JP2017043160A - ウェビング巻取装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スプールのロック部に対する回転が急激に制限されることを抑制する。
【解決手段】ウェビング巻取装置は、乗員に装着されるウェビングが巻取られ、ウェビングが引出されることで引出方向へ回転されるスプールと、スプールと一体回転可能に設けられ、車両の緊急時に回転が規制されるロック部と、を備えている。また、ウェビング巻取装置は、シリンダ部26と、シリンダ部26内に配置されたピストン部28と、を有し、スプール14がロック部22に対して引出方向へ回転される際に、ピストン部28が移動されてシリンダ部26内のガスが圧縮されることで、スプール14のロック部22に対する引出方向への回転を制限する回転制限機構20を備えている。
【選択図】図3
【解決手段】ウェビング巻取装置は、乗員に装着されるウェビングが巻取られ、ウェビングが引出されることで引出方向へ回転されるスプールと、スプールと一体回転可能に設けられ、車両の緊急時に回転が規制されるロック部と、を備えている。また、ウェビング巻取装置は、シリンダ部26と、シリンダ部26内に配置されたピストン部28と、を有し、スプール14がロック部22に対して引出方向へ回転される際に、ピストン部28が移動されてシリンダ部26内のガスが圧縮されることで、スプール14のロック部22に対する引出方向への回転を制限する回転制限機構20を備えている。
【選択図】図3
Description
本発明は、ウェビング巻取装置に関する。
下記特許文献1には、ウェビング巻取装置(シートベルトリトラクタ)が開示されている。この文献に記載されたウェビング巻取装置は、ウェビングが巻取られるスプールと、衝突時に回転がロックされるロック部(ロッキングベース)と、スプールとロック部とを繋ぐと共に捩れることでロック部に対するスプールの引出方向への回転を許容するトーションシャフトと、を備えている。また、ウェビング巻取装置は、スプールと共に一体回転可能に設けられると共にロック部に設けられた環状成形体と螺合されるカラーを備えている。そして、スプールがロック部に対して引出方向へ回転されることで、カラーが環状形成体に沿って移動される。そしてさらに、カラーの移動が制限されることで、スプールのロック部にする引出方向へ回転角度(回転数)が所定の回転角度に制限されるようになっている。
しかしながら、上記ウェビング巻取装置では、カラーとロック部との間に皿ばねが弾性変形不能な状態で挟持されることで、スプールのロック部に対する回転が制限される。そのため、スプールのロック部に対する回転が急激に制限される。
本発明は上記事実を考慮し、スプールのロック部に対する回転が急激に制限されることを抑制することができるウェビング巻取装置を得ることが目的である。
請求項1記載のウェビング巻取装置は、乗員に装着されるウェビングが巻取られ、前記ウェビングが引出されることで引出方向へ回転されるスプールと、前記スプールと一体回転可能に設けられ、車両の緊急時に回転が規制されるロック部と、シリンダ部と、前記シリンダ部内に配置されたピストン部と、を有し、前記スプールが前記ロック部に対して引出方向へ回転される際に、前記ピストン部が移動されて前記シリンダ部内のガスが圧縮されることで、前記スプールの前記ロック部に対する引出方向への回転を制限する回転制限機構と、を備えている。
請求項2記載のウェビング巻取装置は、請求項1記載のウェビング巻取装置において、前記シリンダ部には、該シリンダ部内のガスを排出させると共に閉止部材により閉止されるガス排出孔が形成されており、前記ガス排出孔が前記閉止部材に閉止された状態で、前記シリンダ部内のガスが圧縮されることで、前記スプールの前記ロック部に対する引出方向への回転が規制される。
請求項3記載のウェビング巻取装置は、請求項2記載のウェビング巻取装置において、前記ピストン部は、前記ウェビングの引出速度に対応する速度で移動可能とされ、前記ピストン部が移動されて、前記シリンダ部内のガスが前記ガス排出孔を通じて排出されることで、前記スプールの引出方向への回転に抵抗力を生じさせたままでの前記ウェビングの前記スプールからの引出しが許容される。
請求項1記載のウェビング巻取装置では、乗員に装着されるウェビングがスプールに巻取られており、スプールからウェビングが引出されることで、当該ウェビングが乗員に装着される。
ここで、本発明のウェビング巻取装置では、車両の緊急時にロック部の回転が規制された状態で、スプールが引出方向へ回転されると、ピストン部が移動される。そして、当該ピストン部の移動によりシリンダ部内のガスが圧縮されることで、スプールのロック部に対する引出方向への回転が制限される。このように、シリンダ部内のガスの圧力上昇によってスプールのロック部に対する引出方向への回転を制限することにより、スプールのロック部に対する回転が急激に制限されることを抑制することができる。
請求項2記載のウェビング巻取装置では、ピストン部に形成されたガス排出孔が閉止部材により閉止された状態でピストン部が移動されると、シリンダ部内のガスが圧縮される。これにより、スプールのロック部に対する引出方向への回転が制限される。ここで、ピストン部に形成されたガス排出孔が閉止部材により閉止されるタイミングを調節することにより、スプールのロック部に対する回転の減速特性を調節することができる
。
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請求項3記載のウェビング巻取装置では、車両の緊急時にロック部の回転が規制された状態で、スプールが引出方向へ回転されると、ピストン部がウェビングのスプールからの引出速度に対応する速度で移動される。そして、シリンダ部内のガスがガス排出孔を通じて排出されることで、スプールの引出方向への回転に抵抗力を生じさせたままでのウェビングのスプールからの引出しが許容される
ここで、ガスがウェビングのスプールからの引出速度に対応する速度でガス排出孔を通過する。すなわち、シリンダ部内のガスがガス排出孔を通過する際の通過抵抗が、ウェビングのスプールからの引出速度に応じて変化する。これにより、本発明では、スプールに作用する上記抵抗力をウェビングのスプールからの引出速度に対応する荷重とすることができる。
図1〜図5を用いて、本発明の実施形態に係るウェビング巻取装置について説明する。なお、図中に適宜示す矢印Z方向、矢印R方向及び矢印C方向は、スプールの回転軸方向、回転径方向及び回転周方向をそれぞれ示すものとする。また以下、単に軸方向、径方向、周方向を示す場合は、特に断りのない限り、スプールの回転軸方向、回転径方向、回転周方向を示すものとする。
図1に示されるように、本実施形態のウェビング巻取装置10は、乗員に装着されるウェビング12が巻取られ、ウェビング12が引出されることで引出方向へ回転されるスプール14と、スプール14を回転可能に支持するフレーム16と、を備えている。また、ウェビング巻取装置10は、車両の緊急時にウェビング12にフォースリミッタ荷重を作用させるフォースリミッタ機構18と、車両の緊急時にウェビング12にフォースリミッタ荷重を作用させると共にスプール14の引出方向への回転角度を所定の回転角度に制限する回転制限機構20と、を備えている。
図1及び図2に示されるように、スプール14は、略円柱状に形成された巻取部14Aを備えている。この巻取部14Aには、長尺帯状のウェビング12が基端側から巻取られており、ウェビング12は、フレーム16から上側へ延出されて、車両のシート(図示省略)に着座した乗員に装着可能にされるようになっている。また、スプール14が周方向他方側(矢印Cの方向とは反対方向)へ回転されることで、ウェビング12がスプール14に巻取られると共に、ウェビング12がスプール14から引出されることで、スプール14が周方向一方側(矢印C方向)へ回転される、すなわち、スプール14が引出方向へ回転されるようになっている。
図2に示されるように、スプール14は、巻取部14Aの軸方向一方側(矢印Z方向側)の端部から軸方向一方側に向けて延びる延長軸部14Bを備えている。この延長軸部14Bは、巻取部14Aの外径よりも小径の円柱状に形成されており、また延長軸部14Bの回転軸と巻取部14Aの回転軸とは一致している。
スプール14の軸方向他方側(矢印Z方向とは反対側)には、車両の緊急時(車両の衝突時等におけるウェビング12のスプール14からの急激な引出し時や車両の急減速時)に周方向一方側(スプール14の引出方向)への回転が規制されるロック部22が設けられている。また、ロック部22の軸心部には、後述するトーションシャフト24の軸方向他方側の端部に形成された第1セレーション部24Aが係合する図示しない第1セレーション部係合孔が形成されている。この第1セレーション部係合孔は、ロック部22の軸心部を軸方向に貫通しており、また第1セレーション部係合孔の内縁部は、軸方向一方側から見て第1セレーション部24Aの外縁部の形状に対応する形状に形成されている。そして、トーションシャフト24の第1セレーション部24Aが第1セレーション部係合孔に係合されることで、トーションシャフト24の軸方向他方側の端部とロック部22とが一体回転可能に結合されるようになっている。
フォースリミッタ機構18はトーションシャフト24を含んで構成されている。トーションシャフト24は、略棒状に形成されており、このトーションシャフト24は、スプール14の回転軸線と同軸上に配置されている。また、トーションシャフト24の軸方向他方側の端部には、ロック部22に設けられた図示しない第1セレーション部係合孔に係合する第1セレーション部24Aが形成されている。また、トーションシャフト24の軸方向一方側の端部には、スプール14の巻取部14Aの内部に設けられた図示しない第2セレーション部係合部に係合する第2セレーション部24Bが形成されている。そして、トーションシャフト24の第2セレーション部24Bが第2セレーション部係合部に係合されることで、トーションシャフト24の軸方向一方側の端部とスプール14とが一体回転可能に結合されるようになっている。また、トーションシャフト24における第1セレーション部24Aと第2セレーション部24Bとの間の部位は、第1セレーション部24A及び第2セレーション部24Bよりも小径の円柱状に形成された捩れ部24Cとされている。そして、車両の緊急時にロック部22の回転が規制されると、スプール14の引出方向への回転がトーションシャフト24を介して制限される。そして、スプール14の引出方向への回転トルクが所定値を超えると、トーションシャフト24の捩れ部24Cが捩れて、スプール14が引出方向へ回転されるようになっている。
図2及び図3に示されるように、回転制限機構20は、シリンダ部26と、シリンダ部26内に配置されたピストン部28と、を備えている。また、回転制限機構20は、ピストン部28を移動させるスライド部30と、回転されることでスライド部30を回転軸方向へ移動させるスクリュー32と、スプール14の回転をスクリュー32に伝達可能にするクラッチ34と、を備えている。
図3に示されるように、シリンダ部26は、円板状に形成された底壁部26Aと、底壁部26Aの径方向外側の端から軸方向他方側(フレーム16(図2参照)側)に向けて延びると共に円筒状に形成された側壁部26Bと、を備えている。また、シリンダ部26は、側壁部26Bにおける軸方向他方側の端から段差部26Cを介して軸方向他方側に向けて延びると共に内径が側壁部26Bの内径よりも大径に設定されたスライド部係合壁部26Dを備えている。さらに、シリンダ部26は、スライド部係合壁部26Dの軸方向他方側の端から径方向外側に向けて延びると共に後述するクラッチ34(図2参照)を覆う図示しないクラッチカバーを介してフレーム16(図2参照)に固定されるフランジ部26Eを備えている。底壁部26Aの中心部には、シリンダ部26の内部と外部とを連通するガス排出孔26Fが形成されている。このガス排出孔26Fの内径は、シリンダ部26の外部側(軸方向一方側)に向かうにつれて次第に小さくなっている。また、スライド部係合壁部26Dの内周部には、後述するスライド部30のガイド突起部30Bが係合される4つのガイド溝26Gが形成されており、この4つのガイド溝26Gは、スライド部係合壁部26Dの周方向に沿って等間隔に配置されている。
ピストン部28は、シリンダ部26の側壁部26Bの径方向内側に配置されている。このピストン部28は、シリンダ部26の底壁部26Aと軸方向に対向して配置される円板状に形成されている。また、ピストン部28の外周部には、環状に形成されたシール36が取付けられるシール取付溝28Aが形成されている。そして、このシール36によってシリンダ部26内のガスが当該シリンダ部26の側壁部26Bとピストン部28との間から漏出すことが抑制されるようになっている。また、ピストン部28におけるスライド部30側の部位は、当該スライド部30側に向けて次第に拡幅する凹状に形成されたスライド部当接部28Bとされている。さらに、ピストン部28の中心部には、軸方向一方側が開放されていると共に軸方向他方側が閉止された閉止部材挿入孔28Cが形成されている。この閉止部材挿入孔28Cの閉止端側には、圧縮コイルスプリング38が格納されており、また閉止部材挿入孔28Cには、後述する閉止部材42の円柱状部42Aが挿入されている。また、ウェビング巻取装置10が組立てられた状態では(図3に示された状態では)、ピストン部28とシリンダ部26の底壁部26Aとが離間されている。これにより、ピストン部28とシリンダ部26との間に所定の容量の初期空間40が形成されるようになっている。なお、ウェビング巻取装置10が組立てられた状態で初期空間40内に存在するガスの圧力は、大気圧の圧力と略同一の圧力となっている。
閉止部材42は、円柱状に形成された円柱状部42Aと、円柱状部42Aの一方側の端部に設けられていると共に円柱状部42Aと離間する側に向かうにつれて次第に窄まる円錐形状に形成された閉止部42Bと、を備えている。また、円柱状部42Aがピストン部28に形成された閉止部材挿入孔28Cに挿入されることで、閉止部材42がピストン部28に軸方向に移動可能に支持されるようになっている。なお、図示しない抜止機構が設けられていることにより、円柱状部42Aがピストン部28に形成された閉止部材挿入孔28Cから抜出さないようになっている。また、閉止部材42が閉止部材挿入孔28Cの閉止端側に移動されることで、閉止部材挿入孔28C内に格納された圧縮コイルスプリング38が圧縮される。これにより、閉止部材42が軸方向一方側へ付勢されるようになっている。また、ウェビング巻取装置10が組立てられた状態では、閉止部材42の閉止部42Bとシリンダ部26の底壁部26Aとが離間されている。そして、図4に示されるように、ピストン部28が軸方向一方側へ移動されることで、当該ピストン部28と共に移動された閉止部材42の閉止部42Bがシリンダ部26の底壁部26Aに形成されたガス排出孔26Fを閉止するようになっている。
図3に示されるように、スライド部30は、後述するスクリュー32の回転軸方向を軸方向とする円柱状に形成されている。このスライド部30におけるピストン部28側の部位は、当該ピストン部28側に向かうにつれて次第に窄まるように形成されたピストン部押圧部30Aとされている。このピストン部押圧部30Aがピストン部28のスライド部当接部28Bに当接して、ピストン部押圧部30Aがピストン部28のスライド部当接部28Bを押圧することで、ピストン部28が軸方向一方側(スクリュー32の回転軸方向一方側)に移動されるようになっている。また、スライド部30におけるピストン部28とは反対側の部位の外周部には、シリンダ部26に形成された4つのガイド溝26Gにそれぞれ係合される4つのガイド突起部30Bが形成されている。そして、ガイド突起部30Bがガイド溝26Gにそれぞれ係合されることで、スライド部30の周方向(スクリュー32の回転周方向)への回転が規制されるようになっていると共に、ガイド突起部30Bがガイド溝26Gにガイドされながら、スライド部30がスクリュー32の回転軸方向へ移動されるようになっている。また、スライド部30の軸心部には、スクリュー32が挿入されるスクリュー挿入孔30Cが形成されている。このスクリュー挿入孔30Cの内周部には、後述するスクリュー32の螺旋歯32Cが係合される螺旋溝30Dが当該スクリュー32の軸方向を軸方向として形成されている。
スクリュー32は、略棒状に形成されている。このスクリュー32におけるスライド部30とは反対側の部位は、スプール14の回転が後述するクラッチ34を介して伝達される伝達軸部32Aとされている。また、スクリュー32におけるスライド部30側の部位は、スライド部30のスクリュー挿入孔30Cに挿入される挿入部32Bとされており、この挿入部32Bには、螺旋状に形成された螺旋歯32Cが当該スクリュー32の軸方向を軸方向として形成されている。
図2及び図3に示されるように、クラッチ34は、スプール14とスクリュー32との間に設けられている。このクラッチ34は、車両の緊急時にロック部22の回転が規制されると共にスプール14がロック部22に対しての引出方向へ回転され始める際に作動される、すなわち、トーションシャフト24の捩れ部24Cが捩れ始める際に作動されるようになっている。そして、クラッチ34が作動されることで、スプール14の延長軸部14Bとスクリュー32の伝達軸部32Aとがクラッチ34を介して一体回転可能に結合されるようになっている。
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
図1に示されるように、本実施形態のウェビング巻取装置10では、ウェビング12が、スプール14から引出されて、図示しない車両のシートに着座した乗員に装着される。
図1〜図3に示されるように、車両の緊急時(車両の衝突時等)には、ロック部22の引出方向への回転が規制される。これにより、スプール14のロック部22に対する引出方向への回転がトーションシャフト24を介して制限されることで、ウェビング12のスプール14からの引出しが制限されて、ウェビング12によって乗員が拘束される。
また、スプール14のロック部22に対する引出方向への回転がトーションシャフト24を介して制限された状態で、ウェビング12から乗員に作用される荷重(乗員からウェビング12に作用される荷重)が所定値以上となった際に、トーションシャフト24の捩れ部24Cが捩れ変形されて、スプール14のロック部22に対する引出方向への回転が許容される。なお、トーションシャフト24の捩れ部24Cが捩れ変形されることでウェビング12が引出されるための荷重(引出抵抗荷重)を第1フォースリミッタ荷重というものとする。
また、トーションシャフト24の捩れ部24Cが捩れ変形されることにより、スプール14がロック部22に対して引出方向へ回転され始めると、クラッチ34が作動される。これにより、スプール14とスクリュー32とがクラッチ34を介して一体回転可能に結合される。そして、ウェビング12がスプール14からさらに引出されることで、スプール14がスクリュー32と共に引出方向へ回転されると、スライド部30が軸方向一方側へ移動されて、スライド部30がピストン部28と共に軸方向一方側へ向けて移動される。これにより、ピストン部28とシリンダ部26との間の空間内の容積が減少することで当該空間内のガス(空気)の圧力がシリンダ部26の外部のガスの圧力よりも高くなる。その結果、ピストン部28とシリンダ部26との間の空間内のガスが、ピストン部28に形成されたガス排出孔26Fを通じてピストン部28の外部に排出される。そして、ガス排出孔26Fを通過するガスの通過抵抗によって、スプール14に引出方向とは反対方向への抵抗力が生じる。なお、ガスがガス排出孔26Fを通過することでピストン部28、スライド部30、スクリュー32、クラッチ34及びスプール14を介してウェビング12に生じる荷重(引出抵抗荷重)を第2フォースリミッタ荷重というものとする。
ここで、本実施形態では、ピストン部28の移動速度がウェビング12のスプール14からの引出速度に応じて変化する。これにより、ガス排出孔26Fを通過するガスの速度がウェビング12のスプール14からの引出速度に応じて変化する。すなわち、ガスのガス排出孔26Fを通過する際の通過抵抗がウェビング12のスプール14からの引出速度に応じて変化する。その結果、本実施形態では、ウェビング12に作用する第2フォースリミッタ荷重を当該ウェビング12のスプール14からの引出速度(すなわち、乗員体格又は車両の衝突速度)に無段階で対応する荷重とすることができる。そして、スプール14のロック部22に対する第1フォースリミッタ荷重と第2フォースリミッタ荷重とを足合わせたフォースリミッタ荷重以上での引出方向への回転が許容される。これにより、乗員の運動エネルギーがトーションシャフト24の捩れ部24Cの変形及びガスがガス排出孔26Fを通過することによって吸収されて、ウェビング12から乗員に作用される荷重が低減される。
また、ウェビング12がスプール14からさらに引出されることで、スライド部30が軸方向一方側へさらに移動されると、当該ピストン部28と共に移動された閉止部材42の閉止部42Bがシリンダ部26の底壁部26Aに形成されたガス排出孔26Fを閉止する。図5に示されるように、ウェビング12がスプール14からさらに引出されることで、スライド部30が軸方向一方側へさらに移動されると、ピストン部28とシリンダ部26との間の空間内のガスが圧縮されて高圧になる。なお、シリンダ部26に形成されたガス排出孔26Fが閉止部材42の閉止部42Bによって閉止された状態でピストン部28が軸方向一方側へ移動されると、ピストン部28の閉止部材挿入孔28C内に格納された圧縮コイルスプリング38が圧縮される。これにより、ガス排出孔26Fの縁部と閉止部材42の閉止部42Bとの接触圧力が高まるようになっている。
ここで、ピストン部28とシリンダ部26との間の空間内のガスが圧縮されることによって、ピストン部28とシリンダ部26との間の空間内のガス圧が上昇すると、ピストン部28には当該ピストン部28を軸方向他方側へ押返す方向への力が生じる。この力は、ピストン部28、スライド部30、スクリュー32及びクラッチ34を介してスプール14に伝達される。これにより、巻取方向(周方向他方側)への回転力がスプール14に生じて、スプール14のロック部22に対する引出方向への回転が所定の回転角度に制限される。このように、本実施形態では、ウェビング12のスプール14からの引出量(乗員の移動量)が大きくなった際に、シリンダ部26内のガスの圧力上昇によってスプール14のロック部22に対する引出方向への回転を制限することにより、スプール14のロック部22にする回転が急激に制限されることを抑制することができる。
また、本実施形態では、ピストン部28に形成されたガス排出孔26Fが閉止部材42の閉止部42Bにより閉止されるタイミングを調節することにより、スプール14のロック部22にする回転の減速特性を調節することができる。なお、一例としてピストン部28の円柱状部42Aの長さを調節することによって、ピストン部28に形成されたガス排出孔26Fが閉止部材42の閉止部42Bにより閉止されるタイミングを調節することができる。
(変形例に係る回転制限機構44)
次に、図6〜図8を用いて上記実施形態の変形例に係る回転制限機構44について説明する。なお、上記実施形態と同一の機能を有する部材及び部分については上記実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
次に、図6〜図8を用いて上記実施形態の変形例に係る回転制限機構44について説明する。なお、上記実施形態と同一の機能を有する部材及び部分については上記実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
図6に示されるように、本変形例の回転制限機構44は、クラッチ34(図2参照)が作動されることでスプール14(図2参照)とピストン部28とが一体回転可能に結合されることに特徴がある。なお、本変形例では、スプール14とピストン部28とが一体回転可能に結合された状態でのピストン部28のスプール14に対する軸方向一方側への移動を許容する機構がクラッチ34に設けられている。
ピストン部28の外周部には、軸方向に沿って雄螺子部28Dが形成されている。またシリンダ部26の側壁部26Bの内周部には、ピストン部28の雄螺子部28Dが螺合される雌螺子部26Hが軸方向に沿って形成される。そして、ピストン部28がスプール14と共に引出方向へ回転されることで、ピストン部28が軸方向一方側へ移動されるようになっている。
以上説明した本変形例では、クラッチ34が作動された状態でウェビング12がスプール14から引出されることで、ピストン部28がスプール14と共に引出し方向へ回転されると、ピストン部28が軸方向一方側へ向けて移動される。これにより、ピストン部28とシリンダ部26との間の空間内のガスが、ピストン部28に形成されたガス排出孔26Fを通じてピストン部28の外部に排出される。その結果、上記実施形態と同様に、スプール14に引出し方向とは反対方向への抵抗力が生じる。
また、図7に示されるように、ピストン部28がスプール14と共に引出方向へさらに回転されることにより、ピストン部28が軸方向一方側へさらに移動されると、当該ピストン部28と共に移動された閉止部材42の閉止部42Bがシリンダ部26の底壁部26Aに形成されたガス排出孔26Fを閉止する。図8に示されるように、ウェビング12がスプール14からさらに引出されることで、スライド部30が軸方向一方側へさらに移動されると、ピストン部28とシリンダ部26との間の空間内のガスが圧縮されて高圧になる。これにより、スプール14のロック部22(図2参照)に対する引出方向への回転が所定の回転角度に制限される。その結果、本変形例の回転制限機構44では上記実施形態の回転制限機構20と同様に、スプール14のロック部22にする回転が急激に制限されることを抑制することができる。また、本変形例の回転制限機構44は、上記実施形態の回転制限機構20に比して構成部品の点数を少なくすることができる。
なお、上記実施形態等では、ガス排出孔26Fを通過するガスの通過抵抗によってスプール14に引出し方向とは反対方向への抵抗力が生じる回転制限機構20,44を用いてウェビング巻取装置10を構成した例について説明したが、上記ガス排出孔26Fを有しない回転制限機構を用いてウェビング巻取装置10を構成してもよい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
10 ウェビング巻取装置
12 ウェビング
14 スプール
20 回転制限機構
22 ロック部
26 シリンダ部
26F ガス排出孔
28 ピストン部
42 閉止部材
44 回転制限機構
12 ウェビング
14 スプール
20 回転制限機構
22 ロック部
26 シリンダ部
26F ガス排出孔
28 ピストン部
42 閉止部材
44 回転制限機構
Claims (3)
- 乗員に装着されるウェビングが巻取られ、前記ウェビングが引出されることで引出方向へ回転されるスプールと、
前記スプールと一体回転可能に設けられ、車両の緊急時に回転が規制されるロック部と、
シリンダ部と、前記シリンダ部内に配置されたピストン部と、を有し、前記スプールが前記ロック部に対して引出方向へ回転される際に、前記ピストン部が移動されて前記シリンダ部内のガスが圧縮されることで、前記スプールの前記ロック部に対する引出方向への回転を制限する回転制限機構と、
を備えたウェビング巻取装置。 - 前記シリンダ部には、該シリンダ部内のガスを排出させると共に閉止部材により閉止されるガス排出孔が形成されており、
前記ガス排出孔が前記閉止部材に閉止された状態で、前記シリンダ部内のガスが圧縮されることで、前記スプールの前記ロック部に対する引出方向への回転が規制される請求項1記載のウェビング巻取装置。 - 前記ピストン部は、前記ウェビングの引出速度に対応する速度で移動可能とされ、
前記ピストン部が移動されて、前記シリンダ部内のガスが前記ガス排出孔を通じて排出されることで、前記スプールの引出方向への回転に抵抗力を生じさせたままでの前記ウェビングの前記スプールからの引出しが許容される請求項2記載のウェビング巻取装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2015165736A JP2017043160A (ja) | 2015-08-25 | 2015-08-25 | ウェビング巻取装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015165736A JP2017043160A (ja) | 2015-08-25 | 2015-08-25 | ウェビング巻取装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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---|---|---|---|
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Country | Link |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US10442396B2 (en) | 2017-05-03 | 2019-10-15 | Ford Global Technologies, Llc | Load limiting seatbelt retractor |
US10486644B2 (en) | 2017-05-03 | 2019-11-26 | Ford Global Technologies, Llc | Load limiting seatbelt retractor |
-
2015
- 2015-08-25 JP JP2015165736A patent/JP2017043160A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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GB2563989A (en) * | 2017-05-03 | 2019-01-02 | Ford Global Tech Llc | Load limiting seatbelt retractor |
US10442396B2 (en) | 2017-05-03 | 2019-10-15 | Ford Global Technologies, Llc | Load limiting seatbelt retractor |
US10486644B2 (en) | 2017-05-03 | 2019-11-26 | Ford Global Technologies, Llc | Load limiting seatbelt retractor |
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