JP2017040029A - リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤及びパルプの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 パルプ収率及びパルプ品質(白色度、比引裂強度、比破裂強度及びカッパー価の低下等)を著しく向上できるリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)〜(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のチオール化合物を含有するリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤;該リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤の存在下で、リグノセルロース物質を蒸解する工程を含むパルプの製造方法。リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤の重量を基準として、チオール化合物の含有量が0.001〜30重量%であることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 下記一般式(1)〜(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のチオール化合物を含有するリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤;該リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤の存在下で、リグノセルロース物質を蒸解する工程を含むパルプの製造方法。リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤の重量を基準として、チオール化合物の含有量が0.001〜30重量%であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤及びパルプの製造方法に関する。
リグノセルロース物質を蒸解してパルプを製造する際、原木やエネルギーの原単位を抑え、経済的に良質な製品を生産するために、水溶性ジヒドロキシアントラセン化合物(1,4,9,10−テトラヒドロキシアントラセン等)を添加することが知られている(特許文献1)。
しかし、水溶性ジヒドロキシアントラセン化合物を用いても、パルプ収率及びパルプ品質(比引裂強度及び比破裂強度等)を十分に向上することができない上、アントラセン誘導体は発がん性を有するため、人体へ致命的な悪影響を及ぼす可能性をはらんでいるという問題がある。さらに、蒸解工程で得られるパルプの白色度が低く、漂白工程における漂白剤{酸素、二酸化塩素、塩素、次亜塩素、過酸化水素、水酸化ナトリウム及びオゾン等}を大量に必要とするという問題がある。
本発明の目的は、パルプ収率及びパルプ品質(白色度、比引裂強度、比破裂強度及びカッパー価の低下等)を著しく向上できるリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、本発明に到達した。即ち本発明は、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のチオール化合物(A)を含有するリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q)である。
一般式(1)〜(3)中、R1〜R3、R5〜R8は、それぞれ独立に水素原子、水酸基又は炭素数1〜30の1価の炭化水素基;R4は炭素数2〜30の2価の炭化水素基;但し、R1〜R3の全てが水素原子である場合を除く。
本発明のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤は、パルプ収率及びパルプ品質(白色度、比引裂強度、比破裂強度及びカッパー価の低下等)を著しく向上できる。
[チオール化合物(A)]
本発明におけるチオール化合物(A)は、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
上記チオール化合物(A)のうち、パルプ収率及びパルプ品質等の観点から、好ましいのは一般式(2)〜(3)で表される化合物であり、さらに好ましいのは一般式(3)で表される化合物である。
本発明におけるチオール化合物(A)は、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
上記チオール化合物(A)のうち、パルプ収率及びパルプ品質等の観点から、好ましいのは一般式(2)〜(3)で表される化合物であり、さらに好ましいのは一般式(3)で表される化合物である。
一般式(1)〜(3)中、R1〜R3、R5〜R8は、それぞれ独立に水素原子、水酸基又は炭素数1〜30の1価の炭化水素基;R4は炭素数2〜30の2価の炭化水素基;但し、R1〜R3の全てが水素原子である場合を除く。
前記炭素数1〜30の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−又はiso−プロピル基、n−、sec−又はtert−ブチル基、n−、iso−又はneo−ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−イソプロピル−3−メチルシクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、イソボルニル基、n−エイコサニル基、フェニル基及びナフチル基等が挙げられる。
また、R1〜R3、R5〜R8については、1価の炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜3である。
また、R1〜R3、R5〜R8については、1価の炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜3である。
前記炭素数2〜30の2価の炭化水素基としては、炭素数2〜30(好ましくは2〜10)のもの、例えば直鎖炭化水素基、分岐鎖を有する炭化水素基、脂環式アルキレン基及び芳香族炭化水素基が挙げられ、好ましいのは、エチレン基、n−又はiso−プロピレン基、n−、sec−又はtert−ブチレン基、n−、iso−又はneo−ペンチレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、イソボルニレン基、n−エイコサニレン基、一般式(2)が2−メルカプト−1−イミダゾールとなる炭化水素基、一般式(2)が2−アミノ−4−メチルチアゾールとなる芳香族炭化水素基、一般式(2)が2−メルカプトベンゾイミダゾールとなる芳香族炭化水素基である。
本発明におけるチオール化合物(A)としては、パルプ収率及びパルプ品質等の観点から、下記一般式(5)〜(8)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
上記チオール化合物(A)のうち、パルプ収率及びパルプ品質等の観点から、好ましいのは一般式(6)〜(8)で表される化合物であり、さらに好ましいのは一般式(7)〜(8)で表される化合物である。
上記チオール化合物(A)のうち、パルプ収率及びパルプ品質等の観点から、好ましいのは一般式(6)〜(8)で表される化合物であり、さらに好ましいのは一般式(7)〜(8)で表される化合物である。
[リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q)]
本発明のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q)は前記チオール化合物(A)を含有する。
該リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q)は、チオール化合物(A)をそのまま用いてもよいが、好ましいのは、後述の溶剤等を添加した形態である。
本発明のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤中のチオール化合物(A)の含有量は、パルプ収率及びパルプ品質等の観点から、リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q)の重量を基準として、好ましくは0.001〜30重量%、更に好ましくは0.01〜20重量%である。
本発明のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q)は前記チオール化合物(A)を含有する。
該リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q)は、チオール化合物(A)をそのまま用いてもよいが、好ましいのは、後述の溶剤等を添加した形態である。
本発明のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤中のチオール化合物(A)の含有量は、パルプ収率及びパルプ品質等の観点から、リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q)の重量を基準として、好ましくは0.001〜30重量%、更に好ましくは0.01〜20重量%である。
本発明のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤には、前記のとおり、必要により溶剤、界面活性剤、消泡剤及びその他の添加剤等を添加してもいい。
溶剤としては、水、親水性有機溶剤、水と親水性有機溶剤との混合溶剤等が含まれる。
親水性有機溶剤としては、炭素数4〜8のエステル{酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート及びエチルセロソルブアセテート等}、炭素数4〜8のエーテル{エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等}、炭素数3〜8のケトン{アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等}、炭素数1〜8のアルコール{メタノール、エタノール、n−又はi−プロパノール、n−、i−又はt−ブタノール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコール等}、及び炭素数5〜8の複素環式化合物{N−メチルピロリドン等}等が挙げられる。これらのうち、水、水とエーテルとの混合溶媒及び水とアルコールとの混合溶媒が好ましく、特に好ましいのは水である。
上記溶剤は、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
溶剤として、水と親水性有機溶剤との混合溶媒を用いる場合、水/親水性有機溶剤の含有重量比[水/親水性有機溶剤]は、好ましくは1〜200、さらに好ましくは1.5〜100、特に好ましくは2〜50である。
親水性有機溶剤としては、炭素数4〜8のエステル{酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート及びエチルセロソルブアセテート等}、炭素数4〜8のエーテル{エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等}、炭素数3〜8のケトン{アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等}、炭素数1〜8のアルコール{メタノール、エタノール、n−又はi−プロパノール、n−、i−又はt−ブタノール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコール等}、及び炭素数5〜8の複素環式化合物{N−メチルピロリドン等}等が挙げられる。これらのうち、水、水とエーテルとの混合溶媒及び水とアルコールとの混合溶媒が好ましく、特に好ましいのは水である。
上記溶剤は、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
溶剤として、水と親水性有機溶剤との混合溶媒を用いる場合、水/親水性有機溶剤の含有重量比[水/親水性有機溶剤]は、好ましくは1〜200、さらに好ましくは1.5〜100、特に好ましくは2〜50である。
溶剤を含有する場合、リグノセルロース物質蒸解助剤(Q)中の溶剤の含有量(重量%)は、好ましくは60〜99.9、更に好ましくは70〜98、特に好ましくは80〜95である。
界面活性剤としては、公知の界面活性剤{たとえば、特開2002−180391号公報}等が使用でき、ノニオン界面活性剤、スルホ基、スルホオキシ基又はホスホノ基の少なくとも1種を有するアニオン界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン界面活性剤が含まれる。これらのうち、ノニオン界面活性剤、スルホ基、スルホオキシ基又はホスホノ基の少なくとも1種を有するアニオン界面活性剤及び両性界面活性剤が好ましく、さらに好ましくはノニオン界面活性剤及びスルホ基、スルホオキシ基又はホスホノ基の少なくとも1種を有するアニオン界面活性剤(C2)、特に好ましくはノニオン界面活性剤、最も好ましくはポリオキシアルキレンアルキル(炭素数4〜24)エーテル、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数4〜24)フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数4〜24)アミド及びポリエーテル変性シリコーンである。
界面活性剤のHLBは、6〜18が好ましく、さらに好ましくは7〜17、特に好ましくは8〜16である。この範囲であると、より高い浸透効果が得られ、さらにパルプ収率及びパルプ品質が良好となる。
ここで、HLBは有機性と無機性のバランスを示し、Hydorophile−Liophile Balanceの略である。HLBは、小田法による数値であり、有機性と無機性を示す数値(小田、寺村著「界面活性剤の合成と其応用」501頁、槇書店)を合計することによって計算できる。
ここで、HLBは有機性と無機性のバランスを示し、Hydorophile−Liophile Balanceの略である。HLBは、小田法による数値であり、有機性と無機性を示す数値(小田、寺村著「界面活性剤の合成と其応用」501頁、槇書店)を合計することによって計算できる。
界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の添加量(重量%)は、チオール化合物(A)の重量に対して、好ましくは2〜98、さらに好ましくは5〜95、特に好ましくは10〜90である。
消泡剤としては、公知の消泡剤{ポリエーテル消泡剤、動植物鉱物油消泡剤、シリコーン消泡剤及びワックスエマルション消泡剤等}等が使用できる。
消泡剤を含有する場合、消泡剤の添加量(重量%)は、チオール化合物(A)の重量に対して、好ましくは2〜50、さらに好ましくは5〜40、特に好ましくは10〜30である。
その他の添加剤としては、公知の添加剤{分散剤、耐水化剤、保水剤、増粘剤、表面サイズ剤、流動性改良剤、潤滑剤、湿潤剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消臭剤、香料、染料、填料、スライムコントロール剤、ピッチコントロール剤及び/又は防腐剤等}等が含まれる。
その他の添加剤を含有する場合、その他の添加剤の添加量(重量%)は、チオール化合物(A)の重量に対して、好ましくは2〜50、さらに好ましくは5〜40、特に好ましくは10〜30である。
本発明のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤がチオール化合物(A)、必要により、溶剤、界面活性剤、消泡剤及びその他の添加剤等を含む場合、本発明の蒸解助剤は、チオール化合物(A)、必要により、溶剤、界面活性剤、消泡剤及びその他の添加剤等をディスパーサー等で均一混合することにより得られる。混合撹拌温度は、好ましくは10℃〜40℃、さらに好ましくは20℃〜30℃である。
[パルプの製造方法]
本発明のパルプの製造方法は、前記リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q)の存在下で、リグノセルロース物質を蒸解(好ましくはアルカリ蒸解又は亜硫酸塩蒸解)して、パルプを得る工程を含むものである。
本発明のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤は、この蒸解助剤の存在下で、リグノセルロース物質をアルカリ蒸解又は亜硫酸塩蒸解して、未晒パルプができれば、直接的に、リグノセルロース物質と混合してもよく、また、間接的に、蒸解液と混合してからリグノセルロース物質と混合してもよい。
本発明のパルプの製造方法は、前記リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q)の存在下で、リグノセルロース物質を蒸解(好ましくはアルカリ蒸解又は亜硫酸塩蒸解)して、パルプを得る工程を含むものである。
本発明のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤は、この蒸解助剤の存在下で、リグノセルロース物質をアルカリ蒸解又は亜硫酸塩蒸解して、未晒パルプができれば、直接的に、リグノセルロース物質と混合してもよく、また、間接的に、蒸解液と混合してからリグノセルロース物質と混合してもよい。
直接的に、リグノセルロース物質と混合する場合、リグノセルロース物質に本発明の蒸解助剤を噴霧又は塗布してもよいし、本発明の蒸解助剤にリグノセルロース物質を浸漬してもよい。これらのうち、設備設計の簡便性の観点から、リグノセルロース物質に本発明の蒸解助剤を噴霧することが好ましい。
本発明の蒸解助剤とリグノセルロース物質とを混合する時期は、リグノセルロース物質の蒸解前であればいずれのタイミングであってもよいが、蒸解までの間に、水等によって、蒸解助剤が洗い流されないようにすることが好ましい(例えば、蒸解助剤を混合したリグノセルロース物質を屋内やストックタンクに貯蔵する等)。
リグノセルロース物質としては、木材{針葉樹及び広葉樹等}、非木材{草木類(ケナフ、バガス及びバンブーフ等)}及びこれらに由来するパルプ等が挙げられる。
蒸解としては、リグノセルロースを蒸解できれば制限がないが、アルカリ蒸解{クラフト法、ソーダ法、ポリサルファイド蒸解及び炭酸ソーダ法等}及び亜硫酸塩蒸解{アルカリ性亜硫酸塩法、中性亜硫酸塩法及び重亜硫酸塩法等}が好ましい。
クラフト蒸解する際の蒸解剤としては、チップの絶乾重量当たり有効アルカリ{有効アルカリとは、JIS P0001:1998において定義される「クラフト蒸解液の蒸解作用をするアルカリ量の表示方法、有効アルカリ=NaOH+Na2S×1/2、Na2O又はNaOHに換算して表す。」を意味する。}が10〜30%、かつ硫化度15〜30%の蒸解液等が挙げられる。
蒸解設備としては、連続式又はバッチ式のいずれでもよい。また、蒸解システムとして、従来の連続蒸解式以外に、修正クラフト蒸解(MCC)、アイソサーマル蒸解(ITC)及びローソリッド(Lo−solid)蒸解の方式にも適用できる。
本発明のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤の使用量は、リグノセルロース物質の絶乾重量に基づいたチオール化合物(A)の量(重量%)が、好ましくは0.00001〜5、更に好ましくは0.0001〜3、特に好ましくは0.001〜1となる量である。この範囲であると、漂白効率がさらに良好となる。
なお、絶乾重量とは、105℃で恒量になるまで乾燥した後の重量を意味する(以下、同じである。)。
なお、絶乾重量とは、105℃で恒量になるまで乾燥した後の重量を意味する(以下、同じである。)。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に規定しない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
<リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤の調製>
実施例1〜10
表1に記載のチオール化合物(A)、溶剤、界面活性剤及び消泡剤を、表1にそれぞれ記載の部数で混合し、本発明のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q−1)〜(Q−10)を製造した。混合は、羽根型撹拌装置付き混合容器を用いて室温(20〜25℃)で行った。
実施例1〜10
表1に記載のチオール化合物(A)、溶剤、界面活性剤及び消泡剤を、表1にそれぞれ記載の部数で混合し、本発明のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q−1)〜(Q−10)を製造した。混合は、羽根型撹拌装置付き混合容器を用いて室温(20〜25℃)で行った。
比較例1
実施例3において、「(A−3)10部、水84.37部」を「水94.37部」に変更した以外は、実施例3と同様にして、比較用のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q’−1)を得た。
実施例3において、「(A−3)10部、水84.37部」を「水94.37部」に変更した以外は、実施例3と同様にして、比較用のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q’−1)を得た。
比較例2
実施例3において、「(A−3)10部」を「1,4,9,10−テトラヒドロキシアントラセン(A’−1)[東京化成(株)製「T0116」]10部」に変更した以外は、実施例3と同様にして、比較用のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q’−2)を得た。
実施例3において、「(A−3)10部」を「1,4,9,10−テトラヒドロキシアントラセン(A’−1)[東京化成(株)製「T0116」]10部」に変更した以外は、実施例3と同様にして、比較用のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q’−2)を得た。
表1に記載のチオール化合物(A)、界面活性剤及び消泡剤としては以下のものを使用した。
(A−1):トリメチルチオ尿素
[東京化成(株)製、「T0667」]
(A−2):N−メチルチオ尿素
[東京化成(株)製、「M0619」]
(A−3):2−メルカプト−1−メチルイミダゾール
[東京化成(株)製、「M0868」]
(A−4):2−メルカプトベンゾイミダゾール
[東京化成(株)製、「B0055」]
(A−5):2−チオバルビツル酸
[東京化成(株)製、「T0192」]
(A−6):4,6−ジメチル−2−メルカプトピリミジン
[東京化成(株)製、「D1580」]
界面活性剤:テトラデシル硫酸ナトリウム
[ALDRICH社製、「L3771」]
消泡剤 :ポリエーテル消泡剤
[サンノプコ(株)製、「SN デフォーマー265」]
(A−1):トリメチルチオ尿素
[東京化成(株)製、「T0667」]
(A−2):N−メチルチオ尿素
[東京化成(株)製、「M0619」]
(A−3):2−メルカプト−1−メチルイミダゾール
[東京化成(株)製、「M0868」]
(A−4):2−メルカプトベンゾイミダゾール
[東京化成(株)製、「B0055」]
(A−5):2−チオバルビツル酸
[東京化成(株)製、「T0192」]
(A−6):4,6−ジメチル−2−メルカプトピリミジン
[東京化成(株)製、「D1580」]
界面活性剤:テトラデシル硫酸ナトリウム
[ALDRICH社製、「L3771」]
消泡剤 :ポリエーテル消泡剤
[サンノプコ(株)製、「SN デフォーマー265」]
<パルプの製造>
実施例11
国内産広葉樹材50%とユーカリ材50%とからなる広葉樹混合木材チップ30g(絶乾重量)を200mLオートクレープに採取し、チップの絶乾重量当たり有効アルカリ18%、硫化度25%の蒸解液120g及びリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q−1)0.6gの混合液を添加し、蒸解温度160℃、蒸解時間120分の条件下で、クラフト蒸解して、蒸解パルプを得た。
次いで、蒸解パルプを布袋に入れて、蒸解液を除去し、水道水を降り注ぎながら洗浄液の着色がほとんどなくなるまで洗浄した後、フラットスクリーン(熊谷理機工業製、スクリーンプレートのスリット幅0.25mm)により未蒸解繊維を除去し、ヌッチェにより吸引ろ過して、未晒パルプを得た。
実施例11
国内産広葉樹材50%とユーカリ材50%とからなる広葉樹混合木材チップ30g(絶乾重量)を200mLオートクレープに採取し、チップの絶乾重量当たり有効アルカリ18%、硫化度25%の蒸解液120g及びリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q−1)0.6gの混合液を添加し、蒸解温度160℃、蒸解時間120分の条件下で、クラフト蒸解して、蒸解パルプを得た。
次いで、蒸解パルプを布袋に入れて、蒸解液を除去し、水道水を降り注ぎながら洗浄液の着色がほとんどなくなるまで洗浄した後、フラットスクリーン(熊谷理機工業製、スクリーンプレートのスリット幅0.25mm)により未蒸解繊維を除去し、ヌッチェにより吸引ろ過して、未晒パルプを得た。
実施例12〜20、比較例3〜4
実施例11において、リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q−1)を、各リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q−2)〜(Q−10)、(Q’−1)〜(Q’−2)に変更した以外は、実施例11と同様にして、実施例12〜20、比較例3〜4の各未晒パルプを得た。
実施例11において、リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q−1)を、各リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q−2)〜(Q−10)、(Q’−1)〜(Q’−2)に変更した以外は、実施例11と同様にして、実施例12〜20、比較例3〜4の各未晒パルプを得た。
得られた各未晒パルプについて、カッパー価、比引裂強度、比破裂強度、白色度及びスケール付着量を以下の方法で、未晒パルプの性能評価を行った。また、以下の(6)の方法で収率(%)を求めた。結果を表2に示す。
[性能評価法]
(1)カッパー価
JIS P8211:1998に準拠して測定した。
(1)カッパー価
JIS P8211:1998に準拠して測定した。
(2)比引裂強度(mN・m2/g)
JIS P8116:2000に準拠して測定した。
JIS P8116:2000に準拠して測定した。
(3)比破裂強度(kPa・m2/g)
JIS P8112−1994に準拠して測定した。
JIS P8112−1994に準拠して測定した。
(4)白色度(%)
JIS P8212:1998に準拠して測定した。
JIS P8212:1998に準拠して測定した。
(5)スケール付着量(mg)
蒸解後、オートクレーブから蒸解パルプ及び蒸解液を取り出し、オートクレーブの内部を100mLの水で5回水洗し、順風乾燥機を用いて、105℃で2時間乾燥した。その後、オートクレーブ内に、5%塩化水素水溶液195mLを加えて、室温で24時間放置した後、固形分を濾去し、10mLになるまで減圧留去した。次いで、この濃縮液を重量既知の磁製るつぼに移し、順風乾燥機を用いて、105℃で2時間乾固させた。電気炉で900℃、2時間加熱した後、室温(約25℃)まで冷却し、磁製るつぼを計量し、この重量から空のるつぼの重量を差し引いた値を求めて、この値をスケールの付着量とした。
蒸解後、オートクレーブから蒸解パルプ及び蒸解液を取り出し、オートクレーブの内部を100mLの水で5回水洗し、順風乾燥機を用いて、105℃で2時間乾燥した。その後、オートクレーブ内に、5%塩化水素水溶液195mLを加えて、室温で24時間放置した後、固形分を濾去し、10mLになるまで減圧留去した。次いで、この濃縮液を重量既知の磁製るつぼに移し、順風乾燥機を用いて、105℃で2時間乾固させた。電気炉で900℃、2時間加熱した後、室温(約25℃)まで冷却し、磁製るつぼを計量し、この重量から空のるつぼの重量を差し引いた値を求めて、この値をスケールの付着量とした。
(6)収率(%)
蒸解前の広葉樹混合木材チップの絶乾重量(s1)と、得られた蒸解パルプの絶乾重量(s2)とから、次式から得られる値を収率(%)とした。
収率(%)=(s2)×100/(s1)
蒸解前の広葉樹混合木材チップの絶乾重量(s1)と、得られた蒸解パルプの絶乾重量(s2)とから、次式から得られる値を収率(%)とした。
収率(%)=(s2)×100/(s1)
表1〜2の結果から、本発明のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤は、比較のものと比べて、パルプ収率及びパルプ品質(白色度、比引裂強度、比破裂強度及びカッパー価の低下等)を著しく向上できることがわかる。
本発明のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤は、非アントラセン構造であり、パルプ収率及びパルプ品質(白色度、比引裂強度、比破裂強度及びカッパー価の低下等)を著しく向上できる。この事から、パルプ製造工程用の蒸解助剤として有用である。
Claims (4)
- 下記一般式(1)〜(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のチオール化合物(A)を含有するリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q)。
- チオール化合物(A)が、下記一般式(5)〜(8)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤。
- リグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤の重量を基準として、チオール化合物(A)の含有量が0.001〜30重量%である請求項1又は2に記載のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のリグノセルロース物質蒸解用蒸解助剤(Q)の存在下で、リグノセルロース物質を蒸解する工程を含むパルプの製造方法。
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