JP2017036516A - 手袋の製造方法 - Google Patents

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高井 淳
Atsushi Takai
淳 高井
阿部 浩二
Koji Abe
浩二 阿部
大久保 博正
Hiromasa Okubo
博正 大久保
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Abstract

【課題】水系のポリウレタンディスパージョンを出発原料とする浸漬液を用いた浸漬法により、皮膜にクラックを生じにくいため、たとえノンサポートタイプとしても簡単に破断したりしにくい手袋を製造しうる製造方法を提供する。
【解決手段】浸漬法に使用する浸漬液として、水系のポリウレタンディスパージョンと、当該ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり2.5質量部以上、4.5質量部以下のポリエーテル系ノニオン界面活性剤を含む浸漬液を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリウレタンの皮膜からなる手袋の製造方法に関するものである。
家庭用等の手袋は、例えばゴムのラテックスや樹脂のディスパージョン等を出発原料とする浸漬液を、手袋の立体形状に対応した手型に浸漬して引き上げることで、上記浸漬液を手型に付着させ、さらに乾燥、固化させたのち手型から脱型する、いわゆる浸漬法によって製造するのが一般的であり、かかる浸漬法を利用した製品の主要製品の一つといえる。
ところが上記浸漬法によって製造される、天然ゴム等のゴムや塩化ビニル等の樹脂からなる従来の手袋は、いずれも透湿性が殆どないため内部が蒸れやすく、使用者が不快に感じるばかりか、場合によっては手と手袋が汗によって付着して脱着性を損なったりするといった問題を生じるおそれもある。
そこで従来のゴムや樹脂に代えて、耐摩耗性、柔軟性に優れる上、透湿性にも優れた皮膜を形成しうるポリウレタンを用いて、蒸れが少なく不快感を生じにくい手袋を製造することが考えられる。
特に、有機溶剤を含まない水系のポリウレタンディスパージョンを出発原料とする浸漬液を用いて、従来同様に浸漬法によってポリウレタン製の手袋を製造するのが望ましい。
しかし現在のところ、ポリウレタンの皮膜のみで形成されるノンサポートタイプの手袋を、浸漬法によって製造する技術は十分には確立されていない。
例えば綿やナイロンなどからなる原手に、浸漬法によってポリウレタンをコーティングしたサポートタイプの手袋が実用化されていたり(特許文献1、2等)、ゴム等の多孔質膜からなるノンサポートタイプの手袋に、薄いポリウレタン皮膜をコーティングした2層構造の手袋が検討されていたり(特許文献3等)するに過ぎないのが現状である。
これは、手型に付着させて乾燥途中のポリウレタンの皮膜がクラック(ゲルクラック)を生じやすく、クラックを生じた皮膜は乾燥後に十分な引張強さが得られないため、特にポリウレタンの皮膜単体からなるノンサポートタイプの手袋では、引っ張った際などに比較的簡単に破断したりしやすいことが原因である。
特開2008−38303号公報 特許第3782268号公報 国際公開WO2013/054721 A1
本発明の目的は、水系のポリウレタンディスパージョンを出発原料とする浸漬液を用いた浸漬法により、皮膜にクラックを生じにくいため、たとえノンサポートタイプとしても簡単に破断したりしにくい手袋を製造しうる製造方法を提供することにある。
本発明は、手袋の立体形状に対応した手型を浸漬液に浸漬したのち引き上げて、前記手型に前記浸漬液を付着させ、さらに乾燥させて、手袋となる皮膜を形成する工程を含み、前記浸漬液としては、前記皮膜のもとになる水系のポリウレタンディスパージョン、および当該ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり2.5質量部以上、4.5質量部以下のポリエーテル系ノニオン界面活性剤を含む浸漬液を用いる手袋の製造方法である。
本発明によれば、水系のポリウレタンディスパージョンを出発原料とする浸漬液を用いた浸漬法により、皮膜にクラックを生じにくいため、たとえノンサポートタイプとしても簡単に破断したりしにくい手袋を製造しうる製造方法を提供できる。
本発明は、手袋の立体形状に対応した手型を浸漬液に浸漬したのち引き上げて、前記手型に前記浸漬液を付着させ、さらに乾燥させて、手袋となる皮膜を形成する工程を含み、前記浸漬液としては、前記皮膜のもとになる水系のポリウレタンディスパージョン、および当該ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり2.5質量部以上、4.5質量部以下のポリエーテル系ノニオン界面活性剤を含む浸漬液を用いる手袋の製造方法である。
本発明によれば、ポリウレタンディスパージョンを含む浸漬液に、上記所定の割合でポリエーテル系ノニオン界面活性剤を配合することによって、乾燥途中の皮膜にクラックが生じるのを抑制できる。
そのメカニズムは明らかではないが、ポリエーテル系ノニオン界面活性剤が浸漬液中でポリウレタン粒子に吸着して、当該ポリウレタン粒子が手型の表面に凝固する際に、その配列を均一化するために働くのが原因ではないかと考えられる。
すなわち従来の、ポリエーテル系ノニオン界面活性剤を配合しない浸漬液を用いた製造方法では、浸漬液中に分散しているポリウレタン粒子が、手型の表面で凝固する際に、それぞれランダムに配向する結果、乾燥途中の皮膜の連続性が低下したり、内部応力が高くなったりして、当該皮膜にクラックを生じやすくなる。
これに対し、浸漬液に上記所定の割合でポリエーテル系ノニオン系界面活性剤を配合すると、上記のメカニズムにより、手型の表面で凝固するポリウレタン粒子の配列の均一化が促進されて、乾燥途中の皮膜の連続性が向上したり、内部応力が低下したりする結果、当該皮膜にクラックが生じるのを現状よりも抑制できると考えらえる。
〈水系のポリウレタンディスパージョン〉
水系のポリウレタンディスパージョンとしては、例えばポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等の各種のポリオールと、ポリイソシアネートとの反応生成物であるポリウレタンを水中に分散させた種々のディスパージョンが使用可能である。
特に手袋の透湿性を向上する観点から、ポリエーテル系のポリウレタンディスパージョンが好ましい。
また水系のポリウレタンディスパージョンとしては、表面張力が39N/m以上、55N/m以下であるものを選択して用いるのが好ましい。
表面張力が39N/m以上の水系のポリウレタンディスパージョンを用いて調製した浸漬液は、特に陶器製の手型の表面に対する濡れ性に優れており、当該手型の表面で均一に濡れ拡がりやすい。
また、上記浸漬液中に含まれるポリウレタン粒子は、手型の表面でスムースに凝固させることもできる。この理由は明らかではないが、表面張力が上記範囲未満であるポリウレタンディスパージョンは、例えばカルボキシレート等の脂肪酸官能基などの、表面張力を下げる成分を多く含んでおり、当該成分がポリウレタン粒子を保護して凝固を阻害するのに対し、表面張力が上記の範囲であるポリウレタンディスパージョンは、上記成分が含まれる割合が小さいため、手型の表面で凝固しやすいものと考えられる。
ただし表面張力が高すぎると、ポリウレタン粒子同士の過度な凝固を生じて、乾燥途中の皮膜にクラックを生じやすくなる。
そのため従来は、ポリウレタンディスパージョンの表面張力は45N/m以下程度が好ましいとされてきたが、本発明では、ポリエーテル系ノニオン界面活性剤の機能によって過剰な凝固を抑制できるため、表面張力が55N/m程度のポリウレタンディスパージョンまで使用可能である。
表面張力が55N/m以下である水系のポリウレタンディスパージョンを用いて浸漬液を調製することにより、ポリウレタン粒子同士の過度な凝固を抑えてクラックの発生を抑制できる。
したがって表面張力が上記39N/m以上、55N/m以下である水系のポリウレタンディスパージョンを選択して用いることにより、皮膜の連続性、均一性を向上して手袋の引張強さをより一層向上できる。
かかる水系のポリウレタンディスパージョンとしては、これに限定されないが、例えばDIC(株)製のハイドラン(登録商標)シリーズのうちFCS725(表面張力:40.9N/m)、WLS−210(表面張力:40.8N/m)、WLS−208(表面張力:52.6N/m)、三井化学(株)製のタケラック(登録商標)W6110(表面張力:42.3N/m)、Lubrizol社製のSANCURE(登録商標)12929(表面張力:43.4N/m)等の1種または2種以上が挙げられる。
〈ポリエーテル系ノニオン界面活性剤〉
ポリエーテル系ノニオン界面活性剤としては、前述した機能を有する種々のポリエーテル系ノニオン界面活性剤が使用可能である。
かかるポリエーテル系ノニオン界面活性剤としては、これに限定されないが、例えばランクセス(株)製の商品名Emulvin WA〔芳香族ポリグリコールエーテル〕、花王(株)製のエマルゲン(登録商標)105〔ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:9.7〕、109P〔ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6〕、LS−110〔ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、HLB:13.4〕等の1種または2種以上が挙げられる。
ポリエーテル系ノニオン界面活性剤の配合割合は、前述したように、ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり2.5質量部以上、4.5質量部以下である必要がある。
すなわちポリエーテル系ノニオン界面活性剤の配合割合がこの範囲未満では、当該ポリエーテル系ノニオン界面活性剤を配合することによる前述した効果が得られず、ポリウレタン粒子が手型の表面でランダムに配向する割合が増加して、乾燥途中の皮膜の連続性が低下したり、内部応力が高くなったりして、当該皮膜にクラックを生じやすくなる。
またポリエーテル系ノニオン系界面活性剤は、浸漬液中でポリウレタン粒子の分散を安定化させるためにも機能するが、その配合割合が上記の範囲を超える場合には当該機能が過剰に発現されて、手形の表面でポリウレタン粒子を均一に凝固させることができなくなるため、却って乾燥途中の皮膜の連続性が低下したり、内部応力が高くなったりして、当該皮膜にクラックを生じやすくなる。
また、手型の表面でのポリウレタン粒子の凝固性が低下するため、同じ濃度の浸漬液を使用しても、形成される皮膜の厚みが薄くなり過ぎてしまう。
これに対し、ポリエーテル系ノニオン界面活性剤の配合割合を上記の範囲とすることにより、上述したメカニズムによって、手型の表面で凝固するポリウレタン粒子の配列の均一化を促進して、乾燥途中の皮膜の連続性を向上させたり、内部応力を低下させたりできる結果、当該皮膜にクラックが生じるのを現状よりも抑制することが可能となる。
またポリウレタン粒子の良好な凝固性を維持して、形成される皮膜の厚みが薄くなり過ぎるのを抑制することもできる。
なお、これらの効果をより一層向上することを考慮すると、ポリエーテル系ノニオン界面活性剤の配合割合は、上記の範囲でも、ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり3質量部以上であるのが好ましい。
〈カルボジイミド化合物〉
浸漬液にカルボジイミド化合物を配合すると、当該カルボジイミド化合物がポリウレタンの架橋剤として機能して、当該ポリウレタンからなる皮膜の持つ良好な透湿性はそのまま維持しながら、上記皮膜、ひいては手袋の引張強さをより一層向上できる。
また、浸漬液を調製して数日間保管した後に手袋の製造に使用しても、調製直後と比べて手袋の引張強さや伸び、あるいは柔軟性等が低下するのをできるだけ抑制することもできる。
カルボジイミド化合物としては、分子中にカルボジイミド基(−N=C=N−)を含み、ポリウレタンの架橋剤として機能しうる種々の化合物が使用可能である。
ただしカルボジイミド化合物としては、カルボジイミド基1モルあたりの化学式量(以下「NCN当量」と略記する場合がある)が620以下、中でも450以下、特に400以下である化合物が好ましい。
なおNCN当量の下限は特に限定されないが、カルボジイミド化合物の安定性や取扱性、ポリウレタンとの親和性や相溶性、浸漬液中での分散安定性等を考慮すると、カルボジイミド基の両末端に結合する有機基が適度の大きさを有しているのが望ましく、NCN当量は300以上、特に350以上であるのが好ましい。
かかるカルボジイミド化合物としては、これに限定されないが、例えば日清紡ケミカル(株)製のカルボジライト(登録商標)シリーズのうち、いずれも水溶液の状態で供給されているV−04〔NCN当量:335、有効成分濃度:40%〕、V−02−L2〔NCN当量:385、有効成分濃度:40%〕、V−10〔NCN当量:410、有効成分濃度:40%〕、SV−02〔NCN当量:430、有効成分濃度:40%〕、SW−12G〔NCN当量:465、有効成分濃度:40%〕、V−02〔NCN当量:590、有効成分濃度:40%〕や、あるいはソープフリーのエマルションの状態で供給されているE−03A〔NCN当量:365、有効成分濃度:40%〕、E−02〔NCN当量:445、有効成分濃度:40%〕等の1種または2種以上が挙げられる。
カルボジイミド化合物の配合割合は、ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり2質量部以上、10質量部以下であるのが好ましい。
カルボジイミド化合物の配合割合がこの範囲未満では、当該カルボジイミド化合物を配合することによる、ポリウレタンを架橋させて手袋の引張強さを向上する効果等が十分に得られないおそれがある。
一方、カルボジイミド化合物の配合割合が上記の範囲を超える場合には、手袋の柔軟性や伸びが低下して、当該手袋を着脱する際や手袋を装着して作業をする際の作業性等が低下するおそれがある。
また、浸漬液を調製して数日間保管した後に手袋の製造に使用すると、調製直後と比べて手袋の引張強さや伸び、柔軟性等が大きく低下するおそれもある。
これに対し、カルボジイミド化合物の配合割合を上記の範囲とすることにより、良好な柔軟性や伸びを維持しながら手袋の引張強さを現状よりも向上できる。また、浸漬液を調製して数日間保管した後に使用しても、調製直後と比べて手袋の引張強さや伸び、柔軟性等が低下するのを抑制できる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、カルボジイミド化合物の配合割合は、上記の範囲でも、ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり8質量部以下、特に6質量部以下であるのが好ましい。
なおカルボジイミド化合物として、前述したように水溶液やエマルションの状態で供給されるものを使用する場合は、当該水溶液やエマルション中に含まれる有効成分としてのカルボジイミド化合物自体の質量部が、ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部に対して上述した範囲となるように、上記水溶液やエマルションの配合割合を設定すればよい。
〈浸漬液〉
浸漬液は、上記水系のポリウレタンディスパージョン、所定量のポリエーテル系ノニオン界面活性剤、および必要に応じてカルボジイミド化合物を含む以外は従来同様に構成できる。
すなわちポリウレタンディスパージョンに所定量のポリエーテル系ノニオン界面活性剤、および必要に応じてカルボジイミド化合物を配合するとともに、さらに必要に応じて老化防止剤、充填剤、熱安定剤、架橋剤、加水分解安定剤、消泡剤、可塑剤、着色剤、分散安定剤、増粘剤等の各種添加剤を、それぞれ所定の割合で配合することで浸漬液が調製される。
(老化防止剤)
上記のうち老化防止剤としては、例えばフェノール系、アミン系等の種々の老化防止剤が使用可能である。
特にフェノール系老化防止剤が好ましい。フェノール系老化防止剤を配合すると、製造時の熱によるポリウレタンの劣化を抑えて手袋の引張強さを向上できる。
また浸漬液を調製して数日間保管した後に使用しても、調製直後と比べて手袋の引張強さや伸び、柔軟性等が低下するのを抑制できる。
フェノール系老化防止剤の配合割合は、ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり0.5質量部以上であるのが好ましく、2質量部以下、特に1.5質量部以下であるのが好ましい。
フェノール系老化防止剤の配合割合がこの範囲未満では、当該フェノール系老化防止剤を配合することによる上記の効果が十分に得られないおそれがある。
一方、フェノール系老化防止剤の配合割合が上記の範囲を超えてもそれ以上の効果が得られないだけでなく、手袋の柔軟性や伸びが低下するおそれもある。
(その他の成分)
充填剤としては、例えばカオリンクレー、ハードクレー、炭酸カルシウム、酸化チタン等の1種または2種以上が挙げられる。
増粘剤は、浸漬液に適度な粘度を付与して手型の表面に良好に付着させたり、例えば手袋を多孔質構造とするべく浸漬液を起泡させる際に、当該浸漬液の粘性を高めて起泡を助けたりするためのものであり、かかる増粘剤としては、例えばポリアクリル酸等の水溶性高分子が挙げられる。なお増粘剤は、浸漬液の粘度が高くなりすぎるのを防止してムラ等のない手袋を製造するために省略するのが好ましいが、配合する場合は浸漬液に求められる粘度等に応じてその配合割合を適宜設定すればよい。
分散安定剤は、添加剤のうち老化防止剤や充填剤等の固形で水に不溶の成分を浸漬液中に良好に分散させるために配合されるものであり、当該分散安定剤としては、例えば陰イオン系界面活性剤等の1種または2種以上が挙げられる。分散安定剤の配合割合は、ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり0.3質量部以上であるのが好ましく、1質量部以下であるのが好ましい。
なお上記水に不溶性の添加剤は、例えば上記分散安定剤の存在下、ボールミル等を用いて水中に分散させた分散液としてから浸漬液に配合するのが好ましい。
〈手袋の製造〉
本発明の製造方法においては、まず手袋の立体形状に対応した、例えば陶器製、金属製等の手型を用意する。
次に、あらかじめ40〜80℃に加温した手型を凝固液に浸漬したのち引き上げて乾燥させる。
凝固液としては、浸漬法用の種々の凝固液が使用可能である。
かかる凝固液としては、例えば硝酸カルシウムや塩化カルシウムなどの凝固剤の水溶液やメタノール溶液、エタノール溶液等が挙げられる。
凝固液における凝固剤の濃度は任意に設定できるものの、20質量%以下であるのが好ましい。
凝固剤の濃度が20質量%である比較的薄い凝固液を使用すると、手形の表面でのポリウレタン粒子の凝固をできるだけ緩やかにして、当該ポリウレタン粒子の配列の均一性をさらに向上でき、乾燥途中の皮膜にクラックが生じるのをより一層良好に抑制できる。
次いで、上記凝固液で処理した手型を、先に説明した各成分を含む浸漬液中に一定時間に亘って浸漬したのち引き上げることで、当該手型の表面に浸漬液を付着させる。
そして引き上げた手型ごと加熱して浸漬液を乾燥させるとともに、カルボジイミド化合物を含む場合はポリウレタンを架橋反応させて膜を形成したのち当該膜を脱型する。
または浸漬液を室温で一旦乾燥させた後に手型ごと加熱することでポリウレタンを架橋反応させて膜を形成したのち脱型してもよい。
〈手袋〉
本発明の製造方法によって製造される手袋は、浸漬液を起泡させることで多孔質構造としてもよいし、起泡させずに非多孔質構造としてもよい。特に引張強さ等を向上することを考慮すると、非多孔質構造とするのが好ましい。
また手袋はポリウレタンの皮膜単体からなる単層構造であってもよいし、他の1層以上の層との積層構造を有していてもよい。積層してもよい他の層としては、例えばゴムまたは樹脂からなる多孔質構造もしくは非多孔質構造の層や、いわゆるサポートタイプの手袋を構成する原手の層等が挙げられる。
ただし生産性や価格、あるいは手になじみやすく作業性に優れること等を考慮すると非多孔質構造でかつ単層構造の、いわゆるノンサポートタイプの手袋であるのが好ましい。
ノンサポートタイプの手袋の厚みは、当該手袋の用途等に応じて任意に設定できる。例えば細かい作業に適した極薄の手袋の厚みは、十分な強度を付与し、なおかつ作業性やフィット感を向上すること等を考慮すると0.16mm以上、中でも0.17mm以上、特に0.19mm以上であるのが好ましく、0.55mm以下であるのが好ましい。
また、手袋の内表面にはパイルを植毛してもよい。植毛方法は従来同様でよい。
例えば、手型に付着させた乾燥前の浸漬液の上にパイルを散布し、型ごと加熱して浸漬液を乾燥させて、皮膜を形成するとともにパイルを固定(植毛)したのち、皮膜を裏返しながら脱型すること等が考えられる。
また、例えば先に手袋となる皮膜を形成した状態の手型を、次いで接着層のもとになる浸漬液に浸漬する等して上記手袋の表面に上記浸漬液を付着させ、その上にパイルを散布したのち型ごと加熱して浸漬液を乾燥させて、接着層を形成するとともにパイルを固定(植毛)し、さらに皮膜を裏返しながら脱型してもよい。
なお後者の接着層は、手袋の透湿性を確保するために連続多孔質構造とするのが好ましく、そのためには例えば天然ゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム等のエマルションを出発原料とする接着層用の浸漬液をあらかじめ起泡させておくのが好ましい。
パイルとしては、例えば綿やナイロン、レーヨン等のパイルが挙げられ、特に手触りの良さからレーヨン性のパイルが好ましい。
〈実施例1〉
(浸漬液の調製)
水系のポリウレタンディスパージョン〔前出のDIC(株)製のハイドランFCS725、表面張力:40.9N/m〕に、ポリエーテル系ノニオン界面活性剤〔前出のランクセス(株)製のEmulvin WA〕、カルボジイミド化合物の水溶液〔前出の日清紡ケミカル(株)製のカルボジライトV−02、NCN当量:590、有効成分濃度:40%〕、および酸化チタンを配合して浸漬液を調製した。
上記浸漬液における、ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたりの配合割合は、ポリエーテル系ノニオン界面活性剤が2.5質量部、水溶液中に含まれる有効成分としてのカルボジイミド化合物が3質量部、酸化チタンが1.5質量部であった。
(手袋の製造)
手型としては、手袋の立体形状に対応した陶器製の手型を用意した。
この手型を、まず凝固液としての20質量%硝酸カルシウム水溶液に浸漬し、引き上げて60℃に加熱して乾燥させた。
次いで上記浸漬液に浸漬したのち引き上げることでその表面に浸漬液を付着させた。そして引き上げた手型ごと110℃で30分間加熱して浸漬液を乾燥させるとともにポリウレタンを架橋反応させ、さらに冷却したのち脱型して手袋を製造した。
〈実施例2〜5、比較例1、2〉
ポリエーテル系ノニオン界面活性剤の配合割合を、ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり2質量部(比較例1)、3質量部(実施例2)、3.5質量部(実施例3)、4質量部(実施例4)、4.5質量部(実施例5)および5質量部(比較例2)としたこと以外は実施例1と同様にして手袋を製造した。
〈実施例6〜9〉
凝固液として、17.5質量%硝酸カルシウム水溶液を使用したこと以外は実施例1〜4と同様にして手袋を製造した。すなわちポリエーテル系ノニオン界面活性剤の配合割合は、ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり2.5質量部(実施例6)、3質量部(実施例7)、3.5質量部(実施例8)、および4質量部(実施例9)とした。
〈実施例10〜13、比較例3〉
凝固液として、22.5質量%硝酸カルシウム水溶液を使用したこと以外は実施例1〜4、比較例2と同様にして手袋を製造した。すなわちポリエーテル系ノニオン界面活性剤の配合割合は、ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり2.5質量部(実施例10)、3質量部(実施例11)、3.5質量部(実施例12)、4質量部(実施例13)、および5質量部(比較例3)とした。
〈実施例14、15〉
凝固液として、25質量%硝酸カルシウム水溶液を使用したこと以外は実施例3、5と同様にして手袋を製造した。すなわちポリエーテル系ノニオン界面活性剤の配合割合は、ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり3.5質量部(実施例14)、および4.5質量部(実施例15)とした。
〈従来例1〉
ポリエーテル系ノニオン界面活性剤を配合しなかったこと以外は実施例1と同様にして手袋を製造した。
〈従来例2〉
ポリエーテル系ノニオン界面活性剤に代えてスルフォン酸ナトリウムを、ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり3.5質量部配合したこと以外は実施例1と同様にして手袋を製造した。
〈従来例3〉
ポリエーテル系ノニオン界面活性剤に代えてオレイン酸カリウムを、ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり3.5質量部配合したこと以外は実施例1と同様にして手袋を製造した。
〈クラックの発生率評価〉
各実施例、比較例の手袋の製造を10回ずつ実施し、製造した10枚の手袋中、クラックが発生した手袋の枚数の百分率を発生率(%)として求めた。また上記発生率から、下記の基準でクラック発生の良否を評価した。
○:発生率は10%未満であった。
△:発生率は10%以上、45%未満であった。
×:発生率は45%以上であった。
〈皮膜の厚み評価〉
各実施例、比較例で製造した手袋の厚み(mm)を測定し、その良否を下記の基準で評価した。
◎:厚みは0.19mm以上であった。
○:厚みは0.17mm以上、0.19mm未満であった。
△:厚みは0.16mm以上、0.17mm未満であった。
×:厚みは0.16mm未満であった。
以上の結果を表1〜表4に示す。
Figure 2017036516
Figure 2017036516
Figure 2017036516
Figure 2017036516
表1〜表4の実施例1〜15、従来例1の結果より、水系のポリウレタンディスパージョンを含む浸漬液にポリエーテル系ノニオン界面活性剤を配合することにより、皮膜にクラックが生じるのを抑制するとともに、十分な厚みを有する手袋を製造できることが判った。
また実施例1〜15、従来例2、3の結果より、上記の効果を得るためには、他の界面活性剤ではなく、上記ポリエーテル系ノニオン界面活性剤を配合する必要があることが判った。
また、特に実施例1〜5、比較例1、2や実施例10〜13、比較例3の結果より、上記の効果を得るためには、上記ポリエーテル系ノニオン界面活性剤の配合割合を、ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり2.5質量部以上、4.5質量部以下とする必要があること、中でも3質量部以上であるのが好ましいことが判った。
さらに実施例1〜15の結果より、上記の効果をより一層向上するためには、手型を処理する凝固液として、凝固剤の濃度が20質量%以下の凝固液を用いるのが好ましいことが判った。

Claims (3)

  1. 手袋の立体形状に対応した手型を浸漬液に浸漬したのち引き上げて、前記手型に前記浸漬液を付着させ、さらに乾燥させて、手袋となる皮膜を形成する工程を含み、前記浸漬液としては、前記皮膜のもとになる水系のポリウレタンディスパージョン、および当該ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり2.5質量部以上、4.5質量部以下のポリエーテル系ノニオン界面活性剤を含む浸漬液を用いる手袋の製造方法。
  2. 前記手型を、前記浸漬液に浸漬するに先立って凝固液で処理する工程を含み、前記凝固液としては、凝固剤の濃度が20質量%以下の凝固液を用いる請求項1に記載の手袋の製造方法。
  3. 前記浸漬液としては、さらに前記ポリウレタンディスパージョン中の固形分100質量部あたり2質量部以上、10質量部以下のカルボジイミド化合物を含む浸漬液を用いる請求項1または2に記載の手袋の製造方法。
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