JP2017037044A - 電極チップおよび電極チップの製造方法 - Google Patents

電極チップおよび電極チップの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出することを可能とする電極チップを提供することを主目的とする。【解決手段】本発明は、基板と、上記基板の一方の表面上に形成された電極と、上記基板の一方の表面上に形成され、上記電極と接続された端子と、上記基板の一方の表面上に固定化された試薬と、を有し、上記試薬は、C因子と、酸化還元物質が結合したペプチド化合物とを含み、さらに、上記電極が配置され、電気化学反応による電流値の測定が行われる測定領域内に固定化されていることを特徴とする電極チップを提供することにより、上記目的を達成する。【選択図】図1

Description

本発明は、エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出できる電極チップに関するものである。
エンドトキシンはグラム陰性菌の細胞壁に存在する物質であり、発熱性等の種々の生物活性を有している。そのため、例えば透析液、注射薬、移植組織片、人工授精の受精卵の培養溶液等の医薬品や医療用具がエンドトキシンで汚染された場合、極微量でも重篤な結果を招くことがあり、これらの微生物夾雑物の汚染量は厳密に管理されなければならない。しかしながら、エンドトキシンは環境中に普遍的に存在し、さらに耐熱性を有するために加熱除去が困難であり、混入防止管理は非常に難しい。
エンドトキシンの検出試験には定性試験および定量試験があり、定性試験としてはゲル化法、定量試験としては比濁法、特許文献1に記載される比色法、蛍光法が一般に知られている。いずれの方法においても、高精度の検出を行うには煩雑な手順や長時間を要する。そのため、簡便な操作で迅速な検出方法が求められている。
このような問題に対して、特許文献2には、色素が結合したペプチド化合物と、エンドトキシンと反応することによりペプチド化合物から上記色素を遊離させるライセート試薬と、を含む測定用試薬を用い、ディファレンシャルパルスボルタンメトリを適用した電気化学式のエンドトキシンの濃度検出方法が記載されている。この方法においては、ディファレンシャルパルスボルタンメトリを適用することにより、ペプチド化合物から遊離した色素の還元に由来する電流ピークと、ペプチド化合物に結合した色素の還元に由来する電流ピークとを分離して得ることができ、エンドトキシンの濃度を高い精度で検出することができる。
特許第5118849号公報 特許第5561613号公報
しかしながら、特許文献2に記載の電気化学式のエンドトキシン濃度検出方法では、上記測定用試薬に被検体を添加して混合して形成された混合物を測定用の電極チップに添加する工程が必要になり作業が煩雑であるといった問題がある。
また、上記混合物を上記電極チップに添加する工程中に、空気中のエンドトキシンが混入し、上記濃度検出の精度が低下する可能性があるといった問題がある。
本発明は、エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出できる電極チップを提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、基板と、上記基板の一方の表面上に形成された電極と、上記基板の一方の表面上に形成され、上記電極と接続された端子と、上記基板の一方の表面上に固定化された試薬と、を有し、上記試薬は、C因子と、酸化還元物質が結合したペプチド化合物とを含み、さらに、上記電極が配置され、電気化学反応による電流値の測定が行われる測定領域内に固定化されていることを特徴とする電極チップを提供する。
本発明によれば、上記電極チップの測定領域内にC因子と酸化還元物質が結合したペプチド化合物とを含む試薬が固定化されていることにより、エンドトキシンを含む被検体を上記電極チップに導入することのみで、電気化学反応による電流値の測定対象となる反応後混合物、すなわち、遊離反応終了後の、上記被検体および上記試薬の成分の混合物を得ることが可能となる。
したがって、上記電極チップは、エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出できる。
本発明においては、上記試薬が緩衝液成分を含むことが好ましい。試薬が緩衝液成分を含むことにより、測定感度を向上できる。その結果、上記電極チップは、高感度で被検体のエンドトキシン濃度を検出できるからである。
また、緩衝液を別途添加する工程を不要とすることができる結果、上記電極チップは、エンドトキシン濃度を容易に検出できるからである。また、緩衝液を別途添加する際の空気中のエンドトキシンの混入を防ぐことができ、上記電極チップは、エンドトキシンの濃度を精度よく検出できるからである。
本発明においては、上記試薬が多孔質構造であることが好ましい。上記試薬が多孔質構造であることにより、上記試薬が上記被検体に速やかに溶解するからである。その結果、上記電極チップは、短時間で被検体のエンドトキシン濃度を検出できるからである。
本発明においては、上記試薬を固定する試薬固定部を有することが好ましい。
上記試薬固定部として、例えば、上記試薬の固定化位置と平面視上重なるように形成され、試薬を形成可能な試薬溶液を収容可能な試薬収容部等を設けることにより、上記電極チップは、上記試薬の上記測定領域内への固定化が容易なものとなるからである。
本発明においては、遊離反応終了後の、被検体および上記試薬の成分の混合物である反応後混合物を収容可能な収容部を有し、上記収容部は、内部に上記電極が配置され、かつ、上記試薬が固定化されるものであることが好ましい。
上記収容部が形成されていることにより、上記電極チップは、上記反応後混合物を安定的に上記測定領域内に保持することができ、上記反応後混合物に対して安定的に電気化学反応による電流値の測定が可能となるからである。
本発明においては、上記基板上面を覆う蓋部を有することが好ましい。空気中のエンドトキシン等の混入を防止することができ、上記電極チップは、エンドトキシンの濃度を精度よく検出できるからである。また、上記被検体等の乾燥を防ぐことができ、上記電極チップは、エンドトキシンの濃度を精度よく検出できるからである。
本発明は、基板と、上記基板の一方の表面上に形成された電極と、上記基板の一方の表面上に形成され、上記電極と接続された端子と、を有する積層体を準備する積層体準備工程と、上記積層体準備工程後に、上記基板の一方の表面上にC因子と酸化還元物質が結合したペプチド化合物とを含む試薬溶液を塗布する塗布工程と、上記試薬溶液を乾燥し試薬を形成する乾燥工程と、を有し、上記塗布工程は、上記試薬溶液を、上記電極が配置され、電気化学反応による電流値の測定が行われる測定領域内に塗布するものであることを特徴とする電極チップの製造方法を提供する。
本発明によれば、上記塗布工程および上記乾燥工程を有することにより、測定領域内にC因子と酸化還元物質が結合したペプチド化合物とを含む試薬が固定化されている電極チップを容易に製造できる。
本発明は、エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出できる電極チップを提供できるといった効果を奏する。
本発明の電極チップの一例を示す概略平面図である。 図1のA−A線断面図である。 本発明における遊離反応の一例を示す模式図である。 本発明における遊離反応の一例を示す模式図である。 本発明における試薬の固定化位置を説明する説明図である。 本発明の電極チップの他の例を示す概略平面図である。 図6のB−B線断面図である。 本発明の電極チップの他の例を示す概略平面図である。 図8のC−C線断面図である。 本発明の電極チップの他の例を示す概略断面図である。 本発明の電極チップの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明のエンドトキシン濃度測定装置の一例を示す概略断面図である。 本発明のエンドトキシン濃度測定装置の使用方法の一例を示す工程図である。 実施例1におけるサイクリックボルタモグラムである。 比較例1におけるサイクリックボルタモグラムである。 実施例1および比較例1における反応時間30分でのサイクリックボルタモグラムである。 実施例1および比較例1における反応時間60分でのサイクリックボルタモグラムである。 実施例1および比較例1における反応時間に対するピーク電流を示すグラフである。 実施例3および比較例2における反応時間に対するピーク電流を示すグラフである。 実施例4および比較例3における反応時間に対するピーク電流を示すグラフである。 実施例5および比較例4における反応時間に対するピーク電流を示すグラフである。
本発明は、電極チップ、その製造方法およびそれを用いてエンドトキシン濃度の検出を行うエンドトキシン濃度測定装置に関するものである。
以下、本発明の電極チップ、電極チップの製造方法およびエンドトキシン濃度測定装置について詳細に説明する。
A.電極チップ
まず、本発明の電極チップについて説明する。
本発明の電極チップは、基板と、上記基板の一方の表面上に形成された電極と、上記基板の一方の表面上に形成され、上記電極と接続された端子と、上記基板の一方の表面上に固定化された試薬と、を有し、上記試薬は、C因子と、酸化還元物質が結合したペプチド化合物とを含み、さらに、上記電極が配置され、電気化学反応による電流値の測定が行われる測定領域内に固定化されていることを特徴とするものである。
このような本発明の電極チップについて図を参照して説明する。図1は、本発明の電極チップの一例を示す概略平面図である。図2は、図1のA−A線断面図である。図1および図2に例示するように、本発明の電極チップ10は、基板1と、上記基板1の一方の表面上に形成された電極2と、上記基板1の一方の表面上に形成され、上記電極2と接続された端子3と、上記基板1の一方の表面上に固定化された試薬4と、を有し、上記試薬4は、C因子と、酸化還元物質が結合したペプチド化合物とを含み、さらに、上記電極2が配置され、電気化学反応による電流値の測定が行われる測定領域5内に固定化されているものである。
この例では、上記電極チップ10は、上記電極2および上記端子3を電気的に接続する導線6と、上記導線6を覆うように形成された絶縁層7と、を有するものである。また、上記電極2は、作用極2a、対極2bおよび参照電極2cを有する3電極式の電極である。
なお、図1において測定領域5は点線で囲まれる領域であり、上記試薬4は上記測定領域5内の上記電極2の一部を覆うように固定化されるものである。
本発明によれば、上記電極チップの測定領域内にC因子と酸化還元物質が結合したペプチド化合物とを含む試薬が固定化されていることにより、エンドトキシンを含む被検体を上記電極チップに導入することのみで、電気化学反応による電流値の測定対象となる上記反応後混合物を得ることが可能となる。
このため、上記電極チップとは別体として用意された容器を用いて上記反応後混合物を形成した後、上記反応後混合物を上記容器から取り出して測定用の電極チップに導入する工程を不要とすることができる。
また、上記反応後混合物を上記容器から取り出して測定用の電極チップに導入する工程を不要とすることができる結果、上記反応後混合物を上記容器から取り出す際、および測定用の電極チップに導入する際の、空気中のエンドトキシンの混入を防ぐことができ、エンドトキシンの濃度検出の精度の低下を抑制できる。
したがって、上記電極チップは、エンドトキシンの濃度を精度よく、かつ、容易に検出できる。
また、上記試薬が上記測定領域内に配置されることにより、上記反応後混合物の形成後速やかに電流値の測定を開始することができる。このため、上記遊離反応の反応速度が速い場合または上記反応後混合物に含まれる上記ペプチド化合物から遊離した酸化還元物質が短時間で失活する場合でも、上記電極チップは、安定的にエンドトキシンの濃度の検出を行うことができる。
ここで、上記遊離反応は、エンドトキシンを含む被検体を上記C因子に作用させることにより、C因子から活性型C因子を生成し、次いで、この活性型C因子により、酸化還元物質が結合したペプチド化合物から酸化還元物質を遊離させることができる。
なお、上記遊離反応は、上記C因子を、B因子および凝固酵素前駆体と共に用いる多段階反応であってもよい。
図3および図4は、上記遊離反応が多段階反応である場合の一例を示す模式図であり、上記酸化還元物質がパラメトキシアニリン(以下、単にpMAと称する場合がある。)である例およびパラアミノフェノール(以下、単にpAPと称する場合がある。)である例を示すものである。図3および図4に例示するように、多段階の遊離反応においては、エンドトキシンを含む被検体をC因子に作用させることにより、C因子から活性型C因子を、B因子から活性型B因子を、凝固酵素前駆体から活性型凝固酵素を次々に発生させ、この活性型凝固酵素により、pMAが結合したペプチド化合物およびpAPが結合したペプチド化合物から、それぞれpMAおよびpAPを遊離させる。
上記遊離反応後の上記混合物に対して、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンを定量する。すなわち、上記遊離反応後の上記混合物には、ペプチド化合物から遊離したpMAまたはpAPが存在しており、特定の電位においてpMAまたはpAPが酸化反応する。このpMAまたはpAPの酸化反応に由来する電流値と、pMAまたはpAPの濃度、すなわちエンドトキシンの濃度との間には相関が成り立ち、この相関を利用して、エンドトキシンの濃度を定量する。
具体的には、電極電位が酸化電位以上になると、例えば、pMAの場合には、下記式(1)のスキームに従って電子を放出し、酸化され、pAPの場合には、下記式(2)のスキームに従って電子を放出し、酸化される。
このときにpMAまたはpAPから放出されて作用極が受け取る電子が電流として観察される。電気化学反応により測定される電流値は、pMAまたはpAPの濃度に比例する。エンドトキシンの濃度および多段階反応の進行には相関があるため、エンドトキシンの濃度および生じたpMAまたはpAPの濃度、すなわち電流値にも相関が生じる。したがって、エンドトキシンの濃度および電流値の相関を示した検量線を予め作成することにより、電流値から、エンドトキシンの濃度を測定することができる。
また、比色法のような試料の吸光度によりエンドトキシンの濃度を検出する方法では、測定用の光を所定の光路長透過させる必要があることから、一定以上の溶液量の試料が必要となる。
これに対して、電気化学反応を用いたエンドトキシンの濃度検出は、電極表面での反応の検出が可能となり、微量の被検体でもエンドトキシンの濃度を検出することができる。したがって、上記電極チップは、微量の被検体でもエンドトキシンの濃度検出が可能になる。さらに、C因子にB因子および凝固酵素前駆体を含むいわゆるライセート試薬や、C因子等の高価な酵素の使用を大幅に節減することができ、上記電極チップは、安価にエンドトキシンの濃度検出ができる。
電気化学反応を用いたエンドトキシンの濃度検出方法は、比色法のように、光により検出する方法ではないため、透明性の低い被検体や、組織液等の多成分系の被検体も測定対象にできると考えられ、実用性が極めて高い。
このように本発明においては、医療現場で、手軽で迅速かつ高精度なエンドトキシンの定量が可能となり、血液と直接接する医薬品や医療器具に対して、エンドトキシンの厳重な混入防止管理を行うことができる。
本発明の電極チップは、基板、電極、端子および試薬を有するものである。
以下、本発明の電極チップの各構成について詳細に説明する。
1.試薬
本発明に用いられる試薬は、上記基板の一方の表面上に固定化されるものである。
上記試薬は、上記測定領域内に固定化されているものである。
上記試薬は、C因子と酸化還元物質が結合したペプチド化合物とを含むものである。
なお、固定化されているとは、上記試薬の各成分の混合物が乾燥状態で固定されていることをいうものである。
上記C因子としては、エンドトキシンにより活性型C因子を生成し、さらに活性型C因子により上記ペプチド化合物から上記酸化還元物質を遊離させる遊離反応を生じさせることができるものであれば特に限定されるものではない。
例えば、上記C因子としては、カブトガニの血球抽出成分等の生体由来成分から単離精製されたC因子、遺伝子組換え技術によって作製された組換えC因子等を適宜使用することができる。
本発明においては、なかでも、上記C因子は、B因子および凝固酵素前駆体と共に用いられること、すなわち、上記試薬が、C因子、B因子および凝固酵素前駆体を含有する多段反応用組成物を含むことが好ましい。上記多段階の遊離反応は、上記ペプチド化合物から上記酸化還元物質を効率的に遊離させることができるからである。
上記多段反応用組成物としては、C因子、B因子および凝固酵素前駆体を含むものであれば特に限定されるものではないが、例えば、Limulus Amebocyte Lysate(LAL)といわれるカブトガニの血球抽出成分により調製されたライセート試薬を用いることができる。また、カブトガニの血球抽出成分等の生体由来成分から単離精製されたC因子、B因子および凝固酵素前駆体を組み合わせて調製されたもの等、C因子、B因子および凝固酵素前駆体の少なくとも一つとして、カブトガニの血球抽出成分等の生体由来成分から単離精製されたものを組み合わせて調製されたものもライセート試薬に含まれるものである。
さらに、上記多段反応用組成物としては、遺伝子組換え技術によって作製された組換えC因子、組み換えB因子、組み換え凝固酵素前駆体を適宜使用して調製したもの等を、「LALの同等物」として用いることもできる。
上記C因子または上記多段反応用組成物の上記試薬中の含有量については、安定的にエンドトキシンの濃度を検出できるものであれば特に限定されるものではなく、本発明の電極チップの種類、サイズ、試料の導入量等に応じて適宜設定されるものである。
上記多段反応用組成物の上記試薬中の含有量としては、例えば、電気化学的方法に用いられるエンドトキシン測定用に市販されている1テスト分のライセート試薬と同じ含有量とすることができる。
上記酸化還元物質が結合したペプチド化合物としては、酸化還元物質と、酸化還元物質が結合しているオリゴペプチドと、を有するものであればよく、オリゴペプチドの一端に酸化還元物質が結合し、他端にペプチドの保護基が結合したものを用いることができる。このようなペプチド化合物は、例えば、X−A−Yで示されるものを挙げることができる。ここで、Xは保護基、Aはオリゴペプチド、Yは上記酸化還元物質を表す。
保護基Xは、ペプチドの保護基、例えば、t−ブトキシカルボニル基(Boc)、ベンゾイル基、アセテート基等を挙げることができる。
上記オリゴペプチドとしては、C因子または多段反応用組成物の作用によって酸化還元物質を遊離することができるものであれば特に限定されるものではない。なかでも、オリゴペプチドは、アミノ酸数が2〜10、特に2〜5、さらには3〜4のものが好ましい。
C因子の作用によって酸化還元物質を遊離可能なC因子用のオリゴペプチドとしては、例えば、C因子用のトリペプチドとして、Val−Pro−Arg、Asp−Pro−Arg、Leu−Gly−Arg等を挙げることができる。
また、上記多段反応用組成物の作用によって酸化還元物質を遊離可能な多段反応用組成物用のトリペプチドとしては、Leu−Gly−Arg、Thr−Gly−Arg等を例示することができる。また、多段反応用組成物用のトリペプチドとしては、例えば、一般式:R−Gly−Arg−YにおけるL−アミノ酸を有するトリペプチドを挙げることができる。ここで、RはN−ブロックされたアミノ酸を表す。
また、多段反応用組成物用のオリゴペプチドとしては、一般式:R−A−A−A−A−Yにおけるテトラペプチドを挙げることができる。ここで、Rは水素、ブロックしている芳香族炭化水素またはアシル基を表し、AはIle、ValまたはLeuから選択されるL−アミノ酸またはD−アミノ酸を表し、AはGluまたはAspを表し、AはAlaまたはCysを表し、AはArgを表す。
オリゴペプチドの一端に酸化還元物質が結合し、他端にペプチドの保護基が結合した多段反応用組成物用のペプチド化合物としては、具体的には、Boc−Leu−Gly−Arg−Y、アセテート−Ile−Glu−Ala−Arg−Y等が挙げられる。
上記酸化還元物質としては、活性化したC因子または上記活性型凝固酵素により上記ペプチド化合物から遊離することができ、さらに、特定の電位で酸化反応または還元反応を生じるものであればよい。
上記酸化還元物質としては、具体的には、pMA等を含む下記一般式(3)で示す化合物、色素、パラアミノフェノール(pAP)等を挙げることができる。
上記色素としては、具体的には、例えば、2,4−ジニトロアニリン(DNP)、p−ニトロアニリン(pNA)、7−メトキシクマリン−4−酢酸(MCA)、Dansyl色素等を挙げることができる。
(式(3)中、Rは、−O−C2n+1または−S−C2n+1であり、nは1から4までの整数である。)
本発明においては、上記一般式(3)で示した化合物がpMAであることが好ましい。上記一般式(3)で示した化合物のアルキル鎖が短い程、水溶性が高くなり、かつ、活性化したC因子または上記活性型凝固酵素が、上記ペプチド化合物に含まれるオリゴペプチドのペプチド配列を認識しやすくなる。このため、酸化還元物質としてオリゴペプチドに結合している上記一般式(3)で示す化合物がpMAであることにより、上記ペプチド化合物は、上記活性化したC因子等との反応性が高まるからである。
本発明においては、上記酸化還元物質が、pMAまたはpAPであることが好ましい。ペプチド化合物から遊離したpMAおよびpAPと、ペプチド化合物に結合したpMAおよびpAPとは、酸化還元電位が異なっており、その差が比較的大きい。そのため、ペプチド化合物から遊離したpMAおよびpAPの酸化反応に由来する電流と、ペプチド化合物に結合したpMAおよびpAPの酸化反応に由来する電流とを容易に分離して得ることができる。したがってpMAまたはpAPが結合したペプチド化合物を用いることにより、ペプチド化合物から遊離したpMAまたはpAPの濃度が極微量であっても、エンドトキシンの濃度を高い精度で検出することができるからである。
上記ペプチド化合物の上記試薬中の含有量については、安定的にエンドトキシンの濃度を検出できるものであれば特に限定されるものではなく、本発明の電極チップの種類等に応じて適宜設定されるものである。
例えば、上記含有量は、上記反応後混合物を形成した際に0.1mM〜5.0mMの範囲内となる量とすることができる。
上記反応後混合物の容積としては、上記被検体の容積とほぼ同量とすることができ、数μL〜数十μLの範囲内とすることができる。
また、上記C因子または上記多段反応用組成物と、上記酸化還元物質が結合したペプチド化合物との合計の含有量は、安定的にエンドトキシンの濃度を検出できるものであれば特に限定されるものではなく、本発明の電極チップの種類、サイズ等に応じて適宜設定されるものである。
上記多段反応用組成物と上記ペプチド化合物との合計の含有量としては、例えば、1mg〜10mgの範囲内とすることができ、なかでも1mg〜4mgの範囲内であることが好ましい。高価な酵素等の含有量を少ないものとすることができ、本発明の電極チップは、低価格化を図ることができるからである。
上記試薬は、緩衝液成分を含むことが好ましい。試薬が緩衝液成分を含むことにより、測定感度を向上できる。その結果、上記電極チップは、高感度で被検体のエンドトキシン濃度を検出できるからである。
また、緩衝液を別途添加する工程を不要とすることができる結果、上記電極チップは、エンドトキシン濃度を容易に検出できるからである。また、緩衝液を別途添加する際の空気中のエンドトキシンの混入を防ぐことができ、上記電極チップは、エンドトキシンの濃度を精度よく検出できるからである。
なお、上記試薬が上記緩衝液成分を含むことにより、C因子および酸化還元物質が結合したペプチド化合物を含み、上記緩衝液成分を含まない従来の試薬を用いて、別途緩衝液を添加して上記遊離反応を行った場合と比較して測定感度を向上できる理由については明確ではないが、上記被検体が上記試薬と接触した際に、上記被検体と接触する、上記C因子、上記ペプチド化合物および上記緩衝液成分の濃度を高くできることが影響していると推察される。
上記緩衝液成分は、緩衝液から水を乾燥除去した際に残る緩衝液の固形分であり、純水を添加することにより所望の緩衝能を示す緩衝液を生成可能なものであればよい。
上記緩衝液成分は、酸化還元物質を安定的に遊離できる緩衝液を生成可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えば、pH6.0〜9.0、なかでもpH7.0〜8.5の緩衝液の成分であることが好ましい。これにより、酸化還元物質の遊離量を増加させることができるからである。
上記緩衝液成分は、例えば、Tris−Ac緩衝液、Tris−HCl緩衝液、リン酸緩衝液、HEPES緩衝液、PIPES緩衝液等の成分が挙げられる。
上記緩衝液成分の上記試薬中の含有割合については、所望のpH範囲の緩衝液を生成可能なものであれば特に限定されるものではなく、本発明の電極チップの種類等に応じて適宜設定されるものである。
例えば、上記含有割合は、上記反応後混合物を形成した際に上記各緩衝液を生成可能な量とすることができる。
上記試薬は、C因子およびペプチド化合物を少なくとも含み、さらに、B因子および凝固酵素前駆体ならびに緩衝液成分を含むことが好ましいものであるが、さらに必要に応じてその他の成分を含むものであっても良い。
上記その他の成分としては、上記ペプチド化合物から遊離した酸化還元物質と反応可能な第2酸化還元物質を挙げることができる。上記酸化還元物質と反応した後の第2還元物質を電極により酸化還元反応させることで、エンドトキシンの濃度をより精度よく検出することが可能となるからである。
上記第2酸化還元物質は、上記酸化還元物質に応じて適宜選択することができる。
上記試薬は、多数の孔を有し、同じ体積を持つ孔の無い構造(非多孔質構造)よりも表面積が拡大されている多孔質構造であっても良く、非多孔質構造であっても良い。
上記試薬が多孔質構造であることにより、上記試薬が上記被検体に速やかに溶解するからである。また、上記非多孔質構造である場合には、上記試薬の乾燥方法として後述するような常温常圧での乾燥方法を用いることができ、簡便な設備で上記試薬を形成できるからである。
また、上記試薬が多孔質構造であるか非多孔質構造であるかの判断方法としては、上記試薬が白濁している場合には多孔質構造であり、透明性を有している場合には非多孔質構造であると目視により判断する方法や、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察等により確認する方法が挙げられる。
上記試薬は、上記測定領域内に固定化されるものである。
ここで、上記測定領域内に固定化されるとは、平面視上測定領域の全面を覆うように形成されるものに限定されるものではなく、平面視上測定領域内の一部の領域に形成されるものも含むものである。
上記測定領域は、上記電極が配置され、電気化学反応による電流値の測定が行われる領域である。
このような測定領域としては、上記反応後混合物が形成された際に、上記電極を用いて安定的に電気化学反応による電流値の測定が行われる領域であればよく、例えば、上記被検体を上記試薬上に滴下した際に、上記反応後混合物が全ての電極を覆うことが可能な領域とすることができる。上記測定領域の平面視上の領域としては、より具体的には、滴下される上記被検体の容量にもよるが、上記電極の端部からの距離が30mm以内の範囲内とすることができ、なかでも、20mm以内の範囲内であることが好ましく、特に、10mm以内の範囲内であることが好ましい。上記測定領域の範囲が上述の範囲内であることにより、上記電極チップはサイズの小さいものとなることが容易であり、また、安定的にエンドトキシンの濃度の検出を行うことができるからである。
なお、上記電極の端部は、上記電極を囲むことができる最小の長方形の外周をいうものである。例えば、図1のように上記電極が複数の測定用電極(作用極、対極および参照電極等)を含む場合には、上記電極の端部は、上記測定用電極の全てを含むことができる最小の長方形の外周をいうものである。
また、上記距離は、具体的には、既に説明した図1中のhで示されるものである。
上記試薬の固定化位置は、上記測定領域内であり、電極チップに導入された被検体と接触し、上記反応後混合物を形成可能な位置であればよい。
このような固定化位置としては、上記電極と接しない箇所であっても良いが、上記測定領域内に占める上記電極の平面視面積が比較的大きいことから、通常、上記電極と接する箇所である。
上記固定化位置としては、具体的には、上記電極の上面上、上記電極の側面上、上記基板の表面上、上記絶縁層の上面上、上記絶縁層の側面上等を含むことができる。
上記電極チップが上記収容部を含む場合には、上記固定化位置は、上記収容部の側面上等を含むことができる。
上記電極チップが、上記基板上面を覆う蓋部を有する場合、上記固定化位置は、上記蓋部の上記基板側の表面上および上記蓋部の側面上等を含むことができる。
また、上記電極チップが、上記蓋部を上記基板側に固定するために、上記蓋部の上記基板側の表面上に形成された接着層を有する場合には、上記固定化位置は、上記接着層の側面上等を含むことができる。
なお、図5は、本発明における試薬の固定化位置を説明する説明図であり、上記電極チップが上記収容部を有する場合の測定領域の周辺部を示す断面図である。また、図5は、上記固定化位置が上記電極2の側面上および上記基板1上(図5(a))、上記電極2の上面上(図5(b))、上記電極2の上面上および側面上、上記基板1上ならびに上記収容部12の側面上(図5(c))、上記収容部12の側面上および上記基板1上(図5(d))である例を示すものである。
上記試薬の形成方法としては、上記試薬を上記測定領域内に固定化できる方法であれば特に限定されるものではなく、上記C因子および上記ペプチド化合物等の試薬成分を含む試薬溶液を調製した後、上記測定領域内の上記試薬を固定化する位置に上記試薬溶液を塗布し乾燥する方法を用いることができる。また、上記試薬が上記緩衝液成分を含む場合には、上記試薬溶液として上記緩衝液成分を含むものを用いることができる。
上記塗布方法としては、上記試薬溶液を上記測定領域内に安定的に塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、ディスペンサー法やインクジェット法等を挙げることができる。
また、上記電極チップが後述する試薬固定部を有する場合には、上記塗布方法は、上記試薬溶液を上記試薬固定部内に塗布する方法を用いることができる。上記試薬固定部内に塗布する方法を用いることで、上記試薬の上記測定領域内への固定化が容易だからである。
上記乾燥方法としては、上記試薬溶液から水を除去できる方法であれば特に限定されるものではなく、常温および大気圧下で乾燥する方法、減圧状態で乾燥する真空乾燥法等を用いることができる。本発明においては、なかでも、上記乾燥方法が上記真空乾燥法であることが好ましい。上記乾燥方法が上記真空乾燥法であることにより、空気中のエンドトキシンの混入を防止した状態で上記試薬溶液を乾燥させることができるからである。また、短時間で常温以下での乾燥が可能となることから、低コスト化、エンドトキシンの混入リスクの低減、上記試薬に含まれるC因子、B因子および凝固酵素前駆体等が変性し活性化しない構造となることの抑制等を図ることができるからである。また、上記乾燥方法が上記真空乾燥法等である場合には、上記試薬を多孔質構造とすることができるからである。
本発明においては、特に、上記真空乾燥法が凍結乾燥法であることが好ましい。上記試薬をより低密度な多孔質構造、すなわち、より空隙部の体積が大きく、表面積の広いものとすることができ、上記試薬は、上記被検体への溶解速度に優れたものとなるからである。
一方、上記乾燥方法が大気圧下で乾燥する方法である場合には、上記試薬溶液を乾燥して試薬とするために要するコストを低コスト化することができるからである。
2.電極
本発明における電極は、上記基板の一方の表面上に形成されるものである。
上記電極としては、特に限定されるものではなく、電気化学測定に用いられる一般的な電極を使用することができる。上記電極としては、例えば、グラッシーカーボン、カーボンペースト、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素電極や、Au、Pt、Pd、Ni等の電気化学的に安定な金属の電極を用いることができる。
上記電極としては、作用極および対極を含む2電極式の電極、作用極、対極および参照電極を含む3電極式の電極、2本の作用極と対極および参照電極とを含む4電極式の電極等を用いることができるが、通常、上記3電極式の電極が用いられる。
上記電極の形成方法としては、上記測定領域内に上記電極を安定的に形成できる方法であれば特に限定されるものではないが、上記基板を準備し上記測定領域内に導電膜を形成した後にフォトリソグラフィ法により上記導電膜をパターニングする方法や、マスク蒸着法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等を用いて所望のパターン状の電極を形成する方法が挙げられる。
3.端子
本発明における端子は、上記基板の一方の表面上に形成され、上記電極と接続されたものである。
また、上記端子は、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシン濃度を定量する測定装置と接続されるものである。
上記端子の材料は、上記電極の材料と同様とすることができる。上記端子の材料は、検出電流値に影響を及ぼさない導電性が確保されればよく、一般的な導電材料を使用することができるが、なかでも、導電性の観点から、Au、Pt、Ag、Pd、Ni等の金属であることが好ましい。
上記端子の形成方法は、上記電極の形成方法と同様とすることができる。
また、上記端子は、電極と同時に形成してもよく、電極とは別に形成してもよい。
上記測定装置としては、一般に電気化学測定に使用される装置を用いることができ、例えば、ポテンショスタット、電流増幅器、これらと同等の機能を持つ装置を挙げることができる。
4.基板
本発明における基板は、上記電極、上記端子および上記試薬を支持するものである。
本発明に用いられる基板としては、電極が形成可能であり、表面が絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではない。
上記基板の構成材料としては、例えばシリコン、ガラス等の無機材料、アクリル樹脂、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等のシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリスチレンスルホン酸(PSS)等の樹脂材料等が挙げられる。
基板の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば正方形、矩形、円形、楕円形等、任意の形状とすることができる。
5.その他の構成
本発明の電極チップは、上記基板、上記電極、上記端子および上記試薬を有するものであるが必要に応じてその他の構成を含むことができる。
例えば、図6および図7に例示するように、反応後混合物を収容可能であり、内部に上記電極2が配置され、かつ、上記試薬4が固定化される収容部12と、上記収容部12内に配置され、上記試薬4を固定する試薬固定部13と、上記基板1上面を覆う蓋部15と、を有するものとすることができる。
なお、図6および図7では、上記電極チップ10は、上記基板1上に形成された電極2、導線6および端子3と、上記導線6上に形成された絶縁層7と、上記絶縁層7上に形成された第2基板8と、上記基板1上に形成されたダム部23と、上記第2基板8上に形成された蓋部15と、を有し、上記第2基板8は、上記収容部12に対応する箇所に形成された開口部12aを有し、上記ダム部23は、上記試薬4と平面視上同一箇所に形成された開口部13aを有するものであり、上記蓋部15は、上記第2基板8の開口部12aと平面視上同一形状の開口部15aを有するものである。また、図6は、説明の容易のため、蓋部の記載を省略するものである。
上記収容部を有することにより、上記電極チップは、上記反応後混合物を安定的に上記測定領域内に保持することができ、上記反応後混合物に対して安定的に電気化学反応による電流値の測定が可能となるからである。
また、上記試薬固定部を有することにより、電極チップは、上記試薬溶液を上記試薬固定部内に塗布し乾燥することのみで容易に上記測定領域内に固定化された試薬を形成可能となるからである。
さらに、上記蓋部を有することにより、空気中のエンドトキシン等の混入を防止することができ、上記電極チップは、上記濃度検出の精度に優れたものとなるからである。
また、上記電極チップは、図8および図9に例示するように、一端が上記収容部12に接続され、他端が導入口11に接続された流路14を有するものとすることができる。
上記流路を有することにより、上記導入口を任意の場所に設定できるからである。これにより、空気中のエンドトキシン等の混入を防止することができ、上記電極チップは、上記濃度検出の精度に優れたものとなるからである。
また、図8は、説明の容易のため、蓋部の記載を省略するものである。
(1)収容部
上記電極チップは、遊離反応終了後の、被検体および上記試薬の成分の混合物である反応後混合物を収容可能であり、内部に上記電極が配置され、かつ、上記試薬が固定化される収容部を有することができる。
このような収容部を有することにより、上記電極チップは、上記反応後混合物を安定的に上記測定領域内に保持することができ、上記反応後混合物に対して安定的に電気化学反応による電流値の測定が可能となるからである。
上記収容部は、上記反応後混合物を収容可能なものである。
このような収容部としては、上記基板の溝によって形成されていてもよく、上記基板と上記収容部に対応する溝または開口部が形成された第2基板とを積層することによって形成されていてもよい。
上記第2基板の構成材料は上記第1基板と同様とすることができる。また、上記基板および上記第2基板は異なる材料であっても良く、同一材料であっても良い。
なお、既に説明した図6〜図9は、上記収容部12が、上記基板1と上記収容部12に対応する開口部12aが形成された第2基板8とを積層することにより形成される例を示すものである。
また、図10は本発明の電極チップの他の例を示す概略断面図であり、上記収容部12が上記基板1の溝12bによって形成される例を示すものである。
上記収容部の形状としては特に限定されるものではなく、収容部の平面視形状としては、例えば円形、楕円形、矩形等を挙げることができる。
上記収容部の断面視形状は、例えば、半円形状、矩形状等とすることができる。
ディファレンシャルパルスボルタンメトリ等を用いた電気化学式のエンドトキシンの濃度検出方法では、被検体を数μL〜数十μL程度導入して測定を行うことができることから、収容部の容量としては、0.1mm〜2500mmの範囲内であることが好ましく、なかでも5mm〜500mmの範囲内、特に10mm〜100mmの範囲内であることが好ましい。収容部の大きさとしては、例えば収容部の平面視形状が円形の場合には、直径が1mm〜5mm程度、深さが1mm〜10mm程度とすることができる。
なお、既に説明した図6〜図10は、上記収容部12の形状が矩形状である例を示すものである。
上記収容部の形成箇所としては、上記反応後混合物を収容することができ、内部に上記電極を配置でき、かつ、上記試薬を固定化できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、上記収容部の内周が上記測定領域の外周の内側または同一となる箇所、すなわち、平面視上、上記収容部の形成箇所が上記測定領域と同一であり、上記収容部により上記測定領域が規定されるもの、上記収容部の内周が上記測定領域の外周の外側を含む箇所、すなわち、平面視上、上記収容部の形成箇所が上記測定領域より広い範囲を含むもの等とすることができる。本発明においては、なかでも、上記収容部の形成箇所が上記測定領域と同一であることが好ましい。上記反応後混合物を安定的に上記電極と接触させることができるからである。例えば、上記被検体の導入方法が、上記収容部の上方から滴下する方法である場合、上記被検体を容易に上記測定領域内に導入して上記反応後混合物を形成でき、さらに上記反応後混合物を安定的に上記電極と接触させることができるからである。
既に説明した図6〜図10は、上記収容部12が、平面視上、全ての電極2(作用極2a、対極2bおよび参照電極2c)を含み、さらに、上記導線6を覆う絶縁層7の一部をも含む例を示すものであり、上記収容部12の形成箇所が、平面視上、上記測定領域5と同一である例を示すものである。
上記収容部が、上記基板の溝、または、上記基板と上記収容部に対応する溝または開口部が形成された第2基板とを用いて形成されるものである場合には、上記基板および上記第2基板に上記溝または開口部を形成する溝部形成方法としては、上記基板等の構成材料等により適宜選択することができる。
例えば、上記構成材料がシリコン、ガラス等である場合には、上記溝部形成方法としては、異方性のドライエッチング、フッ酸などを用いたウェットエッチング等を用いて、上記溝部等を形成する方法等を挙げることができる。
また、上記構成材料がシリコーン樹脂等である場合には、上記溝部形成方法としては、シリコンウェハ上に通常のフォトリソグラフィ法を用いて上記収容部に対応する反転形状に形成したフォトレジストを鋳型として形成し、この鋳型に対して未重合のシリコーン樹脂と重合開始剤とを混合したものを流し込み、これを加熱して硬化した後、硬化したシリコーン樹脂を鋳型から引き剥がすことにより、上記溝部等を形成する方法等を挙げることができる。
上記構成材料がアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂材料である場合には、上記溝部形成方法としては、樹脂材料に上記収容部に対応する反転形状の凹凸が賦型された金型を押し当て、紫外線等を照射または加熱により、上記樹脂材料を硬化させ、次いで、上記金型から上記樹脂材料の硬化物を剥離することにより、上記溝部等を形成する方法等を挙げることができる。
上記溝部形成方法は、レーザー等を用いて上記構成材料に溝部等を形成する方法であっても良い。
上記収容部が、上記基板と上記第2基板とを用いて形成されるものである場合、上記第2基板は接着剤または粘着剤を用いて上記基板に貼付することができる。
(2)試薬固定部
本発明においては、上記試薬を固定する試薬固定部を有することが好ましい。
上記試薬固定部を有することにより、上記電極チップは、上記試薬の上記測定領域内への固定化が容易となるからである。
具体的には、上記試薬の形成方法として、上記測定領域内の上記試薬を固定化する箇所に上記試薬固定部を形成し、次いで、上記試薬固定部上に上記試薬溶液を塗布し、上記試薬溶液が上記試薬固定部に固定化された状態で乾燥する方法を用いることが可能となり、上記電極チップは、上記試薬を安定的に上記測定領域内に固定化することができる。
ここで、試薬を固定するとは、上記試薬の成分を含む試薬溶液を上記試薬固定部内に留める機能があることをいうものであり、例えば、上記試薬固定部が存在しない場合と比較して、上記試薬溶液が濡れ広がる範囲を小さくできるものとすることができる。
このような試薬固定部としては、上記試薬の固定化位置と平面視上重なるように形成され、上記試薬溶液を収容可能な試薬収容部、上記試薬の固定化位置と平面視上重なるように形成され、上記試薬溶液との濡れ性が高い親水性層、上記試薬の固定化位置の周囲を囲むように形成され、上記試薬溶液との濡れ性が低い疎水性層を挙げることができる。
上記試薬固定部としては、これらを単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。複数を組み合わせて用いる例としては、例えば、上記試薬固定部が、上記試薬収容部の底面に上記親水性層が形成されているものを挙げることができる。
(a)試薬収容部
上記試薬収容部は、上記試薬の固定化位置と平面視上重なるように形成され、上記試薬溶液を収容可能なものである。上記試薬溶液を収容可能である試薬収容部では、上記試薬は、上記試薬溶液を上記試薬収容部に保持された状態で乾燥して形成され、上記試薬の固定化位置が上記試薬収容部によって確定されているものである。
また、上記試薬溶液を上記試薬収容部に保持された状態で乾燥して形成されていることから、平面視上、上記試薬の外周の全ては、通常、上記試薬収容部の内面と接しているものである。
このような試薬収容部としては、既に説明した図6および図7に示すように、上記試薬固定部13としての試薬収容部が上記基板1と上記基板1上に上記試薬4に対応する開口部13aが形成されたダム部23とによって形成されるもの、図8〜図10に例示するように、上記基板1の上記試薬4と平面視上同一箇所に形成された溝部13b等とすることができる。
なお、既に説明した図6〜図10は、上記収容部12内に上記試薬固定部13として試薬収容部が形成される例を示すものであり、この場合、上記試薬収容部の容積は、上記反応後混合物の容積より小さいものとすることができる。
また、既に説明した図5(c)は、上記収容部12が上記試薬収容部としても用いられる例を示すものである。
上記ダム部の高さは、上記試薬を保持できるものであれば特に限定されるものではなく、上記試薬収容部が上記収容部内に形成される場合には、上記収容部の高さより低いものとすることができる。なお上記ダム部の高さおよび上記収容部の高さは、具体的には、既に説明した図7中のH2およびH1で示されるものとすることができる。
上記試薬収容部の平面視形状および断面視形状としては、上記試薬溶液を収容可能であればよく、上記「(1)収容部」と同様とすることができる。
上記試薬収容部の容量としては、上記試薬溶液を収容可能な容量であれば良く、0.1mm〜2500mmの範囲内であることが好ましく、なかでも5mm〜500mmの範囲内であることが好ましく、特に10mm〜100mmの範囲内であることが好ましい。また、上記試薬収容部の容量は、上記電極チップが上記収容部を有する場合には、通常、上記反応後混合物の容量より小さいものである。
上記試薬収容部の大きさとしては、例えば上記試薬収容部の平面視形状が円形の場合には、直径が0.1mm〜25mmの範囲内程度、深さが0.025mm〜5mmの範囲内程度とすることができる。
上記試薬収容部の形成箇所は、上記測定領域内であれば良く、上記試薬の固定化位置に応じて異なるものであるが、通常、上記基板の表面上である。
上記形成箇所は、例えば、既に説明した図6〜図10に例示するように、平面視上、電極2の一部(作用極2a、対極2bおよび参照電極2cのそれぞれの一部)を含むものとすることができる。
上記試薬収容部が上記ダム部である場合、上記試薬収容部の形成材料としては、所望の形状の試薬収容部を形成可能であり物理的形状を形成できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、金属材料等を単独でまたは組み合わせて用いることができる。
上記試薬収容部としてのダム部の形成方法としては、上記試薬を収容可能なダム部を形成することができる方法であればよく、上記形成材料が光硬化性樹脂等の樹脂材料である場合には、例えばフォトリソグラフィ法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等が挙げられる。
また、上記形成方法は、上記ダム部が後述する絶縁層、電極または第2基板と同一材料を用いて形成される場合には、絶縁層、電極または第2基板と同時に形成されるものとすることができる。例えば、上記試薬収容部は上記絶縁層と同一材料を用い、上記絶縁層と同一の工程で形成されたものとすることができる。
上記試薬収容部が上記基板に形成された上記溝部である場合、上記試薬収容部の形成方法としては、所望の形状の上記試薬収容部を安定的に形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、上記「(1)収容部」の項に記載の形成方法と同様とすることができる。
(b)親水性層
上記親水性層は、上記試薬の固定化位置と平面視上重なるように形成され、上記試薬溶液の濡れ性が高いものである。
上記親水性層の親水性の程度としては、上記親水性層の周囲より親水性が高いものであれば良い。上記試薬溶液は通常、上記試薬の成分が分散または溶解した水溶液が用いられる。このため、上記親水性層が上記親水性層の周囲より親水性が高いものであることにより、上記試薬溶液を上記親水性層の表面上に安定的に固定できるからである。
上記親水性層の表面における純水の静的接触角としては、例えば、θ/2法で50°以下であることが好ましく、なかでも、25°以下であることが好ましく、特に、1°〜20°の範囲内であることが好ましい。上記静的接触角が上述の範囲内であることにより、上記親水性層は、上記試薬溶液を安定的に固定可能となるからである。
なお、上記静的接触角は、測定対象物の表面に純水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後に、滴下した液滴の左右端点と頂点を結ぶ直線の、固体表面に対する角度から接触角を算出するθ/2法に従って測定した接触角とする。測定装置としては、例えば、協和界面科学社製 接触角計DM 500を用いることができる。なお、測定対象部のサイズが小さい場合には、測定対象物と同一材料を用いて測定用サンプルを形成し、この測定用サンプルを用いて上記静的接触角を測定することができる。
上記親水性層としては、所望の親水性を有するものであれば良いが、例えば、上記電極チップの各構成に対して親水化処理を施したもの、親水性材料を用いた親水性材料層等を単独でまたは組み合わせて用いることができる。上記親水性層は、上記親水性材料層の表面に親水化処理を施したものとすることができる。
上記親水化処理の対象としては、例えば、上記基板等を挙げることができる。
上記親水化処理としては、例えば、上記基板表面に微細突起を有するモスアイ構造を形成する処理、フッ素ガス処理等を挙げることができる。
上記親水性材料としては、例えば、親水性樹脂材料、金属材料等を挙げることができる。
上記親水性層の形成方法としては、上記親水性層を所望の形状に形成することができる方法であれば良く、上記試薬収容部としてのダム部の形成方法と同様とすることができる。上記親水性層は、上記電極と同一の金属材料を用いて形成される場合には、上記電極と同一工程で形成されたものとすることができる。
上記親水性層の形成箇所は、上記測定領域内であれば良く、上記試薬の固定化位置に応じて異なるものである。例えば、上記固定化位置が上記基板の表面上を含む場合には、上記形成箇所は上記基板の表面上を含むものとすることができる。また、上記固定化位置が上記絶縁層の側面上を含む場合には、上記形成箇所は、上記絶縁層の側面上を含むものとすることができる。
上記親水性層の外周を囲む外周形状としては、上記試薬と平面視上重なる箇所を含むものとすることができ、上記試薬の固定化位置の外周形状と同一形状であること、すなわち、上記外形形状が上記試薬溶液の濡れ広がる領域と同一形状であることが好ましい。上記親水性層は、上記試薬を安定的に固定化できるからである。
上記親水性層の平面視形状としては、上記試薬の固定化位置の全面と平面視上重なるものであってもよく、上記固定化位置と平面視上重なる箇所に開口部を有する枠型形状であってもよい。
(c)疎水性層
上記疎水性層は、上記試薬の固定化位置の周囲を囲むように形成され、上記試薬溶液との濡れ性が低いものである。
上記疎水性層の疎水性の程度としては、上記疎水性層の周囲より疎水性が高いものであれば良い。上記試薬溶液は通常、上記試薬の成分が分散または溶解した水溶液が用いられる。このため、上記疎水性層が上記疎水性層の周囲より疎水性が高いものであることにより、安定的に上記試薬溶液を上記疎水性層で囲まれる領域内に固定化できるからである。
上記疎水性層の表面における純水の静的接触角としては、例えば、θ/2法で50°より大きいことが好ましく、なかでも、150°以下であることが好ましく、特に、80°〜100°の範囲内であることが好ましい。上記静的接触角が上述の範囲内であることにより、上記疎水性層は、上記試薬溶液を安定的に固定可能となるからである。
上記疎水性層としては、所望の疎水性を有するものであれば良いが、例えば、上記電極チップの各構成に対して撥水処理を施したものとすることができる。
上記疎水処理の対象としては、例えば、上記基板等を挙げることができる。
上記疎水処理としては、例えば、シリコーンオイル、シリコーン系、ハイドロカーボン系、フルオロカーボン系、ワックス系、ポリエチレンイミン−オクタデシルイソシアネート系やポリ(メタ)アクリル酸エステル系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系樹脂等を有機溶剤や水に適宜溶解もしくは分散して塗布する方法が挙げられる。また、研磨により平滑性を付与することで撥水性を発現させることもできる。
上記疎水性層の形成箇所は、上記疎水性層により囲まれる領域が上記測定領域内であれば良く、上記試薬の固定化位置に応じて異なるものである。例えば、上記固定化位置が上記基板の表面上を含む場合には、上記形成箇所は上記基板の表面上を含むものとすることができる。また、上記固定化位置が上記絶縁層の側面上を含む場合には、上記形成箇所は、上記絶縁層の側面上を含むものとすることができる。
上記疎水性層の平面視形状としては、上記試薬の固定化位置の周囲を囲む枠型形状とすることができ、上記試薬の固定化位置の外周形状と上記疎水性層の内周形状が同一であることが好ましい。すなわち、上記平面視形状が上記試薬溶液の濡れ広がる領域と同一形状となるものであることにより、上記試薬を安定的に固定化できるからである。
(3)流路
上記電極チップは、一端が上記収容部に接続され、他端が導入口に接続された流路を有していてもよい。
流路は、上記基板の溝によって形成されていてもよく、上記基板と、上記流路に対応する溝または開口部が形成された第2基板とを積層することによって形成されていてもよい。
流路の幅や高さとしては、被検体を収容部に導くことができれば特に限定されるものではなく、例えば0.1mm〜10mm程度とすることができる。
なお、既に説明した図8および図9は、上記流路14が上記基板1と上記流路14に対応する開口部14aが形成された第2基板8とを積層することにより形成されている例を示すものであり、図10は、上記流路14が上記基板1の溝14bによって形成されている例を示すものである。
上記流路の形成方法は、上記「(1)収容部」の項に記載の形成方法と同様とすることができる。
(4)導線
上記電極チップは、通常、上記電極および上記端子を電気的に接続する導線を含むものである。
上記導線の材料は、上記電極の材料と同様とすることができる。上記導線の材料は、検出電流値に影響を及ぼさない導電性が確保されればよく、一般的な導電材料を使用することができるが、なかでも、導電性の観点から、Au、Pt、Ag、Pd、Ni等の金属であることが好ましい。
上記導線の形成方法は、上記電極の形成方法と同様とすることができる。
また、上記導線は、電極と同時に形成してもよく、電極とは別に形成してもよい。
(5)絶縁層
本発明においては、導線を覆うように絶縁層を形成することができる。絶縁層により、導線の酸化を抑制するとともに、ショートを防ぐことができる。
上記絶縁層の材料としては、例えば熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等を用いることができる。
上記絶縁層の形成方法としては、導線を覆い、電極および端子を覆わないように絶縁層をパターン状に形成することができる方法であればよく、例えばフォトリソグラフィ法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等が挙げられる。
(6)蓋部
上記電極チップは、上記基板上面を覆う蓋部を有することができる。上記蓋部を有することにより、空気中のエンドトキシン等の混入を防止することができ、上記電極チップは、上記濃度検出の精度に優れたものとなるからである。また、上記被検体等の乾燥を防ぐことができ、上記電極チップは、エンドトキシンの濃度を精度よく検出できるからである。
上記蓋部の形状としては、上記基板上面を覆うことができるものであればよく、板状とすることができる。
なお、既に説明した図6〜図10は、上記蓋部15の形状が板状である例を示すものである。
上記蓋部の上記基板上面の被覆箇所としては、上記基板上面であればよく、例えば、上記測定領域を含むものとすることができる。
また、上記電極チップが上記収容部、上記流路を有する場合には、上記被覆箇所は、上記収容部および上記流路が形成されている領域を含むことができる。
本発明において、上記蓋部は上記端子が露出するものであることが好ましい。上記電極チップは、上記蓋部で上記基板上面を覆った状態で測定を行うことができるからである。
既に説明した図8〜図10は、上記蓋部15は、上記収容部12、流路14を覆うものである。
上記蓋部は貫通孔を有していてもよい。貫通孔を導入口とすることができる。
上記貫通孔の大きさとしては、被検体を導入可能な大きさであればよい。図7に例示するように上記貫通孔15aの大きさは、上記収容部12の平面視上の大きさと同様であっても良い。
上記貫通孔の形状としては特に限定されないが、貫通孔の形成し易さから、貫通孔の平面視形状は円形、楕円形が好ましい。
なお、既に説明した図6および図7は、上記蓋部15が貫通孔15aを有し、上記導入口11として用いられる例を示すものである。
上記蓋部は、再閉可能なものであっても良い。上記蓋部を開けて上記電極チップに上記被検体を導入した後再閉することで、空気中のエンドトキシン等の混入を防止することができ、上記電極チップを、上記濃度検出の精度に優れたものとすることができるからである。
(7)第2基板
本発明においては、上記基板上に第2基板が配置されていてもよい。第2基板は、上記収容部、流路等を形成するために設けられるものである。
第2基板は収容部等に相当する開口部を有することができる。開口部の大きさおよび形状としては、収容部等の大きさおよび形状と同様とすることができる。
なお、既に説明した図6〜図10は、収容部12に相当する開口部12a、流路14に相当する開口部14a等を有する例を示すものである。
上記第2基板としては、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば樹脂基板等が挙げられる。
上記第2基板の形状としては、特に限定されるものではなく、例えば正方形、矩形、円形、楕円形等、任意の形状とすることができる。
上記第2基板は、少なくとも端子が露出し、上記第2基板の開口部が電極上に位置するように基板上に配置される。
上記第2基板は、例えば接着剤や粘着剤を介して基板に貼付することができる。
6.電極チップの使用方法
本発明の電極チップを用いたエンドトキシンの濃度検出方法の一例について説明する。
上記検出方法は、例えば、図1および図2に例示するような電極チップにおいては、エンドトキシンを含む被検体を、上記測定領域5内の試薬4上、電極2上、基板1上等に表面張力により付着させることで、上記試薬4を上記被検体に溶解させ、上記被検体および上記試薬の成分の混合物である反応前混合物を形成し、次いで、上記反応前混合物について一定時間遊離反応を進行させ、次に、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシン濃度を定量する方法とすることができる。
また、図6および図7に例示するような電極チップにおいては、上記反応前混合物の形成方法として、エンドトキシンを含む被検体を電極チップ10の導入口11から導入し、毛細管現象により流路14に流入させ、収容部12まで移動させる。その後、上記被検体を上記試薬と接触させることで、上記試薬4を上記被検体に溶解させ、上記被検体および上記試薬の成分の混合物であり反応前混合物を形成する方法を用いることができる。
上記被検体としては、具体的には、透析液、注射薬、移植組織片、人工授精の受精卵の培養溶液等の医薬品や、医療用具等を挙げることができる。なお、上記被検体が固体である場合には、緩衝液等の適当な溶媒に溶解または分散したものを測定対象の被検体として用いることができる。
上記反応後混合物の形成時、すなわち、上記遊離反応時には反応を活性化するために、上記反応前混合物を加温することが好ましい。上記遊離反応の反応温度としては、20℃〜50℃の範囲内であることが好ましく、なかでも25℃〜45℃の範囲内であることが好ましく、特に37℃程度であることが好ましい。
また、反応時間は、好ましくは30分間以上、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上である。これにより、充分な量の遊離した酸化還元物質を得ることができる。
なお、上記反応後混合物の容量が0.1mm〜1000mmの範囲内、特に0.1mm〜100mmの範囲内、さらには0.1mm〜50mmの範囲内のように少ない場合は、反応温度を30℃〜40℃程度とし、反応時間を15分間〜1時間程度とすることができる。
上記定量方法では、上記反応後混合物に対して、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンの濃度を定量する。すなわち、上記遊離反応後の被検体および上記試薬の成分の混合物には、ペプチド化合物から遊離した酸化還元物質が存在しており、特定の電位において、酸化還元物質が酸化反応または還元反応する。この酸化反応または還元反応に由来する電流値と、酸化還元物質の濃度、すなわちエンドトキシンの濃度との間には相関が成り立ち、この相関を利用して、エンドトキシンの濃度を定量する。
なお、上記反応後混合物に対して、電気化学反応により測定されるとは、上記ペプチド化合物から遊離した上記酸化還元物質自体を電極により酸化還元反応させることに限定されず、上記酸化還元物質と反応可能な第2酸化還元物質を用いて、上記酸化還元物質と反応した後の第2酸化還元物質を電極により酸化還元反応せるものも含むものである。
電気化学反応による測定方法としては、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンの濃度を定量できる方法であれば特に限定されるものではなく、例えばアンペロメトリ法、ボルタンメトリ法等が挙げられる。アンペロメトリ法としては、クロノアンペロメトリ法等が例示される。ボルタンメトリ法としては、ノーマルパルスボルタンメトリ法、ディファレンシャルパルスボルタンメトリ法、サイクリックボルタンメトリ法、リニアスイープボルタンメトリ法等が例示される。なかでも、測定が簡単であることから、上記測定方法は、アンペロメトリ法が好ましい。
アンペロメトリ法による測定においては、例えば、上記反応後混合物に、電極を入れ、アンペロメトリ法に基づく測定を行う。すなわち、作用極に一定電位を印加した状態で、流れる電流を測定する。電位は参照極に対して制御し、電流は作用極および対極の間を流れる。電流値が小さいとき等には、対極を設けずに、参照極に対極の役割を担わせてもよい。電圧印加時間を横軸に、電流値を縦軸にプロットしたグラフを用いることで、上記の一定電位を電極に印加開始してから一定時間経過後の電流を測定する。エンドトキシンの濃度および一定時間経過後の電流値の相関を示した検量線を予め作成することにより、測定電流値からエンドトキシンの濃度を算出することができる。
B.電極チップの製造方法
次に、本発明の電極チップの製造方法について説明する。
本発明の電極チップの製造方法は、基板と、上記基板の一方の表面上に形成された電極と、上記基板の一方の表面上に形成され、上記電極と接続された端子と、を有する積層体を準備する積層体準備工程と、上記積層体準備工程後に、上記基板の一方の表面上にC因子と酸化還元物質が結合したペプチド化合物とを含む試薬溶液を塗布する塗布工程と、上記試薬溶液を乾燥し試薬を形成する乾燥工程と、を有し、上記塗布工程は、上記試薬溶液を、上記電極が配置され、電気化学反応による電流値の測定が行われる測定領域内に塗布するものであることを特徴とするものである。
このような本発明の電極チップの製造方法について図を参照して説明する。図11は、本発明の電極チップの製造方法の一例を示す工程図である。図11に例示するように、本発明の電極チップの製造方法は、基板1と、上記基板1の一方の表面上に形成された電極2と、上記基板1の一方の表面上に形成され、上記電極2と接続された端子3と、を有する積層体20を準備し(図11(a))、次いで、上記基板1の一方の表面上にC因子と酸化還元物質が結合したペプチド化合物とを含む試薬溶液4aを、上記電極2が配置され、電気化学反応による電流値の測定が行われる測定領域5内に塗布し(図11(b))、次いで、上記測定領域5内に塗布された上記試薬溶液4aを乾燥し試薬を形成することで(図11(c))、試薬4が固定化された電極チップ10を得る方法である(図11(d))。
なお、図11(a)は上記積層体準備工程であり、図11(b)は上記塗布工程であり、図11(c)および(d)は上記乾燥工程である。
なお、図11中の符号は、既に説明した図6および図7のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
本発明によれば、上記塗布工程および上記乾燥工程を有することにより、測定領域内にC因子と酸化還元物質が結合したペプチド化合物とを含む試薬が固定化されている電極チップを容易に製造できる。
本発明の電極チップの製造方法は、上記積層体準備工程、上記塗布工程および上記乾燥工程を有するものである。
以下、本発明の電極チップの製造方法の各工程について詳細に説明する。
1.積層体準備工程
本発明における積層体準備工程は、基板と、上記基板の一方の表面上に形成された電極と、上記基板の一方の表面上に形成され、上記電極と接続された端子と、を有する積層体を準備する工程である。
本工程に用いられる基板、電極および端子、ならびに電極および端子の形成方法としては、上記「A.電極チップ」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
2.塗布工程
本発明における塗布工程は、上記積層体準備工程後に、上記基板の一方の表面上にC因子と酸化還元物質が結合したペプチド化合物とを含む試薬溶液を塗布する工程である。
また、上記塗布工程は、上記試薬溶液を、上記電極が配置され、電気化学反応による電流値の測定が行われる測定領域内に塗布する工程である。
なお、本工程に用いられる上記C因子および上記ペプチド化合物については、上記「A.電極チップ」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
上記試薬溶液は、上記C因子と上記ペプチド化合物とを含むものであり、通常、上記C因子と上記ペプチド化合物とを分散または溶解する溶媒を含むものである。
上記溶媒としては、上記C因子と上記ペプチド化合物と反応することなく、両者を安定的に分散または溶解することができるものであればよく、例えば、蒸留水や緩衝液等を挙げることができる。
なお、上記緩衝液としては、上記「A.電極チップ」の項に記載の緩衝液を挙げることができる。
また、上記試薬溶液は必要に応じてその他の成分を含むことができる。このようなその他の成分としては、例えば、上記「A.電極チップ」の項に記載のB因子、凝固酵素前駆体およびその他の成分等を挙げることができる。
上記試薬溶液の調製方法としては、上記C因子と上記ペプチド化合物とを上記溶媒中に安定的に分散または溶解できる方法であれば良く、例えば、上記C因子が入った容器内に、上記ペプチド化合物および上記溶媒を添加して混合する方法を挙げることができる。
上記混合方法としては、上記各成分を十分に混合できる方法であればよく、上記容器に振動を与える振動処理等を挙げることができる。
上記試薬溶液の塗布方法としては、上記試薬溶液を上記測定領域内に塗布することができる塗布方法であれば特に限定されるものではなく、上記「A.電極チップ」の「1.試薬」の項に記載の塗布方法を挙げることができる。
3.乾燥工程
本発明における乾燥工程は、上記試薬溶液を乾燥し試薬を形成する工程である。
本工程における乾燥方法としては、上記試薬溶液を乾燥し試薬を形成できる乾燥方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、上記「A.電極チップ」の「1.試薬」の項に記載の乾燥方法を挙げることができる。
また、本工程により形成される試薬については、上記「A.電極チップ」の「1.試薬」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
4.電極チップの製造方法
本発明の電極チップの製造方法は、上記積層体準備工程、上記塗布工程および上記乾燥工程を有するものであるが、必要に応じてその他の工程を有するものであっても良い。
上記その他の工程としては、上記電極チップが収容部、試薬固定部等を有する場合には、上記塗布工程前に行われる収容部形成工程、試薬固定部形成工程等を挙げることができる。
また、上記電極チップが蓋部を有する場合には、上記その他の工程は、上記塗布工程後に上記蓋部を配置する蓋部配置工程を有するものとすることができる。
本発明の電極チップの製造方法により製造される電極チップについては、上記「A.電極チップ」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
C.エンドトキシン濃度測定装置
次に、本発明のエンドトキシン濃度測定装置について説明する。
本発明のエンドトキシン濃度測定装置は、電極チップの端子との電気的接続に用いられる接続端子部を有するエンドトキシン濃度測定装置であって、上記電極チップは、基板と、上記基板の一方の表面上に形成された電極と、上記基板の一方の表面上に形成され、上記電極と接続された上記端子と、上記基板の一方の表面上に固定化された試薬と、を有し、上記試薬は、C因子と酸化還元物質が結合したペプチド化合物とを含み、さらに、上記電極が配置され、電気化学反応による電流値の測定が行われる測定領域内に固定化されていることを特徴とするものである。
このような本発明のエンドトキシン濃度測定装置について図を参照して説明する。図12は、本発明の電極チップ30の一例を示す概略図である。図12に例示するように、本発明のエンドトキシン濃度測定装置30は、電極チップの端子との電気的接続に用いられる接続端子部31を有するものであって、上記電極チップは、基板と、上記基板の一方の表面上に形成された電極と、上記基板の一方の表面上に形成され、上記電極と接続された上記端子と、上記基板の一方の表面上に固定化された試薬と、を有し、上記試薬は、C因子と酸化還元物質が結合したペプチド化合物とを含み、さらに、上記電極が配置され、電気化学反応による電流値の測定が行われる測定領域内に固定化されているものである。
図13は、本発明のエンドトキシン濃度測定装置の使用方法の一例を示す工程図である。図13に例示するように、本発明のエンドトキシン濃度測定装置の使用方法は、本発明のエンドトキシン濃度測定装置30と、上記電極チップ10と、を準備し、上記電極チップ10を上記エンドトキシン濃度測定装置30に所定の力pで押し込むことにより(図13(a))、上記電極チップ10の上記端子3と、上記エンドトキシン濃度測定装置30が有する接続端子部31とを接触させた後、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンの濃度を定量する方法とすることができる(図13(b))。
本発明によれば、上述の電極チップと共に用いられることにより、上記エンドトキシン濃度測定装置を、エンドトキシンの濃度を精度よく検出可能なものとすることができる。
本発明のエンドトキシン濃度測定装置は、上記接続端子部を有するものである。
以下、本発明のエンドトキシン濃度測定装置の各構成について詳細に説明する。
1.接続端子部
本発明における接続端子部は、電極チップの端子との電気的接続に用いられるものである。
また、上記接続端子部に含まれる接続用端子の数は、上記電極チップの端子の数に応じて異なるものであり、上記電極チップの電極が2電極式の電極である場合には2個とすることができ、上記電極チップの電極が3電極式の電極である場合には3個とすることができる。
上記接続端子部の構成材料としては、例えば、上記「A.電極チップ」の項に記載の電極の構成材料と同様とすることができる。
上記接続端子部の数は、1台のエンドトキシン濃度測定装置当たり少なくとも1以上であればよいが、2以上であっても良い。上記接続端子部の数が2以上であることで、2以上の電極チップを用いて同時にエンドトキシン濃度の測定を行うことができるからである。
なお、上記電極チップについては、上記「A.電極チップ」の項に記載の内容と同様とすることができるのでここでの説明を省略する。
2.エンドトキシン濃度測定装置
本発明のエンドトキシン濃度測定装置は、上記接続端子部を有するものである。
このようなエンドトキシン濃度測定装置としては、電気化学反応により測定される電流値に基づいてエンドトキシンの濃度を定量できるものであれば特に限定されるものではなく、一般に電気化学測定に使用される装置を用いることができ、例えばポテンショスタット、電流増幅器、これらと同等の機能を持つ装置を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[準備]
1.測定用試薬
本実施例で使用した測定用試薬は以下の通りである。
(1)標準エンドトキシン溶液
エンドトキシン標準品は、生化学工業社製のE.Coli O113:H10株由来USP Reference Standard Endotoxinを用いた。標準エンドトキシン溶液は、生化学工業社製のエンドスペシーES24Sに添付されているエンドトキシンフリー水を用いて調製し、使用の直前に30分間ボルテックスミキサーで激しく撹拌した。なお、エンドトキシン濃度は測定溶液中の最終濃度で示した。
(2)ライセート試薬
ライセート試薬としては、ライセート試薬が凍結乾燥状態で1テスト分ずつ専用の試験管に封入されている、生化学工業社製のエンドスペシーES24Sを用いた。
(3)ペプチド化合物
酸化還元物質としてp−アミノフェノール(pAP)を用い、ペプチド化合物としてBoc−Leu−Gly−Arg−pAP(LGR−pAP)を用いた。
LGR−pAPは、大塚製薬社製の注射用水に溶解し、10mMのストック溶液として−20℃で保管した。
(4)緩衝液
緩衝液として、下記の緩衝液a〜dを準備した。
(a)緩衝液a:生化学工業社製のエンドスペシーに添付の緩衝液
(b)緩衝液b:トリス−HCl(トリスヒドロキシメチルアミノメタン(MW121.14g/mol)を超純水に溶解後(0.1M)、塩酸でpH を7.9に調整。)
(c)緩衝液c:PBS(市販ダルベッコリン酸緩衝液(−)を500mlの超純水に溶解後、pHを7.9に調整。)
(d)緩衝液d:へぺス(HEPES)(MW:121.14g/mol)およびKCl(MW74.55g/mol)を超純水に溶解後(0.1M)、NaOH水溶液でpHを7.9に調整。)
2.装置および測定法
本実施例における電気化学測定法で用いた装置および測定法は以下の通りである。
(1)測定装置
Ivium Technologies社製のポテンショスタットCompactStat
(2)測定法
特に断りがない場合には、サイクリックボルタンメトリ(CV)では、走査速度を20mV/sとし、走査範囲を0V→0.5Vとした。
[実施例1]
1.電極チップの作製
(1)導線および端子の形成
PET基材(東レ社製、ルミラー350H10)上にスクリーン印刷にてAgペーストをパターン状に塗布し、130℃で30分間焼成することで導線および端子を形成した。
(2)電極の形成
次に、上記PET基材上にスクリーン印刷によりカーボンペーストをパターン状に塗布し、120℃で15分間焼成することで作用極および対極を形成した。また、上記PET基材上にスクリーン印刷によりラサ工業製のAg/AgClペーストをパターン状に塗布し、80℃で10分間焼成することで参照極を形成した。
(3)絶縁層の形成
次に、導線を被覆する目的で、上記PET基材上にUV硬化性樹脂をスクリーン印刷によりパターン状に塗布し、ウシオ社製Deep UVランプにて100秒間露光して硬化させた。
(4)流路および収容部の形成
100μm厚みのPET基材(東レ社製、A4100)の両面に25μm厚みのアクリル粘着シートをラミネーターにて貼り合わせ、積層基材(第2基板)とした。次いで、被検体液が通過する流路、収容部および導入口を形成すべく、GRAPHTEC社製のカッティングマシーンにて、上記積層基材を裁断し、上記積層基材の流路、収容部および導入口に相当する領域を除去することで流路、収容部および導入口に相当する開口部を形成した。
次に、流路、収容部および導入口に相当する開口部が形成された積層基材(第2基板)を、上記の導線、端子および電極等が形成されたPET基材(基板)にラミネーターにて貼り合わせることで積層し、高さ150μmの流路および収容部を形成した。
(5)試薬の固定化
次に、凍結乾燥状態のライセート試薬が入った試験管へ、10mM LGR−pAP(20μL)、緩衝液a(180μL)を添加して撹拌して試薬溶液を得た。次いで、上記試薬溶液のうち50μLを上記収容部内に配置された上記電極上にディスペンサーを用いて滴下した後、凍結乾燥を行い、水を除去した。これにより、測定領域内に固定化された試薬を有する電極チップを形成した。
次に、流路および収容部に蓋をするように、上記積層基材にスリーエムヘルスケア社製の親水カバーフィルム(蓋部)を貼り合わせ接着させて、電極チップを得た。
なお、凍結乾燥は最低3時間実施した。凍結乾燥条件は、−30℃以下、30Pa以下とした。具体的には、−44℃、12Paとした。
[比較例1]
試薬溶液を電極上に滴下した後、凍結乾燥しなかった以外、すなわち、試薬溶液を溶液状のまま保護した以外は、実施例1と同様にして、電極チップを得た。
[評価]
実施例1で得られた電極チップの導入口より、エンドトキシン濃度が500EU/Lのエンドトキシン標準溶液50μLを導入し、37℃で最長60分間反応を行い、反応開始後10分、30分、60分のタイミングで、サイクリックボルタンメトリ法(CV法)によりエンドトキシンの濃度の検出を行った。
なお、比較例1では、電極チップの導入口より、エンドトキシン濃度が1000EU/Lのエンドトキシン標準溶液50μLを添加した以外は、実施例1の評価方法と同様にして反応液を形成し、サイクリックボルトメタリー特性を測定し、最大出力電流値を測定した。
図14(実施例1)および図15(比較例1)に、反応時間をそれぞれ(A)10分、(B)30分、(C)60分に設定し、濃度500EU/Lのエンドトキシン標準溶液とライセート試薬とを反応させた時のボルタモグラムを示す。LALカスケード反応によってLGR−pMAから遊離するpAPの酸化反応に由来するピークが0.3V付近に確認された。
また、図16および図17にそれぞれ反応時間が30分および60分における実施例1および比較例1のボルタモグラムを示す。
さらに、下記表1および図18に反応時間(min)に対するピーク電流値(nA)を示す表およびグラフを示す。
図14〜図18および表1より、実施例1は、比較例1より遊離反応の反応速度が速いことが確認できた。また、出力電流感度が大きいものとすることが確認できた。
[実施例2]
1.電極チップの作製
(1)電極付き基板の作製
上記PET基材(基板)上にスパッタにて50nmのパラジウム(Pd)膜を形成した後、フォトリソグラフィ法によりエッチングを行い、作用極および対極を形成した以外は、実施例1と同様にして、導線、端子および電極等が形成され、さらに流路および収容部の形成が形成されたPET基材(基板)を形成した。
(2)試薬の固定化
次に、凍結乾燥状態のライセート試薬が入った試験管へ、10mM LGR−pAP(20μL)、緩衝液a(180μL)を添加して撹拌して試薬溶液を得た。次いで、上記試薬溶液のうち50μLを上記収容部内に配置された上記電極上にディスペンサーを用いて滴下した後、凍結乾燥を行い、水を除去した。これにより、測定領域内に固定化された試薬を有する電極チップを形成した。
次に、流路および収容部に蓋をするように、上記積層基材にスリーエムヘルスケア社製の親水カバーフィルム(蓋部)を貼り合わせ接着させて、電極チップを得た。
2.評価
実施例2で得られた電極チップの導入口より、エンドトキシン濃度が500EU/Lのエンドトキシン標準溶液50μLを導入し、37℃で最長60分間反応を行い、反応開始後10分、30分、60分のタイミングで、サイクリックボルタンメトリ法(CV法)によりエンドトキシンの濃度の検出を行った。
その結果、実施例1と同様の電流値が得られた。すなわち、既に説明した図14〜図18中の実施例1とほぼ同じ電流値が測定された。
[実施例3]
1.電極チップの作製
緩衝液b(270μL)および10mM LGR−pAP(30μL)を混合し、そのうち200μLを凍結乾燥状態のライセート試薬が入った試験管へ、添加して撹拌して試薬溶液を得た。
次いで、試薬溶液を50μLずつ電極上に滴下した以外は実施例1と同様にして電極チップを得た。
2.評価
実施例3で得られた電極チップの導入口より、エンドトキシン濃度が1000EU/Lのエンドトキシン標準溶液50μLを導入し、37℃で最長60分間反応を行い、反応開始後0分、15分、30分、60分のタイミングで、リニアスイープボルタンメトリ特性を測定し、最大出力電流値を測定した。なお、リニアスイープボルタンメトリ測定時の電圧レンジは、0V→0.4Vとした。分解能は適宜調整した。結果を図19に示す。
[比較例2]
1.試薬の準備
試薬溶液を25μLずつ、電極上に滴下して、凍結乾燥を行わなかった以外、すなわち、試薬溶液を溶液状のまま保護した以外は、実施例3と同様にして電極チップを得た。
2.評価
比較例2で得られた電極チップの導入口より、エンドトキシン濃度が2000EU/Lのエンドトキシン標準溶液25μLを導入した以外は、実施例3と同様にして最大出力電流値を測定した。結果を、図19に示す。
[実施例4]
緩衝液bの代わりに緩衝液cを用いた以外は、実施例3と同様にして電極チップを形成し、リニアスイープボルタンメトリ特性を測定し、最大出力電流値を測定した。結果を、図20に示す。
[比較例3]
緩衝液bの代わりに緩衝液cを用いた以外は、比較例2と同様にして電極チップを形成し、リニアスイープボルタンメトリ特性を測定し、最大出力電流値を測定した。結果を、図20に示す。
[実施例5]
緩衝液bの代わりに緩衝液dを用いた以外は、実施例3と同様にして電極チップを形成し、リニアスイープボルタンメトリ特性を測定し、最大出力電流値を測定した。結果を、図21に示す。
[比較例4]
緩衝液bの代わりに緩衝液dを用いた以外は、比較例2と同様にして電極チップを形成し、リニアスイープボルタンメトリ特性を測定し、最大出力電流値を測定した。結果を、図21に示す。
[実施例3〜5および比較例2〜4のまとめ]
図19〜図21より、実施例3、4および5は、比較例2、3および4より出力電流感度が大きいことが確認できた。緩衝液を含む試薬溶液を凍結乾燥させることにより、凍結乾燥なしの試薬に比べてCV特性酸化出力電流が大幅に上昇することが確認できた。また、幅広い緩衝液において同様の効果が得られることが確認できた。
1 … 基板
2 … 電極
3 … 端子
4 … 試薬
5 … 測定領域
6 … 導線
7 … 絶縁層
8 … 第2基板
10 … 電極チップ
11 … 導入口
12 … 収容部
13 … 試薬固定部
14 … 流路
15 … 蓋部
15a … 貫通孔
20 … 積層体
30 … エンドトキシン濃度測定装置
31 … 接続端子部

Claims (7)

  1. 基板と、
    前記基板の一方の表面上に形成された電極と、
    前記基板の一方の表面上に形成され、前記電極と接続された端子と、
    前記基板の一方の表面上に固定化された試薬と、
    を有し、
    前記試薬は、C因子と、酸化還元物質が結合したペプチド化合物とを含み、さらに、前記電極が配置され、電気化学反応による電流値の測定が行われる測定領域内に固定化されていることを特徴とする電極チップ。
  2. 前記試薬が緩衝液成分を含むことを特徴とする請求項1に記載の電極チップ。
  3. 前記試薬が多孔質構造であることを特徴とする請求項2に記載の電極チップ。
  4. 前記試薬を固定する試薬固定部を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の電極チップ。
  5. 遊離反応終了後の、被検体および前記試薬の成分の混合物である反応後混合物を収容可能な収容部を有し、
    前記収容部は、内部に前記電極が配置され、かつ、前記試薬が固定化されるものであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の電極チップ。
  6. 前記基板上面を覆う蓋部を有すること特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の電極チップ。
  7. 基板と、前記基板の一方の表面上に形成された電極と、前記基板の一方の表面上に形成され、前記電極と接続された端子と、を有する積層体を準備する積層体準備工程と、
    前記積層体準備工程後に、前記基板の一方の表面上にC因子と酸化還元物質が結合したペプチド化合物とを含む試薬溶液を塗布する塗布工程と、
    前記試薬溶液を乾燥し試薬を形成する乾燥工程と、
    を有し、
    前記塗布工程は、前記試薬溶液を、前記電極が配置され、電気化学反応による電流値の測定が行われる測定領域内に塗布するものであることを特徴とする電極チップの製造方法。
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