてリプレイGR1〜6のいずれかが当選したときには、昇格リプレイが入賞する停止順を識別可能に報知する。また、RT0においてリプレイGR11〜13のいずれかが当選したときには、特殊リプレイが入賞する停止順を識別可能に報知する。また、RT2においてリプレイGR21〜23のいずれかが当選したときには、中段リプレイまたは赤7リプレイが入賞する停止順を識別可能に報知する。また、RT2においてリプレイGR24〜26のいずれかが当選したときには、中段リプレイまたは青7リプレイが入賞する停止順を識別可能に報知する。
以上のように、ナビ報知及びナビ演出では、遊技者にとって有利となる停止順が識別可能に報知される。このため、遊技者は、ナビ演出に従った停止順で停止操作を行うことにより、意図的にRT1において昇格リプレイを入賞させること、中段ベルを入賞させることができ、RT0において特殊リプレイを入賞させること、中段ベルを入賞させること、転落リプレイの入賞を回避すること、移行出目の停止を回避することができ、RT2において中段ベルを入賞させること、転落リプレイの入賞を回避すること、移行出目の停止を回避することができる。
本実施形態においてメイン制御部41は、抽選条件が成立(内部抽選によりART抽選対象役に当選すること)した場合にART(RT2でATに制御される状態)に制御するか否かを決定する抽選(以下、ART抽選と称する)を行う。そして、メイン制御部41は、ART抽選に当選することでARTに制御する。メイン制御部41は、ART抽選を実行すると、ART抽選の結果を示すデータを付加したART抽選コマンドをサブ制御部91に送信する。
ARTに制御する場合には、まずATに制御する。ATの制御を開始した後、RT2へ移行するまでの状態を準備状態とも呼ぶ。
メイン制御部41は、準備状態において、対象役の当選時にナビ報知を実行する。この際、RT1においては、リプレイGR1〜6の当選時にナビ報知の対象となり、リプレイGR1〜6の当選時に昇格リプレイを入賞させる停止順がナビ報知により報知されるので、報知された停止順に従って停止操作を行うことにより昇格リプレイを入賞させてRT1からRT0に移行させることが可能となる。また、準備状態に移行後は、RT0〜2のどの遊技状態であっても押し順ベルの当選時には中段ベルを入賞させる停止順が報知されるので、報知された停止順に従って停止操作を行うことにより、確実に8枚のメダルを獲得することが可能となる。
RT1において昇格リプレイが入賞し、RT0に移行した後は、リプレイGR11〜13当選時にナビ報知の対象となり、リプレイGR11〜13の当選時に特殊リプレイを入賞させる停止順がナビ報知により報知されるので、報知された停止順に従って停止操作を行うことにより特殊リプレイを入賞させてRT0からRT2に移行させることが可能となるとともに、転落リプレイの入賞を回避し、RT1へ移行してしまうことを回避できる。また、前述のように押し順ベルの当選時には中段ベルを入賞させる停止順が報知されるので、報知された停止順に従って停止操作を行うことにより、確実に8枚のメダルを獲得することが可能となるとともに、移行出目の停止を回避し、RT1へ移行してしまうことを回避できる。
RT0において特殊リプレイが入賞し、RT2に移行した場合には、その後最初のリプレイGR21〜23の当選時、または最初のリプレイGR24〜26の当選時に、赤7リプレイを入賞させる停止順を報知するナビ報知または青7リプレイを入賞させる停止順を報知するナビ報知を実行するようになっており、報知された停止順に従って停止操作を行うことにより、赤7リプレイまたは青7リプレイを入賞させるとともに、転落リプレイの入賞を回避し、RT1へ移行してしまうことを回避できる。また、前述のように押し順ベルの当選時には中段ベルを入賞させる停止順が報知されるので、報知された停止順に従って停止操作を行うことにより、確実に8枚のメダルを獲得することが可能となるとともに、移行出目の停止を回避し、RT1へ移行してしまうことを回避できる。
メイン制御部41は、赤7リプレイまたは青7リプレイが入賞することで準備状態を終了し、ARTの制御を開始する。これに伴いメイン制御部41は、ARTのゲーム数を決定するARTゲーム数抽選を行い、ARTゲーム数抽選で当選したゲーム数を、RAM91cに割り当てられたARTの残りゲーム数として設定し、ARTの残りゲーム数の計数を開始する。
ART開始後は、押し順ベルの当選時に中段ベルを入賞させる停止順が報知されるので、報知された停止順に従って停止操作を行うことにより、確実に8枚のメダルを獲得することが可能となるとともに、移行出目の停止を回避し、RT1へ移行してしまうことを回避できる。また、リプレイGR21〜26の当選時に中段リプレイを入賞させる停止順が報知されるので、報知された停止順に従って停止操作を行うことにより、転落リプレイの入賞を回避し、RT1へ移行してしまうことを回避できる。
また、ART中においては、抽選条件が成立した場合にARTのゲーム数を上乗せするか否かを決定する上乗せ抽選を行う。そして、上乗せ抽選に当選した場合には、ART開始時と同様にARTのゲーム数を決定するARTゲーム数抽選を行い、ARTゲーム数抽選で当選したゲーム数を、RAM91cに割り当てられたARTの残りゲーム数に加算する。
また、ARTの開始後、1ゲーム消化する毎に残りゲーム数が1減算される。ARTの開始後、残りゲーム数が0となった場合には、ATの制御を終了する。これに伴いナビ報知が実行されなくなるので、押し順ベルの当選時に移行出目の停止を回避すること、リプレイGR21〜26の当選時に転落リプレイの入賞を回避することが不可能となり、移行出目の停止または転落リプレイの入賞によりRT1に移行することで一連のAT及びARTの制御が終了することとなる。
また、本実施形態においてメイン制御部41は、ART中のリプレイGR21〜26の当選時に、初回を除いて中段リプレイが入賞する停止順をナビ報知により報知するようになっており、報知された停止順を無視して停止操作を行った場合には、赤7リプレイまたは青7リプレイが入賞してRT2が維持される場合もあるが、転落リプレイが入賞してRT1へ移行してしまう場合もあるため、リプレイGR21〜26の当選時に、ナビ報知により報知された中段リプレイを入賞させる停止順での停止操作を促すことが可能となり、意味もなく赤7リプレイまたは青7リプレイが入賞することを防止できるようになっている。
次に、メイン制御部41が実行する処理の内容について説明する。
[初期設定処理]
まず、メイン制御部41が実行する初期設定処理について説明する。メイン制御部41は、電力が供給されてリセット回路49からリセット信号が入力されると、システムリセットを行い、起動処理を実行する。そして、起動処理を実行することにより、CPUコアのプログラムステータスワード(PSW)に割り当てられている割込マスタ許可フラグ(IMF)0となり、割込禁止状態が設定される。また、起動処理によって内部機能レジスタ(CTCコントロールレジスタや乱数回路に関わるレジスタなど)に初期値が設定される。その後、ユーザプログラムとしてROM41bに記憶されたプログラムにしたがって、図19および図20のフローチャートに示す初期設定処理を行う。
図19および図20に示すように、メイン制御部41は、まず、DI命令の実行により割込マスタ許可フラグ(IMF)=0にし、割込を禁止する(Sa1)。なお、割込処理とは、割込要因が発生したときに基本処理に割り込んで発生する処理である。メイン制御部41が一定間隔(0.56msの間隔)で実行するタイマ割込処理(メイン)の割込を禁止する(Sa1)。次いで、初期化データをセットし(Sa2)、各出力ポートを初期化する(Sa3)。次いで、内蔵レジスタの設定を行う(Sa4)。
内蔵レジスタの設定では、例えば、乱数発生回路42の設定を行う。具体的には、メイン制御部41は、乱数回路の設定において、ユーザによって予め設定された乱数最大値を指定する乱数最大値設定データを内蔵レジスタに書き込む。また、メイン制御部41は、内蔵レジスタに設定した乱数最大値が所定の下限値以下でないかを確認し、乱数最大値が下限値以下である場合には、乱数最大値設定レジスタに設定されている乱数最大値の再設定を行う乱数最大値再設定処理を実行する。
また、メイン制御部41は、乱数発生回路42のカウンタが更新するカウント値の初期値を変更させる初期値変更処理を実行する。また、メイン制御部41は、乱数更新方式選択データを乱数更新方式選択レジスタに書き込む。また、メイン制御部41は、ユーザによって予め設定された乱数発生用クロック信号の周期を指定する周期設定データ(基準クロック信号を何分周させるかを設定するためのデータ)を書き込む。また、メイン制御部41は、乱数発生回路42のカウンタによって所定の最終値までカウント値が更新されたときに、カウンタに入力する初期値を更新するか否かを設定する。また、メイン制御部41は、乱数発生回路42のカウンタによって所定の最終値までカウント値が更新されたときに、カウンタが更新するカウント値の順列を変更するか否かを設定する。そして、メイン制御部41は、乱数回路起動データを書き込む。そのようにすることによって、メイン制御部41は乱数発生回路42を起動させる。
次いで、電源電圧が正常か否かを判定する(Sa5)。電源電圧が正常でない場合(Sa5でN)には正常になるまで判定を繰り返す。電源電圧が正常である場合(Sa5でY)には割込ベクタの上位アドレスをセットする(Sa6)。そして、RAMのアクセスを許可し(Sa7)、スタックポインタを初期化する(Sa8)。
次いで、RAMパリティを計算する(Sa10)。そして、計算したRAMパリティが0になるか否かを判定する(Sa11)。RAMパリティが0にならない場合(Sa11でN)にはSa14に進む。
RAMパリティが0になる場合(Sa11でY)にはRAM破壊診断用固定データをRAM41cから取得する(Sa12)。そして、取得したRAM破壊診断用固定データが正しいか否かを判定する(Sa13)。次いで、Sa14のステップでは、RAM破壊診断用固定データをクリアする(Sa14)。
次いで、設定キースイッチがオンにされているか否かを判定する(Sa15)。設定キースイッチがオンの場合(Sa15でY)には、メイン制御部41は、タイマ割込の設定を行う(Sa22)。具体的には、所定時間毎に定期的にタイマ割込がかかるようにメイン制御部41に内蔵されているタイマ回路のレジスタの設定を行なう。例えば0.56msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。この実施の形態では、0.56ms毎に定期的にタイマ割込がかかるとする。なお、タイマ回路では該レジスタの設定が行われることにより、タイマが初期化され、初期値から計時を開始することになる。そして、タイマ割込の設定が終了すると設定変更処理に移行する。
一方、設定キースイッチがオフの場合(Sa15でY)には、Sa11の判定、Sa13の判定、後述するRAM異常フラグがセットされているか否かにもとづきRAM41cの記憶内容が破壊されていたか否か、すなわちRAM41cの記憶内容が正常か否かを判定する(Sa16)。RAM41cの記憶内容が破壊されていない場合(Sa16でN)には、電断復帰コマンド(電断復帰コマンド1〜4)をサブ制御部91に送信するとともに(Sa17)、ホットスタートコマンドをサブ制御部91に送信する(Sa18)。なお、RAM41cの記憶内容が破壊されていない場合とは、Sa11でY、かつSa13でRAM破壊診断用固定データが正しいと判定され、かつRAM異常フラグがセットされていない場合である。
そして、全レジスタを復帰し(Sa19)、Sa22と同様のタイマ割込みの設定を行う(Sa20)。そして、タイマ割込処理(メイン)に復帰する。復帰したタイマ割込処理(メイン)では、スタック領域に退避したレジスタを復帰し、禁止されていた割込が許可されて、割込前の処理に戻る。
ここで、RAM41cの格納領域は、設定値ワーク、特別ワーク、重要ワーク、一般ワーク、未使用領域、スタック領域に区分されている。
設定値ワーク(本実施形態では0000H〜)は、設定値や乱数値など、通常の設定変更時に初期化すると不都合のあるデータが格納される領域である。
特別ワーク(本実施形態では0003H〜)は、I/Oポート41dの入出力データや、演出制御基板90へコマンドを送信するためのデータなど、設定変更開始前にのみ初期化されるデータが格納される領域である。
重要ワーク(本実施形態では0014H〜)は、クレジット数を示すカウンタや、各種表示器やLEDの表示データ、遊技時間の計時カウンタ、ゲーム終了時に初期化すると不都合があるデータが格納される領域である。
一般ワーク(本実施形態では0045H〜)は、持越しが行われない当選フラグや、停止制御テーブル、停止図柄、メダルの払い出し枚数など、1遊技(1ゲーム)に必要なデータであって、ゲーム終了時に初期化可能なデータが格納される領域である。
未使用領域(本実施形態では0173H〜)は、RAM41cの格納領域のうち使用していない領域である。
また、RAM41cの記憶内容が破壊されている場合(Sa16でY)には、初期化するRAMの開始アドレスをレジスタにセットし(Sa23)、指定したアドレスで示すRAMの領域をクリア(以下、「初期化」ともいう)する(Sa24)。なお、RAM41cの記憶内容が破壊されている場合とは、Sa11でNまたはSa13でRAM破壊診断用固定データが正しいと判定されない場合またはRAM異常フラグがセットされている場合のいずれかの場合である。
スタック領域(本実施形態では01CCH〜)は、メイン制御部41のレジスタから退避したデータが格納される領域である。
そして、Sa23でアドレスを指定した場合には、RAM41cの格納領域のうち、上記した全ての領域が初期化される。次いで、RAM41cの記憶内容が正常でないことを示すRAM異常フラグをRAM41cにセットし(Sa25)、エラー処理に移行する。エラー処理では、エラー状態になって遊技を行うことが不能になる。エラー状態は、設定キースイッチ37をオンにして電源スイッチ39をオンにすることによって、Sa15でYと判定させ、設定変更処理に移行させることにより解除することができる。よって、設定キースイッチ37をオンにせずに電源スイッチ39をオンにした場合には、Sa15でNとなり、Sa16でYとなるので再度エラー状態になる。
なお、本実施形態では、データを「00h」とすること、すなわちクリアすることにより初期化を行っている。しかし、例えば、データを「FFh」としたり、データごとに予め決められた値を入力することにより、初期化を行うことも可能である。
このように、本実施形態では、マイクロコンピュータの起動において割込を禁止するとともに、初期設定処理において割込を禁止する(本例では、マイクロコンピュータの起動時にPSWが00hにクリアされてIMFが0となり、割込禁止状態に設定するとともに、初期設定処理においてDI命令を実行することにより図19のSa1の処理を実行する部分)。よって、意図しない割込が発生することを防止できる。
[ゲーム制御処理]
メイン制御部41が1ゲーム毎に実行するゲーム制御処理について説明する。メイン制御部41は、ゲーム制御処理を行って1回のゲームを制御する。ゲーム制御処理では、まず、賭数設定やクレジット精算・賭数精算するためのBET処理が行われる。賭数設定後、スタートスイッチ7が操作されると乱数抽選により入賞の発生を許容するか否かを決定(内部抽選)するための内部抽選処理(図12〜図14等参照)が行われる。内部抽選処理が終了すると、リール回転処理が行われる。リール回転処理では、前回ゲームのリール回転開始から規定期間(例えば、4.1秒)経過していることを条件に、リール2L〜2Rの回転を開始させた後、ストップスイッチ8L〜8Rを有効化し、停止操作に応じてリールの回転を停止させる(図15〜図18等参照)。リール2L〜2Rが停止してリール回転処理が終了すると、入賞ライン上の図柄組合せに基づいて入賞等が発生したか否かを判定する入賞判定処理(図6〜図9等参照)が行われる。入賞判定処理が終了すると、払出処理が行われる。払出処理では、入賞の発生に応じてメダルの払出しまたはクレジット加算が行われるとともに、入賞ライン上の図柄組合せに応じて遊技状態が移行される(図10、図11等参照)。これにより、1ゲーム分のゲーム制御処理が終了し、次の1ゲーム分のゲーム制御処理が開始する。
また、メイン制御部41は、内部抽選処理実行中において、ART抽選処理を行い、ART抽選に当選、すなわち、ATゲーム数を付与したときには、ATに制御し、ナビ報知及びナビ演出のための制御を行う。また、本実施形態のメイン制御部41は、内部抽選処理実行中において、特別役としてのボーナスに当選したときには、内部中としてのRT4に制御し、RT4においても後述するナビ開始ゲーム数の経過後にナビ報知及びナビ演出のための制御を行う。
次に、サブ制御部91が実行する処理の内容について説明する。
[タイマ割込処理(サブ)]
サブ制御部91(CPU91c)は内部クロックのカウント値に基づいて1.12msの間隔でタイマ割込処理(サブ)を実行する。
タイマ割込処理(サブ)においては、サブ制御部91は、まず、使用中のレジスタをスタック領域に退避する。次いで、停電判定処理を行う。停電判定処理では、電断検出回路48から電圧低下信号が入力されているか否かを判定し、電圧低下信号が入力されていれば、前回の停電判定処理でも電圧低下信号が入力されていたか否かを判定し、前回の停電判定処理でも電圧低下信号が入力されていた場合には停電と判定し、その旨を示す電断フラグを設定する。
停電判定処理の後、電断フラグが設定されているか否かを判定し、電断フラグが設定されていた場合には電断処理(サブ)に移行する。電断処理(サブ)では、バックアップフラグをバックアップデータの作成後にセットしたり、起動処理(サブ)で用いるチェックサムをバックアップデータの排他的論理和を算出して計算するなどの処理を実行する。
電断フラグが設定されていない場合にはコマンド解析処理を実行する。コマンド解析処理では、コマンドバッファにコマンドが格納されているか否かを判定し、コマンドバッファにコマンドが格納されていればコマンドバッファからコマンドを取得する。そして、取得したコマンドに応じた処理を実行する。
そして、サブ制御部91は、タイマ割込処理(サブ)において、ART抽選対象役に当選したことを示唆する演出を第1液晶表示器51aまたは第2液晶表示器51bのいずれで実行するかを決定する演出関連処理を実行する(図21参照)。
また、サブ制御部91は、ART抽選対象役に当選したことを示唆する演出を実行するための演出実行処理を実行する(図22参照)。なお、ART抽選対象役に当選するとART抽選が行われ、ART抽選に当選するとARTが付与されるので、ART抽選対象役に当選したことを示唆することはARTが付与される可能性があることを示唆することにもなる。
[演出関連処理]
次に、タイマ割込処理(サブ)内で実行する演出関連処理の制御内容について説明する。
図21に示すように、演出関連処理では、サブ制御部91は、まず、メイン制御部41からの内部当選コマンドにもとづいて、ART抽選対象役に当選したか否かを判定する(Sc1)。ART抽選対象役に当選していない場合(Sc1でN)には処理を終了する。
ART抽選対象役に当選した場合(Sc1でY)には、第1液晶表示器51aと第2液晶表示器51bとのいずれを用いて演出を実行するかを決定する液晶選択抽選を実行する(Sc2)。次いで、液晶選択抽選で第2液晶表示器51bが選択されたか否かを判定する(Sc3)。
第2液晶表示器51bが選択された場合(Sc3でY)には、第2液晶表示器51bを用いて演出を実行することを示す第2演出フラグをRAM91cにセットする(Sc4)。
第2液晶表示器51bが選択されなかった場合(Sc3でN)、すなわち第1液晶表示器53aを用いて演出を実行することに決定した場合には、第1液晶表示器53aを用いて演出を実行することを示す第1演出フラグをRAM91cにセットする(Sc5)。
なお、本実施形態において、演出の実行の際に操作される演出用スイッチを設けることが
可能である。この場合において、特定条件成立時(本実施形態では、ART抽選対象役に当選したとき)に、第1液晶表示器51aまたは第2液晶表示器51bで演出を実行し、いずれの液晶表示器を用いて演出を実行するときであっても、演出用スイッチの操作を促す演出画像を表示するとともに、演出用スイッチの操作を促す演出音を出力する。そして、いずれの液晶表示器を用いて演出用スイッチの操作が促されたかによって、ART抽選に当選したことへの期待度が異なるように構成することができる。これにより、演出への注目を集め、遊技の興趣を高めることができる。
また、本実施形態では、特定条件成立時(本実施形態では、ART抽選対象役に当選したとき)に、第1液晶表示器51aまたは第2液晶表示器51bのいずれかを用いて演出を実行(演出画像の表示および演出音の出力)することにより、ART抽選対象役に当選したことを示唆するが、いずれの液晶表示器を用いて示唆されたかによって、ART抽選に当選したことへの期待度が異なるように構成することができる。すなわち、ART抽選の抽選結果に応じた確率で第1液晶表示器51aまたは第2液晶表示器51bを選択するように構成することができる。これにより、演出への注目を集め、遊技の興趣を高めることができる。
また、本実施形態では、ART抽選対象役に当選したときに必ず演出を実行しているが、演出を実行するか否かを抽選により決定することも可能である。このとき、ART抽選の抽選結果に応じた確率で演出を実行することも可能である。
[演出実行処理]
次に、タイマ割込処理(サブ)内で実行する演出実行処理の制御内容について説明する。
図22に示すように、演出実行処理では、サブ制御部91は、まず、図21のSc5でセットされる第1演出フラグがセットされているか否かを判定する(Se1)。第1演出フラグがセットされている場合(Se1でY)には全スピーカより演出音を出力する(Se12)。なお、サブ制御部91は、第1演出フラグがセットされている場合に、第1液晶表示器51aに演出画像を表示して表示演出も実行する。
第1演出フラグがセットされていない場合(Se1でN)には、図21のSc4でセットされる第2演出フラグがセットされているか否かを判定する(Se2)。第2演出音出力フラグがセットされていない場合(Se2でN)には処理を終了する。
第2演出音出力フラグがセットされている場合(Se2でY)には、第2液晶表示器51bが移動中であるか否かを判定する(Se3)。第2液晶表示器51bが移動中である場合(Se3でY)には初期位置と中間位置の間を移動中であるか否かを判定する(Se6)。
初期位置と中間位置の間を移動中である場合(Se6でY)には、右スピーカ53aと中スピーカ53cとから演出音を出力する。初期位置と中間位置との間を移動中でない場合(Se6でN)、すなわち中間位置と折り返し位置との間を移動中である場合には中スピーカ53bと左スピーカ53cとから演出音を出力する(Se8)。
一方、Se3で第2液晶表示器51bが移動中でないと判定された場合(Se3でN)には、第2液晶表示器51bが初期位置に位置しているか否かを判定する(Se4)。初期位置に位置している場合(Se4でY)には右スピーカ53aから演出音を出力する(Se5)。
初期位置に位置していない場合(Se4でN)には、第2液晶表示器51bが中間位置に位置しているか否かを判定する(Se9)。中間位置に位置している場合(Se9でY)には、中スピーカ53bから演出音を出力する(Se10)。
中間位置に位置していない場合(Se9でN)、すなわち折り返し位置に位置している場合には、左スピーカ53cから演出音を出力する(Se11)。なお、サブ制御部91は、第2演出フラグがセットされている場合に、第2液晶表示器51bに演出画像を表示して表示演出も実行する。
[具体例]
次に、本実施形態の具体例について説明する。
図23に示すように、ART抽選対象役に当選したときに第1液晶表示器51aで演出を実行する場合には、演出音を出力するための音声データをトラックNo.1を用いて再生し、全スピーカから演出音を出力する。
また、第2液晶表示器51bで演出を実行するときに、第2液晶表示器51bが初期位置に位置する場合には、演出音を出力するための音声データをトラックNo.2を用いて再生し、右スピーカ53aから演出音を出力する。
また、第2液晶表示器51bで演出を実行するときに、第2液晶表示器51bが初期位置と中間位置の間に位置する場合には、演出音を出力するための音声データをトラックNo.3を用いて再生し、右スピーカ53aと中スピーカ53bとから演出音を出力する。
また、第2液晶表示器51bで演出を実行するときに、第2液晶表示器51bが中間位置に位置する場合には、演出音を出力するための音声データをトラックNo.4を用いて再生し、中スピーカ53bから演出音を出力する。
また、第2液晶表示器51bで演出を実行するときに、第2液晶表示器51bが中間位置と折り返し位置の間に位置する場合には、演出音を出力するための音声データをトラックNo.5を用いて再生し、中スピーカ53bと左スピーカ53cとから演出音を出力する。
また、第2液晶表示器51bで演出を実行するときに、第2液晶表示器51bが折り返し位置に位置する場合には、演出音を出力するための音声データをトラックNo.6を用いて再生し、左スピーカ53cから演出音を出力する。
[変形例1]
次に、上記実施形態の変形例1について図24を用いて説明する。本変形例に説明するように、複数種類のタイマカウンタ値が格納される領域がRAM41cの所定の規則で連続するアドレスが割り当てられた領域に設定されるとともに、指定アドレスに格納されたタイマ値を更新する処理を、現在の指定アドレスに対して定数を加算することで複数種類のタイマカウンタ値が格納された領域に対する指定アドレスを変更しながら繰り返し実行することにより複数種類のタイマ値を更新するスロットマシンにおいて、第1液晶表示器51aにより演出を実行するときは全スピーカから演出音を出力し、第2液晶表示器51bにより演出を実行するときは第2液晶表示器51bの位置に応じたスピーカから演出音を出力することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
図24は、時間カウンタ更新処理の制御内容を示すフローチャートである。時間カウンタ更新処理は、メイン制御部41が一定間隔(約0.56msの間隔)で基本処理(主にメイン処理)に割り込んで実行するタイマ割込処理(メイン)内で実行される。尚、タイマ割込処理(メイン)とは、タイマ回路509のカウントに応じて発生する割込により実行される処理であり、タイマ割込処理(メイン)のプログラムが格納されたアドレスは、ベクタテーブルのタイマ割込に対応する値として設定されている。そして、タイマ割込が発生すると当該アドレスからの処理が実行される。また、タイマ割込処理(メイン)の実行期間中は自動的に他の割込が禁止される。
時間カウンタ更新処理では、まず、1バイト用処理回数として、更新すべき1バイトのタイマカウンタの数(本実施例では3)をセットし(Sg1)、1バイトタイマ群の先頭アドレス(7E2Ch)にポインタをセットする(Sg2)。
次いで、指定アドレス(ポインタが示すアドレス)に格納された1バイトの値が0でなければ指定アドレスの1バイトの値を1減算し(Sg3)、Sg1のステップで設定した処理回数を1減算し(Sg4)、減算後の処理回数が0か否かを判定する(Sg5)。
Sg5のステップで減算後の処理回数が0でない場合、すなわち全ての1バイトタイマの更新が終了していない場合には、ポインタを1加算し(Sg6)、Sg3のステップに戻る。これにより、未処理の1バイトタイマのアドレスにポインタが移動し、指定アドレスの1バイトの値が0でなければ減算される。
Sg5のステップで減算後の処理回数が0の場合、すなわち全ての1バイトタイマの更新が終了した場合には、2バイト用処理回数として、更新すべき2バイトのタイマカウンタの数(本実施例では4)をセットし(Sg7)、ポインタを1加算する(Sg8)。これにより、2バイトカウンタ群の先頭アドレス(7E2Fh)にポインタが移動する。
Sg11のステップで減算後の処理回数が0でない場合、すなわち全ての2バイトタイマの更新が終了していない場合には、ポインタを2加算し(Sg12)、Sg9のステップに戻る。これにより、未処理の2バイトタイマのアドレスにポインタが移動し、指定アドレス及び次のアドレスの2バイトの値が0でなければ減算される。
次いで、指定アドレス(ポインタが示すアドレス)及び次のアドレスからなる領域に格納された2バイトの値が0でなければ指定アドレス及び次のアドレスの2バイトの値を1減算し(Sg9)、Sg7のステップで設定した処理回数を1減算し(Sg10)、減算後の処理回数が0か否かを判定する(Sg11)。
Sg11のステップで減算後の処理回数が0の場合、すなわち全ての2バイトタイマの更新が終了した場合には、処理を終了する。
このように変形例1では、RAM41cに割り当てられたタイマカウンタの値を定期的に更新し、特定の値(0)となることで時間の経過を特定するようになっている。従来は、複数種類の時間間隔を計測する場合に、計時を要する複数種類の処理内で、タイマ値の設定及び更新を行っており、複数種類のタイマ値を更新するためのプログラムをそれぞれの処理内に設ける必要があるため、プログラム容量が増大する要因となっていた。また、複数種類のタイマカウンタは、それぞれが用いられる処理毎のデータ群として割り当てられているため、一の処理においてまとめて更新するためには、それぞれの関連性のないアドレスの値を読み出す必要があった。
これに対して変形例1では、複数種類のタイマカウンタ値が格納される領域がRAM41cの所定の規則で連続するアドレスが割り当てられた領域に設定されるとともに、指定アドレスに格納されたタイマ値を更新する処理を、現在の指定アドレスに対して定数を加算することで複数種類のタイマカウンタ値が格納された領域に対する指定アドレスを変更しながら繰り返し実行することにより複数種類のタイマ値を更新するので、複数種類のアドレスをそれぞれ指定して当該アドレスの値を更新する処理を個々の処理で行う場合よりもプログラム容量を削減することができる。
[変形例2]
次に、上記実施形態の変形例2について図25〜図27を用いて説明する。本変形例のスロットマシンでは、後述するように、液晶表示器303Cが視認不能位置である表示領域51aと重なる位置(重畳位置)に移動していた場合に、エラー用画像が視認不能となるが、サブ制御部91は、特別報知演出を実行する条件(特別条件、例えば、エラー発生時、初期制御処理の実行中、所定期間停止操作なし)が成立したときに、表示領域51aだけでなく可動部302Cの液晶表示器303Cにおいても特別報知演出の各画像(エラー用画像501、初期化用画像502、停止促進用画像503)を表示する。このようなスロットマシンにおいて、第1液晶表示器51により特別報知演出の各画像を表示するときに第1のスピーカを用いて演出音を出力し、液晶表示器303Cにより特別報知演出の各画像を表示するときに第2のスピーカを用いて演出音を出力することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。以下に、本変形例について説明する。
まず、本変形例において、サブ制御部91が実行する特別報知演出実行処理について説明する。図25に示すように、サブ制御部91は、エラーコマンドを受信したか否かや演出装置の出力がエラー報知に設定されているか否かを判定する等により、エラーが発生したか否かを判定する(ステップS101)。サブ制御部91は、エラーが発生した場合(ステップS101;Y)、遊技の進行に不要な演出を終了し(ステップS102)、エラー用の特別報知演出を実行し(ステップS103)、処理を終了する。遊技の進行に必要な演出や不要な演出は任意に設定することが可能であるが、例えば、ナビ演出やボーナスやARTの確定演出等を遊技の進行に必要な演出としてもよい。また、エラー用の特別報知演出とは、例えば、図26(a)に示すエラー用画像501(特別表示、例えば、「エラー発生!」の文字画像)を液晶表示器51の表示領域51aおよび第1役物302の液晶表示器303Cに表示したり、第1役物302の演出用LED303L、303R等でエラー用のLED点灯表示をしたり、スピーカ53、54でエラー用の音声出力をしたりする演出である。なお、本実施形態のエラー用の特別報知演出は、エラーが解消したときに終了する。
一方、サブ制御部91は、エラーが発生していない場合(ステップS101;N)、スロットマシン1への電力供給が再開されて初期制御処理が実行中であるか否かを判定する(ステップS104)。サブ制御部91は、初期制御処理が実行中である場合(ステップS104;Y)、遊技の進行に不要な演出を終了し(ステップS105)、初期化用の特別報知演出を実行し(ステップS106)、処理を終了する。初期化用の特別報知演出とは、例えば、図26(b)に示す初期化用画像502(特別表示、例えば、「初期化中です…」の文字画像)を表示領域51aおよび液晶表示器303Cに表示したり、初期化用のLED点灯や音声出力をしたりする演出である。なお、本実施形態の初期化用の特別報知演出は、初期制御処理が終了したときに終了する。
一方、サブ制御部91は、初期制御処理が実行中でない場合(ステップS104;N)、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの停止操作が所定期間行われていないか否かを判定する(ステップS107)。サブ制御部91は、停止操作が所定期間内に行われている場合(ステップS107;Y)、処理を終了し、停止操作が所定期間行われていない場合(ステップS107;Y)、遊技の進行に不要な演出を終了し(ステップS108)、停止促進用の特別報知演出を実行し(ステップS109)、処理を終了する。停止促進用の特別報知演出とは、例えば、図26(c)に示す停止促進用画像502(特別表示、例えば、「ストップスイッチを押してください…」の文字画像)を表示領域51aおよび液晶表示器303Cに表示したり、停止促進用のLED点灯や音声出力をしたりする演出である。なお、本実施形態の停止促進用の特別報知演出は、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの停止操作を受け付けたときに終了する。
なお、本実施形態では、図26(a)〜図26(c)に示す各画像501〜503の画像データがROM91bに記憶されており、サブ制御部91は、記憶された画像データを用いて液晶表示器51の表示領域51aと第1役物302の液晶表示器303Cとにそれぞれ異なる表示倍率でそれぞれ表示する。本実施形態では、サブ制御部91は、表示される文字画像の大きさ(サイズ)が表示領域51aと液晶表示器303Cとで同一となるように表示する。具体的には、ROM91bには液晶表示器303Cに対応する解像度の文字画像の画像データが記憶されており、液晶表示器303Cで等倍表示され、表示領域51aで縮小表示される。なお、本実施形態では、サブ制御部91が直接的に表示領域51aと液晶表示器303Cとの画像表示を制御したが、VDP(Video Display Processor)等の演算装置を介して間接的に画像表示を制御してもよい。
これに対して、本実施形態では、サブ制御部91は、特別報知演出を実行する条件(特別条件、例えば、エラー発生時、初期制御処理の実行中、所定期間停止操作なし)が成立したときに、表示領域51aだけでなく可動部302Cの液晶表示器303Cにおいても特別報知演出の各画像(エラー用画像501、初期化用画像502、停止促進用画像503)を表示する。
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1によれば、第1役物302の液晶表示器303Cは、液晶表示器51の表示領域51aの視認可能位置(例えば、初期位置、最下位置等の所定位置)と、視認不能位置(例えば、表示領域と重なる位置、重畳位置)との間を移動する。
ここで、例えば、図27(a)に示すように、エラー用の特別報知演出実行時にエラー用画像を表示領域51aにのみ表示する従来の構成では、図27(b)に示すように、液晶表示器303Cが視認不能位置である表示領域51aと重なる位置(重畳位置)に移動していた場合に、エラー用画像が視認不能となる。
このため、例えば、図27(c)に示すように、エラー用の特別報知演出実行時に液晶表示器303Cが表示領域51aと重なる位置に移動していた場合であっても液晶表示器303Cにエラー用画像が表示されるので、遊技者がエラー用画像を視認可能となる。
したがって、本実施形態のスロットマシン1は、特別報知演出実行時に液晶表示器が視認不能位置に移動しているときに当該液晶表示器で特別報知演出の各画像を表示しないスロットマシンよりも各画像501〜503が遊技者に認識され易くなる。
特に、本実施形態のスロットマシン1によれば、サブ制御部91は、特別報知演出実行時に液晶表示器303Cが視認不能位置に移動しているか否かに関わらず液晶表示器303Cにおいて画像表示を行う。
例えば、図27(d)や図27(e)に示すように、エラー用の特別報知演出実行時に液晶表示器303Cが視認可能位置である最下位置や初期位置に移動していた場合であっても液晶表示器303Cにエラー用画像が表示されるので、遊技者がエラー用画像を更に視認し易くなっている。
したがって、特別報知演出実行時に移動する液晶表示器が視認不能位置に移動しているか否かを判別してから画像表示を行うスロットマシンよりも移動する液晶表示器が画像表示を行うときの制御が簡素化され、制御負荷が軽減される。
[上記実施形態の効果]
本実施形態では、第1液晶表示器51aを用いて表示演出を実行するときには全スピーカから演出音を出力し、第2液晶表示器51bを用いて表示演出を実行するときには、右スピーカ53a、中スピーカ53b、左スピーカ53のうちのいずれか1つ、または、いずれか2つを組み合わせて演出音を出力する(本例では、図22のSe5,Se7,Se8,Se10,Se11,Se12の処理を行う部分、図23に示す部分)。
よって、第1液晶表示器51aまたは第2液晶表示器51bのうち表示演出を行う液晶表示器に応じて演出音が出力されるので、演出効果を高めることができる。
本実施形態では、第1液晶表示器51aで表示演出を実行するときの音声データにトラックNo.1を割り当て、第2液晶表示器51bで表示演出を実行するときの音声データにトラックNo.2〜No.6を割り当てる。(本例では、図23に示す部分)。
よって、音声データの管理を容易にすることができる。
本実施形態では、第1液晶表示器51aで演出を実行するときの音声データと、第2液晶表示器51bで演出を実行するときの音声データとは共通の音声データを含む。
よって、共通の音声データを用いて演出を実行することにより、音声データの容量を削減することができる。
本実施形態では、第2液晶表示器51bが初期位置に位置するときに右スピーカ53aを用い、中間位置に位置するときに中スピーカ53bを用い、折り返し位置に位置するときに左スピーカ53cを用いる(本例では、図22のSe5,Se10,Se11の処理を行う部分、図23に示す部分)。
よって、表示演出を行う液晶表示器に応じて演出音が出力されるので、演出効果を高めることができる。
本実施形態では、第2液晶表示器51bが初期位置と中間位置の間を移動している場合には、右スピーカ53aと中スピーカ53bとから演出音を出力し、第2液晶表示器51bが中間位置と折り返し位置との間を移動している場合には、中スピーカ53bと左スピーカ53cとから演出音を出力する(本例では、図22のSe7,Se8の処理を行う部分、図23に示す部分)。
よって、表示演出を行う液晶表示器に応じて演出音が出力されるので、演出効果を高めることができる。
[その他、変形例について]
以下に、上記実施形態の種々の変形例について説明する。
[スピーカについて]
上記実施形態では、第1液晶表示器51aで表示演出を行うときに用いるスピーカと、第2液晶表示器51bで表示演出を行うときに用いるスピーカとが重複するようにしたが、演出を行う液晶表示器に応じて異なるスピーカを用いて演出音を出力してもよい。
[第1の表示手段および第2の表示手段について]
上記実施形態では、第1の表示手段および第2の表示手段として、第1液晶表示器51aおよび第2液晶表示器51bを例に挙げたが、上記実施形態と異なる表示手段を用いてもよい。例えば、演出効果LED52、リールの背面側(内側)に配置されたバックランプ(例えば、リールLED55)、リールの前面側に配置された透過液晶表示器(リールを目視できるように構成された液晶表示器)、前面扉1bなどに取り付けられたランプやLED(例えば、演出効果LED52)などが挙げられる。
上記施形態では、遊技者にとって有利な特典(ART)に関する制御をメイン制御部41が行う構成であるが、遊技者にとって有利な特典に関する制御の一部または全部をサブ制御部91が行う構成としても良い。
[スロットマシンについて]
前記実施形態では、本発明を遊技用価値としてメダル並びにクレジットを用いて賭数が設定されるスロットマシンに適用した例について説明したが、遊技用価値として遊技球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、遊技用価値としてクレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンに適用しても良い。遊技球を遊技用価値として用いる場合は、例えば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができ、前記実施形態1で賭数として3を設定する場合は、15個の遊技球を用いて賭数を設定するものに相当する。
さらに、メダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値のうちいずれか1種類のみを用いるものに限定されるものではなく、例えば、メダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値を併用できるものであっても良い。すなわち、メダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値のいずれを用いても賭数を設定してゲームを行うことが可能であり、かつ入賞の発生によってメダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値のいずれをも払い出し得るスロットマシンを適用しても良い。
[パチンコ遊技機について]
次に、本発明を適用するパチンコ遊技機について図28を用いて説明する。以下、上記実施形態と同様の部分については詳しい説明を省略する。
図28は、パチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。
遊技盤2の所定位置(図28に示す例では、遊技領域の右側方)には、第1特別図柄表示装置4Aと、第2特別図柄表示装置4Bとが設けられている。第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはそれぞれ、たとえば7セグメントやドットマトリクスのLED(発光ダイオード)等から構成され、可変表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)が、変動可能に表示(可変表示)される。
遊技盤2における遊技領域の中央付近には、画像表示装置5が設けられている。画像表示装置5は、たとえばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。画像表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の可変表示や第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の可変表示のそれぞれに対応して、たとえば3つといった複数の可変表示部となる飾り図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である飾り図柄が可変表示される。この飾り図柄の可変表示も、可変表示ゲームに含まれる。一例として、画像表示装置5の表示領域には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rが配置されている。
画像表示装置5の表示領域には、始動入賞記憶表示エリア5Hが配置されている。始動入賞記憶表示エリア5Hでは、特図ゲームに対応した可変表示の保留数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。ここで、特図ゲームに対応した可変表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を、遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生する。
画像表示装置5の表示領域の始動入賞記憶表示エリア5Hの左側方には、変動中特図表示エリア5Iが設けられている。変動中特図表示エリア5Iには、現在実行されている可変表示に対応した画像が表示される。
図28に示す例では、始動入賞記憶表示エリア5Hとともに、第1特別図柄表示装置4A及び第2特別図柄表示装置4Bの上部に、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示する。第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。
画像表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6Bとが設けられている。普通入賞球装置6Aは、たとえば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、垂直位置となる通常開放状態と傾動位置となる拡大開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、始動領域(第2始動領域)としての第2始動入賞口を形成する。
普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bの下方には、特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は大入賞口扉を備え、その大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。
遊技盤2の所定位置(図28に示す例では、遊技領域の左側方)には、普通図柄表示器20が設けられている。普通図柄表示器20の上方には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、たとえば4個のLEDを含んで構成され、通過ゲート41を通過した有効通過球数としての普図保留記憶数を表示する。
遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L、8Rが設けられており、さらに遊技領域周辺部には、遊技効果ランプ9が設けられている。パチンコ遊技機1の遊技領域における各構造物(たとえば普通入賞球装置6A、普通可変入賞球装置6B、特別可変入賞球装置7等)の周囲には、装飾用LEDが配置されていてもよい。遊技機用枠3の右下部位置には、遊技媒体としての遊技球を遊技領域に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。
遊技領域の下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、打球発射装置へと供給可能に保持(貯留)する上皿(打球供給皿)が設けられている。遊技機用枠3の下部には、上皿から溢れた余剰球などを、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持(貯留)する下皿が設けられている。
下皿を形成する部材には、たとえば下皿本体の上面における手前側の所定位置(たとえば下皿の中央部分)などに、遊技者が把持して傾倒操作が可能なスティックコントローラ31Aが取り付けられている。
上皿を形成する部材には、たとえば上皿本体の上面における手前側の所定位置(たとえばスティックコントローラ31Aの上方)などに、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン31Bが設けられている。
以上のようなパチンコ遊技機1において、演出画像の表示により演出を行う第2画像表示装置を画像表示装置5とは別個に設け、画像表示装置5で演出を実行するときにスピーカ8L、第2画像表示装置で演出を実行するときにスピーカ8Rを使用するなど、演出を行う画像表示装置に応じてスピーカを異ならせることにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
以上、本発明の実施形態を図面により説明してきたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。