JP2017032499A - 磁気検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化・薄型化のみならず高精度化も図れる磁気検出装置を提供することを目的とする。【解決手段】本発明の磁気検出装置(1)は、基板(S1)と、基板に配設され、延在方向の外部磁場成分に感応する感磁ワイヤー(W1)と感磁ワイヤーを周回する検出コイル(C1)とを有するMI素子と、感磁ワイヤーの周囲の外部磁場を変向する磁場変向体(F1)を備える。本発明に係る磁場変向体は、非磁性材からなる芯部(F10)と、芯部の少なくとも一部の外側を覆う軟磁性材からなる殻部(F11)とを有する。このように磁場変向体が軟磁性材の中実構造ではなく、中空構造となっているため、従来よりも軟磁性材のボリュームが大幅に低減され、磁場変向体に生じるヒステリシスも大幅に縮小される。このため本発明の磁気検出装置によれば、基板に直交する磁場成分もより高精度に検出される。【選択図】図2A

Description

本発明は、マグネトインピーダンス素子(Magneto-Impedance element:「MI素子」という。)により磁気を検出する磁気検出装置(「MIセンサ」単体を含む。)に関する。
従来より方位等を知るために磁気測定がなされている。例えば、電子コンパスなどでは、正確な方位を知るために3次元の磁気ベクトルが測定されている。この磁気ベクトルの測定は磁気センサによりなされる。この磁気センサには、ホール素子、MR素子等もあるが、このような従来の素子とは構造や原理が全く異なり、桁違いに高感度なMI素子が近年注目されている。
MI素子は、アモルファスワイヤー等の感磁ワイヤーに高周波のパルス電流等を流すと、表皮効果によりそのインピーダンスが磁場に応じて変化するマグネトインピーダンス効果(「MI効果」という。)を利用したものである。そのインピーダンス変化を直接的に測定する他、そのMI効果の起源となる感磁ワイヤーに生じる磁束量の変化を、その感磁ワイヤーの周囲に巻回した検出コイル(ピックアップコイル)を介して間接的に測定することによっても、外部磁場等の磁気検出が可能となる。
もっとも、MI素子は、基本的に感磁ワイヤーの延在する方向の磁場成分しか検出できない。このため従来のMIセンサでは、特許文献1にもあるように、検出する磁気ベクトルの成分ごとにMI素子を個別に設ける必要があった。例えば、外部磁場の三次元成分を計測する場合、基板平面(X−Y平面)上にX軸用MI素子とY軸用MI素子を設けると共に、その基板平面の垂直方向にZ軸用MI素子を設ける必要があった。このZ軸用MI素子は、その構造上、他のMI素子と同様にZ軸方向にある程度の長さを有する。このため従来の三次元磁気検出装置では、Z軸方向の小型化、薄型化が本来的に困難であった。
しかし、MI素子を組み込んだMIセンサは、既に、各種の携帯情報端末等に組み込まれており、その高性能化(高感度化、高精度化)と共に、さらなる小型化が強く要請されている。そこで、Z軸用MI素子を省略して、X軸用MI素子とY軸用MI素子によりZ軸方向の磁場成分を計測可能とする提案が特許文献2でなされている。
WO2005/008268号公報 WO2010/110456号公報
特許文献2の磁気検出装置は、例えば、対向した一対のX軸用MI素子と対向した一対のY軸用MI素子を直交配置すると共に、それらの中心に軟磁性材(パーマロイ合金等)からなる中実の磁場変向体を設け、各MI素子から得られる検出電圧を演算することにより、Z軸用MI素子を用いることなく、Z軸方向の磁場成分の検出を可能としている。これにより特許文献2の磁気検出装置によれば、その大幅な小型化が可能となる。もっとも本発明者が鋭意検討したところ、その小型化、高精度化、生産性の向上等がさらに可能であることもわかった。
本発明はこのような事情に鑑みて為されたものであり、小型化、高精度化、生産性の向上または生産コストの低減等をさらに図ることが可能となる磁気検出装置を提供することを目的とする。
本発明者はこの課題を解決すべく鋭意研究し、試行錯誤を重ねた結果、従来の磁気検出装置で用いられていた磁場変向体を、軟磁性材の中実構造から中空構造(シェル構造)とすることを思いついた。この成果を発展させることにより本発明は完成された。
《磁気検出装置》
(1)すなわち本発明の磁気検出装置は、基板と、該基板に配設され、延在方向の外部磁場成分に感応する感磁ワイヤーと該感磁ワイヤーを周回する検出コイルとを有するマグネトインピーダンス素子(「MI素子」という。)と、該基板上または該基板内に少なくとも一部が配設されており、該感磁ワイヤーの周囲の外部磁場を変向する磁場変向体と、を備える磁気検出装置であって、前記磁場変向体は、非磁性材からなる芯部と、該芯部の少なくとも一部の外側を覆う軟磁性材からなる殻部と、を有することを特徴とする。
(2)本発明に係る磁場変向体は、非磁性材からなる芯部の少なくとも一部の外側を覆う軟磁性材からなる殻部を有する。この殻部により、感磁ワイヤーの周囲にある外部磁場は変向され、感磁ワイヤーに直交する外部磁場成分でも、その感磁ワイヤーにより検出可能となる。
ところで、本発明に係る磁場変向体(特に殻部)は、軟磁性材の中実体ではなく、中空体(シェル構造体)からなるため、使用する軟磁性材のボリュームを非常に小さくすることができる。これにより、本発明に係る磁場変向体(特に殻部)に生じるヒステリシスも大幅に低減される。この結果、本発明に係る磁場変向体は、磁場成分の変化に対する追従性に優れたものとなり、本発明の磁気検出装置は、外部磁場(特に感磁ワイヤーに直交する磁場成分)を検出する際の精度(特に直線性)が優れたものとなる。
また本発明に係る殻部は、薄膜状でもよいため、フォトリソグラフィを用いた軟磁性材のメッキ等により短時間で形成され得る。従って本発明の磁気検出装置は、生産性の向上や生産コストの低減にも優れたものである。
さらに、長時間のメッキ等により中実構造の磁場変向体を形成する場合、その磁場変向体には歪み(応力)が導入され易い。これに対して本発明に係る殻部は、薄くて短時間に形成されるため、導入される歪みも少なくない。このため本発明に係る磁場変向体(特に殻部)には、所定の熱処理を施すまでもなく、そもそも歪み等に起因したヒステリシスが生じ難いともいえる。こうして本発明の磁気検出装置によれば、検出精度の向上と生産効率の向上または低コスト化等とを、高次元で両立させることが可能となる。
《その他》
本明細書でいう「検出コイル」は、ワイヤーを実際に巻回したものでもよいが、フォトリソグラフィ等により形成された配線パターンより構成されたものであると、磁気検出装置のさらなる薄型化、小型化等を図れて好ましい。
本明細書でいう「変向」とは、感磁ワイヤーによって感応されない磁場成分の方向を、その感磁ワイヤーが感応し得る方向へ変えることをいう。これにより、本来なら感磁ワイヤーに感応しない磁場成分の少なくとも一部が、その感磁ワイヤーで検出可能となる。
本明細書「外部磁場」とは、外部から磁気検出装置へ作用する磁場(環境磁場)であって、磁気検出装置の本来的な検出対象となる磁場である。「測定磁場」とは、磁場変向体により影響を受けた外部磁場のうちで、実際に感磁ワイヤーに感応してMI素子により検出または測定され得る磁場である。
本明細書では、各部材や各部を区別して説明のために、「第1」、「第2」、「第3」、「一方」、「他方」、「一面側」、「他面側」、「左側」、「右側」、「X軸(方向、成分)」、「Y軸(方向、成分)」、「Z軸(方向、成分)」等を便宜的に用いるが、特に断らない限り、それらに優先順位などの特別な意味はない。また適宜、感磁ワイヤーにより検出される磁場成分の方向を一軸方向(感磁ワイヤーの延在方向)といい、磁場変向体により変向されてその一軸方向の感磁ワイヤーに検出される磁場成分の方向を他軸方向という。
第1実施例に係るMIセンサの概略を示す平面図である。 その平面図中に示したA−A部分断面とそれに作用するZ軸方向の磁束線を示す図である。 そのMIセンサの一部を構成するMI素子の平面図である。 そのMI素子を駆動する電気回路図である。 そのMI素子へ加えるパルス電流波形を示す波形図である。 そのパルス電流波形の立上り、立下り時間から周波数を求める方法の説明図である。 そのMIセンサの製造過程の説明図である。 第2実施例に係るMIセンサの断面と感磁ワイヤーの延在方向(X方向)に作用する磁束線を示す図である。 その感磁ワイヤーの直交方向(Z方向)に作用する磁束線を示す断面図である。 そのMIセンサの要部を模式的に示す斜視図である。 第3実施例に係るMIセンサの断面図である。 その要部を模式的に示す斜視図である。
上述した本発明の構成要素に、本明細書中から任意に選択した一つまたは二つ以上の構成要素を付加し得る。本明細書で説明する内容は、本発明の磁気検出装置のみならず、その製造方法にも該当し得る。製造方法に関する構成要素は、一定の場合(構造または特性により「物」を直接特定することが不可能であるかまたは非実際的である事情(不可能・非実際的事情)等がある場合)、プロダクトバイプロセスとして「物」に関する構成要素ともなり得る。いずれの実施形態が最良であるか否かは、対象、要求性能等によって異なる。
《MI素子》
本発明に係るMI素子は、外部磁場(磁界)などの磁気に感応してインピーダンス変化や磁束量変化を生じ得る感磁ワイヤーと、その感磁ワイヤーの変化量を検出する検出手段である検出コイルを有する。感磁ワイヤーは、例えば、軟磁性材からなる相応な長さを有するワイヤー(線材)または薄膜からなる。特に感度やコスト等の点で、感磁ワイヤーは零磁歪のアモルファスワイヤーが好ましい。このアモルファスワイヤーは、例えば、Co−Fe−Si−B系合金からなる直径1〜30μmのワイヤーであり、特許第4650591号公報等に詳細が記載されている。
感磁ワイヤーは、搭載面に接して設けられても、絶縁体等を介して搭載面から浮上して設けられても、さらには溝などに埋設されてもよい。検出コイルは、そのような感磁ワイヤーの配設態様に応じて、感磁ワイヤーを周回するものであれば足りるが、フォトリソグラフィにより形成されたものであると、MI素子の薄型化または小型化を図れて好ましい。
なお、本発明に係るMI素子は、他軸方向の磁場成分の検出に利用される限り、必ずしも、それ自身の延在する一軸方向の磁場成分の検出に利用される必要はない。但し、磁気検出装置の薄型化、小型化、低コスト化等を考慮すると、一つのMI素子で、両軸方向の磁場成分がそれぞれ検出可能であると好ましい。
《磁場変向体》
磁場変向体は、感磁ワイヤーが配設された基板に交差する他軸方向の磁場成分を、感磁ワイヤーの延在方向(一軸方向)へ変向する。本発明に係る磁場変向体は、軟磁性材の中実体ではなく、非磁性材からなる芯部と、芯部の少なくとも一部の外側を覆う軟磁性材からなる殻部とからなる。一軸方向に延在する感磁ワイヤーにより他軸方向の磁場成分が検出される限り、殻部または芯部の形態は種々考えられる。
例えば、芯部は、感磁ワイヤーに対して直交する方向に延在する柱状または円錐状であると好ましい。そして殻部は、少なくとも一部が、その芯部の感磁ワイヤー側(感磁ワイヤーに最も近い側)の端面である頂面に形成されていると好ましい。このような芯部や殻部はフォトリソグラフィ等による高精度かつ効率的に形成可能である。また、少なくとも頂面に殻部が形成されていることにより、他軸方向の磁場成分が感磁ワイヤーの延在方向(一軸方向)へ安定的に変向され、感磁ワイヤーによる他軸方向の磁場成分の検出が容易となる。
磁場変向体の芯部を構成する非磁性材は、殻部を構成する軟磁性材よりも磁気特性(透磁率、飽和磁化または磁化率)が小さい材質である。敢えていうなら非磁性材は、強磁性(フェロ磁性)を示さない材質(特に常磁性を示す材質)であり、例えば、(絶縁)樹脂、非磁性金属(銅、アルミニウムまたはそれらの合金等)、セラミックスなどである。なお、殻部の形成が可能ならば、芯部は空洞でもよいが、通常、MI素子が搭載される基板の一部を構成する絶縁樹脂や配線用金属(Cu、Al等)の中実体として芯部は形成される。
磁場変向体の殻部を構成する軟磁性材は、高透磁率なものほど、集磁効果が大きくて好ましく、例えば、パーマロイ合金、純Ni、純鉄、センダスト、パーメンジュール等の強磁性材を用いるとよい。殻部は、中実体である芯部の外表面の全部または一部に均一的な厚さで形成されていると好ましい。殻部が芯部の外表面の一部に形成されている場合、前述したように、少なくとも感磁ワイヤーに近接した領域(例えば頂面)にあると好ましい。また殻部は、MI素子と磁場変向体の配置にも依るが、少なくともMI素子の延在方向に関して対称的に形成されていると、他軸方向の磁場成分の検出やその演算処理も容易となり好ましい。
本発明に係る磁場変向体は、芯部および殻部以外に、他軸方向の磁場成分を集磁する集磁部を備えると好ましい。集磁部は、感磁ワイヤーに遠い側で拡大しており、感磁ワイヤーに近い側にある殻部に連なっていると好ましい。また集磁部は、複数の殻部を架橋する架橋体(架橋部)でもよい。このような集磁部を設けることにより、他軸方向の磁場成分を高感度に検出したり、測定レンジを拡大したりし易くなる。
《磁気検出装置》
(1)本発明の磁気検出装置は、磁場変向体の全部または一部がシェル構造であればよく、MI素子と磁場変向体の配置関係や配設数等は種々考えられる。例えば、本発明の磁気検出装置として、次のようなタイプが考えられる。なお、いずれの場合でも、他軸方向の磁場成分の検出やその演算処理を容易に行うため、磁場変向体の殻部は、単数または複数のMI素子に関して対称的に形成されていると好ましい。
第1タイプとして、検出コイルが感磁ワイヤーに沿って並存する左側コイル部と右側コイル部とからなり、磁場変向体が左側コイル部と右側コイル部の中間上に配設されている場合が考えられる。
この場合、一対のMI素子を設けるまでもなく、一つのMI素子で、その左側コイル部から得られる左側出力とその右側コイル部から得られる右側出力とに基づいて、他軸方向の磁場成分を検出(さらには演算処理)することが可能となる。これにより、磁気検出装置の基板に交差する方向の高さ(第3軸方向の高さ)を抑制できることは勿論、MI素子の配置自由度や磁気検出装置の設計自由度も高まり、磁気検出装置のさらなる薄型化、小型化、高性能化等を図ることが容易となり得る。
一つのMI素子による二方向の磁場成分の検出は、左側出力と右側出力の演算を切り替えることにより容易に行うことができる。例えば、左側コイル部と右側コイル部の巻数が同じである場合、左側コイル部と右側コイル部の巻回方向に応じて、左側出力と右側出力の差または和を切り替えて演算することにより一軸方向の磁場成分を検出することも、他軸方向の磁場成分を検出することも可能となる。より具体的にいうと、左側コイル部と右側コイル部の巻回方向が同じなら、左側出力と右側出力の差に基づいて他軸方向の磁場成分が検出され、それらの和に基づいて一軸方向の磁場成分が検出される。各コイル部の巻回方向(または配線方法)が逆の場合は、各出力の演算も逆に行えば、同様な結果を得ることができる。このように本発明の磁気検出装置は、各コイル部からの出力に基づいて、各方向の磁場成分を検出する演算回路を備えると好適である。この演算回路は、さらに、左側出力と右側出力の差と和を切り替えて、一軸方向(第1軸方向)の磁場成分と他軸方向(第3軸方向)の磁場成分を共に検出可能とする切替回路を含むと好ましい。
第2タイプとして、検出コイルが感磁ワイヤーに沿って並存する左側コイル部と右側コイル部とからなり、磁場変向体が左側コイル部側寄りに配設される左側変向部と右側コイル部側寄りに配設される右側変向部とを有する場合が考えられる。
この場合、外部磁場の延在成分(感磁ワイヤーの延在方向の磁場成分)の一部は、左側変向部または右側変向部の一方から入って他方から出るようになり、感磁ワイヤーを迂回するようになる。このため、感磁ワイヤーを通過する延在成分は低減される。この結果、上記のような磁場変向体が配設されていない場合と比較して、その感磁ワイヤーひいてはMI素子の測定レンジが拡大することになる。そして左側変向部または右側変向部の配置や大きさを調整することにより、感磁ワイヤーに導入される延在成分と直交成分のバランス調整も可能となり、外部磁場の各成分を適当な感度を確保しつつ、広いレンジで測定可能となる。
磁場変向体は、さらに、左側変向部と右側変向部を感磁ワイヤーに対して遠い側で架橋する架橋部を有すると好ましい。この場合、左側変向部と架橋部と右側変向部がヨーク(継鉄)となり、左側変向部または右側変向部の一方から入った磁場成分が架橋部を介して左側変向部または右側変向部の他方から抜ける磁気回路が形成される。また架橋部は、前述した集磁部としても機能し、より多くの直交成分が集磁されて感磁ワイヤーへ導かれるようになり磁気検出装置の高感度化にも寄与し得る。
第3タイプとして、感磁ワイヤーが平行に配設された第1ワイヤーと第2ワイヤーとからなり、検出コイルが第1ワイヤーを周回する第1コイルと第2ワイヤーを周回する第2コイルとからなり、磁場変向体が第1ワイヤーの一端部側寄りに配設された第1変向体と第2ワイヤーの他端部側寄りに配設された第2変向体とを有する場合が考えられる。
この場合、上述した第2タイプと同様に、外部磁場の延在成分の一部は、第1変向体と第2変向体により変向され、感磁ワイヤーを迂回するようになる。このため、感磁ワイヤーを通過する延在成分は低減され、磁場変向体を配設しない場合と比較して、MI素子の測定レンジが拡大し得る。
ところで、第2タイプの場合は、感磁ワイヤーの両端部のみならず、その中間にもそれぞれ磁極が形成される(例えば両端部がS極で中央がN極となること)。これに対して、第3タイプの場合は、感磁ワイヤーのそれぞれの一端部に磁極(N極とS極)が形成されるのみである。このため第3タイプの場合は、第2タイプの場合よりも、感磁ワイヤーにできる磁極間距離を長くすることができ、その分、感磁ワイヤー中の反磁界の影響を抑制できる。従って、感磁ワイヤーの長さが同じなら、第2タイプの場合よりも第3タイプの場合の方が、磁場成分をより高感度に検出することが可能となる。
また第3タイプの場合、感磁ワイヤーと検出コイルがそれぞれ1対づつ以上設けられるため、同方向の磁場成分に対して約2倍の検出出力が得られ、磁気検出装置の高感度化を図り易い。そして第3タイプの場合でも、第1変向体と第2変向体を、第1ワイヤーおよび第2ワイヤーに対して遠い側で架橋する架橋体を有すると好ましい。この架橋体も、第2タイプの架橋部と同様に、ヨーク(継鉄)として機能すると共に集磁部としても機能し得る。
(2)本発明の磁気検出装置は、外部磁場の三次元成分(例えば、X成分、Y成分、Z成分)を検出する場合なら、基板上に第1軸方向(一軸方向、例えばX軸方向)とは異なる第2軸方向(例えばY軸方向)の磁場成分を検出するMI素子を少なくとも一つ備えるとよい。すなわち、本発明の磁気検出装置は、基板に配設され、第1軸方向とは異なる第2軸方向へ延在して第2軸方向の磁場成分に感応する第2感磁ワイヤーと第2感磁ワイヤーを周回する第2検出コイルとからなる第2MI素子をさらに備えると好適である。
第2MI素子は、必ずしも他軸方向(第3軸方向、例えばZ軸方向)の磁場成分を検出するものでなくてもよい。但し、第1MI素子と共に第2MI素子も独立して他軸方向の磁場成分を検出するものであると、両検出結果を利用することにより、他軸方向の磁場成分をより精確に検出することが可能となる。また本発明の磁気検出装置は、第1軸方向の磁場成分を検出する第1MI素子および/または第2軸方向の磁場成分を検出する第2MI素子が、それぞれ、基板上に複数配設されていてもよい。1つでは十分な感度が得にくい場合でも、複数配設することにより、より高出力を得て、感度を高めることができる。
ちなみにMI素子または磁場変向体は、例えば、基板の片面側のみに配設されても、両面側に配設されても、さらには基板中に配設されてもよい。磁場変向体は、一つまたは一対のMI素子に対して、単数配置されても複数配置されてもよい。磁場変向体が複数配置される場合、各磁場変向体は形態や大きさが同じでも異なっていてもよい。一つまたは一対のMI素子に対して磁場変向体を複数配置する場合、それらは対称的に配置されると好ましい。逆に、複数または複数対のMI素子が、一つまたは複数の磁場変向体を共用してもよい。
(3)本発明の磁気検出装置は、MI素子を備えたMIセンサでもよいし、さらに、そのMIセンサを備えた各種の情報端末や計測装置等でもよい。また本発明の磁気検出装置は、感磁ワイヤーと検出コイルを備えるMI素子の他に、その感磁ワイヤーに高周波電圧(電流)を供給するパルス発振回路、検出コイル(特に各コイル部)から得られた検出電圧をサンプリングして出力する信号処理回路、それらの出力に基づいて演算を行い、各方向の磁場成分を算出する演算回路等を含むと好ましい。特に本発明の磁気検出装置がMIセンサである場合、それら各回路は、集積回路(駆動回路)としてMI素子が実装される基板内に形成されていると、MIセンサの薄型化や小型化を図れて好適である。なお、MI素子の基板への実装は、ワイヤーボンディングの他、フリップチップ、特にウエハーレベルCSP(Wafer Level Chip Size Package)に依ると、MIセンサのさらなる薄型化、小型化を図れて好ましい。
《磁気検出装置の製造方法》
本発明の磁気検出装置は、例えば、磁場変向体を内蔵した内蔵ベース基板上に、磁場変向体の配置に対応させてMI素子を実装する工程を経て得られる。内蔵ベース基板は、フォトリソグラフィ等を用いて、磁場変向体を形成する工程と、磁場変向体を埋設する樹脂層を形成する工程とを経て得られる。磁場変向体の形成は、非磁性材(樹脂または銅等)からなる芯部を形成する工程と、その芯部の外表面に軟磁性材からなる殻部を形成する工程(例えば、メッキ工程)とを経て得られる。
なお、通常は、多数(複数)の磁場変向体を内蔵した内蔵ベース基板上に多数のMI素子を実装した実装基板を、分割(ダイシング)することにより、小型の磁気検出装置(MIセンサ)が効率的に生産される。
《第1実施例》
[装置概要]
本発明の磁気検出装置に係る第1実施例であるMIセンサモジュール1(単に「MIセンサ1」という。)の概略(平面図)を図1に示した。また、その図1中に示したA−A線における部分断面図と、それに作用するZ軸方向(他軸方向、第3軸方向)の磁束線を図2Aに示した。さらに、図2Aに示した部分の詳細な平面図を図2Bに示した。
MIセンサ1は、地磁気等の外部磁場を検出する4つのMI素子M1〜M4と、磁場変向体F1〜F4と、MI素子M1〜M4が搭載されると共に磁場変向体F1〜F4を内蔵する回路基板S(本発明でいう「基板」に相当する。)とを有する。
回路基板S中には、各MI素子の駆動に必要なパルス発信回路(駆動回路)、信号処理回路、演算回路等を含む集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)も形成されている。なお、詳細は省略しているが、各MI素子と回路基板S内の集積回路とは、バンプを介して電気的に接続される。これによりワイヤーボンディングを省略したウエハーレベルCSPが実現される。また、特に断らない限り、各回路等はフォトリソグラフィにより形成される。
MI素子M1〜M4は、回路基板S上にフリップチップにより正方形状に実装されている。そしてX軸方向に並行に実装されたMI素子M1、M3によりX軸方向(一軸方向または第1軸方向)の磁場成分(単に「X成分」という。)が検出され、Y軸方向(第2軸方向)に並行に実装されたMI素子M2、M4によりY軸方向の磁場成分(単に「Y成分」という。)が検出され得る。そして、各MI素子の各中央線上に配設された磁場変向体F1〜F4により、Z軸方向の磁場成分(単に「Z成分」という。)もMI素子M1〜M4によって検出可能となる。
なお、MI素子M1〜M4と磁場変向体F1〜F4はそれぞれ同形態であるため、以下では、適宜、MI素子M1と磁場変向体F1を代表的に取り上げて説明し、他のMI素子M2〜M4と磁場変向体F2〜F4に関する説明は省略する。
MI素子M1は、図2Bに示すように感磁ワイヤーW1と、その周囲に巻回された検出コイルC1と、感磁ワイヤーW1および検出コイルC1に接続される端子群T1とからなる。感磁ワイヤーW1は、Co−Fe−Si−B系合金製の零磁歪アモルファスワイヤーからなる。検出コイルC1は、左側コイル部C11と右側コイル部C12とからなる。左側コイル部C11と右側コイル部C12は、巻数、巻径、巻回方向、ピッチ等、出力の大きさに影響する仕様が全て同じで、磁場変向体F1の中心軸が通過する中心位置(点)に関して左右対称に形成されている。各コイル部C11、C12と端子群T1は、フォトリソグラフィを用いて回路基板S上に形成される。端子群T1は、感磁ワイヤーW1にパルス信号を供給するための端子T101、T102と、左側コイル部C11で生じた起電力(V11)を出力する端子T111、T112と、右側コイル部C12で生じた起電力(V12)を出力する端子T121、T122とからなる。
磁場変向体F1は、絶縁樹脂からなる円柱状または円錐台状の芯部F10と、芯部F10の側周面F101および頂面F102を被覆してなる薄膜状の殻部F11と、芯部F10の底面側(頂面F102の反対面側)で拡張した拡大部F13とからなる。殻部F11と拡大部F13は連なっており、両者は高透磁率(μ=180000)のパーマロイ合金(78質量%Ni−Fe)からなる。磁場変向体F1により、Z成分の磁束線は図2Aに示すように変向される。具体的にいうと、Z成分は、拡大部F13で集磁され殻部F11の周側部分を通過して、殻部F11の頂面部分からMI素子M1に向けて放射状に(左右方向へ均等に)拡散していく。このようにZ成分は、磁場変向体F1により感磁ワイヤーW1の延在方向(X軸方向)に変向される結果、MI素子M1により検出され得る。
回路基板Sに形成される集積回路(ASIC)は、図3に示すように、感磁ワイヤーW1にパルス信号を供給するパルス発信回路(駆動回路)と、左側コイル部C11からの出力(電圧)V11と右側コイル部C12からの出力(電圧)V12を得る信号処理回路と、演算回路(切替回路を含む。)とからなる。
パルス発信回路と信号処理回路は次のように作動する。先ず、パルス発振回路により発生した高周波(例えば200MHz相当)のパルス電流が感磁ワイヤーW1へ供給される。このパルス電流により感磁ワイヤーW1のワイヤー円周方向に生じた磁場と外部磁場とが作用して、その軸方向に作用する磁場成分に対応した電圧が左側コイル部C11と右側コイル部C12に発生する。なお、ここでいう周波数は、図4Aに示すパルス電流波形パルスの「立ち上がり」若しくは「立ち下り」の時間Δtを求め、そのΔtが図4Bに示すように4分の1周期に相当するとして求めたものである。
次に、信号処理回路中のサンプルタイミング調整回路により、上記のパルス電流が立ち上がった後、所定のタイミングで、アナログスイッチを短時間スイッチをオン−オフする。これによりアナログスイッチは、左側コイル部C11と右側コイル部C12にそれぞれ発生した各電圧をサンプリングする。サンプリング電圧は、それぞれ増幅器により増幅されて出力V11、V12が得られる。なお、パルス電流が立ち上がる時ではなく遮断されるとき(パルス電流が立ち下るとき)に処理してV11、V12を得ることもできる。
演算回路は、出力V11と出力V12の和と差を交互に演算し、出力V11と出力V12の和に基づき外部磁場のX成分(一軸方向の磁場成分)を指標する出力を行い、出力V11と出力V12の差に基づき外部磁場のZ成分(他軸方向の磁場成分)を指標する出力を行う。なお、和と差でX成分とZ成分を指標する出力ができる理由について以下に説明する。
[磁場検出]
磁場変向体F1は、MI素子M1の対称な左側コイル部C11と右側コイル部C12の中央に配置されている。磁場変向体F1が各コイル部の出力へ及ぼす影響も対称的となる。例えば、磁場変向体F1により変向された外部磁場のZ成分である変向磁場成分(測定磁場/磁気ベクトルH)を観ると、左側コイル部C11と右側コイル部C12は、前述した通り、出力の大きさに影響する仕様が全て同一となっている。このため、左側コイル部C11の出力V11と右側コイル部C12の出力V12との出力差(V11−V12)は、MI素子M1の周囲に生じている元の外部磁場のX軸方向の成分の影響が相殺されて、左側コイル部C11と右側コイル部C12に逆向きに作用する変向磁場成分のさらなるX成分(Hx)の影響だけが反映されたものとなる。なお、変向磁場成分のZ成分(Hz)は感磁ワイヤーW1が感応しないため、当然、上記の出力差に影響はしない。この出力差に適当な係数を乗じて演算すれば、その出力差から元の外部磁場のZ成分を求めることが可能となる。
また、出力V11と出力V12の出力和(V11+V12)は、変向磁場成分のX成分(Hx)の影響が相殺され、上述したように変向磁場成分のZ成分(Hz)の影響もなく、元の外部磁場のX成分が磁場変向体F1により変向されて生じた磁場成分のさらなるX成分(X軸方向への投影成分)の影響だけが反映されたものとなる。この出力和に適当な係数を乗じて演算すれば、その出力和から元の外部磁場のX成分を求めることが可能となる。このような事情はMI素子M3についても同様である。また、同様の考え方で、MI素子M2とMI素子M4によりY成分とZ成分を検出することができる。
なお、外部磁場の各軸方向の成分は、一つのMI素子の出力のみに依ることなく、複数のMI素子の出力の平均値(例えば相加平均)に基づいて算出されると好ましい。さらに、磁場変向体の形状、MI素子の配置や特性等を考慮して、出力値に適切な補正係数または補正項が加味され得ることは当然である。このような演算処理は、上述した演算回路でなされてもよいし、MIセンサ1を搭載する情報端末等のプログラムでなされてもよい。演算処理に関する基本的な考え方は、WO2010/110456号公報等にも詳述されている。
[製造方法]
磁場変向体F1を内蔵した回路基板Sは、例えば、図5に示す工程を経て製造される。具体的にいうと、先ず、シリコンウェハーに上述したパルス発振回路、信号処理回路、演算回路からなる集積回路を多数形成したベース基板S0を用意する(工程P1)。
ベース基板S0上に芯部F10となる絶縁樹脂製のポストを形成する(工程P2)。この芯部F10上に、拡大部F13および殻部F11となるパーマロイ合金のメッキ層を形成する(工程P3)。これらメッキ層の形成工程(メッキ工程)もフォトリソグラフィによりなされる。このメッキ工程後に熱処理(焼鈍)して、形成された殻部F11および拡大部F13に導入された僅かな内部応力(または内部歪み)を除去してもよい。
ベース基板S0上に形成された磁場変向体F1を囲繞する絶縁樹脂層R1を樹脂モールドにより形成する(工程P4)。絶縁樹脂層R1の上端面を研磨して平坦にする(工程P5)。この研磨後にパーマロイ合金のメッキをさらに行い、殻部F11の頂面側(上端面側)の膜厚を所望値に調整しても良い。こうして磁場変向体F1を内蔵した内蔵ベース基板SB1が得られる。
内蔵ベース基板SB1上に、MI素子M1をフリップチップ等により実装する(工程P6/実装工程)。この後、内蔵ベース基板SB1の他面側を研磨(バックグラインド)等する。こうして合体ベース基板SU1が得られる。この合体ベース基板SU1をダイシングすることにより(分割工程)、多数のMIセンサ1が得られる。なお、各MIセンサは、WO2014/054371号公報等に詳述されている方法で、内蔵ベース基板SB1等の表面に形成されてもよい。
《第2実施例》
第2実施例であるMIセンサ2の断面図を図6Aおよび図6Bに示した。またMIセンサ2の要部となる感磁ワイヤーW1と検出コイルC1と磁場変向体F5の配置関係を模式的に示す斜視図を図6Cに示した。適宜、図6A〜図6Cをまとめて図6という。なお、第1実施例の場合と同様な部材または部分には同符号を付して、それらの部材に関する説明は省略した。
磁場変向体F5は、板状の架橋部F53(拡大部または集磁部)と、架橋部F53の左端部から直立した角柱状の左側変向部F51と、架橋部F53の右端部から直立した角柱状の右側変向部F52とを有する。左側変向部F51は、芯部F510と、芯部F510の頂面および側周面を被覆する薄膜状の殻部F511とからなる。殻部F511と架橋部F53は芯部F510の底面側で連なっている。右側変向部F52は、芯部F520と、芯部F520の頂面および側周面を被覆する薄膜状の殻部F521とからなる。殻部F521と架橋部F53も芯部F520の底面側で連なっている。殻部F511、殻部F521および架橋部F53は前述した軟磁性材(パーマロイ合金)からなる。芯部F510および芯部F520は前述した絶縁樹脂からなる。
磁場変向体F5により、MI素子M1に作用する外部磁場は、図6Aおよび図6Bに示す磁束線のように変向される。具体的にいうと、感磁ワイヤーW1の延在方向(X方向)の外部磁場成分(延在成分)は、図6Aに示すように、その一部のみが感磁ワイヤーW1へ導入され、その大部分は右側変向部F52、架橋部F53および左側変向部F51を経由して感磁ワイヤーW1を迂回する。
一方、感磁ワイヤーW1の直交方向(Z方向)の外部磁場成分(直交成分)は、図6Bに示すように、架橋部F53により集磁された後、左側変向部F51と右側変向部F52へ分岐して、左側変向部F51と右側変向部F52の上端面側(架橋部F53の反対面側)から感磁ワイヤーW1へ導入される。そして感磁ワイヤーW1の延在方向へ変向した直交成分の一部が、MI素子M1によって検出される。
左側変向部F51と右側変向部F52は、感磁ワイヤーW1の中央に関して対称的に配置されていると共に、同じ大きさで対称形状をしている。このため左側変向部F51と右側変向部F52を経由して感磁ワイヤーW1へ導入される直交成分の各変向成分も、それぞれ対称的と(逆向きで大きさが等しく)なる。
従って本実施例でも、第1実施例の場合と同様に、MI素子M1から得られる出力V11と出力V12の和に基づいて外部磁場のX成分の検出が可能であり、また出力V11と出力V12の差に基づいて外部磁場のZ成分の検出が可能である。但し、本実施例の場合、元の外部磁場の延在成分と直交成分のそれぞれ一部が、磁場変向体F5により変向されて感磁ワイヤーW1へ導かれる。このため、左側コイル部C11と右側コイル部C12により得られるそれぞれの出力(V11+V12とV11−V12)のレベル差は小さい。この結果、本実施例のMIセンサ2によれば、外部磁場の延在成分と直交成分の両方を適当な感度で、かつ広レンジで測定できる。
《第3実施例》
第3実施例であるMIセンサ3の断面図を図7Aに示した。また、MIセンサ3の要部となる感磁ワイヤーW61、W62と検出コイルC61、C62と磁場変向体F6の配置関係を模式的に示す斜視図を図7Bに示した。図7Aおよび図7Bをまとめて、適宜、図7という。
MIセンサ3は、MIセンサ2に対して、磁場変向体F5を磁場変向体F6に、MI素子M1をMI素子M61、M62に、それぞれ変更したものである。MI素子M61は感磁ワイヤーW61とその周囲に巻回された検出コイルC61とを有し、MI素子M62は感磁ワイヤーW62とその周囲に巻回された検出コイルC62とを有する。検出コイルC61と検出コイルC62は、MI素子M1の左側コイル部C11と右側コイル部C12にそれぞれ対応するが、それらは途中で分割はされておらず、感磁ワイヤーW61と感磁ワイヤーW62の周囲にそれぞれ独立して形成されている。
磁場変向体F6は、板状の架橋体F63(拡大部または集磁部)と、架橋体F63の左端角部から直立した角柱状の第1変向体F61と、架橋体F63の右端角部から直立した角柱状の第2変向体F62とを有する。第1変向部F61は、芯部F610(図略)と、芯部F610の頂面および側周面を被覆する薄膜状の殻部F611(図略)とからなる。殻部F611と架橋部F63は芯部F610の底面側で連なっている。第2変向部F62は、芯部F620と、芯部F620の頂面および側周面を被覆する薄膜状の殻部F621とからなる。殻部F621と架橋部F63は芯部F620の底面側で連なっている。殻部F611、殻部F621および架橋部F63は前述した軟磁性材(パーマロイ合金)からなる。芯部F610および芯部F620は前述した絶縁樹脂からなる。
磁場変向体F6により、感磁ワイヤーW61、W62の周囲の外部磁場分布(磁束線)が変向されるが、変向形態は磁場変向体F5の場合と多少異なる。具体的にいうと、先ず、感磁ワイヤーW61、W62の延在方向(X方向)の外部磁場成分(延在成分)は変向されて、その一部が感磁ワイヤーW61、W62へ導入される。次に、直交方向(Z方向)の外部磁場成分(直交成分)は、架橋体F63により集磁され、第1変向体F61と第2変向体F62に分岐(収束)して、それらの上端面側から感磁ワイヤーW61、W62の中央寄りへ変向する。その変向磁場成分(H)のさらに一部(Hx)が感磁ワイヤーW61、W62へ導入される。
ここで本実施例の場合、第1変向体F61と第2変向体F62は、感磁ワイヤーW61、W62の各一端側にのみそれぞれ配設されている。このため、例えば、感磁ワイヤーW62には、図7Aに示すように、一端側にS極、他端側にN極が形成され、その途中に磁極が形成されることがなく、感磁ワイヤーW62上に形成される磁極間距離が長くなる。これに対して、MIセンサ2のように感磁ワイヤーW1の両端に左側変向部F51と右側変向部F52がある場合、例えば、感磁ワイヤーW1の両端にS極、それらの中間にN極が形成されて、磁極間距離が短くなる。
従ってMIセンサ3は、感磁ワイヤーW61、W62に作用する反磁界の影響が少なくなり、MIセンサ2よりも高感度となり易い。加えてMIセンサ3は、並設された一対の感磁ワイヤーと検出コイルが1セットとなっているため、外部磁場の測定をより高感度で行える。
なお、MI素子M61と第1変向体F61およびMI素子M62と第2変向体F62は、架橋体F63の中心軸まわりに対称的な配置および形態となっている。このためMIセンサ3でも、MIセンサ2の場合と同様な演算方法により、外部磁場の延在成分および直交成分の検出が可能となる。
1 MIセンサ(磁気検出装置)
M1 MI素子
W1 感磁ワイヤー
C1 検出コイル
C11 左側コイル部
C12 右側コイル部
F1 磁場変向体(磁場変向体)
F10 芯部
F11 殻部
S 回路基板(基板)
《磁気検出装置》
(1)すなわち本発明の磁気検出装置は、基板と、該基板に配設され、延在方向の外部磁場成分に感応する感磁ワイヤーと該感磁ワイヤーを周回する検出コイルとを有するマグネトインピーダンス素子(「MI素子」という。)と、該基板上または該基板内に少なくとも一部が配設されており、該感磁ワイヤーの周囲の外部磁場を変向する磁場変向体と、を備える磁気検出装置であって、前記磁場変向体は、非磁性材からなる芯部と、該芯部の少なくとも一部の外側を覆う軟磁性材からなる殻部とをし、前記芯部は、前記感磁ワイヤーに対して直交する方向に延在する柱状または円錐状であり、前記殻部の少なくとも一部は、該芯部の該感磁ワイヤー側の端面である頂面に形成されていることを特徴とする。
本明細書でいう「外部磁場」とは、外部から磁気検出装置へ作用する磁場(環境磁場)であって、磁気検出装置の本来的な検出対象となる磁場である。「測定磁場」とは、磁場変向体により影響を受けた外部磁場のうちで、実際に感磁ワイヤーに感応してMI素子により検出または測定され得る磁場である。

Claims (6)

  1. 基板と、
    該基板に配設され、延在方向の外部磁場成分に感応する感磁ワイヤーと該感磁ワイヤーを周回する検出コイルとを有するマグネトインピーダンス素子(「MI素子」という。)と、
    該基板上または該基板内に少なくとも一部が配設されており、該感磁ワイヤーの周囲の外部磁場を変向する磁場変向体と、
    を備える磁気検出装置であって、
    前記磁場変向体は、
    非磁性材からなる芯部と、
    該芯部の少なくとも一部の外側を覆う軟磁性材からなる殻部と、
    を有することを特徴とする磁気検出装置。
  2. 前記芯部は、前記感磁ワイヤーに対して直交する方向に延在する柱状または円錐状であり、
    前記殻部の少なくとも一部は、該芯部の該感磁ワイヤー側の端面である頂面に形成されている請求項1に記載の磁気検出装置。
  3. 前記検出コイルは、前記感磁ワイヤーに沿って並存する左側コイル部と右側コイル部とからなり、
    前記磁場変向体は、該左側コイル部と該右側コイル部の中間上に配設されている請求項1または2に記載の磁気検出装置。
  4. 前記検出コイルは、前記感磁ワイヤーに沿って並存する左側コイル部と右側コイル部とからなり、
    前記磁場変向体は、該左側コイル部側寄りに配設される左側変向部と該右側コイル部側寄りに配設される右側変向部とを有する請求項1または2に記載の磁気検出装置。
  5. 前記感磁ワイヤーは、平行に配設された第1ワイヤーと第2ワイヤーとからなり、
    前記検出コイルは、該第1ワイヤーを周回する第1コイルと該第2ワイヤーを周回する第2コイルとからなり、
    前記磁場変向体は、該第1ワイヤーの一端部側寄りに配設された第1変向体と該第2ワイヤーの他端部側寄りに配設された第2変向体とを有する請求項1または2に記載の磁気検出装置。
  6. 前記磁場変向体の殻部は、単数または複数の前記MI素子に関して対称的に形成されている請求項1〜5のいずれかに記載の磁気検出装置。
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