JP2017039648A - シロキサン化合物の製造方法およびこれに用いる金触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒反応を使用して、安全で環境負荷の少ない条件の元、シラン化合物からシロキサン化合物を高い効率で合成する技術を提供する。【解決手段】不活性ガス雰囲気中で、水を溶媒として、炭素担体にナノサイズの金粒子を担持した金触媒にシラン化合物を接触させることを特徴とするシロキサン化合物の製造方法およびこの方法に用いることのできる炭素担体にナノサイズの金粒子を担持した金触媒であって、結晶子サイズが10〜100nmの金粒子であることを特徴とする金触媒。【選択図】なし

Description

本発明は、触媒としてカ−ボン担体に担持した金の微粒子と溶媒と酸化剤としての水を使用し、不活性ガス雰囲気中、室温下でシラン化合物からシロキサン化合物を高効率で合成することができるもので、安全性が高く、環境負荷も少ない触媒反応技術に関するものである。
かねてシラン化合物からシロキサン化合物を合成する触媒反応には様々な手法が検討されてきている。それらの触媒反応としては、均一系の触媒を使用する例や、不均一触媒を使用する例がある。均一触媒を使用した例としては反応溶媒として安全で安価な水を使用した非特許文献1のようなものが知られている。しかし、均一系の触媒を使用した場合には、触媒反応系からの触媒成分の分離が困難である。また、反応系から触媒を分離する際、触媒の構造が変わってしまうことがあり、触媒の再利用が難しく、特に均一系触媒として貴金属成分を含む触媒を使用した場合には、再利用が難しいことは製造コストの高騰を招くことになる。また目的とするシロキサン化合物の収率も低いものであった。
一方、不均一系触媒を使用してシラン化合物からシロキサン化合物を合成する例としては、触媒としての金属パラジウムを使用した反応が知られている(非特許文献2、非特許文献3)。非特許文献3では金属パラジウムと共に水も使用している。このように不均一系触媒を使用した場合の触媒は、濾過により反応系からの分離可能であり、再利用も容易である。しかし、従来の不均一系触媒を使用した反応例では、反応には毒性や引火が懸念される溶剤を使用する場合もあり、環境面、安全面で産業として利用するには問題があった。また、収率についても未だ満足の行く結果は得られていなかった。
近年、触媒活性種として金が注目されている。かつて金は化学的に不活性であり、触媒としては不向きな金属であると言われていたが、直径が2〜5nmの非常に小さなナノ粒子になると、常温での有害物質の酸化分解、選択的な酸素酸化や水素化による化成品の合成など、化学プロセスにおいて触媒として利用可能であることが近年知られるようになってきている。(特許文献1)このような金触媒は、酸化触媒がその主な用途として実施されている。
特開平09−122478号公報
Organic Letters, (2012), 14(10), 2642−2645. Journal of the American Chemical Society, (2013), 135(42), 15714−15717. ChemCatChem, (2012), 4(4), 521−524.
本発明は、触媒反応を使用して、安全で環境負荷の少ない条件の元、シラン化合物からシロキサン化合物を高い効率で合成する技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、意外にもこれまで酸化触媒としての用途を主に検討されてきた金触媒が、水の存在下でシラン化合物からシロキサン化合物を高い効率で合成できることを見出し、本発明を完成させた。また、従来知られていたものよりも大きい結晶子サイズの金粒子を炭素担体に担持した金触媒でも上記合成反応がすすむことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、不活性ガス雰囲気中で、水を溶媒として、炭素担体にナノサイズの金粒子を担持した金触媒にシラン化合物を接触させることを特徴とするシロキサン化合物の製造方法である。
また、本発明は、炭素担体にナノサイズの金粒子を担持した金触媒であって、結晶子サイズが10〜100nmの金粒子であることを特徴とする金触媒である。
本発明によれば、炭素担体にナノサイズの金を担持した金触媒を使用することで、溶媒として安全かつ安価で、酸化剤としての機能も併せ持つ水を使用しても短時間で高収率にシラン化合物からシロキサン化合物を得ることができる。
加えて、今まで触媒としての活性があると知られていなかった大きい金の結晶子サイズを有する金粒子を炭素担体に担持した金触媒を触媒に利用できる。
本発明のシロキサン化合物の製造方法(以下、「本発明方法」という)に使用される触媒は、炭素(C)担体にナノサイズの金(Au)粒子を担持した金触媒(以下、「Au/C」ということもある)である。
従来より、2〜5nmの非常に小さなナノサイズの金粒子を担持した触媒には酸化触媒としての活性があることが知られているが、このような触媒がフェニルシランからのカップリングでジシロキサンを合成することは知られていない。また、10nmを超えるようなサイズの金粒子を担持した触媒は、そもそも触媒としての活性がないと言われていたものである。
本発明方法では、炭素担体にいかなるナノサイズの金粒子を担持したAu/Cであっても、特に制限なく使用することができるが、金粒子の結晶子サイズは、例えば、1〜100nm、好ましくは10〜100nmである。なお、結晶子サイズと粒子径の定義は技術分野毎に定義が異なる場合もあるようであるが、一般に触媒技術の分野では、結晶子サイズは粒子を構成する単結晶の大きさのことを言い、このような単結晶を最小単位として構成される粒子を粒子径という。換言すれば、Au/Cにおける金粒子は1以上の金結晶子の集合であり、金結晶子サイズの大きさは必ず金粒子径以下である。例えば、後述する実施例のように、金結晶子サイズが31.6nmということは、粒子径は必ずそれ以上の大きさであるといえる。なお、金結晶子サイズは、X線回折で測定される結果から、シェラーの式(Scherrer equation)で導かれる値のことをいう。
本発明方法で使用されるAu/Cに使用される炭素担体は、特に限定されるものではないが、大きな比表面積値(BET値)を有する炭素担体であることが好ましく、例えば、BET値が500〜2500m/gの炭素担体、好ましくは700〜1500m/gの炭素担体である。このBET値が小さ過ぎる炭素担体を使用した場合、比表面積値が小さすぎると金の分散性が低下してしまい反応性が低下してしまうことがあることや、後述する触媒の製造工程においては、ナノサイズの金粒子を得ることが難しくなることがある。また、理由は定かではないが、比表面積値が大きすぎても、本発明方法では反応性が低下することがある。なお、BET値は、窒素を固体表面に吸着させて、その吸着量から固体の比表面積を測定するものであり、比表面積測定装置やガス吸着装置を用いてで測定されるものである。
また、上記炭素担体の粒子径は、特に限定されるものではないが、例えば、全炭素粒子の50%以上の粒子径の分布(50%粒度分布)が1〜500μmの範囲に含まれることが好ましく、5〜100μmの範囲に含まれることがより好ましい。50%粒度分布が小さすぎると反応後の触媒の分離が困難になり触媒の再利用が難しくなることがある。50%粒度分布の粒子径が大きすぎると、単位体積あたりのAu/Cの表面積が小さくなり、触媒の活性が低下することがある。なお、50%粒度分布はレーザー回折法により測定される。これは粒子に単色レーザーを照射すると、粒子の大きさに応じて回折光・散乱光が発生するので、それらの光の回折・散乱強度分布を解析して粒子径分布を求めるものであり、粒度分布測定装置を用いて測定される。
このような炭素担体としては、活性炭、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン等が挙げられるが、入手のし易さ、BET値、粒径の選択の幅の広さなど物性値の選択性の広さから活性炭を使用することが好ましい。また、活性炭の由来としては、特に限定されず、例えば、大鋸粉、椰子殻等の植物原料由来のものや、炭化水素等の石油原料由来のもの等が挙げられる。
なお、上記炭素担体は、炭素以外の成分を含んでいてもよいが、その成分や含有量は触媒の活性を阻害しないことが好ましい。このような成分としては、例えば、水素や酸素、またケイ素やアルミニウム等は触媒活性への影響は限定的であり、後述するアルカリ金属、アルカリ土類金属、また硫黄などは触媒活性を阻害することがあるため含まないか、その含有用を低減させることが望ましい。
また、上記炭素担体には、触媒の活性を阻害する恐れがある成分、例えば、ナトリウム(Na)、硫黄(S)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)等を含まないことが好ましい。特にナトリウム等のアルカリ成分は、例えば、炭素担体中に、元素換算で0.2wt%以下とすることが好ましく、0.1wt%以下とすることがより好ましい。炭素担体からアルカリ成分を減少させるには70〜80℃の純水で洗浄等の操作を、必要に応じて、1回〜複数回行えばよい。
本発明方法で使用されるAu/Cに担持される金の量は、特に限定されないが、例えば、炭素担体に対する金属換算で1〜20wt%、好ましくは2〜15wt%、より好ましくは5〜15wt%である。活性種としてある程度以上の量の金を含有することで収率の向上が期待でき、金の含有量がある程度以下とすることで金の分散性を高く維持し、Au/Cにおける活性の向上が期待できる。金は白金やパラジウムに比べて安定で所謂メタルの状態を保ち易い。このような金の含有量を制限することで、Au/Cのような触媒の製造過程や反応工程において金同士の凝集を抑制し、高い分散性を維持することが可能になる。
本発明方法に使用するAu/C触媒のうち、例えば、結晶子サイズが1〜10nm未満のものは、例えば、エヌ・イ− ケムキャット社からはK−Typeとして、ハルタゴ−ルド社からはRRとして市販されているものや、例えば、特開2009−240951号公報の実施例8等に記載の方法で調製したものでもよい。
一方、本発明方法に使用するAu/C触媒のうち、例えば、結晶子サイズが10〜100nmのものは、以下のようにして調製することができる。
まず、金塩が可溶な溶媒にあらかじめ炭素担体を懸濁させた懸濁液を用意する。この懸濁液とは別に、金塩が溶解した金塩溶液を用意する。この懸濁液と金塩溶液を混合し、炭素担体に金を固定化する。このように炭素担体に担持した金を適当な溶媒で洗浄することで、結晶子サイズが10〜100nmのAu/Cを得ることができる。
上記で使用される金塩としては、塩化金酸、テトラブロモ金(III)酸、テトラブロモ金(III)酸ナトリウム、テトラブロモ金(III)酸カリウム、ジシアノ金(I)酸カリウム、 ジシアノ金(I)酸アンモニウム、ジシアノ金(I)酸ナトリウム、テトラシアノ金(III)酸カリウム、 テトラシアノ金(III)酸ナトリウム、テトラシアノ金(III)酸アンモニウム、酢酸金(III)、硝酸金(III)、ビス(エチレンジアミン)金(III)酸塩化物等が挙げられ、実施においてもこのような選択肢の中から、担体や還元条件等との相性で適宜選択すればよいが、塩化金酸であれば入手も比較的容易である。
上記で使用される金塩が可溶な溶媒としては、水、メタノ−ル、エタノ−ル、酢酸、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、グリセリン等が使用可能であるが、取扱いの容易さから水を使用する事が好ましく、使用する金塩も水に可溶なものを使用することが好ましい。
上記溶媒に、炭素担体を懸濁させる方法は、溶媒と炭素担体を混合攪拌して懸濁させればよいが、必要に応じて、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウム臭化物等の界面活性剤や、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等のpH調整剤を用いてもよい。
金塩が溶解した溶液は、前記溶媒の中から溶解可能な溶媒を適宜選択して金塩を溶解すればよい。
上記懸濁液と金塩溶液を混合して炭素担体に金を固定化する方法は、特に限定されないが、例えば、この混合溶液に後述する還元剤を加えて固定化すればよい。
固定化に用いられる還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸、ホルムアルデヒド、シュウ酸、シュウ酸ナトリウム、ヒドラジン水和物、ヒドラジン塩酸塩、ヒドロキシルアミン、過酸化水素、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などが挙げられる。なお、この還元の際には、必要により混合溶液のpHを、従来公知のpH調整剤を用いて調整してもよい。例えば、還元剤として水素化ホウ素ナトリウムを使用する際は、水素化ホウ素ナトリウムの水溶液中での分解を防ぐためにpH調整剤である苛性ソーダを用いてpHを高くしておくことが好ましい。
炭素担体に担持した金を洗浄するのに用いられる溶媒は70〜80℃の温純水を使用することが望ましい。洗浄方法は特に限定されるものでは無く、温純水との混合、攪拌、濾過を繰り返してもよいし、濾過装置中で通水洗浄してもよい。
洗浄後には、適宜、乾燥等を行ってもよい。乾燥する場合の条件は特に限定されず、溶媒として水を用いた場合であれば、例えば、大気中90〜110℃で、所定の水分量になるまで乾燥させればよい。
本発明のAu/Cは、耐久性が高く、複数回再利用することができる。
なお、結晶子サイズが10〜100nmのAu/CはX線回折等の測定により、生成されたことを確認することができる。
本発明方法において基質となるシラン化合物は、特に限定されず、例えば、アリールシラン、アルキルシラン等のシラン化合物を挙げることができる。これらのシラン化合物の中でもアリールシランが好ましく、特に下記式(1)によって表されるフェニルシランが好ましい。
Figure 2017039648
ここでRは置換基を有していてもよいフェニル基を表し、RおよびRはそれぞれ独立して水素、炭素数1〜3のアルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基を表す。なお、RおよびRの置換基は嵩の低いものが望ましく、炭素数5以下のものが好ましく、炭素数2以下のものがより好ましい。また、このような置換基は直鎖であることが好ましい。
このようなフェニルシランとしては、具体的に、ジメチルフェニルシラン、ジメチル(4−メトキシフェニル)シラン、ジメチル(4−メチルフェニル)シラン、ジメチル(4−フルオロフェニル)シラン、ジメチル(4−ブロモフェニル)シラン、ジメチル(4−クロロフェニル)シラン、ジメチル(4−トリフルオロメチルフェニル)シラン、ジメチル(4−tertブチルジメチルシロキシメチルフェニル)シラン、ジエチルフェニルシラン、ジ−n−ブチルフェニルシラン、ジメチル−(2−メトキシフェニル)シラン、ジメチル−(2−フルオロフェニル)シラン、ジメチル−(2−ブロモフェニル)シラン、ジメチル−(2−クロロフェニル)シラン、ジメチル−(3−メトキシフェニル)シラン、ジメチル−(2−フロロフェニル)シラン、ジメチル−(3−ブロモフェニル)シラン、ジメチル−(2−クロロフェニル)シラン、等が挙げられる。
本発明方法は、不活性ガス雰囲気中で、水を溶媒として、Au/Cに、上記したシラン化合物を接触させることにより、シラン化合物がカップリングしてシロキサン結合を有するシロキサン化合物が得られる。
具体的に、シラン化合物が、上記式(1)で表されるフェニルシランであれば、シロキサン化合物として下記式(2)によって表されるジシロキサンが得られる。
Figure 2017039648
式中、R、R、Rは式(1)と同じ基を表す。
なお、シラン化合物が嵩の低い置換基を有するアルキルシラン、例えば、トリエチルシラン等であれば、シロキサン化合物として、ジシロキサンだけでなく、トリシロキサンも得られる。
本発明方法において使用される不活性ガスとしてはアルゴンガスが挙げられるが、窒素ガスもしくはアルゴンガスと窒素ガスとの混合ガスを使用してもよい。
そして、本発明方法はこのような不活性ガス雰囲気中、シラン化合物をAu/Cに接触させることにより、優れた選択率でシロキサン化合物を得ることができ、条件によっては90%以上の選択率でシロキサン化合物を得ることができる。なお、シラン化合物をAu/Cに接触させる方法は特に限定されず、例えば、大気圧の下、20℃程度の室温という極めて穏やかな条件下で攪拌すればよい。なお、これらの条件は、反応時間の短縮や、反応が進み難い基質を使用する場合には、昇温昇圧等、反応条件については適宜変更すべき場合があることは言うまでもない。
本発明方法において使用される触媒の量は、基質となるシラン化合物の種類や他の反応条件により適宜設定されるものであるが、例えば、基質の物質量に対して金の量が0.5〜50mol%であることが好ましく、2〜10mol%であることがより好ましい。基質に対する金の量が0.3mol%以上であれば反応は良好に促進し、50mol%以下であれば触媒量の増量に伴う反応時間の短縮などが期待できる。また、炭素担体における金の量としては、1〜20wt%、好ましくは2〜15wt%、より望ましくは5〜15wt% である金の量が1wt%以上であれば反応は良好に促進し、20wt%以下であれば、担体における金の分散性も良好に保たれシンタリングの影響も少なく、活性種の増量に伴う反応時間の短縮なども期待できる。
本発明方法において使用される溶媒は、水であるが、必要に応じて適宜有機溶媒を混合してもよい。このような有機溶媒は特に限定されるものではなく、例えば、メタノ−ル、エタノ−ル等のアルコール系、酢酸、テトラヒドロフラン等が挙げられるが、副生物の生成を抑制するためにはアルコール系以外の溶媒を使用することが好ましい。なお、特にこのような混合溶媒を使用する必要がない場合には、反応に使用される溶媒は水のみであることがコスト面、安全面の点から好ましいことは言うまでもない。なお、本発明方法においては、水は酸化剤としても作用する。
なお、本発明方法でシロキサン化合物を得た後は、適宜、分離、精製、乾燥等を行ってもよい。
以上説明した、本発明方法は、安全性、経済性共に優れ、条件によっては90%を超える高収率でシラン化合物からシロキサン化合物を製造することができる。
以下本発明の実施例について記すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で広く実施可能であることは言うまでもない。
製 造 例 1
触媒の調製:
純水2,000mlと平均粒子径20〜30μm、比表面積値1,000〜1,200m/gの活性炭担体180gを10Lのビーカーで攪拌した。なお、ここで使用した活性炭担体は担体1gあたり134mlの純水による通水洗浄を行い、担体中の含有Na量は、Na元素換算で0.06wt%に低減させた。この炭素担体−水からなるスラリーに、金換算で20gの塩化金酸(HAuCl)を含む塩化金酸水溶液1,800mlを加え更に攪拌した。この金成分を含む炭素担体−水からなるスラリーに、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)と水酸化ナトリウムを含む水溶液を加えて攪拌することで塩化金酸を還元し、静置、濾過、繰り返し純水洗浄を行い、含有するナトリウムを除去することで本発明の実施例に使用する金担持量10wt%のAu/C触媒を得た。
このようにして得られた10wt%Au/Cについて、XRD(X線回折:X−ray diffraction)により結晶サイズを測定したところ、結晶サイズは31.6nmであった。他のデータと共に以下に物性を記す。
・金担持量:10wt%
・金結晶子サイズ:31.6nm
・担体比表面積値:1,000〜1,200m/g
・元素換算のナトリウム含有量:0.06wt%
製 造 例 2
触媒の調製:
椰子殻炭担体について実施例用触媒1のような通水洗浄を行わず、他は実施例触媒1と同様の方法ではAu/C触媒を得た。担体中のナトリウム含量は、ナトリウム元素換算で0.32wt%であった。その他の物性は、製造例1で調製したものとほぼ同様であった。
実 施 例 1
ジシロキサン合成:
(1)使用触媒
<触媒1>
製造例1で調製したAu/C触媒
<触媒2>
製造例2で調製したAu/C触媒
<触媒3>
ハルタゴ−ルド社から購入した金ナノ粒子触媒(商品名:RR2C)
・金担持量:0.89wt%
・金結晶子サイズ:8.0nm
・担体の比表面積値:731m/g
・ナトリウム含有量:検出限界以下
<比較触媒1>
[10wt%Pt/C:NEケムキャット社製「10%Pt/C K−Type」]
・白金担持量:10wt%
・担体比表面積値:1,000〜1,200m/g
・元素換算のナトリウム含有量:0.32wt%
<比較触媒2>
[5wt%Pt/C:NEケムキャット社製「5%Pt/C K−Type」]
・白金担持量:5wt%
・担体比表面積値:1,000〜1,200m/g
・元素換算のナトリウム含有量:0.32wt%
<比較触媒3>
[10wt%Pd/C:NEケムキャット社製「10%Pt/C K−Type」]
・パラジウム担持量:10wt%
・担体比表面積値:1,000〜1,200m/g
・元素換算のナトリウム含有量:0.32wt%
<比較触媒4>
[10wt%Rh/C:NEケムキャット社製「10%Pt/C K−Type」]
・ロジウム担持量:10wt%
・担体比表面積値:1,000〜1,200m/g
・元素換算のナトリウム含有量:0.32wt%
<比較触媒5>
[10wt%Ru/C:NEケムキャット社製「10%Pt/C K−Type」]
・ルテニウム担持量:10wt%
・担体比表面積値:1,000〜1,200m/g
・元素換算のナトリウム含有量:0.32wt%
<比較触媒6>
[活性炭担体]
・担体比表面積値:1,000〜1,200m/g
・元素換算のNa含有量:0.32wt%
(2)合成反応
上記の触媒について、以下の条件の下、ジシロキサン合成の反応を行った。下記反応式中の基質、温度、反応時間、ジシロキサンの収率を表1に記す。
・基質:0.25mmol
・触媒:10wt%Au/C(基質に対して5mol%使用)
・溶媒:水(3ml)
・温度:表1中に記載
・反応時間:表1中に記載
・反応雰囲気:アルゴンガス雰囲気
・収率の測定:単離後、1H NMRにより算出
・ジシロキサン化合物の収率:表1中の基質に対するジシロキサンの割合
Figure 2017039648
Figure 2017039648
触媒1〜3は、同量の白金触媒と同程度かそれ以上の高収率でジシロキサンを製造できることが分かった。また、特に触媒に含まれるナトリウム含量が低く、金結晶子サイズが大きいほど収率が高くなることも分かった。
実 施 例 2
触媒の再利用:
実施例1の合成反応終了後、触媒1を回収し、それを再び同様の合成反応に使用してその耐久性について評価を行った。評価条件は実施例1と同様である。結果を表2に記す。
Figure 2017039648
表2の結果から、触媒1は度重なる再使用においても優れた性能を発揮していることが分かった。この結果から、触媒1は耐久性においても優れた性能を有することが分かり、産業上の利用価値が高いものであると言える。
実 施 例 3
基質の多様性:
基質等を以下の表3に記載のものに代える以外は、実施例1と同様に触媒1を用いて合成反応を行った。その結果も表3に記す。
Figure 2017039648
表3の結果から、触媒1は多様な基質に対しても優れた性能を発揮することが分かった。
実 施 例 4
基質の多様性:
基質と反応時間を以下のものに代える以外は、実施例1と同様に触媒1を用いて合成反応を行った。
Figure 2017039648
トリエチルシランのような嵩の低い置換基を有するシラン化合物が基質の場合、触媒1はジシロキサンだけでなく、トリシロキサンも製造できることが分かった。
本発明方法は安全で環境負荷の少ない条件の下で、シラン化合物からシロキサン化合物を高収率で製造するのに利用することができる。

以 上

Claims (8)

  1. 不活性ガス雰囲気中で、水を溶媒として、炭素担体にナノサイズの金粒子を担持した金触媒にシラン化合物を接触させることを特徴とするシロキサン化合物の製造方法。
  2. シラン化合物が、下記式(1)
    Figure 2017039648
    (式(1)中、Rは置換基を有していてもよいフェニル基を表し、RおよびRはそれぞれ独立して水素、炭素数1〜3のアルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基を示す)
    で表されるフェニルシランであり、シロキサン化合物が下記式(2)
    Figure 2017039648
    (式(2)中、R〜Rは式(1)と同じ基を示す)
    で表されるジシロキサンである請求項1記載のシロキサン化合物の製造方法。
  3. 炭素担体にナノサイズの金粒子を担持した金触媒が、元素換算のナトリウムが0.2wt%以下の炭素担体に、結晶子サイズが10〜100nmの金粒子を担持した金触媒である請求項1または2記載のシロキサン化合物の製造方法。
  4. 炭素担体が比表面積値500〜2500m/g、担持されている金の量が1〜20wt%である請求項1〜3の何れかに記載のシロキサン化合物の製造方法。
  5. 炭素担体にナノサイズの金粒子を担持した金触媒であって、結晶子サイズが10〜100nmの金粒子であることを特徴とする金触媒。
  6. 元素換算のナトリウムが0.2wt%以下の炭素担体である請求項5記載の金触媒。
  7. 炭素担体が比表面積値500〜2500m/g、担持されている金の量が1〜20wt%である請求項5または6記載の金触媒。
  8. シロキサン化合物製造用である請求項5〜7の何れかに記載の金触媒。



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