JP2017043791A - 溶射皮膜形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶射皮膜の密着性を向上させることができる溶射皮膜形成装置を提供する。【解決手段】実施形態に係る溶射皮膜形成装置100は、シリンダブロック50のボア51の内面51aに溶射皮膜15を形成する溶射皮膜形成装置100であって、溶射材料14に対して通電を行うことによって生じるアーク放電16により溶融した溶射材料14に対して、内面51aに向かうガスを噴射するガス噴射部を有する溶融粒子噴射部10と、溶融した溶射材料14に対して噴射されるガスを噴射前に予め加熱するガス加熱部20を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、溶射皮膜形成装置に関するものであり、例えば、シリンダブロックのボアの内面に溶射皮膜を形成する溶射皮膜形成装置に関する。
エンジンのピストンが収納されるシリンダブロックのボア内面には、耐摩耗性等を向上させるために、溶射皮膜が形成されている。特許文献1には、ボア内にプラズマ溶射装置を挿入し、ボアの内面に溶射皮膜を形成する方法が開示されている。この方法では、シリンダブロックの基材の過熱を防止するために、ボア内に挿入した部分から冷却ガスを噴射して基材温度を200℃以下に保っている。このため、特許文献1に開示されたプラズマ溶射装置では、別途基材への冷却機構が必要となる。
特開2002−030411号公報
ここで、溶射材料を溶融させ、溶融粒子として基材に溶射する場合に、溶融粒子が基材に付着してから凝固するまでの時間が長いほど、溶射皮膜の基材に対する密着性は向上する。このことから、溶融粒子が基材に付着する際の温度は高い方が好ましい。
しかしながら、溶射皮膜を形成するボアは、一般に常温であり、溶融粒子の温度が凝固温度に達するまでの時間が短いので、溶射皮膜の基材に対する密着性が低下してしまう。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、溶射皮膜の密着性を向上させることができる溶射皮膜形成装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る溶射皮膜形成装置は、
シリンダブロックのボアの内面に溶射皮膜を形成する溶射皮膜形成装置であって、
溶射材料に対して通電を行うことによって生じるアーク放電により溶融した前記溶射材料に対して、前記内面に向かうガスを噴射するガス噴射部を有する溶融粒子噴射部と、
溶融した前記溶射材料に対して噴射される前記ガスを噴射前に予め加熱するガス加熱部と、を備える。
このような構成とすることにより、プラズマ溶射装置に比べて、アーク放電による溶射皮膜形成装置では、基材温度の上昇が抑制されるため、ボアの内面に対する冷却装置を設けることなく溶射皮膜を形成することができる。また、噴射されるガスを加熱することによって、ボアの内面に付着する際の溶射粒子の温度を高くすることができる。このため、溶融粒子が基材に付着してから凝固するまでの時間を長くすることができる。これにより、溶射皮膜の密着性を向上させることができる。
また、前記溶射皮膜の形成時に、前記溶融粒子噴射部は前記シリンダブロックのボア内に挿入されるとともに前記ガス加熱部は前記シリンダブロックのボア外に配置されることが好ましい。このような構成により、溶射皮膜形成時において、ガス加熱部はシリンダブロックのボア外に配置されるため、溶融粒子噴射部に大きな変更を加えることなくガス加熱部を設けることができる。
本発明により、溶射皮膜の密着性を向上させることができる溶射皮膜形成装置を提供することができる。
実施形態に係る溶射皮膜形成装置を例示する構成図である。 実施形態に係る溶射皮膜形成装置において溶融粒子噴射部の一部を例示する断面図である。 実施形態に係る溶射皮膜形成装置を用いた溶射皮膜の形成方法を例示した工程図であり、上段に比較例による工程を示し、下段に本実施形態による工程を示す。 実施形態に係る溶射皮膜形成装置において、溶融粒子の温度変化を例示した図であり、横軸は、経過時間を示し、縦軸は溶融粒子の温度を示す。 実施形態に係る溶射皮膜形成装置において、噴射ガスの温度と飛行する溶融粒子の温度との関係を例示するグラフであり、横軸は、噴射ガスの温度を示し、縦軸は、飛行する溶融粒子のボア近傍における温度を示す。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
(実施形態)
実施形態に係る溶射皮膜形成装置を説明する。溶射皮膜形成装置は、エンジンのピストンが収納されるシリンダブロックのボアの内面に溶射皮膜を形成する装置である。まず、溶射皮膜形成装置の構成を説明する。
図1は、実施形態に係る溶射皮膜形成装置を例示する構成図である。
図1に示すように、溶射皮膜形成装置100は、溶融粒子噴射部10と、ガス加熱部20と、を備えている。溶融粒子噴射部10は、ノズル11、線材ホルダ12を有している。ガス加熱部20は、ガスボンベ21、ヒータ22を有している。
ノズル11の形状は管状である。一端は細い噴射口11aとなっている。ノズル11の噴射口11aと反対側の他端には、ガス配管31が接続されている。ノズル11はガス配管31から供給されたガスを噴射口11aから噴射する。噴射口11aから噴射されたガスを噴射ガス18という。このように、溶融粒子噴射部10は、例えば、ノズル11のようなガス噴射部を有している。
線材ホルダ12は、複数個、例えば2個設けられている。線材ホルダ12は、溶射材料14を保持する。各線材ホルダ12は、各溶射材料14の先端14aが噴射口11aの前方に位置するように溶射材料14を保持する。溶射材料14の各先端14aの間には隙間が形成されている。線材ホルダ12は、溶射材料14の先端14aが溶融して消耗した場合には、溶融線材14の先端14aが常にノズル11の噴射口11aの前方に位置するように、溶射材料14を送り出す構造となっている。線材ホルダ12は、DC電源に配線41を介して電気的に接続されている。線材ホルダ12には、DC電源から、配線41を介して電流が供給される。DC電源から供給された電流は、線材ホルダ12を通じて溶射材料14に供給される。DC電源は、溶射材料14に対して通電を行うことによってアーク放電を発生させる。
ガス加熱部20におけるガスボンベ21は、ガスの種類ごとに設けられている。例えば、ガスボンベ21は、複数個設けられている。一つのガスボンベには、例えば、空気(Air)が充填されている。もう一つのガスボンベには、例えば、窒素(N2)が充填されている。また、各ガスボンベ21にはガス配管32が接続されている。各ガスボンベ21に接続されたガス配管32は結合して一本になり、ヒータ22に接続されている。ガス配管31及びガス配管32には、適宜、開閉弁が設けられている。
ヒータ22は、内部をガスが通る構造となっている。ヒータ22の一端には、ガスボンベ21に接続されたガス配管32が接続されている。ヒータ22の他端には、ノズル11に接続されたガス配管31が接続されている。ガスボンベ21のガスはヒータ22の内部を通ってノズル11に供給される。例えば、ヒータ22の内部には、遠赤外線を発生する熱源が複数設けられている。その熱源の近傍には、ガス配管が配置されている。これにより、ヒータ22は、内部を通るガスを加熱する。
図2は、実施形態に係る溶射皮膜形成装置において溶融粒子噴射部の一部を例示する断面図である。
図2に示すように、溶融粒子噴射部10は、例えば、ガス配管31、溶射材料14及びノズル11が一体化した構成とされている。溶融粒子噴射部10は、ガス配管31及び溶射材料14が延びる方向に軸Aを有している。ノズル11の噴射口11aは、軸Aに対して直交する方向に向いている。そして、噴射口11aの前方に溶射材料14の先端14aが配置されるように、溶射材料14が保持されている。軸Aに沿って延びたガス配管31は、ノズル11の他端に接続されている。なお、噴射ガス18がボア51の内面に向かうように噴射されれば、ノズル11の噴射口11aは、軸Aに対して直交する方向に向いていなくてもよい。
次に、実施形態に係る溶射皮膜形成装置100の動作を説明する。
図1及び図2に示すように、シリンダブロック50のボア51の内面51aに溶射皮膜15を形成する場合を例にして、動作を説明する。
まず、溶融粒子噴射部10をシリンダブロック50の内部に挿入する。そして、ボア51の内面51aに対して噴射口11aを向ける。ガス加熱部20はシリンダブロック50の外部に配置する。
このように、溶射皮膜15の形成時には、溶融粒子噴射部10はシリンダブロック50のボア51内に挿入されるとともにガス加熱部20はシリンダブロック50のボア51外に配置される。これにより、溶融粒子噴射部10に大きな変更を加えることなくガス加熱部20を設けることができる。
ガスボンベ21の弁を開にする。空気(Air)及び窒素(N2)ガスは、ガス配管32、ヒータ22及びガス配管31を通る。ガスは、ヒータ22を通ることにより高温のガスとなる。このように、ガス加熱部20は、噴射されるガスを噴射前に予め加熱する。例えば、ガス配管32において、20℃のガスは、ヒータ22を通ることによって、300℃まで上昇する。加熱前のガスの温度及び加熱後のガスの温度は、これらに限らない。ガスの種類、溶射材料14の種類、溶射皮膜15を形成する場所により適宜最適の温度を選択する。加熱されたガスはガス配管31を通って、ノズル11の噴射口11aから前方に高速で噴射される。
一方、DC電源は、2つの線材ホルダ12の間に直流電流を通電する。線材ホルダ12に保持された溶射材料14間に電圧が印加される。溶射材料14に対して通電を行うことによって、溶射材料14の先端14aの間にアーク放電16が生じる。これにより、溶射材料14が溶融する。溶融粒子噴射部10のガス噴射部は、アーク放電により溶融した溶射材料14に対して、ボア51内面に向かうガスを噴射する。溶融した溶射材料14は、微粒化して溶融粒子17となる。このようにして、溶融粒子噴射部10は、溶融した溶射材料14から形成された溶融粒子17を、噴射ガス18とともにボア51の内面51aに対して噴射する。
溶融粒子17は、噴射ガス18とともに飛行して、ボア51の内面51aに溶着する。シリンダブロック50のボア51内で溶融粒子噴射部10を、軸Aを回転軸として回転させながら、軸Aの方向に沿って移動させる。溶融粒子噴射部10をこのように移動させて、ボア51の内面51aに溶射皮膜15を形成する。
次に、実施形態に係る溶射皮膜形成装置100を使用する工程フローを説明する。例えば、シリンダブロック50のボア51の内面51aに溶射皮膜15を形成する工程を説明する。
図3は、実施形態に係る溶射皮膜形成装置を用いた溶射皮膜の形成方法を例示した工程図であり、上段に比較例による工程を示し、下段に本実施形態による工程を示す。
まず、上段の比較例を説明する。比較例において、まず、溶射前のボア51の内面51aを粗面化する(ステップS11)。溶射皮膜15の付着を容易にするためである。次に、溶射前にシリンダブロック50の基材を予熱する(ステップS12)。比較例では、アーク溶射を用いてシリンダブロック50のボア51の内面51aに溶射皮膜15を形成する。したがって、プラズマ照射と異なり、溶射皮膜の密着性を向上させるためには、シリンダブロック50の基材の予熱が必要である。アーク溶射とは、アーク放電を用いて溶射する方法である。
次に、アーク溶射を行う(ステップS13)。これにより、ボア51の内面51aに溶射皮膜15が形成される。比較例におけるアーク溶射では、噴射ガス18は、加熱されていない。次に、ボア51の内面51aの後工程を行う(ステップS14)。内面51aに形成された溶射皮膜15に対して研磨等の処理を行う。このようにして、比較例における溶射皮膜15が形成される。
比較例においては、シリンダブロック50の予熱を行っている。溶射皮膜15と基材との間、及び、溶射皮膜15全体(溶融粒子17間)の密着性を向上させるために、シリンダブロック50の基材を予熱する手法が一般的に知られている。シリンダブロック50は、アルミ系または鉄系の合金から形成されている。また、シリンダブロック50の質量は15〜30kgである。したがって、シリンダブロック50の熱容量は大きい。それに加えて、シリンダブロック50の熱伝導性も高い。よって、予熱が必要なボア51の部分を予熱しても、周囲に伝導してしまう。
これらの理由から、シリンダブロック50全体を一定温度以上に予熱する必要がある。したがって、予熱炉等の設備を必要とし、生産コストを上昇させる。また、シリンダブロック50全体の温度が上昇する影響で、ボア51の部分以外へ溶融粒子17が付着し残存してしまう。このため、マスキングや後工程での除去(高圧洗浄等)が必要となり、生産コストを上昇させる。
一方、図3の下段に示すように、本実施形態においては、まず、比較例と同様の工程、すなわち、溶射前のボア51の内面51aを粗面化する(ステップS21)。次に、アーク溶射を行う(ステップS22)。本実施形態では、加熱して高温にしたガスを用いてアーク溶射を行う。これにより、ボア51の内面51aに溶射皮膜15が形成される。次に、比較例と同様のボアの後工程を行う(ステップS23)。このようにして、本実施形態における溶射皮膜15が形成される。
本実施形態では、ステップS12に示した、溶射前におけるシリンダブロック50の基材の予熱を必要としてしない。したがって、予熱に必要な炉等の設備が不要である。また、ボア51の部分以外へ溶融粒子17が付着し残存することが抑制される。さらに、予熱する工程を削減し、工程に要する時間を短縮することができる。このように、実施形態の溶射皮膜生成装置100は、比較例に比べて、生産コストを低減することができる。
図4は、実施形態に係る溶射皮膜形成装置において、溶融粒子の温度変化を例示した図であり、横軸は、経過時間を示し、縦軸は溶融粒子の温度を示す。高温のガスを用いた本実施形態における温度変化を破線(実施形態)で示す。基材の予熱がある比較例における温度変化を点線(予熱あり)で示す。基材の予熱がない比較例における温度変化を実線(予熱なし)で示す。
図4に示すように、高温のガスを用いた本実施形態においては、飛行中の溶融粒子17の温度は、時間の経過とともに低下する。しかしながら、飛行中にわたって、本実施形態の溶融粒子17の温度は、比較例の溶融粒子17の温度よりも高くなっている。本実施形態では、噴射されるガスを加熱することによって、飛行中の溶射粒子17の温度低下を抑制している。また、本実施形態では、ボア51の基材に付着する際の溶融粒子17の温度が比較例よりも高くなっている。さらに、ボア51の基材に付着後、基材上で凝固するまでの時間Δtが、予熱ありの比較例と同じ程度まで長くなっている。
一方、予熱ありの比較例では、飛行中の溶融粒子17の温度は、時間の経過とともに低下する。飛行中の溶融粒子17の温度は、本実施形態よりも低くなっている。溶融粒子17の飛行中に、周辺ガスにより、溶射粒子17が冷却されるためと考えられる。また、予熱ありの比較例では、基材に付着したときの溶融粒子17の温度は、本実施形態よりも低くなっている。基材に付着後、凝固するまでの時間は、本実施形態と同じ程度である。基材の予熱があるために、凝固するまでの時間が本実施形態と同じ程度に長くなっている。
予熱なしの比較例では、飛行中の溶融粒子17の温度は、時間の経過とともに低下する。飛行中の溶融粒子17の温度は、本実施形態よりも低くなっている。予熱ありの比較例と同様に、溶融粒子17の飛行中に、周辺ガスにより、溶射粒子17が冷却されるためと考えられる。基材に付着したときの溶融粒子17の温度も本実施形態よりも低くなっている。基材に付着後、凝固するまでの時間は、本実施形態及び予熱ありの比較例よりも短くなっている。
溶融粒子17が基材に付着後、凝固するまでの時間(Δt)と、溶射皮膜15の密着性との間に相関があることが知られている。これは、溶融粒子17が基材に付着後、凝固するときに、溶射皮膜15内に引張応力が発生するためと考えられている。また、溶融粒子17が急激に凝固されると、溶射皮膜15内に発生する引張応力が高くなることも知られている。基材の予熱は、基材に溶融粒子17が付着した後の温度低下の勾配を緩やかにする。
本実施形態における高温の噴射ガス18を用いる方法は、飛行中の溶融粒子17の温度低下を抑制できるため、基材付着時の温度を比較例よりも高い状態にすることができる。このため、溶融粒子17が凝固するまでの時間を長くすることができる。よって、応力の発生を緩和し、密着性を向上させることができる。
溶射皮膜の密着性を向上させる方法としては、溶射皮膜15にレーザを照射することによるレーザアシスト照射法がある。しかしながら、シリンダブロック50のボア51内へ溶射皮膜15を形成する場合には、ボア51内にレーザアシスト照射をするためのレーザ配管等の部品を挿入しなければならない。また、レーザ照射部分に付着する異物対策も必要になる。これに対して、本実施形態の方法は、レーザ配管等の部品を新たにボア51内に挿入する必要もなく、レーザ照射部分に付着する異物対策も必要としない。
図5は、実施形態に係る溶射皮膜形成装置において、噴射ガスの温度と飛行する溶融粒子の温度との関係を例示するグラフであり、横軸は、噴射ガスの温度を示し、縦軸は、飛行する溶融粒子のボア近傍における温度を示す。
図5に示すように、噴射ガス18の温度を高くすることによって、飛行する溶融粒子17のボア近傍における温度を高くすることができる。例えば、ヒータ22によって加熱しない場合には、噴射ガス18の温度は20℃である。このときのボア51の付近における飛行する溶融粒子17の温度は2130℃である。一方、ヒータ22によって噴射ガス18を100℃まで上昇させると、ボア51付近の飛行する溶融粒子17の温度は2180℃である。噴射ガス18を200℃まで上昇させると、溶融粒子17の温度は2240℃になり、噴射ガス18を300℃まで上昇させると、溶融粒子17の温度は2280℃程度まで上昇する。したがって、噴射ガス18の温度を20℃から300℃まで上昇させることにより、溶融粒子17の温度を約150℃上昇させることができる。
なお、アーク放電16による溶融粒子17の初期の温度は3000℃である。飛行する溶融粒子17の粒径は50μmである。溶射材料14の密度は、7070kg/m3である。溶射材料14の比熱は、460J/(kg/K)である。
次に、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態に係る溶射皮膜形成装置100によれば、溶融した溶射材料14に対して噴射されるガスを噴射前に予め加熱している。これにより、溶射粒子17がボア51の内面51aまでの飛行中に周辺ガスによって冷却されることを抑制することができる。そして、溶射粒子17がボア51の内面51aに付着する際の、溶射粒子の温度を高くすることができる。よって、溶射粒子17が内面51aに付着してから凝固するまでの時間を長くすることができる。これにより、溶射皮膜15における応力の発生を抑制し、シリンダブロック50の基材と溶射皮膜15との間の密着性及び溶射皮膜15全体の密着性を向上させることができる。
また、溶射前におけるシリンダブロック50の基材の予熱を必要としない。したがって、炉等の設備を必要としない。また、予熱のための工程を短縮することができる。これにより、生産コストを低減することができる。さらに、アーク溶射は、プラズマ溶射と異なり、基材が過度に過熱することはないので、基材の冷却機構のような設備も必要としない。さらにまた、レーザアシスト照射のように新たな設備をボア51に挿入する必要もない。
溶射皮膜15の形成時には、溶融粒子噴射部10はシリンダブロック50のボア51内に挿入されるとともにガス加熱部20はシリンダブロック50のボア51外に配置される。これにより、溶融粒子噴射部10に大きな変更を加えることなくガス加熱部20を設けることができる。
以上、本発明にかかる溶射皮膜形成装置の実施の形態を説明したが、上記の構成に限らず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で、変更することが可能である。
例えば、本実施形態では、溶射皮膜形成装置100をシリンダブロック50のボア51内の溶射皮膜15を形成する場合について説明したが、シリンダブロック50のボア51内以外に溶射皮膜15を形成する場合に適用してもよい。また、溶融粒子噴射部10を、ノズル11、ガス配管31及び線材ホルダ12が一体化した構成としたが、分離した構成としてもよい。
10 溶融粒子噴射部
11 ノズル
11a 噴射口
12 線材ホルダ
14 溶射材料
14a 先端
15 溶射皮膜
16 アーク放電
17 溶融粒子
18 噴射ガス
20 ガス加熱部
21 ガスボンベ
22 ヒータ
31 ガス配管
32 ガス配管
41 配線
50 シリンダブロック
51 ボア
51a 内面
100 溶射皮膜形成装置

Claims (2)

  1. シリンダブロックのボアの内面に溶射皮膜を形成する溶射皮膜形成装置であって、
    溶射材料に対して通電を行うことによって生じるアーク放電により溶融した前記溶射材料に対して、前記内面に向かうガスを噴射するガス噴射部を有する溶融粒子噴射部と、
    溶融した前記溶射材料に対して噴射される前記ガスを噴射前に予め加熱するガス加熱部と、を備えた溶射皮膜形成装置。
  2. 前記溶射皮膜の形成時に、前記溶融粒子噴射部は前記シリンダブロックのボア内に挿入されるとともに前記ガス加熱部は前記シリンダブロックのボア外に配置される請求項1に記載の溶射皮膜形成装置。
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