JP2023135714A - サブナノ粒子包接体とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】サブナノ粒子の触媒等の産業への普及をコスト面で促進するサブナノ粒子包接体とその製造方法、特に、有機溶媒中での使用に適し、凝集を抑制し粒径分布の小さいサブナノ粒子包接体を提供する。【解決手段】本発明のサブナノ粒子包接体は、脂肪酸をイオン結合した数平均分子量500~12000の分岐型ポリエチレンイミンにサブナノ粒子が包接されたことを特徴としている。【選択図】なし

Description

本発明は、サブナノ粒子包接体とその製造方法に関する。
近年、白金や金等の貴金属元素で構成するナノ粒子の触媒活性が注目されている。一方、ナノ粒子よりも原子数が少なくサイズの小さいサブナノ粒子の合成が報告されている。この1nm程度のサブナノ粒子は、わずか数十以下の原子から構成され、量子サイズ効果に基づいてバンドギャップが大きくかつ離散的となることや、元素固有の特異な幾何構造を形成することから、大きさや形といった単純な構造的特徴に基づいて議論されてきた従来のナノ粒子の考え方では捉えられない側面を有し、ナノ粒子以上の触媒活性や反応選択性を発現することが期待される。
サブナノ粒子の製造方法として、本発明者らによるフェニルアゾメチンデンドリマーを鋳型として用いる方法が探索、開発されている(非特許文献1、2、特許文献1~5)。フェニルアゾメチンデンドリマーは、末端のイミンから中心に向かってイミンの電子密度が増加するという電子密度勾配によって、最内層イミンから優先的に、段階的に金属塩と錯形成する。これにより白金塩等の1種単独の一元系をはじめとして、各層にそれぞれ異なる金属種を集積する、2種金属塩を用いた二元系や、更には3種、4種、5種等の多元系の精密へテロ金属集積も可能となり、金属塩の個数及び組成を規定したデンドリマー錯体を調製できる。この金属塩が配位したデンドリマー錯体を還元することで、粒径分布が極めて小さい精密に制御された金属サブナノ粒子の形成が可能となる。この白金等のサブナノ粒子は、従来のナノ粒子よりも遙かに高い当量当たりの酸素還元触媒活性を示すこと等が報告されており、本発明者らは、フェニルアゾメチンデンドリマーを鋳型として用いた白金サブナノ粒子の担持体を炭化水素の酸化反応に触媒として用いる検討を行っている。
現在、自動車排ガス浄化用触媒や燃料電池触媒は、白金、パラジウム、ロジウムのような貴金属が主であるが、価格の変動が大きいこと、コスト高であることなどの問題を抱えており、主力企業でもその代替品を望む声は大きい。また触媒技術が関わる化学品市場は世界的にも非常に大きく、その成果物の社会的・経済的な波及効果は計りえない。よって触媒開発において、白金等の貴金属の代替が進めば、希少元素枯渇の問題を一気に解決できる可能性もある。中でも銅を中心とした触媒で、安価で触媒活性の高いサブナノ粒子触媒が完成すれば、市場として自動車用排ガスを浄化する触媒や燃料電池触媒の開発用途、次世代の資源ガスと注目されるから低級アルカンからアルコール類への工業原料品に向けた化学変換のための触媒開発用途など、様々な応用が期待される。
フェニルアゾメチンデンドリマーは、原子数を精密制御できる点は優れているが、現状では合成コストが高く、サブナノ粒子の触媒等の産業への普及をコスト面で促進する技術が望まれていた。
分岐型ポリエチレンイミンは、フェニルアゾメチンデンドリマーと同様に錯体形成部位を複数有し、これを鋳型とした錯体や、その還元によるナノからサブナノサイズの金属粒子の合成が報告されている(非特許文献3~5)。しかし、フェニルアゾメチンデンドリマーのように末端のイミンから中心に向かってイミンの電子密度が増加する規則的な電子密度勾配を持たないため、合成された粒子は幅広い粒度分布を持つようになる。フェニルアゾメチンデンドリマーのように精密に金属元素数を制御するには構造に起因した課題がある。
非特許文献3には、分子量10Kの分岐型ポリエチレンイミン溶液に硫酸銅を添加して錯体を形成したことが記載されている。濃度と吸収波長の関係から5座配位が示唆されるものの、当量数と吸収波長の関係は明らかとされていない。
非特許文献4には、粒径の大きい金ナノ粒子を分岐型ポリエチレンイミンで安定化することが記載されている。分岐型ポリエチレンイミンは分子量25000と大きく、HAuCl4をPEI水溶液中で還元して合成している。サブナノ粒子の合成については開示がない。
非特許文献5には、純水中で酸化グラフェン(GO)と分子量600の分岐型ポリエチレンイミン(PEI)を混合、担持し、この水中のGO-PEI担持体に白金塩とコバルト塩を添加した後、水素化ホウ素ナトリウムで還元し、粒径2.3nmの合金を得たと記載されている。
K. Yamamoto et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2015, 54, 9810-9815. K. Yamamoto et al. Sci. Adv. 2017, 3, e1700101. J. Organomet. Chem. 2019,898, 120881 Colloids and Surfaces A: Physicochem. Eng. Aspects 2013,419, 80-86 RSC Adv., 2014, 4, 41152-41158
特開2007-23166号公報 特開2010-18610号公報 特開2013-159588号公報 特開2017-087151号公報 国際公開第2018/159505号
ポリエチレンイミンは従来のデンドリマーに比べて安価であり、これを鋳型としたサブナノ粒子は産業への普及が期待できる一方、その実現のためにはサブナノ領域で金属原子数を精密に制御できる、つまりランダムな統計分布より狭い原子数で制御された合成方法を確立する必要がある。このためには、凝集を抑制する保護効果が必要である。また従来の触媒反応は有機溶媒を使用することが多く、その適用が求められる。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、サブナノ粒子の触媒等の産業への普及をコスト面で促進するサブナノ粒子包接体とその製造方法、特に、有機溶媒中での使用に適し、凝集を抑制し粒径分布の小さいサブナノ粒子包接体を提供することを課題としている。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、デンドリマーと同様にポリマー鎖内に多数の窒素原子を有し、安価な鋳型の分岐型ポリエチレンイミンを用いて、粒径分布の小さい金属サブナノ粒子を得ることができること、また脂溶性官能基である脂肪酸の導入により、粒子凝集を抑制することを見出し本発明を完成するに至った。
すなわち本発明のサブナノ粒子包接体は、脂肪酸をイオン結合した数平均分子量500~12000の分岐型ポリエチレンイミンにサブナノ粒子が包接されたことを特徴としている。
また、このサブナノ粒子包接体が担体に担持されたサブナノ粒子担持体、及びサブナノ粒子包接体からなる酸化反応触媒も提供する。
本発明の分岐型ポリエチレンイミンにサブナノ粒子が包接されたサブナノ粒子包接体の製造方法は、以下の工程を含むことを特徴としている:
数平均分子量500~12000の分岐型ポリエチレンイミンにおける窒素部位に、5座配位で還元性の金属元素を配位させ、金属元素の集積体を生成する工程;及び
有機溶媒中に前記集積体を溶解した状態で、還元剤の存在下で前記金属元素の集積体を還元し、該金属元素のサブナノ粒子を生成する工程。
この製造方法は、更に、前記サブナノ粒子包接体と脂肪酸とを液中で混合し、分岐型ポリエチレンイミンに脂肪酸をイオン結合する工程を含んでもよい。
本発明のサブナノ粒子包接体によれば、従来の鋳型であるデンドリマーに比べて安価な鋳型の分岐型ポリエチレンイミンを用いて、脂溶性官能基である脂肪酸の導入により凝集を抑制し粒径分布の小さいサブナノ粒子を得ることができる。分岐型ポリエチレンイミンの分子量に応じて、原子数の制御が可能である。このサブナノ粒子包接体は脂肪酸の導入により脂溶性ミセルを形成し、有機溶媒中での触媒反応に適している。触媒として使用した際には、触媒反応中でもサブナノ粒子の凝集を抑制し、多数回の繰り返し利用や長時間の連続運転も可能とする。
(a)は分岐型ポリエチレンイミン(PEI)の市販品エポミンR(SP-006)、(b)はエポミン(R)(SP-018)の水溶液中にCuSO4を滴下したときの各当量における吸収スペクトル、挿入図は波長620nm付近での拡大図、(c)は620nmでの吸光度と硫酸銅当量数との関係を示す。 (a)は(SP-018)アセトニトリル溶液(30μM)中に、CuBr2アセトニトリル溶液(30mM)を滴下したときの各当量における吸収スペクトル、(b)は波長720nm付近での拡大図、(c)は720nmでの吸光度と硫酸銅当量数との関係を示す。 (a)はエポミン(R)(SP-200)アセトニトリル溶液(30μM)中に、CuBr2アセトニトリル溶液(30mM)を滴下したときの各当量における吸収スペクトル、(b)は波長735nm付近での拡大図、(c)は735nmでの吸光度と硫酸銅当量数との関係を示す。 (a)は(SP-018)アセトニトリル溶液(10μM)中に、PtBr2アセトニトリル溶液(10mM)を滴下したときの各当量における吸収スペクトル、(b)は波長281nm付近での拡大図、(c)は281nmでの吸光度と硫酸銅当量数との関係を示す。 (a)は(SP-200)アセトニトリル溶液(10μM)中に、PtBr2アセトニトリル溶液(10mM)を滴下したときの各当量における吸収スペクトル、(b)は波長282nm付近での拡大図、(c)は282nmでの吸光度と硫酸銅当量数との関係を示す。 (a)は(SP-200)アセトニトリル溶液(30μM)中に、CuBr2及びPtBr2アセトニトリル溶液(CuBr2:30mM、PtBr2:10mM)を滴下したときの各当量における吸収スペクトル、(b)は波長731nm付近での拡大図、(c)は731nmでの吸光度と硫酸銅当量数との関係を示す。 (a)は(SP-018) 2-アセトキシ-1-メトキシプロパン溶液(30μM)中に、SnCl2 2-アセトキシ-1-メトキシプロパン溶液(30mM)を滴下したときの各当量における吸収スペクトル、(b)は波長250nm付近での拡大図、(c)は250nmでの吸光度と硫酸銅当量数との関係を示す。 Cu@PEI錯体(PEI:SP-200)を水溶液中で水素化ホウ素ナトリウムにより還元した試料の透過型走査電子顕微鏡(STEM)像である。 Cu@PEI錯体(PEI:SP-018)を有機溶媒中で水素化ホウ素ナトリウムにより還元したKB担持試料の(a)Cuクラスターの粒径分布、(b)Cuクラスターの透過型走査電子顕微鏡(STEM)像である。 Cu,Pt,PtCu@PEI錯体(PEI:SP-018)を有機溶媒中で水素化ホウ素ナトリウムにより還元したKB担持試料である(1)KB担持銅クラスターKB/Cu10、(2)KB担持白金クラスターKB/Pt10、(3)KB担持白金銅クラスターKB/Pt5Cu5のクラスターのモルフォロジー観察の結果を示し、左と中央は透過型走査電子顕微鏡(STEM)像、右はエネルギー分散型X線分析(EDS)スペクトルのチャートである。 Cu,Pt,PtCu@PEI錯体(PEI:SP-018)を有機溶媒中で水素化ホウ素ナトリウムにより還元したSiO2担持試料である(1)SiO2担持CuクラスターSiO2/Cu10、(2)SiO2担持PtクラスターSiO2/Pt10、(3)SiO2担持PtCuクラスターSi/Pt5Cu5のクラスターのモルフォロジー観察の結果を示し、左と中央は透過型走査電子顕微鏡(STEM)像、右はエネルギー分散型X線分析(EDS)スペクトルのチャートである。 PEIを使用しない金属塩とラウリン酸(LA)との会合体を水素化ホウ素ナトリウムにより還元した試料である(a)はPt10@LA会合体(b)はCu10@LA会合体のモルフォロジー観察の結果を示し、左と中央挿入図と右挿入図は透過型走査電子顕微鏡(STEM)像、中央と右はエネルギー分散型X線分析(EDS)スペクトルのチャートである。 Pt10@SP-018クラスターに未処理(凝集剤なし)、又はPVP処理、ステアリン酸(SA)処理、ラウリン酸(LA)処理し、担体に担持した試料の粒径分布(左)、透過型走査電子顕微鏡(STEM)像(中央、右挿入図)、エネルギー分散型X線分析(EDS)スペクトルのチャート(右)である。 (a)は未処理のCu10@SP-018クラスター、(b)はラウリン酸(LA)処理したCu10@SP-018クラスターを、担体に担持した試料の粒径分布(左)、透過型走査電子顕微鏡(STEM)像(中央、右挿入図)、エネルギー分散型X線分析(EDS)スペクトルのチャート(右)である。 (a)は未処理のPt5Cu5@SP-018クラスター、(b)はラウリン酸(LA)処理したPt5Cu5@SP-018クラスターを、担体に担持した試料の粒径分布(左)、透過型走査電子顕微鏡(STEM)像(中央、右挿入図)、エネルギー分散型X線分析(EDS)スペクトルのチャート(右)である。 (a)は未処理のCu52@SP-200クラスター、(b)はラウリン酸(LA)処理したCu52@SP-200クラスターを、担体に担持した試料の粒径分布(左)、透過型走査電子顕微鏡(STEM)像(中央、右挿入図)、エネルギー分散型X線分析(EDS)スペクトルのチャート(右)である。 (a)は未処理のPt52@SP-200クラスター、(b)はラウリン酸(LA)処理したPt52@SP-200クラスターを、担体に担持した試料の粒径分布(左)、透過型走査電子顕微鏡(STEM)像(中央、右挿入図)、エネルギー分散型X線分析(EDS)スペクトルのチャート(右)である。 (a)は未処理のPt26Cu26@SP-200クラスター、(b)はラウリン酸(LA)処理したPt26Cu26@SP-200クラスターを、担体に担持した試料の粒径分布(左)、透過型走査電子顕微鏡(STEM)像(中央、右挿入図)、エネルギー分散型X線分析(EDS)スペクトルのチャート(右)である。 (a)はSP-200の濃度3μM、(b)は濃度10μM、(c)は濃度30μMでPt52@SP-200錯体を調製し、還元後にラウリン酸(LA)処理したラウリン酸処理Pt52@SP-200クラスターを、担体に担持した試料の粒径分布(左)、透過型走査電子顕微鏡(STEM)像(中央、右挿入図)、エネルギー分散型X線分析(EDS)スペクトルのチャート(右)である。
以下に、本発明を実施する形態について具体的に説明する。
本発明のサブナノ粒子包接体は、脂肪酸をイオン結合した分岐型ポリエチレンイミンにサブナノ粒子が包接されたものである。
本発明のサブナノ粒子包接体において、分岐型ポリエチレンイミンは、主鎖がエチレン基とアミノ基からなる繰り返し単位であり、-(CH22-NH-、-(CH22-N<の構造の繰り返し単位を有する、1級、2級、3級アミンを含む分岐構造、特にハイパーブランチ構造を有するポリマーである。
分岐型ポリエチレンイミンの数平均分子量(Mn)の下限は、500以上であり、600以上が好ましい。上限は、12000以下であり、10000以下が好ましい。数平均分子量がこのような範囲であれば、サブナノ粒子の個数に対応する配位サイトを構成する含有窒素原子数とすることができ、その含有窒素原子数を自在に変えることが可能である。5座配位における金属元素の最大内包数は、分岐型ポリエチレンイミンの分子量600で3、分岐型ポリエチレンイミンの1200で6、分岐型ポリエチレンイミンの1800で10、分岐型ポリエチレンイミンの10000で52である。
ポリエチレンイミンの数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトフラフィー(GPC)、沸点上昇法等によって求められる。本発明では、数平均分子量(Mn)は、沸点上昇法によって測定された値を採用する。
分岐型ポリエチレンイミンにおける1級アミン、2級アミン、3級アミンのうち、3級アミンの割合は、5~50モル%が好ましく、10~45モル%がより好ましい。1級アミノ基と2級アミノ基を合わせた割合は、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましい。ここで1級アミン、2級アミン、3級アミンの割合は、NMR分析や滴定等により測定することができる。
分岐型ポリエチレンイミンの粘度は、特に限定されないが、樹脂分98質量%以上、25℃で500~150000mPa・sが好ましい。
分岐型ポリエチレンイミンのアミン価は、特に限定されないが、18~20mmol/g.solidが好ましい。
分岐型ポリエチレンイミンは、公知の方法、例えば、エチレンイミンを重合して製造したものを用いることができる。
分岐型ポリエチレンイミンとしては、例えば、(株)日本触媒製のエポミン(R)SP-006(数平均分子量:約600)、SP-012(数平均分子量:約1200)、SP-018(数平均分子量:約1800)、SP-200(数平均分子量:約10000)が市販されており、これらを用いることができる。
本発明のサブナノ粒子包接体において、脂肪酸としては、特に限定されないが、炭素数12~18のものが好ましい。脂肪酸は、直鎖状でも分岐状でもよいが、直鎖状が好ましい。脂肪酸は、好ましくはモノカルボン酸であり、炭化水素部位は、好ましくは直鎖アルキル基である。具体的には、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
本発明のサブナノ粒子包接体は、分岐型ポリエチレンイミンに脂肪酸をイオン結合したものである。脂溶性官能基である脂肪酸を導入することで、ミセル形成化により金属サブナノ粒子の凝集を抑制する。脂肪酸をイオン結合した分岐型ポリエチレンイミンを鋳型として、サブナノ粒子の個数に相当する粒径をピークとするシャープな粒度分布の粒子を合成できる。また、触媒反応等に使用される有機溶媒への使用に適したものとすることができる。
脂肪酸をイオン結合した分岐型ポリエチレンイミンに、サブナノ粒子が包接されたサブナノ粒子包接体の一例としての概念図を示すと次のとおりである。分岐型ポリエチレンイミンは分子量1800の分岐型ポリエチレンイミンに10個の銅を配位して集積体とし、還元してサブナノ粒子包接体としたものであり、中央の黒点の集合がサブナノ粒子である。
脂肪酸をイオン結合した分岐型ポリエチレンイミンは、例えば、分岐型ポリエチレンイミンと脂肪酸を混合することで得ることができる。例えば、有機溶媒中で分岐型ポリエチレンイミンにサブナノ粒子が包接した包接体を得た後、その溶液に脂肪酸を混合することで得ることができる。
脂肪酸をイオン結合した分岐型ポリエチレンイミンにおける、分岐型ポリエチレンイミンと脂肪酸の比率は、モル比で1/3~1/100が好ましく、1/10~1/52がより好ましい。
脂肪酸をイオン結合した分岐型ポリエチレンイミンには、サブナノ粒子が包接される。従来、単純な濃度制御や担体の添加等の条件下で、還元法により合成した白金等のナノ粒子としては、元素数に換算すると1000を超えるものが知られている。これに対して本発明において「サブナノ」の用語は、粒子の粒径が例えば0.5~2nmの範囲内にあること、特に0.8~1.8nmの範囲内にあることを意味している。また、そのような粒子を含む、電子顕微鏡で径を測定した粒子数の粒度分布でピークが3.5nm以下、好ましくは3.0nm以下の粒子群も包含する。いくつかの原子が集まり、それらの一部もしくは全体が直接結合することによって作られる多面体型の原子集団は一般にクラスターと称されているが、その意味においてサブナノ粒子はクラスターである。分岐型ポリエチレンイミンを鋳型として合成したサブナノ粒子は、脂肪酸をイオン結合することでサイズ分布の少ない粒径のクラスターとなることが確認されている。
サブナノ粒子の元素数は、例えば3個以上、あるいは6個以上である。また、例えば60個以下、あるいは52個以下である。
サブナノ粒子における金属元素としては、特に限定されず、例えば、チタン、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、インジウム、錫、アンチモン、ハフニウム、タンタル、タングステン、オスミウム、イリジウム、白金、金、ビスマス等が挙げられる。
これらの中でも、触媒など産業上の利用の観点では、銅、錫、ニッケル、およびそれら金属と貴金属との合金が好ましい。
サブナノ粒子は、単体でも合金であってもよい。従来の鋳型であるフェニルアゾメチンデンドリマーはイミン塩基性の違いにより原子数の制御機能が付与されるが、汎用高分子である分岐型ポリエチレンイミンは3種類の塩基性(炭素-窒素結合の違い)が異なるアミン基を有している。これは、原子数を制御できる疑似的な制御機能を示す。分岐型ポリエチレンイミン内の3種のアミン基数は構造データから算出できるため、これに適した金属塩を加えることで、ランダムな統計分布より狭い原子数が制御された分岐型ポリエチレンイミン錯体を形成する。そのため、個別の金属元素の個数を制御した合金サブナノ粒子を得ることも可能である。
反応性が異なる3種のアミン基を利用した合金サブナノ粒子は、2種以上の金属元素からなるものであれば特に限定されないが、例えば、2種や3種の元素からなるものが挙げられる。具体的には、例えば、銅と貴金属との2~3元素の組み合わせを挙げることができ、貴金属としては、白金、パラジウム、金、ロジウム等が挙げられる。
本発明のサブナノ粒子包接体は、担体に担持してサブナノ粒子担持体とすることができる。サブナノ粒子を担体に担持することによって、サブナノ粒子の凝集等を抑え、触媒活性の低下を効果的に抑えることが可能となる。
サブナノ粒子包接体が担持される担体の形状は、特に限定されるものではなく、触媒床の方式に応じて適宜選択することができ、粒状、繊維状、顆粒状、膜状、板状等、各種のものであってよい。単位重量当たりの表面積が大きく触媒に適している点を考慮すると、粒状(粉末状)が好ましい。
担体としては、炭素材料、例えば、カーボンブラック(ケッチェンブラック、オイルファーネスブラック、ガスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等)、活性炭、カーボンファイバー等の非晶質(微結晶)カーボン、フラーレン、ナノチューブ、グラフェン、酸化グラフェン等のナノカーボン、グラファイト等の3次元結晶、グラファイト化メソポーラスカーボン等が挙げられる。これらの炭素材料は多孔質物質であってもよく、細孔表面にサブナノ粒子包接体を担持できる。
この他、担体として無機材料を用いることができる。無機材料としては、例えば、シリカゲル、アルミナ、チタニア、マグネシア、ジルコニア、酸化鉄、酸化銅、ガラス、珪砂、タルク、マイカ、クレイ、ウォラスナイト等が挙げられる。
サブナノ粒子の担体への担持量としては、特に限定されないが、触媒として用いたときに基質に対する反応効率を上げるために担持量を高くすること等を考慮すると、0.5Wt%以上が好ましく、1Wt%以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、クラスターの凝集が起こりにくいことを考慮すると、20Wt%以下が好ましく、10Wt%以下がより好ましい。
本発明のサブナノ粒子包接体は、これをそのまま有機溶媒中に溶解した溶液として、あるいはサブナノ粒子包接体を担体へ担持した担持体の形態で、触媒として用いることができる。
例えば、酸化反応触媒として好適に用いることができる。酸化反応としては、例えば、有機化合物の酸素酸化反応、アルコールの酸素酸化反応、アルカンの酸素酸化反応等が挙げられる。
有機化合物の酸素酸化反応は、酸素の存在下、有機化合物を基質として行う。有機化合物としては、芳香族系、脂肪族系の炭化水素系化合物等が使用される。このような触媒反応は典型的には有機溶媒中で行われるが、本発明のサブナノ粒子包接体は脂肪酸の導入により脂溶性ミセルを形成し、有機溶媒中での触媒反応に適している。触媒として使用した際には、触媒反応中でもサブナノ粒子の凝集を抑制し、多数回の繰り返し利用や長時間の連続運転も可能とする。
分岐型ポリエチレンイミンにサブナノ粒子が包接されたサブナノ粒子包接体の製造方法は、特に限定されないが、好ましくは以下の工程を含む:
数平均分子量500~12000の分岐型ポリエチレンイミンにおける窒素部位に、5座配位で還元性の金属元素を配位させ、金属元素の集積体を生成する工程(A);及び
有機溶媒中に前記集積体を溶解した状態で、還元剤の存在下で前記金属元素の集積体を還元し、該金属元素のサブナノ粒子を生成する工程(B)。
更に、サブナノ粒子包接体と脂肪酸とを液中で混合し、分岐型ポリエチレンイミンに脂肪酸をイオン結合する工程(C)を含んでよい。
<工程(A)>
金属元素の集積体を生成する工程(A)では、最初の工程として、分岐型ポリエチレンイミンを含む溶液を調製する。溶媒は、分岐型ポリエチレンイミンと、集積させる金属塩と、還元剤を溶解させることができるものであれば特に限定されない。例えば、非プロトン性溶媒、プロトン性溶媒が挙げられる。その中でも非プロトン性溶媒が好ましい。非プロトン性溶媒としては、非プロトン性中極性溶媒、非プロトン性高極性溶媒、非プロトン性低極性溶媒のいずれであってもよいが、非プロトン性中極性溶媒が好ましい。これらの有機溶媒は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
非プロトン性中極性溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム(トリクロロメタン)、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、2-ブタノン、メチルエチルケトン、イソブチルメチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、デカン酸メチル、ラウリル酸メチル、アジピン酸ジイソブチル等のエステル類等が挙げられる。
非プロトン性高極性溶媒としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジヘキサメチルリン酸トリアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N,N’-ジメチルプロピレン尿素、1-メチル-2-ピロリジノン等が挙げられる。
非プロトン性低極性溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
プロトン性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、1,1-ジメチル-1-エタノール、ヘキサノール、デカノール等のアルコール類、ギ酸、酢酸等のカルボン酸類、ニトロメタン等が挙げられる。
金属塩を混合する前の有機溶媒溶液中における分岐型ポリエチレンイミンの濃度は、特に限定されないが、3~200μmol/Lが好ましく、10~100μmol/Lがより好ましい。
次の工程として、金属塩を有機溶媒溶液と混合し、分岐型ポリエチレンイミンの窒素部位に金属元素が集積した集積体を得る。
金属塩を分岐型ポリエチレンイミン溶液と混合する方法としては、特に限定されないが、金属塩溶液の分岐型ポリエチレンイミン溶液への滴下等が挙げられる。
金属塩溶液は、例えば、前述したような有機溶媒を用いて、分岐型ポリエチレンイミン溶液に対して高濃度に調製したものを用いることができる。
分岐型ポリエチレンイミンと金属塩とが混合されると、金属元素が分岐型ポリエチレンイミンの錯形成部位に配位し、分岐型ポリエチレンイミンの内部に取り込まれる。金属元素は、3級アミンとそこから分岐した1級、2級アミンに囲まれて、5個の窒素により規則的に5座配位する。そのため、分岐型ポリエチレンイミンと金属塩との当量比を制御することにより、金属元素を配置できる。金属塩溶液は、分岐型ポリエチレンイミン溶液に対して、好ましくは錯形成が飽和量となるように添加する。
分岐型ポリエチレンイミンに集積させる金属塩における金属元素は、サブナノ粒子の金属種として前述したものである。金属塩におけるカウンターアニオンもしくは配位子としては、分岐型ポリエチレンイミン溶液の有機溶媒に溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、トリフルオロ酢酸イオン等のハロゲンイオンや、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、アセチルアセトン、アセトニトリル、サレン、シクロペンタジエン、テトラフルオロホウ酸イオン等が挙げられる。
<工程(B)>
この分岐型ポリエチレンイミンの金属元素集積体を還元することによって、その金属元素のサブナノ粒子を製造することができる。
分岐型ポリエチレンイミンの金属元素集積体の還元は、例えば、金属塩に対して還元作用を有し、これを0価の状態まで還元することができる還元剤を用いて、前述したような有機溶媒中で行うことができる。
還元剤としては、分岐型ポリエチレンイミンの金属元素集積体の溶液における有機溶媒に溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素、ヒドラジン類、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素テトラn-ブチルアンモニウム、水素化ホウ素メチルアンモニウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、ボラン錯体類、トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化トリブチルホウ素リチウム、水素化トリブチルホウ素カリウム、Schwartz試薬、Stryker試薬、水素化トリブチルスズ、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カルシウム、ベンゾフェノンケチルラジカル類、金属ナフタレニド類、過酸化水素等が挙げられる。
このようにして分岐型ポリエチレンイミンの金属元素集積体を還元することで、集積させた金属元素の数に相当する大きさのサブナノ粒子を、分岐型ポリエチレンイミンに包接されたものとして調製することができる。
分岐型ポリエチレンイミンの集積体とサブナノ粒子包接体として、分子量1800の分岐型ポリエチレンイミンに10個の銅を配位して集積体とし、還元してサブナノ粒子包接体とした例と、分子量10000の分岐型ポリエチレンイミンに52個の銅を配位して集積体とし、還元してサブナノ粒子包接体とした例を概念的に示す。

<工程(C)>
サブナノ粒子包接体と脂肪酸との混合は、液中で行う。液はこれらを溶解するものであれば特に限定されず、例えば、前述の有機溶媒をそのまま使用し、サブナノ粒子包接体の有機溶媒溶液に脂肪酸を添加することができる。これにより、分岐型ポリエチレンイミンに脂肪酸をイオン結合する。
このサブナノ粒子包接体を前述したように担体に担持すると、本発明の担持体が得られる。担体への担持は、例えば、サブナノ粒子包接体を有機溶媒に溶解した溶液を用いて、担体分散液との混合、含浸、塗布、滴下等によって担体に接触させた後、乾燥することによって行うことができる。必要に応じて粉砕処理を行ってもよい。
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下において、分岐型ポリエチレンイミンとして次のものを用いた。
エポミン(R)SP-006 日本触媒(株) 数平均分子量600
エポミン(R)SP-018 日本触媒(株) 数平均分子量1800
エポミン(R)SP-200 日本触媒(株) 数平均分子量10000
SP-006水溶液に硫酸銅(CuSO4)を滴下するタイトレーションにより、銅の理論内包数を同定した。図1(a)はSP-006、(b)はSP-018の水溶液中にCuSO4を滴下したときの各当量における吸収スペクトルである。紫外部での吸収(273nm)は銅と配位子(アミン)との間での電子移動に基づく電子移動吸収帯、可視部での吸収(620nm)は銅のd軌道が配位子場により分裂したd-dの電子移動による配位子場吸収帯である。620nmでの吸光度と硫酸銅当量数から検量線を作成した(図1(c))、SP-006(数平均分子量600)は推定飽和当量3、SP-018(数平均分子量1800)は推定飽和当量10と錯体構造を同定した。しかし、Cu@分岐型ポリエチレンイミンは水溶液中において水素化ホウ素ナトリウムで還元しても図8のTEM写真に示すようにクラスターを形成しなかった。
次に、タイトレーションで金属M(Cu,Pt,PtCu)@分岐型ポリエチレンイミンの錯体構造を同定した。まず金属塩(CuBr2,PtBr2)ブランクでのタイトレーションを行った。アセトニトリル(AN)を溶媒としてCuBr2 30mMを滴下し、波長635nmで吸光度を測定し検量線を作成した。またアセトニトリル(AN)を溶媒としてPtBr2 30mMを滴下し、波長332nmで吸光度を測定し検量線を作成した。理論通りに吸光度は金属塩当量の増加と共に直線的に上昇した。
一方、SP-018アセトニトリル溶液(30μM)中に、CuBr2アセトニトリル溶液(30mM)を滴下したタイトレーションでは(図2(a)、(b))、720nmでの吸光度と硫酸銅当量数との検量線より(図2(c))、推定飽和当量10と錯体構造を同定した。
SP-200アセトニトリル溶液(30μM)中に、CuBr2アセトニトリル溶液(30mM)を滴下したタイトレーションでは(図3(a)、(b))、735nmでの吸光度と硫酸銅当量数との検量線より(図3(c))、推定飽和当量52と錯体構造を同定した。
SP-018アセトニトリル溶液(10μM)中に、PtBr2アセトニトリル溶液(10mM)を滴下したタイトレーションでは(図4(a)、(b))、281nmでの吸光度と硫酸銅当量数との検量線より(図4(c))、推定飽和当量10と錯体構造を同定した。
SP-200アセトニトリル溶液(10μM)中に、PtBr2アセトニトリル溶液(10mM)を滴下したタイトレーションでは(図5(a)、(b))、282nmでの吸光度と硫酸銅当量数との検量線より(図5(c))、推定飽和当量52と錯体構造を同定した。
SP-200アセトニトリル溶液(30μM)中に、CuBr2及びPtBr2アセトニトリル溶液(CuBr2:30mM、PtBr2:10mM)を滴下したタイトレーションでは(図6(a)、(b))、731nmでの吸光度と硫酸銅当量数との検量線より(図6(c))、推定飽和当量52と錯体構造を同定した。
SP-018 2-アセトキシ-1-メトキシプロパン溶液(30μM)中に、SnCl2 2-アセトキシ-1-メトキシプロパン溶液(30mM)を滴下したタイトレーションでは(図7(a)、(b))、250nmでの吸光度と硫酸銅当量数との検量線より(図7(c))、推定飽和当量10と錯体構造を同定した。
Cu@分岐型ポリエチレンイミン錯体(SP-200)を水溶液中で水素化ホウ素ナトリウムにより還元したところ、STEM像では銅の単原子のような模様が観察されたがCuクラスターは検出されなかった(図8)。
そこで、有機溶媒系で金属クラスターの合成を試みた。本発明者らが開発した、デンドリマーを鋳型としたサブナノ粒子合成法に習い、担体のケッチェンブラック(KB)又はシリカ(Si)に担持した金属@SP-018クラスターを合成した。SP-018(アセトニトリル溶液、濃度30μM)に、(1)10当量CuBr2(アセトニトリル溶液、濃度3mM)、(2)10当量PtBr2(アセトニトリル溶液、濃度3mM)、又は(3)5当量PtBr2と5当量CuBr2を滴下し、Cu10、Pt10、又はPt5Cu5@SP-018錯体を得た。還元剤の水素化ホウ素ナトリウムNaBH4(メタノール溶液、濃度0.3M)を添加し、SP-018で包接したCu、Pt、又はPtCuクラスターを得た。ケッチェンブラック(KB)又はシリカ(SiO2)担持体を添加し、ケッチェンブラック担持クラスター(KB/M)、シリカ担持クラスター(SiO2/M)を得た。図9(a)はCuクラスターの粒径分布、図9(b)はCuクラスターのSTEM像である。図10は(1)KB担持銅クラスターKB/Cu10、(2)KB担持白金クラスターKB/Pt10、(3)KB担持白金銅クラスターKB/Pt5Cu5のクラスターのモルフォロジー観察の結果を示し、図11は(1)SiO2担持CuクラスターSiO2/Cu10、(2)Si担持PtクラスターSi/Pt10、(3)SiO2担持PtCuクラスターSiO2/Pt5Cu5のクラスターのモルフォロジー観察の結果を示す。約10個の金属原子からなるサブナノ粒子が合成されたが、粒径分布を見るとまだ不均一であった。
ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光解析による、担体に担持した金属クラスターの担持率を表1に示す。
Figure 2023135714000006
次に、下記のスキームでキサンテン酸化反応を行い、シリカ担持Cu10,Pt10,Pt5Cu5@SP-018金属クラスターの触媒活性を評価した。1HNMR(CDCl3)を測定しXO/(XT+XO+XH)の面積比から変換率を求めた。その結果を表2に示す。シリカ担持Cu10,Pt10,Pt5Cu5@SP-018金属クラスター(3)、(4)、(5)は、比較試料(1)、(2)、R1、R2に比べてより高い触媒活性を示した。
次に、Cu,Pt,PtCu@SP-018クラスターの凝集防止剤による効果を粒度分布で検証した。
図12は、分岐型ポリエチレンイミンを使用しない、金属塩とラウリン酸との会合体を水素化ホウ素ナトリウムにより還元した試料である(a)Pt10@LA会合体、(b)Cu10@LA会合体のモルフォロジー観察の結果を示す。金属とラウリン酸との会合体ではクラスターを合成できなかった。Pt10@LA会合体では、銅クラスターのような構造にはごく微量のPtMα又はLαピークしか検出されなかった。Cu10@LA会合体では、銅クラスターのような構造にはCuKαピークが検出されなかった。また銅原子は凝集した粒子となった。
図13は、Pt10@SP-018クラスターに未処理(凝集剤なし)、又はPVP処理、ステアリン酸(SA)処理、ラウリン酸(LA)処理し、担体に担持した試料の粒径分布とモルフォロジー観察の結果を示す。ステアリン酸(SA)処理、ラウリン酸(LA)処理では粒径とその分布が小さく、良好な凝集防止効果を示した。
図14は、(a)は未処理のCu10@SP-018クラスター、(b)はラウリン酸(LA)処理したCu10@SP-018クラスターを、図15は、(a)は未処理のPt5Cu5@SP-018クラスター、(b)はラウリン酸(LA)処理したPt5Cu5@SP-018クラスターを、図16は、(a)は未処理のCu52@SP-200クラスター、(b)はラウリン酸(LA)処理したCu52@SP-200クラスターを、図17は、(a)は未処理のPt52@SP-200クラスター、(b)はラウリン酸(LA)処理したPt52@SP-200クラスターを、図18は、(a)は未処理のPt26Cu26@SP-200クラスター、(b)はラウリン酸(LA)処理したPt26Cu26@SP-200クラスターを、担体に担持した試料の粒径分布とモルフォロジー観察の結果を示す。ラウリン酸(LA)処理では粒径とその分布が未処理に比べて小さく、良好な凝集防止効果を示した。図18では、未処理の試料はCuとPt単原子がSP-200分子内に撒き散らされ、又は大きなナノ粒子になった。
次に、Pt52@SP-200+LA52クラスターの最良な凝集防止効果を得るために、SP-200の最適調製濃度を検証した。
LA未処理のPt52@SP-200クラスターは、SP-200の調製濃度が30μM以下では担体へ担持後に凝集し、Pt52クラスターがうまく合成されなかった。SP-200調製濃度が60μMではPt52クラスターがうまく合成された。このときの条件は次のとおりである。SP-200(60μM 溶媒アセトニトリル)100mLにPtBr2(3mM 溶媒アセトニトリル)20mLを添加、終夜攪拌し、Pt52@SP-200錯体を得た。水素化ホウ素ナトリウム(0.3mM 溶媒メタノール)12mLを添加し、Pt52@SP-200クラスターを得た。
SP-200のアセトニトリル溶液を濃度希釈し、Pt52@SP-200+LA52クラスターの合成を行った。SP-200(3,10,30μM 溶媒アセトニトリル)にPtBr2(3mM 溶媒アセトニトリル)を添加、終夜攪拌し、Pt52@SP-200錯体を得た。水素化ホウ素ナトリウム(0.3mM 溶媒メタノール)を添加し、Pt52@SP-200クラスターを得た。ラウリン酸(10mM 溶媒アセトニトリル)を添加し、Pt52@SP-200+LA52クラスターを得た。
図19は、(a)はSP-200の濃度3μM、(b)は濃度10μM、(c)は濃度30μMでPt52@SP-200錯体を調製し、還元後にラウリン酸(LA)処理したラウリン酸処理Pt52@SP-200クラスターを、担体に担持した試料の粒径分布とモルフォロジー観察の結果を示す。(a)のPt52@SP-200(3μM)+52LAは平均粒径2.24nm、(b)のPt52@SP-200(10μM)+52LAは平均粒径2.76nm、(c)のPt52@SP-200(30μM)+52LAは平均粒径2.89nmであり、LA処理によって凝集を抑制した。
次に、前記したスキームに準じてキサンテン酸化反応を行い、Cu@SP-018/LAクラスターの触媒活性を評価した。1HNMR(CDCl3)を測定しXO/(XT+XO+XH)の面積比から変換率を求めた。TONは、1モルのXTが平均1時間で生成されるXOモル数である。その結果を表3に示す。Cu10@SP-018/10LAクラスターは、シリカ担持、担持なしのいずれにおいても比較試料に比べてより高い触媒活性を示した。
Figure 2023135714000009

Claims (5)

  1. 脂肪酸をイオン結合した数平均分子量500~12000の分岐型ポリエチレンイミンにサブナノ粒子が包接された、サブナノ粒子包接体。
  2. 請求項1に記載のサブナノ粒子包接体が担体に担持された、サブナノ粒子担持体。
  3. 請求項1に記載のサブナノ粒子包接体からなる酸化反応触媒。
  4. 以下の工程を含む、分岐型ポリエチレンイミンにサブナノ粒子が包接されたサブナノ粒子包接体の製造方法:
    数平均分子量500~12000の分岐型ポリエチレンイミンにおける窒素部位に、5座配位で還元性の金属元素を配位させ、金属元素の集積体を生成する工程;及び
    有機溶媒中に前記集積体を溶解した状態で、還元剤の存在下で前記金属元素の集積体を還元し、該金属元素のサブナノ粒子を生成する工程。
  5. 更に、前記サブナノ粒子包接体と脂肪酸とを液中で混合し、分岐型ポリエチレンイミンに脂肪酸をイオン結合する工程を含む、請求項4に記載のサブナノ粒子包接体の製造方法。
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