JP2017043660A - 赤外線反射パターン形成用インク組成物、赤外線反射パターン形成方法、及び赤外線反射体 - Google Patents

赤外線反射パターン形成用インク組成物、赤外線反射パターン形成方法、及び赤外線反射体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は赤外線の再帰反射性及び可視光透過率が高く、ヘイズが低い赤外線反射パターンが得られる赤外線反射パターン形成用インク組成物、及び赤外線反射パターン形成方法、並びに赤外線反射パターン形成用インク組成物を用いた赤外線反射体を提供する。
【解決手段】平板状粒子と、前記平板状粒子を分散させる分散剤と、沸点が190℃以上であり、かつ、溶解度パラメーターが24.0MPa1/2以上である有機溶剤と、水と、フッ素系界面活性剤と、を含み、前記平板状粒子に対する前記分散剤の含有比率が質量比で0.01〜0.5であり、前記平板状粒子に対する前記有機溶剤の含有比率が質量比で10〜150である赤外線反射パターン形成用インク組成物、赤外線反射パターン形成方法、及び赤外線反射体。
【選択図】なし

Description

本発明は、赤外線反射パターン形成用インク組成物、赤外線反射パターン形成方法、及び赤外線反射体に関する。
近年、手書きした字、絵及び記号等を、情報処理装置が扱うことができる電子データに変換する必要性が高まっており、特に、スキャナー等の読取装置を経由せず、手書き情報をリアルタイムでコンピューター等に入力できる入力手段への需要が高まっている。そうした入力手段としては、赤外線反射パターンが印刷されたシートを可視光に対して透明化し、その透明シートをディスプレイ装置の前面に設置し、その透明シート上に直接手書きした内容を情報処理装置に入力することができる入力装置が提案されている。
このような入力装置は、印刷物やディスプレイのデザインや視認性への影響を抑えるため、赤外線のパターンをデータとして認識するよう設計される。読み取り方法としては、斜めから赤外線を照射し、反射体で反射された赤外線を赤外線出力部の近傍にある受光器で読み取るよう設計されることがある。
ところで、上記の用途以外にも赤外線を反射する反射体を形成するための材料は種々提案されている。
例えば、記録媒体上に光沢画像を形成する用途として、平板状である金属粒子と、水と、有機溶剤と、1箇所以上の不飽和結合を有する樹脂と、を含有するインク組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、配線パターンを形成する用途として、平板状の銀粒子と、バインダー樹脂と、含む導電パターン形成用組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、六角形状乃至円形状の平板状銀粒子を60個数%以上有する金属粒子を含有する金属粒子含有層を有し、赤外領域に吸収を有する化合物を含有する赤外線遮蔽フィルムが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2012−001581号公報 国際公開第2013/077447号 特開2014−066987号公報
上記のような入力装置における赤外線反射パターンを形成する場合、バリアブル性及びプロセス負荷低減の観点から、インクジェット法によるパターン形成が有利である。
しかしながら、特許文献1に記載のインク組成物及び特許文献2に記載の導電パターン形成用組成物をインクジェット法により吐出すると、着滴後の液滴において平板状の金属粒子が液滴の外周部分に偏り、平板状の金属粒子が均一に分散したパターンが得られない傾向にある。そのため、パターンとしては、赤外線の再帰反射性及び可視光透過率が低く、平板状の金属粒子の偏りに起因したヘイズが発生する傾向にある。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、赤外線の再帰反射性及び可視光透過率が高く、ヘイズが低い赤外線反射パターンが得られる赤外線反射パターン形成用インク組成物、及び赤外線反射パターン形成方法、並びに赤外線反射パターン形成用インク組成物を用いた赤外線反射体を提供することを課題とする。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 平板状粒子と、平板状粒子を分散させる分散剤と、沸点が190℃以上であり、かつ、溶解度パラメーターが24.0MPa1/2以上である有機溶剤と、水と、フッ素系界面活性剤と、を含み、平板状粒子に対する分散剤の含有比率が質量比で0.01〜0.5であり、平板状粒子に対する有機溶剤の含有比率が質量比で10〜150である赤外線反射パターン形成用インク組成物。
<2> 平板状粒子が、平板状金属粒子である<1>に記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物。
<3> 平板状金属粒子は、アスペクト比が6〜40であり、かつ、銀、金、アルミニウム、白金、ロジウム、銅、及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属を含む<2>に記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物。
<4> 金属が、銀である<3>に記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物。
<5> 分散剤が、水溶性樹脂である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物。
<6> 分散剤は、平均分子量が20,000〜200,000のゼラチンである<1>〜<5>のいずれか1つに記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物。
<7> 有機溶剤が、グリセリン、エチレングリコール、ホルムアミド、及びジエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物。
<8> フッ素系界面活性剤は、分子中にパーフルオロ基を含み、かつ、屈折率が1.30〜1.42である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物。
<9> <1>〜<8>のいずれか1つに記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物を、インクジェット法により支持体上に付与し、赤外線反射パターンを形成する赤外線反射パターン形成方法。
<10> 支持体と、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物で形成された赤外線反射パターンと、を有する赤外線反射体。
本発明によれば、赤外線の再帰反射性及び可視光透過率が高く、ヘイズが低い赤外線反射パターンが得られる赤外線反射パターン形成用インク組成物、及び赤外線反射パターン形成方法、並びに赤外線反射パターン形成用インク組成物を用いた赤外線反射体が提供される。
赤外線反射体に好ましく用いられる平板状粒子の形状の一例である円形状の平板状粒子を示した概略斜視図である。 赤外線反射体に好ましく用いられる平板状粒子の形状の一例である六角形状の平板状粒子を示した概略斜視図である。 赤外線反射体の一例の断面を示す概略図である。 赤外線反射体において、平板状粒子を含む赤外線反射パターンにおける平板状粒子の存在状態を示した概略断面図であって、平板状粒子の主平面(円相当径Dを決定する面)と、平板状粒子に最も近い凹凸構造の表面とのなす角(θ)を説明する図である。 赤外線反射体の有する凹凸構造の凸部の面上に平板状粒子が配置された一例の概略図である。 赤外線反射体の有する凹凸構造の凸部の面上に平板状粒子が配置された他の一例の概略図である。 赤外線反射体を、画像表示可能なディスプレイ装置の表面又は前方に装着されるシートとして用いたシステムの概略図である。 本発明の赤外線反射パターン形成体の他の一例の上面を示す概略図である。 赤外線反射体の斜め反射率を測定する方法の概略図である。
以下、本発明の赤外線反射パターン形成用インク組成物、赤外線反射パターン形成方法、及び、赤外線反射体について詳細に説明する。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
<赤外線反射パターン形成用インク組成物>
本発明の赤外線反射パターン形成用インク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう)は、平板状粒子と、平板状粒子を分散させる分散剤と、沸点190℃以上であり、かつ、溶解度パラメーター(以下、SP値ともいう)が24.0MPa1/2以上である有機溶剤(以下、特定有機溶剤ともいう)と、水と、フッ素系界面活性剤と、を含み、平板状粒子に対する分散剤の質量比が0.01〜0.5であり、平板状粒子に対する特定有機溶剤の質量比が10〜150である。
本発明のインク組成物は、赤外線反射パターンの形成に用いる。特にインクジェット法による赤外線反射パターンの形成に好適に用いることができる。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように推定される。
上記の特許文献1に記載のインク組成物、及び特許文献2に記載の導電パターン形成用組成物は、インクジェット法により吐出されると、着滴後の液滴において平板状の粒子が液滴の外周部分に偏ることがあった。そのため、液滴中に平板状の粒子が均一に分散したパターンは得られない傾向にある。この平板状の粒子の偏りは、形成されたパターンの、赤外線の再帰反射性及び可視光透過率を低下させ、ヘイズが上がる原因と考えられる。
また、特許文献1に記載のインク組成物、及び特許文献2に記載の導電パターン形成用組成物は、吐出に際しても、インクジェットヘッドの吐出口にて組成物に含まれる溶剤等が揮発し、組成物の吐出性が低下することがある。
インク組成物の吐出性と、着滴後の液滴における平板状粒子の分散性均一性と、の間には次のような関係があると考えられる。
インク組成物が乾燥する際、液滴の縁部と中央部とでの水及び有機溶剤の蒸発速度が不均一であると、液滴の外周部分に粒子が堆積する現象(いわゆるコーヒーステイン現象)が生じることがある。この水及び有機溶剤の蒸発速度の不均一は、インク組成物の粘度及び表面張力に起因するため吐出性に影響を及ぼす。つまり、コーヒーステイン現象が起きやすいインク組成物は、インク組成物の吐出性が悪いと考えられる。
本発明のインク組成物は、特定有機溶剤及びフッ素系界面活性剤を含有し、かつ、平板状粒子に対する分散剤の質量比、及び平板状粒子に対する特定有機溶剤の質量比が所定の範囲である。そのため、インク組成物は吐出性に優れ、支持体に着滴後の液滴における平板状粒子は均一性が良好な状態で存在していると考えられる。さらに、フッ素系界面活性剤を含むことで、赤外線反射パターンは透明性の低下を抑制しつつ分散性を維持できる。
以上により、形成される赤外線反射パターンは赤外線の再帰反射性及び可視光透過性に優れ、ヘイズが低くなると考えられる。
インク組成物における平板状粒子に対する分散剤の含有比率は質量比で0.01〜0.5である。上記の含有比率が0.01以上であると、平板状粒子に対して分散剤が少なくなり過ぎず、インク組成物中の平板状粒子の分散性が向上する。そのため、インク組成物の吐出性が向上し、形成される赤外線反射パターンにおいても均一性が良好な状態で平板状粒子が存在し、赤外線の再帰反射性及び可視光透過性に優れ、ヘイズが低くなる。一方、上記の含有比率が0.5以下であると、インク組成物の粘度が高くなりすぎないため、吐出性が向上し、形成される赤外線反射パターンにおいても均一性が良好な状態で平板状粒子が存在し、赤外線の再帰反射性及び可視光透過性に優れ、ヘイズが低くなる。
上記と同様の観点から平板状粒子に対する分散剤の含有比率は、0.05〜0.25が好ましく、0.07〜0.13がより好ましい。
インク組成物における平板状粒子に対する特定有機溶剤の含有比率は質量比で10〜150である。上記の含有比率が10以上であると、インク組成物の粘度が高くなりすぎないため、インク組成物の吐出性が向上し、形成される赤外線反射パターンにおいても均一性が良好な状態で平板状粒子が存在し、赤外線の再帰反射性及び可視光透過性に優れ、ヘイズが低くなる。一方、上記の含有比率が150以下であると、インク組成物の粘度が低くなりすぎないため、インク組成物の吐出性が向上し、形成される赤外線反射パターンにおいても均一性が良好な状態で平板状粒子が存在し、赤外線の再帰反射性及び可視光透過性に優れ、ヘイズが低くなる。
上記と同様の観点から平板状粒子に対する特定有機溶剤の含有比率は、20〜120が好ましく、50〜100がより好ましい。
以下、本発明のインク組成物に含まれ得る各成分について説明する。
[フッ素系界面活性剤]
インク組成物は、フッ素系界面活性剤の少なくとも1種を含む。
フッ素系界面活性剤以外の、例えば、ウレタン系界面活性剤では、赤外線の再帰反射性が低下しやすいが、インク組成物がフッ素系界面活性剤を選択的に含むことで、形成される赤外線反射パターンの赤外線再帰反射性及び可視光透過性を損なうことなく、インク組成物の表面張力を調整することができる。また、フッ素系界面活性剤を用いることで、少量で上記の効果を得ることができ、コスト面においても有利である。
フッ素系界面活性剤としては、特に制限されず公知のフッ素系界面活性剤から選択できる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、「界面活性剤便覧」(西一郎、今井怡知一郎、笠井正蔵編、産業図書株式会社、1960年発行)に記載されているフッ素系界面活性剤が挙げられる。
中でも、フッ素系界面活性剤としては、分子中にパーフルオロ基を含み、屈折率が1.30〜1.42(好ましくは1.32〜1.40)であるフッ素系界面活性剤が好ましい。分子中にパーフルオロ基を含むことで、フッ素系界面活性剤の屈折率が上記の範囲に調整しやすく、また、比較的少量でインク組成物の表面張力を調整することができる。
パーフルオロ基としては、例えば、パーフルオロアルキル基が挙げられる。パーフルオロアルキル基としては、炭素数10以上のパーフルオロアルキル基がより好ましく、炭素数14〜18のパーフルオロアルキル基がさらに好ましい。
屈折率が上記範囲であると、形成される赤外線反射パターンの赤外線再帰反射性及び可視光透過性をより良好に維持することができる。
屈折率は、カルニュー精密屈折計((株)島津製作所製、KPR−3000)により測定できる。フッ素系界面活性剤が液体の場合、フッ素系界面活性剤をセルに収容し屈折率を測定する。フッ素系界面活性剤が固体の場合、固体試料をカルニュー精密屈折計((株)島津製作所製、KPR−3000)付属のVブロックプリズムに設置するVブロック法にて、屈折率を測定する。
分子内にパーフルオロ基を含み、屈折率が1.30〜1.42であるフッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン型;パーフルオロアルキルベタイン等の両性型;パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のカチオン型;パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基及び親水性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基及び親油性基を含有するオリゴマー、パーフルオロアルキル基及び親油性基を含有するウレタン等のノニオン型が挙げられる。また、特開昭62−170950号、同62−226143号及び同60−168144号の各公報に記載されているフッ素系界面活性剤も好適に挙げられる。
フッ素系界面活性剤は、市販されているものを用いてもよく、例えば、AGCセイミケミカル(株)製のサーフロン(登録商標)シリーズ(例えば、S−243、S-242)、DIC(株)製のメガファック(登録商標)シリーズ(例えば、F-444、F−410)、3M社製のNOVEC(登録商標)シリーズ(例えば、27002)、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社製のゾニールシリーズ(例えば、FSE)などが挙げられる。
インク組成物に含まれるフッ素系界面活性剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して0.01質量%〜5.0質量%が好ましく、0.05質量%〜1.0質量%がより好ましく、0.1質量%〜0.5質量%がさらに好ましい。
フッ素系界面活性剤の含有量が上記の範囲であると、インク組成物の吐出性がより良好な範囲に、インク組成物の表面張力を調整しやすい。
[平板状粒子]
インク組成物は、平板状粒子の少なくとも1種を含む。
インク組成物が平板状粒子を含むことで、形成される赤外線反射パターンは赤外線を再帰反射することができる。
平板状粒子は、平板形状を有する粒子である。「平板状」とは、2つの主平面を有する形状を意味する。
(粒子の材質)
平板状粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。平板状粒子の材質としては、赤外線の反射率が高い点から、銀、金、アルミニウム、白金、ロジウム、銅、及びニッケルなどの金属が好ましく、中でも銀がより好ましい。
すなわち、平板状粒子は、平板状金属粒子であることが好ましく、平板状銀粒子であることがより好ましい。
(粒子の形状)
平板状粒子としては、2つの主平面を有する形状の粒子であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、三角形状、四角形状、六角形状、八角形状、円形状などの形状を有する粒子が好ましい。中でも、可視光透過率が高い点で、六角形状以上の多角形状及び円形状(以下、六角形状乃至円形状という)であることがより好ましい。
円形状の平板状粒子としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で平板状粒子を主平面の上方から観察した際に、角が無く、丸い形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
六角形状の平板状粒子としては、透過型電子顕微鏡(TEM)で平板状粒子を、主平面の直交方向から観察した際に、六角形状であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、六角形状の角が鋭角のものでも、鈍角のものでもよいが、可視光域の吸収を軽減し得る点で、鈍角のものが好ましい。角度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
平板状粒子のうち、六角形状乃至円形状の平板状粒子は、全平板状粒子の個数に対して、60個数%以上であることが好ましく、65個数%以上がより好ましく、70個数%以上が特に好ましい。六角形状乃至円形状の平板状粒子の割合が、60個数%以上であると、可視光線透過率が高くなる。
(平均粒子径及び変動係数)
平板状粒子の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、平均粒子径は10nm〜500nmが好ましく、20nm〜300nmがより好ましく、50nm〜200nmがさらに好ましい。
平板状粒子の粒度分布における変動係数としては、35%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、20%以下が特に好ましい。変動係数が、35%以下であることが赤外線反射体における熱線の反射波長域がシャープになることから好ましい。
平板状粒子の平均粒子径(平均円相当径)は、粒子の投影面積を電子顕微鏡写真上での面積を測定し、撮影倍率を補正する公知の方法により得ることができる。円相当径は、この方法により得られた個々の粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径で表される。200個の平板状粒子の円相当径Dの統計で粒径分布(粒度分布)が得られ、算術平均を計算することで平均粒子径(平均円相当径)を求めることができる。平板状粒子の粒度分布における変動係数は、粒度分布の標準偏差を前述の平均粒子径(平均円相当径))で割った値(%)で求めることができる。
(粒子の厚み)
平板状粒子の厚みは、インク組成物における平板状粒子の分散性、及び吐出性の観点から、20nm以下であることが好ましく、5nm〜14nmであることがより好ましく、5nm〜12nmであることが特に好ましく、5nm〜10nmであることがより特に好ましい。
平板状粒子の厚みは、シリコン基板上に平板状粒子を含有する粒子分散液を滴下し、乾燥させた後、カーボン蒸着、金属蒸着による被覆処理を施し、集束イオンビーム(FIB)加工により断面切片を作製し、この断面の透過型電子顕微鏡(TEM)画像を撮影し、TEM画像から、任意の平板状粒子の厚さa方向の距離を測定し、この操作を10個の平板状粒子について行い、10点の算術平均値を求めることで測定した。
(粒子のアスペクト比)
平板状粒子のアスペクト比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、波長800nm〜1,800nmの赤外線領域での反射率が高くなる点から、6〜40が好ましく、10〜35がより好ましい。アスペクト比が6以上であると反射波長が800nmより長くなり、40以下であると、反射波長が1,800nmより短くなるため、所望の波長領域の反射率を高くすることができる。また、アスペクト比が40以下であると、インク組成物における平板状粒子同士の凝集を抑制できるため、吐出性及び形成される赤外線反射パターンの赤外線再帰反射性に有利である。
アスペクト比は、平板状粒子の平均粒子径(平均円相当径)を平板状粒子の平均粒子厚みで除算した値を意味する。
例えば、平板状粒子が円形状である場合、アスペクト比は、図1に示す直径Dを厚みaで除算した値である。また、平板状粒子が六角形状である場合、アスペクト比は、図2に示すように六角形状の平板状粒子の平面の面積を同面積の円で近似したときの直径D(円相当径D)を厚みaで除算した値である。
粒子厚みは、平板状粒子の主平面間距離に相当し、例えば、図1及び図2にaとして示す通りであり、透過型電子顕微鏡(TEM)により測定することができる。
平板状粒子におけるアスペクト比は平板状粒子の厚み及び平均粒子径により調節することができる。
(平板状粒子の合成方法)
平板状粒子の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、三角形状〜六角形状の平板状金属粒子を合成する場合、化学還元法、光化学還元法、電気化学還元法等の液相法などが挙げられる。これらの中でも、形状とサイズ制御性の点で、化学還元法、光化学還元法などの液相法が好ましい。三角形状〜六角形状の平板状金属粒子を合成後、例えば、硝酸、亜硫酸ナトリウム等の銀を溶解する溶解種によるエッチング処理、加熱によるエージング処理などを行うことにより、三角形状〜六角形状の平板状金属粒子の角を鈍らせて、六角形状乃至円形状の平板状金属粒子を得てもよい。
平板状粒子の合成方法としては、上記の他、予めフィルム、ガラスなどの透明基材の表面に種晶を固定後、平板状に金属粒子(例えばAg)を結晶成長させてもよい。
平板状粒子は、所望の特性を付与するために、更なる処理を施してもよい。更なる処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特開2014−184688号公報の段落〔0068〕〜〔0070〕に記載の高屈折率シェル層の形成、特開2014−184688号公報の段落〔0072〕〜〔0073〕に記載の各種添加剤を添加することなどが挙げられる。
(平板状粒子の好ましい態様)
平板状粒子は、赤外線の反射率の観点から、平板状金属粒子が好ましく、アスペクト比が6〜40であり、銀、金、アルミニウム、白金、ロジウム、銅、及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属を含む平板状金属粒子がより好ましく、アスペクト比が6〜40であり、銀を含む平板状銀粒子がさらに好ましい。
(平板状粒子の含有量)
平板状粒子の含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.40質量%〜3.00質量%が好ましく、0.50質量%〜1.50質量%がより好ましく、0.60質量%〜1.00質量%がさらに好ましい。
平板状粒子の含有量が上記範囲内であることで、平板状粒子の分散性、並びにインク組成物の粘度、及び吐出性の点で有利である。
[分散剤]
インク組成物は、前述の平板状粒子を分散させる分散剤の少なくとも1種を含む。
インク組成物における平板状粒子に対する分散剤の含有比率は、前述のとおり質量比で0.01〜0.5であり、好ましい範囲も前述のとおりである。
分散剤としては、平板状粒子を分散し得るものから適宜選択することができる。
分散剤としては、インク組成物における平板状粒子の分散性の観点から、水溶性樹脂が好ましい。
本明細書において「水溶性」とは、25℃の水100gに対して5g以上(より好ましくは10g以上)溶解する性質をいう。
水溶性樹脂としては、可視光透過性を有する水溶性樹脂が好ましく、例えば、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、(飽和)ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチンやセルロース等の天然高分子等の高分子などが挙げられる。
水溶性樹脂の中でも、可視光透過性、及び平板状粒子の分散性の観点から、ゼラチンが好ましい。
ゼラチンとしては、コラーゲンからの誘導過程で石灰などによる処理を伴う所謂アルカリ処理ゼラチン、同じく塩酸などによる処理を伴う所謂酸処理ゼラチン、加水分解酵素などの処理を伴う酸素処理ゼラチン、ゼラチン分子中に含まれる官能基としてのアミノ基、イミノ基、ヒドロキシル基又はカルボキシル基をそれらと反応しうる基を一個持った試薬で処理、改質した例、例えばフタル化ゼラチン、コハク化ゼラチン、トリメトリト化ゼラチン等の所謂ゼラチン誘導体、変性ゼラチン等、例えば特開昭62−215272号222頁左下欄6行目から225頁左上欄末行目などに記載される当業界内で一般に用いられているものが挙げられる。
ゼラチンの分子量は、インク組成物における平板状粒子の分散性の観点から、5,000〜1,000,000が好ましく、10,000〜500,000がより好ましく、20,000〜200,000がさらに好ましい。
平均分子量の測定は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)によって測定された重量平均分子量の値を意味する。
上記GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)、Super Multipore HZ−H(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を3本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて行う。
また、GPCは、試料濃度を0.45質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とし、示差屈折率(RI)検出器を用いて行なう。
検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製する。
分散剤の屈折率は、形成される赤外線反射パターンの可視光透過性及びヘイズの観点から、1.40〜1.70であることが好ましく、1.42〜1.65であることがより好ましく、1.45〜1.60であることがさらに好ましい。
屈折率の測定方法は、既述のとおりである。
分散剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.01質量%〜1.00質量%が好ましく、0.03質量%〜0.50質量%がより好ましく、0.06質量%〜0.30質量%がさらに好ましい。
分散剤の含有量が上記範囲内であることで、平板状粒子の分散性、並びにインク組成物の粘度、及び吐出性の点で有利である。
[特定有機溶剤]
インク組成物は、沸点が190℃以上であり、かつ、溶解度パラメーター(SP値)が24.0MPa1/2以上である有機溶剤(特定有機溶剤)の少なくとも1種を含む。
インク組成物における平板状粒子に対する特定有機溶剤の含有比率は、前述のとおり質量比で10〜150であり、好ましい範囲も前述のとおりである。
特定有機溶剤の沸点が190℃以上であることで、インク組成物は吐出性に優れ、形成される赤外線反射パターンの赤外線の再帰反射性に優れる。また、沸点が190℃以上であることで、インク組成物を吐出する際の有機溶剤の揮発によるインク組成物の粘度変化を抑制することができ、吐出性に優れ、形成される赤外線反射パターンの赤外線の再帰反射性に優れる。特定有機溶剤の沸点の上限値は特に制限されないが、インク組成物の粘度の観点から、300℃以下が好ましい。
沸点は、沸点測定器(Titan Technologies社製、DosaTherm300)により求めることができる。
特定有機溶剤のSP値が24.0MPa1/2以上であることで、インク組成物における平板状粒子の分散性に優れ、形成される赤外線反射パターンの赤外線の再帰反射性に優れる。
特定有機溶剤のSP値の上限値は特に制限されないが、インク組成物の粘度の観点から、45.0MPa1/2以下が好ましい。
本明細書において、SP値(溶解度パラメーター)は、沖津法によって求められる値〔単位:MPa1/2〕である。沖津法は、従来周知のSP値の算出方法の一つであり、例えば、日本接着学会誌Vol.29、No.6(1993年)249〜259頁に詳述されている方法である。
以下、特定有機溶剤の具体例を示す。なお、カッコ内の数値は、記載した順に、沸点(単位:℃)、及びSP値(単位:MPa1/2)を示す。
特定有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール(197℃、29.9MPa1/2)、ジエチレングリコール(244℃、24.8MPa1/2)、トリエチレングリコール(125℃(0.1mmHg、文献値)、27.8MPa1/2)、プロピレングリコール(188℃、27.6MPa1/2)、1,4−ブタンジオール(230℃、30.7MPa1/2)、1,2−ペンタンジオール(206℃、28.6MPa1/2)、1,5−ペンタンジオール(206℃、29.0MPa1/2)、1,6−ヘキサンジオール(250℃、27.7MPa1/2)、グリセリン(290℃、33.8MPa1/2)、ホルムアミド(210℃、39.3MPa1/2)、ジメチルホルムアミド(153℃、30.6MPa1/2)、メタノール(65℃、28.2MPa1/2)、イソプロピルアルコール(82℃、28.7MPa1/2)、トリエタノールアミン(208℃(20hPa)、32.3MPa1/2)、ポリエチレングリコール(250℃、26.1MPa1/2)、1,2−へキサンジオール(223℃、24.1MPa1/2)、ジプロピレングリコール(230℃、27.1MPa1/2)、1,2−ブタンジオール(191℃(747mmHg、文献値)、26.1MPa1/2)が挙げられる。
これらの中でも、インク組成物の吐出性及び平板状粒子の分散性の観点から、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及びホルムアミドが好ましく、グリセリン、及びエチレングリコールがより好ましく、グリセリンが更に好ましい。
特定有機溶剤の含有量は、インク組成物の全質量に対して、5質量%〜80質量%が好ましく、10質量%〜70質量%がより好ましく、15質量%〜65質量%がさらに好ましい。
特定有機溶剤の含有量が上記範囲内であることで、平板状粒子の分散性、並びにインク組成物の粘度、及び吐出性の点で有利である。
[水]
インク組成物は、水を含む。
インク組成物における水の含有量には特に制限はないが、インク組成物の全質量に対して10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。
インク組成物における水の含有量の上限は、前述の平板状粒子、分散剤、特定有機溶剤、及びフッ素系界面活性剤の含有量を考慮して適宜設定されるが、水の含有量は、インク組成物の全質量に対して、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましい。
[その他の添加剤]
インク組成物は、上記の各成分以外にも、防腐剤、消泡剤などの添加剤を含んでもよい。
防腐剤としては、特開2014−184688号公報の段落〔0073〕〜〔0090〕の記載を参照することができる。
消泡剤としては、特開2014−184688号公報の段落〔0091〕及び〔0092〕の記載を参照することができる。
<赤外線反射パターン形成方法>
本発明の赤外線反射パターン形成方法は、前述のインク組成物を、インクジェット法により支持体上に付与することで、赤外線反射パターンを形成する。
上記の方法により形成される赤外線反射パターンは、前述のインク組成物を含むため、赤外線の再帰反射性及び可視光透過性が高く、ヘイズが低い。
赤外線反射パターンの形成方法は、支持体上にインク組成物を付与した後、インク組成物を乾燥して赤外線反射パターンを形成することが好ましい。
支持体としては、可視光透過性を有する材質から選択できる。支持体の詳細については後述する。
インクジェット法としては、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。
また、インクジェット法で用いるインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でもよい。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いてもよい。
尚、インクジェット法によりインク組成物を吐出する際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて、適宜選択することができる。
インクジェットヘッドとしては、単尺のシリアルヘッドを用い、ヘッドを支持体の幅方向に走査させながら記録を行なうシャトル方式と支持体の1辺の全域に対応して記録素子が配列されているラインヘッドを用いたライン方式とがある。ライン方式では、記録素子の配列方向と直交する方向に支持体を走査させることで支持体の全面に画像記録を行なうことができ、短尺ヘッドを走査するキャリッジ等の搬送系が不要となる。また、キャリッジの移動と支持体との複雑な走査制御が不要になり、支持体だけが移動するので、シャトル方式に比べて記録速度の高速化が実現できる。
本発明の赤外線反射パターン形成方法は、これらのいずれにも適用可能であるが、一般にダミージェットを行なわないライン方式に適用した場合に、吐出精度及び画像の耐擦過性の向上効果が大きい。
インク滴の液滴量は、打滴するインク組成物に応じて、インクジェット法における吐出条件を適宜選択することで調整することができる。
支持体上に付与されたインク組成物は、乾燥されることで赤外線反射パターンを形成することが好ましい。
乾燥は、支持体上に付与されたインク組成物が、例えば、加熱手段により、水及び特定有機溶剤が蒸発されることにより赤外線反射パターンが形成される。
加熱手段としては、水及び特定有機溶剤を乾燥させることができればよく、限定されないが、ヒートドラム、温風、赤外線ランプ、熱オーブン、ヒート版加熱などを使用することができる。
加熱温度は、50℃以上が好ましく、60℃〜150℃程度がより好ましく、70℃〜100℃程度が更に好ましい。乾燥又は加熱時間は、用いるインク組成物の組成及びインク組成物の吐出量を加味して適宜設定することができ、パターン均一性の観点からは、1分〜60分が好ましく、5分〜40分がより好ましい。
<赤外線反射体>
本発明の赤外線反射体は、支持体と、前述のインク組成物で形成された赤外線反射パターンと、を有する。
赤外線反射体は、前述のインク組成物により形成される赤外線反射パターンを有するため、赤外線の再帰反射性及び可視光透過性が高く、ヘイズが低い。
赤外線反射体は、さらにオーバーコート層を有することが好ましい。
赤外線反射体の一態様としては、図3に示すように、支持体2と、赤外線反射パターン1と、オーバーコート層3とを有する赤外線反射体11の態様が挙げられる。図3中、赤外線反射体11には、赤外線反射パターン1が支持体2上に形成された反射部21と、赤外線反射パターンが形成されていない非反射部22と、が存在する。
[赤外線反射パターン]
赤外線反射体は、前述のインク組成物で形成された赤外線反射パターンを有する。赤外線反射パターンの形成方法は前述のとおりであり、好ましい態様も同じである。
赤外線反射パターンとは、少なくとも、平板状粒子と、分散剤と、特定有機溶剤と、フッ素系界面活性剤と、を含有するものである。
(平板状粒子の面配向)
赤外線反射体において、平板状粒子は、前述の平板状粒子の主平面と、前述の平板状粒子に最も近い前述の凹凸構造の表面とのなす角が0°〜±30°の範囲で面配向している平板状粒子が、全平板状粒子に対して50個数%以上であること好ましい。
ここで、図4は、赤外線反射体において、平板状粒子を含む赤外線反射パターンの存在状態を示した概略断面図である。図4は、平板状粒子4の主平面(円相当径Dを決める面)と、前述の平板状粒子に最も近い前述の凹凸構造の表面とのなす角(±θ)を説明する図である。
図4において、平板状粒子4の主平面と、前述の平板状粒子に最も近い前述の凹凸構造の表面とのなす角(±θ)は、平板状粒子の面配向における所定の範囲に対応する。即ち、面配向とは、赤外線反射体の断面を観察した際、図4に示す傾角(±θ)が小さい状態をいう。特に、平板状粒子の主平面と前述の平板状粒子に最も近い前述の凹凸構造の表面とが接している状態、即ち、θが0°である状態が好ましい。平板状粒子の主平面の、その平板状粒子に最も近い前述の凹凸構造の表面に対する面配向の角度、即ち図4におけるθが±30°以下であると、赤外線反射体の所定の波長(例えば、可視光域長波長側から近赤外線領域)の反射率が向上する。 平板状粒子の主平面から前述の平板状粒子に最も近い前述の凹凸構造の表面とは、平板状粒子の主平面から平板状粒子に最も近い前述の凹凸構造の表面に向けて下した垂線と直交する平面のことを言う。図5のプリズム形状のように凹凸構造の表面が平面の場合は、前述の平板状粒子の主平面と、前述の平板状粒子に最も近い前述の凹凸構造の表面とのなす角は、平板状粒子の主平面から前述の平板状粒子に最も近い前述の凹凸構造の表面に向けて下した垂線の足を含む凹凸構造の表面となる。図6の半球形状のように凹凸構造の表面が曲面の場合は、前述の平板状粒子の主平面と、前述の平板状粒子に最も近い前述の凹凸構造の表面とのなす角は、平板状粒子の主平面から前述の平板状粒子に最も近い前述の凹凸構造の表面に向けて下した垂線と凹凸構造の表面の接平面となる。
平板状粒子の主平面が、その平板状粒子に最も近い前述の凹凸構造の表面に対して面配向しているかどうかの評価としては、赤外線反射体を、集束イオンビーム(FIB)を用いて赤外線反射体の断面サンプル又は断面切片サンプルを作製し、これを、透過型電子顕微鏡(TEM)等)を用いて観察して得た画像から評価する方法が挙げられる。
[支持体]
赤外線反射体は、支持体を有する。
支持体としては、可視光透過性を有する材質から選択できる。支持体の形状、構造、大きさなどについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
支持体の形状としては、例えば、平板状、片面に凹凸を有する形状などが挙げられる。支持体の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。支持体の大きさとしては、赤外線反射体の大きさに応じて適宜選択することができる。
支持体の材質としては、成形性の観点から、樹脂材料が好ましい。樹脂材料としては、例えば、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリブテン−1等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリフェニレンサルファイド;ポリエーテルサルフォン;ポリエチレンサルファイド;ポリフェニレンエーテル;スチレン樹脂;アクリル樹脂;ポリアミド;ポリイミド;トリアセチルセルロース、その他のセルロースアセテート等のセルロース樹脂などが挙げられる。
中でも、成型性、高可視光透過性、低ヘイズの観点からアクリル樹脂、COP、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
支持体の材質として、樹脂を用いる場合、成型性の観点からガラス転移温度(Tg)が低いことが好ましい。支持体のTgとしては、30℃〜200℃が好ましく、60℃〜170℃がより好ましい。また、支持体は、成型性の観点から、Tgを超える温度を与えた場合でも、高可視光透過性や低ヘイズを維持することが好ましい。
支持体は、上記の樹脂材料を含むフィルムでもよく、これらの積層フィルムでもよい。必要に応じて最適な材料を用いることができる。
支持体の厚みとしては、特に制限はなく、赤外線反射体の使用目的に応じて適宜選択することができる。支持体の厚みは、通常10μm〜500μm程度であるが、薄膜化の要請の観点からはより薄い方が好ましく、成型性の観点からは厚いことが好ましい。
支持体の厚みは10μm〜100μmが好ましく、20μm〜300μmがより好ましく、35μm〜280μmがさらに好ましい。支持体の厚みが十分に厚いと、接着故障が起き難くなる傾向にある。また、支持体の厚みが十分に薄いと、軽量化及びコストの点で有利である。
(凹凸構造)
赤外線反射体は、凹凸構造を有する支持体上に形成された赤外線反射パターンを有することが好ましい。
図3に示すように、非反射部22及び赤外線を反射する反射部21がともに凹凸構造を有していてもよい。また、赤外線を再帰反射しない非反射部は凹凸構造を有さず、赤外線の赤外線照射方向へと再帰反射する反射部のみが凹凸構造を有していてもよい(不図示)。
凹凸構造は、凸部のみを複数含んでいても、凹部のみを含んでいても、凸部及び凹部をそれぞれ複数含んでいてもよい。凸部のみを複数含む凹凸構造としては、半球形状の凸部が形成された構造を挙げることができる。凸部及び凹部をそれぞれ複数含む凹凸構造としては、プリズム形状、ピラミッド型プリズム形状又はコーナーキューブ形状などを挙げることができる。
赤外線反射体は、前述の凹凸構造が、プリズム形状、ピラミッド型プリズム形状、半球形状又はコーナーキューブ形状であることが好ましい。
前述の凹凸構造は、凸部及び凹部をそれぞれ複数含むことがより好ましく、プリズム形状、ピラミッド型プリズム形状又はコーナーキューブ形状であることが特に好ましく、コーナーキューブ形状であることがより特に好ましい。
本明細書中、コーナーキューブ形状とは、3つの平面を互いに直交するように組み合わせた形状のことをいうが、さらに3つの平面を互いに直交するように組み合わせた形状から光学的に許容できる範囲で変形された形状も含まれる。赤外線照射部と受光器は完全に光学的に一致させることは困難であるため、再帰反射を完全に行うよりも受光器に反射光が入りやすくなるように変形されていることが好ましい。
凹凸構造が凸部及び凹部のうち少なくとも一方を周期的なピッチで有することが好ましい。
凸部又は凹部のサイズは凸部の場合、支持体に垂直で凸部の最高点と最低点を通る平面で切ったときの最低点間の距離のことをいい、凹部の場合、支持体に垂直で凹部の最高点と最低点を通る平面で切ったときの最高点間の距離のことをいい、個々のピッチのサイズが異なる場合は前述の最低点間又は最高点間の距離の平均値である。ピッチは凸部の場合、最高点間の距離のことをいい、凹部の場合最低点間の距離である。
凸部又は凹部のサイズは平板状粒子の直径に比べ十分に大きいことが好ましい。凸部又は凹部のサイズと平板状粒子の直径の比は5倍〜500倍が好ましく、10倍〜300倍がより好ましく、25倍〜250倍が特に好ましいい。凸部又は凹部のサイズと平板状粒子の直径の比が前述の下限値以上であると赤外線の反射率が高くなって好ましい。凸部又は凹部のサイズと平板状粒子の直径の比が前述の上限値以下であると凸部又は凹部のサイズが小さくなって、結果として膜厚が薄くなって好ましい。
赤外線反射パターンのパターンサイズは一つのパターンの面積と同じ面積になる円を仮定したときの直径をいい、個々のパターンの面積が異なる場合は前述の直径の平均値である。
パターンサイズは凸部又は凹部のサイズに比べ十分に大きいことが好ましい。パターンサイズと凸部又は凹部のサイズの比は2倍〜100倍が好ましく、5倍〜50倍がより好ましい。パターンサイズと凸部又は凹部のサイズの比が前述の下限値以上であるとパターン形状を認識しやすくなるため好ましい。パターンサイズと凸部又は凹部のサイズの比が前述の上限値以下である場合、赤外線の反射率が高くなって好ましい。
〜凹凸構造の形成方法〜
支持体に凹凸構造を形成方法する方法としては特に制限は無い。例えば、支持体に所望の凹凸構造の形状の型をあてて、凹凸構造を形成する方法が挙げられる。支持体における凹凸構造は、赤外線反射パターンを形成する前に形成してもよく、平滑な支持体上に赤外線反射パターンを形成した後に形成してもよい。
支持体に凹凸構造を形成方法としては、支持体上に赤外線反射パターンを有する状態で、所望の凸部又は凹部のサイズの所望の凹凸構造の形状の型をあてて、加熱及び加圧の少なくとも一方をすることにより凹凸構造を設けることが、平板状粒子の面配向を維持する観点から好ましく、加熱及び加圧(ホットプレス)をすることにより支持体に凹凸構造を設けてもよい。
加熱及び加圧の条件は特に制限は無く、支持体の形状、構造、材料、厚みなどによって変更することができる。加熱温度が80℃〜200℃であることが好ましく、120℃〜160℃であることがより好ましい。加圧圧力が1MPa〜100MPaで好ましく、5MPa〜15MPaであることがより好ましい。
[オーバーコート層]
赤外線反射体は、さらにオーバーコート層を有することが好ましい。
赤外線反射体11は、 図3に示すように、前述の支持体2上の赤外線反射パターン1がある面側に、前述の凹凸構造の凹部を埋めて平坦化するオーバーコート層3を有することが、ヘイズを低減する観点から好ましい。
赤外線反射体において、物質移動による平板状粒子の酸化及び硫化を防止し、耐擦傷性を付与するため、赤外線反射体は、前述の六角形状乃至円形状の平板状粒子が露出している方の前述の赤外線反射パターンの表面に密接するオーバーコート層を有していてもよい。赤外線反射体は特に平板状粒子が赤外線反射パターンの表面に偏在する場合は、平板状粒子の剥落による製造工程の不純物の防止、別層塗布時の平板状粒子配列乱れの防止、などのため、オーバーコート層を有していてもよい。
前述のオーバーコート層には紫外線吸収剤を含んでもよい。前述のオーバーコート層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、バインダー、マット剤、中空シリカや中空フッ化マグネシウムなどの低屈折率フィラー、及び界面活性剤を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。前述の低屈折率フィラーを含有することで、パターン部及び非パターン部の可視光反射率が低減、及び可視光透過率が向上し、赤外線反射体をディスプレイの前面に装着する用途においてより好ましい。前述のバインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、フッ素樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂などが挙げられる。前述のオーバーコート層の厚みとしては、0.01μm〜1,000μmが好ましく、0.02μm〜500μmがより好ましく、0.03〜10μmがより特に好ましい。
赤外線反射体は、前述のオーバーコート層と前述の支持体の屈折率差が0.05以下であることが好ましく、0.02以下であることがより好ましく、0.01以下であることが特に好ましい。
赤外線反射体は、オーバーコート層が透明であることが好ましく、前述の支持体及びオーバーコート層が透明であることがより好ましい。
〜オーバーコート層の形成方法〜
オーバーコート層は、塗布により形成することが好ましい。このときの塗布方法としては、特に限定はなく、公知の方法を用いることができ、例えば、前述の紫外線吸収剤を含有する分散液を、ディップコーター、ダイコーター、スリットコーター、バーコーター、グラビアコーター等により塗布する方法などが挙げられる。
[その他の層]
(粘着層又は接着層)
赤外線反射体は、粘着層又は接着層を有することが好ましい。粘着層は、紫外線吸収剤を含むことができる。
粘着層の形成に利用可能な材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの材料からなる粘着層は、塗布により形成することができる。
さらに、粘着層には帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤などを添加してもよい。
前述の粘着層の厚みとしては、0.1μm〜10μmが好ましい。
〜粘着層又は接着層の形成方法〜
粘着層又は接着層は、塗布により形成することが好ましい。例えば、前述の支持体の赤外線反射パターンを有する面とは反対側の面の表面上に積層することができる。このときの塗布方法としては、特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。
粘着剤又は接着剤を予め離型フィルム上に塗工及び乾燥させたフィルムを作製しておいて、このフィルムの粘着剤又は接着剤と本発明の赤外線反射体の支持体側の表面とをラミネートすることにより、ドライな状態のままの粘着層又は接着層を積層してもよい。このときのラミネートの方法としては、特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。
(ハードコート層)
赤外反射体がオーバーコート層を有する場合、耐擦傷性を付加する観点から、オーバーコート層の上にさらにハードコート層を設けてもよい。ハードコート層には金属酸化物粒子を含むことができる。
ハードコート層としては、特開2014−184688号公報の段落〔0144〕の記載を参照することができる。
(バックコート層)
赤外線反射体において、前述の支持体の前述の赤外線反射パターンとは反対側の面上に、バックコート層を有していてもよい。前述のバックコート層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ好ましい組成や厚みは、前述のオーバーコート層の好ましい組成や厚みと同様である。
(紫外線吸収剤含有層)
赤外線反射体は、紫外線吸収剤を含む層(紫外線吸収剤含有層)を有していてもよい。
紫外線吸収剤含有層は、特開2014−184688号公報の段落〔0148〕〜〔0155〕の記載を参照することができる。
(屈折率調整層)
赤外線反射体には、1層又は2層以上の屈折率調整層を設けて、前述の赤外線反射パターンをさらに目立ちにくくしてもよい。例えば、支持体の一方の表面上に赤外線反射パターンを有し、支持体の赤外線反射パターンを有する表面とは反対側の表面上に低屈折率層を有する態様が挙げられる。さらにこの態様において、支持体と赤外線反射パターンとの間に、第2の屈折率調整層を有してもよい。さらに、支持体、第2の屈折率調整層、第3の屈折率調整層、及び赤外線反射パターンの順で積層している態様でもよい。
屈折率調整層を有することで、赤外線反射体は、より可視光透過率が高くなる。
屈折率調整層を構成する材料としては、特開2014−191224号公報の段落〔0065〕に記載の材料などを用いることができる。
屈折率調整層の厚みとしては、20nm以上であることが好ましく、30nm以上であることがより好ましく、40nm以上であることがさらに好ましい。上限については特に制限はないが、1000nmである。
なお、屈折率調整層が2層以上からなる場合は、各層の合計の厚みが上記範囲内であることが好ましい。
屈折率調整層のその他の構成については、特開2014−191224号公報の段落〔0066〕〜〔0075〕に記載のアンダーコート層の構成を参照することができる。
<赤外線反射体の用途>
赤外線反射体の用途は特に制限は無く、公知の赤外線反射体を用いたシステムに用いることができる。
赤外線反射体を光学部材の用途として用いる場合、特開2008−108236号公報の段落〔0021〕〜〔0032〕に記載の用途を挙げることができる。例えば、光学部材は、ディスプレイに貼り付けて、ディスプレイ装置に直接ペンなどにより手書きしてデータ入力するための光学部材として使用することができる。
特にパターン状に波長選択反射部(例えばドット)を有する光学部材は、例えば、手書き情報をデジタル化して情報処理装置に入力する電子ペンを使用したシステムで用いられる入力シートとして用いることができる。
光学部材を液晶ディスプレイなどのディスプレイ表面で入力シートとして用いることもできる。このとき、光学部材は透明であることが好ましい。光学部材はディスプレイ表面に直接、又は他のフィルム等を介して接着され、ディスプレイと一体化されていてもよく、ディスプレイ表面に例えば脱着可能に装着されてもよい。
手書き情報をデジタル化して情報処理装置に入力する電子ペンを使用したシステムについては、特開2014−98943号公報、特開2008−165385号公報、特開2008−108236号公報、特開2008−077451号公報等を参照できる。
本発明の赤外線反射体は、画像表示可能なディスプレイ装置の表面又は前方に装着されるシートであることが好ましい。画像表示可能なディスプレイ装置の表面又は前方に装着されるシートの好ましい態様としては、特許第4725417号公報の段落〔0024〕〜〔0031〕に記載の態様を挙げることができる。
本発明の赤外線反射体を、画像表示可能なディスプレイ装置の表面又は前方に装着されるシートとして用いたシステムの概略図を図7に示す。
前述のシステムは、図7に示すように、ディスプレイ装置104と、赤外線反射体11と、ペン型の入力端末101と、コード102と、読取データ処理装置103とを含んで構成される。
図7において、入力装置は、赤外線iを発し、前述の赤外線反射体11の再帰反射光rを検知できるものであれば特に限定されず公知の入力装置を用いればよい。入力装置としては、例えば、ペン型の入力端末101がコード102により接続された読取データ処理装置103も具備する装置として、特開2003−256137号公報に開示されている、インキや黒鉛等を備えないペン先、赤外線照射部を備えたCMOS(相補性金属酸化膜半導体)カメラ、プロセッサ、メモリ、Bluetooth(登録商標)技術等を利用したワイヤレストランシーバ等の通信インタフェース、及びバッテリ等を内蔵しているものなどが挙げられる。
ペン型の入力端末101の動作としては、例えば、ペン先を本発明の赤外線反射体11の前面に接触させてなぞるように描画すると、ペン型の入力端末101がペン先に加わった筆圧を検知し、CMOSカメラが作動して、ペン先近傍の所定範囲を赤外線照射部から発する所定波長の赤外線で照射するとともに、パターンを撮像する(パターンの撮像は、例えば、1秒間に数10から100回程度行われる)。ペン型の入力端末101が読取データ処理装置103を具備する場合には、撮像したパターンをプロセッサで解析することにより手書き時のペン先の移動に伴う入力軌跡を数値化及びデータ化して入力軌跡データを生成し、その入力軌跡データを情報処理装置へ送信する。
なお、プロセッサ、メモリ、Bluetooth(登録商標)技術等を利用したワイヤレストランシーバ等の通信インタフェース、及びバッテリ等の部材は、図7に示すように、読取データ処理装置103として、ペン型の入力端末101の外部に有ってもよい。この場合には、ペン型の入力端末101は読取データ処理装置103にコード102で接続されていても、電波、赤外線等を用い無線で読取データを送信してもよい。
この他、入力端末101は、特開2001−243006号公報に記載された読取器のようなものであってもよい。
本発明において適用できる読取データ処理装置103は、入力端末101で読み取った連続的な撮像データから位置情報を算出し、それを時間情報と組み合わせ、情報処理装置で扱える入力軌跡データとして提供する機能を有するものであれば特に限定されず、プロセッサ、メモリ、通信インタフェース及びバッテリ等の部材を具備していればよい。
また、読取データ処理装置103は、特開2003−256137号公報のように入力端末101に内蔵されていてもよく、また、ディスプレイ装置を備える情報処理装置に内蔵されていてもよい。また、読取データ処理装置103は、ディスプレイ装置を備える情報処理装置に無線で位置情報を送信してもよく、コード等で接続された有線接続で送信してもよい。
ディスプレイ装置104に接続された情報処理装置は、読取データ処理装置103から送信されてきた軌跡情報に基づき、ディスプレイ装置104に表示する画像を順次更新することによって、入力端末101で手書き入力した軌跡を、紙の上にペンで書いたかのようにディスプレイ装置上に表示することが出来る。
画像表示装置の画像表示面又は画像表示面の前方に本発明の赤外線反射体が装着された画像表示装置、画像表示装置の画像表示面又は画像表示面の前方に本発明の赤外線反射体が装着された画像表示装置を含むシステムも、本明細書に開示された発明に含まれる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。また、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
<平板状金属粒子分散液の調製>
−平板状銀粒子分散液Aの調製−
高Cr−Ni−Moステンレス鋼(NTKR−4、日本金属工業(株)製)製の反応容器にイオン交換水13L(リットル)を計量し、ステンレス鋼(SUS316L)製のシャフトにNTKR−4製のプロペラ4枚及びNTKR−4製のパドル4枚を取り付けたアジターを備えるチャンバーを用いてイオン交換水を撹拌しながら、10g/Lのクエン酸三ナトリウム(無水物)水溶液1.0Lを添加して35℃に保温した。この溶液に8.0g/Lのポリスチレンスルホン酸水溶液0.68Lを添加し、更に0.04N(mol/L)の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液を用いて23g/Lに調製した水素化ホウ素ナトリウム水溶液0.041Lを添加した。更に0.10g/Lの硝酸銀水溶液13Lを5.0L/minで添加した。
その後、10g/Lのクエン酸三ナトリウム(無水物)水溶液1.0Lとイオン交換水11Lを添加して、更に80g/Lのヒドロキノンスルホン酸カリウム水溶液0.68Lを添加した。撹拌の速度を800rpmに上げて、0.10g/Lの硝酸銀水溶液8.1Lを0.95L/minで添加した後、30℃に降温した。
44g/Lのメチルヒドロキノン水溶液8.0Lを添加し、次いで、後述する40℃のゼラチン水溶液を全量添加した。撹拌の速度を1200rpmに上げて、後述する亜硫酸銀白色沈殿物混合液を全量添加して調製液を得た。
調製液のpH変化が止まった段階で、1N(mol/L)の水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液5.0Lを0.33L/minで添加した。その後、2.0g/Lの1−(m−スルホフェニル)−5−メルカプトテトラゾールナトリウム水溶液(NaOHとクエン酸(無水物)とを用いてpH=7.0±1.0に調節して溶解した)0.18Lを添加し、更に70g/Lの1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(NaOHで水溶液をアルカリ性に調節して溶解した)0.078Lを添加した。このようにして平板状銀粒子分散液Aを調製した。
−ゼラチン水溶液の調製−
SUS316L製の溶解タンクにイオン交換水16.7Lを計量した。SUS316L製のアジターで低速撹拌を行いながら、脱イオン処理を施したアルカリ処理牛骨ゼラチン(GPC重量平均分子量20万)1.4kgを添加した。更に、脱イオン処理、蛋白質分解酵素処理、及び過酸化水素による酸化処理を施したアルカリ処理牛骨ゼラチン(GPC重量平均分子量2.1万)0.91kgを添加した。その後40℃に昇温し、ゼラチンの膨潤と溶解を同時に行って完全に溶解させた。
−亜硫酸銀白色沈殿物混合液の調製−
SUS316L製の溶解タンクにイオン交換水5.7Lを計量し、100g/Lの硝酸銀水溶液5.7Lを添加した。SUS316L製のアジターで高速撹拌を行いながら、140g/Lの亜硫酸ナトリウム水溶液1.9Lを短時間で添加して、亜硫酸銀の白色沈澱物を含む混合液を調製した。この混合液は、使用する直前に調製した。
平板状銀粒子分散液Aをイオン交換水で希釈し、分光光度計((株)日立製作所製、U−3500)を用いて分光吸収を測定したところ、吸収ピーク波長は800nmであり、半値全幅は250nmであった。
平板状銀粒子分散液Aの物理特性は、25℃においてpH=9.4(アズワン(株)製のKR5Eで測定)、電気伝導度8.1mS/cm(東亜ディーケーケー(株)製のCM−25Rで測定)、及び粘度2.1mPa・s((株)エー・アンド・デイ製のSV−10で測定)であった。得られた平板状銀粒子分散液Aは、ユニオンコンテナーII型の20Lの容器(低密度ポリエチレン製容器、アズワン(株)製)に収納し、30℃で貯蔵した。
−平板状銀粒子分散液Bの調製−
前述の平板状銀粒子分散液Aを遠沈管に800g採取して、1N(mol/L)の水酸化ナトリウム(NaOH)及び/又は1N(mol/L)の硫酸を用いて25℃でpH=9.2±0.2に調整した。遠心分離機(日立工機(株)製、himacCR22GIII、アングルローターR9A)を用いて、35℃に設定して9000rpm、60分間の遠心分離操作を行った後、上澄液を784g捨てた。沈殿した平板状銀粒子Bに0.2mM(mg/mol)のNaOH水溶液を加えて合計400gとし、撹拌棒を用いて手撹拌して粗分散液にした。これと同様の操作で24本分の粗分散液を調製して合計9600gとし、SUS316L製のタンクに添加して混合した。更に、Pluronic31R1(BASF社製、ノニオン系界面活性剤)の10g/L溶液(メタノール:イオン交換水=1:1(体積比)の混合液で希釈)を10ml添加した。プライミクス(株)製のオートミクサー20型(撹拌部はホモミクサーMARKII)を用いて、タンク中の粗分散液混合物に9000rpmで120分間のバッチ式分散処理を施した。分散中の液温は50℃に保った。分散後、25℃に降温してから、プロファイルIIフィルター(日本ポール(株)製、MCY1001Y030H13)を用いてシングルパスの濾過を行った。
このようにして、平板状銀粒子分散液Aに脱塩処理及び再分散処理を施して、平板状銀粒子Bを10質量%、ゼラチンを1質量%含有する平板状銀粒子分散液Bを調製した。
平板状銀粒子分散液Bの分光透過率を、平板状銀粒子分散液Aと同様の方法で測定したところ、吸収ピーク波長及び半値幅は平板状銀粒子分散液Aとほぼ同じ結果であった。
平板状銀粒子分散液Bの物理特性は、25℃においてpH=7.6、電気伝導度0.37mS/cm、粘度1.1mPa・sであった。得られた平板状銀粒子分散液Bは、ユニオンコンテナーII型の20Lの容器に収納し、30℃で貯蔵した。なお、pH、電気伝導度、及び粘度は、上記の銀平板状粒子分散液Aと同様の方法で測定した。
−平板状金属粒子の評価−
平板状銀粒子分散液Aにおける平板状銀粒子Aの形状を、透過型電子顕微鏡(TEM)に観察した。平板状銀粒子分散液Aの中には、六角形状乃至円形状及び三角形状の平板状銀粒子が生成していることが確認された。
また、六角形状乃至円形状の平板状銀粒子の個数を、平板状銀粒子分散液Aを観察したTEM画像から任意に抽出した200個の平板状銀粒子Aの形状をもとに、画像解析を行い、六角形状乃至円形状の平板状銀粒子に該当する粒子の個数の割合(個数%)を求めた。その結果、全平板状銀粒子(六角形状乃至円形状の平板状銀粒子及び三角形状の平板状銀粒子)の個数に対して、80個数%以上であった。
平板状銀粒子分散液AのTEM観察により得られた像を、画像処理ソフトImageJに取り込み、画像処理を施した。数視野のTEM像から任意に抽出した200個の粒子に関して画像解析を行い、同面積円相当直径を算出した。これらの母集団に基づき統計処理した結果、平均直径は100nmであった。
レーザー回折・散乱式の粒子径・粒度分布測定装置マイクロトラックMT3300II(日機装(株)製、粒子透過性は反射に設定)を用いて平板状銀粒子分散液Aを測定して、平均粒径(体積加重)44nmの結果を得た。
平板状銀粒子分散液Bを同様に測定したところ、平板状銀粒子Bの全平板状銀粒子に対する割合、平板状銀粒子Bの粒度分布及び形状は、平板状銀粒子分散液Aにおける平板状金属粒子Aの全平板状銀粒子に対する割合、平板状銀粒子Aの粒度分布及び形状とほぼ同じ結果を得た。
平板状銀粒子分散液Bをシリコン基板上に滴下して乾燥し、平板状銀粒子Bの個々の厚みをFIB−TEM(Focused Ion Beam−Transmission Electron Microscope)法により測定した。平板状銀粒子分散液B中の平板状銀粒子B10個を測定して平均厚みは9nmであった。
−平板状銀粒子分散液Cの調製−
平板状銀粒子分散液Aの調製において、高Cr−Ni−Moステンレス鋼(NTKR−4、日本金属工業(株)製)製の反応容器に仕込むイオン交換水13L(リットル)をイオン交換水103L(リットル)に変更した以外は、平板状銀粒子分散液Aの調製、及び平板状銀粒子分散液Bの調製の手順と同様の手順を経て平板銀粒子分散液Cを作製した。
得られた平板状銀粒子分散液Cの分光透過率を、平板状銀粒子分散液Aと同様の方法で測定したところ、吸収ピーク波長は780nmであり、半値全幅は平板状銀粒子Aとほぼ同等であった。
平板状銀粒子分散液Cの物理特性は、25℃においてpH=9.0、電気伝導度7.5 mS/cm、粘度は2.0 mPa・sであった。得られた平板状銀粒子分散液Cは、ユニオンコンテナーII型の20Lの容器に収納し、30℃で貯蔵した。なお、pH、電気伝導度、及び粘度は、上記の銀平板状粒子分散液Aと同様の方法で測定した。
平板状銀粒子分散液Cにおける平板状粒子Cの形状、平均直径、平均厚みを上記の平板状銀粒子分散液Aにおける平板状粒子Aと同様の方法で測定した。
その結果、平板状銀粒子分散液Cの中には、六角形状乃至円形状及び三角形状の平板状銀粒子Cが生成していることが確認された。また、平板状銀粒子分散液Cにおける平板状銀粒子Cの平均直径は27nmであり、平均厚みは9nmであった。
(実施例1)
<インク組成物の調製>
上記で得た平板状銀粒子分散液Bに、特定有機溶剤、フッ素系界面活性剤、及び水を加え、下記に示す組成となるようにインク組成物1を調製した。
−インク組成物の組成−
平板状銀粒子B(平板状粒子)・・・0.84部
ゼラチン(分散剤、平均分子量20,000のゼラチンと平均分子量200,000のゼラチンの混合物)・・・0.08部
グリセリン(特定有機溶剤、沸点290℃、SP値33.8MPa1/2)・・・60部
サーフロン(登録商標)S−243(パーフルオロ基を有するフッ素系界面活性剤1、屈折率=1.35、AGCセイミケミカル(株)製)・・・0.14部
水・・・合計で100部となる量
フッ素系界面活性剤の屈折率は、カルニュー精密屈折計((株)島津製作所製、KPR−3000)により測定した。
(実施例2〜実施例10、比較例1、比較例2、及び比較例4〜比較例8)
実施例1において用いたインク組成物1を、下記表1及び表2に示す組成になるように調製した以外は実施例1と同様にして各実施例及び各比較例のインク組成物を調製した。
なお、実施例2〜実施例10は、インク組成物2〜インク組成物10を用い、比較例1、比較例2、及び比較例4〜比較例8は、インク組成物11、インク組成物12、及びインク組成物14〜インク組成物18を用いた。
(実施例11〜実施例12)
実施例1において用いたインク組成物1を、下記表2に示す組成になるように調製した以外は実施例1と同様にして各実施例のインク組成物を調製した。なお、実施例11〜実施例12は、インク組成物19〜インク組成物20を用いた。
表1中の成分の詳細は以下の通りである。
ウレタン樹脂 : DIC(株)製、ハイドランHW−171
表2中の成分の詳細は以下の通りである。
ウレタン系界面活性剤 : 三洋化成工業(株)製、パーマリンUC−20
メガファック(登録商標)F−410(パーフルオロ基を有するフッ素系界面活性剤2、屈折率=1.27、DIC(株)製)
サーフロン(登録商標)S−242(パーフルオロ基を有するフッ素系界面活性剤3、屈折率=1.37、AGCセイミケミカル(株)製)
(比較例3)
実施例1において用いたインク組成物1を、平板状銀粒子分散液Bを用いずに、下記の組成になるように調製した以外は実施例1と同様にしてインク組成物13を調製した。
−インク組成物の組成−
酸化チタン粒子(石原産業(株)製、TTO−55、粒子径 50nm)・・・0.84部
グリセリン(特定有機溶剤)・・・60部
サーフロン(登録商標)S−243(パーフルオロ基を有するフッ素系界面活性剤1、屈折率=1.35、AGCセイミケミカル(株)製)・・・0.14部
水・・・合計で100部となる量
<赤外線反射体の作製>
以下、赤外線反射体の作製について記載する。
インクジェットプリンター(FUJIFILM DIMATIX社製、DMP−2831)を用意した。得られた各実施例及び比較例のインク組成物を、上記のインクジェットプリンターに装填し、ヘッドの吐出口からインク組成物を、後述の方法で作成した表面に凹凸を有する基材(支持体)の凹凸面に吐出し、図8に示す反射部21と非反射部22からなる市松模様のパターンを形成した。なお、パターンにおける反射部のインク打滴量は、23g/m、ドット密度は1200dpi(dot per inch)である。また、図8に示す1辺の長さ23は200μmであり、支持体を、支持体の凹凸面とは反対側の面に対して垂直方向から見た場合の長さである。
市松模様が付与された支持体を、防爆オーブンを用いて雰囲気温度80℃、15分間乾燥し、赤外線反射パターンを形成した。
支持体の赤外線反射パターンが形成された側に、ワイヤーバーを用いて凹凸構造が埋まるように下記のオーバーコート層用塗布液を塗布し、80℃で乾燥処理を施して、塗布液を塗布及び乾燥して得られるオーバーコート層を設けた。オーバーコート層と支持体の屈折率差は、0.01であった。
以上のような方法を用いて、支持体と赤外線反射パターンとを有し、赤外線反射パターン部の全体を覆うように形成されたオーバーコート層とを有する赤外線反射体を、各実施例及び比較例のインク組成物を用いて作製した。
得られた赤外線反射体の断面構造の模式図を図3に示す。
−支持体の作製方法−
アクリルフィルム((株)エスカーボシート製、テクノロイS001G、厚み250μm、ガラス転移温度=103℃)の一方の面に、50μmのサイズのプリズム形状を有する型をあてて、ホットプレス機((株)東洋精機社製、ミニテストプレスMP−SNL)を使用して、140℃、10MPaでホットプレスすることによりアクリルフィルムに凹凸構造を付与した。このように一方の面に凹凸構造が付与されたアクリルフィルムを支持体とした。
−オーバーコート層用塗布液−
アクリルポリマー水分散物:AS−563A・・・20部
(ダイセルファインケム(株)製、固形分27.5質量%)
架橋剤:カルボジライト(登録商標)V−02−L2・・・0.46部
(日清紡ケミカル(株)製、固形分濃度20質量%蒸留水希釈)
界面活性剤A:リパール870P・・・0.63部
(ライオン(株)製、固形分1質量%蒸留水希釈)
界面活性剤B:ナロアクティー(登録商標)CL−95・・・0.87部
(三洋化成工業(株)製、固形分1質量%蒸留水希釈)
ウレタンポリマー水溶液:オレスターUD350・・・0.13部
(三井化学(株)製、固形分38質量%)
蒸留水・・・77.91部
<評価>
上記で得られた実施例1〜実施例12、比較例1〜比較例8のインク組成物に対して以下の評価を行った。評価結果については下記表3に示す。
−吐出性−
インクジェットプリンター(FUJIFILM DIMATIX社製、DMP−2831)を用意した。得られた各実施例及び比較例のインク組成物を、上記のインクジェットプリンターに装填し、ヘッドの吐出口からインク組成物を吐出し、その様子を観察した。吐出性は、連続吐出時間とインク組成物が吐出しない吐出口の数(不吐出口数)により以下の評価基準に従い評価した。
評価基準
AA:インク組成物を連続して20分以上吐出でき、かつ、連続して20分吐出した時の不吐出口の数が全吐出口の5%未満である。
A :インク組成物を連続して20分以上吐出でき、かつ、連続して20分吐出した時の不吐出口の数が全吐出口の5%以上8%未満である。
B :インク組成物を連続して20分吐出した時の不吐出口の数が全吐出口の数の8%以上30%未満である。
C :インク組成物を連続して吐出し10分経過する前に、不吐出口の数が全吐出口の数の30%以上となった。
−パターン均一性−
インクジェットプリンター(FUJIFILM DIMATIX社製、DMP−2831)を用意した。得られた各実施例及び比較例のインク組成物を、上記のインクジェットプリンターに装填し、ヘッドの吐出口からインク組成物を吐出することで、予めコロナ処理を行った支持体の凹凸面に赤外線反射パターンを形成した。形成された赤外線パターンにおける任意の液滴をSEMで観察し、液滴内部の平板状金属粒子の分布を求めた。求められた平板状金属粒子の分布から下記の評価基準に従いパターン均一性を評価した。
評価基準
AA:ドットの外周から内側30面積%以内の領域における平板状金属粒子の存在率が全体の25個数%未満である。
A :ドットの外周から内側30面積%以内の領域における平板状金属粒子の存在率が全体の25個数%以上35個数%未満である。
B :ドットの外周から内側30面積%以内の領域における平板状金属粒子の存在率が全体の35個数%以上50個数%未満である。
C :ドットの外周から内側30面積%以内の領域における平板状金属粒子の存在率が全体の50個数%以上である。
−再帰反射率−
各実施例及び比較例の赤外線反射体を5cm×5cmサイズにカットしサンプルとした。図9のように、光源111から照射された光に対して赤外線反射体113を45°傾けて、再帰反射した光をハーフミラー114で曲げて受光器112に入れて各サンプルの斜方反射スペクトルを紫外可視近赤外分光機(日本分光社製、V−670、積分球ユニットISN−723使用)を用いて波長300nm〜2500nmの光の反射率を5nm間隔で測定した。波長780nm以上2500nm以下の赤外領域における最も高い反射率の波長(A)における、パターン部の45°反射率及び非パターン部の45°反射率を求め、(パターン部の45°反射率)/(非パターン部の45°反射率)を再帰反射率(%)として求めた。
評価基準
AA:赤外線再帰反射率が7%以上である。
A :赤外線再帰反射率が5%以上7%未満である。
B :赤外線再帰反射率が3%以上5%未満である。
C :赤外線再帰反射率が3%未満である。
−可視光透過率−
各実施例及び比較例の赤外線反射体を5cm×5cmサイズにカットしサンプルとした。透過スペクトルを紫外可視近赤外分光機(日本分光社製、V−670、積分球ユニットISN−723使用)を用いて、サンプルの波長300nm〜2500nmの光の透過率を5nm間隔で測定し、550nmの光の透過率(%)を用いて下記基準に従い可視光効果率を評価した。
評価基準
AA:550nmの光の透過率が85%以上である。
A :550nmの光の透過率が80%以上85%未満である。
B :550nmの光の透過率が70%以上80%未満である。
C :550nmの光の透過率が70%未満である。
−ヘイズ−
各実施例及び比較例の赤外線反射体を5cm×5cmサイズにカットしサンプルとした。ヘイズメーター(NDH−5000、日本電色工業株式会社製)を用いて、サンプルのヘイズ(%)を測定し、下記基準に従いヘイズを評価した。
評価基準
AA:ヘイズが3%未満である。
A :ヘイズが3%以上5%未満である。
B :ヘイズが5%以上10%未満である。
C :ヘイズが10%以上である。
表3より、実施例のインク組成物を用いて形成した赤外線反射パターンは、赤外線の再帰反射性及び可視光透過率が高く、ヘイズが低いことがわかる。
1 … 赤外線反射パターン
2 … 支持体
3 … オーバーコート層
4 … 平板状粒子
11 … 赤外線反射体
21 … 反射部
22 … 非反射部
23 … 赤外線を反射する反射部の一辺の長さ
101 … ペン型の入力端末
102 … コード
103 … 読取データ処理装置
104 … ディスプレイ装置
111 … 光源
112 … 受光器
113 … 赤外線反射体
114 … ハーフミラー
D … 平板状粒子の(平均)粒子径又は(平均)円相当径
a … 平板状粒子の(平均)厚み
θ … 平板状粒子と支持体表面とのなす角
i … 入射光
r … 再帰反射光

Claims (10)

  1. 平板状粒子と、前記平板状粒子を分散させる分散剤と、沸点が190℃以上であり、かつ、溶解度パラメーターが24.0MPa1/2以上である有機溶剤と、水と、フッ素系界面活性剤と、を含み、
    前記平板状粒子に対する前記分散剤の含有比率が質量比で0.01〜0.5であり、前記平板状粒子に対する前記有機溶剤の含有比率が質量比で10〜150である赤外線反射パターン形成用インク組成物。
  2. 前記平板状粒子が、平板状金属粒子である請求項1に記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物。
  3. 前記平板状金属粒子は、アスペクト比が6〜40であり、かつ、銀、金、アルミニウム、白金、ロジウム、銅、及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属を含む請求項2に記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物。
  4. 前記金属が、銀である請求項3に記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物。
  5. 前記分散剤が、水溶性樹脂である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物。
  6. 前記分散剤は、平均分子量が20,000〜200,000のゼラチンである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物。
  7. 前記有機溶剤が、グリセリン、エチレングリコール、ホルムアミド、及びジエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物。
  8. 前記フッ素系界面活性剤は、分子中にパーフルオロ基を含み、かつ、屈折率が1.30〜1.42である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物を、インクジェット法により支持体上に付与し、赤外線反射パターンを形成する赤外線反射パターン形成方法。
  10. 支持体と、
    請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の赤外線反射パターン形成用インク組成物で形成された赤外線反射パターンと、
    を有する赤外線反射体。
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