JP2017035695A - 湿式スクラバー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ケーシングの内面に断面がテーパー状に絞りこまれた円錐面を備えた円錐台状の内壁を備えた気液接触部と、その後方にミストセパレーターとを備え、ケーシングの軸芯に内部から処理液が噴出可能な中空の回転シャフトに備え、同一径の複数枚の皿状円板が互いに平行となるように離間させて配し、その後方に前記円錐台状の内壁の後端外径よりも径の大きい円盤状のバランサーを備えた湿式スクラバーである。
【選択図】 図2
Description
そこで、本発明の課題は、こうした難度の高い除染処理方法にも適用可能な、簡易な可搬性ある小型の、処理能力に優れた湿式スクラバーを提供することである。
(全体構成)
まず、本発明の風力選別機構1は、茎と葉を分離してストロー状の藁を得ることのできるイネ科植物を投入するための風力選別容器2と、吹き飛ばされた葉の表面の付着物質を微細な液滴で捕集する湿式スクラバー3と、ミストセパレーター26で捕集しきれなかった付着物質を捕集するためにさらに後方にセラミックフィルター30とヒーター31を備えた吸着室4と、排風機5を順に備えており、これらは互いに通風管で接続されており、排風機で送り出された排気は風力選別容器2へと循環するようになっている。全体の循環する空気の風量は、たとえば30m3/minとする。そして、湿式スクラバー3内で液滴に取り込まれた付着物質や、内周壁面に吹き飛ばされた葉は、湿式スクラバー3の下方のドレン16へと落下して集積され、ドレン16から処理液槽6へと排水されることで捕集される。
(風力選別容器について)
さて、風力選別容器2は、たとえば、直径100cm、長さ80cm程度の円筒形状のステンレス製で、容器の一方端部に開閉可能な機密性のある投入口8を設け、風力選別容器2の側面に循環空気導入口10を、離間した位置に排気口11を備えている。循環空気導入口10から風力選別容器2内へは、風力選別機構1で処理されたクリーンな排気が循環空気として排風機5によって圧送されている。送り込まれた循環空気は風力選別容器2内を通り抜けて、排気口11から湿式スクラバー3へと排出される。循環空気の投入風量は、たとえば30m3/minとする。
なお、風力選別容器2自身に、排出口11から湿式スクラバー3に排気して微細な液滴を分別回収後に吸着室4のセラミックヒーター、さらに排風機5を経て循環空気導入口から戻ってくる主経路20のほかに、さらに、別途選別容器に送風する循環的な補助経路を設けて、補助的に風力選別容器内の空気の順完了を増やしてもよい。この補助経路21は、湿式スクラバー3のような回収捕集する機能を特段もたずともよく、単に風力選別容器2を送風ファン12でかき回すだけの循環回路である。主経路20側は30m3/minの量の循環空気が流動しており、風力選別容器2の中は十分に風が流動して茎や葉が振動、揺動する状況にあるが、この主経路20側には、後方に湿式スクラバー3や吸着室4のセラミックフィルターなどが控えており、循環空気の流量や流速を大きく変動させることは可能であっても、エネルギー効率や運用のやりやすさという面では、全体的な処理状況との関係で判断されるものとなる。
また、風力選別容器2内へのさらなる補助的な風速を付与するため、主経路20および補助経路21以外にも、別途、さらに外部空気をコンプレッサー13で投入するする取込口を設けてさらに稲藁に強い風力を付与してもよい。たとえば、30m3/minの循環風量に対して、外部空気を7kg/m3の圧力で90リットル/min投入する。その際、排風機から風力選別容器に戻る循環空気は、風力選別容器2の手前に設けた熱交換器を経ることで10℃以上冷却しうるものとし、循環系に取込まれる外部空気があっても、バッチ処理中に必要以上に装置全体の内圧が高くならないようにすることができる。戻ってくる循環空気の冷却は市販のチラーを用いて熱交換器に接続することで対応しうる。5〜10分程度のバッチ処理の後、風力選別容器の投入口8を開放して、中から選別された藁の茎部分を取り出すこととなるが、その際、投入口8もしくは取出口9の開口に応じて、湿式スクラバー3の手前にもうけたサクションダンパー15が弁となって自動的に締まるので逆流はせず、湿式スクラバー3は回転したままに藁の交換が可能となる。他方、排風口11側から循環空気の余計な残圧が抜けるので、外部空気を導入していても、繰り返しバッチ処理をすることができる。
風力選別容器内から排気口を通じて排出された葉や付着物質は、直径15cm程度のステンレス鋼管を通って、後方に控えた湿式スクラバー3のケーシング18上端(前方側)に設けられた投入口14へと順次搬送される。湿式スクラバー3で液滴内に捕集られた物質はケーシングの下方のドレン16から排出される一方で、循環空気はケーシング18の上方の他端(後方側)に設けられた排出口17から直径15cm程度のステンレス鋼管へと搬出される。
回転シャフト22の皿状円板23の後方には、バランサー24の円盤が取り付けられることで、高速回転による振動やぶれが抑制され、安定的な回転が可能となっている。さらに本発明では、バランサー24を、内周壁25後端の狭口よりも3センチほど後方に設けることとして、内周壁25後端後方が円錐状にすぼまることで速まった流速によって微細に生じた液滴を含んだ流れがさらに加速された状態で、直後に備わるバランサー24と強く衝突することとなる。この際、30cmの皿状円板に対しては、バランサーは直径44cm厚さ1cmのステンレス厚板円盤とする。皿状円板の直径が30cm、内周壁後端の径が40cmに対して、バランサーの直径を44cmと大きくすることで、外周の周速をバランサーの位置でさらに速いものとする。これにより、微細な液滴をさらに強く破砕してより微細化することができ、液滴の表面張力を下げることができるので、周囲の取りこぼした付着物や飛散物、ガス等をより液滴内に取り込みやすくすることができるものとなっている。
さらに、皿状円板23からの液滴を受けるバランサー24の表面には放射状に6枚のフィン34をバランサー24の円盤表面から垂直に突出させて、さらに攪拌力を強めることとしてもよい。このようにすることで、速い周速で叩きつけるのみならず、液滴をフィン34で叩くこともできるので、強い衝撃で処理液29を破砕した液滴が拡散しやすくなるので液滴の飛散範囲が拡がることとなる。そこで、バランサー24の手前の空間に広く拡散された液滴が気液接触によってより大量に捕集できる状態となる。フィン34のサイズは、直径30cm、高さ2〜3cm程度で、外周から中心方向に10cm程度の長さを備えたものとし、これを6〜8枚程度、バランサー24の円盤の一方の面(前方側の面)に設ける。
バランサー24の円盤の前方側の面に立設したフィン34によって、液滴を広汎に拡散させて捕集能力が向上する点については、湿式スクラバー3にHClガスを投入して、NaOH水溶液を処理液として捕集することで排気からHCl成分を除去する実験にて、その能力向上を確認した。処理前のHClガスの雰囲気は、40〜50℃で、50000ppmである。この50000ppmのHClガスを流量30m3/minの流量で投入口から投入し、湿式スクラバー3で処理後に排出口17から排出されるガスの濃度を計測する際に、バランサー24にフィン34が備わった場合と、フィンが備わっていない従来型の平板状の円盤の場合との違いを比較した。
また、バランサー24の外周部分に、ケーシング18よりも径の小さいリング状の内筒33を隣接させることで、バランサー24の円盤で生成された液滴がフィンで拡散されるのみならず、さらに隣接するリング状の内筒の内周壁面に強く叩きつけられることでさらに微細化させることができる。ナノサイズの液滴となると、表面張力が小さく凝集しやすいものであるから、すぐに大きな液滴へと粒が戻ってしまう。すると、気液接触の能力が落ちてしまいやすい。そこでバランサーの径を大きくして再度微細な液滴を得ることが有用であり、さらに液滴を隣接する内筒に強く叩きつけることで、より微細な液滴を多数生成することができると、その処理能力や効率がさらに高まるものとなる。
微細な液滴はミストセパレーター26のエレメントと液滴が接触することで捕集され、ミストセパレーター26から下方へと滴下されることで気液分離される。微細な液は滴表面張力が小さく、ミストセパレーター26のエレメントと接触するとその表面になじんで拡がりながら下方へと重力落下するので、効率よくミストセパレーターで捕捉できるのである。ミストセパレーター26は、湿式スクラバー3のケーシング18内のバランサー24の後方に回転シャフト22と一緒に回動することなく配置することができる。ケーシング18内にミストセパレーター26を実装せしめることで、これにより機構1全体としての小型化が促進できる。ミストセパレーター26のエレメントは、ケーシング側面上方から引き抜いて交換することでメンテナンスすることができる。もちろん、メンテナンス性を考えれば、従来から知られた湿式スクラバー3の排出口17の先に気液分離のためのミストセパレーター26を設けてもよい。
回転シャフト22の回転は、モータ19の回転駆動をプーリを介して従動させて行う。モータ19の回転速度が上昇すると、それに応じて皿状円板23の周速が速くなることから、噴出される処理液29が破砕されて微細化する衝撃力も増すことで、より微細な液滴が生成されやすくなる。湿式スクラバー3から排出される気体のなかにおける捕集対象物質の残留濃度を計測し、捕集率を高める必要があるときには、液滴をより微細化できるように、回転数を上昇させることで対応することが可能である。もっとも、回転数を上昇させるには、通常のモータ19では軸動力が余計に必要となる分だけ、電力消費量が大きくなる。また、モータ19の回転数は電力に連動するので、回転数を大幅に上下動させることは容易ではない。ここでインバーターを用いると、回転数を細かく調整できるだけでなく、高回転まで実現ができることとなる。そしてインバーターを用いれば、予め投入対象の初期の濃度と処理後の目標濃度に鑑みて、回転数を設定した後、残留濃度を確認して回転数を上昇あるいは下降させるといった細かい調整が簡単にできるようになる。本発明の装置であれば、定格値7.5kwの動力のモータを用いる。
次に、本発明の処理液29は、ガスや付着物質等の捕集に適した液体を予めpHなどを調整して処理液槽6のタンクに用意しておき、同タンクから配管を通じて回転シャフト22に送り込んでノズル28から皿状円板23に向けて噴出させて霧状のミストの微細な液滴を得るものである。処理液は、ガスや対象物が液滴に捕集られることを目的としているので、対象物が溶け込みやすくなるように目的にあわせて選択されることになる。たとえば、水以外に、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アンモニア等のアルカリ水溶液、次亜塩素酸ソーダや二酸化塩素水溶液などを適宜用いる。処理液29の濃度やノズル28からの噴出量は、投入されるガスの濃度と排出時のガス濃度及び処理液の理論的な反応量を目安として割り出した後、稼動させた際の排出時の濃度をみて適宜増量することで調整する。具体的には、予備液槽に溜めた処理液を水位を保つべく供給するほかに、予め原液を薬品タンク39に貯留しておき、濃度計測の結果に応じて処理液槽6内の処理液29に投入することで濃度を適切に保つこととしてもよい。処理液槽6は容量250リットル程度のものであり、これを毎分5〜20リットル程度まで噴出量を調整できるようなポンプ42と調整弁等を備えており、配管は回転シャフト22に接続されている。またケーシング18下方のドレン16からの配管も処理液槽6へと戻ってくるので、処理液槽6の処理液29は湿式スクラバー3と循環するようになっている。
湿式スクラバー3の排出口17からの配管後方には、ミストセパレーター26で気液分離しきれなかった場合の捕集に備えて、吸着室4を設ける。吸着室4は、多段に設けてもよい。湿式スクラバー3は、HClでのデータからも明らかなように50000ppmのHClガスが、排気口17では1ppm以下(検出限界に相当)まで除去されたように、非常に高い捕集率(99.998%以上)となる処理能力を発揮しうるものであるが、処理対象物のガスが可視的でなかったり、計測が逐次できない物質の場合には、そうした微調整が容易ではなく、当初の設定段階での見込みを余力を十分とった設計にすることとなるが、万が一に備えて、予測を超えた場合にも対しうる対応能力が要請とされる。そこで、湿式スクラバー3の後方に補完的に吸着室4を設けることで、ミストセパレーター26を通り抜けた処理対象物質を捕集することで万全を期すことができる。この吸着室4はBOX状の筐体を1段もしくは多段に連接させたものであって、筐体の上平面、底面、左右の側面、正面、背面の各面に多孔質なセラミック製のセラミックフィルター30のパネルを全面に配し、さらに底面前方から上平面後方にわたって斜めに同様にセラミックフィルター30を配設したものであって、正面側入口から背面側出口へと、およそ30m3/minの風量が投入されるものとなっている。
風力選別容器2に投入される稲藁についての除染処理の手順を説明する。稲藁はロール状になっているものを容器に入る大きさに切断して、投入し、5〜10分間程度、風力選別機構1を稼動させ、稲藁から葉や付着物を除去してストロー部分のみを風力選別容器2に残すようにする。たとえば、発明者の実験によると、風力選別容器内に投入する稲藁は、処理前の全セシウム放射能濃度は12293Bq/kg(セシウム134:4119Bq/kg、セシウム137:8173Bq/kg)であったが、本発明の風力選別機構にて3分間運転し、処理後の放射能濃度を計測したところ、風力選別容器内から取り出したストロー状の稲藁の全セシウム放射能濃度は107Bq/kg(セシウム134:46Bq/kg、セシウム137:61Bq/kg)となった。
放射性物質の除染にあたっては、250リットル程度の処理液29を貯留しうる大きな容量の処理液槽6内に捕集された物質が集積されることとなる。そこで、処理が進んでいくと処理液29の放射線濃度が高まっていくことが考えられる。連続的に運用された処理液29の放射性物質の濃度が高まりすぎる前に、適宜、処理液槽6内に集積、捕集された付着物質や葉などの残渣を凝集剤によって沈殿させた後、これを処理液槽6の下方に備えられた下部排出口32から、沈殿物として抜き出すこととする。排出された処理液29の沈殿物等は、これをさらに不溶化処理をしたうえで、圧縮して固化することとし、フィルタープレスで圧縮脱水してケーキ状となった固形物として取り出し可能とし、これを回収する。
2 風力選別容器
3 湿式スクラバー
4 吸着室
5 排風機
6 処理液槽
7 廃水処理装置
8 投入口
9 取出口
10 循環空気導入口
11 排気口
12 送風ファン
13 コンプレッサー
14 投入口
15 サクションダンパー
16 ドレン
17 排出口
18 ケーシング
19 モータ
20 主経路
21 補助経路
22 回転シャフト
23 皿状円板
24 バランサー
25 内周壁
26 ミストセパレーター
27 気液接触部
28 ノズル
29 処理液
30 セラミックフィルター
31 ヒーター
32 排出口
33 内筒
34 フィン
35 羽根車
36 a液槽
37 b液槽
38 c液槽
39 薬品タンク
40 熱交換器
41 チラー
42 ポンプ
43 空洞
44 気液接触領域
Claims (3)
- 一方の端部側に投入口を、他方端部に排出口を開口させた円筒状のケーシングを設け、前記ケーシングは、
その内面に該排出口側に向かって断面がテーパー状に絞りこまれた円錐面を備えた円錐台状の内壁を備えた気液接触部と、その後方にミストセパレーターとを備え
前記ケーシングの軸芯を貫くように中空の回転シャフトを備え、またケーシング内を滴下した水を外部の処理液槽へと排水可能なドレンを備えており、該回転シャフトは該ケーシングの外部に設けた駆動機構によって回転自在とされており、
該回転シャフトには、
前記気液接触部内に同一径の複数枚の皿状円板が互いに平行となるように離間させて該回転シャフトの同軸上に一列に配して固定されており、
該回転シャフトの中空部分を導水管として内部から処理液が噴出可能となるように該回転シャフトの外周に複数の孔が穿設されており、
前記気液接触部の後方に前記円錐台状の内壁の後端外径よりも径の大きい円盤状のバランサーを備えたことを特徴とする、湿式スクラバー。 - 前記円盤状のバランサーには、その前面側に放射状に複数枚配した羽根を備わっており、かつ、前記ケーシング内の気液接触部には、さらに円盤状のバランサーの周囲にリング状の内筒が配され、円錐台状の内壁の後端からリング状の円筒の前方端まで垂直な壁と相俟って該バランサーの周囲を円筒室状の気液接触領域が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の湿式スクラバー。
- 前記回転シャフトを駆動する駆動機構が、インバーターにより回転速度を可変自在としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の湿式スクラバー。
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