JP2017038485A - スロット絶縁体及び回転電機の製造方法 - Google Patents

スロット絶縁体及び回転電機の製造方法 Download PDF

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昭 筒井
Akira Tsutsui
昭 筒井
末彦 佃
Suehiko Tsukuda
末彦 佃
順也 武智
Junya Takechi
順也 武智
直紀 下西ノ園
Naoki Shimonishinosono
直紀 下西ノ園
一茂 小岩井
Kazushige Koiwai
一茂 小岩井
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Abstract

【課題】ステータコアのスロットへ、コイルを良好に挿入させることができるスロット絶縁体を提供する。【解決手段】スロット絶縁体は、コイルの挿入前にスロットへ装着される第1絶縁シート3を含む。第1絶縁シート3は、スロット2内に装着される装着部3Aと、ステータコア1の軸方向端面から突出する上突出部3B及び下突出部3Cとを備える。上突出部3Bには上カフス32が、下突出部3Cには下カフス33が形成される。下カフス33には、一対の拡開部34、35が形成されている。拡開部34、35の形成により、開口部HのX方向の間隔は、本体部31における間隔に比べて拡開部34、35の間隔の方が広くなっている。従って、コイル5が開口部Hに挿入される際、コイル5が第1絶縁シート3に引っ掛かり難くなり、スムースなコイル5の挿入が実現できる。【選択図】図4

Description

本発明は、コイルを収容するスロットを有するステータコアの前記スロットに装着されるスロット絶縁体、及びこれを用いた回転電機の製造方法に関する。
ラジアルギャップ型の回転電機のステータは、コイルと、該コイルを収容するスロットを有するステータコアとを備える。前記コイルを前記スロットに挿入するに際しては、例えば特許文献1に開示されているようなコイル挿入装置が用いられる。前記コイル挿入装置は、コイルが引っ掛けられ前記スロットに位置合わせされるブレードと、コイルを押し上げる可動押圧片とを備え、この押圧片の上昇によって前記コイルがスロット開口を通してスロット内へ挿入される。
前記スロットには、スロット絶縁体が装着される。スロット絶縁体は、スロット内壁面に沿うように予めスロットに装着される第1絶縁シートと、コイルが前記スロットに挿入された後にスロットに装着される第2絶縁シートとを含む。前記第1絶縁シートは、専らコイルとステータコアとの確実な絶縁を図るために、前記スロット内壁面と前記コイルとの間に介在される。一方、前記第2絶縁シートは、挿入されたコイルの当該スロットからの抜け出しを防止するために、スロット開口を塞ぐように当該スロットに装着される。
特公平4−80627号公報
上述のコイル挿入装置でコイルを挿入する際、前記第1絶縁シートの端縁部にコイルが引っ掛かってしまう不具合が生じることがある。コイルは巻線の束からなるが、この束のまとまり度合いが悪く、ほぐれた状態となっている場合に、特に前記引っ掛かりが生じ易い。また、前記第1絶縁シートを予めスロットへ装着する際の作業にて、当該第1絶縁シートに予期しない変形、つまりコイルが引っ掛かり易くなる変形が生じてしまう場合がある。コイルの引っ掛かりが生じると、第1絶縁シートが損傷又は変形したり、その後の第2絶縁シートの正常な装着が出来なかったりする問題が生じる。
本発明は上記の問題に鑑みて為されたものであり、ステータコアのスロットへコイルを良好に挿入させることができるスロット絶縁体、及びこれを用いた回転電機の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一局面に係るスロット絶縁体は、コイルと、該コイルを収容するスロットを有するステータコアとを備え、前記スロットは、前記ステータコアの周方向に複数配置され各々が前記ステータコアの軸方向に延び、スロット開口と、前記コイルの収容空間を画定するスロット内壁面とを具備しているステータにおける、前記スロットに組み込まれるスロット絶縁体であって、前記スロット絶縁体は、前記コイルが前記スロット開口を通して前記スロット内へ挿入される前に当該スロットに装着され、前記スロット内壁面と前記コイルとの間に介在される第1絶縁シートを含み、前記第1絶縁シートは、前記軸方向に沿った第1方向において前記ステータコアよりも長いシート長を有し、前記軸方向と直交する第2方向において前記スロット内壁面の周長に応じたシート長を有し、前記ステータコアの軸方向端面から突出する突出部を有する状態で前記スロットに装着され、前記突出部は、前記第1絶縁シートが前記スロットに装着された状態において、当該第1絶縁シートが備える前記第1方向の一対の辺間を、前記スロット内におけるこれらの辺間よりも拡開させる拡開部を備える。
このスロット絶縁体によれば、第1絶縁シートの前記突出部において、当該第1絶縁シートが備える前記第1方向の一対の辺間が拡開された拡開部を有する。コイルがスロットに挿入される際、前記突出部は前記コイルと干渉し易い部分となる。従って、その突出部に前記拡開部を具備させることによって、コイルが第1絶縁シートに引っ掛かることを防止できるようになる。
上記のスロット絶縁体において、前記拡開部は、前記第1絶縁シートを前記突出部において前記第1方向の少なくとも一つの辺の近傍を折り曲げ又は湾曲させた部分からなることが望ましい。
本発明において、前記拡開部は、第1絶縁シートの前記第1方向の一対の辺間が、前記スロット内におけるこれらの辺間より拡開していれば良く、その態様に限定はない。しかし、前記第1方向の辺の近傍を折り曲げ又は湾曲させた態様の拡開部であれば、その形成を容易に行うことができる。
上記のスロット絶縁体において、前記第1絶縁シートは、前記突出部において、前記第2方向に沿った折り目に基づく折り返し部を有し、前記拡開部は、前記折り返し部をさらに三角形状に折り曲げ又は湾曲させた部分からなることが望ましい。
このスロット絶縁体によれば、前記折り返し部をステータコアの軸方向端面に対する係止部としての機能を持たせることができる。従って、第1絶縁シートのスロットへの装着を容易に行わせることができる。そして、当該折り返し部に折り曲げ又は湾曲によって三角形状の拡開部を形成することで、コイルのスロットへの挿入性も良好にすることができる。
上記のスロット絶縁体において、前記コイルが前記スロットに挿入された後に、前記スロット開口を塞ぐように当該スロットに装着される第2絶縁シートをさらに備え、前記第2絶縁シートは、前記ステータコアの軸方向端面から前記スロットへ装着されるものであって、当該装着時において前記第1絶縁シートの前記拡開部と最初に干渉する先端干渉部を備え、前記先端干渉部は、前記拡開部によって前記スロット内へガイドされる形状を備えることが望ましい。
このスロット絶縁体によれば、第2絶縁シートの装着によって、スロット内へ挿入されたコイルの抜け出しを防止することができる。そして、前記第2絶縁シートは、前記拡開部によって前記スロット内へガイドされる形状を備える先端干渉部を有する。従って、前記拡開部を利用して、前記第2絶縁シートをスムース且つ確実に、前記スロットへ装着させることが可能となる。
上記のスロット絶縁体において、前記第2絶縁シートは、前記第1絶縁シートの前記第1方向の辺に近い領域と各々重なり合う一対の側面部と、前記スロット開口を塞ぐ本体部とを備え、前記先端干渉部は、前記側面部の前記軸方向の端部に突設された、先細り形状の突片からなることが望ましい。
このスロット絶縁体によれば、前記先端干渉部が、前記側面部の端部に突設された、先細り形状の突片からなるので、前記拡開部との干渉によって容易に変形する。この変形力が、一対の側面部を互いに接近させる方向に作用し、前記第2絶縁シートが前記スロット内へ装着されて行く際に、スロットに収容済みのコイルを前記一対の側面部が抱き込むような挙動を実現させることができる。従って、前記側面部を、コイルと第1絶縁シートとの間に確実に挿入させることが可能となる。
この場合、前記先細り形状の突片は、2つの傾斜辺と、これら傾斜辺が交差又は近接する頂点部とを備え、前記2つの傾斜辺のうち、一方の傾斜辺が前記装着時において前記拡開部にガイドされる部分であり、当該一方の傾斜辺が他方の傾斜辺よりも長い辺長を有していることが望ましい。
このスロット絶縁体によれば、前記先細り形状の突片の、前記拡開部にガイドされる一方の傾斜辺が、他方の傾斜辺よりも長い辺長を有しているので、前記突片を伴う第2絶縁シートが、前記拡開部にガイドされつつスロット内へ滑り込み易くすることができる。
本発明の他の局面にかかる回転電機の製造方法は、コイルを収容するスロットを有するステータコアであって、前記スロットは、前記ステータコアの周方向に複数配置され各々が前記ステータコアの軸方向に延び、スロット開口と、前記コイルの収容空間を画定するスロット内壁面とを具備しているステータコアを準備する工程と、前記軸方向に沿った第1方向において前記ステータコアよりも長いシート長を有すると共に、前記軸方向と直交する第2方向において前記スロット内壁面の周長に応じたシート長を有する第1絶縁シートを準備する工程と、前記第1絶縁シートの、前記スロットへの装着時において前記ステータコアの軸方向端面から突出することになる突出部に、当該第1絶縁シートが備える前記第1方向の一対の辺間が、前記スロット内におけるこれらの辺間より拡開する拡開部を形成する工程と、前記第1絶縁シートを、前記突出部が前記ステータコアの軸方向端面から突出する状態で、前記スロットに装着する工程と、前記コイルを、前記スロット開口を通して前記スロット内へ挿入する工程と、を備える。
この製造方法によれば、第1絶縁シートの前記突出部において、当該第1絶縁シートが備える前記第1方向の一対の辺間を拡開する拡開部を形成する工程を有する。コイルをスロットに挿入する工程において、前記突出部は前記コイルと干渉し易い部分となる。従って、その突出部に前記拡開部を形成する工程を行うことによって、コイルが第1絶縁シートに引っ掛かることを防止できるようになる。
上記の回転電機の製造方法において、前記スロット開口を塞ぐように当該スロットに装着される絶縁シートであって、当該装着時において前記第1絶縁シートの前記拡開部と干渉する先端干渉部を備える第2絶縁シートを準備する工程と、前記コイルを前記スロット内に挿入する工程の後に、前記先端干渉部が前記第1絶縁シートの前記拡開部と最初に干渉するように、前記第2絶縁シートを前記ステータコアの軸方向端面から前記スロットへ装着する工程と、をさらに備えることが望ましい。
この製造方法によれば、第2絶縁シートの装着する工程を具備させることによって、スロット内へ挿入されたコイルの抜け出しを防止することができる。そして、先端干渉部を有する第2絶縁シートが準備され、前記先端干渉部が前記第1絶縁シートの前記拡開部と最初に干渉するように、第2絶縁シートがスロットへ装着される。従って、前記拡開部を利用して、前記第2絶縁シートをスムース且つ確実に、前記スロットへ装着させることが可能となる。
本発明によれば、ステータコアのスロットへコイルを良好に挿入させることができるスロット絶縁体、及びこれを用いた回転電機の製造方法を提供することができる。
スロットを有するスタータコアの斜視図である。 スロットへのスロット絶縁体の組込を示す斜視図である。 スロットへのコイルの挿入方法を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る第1絶縁シートを示す斜視図である。 (A)は、図4の矢印VA方向の矢視図、(B)は、図4の矢印VB方向の矢視図である。 前記第1絶縁シートと、スロットへ挿入されるコイルとの関係を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る第2絶縁シートを示す斜視図である。 前記第2絶縁シートの要部の側面図である。 前記第2絶縁シートのスロットへの装着方法を示す斜視図である。 前記第2絶縁シートの装着時における前記第1絶縁シートとの関係を示す側面図である。 前記第2絶縁シートの装着時における前記第1絶縁シートとの関係を示す正面図である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。本発明のスロット絶縁体は、例えば、ロータとステータとを備えるラジアルギャップ型の回転電機(モータ又は発電機、或いは両者の機能を果たす機器)の、前記ステータに適用される絶縁体である。詳しくは、スロット絶縁体は、前記ステータを構成するステータコアのスロットに組み込まれる絶縁体である。
[ステータ及びスロット絶縁体の一般的な構造]
一般に回転電機のステータは、回転磁束を生じさせるコイルと、このコイルが作る磁束の通路となるステータコアとを備える。図1は、ステータコア1の斜視図である。ここでは、インナーロータ型のステータコア1を示している。ステータコア1は、当該ステータコア1の軸方向(回転電機の回転軸方向;以下、単に軸方向という)に貫通する中空部を備えた円環状の部材であり、その内周面には、コイル5(図3参照)を収容するスロット2を備えている。
ステータコア1は、複数枚の電磁鋼板の積層体からなる積層コアである。ステータコア1は、互いに対向する2つの軸方向端面11,12を有している。本来、ステータコア1には上下方向は存在しないが、後述するコイルの挿入作業時のステータコア1の姿勢に基づき、図1において上方を向く軸方向端面を上端面11、下方を向く端面を下端面12と呼ぶものとする。
スロット2は、ステータコア1の内周面の周方向に均等間隔を置いて複数配置されている。各スロット2は、上端面11から下端面12まで軸方向に直線的に延びる溝であって、コイル5を挿入するためのスロット開口21と、コイル5の収容空間を画定するスロット内壁面22とを具備している。スロット開口21は、ステータコア1の内周面に形成された開口である。スロット内壁面22は、スロット開口21からステータコア1の径方向へ向けて延びる、断面U字型の壁面である。スロット内壁面22によって形成されている前記収容空間は、スロット開口21の周方向幅よりも広い周方向幅を有している。隣接する2つのスロット2間に存在するのがティース13である。
図2は、スロット2へ組み込まれる、一般的なスロット絶縁体を示す斜視図である。スロット絶縁体は、第1絶縁シート300と第2絶縁シート400とを含む。第1絶縁シート300は、矩形のシートを、スロット内壁面22の形状に合致するように断面U字型に湾曲させてなる。第1絶縁シート300は、スロット2に嵌まり込む本体部301と、この本体部301の上下を各々折り曲げて形成されたカフス302とを備えている。第2絶縁シート400は、矩形のシートを断面コ字型に折り曲げてなり、第1絶縁シート300と略同じ上下方向長さを有している。
第1絶縁シート300は、コイル5がスロット開口21を通してスロット2内へ挿入される前に当該スロット2に装着され、スロット内壁面22とコイル5との間に介在される。上下のカフス302が、それぞれ上端面11、下端面12に係止されることにより、第1絶縁シート300のスロット2からの抜け止めが図られる。コイル5を構成する巻線は、絶縁コート層を有している。しかし、この絶縁コート層にピンホールが存在していたり、コイル5のスロット2への挿入時に当該絶縁コート層が損傷したりすると、導電体であるステータコア1と前記巻線とが短絡することがある。第1絶縁シート300は、この短絡を防止するためにスロット2に装着される。
第2絶縁シート400は、コイル5がスロット2に挿入された後に、スロット開口21を塞ぐように、換言するとU字型に成形された第1絶縁シート300の開放部分を塞ぐように、当該スロット2に装着される。第2絶縁シート400の役目は、挿入されたコイルの当該スロットからの抜け出しを防止することである。
[コイルの挿入方法]
図3は、スロット2へのコイル5の挿入方法を示す斜視図である。コイル5は、コイル挿入装置によってスロット2へ自動挿入される。スロット2には、予め第1絶縁シート300が装着されている。前記コイル挿入装置は、巻線の束からなるコイル5が引っ掛けられるブレード(図略)と、該ブレードに引っ掛けられた状態のコイル5を押し上げるストリッパと呼ばれる可動押圧片6とを備える。押圧片6がコイル5を押し上げつつ上昇することで、コイル5がスロット開口21を通してステータコア1の下端面12の側からスロット2内へ挿入される。押圧片6が上端面11よりも高く上昇すると、コイル5は前記ブレードからティース13へ架け渡される形でスロット2内に収まる。
その後、第2絶縁シート400がスロット2へ装着される。第2絶縁シート400もまた、前記コイル挿入装置が備える専用の可動押圧片によって、ステータコア1の下端面12の側からスロット2内に割り入れられる。しかる後、コイル5及び第1、第2絶縁シート300、400をスロット2へ固着させるために、該スロット2へ絶縁ワニスが注入される。以上の工程によって、ステータが製造される。
上述の通り、コイル挿入装置の押圧片6でスロット2へコイル5を挿入する際、第1絶縁シート300の下端縁乃至は下側のカフス302にコイル5が引っ掛かってしまう不具合が生じることがある。いくつかの要因があるが、大きくは巻線の束からなるコイル5の形状が定形ではないこと、及び、第1絶縁シート300の形状ムラが存在することが挙げられる。
スロット2への挿入時、巻線の束がほぐれた状態となっている場合、一部の巻線が第1絶縁シート300の下端部に引っ掛かり易くなる。また、第1絶縁シート300の下端が、内側方向に傾いているような場合、同様に一部の巻線が前記下端部に引っ掛かり易い。前記傾きは、カフス302を形成する際の形状のばらつき、第1絶縁シート300を予めスロット2へ装着する際の作業における変形などにより発生する。コイル5の引っ掛かりが生じると、第1絶縁シート300が損傷又は変形したり、その後の第2絶縁シート400の正常な装着が出来なかったりする問題が生じる。本実施形態では、このような問題に鑑み、コイル5の引っ掛かりが生じることのない第1絶縁シート、及び、装着が確実に行える第2絶縁シートを提供する。
[実施形態に係る第1絶縁シートの説明]
図4は、本発明の実施形態に係る第1絶縁シート3を示す斜視図である。図4に付記している方向表示において、X方向はステータコア1の周方向、Y方向はステータコア1の径方向、Z方向は軸方向に相当する。また、+Zがステータコア1の上端面11の側、−Zが下端面12の側である。
第1絶縁シート3は、厚さが0.1mm〜0.3mm程度の矩形のシートからなる。該シートとしては、電気絶縁性及び耐熱性を備え、相応の腰を有する素材が選ばれる。例えばノーメックス(NOMEX:デュポン社商品名)は、第1絶縁シート3の素材として好適である。なお、ノーメックスは次述の第2絶縁シート4の素材としても好適である。第1絶縁シート3は、軸方向に沿ったZ方向(第1方向)において、ステータコア1よりも長いシート長を有している。また、Z方向と直交するX方向(第2方向)において、スロット内壁面22の周長に応じたシート長を有している。周長に応じたシート長とは、スロット内壁面22のX方向の周長と同一の場合だけでなく、コイル5とステータコア1との絶縁を確実に確保できる限りにおいて前記周長よりも短い場合、或いは周長よりも長い場合を含む。
第1絶縁シート3は、前記矩形の素材シートに湾曲加工を施すことによって、断面U字型に成形されている。前記湾曲加工は、素材シートのX方向中心をZ方向に延びる曲げ中心線に沿ってU字型に、該シートを湾曲させる加工である。この湾曲形状は、スロット内壁面22に内接する形状である。
第1絶縁シート3は、スロット2への装着態様の観点から、スロット2内に装着される装着部3Aと、ステータコア1の上端面11から上方に突出する上突出部3Bと、下端面12から下方に突出する下突出部3C(突出部)とを備える。また、第1絶縁シート3は、形状的な特徴の観点から、シートの+Z及び−Z側の端部領域を除く本体部31と、+Z側端部に位置する上カフス32と、−Z側端部に位置する下カフス33(折り返し部)とを備えている。
本体部31は、装着部3Aに相当する部分であり、コイル5とステータコア1との間に介在されて両者を絶縁する部分である。本体部31は、スロット内壁面22の形状に合致する断面U字型の形状を有し、スロット内壁面22に接触乃至は近接する状態でスロット2に収まる。本体部31(第1絶縁シート3)のZ方向の一対の辺311、312間は、U字型を呈する第1絶縁シート3の+Y側の開口部Hである。辺311、312は、本体部31がスロット2に収まった状態において、スロット開口21と面一若しくは近接することになる。
上カフス32は、上突出部3Bにおいて、素材シートの+Z側端部付近を、X方向に延びる折り目321に沿って折り曲げ加工を施すことによって形成された部分である。同様に、下カフス33は、下突出部3Cにおいて、素材シートの−Z側端部付近を、X方向に延びる折り目331に沿って折り曲げ加工を施すことによって形成された部分である。上カフス32の折り曲げ先端縁がステータコア1の上端面11に当接すると共に、下カフス33折り曲げ先端縁が下端面12に当接する。これにより、本体部31がスロット2に装着された状態において、第1絶縁シート3のスロット2からの抜け止めが図られる。
本実施形態の第1絶縁シートは、上記の基本構成に加えて、下カフス33に形成された−X側拡開部34及び+X側拡開部35を有している。図5(A)は、図4の矢印VA方向の矢視図であり、−X側拡開部34を示している。図5(B)は、図4の矢印VB方向の矢視図である。拡開部34、35は、折り返し部分からなる下カフス33の+Y側の一対の端縁を、折り曲げ線311H、312Hに沿って各々、外側に向けて三角形状に折り曲げて形成された部分である。
なお、拡開部34、35は、折り曲げに依らずとも、折り曲げ線311H、312Hの部分を曲げ中心とする曲げ加工に依って形成しても良い。また、拡開部34、35は、下突出部3Cにおいて、辺311、312の近傍を折り曲げ又は湾曲させることによって、辺311、312間を拡開させる部分であればよく、三角形状以外の他の形状を有していても良い。さらに、下突出部3Cにおいて辺311、312の少なくとも一方に形成されていれば良く、必ずしも辺311、312の双方に設けなくとも良い。
折り曲げ線311Hは、Z方向の一対の辺のうち、−X側の辺311の下端付近から−Y方向の斜め下に向かう線である。同様に、折り曲げ線312Hは、Z方向の+X側の辺312の下端付近から−Y方向の斜め下に向かう線である。拡開部34、35は、折り曲げ線311H、312Hに沿ってX方向に互いに離間するように折り曲げることによって形成されている。従って、辺311の下端311Eは、拡開部34において−X側に向かい、一方、辺312の下端312Eは、拡開部35において+X側に向かう。結果として、Z方向に延びる一対の辺311、312のX方向の間隔(開口部Hの間隔)は、本体部31における間隔D1に比べて拡開部の間隔D2の方が広くなっている。より詳しくは、開口部Hの間隔は、折り曲げ線311H、312Hの上端位置から徐々に拡がり、辺311、312の下端に相当する位置において最も拡がる(D2は最も拡がっている位置の間隔を示している)。
[第1絶縁シートの作用]
図6は、スロット2に予め挿入された第1絶縁シート3と、スロット2へ挿入されるコイル5との関係を示す斜視図である。コイル5は、押圧片6(図3)の上昇によって、+Y方向の斜め下方から−Y方向に向けて、第1絶縁シート3の開口部H(スロット開口21)に進入する。つまり、第1絶縁シート3の下端部(−Z端部)において、コイル5と干渉し易い状態にある。
しかし、前記干渉が生じても、第1絶縁シート3は損傷せず、コイル5の引っ掛かりは生じない。すなわち、第1絶縁シート3は、上述の通りの形状を有しているので、第1絶縁シート3がスロット2に装着された状態において、スロット2内に収まる本体部31における一対の辺311、312の間隔は、スロット内壁面22の形状に応じた間隔D1となる。一方、下突出部3Cにおいては、拡開部34、35の形成によって一対の辺311、312の間隔は、間隔D1より広くなり、最大で間隔D2となる。このような拡開部34、35の形成によって、第1絶縁シート3は、下突出部3Cにおいて間口が拡がった状態になっている。また、−Y方向の斜め下に向かう折り曲げ線311H、312Hに沿った折り曲げによって拡開部34、35が形成されているので、図5(A)に示す通り、辺311と折り目331とが交差する角部が消失した状態となっている。
従って、コイル5が開口部Hに挿入される際、コイル5が第1絶縁シート3に引っ掛かり難くなり、スムースなコイル5の挿入が実現できる。但し、巻線間がほぐれ、コイル5が幅広の状態になっていると、コイル5の一部が拡開部34、35と接触し易い状態となる。しかし、下方から押し上げられてくるコイル5が拡開部34、35に突き当たると、その力は第1絶縁シート3の開口部Hを拡げる力に変換される。つまり、コイル5に対向する三角形の対向面を有する拡開部34、35が当該コイル5から押圧力を受けると、拡開部34は−X側に、拡開部35は+X側に逃げる。よって、開口部Hが拡がる。このため、第1絶縁シート3の下端がコイル5に引っ掛けられたり、抱き込まれたりすることは無く、スムースなコイル5の挿入が実現できる。
コイル5からの押圧力を開口部Hの拡大力に効率的に変換するために、拡開部34、35を形成する折り曲げ線311H、312Hにおける、本体部31の面に対する折り曲げ角(拡開部34、35の立ち上げ角)は、図5(A)に示す通り90°以下とすることが望ましい。折り曲げ角が小さすぎると、拡開の効果が小さくなり、また折り曲げ角が大きすぎると、押圧力を開口部Hの拡大力に変換する効率が低下する傾向がある。
[実施形態に係る第2絶縁シートの説明]
図7は、本発明の実施形態に係る第2絶縁シート4を示す斜視図、図8は、第2絶縁シート4の要部の側面図である。図7に示す第2絶縁シート4は、図4に示す第1絶縁シート3に対して組み付けられる姿勢で示しており、図7に付記している方向表示は図4と同じである。第2絶縁シート4は、コイル5がスロット2に挿入された後に、スロット開口21、つまり第1絶縁シート3の開口部Hを塞ぐようにスロット2に装着されるシートである。
第2絶縁シート4は、第1絶縁シート3と同じ素材からなる矩形のシートを断面コ字型に折り曲げた形状を備え、Z方向に帯状に延びる本体部41と、一対の側面部42、43を備えている。本体部41は、スロット開口21を塞ぐ部分である。側面部42は、本体部41の−X側端縁及び+X側端縁の折り曲げ部422、432に沿って、各々90°折り曲げられた部分である。−X側の側面部42は折り曲げ部422から−Y方向に向かう部分、+X側の側面部43は折り曲げ部432から−Y方向に向かう部分である。一対の側面部42、43は、第2絶縁シート4をスロット2に装着した状態において、第1絶縁シート3の辺311、312に近い領域と各々重なり合う。つまり、一対の側面部42、43は、コイル5と第1絶縁シート3との間に嵌り込む。
第2絶縁シート4は、+Z方向の端部に先端干渉部4Tを、−Z方向の端部に底部4Bをそれぞれ備えている。第2絶縁シート4は、後述の通りステータコア1の下端面12側からスロット2へ装着されるが、先端干渉部4Tは当該装着時において第1絶縁シート3の拡開部34、35と最初に干渉する部分である。この先端干渉部4Tは、拡開部34、35によってスロット2内へガイドされ易い形状を備えている。
先端干渉部4Tの詳細を、図8に基づいて説明する。先端干渉部4Tは、一対の側面部42、43の上端部(+Z側端部)に各々突設された、先細り形状の突片44、45を備えている。図8では、−X側の突片44の側面図を示している。突片44、45が形成されている領域には、本体部41に相当する部分は存在しておらず、これら突片44、45はX方向に容易に湾曲変形することができる。
−X側の突片44は、2つの傾斜辺441、442と、これら傾斜辺441、442の上端が交差する頂点部443とを備えている。図8では、先鋭な頂点部443を例示しているが、R形状に面取りされた頂点部、或いは台形状の頂点部(傾斜辺441、442の上端が近接する頂点部)であっても良い。−Y側の傾斜辺441は、側面部42の−Y方向の突出端である垂直辺421の上端と頂点部443とを結ぶ辺である。+Y側の傾斜辺442は、折り曲げ部422の上端と頂点部443とを結ぶ辺である。
−Y側の傾斜辺441は、第2絶縁シート4のスロット2への装着時において拡開部34にガイドされる部分である。−Y側の傾斜辺441は、+Y側の傾斜辺442よりも長い辺長を有している。これは、拡開部34と接触することになる傾斜辺441を比較的長い辺長を有する辺とすることで、第2絶縁シート4が、拡開部34にガイドされつつスロット2内へ滑り込み易くするための工夫である。+X側の突片45も、当該突片44と同一の構造を有している。
[第2絶縁シートの作用]
図9は、第2絶縁シート4のスロット2への装着方法を示す斜視図であって、該装着時における第1絶縁シート3との関係を示す図である。図9に示す通り、第2絶縁シート4は、上述の通り前記コイル挿入装置が備える専用の可動押圧片によって、ステータコア1の下端面12の側からスロット2内へ、つまり第1絶縁シート3の開口部H内へ割り入れられる。具体的には、先端干渉部4Tが下方で拡開部34、35に対向する状態から、第2絶縁シート4が上方向(+Z方向)に押し上げられることによって、開口部H内へ入り込む。
図10は、第2絶縁シート4の装着時における第1絶縁シート3との関係を示す側面図、図11はその正面図である。これらの図では、先端干渉部4Tが拡開部34、35の位置に到達する直前の状態を示している。第1絶縁シート3と第2絶縁シート4とが、Z方向において位置が合っており、一対の側面部42、43が正常な折り曲げ状態を維持していると、開口部H内に第2絶縁シート4がうまく収まる。しかし、両者の位置がずれていたり、一対の側面部42、43が拡開していたりすると、開口部H内への収容性が悪化する。
しかしながら、本実施形態では、拡開部34、35と突片44、45との関わり合いによって、第2絶縁シート4をスムース且つ確実に、開口部H(スロット2)へ装着できるようにしている。図10及び図11の状態からある程度だけ第2絶縁シート4が上昇すると、−X側の突片44の頂点部443及び−Y側の傾斜辺441が拡開部34に接触する。+X側の突片45も、同様に拡開部35に接触する。さらに第2絶縁シート4が上昇すると、傾斜辺441が拡開部34に摺接することによって、突片44が拡開部34にガイドされる。突片45が拡開部35にガイドされる。
突片44、45は、側面部42、43の+Z端部に突設された、先細り形状の突片からなるので、拡開部34、35との干渉によって容易に変形する。突片44、45が変形する方向は、図11に矢印a1,a2で示す通り、互いに内向きに倒れ込む方向である。この突片44、45の変形力が、一対の側面部42、43を互いに接近させる方向に作用する。従って、第2絶縁シート4がスロット2内へ下方から装着されて行く際に、スロット2に収容済みのコイル5を一対の側面部42、43が抱き込むような挙動を実現させることができる。このため、側面部42、43を、コイル5と第1絶縁シート3との間に確実に挿入させることができる。
[ステータの組み立て方法の説明]
上記で説明した第1絶縁シート3及び第2絶縁シート4を用いたステータの組み立て方法(回転電機の製造方法)について説明する。まず、ステータコア1、第1絶縁シート3及び第2絶縁シート4を準備する。ステータコア1は、図1に示すように、スロット開口21とスロット内壁面22とを具備するスロット2が、環状のステータコア1の内周面に周方向に複数配置され各々が軸方向に延びる態様である。第1絶縁シート3は、図4に示すように、Z方向においてステータコア1よりも長いシート長を有すると共に、X方向においてスロット内壁面22の周長に応じたシート長を有するシートである。第2絶縁シート4は、図7に示すように、Z方向に帯状に延びる本体部41と、一対の側面部42、43を形成可能なシートである。
第1絶縁シート3及び第2絶縁シート4に対しては、所定の加工が予め施される。第1絶縁シート3に対しては、全体をU字型に湾曲させる加工、及び、+Z及び−Z側の端部領域に上カフス32及び下カフス33を形成する折り曲げ加工が施される。これにより、図4に示すように、スロット2内に装着される装着部3Aと、ステータコア1の軸方向端面から突出する上突出部3B及び下突出部3Cが形成される。さらに、下突出部3Cに対して、拡開部34、35を形成する折り曲げ加工が施される。この加工は、第1絶縁シート3のZ方向の一対の辺311、312の辺間を拡開させる折り曲げ加工である。第2絶縁シート4に対しては、第1絶縁シート3の拡開部34、35と干渉する先端干渉部4Tを形成する加工が施される。これは、図7及び図8に示すように、一対の側面部42、43の上端部に先細り形状の突片44、45を形成する加工である。
続いて、第1絶縁シート3をスロット2に装着する工程が実行される。この装着工程では、本体部31がスロット2に収まり、上カフス32及び下カフス33がステータコア1から軸方向に突出する状態とされる。また、上カフス32の折り曲げ先端縁がステータコア1の上端面11に当接し、下カフス33折り曲げ先端縁が下端面12に当接する状態とされることで、第1絶縁シート3がスロット2に係止される。
その後、コイル5を、スロット開口21を通してスロット2内へ挿入する工程が実行される。このコイル挿入工程では、先に図3に基づき説明した通り、コイル挿入装置を用い、可動押圧片6によってブレードに引っ掛けられたコイル5を上方に押し上げることで、スロット開口21を通してコイル5をステータコア1の下端面12の側からスロット2内へ挿入する。この工程の際、図6に基づき説明した通り、第1絶縁シート3が拡開部34、35を備えているので、たとえコイル5がほぐれた状態にあっても、コイル5が第1絶縁シート3に引っ掛かることはない。
コイル5がスロット2内に挿入されると、第2絶縁シート4をステータコア1の下端面12の側からスロット2へ装着する工程が実行される。この際、図9〜図11に基づき説明した通り、突片44、45を有する先端干渉部4Tが拡開部34、35と最初に干渉するように、第2絶縁シート4はスロット2へ装着される。これにより、突片44、45が拡開部34、35にガイドされ、一対の側面部42、43がコイル5を抱き込むように第2絶縁シート4を装着することができる。
以上の通り、本実施形態に係るステータの組み立て方法によれば、拡開部34、35を有する第1絶縁シート3が用いられるので、コイル5のスロット2への挿入の際に、コイル5が第1絶縁シート3に引っ掛かることを防止できる。さらに、第2絶縁シート4の突片44、45を拡開部34、35でガイドさせるので、一対の側面部42、43がコイル5と第1絶縁シート3との間にスムース且つ確実に嵌り込む状態で、第2絶縁シート4をスロット2へ装着させることができる。
1 ステータコア
12 下端面(軸方向端面)
2 スロット
21 スロット開口
22 スロット内壁面
3 第1絶縁シート
3A 装着部
3B 上突出部
3C 下突出部(突出部)
31 本体部
32、33 上カフス、下カフス
34、35 拡開部
4 第2絶縁シート
4T 先端干渉部
41 本体部
42、43 側面部
44、45 突片
441、442 傾斜辺
443 頂点部
5 コイル

Claims (8)

  1. コイルと、該コイルを収容するスロットを有するステータコアとを備え、前記スロットは、前記ステータコアの周方向に複数配置され各々が前記ステータコアの軸方向に延び、スロット開口と、前記コイルの収容空間を画定するスロット内壁面とを具備しているステータにおける、前記スロットに組み込まれるスロット絶縁体であって、
    前記スロット絶縁体は、前記コイルが前記スロット開口を通して前記スロット内へ挿入される前に当該スロットに装着され、前記スロット内壁面と前記コイルとの間に介在される第1絶縁シートを含み、
    前記第1絶縁シートは、前記軸方向に沿った第1方向において前記ステータコアよりも長いシート長を有し、前記軸方向と直交する第2方向において前記スロット内壁面の周長に応じたシート長を有し、前記ステータコアの軸方向端面から突出する突出部を有する状態で前記スロットに装着され、
    前記突出部は、前記第1絶縁シートが前記スロットに装着された状態において、当該第1絶縁シートが備える前記第1方向の一対の辺間を、前記スロット内におけるこれらの辺間よりも拡開させる拡開部を備える、スロット絶縁体。
  2. 請求項1に記載のスロット絶縁体において、
    前記拡開部は、前記第1絶縁シートを前記突出部において前記第1方向の少なくとも一つの辺の近傍を折り曲げ又は湾曲させた部分からなる、スロット絶縁体。
  3. 請求項2に記載のスロット絶縁体において、
    前記第1絶縁シートは、前記突出部において、前記第2方向に沿った折り目に基づく折り返し部を有し、
    前記拡開部は、前記折り返し部をさらに三角形状に折り曲げ又は湾曲させた部分からなる、スロット絶縁体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のスロット絶縁体において、
    前記コイルが前記スロットに挿入された後に、前記スロット開口を塞ぐように当該スロットに装着される第2絶縁シートをさらに備え、
    前記第2絶縁シートは、前記ステータコアの軸方向端面から前記スロットへ装着されるものであって、当該装着時において前記第1絶縁シートの前記拡開部と最初に干渉する先端干渉部を備え、
    前記先端干渉部は、前記拡開部によって前記スロット内へガイドされる形状を備える、スロット絶縁体。
  5. 請求項4に記載のスロット絶縁体において、
    前記第2絶縁シートは、前記第1絶縁シートの前記第1方向の辺に近い領域と各々重なり合う一対の側面部と、前記スロット開口を塞ぐ本体部とを備え、
    前記先端干渉部は、前記側面部の前記軸方向の端部に突設された、先細り形状の突片からなる、スロット絶縁体。
  6. 請求項5に記載のスロット絶縁体において、
    前記先細り形状の突片は、2つの傾斜辺と、これら傾斜辺が交差又は近接する頂点部とを備え、
    前記2つの傾斜辺のうち、一方の傾斜辺が前記装着時において前記拡開部にガイドされる部分であり、当該一方の傾斜辺が他方の傾斜辺よりも長い辺長を有している、スロット絶縁体。
  7. コイルを収容するスロットを有するステータコアであって、前記スロットは、前記ステータコアの周方向に複数配置され各々が前記ステータコアの軸方向に延び、スロット開口と、前記コイルの収容空間を画定するスロット内壁面とを具備しているステータコアを準備する工程と、
    前記軸方向に沿った第1方向において前記ステータコアよりも長いシート長を有すると共に、前記軸方向と直交する第2方向において前記スロット内壁面の周長に応じたシート長を有する第1絶縁シートを準備する工程と、
    前記第1絶縁シートの、前記スロットへの装着時において前記ステータコアの軸方向端面から突出することになる突出部に、当該第1絶縁シートが備える前記第1方向の一対の辺間が、前記スロット内におけるこれらの辺間より拡開する拡開部を形成する工程と、
    前記第1絶縁シートを、前記突出部が前記ステータコアの軸方向端面から突出する状態で、前記スロットに装着する工程と、
    前記コイルを、前記スロット開口を通して前記スロット内へ挿入する工程と、
    を備える、回転電機の製造方法。
  8. 請求項7に記載の回転電機の製造方法において、
    前記スロット開口を塞ぐように当該スロットに装着される絶縁シートであって、当該装着時において前記第1絶縁シートの前記拡開部と干渉する先端干渉部を備える第2絶縁シートを準備する工程と、
    前記コイルを前記スロット内に挿入する工程の後に、前記先端干渉部が前記第1絶縁シートの前記拡開部と最初に干渉するように、前記第2絶縁シートを前記ステータコアの軸方向端面から前記スロットへ装着する工程と、
    をさらに備える、回転電機の製造方法。
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