JP2017043514A - 微粒子の製造方法、焼結体の破砕方法及び微粒子 - Google Patents

微粒子の製造方法、焼結体の破砕方法及び微粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】純度が高く、極めて微細な微粒子を簡便に得ることができる微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の微粒子の製造方法は、酸素とアンモニアを含む雰囲気下で、600℃〜1500℃に加熱すると共に、光を照射して、金属酸化物を微粒化する微粒化工程を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、微粒子の製造方法、焼結体の破砕方法及び微粒子に関する。
近年、金属酸化物や金属酸窒化物からなる無機材料は、特徴的な性質を示すため種々の用途で用いられている。例えば、高い誘電性を利用してセラミックコンデンサ、電気抵抗の温度変化を利用したセラミックスサーミスター、あるいは、各種半導体デバイスに用いられている。他にも、光が照射すると触媒作用を示す特性を利用して光触媒としても用いられている。
これらの用途に用いる際には、金属酸化物や金属窒化物を微粒化することが行われている。
セラミックコンデンサでは、金属酸化物を微粒化することで、微粒子の焼結体である誘電層を緻密に形成している。セラミックコンデンサの誘電層が緻密であると、セラミックコンデンサの静電容量を高めることができる。
光触媒では、金属酸化物や金属酸窒化物を微粒化することで、それらの比表面積を大きくすることが行われている。光触媒反応は物質表面で生じるため、比表面積を大きくすることで光触媒反応特性を高めることができる。
金属酸化物や金属窒化物を微粒化することは、これらの用途に用いる際に限られず行われている。
特許文献1及び2には、水溶液等の液体の中から微細粒子を析出結晶化させることで、チタン酸ランタンの微粒子を得る方法が記載されている。具体的には、チタン酸ランタンの材料を純水に混合した原料ゾルを作製し、その原料ゾル中の水分を超臨界状態とすることで、チタン酸ランタンの微粒子を得ている。
非特許文献1〜3には、固相反応法で作製した金属酸化物をアンモニア中で加熱することで、ランタン・チタン酸窒化物の粉末を得る方法が記載されている。
一方、近年の資源の枯渇化に伴い、高価な貴金属を含む材料を再利用することが求められている。例えば非特許文献4には、使用済みの電子機器などを粉砕して有用金属を回収する試みについて記載されている。また非特許文献5では、電子機器に含まれるセラミックス部品等を破解・粉砕し、そこから有用元素を抽出する技術などが検討されている。
粉砕・破砕する手段としては、例えば、特許文献3に記載のように、ミルを用いる方法が一般的であり、ボールなどを被破砕物に叩きつけるなどして、非破砕物を微細粒子化するという方法がとられてきている。
特開2014−208580号公報 特開2012−188325号公報 特許第5598824号公報
A.Kasahara et al.,J.Phys.Chem.A,2002,106,6750−6753. A E.Maegli et al.,J.Mater.Chem.,2012,22,17906−17913. T.Katsumata et al.,Journal of the Ceramic Society of Japan,2009,117(12)1345―1348. 日本金属学会誌 第73巻第3号(2009)151〜160、都市鉱山蓄積ポテンシャルの推定、原田幸明 井島 清 島田正典 片桐 望 大阪大学大学院人間科学研究科紀要 38;129−154(2012)、都市鉱山開発に関する実践的研究 ―使用済み携帯電話の破砕特性に関する基礎的検討― 姉崎正治・三好恵真子
しかしながら、特許文献1〜3、非特許文献1〜5に記載の微粒化方法では、不純物が少なく、かつ粒径の十分小さな微粒子を高い生産性を伴って得ることができなかった。
例えば特許文献1及び2に記載のように溶液を用いる方法では、微粒子が水分を含むという問題や、溶液中の成分が微粒子に取り込まれるという問題がある。また微粒子の製造過程で必要な溶液は、処理後には排液となるため環境負荷が高いという問題もある。
例えば非特許文献1〜3に記載の固相反応法を用いた方法では、粒子のサイズが数μm以上となり、十分微細化することができない。また各材料を乳鉢等で粉砕する際に、摩擦により乳鉢等を構成する材料が混在してしまう場合がある。
セラミック材料を再利用するために、一度焼結体として固めた金属酸化物や金属窒化物(例えば、使用済みのセラミックコンデンサ等)を粉砕、溶融、溶解する場合は、セラミック材料は高い耐蝕性および高い硬度を有するため、非常に大きなエネルギーが必要となる。そのため、簡便にセラミック材料を微粒化することができず、貴金属等を効率的に取り出すことができない。また粉砕の場合は摩擦による乳鉢等の材料の混在、溶融及び溶解の場合はその他の化学物質の混在を避けることは難しい。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、純度が高く、極めて微細な微粒子を簡便に得ることができる微粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、酸素及びアンモニア雰囲気下において、透明な反応炉中で金属酸化物を加熱すると、金属酸化物が焼結体や単結晶体であっても、まるで風化したかのように微細化されることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)本発明の一態様に係る微粒子の製造方法は、酸素とアンモニアを含む雰囲気下で、600℃〜1500℃に加熱すると共に、光を照射して、金属酸化物を微粒化する微粒化工程を有する。
(2)本発明の一態様に係る微粒子の製造方法は、透明な反応炉内に金属酸化物を導入する準備工程と、酸素とアンモニアを含む雰囲気下で、前記透明な反応炉の外部からヒータにより前記反応炉内を600℃〜1500℃に加熱して前記金属酸化物を微粒化する微粒化工程とを有する。
(3)上記(1)又は(2)のいずれかに記載の微粒子の製造方法において、前記金属酸化物が遷移元素を含んでもよい。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の微粒子の製造方法において前記金属酸化物が、B、ABO、AまたはA17(Aは遷移元素、または典型元素、Bは遷移元素、x、yは整数)のいずれかの組成式で表記される化合物であってもよい。
(5)上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の微粒子の製造方法において、前記金属酸化物が、チタンを含んでもよい。
(6)上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の微粒子の製造方法において、前記微粒化工程における加熱温度を900℃〜1100℃としてもよい。
(7)上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の微粒子の製造方法において、前記酸素とアンモニアを含む雰囲気における酸素濃度が、0.1%〜10%であってもよい。
(8)上記(1)〜(7)のいずれか一つに記載の微粒子の製造方法において、前記酸素とアンモニアを含む雰囲気におけるアンモニア濃度が、85%以上100%未満であってもよい。
(9)上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載の微粒子の製造方法において、前記微粒化工程の前に、前記金属酸化物酸素分圧が0.1%以下の低酸素分圧の雰囲気中で加熱する前処理工程をさらに有してもよい。
(10)上記(9)に記載の微粒子の製造方法において、前記前処理工程を水素ガス雰囲気下で行ってもよい。
(11)上記(1)〜(10)のいずれか一つに記載の微粒子の製造方法において、前記微粒化工程の後に、前記微粒化工程により微粒化した反応物をアンモニア雰囲気下でさらに加熱する窒化工程をさらに有してもよい。
(12)本発明の一態様に係る焼結体の破砕方法は、酸素とアンモニアを含む雰囲気下で、600℃〜1500℃に加熱すると共に、光を照射して、金属酸化物を含むセラミックスの粒界結合を腐食する工程とを有する。
(13)本発明の一態様に係る微粒子は、走査型顕微鏡で計測した平均粒子径及びBET法を用いて比表面積から換算した平均粒子径のいずれもが250nm以下である金属酸化物または金属酸窒化物である。
(14)上記(13)に記載の微粒子は、炭素含有量が10ppm以下であってもよい。
本発明の一態様に係る微粒子の製造方法によれば、純度が高く、極めて微細な微粒子を簡便に得ることができる。本発明の一態様に係る焼結体の破砕方法を用いれば、セラミックコンデンサ等を簡便に分解することができ、リサイクルが容易になる。本発明の一態様に係る微粒子は、純度が高く極めて微細なため、光触媒、セラミックコンデンサ等の種々の用途に好適に用いることができる。
本発明の一態様に係る微粒子の製造方法に用いる製造装置を模式的に示した断面図である。 微粒化工程の前後の金属酸化物の写真であり、(a)は微粒化工程前、(b)は微粒化工程後の写真である。 微粒化工程の前後の金属酸化物の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真であり、(a)は微粒化工程前、(b)は微粒化工程後の写真である。 本発明の一態様に係る微粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1における反応前後の試料のXRDの結果である。 実施例6における前処理工程前後の試料のXRDの結果である。
以下、本発明を適用した微粒子及び微粒子の製造方法について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。
以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
[微粒子の製造方法、焼結体の破砕方法]
図1は、本発明の一態様に係る微粒子の製造方法に用いる製造装置を模式的に示した断面図である。図1に示す製造装置10は、透明で気密な反応管1と反応管1の周囲に配置されたヒータ2を備える。反応管1の内部には、金属酸化物3を載置することができる。製造装置10における反応管1は、特許請求の範囲における反応炉に対応する。
反応管1は、透明であり、高い耐熱性を有する。透明とは、可視光から赤外光を透過することができればよく、可視光から赤外光の透過率が80%以上であることが好ましい。金属酸化物の微粒子化には光が影響を及ぼすため、可視光から赤外光の透過率が80%以上であれば反応速度を高めることができる。耐熱性は、反応温度に耐えることができるものであればよい。反応管1としては、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、サファイアガラス等を用いることができる。
ヒータ2は、反応温度まで反応管1内の温度を高めることができればよく、公知のものを用いることができる。例えば、鉄クロム線等を用いた定抵抗発熱体、炭化珪素発熱体、二珪化モリブデン、セラミックヒータ等を用いることができる。
以下、製造装置10を用いた場合を例に、本発明の一態様に係る微粒子の製造方法について説明する。
<準備工程>
金属酸化物3を用意する。
金属酸化物3は、遷移元素を含有する物であることが好ましい。遷移元素は多価元素である。原理は明確ではないが、微粒化工程において遷移元素が価数変化することにより、アンモニアとの反応性を高めることができる。
金属酸化物3は、B、ABO、AまたはA17(Aは遷移元素、または典型元素、Bは遷移元素、x、yは整数)のいずれかの組成式で表記される化合物であることが好ましい。組成式Bで表記される酸化物は1種の金属元素を含む酸化物であり、ABO、AまたはA17で表記される酸化物は2種以上の金属元素を含む酸化物である。
1種の金属元素を含む酸化物としては、例えばTiO、Ti、Fe、V、CuO、CuO、Nb等を用いることができる。
2種以上の金属元素を含む酸化物は、例えば組成式ABOで表記されるペロブスカイト型酸化物、組成式Aで表記されるパイロクロア型酸化物、組成式A17で表記される酸化物等を用いることができる。例えば、BaTiO、SrTiO、FeTiO、CoTiO、NiTiO、LaTi、LaTi17、PrNiO、NdNiO等がある。これらの酸化物を構成する金属元素の一部がさらに置換されたものでもよい。これらのうちには、セラミックスサーミスター等に用いることができるものが含まれる。
金属酸化物3は、チタン元素を含むことが好ましい。チタン元素を含むものは、高い光触媒性を有しているため有用性が高い。またセラミックコンデンサ等にも好適に用いることができる。
金属酸化物3は、粉末状でも、焼結体でも、単結晶でもよい。また金属酸化物3は、固相反応法等によって新たに作製してもよいし、既にセラミックコンデンサ等の素子として使用されたものを用いてもよい。セラミックコンデンサ等の素子に利用されたものは、金属酸化物3以外に電極等に用いられた金属等が付着している場合がある。この場合、電極等を取り外す必要は特にない。
金属酸化物3を、反応管1内に載置する。載置する方法は、特に問わないが、例えば石英ボード等の上において反応管1内に導入することができる。
<微粒化工程>
微粒化工程は、酸素とアンモニアガスを含む雰囲気下で、600℃〜1500℃に加熱すると共に、光を照射する。図1における製造装置10では、図示左から図示右に向かって酸素とアンモニアを含むガスGを供給する。
図2は、微粒化工程の前後の金属酸化物の写真であり、(a)は微粒化工程前、(b)は微粒化工程後の写真である。図3は、微粒化工程の前後の金属酸化物の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真であり、(a)は微粒化工程前、(b)は微粒化工程後の写真である。
図2に示すように、微粒化工程前の透明な金属酸化物は、微粒化工程後には白くなる。微粒化工程を行うことで、金属酸化物が散乱したためである。また微粒化工程の前後で、金属酸化物は体積膨張する。金属酸化物の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で確認すると、図3に示すように、微粒化工程前は平均粒子径が2μm程度であるのに対し、微粒化工程後は平均粒子径が250nm以下になっている。
微粒化工程において、金属酸化物が微粒化する原理は明確になっていないが、以下のような反応が進むことにより微粒化が進んでいるのではないかと推定される。
まず金属酸化物のいずれかの部分にアンモニアが吸着する。吸着したアンモニアは、金属酸化物を構成する酸素又は環境雰囲気中の酸素と反応して、硝酸塩等を生み出す。硝酸塩は融点が低いため、反応温度中では気体に戻る。この反応過程において、金属酸化物から金属酸化物を構成する酸素原子が取り除かれると、金属酸化物がもろくなることが考えられる。また硝酸塩が気体になる際には体積膨張が生じる。すなわち、もろくなった部分が急激に体積膨張することにより、金属酸化物の微粒化が進んでいるのではないかと考えられる。
吸着したアンモニアが硝酸塩等に変化する際には、反応における電子の授受が生じる。そのため、上述のように金属酸化物3は、遷移元素を含有する物であることが好ましい。
金属酸化物中に遷移元素が含まれると、遷移元素は価数変化することが可能であり、アンモニアへの電子の授受が容易になる。すなわち、環境雰囲気中のアンモニアが硝酸塩等に変化する反応速度を高めることができ、微粒化処理の速度を高めることができる。
反応雰囲気中には酸素とアンモニアを含めばよく、その他のガスを有していてもよい。その他のガスは、特に問わないが、反応に寄与しない不活性ガスであることが好ましい。例えば、窒素、アルゴン等が反応雰囲気中に含まれていてもよい。
酸素とアンモニアを含む雰囲気における酸素濃度は、0.1%〜10%であることが好ましく、1%〜2%であることがより好ましい。金属酸化物を構成する酸素原子が取り除かれると、微粒化後の微粒子は酸素欠損した金属酸化物となることが考えられる。そこで、環境雰囲気における酸素濃度をこの範囲内にしておくことで、環境雰囲気中の酸素と反応する割合を高め、微粒子化後に組成変化が生じることを抑制できる。また微粒子化過程で酸素欠損した場合でも、微粒化後の微粒子を環境雰囲気中の酸素により再度酸化することで、酸素欠損を補うことができる。すなわち、酸素濃度をこの範囲内にすることにより、反応管1内に導入した金属酸化物3の組成を変化させることなく、微粒化することができる。一方で、酸素濃度が高すぎると、反応速度が低下することも実験的に確認されている。
酸素とアンモニアを含む雰囲気におけるアンモニア濃度は、85%以上100未満であることが好ましい。反応後のアンモニアは硝酸塩等の気体となって反応管1から排出される。すなわち、反応雰囲気下に十分なアンモニアが存在しないと、反応が効率的に進まない。アンモニア濃度をこの範囲にすることで、金属酸化物に吸着するアンモニアを枯渇させることなく反応を進めることができ、金属酸化物を微粒化するのに要する時間を短縮することができる。
微粒化工程では、反応管1を加熱する。反応管1内の温度はほぼ均一とすることが好ましく、反応管1内の温度は、金属酸化物3の温度とほぼ同一であるといえる。
反応管1を加熱する温度は、600℃〜1500℃であり、900℃〜1100℃が好ましい。反応管1の温度が500℃未満の場合、反応が進行しない。反応管1の温度が1500℃超であると、反応管1にサファイヤなどを用いたとしても、耐熱性や対熱衝撃性を維持することが難しく、安定的な処理を行うことができない。反応管1の温度が、900℃〜1100℃であれば、比較的安価な装置でかつ効率よく金属酸化物3の微粒化を行うことができる。
反応管1を加熱する時間は、3時間以上30時間以下であることが好ましい。反応時間が3時間未満であると、反応が十分に進まない。一方で、反応時間が30時間あれば、十分反応が進行する。そのため、効率性の観点から反応時間は、30時間以下であることが好ましい。
微粒化工程では、金属酸化物3に光を照射する。ここで、光とは可視光に限られず、赤外光〜紫外光まで含む電磁波を指す。光を照射することにより微粒化が進む原理は明確になっていないが、光が何らかの寄与を及ぼして金属酸化物3を微粒化するものと考えられる。
金属酸化物3に光を照射する照射手段を反応管1内部に設けて、金属酸化物3に光を照射してもよい。一方で、反応管1内部は高熱になる。そのため、金属酸化物3に当てる光は、ヒータ2から発生する輻射光を利用することが好ましい。輻射光を利用すれば、別途照射手段を設ける必要もない。輻射により発生する光は赤外に主要な波長ピークを有する光である。ヒータ2から発生した輻射光は、透明な反応管1を介して、金属酸化物3に照射される。
反応管1は、金属酸化物を撹拌する機構を有していてもよい。反応管1内で、金属酸化物が撹拌すると、微細化した粒子を遊離することができる。これにより、微細化が完了していない表面部を効率的に酸素とアンモニアの混合ガスからなる雰囲気に曝すことができる。撹拌する機構としては、例えば、反応管1が回転するロータリーキルンの機能を持った反応炉とすることができる。この他にも、反応管1の内部に、金属酸化物を攪拌する機構を設置してもよい。
<前処理工程>
上述の手順で金属酸化物の微粒子化を行うことはできるが、微粒化工程の前に、前処理工程を行うことが好ましい。前処理工程とは、金属酸化物3を酸素分圧が0.1%以下の低酸素分圧の雰囲気中で熱処理することを意味する。
低酸素分圧雰囲気中で金属酸化物3を加熱すると、金属酸化物3が酸素欠損し、金属酸化物中の元素の移動が加速され、また、吸着反応の反応点が導入される。そのため、前処理工程を行うと、金属酸化物3を微粒化するのに要する時間を短くすることができると共に、金属酸化物3をより微粒化することができる。この低酸素分圧雰囲気中での処理としては、酸素分圧を著しく低下させるための手段として一般的となっている水素ガス雰囲気中での熱処理を実施することができる。
前処理工程は、微粒化工程を行う製造装置10と異なる装置で行ってもよいし、製造装置10で行ってもよい。製造装置10を用いる場合は、供給するガスGを水素ガスにして前処理工程を行った後に、供給するガスGを酸素とアンモニアの混合ガスに変更して微粒化工程を行うことができる。同一の製造装置10を用いると、設備が大掛かりにならない点や、装置間の移送等を考慮しなくてよいため好ましい。
前処理工程での処理温度は、物質により異なるため特に限定されないが、例えば500℃〜1500℃であることが好ましい。特に酸素欠損の導入に高温が必要となるチタン酸化物等では、1200℃以上とすることが好ましい。この温度範囲内であれば、金属酸化物3から酸素欠損が生じる。処理時間は、2時間以上15時間以下であることが好ましい。反応時間が2時間未満であると、一般的な粒子サイズをもった金属酸化物3の酸素欠損が十分に進まない。一方で、反応時間が10時間あれば、粒子サイズの大きな金属酸化物3に対しても十分反応が進行する。そのため、効率性の観点から反応時間は、15時間以下であることが好ましい。
本発明の一態様に係る微粒子の製造方法では、上述の準備工程と微粒化工程を行うと、溶媒、水、有機物を一切使用しないプロセスで金属酸化物を微粒化できる。不純物が混入することが無く、高い純度を維持したまま微粒化することができる。
また反応前後で金属酸化物の組成を変化させないため、貴金属等の回収にも好適に用いることができる。
本発明の一態様に係る微粒子の製造方法では、粉砕処理等の処理を行った場合と比較してもより平均粒子径の小さい微粒子を得ることができる。
本発明の一態様に係る微粒子の製造方法は、アンモニアと酸素雰囲気下で、光を照射しながら加熱するだけで、硬い金属酸化物が、外力を加えることなく微細化する。すなわち、炉内に入れて加熱するだけでよく、非常に簡便に金属酸化物の微粒子を得ることができる。
<窒化工程>
窒化工程では、微粒化工程により得られた金属酸化物の微粒子を窒化する。すなわち、窒化工程を行うことで、金属酸窒化物の微粒子を得ることができる。
窒化は、微粒化工程により得られた金属酸化物の微粒子をアンモニア雰囲気下で加熱することで行う。ここで、「微粒化工程により得られた金属酸化物の微粒子」は、特許請求の範囲における「微粒化工程により微粒化した反応物」に対応する。
窒化工程は、微粒化工程を行う製造装置10と異なる装置で行ってもよいし、製造装置10で行ってもよい。製造装置10を用いる場合は、供給するガスGを酸素とアンモニアの混合ガスにして微粒化工程を行った後に、供給するガスGをアンモニアの単体に変更して窒化工程を行うことができる。同一の製造装置10を用いると、設備が大掛かりにならない点や、装置間の移送等を考慮しなくてよいため好ましい。
反応時の環境雰囲気は、アンモニアガスを含んでいればよいが、アンモニアのみからなることが好ましい。窒化処理では、金属酸化物中の酸素元素を窒素元素に置き換える。そのため、その他のガスが混在すると、置換反応を阻害する場合がある。
窒化工程での処理温度は、500℃〜1500℃とすることが好ましく、800℃〜1200℃とすることが好ましい。この温度範囲内であれば、微粒子を好適に窒化するができる。処理時間は、2時間以上40時間以下であることが好ましい。反応時間が2時間未満であると、微粒子の窒化反応が十分に進まない。一方で、反応時間が40時間あれば、微粒化工程をしていない金属酸化物でも十分反応が進行する。そのため、効率性の観点から反応時間は、40時間以下であることが好ましい。
金属酸化物を窒化して得られる物質は、金属酸窒化物である。金属酸窒化物は、光触媒等に好適に用いられる。例えば、酸窒化ランタン・チタン等が知られている。
従来のプロセスでは、固相反応により得られた金属酸化物の焼結体をそのまま窒化処理すると長時間の処理を要していた。またクエン酸法等の方法を用いて酸化物の微粒子を形成した後に窒化処理することは行われているが、炭素成分が残存するため脱炭素処理等のプロセスを要していた。
これに対し、本発明の一態様に係る微粒子の製造方法を用いると、光触媒等として需要の多い金属酸窒化物を、溶媒、水、有機物を一切使用しないプロセスで作製することができる。すなわち、脱炭素処理等のプロセスが不要であり、非常に短時間で極めて細かい金属酸窒化物の微粒子を作製することができる。
また本発明の一態様に係る焼結体の破砕方法は、上述の金属酸化物をセラミックコンデンサ等の素子として使用されたものを用いた場合に対応する。この方法を用いることで、セラミックコンデンサ等の素子に、機械等による大きな物理力を加えることなく、簡単にセラミックコンデンサ等の素子を破砕することができる。すなわち、必要な貴金属等の回収が容易になる。
[微粒子]
図4は、本発明の一態様に係る微粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
本発明の一態様に係る微粒子は、SEMで計測した平均粒子径及びBET法を用いて比表面積から換算した平均粒子径のいずれもが250nm以下である金属酸化物または金属酸窒化物である。
SEMで直接観測する方法は、以下の手順で行う。まず20000倍の画像を無作為に撮影する。撮影した画像では、図4に示すように、膨らんだ部分と狭まった部分が交互に繰り返され、各粒子が一部で接続されている。この場合、明らかに膨らんでいる部分に内接する楕円を描き、その短径と長径を測定し、その平均値を1つの粒子の粒子径とした。同様の作業を1つの画像内の10点で行い、1つの画像内における平均の粒子径を算出する。さらに、同様の処理を無作為に選択された合計25カ所以上で行い、各画像における平均粒子径の合計を測定した画像枚数で割ることで、SEMにより測定した平均粒子径とした。
BET法は、希ガスの気体分子を微粒子の表面に吸着させ、吸着した気体分子の量から微粒子の比表面積を測定する方法である。比表面積は、通常のBET法と同様に、飽和蒸気圧と、サンプルセル内の圧力から微粒子の表面に第1層に吸着したガス容積を求め、求めた第1層に吸着したガス容積とアボガドロ数と希ガス1分子の占める面積を積から算出される。微粒子が球体であるという仮定すると平均粒子径Dと、得られた比表面積Sの関係は、S=πDの関係を満たすため、平均粒子径を算出することができる。
ここで、SEMで計測した平均粒子径と、BET法を用いて比表面積から換算した平均粒子径は一致しない場合がある。これは、SEMで直接計測しているものは1次粒子径を計測しているのに対し、BET法を用いて比表面積から換算した平均粒子径は粒子同士が一部凝集した後の2次粒子径の場合があるためである。すなわち、SEMで計測した平均粒子径及びBET法を用いて比表面積から換算した平均粒子径のいずれもが250nm以下であるということは、各粒子の分散性が極めて高く、ほとんど凝集していないことを意味している。なお、前述の前処理工程を行った場合は、処理後に得られる微粒子の分散性が特に高い。
本発明の一態様に係る微粒子の炭素含有量は10ppm以下であることが好ましい。炭素含有量が10ppm以下であるということは、極めて不純物が少ないことを意味する。
炭素含有量は、以下の手段で確認する。
測定試料を酸素ガス中で加熱して放出される炭酸ガスを定量することで炭素含量の定量を行う。
この方法による炭素の検出感度は、10ppm程度である。すなわち、この方法で炭素が検出できないということは炭素含有量が10ppm以下であるといえる。
微粒子化した金属酸化物は、上述の微粒子の製造方法における金属酸化物3と同様の物である。同様の物には、酸素欠損等の酸素量が異なるものや、一部の金属元素が異なる金属元素に置換されたものを含む。
金属酸窒化物の微粒子は、この金属酸化物を窒化したものである。
金属酸化物の微粒子は上述の微粒子工程を行うことで得ることができ、金属酸窒化物の微粒子は上述の微粒子工程の後にさらに窒化工程を行うことで得ることができる。
本発明の一態様に係る微粒子は、平均直径が250nmと非常に細かい。また炭素含有量が10ppmと純度が高くすることができる。例えば、この微粒子をセラミックコンデンサの誘電層に用いると、高純度の金属酸化物の微粒子を用いて誘電層を緻密に形成することができ、得られるセラミックコンデンサの静電容量をより高めることができる。また例えば、この微粒子を光触媒として用いると、高純度かつ比表面積の大きい金属酸窒化物の微粒子であるため、より高い光触媒性能を示すことができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
まず固相反応法を用いて金属酸化物としてLaTiを作製した。得られたLaTiは、白色の粉末であった。このLaTiを、シリカガラスからなる反応管内に載置した。次いで、微粒化工程を行った。まず反応管内に、アンモニアと空気の混合ガスを供給した。この際、混合ガス中におけるアンモニアの濃度は90%であり、混合ガス中における酸素の濃度は2%であった。そして、反応管を1000℃に加熱し、20時間放置した。加熱はヒータ(ニッカトー社製:製品名T−740型)により行い、ヒータは反応管の外周に配設した。ヒータの輻射は、透明なシリカガラスからなる反応管を介して、LaTiに照射されている。
反応後に得られた反応物は、白色の粉末であった。この白色のサンプルを(ブルカー・エイエックスエス)社製のX線回折装置(XRD,D8ADVANCE)を用いて測定したところ、図5に示すように反応前と同じLaTiであることが確認された。図5において、上方に記載されたものが反応後であり、下方に記載されたものが反応前である。
(実施例2)
実施例2では、前処理工程を行った点が実施例1と異なる。
前処理工程は、以下の手順で行った。まず、固相反応法を用いて得られたLaTiを、不透明なアルミナからなる反応管内に載置した。次いで、反応管内部に水素ガスを供給した。そして水素ガス環境下で、1350℃12時間加熱した。加熱後に得られたものは、図6に示すようにXRDの測定結果からLaTiとLaTi17の混合物であることが確認された。この混合物は黒色の粉末であった。図6において、上方に記載されたものが反応後であり、下方に記載されたものが反応前である。
そしてこの混合物を用いて、実施例1と同様の微粒化工程を行った。反応後に得られた反応物は、黄色の粉末であった。得られた反応物は、XRDの測定結果から、LaTiの酸素欠損したもの(LaTi7−δ:δは7以下の任意の数)であることが確認された。
(実施例3)
実施例3では、最初に準備した金属酸化物を変えたこと以外は、実施例1と同様にした。実施例3では、金属酸化物としてBaTiOを準備した。混合物は白色の粉末であった。
反応後に得られた反応物は、白色の粉末であった。得られた反応物は、XRDの測定結果から、BaTiOであることが確認された。
(実施例4)
実施例4では、最初に準備した金属酸化物を焼結体としたこと以外は、実施例3と同様にした。
反応後に得られた反応物は、白色の粉末であった。得られた反応物は、XRDの測定結果から、BaTiOであることが確認された。
(実施例5)
実施例5では、最初に準備した金属酸化物をSrTiOの単結晶としたこと以外は、実施例1と同様にした。
反応後に得られた反応物は、XRDの測定結果から、SrTiOであることが確認された。
(実施例6)
実施例6では、最初に準備した金属酸化物をTiOの単結晶としたこと以外は、実施例1と同様にした。
反応後に得られた反応物は、XRDの測定結果から、TiOであることが確認された。
(実施例7及び8)
実施例7及び8では、微粒化工程における処理温度を変更した点が実施例1と異なる。実施例7では、処理温度を950℃とした。実施例8では、処理温度を1050℃とした。いずれの場合も得られた反応物は、XRDの測定結果から、LaTiであることが確認された。
(実施例9)
実施例9では、微粒化工程における処理温度を変更した点が実施例5と異なる。処理温度は850℃とした。得られた反応物は、ほぼ透明であり目視では反応が進んでいないようにも見えたが、SEMで確認した所、一部局所的に微細化が生じている部分が確認された。単結晶表面の欠陥部において反応が集中的に生じたものと考えられる。処理する試料の結晶性を低下させる、又は処理時間を長くすれば、実施例1〜8と同様に微粒化すると考えられる。
(実施例10)
実施例10では、微粒化工程におけるアンモニア濃度または酸素濃度を変更した点が実施例1と異なる。実施例10では、アンモニア濃度を95%とし、混合ガス中における酸素の濃度は1%とした。いずれの場合も得られた反応物は、XRDの測定結果から、LaTiであることが確認された。
(実施例11)
実施例11では、微粒化工程における反応ガスをアンモニアと酸素のみとした点が実施例5と異なる。得られた反応物は、ほぼ透明であり目視では反応が進んでいないようにも見えたが、SEMで確認した所、一部局所的に微細化が生じている部分が確認された。単結晶表面の欠陥部において反応が集中的に生じたものと考えられる。すなわち、酸素濃度は比較的少ない方が好ましいことが確認できた。一方で、実施例11においても、処理する試料の結晶性を低下させる、又は処理時間を長くすれば、実施例1〜10と同様に微粒化すると考えられる。
反応は生じたものの完全に反応が生じなかった実施例9および実施例11を除き、実施例1〜11のいずれも、処理後の生成物の平均粒子径はSEMで測定してもBET法を用いて算出してもいずれも平均粒子径が250nm以下であった。特に、実施例2においては、目視において嵩高い粉末が得られていた。実施例2の反応物をSEMで確認した平均粒子径は209nmであり、BET法を用いて算出した平均粒子径は215nmであった。SEMで測定した結果とBET法で算出した結果がほぼ一致しており、嵩高さが高分散な状態であることに由来していることを示している。
(比較例1)
比較例1では、反応管を不透明なアルミナにした点のみが実施例1と異なる。
得られた反応物は、XRDの測定結果から、LaTiONであることが確認された。
(比較例2)
比較例2では、反応管を不透明なアルミナにした点及び反応ガスをアンモニアのみにした点が実施例1と異なる。LaTiON及びLaTiの混合物であることが確認された。LaTiONは赤色の物質であり、LaTiは白色の物質であるため、反応物は部分的に赤色の混在した粉末であった。
(比較例3)
比較例2では、微粒化工程における反応管を不透明なアルミナにした点、反応ガスをアンモニアのみにした点が実施例2と異なる。
得られた反応物は、部分的に赤色の混在した粉末であり、XRDの測定結果から、LaTiON及びLaTiの混合物であることが確認された。
(比較例4)
比較例4では、微粒化工程における反応ガスを空気のみにした点が実施例2と異なる。
得られた反応物は、XRDの測定結果から、LaTiであることが確認された。空気中の酸素により酸化されただけであり、前処理工程前の物質に戻った。
(比較例5)
比較例5では、微粒化工程における反応ガスをアルゴンと水蒸気にした点が実施例2と異なる。
得られた反応物は、XRDの測定結果から、LaTiであることが確認された。
(比較例6)
比較例6では、微粒化工程における処理温度を550℃とした点が実施例5と異なる。得られた反応物は、目視で処理前と同一であり、SEMで確認しても反応が生じていないことが確認された。
比較例1〜5における処理後の反応物の平均粒子径は、SEMで確認しても、BET法を用いて算出しても、いずれも数μm程度であり、微粒化しなかった。また比較例6は、単結晶のままであり、微粒化しなかった。比較例1〜3の結果から、微粒化には光が影響を及ぼしていることが分かる。比較例4及び5の結果から、微粒化にはアンモニアが影響を及ぼしていることが分かる。比較例6の結果から、微粒化には550℃超の温度が重要であることが分かる。
実施例1〜11及び比較例1〜6の結果を表1にまとめた。
(実施例12)
実施例1の微粒化工程後に得られたLaTiの微粒子を窒化処理した。窒化処理は以下の手順で行った。まず、実施例1で得られたLaTiの微粒子を不透明なアルミナ反応管の中に載置した。そして反応管内にアンモニアを供給し、1000度で20時間加熱した。
得られた反応物は赤色で、XRD測定の結果、反応物のほとんどがLaTiONであり、僅かにLaTiが残存していた。得られた反応物の平均粒子径は、SEMで確認した値が189nmであり、BET法を用いて算出した値が116nmであった。炭素含有量を分析した結果、検出限界以下であり、炭素含有量が10ppm以下であることが確認された。
(実施例13〜15)
実施例2の微粒化工程後に得られたLaTi7−δ(δは7以下の任意の数)の微粒子を窒化処理した。窒化処理の条件は、実施例13が処理時間を5時間とした点、実施例14が処理時間を10時間、実施例15が処理時間を20時間、とした点が異なる。
得られた反応物は赤色で、XRD測定の結果、LaTiONであった。
実施例13〜15の処理後の試料は、いずれもSEMで測定しても、BET法を用いて算出しても平均粒子径が250nm以下であった。炭素含有量も、検出限界以下であることが確認され、炭素含有量が10ppm以下であることが確認された。すなわち、高純度かつ平均粒子径の小さい金属酸窒化物が得られている。
(比較例7)
比較例7では、微粒子化工程を行っていないLaTiを窒化処理した。すなわち、まず固相反応法によりLaTiを作製した。この固相反応法により得られたLaTiを不透明なアルミナ反応管の中に載置した。そして反応管内にアンモニアを供給し、40時間加熱した。
得られた反応物は赤色で、XRD測定の結果、LaTiONであった。
(比較例8)
比較例8では、比較例7に対して反応管をアルミナ系のセラミックス(HB)に変更した点及び反応時間を60時間にした点が異なる。
得られた反応物は赤色で、XRD測定の結果、LaTiONであった。
比較例7及び8では、反応時間を非常に長くしているため、金属の酸窒化物を得ることはできた。しかしながら、いずれの場合でも処理後の反応物の平均粒子径を測定すると、SEMで測定しても、BET法を用いて算出しても平均粒子径が250nm超であった。
すなわち、平均粒子径の小さい金属酸窒化物を得ることができなかった。
実施例12〜15及び比較例7及び8の結果を表2にまとめた。
(実施例16)
金属酸化物を含むセラミックスとして、セラミック素子を準備した。セラミック素子は、村田製作所製のNTCセラミックサーミスタ(品番:NCP21XV103J03RA)を準備した。
このNTCセラミックサーミスタをシリカガラスからなる反応管内に載置し、アンモニアと空気の混合ガスを供給した。この際、混合ガス中におけるアンモニアの濃度は90%であり、混合ガス中における酸素の濃度は2%であった。そして、反応管を1000℃に加熱し、20時間放置した。加熱はヒータ(ニッカトー社製:製品名T−740型)により行い、ヒータは反応管の外周に配設した。ヒータの輻射は、透明なシリカガラスからなる反応管を介して、NTCセラミックサーミスタに照射されている。
反応後のNTCセラミックサーミスタは、微粒化していた。実施例16の処理後の試料は、SEMで測定しても、BET法を用いて算出しても平均粒子径が250nm以下であった。
(実施例17)
実施例17は、処理時間を5時間とした点が実施例16と異なる。反応後のNTCセラミックサーミスタは、形状が粉状になっていなかった。しかしながら、ピンセットで僅かにつまむだけで、粉々になり微粒化することができた。
上述の実施例16及び17に示すように、既に商品化された素子を簡便に破砕することができた。すなわち、加工された素子から必要な貴金属等を簡便に取り出すことができ、リサイクル効率を高めることができる。
10…製造装置、1…反応管、2…ヒータ、3…金属酸化物

Claims (14)

  1. 酸素とアンモニアを含む雰囲気下で、600℃〜1500℃に加熱すると共に、光を照射して、金属酸化物を微粒化する微粒化工程を有する微粒子の製造方法。
  2. 透明な反応炉内に金属酸化物を導入する準備工程と、
    酸素とアンモニアを含む雰囲気下で、前記透明な反応炉の外部からヒータにより前記反応炉内を600℃〜1500℃に加熱して前記金属酸化物を微粒化する微粒化工程とを有する微粒子の製造方法。
  3. 前記金属酸化物が遷移元素を含む請求項1又は2のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
  4. 前記金属酸化物が、B、ABO、AまたはA17(Aは遷移元素または典型元素、Bは遷移元素、x、yは整数)のいずれかの組成式で表記される化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の微粒子の製造方法。
  5. 前記金属酸化物が、チタンを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の微粒子の製造方法。
  6. 前記微粒化工程における加熱温度を900℃〜1100℃とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の微粒子の製造方法。
  7. 前記酸素とアンモニアを含む雰囲気における酸素濃度が0.1%〜10%である請求項1〜6のいずれか一項に記載の微粒子の製造方法。
  8. 前記酸素とアンモニアを含む雰囲気におけるアンモニア濃度が85%以上100%未満である請求項1〜7のいずれか一項に記載の微粒子の製造方法。
  9. 前記微粒化工程の前に、前記金属酸化物を酸素分圧が0.1%以下の低酸素分圧の雰囲気下で加熱する前処理工程をさらに有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の微粒子の製造方法。
  10. 前記前処理工程を水素ガス雰囲気下で行う請求項9に記載の微粒子の製造方法。
  11. 前記微粒化工程の後に、前記微粒化工程により微粒化した反応物をアンモニア雰囲気下で加熱する窒化工程をさらに有する請求項1〜10のいずれか一項に記載の微粒子の製造方法。
  12. 酸素とアンモニアを含む雰囲気下で、600℃〜1500℃に加熱すると共に、光を照射して、金属酸化物を含むセラミックスの粒界結合を腐食する工程を有する焼結体の破砕方法。
  13. 走査型電子顕微鏡で計測した平均粒子径及びBET法を用いて比表面積から換算した平均粒子径のいずれもが250nm以下である金属酸化物または金属酸窒化物の微粒子。
  14. 炭素含有量が10ppm以下である請求項13に記載の微粒子。
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