JP2017036814A - 密封装置および転がり軸受装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な構造で、外部からの切削液や異物の侵入を防止できる密封装置、および、この密封装置を有する転がり軸受装置を提供する。
【解決手段】密封装置2は、固定部材2aと回転部材2bとから構成され、固定部材2aと回転部材2bのそれぞれの表面が隙間を介して対向してラビリンス部3を形成するラビリンスシール型の密封装置であり、ラビリンス部3の少なくとも一部において、該部分を構成する回転部材2aおよび固定部材2bから選ばれる少なくとも一方の部材の表面に繊維を植毛してなる植毛部4c等を有する。
【選択図】図2
【解決手段】密封装置2は、固定部材2aと回転部材2bとから構成され、固定部材2aと回転部材2bのそれぞれの表面が隙間を介して対向してラビリンス部3を形成するラビリンスシール型の密封装置であり、ラビリンス部3の少なくとも一部において、該部分を構成する回転部材2aおよび固定部材2bから選ばれる少なくとも一方の部材の表面に繊維を植毛してなる植毛部4c等を有する。
【選択図】図2
Description
本発明は、転がり軸受などに使用する密封装置、および、この密封装置を有する転がり軸受装置に関する。
工作機械に用いられる転がり軸受装置では、主軸(スピンドル)をはじめ、外部からその隙間を通じて切削液あるいは異物などが侵入することを防止するため、オイルシールやラビリンスシール(回転軸と固定部の間に凹凸の隙間を複数段組み合わせた構造)が採用されている。オイルシールは、接触タイプが主流ではあるが、高速運転時の発熱量が大きく、回転トルクも大きくなることから、工作機械スピンドルに代表される高速運転の主軸には、非接触タイプのオイルシールやラビリンスシールなど、シール構造を非接触タイプにすることが多い。一方、ワークに対して切削や切断などの加工を施す工作機械では、摩擦熱の発生を抑制すること、摩擦熱による部材の劣化を防止すること、および、切粉を洗い流すことのために、ワークに接する刃部材の加工点に切削液を供給することが行なわれる。しかし、非接触タイプのシール構造では、シールの隙間を介して異物や切削液(クーラント)が侵入するリスクがあり、その対策が従来より検討されている。
例えば、エアパージを実施してシールを確実にするスピンドル構成が知られている。この方法では、エアを外部へ吹き出すことで、異物やクーラントの侵入を防止する。特に、スピンドルの内側の気圧を外側より高くして異物やクーラントの侵入を防止することで、シールをより確実にできる。エアを用いる技術として、例えば、特許文献1が提案されている。特許文献1では、回転軸を取り囲むハウジングの範囲内に形成されたエア案内空間から回転軸先端部とハウジングの間の狭窄部に至るエア流通路の上記狭窄部近傍に第2の狭窄部を形成するとともに、該第2の狭窄部の前後にエア溜りポケットを形成した非接触タイプのオイルシールが用いられている。このオイルシールを用いたスピンドル構造では、2段ポケットを配してなるので、エア圧が均等になり、回転軸周囲に均一にエアが排出する。これにより、非常に高いシール性を有するとしている。
また、ラビリンス内に侵入した異物を外部へ排出するスピンドル構成として、例えば、特許文献2が提案されている。特許文献2では、ラビリンスに侵入した異物をスピンドルの回転を利用してドレン孔から外部へ排出するので、高いシール性を長期間にわたり維持できるとしている。これに加えて、蓋部材に逆流防止用のカバーが設けられているので、異物の逆流を防止できるとしている。
さらに、軸受の密封装置についても、異物の侵入を抑制する技術の開発が進められている。例えば、特許文献3では、シールリップと内輪とが接触して摺動する摺動部を設けることで異物の侵入の抑制を図っている。この技術で特徴的な点は、径方向に弾性変形し易いリップ形状のシールリップと、シールリップの表面に梨地加工を施してシールリップの表面粗さを大きくすることにより油を貯留し易くした摺動面形状と、を組み合わせていることである。これにより、異物の侵入を抑制しつつ、摺動トルクの低減を実現できるとしている。
しかしながら、特許文献1などのエアパージを実施した技術は、付帯設備としてエア供給装置が必要となることや、環境負荷の低減のためにエアの消費量の抑制と供給するエアの高い清浄度の維持と水分除去とを継続して管理することが必要となる。このため、こうした管理が困難な国や地域、また、コストを重視する汎用スピンドルには適さない。
また、特許文献2の技術では、異物やクーラントを排出する機構は設けられているものの、それら異物やクーラントの侵入を高度に防止する機構までは設けられていない。これに加えて、大容量の高圧切削液を使用する場合、ラビリンス内の清掃に際して高圧エアを使用する必要があり、この場合も、エアに係る管理が必要となり、汎用スピンドルには適さない。
さらに、特許文献3の技術では、シールリップと内輪との接触面を減少させたことで摺動トルクの低減を図れるが、該加工方法では表面粗さの増大に限界があり、軸受内部のグリースが漏れたり、異物やクーラントが侵入したりする懸念が残されている。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、簡易な構造で、外部からの切削液や異物の侵入を防止できる密封装置、および、この密封装置を有する転がり軸受装置を提供することを目的とする。
本発明の密封装置は、固定部材と回転部材とから構成され、上記固定部材と上記回転部材のそれぞれの表面が隙間を介して対向してラビリンス部を形成するラビリンスシール型の密封装置であって、上記ラビリンス部の少なくとも一部において、該部分を構成する上記回転部材および上記固定部材から選ばれる少なくとも一方の部材の表面に繊維を植毛してなる植毛部を有することを特徴とする。
上記密封装置は、上記固定部材の表面にのみ上記植毛部を有することを特徴とする。
上記ラビリンス部は、上記隙間の幅の狭い領域と、上記隙間の幅の広い領域とを有し、上記表面における少なくとも上記隙間の幅の狭い領域の一部に、上記植毛部を有することを特徴とする。また、上記ラビリンス部は、上記植毛部を、上記隙間の幅の狭い領域から上記隙間の幅の広い領域まで連続して上記表面に有することを特徴とする。
上記繊維が合成樹脂繊維であり、上記植毛部が静電植毛部であることを特徴とする。
本発明の転がり軸受装置は、上記本発明の密封装置と転がり軸受とから構成され、該密封装置により該転がり軸受の軸受内空間が密封されてなることを特徴とする。また、上記植毛部に、上記転がり軸受に使用するグリースと同等のグリース、または、上記転がり軸受に使用するグリースの基油と同等の基油が予め塗布されていることを特徴とする。
本発明の密封装置では、ラビリンス部を構成する部材の表面に植毛部を形成することで、該表面の濡れ性が向上し、ラビリンス部の隙間空間に油膜を保持できる。この結果、外部からの切削液や異物の侵入を防止できる。この密封装置を転がり軸受に適用した転がり軸受装置とすることで、軸受装置内部の清浄性を常時高く保つことができる。また、初期運転を実施するだけで、植毛部の先端が除去されて植毛部が該植毛部と対向する部材に対して非接触となるので、運転時における植毛部に起因するトルク上昇の懸念がない。
また、固定部材の表面にのみ植毛部を形成することで、植毛部を該表面に、回転部材の回転運動に起因する遠心力の影響を受けることなく安定的に存在させることができる。また、この場合、回転部材の回転によってグリースに発生するせん断応力は、非常に小さく、グリースの軟化と離油とが抑制される。このため、植毛部がない場合よりもグリースの寿命が長くなる。
また、植毛部に、密封対象となる転がり軸受に使用する潤滑剤と同等の潤滑剤を予め塗布することによって、使用初期から、外部からの切削液や異物の侵入を防止できる。
本発明の密封装置を適用した転がり軸受装置の一例について図1に基づき説明する。図1は本発明の転がり軸受装置の断面図であり、図2はこの転がり軸受装置の一部拡大図である。図1に示すように、転がり軸受装置1は、転がり軸受7と密封装置2とを備えている。転がり軸受7は、内輪7aと、外輪7bと、内・外輪間に転動自在に介在する転動体7cとを有する。転がり軸受7は、外輪7bが軸箱5に固定され、内輪7aの内径で主軸6を支持している。また、密封装置2は、軸箱5に固定される固定部材2aと、主軸6に固定される回転部材2bと、ラビリンス部3に形成された植毛部4とを有する。この構成において、内輪7aと回転部材2bとが隣接して位置し、外輪7bと固定部材2aと軸箱5とが隣接して位置することにより、密封空間が形成されている。この密封空間を構成する、密封装置2の密封経路(ラビリンス部を含む)内と、転がり軸受内には、グリースまたは潤滑油である潤滑剤8が封入されている。
本発明の密封装置を図2に基づき説明する。密封装置2は、ラビリンスシール型のシール装置であり、固定部材2aと回転部材2bのそれぞれの凹凸表面が隙間を介して対向してラビリンス部3を形成している。すなわち、固定部材2aと回転部材2bは、一方の部材の凸部が他方の部材の凹部と隙間を介して相補的に配された位置関係にある。
ラビリンス部3は、隙間幅の狭い領域と隙間幅の広い領域から構成されている。隙間幅の狭い領域としては、第1領域3aと、第3領域3cと、第5領域3eとがあり、隙間幅の広い領域としては、第2領域3bと、第4領域3dとがある。密封装置の外部側からみて、第1領域3a〜第5領域3eの順で、隙間幅の狭い領域と隙間幅の広い領域とが交互に形成されている。なお、隙間幅は、各領域における固定部材2aと回転部材2bとの表面間の距離である。
ラビリンス部3の形状としては、切削液や異物などの通過物の抵抗を大きくしてこれらの侵入を抑制できるよう、隙間幅の狭い領域を有していれば特に限定されない。好ましくは、図2に示すように、隙間幅の狭い領域と隙間幅の広い領域を交互に設けた形状とする。隙間幅の広い領域を複数回にわたって通過させることで、通過物の速さを漸次減少でき、異物などの侵入をより抑制できる。また、密封経路にグリースを充填する場合、グリースは一般的にチキソトロピー性を有することから、隙間幅の狭い領域では大きなせん断応力が加わって高い潤滑性を示しつつ、隙間幅の広い領域では半固体状の態様で存在して高い密封性を付与できる。
本発明の密封装置では、このようなラビリンスシールの特性に加えて、ラビリンス部に植毛部を形成していることを主な特徴としている。植毛部は、短繊維を植毛して形成され、植毛繊維と該植毛繊維の根元を固定する接着層とからなる(図5参照)。植毛部の詳細構成については後述する。図2に示す形態では、ラビリンス部3において、第1領域3aにおける固定部材の表面3fの全体に植毛部4cが形成されている。また、第3領域3cにおける固定部材の表面3jの全体に植毛部4gが形成され、第2領域3bにおける固定部材の表面3hに、植毛部4gと連続した植毛部4eが形成されている。さらに、第5領域3eにおける固定部材の表面3nの全体に植毛部4kが形成され、第4領域3dにおける固定部材の表面3lに、植毛部4kと連続した植毛部4iが形成されている。図2に示す形態では、上記箇所以外には植毛部は形成されていない。
本発明の密封装置の他の例を図3および図4に基づいて説明する。図3および図4に示す密封装置は、図2に示す形態の密封装置と植毛箇所のみ異なる。図3に示す密封装置2では、第1領域3aにおける固定部材の表面3fの全体に植毛部4cが形成されている。また、第3領域3cにおける固定部材の表面3jの全体に植毛部4gが形成されている。さらに、第5領域3eにおける固定部材の表面3nの全体に植毛部4kが形成されている。図3に示す形態では、上記箇所以外には植毛部は形成されていない。すなわち、図2と図3の密封装置では、隙間幅の広い領域における固定部材表面の植毛部の有無のみが異なる。
図4に示す密封装置2では、第1領域3aにおける回転部材の表面3gの全体に植毛部4dが形成されている。また、第3領域3cにおける回転部材の表面3kの全体に植毛部4hが形成され、第2領域3bにおける回転部材の表面3iの一部に、植毛部4hと連続して植毛部4fが形成されている。さらに、第5領域3eにおける回転部材の表面3oの全体に植毛部4lが形成され、第4領域3dにおける回転部材の表面3mの一部に、植毛部4lと連続して植毛部4jが形成されている。図4に示す密封装置では、上記箇所以外には植毛部は形成されていない。
以上、図2〜図4により植毛部の形態を具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、ラビリンス部を構成する回転部材および固定部材から選ばれる少なくとも一方の部材の表面(その全体または一部)に形成されていればよい。すなわち、植毛部の形成パターンとしては、固定部材側のみ、回転部材側のみ、または、これらの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、図2および図3に示すように、植毛部を固定部材表面のみに形成し、回転部材表面には形成しないことが好ましい。これは、回転部材表面に設けられた植毛部は、回転部材の回転運動により発生する遠心力で脱離するおそれがあるが、固定部材表面に設けられた植毛部は、回転部材の遠心力の影響が小さく安定的に該表面に存在できるためである。
また、シール性向上の効果が高いことから、隙間幅の狭い領域における部材表面に植毛部を形成することが好ましい。また、外部から密封経路内部に切削油や異物が侵入することを抑制できるため、入口部(図2〜図4における第1領域3a)に植毛部を形成することが好ましい。図2〜図4に示した各密封装置は、いずれもこれらの構成を有しており、従来より汎用されているラビリンスシール型の密封装置と比較して、高い密封性を確保している。
これらの中でも、図2に示すように、隙間幅の狭い領域から隙間幅の広い領域まで連続して植毛部を形成することが好ましい。これにより、隙間幅の狭い領域で潤滑剤の保持量が減少した場合に、隙間幅の広い領域における植毛部に保持された潤滑剤が、植毛部を伝って隙間幅の狭い領域に供給される。
植毛部は、短繊維を植毛して形成される。植毛方法としては、吹き付けや静電植毛を採用できる。ラビリンス部を構成する各部材の表面のような周面においても、多量の繊維を短時間で密に垂直に植毛できることから、静電植毛を採用することが好ましい。静電植毛方法としては、公知の方法を採用でき、例えば、静電植毛する範囲に接着剤を塗布し、短繊維を帯電させて静電気力により上記接着剤塗布面に略垂直に植毛した後、乾燥工程・仕上げ工程などを行なう方法が挙げられる。
植毛に用いる短繊維としては、植毛用短繊維として使用可能であれば特に限定されず、例えば、(1)ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンテフタレートなどのポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル、ビニロンなどの合成樹脂繊維、(2)カーボン繊維、グラスファイバーなどの無機繊維、(3)レーヨン、アセテートなどの再生繊維や、綿、絹、麻、羊毛などの天然繊維が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。密封経路に充填するグリース中の油や侵入した切削油による膨潤や溶解などが生じにくく化学的に安定であり、均質な繊維を多量に生産することができ、安価に入手することができるため、上記の中でも合成樹脂繊維を用いることが好ましい。
短繊維の形状としては、シール性能と軸受性能(トルクなど)に悪影響を与えない形状であれば特に限定されない。具体的な形状としては、例えば、長さ0.3〜2.0mm、太さ0.5〜50デシテックスのものが好ましく、植毛部の短繊維の密度としては、植毛した面積あたりに繊維の占める割合が10〜30%が好ましい。短繊維長さについては、これを形成するラビリンス部の隙間幅以下とする。短繊維の形状としては、ストレートタイプとベンドタイプ(先端部が曲がった形状)とがあり、断面形状は円形状や正多角形状のものがある。ベンドタイプの場合、その形状からストレートタイプと比較して潤滑剤をより強く保持することができる。さらに、多角形状断面の短繊維を使用することで、円形状断面の短繊維よりも大きな表面積とすることができ、潤滑剤の表面張力を大きくすることができる。それぞれの特性に合わせて、短繊維の形状を選定することが好ましい。
接着剤としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などを主成分とする接着剤が挙げられる。例えば、ウレタン樹脂溶剤系接着剤、エポキシ樹脂溶剤系接着剤、酢酸ビニル樹脂溶剤系接着剤、アクリル樹脂系エマルジョン接着剤、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン接着剤、酢酸ビニル系エマルジョン接着剤、ウレタン樹脂系エマルジョン接着剤、エポキシ樹脂系エマルジョン接着剤、ポリエステル系エマルジョン接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体系接着剤などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記方法により形成された植毛部について、形成直後から通常運転時に至るまでの期間における態様の変化を図5に基づいて説明する。図5に示すように、植毛部4は、短繊維を植毛して形成され、植毛繊維4aと該植毛繊維の根元を固定する接着層4bとからなる。まず、図5(a)に示すように、固定部材2aの表面上に形成された植毛部4は、形成直後から初期運転を実施する前までは、植毛繊維4aの先端側が回転部材2bの表面に接触している。初期運転を実施すると、図5(b)に示すように、植毛繊維4aの先端側が摩擦により除去されて極僅かな幅のラビリンス隙間9を形成する。最後に、図5(c)に示すように、予め塗布した潤滑油またはグリース(潤滑剤8)が植毛部4に付着し、ラビリンス部の隙間空間に油膜が形成される。これにより、外部からの切削液や異物の侵入を防止できる。
本発明の転がり軸受装置は、これを構成する転がり軸受と密封装置とが潤滑剤で潤滑される。これら潤滑剤は内・外輪間の空間内や密封経路内に供給・封入される。潤滑剤としては、通常、密封装置および転がり軸受に用いられる潤滑剤であれば特に制限なく用いることができ、潤滑油またはグリースのいずれでもよい。
本発明に使用する潤滑油としては、例えば、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油などの鉱油、ポリブテン油、ポリ−α−オレフィン油、アルキルベンゼン油、アルキルナフタレン油などの炭化水素系合成油、または、天然油脂やポリオールエステル油、リン酸エステル油、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、フッ素油などの非炭化水素系合成油などが挙げられる。これらの潤滑油は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
潤滑剤としてグリースを使用する場合、グリースを構成する基油としては、上記の潤滑油が挙げられる。また、グリースを構成する増ちょう剤としては、例えば、アルミニウム石けん、リチウム石けん、ナトリウム石けん、複合リチウム石けん、複合カルシウム石けん、複合アルミニウム石けんなどの金属石けん系増ちょう剤、ジウレア化合物、ポリウレア化合物などのウレア系化合物、PTFE樹脂などのフッ素樹脂粉末が挙げられる。これらの増ちょう剤は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
潤滑剤には必要に応じて公知の添加剤を添加できる。添加剤としては、例えば、有機亜鉛化合物、有機モリブデン化合物などの極圧剤、アミン系、フェノール系、イオウ系化合物などの酸化防止剤、イオウ系、リン系化合物などの摩耗抑制剤、多価アルコールエステルなどの防錆剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイトなどの固体潤滑材、エステル、アルコールなどの油性剤などが挙げられる。
ラビリンス部に形成された植毛部に、密封対象となる転がり軸受に使用するグリースと同等のグリースを、または、密封対象となる転がり軸受に使用するグリースに含まれる基油と同等の基油を予め塗布することが好ましい。これにより、ラビリンス部における隙間幅の狭い領域がより速やかに油膜で充填され、使用初期から、外部からの切削液や異物の侵入を防止できる。なお、同等とは、ほぼ同じ種類・組成であることを意味し、最も好ましくは同一種で同組成のものを使用する。
本発明の密封装置は、簡易な構造で、外部からの切削液や異物の侵入を防止できるので、種々の用途に広く利用でき、特に工作機械に使用する転がり軸受の密封装置として好適に利用できる。
1 転がり軸受装置
2 密封装置
3 ラビリンス部
4 植毛部
5 軸箱
6 主軸
7 転がり軸受
8 潤滑剤
9 ラビリンス隙間
2 密封装置
3 ラビリンス部
4 植毛部
5 軸箱
6 主軸
7 転がり軸受
8 潤滑剤
9 ラビリンス隙間
Claims (7)
- 固定部材と回転部材とから構成され、前記固定部材と前記回転部材のそれぞれの表面が隙間を介して対向してラビリンス部を形成するラビリンスシール型の密封装置であって、
前記ラビリンス部の少なくとも一部において、該部分を構成する前記回転部材および前記固定部材から選ばれる少なくとも一方の部材の表面に繊維を植毛してなる植毛部を有することを特徴とする密封装置。 - 前記密封装置は、前記固定部材の表面にのみ前記植毛部を有することを特徴とする請求項1記載の密封装置。
- 前記ラビリンス部は、前記隙間の幅の狭い領域と、前記隙間の幅の広い領域とを有し、前記表面における少なくとも前記隙間の幅の狭い領域の一部に、前記植毛部を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の密封装置。
- 前記ラビリンス部は、前記植毛部を、前記隙間の幅の狭い領域から前記隙間の幅の広い領域まで連続して前記表面に有することを特徴とする請求項3記載の密封装置。
- 前記繊維が合成樹脂繊維であり、前記植毛部が静電植毛部であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の密封装置。
- 密封装置と転がり軸受とから構成され、前記密封装置により前記転がり軸受の軸受内空間が密封されてなる転がり軸受装置であって、
前記密封装置が、請求項1から請求項5までのいずれか1項記載の密封装置であることを特徴とする転がり軸受装置。 - 前記植毛部に、前記転がり軸受に使用するグリースと同等のグリース、または、前記転がり軸受に使用するグリースの基油と同等の基油が予め塗布されていることを特徴とする請求項6記載の転がり軸受装置。
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Cited By (1)
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