JP2017043812A - スパッタリング用シリコンターゲット材及びそのターゲット材に割れ防止層を形成する方法 - Google Patents

スパッタリング用シリコンターゲット材及びそのターゲット材に割れ防止層を形成する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スパッタリング時に、非エロージョン部表面にSiOxが堆積して、非エロージョン部表面にSiOxの膜が形成されても、ターゲット材は割れず、これによりターゲット材の利用率を向上するとともに、ターゲット材の交換に伴う成膜装置のメンテナンス頻度を低減する。
【解決手段】本発明のスパッタリング用シリコンターゲット材10は、スパッタリング雰囲気に少なくとも酸素ガスを含んでマグネトロンスパッタリングを行うときに使用される。このターゲット材10は、マグネトロンスパッタリング時に、シリコンターゲット材10の表面がスパッタされてエロージョン部となる第1領域11と、スパッタされない非エロージョン部となる第2領域12とを有する。また第2領域12にスパッタリング中にターゲット材の割れを防止する層13を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材表面に、酸素を含むシリコン化合物の薄膜を形成するマグネトロンスパッタリング装置にてターゲット成分であるシリコンが叩き出されるシリコンターゲット材に関するものである。
従来よりSiO2膜は、光学用低屈折率材料やバリア膜として工業的に一般的に使用されている。その製造方法の一例としてスパッタリング法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このスパッタリング法でSiO2膜を形成する場合、高周波(RF)スパッタリング法、直流(DC)スパッタリング法、パルス電源を用いたスパッタリング法、或いは交流電源を用いたスパッタリング法が利用されている。このとき、ターゲットに投入するスパッタリング電力は、大きい方が成膜速度は速くなり、高能率化と生産性向上に寄与する。
特開2004−84033号公報(段落[0002]、段落[0003])
しかし、上記従来のスパッタリング法のうち、酸素ガスを用いるシリコンターゲットの反応性マグネトロンスパッタリング(酸素反応性マグネトロンスパッタリング)では、スパッタリングの継続に伴い、非エロージョン部表面に堆積するSiOx膜により、シリコンターゲット材がその寿命(板厚)の大半を残した状態で割れに至ってしまう問題点があった。このため、酸素反応性マグネトロンスパッタリングによりシリコン薄膜を量産すると、本来期待されるシリコンターゲット材の寿命より短い周期でシリコンターゲット材の交換を余儀なくされるため、シリコンターゲット材の利用率が低くなるとともに、割れたシリコンターゲット材の交換に伴う成膜装置のメンテナンス頻度が多くなって、生産性が低下する問題点があった。
本発明の目的は、スパッタリング時に、非エロージョン部表面にSiOxが堆積して、非エロージョン表面にSiOx膜が形成されても、ターゲット材の割れを防止でき、これによりターゲット材の利用率を向上できるとともに、ターゲット材の交換に伴う成膜装置のメンテナンス頻度を低減できる、スパッタリング用シリコンターゲット材を提供することにある。
シリコンターゲット材の表面は、酸素反応性マグネトロンスパッタリング時に、スパッタされてエロージョン部となる第1領域と、スパッタされない非エロージョン部となる第2領域とに区画される。この非エロージョン部には、スパッタリングに伴いSiOx膜が堆積する。このSiOx膜は、膜自体が高い内部応力を有するとともに、ターゲット材であるシリコンとSiOx膜との熱膨張係数が異なることから、SiOx膜とシリコンターゲット材との間に熱応力が発生すると考えられる。そこで本発明者らは、成膜する膜の膜質に影響を与えることなく、非エロージョン部に堆積するSiOx膜の応力をシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を、スパッタ前に予めシリコンターゲット材の表面に付与することを検討した。この結果、シリコンターゲット材をその寿命まで、即ちエロージョン深さがターゲット材の板厚に近い値になるまで酸素反応性マグネトロンスパッタリングを行っても、シリコンターゲット材が割れないという成果を得ることができ、本発明をなすに至った。
本発明の第1の観点は、スパッタリング雰囲気に少なくとも酸素ガスを含んでマグネトロンスパッタリングを行うときに使用されるスパッタリング用シリコンターゲット材であって、マグネトロンスパッタリング時に、シリコンターゲット材の表面がスパッタされてエロージョン部となる第1領域と、スパッタされない非エロージョン部となる第2領域とを有し、第2領域にスパッタリング中のターゲット材の割れを防止する層を有することを特徴とする。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更にターゲット材の割れを防止する層がSi溶射層であることを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更にターゲット材の割れを防止する層がSiO2溶射層であることを特徴とする。
本発明の第4の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更にターゲット材の割れを防止する層が、Si粉末を低融点ガラスで結着したSi粉末結着層であることを特徴とする。
本発明の第5の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更にターゲット材の割れを防止する層が、SiO2,Al23,Ga23,TiO2,ZrO2,HfO2,Nb25及びTa25からなる群より選ばれた1種又は2種以上のセラミック粉末を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層であることを特徴とする。
本発明の第6の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更にターゲット材の割れを防止する層がAl溶射層であることを特徴とする。
本発明の第7の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更にターゲット材の割れを防止する層がポーラスシリコン層であることを特徴とする。
本発明の第1の観点のスパッタリング用シリコンターゲット材では、非エロージョン部となる第2領域にスパッタリング中のターゲット材の割れを防止する層(割れ防止層)を有するので、スパッタリング時に、非エロージョン部上の上記割れ防止層にSiOxが堆積して、非エロージョン部上の割れ防止層表面にSiOx膜が形成されても、上記割れ防止層が非エロージョン部に堆積するSiOx膜の応力をシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えられる。この結果、シリコンターゲット材をその寿命まで、即ちエロージョン深さがターゲット材の板厚に近い値になるまでスパッタリングを行ってもシリコンターゲット材は割れないので、ターゲット材の利用率を向上できるとともに、ターゲット材の交換に伴う成膜装置のメンテナンス頻度を低減できる。ここで、上記割れ防止層が非エロージョン部に堆積するSiOx膜の応力をシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えたのは、割れ防止層はその表面に比較的大きな凹凸が形成され、その表面粗さが比較的大きく形成されているため、非エロージョン部に堆積するSiOx膜の応力が割れ防止層の表面に沿う2次元方向だけでなく高さ方向を含む3次元方向にも応力が分散されると推測したからである。更に、Si粒子やSiO2粒子を溶着させた溶射層、Si粒子やセラミック粒子を低融点ガラスで結着させた結着層、或いはSiターゲット材表面をポーラスに浸食させたポーラスシリコン層では、その上に堆積したSiOx膜による応力が上記膜、或いは上記層内の組織が歪むことでSiOx膜の応力をシリコンターゲット材に伝達することを抑制する効果も期待されると推測した。
本発明の第2の観点のスパッタリング用シリコンターゲット材では、ターゲット材の割れを防止する層(割れ防止層)がSi溶射層であるので、スパッタリング時に、非エロージョン部上のSi溶射層にSiOxが堆積して、非エロージョン部上のSi溶射層表面にSiOx膜が形成されても、Si溶射層の表面に比較的大きな凹凸が形成されているためにSiOx膜の応力が2次元平面内から3次元に分散されること、及びSi溶射層のSi粒子間はSi原子間に比べ弱い結合力で溶着しているためにSiOx膜の応力がSi粒子間の結合を歪ませることなどから、SiOx膜の応力がシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えられる。この結果、上記と同様の効果が得られる。また、上記Si溶射層はシリコンターゲット材と同じ材料であるので、仮に微量のSi溶射層がスパッタされてシリコン薄膜に混入しても、シリコン薄膜の品質への影響は極めて小さい。
本発明の第3の観点のスパッタリング用シリコンターゲット材では、ターゲット材の割れを防止する層(割れ防止層)がSiO2溶射層であるので、スパッタリング時に、非エロージョン部上のSiO2溶射層にSiOxが堆積して、非エロージョン部上のSiO2溶射層表面にSiOx膜が形成されても、SiO2溶射層の表面に比較的大きな凹凸が形成されているためにSiOx膜の応力が2次元平面内から3次元に分散されること、及びSiO2溶射層のSiO2粒子間はSi原子間に比べ弱い結合力で溶着しているためにSiOx膜の応力がSiO2粒子間の結合を歪ませることなどから、SiOx膜の応力がシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えられる。この結果、上記と同様の効果が得られる。また、スパッタリングによりSiO2薄膜等のシリコン系薄膜を成膜する場合であれば、仮に微量のSiO2溶射層がスパッタされてSiO2薄膜等のシリコン系薄膜に混入しても、SiO2薄膜等のシリコン系薄膜の品質への影響は極めて小さい。
本発明の第4の観点のスパッタリング用シリコンターゲット材では、ターゲット材の割れを防止する層(割れ防止層)が、Si粉末を低融点ガラスで結着したSi粉末結着層であるので、スパッタリング時に、非エロージョン部上の上記Si粉末結着層にSiOxが堆積して、非エロージョン部上のSi粉末結着層表面にSiOx膜が形成されても、Si粉末結着層の表面に比較的大きな凹凸が形成されているためにSiOx膜の応力が2次元平面内から3次元に分散されること、及びSi粉末結着層のSi粒子間はSi原子間に比べ弱い結合力で溶着しているためにSiOx膜の応力がSi粒子間の結合を歪ませることなどから、SiOx膜の応力がシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えられる。この結果、上記と同様の効果が得られる。また、スパッタリングによりSiO2薄膜等のシリコン系薄膜を成膜する場合であれば、仮に微量のSi及びそのバインダである低融点ガラスがスパッタされてSiO2薄膜等のシリコン系薄膜に混入しても、SiO2薄膜等のシリコン系薄膜の品質への影響は極めて小さい。
本発明の第5の観点のスパッタリング用シリコンターゲット材では、ターゲット材の割れを防止する層(割れ防止層)が、SiO2等のセラミック粉末を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層であるので、スパッタリング時に、非エロージョン部上の上記セラミック粉末結着層にSiOxが堆積して、非エロージョン部上のセラミック粉末結着層表面にSiOx膜が形成されても、セラミック粉末結着層の表面に比較的大きな凹凸が形成されているためにSiOx膜の応力が2次元平面内から3次元に分散されること、及びセラミック粉末結着層のセラミック粒子間はSi原子間に比べ弱い結合力で溶着しているためにSiOx膜の応力がセラミック粒子間の結合を歪ませることなどから、SiOx膜の応力がシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えられる。この結果、上記と同様の効果が得られる。また、スパッタリングによりSiO2薄膜等のシリコン系薄膜を成膜する場合であれば、仮に微量のSiO2等及びそのバインダである低融点ガラスがスパッタされてSiO2薄膜等のシリコン系薄膜に混入しても、SiO2薄膜等のシリコン系薄膜の品質への影響は極めて小さい。
本発明の第6の観点のスパッタリング用シリコンターゲット材では、ターゲット材の割れを防止する層(割れ防止層)がAl溶射層であるので、スパッタリング時に、非エロージョン部上の上記Al溶射層にSiOxが堆積して、非エロージョン部上のAl溶射層表面にSiOx膜が形成されても、Al溶射層の表面に比較的大きな凹凸が形成されているためにSiOx膜の応力が2次元平面内から3次元に分散されること、及びAl溶射層のAl粒子間はSi原子間に比べ弱い結合力で溶着しているためにSiOx膜の応力がAl粒子間の結合を歪ませることなどから、SiOx膜の応力がシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えられる。この結果、上記と同様の効果が得られる。また、スパッタリングによりSiO2薄膜等のシリコン系薄膜を成膜する場合であれば、仮に微量のAlがスパッタされてAl23としてSiO2薄膜等のシリコン系薄膜に混入しても、SiO2薄膜等のシリコン系薄膜の品質への影響は極めて小さい。
本発明の第7の観点のスパッタリング用シリコンターゲット材では、ターゲット材の割れを防止する層(割れ防止層)がポーラスシリコン層であるので、スパッタリング時に、非エロージョン部上の上記ポーラスシリコン層にSiOxが堆積して、非エロージョン部上のポーラスシリコン層表面にSiOx膜が形成されても、ポーラスシリコン層の表面に比較的大きな凹凸が形成されているためにSiOx膜の応力が2次元平面内から3次元に分散されること、及びポーラスシリコン層がナノオーダーのSi柱構造からなるためにSiOx膜の応力がナノ構造のSi柱を歪ませることなどから、SiOx膜の応力がシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えられる。この結果、上記と同様の効果が得られる。また、上記ポーラスシリコン層はシリコンターゲット材と同じ材料であるので、仮に微量のSi溶射層がスパッタされてシリコン薄膜に混入しても、シリコン薄膜の品質への影響は極めて小さい。
本発明の第1実施形態のスパッタリング用シリコンターゲット材を示す図3のA−A線断面図である。 図3のB−B線断面図である。 そのターゲット材の平面図である。 そのターゲット材を用いてスパッタリングを行っている状態を示す模式図である。 本発明の第2実施形態のスパッタリング用シリコンターゲット材を示す図6のC−C線断面図である。 そのターゲット材の平面図である。 本発明の第3実施形態のスパッタリング用シリコンターゲット材の製造手順を示す図である。 図7(c)のD−D線断面図である。 本発明の第4実施形態のスパッタリング用シリコンターゲット材を示す縦断面図である。 そのスパッタリング用シリコンターゲット材の斜視図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1〜図3に示すように、本発明のシリコンターゲット材10は、スパッタリング雰囲気に少なくとも酸素ガスを含んでマグネトロンスパッタリングを行うときに使用される。このシリコンターゲット材10は、その表面が、マグネトロンスパッタリング時にスパッタされてエロージョン部となる第1領域11と、マグネトロンスパッタリング時にスパッタされない非エロージョン部となる第2領域12とを有する。ターゲット材10は、この実施の形態では、シリコンを削り出すことにより、横長の長方形板状に形成される。シリコンとしては多結晶シリコンや単結晶シリコン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、ターゲット材10は、エロージョン部となる第1領域11は平面状に形成され、非エロージョン部となる第2領域12は平面状の第1領域11より凹んで形成される。具体的には、エロージョン部となる第1領域11は横長のドーナツ状の平面に形成される。また非エロージョン部となる第2領域12は、ターゲット材10表面のうち第1領域11の内側に位置するように略横長四角形状に形成されるとともに第1領域11の平面より凹む凹溝部分12aと、ターゲット材10表面のうち第1領域11の外周縁に位置するように略四角枠状に形成されるとともに第1領域11の平面から離れるに従って次第に下る傾斜面部分12bとからなる。なお、ターゲット材10の表面は、スパッタリング装置の構造上の理由から、エロージョン部となる第1領域11と非エロージョン部となる第2領域12に必然的に区画される。
一方、非エロージョン部となる第2領域12の表面には、スパッタリング中のターゲット材の割れを防止する層13(以下、割れ防止層13という)が形成される。この割れ防止層13は、第2領域12のうち凹溝部分12aの表面に形成された凹溝用割れ防止層13aと、第2領域12のうち傾斜面部分12bの表面に形成された傾斜面用割れ防止層13bとからなる。この割れ防止層13は、スパッタリング時に派生するSiO、SiO2等のSiOxの堆積物が非エロージョン部の表面に堆積するため、非エロージョン部の表面に応力が発生するけれども、この応力をシリコンターゲット材に伝達することを抑制するために第2領域12表面に形成される。また、割れ防止層13は、Si、SiO2、Al23等のセラミック、又はAlを主成分とすることが好ましい。具体的には、割れ防止層13の厚さは10〜1000μmの範囲内にあることが好ましい。ここで、割れ防止層13の厚さの好ましい範囲を10〜1000μmに限定したのは、10μm未満ではSiOx等の堆積により発生する応力を割れ防止層13により十分にシリコンターゲット材に伝達することを抑制することができず、1000μmを超えると既に上記応力をシリコンターゲット材に伝達することを抑制する性能を十分に発揮しており経済的でなく、またスパッタリング中に異常放電の原因になったり、成膜している膜への混入が懸念されると推測されるからである。更に、割れ防止層13の表面粗さは、算術平均粗さRaで0.5〜10μmの範囲内にあることが好ましい。ここで、割れ防止層13の表面粗さを算術平均粗さRaで0.5〜10μmの範囲内に限定したのは、0.5μm未満ではSiOx等の堆積により発生する応力を割れ防止層13により十分にシリコンターゲット材に伝達することを抑制することができず、10μmを超えると割れ防止層13の欠けが発生してしまうと推測されるからである。
上記割れ防止層13としては、Si溶射層、SiO2溶射層、Si粉末を低融点ガラスで結着したSi粉末結着層、SiO2等のセラミック粉末を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層、Al溶射層、ポーラスシリコン層などが挙げられる。
(1) 割れ防止層13としてSi溶射層を形成する方法
ターゲット材10の表面にSiを溶射することによりSi溶射層を形成し、このSi溶射層が割れ防止層13となる。具体的なSi溶射層からなる割れ防止層の形成方法を説明する。先ず、Si溶射の原料としてSi粉末を用意する。このSi粉末は、Si塊を粉砕した後に、30〜200μmに分級した。ここで、粉砕したSi粉末を30μm以上に分級したのは、Si溶射装置へのSi粉末の供給の流動性を高め、安定した溶射を可能にするためである。また、粉砕したSi粉末を200μm以下に分級したのは、200μmを超えると、Si粉末が溶射噴霧時にその粒子の比熱が大きくなるため、Si粒子間の結着力が劣ってしまうからである。次に、非エロージョン部となる第2領域12以外の部分をAl板等でマスキングし、この状態でターゲット材10の表面に上記Siを溶射した後に、マスキングを取外す。これによりターゲット材10の表面のうち非エロージョン部となる第2領域12に割れ防止層13が形成される。なお、Siの溶射時に、割れ防止層13を冷却しながら形成することが好ましい。この冷却は、割れ防止層13に冷えた空気等のガスを直接吹き付けるか、或いはターゲット材10の裏面に水等の流れる管路を接触させることにより行うことができる。また、割れ防止層13のターゲット材10表面への密着強度を向上させるために、ターゲット材10の表面全体に割れ防止層13を形成する前に、ターゲット材10の表面全体に必要最低限のブラストを施してもよい。更に、上記Si溶射に用いられる溶射装置としては、プラズマガスの温度が10000℃を超えるプラズマ溶射装置を用いることが好ましい。
このSi溶射層からなる割れ防止層13では、スパッタリング時に、非エロージョン部上の割れ防止層13にSiOxが堆積して、非エロージョン部上の割れ防止層13表面にSiOx膜が形成されても、Si溶射層の表面に比較的大きな凹凸が形成されているためにSiOx膜の応力が2次元平面内から3次元に分散されること、及びSi溶射層のSi粒子間はSi原子間に比べ弱い結合力で溶着しているためにSiOx膜の応力がSi粒子間の結合を歪ませることなどから、SiOx膜の応力がシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えられる。また、Si溶射層からなる割れ防止層13はシリコンターゲット材11と同じ材料であるので、仮に微量の割れ防止層13がスパッタされてSiO2薄膜等のシリコン系薄膜に混入しても、SiO2薄膜等のシリコン系薄膜の品質への影響は極めて小さい。
(2) 割れ防止層13としてSiO2溶射層を形成する方法
ターゲット材10の表面にSiO2を溶射することによりSiO2溶射層を形成し、このSiO2溶射層が割れ防止層13となる。具体的なSiO2溶射層からなる割れ防止層の形成方法は、上記(1)の『Si溶射層からなる割れ防止層13の形成方法』と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。このSiO2溶射層からなる割れ防止層13では、スパッタリング時に、非エロージョン部上の割れ防止層13にSiOxが堆積して、非エロージョン部上の割れ防止層13表面にSiOx膜が形成されても、SiO2溶射層の表面に比較的大きな凹凸が形成されているためにSiOx膜の応力が2次元平面内から3次元に分散されること、及びSiO2溶射層のSiO2粒子間はSi原子間に比べ弱い結合力で溶着しているためにSiOx膜の応力がSiO2粒子間の結合を歪ませることなどから、SiOx膜の応力がシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えられる。また、SiO2溶射層からなる割れ防止層13では、スパッタリングによりSiO2薄膜等のシリコン系薄膜を成膜する場合であれば、仮に微量のSiO2溶射層がスパッタされてSiO2薄膜等のシリコン系薄膜に混入しても、SiO2薄膜等のシリコン系薄膜の品質への影響は極めて小さい。
(3) 割れ防止層13としてSi粉末を低融点ガラスで結着したSi粉末結着層を形成する方法
低融点ガラスフリットにSi粉末を分散させたSiペーストを塗布し乾燥し焼成することにより、低融点ガラスをバインダとしてSi粉末を低融点ガラスで結着したSi粉末結着層を形成し、このSi粉末結着層が割れ防止層13となる。具体的には、先ず、平均粒径1〜500μmのSi粉末を軟化点550℃前後の低融点ガラスに分散させてSiペーストを調製し、このSiペーストをスクリーン印刷法、ディップコート法又はスピンコート法によりターゲット材表面に印刷又は塗布する。ここで、低融点ガラスの融点を所定値まで下げるために、上記低融点ガラスにはB(ホウ素)又はP(リン)の何れか一方又は双方を添加することが好ましい。また、Si粉末の含有割合は、Si粉末結着層を100質量%とするとき、80〜90質量%であることが好ましい。次いで、このターゲット材をホットプレートに載せ、このホットプレートを2℃/分の昇温速度で30℃から150℃に昇温し、150℃に20分間保持することにより、ターゲット材表面に印刷又は塗布されたSiペーストの膜を乾燥させる。次に、上記ホットプレートを2℃/分の昇温速度で150℃から550℃まで昇温し、この温度に20分間保持することにより、上記Siペーストの膜を焼成して、ターゲット材表面にSi粉末結着層を形成する。更に、上記ホットプレートを3℃/分の降温速度で550℃から60℃まで降温する。このSi粉末結着層からなる割れ防止層13では、スパッタリング時に、非エロージョン部上の割れ防止層13にSiOxが堆積して、非エロージョン部上の割れ防止層13表面にSiOx膜が形成されても、Si粉末結着層の表面に比較的大きな凹凸が形成されているためにSiOx膜の応力が2次元平面内から3次元に分散されること、及びSi粉末結着層のSi粒子間はSi原子間に比べ弱い結合力で溶着しているためにSiOx膜の応力がSi粒子間の結合を歪ませることなどから、SiOx膜の応力がシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えられる。また、Si粉末結着層からなる割れ防止層13では、スパッタリングによりSiO2薄膜等のシリコン系薄膜を成膜する場合であれば、仮に微量のSi及びそのバインダである低融点ガラスがスパッタされてSiO2薄膜等のシリコン系薄膜に混入しても、SiO2薄膜等のシリコン系薄膜の品質への影響は極めて小さい。なお、上記Si粉末の平均粒径は、粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−950)を用いて測定した粒径であり、体積基準平均粒径である。また、ここで使用する低融点ガラス(軟化点600℃以下)は、硼珪酸ガラス、燐酸珪酸ガラス、硼燐珪酸ガラスが好ましいが、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化スズ、酸化テルル、アルカリ金属酸化物、フッ素等を用いたガラスも使用可能である。
(4) 割れ防止層13としてSiO2等のセラミック粉末を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層を形成する方法
低融点ガラスをバインダとして、SiO2,Al23,Ga23,TiO2,ZrO2,HfO2,Nb25及びTa25からなる群より選ばれた1種又は2種以上のセラミック粉末を分散させたSiO2粉末等のペーストを塗布し乾燥し焼成することにより、SiO2等のセラミック粉末を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層を形成し、このセラミック粉末結着層が割れ防止層13となる。このセラミック粉末結着層の具体的な形成方法は、上記(3)のSi粉末に替えて、SiO2,Al23,Ga23,TiO2,ZrO2,HfO2,Nb25及びTa25からなる群より選ばれた1種又は2種以上のセラミック粉末を用いたこと以外は、上記(3)の『割れ防止層13としてSi粉末を低融点ガラスで結着したSi粉末結着層を形成する方法』と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。このセラミック粉末結着層からなる割れ防止層13では、スパッタリング時に、非エロージョン部上の割れ防止層13にSiOxが堆積して、非エロージョン部上の割れ防止層13表面にSiOx膜が形成されても、セラミック粉末結着層の表面に比較的大きな凹凸が形成されているためにSiOx膜の応力が2次元平面内から3次元に分散されること、及びセラミック粉末結着層のセラミック粒子間はSi原子間に比べ弱い結合力で溶着しているためにSiOx膜の応力がセラミック粒子間の結合を歪ませることなどから、SiOx膜の応力がシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えられる。また、セラミック粉末結着層からなる割れ防止層13では、スパッタリングによりSiO2薄膜等のシリコン系薄膜を成膜する場合であれば、仮に微量のSiO2等及びそのバインダである低融点ガラスがスパッタされてSiO2薄膜等のシリコン系薄膜に混入しても、SiO2薄膜等のシリコン系薄膜の品質への影響は極めて小さい。
(5) 割れ防止層13としてAl溶射層を形成する方法
ターゲット材10の表面にAlを溶射することによりAl溶射層を形成し、このAl溶射層が割れ防止層13となる。具体的なAl溶射層からなる割れ防止層の形成方法は、上記(1)の『Si溶射層からなる割れ防止層13の形成方法』と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。このAl溶射層からなる割れ防止層13では、スパッタリング時に、非エロージョン部上の割れ防止層13にSiOxが堆積して、非エロージョン部上の割れ防止層13表面にSiOx膜が形成されても、Al溶射層の表面に比較的大きな凹凸が形成されているためにSiOx膜の応力が2次元平面内から3次元に分散されること、及びAl溶射層のAl粒子間はSi原子間に比べ弱い結合力で溶着しているためにSiOx膜の応力がAl粒子間の結合を歪ませることなどから、SiOx膜の応力がシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えられる。また、Al溶射層からなる割れ防止層13では、スパッタリングによりSiO2薄膜等のシリコン系薄膜を成膜する場合であれば、仮に微量のAlがスパッタされてAl23としてSiO2薄膜等のシリコン系薄膜に混入しても、SiO2薄膜等のシリコン系薄膜の品質への影響は極めて小さい。
(6) 割れ防止層13としてポーラスシリコン層を形成する方法
ターゲット材へのSiの溶射により形成されたシリコン層を陽極化成することによりポーラス状のポーラスシリコン層を形成し、このポーラスシリコン層が割れ防止層13となる。具体的には、先ず、ターゲット材表面のうち非エロージョン部となる第2領域以外の部分に耐薬品性のあるフィルムを貼付けるか、又はUV硬化樹脂等によりマスキングする。次に、ターゲット材と白金などの対向電極とを間隔をあけてフッ化水素酸溶液中に浸漬し、上記ターゲット材表面のうち非エロージョン部となる第2領域を陽極とし、上記対向電極を陰極として、陽極及び陰極間に電流を流す。更に、ターゲット材を洗浄した後に、ターゲット材からフィルム又はマスキングを取外す。これにより、非エロージョン部となる第2領域のSi溶射層がポーラス状(多孔質状)になって、ポーラスシリコン層が形成される。このポーラスシリコン層からなる割れ防止層13では、スパッタリング時に、非エロージョン部上の割れ防止層13にSiOxが堆積して、非エロージョン部上の割れ防止層13表面にSiOx膜が形成されても、ポーラスシリコン層の表面に比較的大きな凹凸が形成されているためにSiOx膜の応力が2次元平面内から3次元に分散されること、及びポーラスシリコン層がナノオーダーのSi柱構造からなるためにSiOx膜の応力がナノ構造のSi柱を歪ませることなどから、SiOx膜の応力がシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えられる。また、ポーラスシリコン層からなる割れ防止層13では、このポーラスシリコン層からなる割れ防止層13がシリコンターゲット材と同じ材料であるので、仮に微量のSi溶射層がスパッタされてシリコン薄膜に混入しても、シリコン薄膜の品質への影響は極めて小さい。
このように構成されたシリコンターゲット材10をスパッタリング装置(成膜装置)に取付けてスパッタリングを行う方法を図4に基づいて説明する。先ず、非エロージョン部となる第2領域12に割れ防止層13が形成されたターゲット材10の裏面を、インジウムやインジウム合金等にて形成されたボンディング材(図示せず)を介して、銅製のバッキングプレート14に積層する。この状態で積層体を200℃程度に加熱することにより、ターゲット材10をバッキングプレート14にボンディング材を介して接着する。次にこのバッキングプレート14に接着されたターゲット材10の表面を、基材16の表面に所定の間隔をあけて対向させる。そして、成膜装置内を十分に排気した後、所定のArガスと酸素ガスを導入し、ターゲット材にスパッタ電力を印加することで反応性スパッタリングが実現され、基材16表面にSiO2膜(図示せず)を形成する。
その際、反応して生成したSiOxが非エロージョン部表面に堆積してSiOxの膜17(図1の拡大部)が形成される。しかし、非エロージョン部となる第2領域12には、割れ防止層13が形成されているため、酸素反応性マグネトロンスパッタリング時に、非エロージョン部上の割れ防止層13にSiOxが堆積して、非エロージョン部上の割れ防止層13表面にSiOx膜が形成される。しかし、上記割れ防止層13が非エロージョン部に堆積するSiOx膜の応力をシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えられる。この結果、シリコンターゲット材11をその寿命まで、即ちエロージョン深さがターゲット材11の板厚に近い値になるまでスパッタリングを行ってもシリコンターゲット材11は割れないので、ターゲット材11の利用率を向上できるとともに、ターゲット材11の交換に伴うスパッタリング装置(成膜装置)のメンテナンス頻度を低減できる。なお、この実施の形態の横長の長方形板状のターゲット材10は、ディスプレイの液晶画面や太陽電池などの作製に好適である。
<第2の実施の形態>
図5及び図6は本発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態では、ターゲット材30が円板状に形成される。また、エロージョン部となる第1領域31は丸いドーナツ状の平面に形成される。また、非エロージョン部となる第2領域32は、ターゲット材30表面のうち第1領域31の内側に位置するように円形状に形成されるとともに第1領域31の平面より凹む丸穴部分32aと、ターゲット材30表面のうち第1領域31の外周縁に位置するように円形枠状に形成されるとともに第1領域31の平面から離れるに従って次第に下る傾斜面部分32bとからなる。更に、非エロージョン部となる第2領域32の表面には割れ防止層33が形成される。この割れ防止層33は、第2領域32のうち丸穴部分32aの表面に形成された丸穴用割れ防止層33aと、第2領域32のうち傾斜面部分32bの表面に形成された傾斜面用割れ防止層33bとからなる。なお、図5の拡大図中の符号17は、SiOxが非エロージョン部表面に堆積して形成されたSiOxの膜である。また、ターゲット材は、円板状ではなく、楕円板状、四隅に所定の曲率半径の面取りを施した四角板状、又は他の形の板状であってもよい。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
このように構成されたスパッタリング用シリコンターゲット材30は、円板状に形成されるので、半導体等の作製に好適である。なお、ターゲット材30への割れ防止層33の形成方法や、このターゲット材30を用いたスパッタリング方法等は、第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
<第3の実施の形態>
図7及び図8は本発明の第3の実施の形態を示す。この実施の形態では、ターゲット材50が、横長の長方形板状のターゲット素片51〜54を複数枚長手方向に隙間をあけて一列に並べることにより形成される。この実施の形態では、4枚のターゲット素片51〜54を一列に隙間をあけて並べることにより1枚のターゲット材50が構成される、即ち1枚のターゲット材50とみなされる。また、エロージョン部となる第1領域61は、上記1枚とみなされたターゲット材50の表面に、1つの横長のドーナツ状の平面に形成される。また、非エロージョン部となる第2領域62は、上記1枚とみなされたターゲット材50の表面のうち第1領域61の内側に位置するように略横長四角形状に形成されるとともに第1領域61の平面より凹む凹溝部分51a〜54aと、上記1枚とみなされたターゲット材50の表面のうち第1領域61の外周縁に位置するように略四角枠状に形成されるとともに第1領域61の平面から離れるに従って次第に下る傾斜面部分51b〜54bとからなる。更に、非エロージョン部となる第2領域62の表面には割れ防止層(図示せず)が形成される。この割れ防止層は、第2領域62のうち凹溝部分51a〜54aの表面に形成された凹溝用割れ防止層(図示せず)と、第2領域62のうち傾斜面部分51b〜54bの表面に形成された傾斜面用割れ防止層(図示せず)とからなる。なお、4枚のターゲット素片51〜54を一列に並べるときに隙間をあけたのは、各ターゲット素片51〜54の熱膨張を考慮したものである。
このように構成されたターゲット材を製造するには、先ず四角柱状の多結晶シリコン又は円柱状の単結晶シリコンから正方形板状のシリコンを切り出す。次いでこの正方形板状のシリコンから複数枚の短冊状のターゲット素片を切り出す。この実施の形態では、正方形板状のシリコン55から4枚の短冊状のターゲット素片51〜54を切り出す(図7(a))。次にこれらのターゲット素片51〜54の表面のうち非エロージョン部となる第2領域62に凹溝部分51a〜54a及び傾斜面部分51b〜54bを形成した後に(図7(b))、これらの部分に割れ防止層を形成する。更に割れ防止層が形成された4枚のターゲット素片51〜54をバッキングプレート56に隙間57をあけて一列に並べてボンディング材により接着する(図7(c)、図8)。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
このように構成されたスパッタリング用シリコンターゲット材50は、4枚のターゲット素片51〜54を一列に並べて1枚のターゲット材50を構成したので、大型のディスプレイの液晶画面や大型の太陽電池などの作製に好適である。なお、ターゲット材50への割れ防止層の形成方法や、このターゲット材50を用いたスパッタリング方法等は、第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
<第4の実施の形態>
図9及び図10は本発明の第4の実施の形態を示す。この実施の形態では、ターゲット材80が、円筒状に形成される。また、エロージョン部となる第1領域81はターゲット材80の長手方向の中央部に形成される。また、非エロージョン部となる第2領域82,82は、ターゲット材30の長手方向の両端部にそれぞれ形成される。更に、非エロージョン部となる第2領域82,82の外周面には、割れ防止層83,83がそれぞれ形成される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
このように構成された円筒状のスパッタリング用シリコンターゲット材80は、その中空部に軸が挿通され、この軸を中心にターゲット材80を回転させながらスパッタリングが行われる。なお、ターゲット材80への割れ防止層83の形成方法や、このターゲット材80を用いたスパッタリング方法等は、第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
なお、上記第1及び第3の実施の形態では、非エロージョン部となる第2領域を凹溝部分及び傾斜面部分に機械加工し、上記第2の実施の形態では、非エロージョン部となる第2領域を丸穴部分及び傾斜面部分に機械加工したが、非エロージョン部となる第2領域を、エロージョン部となる第1領域と同一平面上の平面に形成してもよい。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図1〜図3に示すように、先ず、多結晶シリコンを削り出すことにより、縦、横及び厚さがそれぞれ126mm、178mm及び6mmであるシリコンターゲット材10を作製した。次いで、このターゲット材10に、非エロージョン部となる第2領域12に、凹溝部分12a及び傾斜面部分12bを機械加工により形成した。具体的には、エロージョン部となる第1領域11を横長のドーナツ状の平面に形成するために、凹溝部分12aを第1領域11の内側に位置するように略横長四角形状に形成するとともに第1領域11の平面より凹む溝状に形成し、傾斜面部分12bを第1領域11の外周縁に位置するように略四角枠状に形成するとともに第1領域11の平面から離れるに従って次第に下る傾斜面状に形成した。次に、上記ターゲット材10の表面全体に、Siを溶射することにより、ターゲット材10の表面全体に厚さ20μmの割れ防止層13を形成した。この割れ防止層13の表面粗さは算術平均粗さRaで3μmであった。更に、上記割れ防止層13の形成されたターゲット材10の表面のうち第1領域11のみを研磨することにより、エロージョン部となる第1領域11から割れ防止層13を除去した。これにより非エロージョン部となる第2領域12にのみ割れ防止層13が形成された。このターゲット材10を実施例1とした。
<実施例2>
図5及び図6に示すように、先ず、実施例1と同じ多結晶シリコンから、直径及び厚さがそれぞれ200mm及び10mmであるシリコンターゲット材30を作製した。次に、エロージョン部となる第1領域31を丸いドーナツ状の平面に形成するために、非エロージョン部となる第2領域32に、第1領域31の内側に位置する丸穴部分32aと、第1領域31の外周縁に位置する傾斜面部分32bとを機械加工により形成した。次に、上記ターゲット材30の表面全体に、実施例1と同様にして、Siを溶射することにより、ターゲット材30の表面全体に厚さ20μmの割れ防止層を形成した。この割れ防止層の表面粗さは算術平均粗さRaで3μmであった。更に、実施例1と同様にして、上記割れ防止層の形成されたターゲット材30の表面のうち第1領域31のみを研磨することにより、エロージョン部となる第1領域31から割れ防止層を除去した。これにより非エロージョン部となる第2領域32にのみ割れ防止層33が形成された。このターゲット材30を実施例2とした。
<実施例3>
実施例1のSi溶射層からなる割れ防止層に替えて、SiO2溶射層からなる割れ防止層を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてターゲット材を作製した。このターゲット材を実施例3とした。なお、割れ防止層の表面粗さは算術平均粗さRaで2μmであった。
<実施例4>
実施例1のSi溶射層からなる割れ防止層に替えて、Si粉末を低融点ガラスで結着したSi粉末結着層からなる割れ防止層を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてターゲット材を作製した。このターゲット材を実施例4とした。なお、Si粉末結着層は次の方法で形成した。先ず、平均粒径10μmのSi粉末を軟化点550℃程度の低融点ガラスに分散させてSiペーストを調製し、このSiペーストをスクリーン印刷法によりターゲット材表面に印刷した。ここで、Si粉末の含有割合は、Si粉末結着層を100質量%とするとき90質量%であった。次いで、このターゲット材をホットプレートに載せ、このホットプレートを2℃/分の昇温速度で30℃から150℃に昇温し、150℃に20分間保持することにより、ターゲット材表面に塗布された低融点ガラスの膜を乾燥させた。次に、上記ホットプレートを2℃/分の昇温速度で150℃から550℃まで昇温し、この温度に20分間保持することにより、上記低融点ガラスの膜を焼成して、ターゲット材表面にSi粉末結着層を形成した。更に、上記ホットプレートを3℃/分の降温速度で550℃から60℃まで降温した。なお、割れ防止層の表面粗さは算術平均粗さRaで1μmであった。
<実施例5>
実施例4のSiO2粉末(セラミック粉末)を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層からなる割れ防止層に替えて、SiO2粉末(セラミック粉末)を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層からなる割れ防止層を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてターゲット材を作製した。このターゲット材を実施例5とした。なお、割れ防止層の表面粗さは算術平均粗さRaで1μmであった。
<実施例6>
実施例4のSiO2粉末(セラミック粉末)を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層からなる割れ防止層に替えて、Al23粉末(セラミック粉末)を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層からなる割れ防止層を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてターゲット材を作製した。このターゲット材を実施例6とした。なお、割れ防止層の表面粗さは算術平均粗さRaで1μmであった。
<実施例7>
実施例4のSiO2粉末(セラミック粉末)を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層からなる割れ防止層に替えて、Ga23粉末(セラミック粉末)を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層からなる割れ防止層を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてターゲット材を作製した。このターゲット材を実施例7とした。なお、割れ防止層の表面粗さは算術平均粗さRaで1μmであった。
<実施例8>
実施例4のSiO2粉末(セラミック粉末)を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層からなる割れ防止層に替えて、TiO2粉末(セラミック粉末)を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層からなる割れ防止層を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてターゲット材を作製した。このターゲット材を実施例8とした。なお、割れ防止層の表面粗さは算術平均粗さRaで1μmであった。
<実施例9>
実施例4のSiO2粉末(セラミック粉末)を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層からなる割れ防止層に替えて、ZrO2粉末(セラミック粉末)を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層からなる割れ防止層を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてターゲット材を作製した。このターゲット材を実施例9とした。なお、割れ防止層の表面粗さは算術平均粗さRaで1μmであった。
<実施例10>
実施例4のSiO2粉末(セラミック粉末)を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層からなる割れ防止層に替えて、HfO2粉末(セラミック粉末)を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層からなる割れ防止層を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてターゲット材を作製した。このターゲット材を実施例10とした。なお、割れ防止層の表面粗さは算術平均粗さRaで1μmであった。
<実施例11>
実施例4のSiO2粉末(セラミック粉末)を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層からなる割れ防止層に替えて、Nb25粉末(セラミック粉末)を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層からなる割れ防止層を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてターゲット材を作製した。このターゲット材を実施例11とした。なお、割れ防止層の表面粗さは算術平均粗さRaで1μmであった。
<実施例12>
実施例4のSiO2粉末(セラミック粉末)を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層からなる割れ防止層に替えて、Ta25粉末(セラミック粉末)を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層からなる割れ防止層を用いたこと以外は、実施例4と同様にしてターゲット材を作製した。このターゲット材を実施例12とした。なお、割れ防止層の表面粗さは算術平均粗さRaで1μmであった。
<実施例13>
実施例1のSi溶射層からなる割れ防止層に替えて、Al溶射層からなる割れ防止層を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてターゲット材を作製した。このターゲット材を実施例13とした。なお、割れ防止層の表面粗さは算術平均粗さRaで1μmであった。
<実施例14>
実施例1のSi溶射層からなる割れ防止層に替えて、ポーラスシリコン層からなる割れ防止層を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてターゲット材を作製した。このターゲット材を実施例14とした。なお、ポーラスシリコン層からなる割れ防止層は次の方法で形成した。先ず、ターゲット材表面のうち非エロージョン部となる第2領域以外の部分にUV硬化樹脂によりマスキングした。次に、ターゲット材と白金の対向電極とを間隔をあけてフッ化水素酸溶液中に浸漬し、上記ターゲット材表面のうち非エロージョン部となる第2領域を陽極とし、上記対向電極を陰極として、陽極及び陰極間に電流を流した。更に、ターゲット材を洗浄した後に、ターゲット材からマスキングを取外した。これにより、非エロージョン部となる第2領域のSi溶射層がポーラス状(多孔質状)になって、ポーラスシリコン層が形成された。また、割れ防止層の表面粗さは算術平均粗さRaで5μmであった。
<比較例1>
非エロージョン部となる第2領域に割れ防止層を形成しなかった、即ちターゲット材の表面に割れ防止層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてターゲット材を作製した。このターゲット材を比較例1とした。
<比較例2>
非エロージョン部となる第2領域に割れ防止層を形成しなかった、即ちターゲット材の表面に割れ防止層を形成しなかったこと以外は、実施例2と同様にしてターゲット材を作製した。このターゲット材を比較例2とした。
<比較試験1及び評価>
実施例1〜14と比較例1及び2のターゲット材を用いて、スパッタリングにより基材表面にSiO2薄膜を形成した。具体的には、スパッタリング装置(成膜装置)として、株式会社 昭和真空製のSPH-2307を用い、基材としてスライドガラスを用いた。スパッタ条件は次の通りであった。パルス周波数は20kHzであり、パルス出力はDC1000Wであり、スパッタガス圧は0.4Paであった。また、Arガスの流量は6sccm(standard cc/min)であり、酸素ガスの流量は9sccmであった。また、上記スパッタリングを連続380時間行った後のターゲット材表面の状態を目視により検査した。
その結果、比較例1及び2のターゲット材は、連続180時間のスパッタリング後に表面に複数の割れが発生したのに対し、実施例1〜14のターゲット材は、連続380時間のスパッタリングを行っても表面に割れは全く発生せず、ターゲット材を使い切り、ターゲット材のエロージョン部となる第1領域はターゲット材背面のバッキングプレートまで貫通した。
本発明のシリコンターゲット材は、シリコンの薄膜を形成するためのスパッタリング装置に利用できる。
10,30,50,80 シリコンターゲット材
11,31,61,81 エロージョン部となる第1領域
12,32,62,82 非エロージョン部となる第2領域
13,33,83 割れ防止層
本発明は、基材表面に、酸素を含むシリコン化合物の薄膜を形成するマグネトロンスパッタリング装置にてターゲット成分であるシリコンが叩き出されるシリコンターゲット材と、このターゲット材に割れ防止層を形成する方法に関するものである。
本発明の目的は、スパッタリング時に、非エロージョン部表面にSiOxが堆積して、非エロージョン表面にSiOx膜が形成されても、ターゲット材の割れを防止でき、これによりターゲット材の利用率を向上できるとともに、ターゲット材の交換に伴う成膜装置のメンテナンス頻度を低減できる、スパッタリング用シリコンターゲット材及びそのターゲット材に割れ防止層を形成する方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、スパッタリング雰囲気に少なくとも酸素ガスを含んでマグネトロンスパッタリングを行うときに使用されるスパッタリング用シリコンターゲット材であって、マグネトロンスパッタリング時に、シリコンターゲット材の表面がスパッタされてエロージョン部となる第1領域と、スパッタされない非エロージョン部となる第2領域とを有し、第2領域にスパッタリング中のターゲット材の割れを防止する層を有し、ターゲット材の割れを防止する層がSi溶射層又はポーラスシリコン層であることを特徴とする。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更にターゲット材の割れを防止する層の表面粗さが、算術平均粗さRaで0.5〜10μmの範囲内にあることを特徴とする。
本発明の第3の観点は、ターゲット材の表面にSiを溶射することによりSi溶射層からなる割れ防止層を形成する工程を含み、Siの溶射時に、ターゲット材に形成されつつある割れ防止層に冷えたガスを直接吹き付けるか、或いはターゲット材の裏面に水の流れる管路を接触させることにより、割れ防止層を冷却することを特徴とするスパッタリング用シリコンターゲット材に割れ防止層を形成する方法である。
本発明の第4の観点は、ターゲット材の表面にSiを溶射してシリコン層を形成する工程と、このシリコン層を陽極化成することによりポーラス状のポーラスシリコン層からなる割れ防止層を形成する工程とを含むスパッタリング用シリコンターゲット材に割れ防止層を形成する方法である。
また、ターゲット材の割れを防止する層(割れ防止層)がSi溶射層であれば、スパッタリング時に、非エロージョン部上のSi溶射層にSiOxが堆積して、非エロージョン部上のSi溶射層表面にSiOx膜が形成されても、Si溶射層の表面に比較的大きな凹凸が形成されているためにSiOx膜の応力が2次元平面内から3次元に分散されること、及びSi溶射層のSi粒子間はSi原子間に比べ弱い結合力で溶着しているためにSiOx膜の応力がSi粒子間の結合を歪ませることなどから、SiOx膜の応力がシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えられる。この結果、上記と同様の効果が得られる。また、上記Si溶射層はシリコンターゲット材と同じ材料であるので、仮に微量のSi溶射層がスパッタされてSiO 薄膜等のシリコン薄膜に混入しても、このシリコン薄膜の品質への影響は極めて小さい。
更に、ターゲット材の割れを防止する層(割れ防止層)がポーラスシリコン層であれば、スパッタリング時に、非エロージョン部上の上記ポーラスシリコン層にSiOxが堆積して、非エロージョン部上のポーラスシリコン層表面にSiOx膜が形成されても、ポーラスシリコン層の表面に比較的大きな凹凸が形成されているためにSiOx膜の応力が2次元平面内から3次元に分散されること、及びポーラスシリコン層がナノオーダーのSi柱構造からなるためにSiOx膜の応力がナノ構造のSi柱を歪ませることなどから、SiOx膜の応力がシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えられる。この結果、上記と同様の効果が得られる。また、上記ポーラスシリコン層はシリコンターゲット材と同じ材料であるので、仮に微量のSi溶射層がスパッタされてSiO 薄膜等のシリコン薄膜に混入しても、このシリコン薄膜の品質への影響は極めて小さい。
(6) 割れ防止層13としてポーラスシリコン層を形成する方法
ターゲット材へのSiの溶射により形成されたシリコン層を陽極化成することによりポーラス状のポーラスシリコン層を形成し、このポーラスシリコン層が割れ防止層13となる。具体的には、先ず、ターゲット材表面のうち非エロージョン部となる第2領域以外の部分に耐薬品性のあるフィルムを貼付けるか、又はUV硬化樹脂等によりマスキングする。次に、ターゲット材と白金などの対向電極とを間隔をあけてフッ化水素酸溶液中に浸漬し、上記ターゲット材表面のうち非エロージョン部となる第2領域を陽極とし、上記対向電極を陰極として、陽極及び陰極間に電流を流す。更に、ターゲット材を洗浄した後に、ターゲット材からフィルム又はマスキングを取外す。これにより、非エロージョン部となる第2領域のSi溶射層がポーラス状(多孔質状)になって、ポーラスシリコン層が形成される。このポーラスシリコン層からなる割れ防止層13では、スパッタリング時に、非エロージョン部上の割れ防止層13にSiOxが堆積して、非エロージョン部上の割れ防止層13表面にSiOx膜が形成されても、ポーラスシリコン層の表面に比較的大きな凹凸が形成されているためにSiOx膜の応力が2次元平面内から3次元に分散されること、及びポーラスシリコン層がナノオーダーのSi柱構造からなるためにSiOx膜の応力がナノ構造のSi柱を歪ませることなどから、SiOx膜の応力がシリコンターゲット材に伝達することを抑制する機能を発揮すると考えられる。また、ポーラスシリコン層からなる割れ防止層13では、このポーラスシリコン層からなる割れ防止層13がシリコンターゲット材と同じ材料であるので、仮に微量のSi溶射層がスパッタされてSiO 薄膜等のシリコン薄膜に混入しても、このシリコン薄膜の品質への影響は極めて小さい。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。(なお、以下に記載の「実施例3〜13」はいずれも「参考例」である。)

Claims (7)

  1. スパッタリング雰囲気に少なくとも酸素ガスを含んでマグネトロンスパッタリングを行うときに使用されるスパッタリング用シリコンターゲット材であって、
    マグネトロンスパッタリング時に、前記シリコンターゲット材の表面がスパッタされてエロージョン部となる第1領域と、スパッタされない非エロージョン部となる第2領域とを有し、
    前記第2領域にスパッタリング中のターゲット材の割れを防止する層を有する
    ことを特徴とするスパッタリング用シリコンターゲット材。
  2. 前記ターゲット材の割れを防止する層がSi溶射層である請求項1記載のスパッタリング用シリコンターゲット材。
  3. 前記ターゲット材の割れを防止する層がSiO2溶射層である請求項1記載のスパッタリング用シリコンターゲット材。
  4. 前記ターゲット材の割れを防止する層がSi粉末を低融点ガラスで結着したSi粉末結着層である請求項1記載のスパッタリング用シリコンターゲット材。
  5. 前記ターゲット材の割れを防止する層が、SiO2,Al23,Ga23,TiO2,ZrO2,HfO2,Nb25及びTa25からなる群より選ばれた1種又は2種以上のセラミック粉末を低融点ガラスで結着したセラミック粉末結着層である請求項1記載のスパッタリング用シリコンターゲット材。
  6. 前記ターゲット材の割れを防止する層がAl溶射層である請求項1記載のスパッタリング用シリコンターゲット材。
  7. 前記ターゲット材の割れを防止する層がポーラスシリコン層である請求項1記載のスパッタリング用シリコンターゲット材。
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